モララーのビデオ棚in801板11
- 1 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:45:11 ID:3NCyn7Lx
- モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。
|__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
|[][][]__\______ ___________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ ) _
|[][][][][][][][]_|| / ( つ| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |  ̄
(__)_)
モララーのビデオ棚in801板10
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1125851836/
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-6のあたり
保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/
- 2 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:45:41 ID:3NCyn7Lx
- 1.ノンジャンルのネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。
どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。
投稿すべきスレはあるが‥‥
・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。
ヘタレなので‥‥
・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!
迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。
ナマモノは伏せ字か当て字を推奨。
それ以外は該当スレのローカルルールに沿うか、自己判断で。
- 3 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:46:11 ID:3NCyn7Lx
- 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリーAAであろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
| いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
\ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | [][] PAUSE
∧_∧ | |
┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ | |
| |,, ( つ◇ | |
| ||―(_ ┐┐―|| |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
| || (__)_), || | °° ∞ ≡ ≡ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 4 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:46:40 ID:3NCyn7Lx
- 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| きっと楽しんでもらえるよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 5 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:47:10 ID:3NCyn7Lx
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
|
| ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
| ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
| ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
| ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
| ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
| ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
| ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
\___ _____________________
|/
∧_∧
_ ( ・∀・ )
|l8|と つ◎
 ̄ | | |
(__)_)
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 媒体も
| 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
| 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
\_________________________
- 6 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:47:40 ID:3NCyn7Lx
- 携帯用区切りAA
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
中略
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
中略
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 7 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:48:09 ID:3NCyn7Lx
- |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄| じゃ、そろそろ楽しもうか。
|[][][]__\______ _________
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | |/
|[][][][][][][]//|| | ∧_∧
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
|[][][][][][][][]_||/ ( )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | |
(__)_)
- 8 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:54:00 ID:FLJ9a0mH
- >>1
乙!
- 9 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 21:58:36 ID:WJ3IghCW
- >>1おつにゅ
- 10 名前:風と木の名無しさん:2005/11/02(水) 23:40:20 ID:91orOVrx
- >1乙カレー!
落ち防止は必要ですか?
- 11 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 00:16:15 ID:DVJcI4+Q
- >>1
乙!
- 12 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:25:31 ID:fWubYZAb
- では早速。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| テベエスの三兄弟ドラマ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 暗いので仲良し好きは見ない方がいいかも | | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ハツトウコウ、オテヤワラカニ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 13 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:26:41 ID:fWubYZAb
- うちの家族は、勝手すぎる。
俺は米を研ぎながら、苦しさに下唇を噛んだ。
今は、夜の9時だ。ハルさんは仕事の関係で、今日は遅くまで帰ってこない。
一番上の兄貴も、仕事でまだ帰ってきていない。
そして利区兄は、2時間ほど前、俺が夕飯の支度に取り掛かろうとしたときに
帰ってきて、つまみ食いでもするように俺の身体を押し倒し、抑えつけ、散々好きなようにして、
気が済んだら二階の自分の部屋へと上がっていった。
俺の腰は、そのせいで鈍い痛みを伝えている。
けれど、夕飯を作らない訳にはいかない。
ハルさんも、兄貴も、今日は夕飯は家で食べると言っていた。
俺はそのふたりの言葉を快く受け入れて、夕飯を作ると約束した。
その約束を破ったら、きっと不審に思われる。
俺は歯を食いしばり、水に浸した手を動かして米を研ぎ続ける。
シャツの袖から覗く手首には、抵抗して、ベルトで縛られたときの痕が赤く残っていた。
- 14 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:27:41 ID:fWubYZAb
- 「ただいまー」
兄貴の声がした。ああ、結局作り終えることが出来なかったと思いながら、
「おかえりー」と声を返した。
「あれ、まだ夕飯出来てないの?」
居間に入ってきた兄貴は、ネクタイを緩めながら不思議そうな表情になる。
「うん、ごめんね。帰ってきて、ちょっと眠っちゃって」
全部、利区兄のせいだ。けれど俺は無理矢理笑顔を作って、兄貴に謝る。
「いや、いいけどさ・・・あれ、お前」
台所に立つ俺の横で、兄貴は俺の顔を覗き込んだ。
「どうした、目、腫れて・・・」
やばい、涙拭くの忘れてた。
兄貴が、頬の涙の跡に手を伸ばす。俺は思わずその手を跳ね除けた。
- 15 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:28:19 ID:fWubYZAb
- 兄貴が、跳ね除けられた手を引っ込めて、驚いたように俺を見た。
俺はまずい、と思って謝罪の言葉を口にする。
「ごめん、これはさっきタマネギ切ってて・・・」
そう言いながら、目元を手で抑えた。自然と、兄貴の視線が手の方に行く。
兄貴の顔色が、さっと変わった。
「お前、その腕・・・」
しまった。手首の痕を見られてしまった。
「あっ・・・えっと、これは・・・」
上手い言い訳が思いつかなくて、俺は俯いた。
嫌な沈黙が降りる。ふいに、兄貴が口を開いた
- 16 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:29:48 ID:fWubYZAb
- 「・・・・・・利区か?」
その言葉に、びくっと顔を上げた。
兄貴の、冷たい怒りが含まれた視線にぶつかる。
俺はその視線から目が逸らせなくなった。
何で兄貴が知ってるんだ、そう言おうと思ったけど、声が出ない。
兄貴は俺の言いたいセリフを読み取ったように、言った。
「この前、見たんだ」
兄貴の口元が、怒りのような、悲しみのような、とにかく辛そうな表情に歪んでいる。
「真夜中に、廊下を歩く音を聞いて、部屋から覗いたら、お前が利区の部屋に入っていった」
背中が粟立つ。見られていたんだ、あれを。
「真夜中に何してんだと思って、耳をすましたら、お前と利区の・・・」
「やめてよ!」
我慢出来なくて、兄貴の言葉を遮った。
「お願い。もう・・・・・・言わないで」
- 17 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:30:29 ID:fWubYZAb
- 兄貴が、俺の両肩を掴んで、揺さぶった。
「お前、何で言いなりになってるんだよ!」
「言いなり、って・・・」
「言いなりだろ!分かってるんだよ、お前が苦しんでることぐらい」
痛い。そんな強い力で、掴まないでよ。離してよ。
ふいに、空気を切り裂くように、メールの着信音がした。
俺は言葉を止めて、テーブルの上の俺の携帯を見た。
兄貴も、俺の携帯に目をやっている。
震える手で、携帯を取って、開く。
利区兄からだ。
『部屋に来て』
たったそれだけの短い文面に縋るように、俺は携帯を強く握り締めた。
そして身を翻す。
- 18 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:31:08 ID:fWubYZAb
- 「利区兄が呼んでる、行かなきゃ」
「順平!」
兄貴が俺の手首を掴んだ。ちょうど、縛られた痕の真上あたりを。
「お前、おかしいよ。嫌なら、無視すりゃいいじゃねえか!
それとも何だよ、お前、利区に弱味でも・・・」
「違うよ!」
俺は泣きそうになりながら、再度、兄貴の言葉を遮って、手を振り払った。
「だって俺は、俺は・・・・・・」
押し倒されても、ひどく扱われても、俺は・・・・・・
兄貴がひどく傷付いた表情を浮かべたのが見えた。
ふいに、腕を強く引かれた。
視界がぐるりと反転して、俺は仰向けに床に倒れた。
床の硬い感触で、背中が痛い。
天井の電球の光が、まともに眼球を直撃して、眩しい。
俺をその光から守るように、兄貴は俺の上に覆い被さる。
- 19 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:32:08 ID:fWubYZAb
- 「俺は許さない、絶対に」
兄貴の口が、そう動くのが見えた。
兄貴が、俺のエプロンをたくし上げる。かつて、利区兄が俺にしたのと同じように。
利区兄は二階でどうしてるんだろう。下のやり取りを聞いているんだろうか。
やがて、涙で視界がぼやける。
掴まれて、抑えつけられた手首が、相変わらず痛い。
苦しい。もう、好きにすればいい。
混沌とした意識から逃れたくて、目を閉じる。
皆、勝手すぎるよ。
ぽつりと、胸の中で呟いた。
- 20 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 15:34:41 ID:fWubYZAb
-
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 前スレの649さんに影響されたモナ ヘボンでスマソ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 21 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 16:24:20 ID:rCgXxukW
- >12
三兄弟のドラマを純粋な目で見られなくなりそうだよW
- 22 名前:ピ工ーノレ×風沖:2005/11/03(木) 17:35:05 ID:bv0QuYwe
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ピ工ーノレ×沖風、今回で最後モナ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 少し長いですが暇潰しにドゾ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 23 名前:ピ工ーノレ×風沖1:2005/11/03(木) 17:36:29 ID:bv0QuYwe
- 人は死ぬときに走馬灯のように人生の一部始終が頭の中に流れるという。
実際死ぬときにそんな余裕なんてあるかよ?
それが正直な俺の意見だった。
しかし、今、実際に俺の脳内には「いつ見ても波乱万丈、伊達風沖」な人生ダイジェストがクルクル回っているのだった。
自分で言うのも何だが、つまらねぇ芸能人の人生を全国に放送するぐらいなら、俺の人生を垂れ流した方が大分視聴率が上がるかもしれないぐらい波乱万丈で笑えてくる。
俺の外に卵から孵化した空前絶後の美形の化物に父親と慕われ、慕われ過ぎて襲われそうになっている男が、この世界の何処に居るだろう?
おまけにピ工ーノレと敵対する化物にまで襲われたり謎の教団の陰謀に巻き込まれたり、芸能界の裏に巣食った化物と対峙するはめになったりバトル有りトラブル有り、たまに御色気有りの人生。
あ、やっぱり日曜日の朝に放送出来る内容じゃねぇ。
現実逃避に近い回想を打ち切って俺は、自分の状況を顧みた。
ずきずきと体が痛む。
自分の息遣いとか鼓動がドンドン小さくなっていくのが手に取るように分かる。
やべぇ…本当に死ぬかもしれねぇ。
他人事のような現実感に欠ける気分で俺は自分の死を感じていた。
山奥の草原の中、のどかに鳥の鳴き声が聞えるような緑の青空の下、俺は死を迎えようとしているのだった。
殆ど感覚のなくなった左半身、必死に腕を動かしてみようとするものの指先がピクリと動くだけだ。
「人間にしてはお前は十分戦ったほうだろう…?さすが彼が『義父』というだけはある」
ぞっとするような響きの異形の化物の声は平静を装っているが、その中に暗い怒りが篭っているのを俺は感じ取っていた。
俺を襲った化物は致命傷には程遠いが骨の数本は砕けているはずだった。
俺の捨て身の反撃は、しっかり化物に効いたらしい。
そして、俺たち人間を下等生物と見なしている、こいつらにとって、それは恐らく相当の屈辱であったのだろう。
「…カッコ付けやがって、膝が笑ってねぇか?アンタ?」
- 24 名前:ピ工ーノレ×風沖2:2005/11/03(木) 17:37:46 ID:bv0QuYwe
- ざまあみろ、という気持ちを込めて無理矢理口許を吊り上げて笑ってやると化物の態度が一変した。
「人間のくせに、うぬぼれるなよッ、この下等生物がッ…!!」
紳士的な美青年の格好をして紳士的に俺に接触してきた「化物」が余裕のない、そこらへんのチンピラみたいな態度になっていくのを俺は鼻で笑う。
こんな小者が俺を人質にしてピ工ーノレをおびき出そうとしているなんて、あまりにも無理な話で笑えてくる。
それに。
「残念だけどな、ピ工ーノレはこねえぜ?」
奴は実家の「相続問題」とやらの為、実の父親、母親、妹総出で実家に連れ帰られてしまった。
無論、あいつがその気になれば家族を振り払うことは容易いことだっただろう。
だが、あいつは俺の「行ってこないと絶縁だ」という宣言にあっさりと抵抗を止めた。
「絶対帰ってきます」
そう言ってピ工ーノレがこの世界を去って既に1ヶ月が過ぎていた。
ピ工ーノレはもう、帰ってこないだろうなと俺は薄々感じていた。
あのピ工ーノレの両親が一度ピ工ーノレを元の世界に連れ帰ったら、こちら側に来させるとは思わない。
それでいい、もともとピ工ーノレは俺の息子でもなければ、この世界に生きるべき存在でもない。
俺は厄介払いが出来て清々している。
ただコブのなくなった残りの人生がこんなに短かったのだけが悔やまれるが。
まだまだ世間にはいい女がいっぱい俺を待っているというのに、こんな若さで死んじまうなんてな。
「俺をどうしようと、あいつは…帰ってこねぇよ。とんだ読み違いだったな?
インテリそうな顔してるけど、所詮人を喰う野生動物だぜ」
- 25 名前:ピ工ーノレ×風沖3:2005/11/03(木) 17:39:03 ID:bv0QuYwe
- 「そんなはずはない、お前を人質に取れば奴は必ず我々の張った罠に飛び込んでくるはずだ。
へらず口は程ほどにすることだな。お前など、奴が来るまで生きていればいいのだからな。
例えば頭だけ残した状態でも私の力を持ってすれば何日かは生きた状態でいさせられるぞ?」
勿論、その間中、胴体と頭部が切り離された痛みに襲われ続けて人間が正気でいられるとは思えないが、と化物はぞっとするような声で囁いた。
「俺は神経細いから、そんな状態になったら、きっとショックのあまり心臓麻痺で死んじまうと思うぜ?」
あ、頭だけだから心臓ないか?
あくまで軽く応じながら、実は俺はまだ反撃のチャンスを伺っていた。
往生際が悪いと思うが、頭がまだ十分に回転している間は死を感じたとしても、それを受け入れてはいけないだろう?
人間はもっと往生際悪くしぶとく生きようとすべきだと俺は思う。
カッコ悪くてもいい、この世には俺を待っているグラマーでフェロモンたっぷりなネエチャンがまだまだいっぱいいるのだ。
男として彼女たちを哀しませてはならない…!!
それに。
それに、俺は父親としてアイツを窮地に晒す訳にもいかないのだ。
「それだけの口がきけるなら頭だけでも十分だろう?
よく鍛えた男の肉体は歯応えがあるから楽しみだ。ゆっくり噛み千切って味わってやるぞ」
ぐわッと、化物の紳士的な顔が左右に裂けていく。
その隙を俺は逃さなかった。
何とか自由に動く右腕を、奴の大きな口の中にそのまま捻じ込んだ。
勿論、ただ闇雲に捻じ込んだ訳ではない。右手の先に感じる確かな手ごたえ、ビンゴだった。
先程からの戦闘で俺はこの化物の急所をだいたい割り出していたたのだ。
下手をしたら腕を喰い千切られる方法だが、不意を突かれたらしい化物は「ぐげぇ」と蛙が潰れたような情けない声を出し仰け反った。
その様子を見て俺は少し憂さを晴らした。
- 26 名前:ピ工ーノレ×風沖4:2005/11/03(木) 17:40:48 ID:bv0QuYwe
- しかし、化物が苦しんでいるのは束の間だった。
「この人間めぇ…死んだほうがましだと思うぐらいの苦しみを与えてやる…」
本当のところ、その鬼気迫る形相を見た瞬間俺は自分の死を悟ってしまった訳だが、それでも俺は簡単に負けを認めて怯えるのが嫌で減らず口を叩いてやった。
「ちょっと痛い目にあっただけで我慢が足りない子だな?
お前と同類でも、うちの子はもっと御行儀がいいし我慢強いぞ?」
お前がピ工ーノレと張り合おうなんて到底無理な話だぜ?
「おっしゃる通りです」
俺の言葉に答えたのは化物ではなかった。
ピ工ーノレ。
「遅くなりました」
茫然とする俺に一礼してピ工ーノレは化物を冷ややかな目を見据えた。
「父さんに悪意を抱いた者を僕は許さん」
聞いている方が赤面してしまうような恥ずかしい台詞だが、こいつは何時も真剣である。
そして、その後は食事中の人がいたら気分が悪くなるような光景だったので、基、いちいち報告するのも疲れてきたので割愛するが一瞬の出来事だった。
とりあえず、俺はピ工ーノレは同類には容赦ないということだけは再確認した。
後、やっぱり、この化物とピ工ーノレのレベルが段違いだということも。
そして足元で粘液と化した化物には一瞥もくれずピ工ーノレは俺に足早に近寄ってきた。
「お前…、何で…?」
ピ工ーノレの実の両親の口調じゃあ、実家の方は相当混乱しているらしく、到底戻れない状況のはずだ。
「天気の良い日に父さんとキャッチボールをする約束でした」
だから、帰って来ました、とピ工ーノレ。
そして骨の砕け散った左半身に負担がかからないように、そっと俺の体を抱き起こすとピ工ーノレは無言のまま上着を引き裂く。
「ちょッ、お前ッ…」
思わず焦って動く方の手でピ工ーノレを押し返す俺の、その指先をあくまで柔らかく掴んだ。
「早急に手当てが必要です」
- 27 名前:ピ工ーノレ×風沖5:2005/11/03(木) 17:41:45 ID:bv0QuYwe
- 「手当って…ッ…!」
問い返す声は情けなく掠れた。
信じられないことにピ工ーノレの馬鹿息子が俺の首筋を舐め上げたからだ。
その不意打ちな舌の感触に思わずゾワリと体中の産毛が総毛立ったのを押し隠すように俺は身を捩る。
「て、手当ってショック…療法…、か?」
精神的ショックを与えることで体を活性化…?って!!そんな療法はお断りだからなッ!!
「ご冗談を」
ピ工ーノレは俺のツッコミを切り捨てると更に胸元の傷口に舌を這わす。
「う…くッ…」
傷の上だから、痛いはずなのだが不本意にも甘い痺れに体が疼く。
思わず洩れそうになった声を噛み殺し俺はピ工ーノレの舌が這う自分の胸元を凝視した。
すると、なんということでしょう?あの酷い状態の俺の体が匠の手に寄って…、じゃなくて!!
冗談みたいな話だが本当に傷がどんどん塞がっていくのだ。何だこの御都合主義漫画みたいな展開?
驚いて声も出ない状態の俺にピ工ーノレは穏やかに囁いた。
「父さんは傷口は舐めれば治る、とご自分でもよく言っておられるじゃないですか?」
「いや、でも…そんな原始的な方法で…、って!!ちょっと待て!!」
ピ工ーノレの手が下半身を覆うジーンズにかかって俺は慌ててピ工ーノレのおかげで動くようになった手でその手を抑え付けた。
うっかり思い出してしまったのだがピ工ーノレの唾液は強烈媚薬なのである。
道理でさっきから、舐められているだけなのに体が熱くなってくるはずだ。
「そこは、脱がさなくていいぞ?」
そんな凶器で、下半身の際どいところを舐められたら、堪ったもんじゃねぇ!!
しかし、必死の俺の気持ちなど知る由もないピ工ーノレは普段からは考えられない強気さで俺に迫る。
「駄目です。左足の付け根から折れています。出血も酷い」
父さんの傷は全て僕が治します。
真剣な瞳は息子としての義務感に燃えている。
- 28 名前:ピ工ーノレ×風沖6:2005/11/03(木) 17:43:55 ID:bv0QuYwe
- ありがたい。ありがたいと思うべきなんだろうけど。
「親孝行の息子を持って、わしゃあ幸せもんじゃあ〜〜!!」と号泣すべき場面だと思うけども!!
「いや、でも」
「でも、ヒョウタンもありません!!」
多分、「ヘチマ」と言いたかったんだろうな、とかときどき間違えた日本語を覚えた外国人みたいな間違いをするピ工ーノレに心の中で一瞬ツッコミを入れてしまったのが命取りだった。
抵抗する腕の力が抜けた瞬間を逃さずピ工ーノレの馬鹿は俺のビンテージもののジーンズを紙切れみたいに簡単にビリビリと引き裂いてしまったのだ。ちなみにベルトもあっさり、すっぱり切れていた。
人間じゃないから、当然だが人間業じゃねぇ…。
「この馬鹿ッ!!お前は俺をパンツ一丁で家まで帰らす気かッ!!」
思わず動く方の足で蹴りを入れようとして俺はふと、足を止めた。
「お前、怪我してるのか…?」
ピ工ーノレの黒い服は肩口が僅かに裂けている。そこから覗く紅い、線。
「お恥ずかしいことですが少々焦りすぎてミスをしてしまいました」
大した怪我ではありません、それより父さんの傷の方が重大です、とピ工ーノレは柔らかく微笑む。
俺が知る限りピ工ーノレは史上最強の生物だ。
人類は、どんな力を持ってしてもこいつを滅ぼすことは出来ないだろう。多分、生身の体で戦闘機ぐらい破壊するだろうしピ工ーノレと「同類」であろう奴らも遠くピ工ーノレの力には及ばない。
そのピ工ーノレが傷を負っている。それはきっと俺を助けにくる為に無理をしたせいだろう。
こいつは何故か俺の為だけに、こうやって体を張るのだ。
俺はピ工ーノレに何一つ与えてやっていないというのに。
「お前、本当にどうしようもない馬鹿息子だな…」
俺は力なく呟いて、そっとピ工ーノレの傷口に舌を伸ばした。
そしてピ工ーノレが俺にしているように、その傷口を舐め上げる。
勿論、最初から分かっていたことだが俺が舐めただけではピ工ーノレが俺を治療するように傷口が塞がる訳もない。
「父さん…?」
驚いたような目を俺を見つめるピ工ーノレに俺は笑ってみせた。
「ははは、やっぱ治らねぇな」
- 29 名前:ピ工ーノレ×風沖7:2005/11/03(木) 17:45:06 ID:bv0QuYwe
- 俺も、お前を治せたら良かったんだけどな。
俺はこれまでピ工ーノレの種族と比べて力がなくて脆弱な存在の人間であることに引け目を感じたことはなかった。
「父親」の価値はそんなものでは図れないと信じていた。
だが、俺がこいつと「同じ」なら、こいつに迷惑をかけることもなく怪我をさせることもなかったのだと思うと、どうしようもなく情けない気分になってくる。
せめて傷くらい治せてやったら良かったのに。
そんな俺を暫く見つめた後、ピ工ーノレはゆっくり首を振った。
「いいえ、治りました」
見るとピ工ーノレの肩口の傷がどんどん塞がっていく。
自力で治しているのだろうが健気な息子に俺は苦笑した。
「お前…、俺にそんな力ある訳ねえだろうが?つーか、自分で治せるなら、さっさと治しとけよ」
「いいえ、僕を癒せるのは父さんだけです」
嬉しそうに微笑むピ工ーノレを見て俺は本当に自分でもどうかしていると思うが、とんでもないことを口にしていた。
「なぁ…、ピ工ーノレ。いっちょ、やってみるか?」
「やる、とは?」
って、そこははっきり言わなくても分かるようにならねぇと女に逃げられるぞ?馬鹿息子。
俺は苦笑しながら腕をピ工ーノレの首に回し、その綺麗な顔を覗き込んだ。
「セックス…、『性交』をだよ」
ピ工ーノレの望み、それは俺に「見ていて欲しい」という子供みたいな純粋な望みだったことを思い出す。
まぁ、純粋とは言え「僕の腕の中で僕を」見ていて欲しい、なのでヤルことはしっかりヤル訳だが。
…そんな簡単な望みなら、かなえてやってもいいんじゃねぇか?
どうしてか、そう思ってしまったのだ。
- 30 名前:ピ工ーノレ×風沖8:2005/11/03(木) 17:46:26 ID:bv0QuYwe
- ピ工ーノレは俺の言葉に俺の顔を穴が開くほど見つめた後、口を開いた。
「人間は…追い詰められ死を間際に感じると、投槍になる傾向がある生物です。
大丈夫です、僕が保障します。父さんは死にません」
だから、気を確かに持ってくださいと真剣に言われて俺は大きく顔を顰めた。
「この阿呆ッ!!この俺が、そうそうあっさり死ぬ訳ねぇだろ?ンなことは自分でもよく分かってっつーんだよ!
お前…、『据え膳喰わねば男の恥』っていう全世界共通の男のマナーを知らねえのかよ?」
呆れたような俺の口調にピ工ーノレは真面目に応じた。
「こういう大切なことは、その場の乗りで決めることではありません。
それに、僕は、この瞬間だけ父さんを自分のものにしたい訳でもないのです。
もし、今父さんを抱けば父さんは正気に戻った後で僕から逃げていくかもしれません」
正直、俺は意外な気分だった。
「父さん、父さん」と人の迷惑も省みず俺に付きまとう馬鹿息子が内心、そんな事を考えていたなんて。
だけど、だけど…心配する方向が見当違い過ぎるぞ?馬鹿息子。
俺が大きく溜息を付いてピ工ーノレを睨み上げた。
「俺が自分で決めたことに後からネチネチ文句を付けるようなケチ臭い男に見えるのか?」
「いえ、父さんは誰よりも器の広いお方です」
分かってんじゃねえの。
多少気分が良くなって俺はニヤリと笑った。
「分かったら安心して来いよ?お前のチンコが八つ股だろうと牙付だろうとビビりゃしねぇし、逃げたりしねぇよ」
本当は出来れば、細くて短い方が痛くなくていいなぁ〜、と思ったが父としてと言うよりは男として、そんな過酷な条件は押し付ける訳にはいかない。
「途中で止めることは出来ません」
そう言ったピ工ーノレの目の奥に紅い欲望の光を見て俺は少しだけ後悔したが、それも受け入れるしかないだろう。
それでもいいと思っちまったんだからな。
「気にするな、俺は子育ては放任主義でやるって決めてるんだ」
- 31 名前:ピ工ーノレ×風沖9:2005/11/03(木) 17:48:26 ID:bv0QuYwe
- お前の思い通りにやれ、存分に。ニヤリと笑った俺を見てピ工ーノレは決心したようだった。
「分かりました」
あくまで丁寧に、礼儀正しい口調を崩さず、ほんの少し乱暴にピ工ーノレは俺に口付けてきた。
ゆっくり口を開き舌を受け入れて俺は目を細め、腕を伸ばしてピ工ーノレの頭を抱き寄せる。
まさか、この俺が男に抱かれる日が来るとも思わなかったが人生は色々ある。なんせ波乱万丈だからな。
どっちにしろ日曜日の朝には放送出来ない内容だが。
等と余計な事を考えているのを阻むように不意にピ工ーノレの指先が脇腹に滑った。
「うっわ!!おま、え…何、してんだよ…」
ただ単に脇腹を撫でられたのとは訳が違う快感に俺は思わずピ工ーノレの肩に爪を立ててピ工ーノレを睨みつける。
「何と言われましても…、父さんが気持ちいいほうが良いかと思いまして父さんの性感帯を正確になぞってみました」
1ミリもずらさずに、とピ工ーノレ。
クラクラと眩暈がした。頼むから人間の到達出来ないレベルの技を使ってくるのはやめてくれ。
「そういうのは止めろ」
こんなこと続けられたら、あの一撫でで俺は達してしまうに違いない。
そんな早漏みたいな恥ずかしいのはごめんだぞ!!
それに。
「感じすぎて、ぶっ飛んじまったらもったいねぇだろう?」
「……?」
不思議そうな顔のピ工ーノレに俺は小さく笑いかけた。
「息子が立派に羽ばたく瞬間を見逃したくねぇんだよ…」
父親として息子が大人になる瞬間はしっかり見たいじゃないか?なぁ?
見上げるピ工ーノレの後ろには青い、雲ひとつ無い空が広がっていた。
初めてが青姦とは、我が息子ながらワイルドな奴め、と心の中で突っ込みを入れてから、俺はピ工ーノレが俺を助けに来たときに言った言葉を思い出していた。
「なぁ、ピ工ーノレ…。後からキャッチボールでもしようぜ」
その言葉を聞いた瞬間、雄の目をしていたピ工ーノレは「息子」の目で俺を見つめ返した。
「はい」
嬉しそうな返事を聞きながら俺は目を閉じた。
青い青い空の下、息子とキャッチボールするのは、きっと楽しいに違いない。
- 32 名前:ピ工ーノレ×風沖9:2005/11/03(木) 17:51:28 ID:bv0QuYwe
- _____父にキャッチボールをする体力が残っていればいいが。_______
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| | | | ∧_∧ イママデオツキアイドモデシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 33 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 18:51:10 ID:S4pwAtXS
- なんと!これで最後なのですか姐さん!<ピ工ーノレ
いい話でした!GJ!
- 34 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 20:45:15 ID:X02o+OIz
- ウヒョー待望の続編キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
最後なのは残念ですが、お腹イパーイです。有難う!!
素敵だよお父さん…。
- 35 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 21:07:44 ID:U19Y6fSA
- >>22
原作読もうと思います!GJ!!
- 36 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 23:01:29 ID:LEYqK5cu
- >>12
亀スマソ
激しくGJ!末っ子…セツナス(つД`)
可哀想可哀想と思いつつもちゃっかり萌えてしまいました。
>>12さんと前スレ>>649さんの作品で末っ子受に完全に開眼orz
- 37 名前:風と木の名無しさん:2005/11/03(木) 23:38:32 ID:VOrutEgp
- GJ&いままでお疲れ様でした!
……杞憂なのですが、お父さんは果たして本当にその日のうちに息子と
チャッチボールをできるような余裕が残されているのでしょうか。
キニナル…
- 38 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 00:40:15 ID:AKCUiVoB
- パパン男前だよパパン。
最後だなんて残念ですが、今までとても楽しませてもらいました。
ありがとうありがとう。
まさかキャッチボールにこんなに萌える日が来るなんて。
- 39 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 01:34:24 ID:PLbxUEE1
- 丁寧でわんこで敬語攻に飄々としたパパ受…最高でした。匠ワロスw
本屋行かなきゃ…
- 40 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 03:50:14 ID:Lz42+Zi0
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| テベス三兄弟ドラマネタ。 やまなしおちなしいみなし。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 遊園地デートの前夜らしいよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ チラ裏ダカラ読み飛ばし可ッテサ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 41 名前:順兵は見た。 4-1:2005/11/04(金) 03:51:02 ID:Lz42+Zi0
- 夜中に、トイレにたったときにその声は聞こえた。
すすり泣く声といったほうが良いんだろうか、何かを必死に押し殺したような、
そんな声。
二階に部屋を持つのは、自分と上の兄二人だけであり、そこは母である晴枝も
入ってこれない特別な世界だ。
自分のすぐ隣の部屋である理九の部屋はわずかに空いていたが、明かりがもれ
ている様子はない。
足音を立てないように気をつけて、辰兄の部屋へと近づいた。
今夜は同窓会に出席した兄は、どうやら二年越しの未練を木っ端微塵に砕かれ
たらしく泥酔して帰ってきていた。
玄関で倒れこんでたから、理九兄と一緒にやっとのことで部屋に運び入れた。
その部屋から、物音は聞こえてくる。
酔いがさめて起きたのなら、のどが渇いているかもしれない。
声をかけてみようかとそっとわずかにあいたドアに近づいたとき、不意に届いた声。
「・・・・・・いい加減、泣きやめよ」
- 42 名前:順兵は見た。 4-2:2005/11/04(金) 03:51:32 ID:Lz42+Zi0
- この声は、辰兄のものじゃない。
今しがた通り過ぎたばかりの部屋で眠っているはずの次兄のものだ。
「だってさ・・・オレ、ホントに好きだったんだ」
ブラインドの隙間からわずかに漏れる、薄明かりの中に兄二人はいた。
部屋の主である辰兄はベッドに寝ており、ジャージ姿の次兄はその枕元に腰か
け兄の顔を覗き込んでいる。
理九兄の顔は普段よくけんかをしている辰兄を見るとは思えない、穏やかな表情。
「ああ。よく知ってるよ」
「・・・・・だって、オレだって連絡取りたいって思ってたんだ」
涙がまた出てきたのか、目をごしごしと擦る辰兄。
困ったようにその手を阻んで、枕元にあったティッシュを手渡す。
「あんまり擦るなよ、跡が残んぞ」
「・・・・・・うん」
理九兄は辰兄の髪に、そっと触れた。
それは理九兄が付き合っている彼女によくしてる見慣れた仕草だったけれど、
理九兄がするとホントにサマになる。
観ているこっちがどきどきする。
ほんと理九兄ってイイ男。
そんな理九兄を見上げる辰兄は、わずかに笑っているように見えた。
その部屋には普段の親父然とした辰兄はどこにもいない。
一家の大黒柱のような兄ではなく、ゆらゆらと頼りなく
ゆれる柳の枝のように、不安定なものに見えた。
酒のせいか、理九兄の言葉に素直にうなずいている。
普段なら、一階の居間じゃ絶対に見られない辰兄だった。
「なぁ、理九」
「・・・ん?」
「・・・・・・オレ、どうしたらよかったのかな」
- 43 名前:順兵は見た。 4-3:2005/11/04(金) 03:53:02 ID:Lz42+Zi0
- ポツリとつぶやいた言葉に、理九兄の髪を触れる手が止まる。
「なぁ、理九・・・オレ、ホントに好きだったんだよ・・・」
ホロリ、と目じりから雫がこぼれるのを確かに見た。
思わず、その映画のワンシーンのような光景に息を呑んだ。
しばらく、理九兄は何も言わなかったし動かなかった。
そのうち辰兄は眠ってしまったらしく規則正しい小さな寝息が聞こえてきた。
理九兄が涙の跡を静かに辿る。
目を閉じ眠る辰兄に口付けた。
それは何かの儀式みたいで、確かに目の前にいるのは理九兄なのに、誰か違う
人に見えたんだ。
「・・・・・・オヤスミ、兄貴」
でも優しいその声は、確かに理九兄のものだった。
立ち上がる気配がして、ドアから離れようとしたけれど、間に合わない。
結局理九兄の部屋の前を歩いているあたりで見つかってしまう。
目が合った理九兄は、ちょっと驚いたみたいだったけど、おきてたのか、とな
んでもなかったように声をかけてきた。
「うん、ちょっとノドかわいちゃって」
でももう寝るよ、オヤスミ。そう足早に部屋へ戻ろうとすると、後ろから小さ
な声で呼び止められた。
- 44 名前:順兵は見た。 4-4:2005/11/04(金) 03:53:43 ID:Lz42+Zi0
- 「・・・・・・このことは、誰にも言うなよ。勿論兄貴にも」
「・・・・・・どうして?」
兄貴は明日になったら何も覚えちゃいないんだ。
ふっと自嘲気味に笑う理九兄はさっき辰兄にキスしてた優しい表情のままで、
なぜか胸が苦しくなった。
「いわないよ。オレ、よく寝ぼけて変な夢見るんだ」
そういうと理九兄は、小さく笑ってサンキュと頭をなでて部屋へ戻っていった。
触れられた手は大きくて、いつもの理九兄とちょっと違う人に見えたけどやっ
ぱりそれはオレの兄貴だった。
明日の朝には、きっと何もかも元に戻ってる。
理九兄はいつものモテ男に戻ってて、辰兄は失恋したけどまた親父くさいサラ
リーマンに戻ってるはず。
そう思うことにして、突き当たりにある部屋のドアを振り返った。
先ほどとは違ってきっちり閉められたドアの向こうには、我が家の長男が眠っ
ている。
明日になれば、いつものようにあそこへ起こしに行くのだ。
「オヤスミ、辰兄。」
- 45 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 03:57:14 ID:Lz42+Zi0
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 正直スマンカッタ
| | | | ピッ (T∀T )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
このドラマ、投下する姐さんが多いのわかるよ・・・
狙いすぎだよ・・・それでも萌えたんだヨ・・・
- 46 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 07:23:05 ID:2w8cJzat
- >40
姐さん乙!
切ない次男の片思い話dクス!!
- 47 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 07:57:17 ID:LLQh0CrV
- >40
GJGJGJ!!朝からとんでもない萌えを見た!
萌えすぎて今日1日まともに仕事できるだろうか、心配ですよ(;´Д`)ハァハァ
- 48 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 08:06:11 ID:zH0p11pZ
- >>40
姐さん乙です。
あああ、純愛次男にテラモエス
(*´Д`*)ハァハァ
ついつい投下されてないか、ちょくちょく見にきてしまう自分がきもい…orz
自分も投下したいが、自サイトもあるし携帯からなので、読みにくいかもと尻込みしてしまうよ…
チキンな漏れでごめんよ…
。・゚・(ノД`)・゚・。
- 49 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 10:16:28 ID:dwCF5URS
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| やっと観たよ 卑弥ロ乎の家モナ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 卑弥ロ乎とハノレ彦の話。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 50 名前:1/5:2005/11/04(金) 10:17:22 ID:dwCF5URS
- 腕に刺さるチューブ。
ただでさえ、最近痩せてきたのに、
その腕に繋がっている点滴は、すごく寂しくて切ない。
この人に最後に抱きしめられたのはいつだったろう。
「ねえ、卑弥ロ乎」
点滴のせいか、卑弥ロ乎はぐっすり眠っていた。
かすかに寝息が聞こえるだけで、全く動かない。
このまま起きなかったら。
そんなこと考えるなんて最悪だ。
でも、すぐにでもそうなりそうな気がして。
- 51 名前:2/5:2005/11/04(金) 10:18:24 ID:dwCF5URS
- 「今日はすごく天気がいいよ。空も綺麗だし。風も気持ちいい」
起きそうな気配は特にない。
気持ちよさそうな、逆に無表情のような。
「ルビーがね、孫から手紙貰ったんだって」
何だかわからないけど、卑弥ロ乎の寝顔を見てるうちに、涙が出そうになった。
- 52 名前:3/5:2005/11/04(金) 10:18:55 ID:dwCF5URS
- 「ねえ、卑弥ロ乎、」
そっと頬をなでる。
俺より何十と年上なのに、すべすべしてきれいな肌だった。
「俺ばっか喋ってんの、つまんない」
それでも動かない卑弥ロ乎。
そして喋り続ける俺。
冷たい風が部屋を通り抜けた。
- 53 名前:4/5:2005/11/04(金) 10:19:26 ID:dwCF5URS
- 思い切って頬に触れると、懐かしくやさしい温かさ。
冷たい俺の手にはとても気持ちがいい。
何回か頬をなで、そのまま指で唇をなぞった。
懐かしい感覚。少しぞくっとした。
ゆっくりと顔を近づけ、上唇を舐める。
そして、触れるようにキスをした。
「…卑弥ロ乎、ちょっと下行ってくる」
ゆっくり立ち上がろうとして、急に腕を握る温かさを感じた。
- 54 名前:5/5:2005/11/04(金) 10:26:38 ID:dwCF5URS
- 「…卑弥ロ乎」
「…もう少し、いてちょうだい」
やせ細った指にはあまり力がはいっていない。
でも、すごく綺麗な指は、
あの日、俺の頬に、唇に触れていた時と変わっていなかった。
「なに、卑弥ロ乎」
枕元に顔を近づけると、卑弥ロ乎はゆっくり俺の頬に触れていった。
「さっきしてくれたこと、もう一度してほしいの」
かすかに頬が赤い気がした。
「卑弥ロ乎、」
唇に触れている間、あたたかい卑弥ロ乎の肌が
体じゅうに染みわたるような気がした。
- 55 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 10:28:17 ID:dwCF5URS
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 地元、公開遅すぎる
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 56 名前:1/6:2005/11/04(金) 14:28:52 ID:Hyh7upQK
- 兄弟ドラマ妄想の次男×長男ネタ
暗めなので苦手な人はスルーよろ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 57 名前:2/6:2005/11/04(金) 14:29:29 ID:Hyh7upQK
- 食卓には見覚えのあるすき焼き鍋、パックに入ったままの肉、
ザルに盛られた野菜、それらを囲うように並べられた茶碗と箸と、
「あれ、春江たちは?」
利区だけだった。
居間で胡座をかき、テーブルを指差しながら、利区。
「買物。晩飯をすき焼きにしたのはいいけど、いざ準備したら玉子ないのに気づいてさ。
やっぱあれないとダメじゃん」
「なにやってんだか…じゃあ、帰ってくるまで夕飯はお預けか」
「結構かかると思うけど。あの二人の買物は。」
悪態代わりにため息をつき、達弥はどっかと腰を下ろす。
背広を椅子の背にかけ、ネクタイを緩めシャツのボタンを外す。
煮えていない鍋とはどうしてかくもひとを物悲しい気持ちにさせるのか。
「なあ、兄貴」
読んでいた雑誌をたたみ、利区が立ち上がる。
台所に行き冷蔵庫を開ける。缶ビールを取り出し、プルタブを引いてから達弥に手渡し、
「この前の話なんだけどさ」
「この前の、どの話?」
「兄貴が無神経にふった女の話だよ」
口をつけたビールが、一気にまずくなった気がした。
- 58 名前:3/6:2005/11/04(金) 14:30:07 ID:Hyh7upQK
- ビール缶をテーブルに置き、露骨に嫌そうな顔で達弥は利区を見上げる。
「…またその話か。しつこいんだよお前も春江も。」
「なあ、マジで付き合う気ねーの?今フリーなんだし、試しに遊んでみるとかすればいいじゃん」
「あのな。出来るわけないだろ、そんなこと。」
「なんで?」
「なんでって、」
「他に好きな奴でもいんの?」
それこそ、なんの前触れもなく。
笑いたくなるほど真剣な眼をした利区が、無表情に達弥を見下ろしていた。
椅子の背に手を置き、身体を引き寄せるようにして達弥の顔を覗き込む。
「そんなに元カノのことが忘れらんねーの?」
「それは…」
「別れてからも一途に想って?兄貴らしいよな。
いつまでも未練がましく引きずっちゃってさ、他の奴なんて眼中にないってか。
だから誰とも付き合わないって?」
唇の端を引き、挑発めいた口調で利区が言う。
達弥は目をそらす。
沈黙を繋ぐようにビールを飲み、誤魔化すようにテーブルに缶を叩き付けた。
「…お前とは違うんだよ、俺は」
- 59 名前:4/6:2005/11/04(金) 14:31:28 ID:Hyh7upQK
- 短い沈黙、の後、
達弥を見下ろしたまま、利区は「へえ」と低く笑った。
浅黒く焼けた手に力が篭る。
片手をテーブルにつき、達弥の行く手を遮るように覆い被さる。
戸惑った顔で達弥が何か言うより先に、
「なあ兄貴。前から気になってたんだけどさ、誰とも付き合う気ないってことは、
ずっとしてないんだろ?そういうのってどうしてんの?
やっぱ一人で抜いてばっかなわけ?」
椅子の背に置かれた手が、達弥の肩へ、肩から胸に、腰へと伸び、
「利区、」
「今でも元カノをネタにしたりしてる?はっきり言ってキモイよそういうの。
俺だったら引いちゃうね。女々しいんだよ兄貴は慢性的欲求不満で溜まってんなら
俺に言えよ弟なんだからそれぐらいしてやるって可哀相で見てらん」
鈍い音が響き、
椅子が倒れると同時に、利区も床に転がった。
拳を握り呼吸を荒くして達弥が立ち尽くす。
衝撃で缶が転がり、中の液体がテーブルから床へ滴り落ちる。
殴られた拍子に切れた唇の血を拭い、利区は小ばかにするように達弥を見上げた。
- 60 名前:5/6:2005/11/04(金) 14:32:04 ID:Hyh7upQK
- 「――なんだよ。本当のこと言われて頭にきたか?」
「利区、お前…!」
「ずっと一人の人間想ってんのが、そんなに偉ぇのかよ!!」
身体を起こした勢いでそのまま達弥に飛び掛る。
胸倉をつかまれ、よろめきついでに達弥が冷蔵庫に背中をぶつける。
骨に響くような痛みに、完全に頭に血が登る。
負けじと利区に掴みかかった。
「本気で誰かを好きになったことのないお前に、俺の気持ちなんてわかんねーよ!」
「ああわかんないね!わかりたくもねえ!
好きなら連絡取って言やいいだろ、やり直そうって!
自分の気持ち伝えることもできねえくせに、説教してんじゃねえよ!」
「ちょ、あ、あんたたち何やってんの!」
揉み合っていた所為で、玄関の音に気がつかなかった。
いつのまにか帰宅した春江と順平が、慌ててふたりの間に割ってはいる。
互いに引き剥がされたものの、興奮冷め遣らぬ達弥の目は未だ怒りを燻らせ、
顔を伏せながら利区は舌打ちする。
ふと視線を落とせば、床に零れたビールを順平が雑巾で拭っていた。
こんなときでも冷静な弟を少し尊敬する。
「まったくあんたたちは〜。そんなことばっかりしてると、肉抜きよ、肉抜き!」
買物袋を振り回しながら呆れたように春江が言うが、ふたりの耳には届いていない。
ただ、うつむいた顔からもう一度だけ利区は達弥を盗み見、
やがて、何かを堪えるかのように唇を噛んだ。
- 61 名前:6/6:2005/11/04(金) 14:32:42 ID:Hyh7upQK
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 62 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 15:33:30 ID:zH0p11pZ
- >>56
姐さん、乙です。GJ!!
続きが気になる…!
- 63 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 15:40:50 ID:2w8cJzat
- >56
GJ!!
乙です姐さん!感謝至極!!
次男×長男テラモエスww
- 64 名前:風と木の名無しさん:2005/11/04(金) 22:20:50 ID:qv7eNiMH
- >56
姐さんGJ!
で、続きはあるんですよね?(*´Д`)ハァハァ
- 65 名前:風と木の名無しさん:2005/11/05(土) 00:56:52 ID:MqakRxpx
- >>49
GJ…!切なく優しくイトシス・・・。
- 66 名前:風と木の名無しさん:2005/11/05(土) 09:56:22 ID:3Y0KKFt7
- 兄弟ドラマ、これだけ供給があるんなら
別にまとめてもいいんじゃないか
- 67 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 04:50:56 ID:+YK/Sztu
- どうせ1シーズンで終るから無駄だよ
- 68 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 14:00:33 ID:JFz6JZjh
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 映/画公開中の「アヴナイデ力」からモナ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| エロくはないけど、アホな大人の色気を目指したらしいよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 成功?失敗?ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 69 名前:1/5:2005/11/06(日) 14:01:59 ID:JFz6JZjh
- 「フフッ…その愛の言葉、信じていいのかしら。…多寡山さん?…永遠を誓える?」
目の前のワイン色をした唇が、艶然と笑いながら囁く。
控えめに流れるジャズに埋没するようなその問い掛け。理解がほんの少し遅れた。致命的なミスだった。
『勿論さ』そう言うはずだった多寡山の口元は、瞬く間に白けたらしい女性の視線に晒される。
「ごちそうさま」
女性は、バーのスツールを下りてさっさと立ち去ってしまった。彼女が残したものは、飲みさしのシャンディ・ガフ(当然のよ
うに支払いは多寡山らしい)と、「誓う」という言葉の意味。
「…夕力。…らしくないじゃない」
女性と入れ違うようにカウンター脇に現れた相棒の姿に、多寡山は眉を上げた表情だけで不首尾を認めた。ダークスーツの内ポ
ケットから取り出した煙草に、マッチで火を点ける。そこから紫煙が立ち昇るころには、先ほどまで多寡山好みの“イイ女”が
座っていた席には、多寡山に負けず劣らずの“イイ男”…多寡山の相棒である多下が腰を下ろしていた。
「どこから見てたんだ?」
「…どこって…夕力、それ、タイミングの話?場所の話?」
「両方」
「あぁ、彼女が立ち去る少し前から…あの場所で」
店の入り口には、厚みの少ない水槽が置かれており、内部をシャンパンゴールドの気泡が立ち昇っている。それが、入店し立て
の客が店内へ向ける視線を遮っていて、客たちは他者の視線を気にせず酒を楽しめるようになっているのだ。その水槽の影を指
差して、多下が首を竦める。『夕力のデートなんて見るつもりはなかった。偶然なんだ』そう言っているらしい。
- 70 名前:2/5:2005/11/06(日) 14:02:57 ID:JFz6JZjh
- 「ユーヅ、一人なのか?」
「…夕力、見れば分かるでしょ。そういう台詞は、女性か指名手配犯相手に語った方がいいんじゃない?」
「そうだな。愚問だった」
「今日はたまたま。たまたま一人なの。…ドライベルモット」
多下がカウンター内へ酒をオーダーするのを横目に、多寡山は煙草をくゆらせ、しかしその火をすぐに消した。多下は何かを考
えるような多寡山の表情に何か尋ねるでもなく、じきにバーテンダーから出された小ぶりなグラスを手にした。
「誓えるか、とね。そう言われた」
多寡山の台詞には何の前触れもなかったが、女性が立ち去った理由を語り出したのだということはすぐに知れた。
「誓い?」
「あぁ、永遠を誓えるか、と来た」
「女性には大事だよそういうの」
「知ってるさ」
「夕力のことだから、こう…『モチロンさ』って答えたんでしょ?」
幾分声を低めて多寡山の物まねをすると、多下は多寡山に笑いを含んだ視線を向けたが、相棒が頷かないのを見て、目を瞠る。
「あれ?夕力、そう言わなかった?」
「…言おうとはした」
「言わなかったんだ」
「言う前に、彼女が立ち去ったんだ」
「何、夕力らしくない」
「…」
そうだな、と言うように多寡山は苦い表情で頷き、手にしたままのタンカレーのグラスを煽った。僅かに残った氷がカランと音
を立てる。
- 71 名前:3/5:2005/11/06(日) 14:03:50 ID:JFz6JZjh
- 「なんとなく、ピンと来ないんだ」
多寡山の声は、哀愁のブルースジャズに輪郭を溶け込ませるほど渋く低い。多下は先を促すように、多寡山へ視線をチラリと流
す。
「永遠を誓う、というのがピンと来ない。誓うという行為に何の意味があるんだ?」
「世界中の花嫁さんには聞かせられない台詞だね。病メル時モ健ヤカナル時モ…」
「どうせ俺は牧師や神父にはなれないだろう」
「火薬の匂いがする神父サンってのは、褒められたもんじゃないね」
「それならユーヅだって」
「俺は…ほら、信仰心のカタマリみたいなもんだから」
「どの口がそんなこと言うんだ」
「この口」
アヒルのような口をしてみせて笑う多下に、多寡山も思わず笑みを返す。軽く考えていいことかもしれない。「永遠を誓う」こ
とに疑問を感じているとしても、そのことが多寡山の男の価値を下げるとは到底思えやしない。
多下は笑みの名残を目元に留まらせたまま、声のテンションを落とす。
「大体、俺たちの“永遠”なんて誓えるほど確固たるものじゃあないんだから」
「…そうだな」
- 72 名前:4/5:2005/11/06(日) 14:04:26 ID:JFz6JZjh
- いつも危険なことばかり繰り返す二人にとって、ショー夕イムのようなその時間も自分たちの命との対価でしかなく、他者との安寧はそれを購うことは出来ない。それを分かっていればこそ、安易に誓うなんてことが出来ないのであって。
「俺たちに出来ることは、八マに巣食うダニを掃除することぐらいさ」
「それで君の日々が安らかに実りあるものになるのなら、それが俺から君への愛の証だ」
「うん、夕力らしいイイ口説き文句じゃない」
「あぁ」
そうかな、と多寡山も多下も笑い、頷き。
そして全く思いがけないタイミングで多下の携帯が鳴った。
「はい多下。…なんだトオノレ。情けねぇ声出してんじゃねェよ。まだ仕事してたのか、まったくトロい動物め!…ハァ?…分かった」
電話を切った多下が、多寡山を見てニヤリと笑う。
「ついさっき、明日、大きなヤクの取引があるってタレコミがあったってさ」
「…大きなダニか?」
「あぁ、久しぶりに…木黄シ兵から追い出し甲斐のある大きなダニだ」
「まぁ…」
グラスを揺らす。もう氷はすっかり溶けていて、滑らかにグラスの底を揺れるタンカレーを多寡山は一息に煽った。
「ユーヅと俺がいれば、八マの平和は約束されたも同然だろう」
「そだね。それこそ俺らと八マは一心同体、みたいな」
「じゃ、ハマのこの先の平和のために乾杯」
多寡山は空のグラスを持ち上げて、多下のベルモットのグラスにカチンと軽い音をさせてぶつける。戯れの乾杯に二人は大いに笑った。
そんな言動のひとつひとつが、二人の永遠を誓うものとほぼ同意だということに、彼らが気付く様子は無かった。
- 73 名前:5/5:2005/11/06(日) 14:04:59 ID:JFz6JZjh
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 50になってもカコイイおじさんたちに萌えたんだ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 74 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 15:28:19 ID:holSgEnu
- 68姐さんGJGJGJ!
試写会見て萌えてたとこに爆弾投下されて再萌したよW
ウマーでした!
- 75 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 16:51:15 ID:6mefcGqT
- >>68
- 76 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 16:54:07 ID:6mefcGqT
- >>68
ネ申!!
脳内映像でばっちり再生できちゃってもう大変。
- 77 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 20:17:07 ID:SH2Rx/zS
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ドラマ「野ブ夕。をプロデュース」パロだってさ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 78 名前:明×秀二 1:2005/11/06(日) 20:20:50 ID:SH2Rx/zS
- 秋晴れの空は抜けるような青で、俺の目の前に広がっていた。
冷たい手すりから指を離すと、俺はさっきから黙りこくったまま(まぁいつものことなんだけど)の野ブ夕の風に揺れた黒髪をみつめた。
腕時計をチラと確認する。…次の授業が始まるまであと5分。そろそろ戻って、この休み時間中に教室で起こった出来事を把握しておきたい。
誰が、話題の中心で、何の話で盛り上がったのか。…気にしだすと止まらない。
常にみんなの人気者の秀二君を演じるには、それなりの準備が必要なのだ。
「…で。話って何だよ」
俺を呼び出した割には、いつまでも口を開こうとしない野ブ夕に焦れたように俺の口調は少しトゲトゲしくなった。野ブ夕は少し肩を強ばらせてから、ようやくゆっくりと俺に視線を向けた。
「………草里予くんが……」
ボソボソと小さい声に俺は必死に耳を澄ます。
「草里予が?」
「……ずっと休んでます……」
「ああ。風邪だろ?……なんとかは風邪ひかないって、あれ…嘘だな」
確かに、三日前から草里予は学校に姿をみせていない。いつもベッタリと煩いアイツがいないせいで、この屋上の風景もなんだかボヤっとしてみえる。
「……お見舞い。……行かなくていいんですか……」
野ブ夕の声に、俺は驚いて顔をあげた。
「お見舞い?なんで?!俺が?……なんで…」
「と、友達。だから。……し、心配、だから」
「友達?俺が…?草里予の?」
- 79 名前:明×秀二 2:2005/11/06(日) 20:22:15 ID:SH2Rx/zS
- 俺は大袈裟に自分を指差してみせた。
確かに俺たちは成りゆきでこの目の前の野ブ夕を人気者にしてやるというプロジェクトを一緒に進めている。だけど、だからといってあんな不思議君と友達になったつもりは……。
「草里予くんは…たぶん、霧谷くんが病気になったら、お見舞いに行くと思う……」
野ブ夕は力強い声で言うと、真直ぐな瞳で俺をみつめた。俺はこの視線に、弱い。
何かを確信しているような、自分の核を持っているようなこの瞳。
俺は仕方なく肩を竦めてみせた。
「わかったよ…。行けばいいんだろ、行けば」
そう言った俺に向かって野ブ夕はホッとしたように頬を緩めた。コイツをいつも覆っている暗いオーラが少し和らぐ。……いつもこんな顔をしていたらいいのに。
「お前も行くんだろ?」
俺が当然のように聞くと野ブ夕はブンブンと首を振った。
「今日は、霧谷くん。…明日は私が行く……」
「なんだよ。面倒クセェじゃん。なんでわけるの?」
「いいから……」
その時、チャイムの音聞こえた。やべえ!戻らないと。
「古谷!走るぞ!」
「ちゃんと、行って下さいね。お見舞い。約束……」
「わかったよ、約束する!」
俺は言うと、野ブ夕の背中を押すようにして走りだした。
- 80 名前:明×秀二 3:2005/11/06(日) 20:23:31 ID:SH2Rx/zS
- 放課後。果たして、俺はヤツの居候する豆腐屋の前にいた。
ったく…何で俺が……。貴重な放課後の時間を割いてまで…。そんなことをブツブツ呟いていたら、店の奥からこの店の主人である平谷間さんに声をかけられた。
「おっ!秀二くんじゃないか?どうしたの?……まさか、お見舞いに来てくれたのか?」
その、まさか。ですけど。
俺が何も言えずに戸惑っていると、平谷間さんは強引に俺の腕をひっぱり店の中に案内した。
「良かったなぁ…。明のヤツも喜ぶよ。熱がなかなか下がらなくてウンウン言ってんだ。二階で寝てるから、顔みせてやってくれ」
「はあ……」
「持つべきものは友達だねぇ。さ、さ。あがってあがって…」
そう言って俺の背中をバンと叩くと、平谷間のオッサンは店にきたお客のほうに行ってしまった。俺は小さくため息をこぼすと、階段を一歩一歩上っていった。
ヤツの部屋の前に立ち、コンコンをそのドアをノックする。ま。一応は礼儀だしな。
その音に、ドアの向こう側から、ヤツのくぐもった声がした。
「誰?」
いつも違う、そっけない声に俺は少し驚きながら、返事をする。
「オレ。……霧谷、だけど」
「嘘。嘘ピョン……まじで?」
いつもの草里予の声が聞こえて。俺はゆっくりとドアを開けた。
「邪魔するぜ」
草里予は大きなマスクをして布団にちんまりと横になっていた。熱があるヤツ特有のトロンとした眼をしていた。俺はヤツの布団の側に近付くと、横に胡座をかいて座った。
「秀二くんじゃん……。何しに来たの?」
「見舞い以外の用事があるか?この状況で」
俺の素早い切り替えしに、草里予は大袈裟に天を仰ぐフリをした。たぶん38度をゆうに超してるんだろうな、と思わせる頬の色。
「大丈夫かよ?熱、下がらないんだって?」
「んーんー。そうなのです。……ワシはいつまでたっても熱い男じゃけん」
そう言うと草里予はいつものように小さく笑った。そしてゼエゼエと苦しそうな息をした。
- 81 名前:明×秀二 4:2005/11/06(日) 20:24:56 ID:SH2Rx/zS
- 「医者には行ったのかよ?」
「……」
「行ってないのか?」
「お医者さんは嫌いなんですもの」
俺はため息をついた。市販の薬だけでも飲んでいることを願うばかりだ。この摩訶不思議な男は、自力で風邪を治すと言い出しかねないからだ。しかし。
「ちゃんと真面目に治癒に専念しろよ…。お前が学校に顔をださないから、古谷が寂しそうだぞ…」
「ふうん…」
俺の声に、草里予は短く返事をする。そして、それきり黙ってしまった。
早くも気まずい沈黙が流れた。だから友情ごっこはニガテなんだ……。大体コイツって何を考えてるか、さっぱりわかんねえし…。
俺は立ち上がるキッカケを探して、キョロキョロと部屋を見回した。
「そろそろ…」と俺が立ち上がろうとした時、布団のなかの草里予が、思い出したように喋り始めた。
「野ブ夕ちゃん。寂しそうだったのデスカ…」
「ああ…」
「秀二くんも、寂しくって泣きそうだったのデスカ?」
「はあ?!」
調子にのったヤツの声に、俺は上ずったような声をあげた。
「な、な、なんでオレが!?んなワケねぇーだろ!」
「あ。焦ってる焦ってる。余計怪しいっつうの」
「おい、いい加減に……!」
「ありがと」
さっきまで笑っていたのに、草里予は急に真面目な顔になって俺に向かって頷いた。
俺は完全に虚を突かれたように、二の句がつげなくなりニワトリみたいに口をパクパクさせて、ヤツを見つめかえした。そんな俺の顔を指差すとヤツはいつものようにヒャハハと笑った。完全にからかわれている。
「てめえ……!」
俺は頭から湯気をあげながら立ち上がろうとした。全く不愉快なヤツ!
すると、草里予は熱があるなんて真っ赤な嘘みたいな素早い動きで布団から起き上がると、俺の手首を掴んだ。あまりの力に俺は慌てたような声をあげる。
「なんだよ!……離せ…」
そう言いかけて、唇に当たるあったかい感触に俺の脳みそは完全に停止した。ブチュッっとなにかあったかくて…いや、熱くて、柔らかいものが、俺の唇を塞いでいる…。
それがヤツの唇だと気付いたのは、既に草里予の舌が俺の唇を割って入り込んだ後だった。
- 82 名前:明×秀二 5:2005/11/06(日) 20:26:33 ID:SH2Rx/zS
- 「んぅ……!」
な、何する…。言いかけようとしても、ヤツの熱い舌に邪魔されて言葉に出来ない。いつのまにか俺はヤツに組み敷かれる形で床に倒れ込んでいた。俺は今、コイツに何をされてるんだ?!まさか、キス……!?冗談だろ?俺のファーストキスだぞ!
俺は思いっきり足を暴れさせ、抵抗を試みたが、病人であるヤツはビクともしない。コイツ、どんだけ力があるんだよ…と呆れながらも悔しさに目に涙が滲んだ。
あきらかに慣れている。ヤツの舌に俺は為すすべもなく悶え…まるで背中から腰に電流が流れたみたいに俺の身体はフニャフニャになってしまった。
「……アッ」
とうとう漏れてしまった俺の喘ぎ声みたいな気色の悪い高い息を聞くと、ヤツは満足したようにやっと俺の唇を解放した。そして俺の頬を両手で挟むとニッコリと笑った。
「かーわいい、秀二くん。ホッペタが真っ赤でござる」
「このヤロオ…」
俺は俺を見下ろす草里予の顔を殴ってやろうと、腕に力を込めたが、熱っぽい身体はまるで言うことを聞いてくれなかった。
「ヘンタイ!何しやがるんだよ…!」
「何って?王子様からお姫さまへのキスだっちゃ」
「頭おかしいんじゃねえの!?」
俺は怒りで目の前が真っ白になる気がした。コイツ…やっぱりおかしい!
「秀二くんがいつまでも怒ってるから、機嫌を直してもらおうと思っただけじゃーん。なんにもおかしく無いナリ」
「それがおかしいって……ああ!もう!話になんねえ!!」
俺は頭を掻きむしると、ヨロヨロと立ち上がった。何故か腰のあたりがジンジンと熱くて、目眩がしそうだった。
「あれ、もう帰っちゃうの?」
「こんなとこ一分もいられるかよ!」
「あれ、もしかして、秀二くん。まだ怒ってる?」
「当たり前だろ!?お前、自分が何をしたか……!」
「だあって、治癒に専念しろってアナタが言ったから……」
突然言い出したヤツの言い分に俺は目をパチクリとさせた。そんな俺を見ると草里予はもう一度繰りかえした。
- 83 名前:明×秀二 6:2005/11/06(日) 20:27:07 ID:SH2Rx/zS
- 「僕が学校こないから野ブ夕ちゃん、寂しがってるんでショ?ほんでーはやく風邪を治さんといかんのでしょー?」
「…それが…」
「マウス・トゥー・マウス。僕ってば人に伝染さないと風邪、治らないタイプなんです!」
そう言うとヤツは何故か偉そうに、胸を張った。っておい、まさか……。
「だから今、キミとボクがチュウしたっしょ?っつーことで、僕の風邪、明日には治ってると思われます」
「お、おまえ…俺に風邪をうつすために、キス、したって……言うのかよ……」
俺は余りのショックで声を震わせながら呟いた。
「イエスアイドゥー!正解!………ヒャハハ!!」
ヤツは無邪気に笑って俺を指差すと、思い出したようにコンコンと咳をした。
「アレ?まさか……秀二くん、初めてのチュウ?」
コイツ……コイツ……この野郎……よくも……!
その時完全に、俺の頭の中から、草里予は病人なんだって概念は消えていた。
バコッ!
俺は草里予の頭を思いきりはたくと、ヤツの部屋を後にした。「いたあーい」というヤツのふざけた声を聞きながら。
あの野郎、あの野郎…!
俺はいまだヤツの感触が消えない唇を手の甲で擦ると、家路を急いだ。認めたく無いけど腰の奥がモヤモヤしていて、明らかにヤツのキスに感じてしまった自分を心のなかで罵った。
しっかりしろ!霧谷秀二!しっかりしろったら……。
玄関に到着した頃、俺は立て続けに二度、派手なくしゃみを連発した。背筋をゾゾと悪寒が走った。
まさか…まさかだろ!?
翌朝、まんまと草里予の作戦は成功した。つまり、俺が大風邪をひいたってこと。
午後、満面の笑顔のヤツが野ブ夕を連れて見舞いにやってきた。
「ほーら、アンタの見たかった古谷のスマイルだっちゃ」
草里予はそう言うと、ヒャハハとなんとも健康そうに笑った。そんなヤツを見て、野ブ夕は不思議そうにポカンとしている。
俺は怒りに燃えながら草里予のヤツにまた風邪を伝染し返してやろうと考えた。しかし、すぐに却下だ。
俺はもう二度とこんなヤツとキスをするのはゴメンだからだ。
- 84 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 20:29:19 ID:SH2Rx/zS
-
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ イキオイデカイテシマッタケドハゲシクハズカシイヨ!!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 85 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 22:20:07 ID:FIiM7OUW
- >>77
GJ
蛇は射程外だと思ってたけど萌えたよ…
- 86 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 23:34:34 ID:iayMrr1X
- >>67,77
GJ!!!
>>69にも>>77にも禿萌えた。射程範囲広すぎorz
- 87 名前:86:2005/11/06(日) 23:41:54 ID:iayMrr1X
- ごめん>>68でした。カコイイ、カコ良スギル...
- 88 名前:風と木の名無しさん:2005/11/06(日) 23:44:35 ID:+XbobbZl
- >>68
姐さんGJ!すげー嬉しい…
「今の」ふたりで脳内再生できました。こんなふたり観てぇ…
- 89 名前:風と木の名無しさん:2005/11/07(月) 00:08:27 ID:5jetIdba
- >>77
GJ!GJ!!
不思議攻め禿モエス!!
- 90 名前:風と木の名無しさん:2005/11/07(月) 00:22:03 ID:9iiouigU
- >>77
寝る前にいーもん見た!GJ!
これで今週も仕事頑張れるよ。
- 91 名前:風と木の名無しさん:2005/11/07(月) 01:04:26 ID:G9vkdGbL
- >>77
GJ!萌えた!
同じく寝る前にいいものをありがとう!
- 92 名前:風と木の名無しさん:2005/11/07(月) 03:04:33 ID:zrtcRVMT
- >>77
ごちでした!
音声カンペキにドラマのキャストで脳内再生です!
- 93 名前:風と木の名無しさん:2005/11/07(月) 20:46:51 ID:Gf0F9Dt6
- >>68
遅レスですが、今丁度萌えたぎっているときに更なる萌えをありがとう!
- 94 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 19:18:05 ID:+g5bftIE
- 根雨路の早乙女社長×吾代
コミックスで発覚したあだ名にうっかり萌えた結果です
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 95 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 19:21:35 ID:+g5bftIE
- 社長「お前ガキの頃「仔猫ちゃん」って呼ばれてたんだってなぁ?(ニヤニヤ)」
吾代「ギャァア!!!何情報だオィ!!!(動揺/後ずさり)」
社長「プッ…何ムキになってんだァ?いいじゃねぇか、仔猫ちゃん。チッチッチッ(指をちょいちょい動かす)」
吾代「馬鹿にしてんじゃねぇぞコラ(イライラ)」
社長「ほらほらニャンコ〜(どこからか猫じゃらしを出しフリフリ)」
吾代「…馬鹿ですかあんた…(脱力/ため息)」
社長「それとも何だ、腹減ったのか?ほれ、食うか?(鼠取りにかかった鼠を取り出す)」
吾代「ゲッ!投げんなよ!?(構え)っつうかそんなもん食うかボケ!!」
社長「あぁそうか、仔猫だからまだ鼠は食べれないのか…(ふむ…と考え込む)」
吾代「あ゛ぁ!?(睨み)つうか今そのあだ名じゃねぇし」
社長「(聞いてない)じゃあミルクでも飲むか?絞りたての。(ニヤニヤ)」
吾代「聞けやコラ。あんたとうとう頭イカレちまったか?
…つうか絞りたてなんて用意できるモンならしてみやがれボケ」
社長「…言ったな?(押し倒し)」
吾代「ぎゃっ!?やめryぐゎ!なにsるんだgy」
────暗転。
- 96 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 19:24:25 ID:+g5bftIE
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
まじで自己満だし字書きじゃないからもうなんといったらいいか…
お目汚し&書き逃げスマソor2
- 97 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 20:37:24 ID:bYhTcecN
- 猫かわいいよぬこw
GJ!
- 98 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:01:22 ID:Bs1LO6DM
- >>94
(動揺/後退り)とか(ニヤニヤ)とか読み辛いです。
成人なさってますか?
- 99 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:10:52 ID:TLNDonVd
- ト書きというかナリチャ形式というか、とにかく自分は気にならなかったけどなぁ。
>>94萌えたよ。
- 100 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:23:43 ID:erQPcReA
- >>94
自分もそんなに気にならなかったよ。GJ。仔ねこたんかわいいよ。
それに字書きじゃないんでしょ?人それぞれだよ。
- 101 名前:94:2005/11/08(火) 21:27:32 ID:+g5bftIE
- 申し訳ない…実年齢はとっくに成人迎えてるんだがorz
人間萌だけじゃいけないってことがあるということを悟ったよ…orz
レスくれた人ありがd。もうちょっと勉強してくるよノシ
- 102 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:39:11 ID:1nATKtSb
- >>98
>1読める?
- 103 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:47:43 ID:bYhTcecN
-
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY. | |
| | | | ∧_∧ ∧_∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )
| | | | ◇⊂ )( ) ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _) _|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 104 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:48:28 ID:bYhTcecN
-
∧∧ ∧∧
(,, ゚Д) ミД゚,,ミ
( ) (ミ ミ)
〜| | ミ ミ
し`J し'`J
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
人が恋をするのに理由などいるのだろうか
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
- 105 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:48:54 ID:bYhTcecN
-
_
|\ / /
| \_/ :::|
| :::/
| 〈〕 :::|
ヽ :::/
> <
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
多分いらないだろう、それは
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
|\ / |
| \_/: |
)::::: l
く::: 〈〕 |
ヽ::: /
> <
- 106 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:49:32 ID:bYhTcecN
-
∧∧∧
(,, ミ ,,ミ
( とミ ミ
〜| ミ ミ
し`し'`J
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
その感情でさえ、神が作ったものなのだから
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
- 107 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:50:09 ID:bYhTcecN
-
____________
| __________ |
| | | |
| | □STOP ..... | |
| | | | ∧∧_∧
| | | | ( ( )
| | | | ( と ) ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―└┐ __) _|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 108 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 21:54:37 ID:/47uHh/s
- >107
このやろーGJ!
イチャこいてないでちゃんと終わらせろwww
- 109 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 22:32:03 ID:NgcxAe6q
- うわー久しぶりのAAで嬉しいわGJ!
- 110 名前:風と木の名無しさん:2005/11/08(火) 23:58:30 ID:Zp52Oc3m
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| テロ朝系ドラマ「愛某」2ndシーズン18話から
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ネタバレ&死にネタ注意
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 111 名前:1:2005/11/08(火) 23:59:26 ID:Zp52Oc3m
- 逢瀬は大抵夜半過ぎだった。
仕事を終えて、いつもの部屋で。しかしあの日は何かが違っていたと、今更のように思い出す。
日頃、臆病ともとれるほど優しかった港はまるで人が変わったように激しく求めてきたかと思うと、
長いこときつくしがみついたまま物思いに沈んでいるようだった。何かあったのだろうと漠然と考えたが、
敢えて問い質すようなことはしなかった。聞くのは怖いような気がした。彼はおもむろに口を開いてこう言った。
「晴樹さん、俺ね…あなたの為に死んでもいいと、そう思ってるんですよ。」
他愛も無い睦言と受け流した言葉を思い返し、暗澹とした気分で首を振る。
もう少し注意を払っていれば、あの穏やかな口調の中に、思い詰めたような響きを聞き分けることが出来たかも知れない。
彼が死んだのはそれから二日後のことだ。
- 112 名前:2:2005/11/09(水) 00:00:32 ID:n1zV/ziJ
- 港徹郎が監察官室へ異動して来た四年前の春を今でも覚えている。
まだ三十にも届かない怖いもの知らずの若造、そんな第一印象だった。
警務部きっての変わり者と評判の“ピノレイーター”に公私を問わず話し掛けてくるおかしな男。
はじめの頃、覗き込むような明け透けな視線がどうしても好きになれなかった。
時が経つにつれ、自分でもそれと意識しないほど少しずつ、印象は変わっていった。
一見、気弱とも思える柔らかな外見の下にハッとするような怜悧さを備えていた。
仕事は出来る。機転が利き何事も如才無くこなすが、何処かしらひとの不安を掻き立てるようなところがあった。
若さ故か世間を等身大に捉えきれていない観があり、どうにも危なっかしくて目が離せないのだ。
とは言え数少ない優秀な部下であることに変わりはなく、人あしらいが得意なこともあって、
何かと言いつけては傍に置くようになっていた。
気持ちを打ち明けられ、押し切られるようにして関係を持ったのは二年目の夏も終わりの頃だった。
相手は同性の既婚者、それも直属の部下だ。かなり際どい綱渡りをしていることは承知していた。
それでも離れられなかったのは何故かと聞かれれば、やはり惚れていたのだと言う他ない。
腹心の部下は、多少優柔不断な点を除けば恋人としても申し分無かった。
眉を下げて困ったように笑う仕草を、よく覚えている。
- 113 名前:3:2005/11/09(水) 00:01:24 ID:n1zV/ziJ
- 本庁から車で十五分ほどの所に建つセレモニーホールが葬儀の会場だった。
以前にも所用で訪れた場所なので迷うこともない。
通用口で警備員に素性を告げ、案内の申し出を丁重に断りつつ足を踏み入れる。
とても静かだ。無人の廊下に硬い靴音が響き渡り、他に一切音の無いことを殊更に強調している。
同じ作りのドアをひとつふたつと数えるうちに、何時しか式場の前まで来ていた。
深夜の式場をぼんやりと照らし出す常夜灯の光に、菊の花が白く浮かび上がっている。
祭壇の前に設えた低い台の上に、柩は安置されていた。
敷き詰められた花の中、港は眠るように横たわっている。頚動脈を斜めによぎる鋭利な傷跡。
血の気の失せた白い顔はしかし驚くほど穏やかだった。覚悟の自殺、そんな言葉が脳裏をかすめた。
押し当てた刃のぬめりを首筋に感じたような錯覚を覚え、思わず立ち尽くす。
仲村梨花を殺したのは港の妻、港はそれを心中に偽装する為に自殺を図った。
そう事の顛末を書き残し、港京子もまた自ら命を絶った。
それで結局、何が分かったというのか。
京子の言うことにおよそ間違いは無いのだろう。
しかし、港が何故このような手段を選んだのか、今となっては確かめる術も無い。
切り裂かれた動脈から血が流れ出し、やがて死に至るまでの短い時間、彼は何を思っただろう。
- 114 名前:4:2005/11/09(水) 00:02:35 ID:n1zV/ziJ
- 「奥様は勘違いで殺人を犯した。仲村梨花さんは心を弄ばれたうえに、奪われる必要の無い命を奪われた」
淡々と、時折言葉の端に感情を滲ませながら、椙下は語った。
仲村梨花はおそらく妻の目を欺く偽装の”愛人”だったのだろうと。
二人の死はまったく浮かばれないではないか、とも。
女二人の人生をエゴの犠牲にした罪を、己の命で贖おうとしたのか。
それとも、自分との秘密を墓の下まで持っていくつもりだったのか。或いは、その両方だったかも知れない。
いずれにせよ、死んだ人間のことは分からない。
問い掛けは永久にその行き先を失い、残された者は昇華されることの無い痛みと共に生きていく。
今はっきりと分かっているのは、港と関係を持ったことが、彼自身を含め、三人もの命が失われる事態の発端となったということだけだ。
不倫の代価と呼ぶにはあまりに多くを犠牲にし過ぎた。それでも…
「…港」
呟いたはずの声は喉の奥に絡まり、押し殺した嗚咽のような音を立てた。
唯の一度も口にしたことは無かったが、何かあったときには必ず守ってやろうと思っていた。
しかし彼は手の届かぬところで死を選び、残された喪失感の大きさに、今は呆然と立ち尽くすことしか出来ずにいる。
右手に触れた頬の冷たさを忘れることはないだろう。
遺体特有の蝋のような滑らかさが麻痺していた現実感を呼び起こし、彼は本当に死んだのだと再三繰り返す。
千々に乱れる感情を置き去りに、頭の方は救いようのない現実を逃れ彼の居ない未来を描こうとしたが、
そこには荒涼とした出来損ないの世界が広がるばかりだった。匂いも色も、光すら無い。
まるで、世界の果てのようだ。まとまりを失い上手く働かない頭で、とりとめも無くそんなことを思った。
- 115 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 00:03:20 ID:n1zV/ziJ
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 再放送で見て衝撃を受けました
| | | | ピッ (・∀・ ) リアルタイムで見たかったよ…
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 116 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 00:06:45 ID:vKZXXAni
- >>94
萌えをありがとう!!!(;´д`)ハァハァ
- 117 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 00:23:58 ID:CBbLS8ZB
- >94
ひさしぶりにヘボン
- 118 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 00:27:25 ID:zWEz/z2V
- >110
ううーわわーありがとう!
ちょうど補完してほしかったところがバッチリ…!
細やかな心情描写に涙が。
良質の萌えをありがとう!
- 119 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 03:12:06 ID:93I3sXtl
- >>110
最近知ったので虹は諦めていたのに!
泣けたし萌えたしすげぇよあなた。・゚・(ノД`)
激しくGJ!
- 120 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 11:32:47 ID:wr1eL9uo
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「四津羽戸!」でかい人×父ちゃんモナ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 3巻の花火大会の後と言う事で。。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 初投稿ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 121 名前:花火大会の夜 6/1:2005/11/09(水) 11:33:39 ID:wr1eL9uo
- 花火大会終了後、深夜の小祝家の一室で。
あの後、子供達を家に送り届け(三浦は江名の家に泊まるというので
二人とも彩瀬家で下ろした)、帰りの車の中でもう熟睡していた四津羽を
寝室に寝かせた後、そのまま大人二人は飲みに突入していた。
「うぅ〜浅葱さぁ〜ん」
居間にあつらえたちゃぶ台の上にビールの空き缶を林立させ、
浴衣姿のままジャン簿は目当ての女性が来なかった事を嘆き続けている。
「しつこいなー」
と言って小祝はプシュッ、と軽快な音を立て缶ビールの蓋を開けた。
そのまま缶からビールを喉に流し込んでいると、恨めしそうなジト目でこちらを
睨むジャン簿が視界の端に入る。
「…何だよ」
「べっつにー」
「子供か」
「お前にゃ俺の気持ちはわかんねーよ。昨日は俺、すげー期待してたんだぜ!?
この浴衣だって下ろしたてだっつーの!お前とお子様にしか見られなかった
俺の浴衣姿が可哀想だろーが!」
「そのお子様をダシに使った罰だろ。自分で誘ってりゃ良かったのに」
小祝に痛い所を衝かれ、ジャン簿はうっと黙り込む。
やがてばつが悪そうに喋り出した。
「…前にも言っただろ。恥ずかしいんだよ」
その顔が赤く染まっているのは、酒のせいばかりではあるまい。
小祝は、飲み干して空になった缶をちゃぶ台に置いた。すこん、とどこか間抜けな音がした。
- 122 名前:花火大会の夜 6/2:2005/11/09(水) 11:34:27 ID:wr1eL9uo
- 少し意地悪な気分になっていたのは、酒のせい…だった、と言う事にしてしまおう。
「ったく、図体は並外れてでかい癖に、こういう事となると小心者だよなお前は」
「何だとコノヤロー!」
「おわっ!?」
言うが早いか、ジャン簿が体全体でのし掛かってきた。
予想外に素早い反撃に受け身が取れないまま、小祝は床に押し付けられる。
以前もジャン簿のボディプレスで気絶した事があり、かなりの衝撃を覚悟したが
今回はそれ程の重圧感はない。よく見ると、自分の上に乗っているジャン簿が
床に肘をついており、衝撃を軽減させたらしいと見て取れた。
それでもしたたかに打ち付けた背中は痛く、上半身を起こそうと肘をついた所
肩を掴んでもう一度押し倒される。
「お前なぁ…、…っ」
文句を言おうとした口を、ジャン簿の荒々しい口付けで塞がれた。
そのまま口腔内を舌で乱暴に探られる。お互いひどく酒臭かった。
一通り貪った後、やっとジャン簿が口を離す。
荒い呼吸もそのままに、小祝の肩口にジャン簿の顔が埋められ両の腕で抱きすくめられる。
「…友達だったら、こう言う時は慰めてくれよ」
「…」
こんな事をする友達はおらん、と言おうと思ったがふと小祝はその言葉を飲み込んだ。
反論をしようにも、自分たちの関係はまさに「こんな事もする友達」としか
呼びようが無い物だったからだ。
小祝は返事をする代わりに全身の力を抜いた。目を閉じ、代わりに鋭敏になった聴覚に、
ジャン簿が眼鏡を外して床に置くこつん、と言う音がやけに大きく響いた。
- 123 名前:花火大会の夜 6/3:2005/11/09(水) 11:35:05 ID:wr1eL9uo
- 初めて体の関係を持ったのは、学生時代だった。
どちらが先に誘ったのかもう覚えていない。多分、今日みたいに酒の席でぐだぐだなまま
雪崩れ込んだのだろうと思う。
不思議な事に行為そのものには嫌悪感は感じず、その後も折に触れ体を重ねる事はあったが、
だからと言って自分たちの関係がその時から「変化」したとは全く思えなかった。
それは多分ジャン簿も同じ事だろう。「恋人」かと問われれば(問われた事など無いが)
お互い即座に否定するだろうし、実際お互いに彼女が出来た時も全くの無干渉だった。
現状のままなら100%成就はしない気もするが、もしもジャン簿と浅葱の仲が上手く
いったなら、小祝は友人として心から祝福するだろう。
逆に考えれば、ベタベタした恋愛感情が無い分関係が長続きしてきたとも言える。
(…こーゆーのも、腐れ縁っつーのかな)
ジャン簿の肩越しに天井を見上げながら、小祝はぼんやりと考えた。
- 124 名前:花火大会の夜 6/4:2005/11/09(水) 11:36:38 ID:wr1eL9uo
- 小祝がしばらく遠方で暮らしていた為に、体を重ねるのは本当に久しぶりになる。
が、ブランクなど感じる間もない程に、お互いの情欲に火が付くのは早かった。
「…ぅ…っ」
「どうした?…声、出せよ」
弱点の耳を攻められ、必死に漏れ出そうになる声を抑える小祝にジャン簿が囁く。
「…!」
今言葉を紡ごうとしても、それはすべて嬌声となって溢れるだけだ。
小祝は自分の片手で口を押さえ、もう片方の手で寝室の方角を指し示す。
四津羽が起きてくる気配はないが、万が一自分の嬌声を聞かれでもしたら大変だ。
「あぁ、そっか」
ジャン簿も事情を理解したようだった。
「そうだなー…じゃ、ちょっと我慢してろよ」
そう言うと、自分の太い指を唾液で濡らし小祝の狭隘な後腔に挿入させ、じっくりとほぐし始める。
「……ん…くっ…」
小祝はせり上がってくるゾクゾクとした感覚に唇を噛みしめて耐えた。
やがて、指では物足りないと思う程にそこが慣れた頃、起こされて後ろを向かされた。
足を投げ出して座るジャン簿の太股の上を跨がされ、
後ろ向きに床に膝をついて正座するように座らされる。
小祝の背中に触れるジャン簿の腹部が、ひどく熱く感じる。
そのあだ名に恥じない立派な剛直が、密着した腰の合間で強く存在を主張していた。
- 125 名前:花火大会の夜 6/5:2005/11/09(水) 11:37:38 ID:wr1eL9uo
- 小祝は上気した顔を後ろに向けようとしたが、それより先に前に回り込んだ
ジャン簿の大きな手の平で自分の口を塞がれた。
「息できるか?」
咄嗟にはジャン簿の意図が判断できず、とりあえず頷いて見せた。
「俺が口塞いでてやるから、自分のペースで動いてみろ」
「…わかった」
ようやく意図が飲み込めた小祝は小声で返事をする。
確かに、ジャン簿の肉厚な手に阻まれて声はくぐもり、音量はかなり絞られる。
小祝は手を後ろに回し軽く腰を上げ、ジャン簿自身を自分の秘所に導き入れる。
ゆっくりと腰を落とし全てを自分の中に収めた小祝は、思わず熱いため息を吐いた。
そのまま腰を上下させ、少しずつ自分自身を高めていく。
「…ぁ…ぅっ」
腰と共に小祝の肩口が揺れ、長めの後ろ髪がぱらぱらと踊る。
その合間から見える白いうなじと、塞いだ手にかかる熱いため息に
ジャン簿はついに我慢が出来なくなった。
「…すまん」
「え?…っあ!」
ジャン簿が下から勢いをつけて腰を動かし、小祝の中を激しく突き上げはじめ、
床に着けていたもう一方の手で、既に痛い程勃っていた小祝自身を弄り出す。
しかし律儀に口は塞いだままなので、小祝が揺さぶられるままに上げる声は
手の中にこもり、二人以外の耳には届かないまま熱だけを残し消えていく。
「ん、う、ん、くっ、ぁうっ…」
「……くっ…!」
「っあ…!」
小祝は自分の中でジャン簿の荒々しい脈動を感じながら、激しい絶頂感に身体を震わせた。
- 126 名前:花火大会の夜 6/6:2005/11/09(水) 11:38:25 ID:wr1eL9uo
- 事後のうたた寝から小祝が目覚めると、ジャン簿はいなくなっていた。
電気が付けっぱなしだったので、置き時計からすぐに今が午前四時前だと判断できた。
トイレにでも行ったのかと、半分寝ぼけた頭で辺りを見渡すとちゃぶ台の上に何やら
紙が置いてあるのが目に入る。
「帰る。明日また来る。」
チラシの裏に書かれた、簡素極まりないジャン簿の書き置きを無造作にちゃぶ台に戻し、
しばらく小祝は座ったままぼーっとしていた。
(あいつ、車だろ。ちゃんと酒は抜けたのか?)
ふと、妙に下半身がスースーするのを感じ、下方に視線を向ける。
「あ」
下着を着けていなかった。
慌てて下着を履き、床に転がっていた行為の後始末をしたティッシュをごみ箱に捨てる。
朝になって四津羽が起き出してきても、不自然で無いようにしなければならない。
片付けを終えると立ち上がって電気を消し、そのまままた床に寝転がる。
暗闇の中で目を閉じると、夜に見た花火の輝きが脳裏に蘇る。
…自分たちの関係は、どこか花火に似ているとふと思った。
その場で昇りつめては燃え尽きるだけ。後には何も残らない。
−刹那的であるからこそ、色褪せない鮮烈さには敢えて気付かない振りをして、
小祝は気怠い脱力感に導かれ深い眠りに落ちていった。
- 127 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 11:39:58 ID:wr1eL9uo
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 過去捏造スマソ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 128 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 14:59:39 ID:NeS95Fk0
- >>127
GJGJ!この作品で…目から鱗だ。テラモエス。もう原作を純粋な目で読めなさそうです。
- 129 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 15:17:30 ID:+yD9PXj6
- >>120
大好きカプキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
ありがとう萌えました!GJ!!
- 130 名前:風と木の名無しさん:2005/11/09(水) 22:37:00 ID:keermW5W
- >127
フォー!醤簿×父キター!GJ!捏造過去モウマンタイですよ!
萌えますた。
- 131 名前:風と木の名無しさん:2005/11/10(木) 00:15:26 ID:SmLx9Y2K
- >>120
G J !!!
禿げ萌えした…ありがとうありがとう
- 132 名前:風と木の名無しさん:2005/11/10(木) 01:14:40 ID:T0d3Hbf8
- >>127
GJ!ごちそうさまでした
- 133 名前:風と木の名無しさん:2005/11/10(木) 23:33:50 ID:cQyF4YWY
- >>127
GJ!!
現在進行形の萌えカプですよ!!ありがとう!!
- 134 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 00:12:29 ID:WnlIFV05
- >>127
我が最萌えカプキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
激萌えでしたーーーーごちそうさまです!!
- 135 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 03:05:44 ID:XOLGOL2I
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 遅ればせ罪街の黒幕様×ぬこらしいよ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 変なオリキャラもいるらしい。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ フーン
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
間違えて前スレに誤爆してしまった・・。気を取り直してここへ。
- 136 名前:1:2005/11/11(金) 03:07:35 ID:XOLGOL2I
- 夜の無意味な静寂に飽きてきたグレッグは言った。
「よお、知ってるか、スティーヴ?」
「何をだよ。」
スティーヴは答えた。あくびをしながら。
「あのケヴィソって奴のツラさ。」
「ああ、ロアーク卿のお気に入り野郎か?別に会う機会もねぇし、不気味だからそんなん見たくもねぇよ。」
「確かに不気味だよな、やつはよ。」
「ああ、あのバカでかい眼鏡しか、俺は見たこたァねェよ。」
「おい、そんな事言って、口アーク卿様のご機嫌損ねて死んでもしらねぇぞ?」
「お前が始めたんじゃねぇか。」
二人は周りを見回した。二人にとって「敵」となるものは感じられなかった。
「誰もいねぇよ。話したって別にかまやしねぇ。」
「何か言いたそうだな、グレッグ?」
「まぁな。」
「で、どうしたんだよ。」
「こないだ、運転手のポールじいさんが、飲みすぎて事故って死んじまったのは知ってるだろ。」
「聞いてるよ。」
「んでよ。新しい奴を雇うまでの4日間、俺が運転手の代わりをしたんだよ。」
「口アーク卿のか?」
「当たり前じゃねえか、スティーヴ。」
「俺たちゃぁ、傭兵としてこの農場を警護するために雇われてるんだぜ。」
「たまたま俺がポール爺さんの死んだ次の日に、屋敷の中の担当だったのよ。お前は門の方だったろ。」
「そうだったか。」
「そんで、口アーク卿が『次の運転手が見つかるまで、お前が運転しなさい。確か免許はあったな?』って、声を
かけてきたんだよ。」
「そりゃ珍しい。」
「ああ、珍しい。」
- 137 名前:2:2005/11/11(金) 03:09:24 ID:XOLGOL2I
- 「それでなんだ、グレッグ。」
「んで、言われるとおりに運転してたんだけどよ。運転手生活最後の4日目に、あの眼鏡野郎に会ったのさ。」
「会った?」
「ああ。あんな口アーク卿の優しい声は聞いたことがねぇぜ。」
「優しかったのか?」
「まるで惚れた女にでも喋りかけるみたいだったぜ。車の中から、外のベンチで聖書か何かを読んでるあの眼鏡野郎に
言ったんだぜ、「ケヴィソ、来なさい。」ってよ。」
「お前、運転するときのあの鉄則、忘れたのか?」
「ああ?」
「運転手は、振り向いて後ろの座席にいる口アーク卿の顔を見ちゃ行けねぇって鉄則よ。例えそれがバックしてる
時でもな。」
「忘れちゃいねぇよ。」
「なら、まぁいいけどよ。お前が優しい優しい言うから、顔を見たのかと思ったぜ。」
「声の色だけでわからぁな、スティーヴ。驚くほど優しい声だったぜ。」
「ケッ、やっぱ噂どおり、口アーク卿とあの眼鏡野郎、デキてやがったか?」
「そこまではわかんねぇけどな。だけどまぁ、お前の言うこともあながち間違ってねぇか。」
「なんだ、そりゃ?」
「見ちまったのよ。」
「何をだ?口アーク卿の顔をか?」
「いや、あの眼鏡野郎のをさ。・・たまたま、ミラー越しに見えちまったんだよ。」
「ほう?」
「マジに誰も周りにいやしないだろうな・・。いや、それがあのケヴィソって野郎よ・・。なんつうか・・。」
「何だよ、誰もいやしねェから言ってみろって。」
「ほんとになんつうかよ・・。一瞬ドキッとしちまったんだよ。眼鏡の奥から見える、あの目・・。
忘れられねぇんだよ。艶があったって言うか・・。」
「なんだ、お前男専門だったのか?」
「そんなワケねぇだろ。昨日もオールドタウンで女を二人も買ってきたとこだぜ。ヒィヒィ言わせてやったよ。」
「運転手稼業で臨時支給でも出たのかよ?」
「バレたか、ヘヘッ。」
その背後に、眠る猟犬の背を撫でながら、二つの光るレンズが話を聞いていたことに、二人は気づかない。
周りは草むらであるにも関わらず音もなく立ち上がったその男は、静かに屋敷の中へと消えていった。
- 138 名前:3:2005/11/11(金) 03:10:46 ID:XOLGOL2I
- 「ちと寒いが、我慢してくれ。」
居間に馴染みの客を通すかのように、口アークは言った。
グレッグには、その声には耳を通過する程度にしか聞こえていなかった。
地下室に置かれた、粗末なベッド。
いやに白いそのシーツの上に、全裸のケヴィソが身をよじるようにして横たわっていたからだ。
「好きにしていい。」
ケヴィソの代理であるかというように、口アークは言った。
しかしその言葉は必要なかった。既に興奮した傭兵は、敵に襲い掛かるような勢いでその小さな
獣を組み敷いていた。
ケヴィソは声を上げなかった。
は、ともあ、ともつかないような吐息を、突き上げるたびに漏らしていた。
グレッグの脳にはその吐息が甘美な麻薬のようで、どうにかしてその作用を得ようと夢中で腰を突き刺していた。
時折、暗闇の中で色づく胸の二つの蕾を噛んでやれば、「んぅ」と違う音を奏でる。
どんなに犯しても大きな声を上げることのない反応がもどかしく、荒々しく口を塞ぐこともあった。
呼吸のために唇を離すときの唾液の糸が、尚更傭兵を狩猟に駆り立てる。
「ああ、イイぜ、ケヴィソ、おうっ・・」
「っ、ぅ・・」
息を漏らすときの僅かな表情の変化が、いや表情そのものが、グレッグを狂わせた。
そこに口アークがいることも忘れて。
- 139 名前:4:2005/11/11(金) 03:12:05 ID:XOLGOL2I
- はぁ、う、ううっ」
「ぐっ」
傭兵の身の動きが一瞬止まり、荒い息でケヴィソの体の上に倒れこんだ。
はぁはぁと、二人共呼吸を整えた後、ふとグレッグはケヴィソを見た。
そこには柔らかな笑顔。ケヴィソが普段その顔に湛えている表情であった。
グレッグは、その笑顔にずくん、と身体の奥から沸き立つものを感じた。
(こいつは俺を拒んでない!俺とのセックスの後にこんな笑っているのが証拠だ。この身体の味を知ってしまったら・・!)
(しかし、口アーク卿はどう思う?)
そこで、グレッグはちらりと口アーク卿を見た。
口アークは先ほどと全く変わらぬ平然とした顔つきで、情事の跡にまみれた二人を見ていた。
(口アーク卿はあんな顔をしている)
(これは、まだケヴィソを抱きたいといっても、大丈夫なんじゃないか?)
(そもそも、口アーク卿は俺だけに声をかけたのだ。)
まだ抱きたい。
止まらない。
このグレッグの願望は、完全にいち傭兵としての身分を越えていた。
「さて。どうだったね、君?」
まるで映画の感想でも聞くかのように口アークは尋ねた。
「ケヴィソの身体がこんなにイイとは知りませんでした。もっとヤらせて頂くわけには行きませんかね、口アーク卿?」
数時間前まで浮かべていた口アークへの恐れを忘れてしまったかのように、グレッグは言った。
「ほう?」
「こないだオールドタウンで買った女なんか忘れちまうほどでさ。もっと声が出りゃぁいいが、またそれも
悪くねぇ。」
くっくっと、下卑た笑いをグレッグは浮かべた。
- 140 名前:5:2005/11/11(金) 03:13:17 ID:XOLGOL2I
- ケヴィソは私がここに住まわせている男だ。その男に一回触れられればまだ幸運だ。まぁ誘ったのは私の方だが、
2回目を求めるのは贅沢だと思わないかね、君?」
はっと、そこでグレッグは我に返った。
ここにいるのは自分の雇い主で、アメリカをも牛耳る男なのだ。
機嫌を損ねれば殺される。そのことを忘れていた。
「も、申し訳ありません。出すぎた事を言いました・・。」
それまでの威勢はどこへやら、グレッグは青ざめ、自分の主人へ詫びの言葉を並べ立てた。
口アークはそれをひとしきり聞くと、又も淡々とした言葉で言った。
「・・ふふ、安心しなさい。ここに君を誘ったのは私のほうだし、ケヴィソを抱いたことで殺すような気は
私にはないよ。」
「あ、ありがとうございます・・!」
「しかしだね。」
「しかし?」
「そろそろ、食事の時間だ。」
深夜の静寂を切り裂くような音が口アークの手に握られた銃から放たれると、傭兵の体は吹き出した血と共に
ドサリと床へ落ちていった。
それまでピクリとも動かずに成り行きを見守っていたケヴィソが、白い裸体を起して、その見事な命の終焉に
歓喜の眼差しを送っていた。
- 141 名前:6:2005/11/11(金) 03:14:25 ID:XOLGOL2I
- ケヴィソに話しかける口アークの口調は相変わらず乾いていた。
「私もこの年で大人気ない。この男にお前を『ケヴィソ』と呼び捨てにされるだけで、嫉妬に狂ってしまうの
だからね。」
今ではもうただの肉塊と化してしまったこの傭兵に先ほど向けた笑顔とは違う、口アークにしか見せない
慈しむような笑顔で、ケヴィソは口アークに答えた。
「後でこの男を食べようか。たまには男も食べてみるべきかもしれない。女ほど美味くはないだろうがね。」
こく、と頷くケヴィンに、口アークはゆっくりと覆いかぶさった。
「ただ、その前にお前を味わってからでもいいだろう。私には、お前の声を聞かせてくれるね?」
ケヴィソは同様に頷いた。口アークの背に腕をまわしながら。
「あっ、あああ・・。口アーク様・・愛しています。」
それは紛れもなく、天使の声だった。
- 142 名前:終:2005/11/11(金) 03:17:17 ID:XOLGOL2I
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ハジメテナノユルシテ
| | | | ピッ (・∀・ ;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 143 名前:黒幕×ぬこ2.5:2005/11/11(金) 03:23:39 ID:XOLGOL2I
- 失敬、入れ忘れてた。
ヴゥン、という音を立てて車は立ち止まる。
黒光りのする、暗闇の中で見れば異様なほどな物物しさのある、いかつい高級車である。
「グレッグと言うのはお前かね?」
年をとった、しかし鋭さのある男の声であった。
「はい、口アーク様。」
口アークは車から降り、ゆったりと傭兵の前に立った。
「楽にしてよい。今日は君に、少し話があってね。」
楽にしていいといわれ、グレッグはそれまで自身の体を縛っていた極度の緊張をいかばかりか解いた。
「君、私に少し付き合ってくれんかね?」
「どこかへお出かけでしょうか。」
「いや、屋敷からは出ないよ。車の中を見てみなさい。」
グレッグがそこへ目をやると、後部座席に短い髪をした男の後頭部が見えた。
「君、彼に興味はないかね?」
その後頭部は、ゆっくりと二人のほうへ向き直った。
にこ、と唇が笑みを作る。
暗闇の中で光る眼鏡の奥に、色と鋭さを交えた大きな目が二人をとらえる。
その目に囚われる。
「ケヴィソに私以外の男も味わわせてやりたいと思ってね。もし君がよければ協力してくれんかね?」
淡々と口アークは言う。
是非、と答えたグレッグの耳に、自身の言葉はもう聞こえていなかった。
- 144 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 09:50:18 ID:jL6ljcjs
- ぬこたん(;´Д`)ハァハァ
- 145 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 14:53:02 ID:gbrV2sTr
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 実写映画版豆頁文字Dの工ンペラー2人組
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 青磁が匠に負けた後
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ あくまで実写版だから
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 原作とは全然違うよ
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 146 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 14:54:08 ID:gbrV2sTr
- やばいな、と今日市は思った。
青磁のテンションがおかしい。
少し前に連絡が来た。青磁がぶつけた。空き名山で、86とやりあって。
86だと?と耳を疑った。
そして、「とうふ屋の86」というのが群馬で話題になっているらしい。と青磁がチーム仲間と話していたのを思い出す。
面白半分にわざわざ群馬くんだりまで出掛けて行って、やられたっていうのか。
詳しい話を聞こうと、呼び出そうとしていた矢先、むこうからやってきた。
づかづかと勝手に部屋に上がりこんでくるのはいつものことだが、黙りこくっている。
ジャケットを脱いで床に放り出す。そのまま、シャツも脱ぎ始めた。
「おい青磁…」
今日市の声を無視して、上半身裸の青磁はアクセサリを外しだす。ネックレス、ブレスレット、バンダナ、指輪…
「青磁!!」
やっと動きが止まった。
青磁は睨みつけるように今日市を見た。もぎとった指輪をバラバラと床に落とす。がちゃがちゃと音が響く。
そちらに今日市が気を取られた瞬間、青磁が動く。
一気に距離を詰め、腕を今日市の首にまわす。そのまま唇を重ねてきた。
角度を変え、舌を入れてこようとするが、口を閉じ完全に拒否する。
こうゆう時、流されてはいけないのだ。
勝手に、好きにやらせておく、止めはしない。でも受け入れもしない。
ここでそのまま受け入れてしまうと駄目になってしまう
青磁が
- 147 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 14:54:33 ID:gbrV2sTr
- 応えてこないのに苛立った青磁が、唇を離し、今日市の服を脱がしにかかる。
これも止めはしないが、協力もしない。
上着は簡単に脱がされたが、Tシャツに苦戦する。
やっきになって脱がそうとする力が、だんだんと弱くなっていく。
やがてそちらは諦め、下半身に向かう、ベルトを引き抜かれる。
だが最初の勢いは、もうない。
そろそろ大丈夫か、とズボンに手を掛けたところで
「青磁」
静かな声で呼びかける。
ぴたり、と青磁の動きが止まった。
「何があった」
目を見詰めてそう聞くと
「……言いたくねぇ…」
目を伏せて言う。
「そう、か…なら、俺は何も知らない、それでいいか」
お前がどこで何してきたのか知らなくて、それでいいのか?
今日市の問いに、青磁は喚いた。
「ふざけんな、お前は俺のこと何でも知ってろ!!」
きっ、と睨みつける瞳が少しだけ、潤んでいた。
今日市は笑うと、ゆっくり青磁を抱き締める。
「ああ、そうだな、そうだ…だからお前も何でも俺に言え」
お前のいうことだったら何でも聞いてやる
耳元で優しく囁く。
ほんとは囁きながら髪の毛でも梳いてやりたいが、青磁のこのドレッドヘアじゃ無理な話だ。
…じゃあよ、さっそく一ついいか
すっかり大人しくなった青磁が腕を回しながら言った。
「キスしてくれよ」
「…もちろん」
- 148 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 14:55:21 ID:gbrV2sTr
-
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ で、青磁にねだられて
| | | | ピッ (・∀・ ) 今日市は空き名に行ったんだよ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すいません、どうしても書きたかったんだ…。
- 149 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 16:30:47 ID:0QEi5zdW
- GJ!! 実写版て見てないけど、久々に「皇帝」勢に萌えたよ…ありがとう。
- 150 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 18:28:12 ID:4GUzfK8T
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| モララーのビデオを見るモナ‥‥。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 「野ブ夕。」の明×習字ですってよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マジカヨ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 151 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 18:29:06 ID:4GUzfK8T
- 「あーー、習字くんはっけーん」
「…んだよ」
いつもの屋上。秋晴れの空は遠くて、昨日より2度ほど高い気温は心地いい。
ごろりと寝転がった俺を上から覗き込んだのは、いつもの顔。
「教室で探されてたよぉ、人気者のしゅ・う・じクン♪」
「…あー、別にどうでもいい」
こんな気持ちのいい放課後、いつものカラオケやらゲーセンやらに費やすのはもったいない。
しゃがみこんで俺の顔を覗き込んだままの明に背を向けるように、ごろりと寝返りを打つ。
目を閉じると、隣に同じように寝転ぶ気配。
- 152 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 18:29:46 ID:4GUzfK8T
- …しばらくの、沈黙。
いつもだったらなにかしらのちょっかいを出してくるのに。
そっと振り返ると、仰向けで横たわった明は、かすかな寝息を立てていた。
(…綺麗な顔)
エキセントリックな言動にごまかされがちだけど、こいつは綺麗だ。
俺より背も高いし、野ブ夕への態度だって、俺より紳士だって思う。
長い睫毛。
思えば俺は、こいつのことを何も知らない。
柔らかそうな髪。
わけのわからない鎧を纏って、その中の自分を隠してるのはこいつじゃないのか?
- 153 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 18:30:19 ID:4GUzfK8T
- 「なーーんでございますかっ!」
「ぅうわっ…!」
思わず見つめてしまっていた明の目が突然俺を見返し、驚いて素っ頓狂な声を上げてしまう。
「んだよもう、ウザイなぁっ…」
俺の顔はきっと赤くなっているだろう。目を逸らそうとした刹那、俺の体が暖かさに包まれた。
…こうして明に抱きしめられるのは、初めてではない。
「…しゅうじ」
明の鼻先が俺の髪の毛にうずめられて、まるで猫にでもするそれのように、くしゃくしゃとかき回される。
「…とーっても、しあわせなのよーん…」
こんなところ誰かに見られたら。
恥ずかしくて逃げ出したくて、本気になれば明を突き飛ばすことだってできるはずなのに。
「…ばーか…」
俺にできる仕返しは、空いた両手をコイツの背中には回してやらないことくらいで。
暖かい明の腕の中で、ずっとこのままでいられたらと、思った。
- 154 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 18:31:01 ID:4GUzfK8T
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ミジカイネ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
本当はこの後ガッチュンで行こうと思ったんですが
なんだかこの二人が一緒ってことで萌え過ぎて燃え尽きました。
尻切れトンボですいません…
- 155 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 19:35:06 ID:Wb6Mnlek
- >>150
GJ!
短くても萌え狂った。習字モエ。
- 156 名前:風と木の名無しさん:2005/11/11(金) 19:39:32 ID:3ncoXyDa
- >>150
GJGJ!!
この二人が一緒に居るだけで禿げ萌え(´Д`*)
ごちそうさまでした
- 157 名前:キス:2005/11/11(金) 22:22:41 ID:XQPHXMJC
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ナマモノにつき伏せ。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ドラム×ベース。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
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- 158 名前:キス:2005/11/11(金) 22:23:19 ID:XQPHXMJC
- Q.どうして俺はアルに押し倒されとるんでしょうか?
A.それはユーが根本の部分で甘いからじゃない?
質問に質問で返されても。
混乱する頭を必死に立て直して、アルを乱暴に突き放したら、捨て犬のような目で縋られた(!)
「キスしてもエエ?」
いきなり真剣そのものの顔して訊かれた。
それも何の脈略もなく。
「なんで?」
「確かめたいことがありましてん」
答えにならない答えが返ってきてどうすればエエのか悩んでいると、その沈黙を承諾と受け取ったのかアルは顔を近づけてきた。
普段、ヘタレとるから忘れがちやけどアルも黙っていればオトコマエやなぁ。
まぁ、俺たちの周りは皆そんな奴ばっかなんやけど。
って、違うやろ!
- 159 名前:キス:2005/11/11(金) 22:23:41 ID:XQPHXMJC
- 「ちょっ、まて!」
慌てて押さえつけられていた腕を力いっぱい振ると、、アルはきょとんとした顔をして俺から手を離す。
ついでに落ち着くために深呼吸して、座りなおす。
「お前、何を確かめたいねん」
「あんなぁ、俺のカノジョってキス上手なんよ」
「ノロケか?」
「でな、俺は下手なん」
何でそんな悲しそうな顔すんの、お前。っちゅーか、俺の言葉は無視か?
しかもでっかいカラダを縮こませて小さくなってもうて。
俺が苛めとるみたいやないか。困惑させられとるんは俺のほうやのに。
「やから、教えてもらおうと思うて」
「何で俺やねん」
「キスがうまそうやから」
照れもせず、真顔で言ってのけるアルを思わずまじまじと見てしまう。
確かによう見れば繊細な顔立ちと言えんこともないけど、女の子にはとても見えない。
それに顔が綺麗なだけな人間なら、短くもない芸能生活の中で何人も接してきた。
特に俺たちが所属しとる事務所は美少年・美青年の代名詞みたいに扱われているくらいやから、俺や、アルレベルのやつは腐るほど居る。
でもな、アルの唇ってどこかセクシーやと思うし、薄い唇とその下にある黒子がなんか色っぽい。
ファンの子が騒ぐ気持ちも分かる。
……なんてホンマはずっとこの唇にキスしてみたかった。
- 160 名前:キス:2005/11/11(金) 22:24:39 ID:XQPHXMJC
- 「エエけど俺もそんな上手いほうやないで?」
冗談めかして言うとアルの顔がぱぁっと明るくなる。わかりやすいなぁ。
「ありがとっ」
「なら、まずお前がどれくらいキスが下手なんか、言うてみろ」
偉そうに踏ん反り返ると、アルは姿勢を正す。
「言葉やと説明しにくいんやけど、アイツとキスしていると頭真っ白になって余裕なんか吹き飛ぶん。やから、アイツが気持ちええのかどうかもわからんの」
しょぼーんって音が聞こえてきそうなアルやけど、言うてる内容はノロケやんけ。
言えって言ったのは俺やけど、なんだかムカついてこれ以上聞きたくなくて、アルの唇をふさいだ。
レクチュアなんて軽い響きでもノリでもなく、むしろ嫌がらせかっちゅーくらいにアルの咥内を貪った。
女とは違うて、柔らかくないし、化粧の味もしないのに、これでもかって心臓の音ががんがん響いた。
時間に直せば一分も触れていなかったのに、俺の中では時間が止まったみたいやった。
トートツに理性が戻ってきて、アルから唇を離すと、やつは頬を上気させてぐったりしとる。
「どうや、わかったか。カノジョにもこんなんかましたったらええねん」
動揺を隠すために、わざと偉そうにしてやると、アルは息を整えながらコクコク頷いた。
あー、もう。何でこんなやつに惚れてるんやろ、自分。
ホンマにサイテー。
- 161 名前:キス:2005/11/11(金) 22:25:14 ID:XQPHXMJC
- ____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 魔がさしたんだと思う。後悔はしてない。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 162 名前:風と木の名無しさん:2005/11/12(土) 00:43:49 ID:+xn5ht61
- >161
元ネタわかった気がする。
新たな萌えを見つけたかもしれない。
- 163 名前:背中:2005/11/13(日) 00:23:10 ID:lz9tjF3A
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 某アイドル タレ目×猫目。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| FDから出てきたのを改訂したラスィ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ タイシテカワットランガナ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 164 名前:背中:2005/11/13(日) 00:24:11 ID:lz9tjF3A
- 四年前、ひと夏の舞台を終えて、後輩とたくさん喋るようになった。
昔いっぱいいっぱいやったときには気がつかんかったけど、どいつもこいつもおもろい奴ばっか。一癖も二癖もある可愛い後輩達。
そんな中、誰よりも話すようになったのはキョウちゃんやった。
ハルくんハルくんいうて俺の後ろをくっついて歩いとったキョウちゃんが、いつのまにか俺の知らない顔して笑うようになっていた。
愛らしい外見と裏腹に素直やのうてエライ男前な後輩。
小さいといわれ続けた俺よりさらに小さくて女の子以上に可愛らしいキョウちゃんも、歌に関しては自分と同じラインで並ぶライバルで、特に綺麗に伸びるソプラノの威力は魔力と言うてもおかしないくらい胸に響いた。
それなのに年とともに背は抜かされ、あれだけ綺麗やったソプラノは声変わりして永遠に聞けんようになってもうた。
可愛い少年から精悍な青年への階段を上手に登って、何かを悟ったみたいな顔で笑うキョウちゃん。
声変わりしてもキョウちゃんの歌声に潜む魔力は健在で、時々割れる音ですら妖しくセクシーに聞こえる。
呼吸するよりも、笑うよりも、ただ歌う。そのことが一番自然やという姿勢だけがいつまで経っても変わらない。
いつの間にかキョウちゃんのことを目で追っかけとる自分に気がついた瞬間、心の底から悔しいと思うた。
せやから俺はそんな風に思うたことを胸のうちに封印した。そう、二年もの間。
- 165 名前:背中:2005/11/13(日) 00:24:37 ID:lz9tjF3A
- その封印が解けたのは去年のこと。
忘れもしない。ようある一日で終わるはずの平凡な一日をキョウちゃんは、あっさりと特別なもんにかえたんやから。
レギュラーの収録の一時間も前についてしまった俺は、楽屋のソファーでうとうとしとった。
そしたらキョウちゃんとリュウが一緒に楽屋入りしてきた。
「……たらあかんよ」
話の前後関係は見えなかったけど、たぶんキョウちゃんが何かやったんやろう。
リュウがたしなめるようにいうとキョウちゃんは面倒くさそうな顔して、「エエやん別に」て鼻で笑う。
何度同じような場面を見たんやろう。
基本的に人見知りの激しいキョウちゃんが昔から懐いている数少ない人間の一人がリュウで、そんなキョウちゃんをしっかり理解して受け止めとるのもリュウで。
あぁ見えてなリュウはきっと関西で一番包容力のある男やで? なんてタロが前笑いながら言うてたのを思い出す。
二人の遠慮のない遣り取りを見てたら、まずくて飲み込めないものでも食ったみたいに苦いものが胸に詰まる。
ふとキョウちゃんの視線が自分に向けられたような気がしたけど、寝ているふりをした。
リュウは「もう、心配しとるのに」とかぶつぶつ言いながら荷物を置くと何処かへと出かけていった。
あ、今キョウちゃんと二人きりや。
そう思うたら急に心拍数があがって息苦しくなった。
そしたらキョウちゃんが静かに近付いてきて俺の隣に座った。
- 166 名前:背中:2005/11/13(日) 00:25:36 ID:lz9tjF3A
-
入り口で会ったリュウに説教をくらいながら楽屋に入ったら、ハルくんがソファーで小さく丸まって寝とった。
ひなたぼっこをする猫みたい。
自分の連想に噴出すとリュウが話を聞いてないと思うたのか憤然として楽屋を出て行った。
あー、怒らせたかな、しゃぁないなー、なんて思いながらもハルくんから目が離せなかった。
ずっと追いかけていた。
小さくて大きいハルくんの後姿を。誰よりも強気で綺麗な彼の歌を。
歌うことでしか生きて行けない彼の生き様を。
持って生まれたこの顔と性格で恋人に不自由したことはなかった。
何かに執着するんが極端に苦手やったから、関係が長続きした試しはなかったけど、その時々に真剣に恋愛してた。
けど、一日逢えないだけで苦しくなるような相手も声を聞くだけで幸福感と焦燥感に包まれる相手も居らんかった。
そんな風に追い詰められるのはハルくんだけやった。
恋焦がれる。
そんな感情を抱いたのは初めてやと思う。
彼の隣にはいつだって誰かが居た。
俺なんかよりずっとオトナで賢くて強い人たち。
ハルくんを甘やかして溺れさせてそれでも余裕の人が。
そのやのに、ハルくんの隣に居た人たちは必ずといって良いほど次のステップに移るとき、ハルくんを天秤にかけて振り落とした。
そのたびにハルくんは傷ついてなんか居らんと言うように笑い、誰も気がつかへんうちに身喰いを始めた。
唯一気がついていたんはタロくんとタカくん。
特にタロくんはハルくんの自他共に認める『保護者』やったから、少しの変化にもすぐ気がついて、ハルくんの心に開いた穴をさり気なく埋めていった。
タカくんはハルくんが自分と似ていることを嗅ぎとってたから、もしかしたらタロくん以上にハルくんを癒していたかもしれへん。
- 167 名前:背中:2005/11/13(日) 00:26:13 ID:lz9tjF3A
- 外の世界で虚勢を張って威嚇丸出しで戦って。
疲れて帰ってくれば優しい優しい人たちに守られて、それでようやく安心したように笑うハルくんを、俺はただずっと後から見ていた。
なぜならハルくんにとって俺はいつまでも守るべき子供やったから。
自分に懐く可愛い後輩の一人でしかなかったから。
そういう認識でハルくんが少しでも安心してくれるんやったらそれでエエと思うとった。
けどな、俺の力で守れないんやったら、ハルくんと一緒に堕ちてもエエと思うくらいの覚悟はしてたんよ。
狸寝入り特有の不自然な呼吸に気がついて、そっと近付くと、ハルくんは小さく身動ぎする。
手を伸ばせば触れる距離にまでつめてハルくんの隣に座る。
「ハルくん、起きとるのは分かってるんですよ」
- 168 名前:背中:2005/11/13(日) 00:26:37 ID:lz9tjF3A
-
耳元で響いた低音にドキッとして薄目を開けるとキョウちゃんが泣きそうな顔で俺を見とった。
何でそんな泣きそうな顔しとるの?
聞きたかった言葉を飲み込むかわりに寝惚けているフリをして引き寄せて、キョウちゃんの頬にキスする。
「ハルくん?!」
「んー、時間になったら起こして」
キョウちゃんの声が上擦っとる。キョウちゃんの慌てるとこ久し振りに見たな。
それだけで気持ちが少し浮上した自分の単純さに小さく笑って、目を閉じた。
- 169 名前:背中:2005/11/13(日) 00:27:18 ID:lz9tjF3A
-
びっくりした。
嬉しいとか、ドキドキするとか、そんな余裕なくてただただ驚いた。
ハルくんからのキス。
感触を味わう間もなくとか言うとなんとなくやらしいけどほんまに一瞬の出来事やったから。
ハルくんの真意がわからへん。
なぁ、俺、自惚れてもええんかな?
瞼にキスをしたらハルくんの体が目に見えて強張った。
「ハルくん」
「……眠いんやけど」
大きな猫目が俺を見上げてきて、子供みたいに拗ねた顔して口を尖らす。
そんな顔したらもっと触れたくなるってこと分かってないんですか。
「言わなアカン言葉があるんですよ」
「はよ言えや」
「ハルくんのこと、好きです」
沈黙。
「……おやすみ」
「返事は?」
ぎゅって目を閉じて完璧に睡眠姿勢に逃げ込もうとするハルくん。
そんなことしても無駄や。
答えないんやったら赤なってく頬が答えやと思いますよ。
- 170 名前:背中:2005/11/13(日) 00:27:54 ID:lz9tjF3A
- 「言わんでもそれくらい分れや……」
しばらくして返ってきた答えは素直やないくせに十分魅惑的で嬉しくなる。
けど俺も素直やないってハルくん知っとるやろ?
「『ハルはキョウが好きやって』言うてくれないんですか?」
ハルくんの声で聞きたい。
「アホ……」
ハルくんは少しだけ困ったように笑うと、キスを求めてきた。
調子に乗って舌を入れようとしたら頭をペチっとはたかれた。
案の定ハルくんに「調子にのんな」って怒られる。
それから赤い顔のままソッポ向いて
「嫌いな奴とキスする趣味はない」
って呟いた。もしかしなくても照れとる?
「あー、もう、うっさい! 俺は寝る! 時間になったら起こせ」
「はい。俺も眠たいんで起こせなかったらごめんなさい」
「ええよ、そしたら一緒に怒られような」
共犯者の笑みを浮かべあって、俺たちは手を繋いで目を閉じた。
- 171 名前:背中:2005/11/13(日) 00:28:32 ID:lz9tjF3A
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 一部改行狂ってスマンカッタ
| | | | ピッ (-∀- ;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 172 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 00:51:38 ID:3BYitZaN
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| マイナーナマモノ投下ー。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 飴プのゼリコ×今日中、初対面ネタですって。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 連続投下カヨ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
該当する投稿所がないことはないのですが、そこに出す勇気もないのでここに失礼しまつ…
- 173 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 00:57:21 ID:3BYitZaN
- 荒地を勢いよく転がり続ける様な日々だった。苦渋を舐めることばかりだったが、今なら楽しかったと言う事が出来る。
あのときの感情の起伏が、もはや懐かしい。日本での日々は俺の身体に強く刻み込まれている。
彼に初めて会ったのもここだった。
オーエソ・ハ一ト、ダイナマイ卜・キッ卜゙…憧れのレスラーたちは皆世界を回った。そして日本で戦ってきた。だから俺も
日本に来た、日本に来なければならなかった。俺が求めている強さは、日本に行かないと得られないとなぜか思い込んだ。
俺にとって日本はキリスト教で言うところのヴァチカンだった。知り合ってばかりの頃、いつだったかへツさんに話したら、
単純だなと笑われた。でも俺もそうだった、その気持ちはよく分かるぞ、と俯きはにかみつつ付け足して。
この「憧れ」の中には言うまでもなくへツさんも含まれており、当時日本国内のインディ団体で揉まれていた俺は、その
憧れのへツさん…当時はクイルド・ペ力゙サスって名前だ。当時じゃカナダでも、日本でも、その名前は随分知れ渡ってい
た…と、試合できると知ったときは冗談抜きで眠れなかった。俺はまだテレビでしかその試合を見たことがなかった。
多分ガキンチョが、初めて買ったCDのバンドが演るライブに行く当日を迎えるときは、こんな気持ちだろう。
- 174 名前:2:2005/11/13(日) 01:00:29 ID:3BYitZaN
- 試合の前日、稽古も終えて飯を食おうかと思い外を歩こうとしたとき、どこかで見た姿が近くにいた。
白人、くせのある茶髪、長い襟足、そのときの大会であつらえた白いTシャツ――実は俺も同じものを着ていたが――
あれペ力゙サスその人じゃねえか!
目の端に姿が映ったときに既に叫びだしたかったが、息を飲み堪えた。今だ、と。走り出さないように念じつつ歩く。
地を踏みしめるように一歩一歩近づく…
あの頃の彼は、そこに居るだけで人を切り刻みそうな鋭さを漂わせていたが、幸運にも偶然彼に出くわした俺には、
近づき難いとか何だとかいちいち考える暇もなかった。ダイブする直前のようにして息を大きく吸い込み、意を決して
自己紹介をしに行った。たがが自己紹介で、掌は汗をかき出していた。そういや俺にはヘツさんと戦う前にもう一人相
手にしなきゃいけなかったが、そんな事実はどうでもいい。ヘツさんと試合することになったら事前の試合の段取りが
あるから、間違いなく顔を合わせる機会はあるのに、姿を見た瞬間から歯止めが利かなかった。クイルド・ペ力゙サス
さんですか?今度のJ-杯に出場しているライオソ・ハ一トです、よろしく。
そして彼の目を見て二言目には「以前からあんたにずっと会いたかったんです、握手してください」。
- 175 名前:3:2005/11/13(日) 01:04:48 ID:3BYitZaN
- ヘツさんはあっけに取られ、目を丸くしていた。うわ…、すげえ澄んだブルーじゃん。いや俺も目青いけどよ。
思わず差し出した、というような感じの腕をがっしと両手で掴む。手の形を俺の皮膚に覚えこませる勢いで握り締める。振る。
白い肌、しかしガサガサとした力強い腕。細かい傷の多い掌。いびつな指。
ふと顔を見ると困ったように、というか不審そうに眉が寄せられている…どうも握手に使う標準時間をちょっとばかり超えて
いたらしく、彼が微妙に固まっているのを見て俺はようやくそれを悟った。腕を慌てて解く。そりゃ確かに野郎の両手(しかも
緊張して微妙に汗かいてやがるし)に捕まり続けるのは不快だしな。俺もゴメンだ。しかしこの時の俺にそんな分別はつかなか
った。
こちらこそ、と向けてくれた笑顔は困惑が残りぎこちなかったが、カナダ出身で以前ハ一ト道場にいたと話したら驚き、喜ん
でくれた。
「そうか、お前も」
「ス千ュ・ハート直々の訓練は受けてないですけどね」
「どこ出身だ?」
「ウィニペグです。スタンピ一ド・レスリングはガキの頃から欠かさず見てましたよ」
「そうか、そうか」
にこにこして彼はうなづく。彼は俺より少しだけ日本の滞在経験が多いらしく、しばらくカナダには帰っていないという。…実
は生まれはニューヨークだが、そのへんも含めてベラベラ喋った。
- 176 名前:4:2005/11/13(日) 01:10:04 ID:3BYitZaN
- 頷くぐらいの反応で、彼から話題を膨らませることはそんなになかったが、彼は話を終始笑顔で、
興味を切らすことなく聞いてくれた。異国にいると、自然と同じ立場の人間…ガイジンサンは自然と
互いを頼りにし、仲間意識が強くなる傾向がある。しかも自分と同じ国の人間が居たら本能的にどれ
だけ嬉しくなるか。ヘツさんが程なく打ち解けてくれたのは、そのせいもあると思う。ゴッド・ブレ
ス・カナダ。
道のド真ん中で俺は喋り続けていたが、ふとヘツさんが俺に質問してきた。
「そういやお前、名前はなんて言うんだ?」
「ああ、ライオソ――」
「本名だよ」
「え?ああ」
ふと我に返り、無意識に背筋が伸びる。…ただ名乗るだけなのに、また緊張を覚えるのは何故だ、
ちくしょう。
「あー…久リス・イルヴァイソって言います」
「久リス・イルヴァイソ」
ヘツさんは一瞬びっくりした表情を見せ、僅かに俯き、照れたように笑った。
- 177 名前:5:2005/11/13(日) 01:15:30 ID:3BYitZaN
- 喉の奥からこぼれる笑い声が、やけにやわらかく聞こえた。睫毛長えんだ…とつい眺めて
しまったが、骨の抜けたような屈託の無い笑顔を俺に向けてきて、また我に返った。白い歯、
しかし一本抜けた上の歯列。その跡は彼の笑顔にどこかいびつな愛嬌を加えた。
歯抜けの笑顔に違和感のようなものを覚え、胸に残り、妙に高揚する。その抜けた歯の跡に
も、綺麗な青い瞳にも、やられた。
身長が高くないくせにヘビー級並の、それ以上のスロットルを見せるこの人の試合が憧れ
だった。男として、顔立ちが整ってて、身体がちいさく、肌が白いってのは重圧とか屈辱と
かそういうもんでしかなかった。いっそ無骨な顔に生まれりゃ、舐められるなんてこともな
いのに、そう己を強く呪うこともあった。しかし俺と似たような条件を否応が無く背負って
るだろうに、そういうのを全て覆して、薄らデカイ猿を薙ぎ倒す彼の姿は、正真正銘俺のア
イドルで、アイコンだった。
そして俺は今まさにそのアイコンのお目にかかっている訳だが……並んで気付く、この人、
俺と身長殆ど変わんねえ。ガタイは明らかに負けてるが、タッパなら俺が少し高いかもしれ
ない。
つーかさ、…絶対怒られると思うんだけど(何故なら俺が同じ男から同じコト言われたら、
そいつの首を折ってケツを犯そうと思うぐらいには気分を損なわれる)、なんかこの人、た
まんなく可愛いんだけど。彼の苛烈なファイトを目に焼き付けてきた分、今の姿とのギャッ
プがよけい調子を狂わせる。マットの上じゃ誰も寄せ付けない猛獣のようなのに。
- 178 名前:6:2005/11/13(日) 01:21:35 ID:3BYitZaN
- 「そうか、名前も同じなんだな」
そういって太く短い腕をぴんと伸ばし、今度はこの人から握手を求めてきた。
「俺も久リスだ。久リス・ヘツワ。よろしくな」
満面の笑顔。元々目じりが下がり気味なのか、力の抜けた微笑みだった。しかし握った手は強く
握り返してくる。胸がギュッと熱くなる。張り詰めてた糸がぷっつり途切れちまったか、目の裏
までちょっとだけ熱くなる錯覚を覚えた。
つってもまあ、あんたの本名なんて俺もう知ってんだけどさ。っていうかあんたいま海の向こ
う側じゃ本名でもかなり有名だから。カナダでレスラーやってる人間にヘツワって名前知らない
やついないぜ?
そう頭の端で冷静にこたえつつも、彼のその笑顔を見たとき、俺のなかで何かが間違いなく始
まった。視界はより開け、世界は閃光のように鮮やかになる。
「久リス?」
俺は名前を聞き返す。きっと顔はやに下がっている。
「久リス。」
彼もにこにこして名前を繰り返してきた。いい名前だよな。キリストからとってきたもんな。神
の子って感じの響きだよな。
もう間違いない、これは運命だ。極東の地、プ口レスの聖地日本で、同じカナディアンが、お
まけに同じ名前の人間が巡り合ったってのはもう運命としか呼べねえ。神懸りだ。明日の試合が
終わっても、多分またこの人に会える気すらする。いやレスリングの世界なんて狭いもんだ、ま
た会える。根拠はないが確信がある。
久リス。あーもう、久リス。
…そしてその時の、ブレーキがいかれちまったかのような興奮は、長いこと彼と一緒に時間を
過ごす間に、そして彼を時には近く、時には遠くから見ている間に、いつの間にか、「あんたが
幸せにならなきゃ、神様は間違ってる」という信念に、形を変えていた。
- 179 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 01:33:12 ID:3BYitZaN
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | ゼリコ=ライオソ=イルヴァイソで、
| | | | ∧_∧ 今日中=ヘツさん、だと わかんねえよ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
上で「連続投下」とか書いてますが自分>>163さんとは別人です。言葉足らずですいません。
続きも書いてたんですが、ゼリコの最近のインタビューを受けて気分が暴走して一度終わらせますた。
あべし。
- 180 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 01:40:50 ID:2rBmEri8
- >163
GJ!
激萌えでした
ありがとうーごちそうさまです
- 181 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 01:54:21 ID:rI+wkw2T
- 関ジャニ
ドラム大倉忠義
ベースアル丸山隆平
タレ目キョウ錦戸亮
猫目ハル渋谷すばる
リュウ丸山隆平
タロ村上信五
タカ横山裕
ギター安田章大
謹慎中内博貴
- 182 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 02:47:13 ID:04J0Bt37
- イクナイ
- 183 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 03:06:30 ID:urRyRUGZ
- >>172
なんかもうありがとう。萌えた…!はにかみヘシさん…ハァハァ
ところでアーヴァイソじゃまいのかい?どっちだろ。
- 184 名前:風と木の名無しさん:2005/11/13(日) 12:30:05 ID:E4WBbPbM
- >172
ここで飴プスラッシュに出会うとは思わなんだ…
GJ!!
- 185 名前:風と木の名無しさん:2005/11/14(月) 14:39:34 ID:hyrsgfth
- ピー工スピーの兄弟に激しく悶えたのでヌルーイものをお一つ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 186 名前:ピー工スピー兄弟1:2005/11/14(月) 14:40:56 ID:hyrsgfth
- 「お兄ちゃん、もう泣かないでよー。」
「…だって……ぅっ…ヒック」
電気屋さんで意地悪な女の人に馬鹿にされてから、お兄ちゃんはずっと泣きやんでくれない。
いつもは僕に理想の兄貴像を見せるために、僕の前で泣いたりしないのに。
涙のあふれる目をこすりながら
「おれのことっ…見損なったよね…」
なんていう。
馬鹿なお兄ちゃん
僕は誰よりもお兄ちゃんが好きなのに。
- 187 名前:ピー工スピー兄弟2:2005/11/14(月) 14:41:45 ID:hyrsgfth
- お兄ちゃんの首に手を回して抱きつくと、僕の顔をじっと見つめてきた。
メガネがずれてて、ちょっとだけおかしい。
「お兄ちゃん大好き!」
そう言って僕はお兄ちゃんのほっぺにチューをする。
「よっし、一緒にゲームやろっ!」
お兄ちゃんはへへっと笑いながら言った。
- 188 名前:風と木の名無しさん:2005/11/14(月) 14:42:34 ID:hyrsgfth
- □STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ヌルイ上に需要なくてスマソ。
- 189 名前:風と木の名無しさん:2005/11/14(月) 17:11:23 ID:prf9pz0Z
- >188
ありがとう188
あのCM見るたびに感じていたもにょり感が萌えに
昇華されたよ!!
5〜10年後が楽しみな兄弟だ
- 190 名前:189:2005/11/14(月) 17:11:47 ID:prf9pz0Z
- すいませんsage忘れました
- 191 名前:風と木の名無しさん:2005/11/14(月) 21:10:46 ID:6rIvjWgA
- ちょっと遅れてスマソ。
>>172乙です!美味しく頂きました(´∀`*)
マジでかわいいよヘシさん。
しかし…工ディ…・゚・(つД`)・゚・
- 192 名前:風と木の名無しさん:2005/11/14(月) 21:41:58 ID:jkfyw2IT
- >>185
かわいいなあ〜
- 193 名前:172:2005/11/14(月) 22:27:53 ID:QnqRqxDg
- >>183
>>184
>>191
レスマリガトー (・∀・)
あとアーヴァイソで正解だと思いまつ…orzモウシヒラキモ ゴザイマセヌ
悲しみは別の場所で吐き出してくる・・
- 194 名前:風と木の名無しさん:2005/11/15(火) 00:46:31 ID:zfMIRGGV
- >>185
GJ!
ポカンとしてる兄弟に萌えてたけど、
この後お兄ちゃん泣いちゃうのかと思うとさらに萌え!
明日CM見るのが楽しみだ…
- 195 名前:185-188:2005/11/15(火) 09:56:24 ID:dHXoie5c
- >>189>>192>>194
レストンです。
今日CMみたらお兄ちゃんじゃなくて兄ちゃんだったorz
- 196 名前:風と木の名無しさん:2005/11/15(火) 14:28:04 ID:I3iWJC6P
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| フリーゲームの梓/999で車掌×キリコだよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| てゆーかキリコの独白?妄想大爆発だね!
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 照れ隠しに厨要素を
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ふんだんに取り入れてみたとです
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
壮大にネタバレ
- 197 名前:1:2005/11/15(火) 14:30:34 ID:I3iWJC6P
- 「はあ…」
いつの間にか、瓶に入れられた例の「薬」を眺めては溜息をつくのが癖になってしまった。
遂に今日も飲めなかった。きっと明日も飲めないのだろう。
どうして自分はこんなにも簡単なことが出来ないのだろうか。
しぬなんて、かんたんなこと
いつものように石炭を炉にくべていく。
魂の最期の輝き、とでも言うのだろうか。
つい先程まで人のかたちをしていたそれは怖気がするほどに美しい炎に包まれて消えていった。
どういう原理かこの汽車は人の魂の力で走っている。
燃料に困ることは無い。
この世には自ら命を絶とうと赤い汽車に飛び込んでくる愚か者がいくらでもいるのだから。
でも、その愚か者たちにすら出来ることが自分には出来ない。
死ぬなんて簡単なはずなのに。
- 198 名前:2:2005/11/15(火) 14:31:37 ID:I3iWJC6P
- 「どうしたキリコ?珍しいな」
人恋しくなってぶらぶらしていたら、つい車掌室に来てしまった。
「別に…暇だから来ただけだよ」
他人に全く無関心な乗客に比べればこいつはまだマシな方だ。
ただマシだというだけで、たとえ身体を重ねてる最中に自分が死んだとしても、この車掌は気にも留めないのだろうけれど。
それでも寂しさに負けて男同士のこの不毛な行為を繰り返してしまう。
横で寝息を立てている男を起こさないようにそっと立ち上がると、壁に掛けられた絵が目に入った。
この男の娘が描いたものだ。
自分の父親の似顔絵。拙い字でメッセージも記されている。
ふいに、大声で泣き叫びたくなった。
不毛だ。この行為も、自分がしていることも、この男がしようとしていることも何もかも。
もうずっと昔に死んでしまっているのにこの男は自分の娘を生かそうと他人の魂を犠牲にしてこの汽車を走らせ続けている。
あの時あの子が汽車に乗りたがるのを止めていれば、という負い目もあって付き合っていたが、こんな不毛な行為はもう沢山だった。
咄嗟にポケットに入れておいた瓶を取り出した。
この「薬」を飲んだら死ねる。楽になれるんだ。いや、自分は既にあの時に死んだのだから正確には消える、か。
- 199 名前:風と木の名無しさん:2005/11/15(火) 14:32:30 ID:I3iWJC6P
- 死ぬなんて簡単なこと
それなのに。それが出来ない。
誰にも気付かれずに消えていくのが自分でも不思議なほど怖い。
瓶をそっとポケットに戻した。
生きるって難しいこと
相変わらず寝ている男を横目で見て部屋を出た。
自分の最期を看取るのはこの男ではない。
僕は希望を待ち続ける。
その希望の前でなら、安らかに消えていける気がするから。
だから
『死んだら……死んだら楽になれるのかな?』
それは、"希望"の名を持つ少年が現れるほんの少し前のこと。
- 200 名前:風と木の名無しさん:2005/11/15(火) 14:35:07 ID:I3iWJC6P
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ …遂にポエミーやっちまったんだぜ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
そして>>199の名前欄に3って入れ忘れたんだぜorz
- 201 名前:風と木の名無しさん:2005/11/15(火) 17:33:05 ID:V8QW4mS7
- 厨要素だなんて!
美味しくいただきますた
- 202 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 01:53:49 ID:B04Htp8w
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ナマモノ(オ藁イゲイ人)全編エロです。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| しかも無駄に長いので前編。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本スレはSS投下できるような雰囲気じゃないので・・・こちらに失礼します・・・
- 203 名前:1:2005/11/16(水) 01:55:37 ID:B04Htp8w
- 「やめろやっ!何すんねん!」
久しぶりの単独ライブ。
千秋楽の今日も最高に乗って、ウケて、会場全体が爆笑の渦でもみくちゃやった。
早い話が大成功。それだけやない、なんかこの成功がオレらをさらに上へ押し上げてくれるような、確かな手ごたえがあった。
そんな高揚感もあってか、オレはめずらしく打ち上げで飲めへん酒を飲んでもうた。潰れたオレをホテルに連れ帰ってくれたんは相方の飛来やった。
「あーっ、ホンマ大成功やったなー!」
「うるさいな。ほら、寝るんやったら着替えろや。」
そう言いながら飛来はベッドに大の字になったオレの服のボタンを外してた。
「なぁ、ホンマおまえのおかげやわ。」
怪訝そうに飛来が手を止めた。
「なんやねん・・・いきなり。」
「おまえが相方でおってくれたから今日の成功があった訳や。ホンマに飛来様、サマや。」
「・・・そ、ありがと。」
「あーっ、本気にしてへんな!ホンマやぞーオレはこの世で一番おまえを愛してるぞーおまえの言うことやったらなんでも聞いたるぞっ!ほら、いうてみ、なぁ、なぁ?」
アルコールでぼやけた視界で飛来の顔が一瞬歪んで見えた・・・気がした。
- 204 名前:2:2005/11/16(水) 01:58:16 ID:B04Htp8w
- 「ほな、ごほうびくれる?」
妙に低い声で飛来が言う。
「おぅ、なんでも言うてみ!」
言い終わる前に、唇を塞がれてた。
「んぅ!」
酔った身体に力が入らない。飛来の舌が唇と歯の間をなぞると腰の辺りにゾクゾクっと快感が走った。それを振り払うように必死で顔を横に振る。露わになった首筋に噛みつかれ悲鳴をあげる。
「やめろやっ!何すんねん!」
飛来は巧みに体重をかけてオレが身動きとれないようにしている。いつの間にかはだけられた胸元に手が差し入れられる。中途半端に脱がされた服が拘束具のように抵抗を阻んでいる。
「っつ、ん・・・」
さきほどまでの性急さとはうって変わって、飛来の指はやわやわとオレの胸を這い回る。胸の突起に触れそうで決して触れへん。濡れた舌が首筋を這ってる。肌の下でアルコールがざわざわと燃え上がる。
「ひ、飛来さん・・・冗談きついわ・・・もう、やめてぇな。」
自分の声が泣き声になってんのがわかる。
(情けな・・・)
オレが自嘲気味に呟いたんが聞こえたのか、飛来が首筋に埋めてた顔をあげた。
「冗談やと、思う?」
これ以上はありえへんほどマジの目で低く呟く。
- 205 名前:3:2005/11/16(水) 01:59:40 ID:B04Htp8w
- 「なんでも、言う事聞いてくれんねやんな?」
「こんな、事っ・・・」
「大丈夫や、おまえのえぇ所、知ってるから。」
そう言ってニヤリ、と不敵に笑う。
「なんで、そんなん知ってんねん!」
こんな時でも突っ込んでしまうオレ・・・ある意味芸人根性。
「だてに15年以上付き合うてへんがな。リサーチはばっちりよん。例えば・・・」
いきなり胸の突起を吸われて、思わず声をあげてしまう。
飛来は満足そうにクックッと小さく笑うとオレの耳元で呟いた。
「オレに・・・まかせとけ。」
直接握られて背筋に電気が走る。
「やめっ!」
そのまま激しく扱かれて痛みと快感が同時に沸き起こる。
「あ、うぁ・・・飛来っ!やめ・・・」
浮き上がった腰を抱えられる。そして後ろに、なにか冷たいものが塗りこまれる。
そのまま指が進入してくる感覚に、オレの身体を激しい嫌悪感が貫いた。
「嫌や!やめろ!」
オレの叫びに飛来の動きが止まる。
「こんなん、嫌や。こんな無理矢理・・・こんなんするんやったら、米国座利蟹解散や!おまえと漫才なんかもうせえへん!!・・・絶交やっ!!」
- 206 名前:4:2005/11/16(水) 02:00:44 ID:B04Htp8w
- ふっと、身体が自由になる。
「それは、困るな。」
部屋が暗くて表情がわからん。飛来、おまえ何考えてるねん?
混乱するオレを置いてきぼりにしたまま飛来が抑揚のない声で続ける。
「でも、さ・・・それ、どうするん?」
飛来の視線の先には、堅く保たれたままのオレ自身。
かぁっと顔が赤くなっていくのがわかる。あれだけの嫌悪感にも勝る男の性(さが)・・・
「なぁ、オレ抱いてみるか?」
オ レ 抱 い て み る か ?
「はぁ?」
我ながらいつにもまして高い声が出た。
「抱かれるのは嫌やねやろ?」
コクコクと頭だけを動かして肯定する。
「けど抱くんやったら相手が男でも女でもすること一緒やん。」
(・・・そうか?)と思いつつ頭はコクコクと動き続ける。
「とりあえず、それどうにかせんと。」
―この時、(まぁええか、飛来で)と思たんは、きっと酒のせいやと思う・・・
- 207 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 02:03:37 ID:B04Htp8w
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 後編うpしてイイデスカ?
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
前編終了です・・・すいません〜!!一応後編もあります・・・
- 208 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 05:29:00 ID:X+qgefGf
- >>207
うあ、米国萌えじゃなかったのに (*´д`*)ハァハァ してしまった、GJJJJ!
( ゚∀゚)o彡゜後編!後編!
うpしてくださいお願いします
- 209 名前:200:2005/11/16(水) 07:18:22 ID:dYfAk0nS
- >>201
こんな妄想散文にレスありがとうございます(´Д`*)
- 210 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 07:18:49 ID:u6lHpzDe
- (゚∀゚)/ 後編! 後編!
- 211 名前:202:2005/11/16(水) 07:28:49 ID:B04Htp8w
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ナマモノ(オ藁イゲイ人)後編です。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 王道とは攻受逆になります。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
>>208 >>210 こんなヘボいSSにレスdくすです。
- 212 名前:1:2005/11/16(水) 07:30:41 ID:B04Htp8w
- 「ちょお待って。」
「何?」
どういう成り行きだか、オレは飛来を抱く事になったらしい。
頭ん中がぼんやりしたままで状況がいまいち良くつかめへん。
「慣らさんと、後ろは裂けてまうから・・・」
言いながら飛来は自分の指を口に含んだ。ぼーっと見ているオレに指を含んだままニヤッと笑う。
「みといてや、簗儀。」
「おう・・・」
濡らした指を大きく開いた足の中心へ埋めていく。
(根元まで、入るんや・・・)
「ん・・・」
自分の指に犯されながら、飛来の身体が変化してくる。
「簗儀、みてるか?」
「見てるよ・・・」
喉に声が絡む。飛来は指を二本に増やしてなおも自分を犯し続ける。
ごくり、と唾を飲み込む音が聞こえた。オレ、興奮してる?
「簗儀・・・来いよ・・・」
言われた瞬間プチッと何かが切れた。オレは飛来の右足を肩に担ぎ上げ身体を前に進めた。耳元で悲鳴が聞こえた気がしたけどそのまま飛来の中に入り込んでいった。
- 213 名前:2:2005/11/16(水) 07:31:53 ID:B04Htp8w
- 「っく、きっつ・・・」
全てを飛来の裡に納めるとオレは呻いた。
そこらの女よりよっぽどキツイ締りに、すぐにでもイってしまいそうになる。
飛来の息が荒い。顔を見るとかなり辛そうや。
「おまえ・・・大丈夫か?」
オレの声に反応してぎゅっと閉じてた目をゆっくり開く。
「・・・さすがに、男に突っ込まれたんは初めてやからな。」
「おまえがせぇ、て言うたんやんか・・・」
なぜか段々声が小さなる。飛来はそんなオレを見てニヤリと笑う。
あの、いつもの不敵な笑い。
「動けよ。」
滑らかな低音に意識の奥の方まで絡め取られる。
自然と腰が動き始めた。
- 214 名前:3:2005/11/16(水) 07:33:17 ID:B04Htp8w
- 飛来の顔から余裕が消えていく。そして苦しみとは違う何かが浮かんでくる。
「んっあ・・・簗儀っ」
初めてみる相方の顔。初めて聞く相方の声。
(もっと聞きたい・・・)欲望に忠実に、オレは飛来自身を握りこんだ。
「―っ!」
正面からオレを見つめる目。この目には見覚えがある。
(懐かしい、あの頃の目や。)
ガキの頃、「カンタ!来いよ!」と呼べばいつも満面の笑顔でオレの後ろをついて来た。
いつの頃からかオレを追い越してオレの前を歩くようになった、おまえ。
大人になった、頼れる相方。
でも笑うと、瞬間昔に戻ったようなあどけない表情(かお)をする。
(カンタの目や・・・オレのカンタの目・・・)
「はぁっ!うあっ、もうイクっ・・・」
「カンタぁ、いけっ・・・いけぇっ!!」
「くぅ、哲っちゃ・・・!」
達したのはほぼ二人同時やったように思う。
訳のわからん満足感にオレはそのまま意識を手放した―
- 215 名前:4:2005/11/16(水) 07:34:30 ID:B04Htp8w
- ―翌朝、とてつもない後悔と罪悪感に苛まれるオレを尻目に、飛来はテキパキと後始末を済ませていた。
(こういう事は手早いなぁ・・・)
まだ動く気にもなれずにぼんやりそんなことを考えてたオレに、突然頭の上から声が降ってきた。
「おい、もう仕事の時間やぞ。」
見上げるとあまりにいつもと変わらへん飛来がおった。
何も言えずにじっと見てると、すっと顔が近づいてきた。
思わず身構えたオレに、ホンマの至近距離で飛来が言った。
「今度は、オレの番な。」
言ったかと思うと思いっきりディープに口づけてきた。
頭の芯がジンジンするぐらいの凄いやつ。
平井が何やら言いながら部屋を出て行った後もしばらくオレは動かれへんかった。
もしかして、オレははめられたんやろか・・・
- 216 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 07:40:46 ID:B04Htp8w
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 朝からスマソ…
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ちなみにカンタ→飛来、哲っちゃん→簗儀腹のあだ名ってことで・・・
読んで下さった方ありがとうございました。
- 217 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 08:04:54 ID:ukaVTBN1
- >>216
後編乙です。
ぶっちゃけ、飛来が受けると見せかけて
「あれ?上手く入らへん」→「ほな俺がやったるからお前はおとなしく以下略」の流れで
結果的には飛来×簗儀になると思ってたんですが、
最後まで飛来受けのままやってしまうとは予想外でしたw
簗儀×飛来は初めて見たけど飛来がやっぱりエロくて萌えました。姐さんGJ!
できればはめられた簗儀が今度は飛来にハメられる話も書いてホスィ。
- 218 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 10:47:12 ID:H7MnFA/L
- GJGJ!!
超GJ。萌え死ぬよ…
- 219 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 11:50:18 ID:A7dopsna
- >216
逆者ですが禿げ萌えますた。
姐さんGJでした!!
- 220 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 11:56:41 ID:FyLyUbrV
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ドラマ愛某の部下とラムネです。本スレにはなんとなく貼りにくいのでこちらで…
- 221 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 11:57:32 ID:FyLyUbrV
- ほんの戯れ。
二人きりになったオフィスで軽く唇をかさねた。行為を促すものではなく、ただ触れあいついばむような口づけ。
最初はそれだけだったが、背に腕をまわし髪を撫で、体の密着度がますうちに若い部下の方が耐えきれなくなり大きなデスクに大高知を押し倒した。反動で開いた股間に割り入り肩を押さえつけ、欲情しきった熱い眼で大高知を見つめる。
「港、ここでこれ以上のことはできませんよ」
熱いため息を吐いて、大高知は宥めるように自分を押さえつける港の腕を撫でる。
- 222 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 11:59:49 ID:FyLyUbrV
- もし、あのドアを開け誰かが来たら。
自分よりも妻帯者である彼への批判、風当たりの方が強いだろう。
所詮自分たちは許されざる関係なのだから。
「手を離しなさい」
体内で疼く熱を無視し、大高知は静かに恋人である部下に命令する。
- 223 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 12:00:21 ID:FyLyUbrV
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 224 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 12:51:27 ID:sCMzt1IV
- >>216よありがとう、脳内飛来受け推奨派の私としては生唾ゴクリものでした!
>>223モラリストなラムネが素敵!素敵ラムたん受けをありがとう。
- 225 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 16:38:55 ID:0gLyKmUL
- 凡河内は本来「おおしこうち」と読むが、地域によっては0'coachとも読むよと呟いてみるテスト。
- 226 名前:202=211:2005/11/16(水) 19:50:37 ID:B04Htp8w
- 感想下さった姐さん方、本当にありがd
本スレの方に感想下さった姐さん方にもここでお礼を言わせて下さい。
実は私、飛来×簗儀萌えなんですが、今回簗儀が大人しくヤられてくれなかったのでw
こんな展開になってしまいました。
ですから、いつか今度こそハメられてしまう簗儀の話も書いてみたいと思います。
そして今更ですが・・・あだ名が全然伏せれてない!
本当にすみませんでした・・・
- 227 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 20:52:55 ID:sytL8qeL
- >>226
や〜本当にすごいよかったです
簗攻めって本当初めてみたけど、やっぱ飛来がえろくて最高!
今度は飛来攻めみせてくださいw
- 228 名前:風と木の名無しさん:2005/11/16(水) 23:22:49 ID:FyLyUbrV
- >224さん感想ありがとうございます。自分ラムネタンの中の人を受けで見ているからラムネタンも受けなのですが…よかったですかね?
- 229 名前:風と木の名無しさん:2005/11/17(木) 00:02:27 ID:2Jgf7yxt
- >226
すごいよ!!最初から最後まで飴座離の声で脳内変換されたよ!!
超GJGJ!!!萌え!!(*´Д`)
- 230 名前:風と木の名無しさん:2005/11/17(木) 12:59:48 ID:WsfUf7uC
- まさか飴座離ssとラムネssが続けて見れるなんて…!
平良梁萌の自分も萌えさせていただきましたよ!GJ!>226
ラムネがエロく見えますよ!うは!ラムネは受けですよ(*´д`*)GJでした!>223
- 231 名前:風と木の名無しさん:2005/11/17(木) 21:30:20 ID:IBwXbeUD
- >>216
雨座利萌えじゃないんだけど萌えた(*´Д`)
子供の頃を思い出すあたりがすごく好きだ。
- 232 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 12:07:54 ID:mxgsZgur
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガ オオクリイタシマース!
ドラマ愛某主役二人組で書いてみました。
キャラが違っても気にしないでく・・・れ・・・;;
- 233 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 12:08:57 ID:mxgsZgur
- 「あー・・・・・・」
ため息混じりに瓶山が席を立った。
紅茶でも入れようかと考えていたところだった須木下は、それを横目でとらえて顔を上げる。見れば、瓶山は椅子にかけてあったブルゾンを手に取っていた。
「どうしました、瓶山君」
「え?・・・・・・あ、いや。煙草切らしちゃったんで、買いに行こうかなー、と」
面倒ですけどね。瓶山は苦笑しながら、ブルゾンを羽織る。
須木下に向き直り、軽く頭を下げた。
「んじゃ、行って来ますね。すぐ戻ります」
「いってらっしゃい、馨君」
ドンガラガッシャン
いきなり、瓶山が派手にコケた。
- 234 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 12:09:45 ID:mxgsZgur
-
どうにか立ち上がりはしたものの、動きがおかしい。見れば、顔が真っ赤に染まっていた。
「・・・・・・大丈夫ですか?」
「や、別に大丈夫ですけどそれより有響さん、今俺の名前―――っ?!」
「あぁ、あれですか。たまには君が僕を呼ぶように、名前で呼んでみようかと思いまして」
薄く笑みを浮かべながら、真っ直ぐに瓶山の目を見て。
「気を悪くしましたか?」
「いっ、いえ!全然っ!!」
ブルブルと首を横に振り、直後、慌てたように瓶山は部屋を出て行った。
顔を真っ赤に染めたまま。
それを平然と見送りながら、須木下は紅茶の缶に手を伸ばす。
瓶山が帰って来たら、また、名前で呼んでみようか。
コケることは明白だけど。
その光景を思い浮かべて、須木下は微笑んだ。
- 235 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 12:11:41 ID:mxgsZgur
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
短いしやばくないしホントに申し訳無い。
これでも瓶×須木だと言い張ってみる。
- 236 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 12:16:34 ID:708DG5gE
- >>232-235
名前呼び萌えるよ名前呼び(*´Д`)ハァハァ
- 237 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 14:53:46 ID:NyoFHPYV
- >>232-235待ってたよ!噛め雨居待ってたよ!GJです!(*´д`*)
- 238 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 19:34:26 ID:SD/VsNCs
- >232-235
名前呼び最高!!(*´д`*)ハァハァハァアハァ
- 239 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 22:08:09 ID:RPRK5zR/
- >>232-235
(n‘∀‘)ηキタワア!GJ!!
- 240 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 23:03:39 ID:90xndMfi
- [メタルギャー剃り井戸・木星コンビのけだるい日常]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)
- 241 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 23:19:19 ID:90xndMfi
- 「おい起きろ。起きろオタ魂、そして飯を喰え」
「…ぅ…ぅ"…ッヴハア!」
自分の口と鼻を覆っていた、蛇の大きくガサついた手をはね除けて飛び起きる春。
「目は覚めたか?相棒」
荒い呼吸を吐く春の顔前で、手をひらひらと振ってみせる蛇。
「…こ、殺す気かいこの人でなし!大体今は何時だ!…9時じゃないか!まともな人間の起きている時間じゃない!」
怒鳴った勢いで激しく咳き込む春、その背をさする蛇。
「それはすまなかったな、真人間さん。俺もこの時間に起きてくれるとは予想外だ、後二時間は起きないと思った」
「さすがに、アレじゃ起きるさ。で、こんなバカげた時間に起こしてくれるご大層な用件はなんだい?」
「先週の約束に付き合え」
「約束?」
- 242 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 23:42:47 ID:90xndMfi
- 「今日の買い出しには付き合ってくれるんだろう?」
「…そんなこと云ったかな」
「賭け鞠男カートだ、お前が勝ったらフィギュアだかナンダカを買いに俺がトイザらス開店前徹夜だった」
「…ボクが君に負けたって?そんなこと」
「あったんだよ、証拠リプレイだって保存している…お前の調子に乗りすぎた走りは永久保存モノだな」
蛇はいつのまにか春の部屋の無数のモニターのひとつにゲーム機を繋げて、いつぞやの対戦を再生している。
「冗談じゃない…ボクがあんなコーナリング…」
「お前さんが負けたら次の買い出しに付き合う、忘れてないだろう?冷蔵庫の中身も缶詰も尽きる、外に出てもらうぞ」
春の部屋の遮光カーテンを勢いよく開く蛇。しかし室内と代わり映えしない明るさ。
「…雨じゃないか、こんな日になんでわざわざ」
「こんな日でも、だ。どうせ車だ」」
「どうせ車なら君の運転だろう、ボクが行く必要なんて…大体ボクを外に連れ出そうって腹だろうけど雨じゃ無駄足だ」
「必要だとか無駄足だとかは関係ない。約束は約束だ。支度をしろ」
- 243 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 23:51:11 ID:90xndMfi
- 「…嫌だ。行きたくない…雨は…水は嫌いだ」
「何故?」
「……溺れて人が死ぬから」
「……水が全く無くても、人は渇いて死ぬな」
しばし沈黙。
「要はバランスだろう、お前も引きこもりすぎだ」
「君のタバコだって多過ぎる…」
更に沈黙
- 244 名前:風と木の名無しさん:2005/11/18(金) 23:59:57 ID:90xndMfi
- 「…お前さんとの会話を楽しむのもいいがな、ずっとこうしている気か?」
「…」
「それじゃあ貸し一つだ。鞠男カートの罰ゲームを考えながら行ってくるかな」
部屋のドアに向かう蛇。反射的にベットから起きあがり蛇のシャツをつかむ春。
「行くよ、君の罰ゲームとやらはいつも悪趣味だから」
「…水は嫌いなんじゃなかったのか?」
「あんなの…云ってみたかっただけだよ」
春、口元だけをゆがめて笑う。蛇、シャツをつかんだままの腕を取り、引き起こした。
二人、小雨に濡れたまま、駐車場へ歩く。ゆるく、笑い合いながら。
- 245 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 00:00:45 ID:90xndMfi
- □STOP ピッ ◇⊂(・∀・)カイテミタカッタダケデシタ
- 246 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 00:07:27 ID:uYNWYUxv
- >>245
あ り が と う
会話から関係からツボ過ぎる・・・。
- 247 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 03:39:24 ID:uqJ9baAM
- >>245
GJ!GJ!!!
鞠尾カートしてる二人に激しく悶えました。
- 248 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 12:03:42 ID:lS5inGbs
- 台本?
- 249 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 16:43:29 ID:GRz4ZxPB
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 仁D赤城山の兄弟
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| エロなし。シーンのみ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 250 名前:不覚1:2005/11/19(土) 16:45:56 ID:GRz4ZxPB
- 「こいつは……」
FCはドアを開けて眉を顰めた。
部屋がゴミ箱だ。
脱ぎ散らかされた服、車雑誌、マックシェイクのカップにハンバーガーの包み紙。
新しいタイヤホイールやら開けられて中身の散らばった工具箱。
足の踏み場どころか床も見えない。
あまり踏み込みたくない。叶うことならこの部屋丸ごと巨大なゴミ箱の上で逆さまにして
ガサガサッと全部捨て、底をぽんぽんと二、三回叩きたい。
しかしそうも言ってはいられない。
FCはため息を一つ吐くと、自分で足の踏み場を作りながらその奥にあるベッドに向かった。
今日はロングクルーズだから今のうちに少しでも眠っておけと昼過ぎからFDを寝かせたが、
時間になっても起きてくる気配がない。仕方なく起こしに来たら案の定だ。爆睡している。
「ほら、そろそろ起きろ。時間だ」
身体を軽く揺する。
ベッドの主は当然その程度では起きない。
うーん、とうるさそうに唸ったかと思うと寝返りを打った。
「こら、いい加減に……っ」
アッパーシーツを引き剥がそうと身をかがめた所で不意に腕を引かれた。
思わずバランスを崩して寝ているFDの横に手を付いた。
- 251 名前:不覚2:2005/11/19(土) 16:47:08 ID:GRz4ZxPB
- FCの手を引っ張ったFDはFC首に縋りつくように引き寄せる。
寝ぼけている弟にFCは苦笑すると腕を放して身を起こそうとする。
と、FDは眠ったままニパッと子供の頃のような笑いを向けたかと思うとそのまま唇を重ねてきた。
笑顔があまりにも無防備だったので、FCは一瞬抵抗を忘れた。
「んっ……んんんっ」
舌を絡められたところでFCはハッと我に返り、乱暴にFDを引き剥がし、殴りつけた。
「いい加減にしろ!」
ようやく目を覚ましたFDは目の前のキスの相手が誰であるかを悟った。
「うわあああああっっっ!」
叫び声を上げて後ずさった拍子にガンッと壁に頭を打ち付け、
涙目で頭を抑えるFDの上に剥がれ掛けたポスターがバサッと覆い被さった。
「誰と勘違いしてる」
「アッ……アニキ……」
ポスターを払いのけたFDの目の前には眉間に僅かに皺を寄せただけで表情を消したFCが静かに立っている。
これ以上ないほど深く怒っている顔だと長いつきあいのFDには一目でわかった。
「っ、ああああ、いいいい、いやっ、そっその……」
何か言い訳しようとしても何も出てこない。恐ろしすぎて謝ることすらできない。
「五分で用意して降りてこい」
FCは冬の赤城よりも冷え切った声で告げると部屋を出ていった。
狼狽えまくったFDはその時FCの耳が僅かに赤くなっていたことに全く気付かなかった。
- 252 名前:不覚2:2005/11/19(土) 16:47:43 ID:GRz4ZxPB
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 短っ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 253 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 18:34:42 ID:X5fN/leW
- >249
FDの部屋の描写がナイス!!禿ワロタよ。その部屋に対するFCの感想もFCらしくて良い。
>249姐さんありがとう!!GJ!!
- 254 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 22:17:28 ID:uqJ9baAM
- 格ゲの寒来魂、将軍×大統領リバ風味。
マイナーかとは思いますが。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・) ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 255 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 22:20:08 ID:uqJ9baAM
- 人差し指を噛まれて、手袋だけ外される。
良虎に腰に跨がる形で床に固定され、その唇に自分の手袋をくわえられたまま、挑発的な視線を送られる。
「正気かっ…君は…!」
眉根をギュッと寄せ、倒された衝撃でズレた眼鏡越しに自分を組み敷いた男を睨みつける。
「じゃなきゃ誰がこんな事をする」
見掛けに寄らず高い声を発した喉が上下に揺れた。
「しかし私も君もっ」
「男だぜ?しかも屈強な」
自分の、焦りが見れる喋りに。
あくまでも余裕の姿勢を崩さないのは、体勢的に優位だという事実からだけなのだろうか。
「だったら何故…!」
「何故アンタは逃げない」
余裕の笑みを浮かべる良虎とは対称的に、疑問を発した口から表情が固まって行く。
- 256 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 22:22:07 ID:uqJ9baAM
- 「こんな乗っかっただけの体勢は拘束とは言わねぇ。ましてアンタなら軽々と俺を倒せるだろう?」
そう言いながらも上体を倒して顔を近付けてくる良虎の瞳から。
何故か反らせない見開いたままの瞳。
「なあ、別に心底から嫌って訳じゃあ無いんだろ?」
段々と、良虎の影で前も見えなくなる。
「案ドリュー」
己が名前を、呼ばれてはっとする。
自分はこんなにも、興奮していたのだ、と。
- 257 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 22:24:06 ID:uqJ9baAM
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
IDがうp記念パピコでした〜
- 258 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 22:27:24 ID:uqJ9baAM
- >>257
pじゃねえよqだよ自分…orz
ちょっと逝ってキマス…
- 259 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 23:03:42 ID:l3v7OQWJ
- 自サイトに載せるかもしれないSSを載せてもいいんですかね?
- 260 名前:風と木の名無しさん:2005/11/19(土) 23:52:36 ID:+ykmm3SK
- ローカルルールを見た限りじゃあ禁止してないし、
2chに載せて、自サイトにも載せてる作者さんは
たくさんいるから、別にいいんじゃない?
- 261 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 00:12:36 ID:hFZkeg3m
- >260さんありがとうございます。
では今日は眠いので後日こちらに載せようと思います。
- 262 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:07:48 ID:UxCOu1ts
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 仮/面ラ/イダー無礼℃兼崎×立華だモナー
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 変態兼崎の集大成だカラナ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ビデオ棚9の538からの
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 続きですゴルァ!!
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ エロのみですゴルァ!!
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | 軽い変態どころじゃないので
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || | 苦手な方はスルーお願いしますゴルァ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 263 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:08:39 ID:UxCOu1ts
- 1/20
「久しぶりだな兼崎!」
「はい。とうっ!」
「あっな、何を」
「え?こうなる事わかってて来たんですよね?」
「ちが…」
「違うなんて言わせませんよ。この間、俺の事好きだって言ったじゃないですか」
「そ、それは…そうだが、」
「何言ってるんです?好きで逢いたいって、こういう事ですよ立華さん。ゼンリツセンって知ってますか?」
「は?」
「ゼンリツセンですよ、立華さん。ゼ・ン・リ・ツ・セ・ン。」
「うわあぁぁぁぁああぁあぁあああぁあぁぁぁ」
その日の朝は壮絶な夢を見て飛び起きた。
先日、俺、兼崎は色々期待して色々調べたんだ。
色々というと、まぁ、色々だ。
……。
立華さんにもあるんだよなぁ…?ゼンリツセン。
昨日、立華さんが福岡に来た。
そう、俺の家には今、立華さんが居る。
- 264 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:10:34 ID:UxCOu1ts
- 2/20
俺が飛び起きた気配は特に感じなかったらしく、立華さんはスヤスヤ寝ている。
俺の隣で
まぁ、違う布団だけどさ。
でも俺が貸したスウェット着てるんだぜ。
昨日はなんだかドキドキしちゃってヘラヘラしてるうちに寝る事になって…
つまり何も無かった。
立華さんは終始いつも通りで、そういう雰囲気になりそうな気配も無かった。
俺はドキドキし過ぎたせいで寝てる間にイタズラとかもできなかったし。
まぁ密かにこの日の為に用意してた100円ショップで買ったお揃いのカップでコーヒー飲んだりしてたけどね。
立華さん気付いてたかなぁ
あっあとコンビニで買ったおでんのたまごを半分こしたりしたんだ。
そんだけかなぁ。まぁ、初日だし立華さんも疲れてるだろうし。
立華さんが今俺の隣に居るってのは事実で。
それだけでもなんだか幸せで顔がにやける。
ジッと見つめていたら、立華さんが寝返りを打った。
んー…愛おしい、って、こういう感じだよな。
やっぱり俺、立華さんが好きだなぁ…
すごーーーく。…うん。好き。
立華さんが寝ているのをいいことに、キスをした。
そのせいで、忘れかけていた感覚が、こんな爽やかな朝に甦った。
- 265 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:11:17 ID:UxCOu1ts
- 3/20
「…おはよう」
「おはようございます」
立華さんが起きたのはそれから一時間くらいしてからだった。
俺はその間にトイレで一回抜いていた。
いや、催しちゃったものをそのままにはできなかったからさ。
立華さんはスウェットのままのそのそ歩いてきてテーブルを挟んで俺の向かいに座った。
ソファなんてこ洒落たものはないから床だけど、クッションはひいてある。
やっぱりこの日の為に100円ショップでクッションを買っておいたんだ。
立華さんは余分に置いてあるクッションを掴んで何やらグニグニしている。
もっと柔らかいの買っておけば良かったな。
「お茶淹れてきますね。」
「んー…」
立華さんはまだ寝ぼけているみたいでなんだかかわいい。
右側にぴこって寝ぐせがついているのもかわいい。
俺と色違いのカップで緑茶を飲んでいるのもかわいい。
とにかくかわいいしかっこいいし、好きだ。
好きだ。
好きだ!
好きだ!!
- 266 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:12:01 ID:UxCOu1ts
- 4/20
「立華さん」
「ん?」
「今日は、あのー、何しましょうか。」
「んー…お前が何かしたい事があれば、つきあうが。」
「え?いいんですか?」
「あぁ。もちろんだ。せっかく久しぶりに逢えたんだ。なんでもつきあうぞ。」
「ええ〜?本当かな〜?」
「なんだ。俺はちょっとやそっとの事では根をあげるつもりは無いが?」
「そうですか。」
にこにこしちまう。
あー俺、幸せ者だな〜
「じゃああのー、いきなりですけど、抱かせて下さい!たch」
びっくりした。
すごい勢いで殴られた。
俺以上にびっくりした顔をした立華さんに。
「今なんでもつきあうって言ったじゃないですか!」
「お前馬鹿だろ!!」
「えー?!今更そんな根本的な所で責めないで下さいよー!」
「ば・か・だ!!」
「なんですかも〜…じゃあー立華さんがしたい事がしたいです。」
「何?」
「何かあります?俺もちょっとやそっとじゃ、根をあげたりしませんよ。」
「俺か…?んー…ラーメンは昨日食ったしなぁ…明太子はお土産だから…」
「食べ物だけですか」
立華さんはしばらくああでもないこうでもないと考え込んでいた。
ほんと、まじめなんだ。
ついさっき俺に抱かせろって言われて怒った事とかもう忘れてんのかな。
- 267 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:12:48 ID:UxCOu1ts
- 5/20
「ん、じゃあ、久しぶりに兼崎と居るんだから、話しをしよう」
…うわぁ…
なんだか、俺、幸せ者過ぎるんじゃない?
ちょっと感動しちゃったよ。
だって「話し」だよ、「話し」。
基本だよな。うん、全てに於いての基本だ。
「はいっじゃあ、逢えなかった間の立華さんの話しが聞きたいです!!」
「俺の事か?俺は研究ばっかりだから…つまらんぞ。」
「あ、人類の研究ですよね。某度復活おめでとうございます!」
「ん、ありがとう。だが…人類の研究は今は他の人に任せて、俺はもっぱらジ/ョーカーの研究だ」
「あっ…」
「お前の事、な」
そう言ってからかうように笑った。
笑った!
つまり今って、俺の事ばっかり考えてたって言って、笑ったんだよな?
からかうように笑う立華さんに、だけど俺はどうしようもなく愛されている気分がした。
ああ、立華さん、本当に俺の事…
あー駄目だ。
やっぱ駄目だよ。
話しとか、したいけど、してる場合じゃないよ。
したいけどね。いやしたいんだよ。それは事実なんだけど。でも。
せっかく隣にいるんだ。手が届く位置に。
- 268 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:13:33 ID:UxCOu1ts
- 6/20
「じゃあ…本当に俺の事ばっかり考えていてくれたんですね」
「ん?少し語弊がある気がするが…あと、愛川初な。」
立華さんはちょっと驚いた顔をして、それから少し目線を彷徨わせてそう言った。
はい。
はい、わかってます。
「でも99%くらいは俺の方ですよね?」
「ん?…そんな事は無いが。」
「俺の事好きなんですよね?」
「…………まあ…」
「俺も好きです。」
「…前聞いた。」
「立華さん俺に逢いたくてしょうがなかったんですよね?」
「おい、お前またなんか変だぞ」
「身の危険は感じなかったんですか?俺ん家に来て、泊まっちゃって、ねぇ?」
「身の危険てなんだ」
「だって俺はどうしようもなくあなたを抱きたい人間ですからね。知ってるじゃないですか」
「…っ…、」
「身に染みて。」
「…お前っ」
楽しい。
なんだか知らないけど俺、すごい自信だな。
立華さんは俺がこの日の為に買ってきたクッションをずっとグニグニしている。
この根拠のない自信はどこから来るのかって?
そんな事俺にもわからない、だけど今あなたがここに居る事が全てかなぁ?
それにさっき、確信しちゃったもんで、すいません。
あなたは、俺が好きだ!!
- 269 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:14:20 ID:UxCOu1ts
- 7/20
「感じて下さいよ。身の危険。」
「必要ない」
「さっきも言いましたけど、今すぐにでも抱きしめたいですよ。いいですか?」
「いいわけないだろう」
立華さんはあっちを見たりこっちを見たりして居心地が悪そうだ。
俺はおかしいし変態だけど、空気は読めるんだ。
空気は読めるけど、おかしいし変態だからあまり気にしないんだ。
だってあなたは俺の事が好きだから。
確かに俺の事を好きでいてくれるから。
俺はハイハイしながらテーブルを越えて立華さんの隣りに行った。
「ほら、身の危険ですよ。」
立華さんの歯がギリ、と鳴る。
頭を叩かれた。
すかさずその手を取り、引き寄せた。
「兼…っ」
「叩かれると思いました。思うつぼですよ立華さん」
「おいっ」
「はい。身の危険感じましたか?」
「放せっ」
「駄目です。」
左手で立華さんの右手を引き寄せ、右手を立華さんの腰に回して一度引き寄せ重心を奪う。
腰に回した手を外し左手を掴み、そのまま押し倒した。
さらに足の上に乗り上げて足の自由も奪う。
「感じましたか?」
- 270 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:15:07 ID:UxCOu1ts
- 8/20
「怒るぞ兼崎」
「好きです。」
でもさ、でもさ、俺。
立華さんを怒らせたいわけでも、悲しませたいわけでもないんだ。
真意を伝えたくて、真剣な顔で見つめた。
「好きです、立華さん」
ジッと見つめる。
「大好きです。」
手足の戒めを解く。
立華さんは少し驚いた顔をした。
立華さんの手を引っ張り、起こす。
意味がわからないという様子で俺を見る。
「大好きなんです。」
戸惑う立華さんに向かってにっこり微笑んだ。
立華さんは少し俯いて、目を彷徨わせた後、「…あぁ」と小さく答えてくれた。
だから俺は今度はゆっくりと立華さんの身体を抱きしめた。
抵抗は、無い。
「逢いたかったです。」
「……」
「逢いたかったです……本当に」
「……」
「……」
「…………………俺も、だ」
その小さい声を俺ははっきりと聞いて、抱きしめる腕に力がこもる。
…ほら。
やっぱりあなたは、俺の事が好きだ。
幸せだなぁ…
- 271 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:15:59 ID:UxCOu1ts
- 9/20
少しの沈黙。
ゆっくりと顔を傾け、立華さんに口付ける。
この空気がくすぐったくて、思わず微笑む。
立華さんはまだ少しムスッとしているけれど、抵抗しないって事は、肯定なんだ。
おでこをくっつけあったまま抱きしめる。
また、触れるようなキス。
じゃれるようなキスを繰り返し、また立華さんを見つめた。
見つめられる立華さんの唇が薄く開いたのを合図に、深く口付けた。
不思議だな。舌なんて、飯食ってる時はなんともないのに、
なんでこんなにシビれるんだろう。クチュクチュという音が耳に響く。
もっと、もっと欲しい。
立華さんの舌を絡めて口内に引き寄せる。甘く吸いつけば立華さんが少し震えた。
もっと、もっと繋がりたい。
スウェットの裾から手を滑りこませると立華さんの身体が硬直した。
「ちょ、ちょっとまて、ちょっと待て!」
「駄目なんですか?」
「駄目っていうか…今、真っ昼間だぞ!」
「俺の性欲は昼夜を問いません」
「問うてくれないか」
「全然無理です。」
- 272 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:17:01 ID:UxCOu1ts
- 10/20
触れるだけでわかる、相変わらず鍛えられた腹筋を丁寧になぞる。
「あ、まっ」
「待てません。この日をどんだけ待ったか…わかりますよね?」
少し強引に体重をかけてのしかかり立華さんを組み敷いた。
立華さんは俺の肩をきつく掴んでいるけどこの程度の抵抗なら俺は止まれない。
横腹を指でなぞれば立華さんの身体がぶるっと震えた。
指がお腹を彷徨う中、奪うという表現があうようなキスをする。
強引に舌を入れて口内をかき回した。
ギュッと目を閉じた立華さんの顔が目の前にある。
なんか、犯してるみたいだ。
…みたい?
犯してるのかなぁ…
「嫌ですか?」
「嫌だ!」
「ほんとに嫌ですか?嫌なら、やめます」
「嫌だ」
「そこで小さい声になると俺は止まれないんですけど」
「嫌だ」
「いいんですね?しちゃいますよ?」
「…嫌だ」
「好きです。立華さん」
また口付けた。
ああもう、ほんっとに、愛おしい人だ。
「俺…この日の為に色々用意したんです…」
「…は?」
- 273 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:18:12 ID:UxCOu1ts
- 11/20
立華さんがあっけにとられている間にひっくり返してうつぶせにした。
そのまま背中で腕を組ませ、二本に束ねたロープをクルクルと巻き付け、
指が入る程度の余裕を持たせて縛った。
「っっっ兼崎っっ!!!」
「はい!」
「お前、変態になったのか!!」
「すいません、多分もともと変態です。立華さんに関しては。」
「やめろ馬鹿!」
「でも嫌じゃないでしょう?」
「い・や・だっ!!!」
「大声出さないで下さいよ。お隣さんに聞こえちゃいます。」
「いやだーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「それ、逆に燃えるんですけど。」
じゃーん、と取りだしたのは、やっぱり100円ショップで買った毛筆。
あ、ロープもね、100円ショップ。なんでもあるんだよなぁ。
筆を見た立華さんが信じられないモノを見る目で俺を見た。
すいません、気持ちはわかるんですけど。
激しく抵抗する立華さんを仰向けにさせる。
俺は幸か不幸かア/ンデッドだから、生身の立華さんより力だけははるかにあるんだ。
立華さんが着ている俺のスウェットはいとも簡単にめくれ上がった。
俺は左手で立華さんの肩を押さえつけ、ゆっくりと筆先を肌に滑らせた。
「いっ」
立華さんがくすぐったそうに暴れる。
こそこそとおへそのまわりに筆を走らせる。
「殺す…」
- 274 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:19:06 ID:UxCOu1ts
- 12/20
すごくはっきりそう言ったので、多分本気で殺す気だと思うけど、
俺は幸か不幸かア/ンデッドだから死なないのをいいことに続けることにした。
くるくると円を描きながら、筆先はチクビに触れた。
立華さんは口をきつく噛んで悔しさをやり過ごしているみたいだ。
だから左チクビを執拗なまでに筆で責め立てた。
「もう勃ってきましたよ。」
ああ、俺、最低かも。
ぷくっと勃ったチクビの先端だけをこそこそとくすぐる。
立華さんが横を向いてしまった。
だけどそんな心とは裏腹に後ろ手に縛られているせいで胸を突き出すような形になっているから余計屈辱だろうなぁ
左ばかり責めたので、右が寂しそうだ。
俺は筆を口に含んだ。
唾液で充分に湿らせてから、今度は右のチクビを筆でなぞる。
「ぁっ!」
水分を含んだ筆は存在感を増す。
横を向いていたせいで、俺がした事に気付かなかった立華さんは
突然の湿った感覚にびっくりして声をだし、俺を見た。
その目があまりにも揺れていて、なんか、なんていうか…
メチャクチャにしたくなった。
「すいません。」
- 275 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:20:11 ID:UxCOu1ts
- 13/20
覆い被さり、右チクビをひと舐めした。
また立華さんが顔を伏せる。
あー、この、舌でもわかる突起感がたまんないなぁ
まだ柔らかいそれを堅くさせたくてチロチロ舐める。
舌先を尖らせてチクビの付け根をぐるぐると舐める。
付け根から先端へと舐め上げる。
細かく左右に動かしチクビの先端だけを責める。
立華さんは必死に顔を横に向け、床にすりつけている。
だけど時々ハッと息をついているのが聞こえる。
右を舌で責めつつ、止まっていた左をまた指で弄りはじめる。
細かく上下に擦れば肩がケイレンした。
「気持ちいいですか?」
返事は無い。もっと、もっと感じて下さい立華さん。
キュッと摘むと「んっ」と声が漏れた。
イヤイヤと頭を動かすけれど、やはり伏せてしまう。相変わらず感じてる顔はみられたくないみたいだ。
「かわいいです、立華さん…」
右を充分湿らせたので、今度は左を舌で、右を指で弄る。
人差し指と親指で摘み、細かくスライドさせる。
先端だけをトントンとつつく。
舌全体を肌に当てて下から上にゆっくり動かす。
乳輪をスッポリ口に含んで吸い上げる。吸い上げたまま舌先でチクビだけを弄り、甘噛みする。
唇をすぼめながらゆっくりと吸い上げ、唇だけでチクビを引っ張る。
唇からチクビが抜けて離れるとき、チュプッと音がした。
「いやらしいですね。」
「…お前がな」
立華さんのくぐもった声がした。
- 276 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:21:06 ID:UxCOu1ts
- 14/20
スウェットのズボンの中に手を入れると立華さんが息を飲む音がした。
もう今更抵抗する気も失せたのか、立華さんは何も言わない。
手を広げてチンチン全体を掴みグニグニと揉んだ。
もうすでに勃っていたので、少し堅い。
立華さんがまた唇を噛みしめる。
そんなに噛んだら、血が出ちゃいそうだなぁ…
そしたら、舐めてあげますからね。
ふと、顔が見たくなって、顔の横に肘をつき、上から見下ろした。
髪の毛が邪魔なので梳いて上げた。
もう一方の手では相変わらずチンチンを揉みながら。
立華さんはギュッと目を閉じ、
「変態…」
と呟いた。
すいません。
スウェットは下ろさず、手をつっこんだままチンチンを扱く。
「ぁ…はっ…」
さすがにチンチンへの刺激は我慢が効かないみたいで声が漏れる。
俺は相変わらず立華さんの顔を見下ろしたままズボンに手をつっこんでチンチンを扱く。
どんな顔でイクのか見てみたい。
「やめろ…っ」
「そういえば、こんなのも用意しました。」
乳液。やっぱり100円ショップ。
一旦手を離し、その手にたっぷり乳液をかけ、再びズボンに戻す。
あふれた乳液が立華さんの腹に点々とこぼれている。精液みたいで卑猥だなぁ
掴んだ手がズルリと滑る。
「いいですねえ。」
- 277 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:22:10 ID:UxCOu1ts
- 15/20
扱く度にズチャッズチャッといやらしい音がする。
滑りやすくて扱きやすい。立華さんが一番感じる亀頭の付け根を重点的に擦る。
亀頭の付け根を通過するタイミングで「ん、ん、ん、ん、」と声が漏れている。
必死に口を閉じているから、鼻にかかった甘い声だ。
先端を人差し指で小刻みにスライドする。
筋にそって上下に指を滑らせる。
亀頭の付け根をねじり上げるような動きを繰り返す。
「んぁっ、あっ、っ、あっ、兼崎!」
「イきますか?」
鳴き声みたいな声がする。
立華さんの髪をかきあげる。
イク顔がはっきり見えるように。
「はぁっ」
ひときわ背中がしなり、身体がビクビクとケイレンした。
同時に手の中のチンチンも脈打って、ズボンと手の隙間から立華さんの腹に白い液が散った。
俺は、立華さんの顔を見ていた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………」
「イク時、そんな顔するんですね。」
息を整える立華さんはとても綺麗だった。
「泣きそうで、すごくかわいかった。」
「……ほどけ…」
腕の拘束の事だろう。
「まだ駄目です。」
「何?」
「もっと気持ち良くなるはずなんですけど。」
- 278 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:23:11 ID:UxCOu1ts
- 16/20
立華さんをひっくり返してうつぶせにさせる
後ろ手に縛られているせいで浮き上がった肩甲骨がすごく綺麗で思わず指を這わせた。
「はぁあっ!」
「あ」
「、やめろ馬鹿っ」
そうだ、背中弱いんだった、立華さん。
思い出したからにはやめろと言われてやめるわけにはいかない。
また覆い被さり舌でチロチロと舐め回す。
「うぁっ……っ……く……ぅ」
必死で声を押し殺す立華さんがかわいくて、余計いじめたくなるんだ。
立華さんの腕に鳥肌が立つ。
丁寧に舐め上げながら、空いている手をズボンに入れた。
そして、お尻の割れ目を指でひろげた。
「なっ何する気だ!!?やだ、いやだ!いやだ兼崎それだけはっ!!」
「大丈夫です、大丈夫だから。」
「大丈夫じゃない!絶対大丈夫じゃない!!許さないぞ!」
「俺ちゃんと調べたんです。だから大丈夫です!」
「この、馬鹿っ!絶対駄目だ!!」
これは、まずい。
急いで指にたっぷり乳液を付けて、中指と親指で広げ人差し指をゆっくり押し込んだ。
「いっやだぁって、言ってるのにっ」
息遣いが荒い。
うわっすげえ。指がいてぇ…
指だけでこんな締めつけられんの?
チンチンなんか入れたら千切れるってこれ
ゆっくりゆっくり押し込んで行くとそれ以上進まない所があった。
- 279 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:24:14 ID:UxCOu1ts
- 17/20
「立華さん、少し力抜いて貰えますか?」
「嫌に決まってるだろう!」
「痛いですよ?」
「嫌だって言ってるだろう!!」
鼻が赤い。泣きそうだ。…かわいい
ゆっくり、強く押し進めて行くと、なんとか通過した。
そのまま指の付け根まで入れて、馴染むまで動かさずに居た。
しばらくして落ち着いたのか、立華さんの息が整ってきた。
確か、第一関節を曲げたあたりとか書いてあった。
くいくいとあたりの壁を掻いてみる。
「う、ぐ、動くな馬鹿っ」
ぐるりと動かしてみたが、それらしきものは見あたらない。
…全然わかんないぞ、これ。
あたりはひたすら肉の壁って感じだ。
二本入れなきゃ駄目とか?
でも…正直無理だなぁ。一本でこんなに狭いんだもん。
どうやったらここに二本も三本も入るんだろう。
しかもチンチンが??有り得ないよ!!
あわよくば入れようと思ってたのに…
「おっかしいなぁ」
「何がおかしいだ!変な情報ばっかり仕入れてるんだろう!」
「いや、確かにあるはずなんですよ、ゼンリツセン。」
「こんな事で見つかったら奇跡だな」
「えー!そうなんですかぁ?!ていうかなんでそんな事知ってるんです?」
「俺は人体の研究もしてるに決まってるだろうが!わかったら早く抜け!」
- 280 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:25:08 ID:UxCOu1ts
- 18/20
嘘だぁーだって、医学書とか見ても確かにあるのに、確かにこのあたりにゼンリツセンがあるはずなのに、
「誰だ兼崎が見えるような所にそんな情報置いておいたのは…」
すっかり慣れたらしい立華さんがブツブツ言っている。
なんだよ〜もっとすっごく気持ちよがってる立華さん見れると思ったのに…
仕方なく抜こうとしたその時だった。
ズルリと抜ける途中で立華さんが震えた。
「あれ?今」
「何がだ。何も無い」
やっぱり!!嘘つきーー!!
急いで乳液を付け直しまた少し入れては出してみるが反応が無い。
「気持ち悪い、やめろっ!…トイレ行きたい」
「えーー!!だって今、今っ」
何度か繰り返すが、無い。
「あーーー!!!もーー今絶対あったのにーーー!!」
「俺の方が怒りたいんだぞ!!」
「だって俺、立華さんを気持ち良くしたくて、調べまくったのに」
「いい迷惑だけどな」
「だって、だって、」
「あーもう、わかったから…ほどけ。いい加減痛い」
痛いと言われたら、ほどかないわけにはいかない。
釈然としないけれど拘束を解いた。
立華さんはしばらく手をぶんぶん振って血を戻していた。
そして、思いっきり叩かれた。
「この、馬鹿!」
「お、おこ、怒ってます?」
「怒ってるに決まってるだろう!」
- 281 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:26:06 ID:UxCOu1ts
- 19/20
「でも立華さん、俺の事好きですよね?ね?」
「…〜〜〜馬鹿!!」
「嘘だぁ!好きですよね?ここは素直になってくださいよ!今日は無礼講で!」
「お前が言うな馬鹿!!」
「嫌だ〜〜立華さああん!!」
立華さんの腰に巻き付く。
頭を押し返されたけど必死でしがみついた。
だって、だって、だって。
「だって、だって、立華さん…!」
「ああーもう」
また頭を叩かれた。
でもひたすらしがみついていた。
「…俺は何でこんな変態が好きなんだかな」
ぶっきらぼうに。
小さい声で。
だけどやっぱり俺はそれを聞き逃さなかった。
「立華さん!!!」
ガバッと抱きつけば、罵声が飛んだ。
立華さんの手は俺の後頭部をぼこぼこ殴ったあと、背中にまわった。
- 282 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:27:32 ID:UxCOu1ts
- 20/20
「今日はーもうこのままダラダラいちゃいちゃしませんか?」
「いちゃいちゃ、だ?」
「ゼンリツセン見つけません?」
「諦めろ変態。」
「変態ですもん」
腰に手を回しそのまま押し倒す。
…あー
俺ってほんと、幸せもんだ。
「放せえーーー!!」
「またまたぁ」
ほんと、素直じゃないんだから。立華さん。
だーい好きです、立華さん♥
- 283 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:28:08 ID:UxCOu1ts
- ____________
| __________ | 作者からのメッセージだカラナ
| | | | 最初空港に着いた所から始めたら
| | □ STOP. | | とんでもない長さになってしまい、
| | | | ∧_∧ 削りまくった所、エロしか残りませんでした。
| | | | ピッ (・∀・ ) それでも長くなってしまってすみません。
| | | | ◇⊂ ) __ 楽しんでいただけたら幸いです。
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | だってさ
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 284 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 01:40:39 ID:wnZZAQ37
- GJ!
リアルタイムで萌えられて良かったよ
筆プレイ・・・・・ハァハァ
- 285 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 03:45:04 ID:OQkbuUdu
- >262
乳首攻めキタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
姐さんの文章大好き!また読めて幸せ(*´д`)
- 286 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 04:38:29 ID:rzx3hhze
- >>262-283
け、兼崎の幸せ者め! hentaiの癖に!!
立華さんが可愛いのは勿論なんですが、
兼崎がちぎれんばかりに尻尾を振る犬みたいでもう堪りません。毎度毎度超ゴチです。
>幸か不幸かア/ンデッドだから
お前……!w
- 287 名前:1/12:2005/11/20(日) 10:36:44 ID:hFZkeg3m
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ドラマ愛某の、痛み×瓶山デス。デモ二人ト言ワレナイト判ラナイカモ。
- 288 名前:2/12:2005/11/20(日) 10:38:34 ID:hFZkeg3m
- あの変わり者のインテリに尻尾振ってる姿にいつも苛ついていた。
俺の目の前で、いつも着ているふざけた洋物軍用ジャンパーを無造作に脱ぎ捨てベッドに飛び乗り、両手を後ろについて脚を投げ出した。
ふぅ。と息をつき顔をあげて、寝室のドアの前から動けないでいる俺を見上げる。
「いつまでそこで突っ立てるんだ。だいたい、やりたいって言ったのはおまえだろう?」
怖じ気づいたのかと笑われ、かっと頭の中が熱くなった。
- 289 名前:3/12:2005/11/20(日) 10:41:15 ID:hFZkeg3m
- 「う、うるさい。そんなわけねえだろう」
僅かに声を震わせ、俺は上着を脱ぎネクタイを緩めながらベッドへと向かう。
「取って食ったりはしねえから安心しろよ。てか食われるのは俺の方だし?」
憎らしいほど余裕たっぷりの笑顔。
熱い頭の中の僅かに冷静な部分が、ベッドに上がることを、こいつを抱くことをひどく躊躇わせていた。
たしかに「やらせろ」と言ったのは俺だ。だがあれはいつもの売り言葉に買い言葉で、つい言ってしまったこと。
なのにこいつはにやりと笑い、あっさりと「いいぜ」と返しやがった。
頭の中が一気に沸騰した。
- 290 名前:4/12:2005/11/20(日) 10:45:52 ID:hFZkeg3m
- のろのろとベッドに近づくとネクタイを掴まれ引き寄せられた。あっと思った時にはすぐ目の前に顔があって、弱く唇がぶつかり咥内にぬるりと舌が入ってきた。
上顎を嘗められ舌を吸われ、背に回された腕に導かれるようにベッドに上がり目の前の体を組み敷いた。
掌から伝わる筋肉の堅い感触が、間違いなくこいつは男だと伝える。
本当にやれるだろうか?
たしかに目の前の男に欲情している。目を瞑れば無視できる程度の恋情も、認めたくはないが持っている。
だが…俺にこの男が抱けるのか?
- 291 名前:5/12:2005/11/20(日) 10:51:24 ID:hFZkeg3m
- 唇を離し目を開けると、やはり余裕たっぷりの笑み。
「こいよ」
うなじから髪を逆撫でるように手を動かされくしゃりと髪を撫でられた。
ああ…頭がぼぉっとして目の前がチカチカする。
もうどうにでもなれ。
勢い任せに肩を掴んで押さえつけた。
余裕の笑みは変わらない。
肩から手を離して頬を撫で親指の腹で唇をなぞって。
食いつくように口づけた。
- 292 名前:番号のあまりは見なかったこと…orz:2005/11/20(日) 10:54:03 ID:hFZkeg3m
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
エロナシデスミマセン。
- 293 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 10:59:24 ID:hFZkeg3m
- ↑の書いた奴です。
行間あけるのに失敗していたり、何かと読みにくくすみませんでした。
- 294 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 11:53:37 ID:5OeNpjtb
- >>292強気受け瓶最高です。
イカメ派の私には大変いいもんでした。
只番号にはちょっぴり期待していた…
- 295 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 17:31:32 ID:CPOy6U3e
- >>262-283
待ってました!乙です。
100円ショップ役立ち杉w
- 296 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 18:11:11 ID:8vh1Ls75
- >>292
誘い受け瓶いいですね。
週の初めにいいもん見た。
できたら、続きも見たいです。
- 297 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 18:14:16 ID:DIlvQ+0d
- >>262
超GJ!!!
件崎があほの子で愛しいw
- 298 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 18:22:07 ID:9qb5n1OU
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 幕末某組織 監察方×副長 再び
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 時代が逆行してるような……
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 299 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 18:22:57 ID:9qb5n1OU
- 月が、まるで真昼のように辺りを照らしていた。
天には雲ひとつ無く、十間先まで見通せるほどに視界は良好だ。
これほどに明るければ夜討ちもあるまい。
「副長」
低い声が、静かに夜に響いた。
背後からの突然の呼びかけにも驚きはしない。声の主は気配を消さなかった。
何度も庭先から囁かれた声だ。当然誰のものかは姿を見ずとも分る。
相手が誰か気付いても、いや、誰か分ったからこそだろうか。
士方は彼を振り返らず、呼びかけに応えもせずにただ空を見上げ続けた。
まるで拗ねた子供のような真似だ。
だが、今はどうしても、顔を見せる気にはなれなかった。
- 300 名前:2/8:2005/11/20(日) 18:24:07 ID:9qb5n1OU
- 「副長、お風邪を召します」
再度かけられた声はいつものように言葉少なで遠慮がちだ。
だが、その声音には、控えめながらもと士方を案じる色が確かに滲んでいた。
(俺を責めないのか)
古い付き合いの者さえ、今夜は自分の顔を見れば眉を顰めた。
平隊士のみならず、助勤の中にも陰口を叩いたり舌打ちをする者がいた。
そうされても仕方がない、むしろこの立場は望むところだ。
いや、かえって気遣われるほうが辛い。
(結局のところ俺は、新撰組と彼の命を天秤にかけ、新撰組を取ったのだ)
宗司には、そっと背中を叩かれた。
斎等には、心配そうに見つめられた。
(止めてくれ、俺にそんな価値はないのだ)
- 301 名前:3/8:2005/11/20(日) 18:24:58 ID:9qb5n1OU
- この選択を誤りだとは決して思わない。思わないが、今夜は屯所にいたくなかった。
自分はそうやって労わられ、優しくされるに相応しい人間ではない。
数多くの仲間達の命を言葉一つで奪い、それを欠片も後悔していないのだから。
たとえ直接手を下したわけでなくとも、きっとこの手は血に染まっているだろう。
今日、また一人同志の血を吸った手を強く握り、黙って夜の空を見る。
月の光が酷く冷たい。
春の月のように優しいあの人を、殺してしまったからだろうか。
まるで兄のように、いつも見守ってくれるあの人を。
名を口にしかけて、すぐに黙り込んだ。
己の為した事なのに彼の死を悼むなど。そんな資格はとうに捨て去ったものだろうに。
救いようのない愚かさを自嘲し、口元を歪める。
と、その時。
皓々と照る月に見入る土方の肩が不意に暖かくなった。
肩口に目をやれば、掛けられているのは見覚えのある厚手の羽織だ。
咄嗟に振り返り、余計な世話を、と言う前に相手がそれを遮った。
- 302 名前:4/8:2005/11/20(日) 18:25:48 ID:9qb5n1OU
- 「悲しいなら悲しいと」
先程よりも強い口調だった。
「やま、ざき」
「どうか、仰ってください。」
「………悲しくなどない。それは君の思い込みだ」
そうだ、悲しくなどない。
悔いてもいない。
これこそが自分の選んだ道。己が血刀を捧げる道なのだから。
―――--だが、目の前の男の言葉がこれほど心に響くのはなぜだ。
愚かしくもその優しさに心を慰められている己は一体なんなのか。
数えるほどの相手が示してくれた、さりげない気遣いすら厭うてここにきたのではないのか?
それが、なぜこんな言葉一つに。
別に特別なことを言われたわけでもないのだ。これくらい総司でも言う。
それなのに、どうして。
- 303 名前:5/8:2005/11/20(日) 18:26:26 ID:9qb5n1OU
- (この男だから、か?)
山碕があまりに悲痛な顔をするからか。真っ直ぐに自分を見るからか。
これほどに、慕ってくれるからか。
それとも………
「思い込みならばよろしいのです。ですが、少しでも思い悩むことがおありならば」
監察は辛い仕事だ。
新撰組でありながら武士とは名ばかり、華々しい舞台も活躍もない。
ことによっては何日も乞食の真似事までして、挙句に「犬」と罵倒される。
それほどに苦しい役目を押し付けらたのに、何ゆえにここまでの好意を見せるのだろう。
「どんなことでも結構です、お話しになってください。けして他言はいたしません」
「悩みなど」
「犬猫よりはよい聞き手でありましょう。どうか、私に仰ってください」
江戸での素のままの自分を知っているわけでもないのに、この男は容易く虚勢を見抜く。
冷たい仮面を剥ぎ取り、心配そうに覗き込み、優しい言葉をかけようとする。
自分に触れもしないくせに。
- 304 名前:6/8:2005/11/20(日) 18:28:45 ID:9qb5n1OU
- 「……山碕」
「はい」
先を促すでもなく、ただの返事でもない。
士方の全てを肯定するような応えだ。
この声に依存してしまいそうな自分が恐ろしい。
だが、遠ざけてしまうにはあまりにも心地よかった。
「山碕、私は……」
「はい」
なにを女々しいことを。
「私は……俺は……」
やめろ、よせ。頭の奥で警鐘が鳴り響く。
『士方歳造』ではなく『親撰組副長』であろうと、そう決めたのは自分だろう。
堪えろ。この先を独りで往くならば、ここで弱音を吐いては――――
- 305 名前:7/8:2005/11/20(日) 18:29:24 ID:9qb5n1OU
- 「……俺は、決してあの人を嫌いではなかったんだ」
精一杯の自制心を働かせて、それでもこの一言だけが零れ落ちた。
その瞬間、どこか困ったようないつもの笑顔で。
それでいいのだと頷く貴方が見えたのは、俺の願望だろうか。
「ええ、知っていますよ。最初から」
穏やかに、包み込むように囁かれた言葉に、思わず振り向いた。
「三南さんも、きっと分っていらっしゃいました。あの人はそういう人やった。ご存知でしょう?」
僅かに混じった優しい国訛りに、思わず素直に頷く。
そう、あの人はそういう人だった。
聡い人だった。強い人だった。そんなこと、自分が一番よく知っている。
そこでようやく士方はしっかりと目の前の男を見た。
山碕は珍しくちゃんと腰に二本差した姿だったが、この寒い中上着の一つも着ていない。
とすれば、先ほど肩にかけられたのはこの男の物だったのだろう。
直ぐに脱いで返そうとすると、小さく首を横に振られた。
- 306 名前:8/8:2005/11/20(日) 18:33:15 ID:9qb5n1OU
- 「それはそのままに……さあ、もうお戻りください。この分ではそろそろ雪が降るでしょう」
包み込むように穏やかな眼差し。
触れられてもいないのに、暖かくなるような。
士方は小さく溜め息を漏らすと、ゆっくりと屯所の方へ足を向けた。
(俺はいつか、この男の優しさがなければ立っていられなくなるかもしれんな……)
僅かな敗北感が、何故か不快ではなかった。
踵を返す間際、山碕の肩越しに見た月が先刻よりも優しく見えたのは、気のせいだろうか。
亡き人の、もう見ることのない笑顔のように。
- 307 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 18:34:27 ID:9qb5n1OU
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 士方、陥落。…切腹!
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 308 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 20:14:59 ID:60IiQvxw
- >>307
萌えた。この関係(・∀・)イイ!
また期待しております。
- 309 名前:風と木の名無しさん:2005/11/20(日) 22:37:27 ID:XyC1KUlj
- >>307 激しくGJGJGJ…!
副/長の中で大きくなってくるヤマザキの存在が愛しいです。
- 310 名前:風と木の名無しさん:2005/11/21(月) 01:20:15 ID:p5rPiX1t
- >>262-283
ハゲモエス……!
兼崎が幸せで嬉しい(つ∀`)
本当に毎回ごちです
- 311 名前:風と木の名無しさん:2005/11/21(月) 21:10:58 ID:q8Gtcy9m
- >307
GJ!
モエス(*´Д`)
そしてセツナス・・・
- 312 名前:風と木の名無しさん:2005/11/21(月) 22:48:38 ID:154i/Een
- >307
(ノД`)゜.・゜.テラセツナモエス
この二人の関係が好きだーーーーーーーーーーーーーー
- 313 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:43:20 ID:a6xHNltk
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 仁D赤城山の兄弟 >251続き。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| やっぱりエロなし
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 314 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:43:57 ID:a6xHNltk
- 日が西に傾きかけた頃、バトルに向けた準備作業も最終段階に入った。
FCはメカニックと頻繁な打ち合わせをし、細かな指示を出す。
Dのメンバーがそれぞれに散って作業をするのを少し離れたところから眺めていた。
どれだけ完璧にセッティングをしても、どれだけ完璧に勝つためのシミュレーションをしても
最後はドライバーだ。
FCが全幅の信頼を置くエースドライバー。86と……そしてFD。
「K介の奴……」
FDのことを考えた途端、出発前の事が妙にリアルに甦ってきた。
一体誰と勘違いをしたのか。この自分と誰かを間違えたことが許せない。
FDがあんな顔をするからつい思考が停止してしまったのだ。
何の憂いもなく、ただ二人で遊んでいた幼いあの日のように。
FDはいつも自分の後を追ってきていた。犬コロのように。振り返るとあの笑顔を見せてくれた。
FDに今あんな顔をさせる相手は一体誰なのか。
- 315 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:44:24 ID:a6xHNltk
- (何なんだこれは。これではこの俺が嫉妬しているようではないか)
キスされたことよりも誰かと間違われたことの方が許せないと考える自分に愕然とする。
「バカな!」
そんな感情は絶対に認めない。プライドが許さない。
即座に切って捨てた。
キスそのものは不快ではなかった。
あの笑顔が自分に向けられたものだったならあるいは……。
そこまで考えてハッとする。
(あるいは? あるいはなんだというのだ。一体俺は何を考えているんだ)
全てにおいて理路整然と分析し、行動してきたFCにとって
割り切れない感情が自分の中に存在することが腹立たしい。自分で自分が許せなくなりそうだ。
無意識のうちに唇を噛んでいた。
- 316 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:45:29 ID:a6xHNltk
- 「R介」
後ろから近づいてきた広報部長がFCと同じ方向に視線を向けながら声をかけた。
「何だ」
FCは身体も顔も視線すら動かさない。
「顔が恐いぞ」
「え?」
広報部長に指摘されてFCは視線を動かした。
眉間の力が弛んで初めて自分が眉間に皺を寄せていたことに気付く。
「何か問題でもあるのか」
「いや、別に」
今回の遠征も今のところは自分の予定通りに滞りなく進んでいる。
余計なことを考える余裕があるほどに。
「フジワラが気にしている。何か間違ったことしたんじゃないのかって」
「ああ、それは悪いことをしたな」
FCは苦笑する。
86は秋名のメンバー達の話からすると天然ボケらしいが、
Dの遠征の時、と言うより自分の目の届く所ではそんなそぶりは見られない。それだけ緊張しているのだろう。
- 317 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:46:29 ID:a6xHNltk
- Dのメンバーはほとんどがレッドサンズのメンバーかその関係者だ。そんな中86だけが違う。その上一番年下だ。
バトルの時はもちろん、プラクティスや調整の時はそんなプレッシャーなど気にしないだろうし、
気にさせないが、普段はできるだけリラックスさせてやりたい。
気にはなっているが自分ではかえってプレッシャーを与えてしまう。
「あいつはああ見えて結構人の顔色を気にしてるんだ。ま、人の…と言うよりお前の、だけどな」
広報部長の言葉の裏をFCはその時読み取ることはできなかった。
「別件だ。フジワラには気にするなと言っておいてくれ」
「わかった」
「ああ、フミヒロ」
広報部長の去り際に思いついて声を掛ける。
「何だ」
「K介はどうしてる?」
「あいつも今日はちょっとおかしい。浮ついてるというか……そうかと思えば妙に緊張したり」
「そうか」
FCは少し考え込んでから顔を上げた。
「ちょっとあいつに伝言を頼む。浮ついた走りをしたら、でいいんだが」
「なんだ?」
「寝ぼけているのか?と。そう言えば多分解るだろうから」
広報部長は怪訝な顔をしながらもわかったと言って去っていった。
- 318 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:47:14 ID:a6xHNltk
- ・・・・・
「どんな感じですか?」
「ああ、足はこれでかなりイケル感じだ」
「今回の方がさっきよりタイムはいいですね。もう一度このラインで走ってみてください」
「わかった」
走行から戻ったFDはメカニックがデータの分析や微調整に取りかかったのを見ながら、
ついぼんやりと考え事をしてしまっていた。
走行中はもちろん余計なことを考える余裕などない。
路面の状況、ライン取り、ブレーキや足回りのバランス。隅々にまで神経を行き届かせて車を走らせる。
走らせるが、いつものようにテンションが上がってこない。
ふとできたこんなエアスポットのような瞬間に心はついつい出掛ける前の出来事に戻っていってしまう。
夢の中でこれ以上ないくらいの美女を口説き落とした。
その美女が問題で、顔がFCだった。いや、むしろFCが美女になっていたと言えばいいのか。
FCが女になっていただけで何故それを『これ以上ないほどの美女』と認識していたのかは不明だが、
夢だから不条理でも何でもアリだ。何の疑問も抱かず、FC美女を引き寄せてキスをして……。
気が付けば目の前には本物のFCがいた。
「勘違いじゃありません」なんて言ったら一生口をきいてもらえない。夢のことを知られたら絶対殺される。
- 319 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:47:57 ID:a6xHNltk
- ―――ああああ。どうすりゃいいんだ。
FDは頭を抱える。
なんであんな夢なんか見たんだろう。
「たまってんのかな、俺」
車のシートに座って悶々としているとコンコンと窓を叩く音がした。
広報部長だ。ウインドを開ける。
「K介、R介から伝言だ」
「なっ、なんて……?」
心臓のリズムが倍速になる。
「『寝ぼけてるのか?』だ。何のことか解らないがそう言えば解ると」
深い怒りを露わにして自分を見下ろすFCの顔が一瞬にして頭に浮かんだ。
「あ、ああ……。よく、よーく解る……解った、サンキュ」
広報部長に動揺をできるだけ悟られないように苦労しながらFDは右手を挙げて引きつった笑いを浮かべた。
ここで気の抜けた走りをすれば本当に殺される。
とにかく結果だ。結果を出せば許してもらえると言う保証などどこにもないが、結果を出さなければ許されないことは確実だ。
FDは両手でパンパンと顔を軽く叩き、気合いを入れ直して、ステアリングを握った。
・・・・・
- 320 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:49:31 ID:a6xHNltk
- 黄色のFDの車が僅差でゴールラインを割った時、峠がDの歓喜の声に包まれた。
二度のポジションチェンジの末ようやくFDが勝利した瞬間だ。
これでダウンヒル、ヒルクライムとも勝利で終えた。
車からFDが降りてきてみんなの乱暴な祝福を受けながら相手のドライバーと握手をしている。
FCは満足そうにFDの姿を眺めていた。
さっきのバトルではFDの成長を見る事ができた。
火のような気性と生来の天才的なカンの良さで強引に勝ちを引き寄せる。
そんな戦い方をしていたFDがクレバーな戦略を自分で考え、実践するようになった。今回の一つの収穫だ。
仲間に祝福されて喜ぶFDはFCに気付くと急に不安と緊張の入り交じったような顔つきになり、こちらに向かってきた。
「え……と、その……」
FCに向かいはするが目を合わせようとしない。そのくせ気になるのか上目遣いに顔を伺う。
FCはふっと頬を緩める。
「よくやった」
FCのたった一言でFDの不安な顔が一気に明るくなった。
声にならない叫びを上げてガッツポーズをする。
「今回のお前の走りに免じてあれは不幸な事故だったと忘れよう。タイムアタックの準備にかかってこい」
- 321 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:50:24 ID:a6xHNltk
- そうだ。あれは『不幸な事故』だ。
FDが誰と勘違いをしていたのかも自分の中の心のざわめきも全て『事故』として処理し、忘れる事にする。
「あ、ああ」
FDは地に足がつかない様子でみんなの元に走って行く。もしも尻尾があったならちぎれんばかりに振っているに違いない。
「K介さん、何浮かれてるんですか」とケンタに不審がられる程だ。
その後姿にFCは少し苦笑し、少し安堵する。
図体ばかりでかくなっても犬コロであることには変わりない。
自分の後を必死に追いかけてきた遠い昔。自分は弟のその縋るような目が快感で、もっと見たくてわざと置き去りにしたりした。
いつか自分から巣立っていく日が来るのだろう。自分を追わなくなる日が。
それも遠くない将来だ。
その時の喪失感を自分はどうやって補えばいいのだろうか。
それはFCにとって公道最速理論よりも難しい問題だった。
バサバサッと羽音を立てて、木の梢から一羽の猛禽類が飛び立っていった。
FCはそれを闇に溶けて消えるまでずっと目で追っていた。
- 322 名前:風と木の名無しさん:2005/11/22(火) 16:52:25 ID:a6xHNltk
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ これで終わりらしい
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 323 名前:tako1:2005/11/23(水) 13:19:35 ID:vF1cTr2o
- AA入れるとずれるんで略します。
(・∀・)<前スレ7の続き、土曜朝超人絆(要英訳)ネタ(主人公?蒼いカジツ)だモナ
(⊃ДT)<番組とっくに終わったしDV/Dも全巻コンプだけど後編だモナ
|> PLAY
---------------------------------------------------------------------
僕(顧問和樹・24歳)は、仙寿煉(17歳)とともに移動店舗(tako-cafe)で第二の
人生を頑張っている。
前の勤め先、T/L/T(ティ/ル/ト)コーポレーションでの「人間関係」に疲れた僕にと
って「これから」が始まるはずだった。
とは言うものの、そこまで深い意味はなかったりで。
EP2.慣性
地下鉄に乗った帰り、念願の試合を見れて興奮しすぎたのか、疲れきった煉が
僕の方に寄りかかって静かに寝息を立てている。
僕はと言えば、壁面に流れる広告の明かりを見つめながら、何故かたこ焼きの
事を考えていた。
(顧問…)
あの人の声がする。
僕の中にあった、たこ焼きへの情熱を揺り起こしてくれた唯一の理解者でもあ
り、T/L/T(ティ/ル/ト)コーポレーションにいた頃、迷ってばかりいた僕自身に指
針を授けてくれた人物。
その人の名は、媛屋淳。
僕より年上の27歳で、フードコーディネーター兼フリーのルポライターを職と
している。
今まで全国を転々と歩き、様々な食文化に触れていた彼に、僕は幾度となく助
けられ、オ/オ/サ/カ出張の時には、媛屋さんと共にたこ焼き屋台で、僕自身
が実力をつけることになった。
- 324 名前:tako2:2005/11/23(水) 13:21:47 ID:vF1cTr2o
- (顧問!豪華な見かけにとらわれるな!)
あの時の、あの人の叱責は僕の励みになっている。
そして独立のきっかけを作ってくれた媛屋さんからの餞として、今の店とたこ
焼きのノウハウ…そして、たこやきマ/ソ/ト/マ/ソのレ/ッ/ドのぬいぐるみを
貰った。
どうして媛屋さんがそんなものを持っていたのかは、今でも解らない。
店を持ちすべての準備が整ったとき、提出していた辞表が受理された。
そして僕は、日本を離れる媛屋さんを見送るために、会社を出てそのまま空港
へ向かった。
媛屋さんは別れ際に、僕にこう言った。
(たこ焼きはノ絆だ)
よく解らないけど、あの気難しそうな媛屋さんが言うと、妙に説得力のある言
葉に聞こえる。
たこ焼きは絆…
だけど、やっぱりよく解らない。
降りる駅へのアナウンスが聞こえる。
煉は、まだ寝ていたいみたいで少しぐずっている。
こうやって見てると、本当に子供だな。
まだ17歳だから子供なのは当たり前なんだろうけど。
- 325 名前:tako3:2005/11/23(水) 13:23:59 ID:vF1cTr2o
- 「煉!ほら、おりるぞ!」
「んー…」
揺すってもなかなか起きようとしないので、仕方なく僕は煉をおぶって駅をお
りた。
しっかりと握っていた煉の切符をとり、自動改札を通り抜ける。
煉をおぶったまま、僕は真っ暗になったアパートへの道のりをゆっくりと歩いていた。
T/L/Tにいた頃の僕は…迷ってばかりだった。
プロジェクトチームの一員として、慣れない書類整理や営業の毎日。
取れた契約も途中破棄で、プロジェクトは何度も暗礁に乗り上げ…それも全て
会社の上層部が仕組んだ事だった。
あのとき…媛屋さんに出会わなかったら、今の僕はあったのだろうか?
そして今の僕がなかったら、煉は…
ぼんやりと差し込む光を見上げると、そこには点々と散らされた無数の天かす
と、真っ黒い鉄板に一つだけ、金色に光る月が大きく浮かんでいた……
「綺麗なたこ焼きだ…」
「そだねー」
背中から聞こえる声に、僕は現実に引き戻された。
- 326 名前:tako4:2005/11/23(水) 13:25:52 ID:vF1cTr2o
- 「煉、起きたのか?」
「ちょっと前にね。で、せっかくだからちょっと楽してみようかなって」
「なんだよそれ」
僕の肩から垂れ下がっていただけの、ほっそりとした煉の腕が僕の身体を抱き
しめる。
子供特有の柔らかい頬が僕の頬に触れ、赤ん坊のような柔らかい匂いが鼻をか
すめた瞬間、思わず唾を飲み込む音が煉に聞かれなかったか…僕は少し焦った。
同性への特別な感情…それに関して、言い訳はしたくなかった。
僕自身の女性遍歴に問題があったと言えばそうだし、唯一の理解者が同性だっ
た事も何らかの要因になったとも言えるから。
だけど媛屋さんに対しては、そんな感情はなかった。
あくまでも尊敬できる大人として、人生の先輩としての彼は好きだった。
だけど今の…煉への感情は違う。
これからの僕にとって、ずっと一緒に歩んでいけるパートナー。
T/L/Tにいた頃になかったもの〜笑顔に変わる素直な明るさ〜が煉にはあるか
ら、僕は煉の笑顔に何度も助けられた。
それだけかな。
それだけじゃないはずだけど………
- 327 名前:tako5:2005/11/23(水) 13:28:12 ID:vF1cTr2o
- 「おい煉、いーかげんに降りろよ」
「はいはい」
「返事は一回だ。あと、帰ってからフロにでも入ってくか?」
「なんで?」
「なんで、って…お前あんなに興奮して汗だくだろ?」
「そっか…」
「家についてから、縞の湯行くからな」
「うん。あすこさ、この時間空いてたよね?」
どんどん夏に近づきつつある気候に、僕も煉も眠る前にひとっ風呂浴びたい気
分だった。
最初はそのつもりだったけれど。
部屋についてすぐに僕達は石鹸とタオル、着替えを持って縞の湯へ向かった。
-------------------------------------------------------------------
「広いねー!」
「声でかすぎだぞ煉!」
簡単に夕飯も済ませてから僕と煉は、近所にある縞の湯の広い風呂場に入った。
ここの番台で、いつも仁王のように恐い顔で座り込んでいる縞さんは、ご近所
の顔役でもあり、いろいろな店のご主人が汗を流しに訪れるので、ここは一種
の社交場ともなっている。
たまたま時間が遅かったせいか、僕と煉の二人だけだったが、今を思うとそれ
が返ってよかったのだろう。
そうじゃなかったら、今の僕達は…
- 328 名前:tako6:2005/11/23(水) 13:30:10 ID:vF1cTr2o
- 「背中洗ってやるから、ほら座れ」
「はーい」
煉の白く小さな背中を洗っているうちに、僕の中で押さえられていた感情が頭
をもたげていく。
地下鉄の階段で怯え涙をこぼした煉。
そんな煉に僕はノ強い感情を抱いていた。
石鹸の泡に塗れた手を煉の腿に滑らせると、煉は怯えたような目で僕を見つめ
た。
だけどそれは一瞬だけで、煉は何かを理解したように俯きながら唇をかみ、両
目をしっかりと瞑りながら僕の身体に寄りかかった。
感情の高ぶりを止められなかった、自分が情けないとも思った。
だけどそれでも構わなかった。
腿に何度も手を滑らせながら、片手を煉の身体に回し胸板に何度も手をはわせ
る。
手に収まるほど小振りな煉自身は、白い泡に紅く鮮やかな色を浮かべながら雫
を溢れさせていた。
煉の泣きじゃくる声が、誰もいない浴室に漏れそうになる。
泡だらけの身体に湯をかけ洗い流すと、僕は煉の身体を壁際に寄りかからせた。
そして煉の両腿を割り身体を滑り込ませ、煉の紅く色づいた物を深く銜え吸い
上げると、煉は子供がするように指をかみながら、泣きじゃくり頭を振った。
- 329 名前:tako7:2005/11/23(水) 13:32:22 ID:vF1cTr2o
- 「…やだよ…汚い…」
「そんな事ない…煉のだから」
深く加え舌を絡めると、煉自身が徐々に固さを増していく。
愛撫を強める度に、煉は叱られた子供のように、泣きながら拒む言葉を言い続
けていた。
「嫌じゃないんだろ?こんなに喜んでるのに」
「…ひでぇよ…何で…そんな……意地悪なんだよ…」
「煉が可愛いから」
「えっ…」
普通は女の子に対して投げかけられる言葉に呆気にとられている煉。
ぼんやりと上気している煉にキスをすると、僕は再び煉自身を深く銜え込んだ。
悲鳴を上げると同時に、小さい煉の中からたくさんほどばしる愛液。
全てを出し切った直後、煉の身体はぐったりと崩れ落ちた。
僕は煉にとって初めての物を全て飲み干し、身体に飛び散った分も綺麗に舐め
とった。
僕は、ぼんやりとしたまま喘ぐ煉を抱え浴槽に入れてやった。
その後は僕自身も軽く身体を洗い風呂につかった。
何事もなかったように…
- 330 名前:tako8:2005/11/23(水) 13:35:42 ID:vF1cTr2o
- ---------------------------------------------------------------------
銭湯から戻って、どれくらい時間が経ったのか。
暗くなった部屋に、蒼い闇だけが周囲を漂っている。
静かな夜だと思った。
僕と煉は、裸のままでぐったりと身体を投げ出していた。
シミの広がる古い天井をぼーっと眺めながら、煉にとって怖い思いをさせてし
まったと、少し後悔していた。
「顧問さ……俺の事嫌いで…こんなこと、したんじゃないよね?」
「えっ…?」
天井を見つめながら、煉が静かに呟いた。
「顧問だから…俺、信じたんだよ?」
「あのね……嫌いだからじゃなくて、その逆だから」
「……逆って?」
「…言わせたいのか?どうしても」
正直、こういったシチュエーションで、さりげなく愛の告白とか言うのは苦手
な方だった。
気持ちは固まっているけれど、それを言葉で表す事に躊躇いを覚えた。
- 331 名前:tako9:2005/11/23(水) 13:38:13 ID:vF1cTr2o
- 「顧問ってさぁ、嘘とかつけねぇのな」
「何だよ?」
「だってさぁ『言わせたいのか?』って声、もろ図星指されて怒ってるみたい
じゃん」
「参ったな…じゃ、もういいだろ。明日も早いし、さっさと寝るぞ」
「はぁーい……ってこのまんまで!?」
「……それもそうだな」
夜の夜中。
強者共が夢の跡、とはかなり違う物の、お互い身体を拭き取りながら後の処理
する姿は「夢の跡」とはいかない、何とも情けないものだった。
だけど、それでいいのだと僕は思う。
生きていく以上、いろいろな困難はあるのだろうけれど、それでも僕達は、こ
れからもずっとたこ焼き屋を続けていくのだろう。
たこ焼きの絆を信じながら。
----------------------------------------------------------------------
オチ。
「もしもさぁ、今日の事がショックで、俺が次の日<実家に帰るーっ!>ってい
ったらどうするの?」
「僕にだって男のプライドがある!すべき事はただ一つだ」
「で、何するの?」
「………………………………キミの前で土下座する」
「プライドねぇじゃん、全然(笑」
- 332 名前:takoED:2005/11/23(水) 13:40:40 ID:vF1cTr2o
- -----------------------------------------------------------------------
□ STOP
超/人絆、05の特/撮にしては需要無さげかも。
賛否両論はあるにせよ、煉編からは本腰で見てたから好きじゃあるんですけど。
何かの機会があったらまた書きたいですね。
媛屋さん編も入れた方がいいんだかどうか。
- 333 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 00:46:52 ID:pCmFTV/K
- ここに書けって言われるからこっちにも貼っておきます。
徹平「( >д<)、;'.・ ィクシッ」
ウエンツ「( ´゚д゚`)カゼ?」
徹平「(;・∀・)ダイジョブ」
ウエンツ「(* ^ー゚)ノアッタメテヤル」
- 334 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 03:30:48 ID:Eq11vd3Z
- 「…グスッ…グスッ…ぅぇえ、修二くーん、おじゃましまーすっ!!」
「はっ?ちょ、何々?何で勝手に俺ん家あがりこんできて…はっ??ぇ、しかも何?泣いてんの??」
「俺…俺、野ブタにふられて来ました!!」
「…は??え、いくらなんでも告白すんの早すぎだろ。」
「思いは伝えたい時に伝えなきゃ駄目だっちゃ。。」
「はぁ…こっち来いよ。」
「ぅぅ…修二〜;」
「今日は俺しかいないから、好きなだけ泣いとけ…な?」
「ぅう、ありが…と、修二優しいのよーん……ぅく、ぅうっ、」
「ん…彰、いつもと香水違うの付けてる?」
「…野ブタが、こーゆー匂い好きかなーっておもって……。修二よく気付いたねっ。」
「そりゃいつものお前の匂いぐら…」
「……?」
「…良かった、お前が野ブタにとられなくて。」
「…修二、くん?」
「…………っ」
―ちゅ
「ッッしゅ、修二?!」
「涙、止まった?」
「…ぅ、うん……?」
「うっし、ハンバーグ作るか…どうせ夕飯食べてくんだろ?」
「…修二…い、今のって……。」
「え?何??」
「だからさっきの…さ、さっきのチューよーん。」
「…はぁ?誰と誰が?」
「だ、だから……」
「顔真っ赤にしてどーした?」
「…っ修二くんイヂワル!!」
- 335 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 05:03:33 ID:Vej4gYBz
- ウヘァ三連発
- 336 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 08:30:49 ID:4fMwCN8A
- 三連発?
- 337 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 17:00:21 ID:W6Fxx9Qw
- >>335激しく同意
- 338 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 17:21:57 ID:245SQWjm
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 愛某の椙→瓶←「特瓶!」
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ちょっと上司が危ない人
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ハゲシク厨ネタ!
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 339 名前:1/5:2005/11/24(木) 17:23:09 ID:245SQWjm
- 作曲経過は1904年から5年の間で、後期ロマン派の、ワーグナーの後継者とも言われるリヒャルト・シュトラウスの名を世界に広めた同名の文学作品による一幕のオペラだった。
窓辺でレコードプレイヤーは静かにまわる。
ヘッドフォンは机の上においたまま。
誰にも聞かれることなく、甘やかなメロディーが流れ続けていた。
「……情けは人のためならず」
耳に届いた声に、椙下はガーゼを当てようとした手を止めた。
「はい?」
「いや、最近よくバラエティー番組なんかで『間違って覚えてる慣用句!』とかいって、この言葉がよく出てきてましてね」
ガーゼが目に入らないよう、まぶたを落としたまま瓶山は口を開く。
椙下は膝に乗せた救急箱から薬を取り出しながら、続きを促した。
「情けをかければいずれそれは自分に返ってくるってのが原義でしょ? でも最近の子は情けをかけるのは人のためにならねー、って覚えてるんだそうで」
「そうですか」
「でもね、俺は言いえて妙というか、そっちの方が今の世の中にゃ、あってるって思いますよ。人のためにゃなりませんね! てか誰のためにもならない気すらしますよ」
語気を強めて瓶山が言うのに、椙下はただ苦笑を返すにとどめた。
瓶山の左の頬に細く真一文字についた、ミミズ腫れのような跡。
夕方、所用があって出かけていた彼が特命に戻ってきたときはそこからまだ紅いものが溢れていた。
- 340 名前:2/5:2005/11/24(木) 17:24:10 ID:245SQWjm
- 東京だからいつでもどこでも人が溢れかえっているかというと、そういうことはない。
オフィスビルの立ち並ぶところは勤務時間には誰もいなくなるし、ショッピングモールにもやはり時間帯によって波があるし、ちょっと都心から離れてみれば林立するビルは消えて、代わりに閑静な住宅街が現れる。
つまりどこにでも、人けがなくなる場所があるのだ。
そのとき近道にと瓶山が選んだのが、ちょうどそんな人通りの少ない道だった。
しばらく歩いて、往来の真ん中に見えてきたのは横倒しになった大型のバイク。
女性はそのそばに座り込んでいた。
どうやら、転ぶかどうかして倒れたバイクを立て直そうとするも、その重さをもてあましているようだ。
見たところ大きな怪我はしていない。
どうしたの、と軽く瓶山が近づくと、ほっとしたように女が振り返った。
転んだひょうしに腕を痛めてしまってバイクが起こせないのだ、と苦笑する。
はいはい、と瓶山も笑顔を返してまずは女を立たせてやろうと手を伸ばした、……そのとき。
鋭い痛みが頬を灼いた。
西日に女の手元が光る。
不意のことによろけた瓶山に、不気味な笑みを向けると女は駆け出した。
脱兎のごとくその場から逃げ出す彼女を捕まえることができたのは、ひとえに日ごろの訓練の他ならない。
現職の警察官を相手に選んでしまったその女は、その場で御用となった。
今頃は一課が取調べをしている頃だろう。
- 341 名前:3/5:2005/11/24(木) 17:24:56 ID:245SQWjm
- 「親切心で近寄った相手に切りつける……確かに卑劣極まりない行為です」
「ったく、世も末ですよねー」
「ええ。でも、だからと言って君から人のよさを取って何を残そうというんです?」
「ちょっ、う、卯京さ」
「はい、終わりましたよ」
言いながら、サージカルテープを撫でるようにして肌になじませてやる。
表情のころころ変わる人間だから目元の傷は落ち着かないだろう。
瓶山が目を開く前に、椙下はすばやく立ち上がって、それと悟られないよう距離をとった。
「あ、ども」
見えるはずがないのに瓶山は顔を傾けて、何とか手当ての跡を見ようとしている。
「なんかすいません、全部やってもらっちゃって」
「そうですね、誰かが大仰に手当てされるのが嫌だからと駄々をこねなければ、今頃君は医務室で、僕の手は煩わされることはありませんでした」
あまったガーゼを整えながらにっこりと微笑んでやれば、あはは、とパイプ椅子の上で瓶山は居心地悪そうに身を小さくした。
これくらいの意趣返しは許されるだろう。
「すいません、っていうか……あー、あの、ありがとうございました」
妙に神妙な顔をして言うのがおかしくて、椙下も慇懃に頭を下げる。
「どういたしまして」
「やっぱ卯京さんは手当てがうまいですね」
「そうですか?」
「無駄がない」
救急箱を仕舞いながら椙下はほんの少しだけ肩をすくめてみせた。
手当ての仕方くらい知らなくてどうする、と言いかけたとき、視界の端によく知った人物を捕らえた。
- 342 名前:4/5:2005/11/24(木) 17:28:02 ID:245SQWjm
- 「特命係の手負いの瓶山!」
勝手知ったるなんとやら、ずかずかと生活安全部を横切ると、声の主は苛立った様子で戸のない戸口に立った。
おなじみの声に瓶山の顔がうんざりとしたものに変わる。
それでも律儀に彼は言葉を返すのだ。
小さく笑って、椙下はティーポットに手を伸ばした。
「っだよ、仕事はどうしたんだお前……あ、ついに外されたか?」
笑い含みの瓶山の声を井丹が鼻で笑う。
ふと椙下は手を止めて、隣の気配に注意を凝らした。
普段テンポのよい遣り取りをしている2人なのに珍しく井丹の切り替えしに一呼吸の間があった。
「おめぇじゃあるめえし、誰が外されるかよ」
ちらりと見やって、椙下は眼鏡でごまかせる程度に目をすがめた。
「じゃ、なんだよ? わざわざ一課の井丹様がこーんなところに」
「あぁぁ全くだぜ、怪我人ならわかりやすく医務室にいろってんだ」
「なに言ってん……」
瓶山の言葉をさえぎって、井丹は手にしていた書類を眼前に突きつけた。
「今日中にな」
にたっと笑う彼は、心底楽しそうだ。
怪訝そうにその書類に目を通していた瓶山が、げ、と声を上げた。
「な、なんで俺がこの件の書類を作んなきゃなんねーんだぁ!?」
「そりゃ当事者だしなぁ、特命係の手負いの瓶山」
「うっせ、つーかさっきから手負いとか言うな、クマかよ俺は!」
「はっ! そいつはクマに失礼だろ」
とうとう瓶山が椅子を蹴って立ち上がって、伊丹につかみかからんばかりの勢いで言い合いをはじめた。
大きな音に生活安全部の人間が何事かと振り返ったが、いつものことと気付いてそのまま見物を決め込んだり仕事に戻ったりしてゆく。
- 343 名前:5/5:2005/11/24(木) 17:28:52 ID:245SQWjm
- いつものこと。
時をかえ場所をかえ、一体何度この光景を目にしたことか。
いつまで経っても顔を付き合わせれば喧嘩ばかり。
まるで子供のような稚拙な遣り取り。
いつになったらこの部下は気付くのだろうか。
相手の言うことを冷静に流せないでいることこそが、相手を認めていることに他ならないということに。
先ほどこの部屋にやってきたとき、彼の肩がらしくなく上下していたことに。
彼のこわばっていた表情が安堵に変わったことに。
(――そして)
そしていつから、自分はその『稚拙な遣り取り』を、単なる雑音と聞き流せなくなったのか。
書類を仕上げるためにぶつぶつ文句を言いながら、瓶山は一課へ資料を求めに行った。
おそらくあちらでまた第2ラウンドが繰り広げられていることだろう。
つい癖で浮かんだ、自分の笑みに似た表情を窓ガラスの映りこみに見てしまって、椙下はティーカップを一気に干した。
ソーサを定位置に戻して、瓶山の手当てのためにかけっぱなしで放り出してしまっていたヘッドフォンを手に取る。
盤面を傷つけないよう丁寧に針をはじめの位置に戻してやって、そのとき初めて指先の引き攣れたような感覚に気付いた。
スタートのボタンを押してレコードを回がまわるのを確認してから、椙下は手元を見る。
褐色の染みが、ぽつりと指先で乾いていた。おそらくは、先ほどの一件で。
ヘッドホンから甘やかなメロディーが流れ始める。
タイトルは「サロメ」。
作曲経過は1904年から5年の間で、後期ロマン派の、ワーグナーの後継者とも言われるリヒャルト・シュトラウスの名を世界に広めた同名の文学作品による一幕のオペラだった。
自分の愛を理解しなかったヨハンの生首を求め、その血を口に含んで彼女が言った言葉はあまりに有名だ。
無表情でいる自分を意識しながら、椙下は指先を口元に近づけた。
『これが、恋の味か』
- 344 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 17:29:52 ID:245SQWjm
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 8話が楽しみでついやっちゃったんだってさ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 345 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 17:35:02 ID:6iLhwzL6
- てぺ「えーちゃんえーちゃん」
上「んー何だ〜?」
てぺ「えへへ。何でもな〜い」
上「何だよう」
イヤ-----(*゚∀゚*)-----ン!!!!
- 346 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 18:13:10 ID:GIqUVsIN
- >>344 ――グッジョブ!!
- 347 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 19:53:16 ID:efmNkYMs
- >>336心底グッジョブ!
いいものをありがとう!!
- 348 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 19:59:10 ID:JDf3tuOt
- >344
GJ!
すごい勢いで映像が脳内再現されました。
ありがとう。
- 349 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 20:39:00 ID:LCNju7CO
- >>344
すばらしい!
- 350 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 21:32:07 ID:FJsu2Kio
- (´ρ`)えーちゃんのおティンティンおっきいなー
( ´∀`)σ)∀`)ナニいってんだよお
- 351 名前:売り込み(始):2005/11/24(木) 22:15:21 ID:6j6ieGKV
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|またお邪魔しますモナ。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|前スレ埋673-676と同時期をほぼシ"ェリー視点で。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ほんの少しだけエロ気味。
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いつも萌吐きに利用させていただいております。何度もすいません。
60年代飴ナマモノ2人組(シ"ェリー×卜厶)です。
ひとたび「聖域」を冒すと腐妄想が止まらないものですねorz。
- 352 名前:売り込み(1/4):2005/11/24(木) 22:15:58 ID:6j6ieGKV
- 現在のところ、2人の相手をしてくれるレコード会社は見つからない。年齢の割に
世慣れていると自負しているシ"ェリーだが、海千山千の業界人に15歳の少年2人がかなう
はずもない。数え切れないほどのドアが目の前で閉められる。
週末の売り込み小旅行を始めてから1ヶ月、4回そんな土曜を過ごすと、卜厶の表情は
曇ったままになる。内気な彼は売り込みに向いていない。1つ1つの拒絶を受け止めて
落ち込み、目に見えて足取りが重くなっていく。足が止まり、シ"ェリーが文字通り手を
引いてやらないと再び歩き出せなくなることも何度かある。
5回目の土曜日の朝、シ"ェリーの家に電話がかかってくる。卜厶はシ"ェリーを電話口には
呼び出さず、彼の母親に、熱が出たので今日は家で寝ていたい。と伝言する。1時間後、
シ"ェリーは卜厶を見舞うため、彼の家へと向かう。2人の家は3ブロックしか離れていない。
階下で卜厶の母親から飲み物を受け取り、卜厶の部屋に入る。少々ぐったりしている彼が
ベッドに横になっている。驚きが顔に出てしまったのか、卜厶がちょっと笑う。
「仮病だと思ってたんだろ?」
「ああ、正直そう思ってた。ごめん。」
「君に嘘はつかないよ。ほっとしたのは事実だけど。」
ベッドの端に腰掛け、彼の額に手を当てる。やはり少し熱い。そのまま額を撫で、話しかける。
「事務所回り、そんなに嫌なのか?」
「知らない人と会うのが嫌なんだ。相手も僕と会いたがってなんかいないんだよ。」
売り込み行為自体を崩壊させるようなことを言い出す卜厶に向けて、シ"ェリーは軽く顔をしかめ、
苦笑いし、溜息をついて見せる。
- 353 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 22:17:11 ID:J+u+ybKn
-
ジ ェ リ ー は メ ス
- 354 名前:売り込み(2/4):2005/11/24(木) 22:17:44 ID:6j6ieGKV
- 「俺たちが初めて会ったのはいつだっけ?」
「4年前の学芸会の練習。君がウサギで、僕はチェシャ猫だった。」突然の話題の転換と、自明の
ことを言わされたことをいぶかしむように、卜厶が不思議そうに答える。
「どうしたの?今さらそんなこと。」
「いや、ずっと家も近所だし、どうしてもっと早く知り合わなかったのかと思って。接点だって
あったはずだろ? 礼拝とかさ。」
「僕は君のような人間をなるべく避けていたから。」彼はさしてつらくもなさそうに言う。
「俺は本当はもっと前からお前を見ていた。…それより3年前に、学校集会で歌ったろ。」
「ああ…」卜厶の目が閉じられる。「Too Young…」微笑んだ口元からかすかに歌が零れる。
「どう思った?」
「腹が立った。」そう言うと、卜厶の目が少し開き、心配そうに、窺うようにシ"ェリーを見上げる。
「女の子が騒ぐその声を与えられたのが、自分じゃなかったからな。」笑いながら続けると、彼も
少し安心したように笑顔に戻る。額に置いていた手を髪に差込んで動かす。
「あの時、初めて自分も歌おうと思ったんだ。お前が歌うのを聞いて。」卜厶の目が驚きで見開かれる。
「初耳かい?」彼が頷く。
「釣りあう位に歌えるようになったら声をかけようと思っていた。そしたらちょうど学芸会の練習で
一緒になった。」靴を脱ぎ、ベッドに上り、彼に覆い被さる。
「…お前の歌が俺の人生を決めたんだ。」顔を両手で挟み、額にキスをする。目を覗き込む。
「その責任を取ってくれ。」
「…本当に僕がきっかけ?」
「ああ。お前の声を自分のものにしたかった。お前の声に合わせて歌いたかった。お前は最高の
歌手だ。俺がちゃんと知っている。他の奴らが何を言ってもお前が気にする必要はないんだ。
お前は俺以外と喋らなくていい。交渉は俺がやる。
- 355 名前:売り込み(3/4):2005/11/24(木) 22:19:35 ID:6j6ieGKV
- …お前の口は歌うことだけに使えばいい。それとキスをして、時々別のことをしてくれれば。
わかった?」
笑いながら唇を指で辿ると、彼が微笑みながら、覗かせた舌を少し這わせる。唇にキスを
しようとすると
「うつるよ。」と笑って顔を背ける。
「ウィルスのせいじゃないだろ。嫌だから熱出したくせに。」シ"ェリーも笑いながら、押さえ
込んで唇を合わせる。卜厶の両腕が伸ばされ、シ"ェリーの首にまわされる。左手が肩から
背中に移動し、そっと撫でまわす。
「来週は大丈夫?」一度口を離して聞くと、卜厶が微笑んで頷く。
抱き合って、唇を交わす。毛布越しに、どちらも昂ぶっているのがわかる。目で問いかけるが、
卜厶は首を振る。今日はこれ以上に進むつもりはないらしい。身体を圧しつけてしばらく感触を
楽しんだ後、身を離す。
卜厶がかすかに身を捩りながら愚痴る。『…君のせいで熱上がっちゃったよ。』実際、彼の額は
先刻よりも熱い。枕元に腰掛ける。
「だからそれは病気じゃないって。もう今日は眠れよ。見ててやるから。」
「見てなくていいよ。」口の中でぶつぶつ言いながらも、卜厶は目を閉じる。シ"ェリーは床に降りて
ベッドに凭れ、手を伸ばして彼の顔を撫でる。彼を視界の端に捉えていた子供の頃は、これほど表情
豊かな人間だとは思っていなかった。その目は色々な情報を伝えてくる。シ"ェリーは少し苦笑する。
卜厶の表情が豊かなのは自分に対してだけということに気づいたからだ。
いや、逆かもしれない。自分だけが表情を読み取ろうと彼を見つめているのかもしれない。
…どちらでもいいことだ。自分達は2人で道を進むことを選んだのだ。
卜厶の目が開く。本当に見つめられていたことに気づき、一瞬その目を困惑の表情がよぎる。
「今週分書き入れたのが机の上にあるから、よかったら見ていって。」ちょっと自慢げに微笑みながら
言う。
シ"ェリーは机に向かい、大きな紙を取って戻ってくる。またベッドの端に腰掛け、今度は彼の頭を
右手で撫でながら紙を開く。グラフ用紙だ。ヒットチャートが丁寧な筆跡で書き込まれている。順位の
推移が線グラフで示されている。見やすく仕上がっている。数年前まで遡れるし、彼とその頃の
思い出を話し合うのは現在のシ"ェリーにとっては楽しみだ。
- 356 名前:売り込み(4/4):2005/11/24(木) 22:21:11 ID:6j6ieGKV
- はにかみ顔の彼から初めてこれを見せられた時のことを思い出す。「趣味として」ヒットチャートの
グラフを個人的に書き続けている奴がいるなんて信じられなかった。当時の友人達が、
「あいつ…変だよな。」と囁いてきたのももっともだと思った。
それでも親しくなって良かった。自分の芸名として『Graph』を選ぶような数学好きの変人であった
としても。
髪に指を差し込んで掻き回し続ける。グリースで固めていないので、癖毛の柔らかな手触りを
満喫できる。
程なく卜厶が寝息を立て始める。安心しきった笑みを浮かべて。その微笑みは2人が出会った頃に
彼が扮していたチェシャ猫のような謎めいたものではない。
次の土曜日には、2人は楽しそうに街を歩いている。同じニューヨークでも、彼らの住んでいる
住宅街とは違う、大都会を。
まだドアは閉められ続けているが、卜厶はもう大丈夫だ。
隣ではシ"ェリーが、いまや2人分以上の厚かましい笑みをその顔に貼りつかせてドアを次々と
叩き続けている。
物心づいて以来、わずか4、5歳の頃から、卜厶は自分の歌声が大好きだった。でも彼は自覚
している。シ"ェリーがいなければ、自分は歌手になろうなんて決して思わなかったということを。
1人だったら、今でも自宅の地下室から絶対に一歩も出なかっただろう。
今、卜厶の胸の中は喜びと誇らしさで満たされている。隣にいるシ"ェリーこそ2人の、そして卜厶に
とってのエンジンだ。ただしその“エンジン”に数年前に点火したのは他でもない自分、
自分の歌なのだ。彼は自分の声は単なる「快い」ものではなく、「特別」なものなのだと認識する。
後に彼の声は大勢の人間の、世界中からの賞賛を浴びることになる。しかし彼がひたすら求め
続けるのは自分の隣に立つ小柄な少年、彼のエンジンからの承認と微笑みだけだ。
―――
ある日、スタジオでデモレコードを作っている2人に、1人の男性が声を掛けてくる。
「君たちには才能があるぞ。君たちを第二のフォエヴァーズにしてあげよう。」
- 357 名前:売り込み(終):2005/11/24(木) 22:21:41 ID:6j6ieGKV
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )イツモバショヲカシテイタダキ
| | | | ◇⊂ ) __ キョウシュクデス
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
前スレ末尾でご反応下さった方々、本当にありがとうございます。
(でも677さん、お母様には言わないで下さい。)
- 358 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 22:35:03 ID:XgPOQvl0
- ぷにぷに。ぷにぷに。耳たぶ。ぷにぷに。
えーちゃんが寝てる間に耳たぶぷにぷにするんだ。
全然起きないの。
もう可愛い///
ぷにぷに。ぷにぷに。耳たぶ。ぷにぷに。
- 359 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 22:43:57 ID:3uyYFkDS
- >>351-357
GJ!!
先々のこと考えると切ないけどモエス
- 360 名前:風と木の名無しさん:2005/11/24(木) 23:41:11 ID:rHV47SaG
- >>338-344さんGJ!!
イタミンがラヴい。上司がらしい。瓶愛されてるなぁ…。
あのやりとり大好きなので、セリフがあの声で再生される
ネタで、のたうち回りたいですよ!
- 361 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 00:14:39 ID:6cKuLiFI
- >>338
イタミソが愛しい…
萌えをありがとういやもうほんとありがとう
- 362 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 00:41:36 ID:SCjsG7B7
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 威武の息子たちより愛をこめて
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 本スレの流れで急に思いついたらしいよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 363 名前:1/3:2005/11/25(金) 00:43:08 ID:SCjsG7B7
- 「死にに来たのかい、少佐?」
グラスを掲げた伯爵が、薄く笑って言った。
窓から入る青白い月の光を映したグラスの金縁が妖しげに光る。
それと同じ色をした髪が、彼の端正な顔に影を落していた。
「お前になら殺されてもいいと思ってな。一応解毒剤は飲んできたが…」
ホールの階段下から見上げる黒髪のドイツ人は静かに言った。
その緑の目は伯爵の手のグラスから、青い目へとゆっくり動いた。
いつもコマドリの卵のような色をしてきらきらと光るその目は、
今は光の加減か青磁のような冷たい色をしている。
- 364 名前:2/3:2005/11/25(金) 00:43:39 ID:SCjsG7B7
- 「これがなんだか分かるかい?」
伯爵は、グラスを軽くゆすってみせる。
中の液体が赤いガラスを反射しながら不気味に揺れた。
「猛毒だ」
伯爵から目を離さずに少佐は簡潔に答えた。
「これでもくるか?」
そう言うと、伯爵はくいっとグラスの中身を呷った。
口の中におさまりきらなかった液体が、唇の端から垂れるのを手首でぬぐう。
「もちろん」
少佐は迷う様子もなく階段をつかつかと登り、伯爵のそばへいくと
その腕を掴んだ。その拍子に、伯爵の手からグラスが落ち、石の床にあたって
砕けた。その音ががらんとしたホールに響く。
そのまま強引に少佐は伯爵の口に唇を押し当てた。口の中のグラスの中身が
自分の口に入ってくるのも構わずに。二人の唇の間で行き場を失った
液体が、顎を伝って流れる。それさえも惜しいというように、少佐は執拗に
舐めあげた。
どちらともなくお互いの背中に腕を回し、月が窓枠の影を映し出す床の上に倒れた。
伯爵の上に覆いかぶさった少佐は何度もキスを繰り返す。
突然、伯爵が体を起こし少佐の両手を押さえつけた。
月光を映す緑の目と青い目が再び見つめあい、伯爵は荒い息づかいで少佐にキスを落した。
- 365 名前:3/3:2005/11/25(金) 00:44:58 ID:SCjsG7B7
- 「少佐!少佐!どこですか!!」
部下たちが探しに来たとき、少佐は目をつぶって伯爵の腕の中にいた。
「やっぱり…!!」
「ちょっと気持ち悪くなっただけだよ。心配いらない」
伯爵はにっこり笑った。
「それにしても、角砂糖二十個入れた紅茶はさすがに甘すぎるよ。
私も正直きもちわる…。
いくら任務のためとはいえ、『激甘ケーキ選手権』の審査員を彼にやらせようとは
情報部の部長の考えることは相変わらずよく分からないね」
「はぁ。パティシエの評判があまりにも広まりすぎて…。それで、甘い物嫌いの方は?」
Zは心配そうに少佐を見ながら聞いた。
「大丈夫みたいだよ。自分で予想してた通り、男とキスする嫌悪感と甘い物嫌いが相殺して
砂糖二十個の紅茶にも耐えられたみたい。大会ではちゃんとケーキを食べられるよ」
「そうですか。なんだか無茶な理屈でみたいですけど」
「Z君、君も試してみる?」
「け、結構です!!」
無茶な理屈でも構わないよ。君が私にキスをねだるなんて。ねえ、少佐?
- 366 名前:END:2005/11/25(金) 00:47:18 ID:SCjsG7B7
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )ほんと土下座したい気分らしいよ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
(本スレのノリで本文伏せてなかった!!!ここが伏せ推奨ならほんとごめんなさい)
- 367 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 00:51:56 ID:Q7bT3Do1
- うはwwwwイブのそのシーンテラ萌えたwwwGJ
どうせ習うなら甘党の部…いやミスター…いや何でもない
Zとか伏せようがないよな
- 368 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 08:19:00 ID:SQQ/+GJO
- >>351-357 GJ!
いつもこのシリーズ目当てにこのスレに来てるよ
逆身長差属性は持ってないはずなのに、めちゃめちゃ萌える!
ご本尊が誰なのか興味あるけど調べないでおきます…
次も楽しみにしてます
- 369 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 17:24:14 ID:BtFyfspa
- なんか見たこと有ると思ったらイブキター!
超GJ!!
- 370 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 20:58:33 ID:9gZeugXu
- うわーモエス!少佐ー!
そういや昔、バー汁を受けにしたくて仕方なかったのを思い出したw
- 371 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 21:16:37 ID:MAblqc03
- 少佐テラカワイスwGJ!
- 372 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 21:26:28 ID:Hx0OEzSa
- 丁度昨日読み返したところだったので
超タイムリーな少佐話にテラモエス
GJ!!!
- 373 名前:風と木の名無しさん:2005/11/25(金) 23:13:30 ID:gokX429Y
- >>362
きゃー!少佐無茶な理屈素敵過ぎる!!!
スクロールする手が震えたよ・・・ぜいはぁ
- 374 名前:風と木の名無しさん:2005/11/26(土) 01:27:05 ID:yQ026L7H
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 大不利 アヴェミハダッテ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 今更感満載な美穂氏戦後
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 375 名前:背を向けろ:2005/11/26(土) 01:30:15 ID:yQ026L7H
- がらりと開けた襖の向こう、当然いると思っていた姿が見えずアヴェは眉を寄せた。
合宿最終日。眠り込んでいるはずの投手は、自分が寝ていた布団をたたんでどこかへ行ってしまっている。
「夕飯だっつのに」
どこ行きやがった。小さく呟いてアヴェは踵を返した。
「アヴェ? そろそろ晩飯だぞー」
玄関へ向かうアヴェの姿を目に留めて、不審に思ったハナイが声をかける。それにふらりと手を振って
「エース行方不明。探してくる」
さっさと靴を履いた。
ここだろう、と予想した通り、ミハツはグラウンドにいた。もう日は落ちて、あたりは暗い。その薄闇の中、
ぼんやりとミハツの背中を見つけたアヴェはやはりかと小さく吐息した。
少し小高い中央の上、アヴェに背中を向けて立つミハツは手の中の何か(間違いなくボールだろう)を眺め
ている。
みはし、と声をかけようとしたけれど、彼の様子がおかしいことに気がついて開けた口を再び閉じる。ぼん
やりとボールを見ていたミハツの視線はそのままに、ボールを握っていた右手がゆっくり動きはじめた。何を
始めるつもりかと、正しく言うならば、これ以上投げるつもりなら怒鳴りつけようとアヴェは目を凝らす。
するり、と構えられた右手の形はまっすぐを投げる時のもの。けれど投げる気配は見せずに右手は再び
動き出す。ゆっくりと形を変えていくそれを見逃さないようにアヴェはさらに目を凝らした。
(まっすぐ、シュート、スライダー。……それから)
カーブ。
とん、とカーブを形作っていたミハツの手からボールが落ちた。そのままころりとアヴェの足元に転がってきた
それは。
(ウイニングボール、だ)
自分がミハツに渡したものだ。間違えるはずもない。拾おうかと悩みながら、結局身をかがめることはせずに
足元に落としていた視線を上げた。ミハツはこちらを向いてるだろうと確信していたけれど。
依然こちらに背を向けたまま、ぺたりと地面に直接しゃがみこみ、ミハツは両手を強く握って額に当てている。
そのまま空を仰ぐように大きく上向く、その姿勢はまるで。
- 376 名前:別れを告げろ2:2005/11/26(土) 01:32:23 ID:yQ026L7H
- (―――慟哭)
声が聞こえないのがいっそ不思議なくらいだ。
なんでだ、とアヴェは強く眉を寄せて奥歯を噛んだ。こらえている感情は怒りだ。
(何でウイニングボール手放してんだ)
彼は、ミハツは自分の意思で三星には戻らないと言ったのだ。戻れないではなく、戻らない、と。
(何で一人でこんなとこまで来てんだよ)
寂しくないのかと聞かれて、ないと言い切った。確認するように自分を見て、一瞬周りの、西浦の
メンバーを見てそれから三星の投手の目を見て、寂しくないと首を振った。
(そんでおまえ、なんで)
本当のエースにしてやると、自分は言った。ミハツの努力を知り、彼の力になりたいと心から思った
し、今でも思っている。三年間彼に尽くすと決めたのはほんの数時間前だ。
(……んで、一人で泣いてんだよミハツ!!)
震える背中はこちらを見ない。なぜ泣いているのかをアヴェに悟らせもしない。
怒りで震えるまま、安部は右手を強く握り締めた。足元のボールをそのままに、静かにミハツに背を
向けて歩き出す。
悔しい悔しい悔しい悔しい。
こちらを向かない背中。何を考えているのか見えない瞳。
今、ミハツの中に自分はどれくらいいるのだろう。
「アヴェ?」
荒い音を立てて部屋に入ってきたアヴェに、部員は驚きの声を上げる。その声を無視して目的のもの
を掴んだ彼はぐるりと視界をめぐらせてサカエグチに声をかけた。
「俺とミハツの夕飯、残しといて」
それ以上なにも言わずにアヴェは監督の部屋に向かう。
襖をノックするとあまり間をおかずに声が返ってきた。それにアヴェです、と応えると、何事かと監督が
顔を出す。
- 377 名前:背を向けろ3:2005/11/26(土) 01:33:58 ID:yQ026L7H
- 「ミハツとちょっと時間とります。夕飯遅れるかもしれません」
「え、何で?」
当然といえば当然の監督の言葉に、アヴェはそっと息を吐いた。顔を上げてしっかりと目を合わせる。
「決別させます」
それだけで監督は事情を把握したらしい。あまり無理しないでとだけ言って部屋に戻っていった。
無理しないで、と言われた言葉には頷いたけれど実際のところアヴェは無理ぐらいするつもりだった。
先ほどと変わらない、ぼんやりと見える背中を目に移して、アヴェは今度こそミハツの落としたボールを拾う。
「……ミハツ!」
- 378 名前:背を向けろ4:2005/11/26(土) 01:34:21 ID:yQ026L7H
- びくりとゆれて振り返る背中に、アヴェは持ってきたミットを投げた。
「ちょっとさ、キャッチボールしない?」
意識して軽く笑って、自分のミットを掲げて見せた。ぼろぼろのミハツの顔に気がつかない振りをするのは
容易かった。何せこの闇だ。
ミハツはぐしぐしと大慌てで顔を拭ってから、アヴェに向かってぎこちなく笑って頷いた。
「ちょっと、遠いか」
呟いて少しだけミハツとの距離を詰める。びくりと肩を揺らして途端に警戒するのに思わず苦笑した。
「行くぞーっ」
言ってミハツのミットにめがけてウイニングボールを投げる。軽い音を立ててミハツの元に届いたボールは、アヴェ
の予想通り彼の動揺を誘った。
「みーはしー? 投げてー」
けれどアヴェが自分のミットを大きく振ると、ミハツは慌てて頷いて振りかぶった。
キャッチボールをしながらアヴェとミハツはぽつぽつと小さな声で会話をし始めた。
「あ、幼馴染なんだ?」
「う、うん。小学生、くらいから」
「へー」
そりゃ寂しくないか聞くよなぁ、思いつつパシンとボールを受け取る。
「カノウってどういう奴だった?」
「か、かっこよかった、よー」
会話は基本的に三星学園の事だ。贔屓にされている経過を話す段には涙目にもなっていたものの、今は
もう落ち着きを取り戻している。
そろそろ頃合かとアヴェはボールを投げながら自然に聞こえるように気をつけながら口を開いた。
「……帰りたい?」
- 379 名前:背を向けろ5 :2005/11/26(土) 01:35:21 ID:yQ026L7H
- 聞くとボールを受け取ったままミハツは固まった。投げ返すこともせずにミハツはミットに視線を落としたまま
ボールをいじっている。
「ミハツ?」
声をかけても反応はない。アヴェはゆっくりと彼に近づいた。
「あのさ、」
びくりと揺れるミハツの肩を見ながら、アヴェは彼の手を握った。驚いて自分を見上げた一瞬を逃がさずに彼
の視線を捕まえた。ミハツの右手は冷たい。
「別にいいんだぞ、帰りたくなっても、寂しくても」
ミハツのとび色の目が大きく開かれる。怒られると、もしかしたら嫌われると思っていた彼にとってアヴェの言葉
は予想外だったのだろう。その心の動きが見えてアヴェは口の端をあげた。
「しょうがないじゃん。ずっと一緒だったんだから」
とび色の目に見る見る涙がたまっていくのを見ながらアヴェはゆっくりと言葉を続けた。
「ただ、言ってよ。みんなに言わなくても、……その、俺には、さ」
「あべくん」
……余談だがミハツが言う自分の名前はアヴェには全部ひらがなに聞こえる。
「これからは」
ミハツの目を見ながら、右手を握る力を込めた。まだ手は冷たい。指がかすかに震え始めた。
「これからは俺たち二人で勝つんだから」
- 380 名前:背を向けろ6:2005/11/26(土) 01:36:09 ID:yQ026L7H
- ぼろりとミハツの目から涙がこぼれた。
戻らない、と宣言したミハツをアヴェは疑っていない。宣言した以上、彼は西浦で野球をすることをすでに選んで
いる。自分の意思で決定したその言葉はアヴェに揺らぎない安堵を植えつけた。
ミハツは、西浦で、アヴェとバッテリーを組んで、甲子園を目指す。
だから、彼が三星に未練を残していると知ってもアヴェは当たり前だろうなとしか思わない。
腹が立つのは、それを一人で抱えようとしているからだ。
手を取られたまま、ミハツは再び崩れ落ちる。それに付き合ってアヴェも地面の腰を下ろすと、再び泣き始めたミハツの
震える肩を見つめた。
「……っ、……ぅー」
「声、出せば?」
ミハツの切羽詰ったような息遣いが呼吸困難のようで怖くて、アヴェはそう言うと恐る恐る空いている右手で彼の
背中を撫でてやった。
とたん堰を切ったように抱きついてきたミハツに内心仰天しつつもしっかり受け止めてやる。
「しゅ……ちゃん……!」
修ちゃんとは、叶のことだ。さっき聞いたから知っている。ぽんぽんと背中を叩いて宥めながらうん、と相槌を返す。
「……ぇりたい……っ」
「うん」
「みんなと、やきゅ……したい……っ」
「うん」
ミハツの口からこぼれるのは不可能だと知っているから湧き出す願いだ。未練であって、郷愁であって、別れを
告げるために必要なものだ。
「さみし……のは、もうやだよぉ……」
おっと、とアヴェはひそかに眉を上げる。これは言っておかねば。
「寂しくないよミハツ」
俺いるじゃん。
自分の胸に縋りついてただ泣きじゃくっているだけだったミハツが、小さく頷いた気がした。
- 381 名前:背を向けろ ラスト:2005/11/26(土) 01:36:30 ID:yQ026L7H
- ミハツはその後も帰りたい戻りたいと子供のようにぐずぐず泣き続け、合宿所に戻るころにはそれはもう腫れきった
瞼と真っ赤な鼻で悲惨な状態だった。
けれどアヴェはなぜか上機嫌で、そんな彼と共に冷め切った夕食を取った。なおかつミハツの世話まで焼いていて、
監督やチームメイトが眉を寄せる結果になる。
それ以来、西浦の投手は己が一人だとか寂しいのは嫌だとは二度と言わなかった。
- 382 名前:風と木の名無しさん:2005/11/26(土) 01:38:19 ID:yQ026L7H
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ) いろいろ無茶やって
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | ホントごめんなさい
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 383 名前:風と木の名無しさん:2005/11/26(土) 02:47:53 ID:0AOVh1mW
- >374-382
面白かったよGJ!!!!!
- 384 名前:風と木の名無しさん:2005/11/26(土) 10:51:59 ID:aZmFduRJ
- >382
…GJ!!
- 385 名前:風と木の名無しさん:2005/11/26(土) 11:51:44 ID:yFk51dza
- >362
すっかり遅レスですが…
甘々なハッピーエンドで美味しゅうございましたGJ
- 386 名前:とりっくおあとりーと:2005/11/26(土) 15:31:11 ID:3kZwmewU
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ゆる〜い連作
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 季節外れのハロウィンだってよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ サイトにうpシソビレタンダナ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 387 名前:小さな恋:2005/11/26(土) 15:32:38 ID:3kZwmewU
- 取材の時間よりもだいぶ早く着いてしまった薫と真は、他の三人が来る前に学校の宿題を片付けることにした。
漢字ドリルを真剣に解いている薫の隣で、真が英語の教科書を開く。
暫らくはシャープペンを動かす音と頁を捲る音だけが響いていたが、五分も持たずに真がパタンと教科書を閉じる。
「か−おーるー!」
「真くん、どうしたの?」
手を休めて、隣の真を不思議そうな顔で見る薫に、真は頬を膨らませる。
「飽きた。遊ぼうよ」
「飽きたって言われても……」
苦笑する薫に真はイタズラっこの笑顔を浮かべると、飽きたと言って閉じた筈の教科書を開く。
「今日の英語でね、ハロウィンのことやったんだよ。ほら、このページ」
「読めないもん。ちゃんと説明して」
説明をせがむ薫に真はハロウィンの説明をしてやる。
自分よりもデカイ薫がコドモなのだと確認できるのが嬉しくて、時々中学生ならではの話を話す真に、薫はいつでも素直に羨ましがってくれる。
そのことが嬉しくて、真は目をキラキラさせて一生懸命話す。
そんな真があまりに可愛かったので薫は相槌を入れながらひたすら見惚れていた。
- 388 名前:小さな恋:2005/11/26(土) 15:32:58 ID:3kZwmewU
- 「……そういうわけだから、とりっくおあとりーと!」
「ごめん。俺、お菓子持ってきてない」
「えーっ。じゃぁイタズラな」
困ったように眉を下げる薫に、真は椅子を近づけて抱きつく。
ほんの一瞬、真の薄い唇が薫の頬に触れる。
「お菓子くれないんだったらいたずらするって言っただろ」
自分の身に何が起こったのか理解できずフリーズしてしまった薫に、真はすまし顔で付け加え、今度は唇にキスをする。
「真くんっ」
真っ赤な顔して、ぼんっと頭から湯気を出しそうな薫に、真はケラケラ笑う。
「薫はまだまだおこちゃまだな」
「真くんに言われたくナイ!」
叫ぶと薫は立ち上がり、パタパタと楽屋を飛び出していく。
「あーあ、ほんとにお子ちゃまなんだからなぁ」
呟く真の頬も微かに紅潮していて。
誰もいないのにそんな自分を誤魔化すように教科書で仰ぐ。
――この後の取材のテーマがハロウィンであることをまだ二人とも知らない。
- 389 名前:トリート:2005/11/26(土) 15:33:56 ID:3kZwmewU
- 自分たちの撮影の合間に、小さい子の撮影を竜と大河が並んで見ているときのことだった。
目をキラキラさせて彼らの扮装――を見入る大河を見ているうちに竜の悪戯心が刺激される。
「trick or treat ! 菓子を寄越さないと悪戯しちゃうぞ!」
「アメならあるよん。はい、食べて」
子供じみた行動に対し照れ笑いする竜に大河は間髪入れずに飴玉を差し出す。
出鼻をくじかれ竜がキョドっていると大河は摘んだ飴玉を竜の口に入れる。
その指まで舐めたい衝動を抑え、竜はブドウ味のアメを口の中で転がす。
甘い味を楽しむ間もなく、大河は真剣な顔で竜を見つめる。
「どうした?」
「幸せにしてくれるんだろ?」
「?」
「ハロウィンってお菓子あげた相手に幸せにしてもらえるんでしょ?」
「……誰に聞いたんだ?」
「都くん」
語尾にハートマークをつけそうな勢いで微笑む宏に竜は溜め息をつく。
騙されてる……。大河は単純だからなぁ。
- 390 名前:トリート:2005/11/26(土) 15:34:17 ID:3kZwmewU
- 仕掛けたのは自分だと言うことを棚に上げた竜が困っていると、祥がタイミングよく二人を呼びに来た。
「どうしたんだ、竜? 顔こーんなんになってる」
祥は自分の目の端を左右にぎゅっと引っ張って【困惑する竜】を再現してみせる。
きゃはは笑いをする大河を竜は視界から強制的に消して、祥に掻い摘んで説明する。
素早く事態を飲み込んだ祥が宏に向き合うと、子供に話しかけるように説明する。
「それは違うよ、大河」
「違くないもん」
諭すように言う祥に大河はムキになって言い返す。
それには乗らず祥は辛抱強く説明し、最後に爽やかな笑顔で付け加える。
「言う相手を間違えてるだろ。氷河に言っておいで」
「おぉ、そうか。ありがとぉ、祥ちゃん」
ぱぁっと花開くような眩しい宏の笑顔に、これから氷河の身に起こるであろう出来事に思いを馳せて、竜も祥も苦笑した。
「で、祥は、誰に幸せにしてもらいたいんですか?」
「竜に決まってるじゃん」
何、当たり前のこと聞いてんの? という顔で祥が答える。
あぁ、何でこの子はこんなに可愛いこと言うのかなぁ。
幸せにしてもらっているのは自分のほうだと竜はこっそり笑った。
- 391 名前:とりっく:2005/11/26(土) 15:34:58 ID:3kZwmewU
- ☆★☆
いつものように遊びに来た悠太が、川本家の一員のような顔で食事を済まし風呂に入っている間、先に入浴を済ませた俊太は悠太の寝る場所を確保していた。
客用の布団を自分のベッドの隣に敷いて整えると、俊太はその上に座って携帯を弄る。
スケジュールを確認し、明日のアラームをセットし終えた頃、悠太がそっと俊太の背後から近寄る。
そして――
「とりっくおあとりーと!」
がばっとでっかい図体の子供に背中から抱きつかれ、俊太は思わず硬直する。
「俊太?」
「びっくりしたぁ」
その硬直具合に慌てた悠太が俊太の正面に回りこんで顔を覗き込むと、本気で驚いたのか俊太は強張った顔で心臓の辺りを押さえ、潤んだ瞳で悠太を見上げる。
深いキスを交わした後に酷似したその表情に、悠太の心拍数が跳ね上がる。
「す、すまん」
うろたえながらも謝る悠太に俊太はようやく顔を綻ばせる。
ホッと息をつき、悠太は俊太の隣に座る。
「で、なんですか」
「あのさぁ、風呂入っていて思い出したんだけど今日ってハロウィンだよな」
「あぁ、そういえばそうかな」
そのまま黙ってしまった悠太のうずうずと物言いたげな口をじっと見ていた俊太だったが、ピンと来て何かを企んだように目を細める。
- 392 名前:とりっく:2005/11/26(土) 15:35:21 ID:3kZwmewU
- 「どっちがいいの? お菓子? それとも――悪戯?」
嫣然と微笑んでみせる俊太に悠太はペースを乱され、思わず上擦った声を出す。
「悪戯、してもいいの?」
「だって菓子なんてないし。どうする?」
表情を崩さず俊太がしだれかかると悠太は今度こそカチンコチンに固まる。
滅多にない俊太からのお誘い――それもかなり積極的な態度に悠太の理性が揺らぐ。
おまけに風呂上り特有の匂いが悠太の鼻をくすぐる。
耐えろ理性!
隣は俊太の弟の部屋だし、真下では川本両親がテレビを見ている。
けど、据え膳食わぬは男の恥って……
ゴチソウを前にぐるぐるしている悠太に俊太が耐え切れずに笑い出す。
「ゆーたはアホでかわいいなぁ。冗談に決まってんじゃん」
楽しそうな俊太に悠太の中で何かが切れた。人の気も知らないでこの男は……!
頭を撫でてくる手首を掴み引き寄せ、体勢を崩した俊太をそのまま布団に押し付ける。
一転して余悠太をなくした俊太に悠太はにやっと笑い、ちゅっと音をたててキスする。
「お菓子も悪戯も両方くれるなんてしゅんちゃんは優しいなぁ」
からかうように言う悠太に俊太の頬が紅潮する。
「ゆーたのアホーっ」
何はともあれバカップルの夜は更けていく……。
- 393 名前:とりっくおあとりーと:2005/11/26(土) 15:36:16 ID:3kZwmewU
- ____________
| __________ |
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| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ ) 言い訳は、ない。
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- 394 名前:風と木の名無しさん:2005/11/27(日) 10:00:30 ID:V1t1DTGP
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ナマモノ(オ藁イゲイ人)>>202-207>>211-216の続編です。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 今回はエロ無しです。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロに辿り着けなかったんだってさ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 395 名前:1/7:2005/11/27(日) 10:03:45 ID:V1t1DTGP
- 今日は仕事にならへんかった。
主な原因は、あの部分の痛みな訳だが。
時間が経つにつれ、それはズギズキと存在感を増していき、マネージャーと落ち合う頃には傍からみてもわかるぐらいになってもうた。
「飛来さん、どうしたんです?」
「いや・・・腰痛めてもうてな・・・」
「また〜。どうせヤリすぎちゃったんでしょ?女遊びもほどほどにしといて下さいよ〜」
そう、周りの人間はこんな反応。特に心配する事はない。
心配なのは、こいつ。
「簗儀腹、大丈夫か?」
「えっ!あ、うん、なんで?全然大丈夫やで?」
真っ青な顔、強張った笑顔。ぎこちなく、でも確実に取られたオレとの距離2.5m。
(どこが、大丈夫やねん・・・)
仕事にならなかったのはオレの身体というよりは、こいつのせい。
そしてこんな日に限って仕事は目一杯やったりする。
- 396 名前:2/7:2005/11/27(日) 10:04:47 ID:V1t1DTGP
- 最初の仕事は営業。
二人きりの楽屋が耐えられへんのか、壁際でずーっと携帯をいじってる。オレの方はちらりとも見ようとはせえへん。
せやけど、オレがはぁ、とため息をついただけでビクッと身体をすくめて反応する。
(別に楽屋で襲う気ないですけど・・・ていうか、ヤられたんオレなんですけど・・・)
しかし、あの時の自分の言動はよくわからない。
全身で拒まれて、あんな拒絶は初めてやったから、今までどんな我儘でも最後は笑いながら許してくれてたから、
(・・・パニクったんか?)
どんな方法でもいいから簗儀腹を繋ぎ止めたかったのか?
(でも、まぁ、裏目にでてますなぁ、飛来さん。)
考えても仕方ない。着替えよう。
吹っ切るようにシャツに手をかけて一気に脱いだ・・・瞬間に簗儀腹が楽屋から飛び出して行った。
「なんでそんなに被害者やねん・・・」
確かに・・・鏡に映ったオレの身体には、ちょっと自分でもひいてしまう程の昨日の痕跡があったけども・・・
楽屋ではそんなでも、ネタが始まったらオレもあいつもプロや。
会場もオレらも乗ってきた。ええタイミングで
「なんでやねん!」
簗儀腹がバシッとオレの肩を叩いて突っ込んだ。
一瞬、痛みに身体が強張ったのをあいつは見逃せへんかった。
それから徐々に食い違っていくオレとあいつ。なんとかオチまで辿り着いたからええようなものの、ネタは空中崩壊寸前やった。
- 397 名前:3/7:2005/11/27(日) 10:05:45 ID:V1t1DTGP
- 次のTV収録ではオレに一切振らん、口もきかん、という脅威のリアクションが待っていた。
そのくせオレが(めずらしく)張り切って前に出て動き回ったりしてると、はらはらしたような目でオレの動きを追いかけたりする。
(心配、してくれてんのか?)
ちょっと嬉しい。
しかし、それなら一言「大丈夫か?」とか「辛かったやろ?」とか「お詫びに今夜はオレを・・・」とか言うてくれてもええんとちゃうか。
(大体、バージン相手にあれはハード過ぎるやろ)
ちょっと意地悪したくなって、収録中に冗談のノリでキスしようとしてみた。
「何すんねん、ボケーっ!」
・・・顔面に、ハリセンは・・・正直きっついわ・・・簗儀腹・・・。
今日最後の仕事はラジオ収録。
よりによってラジオ。
狭いブースの中で向かい合わせに座り、オレら二人でフリートーク。
(できるんか?マジで・・・)
本番前、こそっと正面のあいつの方を窺うと、ばっちり目があってしまった。
簗儀腹が真っ直ぐオレを見つめてる・・・今日初めてちゃうか?
真剣な顔過ぎて、オレ、何も言われへんやん。
- 398 名前:4/7:2005/11/27(日) 10:06:30 ID:V1t1DTGP
- 「・・・なんで、おまえ・・・あんな事・・・」
簗儀腹は震える声で、けどオレをしっかり見たまんま言った。
(何故、あんな事をしたのか?)
「おまえ、愛してるって言うたやろ。」
「はぁ?」
言いながら、そうか・・・と気付く。
「ずっと我慢してたのに。」
無意識のレベルにまで押し殺して。
「あんなん言われて・・・男やったらいくしかないやろ。」
「おまえ、それ、どういう意味・・・」
「おまえが好きやからや。」
「―っ!」
簗儀腹が鋭く息を吸う。目を大きく見開いて、ちょっと青ざめてる?
「初めて会うた時から、ずっと好きやった。」
- 399 名前:5/7:2005/11/27(日) 10:07:19 ID:V1t1DTGP
- えらい長い時間見つめあってたような気がしたけど、たぶん一瞬やろな。
すぐに本番が始まって、オレらはいつものようにアホな話をし始めてた。
これまでのギクシャクした仕事が嘘みたいに。
いつもの通りに喋りながら、オレは自分が言うた言葉の意味を考えとった。
(初めて会うた時から好きやった・・・)
それが恋愛感情かもしれんと思った時、彼女をつくった。
彼女のことも好きやったけど、どっか冷めてて。
もしかしてオレは男の方が好きなんかと思ってそういう店にも行ってみたけど、全然興味が湧けへんかった。
こいつやないとあかんのか―
そう気付いてもうたから、忘れようとした。ずっと一緒に居りたかったから。
相方になった時、簗儀腹の唯一無二の存在になれたと思った。
それでいいと思おうとした。あの瞬間までそれでいいと思ってた。
(まさか、あんな酔っ払いの言葉でキレてまうとはなぁ・・・)
嬉しさ、よりも激しい怒りに襲われた・・・ような気がする。
オレの気も知らんで・・・その言葉をそんな無造作に、無防備に言うのか。
忘れてる振りをしてた感情をめちゃくちゃに逆撫でされて。
―それやったら、オレもおまえをめちゃくちゃにしてもええよなぁ?
今考えると完全逆切れやな。まぁ・・・結局できへんかったけど。
- 400 名前:6/7:2005/11/27(日) 10:09:58 ID:V1t1DTGP
- あっという間にラジオ収録は終わった。これで今日の仕事は全て終了。
これからどうしようか・・・考えてたら簗儀腹が話しかけてきた。
「本番中ずっと考えてたんやけど・・・」
オレのこと?とおどけてみせたら茶化すな!と怒られた。
それから、声をひそめてポツリと言った。
「遊びやないんやな?」
「・・・オレがそういう冗談言うと思ってるん?」
「いや・・・そうか、そうやな・・・」
簗儀腹は目を伏せて口の中で何かぶつぶつ言うてる。
「なんやな?」
オレが先を促すと簗儀腹は上目遣いにオレを見た。その顔が少し赤くなってる。
(・・・可愛いやないか)
「もう少し、時間をくれへんか?」
「簗儀腹?」
「おまえはオレの大事な相方で、親友で、せやのにあんなことになってしもて・・・けどおまえは、オレが・・・好きで、オレは、まだ・・・わからへん。」
―もしかして、脈あり?
「せやから、もうちょっと・・・もうちょっと待ってくれるか?」
簗儀腹の顔がさっきよりも赤くなってる。心なしか目が潤んでるように見える。
「別に、ええよ。これまでかてずっと待ってるみたいなもんやったし。あとちょっと待つくらい何ともないわ。」
そうか、と何故かほっとしたように笑う簗儀腹が可愛いから、オレは素早く周囲を確認して唇に触れるだけのキスをした。
- 401 名前:7/7:2005/11/27(日) 10:10:49 ID:V1t1DTGP
- 「何をっ!?」
耳まで赤くして跳びのいた簗儀腹に低く囁く。
「・・・おとなしく待ってるから、たまにはごほうび頂戴な。」
「どこが、おとなしく待ってるねん!」
赤い顔のまま、逃げるように簗儀腹は帰って行った。
自然と自分の口元がにやけてくるのがわかる。
(よし、決めた!)
十数年ぐだぐだ迷ってたけど、もう迷わへん。
簗儀腹の心も、身体も、相方の位置(ポジション)もオレのもんや。
絶対おとしたる。
スイッチをいれたんは簗儀腹、おまえやからな・・・覚悟しとけよ。
気が付いたら、あの部分の痛みはほとんど無視できる程度になっとった。
ホンマ、今日は仕事どころやない日やったで。
- 402 名前:風と木の名無しさん:2005/11/27(日) 10:12:57 ID:V1t1DTGP
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ショージキスマソカッタ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
ヘタレな飛来の一人語り・・・長々とスマソ・・・
- 403 名前:風と木の名無しさん:2005/11/27(日) 17:46:37 ID:+QiDtQjn
- >>402
GJJJJJJ!!!!
神じゃ、神が舞い降りたもうた!!!
- 404 名前:風と木の名無しさん:2005/11/27(日) 22:35:49 ID:FT17g0Nr
- 姐さん今回もGJでした
「お詫びに今夜は俺を・・・」のくだりが飛来が本当に考えそうな
理不尽さでワロイつつ萌えました
次回は是非とも低音×高音のガチュンを期待してます
- 405 名前:主人公&同居人:2005/11/27(日) 23:45:19 ID:47B0CCEu
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 洋画【ノッ〒ィングヒノレ/の/恋/人】を観て突発的に思いついたモナ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| まさに【ヤマなしオチなしイミなし】の典型です
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ユルシテ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
受け攻めはハッキリしていません。ただ主人公と同居人がじゃれてるだけです
- 406 名前:主人公&同居人 1/8:2005/11/27(日) 23:46:00 ID:47B0CCEu
- 「おい、このシャンプー変だぞ」
怪訝な顔をして熱心に髪を掻き回している同居人にうんざりと目をやり、
ウィリ亜ムは答えるのも億劫そうに汗の滲む瞼を人差し指でぬぐった。
「何?」
「全然泡立たねぇんだ。水みたいだぜ」
鏡を覗き込んでしげしげと自分の髪を眺めているスパ伊クに何か言おうとして
口を開きかけたが、ウィリ亜ムは彼が手にしているボトルを目にしてすぐに口をつぐんだ。
見慣れた青い液体に思わず顔をしかめ、同居人の髪を見る。
「シャンプーじゃない。それ、黴取り用の洗剤だよ」
ウィリ亜ムの言葉に一瞬ぽかんとした表情を見せ、スパ伊クは次いで目の前の鏡を再度しげしげと覗き込んだ。
手にしたボトルと鏡に映った自分の髪の様子を何度か見比べて、スパ伊クは何を思ってか、
にんまりと満足げに口角を吊り上げた。
黴取り洗剤に濡れた色の薄い金髪が、あらゆる方向にピンピンと跳ねている。
「そうか。ならいいや」
すっきりした表情で洗髪を再開したスパ伊クに怪訝な顔を向け目を剥いてみせたが、
スパ伊クは我関せずといった様子で洗髪に専念している。
ウィリ亜ムは片手に掴んでいたペーパーバックがふやけ始めているのを見て、
いったんバスタブから出てドアを開け、そばの棚にペーパーバックを置いた。
薄いとはいえ、一冊10ドルの少々値の張る代物だ。少なくとも、彼にとっては。
再びバスタブの湯に体を沈めながら、ウィリ亜ムはじろじろとスパ伊クの髪を見つめた。
「……絶対髪に良くないと思うけど」
「おい、何だ?このリンス、やたら泡立つな」
リンスの代わりにボディーソープを髪にすり込んでいるスパ伊クの傍ら、
ウィリ亜ムはもう何も言うまいと濡れた顔を両手でぬぐった。
もくもくと立ち昇る湯気をぼんやりと眺めながら、ウィリ亜ムはスパ伊クとの遭遇を
心ひそかに不幸に思った。
- 407 名前:主人公&同居人 2/8:2005/11/27(日) 23:46:26 ID:47B0CCEu
- 妻に逃げられて数ヶ月経ち、同居人募集の広告を出した数日後、
同居人に初めて名乗りを上げたのがスパ伊クだった。
やたらと背がひょろ長く、無精髭のだらしない――おまけに服のセンスも最低の――男だったが、
初めて面会した当初はそれほど害のなさそうな男に見えた。
後になって痛感したのだが、同居人に問題なしと判断するのに、たった一回の面会はあまりにも不十分すぎた。
いざ生活を共にしてみれば、彼はウィリ亜ムの食料を無断で食べ、飲み物を無断で飲み、
私物を持ち出し、挙句の果てにヨーグルトと誤ってマヨネーズを食べるような男だった。
今その同居人、かのスパ伊クは、ウィリ亜ムの傍らでボディソープの代わりに
リンスを体に塗りたくって顔をしかめている。
「何だ、このボディソープ、ちっとも泡立たねぇぞ。お前の風呂道具はポンコツばっかりだな」
ウィリ亜ムはうんざりと天井を仰いだ後、バスタブの縁に顎を乗せて「それはリンスだ」と呟いた。
「お前は全身石鹸で洗った方がいいんじゃないのか」
言った後で、スパ伊クなら石鹸をチーズと間違えて食べてしまいそうだと
思いつき、ウィリ亜ムは可能性の高すぎる仮説を自分で恐ろしく思った。
「石鹸?そのほうがクールかな?」
「ああ、クールだよ。淡い清潔な香りが女の子を夢中にさせる」
見る間に輝いたスパ伊クの表情に、内心ウィリ亜ムはほくそ笑んだ。
「ほんと?お前も石鹸使ってる?」
「いや」
「じゃあいいや。俺、お前のを借りるから」
あっさり言いのけて"シャンプー"で顔を洗い始めたスパ伊クに返す言葉もなく、
ウィリ亜ムはゆっくりと目を閉じて深々とため息をついた。
- 408 名前:主人公&同居人 3/8:2005/11/27(日) 23:46:53 ID:47B0CCEu
- 今日も一日の勤めを終え、いつもと変わらず大して店の売り上げの上がらないのを愚痴りながら
牛乳を飲み、ソファに座って少しだけテレビを観てからバスタブに湯をため、
一日の疲れを癒すべく湯に浸かりながらのんびりと新刊のペーパーバックを読んでいる最中、
金髪の無骨な同居人が全裸でバスルームに踊りこんできた。
何事かと目を見張るウィリ亜ムをよそに、同居人はまずトイレで小の用を足すと、
シャワーを全身にぶっかけていそいそと髪を洗い始めた。例の"黴取り洗剤"でだ。
いくら破天荒な言動の多い変人だとしても、彼は他人が風呂に入っている最中に
バスルームに飛び込んでくるような非常識な人間だっただろうか?
少なくとも、長い同居生活の中で彼がウィリ亜ムの入浴中にバスルームに飛び込んでくるのは
これが初めてのことだった。―――ウィリ亜ムは少し考えた後、前述の自問に自答した。
こいつのことだ、十分に起こりかねない事態だった。むしろ今まで平穏無事な入浴時間を
持てたことが奇跡に近い幸福だったろう。
ウィリ亜ムはもはやバスタブの横にうずくまって髪を掻き回している同居人を
追い出すことを諦め、バスタブの縁に顎を乗せて同居人をじろりと見つめた。
「僕が出るまで待てなかったのか。長湯じゃないし、いつも15分ほどで出てくるだろ」
「あいにくと、今日はそんな余裕もないんだ。ようやくリサがデートの誘いにOKしてくれたんだぜ」
せわしなく熱心に髪を洗っているスパ伊クに非難がましい視線を浴びせたが、もちろん
洗髪中で目を閉じている彼にそれがわかるはずもない。
たとえ目を開けていたとしても世界一の鈍物の彼にはわからなかったろう。
諦観してうんざりと目を閉じたウィリ亜ムが湯に肩まで沈み込んだ瞬間、冒頭の
スパ伊クの言葉がバスルームに反響したのだった。
- 409 名前:主人公&同居人 4/8:2005/11/27(日) 23:47:18 ID:47B0CCEu
- "シャンプー"で顔を洗い終え、全身を(間違った道具で)ピカピカに磨き上げた
スパ伊クは満足げに仁王立ちになり、鏡に映った自分をしげしげと眺めた。
「なあ」
「何だ」
何もかも面倒な気分になっているウィリ亜ムは片目だけを器用に薄く開け、
喜ばしげな笑みを顔いっぱいに広げている同居人を見上げた。
「こんないい男、そうはいないね」
うっとりと夢見るように囁きながらマッチョ・ポーズをとってみせるスパ伊クに
再び目を閉じ、ウィリ亜ムは曖昧に何度か頷いた。
「よし、準備完了。おい、ちょっと寄れよ」
「おい、何だ?何してる」
「何って、のんびりお風呂に浸かるんだよ」
突然の湯の揺れに驚いて目を見開いたウィリ亜ムの目の前に、何とも不快なスパ伊クのブツが
ドアップで揺れていた。思わず後ろに顔を背けたウィリ亜ムは何事かとスパ伊クを見上げ、
彼が狭いユニットバスに一緒に浸かる気でいるのにようやく気がついた。
「おいスパ伊ク、どう考えても無理だよ!いったん出るから、もう少し待って」
「大丈夫だってば。寒いんだよ、ケチケチすんな」
窮屈げに身を縮めるウィリ亜ムの体を押しのけて、スパ伊クは無理矢理湯船の中に
体を押し込んだ。泡とともに、湯船の中の湯がざあっと流れ出ていった。
ただでさえ狭いバスタブに大の男がまともに浸かれるかどうかなど、
3歳の子供でもわかりそうなものだ。
残念ながら、30を越えたスパ伊クにはそれが今ひとつわからないらしい。
「痛たたっ!ちょっと、スパ伊ク、もっとそっちへ寄れ!」
「狭いなあ。バスタブが破裂しそうだ」
- 410 名前:主人公&同居人 5/8:2005/11/27(日) 23:47:48 ID:47B0CCEu
- しばらく狭い中押し問答をやった末、ようやくウィリ亜ムが大人しくなると、
スパ伊クは満足げに鼻を鳴らして額に張り付いた髪を後ろに撫で付けた。
向かい合ってバスタブにぎっちり詰め込まれている格好のため、
スパ伊クの骨ばった膝がごつごつ膝にぶつかってとても痛い。
憮然とした表情で膝を抱えるウィリ亜ムに、スパ伊クの間の抜けた笑顔が向けられた。
「なあ」
「何?」
「俺って不潔?」
首をかしげながら尋ねたスパ伊クに、ウィリ亜ムは呆れて天井を仰いだ。
「心配ならちゃんとシャンプーで髪を洗い、リンスでケアし、ボディソープで体を洗ったら?」
「そう違わないだろ」
「違うよ。……歯は磨いた?何時からの約束だい?」
磨いたよ、と笑って歯をむき出したスパ伊クは、その後首をかしげて少し考え、
「6時に彼女の家に行く約束」と答えた。
「もうそんなに余裕ないな。準備は出来てる?」
言いながらシャンプーのボトルに手を伸ばし、いくらか手に垂らすと、ウィリ亜ムは
スパ伊クの髪にそれをまぶした。
「出来てる。あとは俺だけ」
「うわ、ギシギシだ。黴取りのせいかな」指通りのきわめて悪いスパ伊クの髪を
洗いながらそう呟くと、スパ伊クが少しだけ頭を傾けた。
「ギシギシって?それってクール?」
「最低」
丁寧に両手で泡立てて髪を洗ってやりながら、ウィリ亜ムは"小さな子供がいる
母親の気分ってこんなものだろうか"とぼんやり考えた。
- 411 名前:主人公&同居人 6/8:2005/11/27(日) 23:48:38 ID:47B0CCEu
- それにしてもスパ伊クの膝がごつごつ当たって痛い。ウィリ亜ムはじりじり身動きしながら
シャワーを取り、スパ伊クの頭を洗い流した。
「お前プロになれるぜ。シャンプー屋さんだ」
「光栄だね」
スパ伊クの頭皮を優しくマッサージしてやりながらシャワーの湯を浴びせると、
スパ伊クは実に心地良さそうに頭を傾け、極上の料理を味わうグルメ家のような鼻にかかった声を出した。
間近で見るとスパ伊クの髪は本当に綺麗な色をしていた。脱色や染色などではない、
とても純粋な金髪だ。薄い金色に輝く、日の光のような色をしていた。
スパ伊クにはひどく不似合いな代物のような気がして、ウィリ亜ムは思わず口元に
笑みを浮かべた。ろくなケアもしてないのに、よくこれほどの艶と色を保てるものだ。
続いてリンスをいくらか手のひらに取り、髪に丁寧にすり込むようにまぶすと、
再びスパ伊クが甘える猫のような吐息を鼻から出した。
そのくせ、ウィリ亜ムが持ち前の誠実さと几帳面さでもって丁寧にリンスを
すり込んでいると、スパ伊クは肩を揺らして「まだ?なあ、まだ?」とせわしなく
呟いて時間をしきりに気にした。
人がせっかく善意でやってやってるのにと内心憤慨しながら乱暴にシャワーを浴びせると、
スパ伊クは嬉しそうにウィリ亜ムの喧嘩に乗ってきた。
シャワーを奪い取り、ウィリ亜ムに「食らえ」とばかり湯を浴びせかけてきた。
実際、「食らえ」と声に出して叫んでいたかもしれない。
ウィリ亜ムはわけもわからないまま顔面に湯を浴び、半ばパニック状態になって
バスタブの湯を両腕で跳ね回し、スパ伊クに向かって浴びせかけた。
- 412 名前:主人公&同居人 7/8:2005/11/27(日) 23:50:05 ID:47B0CCEu
- ただでさえぎちぎちになったバスタブの中で暴れたのだから、双方がひどい状態だった。
足や腕がぶつかりあい、双方が暴れるたびどちらかの声が「痛い」とか「おい」とか叫んでいたが、
おそらくは相手の声はお互いに耳に入っていなかっただろう。
実際、年甲斐もない子供じみた喧嘩は楽しかったが、(スパ伊クは心の底から楽しんでいただろう)
何かするたびひどく打ち付けあうお互いの体の痛みの方が楽しさに勝った。
結局ウィリ亜ムの方が根負けし、だいぶ減ってしまったバスタブの湯の中で降参すると、
スパ伊クの顔いっぱいににんまりと子供っぽい笑みが広がった。
一日の疲れを癒すどころか、風呂に入る前の数十倍疲労感が募ってしまった。
疲労感漂う弱々しい笑みを返すと、スパ伊クは首をかしげておねだりする子供のように
眉を垂れ、ウィリ亜ムをじっと見た。
「俺、お前の家に住めて良かったよ。本当だぜ」
「全くな。僕のような寛容な同居人、そうはいないね」
息を切らしながら乱れた髪を両手でかき上げるウィリ亜ムの膝に両手を乗せ、
スパ伊クは熱烈な視線をウィリ亜ムに送った。恋する乙女の目のようだ。
「俺、イカしてる?女好みの顔してる?」
気取って少し斜め上を向いてみせながら、スパ伊クは自信満々だった。
ウィリ亜ムの答えなど意味をなさない。スパ伊ク自身がすでに確信していた。
疲れて黙ったまま目を閉じているウィリ亜ムをよそに、スパ伊クは何故か興奮状態だった。
洗ってもらった髪が気持ちよかったのと、先ほどの子供じみた一暴れがよほど楽しかったのだろう。
スパ伊クはしばらく、母親に構って欲しがる子供のようにウィリ亜ムの膝を叩いたり
くすぐったりしていたが、ウィリ亜ムが何の反応も示さないのを知ると、飽きてバスタブからようやく出た。
- 413 名前:主人公&同居人 8/8:2005/11/27(日) 23:51:41 ID:47B0CCEu
- 「よし、バッチリだ。見ろよ、あそこにいるのは誰だ?むかつくほどいい男だな」
薄く目を開けたウィリ亜ムの目に、鏡を眺めて悦に入っているスパ伊クが映った。
ウィリ亜ムは潔く目を閉じた。
「なあ、あとで着る服を選んでくれる?お前のチョイスはいつもイケてるから」
飽きもせず鏡の前でポージングをするスパ伊クの傍ら、ウィリ亜ムは黙って頷いた。
「今夜はセクシーに攻めよう。風呂上りの清潔感あふれる香りに女はイチコロのはずだ。
ウィリ亜ム、セクシーな男にピッタリの衣装を頼むぜ」
黙ったまま曖昧に頷き続けるウィリ亜ムの頬に、チュッと何かが素早く触れた。
驚いて目を開けたウィリ亜ムだったが、目を開けずとも今のが何だったのかを知っていた。
興奮のあまり、スパ伊クは踊りだしそうだった。
怪訝な顔でスパ伊クを見上げるウィリ亜ムをよそに、スパ伊クは裸のまま悠々と
バスルームを出て行った。
スパ伊クはいつだって裸で家中を歩き回っている。大抵は下着を穿いているが、
たまに全裸で平然とリビングを闊歩していることもある。
ウィリ亜ムは頬に触れたスパ伊クのキスの感触をそっと指でなぞり、ため息をついた。
休日の前夜の入浴時間ほど、くつろげる空間はないというのに。
怒涛のような勢いで奴が現れて去っていった半開きのドアを眺め、ウィリ亜ムはもう一度
深いため息をついて、自分の浸かるバスタブの湯を見た。
肩の辺りまであった心地よい熱い湯は、いまやウィリ亜ムのへその少し上辺りまでしかない。
湯をため直してもう一度風呂に入り直そうかと考えたが、すぐに改めた。
ウィリ亜ムはゆっくりとバスタブから出るとシャワーを浴び、スパ伊クの今夜の服装を
見立ててやるためにバスルームをあとにした。
- 414 名前:主人公&同居人 終:2005/11/27(日) 23:56:23 ID:47B0CCEu
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ただイチャイチャまがいのじゃれ合いを書きたかったのでした
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| スンマソ……
| | | | \
| | □ STOP. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ zzzz
| | | | ピッ (´∀`; )(・∀・;)(´Д` )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 415 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 00:57:50 ID:9Ci2vq76
- >>405
元ネタ映画今すぐ見たい。
頭のよわそうなのと苦労性の大人同士いちゃつき禿萌えました。ゴッジョブ!!
- 416 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 01:05:24 ID:VJGJw8S7
- >>405
GJ!!楽しく読ませてもらいますた
脳内で完璧に再生されたよ(´∀`)
また何か投下おながいします!!
- 417 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 01:58:38 ID:n8r2U84f
- >405
描写ウマス。
特にウィリ亜ムはまんまあのヒ/ュー・グ裸ントの表情が目に浮かびました。
洋画っぽい雰囲気というか、良い翻訳物って感じのする文章で萌えますた。
- 418 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 03:51:29 ID:DlarbXvJ
- (゚д゚)ポカーン
(゚д゚)ウマー
- 419 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 17:22:14 ID:zhYTs/+K
- >>405
思わずDVD引っ張り出してきて観てしまった。
ハ、ハゲモエス(*´Д`*)ハァハァハァ
この二人大好きなんだ。姐さん上手いから二人の情景がありありと思い浮かんできたよ。
映画のシーンにあっても何の違和感もなさそうだww
二人とも可愛すぎる…。
私としてはこんな調子でいつまでもじゃれあっててほしい気もするけど、
こっそりとスパxウィリを呟いてみる…。二人とも受けっぽいんだよな。
何にせよ姐さん、極上のほのぼの萌えをありがとうございました!
また気が向かれたら投下してほしいな…
姐さんの文章、すごい好きだ…
- 420 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 22:13:04 ID:K2qgAzMT
- >>405
この映画好きで何度も見てるけど、カプで考えた事無かったな。
でも凄い違和感無く読めた上に萌えた。GJ!
- 421 名前:パラレル? 破壊大帝と情報参謀:2005/11/28(月) 22:33:34 ID:7HEguZkh
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 虎ン素フォーマー・ザ・映画より
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 情報参謀ファンによる、ほとんどパラレルネタです
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ジツハハツトウコウ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 422 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 1:2005/11/28(月) 22:36:43 ID:7HEguZkh
- 歳場トロンとの死闘の末、敵の総司令官紺ボイは致命傷を負った。
しかし目がトロンもまた重傷を負い、応急処置では間に合わず基地に戻って
リペアしたとしても助かるかどうかは即答出来はしなかった。
「天下の目がトロン様もこうなっちゃあお終いだなぁ!」
星叫が至極嬉しそうに言い放ち、倒れ伏した目がトロンを足蹴にした。
「おいアストロ列車!さっさと虎ん素フォームしろ引き上げだ!」
早くもリーダー気取りを始めた星叫はその場を歩き去る。ずるずるとそれに
従うより無い日頃から纏まりのないDEATHトロン軍を横目に、音波はその場を動かなかった。
「……ま……待て…………置いて行くな――!」
助け起こす者もいないまま、目がトロンはボロボロの身体でもがいた。
縋る相手のいない手が宙を彷徨い、身体のどこかしらが動く度に銀色の外装が
雪の様にきらきらと剥がれ落ちて行く。
音波は無機質に自分が日頃から信頼を寄せて止まない破壊/大帝へと歩み寄った。
そして傍らに片膝をつき、その手を静かに、そして力強く握り締めた。
「――――お連れします」
- 423 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 2:2005/11/28(月) 22:38:03 ID:7HEguZkh
- 哀しかった。
冷静で狡猾、機知に富んだこのリーダーは何事も部下任せにはせず、
前線に自ら立つ事を好んだ。その結果自分が傷を負ったとしても弱音などは
吐かない。もちろん誰かの肩など借りようなどとはせず、またその行為を激しく恥じる男だった。
しかし、戦場に凛と在った将の姿は今はどこにもない。
今目の前にいるのは死の淵に立たされ、ただただ生き延びようと必死に
あがく一つの生命でしかなかった。
音波は目がトロンを横抱きにして抱え上げた。目がトロンはぐったりと力無く、
されるがまま音波に身体を預けた。
全員が乗り込み終わるのを苛々と待ち構えるアストロ列車へと歩き出した
音波の後ろを、小さな足音が追いかける。
ちらりと背後へ視線をやると、フレンGが小さな身体をフル回転させて自分
の後をついて来る。ここに来て音波は、自分がこの小さな部下を自分の胸に
しまってやる事すらを忘れていた事に気がついた。
そのフレンGが沈痛な面持ちで抱えているは、目がトロンの融合カノン砲である。
紺ボイとの戦いの果てにいつしか外れ、傷だらけになってしまったそれを
宝物の様に抱き締めながら、いつもは小煩いその口をギュッと真一文字に結び
自分の後をついて来る。
音波はアストロ列車に乗り込んだ。それから内部の隅へと目がトロンの身体に
障りない様に腰を降ろし、いつものように沈黙して出立を待ち始めた。
- 424 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 3:2005/11/28(月) 22:38:30 ID:7HEguZkh
- 『重量オーバーだ! もう飛べん!!』
宇宙空間に響いたアストロ列車の悲鳴が、その内部にいた全員の聴覚を打った。
「――――だとよ。荷を減らさなきゃいかんなあ……」
わざとらしい物言いで一同を見回した星叫は、ニヤニヤ笑いを浮かべたまま続けた。
「どうだ、弱った奴を宇宙へ捨てて行くってのは」
『さんせーい!!!!』
すぐさま賛同したのは紺バット論を始めとする比較的に元気な者。『はんた〜い……』
一拍遅れて弱々しく抗議したのは、あちこちに重傷を負った印せくトロンやジェット論の面々である。
どちらに加勢すべきか……おろおろと主と仲間とを見比べるフレンGをよそに、音波は何も言わなかった。
己が生死の分かれ目とも言える事態に、腕の中の目がトロンは反応すらしていない。弱々しく光を放つ紅い眼で何とか生存が分かる程度だが、最早それも時間の問題と思える様な、そんな状態だった。
音波のロジック・サーキットは、冷酷とも言える手早さで『捨てろ』と主張した。
どの道これは基地まで持たない。死に損ないを後生大事に抱えて共倒れするよりは、さっさと放り捨てて新たなリーダーを据えるべきだ。
どこまでも現実的で、いっそ清々しい程に正論。
音波の中の大部分はそれに賛同した。音波は自分のロジカルな思考に絶大な自信を持っていたし、腕の中で命の灯を失いかけている目がトロンもまた、彼の弾き出した結論を信頼していた。
――だが。
捨てないでくれ。と誰かが泣いた。
- 425 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 4:2005/11/28(月) 22:39:52 ID:7HEguZkh
- 誰だ。
歳場トロンに轢かれて片足を失くした印せくトロン?
敵のがむしゃらかつ正確な砲撃に翼をもがれたジェット論?
しかし実際目の前にいる彼らは、何かに取り憑かれたかの様に反対、反対と
口々に言い募るばかりだ。己に待ち受ける『宇宙葬』という名の処刑を受け入れ
嘆く者などいない。そんなやわな精神の持ち主など、DEATHトロンにはいるはずも無い。
じゃあ、誰だ。
音波は無感動に自問自答した。星叫に連なる形になってしまった他の連中は、
死に損ないのリーダーの命乞いなどしないだろう。もし一言でもそれに類する
発言をすれば、カリスマ性だけは無駄に備えたNo.2によって問答無用で宇宙へと
放り捨てられてしまう。
そうなると選択肢は限られる。アストロ列車は重たい自分の車体の世話で
手一杯、フレンGは音波が認めた人物の言う事しか聞かない。そして音波は
星叫を認めてなどいなかった。
目がトロンは…………違う。
例え危機的状況に在ってさえ、彼は怒りはすれど嘆きはしない。
その怒りを情熱に変え、事態の打破に全力を注ぐのだ。
「――――ああ」
納得から来る溜め息が零れた。
…………俺だ。簡単な事だった、俺が泣いていたのだ。
- 426 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 5:2005/11/28(月) 22:40:49 ID:7HEguZkh
- 何百万年もそばに居続けたのだった。その魂を信奉し続けていたのだ。
自分自身が後にも先にもこれ程の傑物はいないだろうと悟り認めた
この気高き大帝を、何故捨てる事が出来るだろう?
DEATHトロン軍として、命令されるがままに諜報活動を始めとするあらゆる
仕事を成して来た音波は、生まれて初めて自分の意志で、この傷つき弱った
破壊/大帝を守ろうと思った。
――では、どうするか。
感情面と理性面が綺麗に分かれているこの情報参謀は、如何に星叫を
打ち倒しリーダーを救うかをすぐさま模索し始めた。
数の上では向こうが優勢、しかし大半は手負い。こちらにはまだ元気の
有り余る忠実なカセット論が5人もいた。大事な運搬要員のアストロ列車は
傷つけず、出来れば後で目がトロンが存分に罵れる様に星叫は殺さない。
音波の頭脳は目まぐるしく回転を始めた。それを赤いバイザーの奥の目に
見て取ったフレンGは、抱えていたカノン砲を目がトロンの腕に付け直した。
「…………、――――」
その微細な声は次々宇宙へと捨てられて行く哀れな同僚の悲鳴でかき消され、
音波でなければ聞き取れはしなかっただろう。
- 427 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 6:2005/11/28(月) 22:41:58 ID:7HEguZkh
- 「………………音波」
「――――目がトロン様」
知らず声を抑えながらそっと目線を下げ、音波は将の顔を覗き込んだ。
その紅い眼はちらりちらりと炎の様に燃えていた――しかし、それは風前の灯。
死にゆく定めを打ち破る力は残されてはいなかった。
そんな状態の眼がトロンに容体に関する問いは無駄と思われ、音波は次に
何を言うべきか迷った。いつもなら沈黙を守り、主の命令を待てば良い。しかし、今は。
長い時間を共に過ごした右腕の、珍しくも戸惑った様子に眼がトロンは
口元をヒクヒク痙攣させて笑みの様な表情を作った。
「――構わん…………捨てて行け」
「しかし……!」
反駁が口を突いて出た。初めての事だった。
印セクト論は虫の形態そのままにしぶとかった。紺バット論が殴っても
蹴っても外壁にしがみつき離れない。それどころか不用意に手を出した
星叫の手をその鋭い歯で噛む事に成功した。
「どういう意味か、分かっておられますか」
その喧騒を余所に問い掛けた音波に、眼がトロンは緩慢に頷いた。
「……儂を始め、弱った者を捨て――――残った者、だけで、帰還する……」
「何故――貴方が消えたら、我々は」
「……儂だって、そうする」
その言葉に音波は言葉を失くした。頭のどこかで、彼もその道を選ぶだろう
と予感していたから。
- 428 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 7:2005/11/28(月) 22:43:20 ID:7HEguZkh
- 「助かるかも……怪しい連中を、無様に引き連れるより、――元気な連中
が、助かる可能性を――優先する。……そうだろう、音波? ――――お前も
そう結論したのだろうに」
何故、ためらう。
言葉を続ける事が出来ずに口を噤んだ目がトロンは、聞き残した問いを眼で
ぶつけた。聡い音波はその眼を直視出来ず、視線を逸らす。
他の連中の騒ぎが全て、透明な膜でも張ったかの様に遠かった。
「――――貴方が、必要だからだ…………!!」
音波は震える音声回路を叱咤しながら告げた。目がトロンの胸が荒く揺れた。
笑ったのか。
「それは――DEATHトロン軍情報参謀としての、意見か」
音波は黙って首を振った。その右手が知らず伸びて、目がトロンの頬に触れた。
「俺の、意志だ」
それを聞いた目がトロンは眼を細め、触れられるままに再び笑いに似た音を
発した。口から発せられている筈なのに、その振動はひどく頼りない。
「――音波、お前の口から……そんな言葉を、聞くとはな…………長い付き合いだが、
まだ儂の――知らん事も、あったか」
「死ぬな、目がトロン」
音波は強く言った。頬の手触りがか細く思えて、言葉で繋ぎ止めないと
そのまま霞の様に通り抜けそうな錯覚を覚えた。
「音波………………」目がトロンの口が動いた。しかし、そこから先は
聞き取れずに音波は聴覚器のある顔の横を口元に近付けた。
「命令だ――――儂を、捨てろ」
- 429 名前:風と木の名無しさん:2005/11/28(月) 22:43:32 ID:WSpfEsuk
- 全身義体、世界でも屈指の義体使いとしての能力を求められることは多々あった。
公安9課では、電脳戦能力、ゴーストの囁きによって事件を解決することも少なくなかったが、
義体使いとしての能力に拠るところも多かった。
能力ではなく、素子のゴーストを他人から求められたのは、遠い昔、両親も存命していて義体化もしていなかった頃以来、
初めてかもしれない。
「ありがとう」
「なんだ、今日はやけに素直じゃないか」
「素直じゃいけない?」
艶っぽい声で囁かれては、バトーはその魅力に陥落するしかない。指と唇、重ねた肌の感覚器官を全て使って
素子の肌の感触に酔いしれる。
「こんなアナクロなことしなくても、他に方法はあるのに」
素子の胸に顔をうずめるバトーをからかうような口調だった。
「ああ、知ってるさ。でもな、義体化した俺たちにも、生身だった頃の記憶があるだろう。人間は、鼓動や体温を感じると安心する。
義体化しても、脳はそのことを憶えてるんだ。たまにはアナクロなことも悪くないぜ」
「…そうかもね」
からかうような口調は消えて、素子は深い思惟に沈み込んでいるようだった。
「おまえがどんな姿になろうとかまわないが、俺としては、言葉を交わすことができて、触れあえる姿でいてくれると
いいんだけどな。あの時計へのこだわりだってあるんだろう、今のおまえの姿も…俺は、けっこう好きだぜ」
最後の部分は照れで声が小さくなった。素子は言葉のかわりにバトーの背を抱いた。
- 430 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 8:2005/11/28(月) 22:44:30 ID:7HEguZkh
- 音波は弾かれた様に顔を上げた。怖気が全身を走り抜ける。
それは音波が決して逆らわない、逆らえない人物からの最後の指令。
「…………! ……――!!」
無意識のまま横に揺れ始める首に、目がトロンの大部分銀色の剥げてしまった
手が這い上がる。
音波はマスク越しに目がトロンの手の感触を確かに感じた。ただただ
それを感じながら、その首はこくりと縦に振られていた。
「……足らんぞ」
目がトロンが意地悪く呟いた。マスクと手の触れ合う音は、ざりざりと
耳障りな不協和音をもたらした。
音波は視界ががくがくとぶれている様な気がした。マスクに隠れた口が
それを言うのを拒否した。その堤防を、何かが強引に突き崩して行った。
横に振られていた首ががくりと俯き、目がトロンの頬から右手が離された。
「――――了解………………!!」
努めて冷静に。
いつもどおりに、了承した。
命令を、受け入れた。
捨てると。主の命を絶つと――――。
- 431 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 9:2005/11/28(月) 22:45:59 ID:7HEguZkh
- 言ってしまってから呆然とその場に竦んだ音波の腕の中で目がトロンは
満足そうに微笑んだ。その口が更に言葉を繋ぎ、その全てを音波が記憶回路
に刻み込んだ時、力尽きた印セクト論はついに宇宙へと放り出された。
「さぁて、次はあんたの番だ――」
星叫が楽しくて堪らない、といった表情で目がトロンの身体を奪い去って行く。
「まさかあんたまで捨てる事になるなんて思いもしませんでしたぜ、
目がトロン様?」
横抱きにした目がトロンに向け、嫌味たっぷりに星叫が御託を並べている。
いつもの目がトロンならそれを悠々と受け流し、お返しに星叫がぐうの音
も出なくなる様な一言を数個はぶつける事が出来るのだが――今の彼は体力
を消耗し切り、辛うじて星叫を見上げる事しか出来ていなかった。
悠然と数人の同僚を突き落としたゲートに立った星叫。
その身体に取り縋り、目がトロンを取り返したかった。
しかし、自分は命令を受けてしまった。例え命令を発した本人が死の淵に
あったとしてもその命令は絶対で、音波はなす術もなく星叫の背中を凝視していた。
「さようなら、破壊/大帝殿」
あまりにもあっさりとした別れの言葉とともに、星叫はかつてのDEATHトロン
リーダーを真っ暗な宇宙空間に押し出した。
- 432 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 10:2005/11/28(月) 22:46:53 ID:7HEguZkh
- (目がトロン様!)
走り寄ってその身体を捕まえたかった。
いや、最早彼と共に宇宙の塵になっても後悔はなかった。
それでも動かなかったのは、音波の有する鉄の忠誠心と、最後に託された目がトロンの言葉故。
『良いか、助けようなどとは思うな』
彼なりに愛情を持って手塩に掛けた部下の手で放逐される屈辱は、
如何ばかりのものであろう。
その様を見られたくない故の、恐らく最初で最後の『嘆願』だったのだ。
―――――ぁあ…………
虚空に尾を引いた破壊大帝の絶叫に、音波は視覚を遮断して聴覚を両手で塞いだ。
既に聞こえはしない筈の断末魔が、頭にこびりついて離れない。
とうの昔に錆び付いたと思っていた感情機構が、軋みを上げる。
「さて、目がトロンも消えた事だし、新リーダーを決めねぇとな!」
星叫が、また何やらのたまいだした。
もちろんリーダーは俺、との主張は紺バットロンに遮られ一触即発の
睨み合いになっている。
- 433 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 11:2005/11/28(月) 22:47:51 ID:7HEguZkh
- 音波は考えている、破壊大帝の最期の言葉を。
『――音波、お前はお前の思うままに生きろ。星叫ではどの道長くは保たん
だろうしな。…………お前の認めた新たなるリーダーについて行くも良し、
DEATHトロンを抜けても構わん。お前はよくやってくれた――』
そんな、切ない色合いの言葉など聞きたくなかったのに。
リーダー争いはまだ続く。音波は考える。
星叫について行く?――断じて嫌だ。
DEATHトロンを抜ける? ――有り得ない。
新しいリーダー?
星叫、紺バット論、アストロ列車……この有象無象で、DEATHトロンは
まとまるのか。目がトロンが情熱を、愛情を、自分の命すらを捧げた
DEATHトロン軍が、無残に崩壊して行く様など音波は想像したくもなかった。
じゃあ誰が。誰を。誰について行けばいい、目がトロン程の逸物はおそらく
もう現れない。少なくとも自分の生きているうちは。
- 434 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀 12:2005/11/28(月) 22:48:43 ID:7HEguZkh
- ふと、自分の両手を見下ろした。
ネイビーブルーの両の手には、目がトロンの銀色の外装が残っている。
――――目がトロン様。
音波はマスクの中でゆっくり呟いた。既に亡き主をメモリーに刻み、
不敵な気配を漂わせ立ち上がる。
器でない事は分かり切っている。
後で斃されても良いと思うのだ。それが目がトロンを超える人物であれば、
それでいい。
ただそれまでは生き延びる。守り抜く。目がトロンの遺したこの軍を。
無機的な機械音が争いの場に割り込む。
「――リーダーは、俺だ」
- 435 名前:パラレル?破壊大帝と情報参謀:2005/11/28(月) 22:50:06 ID:7HEguZkh
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 台詞とシチュは一部ウロ。お付き合いありがとうございました!
| | | | ピッ (・∀・;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 436 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 00:08:44 ID:BmQ+UoZe
- >>435
GJ!
素晴らしい補完。
これでリーダー争いをトホホな気分でなく見られるよ。
星叫の憎たらしさがアニメそのまんまだw
- 437 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 00:27:01 ID:p9gwAq1J
- 虎ン素フォーマーつったらホントに初代のしか知らないんだけど
これは切な萌えた。GJ。
- 438 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 03:29:49 ID:sPa567Ql
- >>437
姐さん映画は初代キャラ出てますYO!
- 439 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 12:18:48 ID:j6+K/Xf6
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 某週刊漫画担当編集者多西×漫画家空矢ロ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 金艮云鬼の1巻が出たばかりのころだよ!
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) エロスナイヨ
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 440 名前:1/4:2005/11/29(火) 12:19:28 ID:j6+K/Xf6
- 悲壮な声が電話から漏れる。
「おーにし、なんかおかしいかも。ていうか、おかしい。」
ついさっき、駅前で別れた時は何も言ってなかったのに。
「確かに原稿16枚お預かりしました。」
1枚1枚確認して、宝石でも受け取るように丁寧に封筒に入れる。
少し微笑んで、机の前にだらりと手を投げ出した天然パーマに声をかけた。
「じゃあ俺、社に戻るから。」
あまりの暑さと疲労に、倒れこんだ屍体が3つ。空矢ロと、アシスタントさんが2人。
脱稿後はいつもこんな感じだ。
大の男が3人、夜通し作業をするには、この部屋は狭すぎるし、暑すぎる。
さっさと広いクーラー付きの仕事場に引っ越してしまえば解決する問題なのだが、
空矢ロが言うには「金が無い」のだそうだ。
確かに新人の原稿料など、たかが知れているし、
アシスタント代――これが高いのだ――を払うと残りは全て生活費だ。
連載が軌道にのって安定するまでは、経済状態は連載前とほぼ同じ、
もしくはちょっぴり肉が食えるだけ。
それが日本で最も有名な漫画雑誌における新人漫画家の実態だった。
- 441 名前:2/4:2005/11/29(火) 12:19:52 ID:j6+K/Xf6
- 「お疲れ様でした。」
そう言って、扉の方に向かおうとすると、とりわけ異臭を放っている屍体がぴくり、と身動きした。
「おーにし待って。俺も一緒に出る。」
「…寝てた方がいいんじゃね?死にそうな顔してるけど。」
「銀行いきたい。財布ん中135円しかない。アシスタント代払えない。」
俺の腕を手すり代わりにして、空矢ロが重そうに体を動かす。
しょーがねぇなと言いながら、空矢ロの手を掴んで机から引き起こした。
なんとなくそのまま、ふたりで家を出て駅までゆらゆらと歩く。
「引越ししたいなぁ。」
「して下さい。俺もお前んとこ行くの嫌になるくらい暑いです。」
「んなこと言うわりに、用もないのにいつも来て長居すんのはどこの誰ですか。」
そんなふうに軽口を叩きながら手を振って別れた。駅のホームで電車を待っていると、携帯電話が鳴った。
「おーにし、なんかおかしいかも。ていうか、おかしい。」
「どうした?」
数分前とは完全にトーンの違う声。動揺して、焦っている声だ。電話を握りなおして耳に押し付ける。
足はもう、改札の方へ向かっていて、心臓の鼓動が大きくなっていくのを感じた。
「連載、終わっちゃうの?俺、契約切られるの?それとも会社つぶれんの?」
何を言っているのか、さっぱり分からない。何があったのかも、さっぱりわからない。
それでも、空矢ロが動揺していることだけは分かったので、
落ち着くように言ってきかせ、2段飛ばしでホームの階段を登った。
- 442 名前:3/4:2005/11/29(火) 12:20:13 ID:j6+K/Xf6
- 改札の前に、心底、不安そうな顔をして立っている空矢ロを見つけた。
跳ね上がった息を整えながら、ゆっくりと近づく。
「コレ見て。」
そう言って空矢ロが差し出したのは、悲しいまでにささやかな数字が並んだ預金通帳だった。
不思議に思っていると、一番最後、と言われたのでページをめくる。
最後の行に印字されたものを見て、急に力が抜けた。
嫌味をこめて、長いため息を吐く。なんだ、コレか。
『振込 カ)シュウAシャ』
その横には、今までの数字のラインナップからはケタが一つ違う数字が自己主張しているのだった。
「なんだ、コレか。」
走って損した、と言うと空矢ロは動揺したまま詰め寄って来た。
「なんだじゃないですよ。なんで今月こんな多いんですか。て…っ、手切れ金!?」
あくまでも真剣な空矢ロの様子が可笑しくて、我慢出来ずに噴出す。
「違う違う。コレ、1巻初版の印税。会社から明細送ってるでしょ。」
あー、やばい。可笑しすぎる。
- 443 名前:4/4:2005/11/29(火) 12:20:34 ID:j6+K/Xf6
- 笑いながら空矢ロに通帳を返す。空矢ロのぽかんとした顔を見ると、もう止まらなかった。
「明細…来てたっけ。」
「お前の机の横で、封も切らずに放置されてるの見ましたけど。」
空矢ロがまじまじと通帳を眺めながら、小さな声で言った。
「こんなに…買ってくれた人がいるんだ…。」
あぁ、もうすぐ涙目になるんだから。
思わぬ全力疾走をさせられて汗ばんだ指が、ふいに空矢ロの目元に触れる。
「センセ、お祝いしましょう。大金入ったんだから奢ってくれますよね。
会社に原稿届けたらまた戻ってくるから。」
「うん。」
妙に素直な返事が愛しくて、空矢ロの涙を指で拭った。
- 444 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 12:31:33 ID:mRsfKxdy
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
去年書いたのを今頃発掘したらしいよ。
連投規制かかっちゃったので、STOPだけ携帯から…。
- 445 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 12:37:34 ID:Bf/aYUJi
- ぐっじょぶ!
なにこの萌える作者(*´Д`)
- 446 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 15:42:13 ID:06jvZuMy
- なんてこった!GJ!
- 447 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 16:47:24 ID:lVJ9YAbT
- 新境地を見た。GJ!
- 448 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 21:56:11 ID:tYvr+Vza
- うわあGJ!旨いなあ…
- 449 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 22:42:42 ID:pA7u4/Vt
- 実は逆が好きだったりもするんだがGJ!
- 450 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 23:12:28 ID:LC5CqICD
- GJGJGJ!!
丁寧な言葉遣いの割には「お前」呼びなおーにしテラモエス
- 451 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 23:39:29 ID:BIpzwoLt
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 「リンカーン」で下町萌え再燃ですよ!!
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 今日の番組終わりを勝手に妄想らしいよ!!
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 452 名前:下町1:2005/11/29(火) 23:40:20 ID:BIpzwoLt
- なんでか喉が乾いていた。
「いやぁ、まじで今回はキテましたね」
「いい画が撮れましたよ」
「心臓縮ましたって、本当に!」
自分の周りで飛び交う言葉達がいつのまにか何の意味ももたない音に変わっていく。
松元はしばらくぼうっと彼等の顔を見回すと、小さく相づちを打って廊下を横切り、自分に用意された楽屋に姿を消した。『濱田様』書かれたドアを通り過ぎ、一瞬息を吸い込んだが、足は止めなかった。
机に用意されたポットから湯を注ぎ、ひどく緩慢な仕草で安いほうじ茶を煎れると、一口のみこみ、ようやく息をついた。神経質にトントンと机を指で叩きながら天井をみつめ、思い出したように唇を手で触れた。
「うわ、口ゆすがな……」
呟いてみてけれど、松元はそのまま動かなかった。人生の多くを誰よりも隣で過ごしてきた男。
今さら、騒ぐ事もない、か。キスなんてし飽きたっちゅうねん……。
マネージャーの姿が見えない。濱田に呼び出されているのだろうか。もしあの企画で怒るなんてことをアイツがするのなら、きっぱりコンビを解消してやってもいいなと松元はごく簡単に考える。
そんな馬鹿なことがあるはずないけれど。
隣のドアが開く気配がした。どうやら今日散々な目にあった相方が御帰還したらしかった。
無意識に耳を澄ましていると、彼はドアを開けたまましばらくそのまま迷うように立ち尽くし、やがてこちらに近付いてくる足音がした。松元は咄嗟に肩を強張らせた。眠ったようだった心臓の音が俄に騒ぎはじめたようだ。
なんでやねん、なんでや。なんやねん。
顔をあげると、仏頂面の元同級生が壁に凭れるようにして立っていた。何回も洗顔したんだろう、水気を含んだような前髪と肌をしていた。
- 453 名前:下町2:2005/11/29(火) 23:40:47 ID:BIpzwoLt
- 「なんやねん」
ボソっというと面倒臭そうに松元は机に肩ひじをついた。実際面相臭かった。
「……」
「なんの用ですか?」
松元がゆっくりと言うと、濱田は身を屈めお互いの鼻先が触れる距離で松元の目をみつめた。
「なんやねん」
僅かに松元のほうが声を上ずらせると、濱田はそんな松元のデコを指で弾いた。
「やり過ぎなんや、ボケ」
そう言うと動揺した松元に満足したように濱田は立ち上がった。
「今さらやろ?」
「まぁ、そうやな」
「オッサン同士のキスなんか見たないっちゅうねん」
乾いた笑いが干上がった部屋の中に響き……濱田は立ち上がった。
いつでも余裕の相方。
松元は部屋を出て行こうとするその背中に向かって思い出したように呟いた。
「濱田」
「なんや」
「この後ウチ来るか?」
「……」
「久しぶりに足腰立たへんようにしてやるわ。昔みたいに」
「アホ」
呆れたように言うと、少しの間を置いてから濱田はゆっくりと廊下へと出ていった。
「アホやからこの商売やってんねん」
松元はひとり残された部屋で呟くと、冷えた茶を啜った。
- 454 名前:風と木の名無しさん:2005/11/29(火) 23:42:23 ID:BIpzwoLt
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 勢いだけで書いちまったよ!正直スマンカッタ……
| | | | ピッ (・∀・;)
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 455 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 00:23:48 ID:4XpvcvpW
- GJ、超GJ。
同じく下町萌えが再燃したクチです…
- 456 名前:風と木の名無しさん :2005/11/30(水) 00:25:19 ID:74j2zSSf
- GJ!
OA観てて正直たまらんかったっす(*´Д`)
- 457 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 00:26:00 ID:nj6BGTd4
- >>451
GJ!GJ!
干からびきった二人の関係の描写がたまらん
最後の一言もナイス!萌えさせていただきますた
- 458 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 00:55:46 ID:MmwnyUKi
- 林間たまらんかたです…超GJ!
醒めてるオッサン同士だからいい。
- 459 名前:ドクオクエスト 疵:2005/11/30(水) 02:10:43 ID:zkwfxYBm
- 同人板の輝きスレの竜王とドクオの書き込みに、インスパイアされての
初書き込みです。
ドクオクエスト、旅立ちまでのお話をさせてください。
※多少微グロありかもです。
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY | |
| | | | ∧_∧ ドンビキサレタラドウシヨウ…
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 460 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 02:11:28 ID:Onhjjcph
- エェ―!今週そんな展開が待ってるの!
たまたま撮ったビデオが宝物に…。
- 461 名前:ドクオクエスト 疵 1/9:2005/11/30(水) 02:11:30 ID:zkwfxYBm
-
私の顔には、深く醜い傷がある。
その傷を受けたのは、私がようやく少年の域を抜け出ようとした頃の事だ。
村を、竜王の軍勢に襲われたのだ。
伝説の存在と思われていたはずの竜王は、数年前突如として復活し、世界を闇に染めようと動き出していた。
けれど王都より遠く離れたこの村に竜王の手が及ぶ事は無く、村の者達は皆、遠い世界の出来事のようにしか
感じていなかったはずだ。
貧しいながらも慎ましやかに日々を送る小さな村は、突然、異形のモンスター達によって破壊された。
何の戦略的価値も無い自分の村が襲われたのは、ただただ竜王の気まぐれだったのだろう。その証拠に村には
火が放たれ、男達は皆殺され、女は犯され、むさぼり食われた村人の残骸がいたる所に飛び散っていた。
もちろん、村人達はただ手をこまねいていた訳ではない。皆武器を取り立ち向かった。けれど軍人でもない、
ただの農民が魔物相手に勝てる訳が無く、あっけなく、あるいはさらに残酷に嬲り殺されていくだけだった。
私も震えながら、武器をとった。家には私を女手ひとつで育ててくれた母と、まだ幼い妹がいるのだ。
なんとしても彼女達を守りたかった。たとえ手にもった武器が、ただの木の棒だったとしても。
私は彼女達を連れて、森へと逃げた。
けれど女子供の足では思うように進まず、すぐにモンスターの一群に取り囲まれてしまったのだ。
一縷の儚い望みをかけて突き出した木の棒は、あっけなく噛み砕かれる。
そうしてその無謀で愚かな勇気は、最もおぞましい報復によって報われたのだ。
- 462 名前:ドクオクエスト 疵 2/9:2005/11/30(水) 02:12:40 ID:zkwfxYBm
-
ぎちり、ぎちり、と私の上でモンスターが動く度に、私の身体を締め上げる触手が軋みをあげる。
その触手に限界まで押し広げられた後孔を、母と妹を犯した魔物の性器が滑った音を立てて犯していた。
「――っ」
叫びは、もう出ない。もうとうに咽喉は潰れていたから。
私を犯す魔物の回りでは、他の魔物たちがすでに肉塊と化した私の家族に喰らいついている。
その様子は何処か他人事のように目に映った。どうせすぐに、私もああなるのだ。
じゅぅ、と触手の触れた肌から煙があがる。
どうやらこの魔物の体液には酸が含まれていて、それが身体に触れる度に服を溶かし肌を焼いていた。
さらに身体の奥深く穿たれる性器からも滲み出るものが、身体の中をも爛れさせていく。
そのまま体内に放たれていたならば、私は間違いなく死んでいただろう。だが神の配剤か悪魔の計略か、
私の身体は最後の一つ突きのために抱え上げた魔物の手に酸で溶けた皮膚だけを残して、そのまま地面へと落下したのだ。
背中を地面に叩きつけられる衝撃。
けれど、幸運はそこまでだった。
ずるりと後孔から抜け出た性器の凄まじい不快感にうめく間も無く、その性器から吹き出した精液が私の顔に降り注ぎ。
…酸を含むその体液は、私から顔の半分を奪っていった。
- 463 名前:ドクオクエスト 疵 3/9:2005/11/30(水) 02:13:56 ID:zkwfxYBm
-
「がぁぁぁ―っ!」
その瞬間にあげた私の悲鳴は、まるで獣のようだった。潰れた喉から叫びを絞りだし、顔を押さえ地面を転がり回る。
ぶすぶすと立ち昇る肉が焦げる臭気と溶け崩れていく頬の感覚は、いっそ死んだほうがましだったろう。
そうして気を失う事すら出来ずに震える私の足を、別の魔物に掴まれる。ずるりと地面を引き摺られ、足を開かされた。
今度こそ殺される、そう思った瞬間だった。突然、魔物の動きが止まった。
「――ぐっ」
唐突に私の身体を投げ出し、魔物達はそのまますばやい動きで森の奥へと消えていった。
…その場にひとり取り残され呻き続ける私の頬を、何かがポツリと当たる。
「――っ」
雨だ。
数滴の雫は瞬く間に豪雨と化し、焼け爛れた身体を叩く。
逃れられないその激痛にのたうちまわりながら、急速に意識が遠のいていく。暗闇に引きずりこまれるような感覚に、
私は安堵さえ覚えてそこに逃げ込んだのだった
あの撤退は、おそらく竜王の号令だったのだろう。すんでの所で私は命を拾ったのだ。
――それが必ずしも幸福に結び付くかは別として。
- 464 名前:ドクオクエスト 疵 4/9:2005/11/30(水) 02:14:49 ID:zkwfxYBm
-
次に私が目覚めたのは納屋のなかだった。
魔物が引き上げた後に様子を見にきた隣村の人に、私は助けられたらしい。
助けられたとは言っても、布で顔と身体をおざなりに巻かれ、ただ藁の上に転がされているだけだ。
それでも私は、彼には感謝しなければならない。私は呪われた身なのだから。
魔物に犯された者には呪いが宿る。
それが、この世界の言い伝えだ。
本当に呪いなのか、どんな呪いなのか、詳しくは判らない。判ってはいない。なのに人々は被害者であるはずの
その人達を忌み嫌い、石もて追う。
私があの森で魔物にどのような扱いを受けたのかは、私の身体を見ればすぐに判っただろう。
普通であれば、私はそのまま捨て置かれていたに違いない。それでも救われたのは、
おそらく私がまだ年若かったからなのかもしれない。
時折、食料と薬が差し入れられる。その際に私の村が全滅したと聞かされた。そのまま国から打ち捨てられるようだ、とも。
この辺鄙な村が竜王に滅ぼされたとしても、それは国の大事にはならないのだろう。最初から見捨てられていたのだ。
だから、村の人が必死で上げた狼煙にも、軍は来なかった。身体を二つに裂かれながら、村人が命がけで上げたあの狼煙を、国は無視したのだ。
けれど、そんな事を思っても今の私にはどうすることもできはしない。ただこの隣村の人の好意に縋り、ただ身体の傷を癒す日々。
ようやく立ち上がれるようになり、喜んだのも束の間、私はもう自分が昔のようには戻れない事を、知った。
- 465 名前:ドクオクエスト 疵 5/9:2005/11/30(水) 02:15:42 ID:zkwfxYBm
-
歩けるようになり、納屋から一歩外に出た瞬間から、その違和感はあった。
村を歩く人たち。
その中の数人が身に付けているものに、何故か既視感を覚える。そうしてよく見ようと近づこうとすれば、
皆汚れた者を見るような目つきで私の傍から離れていく。
何度かそれを繰り返し、ようやくそれが私の村の人達の持ち物だった事に気がついて、愕然とした。
馬を引く男性が付けているあのベルトは私の隣の家の物ではなかったか。あのちいさな女の子の着ている服は
川向こうの家の孫娘の物ではなかったか。
そうして。
向こうから歩いてくる女性が身に付けているドレスを目にして、私はその場にくずおれてしまった。
嬉しそうに女性が着ているあのドレスは、間違いない。
私の、母の物だった。
あれは私の母が、若くして亡くなった父との結婚式の時に着たドレスなのだ。母は時々それを取り出しては、
少女のように頬を染めながら父とのなれそめを語ってくれた。
(幸せな思い出の証なの)
そう言って笑う母が、私はとても好きだった。
そのドレスを、私の村の物を、どうしてこの隣村の人達が身に着けているのか。
おそらく廃墟となったあの村から、略奪してきたのだろう。私の村を襲ったのは盗賊ではなく魔物で、
彼らは金目の物には興味を示さないから。焼け残った家々から、持ち出して来たに違いない。
確かに、もう死んでしまった者たちにあれらは必要無い物だろう。けれど死んだ村人達を弔いもせずに
野ざらしにしておきながら、金目の物は取ってくるのか。
「――っ」
目の前を、母のドレスが通り過ぎる。咄嗟に掴もうとした手からドレスの裾は通り過ぎ、汚らしい物を見る目つきで
「気持ち悪いっ」と吐き捨てられた。
“ 気持ち悪い ”
咄嗟に布が巻かれた左頬を手で覆った。布越しに、醜く隆起した肉の襞を感じる。あの日、魔物に犯され酸の精液を浴びた顔。
私の穢れの証。
さらに浴びせかけられる罵声に耐えられなくて、私は這いずるようにその場を後にした。
- 466 名前:ドクオクエスト 疵 6/9:2005/11/30(水) 02:17:19 ID:zkwfxYBm
-
不幸は、何処まで私を追いかけてくるのだろう。ようやく戻った納屋に、私はもう戻れなかった。
扉を塞ぐように、私にその場所を提供してくれた人と、村長が立ち塞がっていたから。
私を見るなり村長は汚らわしい者を見る目つきで言った。「出て行け」と。
よく見ればその彼の首にも見覚えのあるアクセサリー。じっと見てやれば、私の視線に気付いた彼が、
手にした杖を私へと振りかざした。
打ち据えられ、私は倒れた。まだ完全に癒えた訳ではない身体の傷から再び流れた血が、地面の砂に吸い込まれていく。
“魔物の呪いを受けた者をこの村に置くわけにはいかない”
何の騒ぎかと集まってきた村人達が、そう張り上げた村長の声に皆一斉に後ずさる。
途端に私に突き刺さる、侮蔑と嫌悪と好奇の視線。
皆が私を見た。男の身で魔物に犯され顔を焼かれた私の姿を。
“男の身でありながら魔物に情を受けひとり生き残った恥知らずが”
村長の傍らに控えた男達が、身を竦ませた私の傍らに立つ。両肘を左右にとられ、
皆の前に引き据えられるように膝立ちにされる。その手が、頭の布と服に、掛かった。
「――っ」
咽喉が潰れたままの私の口から悲鳴は出ない。その代わり、それは周囲から吹き出した。
“見ろ、このおぞましい穢れた身体を”
頭の布を剥ぎ取られ、ぼろ布のような服が引き裂かれる。村人達の衆人環視の中、
私は素っ裸にされて皆に晒されていた。
髪を掴み上げられ、半分が溶け崩れた顔を剥き出しにされる。どこかで子供が泣き出す声が聞こえた。
酸の触手に締め上げられてついた傷がまるで邪悪な蛇のように絡み付いている身体に、皆の視線が突き刺さる。
さらに。
「ヴ…うヴーーっ」
私は潰れた咽喉から悲鳴を絞り出した。
その獣じみた声に怯むことなく、彼らは私の半ば浮いた膝裏に手を掛ける。
そうしてそのまま、周りに見せ付けるために、掴んだ足を大きく開いて見せたのだ。
ひときわ高い悲鳴が上がる。そうだろう。魔物に犯されたそこは性器から滲み出た酸によって酷く爛れている。
その事が私が魔物に犯された男だという何よりの証なのだ。
- 467 名前:ドクオクエスト 疵 7/9:2005/11/30(水) 02:18:22 ID:zkwfxYBm
- あまりの屈辱に息が止まりそうになる。
私が何をしたというのだ。
私はただ、守りたかっただけだ。母を、妹を、ただ守りたかっただけだ。力が及ばずに魔物に犯されてしまった事が、
そんなにも悪なのか。こんな扱いを受けるほどの罪なのか。
ならば私を見つけたときにそのまま捨て置いてくれればよかったのだ。
視界が滲む。
あの惨劇の日以来に流す涙はけれど、無事だった右目からしか流れることは無い。あの魔物は、私の左目から涙すら奪ったのだ。
腕が放され、私の身体は地面へと投げ出された。身を包むものも無くただ虚しく蹲った私の背中に、痛みが走る。
石が、投げられたのだ。その一投が呼び水になり、次から次へと私に向かって石は投げられた。
“石もて追え。呪われた存在を許すな”
まるで魔女狩りだ。
私に石を投げなければその矛先が自分に来るのではないか、そんな恐怖に駆られて村人達は石を取る。
そうして私の身に起こった不幸が自らの身に起きなかった事に安堵しながら、私に向かい石を投げるのだ。
頭を抱え小さく身を縮めて石の雨をやり過ごすうちに、ようやく投石は収まった。手ごろな石が無くなったからだろう。
身体中から血を流す私の顔が、髪を掴まれて再び持ち上げられた。目の端を真っ赤に焼けた熱塊がよぎる。
“この男に呪われた者の証を付ける。何人もこの者に近づくこと無かれ”
いっそのこと、殺して欲しかった。こうまでして私を貶めるのならどうして私を生かした。
頭を押さえつけられる。ゆっくりと近づく熱の塊に施されているのは逆さ十字にドラゴンが巻きつく呪われた紋章。
目を閉じる。
もういちど、あの魔物に犯されたと、思えば、いい。
額に押し付けられた、灼熱の痛み。
獣のごとき唸りを上げ、その瞬間から、私は人とは違う何かになった。
- 468 名前:ドクオクエスト 疵 8/9:2005/11/30(水) 02:20:37 ID:zkwfxYBm
-
“どこへなりと行くがいい”
呪われた証を額に記した姿で引き回された後、私は投げ捨てるられるように村の出口へと放り出された。
何も身に着けていない、裸のままで。
その状態で何処へ行けというのか。
村長の言いたいことは判っている。私に死ねと言っているのだ。ならばあの場で殺せばいいのに、
呪われた私を殺してその呪いが自分に降りかかるのを恐れて、こんな風に私を放り出すしか無いのだ。
額が、熱い。
ずきずきと痛む額と身体を冷やしたくて、私は泉のある方向へと歩き出した。
満月の光が、泉を鏡のように映している。
何度目かの深呼吸の後、思い切って水面に顔を映してみた。瞬間こみ上げる吐き気をようやくの思いで堪える。
想像以上の醜さだった。
溶けた箇所を補うように盛り上がり始めた肉。けれどぐちゃぐちゃに崩れてしまったそこは醜く引きつり、
まるで顔にも蛇がのたうっているような襞になっている。
そうして。
額に戴く、呪いの紋章。
ポツリ、と水面が揺れる。ポツリ、ポツリと醜い私の顔がさらに歪む。
「ふ…う…うぅ」
私は何故、生きているのだろう。母を殺され妹を殺され、身を穢され呪いを受けて。
生きていてもこの先に待つのはあの村のような迫害だけだ。それならばいっそこのまま家族の元に逝ってしまいたい。
気か付けば、私は湖に身を浸していた。
今はまだ腰程度の深さだけど、進んでいけばこの先は深くなっているはずだ。水を掻いて先に進む。
水面を照らす満月の光がまるで別世界のように私を包んだ。
綺麗な、光。
きっと死ねば、この光になって母と妹そして父のところへいける。
死ねばきっと、この身の穢れも全て消えて浄化される。
- 469 名前:ドクオクエスト 疵 9/10:2005/11/30(水) 02:21:53 ID:zkwfxYBm
-
“…汚らわしい”
けれど、不意によみがえった村長の言葉に歩みが止まった。
“男の身で、どのように魔物に媚びて見せたのだ”
違う。私はそんな事はしていない。
“そうでなければあの惨事の中、お前一人が生き残る理由が無い”
ただの偶然。ほんの少しの偶然なのに。
“…案外、お前が魔物達を引き込んだのではないのか。その尻で ”
違う
ちがう
チガウ!
村長はきっと、本当に私が魔物を引き込んだと思っているのだろう。
魔物に媚びて命を永らえたと思っているに違いない。それはきっと村の中にも広まっていて。
―――このまま死ぬなんて、出来ない。
死ぬのは、あの村長の言葉を肯定したと同じ。ならば。
倒すしかない。
あの魔物を、そして竜王を。
その為に私は、生き延びたのかもしれないから。
- 470 名前:ドクオクエスト 疵 10/10:2005/11/30(水) 02:22:53 ID:zkwfxYBm
-
あの後、生きる決意をして泉から上がった私を迎えたのはひとつの小さな籠だった。
先ほどまでは確かに無かったそれを恐る恐る開けると、そこには衣類や僅かではあるが食料と薬が入っていた。
誰が、こんな物を?と首を傾げる私の視界を、見知った姿が擦り抜けるのを感じて顔を上げる。
納屋を貸してくれた、あの人だった。
あんな雰囲気の村の中で私を匿うことは、どんなにか大変な事だったのだろう。捨て置かれても不思議じゃない呪われた私を、
あの人だけが手を差し伸べてくれた。あの場所も薬も食料も、あれがあの人に出来る精一杯の事だったのだ。
顔を上げる。けれどもうそこには誰もいない。
…これを届ける事もおそらくは危険な行為だったろう。なのに、届けてくれた。思えばあの人だけは私に石を投げてはこなかった。
見渡しても姿は見えず、その場で深く一礼する。
ありがとう。私を生かしてくれて。
ありがとう。貴方のその優しさのおかげで、私は全ての人を憎まずに済む。
籠の中にはその他に皮の防具とナイフが一本入っていた。
それら全てを身につけて、バンダナを額に巻いて証を隠す。
全ての用意を終え立ち上がる頃には、夏の早い朝が明けようとしていた。
村の人に見つからないよう、森の奥へと分け入る。
そうしてその日から、私の旅は、始まったのだ。
- 471 名前:ドクオクエスト 疵:2005/11/30(水) 02:24:12 ID:zkwfxYBm
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| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ オメヨゴシシツレイシマシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
一人称が私なのは単なる私の趣味です。
- 472 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 02:52:01 ID:OPXky79j
- >>471
そろそろ寝ようと思ってたらいいものを見ました。
なんかジャンルとか801とかそういったものを超越してGJ
- 473 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 03:26:25 ID:0ko/3/3G
- 壮大なドラマを見た。
GJ!
- 474 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 11:08:27 ID:7hm9Xs+X
- GJ!
続きキボンと言ってもいいですか!(ノД`)
- 475 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 12:19:26 ID:6pMGFcOO
- >>471
GJ!
朝っぱらから思わぬドラマに遭遇して遅刻しかけた。
出来れば最終話まd(ry
いやほんとマジでお願いします
- 476 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 14:51:52 ID:kjhVnbhL
- >471
グッジョブなんて簡単にいえない物を読ませて頂きました。
- 477 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 15:40:17 ID:O3/+nyNx
- >471
スゲー引き込まれた……
いいもの読ませてもらったよ!d!
- 478 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 17:05:37 ID:VsSTou2W
- 姐さんすげー(*゚∀゚)=3
ええモン読ませてもらいました。
続きキボン(0゜・∀・)
- 479 名前:ドクオクエスト:2005/11/30(水) 17:47:15 ID:IP+WCcn1
- 沢山のGJありがとうございます。
ドン引きされなくて良かった…!
元々書きたかったのがドクオと竜王のやりとりなので、あと3話ほどお付き合いいただけると嬉しいです。
本日夜中に ドクオクエスト穢れた勇者 を投稿予定です。
- 480 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 17:50:48 ID:PIHdZ+eH
- がんがれ。待ってる
- 481 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 18:42:19 ID:riJG+meU
- すごいものを読んでしまった・・・・ものがたりだわ。
ドクオ姐さん、続編待ってます。
- 482 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 21:25:11 ID:Ev4mA80+
- >451
亀ですが超GJ!!自分も昨日の輪姦で下町熱再燃組です。
是非是非また降臨して下さい・・・!萌えが止まらない。
>471
どなたかも書いてますがジャンル関係なしに面白い!
続き待ってます。
- 483 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 21:30:24 ID:KXj9xAfN
- うっかり泣いた
- 484 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 21:33:19 ID:AUJ7ox46
- 自分も
電車の中で泣いた
- 485 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 22:59:05 ID:H1r5YbWT
- これは萌えではない
感動だ
- 486 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者:2005/11/30(水) 23:03:28 ID:zkwfxYBm
- 行きます。
5/5です。
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| | | | ∧_∧ オマタセシマシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
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- 487 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 1/6:2005/11/30(水) 23:06:38 ID:zkwfxYBm
-
見上げた城は険しい山の頂に、その姿を晒している。
どのような魔法の仕業かいつもそこには暗雲が立ち込めていて、
時折降り注ぐ雷がその威容を不気味に浮かび上がらせていた。
とうとう、ここまで来た。
…あの日から、10年の月日が過ぎていた。
- 488 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 2/6:2005/11/30(水) 23:07:31 ID:zkwfxYBm
-
あの少年の終わりの日、森の中へと分け入った私は、まず弱い魔物を狩る事から始めた。
剣の腕を磨くために。
けれども同時にそれは、私自身が生き延びる為でもあった。
貰った僅かな食料は、すぐに底をついた。だから、飢えを満たすためにも狩りは必要だったのだ。
兎や狐などの小動物が捕れる時もある。けれど、私の姿を見て逃げ出す彼らより、
襲い掛かってくる魔物を仕留める方が、遥かに効率が良かった。
大抵の魔物は、倒すとその場に溶け崩れてしまう。けれど稀に形を残したままの魔物がいると、
私は狂喜してその肉を貪り食った。それすら叶わない時には、溶けた魔物の残骸を口にしてみた事もある。
毒に中り生死の境をさまよう羽目に陥ったが。
やがて、腕が上がるにつれて倒せる魔物も大きくなると、私はその毛皮を剥いで行く先々の村に持ち込み、
僅かな金銭を得る術を覚えた。
呪われた証を持つ額を隠し、顔の半分を覆っていれば、大抵の村は私を胡散臭そうな目で見ながらも取引に応じてくれる。
やがてその剣の腕を見込まれて、私は村の障害となる魔物の退治を請われるまでになっていた。
村が無くなった日から追い立てられる日々を送ってきた私には、人に頼りにされるという事が、純粋に嬉しかった。
たとえその報酬が相場よりも恐ろしく低い金額であろうとも。退治した魔物の証拠を持ってきた途端に、
豹変した村人達に石を持って村から追い出される事になろうとも。
そんな愚かな私を人々は「勇者」と呼び始めた。皮肉と嘲りを込めて。
その噂は四方に飛んで、村々はこぞって私に魔物退治を依頼した。優しく丁寧な依頼に今度こそと期待をして、
その度に裏切られ、私は村を後にする。
人々の嘲笑を浴びながらも、それでも私は、魔物を倒し続けるしか無かった。
私には、それしか出来なかったから。
- 489 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 3/6:2005/11/30(水) 23:09:11 ID:zkwfxYBm
-
成長するにしたがって、顔の傷は幾分ましにはなった。
とは言っても剥き出しだった肉に薄く皮が張ったという程度のものだったが。
潰れた咽喉も何とか治り、しわがれた声だが出るようになった。
身体の傷もよくなった。身体中を醜い蛇が這い回り、溶かされた内臓が時折膿んで、私を苦しめてはいたが。
恋も、した。
私がよく魔物の毛皮などを取引していた村の、小さな酒場の娘だった。
得た金銭で身の回りの装備を整えた後に、残った金を握りしめて私はそこに通った。店の隅でたった一杯の酒をちびりちびりと口にしながら、
はちきれんばかりの笑顔で客に対応するその娘を眺めるのが私の唯一の楽しみだった。
…少し、母に似ていた。
呪われた身で、彼女とどうなろうと思ったわけではない。ただ、見つめていただけだ。声すらかけた事はない。
けれどある日、いつものように店の隅で飲んでいた私は、突然店の用心棒に首を締め上げられ、店の外へと投げ出されてしまった。
“…あんたみたいなのにうろちょろされちゃあ、売り上げに響くんだよ”
投げ出された拍子にフードが飛んだ。剥き出しになった爛れた左の顔を手で隠しながら声のほうを振り向けば、
用心棒とその腕にしなだれかかるあの娘がいた。
私の醜い顔に、二人の顔色が変わる。
“気持ち悪い”
母に似た顔が、侮蔑と嫌悪に歪んでいる。その事がとてつもなく悲しくて、その場にへたりこんだままの私に水がぶちまけられた。
“…二度と来ないで。汚らわしい”
犬のように、追い立てられる。
彼女は母ではない。それが判っていても、母に似た顔で告げられた容赦の無い罵声に、森に逃げ帰った私は声を上げて、泣いた。
- 490 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 4/6:2005/11/30(水) 23:11:33 ID:zkwfxYBm
-
そんなある日のことだ、王の娘が竜王の手下に攫われるという事件が起きた。
直ちに国王は全国に触れを出した。姫を救うために国中の騎士や戦士や勇者は城に集まれ、と。
村ひとつを見殺しにしたくせに。何十人もの人間が死んでも意に返さない王も、自分の娘は可愛いのか。
勿論、私は応えなかった。そもそも私は勇者でも何でもないから。
けれども、中途半端に噂を聞き及んだ城の兵士に、私は無理やり王の前へと引きずりだされてしまうことになる。
“…お主が勇者か”
引き据えられた私を見て、王は落胆した声を隠そうともしなかった。
彼は勇者に何の期待をしていたのだろう。筋骨逞しい戦士のようなものを想像していたのか。絵に描いたような騎士の姿を想像していたのか。
中にはそんな勇者もいるかもしれないが、私はただの貧相な小男にしか過ぎない。
「私はただの魔物狩りです」
答える私に、そのようだな、と不満げに王が鼻を鳴らす。その視線が不意に、私の被ったフードに落ちた。
“お主、何ゆえ被り物をとらぬ”
「顔に、醜い傷があるのです。お目汚しになりますので」
その瞬間、王の瞳に踊った加虐の光を、私は確かに見た。
“そのような事関係ないわ。無礼者が”
自分の求める者が集まらなかった腹いせを、王は私に求めたのだ。広間に集まる群衆の前で私を辱めることで、その憂さを晴らそうとしている。
衛兵が、私に駆け寄ってくる。私はこの時、自らの手でフードを取るべきだったのだ。フードを取り、醜い素顔を皆の前に晒して、
笑い者になることで王の溜飲を下げねばならなかった。
衛兵の手がフードを掴む。力任せに引き剥がされた。その瞬間、広間に走るどよめき。
“呪われし者だ”
――なんとしても、そうするべきだった。額を隠したバンダナごとフードをもぎ取られて、呪われた者の証を露にされてしまう、その前に。
- 491 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 5/6:2005/11/30(水) 23:13:57 ID:zkwfxYBm
-
広間の中を、着飾った貴婦人達のつんざくような悲鳴が響く。
さらに駆け寄った衛兵達に私は寄って集って引き倒され、その身体の脇に幾本もの槍を突き立てられた。
“王宮に穢れを持ち込むとは。この慮外者が”
口々に口汚く罵られる。私は自らの意思で来たわけじゃない。無理やりつれてこられたのだ。
なのにそう反論する事すら許されずに、少しでも動いたら切り裂かれそうな槍の刃に怯えて、私はその場に凍りつくしかなかった。
“お主は、男であろう。男でありながら魔物に犯され呪いを得たのか”
よくもまあ、生きていられるものよ。と王の口から蔑みの言葉が発せられる。恥知らず。汚らわしい淫売。広間から上がる声は
あの日、隣村の村長に浴びせられた罵言を、私に思い起こさせた。
これが、呪いか。
あの日とは比べ物にならないくらいの言葉の礫を浴びながら、私は思った。
呪いを宿したといわれたその日からも、受けた傷のほかには私の身体に何の変化も現れなかった。
角も生えず牙も伸びず、死肉を求めて徘徊することもせず、変わったのは私を取り巻く皆の反応だけ。
魔物が私に呪いを宿らせたのではない。魔物に犯された者を蔑み虐げるこの世界に呪いは既に宿っていたのだ。
だから、魔物に犯されこの世界から放り出された私は、こうして皆からの呪いを受ける身となったのだ。
“まあ、待て”
興奮は最高潮に達していて、このまま私は皆に嬲り殺されるのでないかと思い始めた頃、他でも無い王が皆を制止させた。
“姫を助けられるなら、誰でも良いわ”
まるで汚物を見るような目で私を見ろした王は私に、名は、と聞いた。
「…ありません」
本当はあった。いや、あったはずだった。けれどももう、忘れてしまった。この10年の間、誰も私の名など呼ばなかったから。
母は私をどう呼んでいただろうか。あの優しく美しい声で、母は毎朝、私を優しく揺り起こしてくれた。
“――起きて。――。朝ごはんが冷めちゃうわよ”
なのにもう、思い出せない。
- 492 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 6/6:2005/11/30(水) 23:15:28 ID:zkwfxYBm
-
“ふん。呪われし者に名など無いか。では勇者と呼ぼう。貴様には過ぎた名だが”
何を言い出すのか、この王は。
“勇者よ、貴様に命じる。竜王の手下どもに攫われた姫を救出せよ。それまでこの王都に立ち入ること、一切まかりりならん”
連れて行け、と犬でも追い立てるような王の仕草で私は広間から引きずり出され、そのまま王都の外に放り出された。
王都の門が、目の前で無慈悲な音を立てて閉じていく。
こんな所まで、あの日と同じだ。
別に王は、私に何の期待もしていないのだ。姫を助け出せればそれで良し。失敗して私がどこぞでのたれ死んでも、
王は痛くも痒くもないのだから。体の良い国外追放だ。
「ゆうしゃ…」
口の中でその言葉を転がしてみる。いっそ哀れなほどに、私には似つかわしく無いその言葉を。
魔物の呪いを宿す私は、人ではなく、ましてや魔物にもなれず。
誰からも受け入れられることの無い、私は穢れた勇者だった。
- 493 名前:ドクオクエスト 穢れた勇者 :2005/11/30(水) 23:17:12 ID:zkwfxYBm
- 本日はこれにて。
____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ オソマツサマデシタ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 494 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 23:20:21 ID:LTEcezqc
- 待ってました!!
リアルタイムで引き込まれました。
- 495 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 23:34:11 ID:2yzAozHB
- >>ドクオクエスト
凄い。凄いドキドキする。
激しく続きが読みたいよ姐さん…!
願わくば勇者に救いあれ。
- 496 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 23:35:29 ID:GAzHd/HU
- GJ!!!
ヌゲーよ。原作がさっぱり分からないのにおもしろい。
続き待ってます!!
つーか、元ネタって一体何orz
- 497 名前:風と木の名無しさん:2005/11/30(水) 23:54:11 ID:ONKQlmMp
- >496
輝けるものたちが集うスレに行くといいかも知れない。前スレだけど。
- 498 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 00:02:34 ID:GAzHd/HU
- >>497
●持ってないんで諦めますたorz
情報dです。
あのスレ面白いなwww
- 499 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 00:11:40 ID:VhRsdRWr
- >496
つ> 「ドクオ りゅうおう」でググる→すごくしあわせになれる
- 500 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 00:20:13 ID:MPOs3VOu
- >493
こんなにわくわくして読むの久し振りだー!!
続き楽しみにしてます!!
- 501 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 00:33:00 ID:kY72vPh5
- 496じゃないがググった。そしてすごくしあわせになった。
- 502 名前:皿戻し:2005/12/01(木) 00:41:38 ID:avnTmZDD
- 前提「インテ利失踪事件3人目の被害者は宇京で、助けに来たのは何故か斧田」
(ラスト近くの登場シーンから)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 503 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 00:42:13 ID:qoCHR/Sg
- >>499
ものすごく幸せになれたよ!!!(;゚∀゚)=3
テラdクス!
つーか、銅鑼だったんだな。原作て…ハズカシスorz
- 504 名前:皿戻し1/2:2005/12/01(木) 00:45:41 ID:avnTmZDD
- 「本当は解けてるくせに、解けない振りで時間稼ぎか?おまえらしいね」
「遅かったですね」
「きっと来てくれると思っていました、くらい言えないの」
「来てくださると思っていました」
「いいこだね」
斧田は、蛇のように細い眼差しで、囚われの宇京を眺める。彼にしては珍しく随分暴れたのだろう、
乱れたスーツからのぞく鎖骨は、痛んではいなかったが少し汗ばんでいた。
ベッドの上以外では散らかることのない前髪が額に貼り付いている。口元には殴られたとおぼしき痣。
凄絶な、色気。
そんな姿を得体の知れない奴らに見せてしまったのは、誤算のひとつだった。
「何かされた?」
- 505 名前:皿戻し2/2:2005/12/01(木) 00:47:59 ID:avnTmZDD
- 「とりたてて言うほどのことは何も」
「言えないようなことはされたんだ?」
「・・・・だいたいご想像の通りですね」
まぁとりあえず逮捕してから考えようか。
呟いて、斧田は犯人たちに視線を向けた。
「ウチのにちょっかいかけたのは、どっち?」
低い声が、響いた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 506 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 00:55:54 ID:OKQ7TxHt
- >499
tnx! 激しく幸せになったよ(*゚∀゚)=3=3
しかしうっかりドクオ×竜王に目覚めてしまいそうになった……w
- 507 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 01:43:30 ID:Xf824Yte
- >>505GJ!禿しくGJ!ε=(*゚∀゚*)=з
神は来てないかなーと覗いたらキテタ…!
何されたんだ雨恭…!(;´Д`)ハァハァ
- 508 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 02:39:20 ID:GnzhVFH7
- >>493
ドクオ痛々しいよドクオ!
凄い退廃的な展開になりそう(;´Д`)ハァハァ
- 509 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 13:11:37 ID:a1wYpAVk
- >505
禿、禿、禿しく萌え!
オニョダの喋り方ヤラしくてイイヨー(*´Д`)ハァハァ
- 510 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 14:46:02 ID:sgWoPmDZ
- >505
姐さんGJGJ!
惚れていい?
- 511 名前:お見舞い1/2:2005/12/01(木) 16:28:10 ID:P4tciCys
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
午後、K視庁。
昨夜から早朝にかけて、捜査一課は慌しい始まりだった。慌しいのはいつものことだが、
慌しい理由が全く気に入らない伊民は朝から不機嫌さを隠そうとしない。
芹澤の目の前の背中は分かりやすく尖っていて、刑事がこれだけ分かりやすいのはどうなんだろ、
と口に出したら凄い勢いで叩かれそうなことを思いながら口を開いた。
「行かないんですか?」
「あぁ?」
ずかずかと効果音がつきそうな勢いで歩いていた伊民は、唐突にそう切り出した芹澤を振り返った。
証拠品のダンボール箱を抱えて鼻先まで埋まった芹澤は伊民をちろりと上目で見返し、もう一度繰り返す。
「だから、行かないんですか、って」
「どこにだよ」
「見舞い」
「はあ?」
「瓶山先輩の見舞い」
「行かねぇよ!」
「…即答ッスか」
伊民は、よいしょ、と箱を抱えなおす芹澤を睨むが、芹澤は全く気にした風でもなく更に言い募る。
「なら僕が行ってこようかな」
「はあ?何でお前が?」
「何でってことないでしょ。一応先輩だし」
「だからって別に見舞いに行ってやることねえだろがあんな奴」
「それにこないだの事件では世話になったし、まだその後の報告してないし」
「…てめえ匿名に日和やがったな芹澤」
「日和ってませんって」
「嘘吐け!」
- 512 名前:お見舞い2/2:2005/12/01(木) 16:30:34 ID:P4tciCys
-
「だからぁ…別に僕が行ったっていいじゃないスか。見舞金渡すからカンパして下さいって言ってる訳じゃあるまいし。
あ、ホントに渡したいなら渡しときますけど」
「何で俺が瓶に見舞金渡さなきゃなんねんだよ!どうせ労災下りんだろ!」
「まあそりゃそッスね。…先輩が行かないほうがいいなら行きませんけど?」
「いいとか悪いとかじゃねえだろ、お前、」
伊民は一度半端に開けた口を閉じ、また開けて、それから思い切り渋面を作るといきなり
芹澤のダンボールの上に自身が抱えていた書類を叩きつけ、背を向けてまた歩き出した。
「ちょっ、せんぱーい?!」
取り残された芹澤の「酷いですよぉ〜」の声に帰ってきたのは、
「てめえも転んで入院しちまえ!勝手にしろ!」だった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 513 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 18:48:55 ID:a1wYpAVk
- >512
禿萌え…!姐さんGJ!好きだ!(*゚∀゚)=3
いたみん可愛いよ、いたみん
- 514 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 21:17:35 ID:K06dq0bq
- >512
いたみん可愛いよ、いたみん
そして、セリィは確信犯に違いない。
- 515 名前:花四:2005/12/01(木) 23:39:58 ID:H9BYFZKf
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 某学園ドラマだよ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 花の4人組みだね
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ナカヨシハナシダ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 516 名前:花四:2005/12/01(木) 23:40:52 ID:H9BYFZKf
- 「うっわ、スゴイ、っつか、あえりえないし」
豪奢な建物の中を、シカサの後に三歩ほどおくれて歩きながら筑紫はつぶやく。
所々に黒いスーツを身にまとった筋肉隆々、表情をピクリとも変えない男性達が
点在しているのは世に言うボディガードだろうか。
「何がありえないんだよ」
「なっ、道日月寺、聞こえてたの?」
「そんだけデカイ声出してりゃ聞こえるだろ」
急に後ろを振り向かれて、狼狽しながらも筑紫はため息をついた。
「アンタの家にもう一度来るってのもありえないし、
家にお医者さん駐在してるのもありえないし、
っっていうか、なんであたしがアンタの家に見舞いに行かなきゃならないのよ?」
具合が悪い人ってだれなの?」
「あぁ?言っただろ」
「聞いてないわよ!」
「ハッ、おまえはホントに"馬の耳に粘土"だな!」
「・・・"念仏"だし」
- 517 名前:花四:2005/12/01(木) 23:42:11 ID:H9BYFZKf
- 重厚な扉を開けると、大きな部屋の中央にはやたらと豪華なベッド、
腰掛けるのさえ恐ろしそうな値段であろうソファや、
博物館でしか見たことのないような置物やら絵が飾られている。
見舞い用の花なのか、随所に零れ落ちそうなほどの花も生けられていた。
「いいとものゲストかよっつーの」
筑紫が一人ごちていると、ソファから二人の影が見えた。
「あれ?シカサ、牧里予連れてきたの?」
長い手足をもてあましたように組んだソウヅロウの肩に、軽くよりかかりながらアキラが片目をつぶる。
「おやまあ、仲のよろしいことで」
「おまえらほどじゃねえ!」
怒鳴るシカサにクスリとほほ笑むと、ソウヅロウはベッドの方を指差した。
「シカサがいないから、寂しがってたよ」
「そんなこと知るかよ!・・じゃねえ、知ってる!」
否定と肯定が入り混じった返事を返しながら、
シカサは筑紫の腕を引っ張り、ズカズカとベッドへと近づいていく。
- 518 名前:花四:2005/12/01(木) 23:42:51 ID:H9BYFZKf
- 「ちょ、ちょっと、道日月寺、何する・・・・」
掴まれた腕を振りほどきながら抗議の声をあげた筑紫の声が、止まる。
ベッドの中、やたらとたっぷりドレープをきかせた白い布につつまれていたのは、花シ尺塁。
ふんわりとした微笑を浮かべながら、シカサと筑紫を見上げていた。
「ごめんね、オレが、牧野に会いたいって言ったんだ」
「あ・・・ごめんなさい、うるさくして。でもなんでこの家に?」
「それはだな!」
二人の間にシカサが割ってはいる。
「昔から塁は体が弱かった。
だから外に遊びに行くのも難しかったんだが、オレの家には常時トップクラスの医者がいる。
ということで、オレの家になら大丈夫だということになり、ついでに塁の主治医にもなったというわけだ!」
「・・・はぁ・・・」
納得なのか、ため息なのか、筑紫は微妙な相槌をうつ。
満足げな顔をしたまま、シカサは続く隣の部屋へと移動した。
それを目で追いながら、今度こそ何度目かの本気のため息をもらす筑紫に、
下から綺麗な指がのびてきた。筑紫の指にそっとふれる。
「牧里予の元気、分けてもらいたいなと思って、来てくれてありがとう」
「うっ、ううん。はやく、元気になってね!」
- 519 名前:花四:2005/12/01(木) 23:43:33 ID:H9BYFZKf
- 「塁!!」
いつの間にか戻ってきたシカサが、またしても二人の間に割ってはいる。
「お前にずっと隠してきたことがある・・・本当にすまないと思ってる」
「ど、道日月寺?」
何事かと面食らう筑紫には我関せず、
真剣な眼差しをしたシカサはおもむろに口をひらいた。
「すりおろしたりんごを食うと若ハゲになるっていうのは、オレの真っ白な嘘だ!
風邪をひいた時には、むしろすりおろしりんごが体にいいんだ!
おれがすりおろしてやった、食え!」
「赤でしょ、ってか、それ本当にあった話だったの?」
シカサの手から差し出されたガラスの器には、
すりおろされたばかりのりんごがみずみずしさを放っている。
それを塁は幸せそうに見つめる。
「うん、知ってた」
「・・・そう、なのか?」
きょとん、としたシカサ司の顔を面白そうに塁は見つめ、そして口を開く。
わけのわからぬまま、話題においていかれたような筑紫が次に目にしたのは、
驚くような、それでいて麗しいような光景だった。
「しょうがねぇな、ほら」
銀のスプーンを一匙、熱のためか常よりもいくら赤く濡れた唇へと持って行く。
シカサが、類に。
「ったく、おまえは昔から甘えん坊だな!」
「うん」
「まったく、三つ子の魂は百八つあるってホントだな」
いつものようにツッコミも入れられず放心状態の筑紫の背後には、
いつのまにやらソウヅロウとアキラが微笑を浮かべ立っていた。
「百だし」
「煩悩だし」
おまけに、悪戯そうな瞳で顔を覗き込まれる。
「目の保養できたでしょ」
- 520 名前:花四:2005/12/01(木) 23:44:04 ID:H9BYFZKf
- 「そうそう、風邪には、ジンジャーティがいいんだよ」
「ジンジャー?生姜湯だろ?オレ的にはありえない」
ベッドにはあいかわらず妙な雰囲気のまま、シカサと塁がいる。
塁はいつものようにニコニコとしているし、シカサもまんざらではないといった様子で、
口ではなんだかんだといいいながら世話をやいている。
「っていうか、なんで病人のところにアンタ達4人が揃ってるの?わけわかんないし!」
筑紫をはさんで、ソファでくつろいでいるソウヅロウとアキラが顔を見合わせた。
「何でと言われても、それが普通だからね。
自分の家にいる時と、女の子と消えるとき以外は、いつも一緒だから」
「そうだな、風邪も、オレたち4人みんなひくよな。一人がひくと、一人が治る」
「あー、はいはい・・・」
返事をする気にもなれず、筑紫はティーカップを手にした。
きっと貧乏人には飲めないような高価なお茶なはずだから、
とりあえず飲んでおかなくては。
それにしても。
「なんであたしここにいるんだ?」
- 521 名前:花四:2005/12/01(木) 23:46:31 ID:H9BYFZKf
-
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 原作読んでないから細かいとこ違ってたらスマソ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 522 名前:風と木の名無しさん:2005/12/01(木) 23:56:48 ID:+To/90bg
- >>521
GJ
ほのぼのワロタ
- 523 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 00:04:55 ID:DvTQ9rJA
- >>521
>「そんなこと知るかよ!・・じゃねえ、知ってる!」
ここが好きだ〜
GJ!
- 524 名前:ドクオクエスト 決戦前:2005/12/02(金) 00:31:29 ID:87J49lPn
- 毎夜の連投申し訳ありません。投下させてください。
8/8の予定です。
※微エログロありかもです。
____________
| __________ |
| | | |
| | |> PLAY | |
| | | | ∧_∧ ホトバシルジョウネツヲハッサンサセタイ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 525 名前:ドクオクエスト 決戦前 1/8:2005/12/02(金) 00:33:17 ID:87J49lPn
-
竜王の城は、魔物で溢れかえっていた。
階を進めるごとに現れる魔物を、傷を受けながらもなんとか倒していく。
止血のための薬草を取り出そうと傍らの袋の中を手探った。けれどそこにはもう、一片の薬草も無い。
仕方が無い。充分な補充が出来なかった。
裂いた袖で傷を縛り、僅かな休憩を得るために、私は壁へと寄りかかった。
竜王の城を攻略する日取りが決まってから、国中の店から色々な装備が姿を消した。
剣や鎧、薬草などを国中から集められた戦士達が買い漁ってしまったからだ。
そんな状態で私に物を売ってくれる店は無く、仕方なく私は森の中に自生する薬草を探すしかなかった。
それもあらかた取り尽くされていて、充分な量にはならなかったのだ。
“――!”
遠くで誰かの絶叫が聴こえる。
最初にこの城に攻め入った時には200名以上の戦士や騎士がいたはずだ。血気盛んに剣を振るう彼らはけれど、
いつしか数を減らしていき、とうとう今の悲鳴で私はひとりになってしまった。
自分がそれほど強いとは思わない。おそらく呪われた人生の中の、ほんの少しの幸運を今使い果たしているに違いない。
視線を上げる。そこには竜王の玉座の間へ続く最後の階段。
詰めていた息を吐き、立ち上がった。竜王はもうすぐそこだ。
一歩一歩を踏みしめて、階段を登る。
天にまでも届きそうな竜王へと続くこの階段は、そのまま私の人生の終着へと続く、最後の旅路だった。
- 526 名前:ドクオクエスト 決戦前 2/8:2005/12/02(金) 00:35:05 ID:87J49lPn
-
あの日、王都から追放された後、私はその足で姫が捕らえられていると言われた場所へと向かっていた。
ろくな準備もせず、ただがむしゃらに突き進んでいた私は、あの時おそらく自棄になっていたのだろう。
死んでもいいとさえ思っていたのかも知れない。
姫を攫ったのは、雲をつくような大きなゴーレムだった。
何人もの戦士がその身体に歯が立たず、血の海へと沈んでいく。けれどなんの運命の悪戯なのか、
その時私が装備していたものが魔物にとって弱点だったらしく、呆然とする私の前で、魔物は砂へと還っていったのだ。
“勇者さま”
とさり、と、私の胸に小柄な女性が飛び込んでくる。とらわれの姫だ。
“助けて頂いてありがとうございます”
初めて受ける手放しの好意に私はうろたえた。私の胸に顔を埋めそう囁く姫は、
そう、生きていればおそらく私の妹と同じくらいの年だろう。
そう思うと、まるで腕の中の姫が妹のように思えてきて、あの日助けることが出来なかった妹を
ようやく助け出したような気にさえなって、私は堪らずにその髪を撫でてしまった。
「もう、大丈夫だから」
けれど、私のしわがれた声に、腕の中の姫の身体がびくりと強張る。
“…勇者、さま?”
恐る恐る私を見上げた姫は、私の顔を見るなり私の身体を力任せに突き飛ばした。
“いや―――っ!化け物!”
ほんの一瞬前まで私を勇者さまと呼んだその唇で、姫は私をそう罵り、
手近にある物を手当たり次第に私に投げ付けてくる。
ほんの一瞬前まで自分を監禁していた魔物の残骸を手にとって、助けに来たはずの私に投げる。
“寄らないで。汚らわしい”
本当に、この親子は。
勇者に一体何を求めているのだろう。そもそも勇者とは何だ。誰か私に教えて欲しい。
姫の叫びを聞きつけて他の戦士達がやってくる。姫の事は彼らに任せて、私はその場を離れた。
- 527 名前:ドクオクエスト 決戦前 3/8:2005/12/02(金) 00:37:23 ID:87J49lPn
-
“役立たずめ”
王は私を見るなりそう吐き捨てた。
ゴーレムを倒した私の手柄もいつの間にか他の者の手柄にされて、
私はただ戦場で皆の足を引っ張った愚か者として、王の前に引き出されている。
“あげくその場から逃げ出したと言うではないか。勇者の名を汚しおって”
私が自分でそう名乗っているわけではない。皆が、王が、勝手に私をそう呼んでいるだけだ。
それに姫が私に助けられる事を拒んだのだ。
半狂乱になって暴れる姫を前に、目の前から姿を消してやる以外の何をしてやればよかったというのか。
まるで罪人のように後ろ手に縛られ頭を地面にこすり付けられている私を、姫が見下ろしている。
魔物を倒したのが私であること、私が逃げ出したわけでは無いことを知りながら、姫はわざと知らないふりをしているのか。
“名誉を挽回する機会をくれてやろう。竜王を征伐する戦に出るのだ”
一体私にいつ、名誉などというものがあったのだろう。もともと無いものをどう挽回せよと言うのか。
“ありがたく思うがいい”
そうしてそれを私がありがたがると、本気で王は思っているのだ。
もともと、私は私を犯した魔物を、そして竜王を倒すためだけに生きているのだ。戦に出ることにはなんの異存もない。
でも時々、ふと思うのだ。
私が倒すべき敵は、本当に竜王なのだろうか。
- 528 名前:ドクオクエスト 決戦前 4/8:2005/12/02(金) 00:38:42 ID:87J49lPn
-
“ギャ―――!”
ようやく階段を登りきった私を、つんざくような叫びが襲う。おそらく玉座へと至る扉を守る魔物だろう。
剣を握り、タイミングを計って魔物の前へと飛び出す。
正面に向き合い剣を構え…けれど次の瞬間襲った衝撃に、私は剣を取り落としそうになってしまった。
扉の前を陣取り、その魔物は翼を広げている。その身体から伸びるのは、無数の触手。
剥き出しのそこはそれが通常の状態なのか、完全に勃ちあがっていてぬらぬらと滑り、
そこからにじみ出る淫液がぼたりと床に落ちると、それはじゅぅと煙を上げて床石を溶かしていった。
私は、叫び出しそうだった。
そこにいるのは間違いない。私を犯したあの魔物だった。
- 529 名前:ドクオクエスト 決戦前 5/8:2005/12/02(金) 00:41:09 ID:87J49lPn
-
最初に餌食になったのは、妹だ。
まだ十にもならない幼い身体に、この魔物は襲い掛かった。けれど魔物のそそり立つ欲望を収めるにはその身体は幼すぎて
…一言の悲鳴を発する間もなく腹を突き破られて彼女は死んだ。
次に襲われたのは母だった。妹の無残な姿に彼女は狂ったように泣き喚き、
ねじ切られた妹の頭を抱きかかえたまま、内臓を溶かされて息絶えた。
そうして物言わぬ塊となった二人を他の魔物が貪り食う中、私が最後に犯されたのだ。
「…ぐ…ぅっ…うぅ…」
かみ締めた歯の隙間から、堪えきれない呻きが漏れる。ぶるぶると、構えた剣の切っ先が揺れた。
身体が、心が、あの日の記憶に染まっていく。
妹と母を犯し殺し、その肉片をこびり付かせた魔物の性器は、じゅわじゅわと煙をあげて私へと近づいた。
まるで別の生き物のように動く触手に絡め取られ、捧げるような姿で広げられた孔を、魔物はゆっくりと刺し貫く。
もうすでに二人を犯した魔物は、最後の私を限界まで嬲り楽しもうとしたのだろう。
ずぶずぶと新たな煙を立てて埋め込まれる凶器に絶叫を張り上げた私の身体の蠢きを、あの魔物は楽しんでいた。
わざと触手から逃し地面を這いずって逃げる私を追いかけ回し、
そうして手足に絡めた触手で身体を引きちぎる寸前まで捩じり上げながら、
その度に上げる私の悲鳴を、絶望を、涙を、恐怖を、この魔物は存分に味わっていたのだ。
- 530 名前:ドクオクエスト 決戦前 6/8:2005/12/02(金) 00:43:13 ID:87J49lPn
-
がたがたと、身体が恐怖に震える。足が竦みあがり、一歩も動けない。そんな自分のあまりの無様さに涙が滲んだ。
この日のために、私は生きてきたのではなかったか。焼き鏝で呪いを烙印され、唾棄すべき存在と成り果てながらも、
今日まで生き延びてきたのは一体何のためだった。
愚かな勇者よと蔑まれ、いいように利用されながらも、それでも魔物を倒し続けたのは。
“…魔物に情を受けひとり生き残った恥知らず”
“男の身で、どのように魔物に媚びて…”
「あ…あぁっ…あぁぁ――――っ!」
溢れ出した思いに突き動かされて、私の口から雄たけびがあがる。
剣を構えなおす。何度も何度も死にかけながら剣を鍛え上げたのは、ただひたすらこの日のためだった。
地面を蹴りつけて、足を大きく前へと踏み出して。
そうして私は。
あの日の自分との決別のために、魔物へと向かった。
- 531 名前:ドクオクエスト 決戦前 7/8:2005/12/02(金) 00:44:59 ID:87J49lPn
-
魔物はおそらく強かったのだと思う。
けれど今の私にはそんな事を感じる余裕は無く、ただただ激情のままに剣を振るうだけだった。
ざくりと剣が触手を断つ。体液を撒き散らしてのけぞる魔物に袈裟掛けに剣を振り下ろす。
そうして私に伸びる無数の触手を何度も何度も切り裂きながら、いつしか私は泣いていた。
魔物の腹に剣がめり込む。
凄まじい叫びを放ち、とうとう魔物は地響きをあげて、地面へと倒れ付した。
荒い息をつく私の目の前で、魔物がびくびくと身体をくねらせている。そんな魔物のある一点が視界に入り、
私は思わず嘔吐しそうになった。
断末魔に悶える魔物のそこは、死に行く今になってさえ、淫らに勃ちあがったままだ。
むしろ今にも弾けそうなくらいに張り詰めていて、私の瞳を汚している。
これは、私から母を、妹を、そうして私の尊厳までもを奪い去ったモノ。
再び、剣を振り下ろす。
私の人生を奪った凶器は、あっけなく私の目の前から、消えた。
- 532 名前:ドクオクエスト 決戦前 8/8:2005/12/02(金) 00:46:59 ID:87J49lPn
-
切り飛ばされた魔物の性器は、それでもしばらくは床の上でのた打ち回っていた。
けれどやがて動きを止め、気が付けば魔物もすでに息絶えている。
「――っ」
詰めていた息を吐き出す。途端に、膝から力が抜けた。
よろけた私は剣を支えにしようとしたが、魔物の酸で腐食したそれは脆く崩れ、私はそのまま床へとへたり込んでしまった。
がくがくと身体が震える。目の前の光景が信じられずに何度も何度も、魔物と折れた剣とを見比べる。
そうしてようやく、自分がとうとう生きる目的の半分を達成したことを知ったのだ。
「…あ…」
私の手から、柄だけになった剣がこぼれ落ちた。酸で弱ったそれは床へ落ちた途端、砕け散る。
この魔物を倒したからと言って、私の受けた呪いが無くなる訳ではない。私の受けた傷が消える訳ではない。
でもそれでも。
「…かぁ…さ…」
母と妹の仇だけは、取ることが出来た。
もう動かない魔物の骸の前で、胸を押さえうずくまる。口から溢れ出る母と妹の名と、こみ上げる涙と嗚咽を、
私はもう抑えることはしなかった。
- 533 名前:ドクオクエスト 決戦前:2005/12/02(金) 00:48:41 ID:87J49lPn
- 本日はここまで。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 534 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 00:49:37 ID:2OHebT+v
- うわああああああGJ
セツナスじゃ足りない。この衝動はなんだ。
- 535 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 00:51:00 ID:bbKbx4/B
- リアルタイムで夢中になって読んだよ。
言葉一つ一つが痛くて悲しい…願わくば「勇者」に救いのあらんことを
続きはあしたでしょうか、とても楽しみにしてます
- 536 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 00:54:08 ID:PlgYvKBj
- 同じく、仕事しながら更新待ちして読んだ。
名前がまだ決戦前だから次があるんだね!?
明日が楽しみだよ
- 537 名前:皿戻し2 1/3:2005/12/02(金) 00:54:30 ID:lbN7R9MI
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「大変だったらしいじゃない、インテ利監禁事件だっけ?」
「ええ、実際に大変だったのはこちらではありませんが」
回転寿司の皿を戻そうとする斧田をやんわりと押しとどめて、宇京は肩をすくめた。
「おまえが監禁されたんじゃないかって気が気じゃなかったよ」
「心配してくださるんですか」
「するよ。愛してるもの」
「・・・あまり質のいい冗談ではありませんね」
打撲骨折、捻挫、創傷。
全治一ヶ月と診断された宇京の相棒(インテリでないほう)は、病院のベッドの上だ。
情けない格好で寝そべった姿に、苦笑したのはほんの数時間前のこと。
- 538 名前:皿戻し2 2/3:2005/12/02(金) 00:55:38 ID:lbN7R9MI
- 「本気だよ。まぁ、おまえなら暗号なんて簡単に解いて、事件は解決するんだろうけど」
「もし解けなかったら、とは考えませんか?」
「おまえが?」
「はい」
「解けないフリで助けを待つほど殊勝なタイプじゃないね」
「ごもっとも」
3枚目の皿を、今度は宇京の方に押しやる斧田に眉宇を少し動かして。
黙って、宇京は自分の皿を一枚、彼の方に差し出した。
「ま、おまえが拉致されたら、助けに行くけどね」
「ご自身でですか?」
「もちろん。おまえのためなら何でもする、って前に言ったのは詭弁じゃないよ」
「そうですね、でも」
「でも?」
「・・・・・・・・・いえ、」
- 539 名前:皿戻し2 3/3:2005/12/02(金) 00:59:16 ID:lbN7R9MI
- そんな現場に遭遇するなど、きっとないだろう、だから斧田は平気でこんな言葉を吐ける。
もし逆の立場なら。・・・考えて、宇京は、形の良い薄い唇を開いた。
「・・・あなたがつかまっても、助けには行きませんよ?」
斧田は、ウニの皿を取って、ゆっくりと差し出しながら、薄く笑った。
「その場合、おまえが犯人じゃないの」
「はぃ?」
「だ か ら、行けない。なるほど、おまえらしいレトリックだね」
「・・・・・」
それには答えず、宇京は皿を受け取った。
指が触れて、・・・ほんのすこし、視線が絡んだ。
■STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
たびたび申し訳ない。今夜ハ放送後ノ補完妄想ッテコトデヒトツ。
- 540 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 01:08:56 ID:PlgYvKBj
- 再びGJ!
斧田゙、なんだよ斧田!さらさらと言いたいこと垂れ流してっ
- 541 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 01:23:11 ID:6jx2krcr
- >533
うぅ、胸が痛い・・・。
毎日読めて幸せなようなせつな苦しいような・・・
勇者様、幸せになってくれー・・・・・・・
- 542 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 02:48:18 ID:2q1RJkKW
- >>539GJ!(*゚∀゚)=3ムハー斧田のセリフ言い回しがエロスだ…!
本当にGJ!
- 543 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 03:55:24 ID:y3mpw81A
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ムシシの化×ギン。シモの毛白いのネタ使わせて頂きました
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| コソーリ書いてみたよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
スレに投下して良いものかわからないので、使わせて頂きます。
- 544 名前:1/6:2005/12/02(金) 03:56:38 ID:y3mpw81A
-
「おい…いくらなんでも悪趣味じゃないのか」
自分のすぐ脇に積まれた骸骨やら怪しげな葛籠やらに目を走らせ、ギンコが言った。
「仕方あるまい。まっ昼間から母屋の雨戸を閉めるわけにもいかんだろ」
「だからってここは…」
里の診療所を兼ねた立派な家屋を埋めるだけでは飽き足らず、イヒ野はその妙な収集品を貯め込
むための蔵を持っていた。
蔵は昼間とも光が射さずに薄暗い。その中でギンコはイヒ野に組み敷かれていた。
「お前が今日中に立つと言うからだろう、ギンコ」
「一度くらいは我慢できんのか」
「できんな」
きっぱりとイヒ野は言い放つ。わかったわかった好きにしろ、とギンコは溜息をついた。
「次いつ会えるともわからんだろ」
諦め大の字に寝そべったギンコの首を、イヒ野は幾分優しく撫でる。
腹の思いをそのまま言い述べる、イヒ野のこの性格をギンコは嫌いではなかった。
しかしここは、木精で作られた液に浸った蛇と目が合うような所だ。さすがに気持ちが良いも
のではない。
もう一つ気に食わないのは、イヒ野という男は異形のモノを愛でる趣味があるということだ。
別にその趣味を今さらどうこう言うわけではない。多岐に渡る収集品はギンコの役に立つこと
もあったし、また収集家は蟲師のいい商売相手でもあった。
- 545 名前:2/6:2005/12/02(金) 03:57:21 ID:y3mpw81A
- 「…お前、まさか不感症になったんじゃないだろうな」
イヒ野の咎めるような声が、ギンコの物思いを中断させる。ぼんやりと宙を見ていたギンコは、
イヒ野に焦点を戻した。
「何でだ」
「あまりにも顔がなさすぎる」
「失礼な。そちらの腕にかかってるんじゃないか?」
にやりとギンコが笑うと、イヒ野はかちんときたようで、急いた仕草でギンコのシャツを捲った。
それから腹の辺りへしゃぶりつく。
ギンコが気に入らないのは、イヒ野の趣味ではない。自分が“異形のモノ”に近い見てくれをし
ているということだ。
髪も目も、多くの者のそれとは異なった色をしている。それに加え、蟲を呼ぶ体質。見る者に
よっては、“異形のモノ”側に入れられてもおかしくはない。
このような蔵にいると、自分が収集品のうちの一つにされたような気分になる。ギンコの頭は、
思わずとも勝手にそんなことを思うのだった。
「相変わらず脱がせにくいな、この服は」
イヒ野は慣れない手つきで釦を外し、身体の内側へ手を馳せる。それから顕わにしたギンコの半
身を見て、一瞬動きを止めた。
「何だよ」
「いや、こっちはもっと慣れねえなと思って」
- 546 名前:3/6:2005/12/02(金) 03:57:47 ID:y3mpw81A
- 何かを考えるように顎に手を当て、白いんだもんなあ、毛。とイヒ野は呟いた。
どうやら蟲とは関係のない部分でも扱いづらいらしい。ギンコは苦い顔をした。そして何とな
く苛々して、イヒ野の着物の帯を一気に引き解いてやった。
------
「ちょっ…おい、急ぐな…」
身体に割って入られる痛みと熱さに、ギンコは表情を歪める。
「痛いか?直に良くなる。…のはお前が一番知ってるか」
「うるせ…。大体悪趣味なんだよこんな所でひっ倒しやがって」
「今はお前が乗り上げてるじゃないか」
ギンコの腰を抱えたままイヒ野はにっと笑う。
「埃だらけの床にそう転がってられるかよ」
とても睦言とは思えぬ言葉が続けざまに蔵へ響いてゆく。
構わずにイヒ野が身体を揺らすと、ギンコの口からは呻きが漏れた。
その呻きを引きずり出すように、イヒ野はギンコの唇を吸う。そのまま、人形に傷がついていな
いか確かめるかの如く、顔や全身を指で触れた。
「綺麗な目だ」
左目を隠す前髪を掻き上げてから、イヒ野は満足そうに微笑む。
- 547 名前:4/6:2005/12/02(金) 03:58:26 ID:y3mpw81A
- それから義眼の目ん玉を、イヒ野の舌先が舐めた。ギンコは神経が通っていないはずのその部分
から、背へぞくりとしたものが伝わったように感じた。
「目が好きなのか?」
「そうだな、好きだ」
イヒ野が頷く。
やはり収集気分か、とギンコは思った。
それならばとギンコは身体の力を抜く。できるだけ人を感じさせないよう。
それからそういったモノとして、イヒ野の動きに合わせ腰を揺らめかせる。
イヒ野の顔が悦予に染まる様を見てギンコは少し満足感を覚えた。
果てる最後にだけ少し、喉が鳴った。
「なあ、媚薬みたいな蟲とかいないのか」
服を着込みギンコが木精の液に沈んだ蛇を眺めていると、イヒ野がぼつりと言った。
「どんな蟲だよ…」
「山芋みたいなやつだよ」
「なんだそりゃ」
呆れた顔をしてギンコがイヒ野の方を向くと、意外にもイヒ野は真面目に語っている風だった。
「山芋の粉末、いいらしいな。痒くて掻き回して欲しくなって仕方ないんだと」
- 548 名前:5/6:2005/12/02(金) 04:01:49 ID:y3mpw81A
- 「そりゃ…後始末が大変そうだな」
何の話かとギンコは首をひねる。
「いや、その、なんだ。用意しておくか、山芋」
「はァ?」
「何かお前、見ていて辛そうだったもんでな。やはり痛いのかと思って…」
イヒ野は言って眉をひそめる。思いも寄らなかったその言葉に、ギンコは驚く。
珍しさ故に大事にしようとでも思っているのだろうか。それとも医家という生業がそうさせて
いるのか。ギンコにはイヒ野の意図がはかりかねた。
「気にすんな」
「そうか?」
少々身体が痛もうが、ギンコにとってそれはさほど問題ではない。イヒ野がどういう名目でギン
コを扱おうとも、ギンコはイヒ野という男が嫌いではないからだ。
「お前が嫌でなければ次はもう少し間隔を開けずに来てくれないか。お前はどう思っているか
知らんが、俺は恋しい」
「目が好きなら置いて行くが」
「は?何を言ってるんだ?」
今度はイヒ野がギンコを理解できないといった風に、訝しげな顔をした。
「義眼だって言わなかったか」
「いや、それは知ってるが」
- 549 名前:6/6:2005/12/02(金) 04:02:22 ID:y3mpw81A
- 「さっき言ったろう、目が好きだと」
「…ああ。そりゃお前の目は綺麗だと思うが…お前がいなけりゃ何の意味もないじゃないか」
イヒ野の言葉にギンコはぽかんと口を開ける。煙草を咥えていたらきっと唇から落としていただ
ろう。収集品の一つと同じ扱いではなかったのか。
「お前…何か勝手に誤解していたんじゃないか?俺はちゃんと恋しいと言ったはずだが」
ギンコは碧色の目を一度瞬かせ、そしてほんの少しだけ目元を赤く染めた。
それを見てイヒ野は打って変わってにたにたと笑う。
「次、来るのは初秋の頃か?」
「………考えとく」
「山芋みたいな蟲連れて来いよ」
「そんなのいねえよ」
「わからないだろ。いるかもしれないじゃないか」
「おまえが山芋を擦っておけばいいだけだろう」
蔵の戸の方へ急ぎ足で向かいながらギンコが言うと、今度はイヒ野の方が目元を赤くした。
- 550 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 04:03:25 ID:y3mpw81A
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 自分の愛でてるものが〜のセリフに萌えすぎまして
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| お目汚し失礼しました
| | | | \
| | □ STOP. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ zzzz
| | | | ピッ (´∀`; )(・∀・;)(´Д` )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 551 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 04:09:58 ID:YDaKP5Qt
- イヒ銀キタ━━ヽ(゚∀゚)ノ━( ゚∀)ノ━( ゚)ノ━ヽ( )ノ━ヽ(゚ )━ヽ(∀゚ )ノ━ヽ(゚∀゚)ノ━━!!!
ご馳走様でした、姐さん!
もうぐっじょぶとしか言いようがない!
- 552 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 04:41:03 ID:Nh2+PG6k
- ヒーなんだなんだ今夜の豊作3連発は!
どの作品も燃えと萌えがたぎりすぎてアタマがフットーしそおだよぉっ
冥途の土産じゃあ…
- 553 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 04:56:04 ID:YjHmwr7J
- >>543
GJ!ありがとう!すんごく萌えました!
数分考えたけど「ああ、いいもの読んだ〜」しか出てきません。ああ、よかった〜!
- 554 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 07:53:04 ID:6KTCN7tb
- >543
化×ギンーー!出勤前に有難いものが読めて萌えました。
帰ったらスレ探して読もう…
- 555 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 12:26:20 ID:NJ401OMD
- >>539
遅レスですが姐さんGJ!
斧ウキョが読めて凄い嬉しいです。
- 556 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 14:44:28 ID:Hy49TY8O
- >>543
GJ! 超GJ!
震えるほどの萌えをありがとう
- 557 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 15:19:41 ID:J8O1PfO/
- >539
姐さんGJ!斧田ー斧田の台詞がいちいち憎い!
萌えますた。腹の奥から萌えました。
- 558 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 17:05:08 ID:ezblSqqM
- すごい豊作だーGJ!
勇者続きが気になる!幸せになって!
オニョダ存在自体がエロイ。無駄にフェロモン出しちゃって!
イヒギンキター!なにこの萌え!ほんとに山芋擦って苦笑されるイヒ野が目に浮かぶよ
- 559 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 17:31:27 ID:viHC8S+a
- >>543
GJ!超GJ!
すっご萌えた!
- 560 名前:ドクオクエスト:2005/12/02(金) 17:53:04 ID:k3pln6hI
- すみません。
今週末はネット環境の無い場所にいるため、続きの投下は週明けになります。
- 561 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 19:44:43 ID:nhWSS0HM
- >>560
楽しみにしてるお!
- 562 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 21:21:24 ID:U7QnIYgK
- 亀ですが下町輪姦GJ!
双葉にキャプ画像上がってて二度萌え(*´∀`*)
- 563 名前:風と木の名無しさん:2005/12/02(金) 22:51:48 ID:5YpzGlMK
- ホントに豊作だー!
皆さまGJ!!
- 564 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 01:03:01 ID:bPjE6toV
- 今は亡き新*49*99が指定したシチュを書(描)くスレの850です。
まとめサイトの復活待ちしてたら、スレ落ちちゃった……(´・ω・`)
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ボッケェキョウテェ風にしてみました
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 似非方言ゴメン
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ナガイゾゴルァ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<リク内容>
妖怪を調伏しようとして失敗。
逆に囚われて、体を弄ばれる新米退魔師をお願いします。
新米だけど、少年よりは青年寄りが嬉しいです。
- 565 名前:山犬 1/5:2005/12/03(土) 01:04:26 ID:bPjE6toV
-
「お助けしたいのはやまやまじゃが、先生はお留守でお力になれん」
だから他の拝み屋へ、と言おうとした三郎は老人の涙を見て口ごもった。
「そう言わんと助けてつかぁさい、この通りじゃ、この通りじゃ……」
老人は皺だらけの分厚い手を合わせ、三和土に膝をついて三郎を拝んでいる。
助けを求めて背後を振り返っても、無人の屋敷からはしんと冷えた沈黙だけが流れてくるばかりで、いつもなら「入ってもらえ」と静かな
声をかける師匠の不在を三郎に再認識させただけだった。
「おじいさん」
三郎は袴の裾を軽く叩いて老人の前にしゃがむと、震えるその手を包むように己の手を重ねた。
「わしは先生のお手伝いをしとる若輩者じゃ。先生みたいに、物の怪を祓ったりする力まだないけん、こらえてつかぁさい……」
しかし、老人は三郎の言葉が耳に届いていないのか、ただひたすらに「孫娘を助けてつかぁさい、助けてつかぁさい」と繰り返すだけだっ
た。
――先生なら、どうするだろうか。
まだ幼さの残るふっくらした唇を軽く噛んで、三郎は考えた。
師匠の言うことは想像がつく。首を突っ込むな、身の程を知れヒヨッコが……だ。
ひそひそと後ろ暗い噂を流される、東国育ちの歯に衣着せぬ拝み屋に、十六で弟子入りしてからようやく三年。
前の名前を捨て「三郎」と呼ばれることにすっかり慣れた今も、仕事を任されたことは数度しかない。
(……話くらい)
三郎は、そう考えた。
話くらい聞いても、バチは当たるまい。
老人の手を取って、奥へと招いた。
三郎は、師匠が自分のことをよく理解しているという事実を知らなかった。
話を聞けば、無下に断れないという損な性格であることを、師匠は承知の上だからこそ「首を突っ込むな」と警告していたのに。
- 566 名前:山犬 2/5:2005/12/03(土) 01:06:36 ID:bPjE6toV
- 老人の話は、こうだ。
老人は街中ではなく、近隣の農村で少々の田畑を持っている農民だった。
数人の子供に恵まれ、そのうちの長男が賢い子供で、長じて教師になり、今は岡山の師範学校で教鞭を取っている。
この長男は妻に先立たれ、後妻をもらおうとしているのだが、この女が長男の二番目の娘とソリが合わない。
老人からすれば孫娘にあたるこの少女は、家を飛び出して老人の元に身を寄せた。
ちょうど老人は妻を亡くして間もなく、家事炊事に難渋していたので、孫娘が家のことをしてくれるのはとてもありがたいし、かわいい孫
娘が継母と辛い鞘当をするのもかわいそうだと、しばらく二人暮らしをしていた。
六日前のことだ。
老人は風邪ぎみの孫娘に精をつけさせようと、猟銃を持って山に入った。
猪を狩ろうと探したが、獲物は見つからない。
あきらめて帰ろうとしたところで、木々の間で動く黒い影を見つけた。
猪かと思い銃を構えたところ、それは大きな山犬だった。
山犬がこちらを見て牙を剥いた。老人は、引鉄を引いた。
手応えは確かにあった。しかし山犬は耳鳴りのするような咆哮を残して、つむじ風のように去った。
- 567 名前:山犬 3/5:2005/12/03(土) 01:09:53 ID:bPjE6toV
- 夕刻。
三郎は、孫娘と老人の前にいた。
孫娘は姿勢を崩して座り、その目はどこも見ていない。いや、夢の世界を見ている。
話しかけても「ふん」「ふぅン」と呆けたような生返事をするばかりで、白痴めいたとろんとした微笑みを浮かべたまま、熱っぽい顔つきで
くねくねしている。
動くたびに、すえたような甘い臭いと、獣のような生臭さが漂った。
その姿が自分の母親に重なり、三郎はゾッとして身を引いた。
夜になると、家の中に黒い獣の影がうろつくのだと老人は言った。
「初めは恐(きょう)とうて、何もできなんだが」
そんな老人も、その影が孫娘に無体を働いているのだと、そう思うと老人に少しの勇気がわいた。
老人は猟銃を手に、影の後をつけた。
そして見た。 その影が、嬌声を上げる孫娘に布団のようにのしかかっている。
影は血の様に赤い眼をした、巨大な山犬だった。
腰を抜かした老人の耳に、あの日と同じ低い男の笑い声が聞こえた。
――お前の精と肉にはもう飽いた。明日ははらわたを喰らうとしよう――
- 568 名前:山犬 4/5:2005/12/03(土) 01:12:03 ID:bPjE6toV
- それが昨日のことだという。
つまり、孫娘の命は今夜尽きるのだ。老人に傷つけられた山犬の牙にかかって。
老人は畳に額をすりつけ、三郎を拝み続けた。
師匠に電報を打ったものの、瀬戸内から帰って来るには時間がかかるだろう。
三郎は、老人と孫娘を蔵に押し込め、水と塩でその周囲を清めてから扉を閉めた。さらに、真言を唱えながらその上に札を貼った。
次いで、孫娘の部屋に布団を敷くと、その上に適当に束ねた藁を置いた。農家だけあって藁束には事欠かない。
その藁の中に孫娘の髪を仕込み、孫娘の服を着せると、そっと布団をかけた。
(騙されてくれればええが)
外を見れば、もう陽は落ちかけていた。
「いかん」
三郎は慌てて隣室の四隅に塩を盛り、障子を閉めると上に札を貼った。それから部屋の中央に正座すると、早口で真言を唱えながら印
を組んだ。
手首に巻いた数珠がじゃらりと鳴る。
遠くで犬の遠吠えがした。
- 569 名前:山犬 5/5:2005/12/03(土) 01:12:51 ID:bPjE6toV
- 待つというのは存外に疲れる。
夜半過ぎ、三郎は緊張と疲労で頭痛をおぼえた。
(そもそも)
集中力の切れた三郎は、ぼんやりと自分に問う。
("それ"はほんまに山犬なんじゃろうか。どこぞの男が夜這っとるだけじゃなかろうか。あの爺様は、それを物の怪と見間違うとるだけじゃ
なかろうか)
時折そういうことがあった。
魔が人に憑くのではなく、人が魔を作り上げることが。
三郎は、老人もその類かと疑っていた。
いずれにせよ、今夜孫娘が無事ならば、老人は落ち着くだろう。
本当に物の怪の仕業なら、明日まで持ちこたえれば師匠が帰って来る。
三郎は油断していた。
孫娘からただよう獣臭に潜む妖気に気付いてさえいれば、一緒に蔵の中にいただろう。
過信と意地もあった。
師匠はいつも自分を子供扱いする。そろそろ髭も生えようという年になっても、おつかい程度の仕事しかさせてもらえないのが、三郎に
は不満だった。
もしも。
今晩物の怪をやり過ごせば、師匠は自分を見直すのではないだろうか。
そうすれば留守番などせずにすむかもしれない。
広く暗い屋敷に一人でいることは、三郎には応えた。
それは「三郎」になる前の暮らしを思い出させる。
まだ、怪異を警戒して念仏を唱えているほうがいい。
- 570 名前:山犬 5+1/5:2005/12/03(土) 01:14:55 ID:bPjE6toV
- フランネルのシャツの上に着物を着けた書生姿に、山から吹き降ろす冬間際の風は冷たい。
足袋を履いてくれば良かったと思いながら、三郎は数珠を持った手に息を吐きかけた。
その時。
みしり。と家が鳴った。
三郎ははっと顔を上げた。
みしり。ともう一度家が鳴る。床ではない、家全体が怯えたように、歪んだように鳴った。
冷たいはずだった空気の温度と湿度が上がっていた。
つんとする匂いに吐き気をもよおす。血の匂いだ。そして、濡れた獣の毛の匂い。聞こえた息遣いに心の臓が強張った。
ぎし、ぎし、と今度は廊下が鳴る。
背筋を伝う冷たい汗を感じながら、三郎は印を組んだ。
足音はどんどん近付き、部屋の前で止まった。
三郎のいる部屋の前で。
――小僧――
その声に三郎は声のない悲鳴を上げた。
――俺をたばかれると思ったか――
ばれている。しかし何故だ。教わった通りに結界を作った。教わった通りにまじないを唱えた。間違えてなどいないはずだ。
混乱する頭で部屋を見回した時、「それ」に気付いて今度こそ短い悲鳴が喉から飛び出した。
札が、さかさまになっている。
誰そ彼時が終わり、物の怪の時間になろうとしていたために、慌てて札を貼ったのがまずかった。
低い笑い声がした。それには、獣の低いうなり声が重なっていた。 三郎が立ち上がるのと、障子を突き破って跳び込んできた黒いもの
が三郎を突き倒したのは、ほとんど一緒だった。
- 571 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 01:15:43 ID:bPjE6toV
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 今日は疲れたからここまで。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
改行規制に引っかかって、ナンバリングおかしくなりました。
- 572 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 02:37:38 ID:/HQ6IyBK
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 調子にのって下町もうひと投下です。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 数年前のあの頃を勝手に妄想してみたヨ…。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 大海のような広い心でドゾー
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 573 名前:下町1:2005/12/03(土) 02:40:39 ID:/HQ6IyBK
- 「このところ、松元さん、おかしくないですか?」
スタッフのひとりに打ち合わせを兼ねた夕食の席で囁かれた。
「どういうとこが?」
少し心当たりのあった濱田は低い声で聞き返す。間近でみるこの男の瞳は、何故か少年のような無垢を備えている。スタッフはそんな濱田に気後れしたように、しどろもどろに言葉を選んだ。
「なんか、突っ走ってるっていうか……あ、すいません」
「ええよ」
「ちょっと怖い感じしますよ、実際。偉いさんの言う事とか完全無視ですもん……」
「……」
無言になった濱田に、もう一度スタッフはすいませんと謝り、目の前のつまみを申し訳無さそうに口に運んだ。
心当たり、というか、それは紛れも無い真実だった。確かに最近の松元は少しおかしいような気もする。自分で自分をコントロールできてないというか……。確かにあの男はモンスターだ。俺はあいつの底知れない才能を知っている。その大きさに自身が潰れそうになってることも。
俺はヤツの隣に立っていることしか出来ないんだから。
いや、そうすると決めたのだ。濱田は誰よりも近くで松元を見てきて、才能とはどんなものかを知った。
それは常人には手にできないもの。選ばれた人間だけがもつ、奇跡みたいなものだ。それを幼馴染みの親友が持っていた。そして今があった。しかし。
- 574 名前:下町2:2005/12/03(土) 02:41:12 ID:/HQ6IyBK
- 濱田は奥歯を強く噛むと、苦し気にグラスの酒を煽った。アルコールが枯れた喉を焼き、その刺激に小さく咽せた。
このところ、番組の視聴率が思わしくないとは聞いていた。一時はおかしいくらいに稼いでいたその数字が目に見えて減っていった。昔はそんなものと鼻で笑っていた。しかし、いつのまにか囚われの身分に成り下がっていた。あの男もそうなのだろうか?
数字の減りは松元の狂気じみた暴走と比例していた。松元の考える世界、笑いのスタンス、それがますます洗練されていけばいく程、客は離れていくという皮肉。苦虫を噛み潰したような顔のプロデューサー達。戸惑ったようなスタッフ。そして。
そんな状況に、一番傷付いているのはあの男なんだ。
凝り固まって、でも妥協できないんだ。自分に優しくもできないんだ。どいつもこいつもくだらねえと意地悪く笑う後ろで本当は悔しくて泣きそうなんだ。
濱田は松元の背中を思い出す。冷たいようにみえて本当はあったかい……。
俺だけは、俺だけはアイツの側に立っててやらないと。そう決めた、しかし……。
「このままやと、自滅や。松元……」
濱田は唸るように呟くと、グラスについた水滴をみつめた。それはしばらくの後、テーブルの上のコースターに滲み、奇妙な模様を描いていった。
- 575 名前:下町3:2005/12/03(土) 02:41:42 ID:/HQ6IyBK
- 収録は深夜にも及んだ。いつもの風景だ。
濱田は眠気覚ましのブラックコーヒーの缶を手にスタジオに戻った。誰かしらの話し声が絶えないその場が、何故だか水を打ったような静けさだった。
「……」
またしても嫌な予感が頭をよぎる。そういえば、相方の姿が見えない。
「あれ、撮影は?」
近くのスタッフを呼び止めて聞くと、若者は困ったように笑った。
「なんか中止みたいっす」
「なんかあったんか」
「いや……いつもの、です。松元さんと上が……」
そういって、目線をうえによぎらせた。濱田は何故だか苦い息苦しさが肺に広がっていくような気がした。
「松元は?もう出たのか?」
「ああ。さっきスタジオ出ていっちゃいましたけど。まだ建物んなかにはいるんじゃないすかね」
スタッフはそれだけ言うと「撤収作業があるんで」とそそくさとその場を駆けっていった。その背中には疲労の色が見えた。こういう、演者と関係者のいざこざで犠牲になるのはいつも決まって若い下の者たちばかりなのだ。
松元らしくない。いや、あの男らしいのだろうか?とにかくこんな中途半端で放って帰るのは、奴らしくないと思いたかった。ただ、思いたかった。
楽屋に戻ると、額に汗を浮かべたマネージャーが畳のうえで胡座をかいていた。
「あいつ、帰ったんかい」
聞くと、苦々しく頷いた。濱田は煙草を口に挟むと深くその紫煙を吸い込んだ。じわじわと肺を占領する心地がする。それはいつのまにか形を確かにする。それは……まぎれもない怒り、だった。
「あいつの今の住所、教えてくれるか」
「……行くんですか」
「ああ、少し話、してくるわ」
不安そうなマネージャーの目から視線を外すと、濱田は聞き慣れない建物のメモを受け取った。
- 576 名前:下町4:2005/12/03(土) 02:43:33 ID:/HQ6IyBK
- タクシーで飛ばして30分の距離だった。濱田は無機質なドアの前に立ち尽くしドアホンを鳴らした。
返事は無い。
明かりがついているので、人間がいるのは確かだった。もしかしたら松元ひとりではないのかもしれない。女も一緒なのかもしれない。見知らぬ女。
濱田はじりじりと待った。しばらくして……ドアの向こうからのヤツの視線を確かに感じた。ゆっくりとドアを開ける、松元の顔は恐ろしいくらい青白かった。
「なんで……」
「なんか言うことないんかい」
「なんでお前ここに立っとんねや」
「そっちこそ、何しとんねや」
「あ?」
松元は、突然自分の住処に現れた相方に心底驚いているようだった。濱田の質問にようやく遅れたように気づく。
そしてそのことだけを問いただしに此処にこの男が現れたのだと理解する。
「……寒くないんか」
ギリギリと眉間に皺をよせる濱田に向かって、松元はとぼけたような返事をよこす。
この冬空に相方はコートも羽織っていなかった。
慌てて出て来たんだなと予想させる出で立ちに、何故か苦しい気持ちになる。
話をそらすなとばかりに濱田は目に力を込めた。松元とという男はよっぽどでないと本気にならない。いつものらりくらりと本心を隠す。
昔はそうじゃなかった。いつからだ?いつからこんなに遠く感じるようになったのだと濱田は思う。
この世界が、俺の元親友を何処か遠くて連れていってしまった。
マネージャーから詳しい話は聞いた。構成のオチの部分でどうしても松元は譲らず、コント自体が没になってしまったのだ。ここ最近の珍しくもない流れ、だ。
- 577 名前:下町5:2005/12/03(土) 02:44:08 ID:/HQ6IyBK
- 「途中でほっぽりだして、俺にもなんの挨拶もなしか」
「……」
「何が……」
気に入らないねん……と言いかけて濱田は口を噤んだ。それは、その言葉は言ってはいけない。俺は、俺は最期までこの男の才能を信じると、決めたんじゃなかったのか……。しかし、ここ最近の松元は……。
「濱田……」
「……」
「俺、狂ってんのか」
ボソリと呟いた松元の言葉が冬の乾いた空気に浮かんで消えた。心のなかを見透かされたような気がして、濱田は何も言えず立ち尽くした。
「俺が考えること、言うこと全部が……おかしいんか。俺は……」
違う、そんなことない。お前は俺が信じた才能の……。
そう思ってきたんじゃなかったのか。
濱田は何も言えなかった。焼けた石を飲み込んだみたいに、胃が熱くカッと燃えるような心地がした。言葉が、でてこない。死んだように生気のない松元を前に、俺は阿呆みたいに突っ立っている。
『このところ、松元さん、おかしくないですか?』
先日のスタッフの問いかけに、俺は心の何処かで頷いていたんじゃなかったのか?
俺は……、俺は……。
「濱田……」
松元は呻くように言うと、手を伸ばし濱田の腕を握った。力強いその感触に、濱田は息を飲んだ。
「濱田ぁ!」
松元は涙を詰まらせたような声をだした。その途端、見えない恐怖が濱田の全身を駆け抜けた。
何を切羽詰まっとんねん……。お前はそんな男やない筈やろ……。
「しっかりせえや……!」
- 578 名前:下町6:2005/12/03(土) 02:44:42 ID:/HQ6IyBK
- 濱田は叫ぶと、玄関のなかに押し入り、松元に殴り掛かった。鈍い音がした。
気づけば松元の身体に馬乗りになり、濱田は滅茶苦茶に殴りつけていた。怖かった。この男が初めてみせた弱音に、心底怯えた。同時に、自分がどんなにこの男の才能に頼ってきた意気地なしかを、まざまざと見せつけられたような気がしていた。
「う……う……」
聞こえていた啜り泣きのような声が、自分のものだということに濱田はようやく気づいた。松元は殴られるままにしていた。何の抵抗もみせずに、黙って濱田の激情を受け止めていた。
濱田はようやく疲れたように腕をとめると、松元のうえに崩れ落ちた。冷えきった身体に松元の体温が温かかった。
「俺は。俺は…………。何処までいってもお前のことを信じるって決めたんや……」
「……」
「お前が狂ってるんなら、俺も狂ったる……」
憑かれたように呟き続ける濱田の背中に松元の腕が回った。そして少しの躊躇いの後、強く抱きしめた。
「濱田……」
掠れたような声だった。
そして予感がした。
「抱いてもええか……」
松元の呟きに。濱田は静かな気持ちだった。
いつからだろうか。この男がいつの日かそう言うような気がしていた。感情の問題ではなく、空気を吸って吐くというような当たり前の営みのように。
しかしこんな最低の状況で、とは……。笑えない。
松元は小学生の頃に戻ってしまったみたいな顔をしていた。
永遠にも感じる数秒間の後、濱田は何かに突き動かされるかのように、ゆっくりとその唇に口づけた。
- 579 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 02:46:51 ID:/HQ6IyBK
- ____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 詳しくないのでかなり設定に自信なし。スマソ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 580 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 02:49:55 ID:7HkU750x
- >572ー579
ちょ。姐さん。
眠れなくなったジャマイカ!
- 581 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 05:54:41 ID:tJvkJIpg
- >>572
姐さん、凄いよ!
下町最高!下町テラモエス!
…マジで泣きました…!
。・゚・(ノД`)・゚・。
- 582 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 09:46:46 ID:/HQ6IyBK
- >>572
同じく泣いた…!
あなた、ネ甲だ……!
- 583 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 11:29:20 ID:N7pCeXaA
- >>572テラモエスwwいいよ、いいよ
あの時代の末ちゃんは本当そんな感じだ…
- 584 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 12:11:18 ID:+XwV7E8R
- >>564
姐さん愛してる!
続き、期待して待ってますよ〜(´Д`*)
- 585 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 12:11:38 ID:TQMw1dFd
- >572
GJ!イトヲセ/イ/コの世界を思い出した・・・またたのんます
>564
書生姿萌えなので続きが楽しみっす
- 586 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 12:19:58 ID:e8/IKMI3
- >572
あの頃のキリキリしていた雰囲気とトンガリ末っちゃんを思い出したよ。・゚・(ノД`)・゚・。
- 587 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 17:59:28 ID:K/G42zYo
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 3話の後だネ
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ヤケ酒だネ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ wktk
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 588 名前:花嫁1/3:2005/12/03(土) 18:02:07 ID:K/G42zYo
-
「お前、捜査外されて見返したかったのか」
「え?」
伊民がポツリと落とした言葉に、芹佐和は弾かれたように顔を上げた。
握り締めていた為にすっかり温くなってしまったグラスの中のビールが、勢いで少し零れた。
ヤケ酒に近い芹佐和に律儀に付き合って、少々酒を過ごし気味な伊民の眦はほんのりと赤くなっている。
「だからあいつに泣きついたのか?」
伊民はこちらを見ようとしなかった。芹佐和は暫く声を出すのを忘れ、伊民の横顔を見つめた。
こういうふうに、伊民が芹佐和自身の思っていることについて問いかけることはあまりない。
仕事上での意見を聞くことはあるが、他の場合はほぼ一方的に芹佐和が自分から喋っているのに近かった。
芹佐和はやっと、声を絞り出した。
「違います、そうじゃない。…確かに、外されて悔しいって、瓶山先輩に愚痴りました。
先輩は「匿名に来い」って言ってくれた」
「…」
あくまで視線を向けようとしない伊民に向かって、芹佐和は幼い少年のように無邪気に笑った。
「でも、「それはちょっと」って即答してました。口が勝手に。おかしいでしょ」
ほんとおかしいよ、と芹佐和は続ける。
「なりふり構わず犯人を捕まえたいと思っていたんなら、そこで『行きます!』って言うのが『刑事』なんスかね。でも、僕…俺は、一瞬考えてました、自分の立場の安全を」
「……」
「杉舌さんに止められました。無理強いするものじゃないって。今思ったら、見抜かれてたのかなぁ」
- 589 名前:花嫁2/3:2005/12/03(土) 18:03:40 ID:K/G42zYo
- 「だから、俺は誰に泣きつく資格もなかったんですよ。…後は、関係者との接点が僕だけだから…成り行きで」
伊民は眉根を寄せ、黙ったままじっと屋台の主人越しに見える公園の明かりを睨んでいた。
「ホントですよ。だから…すみません」
芹佐和が謝ると、伊民は余計に眉を顰めた。唐突にグラスの底に残ったビールをあおり、年代物のカウンターに乱暴に置く。
「何でお前が謝ってんだよ」
「だって怒ってるじゃないスか」
「怒ってねぇ」
伊民が自分で怒ってない、という時は大抵その逆だ。何かに腹を立てている時の伊民を見分けるのが、捜査一課でやっていく者の最初の「生活の知恵」だった。だから一番年の若い芹佐和にも見抜けない訳がない。
芹佐和はまた叩かれないように、心中で「やっぱ怒ってるじゃないスか」と呟いた。
「怒ってねぇよ」
「えっ?」
心内での呟きが聞こえたかと、芹佐和は慌てて伊民の顔色を伺う。
- 590 名前:花嫁3/3:2005/12/03(土) 18:05:07 ID:K/G42zYo
- 伊民はきつく目を閉じて、合わせた両手で鼻と口を覆っていた。ふう、と漏らした溜息が、白く大気に溶けていく。
「何の足しにもなんねぇな、一緒に謝りに行ったって」
芹佐和はまた、弾かれたように伊民を見た。確かに伊民は怒っている、その気配は消えていなかった。
ただ、先刻から伊民が何に腹を立てていたのか、唐突に胃の腑に落ちて、芹佐和は急に熱くなった喉から声を出した。
「そんなこと…ないです」
「…」
「先輩?」
伊民は芹佐和の方にやっと顔を向けると、片手を伸ばしてぐしゃぐしゃと芹佐和の頭を掻き混ぜた。
「…先輩、酔ってる?」
「よってねぇ…よってる」
「どっちですか」
「どうでもいい…」
芹佐和は苦笑をひとつ落とすと、屋台の主人に「おあいそです」と声をかけた。
- 591 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 18:06:57 ID:K/G42zYo
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 送り狼になんないようにネ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 592 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 18:22:15 ID:xs+yah/x
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 三兄弟ドラマ 次男と末っ子
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 短いです
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マズー
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 593 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 18:25:55 ID:xs+yah/x
- 「ほいっ、お土産」
「うわ、藁屋のようかんじゃん!ありがとー」
鈴を鳴らしながら引き戸を開けると、台所から飛んでくる。
俺の姿を確認すると、本当に嬉しそうに笑う。
エプロンの肩ヒモを思いっきりずらしたまま、利区兄おかえり。って声をかけてくれる。
毎日、変わらない。
俺はそれを幸せに感じる。
「晩飯食べたら切るね」
俺は順平の中で、どんな位置に居るんだろう。
ちゃんと、いい兄貴で居られているんだろうか。
こいつに助けられてばっかりだからなぁ、俺は。
- 594 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 18:28:35 ID:xs+yah/x
-
「順平」
「え?」
「お前は、そのままでいろよ」
兄貴面してくしゃくしゃと頭を撫でてやった。
セリフは親父から引用。
「…」
あれ?
「…?」
眉毛をしかめて、不審な顔をして台所に引っ込んで行ってしまった。
…やっちゃったか。
「わりーわりー順平!」
俺は、笑いながら慌てて後ろを追い掛ける。
…毎日、変わらない。
- 595 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 18:31:43 ID:xs+yah/x
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ スペース開けて行数稼ぐ手スマソ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 596 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 18:36:55 ID:/z9+8xfb
- >>591
セリイタキター!!
そこで送り狼にならなきゃ男なじゃいよ!
頑張れセリィ!!
- 597 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 21:39:53 ID:DEjHChSo
- >>591
1レス目にジャンルとカプを書いてくれると有難い
- 598 名前:591:2005/12/03(土) 22:27:36 ID:K/G42zYo
- 失礼しますた 某刑事ドラマ 芹佐和×伊民ですた
送り狼ご希望ならそのうち
- 599 名前:風と木の名無しさん:2005/12/03(土) 22:36:45 ID:ZiaElf+a
- >下町姐さん
輪姦で萌え復活組です…
いえ、ずっと萌えては居たのですが、萌えまくりは久々。
いくつもの倦怠期とラブラブ期を繰り返し、
よくぞ今あれをやってくれたと思った。
最近はほっぺすらしてくれなかったのでやや寂しかったよ。。
もう普段遊ぶ事も、話すことさえほとんど無い二人だけど
例えば濱ちゃんのノドだかの手術の時の
「俺の声がでえへんくなっても相方で居てくれるか?」というエピソードとか
どうしろっつーんだよってほど萌えます。
そういう二人がやっぱり大好きです。
いいもん見せていただきました。
また是非投下してください
- 600 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 00:24:52 ID:IriG/aNb
- t豚sの御曹司ドラマ
茶道×天パ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 601 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 00:26:56 ID:IriG/aNb
- 「柄砂、何か気に食わないことでもあるのか?」
過干渉だと三間坂に言われる程、西角は柄砂に構いたがる。それは一種癖のような
もので、もう10何年も付き合いがある今さら変えようもない。
「累がおれに黙ってどっかに行くなんてありえねぇだろ」
「お前まだ怒ってたのかよ」
柄砂の座るソファの隣に座ると西角は髪をなでた。
本人が気にする天然パーマの柔らかい毛質が西角の指をふうわりと刺す。
「宗次労、おれ今累に手紙書いたんだ」
「手紙?見せてみ」
柄砂は素直に手紙を差し出した。
鉛筆書きの下手くそな字で何度も消しゴムで消されたよれた手紙は迫力があった。
柄砂の性格をストレートに表したようなごつごつした手紙だ。西角は手紙を読むのを
躊躇い、結局〔るいげんきか、おれはとってもげんきです。〕
という英語の文章を直訳したような書き出しを見て手紙を閉じた。
何かこれ以上読むのは悲しくなりそうだったからだ。
- 602 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 00:27:41 ID:IriG/aNb
- 胸に迫るものがそこには蔓延していた。
これを全て読んでしまったら抑えていたものがとめどなく溢れてしまいそうだった。
そうならないように努めて均衡を保ってきた10数年は今さら無駄に出来ない。
西角は大きく息を吸い込んだ。体の中の毒素を柄砂の匂いで中和する。
馴れたものだ。落ち着け。出来るだろう。ほら、いつもの俺だ。
「俺もフランスかどっか行くかなぁ…」
「えっ?!」
西角のぽつりと漏らした一言に目を丸くして驚いた柄砂に
「嘘。」
と言うと安心したように目を反らす。
ちょっと涙目になっているのが西角から見てとれた。
「まぁ、あれだな。俺様に心配してもらえてよかったな宗次労。嘘も方言だな」
「嘘も方便だろう」
柄砂は何も答えなかった。柄砂は西角を見なかった。まだ瞳が潤んでいるからだ。
西角には分かる。
それだけで柄砂の組んだ手に真っ黒にこびりついた鉛筆の跡も愛しく思えた。
累に見せてやりたいような気がしたが勿体ないので考えは早速取り止めた。
累のいる海の向こうは柄砂からすれば遠かったが、西角からすればまだまだ近すぎた。
もっともっと遠くに行ってくれよ、願うだけなら許されるだろうか。
許されればいいと免罪符のように柄砂の丸い肩をそっと撫でた。
- 603 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 00:28:43 ID:IriG/aNb
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 604 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 00:46:49 ID:/YXY4dNu
- >603
GJ!!おいしく頂きました。
茶道の片思いテラモエス(*´д`*)ハァハァ
- 605 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 01:32:00 ID:BF/xvofD
- >>603 GJ!!
素敵な萌えをありがとうございます!
家元がんがれー(つД`)゚。
- 606 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 02:01:10 ID:B/CyDRdm
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| FF6のバルガス×マッシュです。マイナー…
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ほのぼのに見せかけて暗いです。注意。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 607 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 02:02:16 ID:B/CyDRdm
- 実の父親にさえ実力を認められず
憎しみに狂ってしまった兄弟子を…何を思って見ていたのだろう?
好きだったんだ。
心から尊敬していた。
憧れていた。
不器用で…それでも、優しいあの人が好きだった。
王位継承のゴタゴタが嫌で城を出て
「強くなって帰ってくる」と約束したあの日…
王位を双子の兄―エドガーに押しつけてしまったという罪悪感に苛まれながら
やっと辿り着いた街は、知らない人ばかりだった。
当たり前だ。
自分は、体が弱くてまともに外に出れなかったのだから。
一人で街に来るのは、初めてだったのだから。
――どうしようもない不安、淋しさ、動悸…
街の入り口で突っ立ったまま、堪えきれずに出てきた涙を拭うばかりの俺に
あの人は、低いながらも、優しい声をかけてくれた。
- 608 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 02:05:41 ID:B/CyDRdm
- 「どうした、迷子か?」
顔をあげた俺は一瞬、驚く。
背が高く、筋肉質で銀髪の男性が立っていた。
―この人が、ダンカン師の……
ダンカン=ハーコート…かつてはフィガロ随一の格闘家であり
その強さは並大抵のものではなかったと言われていた。
…もしこの人の弟子になれたら、俺は…強くなれるかもしれない。
もう周りに迷惑をかけることも無くなるかもしれない。
そう思ってこの街にきた。
―――もしかしたら…この人が、ダンカン師の…
だが、緊張からか声はでなかった。
言おうとしても全身が震える。
そんな時、あの人が俺の手をひく。
「あ……。」
- 609 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 02:06:43 ID:B/CyDRdm
- 「…この街に来るのは初めてか?」
―手をひかれながら、聞かれる。
「は、はい…あ、あの…一人で来たのは初めてです…。」
なんとか声を出して返答する。
ふと、あの人の動きが止まる。
「…………………。」
――無言のまま振り返ると、じっとあの人は俺を見て言った。
「…ほう、お前が、親父が言っていた…。」
…親父?
「……あ、あの…」
尋ねようとする俺に、あの人は微笑んで言う。
「なんだ、お前がマッシュか。
父のダンカンから話は聞いている。
…家は多少、街外れのほうにある。そこまで歩くぞ。」
「え…え?」
「忘れていたな。俺はバルガス。
バルガス=ハーコート。ダンカン=ハーコートの弟子兼息子だ。」
―状況がわからず戸惑う俺の手をひきながら、あの人は自己紹介をする。
弟子どころか、息子さんに会えたなんて。
こんなに優しい人が、ダンカン師の息子さんだなんて。
自分の想像とは遥かに違ったその性格、その言動に安心したのか
その後の俺は、バルガスに抱きついて泣いたらしい。
…会ったことははっきりと憶えているのに、
紹介してもらった後の事は全く憶えていない。
それだけ緊張していて、張りつめた糸が一気に切れたからなのか。
- 610 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 02:08:56 ID:B/CyDRdm
- とにかくその後も、バルガスは不器用ながら、俺に優しく教えてくれた。
兄エドガーと別れた淋しさからか、修行のつらさからかはわからない。
でも俺はそんなバルガスに、次第に…惹かれていったんだ。
ダンカン師もダンカン師の奥さんも、厳しく、時には優しく接してくれた。
本当の家族のように、暖かかった。
…だから、自分が奥義を継ぐとか継がないとか
そんなことは気にも留めていなかった。
ただ、この暖かい幸せがいつまでも続けばと、それだけを願っていた。
それなのに…続かなかった。
「宿命」というものは残酷だった。
- 611 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 02:10:08 ID:B/CyDRdm
- ____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 変なところで切ってスマソ ここまで…
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 612 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 10:04:31 ID:OG8okDcD
- うおおGJ!
つーかすげー懐かスィ…
SFC引っ張り出して始めたくなったよ
- 613 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 10:32:16 ID:4M/nrpza
- >>592
和んだ( ´・ω・`)
三兄弟小説読むの久々で嬉しかったよ!トンクス
- 614 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 11:17:28 ID:B/CyDRdm
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| >>606-の続きです。暗いです。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| この小説の半分は妄想です(´д`)
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
- 615 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 11:18:05 ID:B/CyDRdm
- それから十年経ったある日。
ダンカン師が俺とバルガスを呼び…『奥義を俺に継ぐ』とだけ告げ去ろうとしたダンカン師を、
バルガスが呼び止める。
「待てよ親父!!何故…何故、実の息子である俺じゃない!?
小さい頃、親父は俺に言ったはずだ!!
『修行を積み、いつか実力を認められる時がきたら、奥義をバルガスに継ぐ』と!」
―わからなかった。
あまりにも突然すぎて。
ただ、俺が奥義を継ぐことで
この幸せが壊れてしまうのではないかと恐れた。
この暖かい家庭が、この暖かい家族が…壊れてしまう。
「お師匠様、俺は…俺は、奥義を継ぐなんて出来ません。
それに…バルガスはあなたのご子息です。
奥義を継がせるのなら、ご子息であるバルガスに」
「バルガス、マッシュよ。お前達は身分で全てを決めてしまうのか?」
- 616 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 11:20:40 ID:B/CyDRdm
- ―遮られ、言われた言葉。
「自分の息子であるから継がせる…それは違う。
実力がある人間が、血が繋がっていないからと落とされる…わしはな、そんな世間を見てきた。
つまり血が繋がってさえいれば、もっとも親しい人間でさえあれば
実力が無い人間でも簡単に昇れてしまう。」
「親父は、俺には実力が無いというのか!?」
「最後まで話を聞け!!
…それで本当に良いのか?
本当に実力ある人間が、才能ある人間が奈落の底に落ち
名だけの者が上へ上へ昇っていく…。
確かに、わしはバルガスに「奥義を継ごう」と言った。
だが、後から考えたのだ。
本当にそれでよいのか?
本当に、バルガスには才能があるのか。奥義を継ぐだけの器があるのか。
…考え、悩み、お前たちの修行を見抜いた末に出した結論が先ほどの言葉だ。」
――重い沈黙。
「お師匠様……」
言葉は続かない。
この沈黙が耐えきれなかった。
何か、何か…何でもいい。
とにかく、この重い沈黙が嫌だった。
- 617 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 11:21:40 ID:B/CyDRdm
- だが、その重い沈黙を破ったのは
バルガスがダンカン師を殴った音だった。
―止めなければ…
そう思っても、体は動かなかった。
「ばかな!!それでは、俺にはその器が無いというのか!!!」
「………そうじゃ。
お前には、奥義を継ぐだけの器が無かった。
本当の器は、マッシュにあったのだ」
その後も、何か言おうとしたのかはわからない。
が、その言葉は、バルガスの暴力によって遮られた。
「では俺は、何のためにいままで修行を続けてきたのだ!!!
ダンカンという実の父親に才能ある子と認められるために、修行を生涯として生きてきた俺の人生は!!!」
……放心状態の俺は、バルガスの暴行を止めることが出来なかった。
ただ、傍観しているしかなかった。
あまりにも突然すぎて。
自分が最も恐れていたことが起きてしまったことも
バルガスがダンカン師に暴行を加え、殺そうとしていたことも
自分が見ていた全ての光景を認めることは出来なかった。
- 618 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 11:24:21 ID:B/CyDRdm
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ ではここまで…
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
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- 619 名前:山犬:2005/12/04(日) 16:12:38 ID:cKx0L03J
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| >>564です。後半。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 流血、微鬼畜注意。
| | | | \
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
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- 620 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 16:14:04 ID:cKx0L03J
- 三郎が見つかったのは、それから二日後だった。
見つけたのは猟師だった。連れていた犬が尋常でない吠え方をしたのでそちらに行ってみると、茂みに息も絶え絶えの若者が倒れていた。
若者は裸だった。肌は凍えて蒼ざめ、いたるところに傷を負い、爪ははがれかけ、乾いた血が赤黒く手にこびりついていた。
どうしたのかと問うても、焦点の合わない目で何やらわけのわからないことを呟くばかりで、これはいかんと思った猟師は彼を背負って病院へと運んだ。
医者が名前を尋ねると、うわごとのままにまったく違う名前を答えたので、身元がわかるまでさらに二日かかった。
噂を聞いた農家の老人が病院に駆けつけ、若者が孫娘のために町から来た駆け出しの拝み屋であることを確認した。
その後、老人は東国なまりのある無愛想な男を案内して来た。
その無愛想が「この馬鹿弟子が」だの「留守番もろくにできねぇのか」だのと言いながら三郎の横っ面を数発殴り、それから一晩、枕元で経文を唱えた。
翌朝、鶏の声と共に三郎は我に返った。
数日後、師匠はまた病院にいた。
ようやく起き上がれるようになった三郎は、病室の寝台の上で包帯を巻いた両手をつき、椅子の上で自分を鋭くねめつける師匠に許しを乞いながら、ぼろぼろと涙を流して我が身に起こったことを話しはじめた。
- 621 名前:山犬 2/7:2005/12/04(日) 16:16:32 ID:cKx0L03J
- 黒い影はあっという間に三郎の首根っこを咥え、老人の家を弾丸のように飛び出した。
並みの生き物にはありえぬ速さで地を駆け、畑を飛び越え、山に入り――
三郎がはっきりと覚えているのはそこまでだ。
気がつくと、三郎は暗闇の中にいた。瘴気にあてられて麻痺した手足が、我が物ではないかのようにだらりと床に伸びている。
息苦しいのは、ただよう血の匂いのせいだけではない。仰向けになった胸に、一頭の獣がのしかかっていた。
冷たく濡れた鼻面が、首筋に押し当てられている。
苦心して右腕を動かし、ふところに差し入れた。隠し持っていた札を握り締め、わずかに残った気合をかき集めて獣の目元に叩きつける。
獣は呻いて顔を上げた。
助かった気はしなかった。
- 622 名前:山犬 3/7:2005/12/04(日) 16:17:06 ID:cKx0L03J
- かっと赤い口を開き、獣は三郎の右手首を噛んだ。牙が食い込み血がぱっと散るその痛みに、三郎は悲鳴を上げた。
獣の顔から札がはらりと落ちる。もうただの紙切れだ。
血が腕を伝って肘まで落ちた。男の手より大きな獣の舌が、べろりとそれを舐めた。
離された腕は力なく落ちた。手首がひどく痛み、その先の感覚がない。
牙は次いで、シャツの胸元にかかった。紙のように簡単にシャツは裂け、湿った冷たい空気にさらされた肌に鳥肌が立つ。
「せんせ……」
助けを求める声は、差し込まれた舌にふさがれた。
生臭い匂いに吐き気がする。
舌はぬるぬると口腔の中から喉の奥までを這い回り、逃れようと顔を背けるとその頬から首筋まで舐められる。
三郎が怯えて身をすくませたり、嫌悪の表情を浮かべたりするたびに、獣は喉の奥で低く笑った。
三郎には、獣が自分をすぐに食い殺す気がないことがわかった。
これから自分が何をされるのか、よくわかった。
- 623 名前:山犬 4/7:2005/12/04(日) 16:17:48 ID:cKx0L03J
- ***
湿った鼻面が、三郎の首筋に押し当てられている。
地面についた膝が痛い。太い前脚に押さえつけられた背中に食い込む爪が痛い。逃れようと虚しく地を掻いた指先が痛い。それより何より、慣らしもせずに突き破られたところが痛い。
行灯袴は尻の上までめくり上げられ、下帯はほどけて足に絡まっていた。
声も涙もとうに枯れている。突き上げられ、揺さぶられる度に、吐息が漏れるばかりだった。
どれだけの間、好き勝手されているのかもわからない。
もう諦めていた。早く腹か喉を食い破ってくれないだろうかと、三郎は考え始めていた。
獣の鼻はひくひくとうごめき、三郎のうなじから耳の裏まで嗅ぎ回った。
――お前の匂いに覚えがある――
鼻の感触がなくなったかと思うと、熱い舌が肩甲骨の間をつ、と這った。背筋が粟立つ。
――昔、女を一人喰らったことがある。あの女には子供がいた、美味そうな子供だった――
三郎の脳裏に、孫娘の姿が浮かんだ。そこに違う女が重なった。
広く暗い屋敷で、自分を囲う男の帰りを待つ女。ある日突然消えた女。
- 624 名前:山犬 5/7:2005/12/04(日) 16:18:39 ID:cKx0L03J
- ――いつか喰らおうと名を覚えていたが、見当たらなくなった。呼んでも魂が応えなくなった――
背中が軽くなったと思った瞬間、ぐいっと髪の毛をつかんで引き起こされた。
――そうか、名を変えたのか。だが、匂いは変わらんのう――
うなじに当てられたのは、人間の唇だった。
男に変化した獣は、恐怖に震える三郎の喉をゆっくりと撫でた。
「おまえ……おまえが……」
――効きもせん経文を唱えるより、いい声で鳴いたらどうだ、小僧――
嘲笑と共に軽々と腿裏を抱えられ、足を大きく開いた姿勢で座らされる。獣の男根は三郎の重みでさらに深く食い込んだ。
暗闇に湿った肉の擦れ合う音と、怯えた子供のすすり泣きに似た声が響く。
しかしその声はやがて艶かしい喘ぎに変わっていった。
***
- 625 名前:山犬 6/7:2005/12/04(日) 16:19:32 ID:cKx0L03J
- 「先生、わしははなからあの山犬に魅入られとったんじゃ」
師匠は煙管から唇を離し、ゆっくりと紫煙を吐いた。
語っているうちに、三郎の声音は徐々に変わっていた。苦悩と恐怖の震えは消え、静けさが来て、そして今は甘ったるい。
「母親がおらんようになってから、先生のとこに行くまでずっとじゃ。家には誰もおらんのに、気配があった。じぃ……っとわしを見とった」
もうしゃべるな、という師匠の言葉は、三郎の耳には届かなかった。
その耳は、遠くから近付く息遣いを聞いていた。
「わしは、それが恐(きょう)てかった……しゃぁけど、ほんまは待っとった……あの気配が来る日を待っとった……どねぇして忘れとったんじゃ」
西日の差す病室は二階にあるはずなのに、窓の外を黒い影が横切った。師匠はちらりとそちらを見ただけで、眉の毛一本動かさなかった。
三郎は続ける。
「遭うべくして遭ったんじゃな。憑かれるべくして憑かれたんじゃな。
またあの暗闇に連れて行かれるんじゃろうか。血反吐の出るまで辱められるんじゃろうか。
……なんで、それもええと、思うとるんじゃろうか。
のう先生、わしも犬やこ、成り果てたんじゃろうか?」
- 626 名前:山犬 7/7:2005/12/04(日) 16:24:36 ID:cKx0L03J
- 顔を上げた三郎の目は熱っぽく潤み、その奥には妖しい光が点っていた。
ゆるんだ寝間着の襟元から、ほんのり紅く染まった胸の突起がのぞいている。
師匠は舌打ちをした。病室にかすかに獣の匂いが漂っている。その元は、目の前にいる弟子だ。
憑かれている。
それはただの山犬ではない。山の主だ。言の葉で魂を捕らえ、祟り、肉と心を食い散らす。
もとより、三郎のようなひよっこの手に負える代物ではなかったのだ。ましてそれが、幼子の頃からの因縁となれば――
祓えるか?
師匠は無意識に手の甲を自分の額に当てた。そこはひんやりと濡れていた。
三郎は師匠の様子が見えないのか、相変わらず舌ったらずに呟いている。
「先生、こらえてつかぁさい。わしが未熟でした。こらえてつかぁさい」
間もなく逢魔ヶ時が来る。
三郎の背後に伸びた影の中から、低い笑い声がした。
- 627 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 16:25:11 ID:cKx0L03J
- ____________
| __________ |
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| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ お粗末でした。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
リクから半年経ってて申し訳ない。849姐さん、もう見てないかな。
しかし初めて書いたエロがケモノだなんて(ry
- 628 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 16:31:43 ID:KcNl2dIt
- >>619
GJ!妖しくていい感じです。
てか、師匠と弟子が気になる罠…
- 629 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 20:32:52 ID:pRFL845S
- >>619
ちびりそうになる程萌えた…。
続きを(ry
- 630 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 20:51:46 ID:ZxQLVKvc
- >619
狂おしく萌えた・・・
師弟属性にはたまらんですたい。
こんなトコで放置なんて生殺s(ry
- 631 名前:風と木の名無しさん:2005/12/04(日) 23:31:11 ID:RWlJ0pXb
- >619
艶めかしい備州訛りに禿げた。萌えた。
ステキなものをありがとう!
- 632 名前:風と木の名無しさん:2005/12/05(月) 10:16:30 ID:xQYTIAxD
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)
今日行くテレヴィ 金曜六時からの番組
「点差いびっとくん」セィコー×シソヤだってさ
- 633 名前:1/3:2005/12/05(月) 10:18:23 ID:xQYTIAxD
-
彼の発言は、いつも突然だ。
「なあ、暇だからしりとりでもしようぜ。買った方が金もらえるってコトにしてさ」
…だから、窓の外がすっかり闇に包まれた時間にこんなことを言われても、何をいきなり、なんて突っ込む気ももう起こらなかった。
僕は返事をしないまま、読みかけだった本を閉じて、彼の方へ向き直った。
「シソヤ。もう僕は寝るから、帰れよ」
常識のない男だ。そう思いながらも、そこまではさすがに口にしなかった。
深夜に突然やって来て、こうして空が白み始めるまで僕の部屋で時間を潰す彼。
彼の家から遠く離れたここへ、なぜわざわざやってくるのか、と何度も尋ねた。彼はただ、笑ってはぐらかすだけで答えない。
だから僕は、彼にそれを聞くのはやめて、ただ毎晩彼の暇潰しに付き合っていたのだった。
……いつも、僕が飽きて先に眠ってしまうのだけれど。
しかし、今日は日中の仕事が忙しくて、身体がひどく疲労していた。……彼に付き合う気力も体力もない。
こちらをじっと見ている彼を無視して、僕は下着姿になってベッドに潜り込んだ。
「セィコー、無視すんなよ」
- 634 名前:1/3:2005/12/05(月) 10:18:54 ID:xQYTIAxD
- 彼の声が背後から飛んで来たが、僕はそれを掛け布団でかわす。
入ったばかりのベッドは冷たくて、なんとか暖めようと僕はじっと身体を丸め、目を閉じた。
「セィコー、おい」
意識が曖昧になっていく。とろとろと瞼を落としていく眠気が、身体全体を支配して、思考も止めようとする。
そんな状態を認識しながら、やっぱり今日は疲れているんだな、と、朦朧な頭で考えた。
彼の声も、だんだんと遠ざかり、彼がそこにいたことすら現実なのか夢なのかわからなくなる。
僕はふうっと息を吐いた。ベッドが暖まってきたようだ。手足がぬくもりを求めて暖かい方へと動く。
──ああ、眠りにつける。
ずっとずっと悩まされてきた問題を解決した時に感じる安堵にも似た感情が、ほっと胸を休ませる。
そのとき、ふと、……シソヤは帰ったのだろうか、と思った。
声も、気配もしない。
諦めて帰ったのだろうか。悪いことをしたなぁ、と考えるも、振り向いて確認まではしたくなかった。
身体を動かせば、せっかく暖まった範囲から外れ、また冷たい布団に触れることになる。
不精とは思いつつも、今はただ早く眠りたかった。
- 635 名前:3/3:2005/12/05(月) 10:19:45 ID:xQYTIAxD
-
「──」
深い眠りにさらわれて、朝目が覚める。いつも通りのサイクル──
「──コー」
身体がどんどん重たくなって、僕はついに瞼が上がらなくなった。
「……セィコー、おやすみ」
そっと唇に触れる、暖かく柔らかな感触もいつものことで。
このために彼はここへ来ているんだ、と毎晩気付いて、毎朝忘れてしまう。
なかったことにするために、眠りの直前を狙うなんて──
そう言いたかった。しかし、身体が動かない。眠りにさらわれ、遠ざかる意識。
僕だって、君に──
君にキスを、したいのに。
部屋を出て行く気配を追いながら、僕はまた、君のキスを忘れるための夢を見始めていた。
- 636 名前:風と木の名無しさん:2005/12/05(月) 10:21:44 ID:xQYTIAxD
- □STOP ピッ ◇⊂(・∀・)
2枚目、タイトルが「1/3」のまんまでした…スマソ…
- 637 名前:風と木の名無しさん:2005/12/05(月) 17:23:28 ID:eFee4kOq
- >>632
ヴァアアアアアアア!萌え燃え萌えぇぇぇぇぇ!
これからは邪な目で見てしまいそうだ…
- 638 名前:風と木の名無しさん:2005/12/05(月) 21:09:12 ID:DO5UWn/s
- 同志様がおられましたか!!
かなりGJですよ!!
- 639 名前:風と木の名無しさん:2005/12/06(火) 22:01:54 ID:4hUrg0UW
- >633-635
GJ!
夕方テレビが邪な目でしか見れなくなってしまいましたよ…
すれ違いの二人に萌え。
- 640 名前:皿戻し3 1/3:2005/12/06(火) 22:35:59 ID:Mj0dilqP
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
明日の光臨を待ってる刑事ドラマより妄想ダヨ!
斧田とラムネだってさ!
- 641 名前:皿戻し3 1/4:2005/12/06(火) 22:37:30 ID:Mj0dilqP
- 「久しぶりに来たと思ったら、ご挨拶だね」
「用がなければ来てはいけないですか?まぁ、用があるから来るんですが」
「最近、悪いことなんてしてないよ」
「あなたは、ね」
斧田より、少し目線が低い。
ラムネは、錠剤をひとつ噛み砕いて、薄い唇を突き出した。
斧田のよく知る元部下より、彼の方が少し、細身だった。
「じゃあ、キミ?」
「失敬な。先日お渡しした写真、あれはどこにどういう経路で?」
「もうないよ」
「ですから、行き先を聞いています」
「聞かないって約束だったじゃない」
「そんな覚えはありません」
頼みがあるんだけど、と斧田に言われて、準備をした資料がひとつ。昨日戻ってきたそれらに、
添付していたはずの写真が見あたらない。読み終わったから返すね、で終わらされてはたまらない。
- 642 名前:皿戻し3 2/4:2005/12/06(火) 22:38:24 ID:Mj0dilqP
- 「おおかた、お気に入りの杉志多宇京にでも横流ししたんでしょうが」
「お気に入り、って知ってるの?」
「・・・・・・・はぐらかさずに答えてください」
「必要ないじゃない。わざわざそんなこと聞きに来たの?」
「あなた相手に、若い部下を派遣するわけにもいかなかったもので」
「素直じゃないね」
「は?」
「会いたかったから、って言えばいいのに」
「・・・・・・」
鈍器を肩に乗せられたような感覚に、ラムネは思わず目眩を起こした。
どこをどう捻れば、そんな言葉が出てくるのかわからない。こんな上司に付き従ってきた杉志多が
信じられない。もっとも・・・だからこそ、彼は変人扱いされるのだろうが。
- 643 名前:皿戻し3 3/4:2005/12/06(火) 22:39:17 ID:Mj0dilqP
- 「しゃ、写真はいつ返していただけるんでしょうね?」
かろうじて踏みとどまって、メガネを押し上げる。ここで判断を誤ったら負けだ。
ラムネの言葉に、斧田はほんのすこし笑った、薄く、薄く。
口角を下げる彼の瞳が、蛇に似ている、とラムネは息をのんだ。
「そのうちもどってくるんじゃない?・・・それまで待ってよ、急がないんでしょ?」
「立場があるんですが」
「こっちにもあるよ。どうしてもって言うなら、取りに行ってきたら?」
「・・・・・」
「キミが用意したってわかれば、アレも感謝するんじゃないの」
「まっぴらゴメンだ!」
カッと叫んで、ラムネは慌てて顔を戻した。口角がひきつるのを避けられない。
「早々に返却を!」
「しょうがないなぁ・・・利息つけて返すからもうちょっとまってよ」
「利息?」
- 644 名前:皿戻し3 4/4:2005/12/06(火) 22:40:25 ID:Mj0dilqP
- おうむがえしに呟いたラムネの前に、斧田の顔が、近づく。
嫌な予感に慌ててあとずさる彼に、斧田は、ああ、なんだ、と苦笑した。
「こういうときの相場って決まってるでしょ」
「・・・・・・・ッ!」
反射的に、ラムネは唇を押さえた。
斧田は、そんなラムネに、少し嫌そうな顔をする。
、、、
「ウチのは、嫌がらないのに」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ラムネは、唇を押さえた手を、部屋を出るまではずさなかった。
- 645 名前:皿戻し3 last:2005/12/06(火) 22:42:30 ID:Mj0dilqP
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末様です。ラムネの伏せ字ってこれで良かったんですかねw
スタートの数字の連番間違えましたすみません。
明日までのささやかなツマミになれば光栄です!
- 646 名前:風と木の名無しさん:2005/12/06(火) 22:47:31 ID:D07t8KEv
- >645
きゃー!GJ!GJ!!!!
おにょださんいやらしすぎます。うちのって、利息って・・・・
ラムネたん逃げて、逃げてラムねたん!!
- 647 名前:風と木の名無しさん:2005/12/06(火) 23:15:12 ID:Yz/ub9iR
- 逃げて超逃げてぇぇぇ!
天国の美奈とタソ!ピンチ!ピンチだから!
- 648 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 02:04:46 ID:uJTqUWyl
- |>PLAY ピッ ◇⊂ (・∀・ ) ジサクジエンガ オオクリシマース!
明日の刑事ドラマの可芽雨鏡だよ!初めて書いたから恥ずかしいらしいよ!
- 649 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 02:05:45 ID:uJTqUWyl
-
簡単なのに、言えない。
「雨鏡さん」
俺は帰り支度をしている雨鏡さんに声を掛けた。
「はい?」
コートを羽織ろうとしている雨鏡さんの手が止まり、こっちを見た。
「えっ…あー…あのー…」
簡単な事なのになかなか言えない。こうやって意識する前はごく自然に、難無く言えたのに。
いざ、と意気込むと言えない。
「可芽山君?どうしたのですか?」
俺が呼び止めた時点で半分だけ着ていたコートをしっかりと着ながら不思議そうに雨鏡さんは言う。
そりゃそうだ…と心の中で呟いた。
自分から呼び止めておいてそりゃねえか…
- 650 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 02:08:46 ID:uJTqUWyl
- 「あー…」
「君はいつも変ですが、今日は特に変ですね。何も用はないのですか?」
「いやっ…あのー…あ…ま、また明日」
「…それだけですか?」
「すいません、それだけです」
「…?本当に変な可芽山君ですね。」
「すいません…」
「特に気にしてはいません。謝らなくていいですよ?可芽山君、では、また明日」
「はい、…ま、また明日」
なるべくいつも通りに手を振り、部屋を出る雨鏡さんを見送った。
こちらに背を向けている雨鏡さんから見えないだろうけど、手を上げ、手をひらひらとさせた。
しっかりと右 京さんの姿を見送って、手を下げた。下げた手が自分のパンツに当たり、軽くぱたりと音がした。
「『また明日』…か」
またあした。そのたった五文字がなかなか言えなかった。
言ったらせっかくの今日が終わる。雨鏡さんと過ごした一日が。なんか勿体なかった。
「…なーにぼけっとしてんだ?暇か?」
「なんだ…課長か…。暇じゃありませんよ!帰るんです!」
「何怒ってんだよ…変な可芽山ちゃん」
変か…うん、なんか今俺は変かも。
「それじゃ」
「あれ、本当に帰っちゃうの?つまんないねぇ〜」
- 651 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 02:11:03 ID:uJTqUWyl
- |>STOP ピッ ◇⊂ (・∀・ ) ジサクジエンガ オオクリシマシタ!
尻切れトンボでごめんなさい…
そしてageてごめんなさい…逝ってきます…。
- 652 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 18:50:56 ID:Zcj1NkM4
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 映画も公開 H@rry P○++er
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 英雄と坊ちゃまだよ。
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 653 名前:1/5:2005/12/07(水) 18:51:57 ID:Zcj1NkM4
- 「あっ」
何となく顔を出したそこに、先客がいるとは思ってなくて、
思わず声に出してしまった。
その声に反応したのか、灰色がかった青い瞳はこっちを向き、
いつもの高飛車な視線を投げつけた。
めったに行かない図書館。
本棚だらけの奥、部屋の隅を使って作られたそのスペースを八リーは偶然見つけた。
ひとりで何か考えたいときにちょうどいい。
そう思って顔を出すと、
そこにいたのはよりによってスりザりソのあいつだった。
- 654 名前:2/5:2005/12/07(水) 18:52:27 ID:Zcj1NkM4
- 「…何だ、ポッ夕ー」
ひとりで本を読んでいたマノレフォイは、怪訝そうにこっちを見た。
「…いや、別に。僕もここに来たかっただけ」
「僕は今、静かに本を読みたいんだ。邪魔だからどこかへ行け」
相変わらずのこの態度に、八リーは不愉快になった。
別に気にしなければいい。
でも、それでスッキリするはずがなかった。
「聞いてるか、ポッ夕ー。どこかへ消えろと言ったんだ」
うるさい。
すごく腹立たしい。
ここで素直に退くなんて、絶対に嫌だと思った。
- 655 名前:3/5:2005/12/07(水) 18:53:10 ID:Zcj1NkM4
- ふと見ると、窓からの光でマノレフォイの髪はキラキラしていた。
ムカつく。
その白金の髪をめちゃくちゃにしてやりたいと思った。
「ポッ夕ー、」
また僕をその青い眼がにらむ。
何の温かみもない眼。
白い頬をひっぱたいたら、きっと涙でいっぱいになると思った。
「いいかげんにしろよ」
その汚らわしい口。
意地汚い言葉を次々と吐く。
…うるさいよ。
力いっぱい、彼の肩を壁に押し付けた。
ガタン、とイスが音を立て、はずみで本が床に落ちた。
- 656 名前:4/5:2005/12/07(水) 18:53:47 ID:Zcj1NkM4
- 噛み付いていた。
彼の上唇に。
一瞬、マノレフォイがビクッと動いた。
ゆっくり唇を舐めあげ、舌をねじ込ませた。
突然、胸を殴られた。
あわてて離れると、マノレフォイは真っ赤だった。
屈辱感あふれる顔。ぞくぞくした。
マノレフォイは何も言わず、八リーを壁に突き飛ばすと、そのまま出て行った。
- 657 名前:5/5:2005/12/07(水) 18:54:14 ID:Zcj1NkM4
- イスを元に戻し、落ちた本を拾う。
落ちた拍子にだろう、折り目がたくさんついていた。
きっとマノレフォイはこういうのを嫌うだろうな。
そう思った途端、また不愉快になってしまった。
体じゅうから不快感があふれ出た。
気持ち悪い。
本を元にあった場所に返そうと探した。
真っ黒な表紙。そこに浮かぶ金色の文字。さっき見た色に似てる。
「…ムカつく」
適当な棚へ押し込み、走り去るように図書館を出た。
- 658 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 18:56:56 ID:Zcj1NkM4
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 八リーどす黒くてごめん。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今回の映画は八リーが初恋を体験するとのことだったので。
- 659 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 19:03:56 ID:l1l8yrOi
- そうか初恋はヤシだったのかw
テラモエス
- 660 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 19:09:39 ID:pyWkAgYJ
- 元から八リーは黒いので問題ナサスw
姐さんGJ!
- 661 名前:風と木の名無しさん:2005/12/07(水) 19:12:50 ID:C54KPlTR
- >652
久々にこのカプに再燃しそうになったよ。GJ。超GJ。
- 662 名前:風と木の名無しさん:2005/12/08(木) 00:26:43 ID:qzq8FQXG
- >>652
今週末見に行くのに・・・
おかしな視点で見ちゃうジャマイカw
- 663 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/08(木) 18:07:08 ID:HQ7LLUkK
- >648
意識しすぎて挙動不審な瓶ちゃん萌え(*´∀`)
- 664 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/08(木) 18:39:45 ID:ve6TIunS
- >>652
萌えーーーー!!!!!!!
- 665 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/09(金) 00:56:05 ID:qM5BLkiO
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 某ゲイニソの話
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| チュウも何もしてないです
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
初投稿、巧くいくかな…
- 666 名前:1:2005/12/09(金) 00:56:52 ID:qM5BLkiO
- 「……自分、最近おかしいで。」
俺は楽屋でぼんやりと煙草を吸う伍等に思わず声をかけた。
「何が?」
「いや、何が言われたら巧く言えへんけど」
「巧く言えやお前ゲイニソやろ」
「そういうタイプのゲイニソちゃうわ」
「お前なら言えると思ったから言うてんけどな」
「それや!」
「せやから何やー言うてんねん」
「自分、最近俺のこと見すぎや!見んな!」
…思っていたこととは少しニュアンスが違うような気もしたが、
口から出てしまったものは仕方が無い。じっとこちらを見続ける
伍等から俺は目を逸らした。
- 667 名前:2:2005/12/09(金) 00:57:28 ID:qM5BLkiO
- 「漫才師が相方見て何がおかしい」
「見すぎや!」
「何や照れてんのん?」
「照れてないわ!」
「せやったらええやん」
「ええことあるか!」
「珍しいな、お前がそんな興奮すんの」
「興奮してんちゃうわ怒ってんねん!」
「何で。何に。」
堂堂巡りの会話を楽しむように、新しい煙草に火をつける仕草がまた
小憎らしい。気まずいのは俺だけなのか、些細な変化を気にする俺のほう
がおかしいのか。妙な空気の楽屋に紫煙が漂う。
- 668 名前:3:2005/12/09(金) 00:58:22 ID:qM5BLkiO
- 「何や、アホらし…俺何でこんなこと言うてんねやろ…」
「そうそう、あきらめ。最近は皆オープンやからもうええか思てな」
「は?」
「東洋ラヂオはお互い何やいちゃいちゃいちゃいちゃしてるし」
「おい、ちょ待て」
「ダウソタウソさんも…まぁダウソタウソさんは昔っからか」
「比べる芸暦違いすぎるで」
「うん、せやし芸暦真ん中よりちょい下の俺が隠すんもアホらし思て」
「せやから何が!」
胸倉の一つでも掴んでやろうと立ち上がったその瞬間、濃い煙草の煙が
視界を遮った。逆に胸を突き返され、尻餅をつく。
「んー、蓼食う虫も好きずき」
「…何やねんそれ」
「あばたもえくぼ」
「ワケわからんわ……」
「わからんかったらそれでええんちゃうかー?」
腑に落ちないまま固まった俺を、伍等は面白そうに見下ろす。
2本目の煙草は、何故か妙に優しく丁寧に揉み消された。
何故かその仕草が、目に焼きついたのには目を瞑ることにして。
- 669 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/09(金) 01:00:20 ID:qM5BLkiO
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 一気書き…オチゆるくてスマソ。
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
某ゲイニソスレの姐さんにインスパイヤされたので…。
- 670 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/09(金) 01:37:33 ID:FT+Sctk6
- >669 GJ!
(*´Д`)ソ、ソレダー!!!!
- 671 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/09(金) 01:55:00 ID:R/RXPgeZ
- ガッツリ萌えさせてもらいました
姐さん超GJ
- 672 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/09(金) 11:15:28 ID:zdSkGn9D
- >669
相方をガン見する鳥さん。
いいよ〜!
- 673 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 03:37:53 ID:fFBJpgAC
- 今459KBだけど、私次スレたてられなかった。
誰かお願い。
- 674 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 08:46:38 ID:VxTuWdFp
- 490kb近くなってからでいいんでない?
あんまり早く立てると「こっちは埋めないの?」みたいなレスついちゃうし。
- 675 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 09:30:34 ID:KZlJ2n2j
- 自分も490kbあたりで充分間に合うと思うよ。
最近ちと次スレ立てるのが早すぎないか?
- 676 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 09:31:21 ID:5lZ+KikJ
- じゃ490で。、
- 677 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 14:10:42 ID:bXO6aUrZ
- >>669
この位がちょーど良いでしょう。GJ!
- 678 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 18:22:43 ID:30tA6DnQ
- / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| また下町妄想だって
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| これで最後らしいよ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 679 名前:下町1:2005/12/11(日) 18:24:56 ID:30tA6DnQ
- 「この後、時間とれるか?」
突然の濱田の言葉に。
松元は何も考えずに頷いた。レギュラーの収録終わり、まだ深夜とは言えない時間だった。
「誰か入れるか?」
「いや、サシで」
なんやねんな。いつになく無表情な相方の顔に、何故だか笑いそうになる。
相手がシビアになればなるほど、何故かそこに可笑しさを感じてしまうことに少しの居心地の悪さを感じたりもする。いや、そうすることで何時だって深刻な雰囲気からひとり、逃げようとしているだけなのかもしれない。
しばらく自分の楽屋で茶を啜っていると、ようやく濱田が現れた。のっそりと松元の正面に座ると、何故だか目を伏せた。
松元はそんな相方の顔を何の気なしにみつめた。……年をとったな、と思う。なまじ、目を伏せるとその印象は濃くなる。
年相応に見える、というか。コイツと会ってどんだけの時間が流れたんだろう。考えるだけ阿呆らしいことか。
「……話って?」
「……ああ」
切り出した松元に対して、濱田はまだ言葉を探しているふうだった。ふたりぼっちで同じ空間にいるということが、なんだか具合が悪い。
松元は無意識に咳払いをした。その音にようやく反応を示したように、濱田が口を開いた。
「……あんな」
「ああ」
「俺、もうすぐ駄目らしいんやわ」
「はい?」
相方の言葉に、松元は短く聞き返した。全く理解できない他の国の言葉のように。
「俺、もうすぐ死ぬらしいねん」
「もうすぐっていつや」
全く現実味のない話だった。松元は面白くも無さそうに問いただした。つまらない冗談。
「詳しいことはわからへんけど。ま、もうすぐっつったらもうすぐやろ」
「ふーん」
一瞬空気が薄くなった気がした。松元は目を擦った。なんか眠いな。瞼が重い。
「お前には早くに伝えとこう思ってな……。いろいろ迷惑をかけることにもなるしやな」
「……あんなぁ」
「いきなりで驚かせてすまん。ほんまに……。だけど、お前なら……」
「おい、濱田って」
「なんや」
「つまんないで、それ」
- 680 名前:下町2:2005/12/11(日) 18:26:12 ID:30tA6DnQ
- 平静を装って吐いた松元の言葉は微かに震えていた。脳が拒否している、つまらない冗談。しかし、心の何処かが怯えている。
「つまんないってなんや」
「いや、だから、そのネタ?おもろない」
「ネタって何の話や」
「だから……」
そういいつつ、箱から煙草を取り出した松元の指先は痺れたように冷えきっていた。うまく掴めず短く舌打ちすると、諦めた。何を動揺してるんや。額に汗が滲む。
そんな相方をみつめると、濱田は疲れたように静かに笑った。
「ネタやないよ。ホンマの話」
「え?」
「真面目に話、してるんやで」
心臓を直に掴まれたような心地がした。松元は目を見開いた。一気に背中に霜のような汗が滲んだ。全ての音が遠のいて……脳みそが膨張した。
「そんなん……」
「急に言われたって困るよな」
「……」
「だけど、あなたには伝えとく義務がありますからこっちは」
「嘘やろ?」
「……」
「嘘っていえや」
「……」
「濱田て。おい……。何でやねん。病気か。何で死ぬねん、おまえ……」
「……」
「お、おもろない。しょうもない話、すんなや。つまらん話……!」
吐き捨てると、松元はイライラと指先で机を叩いた。息が苦しい。酸素が薄い。胸が痛い。なんや、なんやこれ。
立ち上がると、松元は畳に小さく地団駄を踏んだ。
「おっまえは……なんでそういうつまらん話を……」
何度も何度も同じ畳を蹴り付けて、その子供染みた行為に気がつき足を止める。胸が潰れそうになる。
「つまらん、はなし……」
濱田はゆっくりと手を伸ばすと松元の腕をとりもう一度座らせる。松元の身体は綿のように力が抜けていた。崩れ落ちるなり机の上に突っ伏してしまった松元の頭に、濱田はおずおずと手を触れる。
慈しむように静かに、その坊主頭を撫でていく。松元の肩は小刻みに揺れているような気がした。
- 681 名前:下町3:2005/12/11(日) 18:27:44 ID:30tA6DnQ
- 「……泣いてんのか」
「……あほか。笑ろてんのや。あんまりにもつまらん話で」
「そうか」
「……」
「お前は、俺なんかいなくてもな。やってける思うで……」
「勝手に決めんなや」
「俺が保証する」
「だから、勝手に決めんな……!」
「決めなしゃあないやろうが…!」
濱田の太い声のあと部屋はシンと静まり返った。
「……ホンマの話、なんか……?」
蚊の泣くような細い松元の声。初めて聞くような声。
「ああ」
「嘘やん……」
そう言うとまた肩を震わせた。
「顔あげえや」
濱田は松元のうなじを撫でた。
「いやや」
「なんで」
「……」
無理矢理両手で顔を挟んで持ち上げると、松元の両目は真っ赤だった。迷子になったような目をしていた。
じわりと腹のなかが熱くなって、濱田は強烈な愛しさを感じた。
「俺は……」
「俺は?」
松元の小さな声を聞き逃すまいと濱田は息を詰めた。
「濱ちょん……、無理や。お前がいないのなんて考えられへんやろ……!」
潰れたような松元の声に、濱田はそっと微笑んだ。
「おまえ、アホちゃうんか。そんなん急に言われても、俺かて困るやろ……!」
「ああ」
「あかんやろ。お前が一番よう知ってる筈やろうが。俺ひとりでどないなるねん」
「ああ」
- 682 名前:下町4:2005/12/11(日) 18:28:43 ID:30tA6DnQ
- 「アホ濱田。阿呆、なんやねん、死ぬって。おまえ、何を勝手に……」
いつのまにか松元の腕は力強く濱田の身体を抱きしめていた。
「死なすか、ボケぇ……ッ。ホンマにアホちゃうんか……」
「ちょ、痛いって。腕ゆるめてや」
「アホや、おまえは……」
「松元、痛いって。おい、オッサン!」
ギュウギュウとしがみついてくる松元の腕に濱田は小さく悲鳴をあげた。とうとう濱田は畳の上に倒れ込んだ。間髪いれずに松元の熱い身体がのしかかってくる。濱田は黙って目の前の相方、松元という男の瞳を真直ぐ見つめた。
表面張力だった。松元の大きな瞳に膜のようにへばりついた涙が、みるみるうちに雫となって落ちてきた。
それは濱田の頬の上で跳ねた。
らしくない。らしくなかった。こんな反応は……期待していなかった。こんなふうに真直ぐな瞳で泣くなんて。
濱田は痺れたように動けなかった。
俺は松元という人間を理解しているようで、まだ全然わかっていない。
「……松元」
「……」
我ながら掠れたようなしゃがれ声に驚いた。
「ありがとうな」
そう言うと、濱田は松元の唇に触れるようなキスをして立ち上がった。松元は呆然としたまま床にうつ伏せたままだった。
机の上の湯のみに少し残った茶を飲み干すと、濱田は楽屋を出て行こうとした。しかしふいに忘れ物に気づいたように振り返る。
「あとな、松元……」
「……なんや」
「今いったの、嘘やから」
濱田のケロっとした声に、しばらく無言が続いた。
「……あ?」
松元はうつ伏せたままの顔をゆっくりと上にあげた。そこには濱田のしてやったりという顔があった。
「なにを……言うてんねや……」
うまく発音できなかった。松元は喘ぐように言うと相方の顔をみつめた。
「だから、俺が死ぬっていうの。あれ嘘やから」
「待って、何言ってんのか、わからへんから……。何を?」
「だから」
「なんで?なんでそんな嘘ついたん?おまえ、アホちゃうんか」
みるみる松元の顔が赤く紅潮していく。
- 683 名前:下町5:2005/12/11(日) 18:29:15 ID:30tA6DnQ
- 「なんとなく」
「なんとなくでお前はそんな嘘つくんか。おまえ、滅茶苦茶やぞ」
「あなたに言われたないけど、そうかもしれんな」
「なんで……」
口を鯉のようにパクパクする松元にむかって濱田は照れたように笑った。
「愛の確認」
「あいの……」
「そう、愛の」
ニヤニヤ笑う濱田を前に。松元の滅多に聞けないプライベートでの絶叫が響き渡った。
「オッサン!おまえ、きっしょいんや!!」
掴み掛かられると思ったが、松元はどうやら腰が抜けてしまったらしく動けないようだった。濱田は何故だか遅れたような恥ずかしさが込み上げてきて、松元に負けず劣らず頬を紅潮させた。それを相方に見られないようにそそくさと楽屋をでた。
こんな結果を期待し、そして予感していた自分に、我ながら呆れつつ。
「濱田!!」
松元の叫び声を背中に、いつのまにか走り出していた。
番組の収録の休憩時間。不思議そうに沿道が濱田に向かって囁いた。
「なんかあったんすか、松元さんと」
「何が?」
「全然話さないじゃないすか。カメラないとこで」
「ああ。あいつ怒ってんねん」
「なんでですか」
「うん?わからんけどね」
「なんで嬉しそうなんすか……」
意味深にニヤニヤ笑う濱田に向かって沿道は気色悪そうに呟いた。自分がそんな顔をしていたことに濱田は少々驚きつつ、ゆっくりと自身の頬を擦った。松元の涙がポチャンと確かに跳ねたその場所を。
- 684 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 18:30:28 ID:30tA6DnQ
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ コレカラハヒトリデコソーリミルヨ
| | | | ピッ (・∀・ ) イロイロスイマセンデシタ
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
- 685 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 19:04:51 ID:N4392Pvt
- >>678
GJ!姐さん乙!
禿萌えますた!
- 686 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 19:08:41 ID:y2xPfz+5
- >>684
オッサン等可愛すぎるんじゃ…!(*´Д`)ハァハァ
超GJ…!!!
- 687 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 22:04:25 ID:panrsbtX
- ぐあっ! GJ!
- 688 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 22:12:50 ID:+6gpzmBz
- >>678-684
うわーたまらんたまらんたまらんてー!姐さんGJGJGJ!
もうね、このおっさんらで一生萌えられそうな自分がいるよ。
- 689 名前:風と木の名無しさん:2005/12/11(日) 22:52:32 ID:lNsq5hR6
- いかん・・・いかんよ・・・途中で泣きそうになったよ・・・
下町最高だ。姐さん超GJ!!最後といわずまたまた是非に頼みます!
- 690 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 23:20:11 ID:SBo9Hcte
- ちょっとお邪魔します。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ムシシのイヒ×銀。アホな感じです。
____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| >>543サンノ山芋蟲ガ ドウシテモ ワスレラレナカッタンダッテサ
| | | | \
| | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
| | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 691 名前:1/5:2005/12/11(日) 23:21:23 ID:SBo9Hcte
- 「なんだ、ありゃ」
見慣れない蟲がいる。
自分が知らない蟲など無数にいるだろうが、通い慣れた道の見慣れた風景の中に
見慣れない種類がいるのは問題だ。
(害のないヤツならいいんだが……)
ギンコは踏み均された道を外れ、見失わぬようその蟲に視線を集中し、慎重に近づいていく。
低木の陰にひっそりと丸まっている乳白色の微光をたたえた小さな蟲は、キ"ンコが懐から
手探りで拡大鏡を取り出したまさにその瞬間、飴細工のように伸びて、ひとつ向こうの
低木の陰に逃げてしまった。
「あ、おい待て!」
追いかけようと駆け出したキ"ンコは、焦って踏み出したのがまずかったか、下生えに
足を取られる。
「うわ、と……!」
地面すれすれにいる蟲を見るため腰を落とした体勢からのよろめきを立て直そうと
咄嗟に地に手をつくが、水を含んだ雑草で滑る。
勢いを殺せないまま肩からザブンと突っ込んだのは、数日前に大雨でもあったのだろう、
地面のくぼみになみなみと溜まった泥まじりの雨水だ。
「カンベンしてくれ……」
くわえていた、火が消えてしまった煙草と口に入った泥を吐き出し視線を戻すが
目当ての蟲はもう視界の外に行ってしまったらしい。
起き上がり、しばらくは未練がましく辺りを探っていたキ"ンコだが、冬に向かい
冷え始めている風の中に濡れた服では、すぐに歯の根も合わなくなる。
ひとつ鼻をすすって、道へと戻った。
どうせ何かあれば、自分のところに話が回ってくるのだ。
- 692 名前:2/5:2005/12/11(日) 23:22:43 ID:SBo9Hcte
- 「すまんな。風呂、ぬるかったろう」
キ"ンにはよく分からない植物をすり鉢で砕きながら、イヒ野は唇の端が上がってくるのを
抑えられずにいた。
濡れ鼠でむっつりと戸口に立つキ"ンコに何事かと問い詰めればこの顛末だ。
加えて毛布にくるまり囲炉裏に手をかざし、拗ねたようにぼそぼそと「あの蟲が」と
こぼすこの姿では、イヒ野でなくとも笑いが込み上げるだろう。
「ほれ」
植物を挽いた粉に熱湯を注いだ椀を、キ"ンコに手渡す。
受け取ったキ"ンコは素直にずず、とひと口すすって、眉を寄せた。
「こりゃ、なんて苦虫だよ…」
そうは言ったが、冷えた体に熱い薬湯はじんと染み渡り、ほっと息をつかせる。
結局熱も冷めぬうちに飲み干し温まった体で、まだ生乾きの服を探りに行った。
「服の中に入ってた物ならそっちで干してるぞ」
「ん?ああ。あー……」
イヒ野の指差した文机の上、封をした小瓶やらが並べられている中から小さな紙箱を取り
中身を確認したキ"ンコは乾いたばかりの白い髪をがしがしと掻いた。
「蟲除けの煙草か?」
「ああ。こりゃもうダメだな」
握れば滴るほどに水を吸ってしまっては、ただの煙草としても使いようがない。
「来たばかりで悪いが、服が乾いたら里を出る」
キ"ンコの言葉に、イヒ野は目を眇める。
「こんな日も暮れてから出るやつがあるか」
- 693 名前:3/5:2005/12/11(日) 23:23:26 ID:SBo9Hcte
- 「さて、寝床、寝床」
通い慣れた道とはいえ、夜道は危険だ。ましてや、蟲除けなしのキ"ンコでは。
出る、出さないの押し問答は長くは続かなかった。
何より、日のある時間に水溜りに嵌った身では、何も言えまい。
「……なんで一組しか敷かねえんだよ」
キ"ンコの呆れた声には耳を貸さずに、枕を二つ並べた布団に入ったイヒ野は
飄々とした顔でそこから手招きする。
その手招きに、キ"ンコは小さなため息ひとつで応じた。
いくつもの小さな気配を感じる。
(寄って来やがった……)
蟲除けの匂いは洗い流されてしまった。厭わしい煙の匂いがないキ"ンコの周りには
驚くほど蟲が寄る。
(ああ、気が散る)
染み付いた蟲師の習性で半ば無意識に、寄る蟲の種類を数えてしまう。
――キ"ンコは蟲を寄せる体質だ。
ひとつ所に留まれば、そこはやがて蟲の巣窟と化し、ヒトが暮らせる土地ではなくなる。
こののどかな里をそうしてしまうのは、本意ではない。
(今は考えるな)
どのみち明朝にはここを出るのだ。
そして蟲から視線をひきはがし、胸をくだりわき腹を撫でるイヒ野の手を見やって、ぎょっとした。
ギンコの腹の上にわずかに浮いて、飴細工のようにのたうつ蟲がいる。
(この蟲……!)
乳白色の微光……先刻、取り逃がした蟲だ。
反射的に払いのけようと動いた腕が届く前に、飴細工状だった蟲は、溶けてキ"ンコの腹に染み込んだ。
「なっ、」
- 694 名前:4/5:2005/12/11(日) 23:24:24 ID:SBo9Hcte
- 「おっと」
びくりと体を縮こませたギンコに、イヒ野が腰を止める。
「まだ早かったか?」
「いや、今、……? あ、ああ!」
蟲が染み込んだ腹に、焼け付くような痛みが走る。
「っは、うあ!」
痛みはすぐに鈍くくすぶる熱のうねりになって、腑を駆けた。体が熱い。
「おい?」
閨事には淡白なキ"ンコの喘ぎに、常にはない色が含まれた事をイヒ野は訝り腰を引くが
当のキ"ンコは引いた腰に自らの腰を擦り付け、深く深くと求めた。
「どうしたんだ、おまえ……」
顔を覗き込めば、熱を持ち潤んだ片目が切なさを語っている。
季節外れの水浴びに熱でも出したか、と中断を考えたイヒ野だったが、こんなキ"ンコは
滅多に拝めないのだ。あまりに勿体無い。何より中断できそうにない顔をしているのは
キ"ンコのほうだった。
「う……」
再び腰を進めたイヒ野の動きに呼応するように、白いからだがのけぞる。白い髪が乱れる。
感じた事のない高まりに翻弄され戸惑うが、頭の芯から広がっていく、じんと痺れるような
感覚が、理性ともどもキ"ンコの思考力を奪った。
時間の感覚などとうに失った頃、キ"ンコはすべてを吐き出す開放感と共に、ぞっとするほどの
ざわめきが下肢を伝っていくのを感じながら、意識を放り出した。
- 695 名前:5/5:2005/12/11(日) 23:25:36 ID:SBo9Hcte
- 鼻をくすぐる嗅ぎ慣れた匂いに目が覚める。
「独特な味だな……俺には馴染めん」
寝顔を眺めていたイヒ野は、薄目を開けたキ"ンコに手にした煙草を掲げて見せ、にやりと笑った。
「いや、なに。少し前に里に来た蟲師に分けてもらったんだ」
残る余韻の気だるさも手伝って、力が抜けていくのに逆らう気にもなれず、枕に顔を埋めるキ"ンコ。
「うちに予備を置いておこうと思ってな。早速役に立ったじゃないか」
「おまえな……」
吐き出すため息に乗せてそう言うと、さも嬉しげに
「喜べよ。取り逃がした蟲の調査もできるだろう?」
と返ってきて、ますます力が抜ける。
「ところで、おまえ随分、その……アレだったな?」
「その話は明日だな」
それだけはぴしゃりと言って、目を閉じた。
気を失う寸前にキ"ンコが見たのは、とろりと零れた精に混ざっていた、いくつかの小さな乳白色の蟲。
それらは、ちらちらと微光の尾を引いて物陰から物陰へと素早く移動し、ひとつ残らず視界から消えた。
ヒトの体を借りて繁殖する類の蟲だったのだろうか。
(まったく、迷惑極まりないな)
さしたる害はなさそうだったが、出ていくとはいえヒトの体内に入り込む蟲だ。
数日は、里中アレを探して歩く事になりそうだった。
予備の蟲除けとやらはその数日中に使い果たしてやると、心に決めた。
- 696 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 23:26:55 ID:SBo9Hcte
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ 801ビヤクニ ナッチャッタ…スマソ
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
お粗末さまでした。
- 697 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 23:47:38 ID:9J+Gz/Me
- >>696
乱れ銀子(*´Д`)ハァハァ
GJです!
- 698 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/11(日) 23:51:29 ID:He6QKzpu
- イヒ銀キタ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━!!!!
Moeeeeeeeeeeee
- 699 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 01:19:52 ID:t+QkcMmT
- >>696姐さんGJ!!
興奮してもう眠れないよ。
- 700 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 01:37:32 ID:Nb1W5ZgD
- >690
姐さん素晴らしいです!!!!びしょ濡れ銀子→一組の布団コンボやばい!
山芋ネタを出した張本人ですが、こんな萌えな山芋蟲のお話を続けて頂けるなんて(*´Д`)ハァハァ
- 701 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 02:34:42 ID:D12Nain8
- >>696
モエ――(´Д`*)――!
GJ!むしろありがとう!
- 702 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 04:56:03 ID:scxTy1sD
- 自分がいる日常が、相手にとって当たり前の日常であれば
それは凄く心地が良い
そう思った。
■■Daily life of me■■
さっきまで猛烈に喋り倒してた声が、一瞬止んでしまった。
テレビに夢中だったから、なんとなく相槌打ってたけど
急になくなるとすっごい違和感。
しばらく静かな部屋が続くから
あれっ、て思って撤坪はテレビから目を離した。
するとベッドの真ん中でゴロリと横になる上ンツが目に入る。
「英ちゃんー?英ちゃん…?あ、寝とる…」
さっきまで開いていたはずの瞳はいつのまにか閉じて、
軽快に笑いについて語っていた唇からは
スースーと規則ただしい寝息が聞えてくる。
その顔は、子供みたいに幼く安らかで一目で、熟睡してるな。とわかった。
- 703 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 04:56:29 ID:scxTy1sD
- もう…絶対いつも先に寝るんよね、あ〜あ口は相変わらず開いとるわ・・。
ぽっかりと開いた口元を見て、おもわず笑ってしまった
上ンツは度々、撤坪の家にやってきては、好きにコンポで曲をかけて
好きに徹平の本棚から漫画本を取り出し、好きに冷蔵庫から飲み物を
拝借して、そしていつの間にか寝てしまう。
それが撤坪にとって当たり前のことで撤坪はさ程気にした事は無かった。
回りに散らばった読みかけの漫画や雑誌類を整頓しつつ、
上ンツの寒そうに出た首元に、毛布を掛けてやる。
微かに触れた刺激に、一瞬眉元を歪ませたが、毛布の温かみにまた寝息をたて始めた。
それにしても・・・こんなに散らかしたあげく寝てまうなんて。
俺の寝るトコないやん。
「ちょー…起きいや…英ちゃんってば!俺の寝る場所ないやんかぁ・・・・」
真ん中にどっしりと横になって、上ンツはぐっすりと夢の中だ。
声をかけてもぴくりともしない。
- 704 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 04:57:20 ID:scxTy1sD
- 「もー…」
ハァと大きく溜息をついて、へたりとベット横の床に座り込んだ。
シングンベッド一人で寝られたらアカンやん…
夜も、もう遅い。
明日は午前からドラマ撮りがある撤坪も
そろそろ眠りにつかないと起きれるか心配だと、時計を見る。
「ちょー・・英ちゃーん・・え・い・ちゃん!てば!」
耳元で少し大きめの声を出してみる。
すると少し反応があったのか、うう・・、と小さく呻き声をあげて
上ンツは煙たそうに寝返りをうって寝入ってしまった。
そんな上ンツの姿を見て
さっきまでの愛らしい子供みたいな寝顔が、急に憎たらしく思えてくる
湧き上がった悪戯心。
最初は、鼻をつまんで苦しそうにする姿見て笑ったり、頬をつねって遊んでいた。
フイに伸ばした手が上ンツの髪をつついて、色素の薄い髪色を
まるで犬を触るように撫でまわした。
何時間か前に、撤坪の部屋の風呂に入った上ンツの髪は
撤坪が実家にいる頃から髪質に合うという理由で、随分買い続けて
いる、市販のシャンプーの香りがする。
慣れているはずの香りが鼻について、違和感とは違う、何か胸をギュウと
掴まされた。
- 705 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 04:57:41 ID:scxTy1sD
- 同じシャンプーの香りでも・・なんか少しドキドキするのはなんでやろ。
なんとなくそんな事を考えていた。
柔らかな栗色の髪から
、するすると手元が落ちて耳たぶに触れる。
「うっわー・・めちゃやらこぃ…」
普段そうそう触る事のない人間の一部に
徹平は素直に反応を漏らす。
しっとりとした柔らかな感触に適度な弾力感・・・
なんか餅みたいやぁ・・
しばらく夢中になって指先で触れていた。
寝てるからかなぁ?めっちゃぬくい耳たぶ・・・
指先から伝わる上ンツの体温が妙に心地よくて
撤坪はうっすらと目を細めた。
「あったか……でも起きへんな…」
執拗に触ってるのに、触れられてる本人は微動だにしない。
心地よい寝息に揺れるような長い睫、真っ白い肌が
煌々とした蛍光灯の明かりに照らされていた。
「なんていうか…英ちゃんて綺麗。」
今は閉じている淡いライトグリーンの瞳が微笑むのを思い出して
そう撤坪は呟いた。
- 706 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 04:58:40 ID:scxTy1sD
- 鼻なんてごっつ高いし、肌白くてキレーやし、睫フサフサやぁ・・
撤坪は、これで自分に対する時折の横暴さと、捨て身のお笑いが
無ければ完璧なのかも。なんて事を考えながら
相変わらず眠り続ける上ンツをじぃっと見つめる。
「いつもずっーとベラベラ喋ってんねんなぁ・・」
さっきだって、テレビ見てるから静かにして言うてるのに、一人でずっーと・・・
相槌打つ暇もないやん。
でもその口が、落ち込んだ時にいつも励ましてくれ、
嬉しい事があると一緒に喜びの声をあげてくれる口だと撤坪は知っている。
『ほんま調子ええ・・・時々狙いすぎやで英ちゃん。』
でもそれが、誰よりもサービス精神旺盛で、仕事熱心で勉強家、
バラエティが苦手な徹平をいつも助けてくれている事を撤坪は知っている。
- 707 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 05:13:58 ID:scxTy1sD
- 『こんな散らかして・・・掃除するんは俺やのに。』
でもこの散らばった漫画やフィギアが
上京したての頃、東京の高校に転入してきたばかりで周りに馴染めない一人暮らしの撤坪が
少しでも寂しくならないようにと、実家から紙袋いっぱいに持ってきてくれたモノだって撤坪は知っている。
『いっつも堂々と俺の部屋あがりこむねんな・・・』
でも目の前で眠りこけてる上ンツが、今日何気無く送った、撮りで何回もNG出してへこんでるって
メールを読んで、何も言わず着てくれたのだと撤坪は知っている。
・・・・英ちゃんの持ってる優しさが好きや、英ちゃんの見てるちょっと可笑しな野望が好きや
英ちゃんの歩いてる笑いの信念が好きや、英ちゃんと2人で創る曲が好きや
英ちゃんがいる俺の部屋が好きや
英ちゃんのいる東京が好きや。
英ちゃんは沢山の想いをくれるから
だから俺も何倍にして返してやるんや。
英ちゃんは頑張ってるから
だから俺も負けないくらい頑張るんや。
- 708 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 05:16:47 ID:scxTy1sD
- 蛍光灯の煌々とした明かりの下、撤坪は上ンツを眺めながら
ドクドクと脈打つ心臓を左手で押さえつけた。
英ちゃんが今の英ちゃんや無かったら、俺の好きな英ちゃんやない。
上ンツの頬をサラサラと撫でながら、撤坪はそう確信する。
英ちゃんにとっても俺がそうだったらええな。
例えばこの漫画が2人のモノのように
この日常が2人のモノであればいい。
上ンツにとっても当たり前のことであればいい。
撤坪はそう思った。
- 709 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 05:17:08 ID:scxTy1sD
- 英ちゃん知らんやろな
知ったらビックリするかな。
「英ちゃー…ん…好き…」
小さな声で漏らした告白。
めっちゃ好きや。
心に留めるように、今度は心の中で呟いた。
聞えてる筈のない本人は、小さく欠伸をしてまた寝返りをうち
深く深く眠りの中に入り込んでゆく。
「あーあ・・ほんとよぉく寝とるわ」
撤坪は、上ンツの姿を見ながら笑みをこぼす。
そしてまた、瑛ちゃんにとっての普通に俺が居ればいい。
そう思って徹平はまた笑った。
- 710 名前:電気だぶりゅー@てぃー:2005/12/12(月) 05:18:10 ID:scxTy1sD
- ____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧_∧ アア・・最初のAA忘れました・・
| | | | ピッ (・∀・ )
| | | | ◇⊂ ) __
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| |
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |
はい。ごめんなさい。
- 711 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 05:56:19 ID:WCASnZDC
- 朝から…姐さんGJ!
(*´д`*)かわえ
- 712 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 08:10:27 ID:n5ljTiBp
- >>702
姐さん、GJ!
現実もこれに近いものがありそうだw
鼻血出そうでつよ
- 713 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 08:32:10 ID:du150Abj
- イイ!! コレ
- 714 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 09:49:40 ID:RbJZQn2D
- >>702
姐さんGJ!!!!
ほわほわしつつ萌えた…
(*´д`*)
- 715 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 10:14:39 ID:WxXR4pTW
- だぶりゅ@てぃ、です。しょーとしょーと。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
- 716 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 10:16:05 ID:WxXR4pTW
-
TIME
雑誌の取材で写真撮影をしている。
もっと寄って、という指示で二人とも距離を詰める。
英ちゃんの肩が触れてる。
さっきのインタビューで英ちゃんが答えてた
「そうですね、二人だからこそ、可能性が広がるっていうか。
だからこれからも、背伸びするんじゃなくいい意味で全力で、
二人で成長して行けたらなって思います。 」
俺もそう思う、時間と共に二人でもっと、伸びていけたらって
でも、その反面
「ん?」上、撤兵を見て微笑みかける
このまま、時間が止まってしまったらいい
なんて思ったりするのは、俺だけの秘密
- 717 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 10:17:15 ID:WxXR4pTW
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
拙い文章ですみませんー。
- 718 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 10:39:13 ID:n5ljTiBp
- 二連発キタコレw
姐さん方素敵です!
- 719 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 13:43:42 ID:bqh2QJZf
- すげっ姐さん方GJ!!もうここが会社のトイレだってこと忘たよ(#´∀`#)
- 720 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 21:46:36 ID:eJhxjPop
- 遅レスだけど、濱ちょんヒドスwww
- 721 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 21:55:00 ID:+XxvGPu1
- 489KBか…
あと一作品ぐらい落としたら埋まるかな?どうする?
- 722 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 22:08:44 ID:gzvdm7g0
- そろそろ立てておいた方がいいね。行ってみよう。
- 723 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/12(月) 22:12:53 ID:gzvdm7g0
- 立ちました。
モララーのビデオ棚in801板12
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1134392980/
- 724 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/13(火) 00:28:14 ID:kzm6Y4Y8
- だびるゅー@てぃー萌えきたあああ。
やべっ。
上手いですなぁ
- 725 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/13(火) 02:14:50 ID:+C2Az6C4
- 遅くなりましたが下町姐さん、GJ!また来てくださいー!
- 726 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/13(火) 15:59:49 ID:KWKQy5J+
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
だぶりゅ@てぃーです。
- 727 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/13(火) 16:01:50 ID:KWKQy5J+
-
英ちゃんと俺の距離って
数字で表すと 5 c m くらい?
心と心の距離は目に見えないし
数字に出来るほど単純じゃないこと位はわかるけど
時々ぶつかったりすれ違う距離
近いけど手を伸ばすのに勇気がいる距離
だから、 5 c m
雲間の月がにじんだような色の瞳とか
細くて柔らかい綺麗な髪とか
みつめるくらいはいいでしょ?
あと 5 c m の微妙な距離で
隣にいる俺の特権だから
- 728 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/13(火) 16:02:26 ID:KWKQy5J+
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
- 729 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 00:13:54 ID:ItZPFwEE
- ・・・・・・
- 730 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 00:24:08 ID:h1guPvgB
- ドクオクエストの続きマダー?
- 731 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 00:48:16 ID:cN066cxa
- ドクオ漏れも待ってるお。
- 732 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 01:25:30 ID:bvVmS/Ap
- 俺漏れも
- 733 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 02:18:15 ID:pAw7iWYh
- 漏れもー
- 734 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 02:48:10 ID:hHxov09X
- アテクシもー
- 735 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 12:24:47 ID:cUxLVRbS
- みートゥー。
でも容量的に次スレかな。
- 736 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 17:06:56 ID:SmJcf5PE
- なにこの投下しづらい雰囲気
- 737 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 17:13:10 ID:WS55gSn8
- 気持ちはわかるが次スレ立ってるのでまあ
消化代わりということで
- 738 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 17:32:57 ID:vZy7UUuT
- >>727
乙です
- 739 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/15(木) 19:51:34 ID:jhNWcIYj
- 現在492KB
あと一本ぐらい投下できるかな
- 740 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 01:45:41 ID:JYzTMxrn
- _ ∩
( ゚∀゚)彡 ドクオ!ドクオ! 次スレにてお待ちしてます
⊂彡
- 741 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 05:19:41 ID:2Nw5Uc4J
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)
ジサクジエンつかとりあえず梅。
- 742 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 05:20:53 ID:2Nw5Uc4J
- どうして君は笑うんだろう。
どうして君は泣くんだろう。
あの人が結婚するときに君は幹事をかって出た。僕は一緒に二次会の仕切りをすることになった。
あの二人はお似合いだね、子供は何人だろう? とかそんなありきたりな会話をしながら、僕らは受け付けに立っていた。
披露宴が始まってもなかなか全員揃わない。
新婦の親友だった、君の大好きだった、あの子を待つこの長い長い時間。
どうして僕は君と笑っているんだろう。
どうして僕は君と泣いているんだろう。
誰かが不自然に思うかもしれない。誰も気にしないかもしれない。
でも今確かに僕は、君と感情をともにしている。
少しずれているけれど、確かに僕は、君と一緒に泣いている。
泣いている。
- 743 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 05:24:11 ID:2Nw5Uc4J
- □ STOP ピッ ⊂(・∀・)
梅とはいえスレ汚しスマソ
- 744 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 18:33:13 ID:jKCWSdZb
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
梅便乗。
- 745 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 18:33:46 ID:jKCWSdZb
-
『変なとこに反応するレーダー』に今日も何かが引っかかったらしく
満足げな笑みを浮かべながら店を出ていく上司を慌てて追いかける。
8年もの付き合いにより多少のことにはもう驚かなくなったつもりだったが
現場に到着するなり言われた言葉にはさすがに耳を疑った。
「寝てください」
「…は?」
呆気にとられていると白々とした目で見られる。
いや、驚きますよ! だってここ事件現場ですよ!?
そりゃ腹ごしらえもしたし、ベッドはあるし、人肌恋しく寒いし
「KEEPOUT」のテープで人払いは完璧だし、そもそもこの時間は人が少ないし
そんな積極的に迫られたら俺も断りにくいし、断る理由なんて毛ほどもないし
むしろばっちこーい☆ なんですが、でも、でも、でもですよ!?
卯京さんは冷静に俺を振り返った。
「瓶山くんは綾瀬慶子さん、僕が、犯人」
…。
「…あ、あー……あーあぁ」
わかりました、とお行儀よく返事して
俺はせいぜい情感たっぷりに女子アナを演じるのだった。
- 746 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/17(土) 18:36:34 ID:jKCWSdZb
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
例の2人組みです。
あのシーンでの瓶の目の動きから、心情を補完してみました。
- 747 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 21:23:39 ID:nqoZzWhh
- >>727イタタタタタ…
ここは21歳からですよ
リア厨がやってる糞詞サイト思い出したわ
- 748 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 21:32:04 ID:KyH8PONB
- >>747
5 c m というのは今度@が発売する新曲のタイトルのことだと思う。
まあヘ(ryには変わりないかもしれないけど。関わるな。
- 749 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 23:19:41 ID:T8pZ4Bfx
- >>747
ここ何でもありなんじゃないの?
他人のに文句つける暇あるなら自分の作品でも晒してみたら
- 750 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 23:28:16 ID:Tu+pPLFE
- |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )対決(要英訳)ナイフ眼鏡前提で
- 751 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 23:28:52 ID:Tu+pPLFE
- 銃声がした
血を飛び散らせて倒れたのは、薄汚れた脱獄囚ではなく
さっきまで、悠然と立っていた、NO.2の男だった
ボンネットいっぱいに赤い血、地面に倒れた男は
死んでいる
…死んでいる
即死だ、呻き声も聞こえなかった
偶然か、狙ってなのかわからないが、心臓に当たったのだろう
あっけない幕切れ
なんだ、こんなものか
まぁ、どっちみち自分が殺すはずだったのだ
予定より早く死んだ、それだけだ
…それだけだ
彼が、笑う
踊るように飛び出す
そうだ、こんな死体眺めてる場合じゃない
こいつは、攻撃してきやがったのだ、
逃がしてもらう分際で、逃がしてやる俺達に
彼に続くように、銃を取り出して脱獄囚に向けて構える
盾にでもするように、チビの身体を抱きかかえ、わけもわからず逃げてきた女を背中に庇い
脱獄囚はこちらに銃を向けている、無表情で
少し
ほんの少しだけ
怒りが湧いた
楽しくも嬉しくも無いなら殺すな
だったら、俺が殺したかった
- 752 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 23:29:33 ID:Tu+pPLFE
- 「殺すぞ」
彼が言った
「ああ」
頷いた
「いいんか?」
「あの人は、あの男のこと大好きだから」
だから、間違っても裏切らない
俺達に賛同なんてしないよ
「そーぅだな…」
殺すしかねぇーよなぁー
どこか遠くに叫ぶように、変な調子をつけて彼が言った
「俺が」
ほぼ無意識で呟いていた
「殺すよ」
ぴゅう、と口笛を吹いて彼がキスしてきた
応えながら、どの銃で殺してやろうかと考え始めた
- 753 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 23:30:05 ID:Tu+pPLFE
- 何が起こったのか解らなかった
気がついたら首を絞められていた
死体に
死体のはずだ、間違いなく死んでた
なのに
立ち上がって、筋肉馬鹿が吹っ飛んで
俺の首に手が
身体が、浮く
持ち上げられていく
息が、吸えない
なんなんだ
銃で腹のあたりを撃つ
手は、離れない
俯いてた死体の顔が、上がる
真っ白な顔、濁った眼
死んでいる
なのに
まだそんな眼で俺を見るのか
「あ…あぁ、ぁ…!!」
力を振り絞って、腕を持ち上げ、頭を撃つ
やっと手が離れた
- 754 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/18(日) 23:30:40 ID:Tu+pPLFE
- □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ナンダコリャ
- 755 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/19(月) 19:58:12 ID:v8Qrd/LQ
- >>749
何でもありだからこそ文句も批判もありなわけで。
まあ、やるんならどこが痛いのかリア厨臭いのかまで指摘した方がいいとは思うけどさ。
- 756 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/19(月) 23:38:24 ID:woqWok0f
- >>745
吹き出したww
頑張れ瓶!
- 757 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/20(火) 00:39:17 ID:zDUeKIJS
- …dura!!!!!
手がかたかた震えてます。GJ!
- 758 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/24(土) 05:39:58 ID:js0cGznV
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- 759 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/24(土) 05:40:59 ID:js0cGznV
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- 760 名前:名無しさん@ローカルルール変更議論中:2005/12/24(土) 21:35:15 ID:zh66N5BE
- >>758-759
なにこのカワイイノ(*´∀`)モエ
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