風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:37:02.58 ID:AYaVRGKy0<>    ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板65
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1308206162/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/ <>モララーのビデオ棚in801板66 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:37:52.05 ID:AYaVRGKy0<> ★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4)一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
  長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
  再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
   また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
   作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。

※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://bbs.kazeki.net/morara/

■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:38:35.94 ID:AYaVRGKy0<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:38:48.31 ID:AYaVRGKy0<> 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:39:00.54 ID:AYaVRGKy0<> テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:39:12.39 ID:AYaVRGKy0<> テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:39:22.42 ID:AYaVRGKy0<> テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:39:30.47 ID:AYaVRGKy0<>  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 16:39:44.16 ID:AYaVRGKy0<>    |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)

<> はじめての 中編<>sage<>2011/09/15(木) 22:16:02.99 ID:R9PHOstd0<> 新スレありがとうございます。

前スレの508-516からの続きです。
516では二回コピペしてしまい読みにくくて済みませんでした。

昨年のタイガー・リョマ伝のお馬鹿弟子⇒堅物師匠です。
遥か前の本スレに投下されたネタを拝借しております。ありがとうございます。
訛りは適当なので間違いが有ったらすみませんです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> はじめての 中編 1/6<>sage<>2011/09/15(木) 22:17:50.54 ID:R9PHOstd0<>
武知は顔を引き締めて伊蔵の肩を掴む手に力を入れる。
「伊蔵、これからわしがええと言うまで眼を瞑っちょき」
「眼ぇ、ですか?」
「それから、こうして両手で耳も塞いでおくがじゃ。……そんな顔をせんでもええき」
不安になってきた伊蔵の表情をどうとらえたのか、武知は苦笑する。
「おまんはわしに全て任せればええぜよ。何もせんで寝ておればええ。ただわしの言う通りにしちょき。
 そんで、おまんが想う女子の事だけをひたすらに考えるがじゃ。その女子の名ぁだけを呟いちょるがじゃ。
 眼と耳と口と……頭ん中も閉じてしまえば、どんなに辛ろうてもそれは現ではないき、夢と変わらないぜよ」
「……分かりましたき」
武知の言葉には若干の誤解が有った気もしたが、伊蔵は首肯することにした。
伊蔵にとって武知の言う事は絶対だ。
武知が間違う事など有り得ないのだから、今この場に置いては指示に従うことこそが一番の道なのだろう。
一心に見返していると、より一層悲しそうな顔をした武知はそれでも優しく笑って伊蔵の顔に手を触れた。
「さ、眼を閉じや―――そうじゃ、そのまま開けてはいけんちや。
 えいか、ただ大切な女子のことだけを考えるぜよ伊蔵。……安心しいや、すぐに家に帰れるき。
 分かったら早う耳も塞いでしばらく寝ちょり」
真っ暗で静かな世界で、伊蔵は独りになった。感じるのは己の身体と伊蔵を導く武知の手のみだ。
これから何が起きるのか、漸く伊蔵は理解した。
<> はじめての 中編 2/6<>sage<>2011/09/15(木) 22:19:12.86 ID:R9PHOstd0<>
つまり武知と伊蔵は見せモノなのだ。
大殿様と上士を楽しませるために、伊蔵は此処に呼ばれたのだ。
(別に構わんき)
それでも良かった。土佐において衆道などさほど珍しい事ではない。
伊蔵にとっては初めての事ではあるけれど、とくに抵抗は感じなかった。
むしろそれよりも、その相手が武知半平太であるという事の方が伊蔵にとっては重大だった。
武知が触れる処全てが熱い。
武知のひやりとした優しい手が心地よい。
くらくらとする頭で、しかし伊蔵は大事な事を思い出した。
武知には『大切な女子』の事だけを考えその名を呟いているように命じられたのだ。
ならば伊蔵はそれに従わねばならない。
伊蔵にとって大切な女子。誰が居ただろう。
身内の女子達はとても大切だけれど、この場合に想い浮かべるには違うように思われた。
とすれば幼馴染であり坂本涼真の姉であるお留か。
同じく幼馴染で最近めっきり美しくなった佳緒だろうか。
それとも茶屋で馴染みのお近の方がいいのだろうか。
皆それぞれに大切だけれど、やはり違うような気がした。
今、頭の中を占めているのは只一人。
今、その名を呼びたいのは只一人。
それは伊蔵にとってとても大切ではあったけれど武知の言う『大切な女子』には当てはまらない人物で、
その人を想う事もその名を口にすることも今は武知の命に逆らうことだった。
「―――?」
必死に考えを巡らせていた伊蔵は、ふと違和感を覚えた。
先ほどまで伊蔵を労っていたのは武知の優しい指で有ったはずだが、何か違うものへと代わっている。
それは丁寧に丹念に伊蔵を導こうとする、柔らかく濡れている何かだった。
<> はじめての 中編 3/6<>sage<>2011/09/15(木) 22:28:02.23 ID:R9PHOstd0<>
これは。
……まさか。
「な、何をしゆうがですか先生ッ」
何が起きているのかに考え至り、伊蔵の声が思わず声が上ずる。
反射的に身を捩ろうとしたが、武知に只寝ているようにと言われた事を思い出し身体を留める。
伊蔵から動く事は出来なかった。だから武知から離れてくれるよう祈ったけれど、そんな気配は全く無かった。
「せんせ……だ、駄目ですき先生、そがな、」
そんな事をしては先生が穢れてしまう―――という言葉を伊蔵は呑み込んだ。
……武知の指が伊蔵の唇にそっと触れている。
口を閉じろと言うことか。そう、伊蔵が今口にして良いのは『大切な女子の名』だけなのだ。
けれどそんなことを今考えられるわけがなかった。
武知の命だから従わねばならないのに、伊蔵の思考はあらぬ方へずれてゆく。
段々と呼吸が荒くなる中で、伊蔵が考える事が出来たのはたった一つだけだった。
(せめて、してはならん)
それだけは。師を汚すような事だけは。
―――絶対に堪えようと固く心に決したのも束の間、しかし伊蔵はあっけなく高いところへ連れて行かれた。
ただ白く何もない世界に佇む伊蔵に、すぐに羞恥と後悔が押し寄せた。
<> はじめての 中編 4/6<>sage<>2011/09/15(木) 22:32:33.59 ID:R9PHOstd0<>
(わしは先生になんちゅう事をしゆう)
伊蔵は己の情けなさに潰されそうになった。
腹を斬って師に詫びたいと心底願ったけれど、その武知が赦さない限り動く事は出来ない。
あんな事をしてしまったのだからすぐにその機会は訪れるに違いないと思ったのに、武知は伊蔵のそばを離れなかった。
その上あろうことか再び武知が伊蔵の身体に触れている。また手での労りに戻ったようだった。
やわやわとした優しさに身体があっさりと力を取り戻し、伊蔵は焦りを覚えた。
まさかまた同じ轍を踏まねばならないのだろうか。
「……せっ」
先生と言いかけて、今度はすぐに口を閉じねばならない事を思い出した。
だから必死に口を噤んだけれど、一旦落ち着いたはずの呼吸が簡単に荒くなり漏れ出てしまう。
必死に吐息を堪えているうち、やがて武知のひんやりとしたしなやかな手が身体から離れていることに気が付いた。
次に起こるであろう事を思い浮かべ、伊蔵は血の引く思いになる。
今度は同じことになるのは嫌だった。
師を守りたいとこれだけ思っているのに、その師の顔を文字通りの意味で汚すのはもう嫌だった。
今度こそ、師の導きに抗えるだろうか。先ほどはとても簡単に連れて行かれたと言うのに。
しかし、次に伊蔵が感じたのは先ほどの濡れた柔らかさではなくて『重み』だった。
重み。人の身体の重み。―――武知の、重み。
それはとても優しく温かく伊蔵を包み込んでくれた。
何か堪え切れない感情が突き上げてくる。
……何時だって、遥かな存在だった。
どれだけ渇望してもどれだけ己の修練に励んでも、その存在に近づくことは出来なかった。
なのにその武知半平太が、こんなにも。
(近い―――)
一粒、涙が溢れたことに気が付くのに少し時が掛かった。
それを自覚した刹那、またも真白な世界に導かれる。
かつてないほど美しく、身が震えそうになるほど甘美な場所だった。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 22:34:28.07 ID:bwos7gHN0<> 支援 <> はじめての 中編 5/6<>sage<>2011/09/15(木) 22:35:55.89 ID:R9PHOstd0<>
ぼんやりしていた伊蔵をよそに武知の始末は素早かった。
己のみならず伊蔵の分まで身なりを整え、大殿様と上士に慇懃な、しかし有無を云わせぬ挨拶をして速やかに下城した。
(流石は武知先生ぜよ)
前を歩く武知の背を見つめながら、伊蔵はまだ陶酔に浸っていた。
自分の身に起きたことが今だに信じられなかった。
勿論上士たちに強制されての屈辱的な状況ではあった。しかし武知と本当に契ることが出来るなどと、誰が思えただろうか。
心の奥底の密やかな望みをこんな形で叶えることになるとは。
あの一時を思い出し今更になって赤らんできた顔を伊蔵は押さえた。
武知は優しかった。信じられない心地よさだった。喝采を叫びたくなるほど幸せだった。
伊蔵が味わった悦びのほんの一部でも、武知も感じてくれたのだろうか。
―――否。
それまで夢見心地だったのにあることに思い至り、顔から血の気が引いた。
女と情を交わす時には大切に慈しみを与えなければいけないのではなかったか。
丁寧に労って、優しく慰めて、それでようやく受け入れる事が出来るようになるのだと、
そうでなければとても辛い思いを味あわせることになるのだと、誰ぞに聞いた事は無かったか。
であるならば、元々そう出来ていない男が相手を受け入れる為にはより丹念に身体を整える事が必要なはずではないのか。
腕が総毛立つのを感じた。
<> はじめての 中編 6/6<>sage<>2011/09/15(木) 22:37:39.77 ID:R9PHOstd0<>
何もなかった。
伊蔵は武知に対してなにもしていない。ただ馬鹿みたいに横たわっていただけだ。
そして武知が己の身体を整えている気配も時間も無かった。
つまり武知が少しでも苦痛を和らげることが出来るような要因は、何も無かったのだ。
それでも武知は伊蔵を受け入れた。時間を取ってせめて己で整えれば少しは楽になろうものを、武知はそれをしなかった。
理由など簡単だ。
―――岡田以蔵を、一刻も早く城から帰す為。
ならば目を瞑らせたのは苦痛が浮かぶ顔を見せぬ為か。耳を塞がせたのは漏れ出るかもしれない苦鳴を聞かせぬ為か。
(先生はいつもそうじゃ)
幼いころから武知はそうなのだ。
好物の饅頭だって、自分の分を平らげた伊蔵が物欲しそうにしていれば半分くれたし、
動きの鈍い涼真が転んで饅頭を落としたのを見ては残りの半分を与えていた。
皆の事ばかり考えて。己の事は後回しにして。それが武知半平太という人物なのだ。
伊蔵は切なくなった。
ここは武知に礼を言うべきなのだろうか。それとも。
(今度は痛とうしませんき)
そう伝えるべきなのだろうか。今度を求めるのは望みすぎだろうか。
伊蔵が伝える言葉に悩んでいると、武知がぴたりと足を止めた。
「すまんかったのう、伊蔵」
振り向かぬままにそう呟いた武知の声には、深い自責の念が滲んでいた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 22:40:00.39 ID:bwos7gHN0<> もう1回支援いるかな? <> はじめての 中編<>sage<>2011/09/15(木) 22:41:43.18 ID:R9PHOstd0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
次回で終わります。来週に来ます。

>>15
投下に苦労していたので助かりました。支援ありがとうございます!

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/15(木) 23:41:26.29 ID:nEWEa4p60<> >>11
>眼
「目」を使いなさい。

>瞑っちょき
平仮名に直しなさい。

>頭ん中も閉じてしまえば
日本語でおk

>現ではないき
何て読むのー?

>若干の誤解が有った気もしたが、伊蔵は首肯することにした。
分かりづらいから他の文を考えて。首肯は一般的な熟語じゃないと理解して。

>伊蔵にとって武知の言う事は絶対だ。
「絶対だ。」と言われましても、意味が分かりません。読者を置いてけぼりにしないで。

>一番の道なのだろう。
他の言葉に置き換えて。

>一心
漢字間違いカコワルイ。

>より一層悲しそうな顔をした武知はそれでも優しく笑って伊蔵の顔に手を触れた。
日本語でおk。読点入れなさい。

>漸く
平仮名に直しなさい。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 01:43:59.01 ID:zmLo12Xx0<> タイガー・リョマ伝って、「龍馬伝」っていう大河ドラマのことか
相変わらず隠語きんもー☆

来週に来ます…って、来なくていいよ(w
サイト作ればいいのに^^; <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 06:47:36.64 ID:QQ8bzH8MO<> >>20
よめないことばは、じしょをつかってしらべよう!
なんでも、たにんのせいにするのは、かっこうわるいぞ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 09:11:53.77 ID:gmJ/cQUXO<> >>20
ググレカスさん呼べよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 10:29:05.18 ID:nsjSoQbw0<> 本人としてはドヤ顔の指摘なんだろうかねえw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 14:11:31.38 ID:ThUIbGcp0<> >20はレス乞食だろうから、レスをつけるだけ.20を喜ばせるだけ。
反応しない方が吉。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 17:34:40.40 ID:cjg16DtA0<> こういう輩って「私はバカですう〜!!ぐひぇひぇ」って裸踊りしてまで注目されたいもんなのかな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 22:02:08.20 ID:Td3X1blc0<> >26
あくまで「バカ」なのは(本人としては)演技なので、本人のプライドが傷つく事は無いと思われ。
スルーが吉。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/16(金) 23:45:44.65 ID:zpuwKPZX0<> >>10
萌えました。次回楽しみにしています。 <> 無題 ◆UlLhXjeCmE <>sage<>2011/09/17(土) 01:04:56.83 ID:kwKHkMCCO<> ついカッとなって
喜タタヨツオよりヘータ→←喜タタさんです
エロはなし

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「だいぶ薄くなってきたなー」
慎重な手つきでコリアンダーを秤にかける喜タタ善男にヘータが声を
かける。
「ええ、うっすらと跡にはなってしまいましたが……」と喜タタ
善男は手をぐーぱーとする。
「ちげーよ、喜タタさん。こっち!」
ヘータはヒッヒッと笑いながら喜タタ善男の頭をぽんぽんと叩く。
喜タタ善男は一瞬びっくりしたような表情になるが、
「ヘータさん、ひどいなー」とすぐにいつもの困ったような笑みになった。

ヘータは、すり鉢での作業にうつった喜タタ善男をなんとはなしに
見ていた。
以前の喜タタ善男は会話中に虚のなるというか、ふとスイッチが
変わったようになるときがあった。しかし、あの11日(南の
いう「ネガティブと向き合って」)以降、喜タタ善男は変わった。
初めて出会ったときの愚鈍で善良で他人の言葉を信じきって穏やかに
微笑むだけの男ではない。
上手く言葉にできないが喜タタさんは変わったとヘータは感じていた。
<> 無題
◆UlLhXjeCmE <>sage<>2011/09/17(土) 01:07:07.66 ID:kwKHkMCCO<> 「ヘータさん……」
喜タタ善男は作業の手を止めふーと息を吐きヘータの方を見た。
ヘータは退屈だったのか椅子に座ったまま寝てしまっていた。
「風邪引きますよ、」
ふふっと笑い、ブランケットをかけてやる。

「……君は若いね」
喜タタ善男は黒くつやつやとしたヘータの髪を見る。
すーすーと寝息をたてる顔はあどけなく見えるほどだ。

「いつまでヘータさんにカレー作ってあげられるのかな」

「何。そんなにハゲ、気にしてんの?」
 ヘータはむくりと起き上がった。
「うわあ!びっくりしたなあ
ヘータさん起きてたの?」
「寝てたよ、喜タタさんのひとりごと大きいから起きた」
びっくりしたなあ、もうと繰り返し胸を押さえる仕草にヘータは思
わず微笑んでしまう。
「うちの親父も薄かったし、年相応じゃねーの」
「親父……
……いえ、そうでなく……
ヘータさんにいつまでカレーを作ってあげられるのかなって
明日でないにしても、いつかきっと……
そしたらヘータさんは……」
 一言ひとことを辛そうに考えながらそこまでいうと言い澱ん
でしまった。
<> 無題3/3
◆UlLhXjeCmE <>sage<>2011/09/17(土) 01:08:54.39 ID:kwKHkMCCO<> 「ヘータさんは……」
「ハッ、バッカじゃねーの
オレだってそれまでにはカレーの作り方くらいおぼえるよ」

「だからさ、ずっとカレー作ってくれよ……
オレが喜タタさんに作ってやれるまでさ」

ネガティブが出てこなくなったのはこの人のおかげかもしれ
ない。そう考えると固くなった心の芯が解れていく感じがした。

「ヘータさん……
……じゃあ玉ねぎをみじん切りにしてください」
「玉ねぎをみじん切りだな。わかった
……ところでみじん切りってなんだ?」

 おれの明日はあと何回あるのかわからないけれど、出来るだ
け美味しいカレーを彼に食べさせてあげたい。そんなふうに思
えただけで明日に繋がる今日を生きられる。

 

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


分割入れるのわすれた
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 01:47:04.66 ID:rPzMpO40O<> >>29
>「だいぶ薄くなってきたなー」
コリアンダーが薄くなるってどういうこと?

>「ええ、うっすらと跡にはなってしまいましたが……」
イミフ

>ヒッヒッ
気持ち悪い

>一瞬びっくりしたような表情になるが
随分と幼稚な表現ですこと

>困ったような笑みになった。
自分で変な文章だって思わない?

>なんとはなしに
どういう意味?

>虚のなるというか、ふとスイッチが変わったようになるときがあった。
日本語でおk

>(南のいう「ネガティブと向き合って」)
削って。

>愚鈍で善良で他人の言葉を信じきって穏やかに微笑むだけの男ではない。
「愚鈍」に違和感を覚える。

>上手く言葉にできないが喜タタさんは変わったとヘータは感じていた。
矛盾すぎ。言語化できてるじゃん。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 02:31:58.91 ID:OWlyMdim0<> >>32
ホラよレス乞食

>コリアンダーが薄くなるってどういうこと?
アホですね。

>イミフ
バカですね。

>気持ち悪い
お前がな

>随分と幼稚な表現ですこと
はいはいママのおっぱいちゅってねまちょーね

>自分で変な文章だって思わない?
自分で池沼だって思わないんだね。自覚ないのが証拠だわ。

>どういう意味?
ググレカス

>日本語でおk
日本語がわからないんなら母国へ帰れば?

>削って。
だが断る

>「愚鈍」に違和感を覚える。
人それぞれの表現法に違和感もクソも無い

>矛盾すぎ。言語化できてるじゃん。
「どのように」の機微を理解しろ、出来ないなら来るな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 09:34:01.55 ID:7ze4eOMMO<> >>29
キタさんありがとうございますー!
またここで読めるとは思わなかったです。
ホンワカヘイキタに萌えました。機会がありましたら、またお願いします。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 11:10:22.89 ID:C9KvUES40<> >>29
萌えました
GJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 11:46:43.63 ID:Meta1cm40<> >>29
番組みたいな切なさを感じましたGJ!
ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 17:01:17.87 ID:Hq5a7qrkQ<> このスレなんか寒い… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 20:55:03.02 ID:96FpZZ6z0<> >>37
あたためてやる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/17(土) 21:56:49.60 ID:xQd/K41aO<> 惚れてまうやろ <> How did boys refuse the sun? T 1/6<>sage<>2011/09/18(日) 00:26:43.21 ID:h6v2eFMS0<>
現代版シャ一口ック@ビビシ
シャ一口ック、森ア一〒ィ一、力一ノレが同じ学校にいたら、のもしも話。
時代・英国学校制度考証なし、森→力一ノレ→シャな矢印の向き、完結済み。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

* * *
「おおぅ…!学生水泳チャンピオン……力一ノレ…力一ノレ・パワ一ヌ゙…!」
その間隙に揺らめく薄いアイスブルーの瞳を、ジョソ・ワ卜ソンの知りえない制約は、もどかしさと共に羨望で待ちながら、ただ見つめるほかない。
「僕の出発点……!」

その日、力一ノレ・パワ一ヌ゙は少し落ち込んでいた。水泳部コーチ:ラングトンの言う『気晴らし』の意味が、その場にいた生徒たち全員にはわかったのに、自分には最後までわからなかったからだ。
いや、それも多少の異がある。タイムを上げるためには息抜きも必要だ、ラングトンの実体験から発せられているそうだが、学生時代にガールフレンドの妊娠を受け、クラブを辞めさせられた経緯までは、彼が部員たちに話すことはないだろう。 <> How did boys refuse the sun? T 2/6<>sage<>2011/09/18(日) 00:29:03.94 ID:h6v2eFMS0<>
力一ノレには、水中でのキック回数の効率性やブレスの簡略化に、女の子とのデートがなぜ役に立つのか、どうしても理解できなかった。
「女の子たちは単純におれらより肺が小さい。でも肺の小さいのがつきあってうつる、って意味じゃなくて…。」
「おまえ何言ってんの?肺とか呼吸器とかじゃねえだろ、もっと下だよ!」
「ためとくなってことだろが。」下卑た哄笑。
水泳選手としては恵まれた体躯だと、自負せずとも太鼓腹の父が車のディーラー仲間とのポーカーの席で自慢するたび、気恥ずかしさとしかし誇らしさもないまぜに自覚してはいた。
だが彼は、同じように自覚していた、他の者たちが知りながら、いまだ知らずにいることがあるのを。
それが恋心だと、別の成熟したことばを持たないほどにも、力一ノレは幼かった。

誰も自分を『ジェームズ』とは呼ばないことに、もうジム・毛リ了一〒ィ一は慣れてしまっている。卑屈?違う、面倒はいやだが、彼に疎まれることになるなら、級友たちが『モリー(おばさん)』と囃し立てるのも気にならない。
「よぉモリー、おまえの愛しの力一ノレ・パワ一ヌ゙がランニングを始めたぜ。」
よせよ、そんなんじゃない、否定しながら上身が捩れ、目尻をさげる道化笑いをしてしまうのを本人にも止められないせいで、ジムはあえて嘲弄の位に甘んじ、クラスでの存在を許されている。 <> How did boys refuse the sun? T 3/6<>sage<>2011/09/18(日) 00:30:35.58 ID:h6v2eFMS0<>
「力一ノレ、遅くなったけどこれ。」ジムは優しい力一ノレだけが、自分を拒絶しないこの至福を手放す気はない。
不思議そうな表情の少年の逞しい二の腕から、剃り残した産毛が散る顎のラインが、力一ノレは特に美しい。
「今季限定モデルだよ。マークス&スペンサーでも売り切れてたって、君話してたろう?ぼくの叔父に言って取り寄せてもらったよ。あ、叔父は仲買人なんだ。」
これは嘘だ。カムデンマーケットを方々歩きまわった末、ある闇業者の限定仕入れに午前3時から並び、5時間後ようやく手に入れることができた。
あからさまに厭わしい顔を向ける他の部員たち。その後ろでヘルメスのように鎮座する力一ノレ。これはあなたへの献上品です。
「人間だれにでも取り得はあるもんだ。」「金だけってのもどうかと思うぜ。」「やめろ、しゃべりたくもねえ。」「てめえのキモさを知らねえ罪ってのがあるなら懲役だ。」
「おれにくれるの?」箱からシューズを取り出しながら、クリスマスでもないのに?と間の抜けたことを呟く力一ノレの純真な笑顔さえ見られれば、ジムにはそれで満足だ。
「だって、ぼくらともだちだろう?」さあ、早く、この馬鹿どもの前で言うんだ、力一ノレ!
「ありがとう、ジム。大事にするよ。」
ああ…天使がいる。なおも揶揄を放つ部員たちを嗜めすらしてくれる力一ノレのためなら、全世界を敵にしたって構わない。
<> How did boys refuse the sun? T 4/6<>sage<>2011/09/18(日) 00:34:03.10 ID:h6v2eFMS0<>
『なあ力一ノレ、あれおかしいだろ?』『は?ジム?』『は、じゃねえって。つまり…』『おまえのことが好き好き大好き!なんだっての。』『え?おれもおまえのこと好きだぞ、ルーク。昼にポークチョップくれるし。』『誰かこの空気頭に教えてやれよ、そうじゃねえってのを!』
股間が熱かった、痛いほど。今夜も寝入るのは深更になるだろう。その浅い眠りの中で、ぼくが存分に力一ノレを愛する甘い夢が見られますように。

細いうなじにかかるあの黒い巻毛を、なんどかこうして見送っているな。「どうした力一ノレ?」呼ばれて彼は戻ろうとするが、後ろ髪をひかれている。角を曲がれば確か中等部の図書室へ続く中廊下が続く。まず間違いなく、あの子はそこへゆくのだろう。
プールから近いんだから練習帰りにも会ってなくてはおかしいな、胡乱な力一ノレは、図書室に外部へでられる通路がもうひとつあることを知らない。中等部時代にほぼ活用したことがなかったせいなのだが。
あくる日、巻毛とまた擦れ違う。いつも何か本を読みながら、なのに決して他人とぶつかることもない。通り過ぎざま、力一ノレはそっと目尻でその表情を捉えようとする。
当然相手が気づくこともなかったし、正面を歩いていた力一ノレを彼はすんでで避けた。
ついていきたい衝動を堪え、力一ノレはプールの金網をくぐる。しかし校舎の角を曲がりきるまで、ロッカールームへ入るのは待った。
七分袖の紺色のシャツはよく糊がきいている。サスペンダーに吊られたブリーチズの腰はサイズ超えか尚余裕がある。アーガイル柄のソックスに編上げ靴。
一見古風な身なりで制服らしくも見えるがここの学校は私服だ。ある意味目立つだろうに、視線をとめるのは自分だけらしく、不思議と周囲に溶け込んでいる。
<> How did boys refuse the sun? T 5/6<>sage<>2011/09/18(日) 00:38:53.38 ID:h6v2eFMS0<>
肌をあらわにしている手足がとても細くいたいたしいほどだが、自分もああだったろうか、と13、4歳と思しい少年の頃を思い出してみる。が、長年水泳をやってきたせいで、彼との共通点などあるわけもなかった。
そうした夢想の間に、今まで起こらなかったことが起きた。
あの少年が角を曲がって戻ってきたのだ。
「ルーク、悪いけど急用思い出した。今日は練習休む。」
返事を待たず、力一ノレは再び金網をこえる。少年は幸い、今回は本を広げていない。背負った鞄の金具が外れているせいで、かちんかちん、と歩みが音を奏でる。軽快な鈴のようだ。
「何か用?」にわかに振り向き、少年が剣呑に言い放った。当然自分に向かっている。
「何か用?」もう一度、難詰調に変わりはなく、力一ノレはまだ返答につまる。
「や、その、と、図書室、は今日は休みかな、って。」言ってから、店でもないのに何を馬鹿な、と我ながら呆れた。
今日は?との小声に混じる追想で、まだ丸みを残す少年の小鼻がわずかばかり膨らんだように見えた。「考査が明日からだもの、大盛況だよ。」
だが続く言葉に棘は消えた。むしろ吐き出さずにはいられない苛立ちが力一ノレに向かっていない証左にも思える。この見知らぬ上級生とはどうやら初対面ではないらしい。
「なら、きみの席がもうなかったんだな。」「うるさいんだ。」「うるさい?」 <> How did boys refuse the sun? T 6/6<>sage<>2011/09/18(日) 00:43:13.67 ID:h6v2eFMS0<>
例え利用経験が乏しい力一ノレにも、そこが私語厳禁なことぐらいわかる。
「みんな勉強してるよな?そりゃあ静かなんじゃないか?」
わかってないな、と言いたげに少年は「理解に遠いだけでなく理解する必要のない問題との格闘で犇いているあそこが今どれだけ騒々しいか、行って見てくるといい。」
邪魔でしょうがないんだよ、気が散る。そう続ける少年の視線が当の建物を向き、正当な異議だと言わんばかりに、聴衆を得て尚淀みない。
ところが力一ノレの耳にはその半分は届けられず、相手がどうやら怒っているらしいうるさい静けさというものを想像しようとして、それこそ思考をパンクさせかけていた。
「…ねえ、平気?」傍らの目下で小顔が見上げている。まともに対峙したのはこれが初めてだ。「それはそうとぼくに何か用なのか、力一ノレ・パワ一ヌ゙?」
「えっ!なんでおれの名前知って…」
「プールの前を通ってすぐ誰かが『力一ノレさぼりか?』と言うのが聞こえた。友達は選んだほうがいい。直後に君が背後にいる。プールから出てきたということは水泳部員、
水泳部員で力一ノレといえば、去年学生チャンピオンになって学校表彰も受けている力一ノレ・パワ一ヌ゙以外にいなかったはず。どこか違った?」
力一ノレは返事ができなかった。「もう四度目だけど、君、ぼくに何か用事でもあるの?」
「あー、その、おれと…つまりその…」「君と?」「ともだちになってほしい!」
「……は?」

  
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/18(日) 02:58:04.32 ID:wM6u0CHlO<> >>40
>力一ノレ…力一ノレ・パワ一ヌ゙…!
気持ち悪い

>その間隙に揺らめく
日本語でおk

>薄いアイスブルーの瞳
長い。もっと省略して。

>ジョソ・ワ卜ソン
気持ち悪い

>知りえない制約
違和感を覚える

>もどかしさと共に羨望で待ちながら、
変な言い回し…。

>「僕の出発点……!」
厨2くさい

>その場にいた生徒たち全員にはわかったのに、自分には最後までわからなかったからだ。
長い。もっと省略して。

>タイムを上げるためには息抜きも必要だ、ラングトンの実体験から発せられているそうだが、
>学生時代にガールフレンドの妊娠を受け、クラブを辞めさせられた経緯までは、彼が部員たちに話すことはないだろう。
読点入れすぎ。読みづらいったらありゃしない。
一文が長ったらしくて読む気が失せるわ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/18(日) 13:32:57.38 ID:TuRGoffW0<> 最近荒らしてる人はこないだ自演がバレた人かねえw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/18(日) 13:35:03.85 ID:Tdo62Lkx0<> >>46
絡みスレ行け <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/18(日) 15:10:40.68 ID:j49yBW/O0<> 多分この前自演がバレてフルボッコされた人だろうねww
頭の中身が全てにおいてダメなんだね…
>>48とか、まっとうな教育受けてないレベルだもんww
インテリジェンスが低いとしかww <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/18(日) 15:22:54.16 ID:TpcYO6E/0<> >46はただのレス乞食だから反応するだけ奴を喜ばせるだけ。
スルー汁。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/19(月) 00:22:51.02 ID:xGRKrpfqO<> >>40ー45

GJ!森→カル描写もカル→シャロ描写も萌えました
元ネタがいまいち分かってないけど
この先の三人がどうなっていくのか凄く気になりました
もっかいいっとく。GJ!! <> How did boys refuse the sun? U 1/6<>sage<>2011/09/19(月) 02:00:30.18 ID:mTcEqDAY0<>
>>40参照ください。 ※Wで終わりです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

納戸の中で、力一ノレは埃をかぶった本をみつける。まだ幼い頃、生きていた祖母がよく読んでくれた絵本。子供向けとはいえ装丁が凝っていて、平易な言葉になおされてはいたが、アーサー王の冒険譚がいきいきと描かれていた。
その挿絵がかのバーン=ジョーンズで、力一ノレはいまだ芸術には疎いが、これだけは何度も何度も繰り返し見ていたせいか、すっかり脳裏にやきついていた。
「……やっぱり。そっくりだ、あの子に。」シャ一口ック・ホームズに。
もう名前は忘れてしまったが、姫の絵姿に、少年の面影が重なる。だからずっと、どこかで会っていたような懐かしさを感じていたのだろう。
少し、頬が熱くなる。納戸はまだ蒸し暑かったが、そこから出れば火照りはすぐに夜気が冷やしてくれる。それでも力一ノレはわずかばかり動悸を意識した。
「力一ノレ、何をしているの?」母が仕事から帰ってきて、ガレージに車をいれていた。
「探し物。あったよ。」良かったわね、と買い物袋をさぐりながら、ミセス・パワ一ヌ゙は目当てのものを掴み、息子へ手渡した。
「手を見せて。」湿疹で皮膚が剥けかけた指に、母は目を曇らせる。「今度の薬がきちんと効いてくれるといいんだけれど。」
どうもプールの消毒薬が力一ノレの体質に合わないらしく、皮膚がところどころ赤く腫れている。
「まぁ、何よこの子ったら、にやにやしちゃって。ひとりで何を楽しんでいたの?」
「新しいともだちができたんだ。」そう言うと、力一ノレは知らず得意げな顔を浮かべる。
「今度うちへ連れていらっしゃい。あら、女の子じゃ気まずいかしら。」
その心配はいらないが、シャ一口ックが自分の部屋で寛ぐ様子はまだちょっと想像できない。そう思った直後にも力一ノレは、部屋の掃除をしなくては、との心地よい焦燥に急き立てられるのだった。
* <> How did boys refuse the sun? U 2/6<>sage<>2011/09/19(月) 02:02:48.84 ID:mTcEqDAY0<>
本を読みながら、やあ、と呟いたあと黙っているシャ一口ックに、あ、エスコートはおれか、と力一ノレは少しばかり動転する。「今日もサボるの?」
「いや、考査期間はおれらも休み。」じゃあそこが空いてるな、シャ一口ックが先を行く。
「プールの授業は好き?」「そんなものにぼくがでるとでも?」
プールサイドのタイル床に座っていいものかしばらく逡巡し、結局少年の視線は力一ノレへ戻る。「服が汚れるのは愉快じゃない。」「いまロッカーから椅子もってくるよ!」
急いで力一ノレはひとけのない室から、見るからに座り心地の悪そうなスチールパイプの椅子を運んだ。息せき切ってシャ一口ックの前へ広げてみる。表面の半分を覆う錆、得体の知れない黒ずみ。
「…立ってたほうがいいや。」「あ、や、待って!それじゃ、ほら!」
おもむろに力一ノレは着ていたジャージを脱ぎ、パイプ椅子の上を覆ってやる。
「ほら、これでいいだろう?あ、おれの服は洗濯したてだから気にしないで!」
躊躇なく行われた一連の流れに、年下の少年は少し驚いていた。そして良く発達した見事な胸筋をあらわにしている相手へ眉をひそめる。決して羨みなぞしないが、軽薄な異性たちには尊ばれ喜ばれるもの。
幾度も水にさらされ、なめらかになっている表面の肌は同じ人種と思えない褐色で、否応も今の季節を思い出させる、嫌いな夏を。
「…ブランメルのつもり?」「あ?…ブランなに?スパイスガールズのメンバーにそんなのがいたっけ?」「いい。忘れて。」
それにしてもこうした力一ノレから妙な圧迫を覚えるのはなぜだろう?この生命力溢れる逞しさに対し、枯れ枝のようにかぼそい自分を、同じ男性性で括っていいものか。
<> How did boys refuse the sun? U 3/6<>sage<>2011/09/19(月) 02:05:02.23 ID:mTcEqDAY0<>
「仮にぼくがここに座ったとして、君はそのあとどうする?」「そのあと?そのあとって?」「着て帰るのか?」「ああ!もちろんそうするさ、街中とプールを同じにするわけにもいかない。」
「……しかたない、ギルの部屋にでも行くか。」「は?」「いいから早くそれ着て。」
脇目もふらず、シャ一口ックは歩いていく。訳がわからず、力一ノレは椅子を尻目についていこうとした。が、椅子の上のジャージを取りに一旦戻らなくてはならなかった。

「ギルはいなかった。なんにしろ計画性がなってない。ぼくは明日までにこの本を読んでしまわなくてはならない。あと20ページ。15分も要らないが、君はどうする?」
ギルって誰だ。いわゆるともだちとダベる時にいる計画ってなんだ。そしておれといっしょにいるのに本って。「きみがそれ読んでる間、おれここで待ってていいかな?」
別に構わないさ、校舎裏は整備された丘陵になっていて、なるほど、草の上のほうが確かに衛生的でないあの椅子よりも快適そうだ。シャ一口ックは声にだして許可こそしなかったが、疎んじる風もなく、ただ黙って背負い鞄を脇へと下ろす。
そして座り込んだ途端靴紐を緩め編上げ靴を脱ぐと、あのアーガイル柄のソックスも脱ぎ、草の上に整然と並べるのだ。
「どうしたんだ?石でも入ってたか?」「読書中はこうする。読んでると脳が動き回るから血流も活性化して、末端が熱くなっちゃうんだ。」
<> How did boys refuse the sun? U 4/6<>sage<>2011/09/19(月) 02:13:11.00 ID:mTcEqDAY0<>
「ああ…わかる。おれもレース終わったあとはよくそうなるから。」
「単純運動といっしょにしないでほしい。」だんだん、こうしたシャ一口ックの物言いに、力一ノレも慣れてきたようだ。というより、時々彼が使う難しい言い回しがさほど気にならず、なぜか意味がわかっているような気さえする。
本当はわかっていないのに。
なにより、シャ一口ックに拒まれているわけではないこと、つきあいたいという要求を忌憚なく受け入れてもらえたことを、力一ノレはとても意外に思い、そして嬉しくもあった。
「…うるさくして悪いけど、その、手とか足、熱くなったかい?」まだ5分も経っていないが、力一ノレは微動もせず読書に没頭しているシャ一口ックを隣にして、黙ってはおれなかった。
「確かめてみれば?」「え?…どうやるんだ?」「触覚以外でこの場合できるなら教えてほしいよ。」同時に、彼はページを繰る。当然顔がこちらを向くこともない。
「…さわってみて、いいのかな?」返事はなかった。力一ノレはそっと、背表紙を支える左手へ、自身の指先を伸ばしてみる。しかし思いたって、その手を折り曲げられた膝へ転換した。剥き出しのふくらはぎには肉は薄く、骨の上をすぐ皮膚が覆っているようだ。
くるぶしに浮かぶ静脈の色を際立たせる日焼けと無縁の白肌が、熱に縁があるようにはとても見えない。そこも他の部位同様、色を失っているのだから。
力一ノレは震えそうになる指先をさらにゆっくり伸ばし、甲ではなく、小指の先へ一瞬触れてみる。しかしそれが呼び水となり、次には掌をシャ一口ックの骨ばる甲へ押し付けてしまう。
<> How did boys refuse the sun? U 5/6<>sage<>2011/09/19(月) 02:15:13.43 ID:mTcEqDAY0<>
「あ、ごめん!」「なぜ?そうしろと言った。いいさ、君の手はひんやりしてきもちがいい。」
少年は身を捩り、もう片方も、と言う代わりに膝を交差させる。力一ノレは言われるまでもなく、他方の手でそちらを『冷やして』やった。
手の効果などすぐになくなるだろうに、シャ一口ックは読書が終わるまで力一ノレの奉仕を許していた。

ひとけも絶えたこんな場所で、力一ノレの隣にいるあれはいったいなんだ?
鉄の味がするまで唇をかみしめ、ジムは彼らの死角で不穏を醸成させている。

授業を採っているわけでもないギルフォード・グロウサムの小部屋は、生物教師の職務にはたして必要か疑わしい書物に埋め尽くされていた。
力一ノレは半ば圧倒され、四囲の書棚に積まれた本群へきょろきょろと視線をさまよわせている。
「すまんね、呼びつけておいて待たせるなんて。シャ一口は何をしてるやら。」
その直後、ドアは開きシャ一口ックが入室。対面する2人の座る椅子で、この狭い部屋はもう立錐の余地を失くしている。
席を譲ろうと立ち上がる力一ノレへ片手を払い、彼は遠慮なく教師の膝の上へと腰掛けた。
「おおぅ!よさないか、シャ一口。階段を昇れなくなる。」
「もっと大腿筋を鍛えりゃいいことさ、ギル。あなたちょっと太り気味だろう?」 <> How did boys refuse the sun? U 6/6<>sage<>2011/09/19(月) 02:17:23.43 ID:mTcEqDAY0<>
力一ノレは眼を白黒させた。先日『いなかった』と言ったのはグロウサム先生のことだったのか?
それ以上に、相手をまるで目上とも思っていないシャ一口ックの口のききようは、驚く以外に力一ノレへ妙な蟠りと隔たりを自覚させた。
問いたいのはやまやまだが力一ノレはそうせず、待ち人も揃ったことだし何がこれから起こるのかをまずは待とうと、沈黙を続ける。
「じゃあギル、始めようか。」「シャ一口がいると彼が困るぞ?」「ふふん、見当外れだ。審理は当事者立会いでなされるべきだもの。」
結局、そうすれば楽だからと、片腕をグロウサムの肩へ回し彼の膝の上でバランスをとるシャ一口ックは訳知り風に力一ノレを疎外する。
いや増す居心地悪さから立ち去りたいのを堪え、力一ノレは首の後ろから吹き出る汗を煩わしげに拭った。
「しかたないな。わたしは責任持たんぞ。…さてパワ一ヌ゙君、だったね。率直に訊こう。君はまだシャ一口に自分のその、コホン、自慰行為を見てほしいと思っているかね?」
なんだって?! 力一ノレはとんでもない発言の声主と、その横で飼い猫まがいに寛いでいる少年を交互に凝視した。と思っていたが、目がぐるぐると廻って世界がしばらく静止したように暗転。
とも思っただけで、実際力一ノレは椅子上で石化したにすぎなかった。
「と、とんでもな……だれがそんな…いや、おれかな…なんだっけ……あれ…ええと…」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/19(月) 08:55:49.81 ID:Bx9K/rRF0<> >>52
>生きていた
削りなさい

>子供向けとはいえ
「子供向け」だと言い切れる絵本はこの世に存在しない

>平易な言葉になおされてはいたが
削りなさい

>その挿絵がかのバーン=ジョーンズ
「挿絵画家」と読み間違える読者がいそう。バーン=ジョーンズの事を知らない人が多いのに「かの」を付けるなよ

>力一ノレはいまだ芸術には疎いが、これだけは
削りなさい

>「……やっぱり。そっくりだ、あの子に。」シャ一口ック・ホームズに。
もっと簡潔に分かりやすくしなさい

>もう名前は忘れてしまったが、姫の絵姿に、
「名前が分からない」という情報は不必要

>納戸はまだ蒸し暑かったが、そこから出れば火照りはすぐに夜気が冷やしてくれる。
変な文章

>動悸を意識した。
はい?「意識」の使い方間違ってるよ

>「探し物。あったよ。」良かったわね、と買い物袋をさぐりながら、
変な文章

>「新しいともだちができたんだ。」そう言うと、力一ノレは知らず得意げな顔を浮かべる。
もっと簡潔にしなさい

>女の子じゃ気まずいかしら。
「新しいともだち」としか言ってないのに、どうして性別を決め付けているのか分からない。

>そう思った直後にも力一ノレは、
日本語でおk <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/19(月) 12:29:47.06 ID:UGxRzrbE0<> >>40
おつかれさまでした。森の殺人動機が片恋こじらせてたとは…
そして魔性の探偵がエロすな!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/19(月) 18:42:11.40 ID:JnGw5CXL0<> 天使×天使 エロなし 台詞のみ


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「相変わらず……酷い世界だな。
 虚構と現実と、怒りと、哀しみと憎しみと、全ての悪感情がないまぜになっている」

「それでも行くのか」
「選択の余地はないだろう。それでも、俺の望みが叶うというのなら。俺は、アイツを救いたい」

「一度、始めたら、終わるまで戻れないよ」
「解っている」

「万一、途中で止めたりでもしたら、手酷い罰が待っているし、君は此処には戻れない」
「でも、俺は、俺の望みを叶えたい」

「やはり、君を待つことしかできないのか」
「そんなことないよ。
 俺がまた此処に戻ってこれるように、再び貴方に会えるように、祈っていてくれると嬉しい」

「ああ、そうする」

「ありがとう。きっとそれが、俺の唯一の希望になるよ。
 何処で生きようとも、女になろうが、男になろうが、そのいずれでもなかろうが、俺は、俺だ。
 必ず生ききって、望みを叶えて還ってくるさ。
 まあ……こうやって、希望なんぞ持って行くから、あの世界は、案外美しいのかもしれないな」

「そうだね」
「じゃ、行ってくるよ」

「必ず、待っているから」
「うん、ありがとう、また、此処で会おう」

―それは、この地上で繰り返し行われる、転生という名の物語―


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/19(月) 20:38:09.72 ID:umSN1Ulc0<> >>60
>虚構と現実と、怒りと、哀しみと憎しみと、全ての悪感情
もっと簡潔にしなさい

>アイツ
誰?説明が足りない

>一度、始めたら、終わるまで戻れないよ
>万一、途中で止めたりでもしたら、手酷い罰が待っているし、君は此処には戻れない
読点多い

>でも、俺は、俺の望みを叶えたい
読点多い
もっと簡潔に分かりやすくしなさい

>貴方
違和感ありまくり。他の二人称に変更しなさい。

>うん、ありがとう、また、此処で会おう
読点多い

>それは、この地上で繰り返し行われる、転生という名の物語
厨2くさい <> How did boys refuse the sun? V 1/6<>sage<>2011/09/19(月) 22:53:18.48 ID:mTcEqDAY0<>
>>40参照ください。 ※Wで終わりです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

思い当たらないでない。一昨日のこと。くだんの校舎裏に、シャ一口ックは倦ねもせず力一ノレを伴ってくれた。だから彼は少年に宝を持参した。
ほら、きみがいる。祖母の絵本を、力一ノレがシャ一口ックをグィネビア姫と見違えたことを、指し示して見せた。
『…円卓の騎士じゃなくて?』『いやか?』『姫って、おんなじゃないか。』おんなだけど、同じようにきれいだぞきみは、シャ一口ック。と言えれば良かったが、さすがに気恥ずかしくて力一ノレは薄笑いでごまかした。
その際、力一ノレはシャ一口ックの背後から覗き込むようにして、身体を密着させた。本ならなんでも確かめずにいないシャ一口ックはしばらくページを繰るのに没頭したため、当然力一ノレの戯言にはそれ以上つきあう気もなかった。
『…力一ノレ。』捲ろうとしていた右手をページ角へ張り付けたまま、ふとシャ一口ックが呼ぶ。『ん?』『…力一ノレ・パワ一ヌ゙。』『聞こえたぜ?』なんだよ、と脇へ座り直した彼を見ず、シャ一口ックは強張った横顔のまま続ける。
『あたっていた。』『え?』『あたっていたんだ、君が。』『なんだ?』そこでようやくシャ一口ックは首を捻って横を向いた。
言いかけるのに開いた口はまた噤み、思い直すことがあったと座っていたポジションから腰を浮かせ、半身ほど後じさる。
『ぼくらの機能がそうなることは知っている、健康なら睡眠中にも。ただ力一ノレ、君の感覚神経は著しく間違っている。認識対象物や誘引契機といったものが何もないのに。医者じゃなくても早い時期の通院を勧めるね。』
幸い、シャ一口ックは咎めようとしているわけではないらしかった。そして何より力一ノレを安心させたのは、彼が決して羞恥の偽装としての沈着ないつもの口調で嗜めているのではなく、心から力一ノレの身を案じての疑念がその声音から読み取れることだった。 <> How did boys refuse the sun? V 2/6<>sage<>2011/09/19(月) 22:55:33.86 ID:mTcEqDAY0<>
『……すまない。』『別に謝る必要はない。』『いや、謝らなくちゃ。』
アーサー王の冒険は今はふさわしくなかろうと、シャ一口ックは本を閉じて傍らにおき、力一ノレの次の告白を待ってやった。
『おれ、こうしてきみといると、しょっちゅうこうなってる。理由はちゃんとある。』
真顔のシャ一口ックはおそらくおのれの耳を疑っていたのだと思う。
『これが続くと水泳には良くないんだってさ。それを…もしきみがその、確かめてくれるんなら…おれ、嬉しいかもな。』
年少者はおもむろに立ち上がると、脱いでいた靴下と靴を小脇に抱え、裸足のまま丘を下りていった、力一ノレをその場へおきざりに。

「別にぼくは見るのは構わない。ただその場合、のちのち発覚していわゆる少年法やらああいった不愉快な事態にならないか、という危惧も排除しきれない。そこでギルに審問官になってもらったというわけ。」
「パワ一ヌ゙君、そんなに恐縮することはない。シャ一口も言うように、君を責めているのではないのだから。」
責められ、このひとでなし、そう直裁に詰られたほうがむしろ良かった気がする。
自分の迂闊さは知っていたがここまでとは、力一ノレは床に落としたままの視線を上げることができない。
「…思うに力一ノレは今が一番ホルモン分泌の活発な時期にあって、活性は思考力にも影響を及ぼしているんだろうし、いずれ成長がどうコントロールしていくのか、その経過を知るうえで面白い体験と思う、見ることはね。
 別にぼくは性的兆候を軽蔑しない。それは衝動を悪用し金儲けに繋げずにいない商業主義に向けられるべきさ。」 <> How did boys refuse the sun? V 3/6<>sage<>2011/09/19(月) 22:57:21.86 ID:mTcEqDAY0<>
「…シャ一口、外にでていなさい。」「さっきも言ったろ?ギル、ぼくは…」
「いいから外へ行くんだ、いい子だから。そうすれば欲しがっていたバレンボイム指揮するバイオリンコンチェルトの盤を進呈してもいい。」
グロウサムの声は静かだが、有無を言わさぬ響きがある。
しかしシャ一口ックは『いい子』呼ばわりされる子供扱いが一番業腹だ。
「…そんな扱いピョートルへの冒涜だ。…言ったはずだよ、あのレコードはいずれチェスに勝ってぼくが正式なオーナーになるんだもの。」
対等に話しているように見せかけ、やはり実質は一日の長がまさっている。
シャ一口ックはそれ以上反論せず少しばかり口を尖らせてみせたが、年長の友人に不承不承下る体で部屋から退出した。
「賢すぎるのが玉に瑕だ。パワ一ヌ゙君、落ち着いたかね?」
「力一ノレでいいです。誰のことだって思ってた。」
「では力一ノレ。あの子に顔向けできないなぞとは考えていまいな?」
「おれはそんなに馬鹿に見えますか?」
おや、運動部の、中でも優秀な生徒中に残念だが時折見られる軽薄とは、どうやらパワ一ヌ゙は異なるようだ、グロウサムはほどなくシャ一口ックの弁別能力に感心するだろう。
「気休めに言うわけではないが、断じて気にすることはないぞ、力一ノレ。シャ一口は変わった子だが、悪意はない。」
「わかってます。シャ一口ックは絶対嘘を言わない。ごまかしはないんだ。」 <> How did boys refuse the sun? V 4/6<>sage<>2011/09/19(月) 23:03:17.38 ID:mTcEqDAY0<>
ほう、グロウサムは原始の知性はおそらくこうした純正からしか発達しないのではなかったか、とパワ一ヌ゙の意外でもある考察に真理を見る思いだった。
しかしそうした知性が大成するかといえばそうでもなく、時間が鈍化と共謀する過程で死滅するのを余儀なくもされるのだが。
「彼は知っているからね、真実は常に醜いものであると。ひとはその場合摩擦を厭い、装うことを処世にする。
 シャ一口ックにそれがないのは将来を生き難くさせるが、わたしには歓迎すべき個性として見守りたいものだ。」
実質、力一ノレはグロウサムの言っていることの半分も理解できていなかった。どうやら慰めてくれているらしい、それだけはわかった。だが、なぜおれが慰められなくてはならん?
おれがおちこんでるように、このひとには見えるってことか?
「やっぱりヘンですかね、おれがあの子とともだちだってのは。」
「まさか。わたしはむしろ喜んでいる。これまでわたしが彼に課した論題はすべて、他人へ排他意識を持たず社会性と寛容を身につけさせるためのものばかりだったから。」
「…よくわかりません。」
「いわゆる一般人を知るための訓練といっていい。ここに入学した当初から彼は…世界を疎外していた。」
イギリス人は、ドーバー海峡がいつもの霧に覆われることを、『欧州大陸が孤立している』と表現するという。シャ一口ックはそういった人種的規格にまったく合致したわけだが、それはあまりに時期と環境を誤っていた。 <> How did boys refuse the sun? V 5/6<>sage<>2011/09/19(月) 23:05:45.64 ID:mTcEqDAY0<>
「今はやっと気に入った課題を与えてやれたようで、楽しそうだ。直近のはひどかった。『ポップミュージックに見る現代社会の病理性』とやらかしたら、シャ一口はこう結論づけていた、
 曰く『オアシスvsブラーみたいな仮想対立構造に狂喜するやつらも捏造側も平等かつ病的に頭がおかしい、以上。さてお次は?』」
ようやく少しだけわかる単語がでてきたから、力一ノレは思わず微笑んだ。グロウサムが安堵したように相好を崩す。
「あの子の知識欲は旺盛で貪欲だ。あの若さでそれは本当に奇跡であり、喜ばしい。だが同じように、あの子には外部接触が必要だ。君の…好意はいい橋渡しになっているね。」
「え、っと、それは、シャ一口ックがもっとおれ以外のやつらともつきあえるようにしたほうがいい、ってこと?」
それはあんまり嬉しくないんだがな、おれが、とは言わず、力一ノレは教師の言葉を待つ。
「強制ではない。シャ一口には特に好ましくない。あの天才的な頭脳は残念ながら脆く、万能ではない。悪影響なら容易には生じないが、優れているものは悪を惹き付けるものだから。」
「じゃあやっぱり、おれは円卓の騎士になればいいんだ。」
「剣よりも希少な宝を任せてもいいかね?是非そうしたまえ。」
力一ノレは言おうか迷う。シャ一口ックをともだちみたいに好きなわけではない。もう不問にしているのがグロウサムの様子には見てとれるが、いまも存在する自身の欲望を、そのままあの少年に証明したい欲求が日々大きくなって、もはや制御が難しい。
だから本心を言ったのに、教師の親切な解釈と曖昧さが力一ノレを推定無罪にしている。 <> How did boys refuse the sun? V 6/6<>sage<>2011/09/19(月) 23:08:06.00 ID:mTcEqDAY0<>
「ひとつ、いいですか?」ところで、この教師はなぜ中等部の生徒へ呼び捨てにされるのを許しているのか。教師は単に自分へ警告しているのではないのか。
つまり、最も理解を共有することの可能なポストを力一ノレによって脅かされているといった危機感が、グロウサムにまわりくどい釘の刺し方を行わせている?
馬鹿な。「おれなんかなんの盾にもなりゃしない。そんなんでそばにいられてもちっとも楽しくないし。おれは確かにまぬけなことを言ったけど、あなたの指図は受けません。」
グロウサムは眼を見張る。言ってから立ち去る生徒の後姿には、あからさまな拒絶がある。
シャ一口ックと対極にいないものたちだけが、彼の磁力に惹かれるのではない。
シャ一口ックの対極にいるように見えながら、そこへ疑念を持ち、しかし留まるしかない力一ノレのようなものたちもまた、シャ一口ックを見出してしまう。
それは歓迎すべき融合をしばしば生まないものだ。彼にはまだそれを見越せていない。あの年頃に特有の聡さが、寄り添う素振りで発した注進に含まれる矛盾を知覚したものだろうが、さてどうしたものか。
見た目どおりに、力一ノレがもっと単純な少年であったら。グロウサムは残る違和感を払拭できず、のちの悲劇も先知せずにはいないたそがれの部屋で、生まれたてのしこりを打ち消すのに努める。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/19(月) 23:31:44.82 ID:AAPA847b0<> >>62-67

.┌、       r┐ r┐ヾ> (_  /             ミ
 !. | ヾ>  || lニ コ   〈/`ヽ _               ミ
 |. !  ノ|   | レ! _| |.   ,イ,.- 、 |  ̄_ ̄丁 '' ー┬‐- -ミ
 ヽ二/   .ヽ/(___メ>   /,|.l  l ! (  ) ! (´ ) !  r‐
   ry'〉     ,、   /イ,! `ー' _L =- --┴-ニ二ト、_'ー'
  lニ', r三)   ((   |'J」-''_二 =-- ‐一 ー‐t‐-ト、 二__
    |_|       ))  レ'/´ィ 、_________  ヾミ| l
 _r┐ __      ((    V ,、 F≡三r一tァー,    | l:.:. .::
└l. レ',.-、ヽ    ))   |ノ^>、     '^ミ二´    | l:.:.:.::
 ノ r' __,! |     ((    V/イソ            .::ヽ、二_
└'!_| (_t_メ.>     ))    | / ,'    _        .:.:.:.::i|,)ノ
   r-、       ((     |.〈、 、 _〉 `丶、     ;:ィil| ノ
  ,、二.._       ))    |  笊yfミミミミヾ、     '!l|il|li!fj'
  ーァ /.    ((     ヽ |i''r ''_二二ニミ;ヽ、  ,|l||il|l|,「゚|
  ん、二フ     ))    |,l| V´ :::::::::;;/     トi|l|i|i|l|!Ll
  ,.-─-.、   ((     |i! ゞ=-‐''"     ,i||i|l|l|l|!|i{
 / /l .i^ヽヽ    `     |il!  ーォii|「、 ,,.,.ィi||l|i|l|l|i|l|シ'
. | .レ' /  l.| ヽ二ニ,ヽ  ,/i|l||livil|||l|i|l|l|lil|l|i|l|i|i|i|l|l|l|{'
. ヽ/   ノノ     <ノ   {l|!|l|i|l|i|l|i|||i|i|l|i|i|i|i|l|l|!|l|l!r'
 r┐,.─-、   / 7     ヾ!||i|i||i|i|l||l||i|i|l|l|l|l||l|l!イ
 ||し'^) ,! ┌‐' 'ー┐ト、   ``,ヘi|l|i|l|i|l|l|i|r''`''"´ i      ,
 |_|   l´r'  7 /_7 / 」__〉  (_~`^~"゙'ヾ     ノ   / ,
 [_]  [_]  〈_/ヽ_/      .ト─'     ノ      / /i
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/20(火) 00:31:12.01 ID:ia7Jd7lM0<> >>62
何回も読み返してます!早く続きをオナシャス!(*゚∀゚)=3 <> アラウンド70 1/2<>sage<>2011/09/20(火) 12:06:48.84 ID:QRfzgxuyO<>
皇帝×公爵

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「心優しい卿はこれを笑ったりはしないだろう」
雨後に虹が映じた昼下がり、宮殿の執務室で、精悍なるも老齢の皇帝は、
懐に忍ばせていた陰萎に効く薬を、麗しく老いた美しい友に見せ、片目をつぶりニヤリと笑った。
「挿入だけが和合の道ではないと思うていたが、やはり余は威厳を取り戻し、卿にめくるめく悦びを与えたい」
気品ある老齢の公爵は、白皙の頬を朱で染め、皇帝の手から薬の入った茶色い小瓶を取り上げると、皇帝の執務机に書類の山を積み上げた。
二人は昨夜、離宮でむつみあったばかりだ。
老いて花芯の硬度を保てなくなった皇帝は、その分、公爵を慈しむように愛撫する。
香り高い精油を纏った最も長い指をただ一本、後ろの蕾にあてがわれ、ゆっくり沈められたそれで、中を丹念に愛された公爵は深く感じいった。
(…陛下は、指の運びが…押す・擦る・突くの…使い分けが…実に…巧みになられた……)
青年の時分は、中指一本で涙が出るほど喘がされた覚えはない。くいくい動く皇帝の指に高められ、昨夜公爵は、絹の敷布を握りしめはらはら涙を流した。
老いて涙腺が緩んだ公爵は、涙を零し零し、年若き頃は激しさと熱さで攻めていた皇帝が、技巧派に転身したのを後孔でしみじみと感じた。
一夜明けてもまだ、皇帝の指の感触が、公爵の中に深く残っている。
今も、たまらなく気だるい。事に及んだ後、こんなにも疲れが取れないのは、決して年のせいだけではない。
なのに皇帝は実に元気だ。茶色の小瓶を手に公爵に微笑む笑顔が眩しい。公爵は大きく深くなまめかしい溜め息を吐いた。
<> アラウンド70 2/2<>sage<>2011/09/20(火) 12:10:55.94 ID:QRfzgxuyO<>
「余は卿が欲しい」

皇帝は公爵のほっそりとした手を取り、皴深い甲に接吻をした。

「陛下、いけません」

日の高いうちから執務室で淫らな行いをし、快楽に耽るのは憚られる。常識ある公爵は、やんわりと皇帝を拒んだが、
真夜中、ローブを脱ぎ捨てた麗しの公爵は、仰向けに寝た皇帝の腹筋に手を突き、騎乗位で乱れた。
若い頃は恥ずかしがり、皇帝が上に乗れと命じても、皇帝に跨がるなど臣下として出来ないと頑なに拒んでいた公爵が、
老いて膝を病んでからは、上になったほうが椅子に腰掛けている様で楽なため、
素直に己に跨がるようになったのが皇帝は嬉しい。

「…ああっ、凄い! 陛下ッ、陛下ッ!!」

例の薬もいい具合に効いている。麗老の公爵の腰を両手で支え、下から激しく突きあげながら皇帝は笑った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/20(火) 20:21:43.25 ID:BCpF14V00<> >>70
GJでした
これは素敵な古稀カポー
この御年までずっと愛し合ってるなんて素敵
しかも心まで美老人 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/20(火) 23:43:34.80 ID:fW/QIbi+0<> >>70
GJGJ!!美老年かポー美味しいです
新しい扉が開けた <> How did boys refuse the sun? W 1/7<>sage<>2011/09/20(火) 23:58:08.08 ID:CvbN+ux70<> >>40参照ください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

もう帰ってしまったろうな、そう思っていたが、プールの金網の前でいつものように読書をしているシャ一口ックを見、力一ノレは我知らずに微笑んでいた。
グロウサムとの対話で沈んだ気持ちが一気に上向いていく。
「力一ノレ、力一ノレ!」だが背後から呼び止められ、彼はその甲高い声の主をしかたなく振り返る。今なら誰だろうと、つまらない用事なら無視できるかもしれない。
「いよいよ明日だね、地区大会。ぼくにできることがあったら何でも言って!」
ジム・毛リ了一〒ィ一。この認識への落胆は大したものだ。「できること?できることって?」
ジムの顔が瞬時に青ざめた。もとより顔色は悪いのだが、力一ノレの声に滲む苛立ちが、ジムへいわれなき被告人の罪悪感を植え付ける。
「いや、その、ほら!マッサージとか、ぼくうまいからさ!」言う間にも、力一ノレの表情から生気が失われていくのがわかり、ジムは必死で気の利いた言葉を探した。
だが結局それがみつかる前に裁断は下される。「シャ一口ック!待っててくれたのか?」
力一ノレは無雑作に向きを変え、ジムのもとを離れた。
「…いいのか?」「えっ?何が?」「彼だ。」シャ一口ックがしゃくる顎の先には、まだジムが所在なげにしている。
「彼の話はまだ終わってないんじゃ?」「でもおれには用がない。」「やめておけ。彼をぞんざいにはしないほうがいい。」
あまりいい顔つきとはいえない、決してそちらは見ず、声を潜めるシャ一口ックにつられるが、力一ノレは反射的にうしろを振り向いた。 <> How did boys refuse the sun? W 2/7<>sage<>2011/09/21(水) 00:00:39.73 ID:qvIV5AHv0<>
「いつもあんなだぜ、あいつ。それよりこれからまた行くかい?」「よせって。見るだけで観察しないからだ。彼の顔色が悪いのは、力一ノレ、君のせいだ。」「おれ?なんでだ?」
開いていた本を閉じ、ようやくシャ一口ックは目上にある力一ノレの無邪気な顔を見上げた。
「なぜそれほど盲目なんだ。彼は明らかに君に関心がある。これは控えめに表現している。あえて言葉にするつもりはないけれど、今うちのめされているあの男が何か悪いものとして君を認識しようとする前に、力一ノレ、君はフォローしなければ。」
「どうしたんだ、急に。うちのめされてるって、ジムが?どうして?」
「…もっとシンプルに言おうか。彼は君に恋している。眼の下の隈の理由はできたら説明させないでほしいが、君もそういえばぼくに言ったばかりだったな。彼は君へ信頼を寄せていたようだが、今の君は決して信頼のおける相手のする態度ではない。彼は感じているはずさ。」
「なにを?」シャ一口ックのこの忠告に、きちんと従っていたら。
「今自分は不当な扱いを受けている、そう怒っている。」「なんだって?」
力一ノレはそれこそジムが分をわきまえない者としか思えなかった。おれが折角シャ一口ックと話しているというのに!「おい、ジム!なんでそうおれにまとわりつく?」
「えっ!…あの、どうしたのさ力一ノレ、急に…何かその…怒っているの?」少年との会話が聞き取れずじりじりしていたジムは、突然勇んできた相手の逆鱗にわけがわからずおろおろ口ごもった。
「かわいそうなヤツだと思ってたが、もうおれのまわりをうろちょろしないでくれ。ふっ…おれに恋だと?笑えない冗談だが、せめておれだけは笑ってやるよ。じゃあな。」 <> How did boys refuse the sun? W 3/7<>sage<>2011/09/21(水) 00:02:58.47 ID:qvIV5AHv0<>
「…ぼくの言ったこと、聞いてなかったのか?なぜわざわざあんな風に…」「いいから行こう。時間がもったいない。」
確かに、ふたりに残されている時間はもう十分ではなかった。
ふたりの背後で、屈辱に苛まれるジムがたった今、ネメシスと契約を終えたばかりだ。

毛リ了一〒ィ一家のリビングで、ジムの母=マーサが友人と電話中。
『…そうねえ、試してみる価値はあると思うのよ。ただきこえは良くないわよね、毒なんですもの。でも高価なクリームに比べて値段も手ごろ、そのうえ効果は抜群と聞くし。やっぱりお願いしようかしらねえ、そのボトなんとかいうの…』
扉の影で、ジムがその会話を聞いている。「もう二度と笑えなくなるね、力一ノレ。かわいそうに。だってぼくを笑うんだもの、しかたないよ…」

少年たちはある日、太陽の下で野山を駆け回ることをみずから辞めてしまうものだ。無垢と言われる永続性を保持しない希少質に近しいなにかの喪失、とも同義である。
だがそれを故意に強制停止されてしまうことの不幸は、選んで行った者の比ではない。
力一ノレ・パワ一ヌ゙は毒を盛られ、シャ一口ック・ホームズは現実に繰り返される必要のない軽々しい死に失望し、ジム・毛リ了一〒ィ一はいつもは姿を見せない愛の血縁として裏切りが最もなじみやすい類縁であるとの学習成果により。
* <> How did boys refuse the sun? W 4/7<>sage<>2011/09/21(水) 00:07:02.93 ID:2gWRVELB0<>
《某月某日デイリーメール紙・四面ベタ記事》
昨日ロンドン市中屋内プール競技場にて開催された学生水泳選手権、200メートルメドレー個人戦決勝において、ファイナリストである力一ノレ・パワ一ヌ゙さん(18歳)が死亡した。何らかの発作を起こし溺れたとみられる。検死は聖バーソロミュー病院で行われる。
昨年の同大会同種目で優勝しているパワ一ヌ゙さんは、学校関係者によると今回も意欲的に練習し、大会には万全の体調で臨んだという。「本当に残念です。将来を期待されたアスリートだった。親御さんには大変申し訳ない(ラングトンコーチの弁)」尚、葬儀日程等は未定。

『ギルはなんと言っていた?』
『うん…よく運動しなさい、とかそんなこと。…知らなかった、グロウサム先生、中等部でも教えていたんだな。』
『いいや。彼は高校の生物教師。授業を受けていたらぼくは彼になんか近寄らないし、ギルなんて呼ばないだろう?』
『え?そうなのか…てっきり…』『てっきり、何?』『いや、いいんだ。』
『(少し眉を寄せ)ぼくは先生ってひとたちがあまり好きじゃない。でもギルはらしくないし、第一ぼくに必要なことだけを教えようとしてくれる珍しい大人だから、利用価値がある。』これは額面どおりに受け止めよう、力一ノレにとって歓迎すべき答えだから。
『それはそうと。』見えない影をなんとか置き去れないものかと、シャ一口ックは左肩越しをすがめ、睫を伏せる。『君は厄介ごとに無頓着すぎる。』
<> How did boys refuse the sun? W 5/7<>sage<>2011/09/21(水) 00:08:46.67 ID:2gWRVELB0<>
『ジムのことなら心配なんかないぞ。』
『恋がいかに暗くて奇妙な熱情か、君はわかっていない。ちょっと前ミルウォーキーの刑務所で殺された男は、恋愛対象者への執着が高じ、彼らを自分の胃へコレクションした。』
『Wow! ……あいつもおれを食いたがっている?』
『さあね。クラフト・エビングによればそれも決して特異な感情から生まれはしないって。ただ一旦行動を起こしてしまえば、彼の常軌は逸したことにより、精神異常者と見做される。』
少年が教師から新たに与えられたというテーマへの入門書として、傍らにある書物の著者がそういえば同じ名前だ、力一ノレは無意識に表紙へ視線を落とす。
『それは君には退屈だよ。ただ恋に秘められた万象への波及に制限はない。これは覚えておいたほうがいい。』
『恋をしたら楽しいものなのに…少なくともおれは楽しい…と思う。』末尾にそって小さくなる声から、不思議とシャ一口ックに相手の意図を汲み取る作用がこういう場合に限り働かないのを、力一ノレは残念に思う。
『誰だって自分の感情を否定したくない。ましてそれをなにか悪いもの、淀んだ間違ったものとは思いたくないし、なによりも貴く、美しいと思いたいのが、不幸にもひとの〈人情〉さ。…どうした、力一ノレ。口を閉じるのを忘れてるぞ。』
『…あ、いやその、…いまさらだけど、きみと話していると、おれは自分でも知らないうちに冷凍カプセルで何十年も眠らされたか、それともきみが本当は50歳なんじゃないかって思う。』 <> How did boys refuse the sun? W 6/7<>sage<>2011/09/21(水) 00:10:24.44 ID:qvIV5AHv0<>
『……ありがとう、と言うべきかな?』それは、少年が現実を厭うあまり、今の実年齢に課された不具合や束縛を一足飛びにし、彼にとっての精神の羽ばたきと自由を得たいという希求のあらわれでもある。
『…それでもやっぱりおれがばかだった。今頃恥ずかしくなってるし。』
『ギルも言ったように本当に気になんかしてない。』
『うん、でも二度としない。考えなしだって思われたくないしな。ふだんおれの近くにいるヤツらと、いっしょにしちゃいけないのに、きみを。』
『……どうしてぼくにはないって思うんだろう、みんな。』
『え?何だって?』
そりゃあイカやサンゴの体外受精みたいに、ひとも静かにできれば尚いい、とは思うけれど、続けるシャ一口ックの異議申し立てを、結局力一ノレが理解することはなかった。
『ところで、明日はレースだなんて。一言も聞いてなかった。』
『ああ!うん、きみはそう、多分退屈するだろうと…でも思いだしてくれて嬉しいよ。おれがんばる、シャ一口ックのためにも!』
『なら勝ってほしくないな。自分のために勝つんでなければ意味がないじゃないか。』
あ……また、調子にのってしまった、反省ばかりの力一ノレを察し、シャ一口ックは敢えて邪険にしている意識もある。
わかりやすい親愛を隠さないこうした表明に対し、実際少年にはまだ受け入れ態勢が整っていなかったからだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 00:16:07.67 ID:FWi/klKp0<> 支援? <> How did boys refuse the sun? W 7/7<>sage<>2011/09/21(水) 00:17:02.40 ID:qvIV5AHv0<>
『力一ノレ、レースに勝つのは好きだね?』え?『うん、そりゃもちろんだ。』
『だったら明日は何も考えずそれだけのために泳げ。そうするのがぼくには一番嬉しい。』
力一ノレの紅潮する頬が、ものの12時間も経たず二度と赤みを浮かべなくなるとは、シャ一口ックとて予知できるはずもなかった。
『あれ、すっかり暗くなっちまった。ごめん、家まで送るよ。』
『大丈夫、君も早く帰ってやすまなくちゃ。』『そうする。じゃあ…』
『またあした。』ああ、応じた力一ノレは、先を行くシャ一口ックのほっそりした背中をしばし見つめる。街から消えつつある太陽の残り陽を受け、少年の輪郭がオレンジ色に浮き上がっている。
ふと、またあした、とは観にきてくれるから?と問いたい欲求をそれでも力一ノレは飲み込んで、伸ばしかけた右手を左手が握り制す。
たとえあしたでなくとも、あさってでも、そのあとでも、いつだって聞くことならできる、だってシャ一口ックはおれをともだちにしてくれたんだから、おれがシャ一口ックを特別だと思っているほどではないにせよ。
ちょうど日没が完了した薄暮に、ふたりが否応もまぎれてしまいそうな短い晩夏はいとも優雅に、しかし容赦なく過ぎてゆく。

Fin

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ここまで読んでいただき、どうもありがとうございました。
>>80 支援ありがとうございます〜 <> 風と木の名無しさん<><>2011/09/21(水) 00:25:11.01 ID:LEZ2Gw/YO<> 前スレであれだけ投稿間隔で揉めたのが嘘のようだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 01:16:13.63 ID:k4WHjkia0<> ま、いーんじゃないの
全てはネタだし
ネタにマジレス、カコワルイぞ <> 前スレ596<>sage<>2011/09/21(水) 02:27:04.37 ID:n47DjQ6p0<> 面目ないがスレの許容量に気付かず
前スレにて投下し始め
限界に達してしまった
こちらに続きを落とさせて貰う
申し訳ない! <> スイートルーム 4/7<>sage<>2011/09/21(水) 02:29:35.81 ID:n47DjQ6p0<> 「……んだよ、お前……ヤバ、あ、ん、ん……あっ」
うわ、テンション上がる。こっちが煽られるようなエロい声出してさ。
えづかないように注意しながら深くくわえて、口腔全体をすぼめて、わざと音を立てながら断続的に刺激する。
ホントはモーレツにハメたい。けど、今日はマジでNGな気配を感じるので、ガマン。
空いている左手で自分のデニムのジッパーを下ろし、自分のものを取り出して扱く。
仕方ない、こっちはセルフで。
「……くそっ、出る……っ、あ、あ、あ……ん……」
俺が仕掛けるリズムに合わせて、声のトーンが上がっていったかと思うと、
彼の両股がピンと突っ張った。ぴゅっ、と俺の口に有川君のが吐き出されるのを感じて、口を外す。俺もそろそろ限界。
「入れないから……かけさせて」
言うが早いか、イったばっかりでちょっとぐったりしている有川君のバスローブの開いた合わせ目に俺は放った。
白い飛沫が、彼の割れた腹筋の上を垂れていく。いい眺めだ。
「ふあー……」
満足した俺は深いため息とともにソファに倒れ込んだ。
「バ……!! お前、何すんだよっ!!」
「……まあまあ、いいじゃん」
「まあまあじゃねえだろっ! ……あっ、くそっ、垂れる」
ティッシュどこだよ、とイラッとした様子で有川くんが部屋をせかせかと横切る様子に思わず笑ってしまう。
「あーやっぱ有川君とのエロはいいなあ〜……」
ソファーで余韻に浸っていると有川君にバシッと頭をはたかれた。
「陸、お前、マジふざけんなよ」
「ごめん〜。今度埋め合わせにサービスするから」
お前のサービスなんてろくなもんじゃないだろ、とぶつぶつ言いながら
有川君は飲みかけのビール缶を手に取ってヤケのように残りを一気に飲み干した。
大丈夫。怒ってるけど、……怒ってない。長年の経験で判る。 <> スイートルーム 5/7<>sage<>2011/09/21(水) 02:33:48.98 ID:n47DjQ6p0<> 俺たちはお互い決まった相手……って訳じゃないけど、割と昔からセックスしてる。
何だろう、コミュニケーションのひとつっていうか、気分とタイミングがあった時に
「しとく?」……みたいな。そんなとこも含めて、不思議と昔から気を使わずにいられる。
お前のせいでまた喉乾いちゃったじゃん……とぶつぶつ言いながら、
でも、自分のだけでなく俺の分まで缶ビールを冷蔵庫から出してきて渡してくれる有川君に、つい笑ってしまう。
「お前……何笑ってんだよ」
二人並んでソファに座ってぼんやりと夜景に目をやりながらビールを飲む。凄く安らかな時間。
「……やっぱさ」
「何?」
「有川君はいいな、と思ってさ」
「いい? いいって、何が」
セックスはセンスとテクニックだ。俺も、まあ、ソコソコ遊んでますが、有川君はマジでうまい。
若いころは男女問わず相当場数踏んだんだろうなあ。
うまい人とやるのはなんでも楽しい。音楽でも、セックスでも。どちらも、相手の出方を見ながらアドリブやフェイクを仕掛けて、相手の反応にまたこっちも返していく。
そういう意味では有川君は俺の中で相当プライオリティの高いセッション相手だ。
「有川君とだと何でもスムーズなんだよ。言葉とか、行動とか、お互いで遣り取りするものが引っかかんない感じ?」
「バッカ、それはお前、俺がちゃんとお前に合わせてやってるからだろ」
「もー、バカバカって、今日俺何回言われてんの。つか、俺だって合わせてるよお〜有川君に」
「お前が俺に合わせる? 良く言うよ、ホントに」
そう言ってまたグビッとビールを煽る。口では憎まれ口をたたきながらも、怒ってる訳じゃない。
こういうジャレ合いみたいな遣り取りを楽しんでくれてるのは判ってる。……そういうところもやっぱ好きだなあ。
「や、でも中にはさ、やっぱ何やっても引っかかるっていうか、
コイツ全然合わないって奴もいるじゃん。そういう奴って一回気になると、
ずっとずっと気になっちゃってさ」
うん、うん、という有川君の低くて柔らかい音色の相槌に、
これまで漫然と感じていたけど形になっていなかったことがスルリと口から出てきて驚く。 <> スイートルーム 6/7<>sage<>2011/09/21(水) 02:59:23.24 ID:n47DjQ6p0<> 「忘れようとして、んで、忘れたなって頃に何故かまた思いだしちゃったりして。
アイツなんでああなんだろうな…とかって気がつくとそんなことばっか考えちゃって、段々苦しくなってくるんスよ」
「ああー、気になっちゃうわけね」
「そう! 何で俺が! って思いながら、ソイツが俺に向かって言ったことの言葉の意味とか、
ぐるぐる考えちゃったりして、そんで俺……」
「……あのさ、陸」
グビッとビールを飲んだ有川君が俺の言葉を遮る。
「なんかさっきからお前の話さ、段々コイバナみたいになって来てんだけど」
「は!?」
余りのご発言に、もたれてたソファから体を起して有川君の方に向き直る。
「コイバナ……ってちょっと!!! 違うっしょ! 全然、違いますよ!」
「だってお前さ、ソイツのことが気になって、ソイツのことばかり考えてるわけでしょ。ま、誰の事か判んないけど」
 「誰の事でもないし!」
「へーそう。いや、俺はそれが誰でも別にいいよ。いいんだけど、ちょっとは素直になればいいのに、とは思うね」
「……す、素直とかっ、別にそういう話……してないでしょっ!」
「何、力んでんの?」
噛んじゃってさ、って、笑われるし。
「お前はさ、俺といるときはホント素直だけど、
多分、絶対ソイツの前では素直になれないんだろうな、っていうのは良く判った。
でも別にそれは悪い事じゃないよ。むしろそういう特別な相手って大事だと思うよ俺は」
有川君の声の調子は笑いを含んでいるけど、からかっている感じではなくてそれが俺をまた焦らせる。
柔らかい表情で諭されて、Weit,weit,weit……とつぶやきが口の中で消えていく。
「一緒にいて気持ちいい奴と過ごすのは悪い事じゃないよ。
でも一緒にいて刺激を受ける相手としか生み出せないものって、絶対あるんだって。……俺は、陸の共犯者にはなれるけどさ、まあ、そんな風に特別にはなれないだろうな、多分ね」
 「……」
 お前に判るか?とでも言いたげな目で眺められてしまうと、言い募るつもりだった何かも、
口にしようとした端から消えて行ってしまう。 <> スイートルーム 7/7<>sage<>2011/09/21(水) 03:02:11.39 ID:n47DjQ6p0<> 自分の気持ちの何を、どんな風だと、俺は思っていたのか。
それでも何か言おうと言葉を探して、そして。
 「有川君も……そういうのいるわけ? 特別な相手、がさ」
 ピク、とかすかに缶を握る指が動く。
 「……俺の話はいいの。今はお前がどうしても素直になれない相手の話だろ。ソイツが言った言葉の意味をお前がグルグル考えちゃうっていう……」
 「あーもう、その話はいい! いいって! ヤメヤメ!」
 「いや大事でしょ、つか、もうちょっと訊きたい俺」
 ヤバイ。有川君のスイッチが入っちゃった。何か話題逸らさないと。
 「え……と、そ、そう言えばさっき、有川君のケータイにメール来てた音がしてた……よ」
 我ながら何と言う苦しい話題転換。無理でしょ、コレ。次の話題を探そう。
 ――ところが。
 「バカバカバカ! お前それ早く言えよ!」
これが劇的に効いた。あっけにとられる俺を尻目に、シュタッと立ちあがった有川君は小走りで荷物に向かい、iPhoneを取り出して受信を確認する。
「……げっ」
急所を殴られたような声を出したかと思うと、届いていたメールに目を通して、
何だかいそいそと電話をかけ始めた。
 「……あ、もしもし、徹? ゴメン! 俺! ……そう、今日楽日で、さっき部屋戻ってきたところ。
ホントメール気づかなくてマジゴメン! ……違うって! んなワケないだろ、ちょっと、信用してよー!(笑)
 ……え? うん、……うん、新曲デモね。聴いた聴いた。え、ああ、ライブの前に。
……や、悪くないけど、でも俺さ、ちょっと思ったんだけど……」
何このテンションの高さ。しかもデレッデレですよ。どゆこと?
 ……ていうか、そゆこと?
 「……あーはいはい、大サビの前のトコね、うん、徹は多分そう言うと思ってた。え?(笑) 違う、違うって……」
 すっかり置いてけぼりの俺は不貞腐れて、寝ることにした。
眠りに落ちる寸前、忘れた筈の「ソイツ」の顔が脳裏をよぎった――気がする。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!《完》
新スレが立ってることに気付かないなんてホント私バカ
バカバカバカ! <> どうしようもない二人 1/6<>sage<>2011/09/21(水) 13:36:32.51 ID:olh476R1O<> 以前スレに投下した売る振るず/しゃっきんだいおうの歌詞に萌えて
インスパイアされた二次?BL妄想続き

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

喧嘩をした。
相手は人にたかることしか考えていない、顔だけはいいダメ男。
金にも女にもだらしないろくでなし。
俺にとっては忌ま忌ましいことに、幼なじみ兼悪友兼秘かに想う奴でもある。

事の発端はあいつが俺の部屋を訪れたとき、間の悪いことに俺が野郎との乳繰り合いの真っ最中だったことにある。
ああ、そう、あいつ以外とやってたわけよ、俺。
俺も男ですからね。持て余すこともそりゃあるというか。
特に昔はまだ健気だったもので、あいつを忘れるために他の男に身を投げ出してみたり、罪悪感で胸を痛めてみたり。
相手と揉めて殴られたこともあったっけな。
ああ阿呆らしい。
とても不毛な青春時代を過ごした気がする。
――話が逸れた。
とにかく、ひとりでマス掻くよりもできれば相手がいるほうがいい。
好きな人としかしたくないの、なんて言える清い身体でもない(言っても気持ち悪いだけだ)。
まして好きな奴とするなどとんでもない。
ならば答えはひとつ。
そういうわけで、セクシャリティの一致する気の合うお友達と事に及んでいた訳だ。
そこへまさかの奴登場。
「やあやあこんばんは今夜はいい夜だねぇ。ところで相談あんだけどさー……って何してんの」
ベッドを軋ませていた俺達は動きを止めた。当然奴も固まった。
やばい、何か言わねば。
が、俺がフォローを口にするより早く、奴は俺に覆いかぶさっていた男を引っつかむと、荷物共々外に叩き出した。
制止する間もない早業。
俺が通行人Aならブラボーと拍手していたね。
しかし当事者なものでそんなわけにもいかない。
鍵閉めてたのにどうやって入ったとか、人の客に何しやがるとか、そんな文句をぶちまけてやろうとして、止まった。 <> どうしようもない二人 2/6<>sage<>2011/09/21(水) 13:38:09.66 ID:olh476R1O<> じっと俺を見つめる視線。ヘラヘラ笑いが常の無精髭の生えた顔は全くの無表情だった。
「あれ誰?」
「友達だよ」
「お前友達とセックスすんの」
俺の性癖について話したことはない。
おまけにこっちは汗やら何やらくっついた裸に慌てて履いたジーンズ一丁。
最初こそたじろいだが、その段になると不思議と俺の腹は据わっていた。やけっぱちってやつだ。
「ああそうだよセフレってやつだよ」
言った途端、奴は眉を寄せた。
「くだらねー」
「はぁ?」
そこでまずムカッ腹が立った。奴の声に紛れもない非難の色を感じたからだ。
「どういう意味だよ」
「あんなことすんなよ。しかもあんな野郎と」
理解できない、と実に苛立たしげに吐き捨てやがった。
この野郎、頭にきてんのはこっちだぞ。
やってるとこに乱入するわ相手を追い出すわの挙げ句にわけのわからん説教かよ。
二十過ぎた男がなんで性欲処理もせずいられる。人恋しくなるときだってあるんだよ。
大体自分は女取っ替え引っ替えのくせにどの口が言うか。
俺がどんな気持ちでそれを見ていたかわかりもしないくせに。
考えるほどにムカムカしてきた俺は、気がつけば思いきり奴をぶん殴っていた。
「お前には言われたくねえんだよ!」
「何も殴るこたねーじゃねーか!」
「うるせえ! こんなことしてんのは誰のせいだと思ってる!」 <> どうしようもない二人 3/6<>sage<>2011/09/21(水) 13:39:53.47 ID:olh476R1O<> そこまで口走って、ハッとした。しまった。
案の定、奴は訝しげな顔を隠しもしなかった。
「誰のせいだっての」
聞かれても答えられなかった。
でもきっと、ただ奴の顔を見返す、それだけで誰のことかなんてバレバレだろう。
が、奴はふいっと目を逸らした。不機嫌そうなまま。
「何それ。意味わかんねー」
そう平然と口にしやがったのだ。
その後は無言で部屋から叩き出してやった。
ドアを叩かれても名前を呼ばれても、ドアに背を預け決して開けなかった。
長い付き合いでわかった。あの顔は嘘をついていない。本当に、心の底から意味がわからないと言った。
あのろくでなしはとんでもないタラシのすけこましのくせに、自分が俺に惚れられているとはこれっぽっちも考えていないんだ。
阿呆か。惚れてもいないのに、どうしてお前と十年以上付き合っていられると思ってるんだ。
金せびりに来るわ女との揉め事押し付けてくるわのダメ男だぞ。
普通はとっくに縁を切ってるっての。
だがそんなことを説明する勇気もなく、俺はその日、まんじりともせず夜を明かした。 <> どうしようもない二人 4/6<>sage<>2011/09/21(水) 13:54:25.24 ID:olh476R1O<> あれから早一ヶ月。奴からの音沙汰はとんとない。最長記録だ。
奴に叩き出された友人には後日改めて謝罪と説明をした。
前から俺の愚痴相談役でもある彼は、あれは大変だななんて苦笑しながら許してくれた。何といういい人。
奴もあの人の爪の垢を煎じて飲みゃいいんだ。
なんてことを考えていた休日の早朝、奴がひょっこり姿を現した。
「どもども。元気?」
ケンカ別れの名残なぞ微塵もないヘラヘラ笑いにラフな恰好は相変わらずだが、なぜか無精髭がなく髪もすっきりと切って整えられている。
これはあれだな、新しい女引っ掛けてたな。
元々見た目は悪くないので、ろくでなしオーラさえ出さなければこいつに引っ掛かる女は山のようにいる。
その中からダメ男を放っておけない女を選別するのが、この男、異常にうまい。
つらつらと考えながらつまみ出すべきか否か悩んでいると、奴はずかずか上がり込み、俺に向き直ると正座した。
「お納めください」
すっと差し出されたのは百貨店の包装紙に包まれた箱。開けると某有名和菓子店の饅頭だった。
こんなふうにこいつは時折俺に物を寄越す。
金は一向に返さないし、物を買う金の出所もどうせこいつじゃない。
それでも、他でもないこいつが俺に持ってくるのだと思うと嬉しくなってしまうのだ。
ああ阿呆らしい、なんてため息を吐きながら一個頬張る。
「うまい?」
頷いた。こいつは気に食わないが食い物に罪はない。
が、やはり一言言っておきたかった。
「お前女にたかるの程々にしとけよ。どうせあっちこっちに手ぇ出してんだろ」
いくら立ち回りがうまく相手を見る目があるとは言え、何事にも例外はある。
別れ話がこじれて一発ひっぱたかれるのはいいほうで、一度など相手が刃物を持ち出したこともあった。
こいつが死んだら泣くだろうな、悔しいな。
俺がそんな気持ちでいるとも知らず、奴はアッサリ爆弾発言をかました。
「いやそれ俺が買った」
「……は?」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 14:01:59.59 ID:Tmml8FsP0<> しえん? <> どうしようもない二人 5/6<>sage<>2011/09/21(水) 14:05:24.85 ID:olh476R1O<> 聞き間違いか。幻聴か。すわ白昼夢か。
大袈裟だと笑う向きもあろう。
だが相手はこいつだ。
煙草一本でも人の箱からちょろまかし、めずらしく缶ジュースを買っているかと思えば道で拾った小銭でという男だ。
それが、札が必要になる菓子折りを買った?
「金はどうしたんだよ」
「バイト決まった。で、初給料でこれ買った」
「はっ?」
「これ名札と制服と給与明細」
ぽんぽんと投げ寄越されたそれらは某有名コンビニエンスストアのもので、奴お得意のなんちゃって模造品でもない。
おまけ、と額を叩いたのは職業安定所の登録カード。
「しばらくバイトしながら就職活動する」
青天の霹靂とはこのことか。
「偉いだろ」
いや偉いも偉くないも世の中の人間は皆そうやって食ってんだけど。などとは言えない。
もはや声も出ない俺に、奴はふんぞり返ると指を突き付けてきた。
「だからお前あの男と会うのやめろ」
「あ?」
だから、がどこに繋がるのかと顔をしかめると、奴は苛立たしげに、あいつだよ、と繰り返した。
「この間ヤッてた男。っつーかもうああいうのヤるな」
唖然とした。
この男は自分の身の振り方が決まった、ただそれだけで俺の性生活にも干渉できると思っている。
何たる傲慢。
というか俺は不特定多数とはやってねえぞ。あいつはセフレ以前に趣味の合う友達でもあるし。 <> どうしようもない二人 6/6<>sage<>2011/09/21(水) 14:07:05.24 ID:olh476R1O<> 「あのさあ、俺、こう見えて昔からモテるのね」
ああよーく知っているとも、他の誰より知っているとも。
「なもんでさあ、誰かが俺にそーいう気持ち持ってたらピンとくるのね」
ああそう、そりゃあ都合のよろしいことで。
ところでお前、なんでそんなにじり寄って来るんだよ。
いや別にいまさらこんな接近で動揺しないけどさ。
って顔を覗き込むな赤くなる!
「お前さ、そろそろ認めちまえよ。あんなつまんないので紛らわすとか意味わかんないんだけど」
は? と本日何度目か知れない間抜けな声は、奴に腕を引っ張られてすぐに飲み込む羽目になった。
口が塞がれている。後頭部を掴まれている。見開いた目の先には奴の無駄に端正なドアップ。
息苦しくなって喘いだ口中にぬるりと侵入し、縦横無尽に動くこれは、もしや舌か。
離れようともがいてみても、頭と腰をがっちりホールドされて動けない。
むしろその手が不穏な動きで俺の身体をまさぐりはじめた。
何だこれ。何だこれ何だこれ。
やっとのことで解放されたとき、唇は痺れて感覚がなくなり、俺は息も絶え絶えにへたり込んでいた。不覚。
同じく呼吸を乱しながら、奴はにやりと口角を上げた。
「ざまあみろ」
なんだよそのガラの悪い笑みは。どのざまを見ろってんだ。
などとそのときの俺に言えるはずもなかった。
できたのは、悠々と部屋を出ていく奴の後ろ姿を見送るだけ。
混乱しきった頭を抱えて俺は床に突っ伏した。

その後、続きはまた今度、と書かれたメモを見つけ、部屋に入れたのは無断で合い鍵をちょろまかしていたからだと知った俺の怒りが爆発するまで、数十分の時を要したのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
>>93
支援ありがとうございました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 15:23:07.12 ID:8V5A/dDE0<> GJ!!おもしろかったです!
売る振るずのしゃっ金大王も好きだ!!
続きをお待ちしてます\(^o^)/ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 18:03:19.47 ID:koZSxt8K0<> >>89
萌えでどうにかなりそうになった
続き待ってます <> はじめての 後編<>sage<>2011/09/21(水) 22:26:25.53 ID:tQWdPGb00<> >>11-17の続きです。

昨年のタイガードラマ・リョマ伝のお馬鹿弟子⇒堅物師匠です。
以前本スレに投下されたネタを拝借しております。
相変わらず訛りは適当ですので間違いが有ったらすみませんです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> はじめての 後編  1/5<>sage<>2011/09/21(水) 22:28:24.28 ID:tQWdPGb00<> 「先生は悪う無いですき」
伊蔵は唇を尖らせた。何故武知が謝らねばならないのか分からない。
「悪いのは上士の奴らと大殿様ですろう」
思った事を素直に言うと、武知は困ったような顔で振り返った。
「そういう事を言うてはいかん」
「けんど先生が謝る理由はないですき」
「おまんは優しいの」
武知は苦笑し、少し表情を和らげた。
「伊蔵、……愛しい女子の姿は浮かんだか」
それがとても大切なことであるかのように、しかと伊蔵を見据えて武知は言った。
伊蔵は身を縮めた。結局、武知の命には従えなかったのだ。『愛しい女子』の姿など誰ひとり浮かばなかった。
命令に逆らったのだから、叱られてもおかしくない。
伊蔵は身を小さくしたままそろそろと首を振る。
武知は身を抉られたような顔をして、叱責の言葉ではなく深い息を吐いた。
「……そうか、出来んかったか」
「申し訳ありませんき」
「おまんが謝る理由は無いろう。そうよな、それが当たり前じゃき。なのにわしは……なにを都合のええ事を言うちゅう」
蒼白な顔をして武知は言った。後半は伊蔵にではなく己に言っているようだった。
武知は一瞬瞠目してから息を吐き、伊蔵の肩を両手で掴んだ。
「伊蔵、これからとても大切なことを言うき、よう聞きや」
こくりと頷いた伊蔵の目を、武知はひたと見据えた。
「この一刻の間におまんの身ぃに起きた事は、全て夢ぜよ。おまんは辛い目ぇにも怖い目ぇにも合うていない。
 何も、何一つ起きちょらん。おまんはお城でうたた寝をしてしもうただけじゃき」
そう優しく言う武知が何かひどい間違いを犯している気がして、伊蔵は恐怖を覚えた。
<> はじめての 後編  2/5<>sage<>2011/09/21(水) 22:29:35.72 ID:tQWdPGb00<>
いつも清く正しい武知が間違いを犯すとは思えない。頭の悪い伊蔵が頭の良い武知の間違いに気が付くとも思えない。
けれども、それがもし―――伊蔵の心の内に関する事であったなら。
あるいは伊蔵が正しくて武知が間違っているということも、在り得るのではないだろうか。
「じゃから、伊蔵」
その先は聞きたく無かった。
「全て忘れや」
「わ―――忘れられるわけがないですろうッあ……あんな、あんなに、」
幸せだったのに。
悲鳴のような自分の声を、伊蔵は何処か遠く聞いた。
「伊蔵っ」
武知は伊蔵の肩を掴む手に力を入れ伊蔵の言葉を遮った。痛ましいものを見るような顔だった。
「あんな目に合うておまんが辛いのはよう分かる、忘れられるわけがないのもよう分かる。
 けんど、おまんがこんなことに囚われる事はないがじゃ。無かったことにしてしまえばええき。のう、忘れや」
「……嫌ですき」
「我儘を言うてはいかんちや伊蔵ッ」
「嫌ですきッ」
強く返すと、武知は信じられないような顔をした。武知に伊蔵が逆らった事など、ただの一度も無い。
ほんのわずかな間伊蔵をまじまじと見た後、武知はより一層痛そうな顔になった。
「無理は承知で言うておるぜよ。おまんの為じゃ伊蔵」
「せ―――先生は勝手じゃきッ簡単に忘れろなんて言わんでつかあさいッ」
伊蔵の肩を掴む武知の手から、力が抜けてそのまま落ちた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 22:35:21.34 ID:rKP+eldu0<> 支援いるのかな? <> はじめての 後編  3/5<>sage<>2011/09/21(水) 22:37:13.59 ID:tQWdPGb00<>
伊蔵の身を恐怖が包んでいた。
武知は明らかに伊蔵の心の内を捉え違えている。伊蔵の伝えたい事が全く伝わっていない。
何か言わねばならぬのに、伝えたい事は沢山あるはずなのに、武知の過ちを正さねばならぬのに、
頭の悪い伊蔵の頭には的確な言葉が浮かばない。
一方武知の頭は伊蔵の何倍もの速さで働いて武知の口は伊蔵の何倍も滑らかに言葉を紡ぐ。
伊蔵がどれだけもがいても、いつも倍の速さで武知は遠ざかるのだ。
「すまんかった」
ぽつんと武知が呟いた。
「わしは勝手じゃち、よう分かっちょるぜよ。あんな目ぇに合うて忘れるなんて簡単にできんのもわかっちょる。
 わし一人で背負わねばならぬのに……おまんを巻き込んでしもうた。
 おまんに累が及ぶ可能性を思い至らなんだは不甲斐ない限りじゃき。全てわしが至らぬ故ぜよ。
 せめて愛おしい女子の姿でも想うていてくれればと思うたが、出来るわけがないのう。わしは勝手じゃ。
 ほんにすまんちや。―――けんどのう伊蔵。
 もうおまんを苦しい目ぇにも嫌な目ぇにも合わせんき。わしがさせん、天地神明に誓うてもええ。
 二度とおまんにこんな事は起こらんき、安心しいや。だから、だから無理を承知で言うちょる、
 ……今回だけは忘れてくれ、こんとおりじゃ」
武知は伊蔵に深く頭を下げた。
<> はじめての 後編  4/5<>sage<>2011/09/21(水) 22:38:38.56 ID:tQWdPGb00<>
(違いますき―――)
そうじゃない。
伊蔵は泣きそうになった。往来で涙するなど武士のすることではない、けれど。
きっと、と伊蔵は思った。
きっと武知は辛くて怖くて苦しくて嫌だったのだ。
今となっては想像できる。伊蔵が呼ばれる前に武知があの城でどのような目に合ってきたのかを。
武知が初めて登城したのはいくつの時だっただろうか。
きっとその時から登城した数だけそれは積み重ねられ、これからもそれは続いて行くのだ。
……武知半平太が、土佐の白札である限り。
おそらく武知は、伊蔵も辛くて怖くて苦しくて嫌なのだろうと思うたのだ。
自分が味わった思いを、己の所為で伊蔵にも与えてしまったと思うたのだ。
深い後悔に苛まれて、だから弟子だけでも泥沼から救わねばと思うたのだ。
(違うのに)
今後も武知の身には同じ事が続くのだろう。武知は同じ苦痛を抱き続けるのだろう。
身分が低く頭の悪い伊蔵ごときがどう足掻いたところでそれを何一つ変える事が出来得るはずもない。
それぐらいは分かっていた。
だから、せめて。
伊蔵との時くらいは、いつもとは全く違うものだったのだと、酷い事は何も無かったのだと。
そう、――――思ってほしかったのに。
<> はじめての 後編  5/5<>sage<>2011/09/21(水) 22:40:26.54 ID:tQWdPGb00<>
「ああ、この後に及んでまだ都合のええ事を言うちょるぜよわしは。おまんも懇願されたとて聞けぬのにのう」
伊蔵の沈黙をどう捉えたのか、武知は苦笑した。
そしてうろうろと目を彷徨わせ、やがて泣きそうな顔で伊蔵に笑った。
「これはお願いではのうて命令ぜよ、伊蔵。おまんの師匠として命令するき。忘れや、全て」
これまで武知の命令に伊蔵が逆らった例が無い事も。
これからも伊蔵が逆らう訳が無い事も。
こう言われて伊蔵が頷かないわけにはいかない事も、全て理解した上で武知は言っていた。
伊蔵は目を瞑る。深く吐いた息が少し乱れていた。
「……佳緒ですき」
口から洩れでた言葉は他人の物のようだった。武知は二三回瞬いて怪訝な顔をした。
「佳緒は涼真と相惚れですき、わしが惚れちゅうを先生に言うがは恥ずかしかったがです。
 お城ではずうっと、佳緒の事を想うちょりました。
 いつもはわしの岡惚れながやきに、今だけは佳緒はわしと居てくれると思うちょりました。
 佳緒が優しゅうしてくれてわしは―――うんと幸せでしたき」
武知はしばらく黙った後、そうかと呟いた。
「無理に聞きだしてしもうて悪い事をしたの」
苦しそうにそういう武知は、それでも僅かばかり安堵したようだった。
伊蔵が嘘をついているなどとは露ほども疑っていない顔だった。

きっとこれで良いのだ。
岡田伊蔵が武知半平太の命令に逆らい嘘をつくことなど、決してあり得ないのだから。


≪了≫
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/21(水) 22:47:25.02 ID:rKP+eldu0<> C <> はじめての 後編<>sage<>2011/09/21(水) 22:48:22.47 ID:tQWdPGb00<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>>101 >>105
支援、心底ありがとうございました!
とても助かりました。


連投にならないようにと一週間空けてみたのですが、
逆に長期にスレを占有する感じになってしまいすみませんでした。
そして遥か前の本スレで萌えネタをくれた姐さん、ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/22(木) 02:08:49.25 ID:wzg8FUOj0<> 亀だけど>>88
GJ!GJ!
萌えたし前スレも埋まったし2重にGJでした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/22(木) 15:39:42.11 ID:QzQOAlnlO<>
【無機物】【非生物】スレの原作総受けに萌えた


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

俺の親父は人気漫画家で代表作が3作ある。俺は3男3作目。
商業的成功を目指して企画された少年漫画だ。現在大好評連載中。
親父が打ち切りに怯えながら、苦楽を共にした上の兄ちゃんや、描きたい物を自由に描いたという2番目の兄ちゃんとは生まれが違う。
アニメ化前提で連載がスタートし、多数の関連グッズやゲームソフトなどが発売され、劇場版アニメや実写映画も製作された。
親父は兄ちゃん達の版権は大事にしてるが、俺はハナから売り飛ばすつもりだったらしい。
最初、俺は自分をエリートだと思ってた。メディアミックスに成功した超売れっ子だって自惚れてた。
だけど、最近思うんだ。たぶん、俺は親父に愛されてない。
親父はインタビューで、「アニメや映画は監督さんの物。監督さんの世界観、読後感でOK。どうぞ自由に」と語っていた。
結果、俺は毎週レイプされ続けてる。
あちこち弄られ、アニメのオリキャラぶち込まれ、絶え間なく挿入されるオリジナルエピソードを必死に受けとめてるけど、もう限界。
ファンに「原作ってアニメと違い過ぎ」とか、「原作よりもアニメが好き」って言われるたび涙が止まらない。
フィギュア等関連グッズはアニメベースだし、なんかもう、俺なんかいなくていいのかも。
最近、2番目の兄ちゃんが映画化された。親父は最初猛反対してたらしいんだけど、原作ファンの監督とスタッフの熱意に負けて許可したそうだ。
原作を忠実に再現した原作ファンも納得の大作は、ナントカ賞をとり海外でも絶賛公開中。
俺とはあまりにも違い過ぎ。いつだって注目されるのは原作の俺よりもアニメだ。所詮俺は出版社と親父の金づる。
連載終了後、パチンコデビューも決まってる。
もう、いいよ。何だっていい。好きにすれば?
みんなして、俺の体で稼げばいいんだ。ほら、股開いたぜ。ぶち込めよっ!!!

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/23(金) 11:42:09.42 ID:uNJRr8s30<> >>108
いつかお前を心から愛してくれる読者が現れるさ…GJ
<> 無題:1/6<>sage<>2011/09/25(日) 02:42:04.95 ID:+njoIb6v0<> しゃちほこ王求団 すったもんだあったけど…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

───聞いてないです。だから何も話す事はありません。


苦手チームに勝ち試合だというのに、裏に引き上げる皆の顔は堅いものだった。
仕方ない。
だって、あんなの、僕らだって聞いてない。
…聞いてないよ。


試合後、ロッカールームへと続く白々と明るい通路の先を見詰め、僕はいつもより重く感じる頭を数度振った。
『デリケートな問題だから、ね』
医師黒さんも寝耳に水だったのだろう、ひっきりなしに鳴る携帯を片手に慌ただしく事務所へと戻って行った。
いつもより多い記者、不穏な空気は試合前のお客さんたちからも痛いほど感じられた。
ベンチでも、いつもは屈託なくちょっかいを出す若手選手たちも、
”聞きたいけど、聞けない”
そんな雰囲気でどこか上の空だった。
それでも試合になればいつものように、いや、今日に至ってはいつも以上に鬼気迫るものを漂わせていた。

───ほんと、どうなるんだろう。
自分はしがない王求団所属の益子ットであり、トップ人事に四の五の言える身分じゃないのは分っている。
───分ってるけど。
やりきれない焦燥感を持て余し、控室に直行する気分にもなれない。
───みんなどうしてるんだろう。
すぐにバットで小突いてくる若手外野手、いつも礼儀正しく話しかけてくる兄弟、豪快な構い方をしてくる新入りのベテラン…彼らの方がきっと、もっと複雑な気持ちに違いない。

自分などが踏み込んではいけないのだ、と僕は廊下の先の微かなざわめきから逃れるように、そちらに背を向けた。 <> 無題:2/6<>sage<>2011/09/25(日) 02:42:38.86 ID:+njoIb6v0<> 「あ、度荒」

びくぅっと大袈裟な身振りで振り返ると、二遊間コンビの片割れがロッカールームから飛び出してくるところだった。

(な、何でしょう)
平素はあまり絡みのない人の呼び立てに、僕は自分が何か失態を犯したのだろうかと立ち竦む。
彼はそんな僕のリアクションには反応せず腕を掴むと
「あいつ、見なかった?」
とだけ息せききって尋ねた。
(はい?)
小首を傾げた僕に
「だから、盛野。見なかった?」
野王求選手にしては細い粗木さんだけど、握力はやっぱりスポーツ選手のそれで、ちょっと痛いなぁなどと的外れな感想を抱いていると、
「…どうせ分りやすく落ち込んでいるんだろ」
粗木さんの後から出てきた井場田さんが渋い顔で言った。
「参ったなぁ、緊急ミーティングあるからってコーチが…」
ユニ姿のまま、首にタオルをかけただけの粗木さんが後頭部をガシガシと掻く。
いつもは手早く風呂や着替えを終えた選手は食事に出かけたり、家庭のある者たちはいそいそと自宅へ帰るのだが、今日は流石にそうではないらしい。
否定の意をふるふると首を振る事で示すと、粗木さんは深く溜息をついた。
「選手会長がいないんじゃまずいだろ、しょうがない、適当に取り繕うから、度荒探してきて」
一番小柄なくせに(いやこれは関係ないか)、命令に慣れた口調の井場田さんはそう言うと、さっさと踵を返してしまう。
(えっ、僕ですか?!)
人差し指で己を差し、いやいやいやと掌を顔の前で激しく振ってみせるのだが、
「頼むよ」
真剣な表情の粗木さんの頼みには弱い。

分りました、と若干勢いの押し切られた感で頷くと、青いスパイクの爪先に力を込めて駆ける。 <> 無題:3/6<>sage<>2011/09/25(日) 02:43:02.71 ID:+njoIb6v0<> …行くところなんて、一つしかない。

本当はあの二人だって知ってるはずなのだ。
だってもう10年来の同僚じゃないか。

───何で今なんですか。何でメディアの発表で知らされなきゃなんないんですか。
───何で直接言ってくれないんですか。

たぶん、彼も同じ事を思ってる、同じ事を聞きたいと思ってる。
…あの人の口から、直接。


感得室へとつながる廊下は、立ち入り禁止令でも出ているのか信じられない位に静かだ。
試合後の相変わらず、短くそっけないコメント以外はシャットアウトしているのだろう。
節電で薄暗い空間で、どんより薄暗い空気をまとった彼は、確かに井場田さんの指摘通り、”とても分りやすい落ち込み方”をしていた。
具体的には感得室のドアの脇の壁に寄り掛かり、しゃがんでいたのだ。

ぺたぺた、と僕の足音に気付いた彼は据わった目付きでこちらを一瞥すると
「…あっちいけ」
と、にべもない。
しかしあの二人に頼まれた以上、いや、僕本人が「ハイそうですか」と引き下がる気はなかった。
ぺたぺた、また数歩近付く。
普通に並ぶと桁違いの体格の彼を見下ろすと、丸い後頭部にくるりと小さな旋毛が子供のように感じる。
顔を上げぬままの彼をしばらく見下ろしていたが、耳が当たらない分の間隔をおいて、僕も彼に倣って壁に背を当てて腰を下ろした。
美しい体育座りで正面を向いたまま、沈黙だけが僕たちの間を漂う。
「…粗木さんに言われたんだろ」
正解ですパチパチパチと青い掌を叩いたら、伸ばした腕で耳を思いっきり捩じられた。
(痛い痛い、頭もげる!)
「ほんと、お前むかつくわ…」
その腕を振り払い、僕は丁寧に耳毛を梳くと、再び体育座りのままじっと向かいの壁を見詰めていた。 <> 無題:4/6<>sage<>2011/09/25(日) 02:43:17.29 ID:+njoIb6v0<> …本当は、僕も聞きたかった。

『俺とお前で、チイム度荒だな』
飄々とした顔のまま、そう囁いてくれた時。
『新しいユニ、買ってもらいな』
すりきれた僕のズボンを引っ張りながら、そう言ってくれた時。

バク転前でおなかがシクシク痛んでも、失敗続きで胃がキリキリ痛んでも、その言葉を思い出すと、ほんわりと痛みが緩んだ。
見ていてくれた、気付いてくれた、その事がどれ程嬉しかったか。

(知らないでしょう、あなたが僕とベンチの皆との距離を近づけてくれた事)

隣の彼が執拗に股間を狙っては悪ガキのように笑い転げる、そんなそんなじゃれ合う機会も少なくなり、若い選手たちが悪い先輩の薫陶を受けたのか、試合前にちょっかいを出してくる、そんな光景が当たり前になったのは、一緒の時間を重ねてきたからなのに。
そして、あの人は知らないまま、さっさと僕らを置き去りにしてしまうのだ。
ずっと一緒にいるなんてのは、この世界では無理だ、それは分ってる。
戦力外、トレート゛、FA…僕が預かり知らぬ事情でみんなは去って行く。
ふと、王求団の都合で、王求団界を去っていったマスコットを思う。
彼はどんな気持ちで王求団場を後にしたんだろう。

膝の上に重ねた手首の1994のリストバンドを弄っていると、隣の彼がすっくと立ち上がった。
慌てて顔を上げると、脇目も振らず、元の道を大股に歩き出そうとする。
立ち上がり反射的に彼の腕を掴んだ。すぐに容赦なく振りほどかれる。が、再び両手で、渾身の力を込めて取り縋った。
「離せよ!」
思いっきり鼻を叩かれ、仰け反りそうになるのを自慢の胸筋で堪え、引き止めた彼の腕をしっかと胸に抱え込む。
「離せっつってんだろ、このキモコアラ!」
僕の弱点、首の付け根をぎりぎりと押し合いへし合う抗争を展開していると、

「…さっきからごちゃごちゃうるせーなぁ、お前ら」

ドアが唐突に開かれ、こちらもまだユニ姿の感得が顔を覗かせた。 <> 無題:5/6<>sage<>2011/09/25(日) 02:43:28.85 ID:+njoIb6v0<> 取っ組み合いの体勢のまま凍りついた僕たちは、感得の冷静な視線で一撫でされると、さながら喧嘩をたしなめられた学生のように、そろそろとその腕を解く。
「試合は終わっただろ、さっさと帰れ」
しおらしく並んだ僕らにそう言い置き、再び室内に戻ろうとする感得にかぶせるように、盛野さんが口を開いた。

「…何で、言ってくれなかったんですか」
「あ?」

一瞬にして空気が張り詰める。
僕は口元を手で多い、右に左にと二人の顔を往復させた。
そのたびに白い耳毛がふわふわと舞い、無音の空間にその耳毛が落下する微かな音さえ聞こえる気がする。
「…何でいちいちお前らに言わなきゃいけないの」
床を見詰めたままの盛野さんの顔が凍り付くのが分った。
(そんな言い方はあんまりで…って痛ぁ!)
前に出ようとした僕は脛を蹴られ、痛みに悶絶して蹲る。
蹲り、それでも顔だけは上げて感得に一言言おうとすると、下を向いたままの盛野さんの表情が見えた。
…それは、泣き出す寸前のものだった。
ドラマチックな逆転劇でのお立ち台でも、感極まって涙ぐむ事など少ない彼が、涙を浮かべて唇を噛み締めていた。

───うん、分ってるんだ。
僕らだって、伊達に長年この世界に身を置いている訳じゃない。
本当の理由なんて、知らされない事の方が多いんだ。
ただ、悔しかった。
知らないところで、知らないうちに、話が進んでしまっているのが、悔しかったんだ。

彼の大きな目にじんわり浮かんだ涙は、堪え切れずにぽつりぽつりと僕の目の前の床に落ちる。
リストバンドで拭いもせず、黙って項垂れた彼は、ただの野王求小僧にしか見えなかった。

(僕も泣き顔になれたら良かったのに)

彼にナメくさった笑顔と酷評された表情を見せてしまうのが辛くなり、僕は止めどなく落ちる水滴だけをひたすら見詰めていた。 <> 無題:6/6<>sage<>2011/09/25(日) 02:43:42.40 ID:+njoIb6v0<> 「…ほんと似てるんだなぁお前ら」

ちょこんと頭上に乗った僕の帽子を軽く叩く感触に、僕ははっと面を上げる。
感得の顔が、僕の視線の位置にあってびっくりした。
ぽんぽんぽん、と数度青い帽子をあやすように撫でられる。
「眉毛か、この下がり眉が似てるのか」
僕のチャームポイントの太い眉を指先で辿り、なぁ、と振り仰いだ先の盛野さんは、ようやく腕で目元を乱暴に擦り、
「似てないです」
とやけにきっぱり言い捨てた。

「いや、良く見ると確かに似てるわ、この口か?」
愛らしいと評判のほっぺたを小突かれるのには堪らず、僕はふるふると巨大な頭を振ってその攻撃を逃れた。
勢い余って尻餅をついてしまったが、その姿すら感得に笑われる。
そして腕を掴まれ、感得と一緒に立ち上がると、いつもの目線の高さの盛野さんが擦り過ぎのせいだけでなく赤くなった眼でじろりと僕を睨みつけていた。
すかさず二の腕をさすり体をくねらせて、怖いわぁ、のジェスチャーをすると、
「こいつ、ガキなんだからあんまりからかってやるなよ」
そう言って今度は盛野さんの頭をぽんぽんぽん、と軽く叩いた。
僕にしたように、ぐずる子供を宥めるように。
感得よりも高い位置にある盛野さんの頭は、ちょっと猫背気味な彼の姿勢のため、実は簡単に叩きやすい高さにあるのだ。
最近髪の毛を切った彼の頭は丸さが強調されて、多分、掌にフィットしやすいのだろう。
最初に叩いた手と逆の手でも、監督は頭を軽く叩く。
「あの燕にはお前からよろしく言っといてくれよ」
僕に向かって付け足すと、これで仕上げとばかりにくしゃりと乱暴に撫でた。

僕は精一杯の笑顔を作る必要のない、この顔にちょっとだけ感謝する。
いつまでも子供みたいな盛野さんと違って、この僕は参冠王に涙なんか見せられないからね。

腰に手を宛て胸を聳やかした僕の大きな耳には、ト゛ームにこだまする歓声が聞こえていた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/25(日) 07:57:44.21 ID:uQ6APRXT0<> >>110
泣いた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/25(日) 08:21:59.58 ID:AOiQd7Gx0<> >>110
GJ!!
まじで泣けるわ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/25(日) 12:06:22.84 ID:cjkVE7KH0<> >>110
GJ しんみりと泣けたわ… 鯱の国のものとしてありがとう!! <> フジ.ゼロッ.クス.TVーCM.少年×ジャグラー<>sage<>2011/09/25(日) 18:14:12.11 ID:FmXX7jW6O<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ダニエル少年は 毎日 石畳広場で皆に見向きもされずにジャグリングをする男を見ていた.
ダニエル少年にはジャグラーが 確かな技術を持ちながらも自分の価値を見出せないままに毎日を過ごしている様に見えた.
ある日 ちょっとしたアイデアを思いついたダニエル少年は キーボードを抱えてジャグラーの立つ広場に走った.
ダニエル少年のキーボードは鍵盤がセンサーになっており 叩くとプリセットしてある音が順番に出る.
ボールを自在に操るあのジャグラーなら 鍵盤にボールを当て まるで本当に弾いているかのように見せてくれるはずだ.
ちなみに鍵盤上ならどこを叩いても登録してある音が鳴る仕組みで ボールの当たった位置は音程に関係ない.
ダニエル少年はジャグラーの足元にキーボードを置き ジャグラーを促した.ダニエル少年の瞳を見つめ 得心したジャグラーは足元のキーボードにボールを弾ませた.
ボールが鍵盤を跳ねる度キーボードが軽やかに鳴り 16分音符の走句がはしる.
道行く人の足が止まり皆がジャグラーを見た.数分前までジャグラーに見向きもしなかった人々が 驚嘆と賞賛を隠そうとはしなかった.
「ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調」.ジャグラーは名曲をボールで奏で ダニエル少年は誇らしげに笑った.
演奏を終えたジャグラーは喜びを迸しらせ ダニエル少年にバルでカフェ・コン・レッチェをご馳走した.
夕暮れ時に二人は別れ それから10年ばかり後になって ふとしたことからダニエル青年はジャグラーと親しくなった.
殆ど10年ぶりに再会した二人は 何度も会っているうちに親しくなった.一緒に旅行に出た事も多々ある.ある夜にダニエル青年とジャグラーは旅先で結ばれた.
同時に果て 股間を熱く濡らしたジャグラーは ダニエルの腕枕に頭を預け 10年前を思い出した.
彼はあの日 パートナーの存在が「不可能」を「可能」へと導く事を知った.パートナーがいれば 可能性は拡がる.
ダニエルとダニエルのキーボードが彼を輝かせてくれた様に. Solution for you. 富士.Zeroッ.クス.

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/26(月) 19:31:12.30 ID:YEYB8CkJ0<> >>110
。゚(゚´Д`゚)゚。涙で前が見れないっす… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/26(月) 19:54:33.41 ID:0WjrlZDX0<> >>110
感得自身もその日に知らされたんだよね… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/26(月) 21:33:06.07 ID:R2iN3ytr0<> >>110
度荒は堕ち愛監督になって初めて個性を発揮できたんだよね。
マスコットに優しい人だから。GJ、GJ……!

>>119
このCMに密かに萌えていたっす!
最後、CMのキャッチにつながる流れがかっこいい。
ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/29(木) 03:11:11.03 ID:Wl4pIz0F0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

アイダブリュジーピージュニア後の話です。ナマモノ注意。どインディーレスラー。

「イブシのこと……傷つけたくないから」
金色に輝く巻き毛を軽く揺らし、俯きながらケニーは言った。
即座に自分のとった行動は、はははは、と笑いながらケニさんは優しいね、と顔をニヤつかせたことだった。
「ケニさん、優しい…僕は優しくない…イブシのこと、傷つけたい…」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/29(木) 03:13:56.65 ID:Wl4pIz0F0<> 俺らは一人の天才のことについて語っているのだ。。
すらりと長い手足に鍛え抜かれた筋肉、それも無駄にマッチョなのではなく、しなやかで彫りの深い…
例えるなら彫刻のような肢体。
そして生まれついての身体能力の高さ、瞬発能力、動きの鋭さ。
攻撃だけではなく、プロレスならではの受け身もしっかりとれるし、その魅せ方も心得ている。
顔だって、まあ悪くはない。
だがあいつの頭の中に詰まっているのは筋肉だけだ。
まるでアホ。字も読めない、計算も出来ない、ちょっとでも込み入った仕事などもっての外。
流石にそれ位の能力差をつけないと、人としてのバランスが取れないと神様も思ったのだろう。
あいつは、普通の人以下の頭脳能力と集中力しか持ち合わせていなかった。
日がな一日ゲームをしまくって、友達とじゃれあい、たまに素人レスラーの作ったリングに出て体を動かす。
それだけで、レスラーなら誰もが羨むような華麗な技を次々に繰り出し、終には至高のベルトを二つも手にしてしまった。
こんなことが、許されていいのか。
時期が合わないというだけのことで、挑戦することさえも出来なかったレスラーが多々存在するベルトを
あっさりと手にし、無邪気な顔で笑うあいつ。
嫉妬するしかない、実際にそんなやつを目にしてしまったら。
つーか、嫉妬しないやつは屑だ。レスラーとして、屑だ。

<> 風と木の名無しさん<><>2011/09/29(木) 03:52:31.11 ID:4yCByCLm0<> しえん? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/29(木) 08:57:05.17 ID:Wl4pIz0F0<> シエン スミマセン…

普段はいいやつだけど…ただのガキでバカなんだけど…
この俺が、不器用で面倒くさくて、殴り殴られることだけが生きがいのこの俺が、
そんな格闘技界のエリートの姿を見せられてしまったら…嫉妬しなければ生きていられないじゃないか!
それなのにあいつは、そんな俺の思いさえも簡単に踏みにじる。
ベルトを獲得したまま試合で左肩を脱臼、休養欠場によりベルト返上となってしまったのだ。
俺たちレスラーの目標たるベルトを掻っ攫っておいてそのまま消えてしまうなんて。
この、宙ぶらりんな気持ちを一体どうしてくれるんだ。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/29(木) 09:00:18.94 ID:Wl4pIz0F0<>
そして、この男だ。ケニー。
イブシの試合をようつべで見て、わざわざカナダからイブシを名指しして対戦を申し込んできた男。
「北米の路上王が日本の路上王を倒す」などと言ってたのに、
「戦っているうちに愛が芽生えた」などと公言して憚らなくなり、挙句の果てに二人でコンビを結成してしまった。
本末転倒ではないか。
私生活でもベタベタしやがって。何がゴールデンラヴァーズだ。何が愛してるだ。
そんな…男前な顔を曇らせて「イブシのこと心配、僕はイブシと試合したくない」とか言うな。
遣り切れない。こいつらが、本気でお互いを思い合ってるのが伝わってくるだけに遣り切れない。
そんな悲しそうな顔をしないでくれ。俺にはあんたを慰めることは出来ないんだ。
俺の戦いに荒んだ心では、あんたらみたいに無邪気にじゃれあうなんてことは出来ないんだ。
一瞬の躊躇いもなく、互いの心を信じて危険な技を繰り出しあうなんてことは出来ないんだ。
怪我を治してリングに戻ってくるのを、疑いもせずに待ち続けるなんてことは出来ないんだ。
羨ましくはない、俺がリングに求めているのはそんなものではないから。
ただ、切なく思うだけだ。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/09/29(木) 09:32:14.74 ID:Wl4pIz0F0<> そんな純粋な思いは、いつかは裏切られる。思いもしない事態にぶちのめされてしまうだろう。
それにあんたらは耐えられるのか?
……そうだな、そんなことを俺が心配してもしゃあない。
散々に潰され裏切られてきた俺が、まだこうして生きて、戦い続けてるんだからな。
一瞬、不貞たように笑ってしまった俺を、不思議そうにケニーが見詰めてくる。
「ダイジョブですか?サトさん?…お疲れチンコ!」
…くくっ、そうなんだよな。リングに集まってくるやつは例外なくバカで、下品で、いつかはぱっと散ってしまうような儚さがある。
それがいいんだ。それだから、いいんだよ。
次の試合が決まったらまた殴りあおうぜ、ケニー。そしてイブシよ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!間ガアイテゴメンナサイ… <>
忍法帖【Lv=40,xxxPT】 <>sage<>2011/09/29(木) 19:41:37.39 ID:OpYhUYw70<> タイトルなり投稿レス数なり入れて
区別する気はないのかねぇ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/01(土) 16:30:36.04 ID:dmkj6AYiO<> 荒しか晒しかな? <> 某大泥棒とその相棒1/5<>sage<>2011/10/01(土) 19:39:35.79 ID:fvn7p7ES0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「どう? 次元」
甘ったるい声に呼びかけられ、次元は読んでいた新聞から顔を上げた。

「このドレス、彼、気に入ると思う?」
艶やかな笑みを浮かべた美人が目の前でくるりと回り、次元の膝元にしゃがみこんで
顔を覗き込んできた。
大きく開いた胸元には、見た目だけでその柔らかさを想像させるのに充分な白く豊満な膨らみが二つ。
男なら飛びつきたくなるような光景だが、幸か不幸かこの女の中身を知る次元としては
微塵もそんな気は起らなかった。

「いいんじゃねえのか」
次元は一瞥しただけで興味なさげに視線を落とした。

「つまんない反応」
そう言って次元から離れようとした女が、不意に悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ひょっとして妬いてるとか?」
「……ハア」
次元はため息をついてみせた。
しかし女は自分の言葉に機嫌が上向いたらしく、再び嬉しそうに次元にまとわりついてきた。

「ねえ、次元。ネックレスはどっちがいいかしら?」
「さあな。俺にはさっぱり」
「もう。真剣に考えてよ。あんたみたいな朴念仁にはどうでもよく思えるかもしれないけど、
大事なことなんだから」
そこで彼女の声色が低くなる。

「何つっても、あいつを釣る大事な餌なんだからな」
「……ルパン」 <> 某大泥棒とその相棒2/5<>sage<>2011/10/01(土) 19:41:13.49 ID:fvn7p7ES0<> 次元は呆れていた。

目の前の相棒は彼の持つ変装のテクニックを駆使して、絶世の美女に変身中である。

その目的は彼の狙うお宝の秘密を握ると目される宝石商主催のパーティに参加し、彼に取り入ること。
珍しい宝石と並んで美人に目がないことでも有名な男だった。

ルパン(が化けた美女)が手にしているネックレス二つにあしらわれた石は、両方とも
数年前に男の手掛ける店から盗み出されたものである。
それを身に付けた美女に男が食いつかないわけがなかった。


「なんだって今回はそんな不二子みたいな真似するんだ。正面から行きゃいいだろ」
「せーっかく身近にいいお手本がいるんだから、こういう方法試しとくのも悪くねっかなって」
声色を変えるのをやめたルパンは美女の顔のままいつものニシシという声で笑った。

「それによー。こないだ誰かさんにさんざんダメ出しくらったからな。
ここは俺様のプライドにかけて、朴念仁でもクラッとくるような美人になってみせたわけ」

「…俺のせいかよ」
薄々それが原因なんじゃないかと思っていた次元は、相棒の言葉に改めてため息をついた。


数ヶ月前、別の仕事で女装したルパンは、調子に乗ってその晩次元をからかってきたのである。
甘い香りを振りまいて露出度の高い服で次元に密着し、怪しい言葉とボディタッチで
次元を挑発しようとしたルパンを軽くあしらい、「どんなに化けてもお前の猿顔しか浮かばねえ」だの
「その体も元は腕毛脛毛びっしりだと思うと寒気がする」だのさんざん言ってやった。
それが密かに彼の完璧な変装に対するプライドを傷つけていたことを、知らなかったわけではない。 <> 某大泥棒とその相棒3/5<>sage<>2011/10/01(土) 19:42:46.58 ID:fvn7p7ES0<> ……でも、しょうがねえじゃねえか。

自分の悪戯は棚に上げて少しだけ傷ついたような顔をしたルパンを思い出し、心の中で反駁する。

……俺にとっちゃ、お前はルパンでしかないんだから。


「どうよ? お前のリクエストにお答えして今回は黒髪よ。んでもってこのパーフェクトバディ! 
さすがの次元ちゃんもクラッと来たんじゃないの?」
ルパンは言って次元の座ったソファに乗り上げてくる。
「なんだリクエストって」
「こないだ言ってたじゃねえかよ。黒髪のほうがいいって」
「そんなこと言ったか?」
「言った!」
「うーん…」

迫ってくるルパンに押されて身を引きながら、次元は思考を巡らせた。
目の前でストレートの長い髪がサラリと揺れる。

覚えてはいないが、確かにこの透き通った肌の色には黒髪が似合う、気がする。

知らず髪に触れた次元の手首をガシッとつかんで、ルパンがニヤリと笑った。

「あら。とうとう次元ちゃんもアタシの魅力にムラッとした?」
「クラッじゃねえのか」
「男が感じる気持ちとしてはクラッよりもムラッのほうが上でしょ?」

見知らぬルパンの顔の中で、二つの瞳が楽しげな光を放つ。

それは、いつでも未知なるものを求めて輝く目。
それは、どんなものからも縛られることを認めない、強い自尊心を湛えた目。 <> 某大泥棒とその相棒4/5<>sage<>2011/10/01(土) 20:03:50.49 ID:fvn7p7ES0<> 紛れもない、ルパンの目だ。


次元は手を伸ばした。


完全に次元が引くのを追いかけていたルパンは急に引っ張られて前につんのめった。
気づけば息がかかる位置にある距離に次元の顔がある。

「えっわっ、ちょっと! 次元ちゃん!?」
そのまま近づいてくる顔に、焦った声を上げた。

「わーっ! タ、タンマタンマ! 悪ふざけしすぎたのは謝るから!」
必死に左手で次元の額をつかみ押しとどめようとする。
「ホラ次元! 女に見えても中身は猿顔だぞ! 髭も濃いし他も毛深いぜ!」
自らの顎に手をかけてマスクを剥がし、ドレスの下の特殊スーツも破いて男の腹を露出させる。


「…ぶっ」

次元は盛大に吹きだした。あっさりルパンから手を放すと腹を抱えて笑いだす。
「自分で猿顔だって認めやがったな」

顔に半分マスクが貼りついた形で腹を出したままルパンは口をへの字に曲げた。
「…お前、わざとやったな」
次元がにやにやと笑いかける。
「いっつも人で遊んでんじゃねえぞってことだよ」 <> 某大泥棒とその相棒5/5<>sage<>2011/10/01(土) 20:04:57.37 ID:fvn7p7ES0<> 「あーあー。つっまんね。やーめた。馬鹿らしくなってきた」
ルパンは引っかかっていたマスクを全て剥ぐと放り投げ、ドレスを脱ぎ始めた。

「別の方法で盗んでやらあ。正攻法で行ったってな、俺様に盗れねえもんなんてねえんだよ」

それを見て次元の笑みが深くなる。

「お。いいじゃねえかルパン。そうこなくっちゃ」
「そのかわりお前にもみーっちり働いてもらうかんな」
こき使ってやるーと言いながらルパンは大股で自室へ向かい、バタンと音を立てて扉が閉められた。


その後ろ姿を見送って、次元はこぼれる笑みを抑えられない。

次にあの扉が開くのはどのくらい後だろう。数時間後か、ひょっとしたら数日後かもしれない。
そのときに彼は自分の名を呼んで、彼の頭の中で出来上がった絵図の一部分を自分に担わせるだろう。
そこにもう一人や二人が加わるかどうかはそのとき次第だが、いずれにしても宝石商の開く
それよりも遥かに楽しいパーティには違いない。


まったく。宝石つきの美女よりよっぽどタチが悪ぃぜ、お前は。

クールと評されるガンマンは、煙草に火をつけながら、心の中で相棒に告げる。

……こんなに俺をクラクラさせやがる。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)4レスデ キセイニヒッカカルトハ オモワンカッタ

基本泥棒のほうがガンマンを振り回すけど、10回に1回くらい反撃されればいいと思う! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/01(土) 22:02:56.43 ID:/Rv8kYm60<> うおールパン!かわいいよルパン!
脳内再生余裕でした。
また何か書いたら読ませてください。 <> 寝取られ片想い1/5<>sage<>2011/10/02(日) 21:26:44.37 ID:DU0uSKr90<> リョマ伝スレからネタ貰いました。方言は挫けました。
妄想が収まらないのでついカッとなって…。
イゾ→テンテー、田中ツンベ×テンテー
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

眼前にぱっと赤い花が咲いたかと思いきや、それは斬られた男の血飛沫であった。
斬った男は素早く刀を翻し、切先で相手の喉を突き止めを刺す。
「お見事。心兵衛殿」
血刀を拭いながら佐津間の人斬り・多仲心兵衛が振り返り、
「武知殿に皆の手本となるよう宜しく頼むと言われてしまっては、
 見っともない真似は出来ませんからな」
と、快男児そのものといった爽やかな笑顔を見せた。
「井蔵も天誅で名を上げたいならよく見ておけよ、何せ天誅の先陣を切った男の技だ」
「また帝の御座す都が奸賊の血で洗われたのう、先生もお喜びになる」
心兵衛の鮮やかな刀捌きに見蕩れていた井蔵だが、仲間に声を掛けられ我に返ると、
井蔵も抜刀していた刃を鞘に収めた。
(先生のところへ帰ろう)
しかしかつては常に井蔵を兄のように嗜め、気にかけてくれていた愛する師匠は、今は他の男の物であった。
(なぜ先生はこの男とそれほどまでに…)
井蔵は恨みがましい視線をこのたび師の義兄弟となった目の前の男、田中心兵衛に向けた。
「恋仇でも見るような顔だな」
向うからやってきた心兵衛が、井蔵の剣呑な視線に気づき、面白がっているような口調で話し掛けてきた。
「我が藩と同じく土イ左藩でも衆道は盛んなようだが、武知殿に決まった方はおられなかったのか?
 井蔵は武知殿の一番のお気に入りだと他の皆が言っておったが、もしや…」
「俺と先生はそんな関係じゃねえよ!」 <> 寝取られ片想い1/5<>sage<>2011/10/02(日) 21:28:08.07 ID:DU0uSKr90<> 心兵衛の質問に井蔵は鼻白んで答えた。
井蔵を武知の高弟であることや剣技の腕を鼻に掛け、
生意気だとか思い上がっているとか陰口を叩く者もあるが、
自分が嫉妬される立場にいるというのは心地よかった。
何より武知が目を掛けてくれていた。自分は武知の一番弟子でどこへ行くにも一緒だった。
道場で井蔵の腕に並ぶ者はなく、武知の一番の男は自分だという自負があった。
(それが今では…)
「それは妙な勘違いをしてすまなかったな」
悄気た井蔵の反応を面白そうに見つめ、心兵衛がおどけたように答える。
「お詫びと言っては何だがおぬしにいいものを見せてやる。今夜武知殿の宿に来るといい」
どこか酷薄な光を瞳に浮かべ、心兵衛は擦れ違いざま以蔵の耳元で囁いて行った。

(先生はずっとワシの憧れの人じゃった!)
はじめて会ったとき、土イ左にこんな男もいるのかと目を瞠ったものだ。
差し出された手の白さが眩しかった。
その時からずっと、井蔵は武知に夢中だった。
あたかも一枝の寒梅のように清らかな彼の師の面影が、井蔵の心の大部分を占め続けてきた。
衆道の風習が色濃く残る土イ左ではそれは最早恋心といっても過言ではなかった。
師の雪のような白い肌に、叶わぬ思いと知りつつくすぶる劣情を密かに抱き続けていた。
もっとも密かな想いだと思ってるのは井蔵本人だけで、彼の仲間達には周知の事実であったが。 <> 寝取られ片想い3/5<>sage<>2011/10/02(日) 21:29:46.99 ID:DU0uSKr90<> 深夜宿舎の寺を抜け出し、井蔵は武知が仮住まいにしている宿まで辿り着いた。
心兵衛が何故あのような誘いを掛けたのか、井蔵はその真意を図りかねていた。
(先生の部屋で、心兵衛は俺に一体何の用事が…?)
どこか不安な気持ちを抱えながら、音を立てないよう注意して戸を開け、
人気の無くなった廊下を進み、武知の部屋の前まで来た。
襖の隙間から行燈の明かりが漏れ、男のくぐもった声と武知の良く通る声が聞こえてくる。
「私が14の時だった。同じ道場の上市の子息達が家に押し掛けてきたことがあった。
 親が居る隣の間で五人がかりで犯されたよ。下市の家の者が上市に対して何ができただろう?
 だが道場の有力者の念弟になったお陰で私は可愛がられ、腕を上げた」
「心兵衛殿、お前は私が知っているどの男とも違うな。
 ただただ私に傾倒するだけの男達とも、力尽くで私を慰み物にした彼奴等とも」
「井蔵?あれは若年の頃から面倒を見てきた弟みたいなものだ。そんな目で見たことなどなかった…」
衝撃的な話の内容に、井蔵は目の前が真っ暗になったような感覚に襲われた。
(嘘じゃ…先生がそんな…)
もうこれ以上聞きたくない、いま中を覗いたら
きっと取り返しのつかないものが壊れてしまうと思うのに、
その思いとは裏腹に井蔵は息を殺し足音を忍ばせ、襖の隙間に顔を寄せていた。
襖の隙間から二人の親密な会話が聞こえ漏れてくる。
「私の諱はもともとは美楯だったが不敬なので…小楯と改めたのです」
「今日よりは顧みなくて大君の 醜の御楯と出で立つわれは、ですね」
「さすがは心兵衛殿、存じておられましたか」
「心兵衛と読んでください、私の美楯殿…」
行燈の薄明かりの下、寝乱れた布団と無造作に放り出された着物の散乱する中、
武知の太股から爪先にかけて心兵衛が舌を這わせている。
予想していたものの思わず叫びたくなる衝動を必死で堪えながら様子を窺っていると、
心兵衛が武知の上に覆い被さった。
そのまま腰を回し押し付けるような動きをすると武知から甘い呻き声が漏れる。
武知が心兵衛の首に腕を回し、二人は貪る様にお互いの口を吸い、舌を絡め合う。 <> 寝取られ片想い4/5<>sage<>2011/10/02(日) 21:37:24.26 ID:DU0uSKr90<> ここまで聞こえてくる荒い息づかいと水音からその激しさが伺い知れた。
常に清廉な空気を纏う普段の武知とはかけ離れた淫らな姿に、
井蔵は目眩をおぼえつつ、股間が激しく昂ぶるのを感じていた。
「あっ…心兵衛…、もうこんなに大きくして…」
「後悔させませんよ、拙者と義兄弟の契りを交わしてくれると言ったこと…」
心兵衛と見つめ合って微笑み、半身を起した武知の行動に井蔵は脳天を打たれたような衝撃を受けた。
そのまま武知は心兵衛の股ぐらに顔を埋め、心兵衛の男根に口で奉仕し始めたのだ。
心兵衛の赤銅色をした見事な魔羅に指を絡ませ、舌で舐め回す武知は
白々とした表情の中にどこか恍惚とした色を匂わせていた。
(先生、そんなことされんで下さい先生っ……)
これまで見たこともないような表情を浮かべている師の顔を見て、
股間のモノは苦しいほどにいきり立ち、井蔵は思わず指の爪を噛んだ。
一物から頭を離し膝を立てうつぶせになった武知の腰を抱え、
心兵衛は屹立した赤黒い怒張を徐々に弾みをつけて突き入れる。
肉刀を根元まで収めきると、先程までの穏やかな雰囲気から一転、獰猛な激しさで心兵衛は武知を責めた。
「あぅっ…」
「どうです、初めてでしょう、佐津摩の男の味は」
「悦い…」
心兵衛が武知の上半身を押さえ込み、白い尻を高く突き出させて結合をより深める。
後ろからいきり立つ怒張を激しく突き入れさせるたび、武知の口から淫らな悲鳴が上がった。
武知は前へ這い摺り、何とか狂暴なまでの心兵衛の怒張がもたらす快楽から
逃がれようと身を捩るが、そうはさせじと心兵衛は体ごと覆い被さるようにして
武知の上半身を力づくで捻じ伏せる。
むしろ相手の無駄な抗いを楽しむように低く笑いながら抵抗を封じ、
押さえきれぬ熱情に滾る剛直を心兵衛は激しく抜き挿しした。
「なんて熱い…武知殿、今だけは私の…」
「ああ、ああ、ああ…、ああッ…!」
妖しく汗に濡れ光る武知の白い裸身がひときわ大きく反り上がり、爪先が布団に抉り込まれた。
井蔵は襖の陰で目を見開き、身動ぎもせず息をするのも忘れてこの淫らな芝居に見入っていた。 <> 寝取られ片想い5/5<>sage<>2011/10/02(日) 21:39:37.61 ID:DU0uSKr90<> どこをどう歩いてきたのか、二人の情事の場から逃げ出してきた時の記憶は定かではないが、
しばらくして井蔵は夜道を幽鬼の如く彷徨っている自分に気付いた。
思い出すだけでも嫉妬と屈辱感で頭が割れそうに痛み嘔吐感が込み上げてくる、
それなのに井蔵の一物は痛いほど怒張し褌の中は先走りでドロドロになっていた。
切なげな声で心兵衛の名を呼び男の腰に足を絡ませる武知の媚態を脳裏によみがえらせ、
井蔵は路地裏で昂ぶったままの己を慰め果てた。
先程の白い肌を朱鷺色に染め、嬌声をあげて男を求める武知の姿を脳裏に浮かべている最中、
武知を抱いている心兵衛の姿がいつしか井蔵自身に摩り替わっていた。
(俺でもええがじゃないか…)
(先生の尊敬と愛情を一身に受けるのは、俺でええ……)
腰の刀を無意識に握りながら、見上げると家屋の屋根の挟間から、
どこか物狂おしい月の光が井蔵を照らしていた。
板壁に飛び散った精液を眺めながら、井蔵は自分の心の芯が燃えながら凍ってゆくのを感じていた。

それから数日後、また天誅で殺された者の首が五条河原に晒された。
田中心兵衛は血塗れの愛刀をわざわざ宿に持ちこみ、まるで恋人に花でも贈るかのように
血染めの刀を武知に捧げると、陶然とした眼付きでそう告げるのであった。
談笑する二人の横顔を眺めながら、武知の微笑みはまるで、あの夜の心狂わす月のようだと井蔵は思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・*)イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> Rather than Suffer 1/10<>sage<>2011/10/08(土) 00:57:37.16 ID:iJmm0GHK0<>
現代版シャ一口ック@ビビシ >>40後日譚 傘兄×弟 バッドエンド風注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

* * *
弟が部屋から出てきてくれない、とマイク口7卜・ホ一ムヌ゙は哀しげに呟く。「えっ?寮に遊びに来ていたか?」アルヴァンレー・モランがすかさず問う。午後のクリケットコートの観覧席には、少し風が出てきた。
「自宅の部屋からに決まっているじゃないか。」ちょうど点が入って、マイク口7卜他観戦者たちが拍手での賞賛を贈る、まばらに。「先週もそんなことを言わなかったか?」
「…もう一週間も出てこないとは…なんてことだ。」マイク口7卜は上の空だ、音に反応し手を叩いている反射がその証拠で、得点は対抗チームなのだから。
多分、彼の弟は兄とだけ面会謝絶なのだろう、アルヴァンレーはうすうす察している。4つ違いの弟のみが判例だが、休日のたび帰省する兄をそうそう歓迎などしないものだ。
「なんとかショックを和らげてやれないものだろうか…。」それは余計な世話や取越し苦労として疎まれかねないが、とは言わずに、アルヴァンレーは曖昧に笑う。あまり要領を得なかったが友の話によれば、彼の弟はある近しい友の死に接し、傷心にあるという。
ローティーンにとって死が身近になるのは決して喜ぶ事態でもなかろう。
それ以上に、弟に対し手を拱いているしかないと思いかねないこのマイク口7卜の、心ここにあらずが気にかかる。進級試験が控えているというのに。
「もし良かったらだけど、僕の弟が力になれるかもしれないぜ?」
「…アルヴィー、必要なのは良い医者だ。すまないな。」
「うん、まあそうだろうさ…ただ結果は同じことだ。最終的に薬を処方してもらえれば良いんだろう?」 <> Rather than Suffer 2/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:00:10.49 ID:iJmm0GHK0<>
マイク口7卜の眼がふいに細まる。「巷で買える質の良くないものならお断りだ。」
「まさか。出所ならしっかりしているぞ?第一クリニックでしか扱わない合法薬だし、至って健康な僕の弟も時々服用している。もちろん学校に通っているし、ジャンキーを目の仇にしてるよ。」
「…それでも、薬は悪夢を完全に忘却させはしない。」
「当たり前だろう?用途は緩和なんだから。そりゃ時間経過が一番の療法かもしれないが、どうやら君が待っていられないみたいだからね。」
話すのではなかった、とマイク口7卜の鼻白む表情からみてとれる。
「僕のことはどうでもいいんだ。…アルヴィー、外泊するよ。舎監にはどうとでも理由をつけてことわっておいてくれたまえ。」
「…君の弟は、きっと君に会…わないと思うぜ?」会いたがらない、とは言わずにおいた。
「僕が僕の家に戻るのを、君がとやかく言う筋合いじゃない。」
立ち去るマイク口7卜を、生徒たちがいぶかしむ。試合も終わっていないのに、主将がコートを離れるなんて。
引き止めに失敗したアルヴァンレーがチーム選手に責められ、かつ伝授されてないはずのない作戦を聞き出すために吊るし上げになる。ありもしない作戦。
頭脳明晰な友人のアキレスの踵である彼の弟=シャ一口ック・ホ一ムヌ゙の霍乱は、アルヴァンレーにとっても実に大儀な話。

さんざしの垣根の根元で、母がスコップを使い、懸命に土を掘っている。傍らに花の苗。
「弟(/My little brother)は食事した?」足音で気づいているはずのミセス・ホ一ムヌ゙は顔を上げずに、息子の代わりに「ただいま、ママ。」とおどけて低くした声色を使う。
「頼むよ、ママ。シャ一口ックは今日何か食べたかい?」
「あなたが帰ってきたからもう今夜は食べないかもしれないわ。」
<> Rather than Suffer 3/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:02:31.78 ID:iJmm0GHK0<>
「言い負かしゲームならまた別の日に付き合うよ。今朝はラスクのかけらでも食べたかな、あの子は?」
「このプリムラを見て。見事でしょう?」「ママ!」「これシャ一口ックが運んでくれたの。」
上げた母の顔が決して上機嫌でないのはわかったが、彼女の情報はマイク口7卜を瞬時に喜ばせた。
「…ク口7〒ィ一、何度も言うようだけれど。あなたが父親代わりになることはないのよ?」
「そんな…恐れ多いよ、ママの…夫であるひとの代役だなんて。」
「うまいことを言っているつもりだろうけれど、あなたはもう少し注意すべきね。興味のない話題に対しあまりにも素直に抑揚を失くしてしまう。悪い癖だわ。」
だってどうでもいいんだもの、仕方ないじゃないか。マイク口7卜は嗜めつつも手は休めず土を掘り進んでいる母を、苛立たしげに見下ろした。
しかし、異父弟シャ一口ックの母親でもある彼女への敬意が些かも損なわれることはない。
「僕はシャ一口ックが心配なだけさ。」母親を視界から消し、マイク口7卜は宣誓のように虚空へ言い訳する。
「あなたがベッドのあの子を見る様子が目に浮かぶわ。シャ一口ックが赤ん坊の頃、揺り籠のあの子を見てあなた、同じように言ったもの。」
「…申し訳ありませんがそんな大昔の発言、記憶の外ですね。」
「こんなに小さいんだもの、外に出したら風邪をひいてしまう!日向ぼっこなのに。」
「……覚えていないことに対しなぜこんなふうに責められなくては…」
「それから、『散歩なんてとんでもない!ママがボーっとしてる間にも攫われたらどうするのさ!』傑作だったわ。」
「手土産も持たず戻ってきて本当に失礼しました、許しがたいでしょうがそろそろ勘弁していただきたいんですが。」
「そうじゃないでしょ。」ミセス・ホ一ムヌ゙はようやく手を止め、年嵩の息子を見上げた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/08(土) 01:08:47.97 ID:GIl3JuSm0<> しえん <> Rather than Suffer 4/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:13:56.47 ID:iJmm0GHK0<>
「あなたの弟はショックを受けたかもしれないけれど、戦えないほどお馬鹿さんではないわ。」
「戦う?何とです?まさか僕と?」「それじゃあなたはリングにも上がれてなくてよ。」
母は襟足を保護していたタオルをとり、手の汚れや顔の汗を拭う。いつの間にかプリムラの苗は地面にすっかり居場所を確保している。
「請われない助成は所詮自己満足よ。あの子は今戦っているの、自分とね。それはもう必死。でもあなたがやってくるたび挫けそうになる。あなたが腹立たしいほど優しいからだわ。
  優しさは時と場合を間違えては駄目よ。今のあなたの優しさは、残念ながらシャ一口ックをスポイルしかねないたぐいのものなの。」
自分は彼女に何かしたろうか、マイク口7卜はさまざまな回想を試みる。しかし何も思い浮かばない。実の母親でなければ、きっと彼は白手袋を放ちさえしたろう。
あまりにも耳障り過ぎて、脳がすかさず消去せよという信号を送ってくる。
だが彼女の指摘はあまりに的を射すぎているし、深奥では彼自身にも身に覚えがありすぎて、単なる再確認としてさらに刷り込まれたようなものだ。
それでも、とマイク口7卜はまだ奥の手をだしていない弁護士の落ち着きも身に着けている。さいわい、あなたにもまだわからないことはある。
純正なる弟へ至当に向けるべき優しさのみが、自分を動かしている動機ではないと。
ただ、それを母に告げる必要はない。負けてやるのが彼女への礼儀だからだ。
それに彼女たちはたいがい理解したがらないものだ、こうした感情の実存を。
「…カウンセラーを、紹介してもらえそうなんです。それぐらいならいいでしょう?」
「そうね、話してみるわ。」「いえ、それは僕が。」「でも…。」
「嫌ならそう言うでしょう?もちろん無理強いなんかしません。」
「ねえク口7〒ィ一、何か個人的な理由のためにあの子を口実にしているのなら…」 <> Rather than Suffer 5/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:15:53.21 ID:iJmm0GHK0<>
「心外なこと言わないで、ママ。僕は本当に、シャ一口ックに元通り元気になってほしいだけなんだ。」
ミセス・ホ一ムヌ゙の諦観による破顔が、マイク口7卜の証明弁論の成功を確約する。
「…本当に良い息子を持ったわ、わたし。大っぴらに自慢できないのが悔しいわね。」
母のてのひらがマイク口7卜の右頬へ当てられる。彼女は実に誇らしげだ。結局、彼女にはこの年長の子も、無償で愛すべき自慢の息子なのだ。
「シャ一口ックの夕食は僕が作ります。僕は要りません。ママは先にやすんでて。」
彼に課される慈しみ深い長男の役割を、マイク口7卜は間違わず、今回も完璧にやってのける。
いっそ全盲になってしまえたら、と思うほど愛する弟への邪心を悟らせないために。

毛布の裾から足首が覗いている。本を読んでいたな、自分の足音で、頭は毛布の中へ隠したか。
色のない骨ばったくるぶしを両手に包み、そこにくちづけたい衝動を意識下で惨殺し、マイク口7卜はベッドへ腰を下ろした。
沈む振動と同時に、シャ一口ックは寝返りを打った、当然兄から遠のくために。
「シャ一口ック、返事はいらないがただ聞いてくれるだけでいい。」
その反応は意外なものだ。弟は勢いよくベッドから起き上がり、絡みつく毛布を蹴り上げ、スプリングの沈下を利用して床へ器用に着地する。
生成りのナイトウエアは皺だらけ、頸もとをしめるループがほどけ今にも落ちかかっているし、ボタンは鳩尾あたりからしかかけていない。辛うじて裾丈は長いが、膝から下はボトムを履いていないせいで剥き出しだ。
シャ一口ックは無表情を保ち、窓辺にあるデカンタから水をコップへ注ぐ。しかしそれを持ったまま、飲むつもりはないようだ。
マイク口7卜は立ち上がって静かに弟の傍らへ寄り添い、まずはコップの底を支え、他方の手でそれを握るシャ一口ックの右手をゆっくり外してやった。 <> Rather than Suffer 6/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:17:53.58 ID:iJmm0GHK0<>
間髪いれずシャ一口ックは踵を返し、ベッドへと戻る。ふんわりしたままの大きな枕を抱え、しかし毛布には包まらなかった。
今度は取らせてやらないという表明か、マイク口7卜の観察下で彼の両腕は綿の塊を締め上げていく。
こうした鬼ごっこを、マイク口7卜は内心進歩と喜んでいたが、当然表面に著す愚はおかさない。
少し苦笑し、少し片眉を下げるに留め、再びゆっくりと弟へ近寄ってみる。
「Halt!(止まれ)」もちろん、マイク口7卜は立ち止まった、シャ一口ックまであと一歩。
「♪Ei willkommen, ei willkommen…♪(やあ久しぶりだね!)」つい口ずさんでいたマイク口7卜だが、弟の上向く瞠目にその続きも止められてしまう。
「フィッシャー=ディースカウの前で同じように歌えるなら笑ってあげてもいい。」
シャ一口ックのお気に入りが最近はシューベルトの歌曲集なだけに、多少は緩衝効果を期待しての低唱だったが、実質逆効果になった。
「…座ってもいいか、となりに?」軽く咳払いを交え、仕切り直しを試みるマイク口7卜。
「なぜさっきは訊かなかった?」「寝ているようだった。」「許可がなくてもどうせ座るくせに。」
そのとおり、おまえの許しなど必要はない。ただ、改まると特に話をしたいわけでもないことを、マイク口7卜はようやく思い出す。避けられるよりは、やはり不機嫌でしかも自分に対し憤然とする弟の様は、この一週間の空白を思うと快哉すら叫ぶところだ。
「だいぶ、良い塩梅のようだ。」「座ってまで言いたかったのが社交辞令なお見舞いなの?」
「その調子だ。」いつもの棘なら滅多打ちにもなるが、これぐらいが今は妥当なのだろう。
「カウンセラーは必要なさそうだ。」「自分がしてもらえば?」「必要ならなんでも手に入れてやれるんだが?」
「じゃあアンフェタミン。たくさんね。できないことは言うな。」
シャ一口ックは吐き捨てるように言うと、枕を抱いたまま横倒れになる。すぐ傍で、真っ白な膝小僧があらわになり、マイク口7卜の息を束の間奪う。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/08(土) 01:22:01.81 ID:9RctFQ1e0<> しえん? <> Rather than Suffer 7/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:25:25.76 ID:iJmm0GHK0<>
「まさか…服んでいるのか、おまえ?」正面の壁紙がモリス商会の複製で良かった。カイツブリと蔦草の連続パターンは、存外高ぶりかけた気を鎮めるのに役立つ。
「あーあーあーあーあーもうーーーいいからでていけよマイク口7卜…○×□…」
おそらく悪態の末尾は枕を被って寝床へ突っ伏したせいで、聞き取ることは不可能となった。投げ出した足もそのまま天へ向かって折れ曲がり、じたばたと幼児の地団太を踏む。
そう、シャ一口ックが退行しているのをマイク口7卜は確認したかったのだ。それが十分な理由になりうる、触れることへの免責として。
「シャ一口ック?」心持疑問調で、マイク口7卜は弟の勘気がむしろ収まらぬよう願う、徐々に上体を前方へ傾けながら。「シャ一口ック…。」もう一度呼んで、兄は弟の頼りない背中の上へ覆いかぶさった。
彼の下でしかしシャ一口ックのもがきは止む、おそらく戦慄している。
「重い!」「実感がないから苦しかったんだろう?もう少し我慢できるな?そうして僕がどけたらおまえの感じていた圧迫はすべてなくなるんだ。」
「ふざけるな!」辛うじて自由になる右肘を、シャ一口ックは力いっぱい振り上げる。マイク口7卜のどこか、ヒットはしたし痛みもあるのに、相手はまったく動じてくれない。
母は良かった。母は異性だから。シャ一口ックはあの傷ましい事件のあと、彼に近い年回りの同性を意識の外にしたがった。思考に入れたくなかった。
拭いようのない自責。目を閉じると視覚となってあらわれる『もしも』の恫喝。
「僕はいつだっておまえの味方だ、シャ一口ック…おまえには何一つ落ち度なんてなかった。」
おまえのせいじゃないと、確かに彼は誰かに言って欲しかったのかもしれないが、それはマイク口7卜ではなかった、決して。
では誰に? <> Rather than Suffer 8/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:27:40.96 ID:iJmm0GHK0<>
シャ一口ックの全身を防御する緊張が突如切れ、マイク口7卜はその脱力に慄き、思わず体を起こしてしまう。
「…シャーロッk…」その弛緩が純粋で猛然とした怒りであることを、不幸にもマイク口7卜には覚っている。
「…ぼくに…さわるな…。」「シャ一口ック、違うんだ、これは…」
「いいからぼくから離れてくれないか、マイク口7卜。これ以上ぼくの部屋で勝手はやめて欲しい。」
こんなはずでは。失敗をマイク口7卜は二度自覚する。頑迷な下命口調ならまだしも、弟からは諦めも滲ませる提案、あるいは懇願にすら聞き取れてしまう。
なぜこの単純で絶対的な想いだけが常に伝わらないのか。これほどあからさまに披瀝しているというのに。
同じぐらい簡単なことだった。シャ一口ックには結局、マイク口7卜の、マイク口7卜だけの好意を受けいれる気などまったくないのだ。
またなんという平易で明白すぎる絶望の淵だろう、己の与えられた位階は。
「…シャ一口ック…決裂にはならない、そうだな?」「あなたがそう思いたければ。ぼくの意見なぞ所詮意味なんてないだろうし。」それは今まで聞いたことのない、感情を失くした声だ。
「…そう、苦しむよりはむしろ、こうして虫けらみたいに扱われるほうがいい。…違う?ちょっと疲れた、寝かせてくれない?ああ、あなたの親切に感謝する、おやすみなさい兄さん…。」
シャ一口ックはかつて自分をそう呼んだことはなかった、断じて。なぜこの呼ばれ方がこれほど他人行儀に響くのか、マイク口7卜は恐ろしさに考えるのを途中で止めてしまう。

数日後、マイク口7卜は学内でアルヴァンレーに呼び止められる。
「今日はセバスチャンに他に用があって渡せないから僕が預かったんだ。」
何のことだか胡乱のマイク口7卜にアルヴァンレーは紙袋を掴ませる。 <> Rather than Suffer 9/10<>sage<>2011/10/08(土) 01:29:55.14 ID:iJmm0GHK0<>
「これは?」「君の弟のさ。」「何かの間違いだろう、彼には不要のものだ。」
困ったな、友の眉間が寄る。「代金はとうに貰ってあるんだそうだ。渡したぞ?」
問い詰められては事、そう察したアルヴァンレーはさっさと友のもとを去っていく。嫌な予感。
手紙以上に、この包みを確認するのは憚られる行為かもしれないが、マイク口7卜はいま一度検めずにいられなかった。

家の門をくぐると、玄関から見知らぬ男が出てきた。歩きながら持っていた黒革のブルゾンを羽織っている。その動作に奇妙な慣れが見てとれる。なぜか名状しがたい不快感を催させる。
目元に見覚えがあった。アルヴァンレー・モランの瞳に似ている。『セバスチャンに他に用があって』。先刻の余所余所しい友人の言い訳を思い出す。
男はマイク口7卜と目が合うと、愛想のつもりか口元を綻ばせ、その年齢には似つかわしくない大人じみた会釈をよこした。
印象の悪い連想がそこで決定打を鳴らし、彼はそれ以上男を見ないようにしてドアを開け、鍵もかけた。ふたごころを含ませたような、あるいは忘れたがっている過去の共犯を喚起でもさせるような、不吉。
彼の部屋に、行くべきではない。否、行ってはならない。マイク口7卜はそう自身へ言い聞かせているのに、両足は導かれるごとく歩みをやめない。
普段なら絶対できないが、焦燥は必要性を感じず、彼にノックさせずドアを開け放させた。
「……やあぁ兄さぁん……週末にはぁ…まぁだ間がぁ……あるんじゃぁぁ……?」
マイク口7卜はよろめき、ドアの縦枠に支えてもらう。しかし膝から力は抜け、立っていられない。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/08(土) 01:40:48.24 ID:DNSK01jL0<> しえんかな? <> Rather than Suffer 10/10<>sage<>2011/10/08(土) 02:16:51.81 ID:iJmm0GHK0<>
わずかに顔を傾け、視界際に兄を捉えるシャ一口ックの声はどこか酩酊に似る。飲み干したのかもしくは手遊びでそうするのか、空のコップを持って窓辺に置いた椅子に座るその両足は、幼子のようにぶらぶらと前後に揺れる。
その先に落ちているのは、多すぎる銀紙の抜け殻。時折、彼にだけ見える蝶を追うように、重たげに頭は右へ左へとさまよう。
生成りのナイトウエアを、急いだのだろう、後ろ前に着ているのにも気づいていない。
そしてもっともマイク口7卜が見たくなかったもの。
壁伝いに、彼は弟の正面へと移動した。兄はそれを視認し、両手で顔を覆う。続く咆哮。
シャ一口ックの細く滑らかな首筋をトレースする、まだ緋色を保つ無数の名残り。

Fin

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!



>>145さん,149さん,153さん
投稿ご支援ありがとうございました。助かりました。
最後もたついて申し訳ありませんでした。 <> 僕電 1/4<>sage<>2011/10/10(月) 23:21:01.99 ID:TIIU3k0I0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ビーエス時代劇束原僕電の主人公主従。
主従カワイイヨの萌え一念で書いたので幼名とか関係図・年表知識がかなり付け刃なのはご容赦を。
とにかく主従カワイイヨ。

「若が束原家のご養子に?!」
「声が大きい。」
剣の稽古の帰り道、静かに流れる川のほとりでそう告げられて、思わず佐門が声を上げると、若こと占部吉川朝高は
注意をするようにその口元に人差し指を当てた。
「まだ父上と師匠の間で繋ぎをつけている最中だそうだ。だが先方としても悪い話では無いらしいからほどなく決まるだろうなぁ。」
「束原家と言えば国主様の御一族、鹿嶋の御分家ではございませぬか。」
「うん。だからこちらとしても悪い話であるはずが無い。」
決まるだろうなぁ、ともう一度繰り返して朝高は歩き出す。
ふわふわ飄々とした足取り。
まだ幼いと言っていい年でありながら、剣の腕では周囲から抜きん出だした少年の歩みは、しかしいざ剣から離れれば
年相応の覚束なさを見せる。
だからつい世話焼き気質が頭をもたげる。
「しかしっ、そうなると若は占部吉川家をお出になる訳で?」
「そりゃそうだろう。どのみちしがない次男坊だ。いずれ養子に出されるのは覚悟していたがな。」
「しっ、しかし若のような剣以外ではどこか抜けているお方がそのような御家にご養子などと。」
「悪かったなぁ、抜けてて。」
主家の若君と家臣の息子。本来なら厳然たる身分差があるものだが、いかんせん幼い頃から幼馴染同然に育ってきたせいもあり
時折口が滑って本音が出る。
だからそれに申し訳ありませんと佐門が謝意を口にすると、朝高はまぁ当たってるけどな、とこれまた主筋の者とは思えない
安穏とした声を返してきた。
他家では考えられない緩慢な空気。
けれどそれがけして嫌いではないと思えば、養子に出てしまわれればもはやこのような事も無くなるのかと一抹の寂しさも内心で覚える。 <> 僕電 2/4<>sage<>2011/10/10(月) 23:22:29.48 ID:TIIU3k0I0<> そしてその想いにしばし口を閉じていると、先を歩いていた朝高がおもむろにこちらを振り返った。
「佐門。」
「……は、」
「寂しいのか?」
「…はぁ?」
いきなりの事に思わず調子の外れた声を上げれば、それに朝高は笑うと細くなる目をさらに見えなくなるまでの線にして笑ってきた。
「顔に書いてある。佐門は本当に何を考えているか顔を見ればすぐにわかる。」
「そっ、それは!若が逆にわからなすぎるのでございます!」
楽しい時も嬉しい時も怒っている時も悲しい時も、そのほにゃんとした顔でいつもへらへらへらへらと。
図星を指されて思わず、そして相変わらず余所の家なら速攻一喝されそうな不敬な事をぶつぶつ呟いていると、
それに朝高はまたしても「悪かったな」と笑いながら答えてきた。そして、
「稽古に来れば、また会える。」
すっと告げられた、その言葉に佐門は我に返った。
自分より年下で、いつもヘラヘラしていて、掴みどころが無くて、それでもこの若は時折突然大人になったかのような
まっすぐに澄んだ声を発する。
その成長の変化をずっと傍で見ていたい気持ちはあったのだけれど。
「そうですな。」
それでもこれはけして永久の別れでも何でもない。
言い聞かせる自分に朝高はこの時クルリと身をひるがえすと、また前に進み出しながら話しかけてきた。
「しかし佐門が寂しいなら一月に一度くらいは吉川の家に顔を出してやっても良いぞ。」
「そのような事を今から考えず、しっかりご養子先での勤めを果たされませ。」
「んー、なら七日に一度。」
「何故いきなり半分以上に短くなるのですか。」
「だったら二日に一度!」
「若、本当は養子に行きたくないだけでしょう…」
何とは無いやり取りを繰り返す稽古の帰り道。
こんな穏やかな日はこの先もう幾日も無いのだと思えば、歩く一歩一歩が大切に思える佐門だった。 <> 僕電 3/4<>sage<>2011/10/10(月) 23:24:08.39 ID:TIIU3k0I0<> のに、
「佐門、おかえりー。」
家の使いで外に出ていた自分が戻ってくると、縁側で団子の包みを開いて兄君、妹君とのんびり戯れていたのは
数年前他家に養子に出された朝高、今は名を改め新ェ門その人だった。
そのくつろいだ様子にたまらず声が出る。
「また来られたのですか?!」
「だって仕方なかろう。師匠が我が家に寄って行こうと言うのだから。」
師匠こと松元備全守は新ェ門の父とは古くからの友人であった。
養子先で剣の腕の更なる上達を求められた新ェ門はこの師匠の指導を仰ぐ機会が更に多くなり、その行く先にも
同行する事が増えた為……必然的にこの家にもよく来訪する事となった。
「松元様は昔から父上の事が大好きですものね。」
と、言うのは妹の真広殿。
「幼い頃からよく団子を手土産にこの家に来られておった。」
続けるは兄君常高殿。そして、
「出稽古に出ても帰りに必ずこの家に立ち寄ろうと言われる。おかげで私はこうして羽を伸ばせてよいが。」
のほほんと団子を頬張るのは、言うまでも無く名は変わっても中味はどうにも変わってい無さそうな新ェ門。
唖然とする佐門をよそに兄弟妹の話が弾んでいく。
「そう言えば、母上から聞きましたが、父上と母上の祝言の宴の席で、松元様は一人男泣きをなされていたとか。」
「それはまた何故に?」
「仲の良い友が先に嫁を取る淋しさと幸せを願う嬉し泣きではないか?」
「後者ならば良いですが、前者だと当時よくあらぬ噂が立ちませんでしたなぁ。」
「確かに、一人身ではそのような噂が立つ余地もあったか。」
「まぁ、父上や松元様や母上に失礼ですよ、兄上。」 <> 僕電 4/4<>sage<>2011/10/10(月) 23:30:06.80 ID:TIIU3k0I0<> この兄弟……
けらけらと笑い合う、話の種以外はもの凄く仲睦まじい光景を佐門が呆然と見遣っていると、それに気付いた新ェ門が
声をかけてきた。
「どうした?佐門も食うか?」
グイッと団子を差し出され、はぁと近づけば、それを手渡される時こうも言われた。
「佐門も、早く嫁をもらわないと人生何が起こるかわからんぞ。」
不吉な、無邪気な笑顔と邪気だらけな予言。

この後、そんな新ェ門の剣術修行のお供として嫁取り前の佐門が借り出される事となるのは、もう少し先の話である。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代行ありがとうございました。
そして父上と師匠、ごめんなさい。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/10(月) 23:34:48.28 ID:+P5ZxA7y0<> >>155
僕電めちゃくちゃ萌えました!
鮭かわいいよ鮭 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/10(月) 23:38:11.33 ID:TIIU3k0I0<> >>155-158代行者です
申し訳ありません
不手際で題名(名前欄)を間違えてしまいました
正確には「川のほとりで」です
作者様には、本当に失礼致しました
伏してお詫び申し上げます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/11(火) 00:34:12.46 ID:fCZ46hZm0<> >>155
だんご三兄弟+1カワユスなぁ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/11(火) 00:36:12.36 ID:QTd0eVKy0<> >>137
テンテー、弟子の思いに気づいてて、ツンベの誘いはテンテーの意をくんだもの、
つまり二人は共犯では…そんな妄想をしてしまう妖しさGJ

>>142
後日談キター!兄の、探偵への執心…萌ユス <> 現行単車 一角君×情報屋1/2<>sage<>2011/10/15(土) 14:13:23.98 ID:sdUtRF8z0<> 現行単車6話からの一角君×情報屋
一場面を抜粋。しかもちょっと流れが改変されてますが…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「お前の友達が誰か一人でもここに来たら、殺さないでやるよ。来るだけでいい。制限時間は一時間だ」

昔の「親友」にそういわれた情報屋は自分の携帯を焦りながら開いた。
鉄骨に縛りつけられている体は自由がきかない。

電話した先は、いつも自分のたくらみに付き合ってくれていたタカヒロだった。彼ならば、と一番先に思いついた。

「もし、もし…タカヒロか…?たすけ、ひ…ぁッ」

ニッタは情報屋の縛られた体の足の間に陣取り、ねっとりと陰茎をなめ上げられ、声が跳ねる。
先ほどすでに無理やり手でイかされていたのだが、どうしてか熱い舌に反応してしまう。
命の危険が、情報屋をあらゆる意味で過敏にしていた。

『情報屋、か…?』
「そ…タカヒロたす、けッ…て、ぅ、んん…!」
「どうした、ちゃんと言わないと来てもらえないだろ」

冷たく暗い声が下からして、温かい息がかかると情報屋がびくびくと震えた。しかしそれでも諦めず、悪友へと声をかけようと息を吸った。

『すまねーけど、お前に関わってるとこっちもあぶねーんだよ』

電話は無常にも途切れた。

「うそ…ッちょ!?や、アぁッ…!」

絶望に打ちひしがれる間もなく、股間のモノが強く吸われた情報屋から甘い声が漏れる。
膝ががくがくと笑い、力が抜ける。震える手から携帯が滑り落ち、コンクリートの壁の中を音が反響した。 <> 現行単車 一角君×情報屋 2/2<>sage<>2011/10/15(土) 14:15:05.88 ID:sdUtRF8z0<>
その様子を見たニッタがゆっくりと情報屋から離れ、落ちた携帯電話を拾って情報屋に差し出す。
サディスティックな笑みで

「ほら、早く次にかけろよ。時間ないぞ」

と言った相手を、情報屋は強くにらみつける。

「うるせえ、わかってるよッ!」

携帯を奪いかえしてアドレス帳を開いた。
こんな奴に殺されるものか、と怒りで全身が熱かった。
その様子に満足したらしく、ニッタはまた情報屋の股間へと手を滑らせる。
少し勢いと落としたものの、まだいきり立つそれの先端に爪を立てた。

「ッ!!も、そういうのやめろよ!!何が楽しいんだよ!!」

怒鳴る情報屋にくつくつと喉で笑うだけで返事はなかった。

「……ッ、ぅ…く…!」

情報屋は制止を諦め、ニッタに与えられる甘い刺激を無理やり思考から除外して今出来ることをしようと手元を見た。
画面に映っている名前に目が留まる。

あの、お人よしでムカつく、時代錯誤のヤンキー野郎の名前だ。
しばらくそれを険しい表情で睨む。

(……クソッ)

情報屋は結局その名前を飛ばし、次の相手に電話をかけるのだった。
<> 現行単車 一角君×情報屋<>sage<>2011/10/15(土) 14:16:13.60 ID:sdUtRF8z0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
セリフとか細かいところはお気になさらないようお願いいたします <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/15(土) 16:47:33.81 ID:ZAzOZ0760<> >>165
ありがとう…ありがとうございます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/15(土) 17:36:32.29 ID:pCKMYPcbO<> 半生注意。
洋画スプラッターホラー「深夜の肉列車(要英訳)」主人公受け。
※エロ(強姦・異種姦)、グロ(殺害・カニバ・死体描写)注意。
苦手な方はお手数ですが数レスほど飛ばしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/15(土) 17:55:54.23 ID:pCKMYPcbO<> >>167です
スミマセン…忍法帖とかで無理みたいです
なかったことにしてください。スレ汚し失礼しました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/15(土) 18:19:37.80 ID:KwhyYDtv0<> >168
避難所の掲示板に代理投下スレあるよ <> 秘匿の赤 0/5<>sage<>2011/10/15(土) 18:45:43.27 ID:LaMeKeNn0<> なまもの。完全捏造です。ダメな方はスルーしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

<> 秘匿の赤 0/5<>sage<>2011/10/15(土) 18:46:19.12 ID:LaMeKeNn0<> あれだけ警戒心を剥き出しにして、これ以上考えられないくらいの防護壁を
二重にも三重にも張り巡らせていたくせに、
やっと懐いたと思ったら今度は尻尾を振り回して笑顔を垂れ流している。
極端なやつめ。おまえは、好意も悪意も無関心も、
感情がすべて顔に出るから、本当にわかりやすくていいな。
おれには出来ないからうらやましく思うこともあるし、
もっと要領良く生きればいいのに馬鹿だなって思うこともある。

「だって好きでもなんでもないどうでもいいひとに、
好きになってもらったって困るだけでしょう」
いまある好意を受け止めるだけで精一杯。
そう聞こえたのはおれがおまえの味方だからだろうか。
おまえと同じ場所に立っていると思ってしまうのは、欲目なのだろうか。

敵と味方でラインをきっちり引いて、
あからさまに態度を変えるから反発されるんだと自覚している癖に、
それでも根本的な部分は絶対に変えない。
真似をしたくはないけれど、おまえの強さはホンモノだと思ってる。
庭で飼う番犬にするには最適。味方でいるのならなにひとつ問題はない、
ちょっと生意気でめちゃくちゃにかわいい後輩だ。
おれはおまえのそういうところが好きだよ。 <> 秘匿の赤 2/5<>sage<>2011/10/15(土) 18:46:47.90 ID:LaMeKeNn0<> おれの表情とか言葉とか態度とか、
あのときはどうしたとかそのときはこうだったとか、
とてもよく覚えていて、カノジョみたい、と言ったことがある。
女の子だったら、きっとおれからしてみればどうでもいいような記念日も
確実に覚えていて、かわいい文字で手帳に書き込んでいるタイプだ。
外見は羨ましくなるほど立派なのに、中身は意外とかわいいんだ。
いいにおいのする入浴剤が好きだし、メールにはカラフルな絵文字をたくさん使うし、
女子高生に流行った映画を観て部屋でめそめそ泣いているし。
そうやって笑ったら、もし自分が女の子だったら
好きです付き合ってくださいなんて言ってたかもしれません、
なんて、予想外の直球を投げ込まれた。
おまえの先輩を先輩と思わない冗談はいつものことで、どこまで本気かはわからない。
おまえが、自分の直球の威力をどこまで信用しているのかも知らない。
ただ、おまえはいつまでもまっすぐだから、
おれもそれなりの態度で返さなければいけない、と、思う。

「……ありがとう。でも、自分よりデカイ女の子はちょっといやだ」
 ぷっ、と吹き出して、さすがに女の子なら
ここまで伸びなかったんじゃないすか、と、顔を崩して笑う。
この笑い方がすごく好きだ、本当に嬉しそうに笑うから、つられてしまう。
公の場であろうが不特定多数が見ていようが、
自分の気持ちに嘘をつくようなつくり笑いなんてしない男が、
今この瞬間をすごく楽しんでいるのだということがわかる。
一緒にいる相手には、つまんない顔、してほしくないと思う。誰だってそうだろう。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/15(土) 18:49:41.21 ID:AZpv8lNUO<> エラー回避 <> 秘匿の赤 3/5<>sage<>2011/10/15(土) 18:52:24.86 ID:AZpv8lNUO<> 「そういうとこ、好きですよ」
年相応、それ以上に幼い顔で笑う姿はとてもかわいいと思う。
構ってやりたいし、応えてやりたい。
弟がいればこういうものなのだろうかと考えたことは一度や二度ではない。
「なにが」
「そういう、たまに、意味わからんこと言い出すところが、おもろいなあと思って」
脈絡のない言葉を吐き出して笑った彼に、うまいこと話の主導権を握られる。
そこでこの話はおわってしまった。続きを聞いておけばよかった。
たまに思い出しては真意を探りたくなる衝動にかられる。
彼の中で残っているのか消えているのかはわからない。

年下のこの男を、出会ってからまだ一度も見下ろしたことがない。物理的にも、精神的にも。
あれだけの自己防衛をしていた男が、最近では慣れたもので、
なんだかんだと理由をつけては甘えてくる。
年齢という、自分の絶対的な武器をわかっているのだろうが、
そのくせ、主導権は絶対に手放さない。
自分に有利な状況を作り出す才能はさすがに見事なものだと思う。
勝負事に関して、彼の嗅覚は抜群に働く。まだ一度も勝てたと思えたことがない。
ひどく大きな壁になっていて、いまの自分ごときではなにをぶつけても
彼を倒せはしないだろう。倒れてしまったら困るけれど。
<> 秘匿の赤 4/5<>sage<>2011/10/15(土) 18:53:17.54 ID:AZpv8lNUO<> この年下の男と出会ってから、自分の持っていた自尊心は、
思っていたよりもはるかに高かったことに気付かされた。
それをうっとうしいと感じることは、何度も何度もあった。
ただ、捨てられるわけがないその感情を認めることができたのは大きな成長だった。

おまえはそのままでいればいいよ。

そのままでいてほしいと望むのは自分のエゴだ、
しかしそれでも彼にはどうかそのままで、まっすぐに歩いて行ってほしいと思っている。
きっと自分が望もうが望むまいが、彼は彼のままでいられるのだろう。こ
んな思いを知られたら、ひとの心配より自分の心配をしてくださいよと笑われるのだろう。
それでも願う、どうかどうか。

思いきり手を伸ばして頭をはたく。そもそもこの距離がなにより屈辱だ。
ああ自分に彼の身体があれば、と、何度考えたことだろう。
この世界でもっとも高いあの場所で、別人のような顔をして
輝きを放つ彼の背中を見つめながら、そう思わないわけにはいかない。
自分にあれがあれば、そうやって無い物ねだりばかりしているけれど、
現状に満足してしまったらおわりなのだ。特に、自分たちのようないきものは。 <> 秘匿の赤 5/5<>sage<>2011/10/15(土) 18:54:08.70 ID:LaMeKeNn0<> 痛いっす、と言いながらもにこにこしている彼を、今度は蹴り飛ばしてやる。
こちらがなにをしたって平気な顔で、喜んでいるようにも感じられるのが
悔しくて悔しくてたまらない。
年下のこの男と出会ってからもう数年経っても、本当の意味で、
こいつの視界に自分が入ったことは、まだ一度もないと思っている。
いま彼の目の前にいるのは自分だけれど、こいつが見据える先にいるのは、自分ではない。
自分がつかまえたいと思うのと同じ強さで、
彼にもずっと見つめ続けて追いかけている目標がいるのだ。
そこになんとかして近付いてやりたい。まずはならんでやりたい、油断しているだろうから。

おまえはそのままでいればいいよ、前だけを見て走り続けていればいいよ。
おれはその姿が好きだから。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中手間取ってすみませんでした、いま連続投稿3回でだめなんだっけ?
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/17(月) 02:38:03.54 ID:jUrQXbeV0<> 半生il。
不意にs1から見返していて滾ったので話もs1-1のつもりです。出てくる人も。
まだまだホンノリ程度の描写です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 明日も会いたい1/5<>sage<>2011/10/17(月) 02:43:07.81 ID:YazuGmRDO<> 自首してきた男は、いかにもうだつの上がらない“牢獄”の人間らしい、浅はかな知恵の持ち主だった。
友人を殺した社長を相手に仇をとるどころか、事件のもみ消しに加担する代わりに、リストラ対象から逃れられるよう交渉したという。
どの面さげて「友達」だったというのか、取調室を後にする薫の足取りは、いつにも増して乱暴だった。
「馬鹿な奴ですよね、でっちあげの罪を被ってまでリストラ免れたいなんて」
エレベーターのボタンを二度連打しながら、薫が吐き捨てる。
隣に佇む上司は何の返事も寄越さなかったので、必然的に独り言めいた響きになった。
「ま、あんなトコにいたら腐っちまうのも仕方ないだろうけど……」
頬をかきながら、薫は昼間に見てきた「資料室」という名前のリストラ対象者の末路部屋を思い浮かべた。
うず高く積まれた段ボールに囲まれた、デスクもない狭い部屋一つ。一日中あそこで煙草をふかして、時が過ぎるのを待つらしい。

――あそこに一年いてごらんなさいよ、誰だって気が狂うでしょ。

そうだろうか。そうかもしれない。そうかもしれない。
あの疲れた男の顔を見た一瞬、薫は確かに同情的な気分になった。まるで自分を見ているようだと思った。
隅っこに追いやられて、何もかもを奪われて、諦めて消えるのを遠巻きに待たれている。
真綿で首をしめるみたいな嫌なやり方だが、組織が生き残るには仕方がない。
秘書の女の言い分が、内村部長の忌々しげな表情と重なった。
俺だって――。 <> 明日も会いたい2/5<>sage<>2011/10/17(月) 02:44:44.23 ID:YazuGmRDO<> 「亀山君、乗らないんですか」
「あぁ、乗ります、乗りますよ」
我にかえった途端、容赦なく閉じていく目の前のエレベーターに、慌てて薫は飛び込んだ。
右京のどこか呆れた目が、眼鏡の奥から胡乱げに見上げてくる。
また何か言われるな、と薫は構えた。
「考え事は結構ですが、どうせなら……」
ほら、きた。
「いーえっ、役に立たない考え事ですよ、すんませんね」
「そうでしょうねぇ」
にべもなくあしらわれて、薫は横向いた影に隠れながら、べ、と舌を出した。
昼間、無駄口を叩いた結果「役に立たない感想」と強烈に皮肉られたのだ。厭味で返したつもりだったが、残念ながら上司はしれっとしたままだった。
「とにかく、これで、社長が犯人ってのがはっきりしましたね」
「まだ犯人が決まったわけではありません」
言いながら足早に歩いていく右京の背中を薫は追いかけた。
「そりゃ、直接手を出したのは違うやつかもしれませんけど……」
言葉に詰まって、唇をへの字に曲げる。
棘のある言い方はいつものことだが、それにしても、何となく右京の気が常より立っているような気がした。
折角少しずつ真相へ近づいてきているというのに、ちっとも面白くなさそうではない。
特命係の狭い部屋に電気をつけながら、薫はうかがうように腰を少し折った。
「右京さん、怒ってます?」
ストレートに聞いてしまう辺り、薫も馬鹿正直なのだった。 <> 明日も会いたい3/5<>sage<>2011/10/17(月) 02:46:19.74 ID:YazuGmRDO<> 「はい?」
肩ごしに振り返った上司と部下の視線が交錯した。だがそれも一瞬のことだった。
先に目を逸らした右京の口から、わずかなため息が漏れた。追って、静かに付け加えられる。
「……今日はもう帰りましょう」
「え」
面食らった薫が思わず「でも」と言い募るのを聞き流すように、右京はコートを手にして出ていこうとする。
「くだらない考え事をしながら出来る仕事ではありませんよ」
ぴしゃりと鼻先に突き付けられた叱咤に、薫はむきになって声を荒げた。
「くだらなっ、て……!くだらないってことはないでしょう!」
「では、“ろくでもない”考え事でしょうかねぇ」
「〜〜っ!」
頬をひくつかせた薫だったが、「君も」と続けられて、押し黙る。右京は入口で立ち止まったまま、じっと背の高い部下を見上げていた。
「何ですか」
「君も……」
短い沈黙が流れた。ひどく、じっと見つめられて、薫はうろたえた。
何もかもを見透かすような目に、悪いことなど何もしていないのに、叱られるのではと身構えてしまう。まるで出来の悪い生徒になった気分だった。
「あの、右京さん?」
薫が恐る恐る口を開くと、右京はふと目を覚ましたように小さく首を振った。
「何でもありません。お先に失礼」
言うなりさっさと出て行ってしまう。
「え、え、ちょっと、右京さぁんー……」
間延びした薫の声に、デスク周りの新聞を片づけていた角田の方が茶々を入れた。
「もう帰りかよ、いいねぇ暇なトコは」
「ほっといてくださいよ、もうっ!――お先に!」
半ば叫ぶように言いながら、加速をつけて走り抜ける。
直感的に、右京を追いかけていかなければいけないような気がしていた。 <> 明日も会いたい4/5<>sage<>2011/10/17(月) 02:49:42.39 ID:jUrQXbeV0<> “君も、やはり嫌で仕方ないのでしょう。”

しゃんと背を伸ばした上司の口から、もしかしたら、そんな言葉が漏れかけていたのではないかと思うと、胸が張り裂けそうなのだった。

違います、と言いたかった。
おれは、確かに一課に帰りたいけど、でも、それは、決して貴方のせいじゃ――。
いや、そうじゃなくて、本当は、本当は――。


「右京さぁん!」


警視庁のエントランスを出ると、冷たい風が身を切るように吹き付けた。
ようやく振り返った右京は、大都会の夜景をバックに、いつもの取り澄ました顔をしている。
薫は大声で叫んだ。

「また明日!」

その瞬間、わずかに、でも確かに右京の頬が緩んだような気がして、薫はもう一度、力の限りにフライトジャケットを振り回したのだった。
<> 明日も会いたい5/5<>sage<>2011/10/17(月) 02:50:51.48 ID:jUrQXbeV0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
すみません。エラーに引っかかって手間取りました… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/17(月) 03:19:12.54 ID:sHoWGGMW0<> >>182
GJ!GJ!
1stスキーな俺得でしたありがとう!!

それにしても連投規制どうにかならないものか
忍法帖レベル40でも連投4回目でひっかかるから投下しにくいったら
●買えっていう運営の罠か? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/17(月) 08:54:29.61 ID:CyFRYw1p0<> LV40でも…だと…
いっつもリセットくらって10分の1くらいしかいったことねーよorz
そんな中職人さん本当に投下乙です <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/17(月) 18:58:24.44 ID:W3rZ0gA+0<> >>182
gj
ilの季節ですね。
やっぱりウキョさんは個人的に好みドストライク…
そして馨ちゃんも相も変わらず大好きです。
二人ともいいキャラクターすぎる
映像が目に浮かぶようでした。


40でも4回…orz
もうどうにもなんねぇ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/17(月) 19:02:40.20 ID:7GZCbh9v0<> >>177
乙!このくらいの距離大好きだー!
ps〜s1にかけての若干ギスギスが懐かしい…もう10年も経つんだなぁ。 <> ヨロコビ 0/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:47:17.55 ID:dfrE9B7e0<> 半生注意。
洋画スプラッターホラー「深夜の肉列車(要英訳)」主人公受け。
※エロ(強姦・異種姦)、グロ(殺害・カニバ・死体描写)注意。
苦手な方はお手数ですが数レスほど飛ばしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> ヨロコビ 1/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:47:44.43 ID:dfrE9B7e0<> 俺は悲鳴のようなものを上げた。数十秒前に素手で俺の舌を引きちぎった男が、たった今目の前で俺の大切な人の喉元にナイフを突き立てたからだ。
彼はそのままナイフを胸まで滑らせ、ばっくりと口を開けたそこに手を突っ込む。そして勢い良く引き抜くと、その手には何かが握られていた。その何かを失った彼女は一度だけビクンと身体を揺らし、そして事切れた。
「…ぁ、あぁ……!!」
舌を奪われた俺は何も言えなかった。いや、舌があったとしても同じだっただろう。まさか、こんなに理不尽に彼女の命が奪われるなんて。
ひきつった表情のまま固まっている俺の元に彼が再びやってくる。その手に握ったもの――彼女の心臓を目の前に突き出し、静かに語りかけた。
「さぁ、僕となれ。これは命令だ。彼らと我らが交わらぬように」鈍く光る刃物より鋭く冷たい眼差しでそう告げる。掌の心臓は、もう持ち主を生かすことなどできないというのにまだ鼓動を打ち続けていた。
その様に目を奪われていると、彼は心臓を俺の口元へと運んでくる。
「喰うんだ」
「……は…?」
「これを喰え。そして『人間』であることを捨てろ」
未だパニックを起こしている頭では彼の言葉の意味を半分も理解できていなかったが、とにかく頭を横に振って拒絶を示す。
俺の身に起きたこと、彼女の身に起きたこと、そして今置かれている状況、全てを拒んで無かったことにしたかった。
「言っただろう。これは命令だ。お前には従うという選択肢しかない。拒むことも逃げることも、死ぬことすら許されない」
「ぅ……っ」
彼は座り込んでいる俺と目の高さを合わせるように片膝をつき、瞬きもしないままじっと俺の目の奥を見据えながらゆっくりと囁く。
「いいか。これはとても名誉なことだ。お前が、我らと彼らを繋ぐ掛橋となるんだ。俺達は他の誰も知らない真実を知り、その一部になることを許されたほんの一握りの存在だ」
混乱する頭の中に彼の言葉が突然浸透し始める。まるで荒れ狂う海がすっと凪いでいくように周囲の雑音が消えていく。自分の喘ぐ呼吸すらも。
「お前は選ばれた。それを受け入れろ。お前の身体は既に準備が出来ている。あとは頭だ。今までの価値観や信念などもう必要ない」
聞けば聞くほど、それは正しいことのように思えてくる。今までの俺は本当の俺じゃない…そんな気さえしてきた。
<> ヨロコビ 2/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:48:04.02 ID:dfrE9B7e0<> 少しずつ揺らいでいくのを見透かしたように、彼は一際強く俺に言い聞かせる。
「さぁ喰え。そしてお前の中の『人間』を殺せ」
もはや逆らうという選択肢はなくなりつつあった。まだかろうじて脈を打っている心臓に吸い寄せられるように、俺はそっと口を付けた。
今までに経験したことがないほど強烈な血の匂い。まだ死んでなどいないと主張しているような温かさ。拍動というよりはもう痙攣に近いその反応。
俺はその全てに彼女を感じながら、しかし抑えきれない衝動に流されるままソレに歯を立てた。
肉は想像していたよりも硬く、何度も顎を動かしてようやく一口分を噛み切ると、中から一気に溢れ出した血液が口内を満たす。あまりの量に口の端から零れてしまったが、気にも留まらなかった。
その肉が、その血が、信じられないくらい美味かったからだ。舌を失ったはずなのに、まるで脳が直接感じ取っているかのようにそう思った。
俺は差し出された彼の手を掴み夢中になってソレを貪った。初めこそ彼女を喰うなんてと絶望すら覚えたのに、
やがてこれを喰えば彼女と一つになれるのだからと錯覚し、肉片も無くなる頃には彼女の存在など頭から消え、一心不乱に喰らいついているだけになっていた。そんな俺を見て彼は愉しそうに笑う。
「お前菜食主義だっただろう」
「……っ、あぐ…」
「こんなに美味そうに喰ったヤツは久しぶりだ」
喰うものがなくなってしまい、俺は血塗れの彼の手をしゃぶる。舐め取ることができないので、指をくわえて吸い上げるようにして全てを喰い尽くそうとしていた。彼はそれを止めようとはしない。
まるでフェラチオしてるみたいだな、とどこかに残っていた冷静な部分で思う。それをきっかけに先程まで異常な興奮状態だったことを思い出し、再び心拍数が跳ね上がる。
背筋に走る鳥肌が立つような感覚と共に一気に体温が上がり、喉が渇く。それを解消しようと躍起になって彼の指に吸い付いた。
「ん…ぅ、はぁ……っむ」
視点が定まらない。まともにものも考えられない。
俺は何をしてる?
ナニを?
俺?
オレって誰だ?
おれは――…
「っ、うあっ…!!」
頭の中が真っ白になった瞬間、俺は射精していた。座ったまま身体を痙攣させ、掴んでいた彼の手にすがり付く。 <> ヨロコビ 3/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:48:20.46 ID:dfrE9B7e0<> 「ぁっ…っ、ん、ふっ…ぅ…」
「面白いな。こんな反応を見たのは初めてだ」
彼は力任せに腕を振り払い、項垂れた俺の顎を掴んで上を向かせる。俺は血液と涎が混じったものを口元からだらしなく溢しながら虚ろな目で彼を見上げていた。
彼は改めて値踏みをするように俺を観察し、向こうにある地下鉄の車両を見遣る。やがて何かを察し、自力で動けない俺を無理矢理立ち上がらせた。
「んん…」
「どうやら彼らがお前に興味を持ったようだ。行って相手をしてやれ」
「…あ…?」
まだぼーっとしている俺の腕を肩に担ぎ、人間の骨で埋め尽くされた廃墟を横切っていく。徐々に車両に近付いていくと、『彼ら』と呼ばれる何かの姿がはっきりと見えてきた。
人間より大きく、異形な彼らが揃って俺を見ている。目があるようには見えないが、見られているとしか思えない。だが最初に見た時に感じたような恐怖や嫌悪感は湧かなかった。俺の中の何かがもう麻痺し始めているようだ。
「さぁ、きちんと挨拶してこい」
彼が車両の扉を開け、俺をそこに放り投げる。
「うっ!!」
「お前の新しい雇い主達に」
そして扉が閉まるのも待たずに彼はそこから立ち去っていった。
血の海と化した金属の床に、彼らの喰い散らかした肉片や骨が転がっている。さっきとは比にならないほど強い血の匂いが目眩を引き起こし、
同時に気が狂いそうなほどの興奮が身体を支配していく。息苦しさを感じて仰向けになると、彼らが俺を囲むようにして見下ろしていた。
「はぁ……あ、ぅあ…っ」
気付かない内に溜まっていた涙で歪む視界の中に手を伸ばす。彼らの一体が、それに応えるように俺の手をゆっくりと掴んだ。
そいつはしゃがんで俺を頭から引き寄せると、羽交い締めにするようにして抱き抱える。他のやつらも同じようにしゃがみ、ボロボロだったパーカーを引きちぎっていく。
「うぅっ…!」
咄嗟に顔を背けると、後ろにいたやつが俺の口の中に長い舌を滑り込ませてきた。喉の奥にまで届きそうな舌が暴れ回り、何度もえづく。
「おごっ……っ、ゔぇ、っっ!!」
苦しくてばたつかせた脚を押さえ込まれ、ベルトを掴まれる。やつは硬い爪でそれを一気に引きちぎり、下半身を露にされてしまった。
<> ヨロコビ 4/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:48:45.39 ID:dfrE9B7e0<> すると横から違うやつが俺のモノに舌を巻き付かせる。それを器用に動かして扱かれるとあっという間に熱を取り戻した。
「っはあ、あ……ぃっ」
色んな方向から伸びてくる舌が身体中を舐め回す。身を捩ると押さえ付ける彼らの鋭い爪が肉に食い込んで血が滲んだ。
痛みは感じなかった。痛みを感じる余裕もないほど責め立てられた。
「ひ……ひぁっ!は、ぁ、ん゙ん゙っっ!!」
だが容赦なくやつらの舌が俺の中に捩じ込まれた時は悲鳴を上げた。そんな風に使ったことがない部分に何本もの舌を差し込まれ、奥を蹂躙される。
「あ゙ぁ、あ゙……うっ、ぐぅっ!うゔぅ!!」
目を見開き、ガクガクと身体を震わせながら衝撃に耐える。目尻から落ちた涙をどいつかの舌が舐めとるのを感じた。
開きっぱなしの口に指が差し入れられ、俺は無意識にそれをくわえ甘噛みする。口内に広がる誰のものともつかない血の味が苦痛を和らげていく。やがてそれは言い様のない快楽へと変わっていき、全ての感情や思考を蕩けさせてしまう。
「んむ……ふ、う…」
音を立てて指を吸い上げる。もう自分の行動に何の疑念も湧いてこない。
彼らの思うままに。彼らの望むままに。それこそが至上の悦びである。
誰に言い聞かせられた訳でもなくそう思った。今までの常識や価値観を全て塗り潰し、何をやっても掻き消すことなどできないほど深く、強く刻み込まれていくのを感じる。
「…あ…ぁ、は…はは、ははは……!」
素晴らしいことじゃないか。もう何にも縛られることはない。
これからはただ彼らの為に生きていけばいい。そうだ、俺は初めからそうなる為に存在していたんだ。
そう確信すると、まるで目の前を遮るものがなくなったようにとても清々しい気分になる。そしてこれ以上ないというくらいの幸福が全身を満たしていった。
「…いっ!?っ、うぅぁ……っ!」
突然、俺の中に入っていた舌が無理矢理その入口を拡げ始める。驚いてそっちを見ると、ちょうど俺の真正面にいたやつの下腹部辺りが不自然に膨らんでいた。
やがて下の方から薄い肉が捲れ上がり、そこから人間の男性器のようなものが姿を表した。形は似ていたが、大きさは人間とは比にならない。
こいつが何をしようとしているかを理解した瞬間、そいつはその大きくそそり立ったモノを拡げられたソコに一気に押し込んだ。 <> ヨロコビ 5/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:48:58.09 ID:dfrE9B7e0<> 「あがっ…!!!」
凄まじい圧迫感で完全に息が止まる。それに伴い全身が強張ってしまったので半分までしか収まらなかった。それ以上先に進まないことに気付いたそいつは、その場で強引に抜き差しをし始める。
「かはっ!あ゙っ、ぎ、ひっ!!」
体当たりのような突き上げに弾かれる身体を後ろのやつが押さえ込む。固定されたおかげで力の逃げ場がなくなり、屹立がどんどん内壁を押し広げながら潜り込んでいく。
「ぅ゙あ゙あっ、はぁ、ぐうっ!!」
腹を突き破られるんじゃないかと思うほどの衝撃に声を上げた。だが、それもいずれは快感に変わっていくことはわかっている。彼らが俺に与えてくれるものは全て悦びだ。苦痛なんかであるはずがない。
その証拠に、舌に巻き付かれた俺のモノは萎えるどころか先走りを溢れさせてひくついている。
「…っは、ん゙…っ!あ、やっ……はぁ、あっ」
もっと強く。もっと深く。激しく突いて、バラバラに千切れるまで。
「はぁっ、はあ、あっう、いっ…!!」
ゾクゾクと快感が駆け上がる。俺は泣きながら嬌声を上げ、羽交い締めにしているやつの腕にしがみ付く。それに応じるようにそいつは舌で俺の頬を撫でた。
「ぁひっ、ぎ…やあっ、あ゙っ!!あ、あ、イく、イくっ、もっ…!!」
言葉の意味がわかったのか、俺を犯しているやつが急に俺の腰を掴んで力任せに引き寄せる。メリメリと音を立て、俺の身体はやつのモノを無理矢理飲み込まされていく。
そのほとんどを収めてしまう頃には、堪えきれず絶頂を迎えて自分の腹の上に精液を撒き散らしていた。
「――――ぁっ……!!!」
ビクビクと全身を痙攣させ、内壁でやつのモノをきつく締め付ける。するとやつは一声大きく吠え、今までで一番強い力で腰を打ち付けた。
「あ゙ぐっ…!!?」
完全に根元まで突き刺され、先端の形に腹が盛り上がる。やつがもう一度腰を揺らすと中に入っていた屹立が膨張し、そして破裂したかと思うほどの勢いで焼けるように熱い液体をぶちまけた。
想像を絶する感覚に悲鳴すら出なかった。自分でも死んだと錯覚するほどに身体を硬直させ、目を見開いたまま意識を失った。 <> ヨロコビ 6/6<>sage<>2011/10/17(月) 21:49:14.93 ID:dfrE9B7e0<> だが再び意識を取り戻すのにそう時間はかからなかった。次のやつがまた俺の中に入ってきたからだ。そいつも同じように俺に種付けをする。
子孫を作るというよりはマーキングといった方が正しいだろうが、所有物の証を付けられているのだと思うと実に誇らしく思えた。
どれくらいの時間がかかったのかはわからないが、俺はそこにいた彼ら全員と交わった。全てが終わり俺を車両に置き去りにした男に助け出される頃には、以前の俺を構成していた要素など欠片も残っていなかった。
それから一週間ほどの間に俺は新しい仕事を教え込まれた。
確実に仕止める方法、基本的な処理の仕方、効率の良い解体の順序、そして社会に溶け込み『餌』を見つけるコツ。全てを完璧に習得し、いよいよ初仕事の日がやってくる。
与えられたスーツに着替え、道具の揃った鞄を下げる。指には彼らの僕である証の入った指輪を嵌め、渡された時刻表を手に部屋を出た。
焦りも不安も恐れもない。罪悪感も。俺は感情を無くしてしまったのだろうか。
……いや、それは大した問題じゃない。俺は彼らの為にすべきことをやるだけでいい。
そこからは考えるのを止め、無機質な金属でできた巨大な箱に乗り込んだ。
時刻は深夜2時4分。ほとんど人気のない車両に酔い潰れたらしい男が一人、列車の振動に揺られている。
――こいつにしよう。
一度前を通り過ぎた俺は、改めて狙いを付けるようにその男を振り返った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/17(月) 22:21:30.97 ID:soHaMgZi0<> >>187
いやすごい、ここで原作者さんの作品が読めるとはw
これが原作だよね? 間違ってないな、うんww <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/18(火) 03:15:36.63 ID:IHquV2VSO<> >>170
あの組織はああいう体質なんだと諦めつつもモヤモヤしてたところに
仲良し先輩後輩の投下ありがとうございます!元気出ました! <> TAKE ME OUT TO THE BALLGAME 1/5<>sage<>2011/10/19(水) 18:39:46.03 ID:DC1oJu6n0<> お祈り写真が可愛すぎたので。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ぽこり、と青いしっぽに、いつもの感触。
(痛っ)
振り返ると、案の定、盛野さんがニヤニヤ笑っていた。
「何でお前いるの?」
予定のなかった試合に、急ぎ馳せ参じた僕に対してこの暴言。
(…エラー&連敗でヘコんでると思ったのに)

心の広いホッシーだからこそ許してくれたこの緊急出動。
医師黒さんがベイさんにお願いして許可を貰い、急遽僕を呼んでくれたのだ。
感得問題で未だゴタゴタは絶えず、広報としての仕事も忙しいはずなのに…と返事を躊躇う僕に、
「気合いだよ気合い!そうだ!チアのみんなも呼ぼう!コアラさん失敗してもいいようにチーフもね!」
電話の向こうの変わらぬ暖かい声(一部引っ掛かる箇所もあるが)に、僕は甘える事にした。
名護屋でやきもきしてるより、少しでもみんなの近くにいたいし。

…バク転の事を考えると、ちょっぴりお腹が痛むけど。 <> TAKE ME OUT TO THE BALLGAME 2/5<>sage<>2011/10/19(水) 18:40:16.73 ID:DC1oJu6n0<> しかし僕らはビジターだし、ベイさんも地元最終戦。引退選手のセレモニーもある。
邪魔にならぬよう、迷惑をかけぬよう、控え目に大人しくしている僕に対してこの仕打ち。

(今日は特別なんだから、怒っちゃいけない)
(そう、僕は大人だからね)

気持ちを落ち着けるため、深く深呼吸してから、三塁から外野レフト席をすっと示し、最後に自分の顔を指す。
(みんなが僕を見たいって言うから)
ジェスチャーで答えると、再度ボールを当てられた。
…さっきよりもだいぶ痛いですよ。しかも股間狙いとは卑怯な。
内股を擦り合わせながら相手を睨みつけると、

「ばーか」

実に端的な捨て台詞を残し、盛野さんはキャッチボール相手の方へと歩いて行ってしまった。 <> TAKE ME OUT TO THE BALLGAME 3/5<>sage<>2011/10/19(水) 18:40:41.43 ID:DC1oJu6n0<> 青いユニに贔屓選手のタオルや応援ボードを手にしたお客さんが客席の最前列に陣取って練習中の選手たちを見守る。
もちろん僕にも可愛い女性から黄色い声援が飛ぶ。
そちらに向き直り、ポーズを決めると、一斉に上がるカメラのシャッター音と「キモイ」の声。
(キモいとは何事か!)
憤慨のアクションを取ると、フェンスにしがみついていた度荒耳のヘアバンドを付けた少年が、声を上げて笑った。
───見慣れた、いつもの風景。

特徴的な逆三角形の照明塔の明りが点り、試合開始に向けての高揚感を煽る。
ビールの売り子さんの元気な声、太鼓とラッパの奏でる力強い応援歌。
スタメンの名前が並ぶスコアボード。
鮮やかな人工芝の緑、綺麗に均された赤褐色の土とのコントラスト。
空はゆっくりと藍を滲ませ、美しいグラデーションのカーテンを下ろす。 <> TAKE ME OUT TO THE BALLGAME 4/5<>sage<>2011/10/19(水) 18:41:12.65 ID:DC1oJu6n0<> 渾身のストレート、空を切らせるフォーク。
一つでも先の塁へ、風のように走るんだ。
ホームランは快音響かせ、夜空に白い軌跡を描くんだ。

球場は徐々に下がる気温と反比例するように、熱気が高まって行くのが分かる。
豪快なホームランを幻視する気持ちで、ふと、空を見上げると、白銀に輝く灯りの向こうに、小さな明かりが瞬いていた。

…もしかしたら上空を通過する飛行機かもしれない。
それでもここから先の時間、試合になってしまえば、僕は何もできないから。
いつも胸に下げているネックレスに指先をやり、バク転前でもないのに、手を合わせた。 <> TAKE ME OUT TO THE BALLGAME 5/5<>sage<>2011/10/19(水) 18:41:32.03 ID:DC1oJu6n0<> (神様なんて信じてないけど)
(もし、野球の神様がいたら、お願いします)

四方から差す光線が僕の影を、幾つも緑の芝の上に描き出す。
影の分身たちは僕の動きに倣って、祈りの姿を取った。
外野の人たちに何と言われようと、今は関係ない。
だって僕らはただ、ここが、野球が好きなんだ。

(もうちょっとだけ、一緒にいさせて下さい)

ファンの作った、「66」の染め抜かれた大きな旗が浜風に翻る。
ささやかな祈りと共に、大きな感謝を、この球場にいる全員に。

(ここまで連れてきてくれてありがとう)


───プレイボールまではあと少し。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/19(水) 20:54:44.57 ID:P6Fkj5S0O<> 801か? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/19(水) 21:33:43.99 ID:EGvr8BV50<> 801じゃないか
無粋だな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/19(水) 23:02:19.45 ID:q+u1aP810<> 必ずしもちゅっちゅとかギシアンしなきゃいけないってわけでもあるまいに。

こういう精神的な801があってもいいじゃない。にんげんだもの。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/20(木) 01:36:53.52 ID:UABtqrqd0<> 萌えたら何でも許す <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/20(木) 02:00:27.69 ID:PnBvpTsf0<> 生注意。
某スレで話に出た家族パラレル。
息子が書いた日記ということで…。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/20(木) 02:02:09.88 ID:PnBvpTsf0<> ぼくのかぞく。

ぼくのいえはお父さん、お母さん、おじいちゃん、ぼくの
4にんかぞくです。
お父さんは、歌をうたうのががうまくて
近所でもゆうめいなにんきものです。
お母さんはむかしばんどというのをしていました。
ばんどではぎたーをひいていました。
今はまいにちぎたーをせおいながら、ごはんをつくったり
そうじをしたりしています。
おじいちゃんはいつもぼくとあそんでくれます。
やさしくて、ほしいものもなんでもかってくれます。
とてもやさしくておもしろいです。

ぼくたちは、みんなでよくりょこうにいきます。
このあいだは、みんなできょうとのあらしやまというところに行きました。
そこでおじいちゃんは、まいこさんのかっこうをしました。
かおを白くぬったおじいちゃんはこわかったけど、きれいでした。
ぼくと、お父さんとお母さんは、
さかもとりようまのふくをきました。
きねんしゃしんを取って、おまいりもしました。
とてもたのしかったです。
またみんなでりょこうにいきたいです。

ぼくは、かぞくのみんながだいすきです。

ま す こ   や す じ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/20(木) 02:04:18.33 ID:PnBvpTsf0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

日記というか作文ですね。

(勝手に)小学生設定ですのでひらがなばかりで
読みづらくて申し訳ない。

失礼いたしました。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/20(木) 23:39:28.02 ID:8y/a2fz50<> >>206
投下ありがとうございます…四弦かわいいよ四弦
家族パラレル本当ほのぼのするなあw <> 最初の夜最後の夜 1/6<>sage<>2011/10/23(日) 21:56:59.56 ID:TaLVqqQ00<> 映画「工ックスメンFC」工リック×千ャールズ+レイブソ(名前のみ)エロあり
決戦前夜の妄想話。工リックとレイブソは同志のような関係です。女性キャラ苦手な方はスルーお願いします
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「来客の多い夜だな」
ノックされたドアを開け、目の前に立つ千ャールズに工リックは言った。手にはワインの瓶とグラスが2つ。
既にかなりの量を飲んでいるはずだが、まだ飲み足りないらしい。顔に似合わずとんだ酒豪だと心中で呟いて苦笑する。
「来客?」
千ャールズはこちらの都合を聞きもせず、部屋に入り込んできた。ベッドに腰掛け、サイドテーブルにグラスを置いてワインを注ぐ。
「ああ。レイブソが」
「レイブソが?なぜ?」
千ャールズが不思議そうに工リックを見た。
「…さて、な。お前のところに行くと言っていたが…」
レイブソが「本当」の姿のまま部屋を出てからいくらも経っていない。千ャールズがここにいるということは、結果は明白だった。
「どうやら何もなかったようだな」
「あったに決まってる」
千ャールズの声には困惑と腹立たしさが入り混じっていた。
「ほう。何があった?」
工リックは千ャールズの隣に腰掛けると、彼の方に顔を向けて尋ねた。
「…君と同じだよ」
千ャールズは吐き捨てるように言って、なみなみと注いだワインを呷った。
「俺と彼女の何が同じだと?」
「僕が人類と共存しようとしていることを非難するんだ。僕は自分だけの考えでそうしようとしてるんじゃない。ただ…」
「それだけか?他にも何かあったんじゃないのか」
「……それは…ん…」
これまで嫌というほど聞かされた彼の主張をまた聞く気はなかった。話を遮って問うと、普段は憎らしいほどに弁の立つ
千ャールズが、いつになく口籠もった。しばらく迷っているようだったが、グラスのワインを一息に飲み干すと喋りだした。 <> 最初の夜最後の夜 2/6<>sage<>2011/10/23(日) 21:57:16.03 ID:TaLVqqQ00<> 「…酒を取りにキッチンに行ったら、レイブソが服を着ていなかった。この頃やたらに外見ばかり気にしてると思ったら、
今度はこうだ。…一体何を考えているのか…」
真剣な顔でそう語る千ャールズを工リックは呆れながら見つめた。この男はこれまでずっとレイブソに対してこのような態度を
とり続けていたのだろうか。
「お前に本当の自分を受け入れて欲しかったんだろう」
「受け入れているさ。初めて彼女と出会った時からずっとね」
自信たっぷりに言う千ャールズに工リックは冷やかに言った。
「そういう意味じゃない。分かっているんだろう?」
「…分かっているって何が?」
無邪気に聞いてくる千ャールズに、工リックは今度ははっきりと言ってやる。
「彼女はお前を愛してる」
その瞬間、千ャールズの顔を僅かに動揺の色がよぎった。
「…妹だ」
だが、暫しの沈黙の後、発せられた言葉はレイブソの想いを完全に打ち砕くものだった。工リックは小さくため息をついて言った。
「レイブソはそうは思っていない」
「……」
「外見を気にするのは好きな男が、『普通』の女に言い寄っているから。『普通』であればその男に受け入れてもらえるかも
しれないと思っているからだ」
そう言った時、千ャールズが急に慌てる素振りを見せた。
「工リック、それを…」
「レイブソから聞いたわけじゃない。そのくらいお前を見ていたら分かる」
テレパスじゃなくてもな、と心の中で付け加えてやる。
工リックの言葉に、千ャールズはばつが悪そうに俯いてしまった。そんな千ャールズに工リックは容赦なく言い放つ。
「レイブソが本当の自分を受け入れられないのはお前のせいだ、千ャールズ」
「…彼女の外見が問題なんじゃないんだ。…そう思われているのかもしれないけど…」
工リックの告発に千ャールズは苦しげな表情で言った。それは彼の本心ではあるだろう。彼は誰でも受け入れる。
しかし、誰かのものには決してならない。以前に自分に言ったことがあったが、確かに千ャールズは彼個人を超えた大きなものと
共にあるのだろう。しかし、自分達はそうではない。目の前にいる相手が手に入らない存在だとは思わないのだ。 <> 最初の夜最後の夜 3/6<>sage<>2011/10/23(日) 21:57:30.00 ID:TaLVqqQ00<> だが、その為にレイブソが命を危うくするようなことがあってはならない。
「俺はあの青い皮膚を美しいと思う。あのままで完璧だ。隠す必要など無い」
工リックの言葉に千ャールズは弾かれたように顔を上げ、まじまじと自分を見つめてきた。
「…そうか」
しばらくして、千ャールズは微笑みながら言った。
「…君にならレイブソを任せられる。ずっと心配していたが君なら安心だ」
「テレパスも役立たずだな」
今度は大げさに溜め息を吐いて、声に出して言ってやる。
「なに?」
千ャールズの声には怒りが含まれていた。絶対の自信を持つ力を否定されたのだから当然だろう。
「何でも分かるようでいて、肝心なことは何も分かっていない」
「分かるさ!」
彼が気分を害するのを承知でさらに言うと、ついに千ャールズが声を荒げた。
「僕は全てを知っている。レイブソのことも。君のことも!」
普段の冷静さをかなぐり捨て、むきになって叫ぶ千ャールズを面白そうに眺めながら工リックは言った。
「では、俺が今考えていることを当ててみろ」
工リックの言葉に、千ャールズは怪訝そうにしつつもこめかみに指をあてた。
そんな彼の今だけは閉じられた唇に、工リックはそっと自分の唇を押し当てた。
「隙だらけだな」
驚いて集中を止める千ャールズに笑いかけ、両の手首を掴んでベッドに押し倒す。
「…工リック…何を…」
まだ自分の置かれている状況を把握出来ないでいる千ャールズの顔に、鼻先が触れ合うほどまで顔を近付けて囁く。
「俺の全てを知っていると言ったな」
「…ああ。言った。それが…」
「フェアじゃないと思わないか」
「フェア?」
「お前だけが俺のことを知っている」 <> 最初の夜最後の夜 4/6<>sage<>2011/10/23(日) 21:58:03.66 ID:TaLVqqQ00<> 言いながら、千ャールズの顔を両手で包み込む。
「俺もお前を知りたい」
千ャールズの瞳が見開かれる。もちろん工リックの言葉の意味するところを理解してのことだろう。
自分のこんな欲望を知った彼はどんな反応をするだろうか。工リックはそのまま黙って千ャールズを見つめ、千ャールズも
また工リックを見つめていた。どのくらいそうしていたのか、先に沈黙を破ったのは千ャールズだった。
「…そうしたら、ツョウを殺さないでくれるか?」
穏やかな声には先ほどまでの動揺はすでに微塵も感じられない。
「人類と戦うのを止めてくれるか?」
その青い瞳から発せられる視線は、強い意思と覚悟をもって、挑むように工リックの瞳と心を射抜く。このような状況であっても、
千ャールズの心は彼以外のものに向けられており、その為に彼はその身を犠牲にしようとしていた。
そんな彼に対し形容しようのない苛立ちが湧き起こり、工リックは彼の問いかけに心の中でNOと叫んだ。
だが、その口から発せられた言葉はそれとは正反対のものだった。
「…ああ。約束する」
「…分かった」
工リックの返答に、千ャールズは微笑んで目を閉じた。そんな千ャールズを工リックは戸惑いながら見下ろした。
彼は心を読まなかったのだろうか。読んでいたなら、彼が自分を受け入れるはずはないのだから。
困惑しながらも、工リックは目の前の千ャールズから目を離すことが出来ない。目を閉じた千ャールズは普段の彼からは
想像できないほどに幼く頼りなく見えた。それでいて誘うように薄く開かれた唇に、工リックは込み上げる欲望を抑えきれず
再び口付けた。啄ばむような軽い口付けは、すぐに貪るような激しいものに変わる。挿し入れようとした舌はすんなりと
受け入れられ、奥にしまわれた舌と口腔内を思うままに味わう。
「……ふっ……」
激しい口付けに千ャールズの口から苦しげな吐息が零れ出し、工リックはようやく彼の唇を解放してやった。
そして離した唇を首筋や鎖骨に押し当てながら、千ャールズのシャツのボタンを外していく。全てのボタンを外し、
シャツを引き剥がすと、千ャールズの滑らかで肉付きの良い上半身が露わになった。すっと手を伸ばしてその肌を撫で、
工リックは一度体を起こすと、自らもセーターを脱ぎ捨て再び千ャールズの上に覆いかぶさった。 <> 最初の夜最後の夜 5/6<>sage<>2011/10/23(日) 21:58:24.43 ID:TaLVqqQ00<> 素肌が触れ合った時、それまでなすがままだった千ャールズの身体が震えた。
「怖いのか?」
工リックの問いに千ャールズは閉じていた目を薄っすらと開いた。
「…そんなわけないだろう」
強がる言葉とは裏腹に不安げな表情を浮かべる千ャールズに笑いかける。
「大丈夫だ。優しくする」
「女じゃないんだから、そんな気遣いは無用だ」
からかわれたと思ったのか、安心させようと頭に伸ばした手を撥ね退けて千ャールズが言った。
「優しくしなかったら痛いが、いいのか?」
「…痛い…のか?」
「痛いだろうな。もっとも優しくしても痛いかもしれんが」
「……」
それまでの威勢の良さはどこへやら、難しい顔で黙りこんだ千ャールズを工リックは微笑ましく見つめた。
「どうする?言ってみろ。どうして欲しいか」
「…止めるつもりはないんだろう?」
「もちろんだ」
自分から条件を持ちかけておいて、今更そんなことを言う千ャールズに吹き出しそうになりながら工リックは答えた。
なおも黙っていた千ャールズだったが、やがて工リックの視線から逃れるように顔を横に向け、ぽつりと呟くように言った。
「……優しく…して欲しい」
「いい子だ」
工リックはそう言うと、千ャールズの顔を自分に向けさせて口付けた。
*****
大きく足を開かせて、十分に慣らしたその部分に先端を当てた時、それまで快楽に身を委ねていた千ャールズの顔を緊張がよぎった。
エリックは彼の頬や額に口付けを落としながら、ゆっくりと中に侵入していった。
「……ん……っ」
千ャールズの端正な顔が苦痛で歪む。額にはうっすらと汗が滲んでいる。十分に慣らしはしたが、やはり辛いようだ。
「……うっ……」 <> 最初の夜最後の夜 6/6<>sage<>2011/10/23(日) 21:58:38.35 ID:TaLVqqQ00<> 徐々に狭くなってきたところを少し強引に押し入ると、千ャールズが声を洩らした。しかし、それ以上は声を上げまいと
唇を噛み締めている。工リックは彼の手をしっかりと握り締め、さらに腰を進め、全てを彼の中に納めた。
「辛いか?」
浅い呼吸を繰り返す千ャールズに、聞くまでもないことだとは思いながら問いかける。目を潤ませ、上気してうっすら朱色に染まった
顔がたまらなく美しい。千ャールズは無言で工リックに微笑みかけると、繋いでいた手をほどき、工リックの腕を取った。
そして彼から全てを奪った忌まわしい刻印にそっと唇を這わせた。
その瞬間、千ャールズの体が慣れるまでと思い、かろうじて押さえつけていた工リックの欲望が弾けた。千ャールズの足を掴んで、
まだ馴染んでいないその場所を激しく突き上げる。千ャールズが逃れようと身を捩るのを押さえつけ、更に激しく腰を動かす。
「…工リック……もう……」
揺さぶられながら首を振って懇願する千ャールズに、工リックは腰を動かすのを止めた。
「そうだな。もう無理だ」
その言葉に安堵の表情を浮かべる千ャールズに、工リックは残酷な笑みを浮かべて言った。
「もう優しくできない」
*****
「…千ャールズ?」
返事が無いのを承知で名を呼ぶ。腕の中の千ャールズは、憔悴しきった表情で眠り込んでいる。
工リックは指先で千ャールズの額にかかった前髪をそっと払った。そして、普段は決して触れさせようとしない髪をやさしく
梳いてやる。最後の瞬間、千ャールズは自分の背に腕をまわして必死にしがみついてきた。だが、決して爪を立てようとはしなかった。
どんな時でも人を傷つけることは出来ない男なのだ。だからこそ、と工リックは思う。
千ャールズには自分が必要なのだ。そしてもちろん自分にも千ャールズが必要だ。自分の能力を見出したのはツョウに違いなかったが、
それを更に引き出し解放したのは千ャールズだった。2人でいればどんなことも可能だろう。
ツョウを生かしておく気は無いし、人間を許す気も無い。それでも。
「お前を人間の側につかせたりしない」
決して自分の傍から離したりしない。千ャールズを抱く腕に力を込めながら工リックは思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
代行ありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/23(日) 23:08:17.55 ID:3xB3pyqdO<> >>214
おお萌えたー
磁石さんの若教授への独占欲イイヨイイヨー
また映画見返したくなりました!ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/24(月) 21:16:23.42 ID:oWaRaJSTO<> >>200
銅鑼ファソじゃないが萌えた
日尻行けるといいね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/28(金) 19:57:51.80 ID:1p9vTtiN0<> >>209
GJGJです!萌えたし燃える!
続編待ってていいっすか <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/30(日) 21:07:05.66 ID:pV0C26fw0<> >>209
萌えましたー
続編希望です! <> 架空のスタッフ・某ローディー×某師/匠 1/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/10/31(月) 00:27:46.70 ID:MOejM/Ot0<> 架空のスタッフ・某ローディー×某師/匠 前編 です。
架空のスタッフが当て馬化してしまいました。
名前を出さないように師/匠、キミ、あいつ等になっています。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「気持ちイイ事したい」
「「は?」」
「痛いのはイヤ。」
突然部屋に入ってきた師/匠が開口一番どうしようもない事を言ってきた。
隣りのあいつの喉が鳴る。
これは相当煮詰まっている…けど、なんだそれ…初めてのパターン過ぎる…。
「じゃ、気持ちイイ事してくれる人ー?」
「はい!はい!はい!はい!はい!はい!」
当然のように隣りの狂犬が吠える。
「やかましい。」
「俺が師/匠を気持ちよくします!」
「ふーん、じゃあ、アナタでいいや。」
え。ちょっと待って。
「あの…それ、マッサージって意味ですよね?」
変な質問してる自覚はあるけど、こいつにはちゃんと伝えないとまずい。
「気持ち良ければなんでもよろしい。」
いやちょっと…それじゃまるで…
もっとハッキリ言ってください。
「あんな事やこんな事もしていいって事ですよね?」
変態が興奮しだした。何するか目に見えすぎて怖い。
師/匠だってわかってるはずだ。
「痛く無ければ何でもいいです。」
うわ、完全になんか…。いやそんなわけは…
え?どういう事これ?本当に?
あの野郎顔が変態通り越して妖怪みたいになってるじゃないか。 <> 架空のスタッフ・某ローディー×某師/匠 2/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/10/31(月) 00:28:33.71 ID:MOejM/Ot0<> 「じゃあ行きましょうか師/匠」
奴が慣れ慣れしく師/匠の肩を抱く。その手を師/匠が振り払おうとしたが、
俺が先に奴の手首を掴んで師/匠から引き剥がしていた。
「…おい」
「なんだよ。」
「お前絶対なんか変な事するよな?」
「するに決まってんだろ」
「ほら師/匠。こんなやつについて行ったら駄目ですよ。」
「は?なんでお前がそんな事言うんだよ。」
うるせぇ、駄目に決まってんだろ。師/匠だってこれ聞いたら
「…駄目?」
師/匠まで!?そんな風に小首をかしげてかわいく言ったって駄目なもんは
「駄・目・で・す」
「「なんで?」」
なんで?!
「だってこいつ完全に変態ですよ?いいんですか師/匠は?」
「気持ち良ければ。」
うわー無いわ。無い無い。なんか腹立ってきたなんだこれ。
今までずっと俺が助けてきたつもりだったんだけど何?邪魔だった?
「絶っっ対駄目です」
無理。無い。無理無理無理。
師/匠の腕を引っ張り部屋を出る。
「ちょ、ちょ、ちょおまっ師/匠どこに連れてくんだよ…ええぇぇぇ〜〜??」
悪い。なんかまじで無理だわ。
お前に手出されんの黙って見てられない。
そのまま師/匠を車に乗せて拉致した。
「…キミ、こういうタイプだっけ?」
違います。誰のせいですか。 <> 架空のスタッフ・某ローディー×某師/匠 3/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/10/31(月) 00:29:35.62 ID:MOejM/Ot0<> バックミラーごしに師/匠を見る。
なんか全然怒りが収まらない。
「なんでキミがそんなに怒ってんの」
「俺にだってわかりませんよ!」
ただもうなんかもう無理。全然無理許せない。
「なんであいつについて行こうとしたんですか」
「だって…気持ちイイ事してくれるって言うから。」
「あいつにそんな事言ったら絶対変な事されますよ」
「そうですか?」
そうです。わかってるくせに。あーーもう。
なんだそれ、なんだ突然。何がどうなってるんだこれ。
「誰でもいいんですか」
「はい。」
「わかりましたじゃあ俺でもいいんですね。師/匠ん家でいいですか。」
「え?」
「したいんですよね、気持ちイイ事。俺としましょう。」
「えー」
「えーじゃないです」
本当にもう。
どうにでもなれ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
後編は近々投下予定です。 <> 部無あき1/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:15:48.49 ID:yKDlgIeV0<> 土9「溶解人間部無」、部無あきで軽くエロあり。
あれこれ助けられまくって刑事は部無のホントの姿を既にご存知な設定で。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「べむさん、なにこれ?」
ハンカチはないかと尋ねられて差し出すと、小首を傾げている間に視界を奪われた。
「こういうこと、慣れてなくて恥ずかしいから…見ないで下さい。」
部無の静かに囁く声が耳朶を擽る。
廃船の古びたベッドにそっと倒されて、その上に遠慮がちに圧し掛かかられた。
シャツを引き出され、裾からおずおずと入り込んで来た手に浮いた肋骨を撫でられる。
喉元に口唇を押し当てられてようやく、あぁ、自分は抱かれるんだと気付いた。
自分は男で、妻子もあって、若い部無から見ればもう十分オジサンの域に突入しているだろうから、
求められるのが不思議で仕方がなかったけれど、それでもベムが欲してくれるのなら何もかも差し出そうと思った。
何があっても抗うつもりはない。
棗はベムに負い目があった。
<> 部無あき2/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:18:19.50 ID:yKDlgIeV0<> 振ってきた部無の口唇に柔らかく下唇を噛まれる。
「べむさ…」
名前を呼ぼうとしたが、全て食い尽くされそうな程にいささか強引に口唇を塞がれて、呼吸を奪われた。
慣れていないと言った言葉通り、若くがむしゃらな部無のくちづけに棗は必死でしがみ付いた。
歯列を割り捻じ込まれた熱い舌が、口内を蹂躙する。
くちゅくちゅと発ったいやらしい音に顔が熱くなる。
棗は思わず部無の背中に手を回して、その上着をきゅっと握り締めた。
部無の身体がびくりと震えて一回り大きく、硬くなった気がした。
指先だろうか?
ひんやりとした硬質な何かが棗の頬を、首筋を、胸を、わき腹を辿っていく。
触れられた箇所が火がついたように熱くて次第に息が上がった。
「あ、…あっ、べむ、さんっ」
とっくに乱された襟元に噛み付かれる。
刺すような痛みに棗は眉根を寄せて呻いた。
「や、痛っ…」
「なつ、めさん…、」
いつもより低く響くしゃがれた声が耳元で名前を呼んだ。


浅ましい。
この身が心底浅ましい。
部無はそう思った。
自分が恥ずかしくて俯くと、棗の首筋には自分の牙が開けた穴が赤い血を滴らせている。
好きな人を優しく抱く事もできない身体が、本能が、呪わしかった。
「べむさん…」
くちづけをねだる素振りを見せた棗に、柔らかなキスを落とす事ももう叶わない。
見せ掛けの代物だった人の肌は、とっくに失われているのだから。 <> 部無あき3/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:20:36.53 ID:yKDlgIeV0<> 「っく、ぅ…」
丹念に解されたそこに突き立てられた部無の雄身は、棗のものよりずっと大きく硬く逞しい。
その存在をこれでもかと主張するものを、どうにかして全て受け入れようとしたが、
そもそも棗だって慣れている訳ではなかった。
苦しげに息を吐き、身体の力を抜こうと努力する。
だけども肝心の部無はその腰をこれ以上進めて来る気配はなく、今更何かを逡巡しているようだった。
「ぁ、べむさん、あの…、べむさんが動いてくれないと、その…ぜんぶはいらないと思うんだけど…」
顔が赤く火照る思いがしたが、中途半端に挿入されているだけでは苦しいばかりだった。
部無は何も答えなかった。
その代わり、自らの雄身を棗の中に一気に突き入れてきた。
「ン、アァッ!」
骨盤を割り裂くような痛みと衝撃に、棗は声を上げて仰け反った。
ズルリと滑りが良くなったのも、受け入れた場所が切れて出血したからに他ならない。
目元を覆い隠した頼りない一枚の布にぎゅっと縋り付いてしまったのも仕方なかった。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 01:26:46.21 ID:K5yldsJS0<> シエーン <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 01:26:57.21 ID:lKmegesF0<> しえん <> 部無あき4/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:28:30.52 ID:yKDlgIeV0<> ピンク色の布の縁から部無の好きな優しい色をした瞳がふいに覗いた。
けれどそこに映るのは、棗の知る部無の姿ではない。
ただ醜いだけの、化け物のそれだ。
長い睫毛が涙に濡れてふるふると震えている。
やっぱり怯えさせた。
こうなるのが解っていたから視界を奪ったのに。
部無が思わず腰を引こうとすると、刑事にしては細い指先が恐る恐る伸びて来て、羽のようにそっと頬に触れた。
棗は硬質な部無の頬の感触を確かめるように、幾度か撫で、そうして言う。
「…知ってたから…俺、全部、わかってたから、だから大丈夫…大丈夫だよ、べむさん。」
垂れ目がちな大きな目を優しく細めて微笑った棗が、
震える手で、泣きそうな声で、それでもぎゅっと抱き締めようとしてくれる。
きっと無理をさせている。
この異形の姿が恐ろしくないはずがない。
身体のあちこちに傷をつけられて、怖くないはずがない。
大丈夫と言ったその言葉はきっと、棗自らが自分に言い聞かせる言葉だ。
結ばれたのは心じゃないはずで、
ただ熱を孕んで包まれたいと強烈に訴える部分だけが、恋しい人と自分とを微かに繋いでいる。
だがそれも終わりだ。
真実の姿を知られてしまったのなら、終わりにするしかない。
何より自分は棗を怖がらせたくはないのだ。
部無は温かな棗の奥に忍ばせた雄身を、ゆっくりと引き抜いた。
「…っん」
湿り気を帯びた長い睫毛が苦しげに伏せられる。
半開きの口唇からは、小さな喘ぎが漏れた。
<> 部無あき5/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:31:15.78 ID:yKDlgIeV0<> その全てに情欲をそそられたが、
部無はくちゅりと淫らな音を立てて棗の中から身を引くと人成らざる漆黒の瞳で、横たわる男の顔を見下ろした。
忙しなく上下する胸。
上気した肌理の細かい肌。
涙に揺れる、少し色の薄い瞳。
流れ出た赤い血。
「べむ…さん?」
少し高めの声で自分の名を呼ぶ、その口唇。
何もかもが愛しくて、何もかもが自分とは到底釣り合うはずもない美しい、美しい人間だった。
部無は棗の顔に触れようと伸ばした手を、ぎゅっと握り締めた。
尖った爪が掌の肉を抉る。
滴り落ちるのは、どんなに願っても決して赤い血にはならなかった人外のそれ。
棗の横たわるベッドを汚す緑色のおぞましい血液に、部無の胸が軋んだ音を発てた。
「そんな事したら、手…痛いよ、べむさん。」
「…」
「ほら、血が出てる。待って、俺ハンカチ持ってるから。」
脱ぎ捨てた上着を薄暗闇の中、手探りで探す棗に、部無は背を向ける。
(隅の方に“あきちゃん”と刺繍の入ったピンク色のハンカチなら、今あなたの首元にぶら下がってる。)
こんな時に、どうしてそんな悠長な事を思ったのかは解らない。
ただ、少し天然の入った棗に、きっともう触れる事も、会う事も叶わないのだろうと諦めたら、
頭も身体も少しだけ軽くなった気がした。
部無は初めて好きになった相手に、さよならの言葉も告げず闇に紛れて姿を消した。
<> 部無あき6/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:33:02.66 ID:yKDlgIeV0<> 「あ、あった。ほら、べむさんハンカチ!…べむさん…?」
残された棗が辺りを見回した。
そこにはもう、人も、人成らざるものの気配もない。
「…べむさん…」
棗は自分の首に引っかかっていた目隠し代わりのハンカチを手に取ると、ぎゅっと握り締めた。
「…俺…、まだあなたに謝ってないよ、べむさん…。」
恐くなかったと言ったらきっと嘘になる。
「いっぱいひどいこと言って、傷つけて、てゆうか初めて助けてもらった時なんて撃っちゃったし…。」
けれどどんな姿でもベムはベムなのだと、受け入れる覚悟を決めたばかりだった。
「色々謝らなきゃいけないし、ありがとうも言ってない…。」
船底に、伝わらなかった告白が小さく響く。

「べむさんが好きだって、俺、まだ伝えてないよ…。」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 01:44:12.01 ID:DXA1dV9J0<> 規制か…支援します <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 01:44:33.52 ID:JCdGT1jD0<> しえん。 <> 部無あき8/8<>sage<>2011/10/31(月) 01:59:56.28 ID:LLMdfkzJ0<> □STOP

配分間違えて8/8にならず本気ですみませんでした。
しかもバイ猿食らうお粗末さ…。
途中支援して下さった皆様、どうもありがとうございました。
ハム式のよもやのテンプレ萌えに滾って、先走りな感じのネタ失礼しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 02:06:03.78 ID:DXA1dV9J0<> >>232
乙!いえいえ姐さんgjです。
部無切ないよ部無
エロくも可愛い刑事さんもたまりません。
こんなに早く溶解読めるとは…! <> 夕ミ才×海老 1/2<>sage<>2011/10/31(月) 02:26:25.76 ID:S0HN5QAp0<> 生、一角獣で同級生(唄→四弦のつもり)だけど唄と鍵盤ばかり出てきます。
シアーの興奮冷めやらぬまま勢いで書いたら、おっさんのくせにやたら乙女な甘酸っぱい感じに。
口調もなにもかもがめためたです…。

|>PLAY ピッ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガオオクリシマース!


お疲れ様でしたー、と言う声を合図に、其々が手にしたジョッキが中央に寄せられガチャガチャと言う騒がしい音が響く。
俺もその一連の行動に従った後、ジョッキに並々と注がれたビールをぐいっと飲み込んで、深々と息を吐き出す。

ライブの後はスタッフもメンバーも入り乱れ、盛大に打ち上げと言う名の飲み会が開かれるのが恒例だ。
全員で一つの物を作り上げた達成感はひとしおで、この場で皆のやりきった顔を見るのが俺のもう一つの楽しみでもある。

そんな達成感と心地好い騒がしさに浸りながらもう一口ビールを喉に流込むと、長い髪を揺らして笑う男が視界に入る。
俺の向かい側、少し端の方の席で、河弐っさんとスタッフに挟まれている海老。あいつは只でさえベタベタ人に触るっつうのに、酔ったら尚更スキンシップ魔になるもんだから質が悪い。今日の餌食は最近なんとか類だかって仲の良い河弐っさんだろうか。

「…いってくりゃーいいじゃん」
「あ?…何よ、どこに行くっつーの」

俺の視線に目敏く気付いたのか、隣の席の亜辺が肘で俺を小突いて囁く。
昔っから四六時中つるんでいる亜辺の事だから何でもお見通しだと自分でも分かっているのに、ちっぽけなプライドが邪魔をしてしらばっくれてしまう。
亜辺はわざとらしくはぁ、と溜め息を吐きながら俺の肩に腕を回してぐいっと引き寄せる。

「チラチラチラチラ海老の事見ちゃって、ライブ中は普通にちょっかい出せるのにねぇ?」
「そりゃあお前!…ライブとは話が違うやろが」

こそこそと耳打ちして来る言葉に思わず大声で反論しそうになるが、慌てて声のトーンを落としてもごもごと続ける。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 02:29:04.44 ID:GeHPl37VO<> >>232
大変GJでした!仕事の早さとクオリティの高さに眠気がふっ飛びました
切ないよー… <> 夕ミ才×海老 2/2<>sage<>2011/10/31(月) 02:30:30.26 ID:S0HN5QAp0<> いい歳こいたおっさんが情けないっちゅーのは自分が一番わかってるつもりだ。いつからかはわからないが、自分の感情を意識し出した頃から妙に照れ臭くて、仕事以外じゃ何と無く近寄りがたくなってしまったのだ。
バツが悪くなった俺は手に持ったままのジョッキを口元に運び、ちびちびとその中身をすする。時おり聞こえる海老の声が何だか妙に耳に入って居心地が悪い。
何かを考えていたのか黙っていた亜辺が独りでに頷くと俺の背中をぽん、と叩き膝立ちになる。

「…まぁとにかくだ。考えるな、感じろ!」

それだけ言い残すと亜辺は立ち上がり、「河弐市さん今日すげー良かったよー!」なんて言いながら河弐っさんと海老の間に割り込んでいき、次第のその声もガヤガヤとした周りの声に混ざっていった。
暫く酒を飲みながら周りにいたスタッフや頻りにもぐもぐと料理を口に運ぶ〒ッシ一と談笑していると、ふと此方に歩み寄る人影に気付き顔を上げる。
長い髪の間から覗く、微かに赤くなった顔。思わず動きが止まってしまう。

「夕ミ才〜、隣いい?」
「え、ああ、どーぞ」

絞り出すように返事をしながらチラリと海老が元居た場所へ目をやると、わざとなのかそうではないのか、海老が座っていたはずの席を占領して熱く語らう亜辺、と、河弐っさん。
妙に近い距離に腰を下ろす海老にやや動揺しつつも、いつもの事だと平静を装いそちらに視線を戻す。

「トイレ行ってさぁ、帰ってきたら座るとこなくなっちゃった」
「…お前またぼけーっとしとったからやろ」
「えー!俺ぼけっとなんてしとらんよー!」

あはは、と言う笑い声が、今度は隣からはっきりと聞こえる。顔が綻んでしまうのが悔しい。
方言丸出しやぞ(これは俺もだが)、とか、もう出来上がっとんのか、とか、ギャルか、とか、色々言いたい事はあったが一度全部飲み込んで、海老の笑顔を目に、笑い声を耳にしっかりと焼き付けた。


□STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
唄と鍵盤の友情とかツンデレ(ツンテレ?)な唄とかほのぼのな同級生とかを書きたかったんですが…
色々スミマセンデシタ!初投稿、緊張したー! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 02:34:28.24 ID:B8OtDuvg0<> >>232
こんなに早く読めると思わなかった!!
部無掲示な自分はとっても美味しうございました。
切な過ぎて胸が張り裂けそうだ。
ありがとうー!!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 19:18:35.77 ID:i9FJYX3Y0<> えぬえっちけー
びーえすぷれみあむ時代劇「束原僕伝」よりエロあり。
天然若様と振り回される苦労性の従者で。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 望月の儀 1/6<>sage<>2011/10/31(月) 19:20:04.62 ID:i9FJYX3Y0<> それは小多原の伊瀬層瑞殿の元に寄宿して2年余り、近々京へ旅立つ日のこと。
弓張り月の夜だった。
「査問、あの儀のことをよろしく頼む。」19になった若、束原真得門がいきなり口に出した。
「は?あの儀とは?」なんのことやら、私にはわからない。
「あの儀といえばあの儀じゃ。」若がわずかに顔を背け早口で言い放つ。
「若、武芸者たる者、また人に教えを講ずる者としては、何をどうするのか
明らかなる言葉にて伝えなければならぬと常々申し上げておるではありませぬか。」
「だから、あの儀じゃ。そなたも父各県や美髯の守殿に言い含められておろう。」
若の泳いだ目と上気して桃色に染まった頬から首筋を見て、私ははたと思い当たった。
「あの儀」そう、色の道のことである。
「次の望月の時じゃ。査問、よろしく頼む。」そう言い捨てると、いたたまれないのか
若は庭に出て型の稽古を始めた。

鹿島にて、若のお伴をしぶしぶ承知したのち、美髯の守様より申し付けられたこと
があった。もちろん芳川各県様、つまり若の実の父君も臨席しておられる。
「査問、真得門にその時が参った時には、その方に指南を頼む。」
「その時・・・?でございますか?」
傍らの各県様が苦笑する。「もちろん色の道のことよ。そなたも覚えのないことでは
あるまい。」
思わず赤面する。問われる自分にも、普通に話す二人の師にも。
「武芸を極めようとする者、当然のようにぶち当たる壁のようなもの。溺れても困る。
さりとて何もせずでは子も残せぬ。しかし、あれが回国修行に出るとあれば、儂らも
ついて見守ることもできぬ。」
美髯の守様が頷く。「その方も見てのとおり、真得門は純粋無垢ゆえ、一度色に
溺れてしまうと取り返しがつかなくなるやも知れぬ。」
確かに・・・。色の道に溺れたあまり、日々女を抱くことにいたずらに邁進し、武芸者
として道を踏み外してしまった者を査問も少なからず見ている。
ことに若は天賦の才を持つが故に、どこか浮世離れしており一度世俗の色に染まると
取り返しがつかなくなるかもしれない。
<> 望月の儀 2/6<>sage<>2011/10/31(月) 19:21:07.79 ID:i9FJYX3Y0<> 「そこでだ。」美髯の守様が咳払いをする。「真得門が色の道を知りたいと申し出た
その時には、査問、そなたが指南せよ。」
「はい・・・・???」
「知れたこと、真得門を抱いて指南せよということじゃ。」各県様かひときわ大きな
声を上げた。
「えーーーーーーっ?!」あまりのことにわたしの頭の中はまっさらになった。
「おっおっ恐れながら、若を抱・・いえ、色の道の指南をせよと?」
「おお、わかってくれたか。」美髯の守様と各県様は大きく頷いた。
わかりませぬ・・・わかりたくもありませぬ・・・。何度も私は心の中で叫んだ。
しかし、そこは気を取り直し、「恐れながら、この査問もさほど経験を積んだわけではなく
とてもとても若のお相手などは。」と拒否してみる。
「卒時ながら聞く。査問、そなた男色は知っておるか?」
「まあ・・・少しは・・・。」ないわけではない、好奇心で生業として性を売る男子を
買ったことがあるが、ほんのわずかの経験である。
「良かった。それは良かった。」
各県様、あなたさまの息子のお話ですよ。それでよろしいのですか。
「左様、各県殿、もし査問の覚えなき場合は、我らにて先に指南せねばと思うておった
ところ。ようござった。」
やっやっやめてくれーーーーーっ!!二人に指南されるなんて悪夢としか言いようがない。
「いやあ、美髯の守殿、儂らは何も知らなんだゆえ、互いに確かめ合うしかすべが
なかったからの。」
はい・・・?互いに確かめ合う?
「いやはや、それでも各県殿とその儀はとても好いものであった。」
「儂とてじゃ。わははははは。何度も睦み合うたものよ。」
初めて知った驚愕の事実に声を失った私に、各県様は声をかけた。
「そこでじゃ、査問。もし真得門が自分でどうかした場合は、あとを慎重に見守って
くれ。されどあれがその方に指南を頼んできた場合は・・・よろしく頼む。」
「左様、真得門が悪色に染まらぬよう、溺れぬよう、さりとて色を全く知らぬという
ことも無きよう、指南を頼む。そなたなら安心じゃ・」
私ごときに深々と頭を下げる各県様に私も「こちらこそ」と平伏するしかなかった。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 19:23:55.69 ID:d7WF9I8x0<> 保守 <> 望月の儀 3/6<>sage<>2011/10/31(月) 19:27:21.37 ID:+H82LXfkP<> しかし、どういったことか。あのお二人は若にもその儀のことを言い含めていたとは。
何も知らぬ顔をして、若もなかなかの役者ぶりである。
若は決して女子にもてぬわけではない。むしろ私など若がそれなりに秀麗な顔立ちに
育ったことは、多少なりともホッとするところである。
層瑞殿の屋敷にも若に秋波を送る女子は幾人もいたが、若は気づかぬように見えた。
いつでも女子の肌を知る機会はあったものを、若はまだ無垢の身体であったのか。
 女子を抱く方が、よほど楽であろうに、男色を、しかもこの私に頼むのか・・・。
 ともあれ、次の満月の夜、若を抱くのかと思うと急に身体が熱くなり、あろうことか
私の中心に熱が集まった。

 「査問、指南、よろしく頼む。」
望月の夜、褥の前に座り若が私に頭を下げた。
白の単に身を包んだ若。何度も水垢離して身を清めていたことを知っている。
戸の隙間から漏れる月の光を浴びた若は、神々しくもあった。
「こちらこそ・・・。あの、若・・。」
「何じゃ?査問。」
「私で良いのですか。このような儀、女子の方が適当かと、あるいは男子でも私より
手錬の者はいくらもおりましょう。」
若は黙っている。いつもは饒舌ではないが、決して無口な方でもない若が。
「恐れながら、若の身体を傷つけまいかどうか心配なのです。」
「査問・・・、嫌なのか?俺に触れるのは。」少しだけ声が震えている。
「滅相も無い。」思わず声が上ずった。何故だろう、全力で否定を。
「ならば、早う抱け。初めて言うが・・・・、俺は・・・俺は、何も分からぬのだ。
色の道は。」顔を背けわずかに俯いた若。かすかに震えた肩。隠し切れぬ清潔な艶。
「知っておりますとも。」何故か少し吹き出した。
若は少し不機嫌そうにいう。「査問、一言余計じゃ。」
お可愛らしい・・・、そう思った。
これ以上、若に問答をさせるのはいたぶるのと同じように感じられた。
「では参ります。お覚悟を。」
私は若の肩を抱き口吸いをした。
<> 望月の儀 4/6<>sage<>2011/10/31(月) 19:27:59.52 ID:+H82LXfkP<> 私の手が触れた時、若の肩が一瞬ぴくりと動いた。
震えている、若が震えている。そのまま唇を若の首筋に這わせた。
何だろう、雪を分けて咲く白梅のような、鹿島の風のようなさわやかな香がする。
私の気のせいかも知れない・・・いや、確かに若のまっすぐなご気性から来るのか、
さわやかで清浄な風の匂いがする。
「あっ・・・・。」単の肩を肌蹴させた時、若の手が微かに私を押し返した。
「本当はお嫌なのですか・・・?」
「嫌ではない!早う指南せよ。」息の混じった少し強い口調。
私は苦笑した。
「何がおかしい。査問。」若は少し不本意そうな顔をした。その顔が何ともいとおしい。
「指南と考えられてはなりませぬ。このような儀は、相手を愛おしいと思うてやるが
肝心。決して人に教えを請うものではございませぬ。」
「指南でのうては何とす・・・んっ・・。」
「心も身体も・・・自由になさいませ。」若の胸のつぼみを舌に含み、両の大腿を割った。
「あっ・・。」若が一瞬跳ねた。
「風を思いなされ、天を思いなされ、地を・・。」
若木のような引き締まった、それでいて少年のようにも見える裸体が露わになる。
その身体のあちこちを指と舌でゆっくりといとおしむ。
「や・・・、査問。」若が啼いておられる。
「俺は・・変だ。身体が・・・しびれるような・・浮くような・・・。」
「それで良いのでございます。若。」

ああ、そうだ。私は決して嫌ではなかったのだ。
幼児のころから若とともに学び、遊び、伴に旅をし、いくつもの日々を過ごした。
子供から白き木蓮が花開くが如く芳香と浄らかな艶を放つように成長していく若を、私は愛おしいと思っていたのだ。
<> 望月の儀 5/6<>sage<>2011/10/31(月) 19:28:52.62 ID:+H82LXfkP<> あれはいつのことだったか・・・・?
回数こそ他の男子に比べて少ないものの、小多原城下で、若に「行くのか?」ニヤニヤ
した面持ちで冷やかされながら、遊女屋に通ったことがある。
更に真面目に若の身体を痛めぬようにという配慮から、男色を売る小屋にも足を運んだ。
今動機を思うと少し笑える。
華のように美しい化粧をした美童もいたが、自分が選ぶのは大きな目をした、きれいな
声をした細身のどこかおぼこい雰囲気の稚児(といっても大人)だった。
それが媚のない屈託のない笑顔を持っていれば尚良いが、生憎そんな稚児はいない。
それでも気づけば、束原真得門を思わせる遊女や稚児を選んできたのだと思う。
<私は心の底で、こうして若を抱きたかったのだ・・・>今はっきりと自覚した。

「若・・・、本当によいのですね。」
「何故聞く・・・。」振り絞るような声で若は問う。
私はゆっくりと若の頬をなぞった。少しだけ涙がにじんでいる。
若の中心は既に蜜がこぼれ始めている。

「これ以上進めば・・、もう若がどれほど嫌と叫んでも、査問は止められませぬ。」
若がぎゅっと目を瞑り、両の太腿で私をギュッと挟んだ。
「では、若、お覚悟を。」私は微笑んだ。

若々しくしなる身体、触れるだけで小鳥のように跳ねる敏感な肌、月の光に照らされる
束原真得門を心から美しいと思った。何から何まで愛おしい。
時折、若は「いや・・・」と首を振るが、もう私には止められない。
この美しい若者を壊さぬよう気をつけながら、貫いた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/10/31(月) 19:44:57.80 ID:3bGZkvM+0<> 支援 <> 望月<>sage<>2011/10/31(月) 20:08:03.14 ID:+H82LXfkP<> <オマエニ言イフクメテオク・・・・。>
真得門は査問に揺すられ、時に突き上げられ、痛みと共にしびれるような甘い愉悦に
身を委ねながら父と師の言葉を思い出していた。
そうだ、芳川の父は何を言ったのだったか・・・。
<お前が、初めて色知るとき、愛した女子を抱くか、それとも遊び女を相手にするか
・・・、それとも・・・。>
それとも・・・?
<もし、心に決めかねるならば、査問の指南を受けよ。査問には言い含めてある。
そして、もしお前がそう望むのならやはり査問に抱かれよ。選ぶのはお前だ。>
そう、選ぶのは俺だ・・・。俺が今この時を選んだ・・・。
うわ言のように「査問、好い・・・、もっと、もっと突け・・」と呟きながら真得門は
父と師の言葉を思い出していた。

鹿島の里では、物忌み様から娘真広を通して、待元美髯の守と芳川各県のもとに
吉凶のご神託が届けられた。
「真得門と査問は、目出度くもその儀を終え候。」
託宣を呼んで、納得がいったかのように嬉しそうに笑いあう二人に、
真広はただただ首をかしげるのであった。


□STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お粗末さまでございました。お目汚しでございますが、あの二人は
もう萌え萌えでございます。
止まってしまってにっちもさっちもいかなかったとき、焦りました。
保守・支援ありがとうございましたーー。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 01:04:44.66 ID:OH5EFv7u0<> >>238
やはり初めての相手は鮭か…
若、めっちゃ可憐。ご馳走様でした。 <> ぬるい日鞍 1/6<>sage<>2011/11/01(火) 01:07:42.71 ID:1Msv1kj10<> 日9「難局大陸」日室×鞍餅+狗塚。ぬるいです。
第二話のインド洋で灼熱地獄な設定で。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

うだるような暑さである。
宗谷は湿気と不機嫌で充満していた。暑さで皆いらいらして、肩先が擦れるだけで喧嘩になる。
ただでさえ暑いのに、他人の体温と、汗でねっとりした肩先は不快感を煽る。
兎に角体温を下げたい。男しかいないのを良いことに、船員はほとんど半裸だ。 <> ぬるい日鞍 2/6<>sage<>2011/11/01(火) 01:12:14.76 ID:1Msv1kj10<> 袖無し、短パン当たり前。自室に帰れば褌一丁。大の大人がみっともないが、
そんなこと構ってられないほど、今、暑いのだ。
こんな中で、一人涼しい顔をしている奴がいれば、そりゃ目立つ。
「暑苦しいカッコで暑いもん食ってんじゃねえぞオオクラァッ!」
長ズボンに首まできっちり濃いシャツのボタンをとめて、熱々のうどんを食っていた
日室さんに向かってそう叫んだ佐目島さんの気持ち…解らなくはなかった。 <> ぬるい日鞍 3/6<>sage<>2011/11/01(火) 01:14:26.32 ID:1Msv1kj10<> 「日室さんて暑くないんですかね」
「うん?」
「いや、いっつも首までボタンをとめてるじゃないですか」
犬舎で犬に向かって団扇をあおぎながら、鞍餅さんに聞いてみる。
椅子に座って飼育票をつけていた鞍餅さんは、ノートから目を離して俺を見た。
俺も鞍餅さんもランニングに短パンだ。この状況だと、こっちの方が正常なのだ。
「暑くないのかなぁって」
「暑いだろ…あいつも人間なんだし」
「でもしれっとした顔してるじゃないですか!汗もあんまりかいてないし…」
「本人に訊いてみるか?狗塚」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 01:28:27.15 ID:3r0TzvFo0<> shien <> ぬるい日鞍 4/6<>sage<>2011/11/01(火) 01:29:37.97 ID:1Msv1kj10<> 「えっ」
後ろを振り向いた鞍餅さんの視線を追うと、日室さんがいた。
開けたドアにもたれ掛かって立っている。
ギョッとして俺は中腰を崩して尻餅をついた。
い、いつからいたんだ。全く気がつかなかった。
「お前暑くないの」
「暑い」
「じゃあ開けちまえばいいだろ、ここ」
鞍餅さんは椅子から立ち上がって、日室さんに手を伸ばす。
一番上のボタンに手をかけた。どうやら外そうとしているらしい。 <> ぬるい日鞍 5/6<>sage<>2011/11/01(火) 01:32:17.71 ID:1Msv1kj10<> ボタンに夢中な鞍餅さんの顔を、氷室さんが上目使いに見ている…
…何だろう…何か。随分と距離が近いような。
「着崩れるのが嫌いなんだ」
鞍餅さんの右手を日室さんが左手でつかんだ。
空いた右手で日室さんが鞍餅さんの頬を撫でた。
え、撫でた?鞍餅さんも驚いたようで、顔を上げて日室さんを見た。
「日室、何」
「汗が」
「汗って」
「……離れろ、暑い」
ぐい、と日室さんが鞍餅さんの胸を押して距離をあけた。 <> ぬるい日鞍 6/6<>sage<>2011/11/01(火) 01:36:48.55 ID:1Msv1kj10<> それからちらりと俺を見たかと思うと、何も言うこともなく犬舎を去って行く。
その後ろ姿をしばらく見送った後、鞍餅さんが俺に笑いながら言った。
「お堅いやつなんだ。昔から」
いや、何か、そういう問題じゃないような…今の……
ていうかあの人、何しに犬舎に来たんだ?

翌日から日室さんがシャツの第一ボタンをあけるようになったのに気づいて
鞍餅さんは少し満足そうだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
3話で日鞍はフタを開ければただの仲良しな気がしてきたの。
支援ありがとうございました!!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 08:01:52.94 ID:kcz54T6Z0<> >>248
やっと来たーー。待ってました。日室、相変わらずのツンデレぶりで楽しいです。
ほんと、気がつけば鞍餅の後ろにいるもんねw
姐さん方、どんどん書いてくださいませ。 <> 部無あき@溶解人間<>sage<>2011/11/01(火) 18:09:49.35 ID:qpYdNPjPO<> 半生につきご注意を。
溶解人間の短文。本人は部無あきのつもりで書きました




|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
歪んだ視界の中で棗さんが怯えている。恐怖に揺らぐ瞳が捉えるのは、

――醜い妖怪姿の俺。



「…部無、部無!起きてよー!」

よく聞き慣れた幼い声と、肩を揺すられる感触で目が覚めた。にこやかに笑う部呂と、食事の支度をしている部羅の姿。いつもの光景が、そこにある。

(夢…か)

だが俺は、既に二度も同じ顔を見ている。何も夢にまで出て来なくてもいいだろう。
棗さんの怯えた姿に、こっちも傷付いているんだ。




人間になる手がかりを探す為、今日も外へと出た。とは言え宛もないから公園にでも行って行き先を考えよう。そう思って公園に行ったら…

「あ、部無さん!こんにちは!」
「…こんにちは」

棗さんがいた。今日は休日だから湯井ちゃんと公園で遊んでいたらしい。広場では湯井ちゃんが自転車を漕いでいる。
あんな夢を見た日に会うとは…
でも、棗さんを見ただけで胸が暖かくなる。

「ほら見て下さいよ、湯井、自転車上手に漕いでるでしょ?部呂君に協力してもらったお陰ですよ」
「湯井ちゃんが頑張ったからですよ」
「いやぁ〜そうかなぁ?」
<> 部無あき@溶解人間2/2<>sage<>2011/11/01(火) 18:13:25.40 ID:qpYdNPjPO<> 嬉しそうに棗さんが笑う。棗さんが笑うと俺も嬉しくて、口許が緩んでしまう。
まだ出会って時が浅いのに、こんなに大切な存在になってしまった。
俺も人間なら、何の隔たりもなく接していけるのに――

「どうかしたんですか?」
「え、あ…」

俯いていた俺を覗き込むように見つめる瞳から、思わず目を反らした。

「何か悩み事でもあるんですか?」

…あります。
どうしたら人間になれるのか。貴方を怯えさせる事のない自分になりたい。

「…相談したくなったら言って下さいね?」
「すみません…」
「部無さんが謝る事ないですよ!俺が気になって聞いただけですから。あ、そうだこれ、はい、どうぞ」

掌に乗せられたのは、いつだか貰った物と同じチョコレート。棗さんも一粒掌に乗せて、パクッと口に放った。

「ん、美味しい」

つられて俺も、チョコを口に入れた。

(甘い…)

チョコの甘さと棗さんの笑顔で、沈んでいた気持ちが少しずつ晴れやかになっていく。

「あ、部無さん笑った」
「!」

俺の顔が綻びるのを見て、また嬉しそうにする棗さん。

(棗さんのお陰です)

貴方がいるだけで嬉しい。この気持ちがきっと、恋というものなのだろう。
けれどこの想いは叶わないから、せめて貴方の笑顔を守りたい。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
下のやつ1/2と入れるの忘れてました。すみませんでした; <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 22:23:39.66 ID:5xx7P7nD0<> >>256
ありがとうございます!
二人の笑顔を想像したらほっこりした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 22:53:59.26 ID:hWo2hpT50<> >>256
姐さん乙です!!!!!
二人とも可愛い。部無アキ大好きです!ありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 23:03:38.22 ID:9Dx3p91z0<> >>256
乙です
部無あき好きです! <> 罪冠 涯×集 1/4<>sage<>2011/11/01(火) 23:29:44.55 ID:oujmlDpU0<> うっかり萌えたので書いてみた。エロあり注意
|>PLAY ピッ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガオオクリシマース!

何でこんな事になったんだ。集は答えの出ない自問を繰り返しながら、我が物顔で寛いでいる涯を見つめていた。
「お前も飲むか」
言われるがまま用意したコップには、彼が持ち込んだ飲み物――誰が見てもビールだと分かるそれが注がれ、冷たさを強調する水滴が
ぽたり、テーブルに落ちる。集が首を横に振って否定すれば、彼はふっと口の端だけで笑った。
それ以上、涯が何かを話そうとする気配はない。コップの中身を煽り、手酌でビールを注ぎ、また煽る事を繰り返している。
「…いのりさんを遠ざけてまで、一体何の用なの」
沈黙に耐え切れず、集が渇く喉から無理やり言葉を発する。瞬間、涯の手が止まり、彼の視線は真っ直ぐに集を射抜いた。
単なる通信機器とは思えない不可思議な形状の機械(ふゅーねるというらしい)から連絡が入り、いのりが独り外出したすぐ後に彼は
姿を見せた。これが涯の策略でなくて何だと言うのだ。そんな思いでいた集は、だが次の瞬間、涯が楽しそうにくつくつと喉を鳴らして
笑った事に呆気に取られてしまった。
「本当に、話が早くて助かるな」
そう言って涯は、脱いでいたコートのポケットから何かを取り出した。軽い音を立てて出てきたそれ、は。
「ノーマ・ジーン…?」
「いいや、違う」
集の呟きを否定した涯は、小さな透明の袋から錠剤を一つ指先で持ち上げる。
そもそも、ノーマ・ジーンは液体だと集は認識している。タブレット型も最近出回りだしたとも耳にしたことはあるが、そういったものに
興味がない集には見分けなど付かない上、怪しげな薬は全てノーマ・ジーンに繋げてしまう。
「これはマリリン・モンロー。彼女の本名と同じ名を持つノーマ・ジーンに良く似ているが…いわゆるアフロディシアクムだ」
「あ、アフロ…?」
耳慣れない言葉に、集が眉を顰めて小首を傾げる。と、涯の笑みが質を変え、テーブル越しに身を乗り出して集へ顔を近づけた。
「…媚薬、と言えば分かるか?」
途端、集の頬に熱が篭る。危機を感じて身を引けば、涯はやはり楽しそうに笑い、
「試してみるか」
「何でだよ!」
即答する集に、涯は笑みを絶やさない。
「…ならば、こうしよう」 <> 罪冠 涯×集 2/4<>sage<>2011/11/01(火) 23:30:03.41 ID:oujmlDpU0<> 絶やさないまま、指先で持ったままだった錠剤を飲みかけのビールが入ったコップへと落として。
「……っ」
息を飲んだ集の目の前で、音を立てて涯がその半分を飲む。そのまま突き出されたコップと涯を見比べ、逃げられないと悟った集はやや
乱暴に受け取ると、投げやりな気分で残りを飲み干した。

「あ、ぅ…っ」
本当に何でこんな事になったんだろう。霞む視界と思考の中、熱で穿たれ揺さ振られながら集は思う。
襲い来る快楽を理性は拒み、本能は欲する。変化する集の反応を涯は的確に見抜くかの如く、汗ばむ肌を掌で撫でては追い詰めて行く。
「…集」
「う、あ、あああっ!」
乱れた熱い吐息が、名前と共に耳元へ落ちる。同時に体内へと涯がその欲を吐き出し、引きずられるようにして集もまた下腹部を濡らした。
解放して尚、体の奥で本能に忠実な欲望は燻り続ける。それは未だ熱を埋め込んで離れようとしない涯も同じなのか、額に汗を浮かべて
苦痛に歪んだ笑みで集を組み敷いたままだ。
「まだ、いけるな?」
「っ、も、無理…だっ、て」
「本当、か?」
くっと笑って涯は腰を揺らす。快楽に揺れる掠れた声が集の唇から零れ、緩い律動を再開させた熱を受け入れた場所が締め付ける。
「…嘘を、吐くな」
涯の指が結合部分をなぞり、集の体が跳ねる。必死に逃げようとする集は首を振り、縋る場所を求めてその手は涯の服を掴んだ。
視界に入った己の腕も、布に覆われている。集は改めて、服を着たままで事に及んでいたのだと理解した。
――理解した所で、もうどうしようもないと諦める。どういった流れであれ、身を繋げる事それ自体は酷く気持ちがいい。
「あ、涯、涯…っ!」
もう何も考えられなくなり、懇願するように集が名前を呼ぶ。応える様に突き立てられるその熱は、しかし突然動きを止めた。
「集、目を開けろ」
「……な、に…?」
閉じていた瞼を気だるげに持ち上げ、覆い被さる涯を見上げる。青とも緑とも見える不思議な色をした涯の目は、いつものように集を
捉えていた。
「今、俺はお前を見ていると思うか?」
直前までとは違う、至極冷静な涯の声。言葉の意味を理解できず、何を、と掠れた声で集は唇を震わせた。
涯の双眸に、欲に溺れた己の姿が映っている。確かに、彼は自分を見ている。
見ている、のに。 <> 罪冠 涯×集 3/4<>sage<>2011/11/01(火) 23:30:28.80 ID:oujmlDpU0<> 「目を見るのではなく、相手が見られたと思う事が重要だ。…俺は今、お前を見ていると思うか?」
繰り返される問い、集は急速に熱が引いていくのを感じた。
「…ま、さか」
「そのまさか、さ」
しかし、涯はそれを見逃さずに再びその熱で体内を蹂躙する。本気で逃げを打つ集の体をこれ以上ないほどの方法で――快楽で拘束し、
支配する。
「…、う、あ…っ」
本能が理性を凌駕する。そして、もうこれ以上吐き出すものもない体ですら、更なる快楽へと導いていく。
「見る事だけじゃない。物事の全てにおいて、相手にそう思わせる…それが何よりも重要なんだ」
「や、嫌だ、涯、嫌だ…あああっ!」
今までとは比べ物にならないほどの快楽が集を襲う。僅かに戻った理性の中、体内に注ぎ込まれるそれを欲したのは紛れもない
自分自身だったのだと悟った直後、意識を手放した。

ゆるりと浮上した意識、目を開ければ衣服を整えた涯がソファで寛いでいた。
集の体からは痕跡の一切を拭い去られていて、直前の行為を示すのはただ痛む自身の体だけ。恨めしげに寝転んだまま涯を見上げている
集に気付き、彼は笑いながら手にした缶を差し出した。
「お前も飲むか」
集は応えない。痛みに顔を歪ませながら億劫そうに体を起こす集に、涯はただ缶を差し出したままだ。
「…何」
「見れば分かる」
「は?」
訝しがる集に、涯が缶を押し付けるように手渡す。勢いに飲まれるままそれを受け取った集は、改めてじっくりと手の中の缶を見た。
そして、盛大に溜め息を吐く。涯はやはり楽しそうにくつくつと笑っていて。
「…ノンアルコールビールとかマジかよ…ってか、じゃあやっぱりアレも…!」
「話が早いな、本当に。そう、お前の考えている通りあれはドラッグなんかじゃない。よく似たビタミン剤だ」
言うが早いが、涯はがっくりと肩を落とす集の手を取り、彼が持ったままの缶に口を付ける。間接的に飲ませている状態になった集が
驚いていると、離れた手がすかさず集の後頭部へ回った。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 23:34:49.14 ID:A+x1HJAnO<> 支援 <> 罪冠 涯×集 4/4<>sage<>2011/11/01(火) 23:36:57.04 ID:oujmlDpU0<> 「…、ん、ぅ」
抵抗する間もなくその手に引き寄せられ、口移しで飲まされる。これが初めてのキスである事にも気付けないまま、集はそれを
甘受する。僅かに抜けた炭酸がそれでも集の喉を焼き、広がる苦みに眉を顰めた。
「何がしたいんだよ」
唇が離れ、飲みきれなかったビールが唇の端から零れて集は乱暴に手の甲で拭う。
そんな集に、涯はあくまでも楽しげに笑って言った。
「理由はないさ。ただ…そう、欲しかっただけだ」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 罪冠 涯×集<>sage<>2011/11/01(火) 23:38:09.49 ID:oujmlDpU0<> 書きそびれ
規制に引っかかってしまいgdgdですみませんでしたorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/01(火) 23:49:40.39 ID:v1k4w6bl0<> 三レスか四レスで規制に引っ掛かるってSSにはつらいよね…… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/02(水) 03:32:04.54 ID:q6g2OX+r0<> >>256
姐さんありがとう!
可愛いくも切ない部無あきにこっちが幸せになりました。
部無あき大好きだ… <> 掲示部無@溶解人間1/2<>sage<>2011/11/02(水) 19:04:52.93 ID:KULB2rhj0<> 溶解人間で掲示部無。部無掲示も捨て難いけどこっちも好きなので。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
棗の指が部無の青白い肌にそっと触れる。
脇腹を軽く撫でたところで、棗の腕をつかんでいた部無の指に力が入った。
相手の性別はともかくとしても、人間と肌を重ねること自体が部無にとって初めての経験。
緊張の色が隠せない部無に、棗は微笑んだ。

「大丈夫ですよ」

部無の頬にそっと手を添えて唇を重ねる。
少し冷たい唇。包むように、キスをした。

「棗さん…」
「部無さん、力抜いていいですって」

部無の正体は既に棗には知られている。
しかし部無は異形の姿を棗の前に晒すことを未だに恐れていた。 <> 掲示部無@溶解人間2/2<>sage<>2011/11/02(水) 19:06:06.69 ID:KULB2rhj0<> それは多分、まだ棗自身にも部無の本当の姿に対しての恐怖心が少なからず
あるからだろう、と棗は自らを省みる。

「あっ」
棗の指が部無の熱に触れると、押し殺していた声が部無の口から零れ落ちた。
「部無さん…」
「………っ」
「部無さん?」
何気なく部無の顔を見やった棗は、ハッとして部無から手を離した。
部無の唇から緑色の血がじわりと滲んでいた。
感情が高まって妖怪に戻ることを恐れたのだろう。
(そんなこと、今更気にすること無いのに)
「俺は大丈夫ですよ。ね?」
華奢な体を抱き締めて、銀色の髪を撫でた。
「………すみません」
「いいんですって、少しずつ慣れていけば」

優しくされることに。
愛されることに。少しずつ、少しずつ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/02(水) 20:14:04.83 ID:zfsSmHyH0<> >>269-270
乙でした!
ももも萌えました掲示部無大好きだありがとうございます! <> 喪失 1/3<>sage<>2011/11/02(水) 20:40:10.10 ID:lK17ooCB0<> 金田一少年の事件簿より金田一×佐木一号
死にネタ注意
時間軸は事件解決後、空港に向かう前

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 血の気の失われた白い頬に触れる。ひやりと冷たい頬の感触は硬くて、もう生きてはいないこ
とをはじめに伝えていた。
「ごめんな、佐木」
 悪い夢のようだった。ほんの数日前までは、はじめの隣でカメラを回していたのに。はじめが
犯人の罠に引っかかったせいで、こうして冷たく横たわっている。
「ごめん……、ごめんな。俺がもっとしっかりしてたら……」
 つんと、鼻の奥が痛む。息が詰まって、涙が溢れた。はじめの目から溢れた涙が、ぽたぽたと
佐木の顔へと落ちて濡らしていく。肩を震わせるはじめはやがて崩れ落ち、動かない佐木の体に
すがりつくようにして泣いた。
 佐木たちを殺した犯人を、はじめは見つけ出した。犯人は警察に逮捕され、事件は終わった。
けれど、それが何だというのだ? 犯人を見つけたところで、佐木は生き返らない。もっと早く
犯人に気付いていれば。あの電話があったとき佐木と共に美雪の部屋へ向かっていれば。佐木
は死なずに済んだ。
 確かに、佐木を殺したのは犯人だ。けれど、犯人に佐木を殺させてしまったのは、はじめだっ
た。はじめが、佐木を殺したも同然だった。
 鼻を啜って、はじめは顔を上げる。袖口で、はじめの涙で濡れた佐木の頬を拭ってやった。拭
った端から新しい涙が零れ落ちて、拭っても拭ってもきりがない。 <> 喪失 2/3<>sage<>2011/11/02(水) 20:40:47.24 ID:lK17ooCB0<>  そっと、はじめは顔を近付ける。息をしない佐木の唇にそっと、自分の唇を重ねた。
「……御伽噺みたいには、いかないよな」
 御伽噺のように、キス一つで生き返ってくれれば、どんなにいいだろう。けれど、キス一つで
生き返るのは御伽噺だからで、現実の、霊安室で寝かされている佐木は生き返らない。目を覚ま
して、“なんて顔してるんですか、センパイ”なんて、笑ってはくれないのだ。そんなことは分
かっている。分かっていながら、もう一度、佐木の唇に触れる。ひやりとした、冷たい感触。血
の通わない唇に熱を奪われながら、いっそ自分の熱も全て奪われて、佐木と同じように冷たくな
ってしまえばいいと思った。
 失ってから気付くことがある。取り返しのつかないことになってようやく気付くのは、人間が
愚かだからだろうか。
 佐木を失って出来た、はじめの中の空洞は大きかった。その空洞の大きさに、はじめは佐木の
ことを、親しい後輩以上に思っていたことに気付いた。そして佐木もそうだったのだろうという
ことに。
 東京から函館までは遠い。旅費も馬鹿にならないというのに、それでも佐木はついてきた。遊
び半分で高校生が気軽に来れるような距離ではないのにだ。どうしてそこに気付かなかったのだ
ろう。 <> 喪失 3/3<>sage<>2011/11/02(水) 20:41:23.40 ID:lK17ooCB0<> 「今更、遅いよな」
 もう佐木は、動かない。笑わないし話もしない。いつの間にかはじめのそばに来て、カメラを
回したりすることもないのだ。佐木の時間は止められてしまったのだ、強制的に。何もかも、佐
木に関することは全て、遅すぎた。遅すぎてもうどうにもならない。
「ごめんな、佐木」
 佐木の首には、白い包帯が巻かれている。はっきりと首に残っている、ロープの跡を隠すため
だ。遺族の目に、ロープの跡は衝撃が大きすぎる。せめて目隠しをして、少しでも衝撃を和らげ
るための配慮だった。
「苦しかったよな。痛かったよな、きっと」
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。現実をはっきりと認識して受け止めるには、
まだ時間が足りなかった。
 コンコンと、控えめにノックの音が響いた。
「金田一、そろそろ……」
 霊安室の外から、気遣うように俵田が声を掛けてくる。中に入ってこないのも、彼の気遣いの
内だろう。
「今いくよ、俵田のおっさん」
 鼻を啜って、返事をする。涙を袖口でぐっと拭うと、最後にもう一度、佐木に口付ける。唇を
軽く噛んでから、はじめは霊安室を出た。
「わがまま言って……」
「馬鹿。わがままのうちに入るか、これぐらい」
 ぽんと、軽く肩を叩かれる。その手に促されるように、はじめは静まり返った廊下を歩き始め
た。何も言わないでくれる俵田の気遣いが、はじめにはありがたかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/02(水) 23:11:48.00 ID:bK7MGXVB0<> {}
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/02(水) 23:21:13.23 ID:bK7MGXVB0<> >>275
誤爆スミマセン。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/02(水) 23:28:23.14 ID:lWDnXQksO<> >>269->>270
掲示部無ありがとうございます!!!
すばらしく萌え尽きた…
やはり少しずつ少しずつ慣らしていくの分かります! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 09:38:47.13 ID:E5PestwLO<> >>269-270
掲示部無の萌える萌える萌える!!!
ありがとうございました
もっと読みた〜い! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 21:14:32.83 ID:nGwdS5KY0<> >>272-274
朝に再放送してて萌え直してたとこなんで嬉しい!乙! <> 村人×部無 1/7<>sage<>2011/11/03(木) 21:58:51.84 ID:bR5bFbSW0<> 半生ご注意ください。
溶解人間部無1話の回想シーンから村人の前で溶解になってしまう部無ネタです。
部無スレ299さんのネタに滾ってやってしまいました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

流れ流れて、いくつかの風景。
すでにどれほどの土地を転々としたか数えていない。
手帳に記した地名と斜線だけがその数を知っている。
戦後10年足らずの日本はまだ貧しく混乱が続き、近代化の波も届かぬ農村には、
古い迷信も因習も当たり前のように残っていた。
異質なものは容赦なく排除される、そんな時代。
人目を避けて荒れ寺に身を潜めていた三人だったが、
相変わらず状況を理解しようとしない部露が近所の子供たちと親しくなったがために、
その存在が村人達の知るところとなってしまった。
寂れた農村に、彼ら三人の出立ちは異様だった。
だが異国風の彼らが物珍しかったのか、逆に興味を持たれ村人達ににこやかに受け入れられた。
古い空き家を提供され食料も分けてもらえた。
なによりも村人達の笑顔がうれしかった。温かく受け入れられたことが嬉しかった。


ある青年が村を歩く部無の姿に目を留めた。
彼らに野菜を持っていった時、まじまじとその顔を見た。
男にしては白すぎる肌、陽に透ける銀髪、淡い色の唇、目深に被った帽子からちらりと覗いた目は切れ長で、ぞくりとくるような美しさだった。
村の女達でさえここまで美しい者はいないだろう。
もう一人の女も妖しげな美しさがあったが、あの目に睨みつけられると身が縮むようで、どうも苦手だ。
それよりはこっちの男…。
やけに気になるのは、端正な佇まいが妙に儚げだからだろうか。
彼はその日以来、意識するともなく部無の姿を目で追うようになっていた。
農作業の手を止めて男は部無に駆け寄っていった。
村人が話しかけると伏し目がちに表情を隠してしまう。
もっとよく顔を見たくて男は帽子の下を覗き込んだ。
警戒心を浮かべた瞳が男を捉えた。 <> 村人×部無 2/7<>sage<>2011/11/03(木) 21:59:24.09 ID:bR5bFbSW0<> 一見冷たそうに感じた切れ長の目に、かすかな怯えがチラついているのが見てとれ、
男は自分が優位に立ったような気になった。
「もうあの家にも慣れたかい? なにか不自由してないか?」
「いえ…、大丈夫です」
「そんな細っこいと、ちゃんと食ってねえんじゃないかと心配でさ」
目を合わせようとすると、遠慮がちにふいと逸らされる。
顔を見ると目線を外す。まるで感情を見られまいとしているようだった。
なんでもいいから反応を引き出したくて、男はひたすら話しかけた。
「こないだの野菜食べたか?」
「はい…、ごちそうさまでした」
「俺んちの野菜うまいだろ?」
「…美味しかったです」
ようやく淡い色の唇にかすかな笑みがのぼった。
「またうちの野菜持ってってやるよ」
気分が良くなってさらに畳みかけると、怜悧な切れ長の、だが儚げな瞳が不思議そうに男を見た。
「なぜそんなに、親切にしてくださるんですか…?」
ふたつの綺麗な瞳に見つめられて男はどぎまぎと舞い上がった。
「この村に住むなら同じ仲間じゃないか、当たり前だろ!」
大げさに反らせた胸を叩いて見せる。
ふと気付くと男を見つめる白い顔が、嬉しそうに、穏やかに微笑んでいた。
「ありがとうございます……」
喜びすら隠すようにうつむいてしまう。急に男は恥ずかしくなって頭を掻いた。
「あ、ああ、今夜よかったら俺んちに飲みに来ないか?」
「飲み…に?」
「いや、俺一人だから気兼ねなく」
部無が迷うように目を彷徨わせていると、男はばつが悪くなって唐突に誘ったことを恥じていた。
「俺んちそこの林の奥だから、気が向いたら…」
「………」
部無が返事を躊躇する様に耐えられず男は畑に戻っていった。
振り返ると部無が軽く会釈をして去って行った。 <> 村人×部無 3/7<>sage<>2011/11/03(木) 21:59:57.91 ID:bR5bFbSW0<> 「で? その飲むとやらに行くのかい?」
村人との件を話した部無に、部羅は詰め寄っていた。
日が落ちて明るい炎の色の囲炉裏端。パチパチと炭のはぜる音。
「せっかく誘ってもらったんだ。断るのも悪いだろう。それに初めて俺達を受け入れてくれた村だ…。
これからはこの村に溶け込んでいかねば」
「あんたねぇ、受け入れられたって正体が知れたら終わりなんだよ?
だいいちあたし達、酒なんか飲んだらどうなるか…」
「わかってる部羅。アルコールで感情が高ぶりやすくなってしまうのはわかってる」
「せっかくまともに住む家があっても、こうして気を揉まなきゃいけないんだねえ…あたし達」
やるせないため息で頬杖をつく部羅。
「部羅…」
「いいよ、行ってきなよ。部露は寝てるしあたしは留守番してるよ」
「ありがとう部羅」

夕食後しばらくして訪れた部無に男は心底驚いていた。
まさか本当に来るとは思っていなかったのだ。
土間から男を見上げる部無の瞳に、昼間のような怯えは浮かんでいなかった。
男は居間に部無を通しちゃぶ台を挟んで向かい合った。
真正面に向かい合うと男の方が照れ、目線を反らしてしまっていた。
家に上げたはいいが話題がないのだ。
「ああそうだ、飲むんだったな」
酒を口実に誘ったことを思いだし、台所から一升瓶と猪口をふたつ持ってくる。
しかし部無に猪口を差し出すと、彼はきっぱりと断ってきた。
「酒は飲めないので…」
男は落胆する。飲めないくせになぜここに来たのかと。
「なんだよ、飲めないのかよ」
「すみません…」
一人で酒をあおる様に部無の表情が曇った。
せっかく誘われ、この村の住人になるべくこうして来たというのに、
彼の酒を断ることに胸が痛んだ。
落胆がなぜだか軽い怒りに変わって、男は手酌で自分の酒を注いだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 22:12:48.14 ID:BFA0CQXYO<> 支援 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 22:14:27.13 ID:y5qAtyb+0<> 続きが気になるw <> 村人×部無 4/7<>sage<>2011/11/03(木) 22:14:55.27 ID:bR5bFbSW0<> 「あの、いただきます…少しだけなら」
一度は断った猪口を男に向けてそっと差し出し、彼の顔を見る。
「そうか、じゃあ…」
彼の機嫌が直った様子に部無はホッとする。
男は酒を注いでやると、部無がゆっくりと口をつける様をじっと眺めた。
飲み付けないのか、そろりそろりと猪口を口元に運んでいく。
淡い色の唇がかすかに開いて、隙間から白い歯がのぞいた。
猪口に唇が触れた時、柔らかそうだと男は思った。
本当に、舐めるように少しだけ口をつけて、離してしまった。
アルコールの作用で、感情のコントロールが利かなくなることが恐かったのだ。
「飲めないんなら無理しなくていいよ」
「いえ、もう少しだけ」
男を落胆させまいとまた口をつける。今度はもう少し多く口に含んだ。
酒の熱さが口腔から喉を焼いて、体を熱くさせていく。
これ以上飲むのは危険だった。
飲み付けないアルコールで、体の熱がたちまち広がっていくのがわかる。
ふわふわと沸き立ちそうな感覚を押さえることに部無は必死で、男に気を配る余裕も無くしていた。
目を閉じ、深く吐息をつく。
たった二口でもう酔ったのか、吐息が妙に艶めかしい。
そんな部無の様を肴に、男は手酌でひとり飲み続けた。
男の誘いに素直にやってきたのは、意外だったが感心する。
だが、打ちとけているようで、まったく心を開いていない。
わざわざ来ておきながら、飲んでも楽しそうな顔一つ見せない部無に、男は次第に苛立っていた。
「あんたのカミサン、すげぇ美人だな」
「………」
顔を上げて男を見る瞳が、酒のせいなのかうっすらと潤んでいた。
「だけどあんたの子供、あんたにもカミサンにも似てないな」
「……………」 <> 村人×部無 5/7<>sage<>2011/11/03(木) 22:15:24.24 ID:bR5bFbSW0<> 押し黙って俯くしかない部無。
聞かれても答えることは出来ない。
「あんたんとこは、こんな田舎の村にはちっともあってねえな」
「え……」
「こんな田舎にあんたらみたいな生っちろい奴は一人もいねえよ。
畑仕事で泥だらけだしみんな日に焼けて真っ黒だ」
男はふと、猪口を持つ部無の指に目を留めた。
白く長い細い指。畑仕事とは無縁そうな繊細な指先だった。酔いが回ってきた勢いで、男はその手を掴んだ。
日焼けして節ばった男の手が部無の手を掴み引き寄せる。
咄嗟のことに部無は反応できず、されるがままになってしまった。
「見ろよこの手…俺の手と全然違うじゃねえか」
白い部無の手を握る男の指、その爪の中には泥が詰っていた。長年の畑仕事でもう洗っても落とすことは適わない。
なんと対照的な指なのだろうか。
同じ男でありながら、すらりとした繊細さに眩暈がするようだった。
先ほどからの噛みあわなさと相俟って、この端正な青年とは決定的に相いれない異質なものを感じ取る。
それは男の内の中で、仄暗い怒りのようなものへと変化していった。
男の手に次第に力が込められてきて、部無は手を引こうとしたが引き戻されてしまった。
部無を舐め付ける男の目線が異様なものにかわっていた。
「なにを…」
「お高くとまってるよな…特にあんた」
「………!」
人はきっかけがあれば、大した理由もなく狂ってしまうのか。
何度も何度も部羅が言い含めていたことだ。部無自身でも骨身に染みてわかっていたはずだった。卓袱台をなぎ払い、男は部無を押し倒した。
畳に両肩を押さえつけられる。
腕は自由だったが帽子を押さえるだけで精いっぱいだった。
「やめてください!」
「あんた、きれいだよな、俺のものになっちまえよ」 <> 村人×部無 6/7<>sage<>2011/11/03(木) 22:16:06.62 ID:bR5bFbSW0<> 男の手が首筋をまさぐってきて、部無はようやくそこで男の目的を知った。
「どうして…っ」
上から部無の肩を押さえつけて男はニヤリと笑った。
信じられない面持ちでその脂下がった笑いを見た。
野菜をわけてくれて、同じ村の住人だからと親切にしてくれた。
それがなぜ………。
男は呆然とする部無に構わず、服の裾から素肌へと手を忍ばせていた。
熱い手が肌を這い、慣れない感触に部無は怖気上がった。
性行為など経験したことはない。ましてや触れられたことなどあるはずもなかった。
「やめろ…」
アルコールで火照っていた体がさらに熱くなる。
激しくなる血脈が全身を駆け巡る。
普段は封じ込めている緑色の血液が体の中で沸騰する。
男の手が服をたくしあげ、白い肌を露出させた。
これ以上触れられたら、二の腕から肩にかけての鱗のような皮膚を知られてしまう。
なによりも高ぶる感情の為に制御が効かなくなりかけていた。
角化皮膚が全身に広がりかけている。
「やめ…ろ…」
男が首筋に顔をうずめてきた。
ぞわりと肌が粟立つ。
体の中で骨が軋む音が聞こえた。
「や…めろ…」
両手で頬を挟まれ、唇をふさがれそうになる。
「やめろ…!!!」
聞いたこともない咆哮と共に、男の体は吹き飛ばされていた。
壁に全身を打ち付けられ、力なく床に崩れ落ちる。
何が起こったのかわからない男は、うずくまる部無のただならぬ気配に目を見張った。
「なんだ…、おまえ…?」
震えながらこちらを向いたその姿は、あの端正な青年のものではなかった。
手の甲を不気味な鱗が覆い尽くし、黒くぬらぬらとした瞳、
獣のような歯を剥き出しに唸りをあげて男を見ていた。
「ひっ、ヒィィ!!」
歪む視界の中で、男の顔が引きつった。
もはや溶解への変化を止められず、部無は雨戸を突き破って庭に転がりでた。
いつのまにか雨が降っていた。
家からの灯に、雨に濡れた異形の姿が浮かぶ。
この世のものとは思えぬ咆哮があたりに響き渡った。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 22:25:18.82 ID:PmAkOAXX0<> しえん? <> 村人×部無 7/7<>sage<>2011/11/03(木) 22:26:06.01 ID:bR5bFbSW0<> 部無に叩きつけられ怪我を負った男は這いながら、庭先で咆哮する生き物の姿を見た。
それはつい先刻まで男と向かい合っていた、この田舎には不釣り合いな綺麗な青年だったはずだ。
綺麗だと触れた手は、鉛色に変色しゴツゴツと節くれ尖った爪が生えた異様なものに変化していた。
ふいに男は、なぜ彼に心惑わされたのか、異形の姿を知って腑に堕ちたのである。
すべては人ならざる者の仕業なのだと。
化け物は庭を駆け抜け林の中へと消えた。
その方向は彼らに分け与えた空き家の方角だった。


貨物列車の空き車両に身を潜め、彼らは別の地へと移動していた。
あの後のことを思い出すのは、苦しいという言葉だけではカタがつけられなかった。
変化した部無を見た男は村中に触れ回り、その夜のうちに村人達は彼らに与えた家を取り囲んだ。
異物と知れば人間は徹底して排除にかかる。
殺せ、殺せと、ただ姿形が違うだけで殺意と憎悪を向けられる。
慣れていたはずだった。
だが一度受け入れられてからの迫害は、感じた以上に彼らの心の傷となり、
降り続けた雨よりも冷たく胸に突き刺さった。
あの日村人の家を訪れていたはずの部無は、変化した体で戻ってきて、
人間の姿に戻ってもまだ震えて慟哭していた。
何があったのか部羅は聞かない。部露も何も聞かずただ側に寄り添った。
「次はもう少し都会に行かないかい? もう田舎はこりごりだよ。なぁんにもないしね」
車両のドアの隙間から流れる景色を眺めて部羅が言った。
「オイラ、ビルとか大きな建物みてみたい!おもちゃもいっぱい欲しい!」
部露はぴょこんっと跳ねて、部無の膝元にまとわりつく。
「ねえ部無、いいでしょ?」
いつかどこかに自分たちの居場所があるかもしれない。
ただ普通の人間として暮らせる場所が。
誰にも脅かされない。
誰のことも脅かさない。
そして誰をも惑わさない────
「ね?部無、そうしよ?」
顔を覗き込み、部露が無邪気に笑った。
「ああ…。大きな街へ行こう」
部無は静かに微笑み返した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
あの回想はいつ頃の時代なのか不明でしたが、
なんとなく終戦10年後くらいかなと予想。
おそまつさまでございます。長すぎたので支援助かりました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 22:49:38.60 ID:y5qAtyb+0<> >>280
本格的で読みごたえありました!
村人の心の動き方が丁寧に書かれていたのと
部無を気遣う部羅・部露がいい感じでした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 23:28:34.63 ID:AFEHHehX0<> >>280萌えますた…!
抵抗より帽子抑える方を優先させてしまうのが
それ迄の辛い経験がにじみ出ててかわいそうで萌える。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/03(木) 23:58:09.53 ID:5spGOexk0<>
勢いで、逸美さんと竹ちゃんの小ネタです。謹慎後の話。
不謹慎注意かもしれない

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「石垣島に行ってたんですって?」
一見するとサラリーマンのような出で立ちのそのアナウンサーは、愉快そうにくつくつと笑った。
対する赤ら顔の芸人は酒を片手に言い返す。
「うるさいうるさい、人の不幸だってんで面白がってんだから」
酔いのせいか不機嫌顔を作れずに、男は所在なさげに首を撫でた。
「そんなつもりじゃありませんよ。あなたが帰ってきたって、喜んでいるんです」
「嘘だあ。逸美さんみたいなのに限ってね、へんに長生きして、
俺の死に顔見て間抜けな顔しやがってって笑うんだ」
「また拗ねて、子供じゃないんだから」
「子供ですよ、武史くん、ハイ!つって…」
自分のささいな冗談がツボにはまったのか、はたまた酒が気管に入ったのか。おそらくは両方だろう。
男は咳き込みながら派手に笑った。対する男は眼鏡の奥の目をそっと細めてたしなめた。
「あほやなあ」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/04(金) 00:27:57.25 ID:eXSXaSDNO<> >>280
天才!!圧倒されました‥!
村人を落ち込ませたくなくて健気に頑張る部無ほんとにいじらしい
溶解人間ってなんでこんなに悲しい運命を生きなきゃいけないんでしょうかね‥ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/04(金) 01:05:50.16 ID:uJrdwt6ZO<> >>280
素晴らしい…!!!
何とも切ない感じがビシバシ伝わってきました
天才だ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/04(金) 02:03:24.24 ID:l53wyTh+0<> >>292
これはまた懐かしい…切な萌えでした!GJ!
逸見さんが今の竹ちゃん見たらなんて言うだろうね
「相変わらずですね」って笑うのかな…
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/04(金) 08:53:50.12 ID:hVBSSxON0<> >>292
やばい何これ
涙出そうになった
この二人の組み合わせ大好きだったよ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/04(金) 12:18:07.00 ID:ZSvPOzDN0<> >>292
GJ!!
何も言えねぇ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/04(金) 23:41:12.39 ID:e0N+/Y4rO<> >>219
まとめ見て気づきました
もぅ萌えすぎてどうにかなりそうです
後編楽しみに待ってます! <> 永い一瞬 1/5<>sage<>2011/11/05(土) 02:44:11.31 ID:NNMkb2gG0<> 半生 土9溶解人間部無 棗×部無
部無の正体を棗刑事が知って、のもしも後の話 エロなしぬるいです

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「初めて来ました。ホテルというのはこういう場所なんですね」
棗の前で部無はいま、伏せ目がちに微笑んでいる。その小さい顔、大きな瞳。整った容貌。
衝撃の事実――先日からこの街や自分の周りに現れるようになった、見た目異形の妖怪の
正体がかれであること――を知ったあとも、にわかには信じがたい。
しかし、信じざるを得ないことでもあった。
見た目異形な妖怪は思えば、事あるごとに刑事である自分を助けてくれた。
辺りにはいつも部無と部羅、部呂がいた。
部無の正体とその本性を知ったとき、畏れとともに奇妙な感情を覚えて、棗は戸惑った。
戸惑いのまま土下座せんばかりに頭を下げる棗を前に、部無は大きな目をより見開いた。
静かな声でどうしたんですか、と問うた。
「妖怪について忠告するつもりで、あなたに酷いことを言った。銃で撃ったこともあった。
ああ、俺ってなんてバカなんだ。傷つけて申し訳ない」
床に頭を伏せていると、部無の足が崩れ、ひざまずきそうになっているのが見えた。
かれは片手を片手で押さえつけるように震えていた。
部無さん、と呼びかけると、歯を食いしばった顔を見せないようにそむける。 <> 永い一瞬 2/5<>sage<>2011/11/05(土) 02:44:49.70 ID:NNMkb2gG0<> しばらくして落ち着いたらしいかれは、寂しそうに、大丈夫です。そういうのは
慣れてますから、と言った。
「逆に、棗さんに謝られたりすると困ります。感情が高ぶると俺は、いまの姿を
保っていられなくなるから」
それで、かれが変身に耐えようとしていたとわかった。棗の中にまた感情が渦巻く。
憐れみに似ているが、絶対に憐れみではない。部無の数奇な運命について思うと、
かれのために自分ができることはないのか、焦燥感に近い思いにかられる。
自分にできることがあるなら。お詫びとして、なんでも言ってほしい。
初めは及び腰だった部無が、棗の真摯な訴えに、ようやく望みらしきことを口にした。
「じゃあ。一日だけ、棗さんとふたりでいたいです。俺が妖怪であることを知っても
変わらずにいてくれようとする人間は、あなただけだから」
伏し目で微笑んでそんなことを言われて、断れるとしたら妖怪以上に人にあらずだ。
落ち着いてふたりでいられる環境は、と考え、非番に合わせて目立たないビジネスホテルを
取った。家族に嘘をつくことになったが、やむを得ないと自分を納得させた。

そしていま、棗と部無はホテルのツインルームにいる。
「部無さん。つい変身しそうになっても、ここなら大丈夫! 他に誰もいませんから、遠慮なく」
かれに笑顔を向けて、親指を突き出す。帽子をかぶった頭を垂れる部無。
「ありがとうございます。でも、やっぱり見られたくはありません。
棗さんを怖がらせないよう、努力します」
「遠慮なくって言ってるのに。慣れれば可愛らしく見えてくるかもしれませんよ、
動物園のキリンみたいに」
キリン?と部無は頭をかしげた。銀髪が揺れた。可愛らしいとしか言いようのない仕草。 <> 永い一瞬 3/5<>sage<>2011/11/05(土) 02:45:47.43 ID:NNMkb2gG0<> それからふたりきりで、いろいろな話をした。
部無が語る体験は、言葉を選んでのものであるだろうに酷で、棗には返す言葉がない。
それでも部無は、話を聞いてもらえるだけでうれしい、とはにかんで笑う。
そして、棗の平穏かつ平凡な人生について聞きたがった。泣いているのだろうか、と
訝るほどに潤んだ目でこちらを見つめながら。
夜になり、夕飯を食べに出ませんか。近くにうまい中華の店があるんです、と誘うと、
部無はためらったのちかぶりを振った。
「すみません。なんだか食欲がなくて。一人で食べてきてもらえませんか」
「食事はきちんと摂らないと。それとも、気分でも悪い?」
「いえ。そういうことではありませんが……」
部無はそう広くもないツインルームをゆっくりと見渡した。
「この場所から離れたくなくて」
「ああ、人ごみが嫌ですか」
「それもありますが、棗さんが俺のために用意してくれた場所なので。一秒でも長くいたくて」
聞いたばかりの、かれの過酷な運命。姿かたちが変わらないまま、何十年も生き続けている。
おそらく死ねることもなく、何百年も生き続けていく。
その永いかれの生の中で、ここに一秒でも長くいたい、と願う意味はどこにあるのか。

いくら鈍い自分も、気がつかないではいられない、と棗は思った。
妖怪であるかれの、人間の自分への圧倒的な好意。見返りも求めない純粋な好意。
自分にできることはないのか、とあらためて焦燥感にかられる。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/05(土) 02:49:39.14 ID:egjwhRiJ0<> ばいさる回避 <> 永い一瞬 4/5<>sage<>2011/11/05(土) 02:51:06.27 ID:V+u9ssIj0<> 「部無さん」
われながら驚くほど強い口調になった。はっと向く部無の美しい顔。
これがまやかしで、数度見た妖怪の顔が本物だったとしても。
同じ側に包まれた魂の美しさは変わることがないだろう。
永いかれの生の中での一瞬、自分が関われたことに意味があると思いたい。
「部無さん。俺、あなたが好きですよ」
部無の白い顔がなお青白くなって、卒倒でもするのかと慌てたが、かれに流れているのは
緑の血だったと思い出し、上気しているのかと思い直した。
「棗さん。あの、ありがとうございます。妖怪の姿を知っていて、そんなふうに言えるとは。
棗さんは本当に立派な人間なんですね」
これまでいろんな人間を見てきて、失望することもあったけれど。
望めるなら、俺はあなたのような人間になりたい、と夢みる口調で部無は言った。
「いえ。俺はそんな立派な人間じゃない。だらしないところもあるし、弱いところもある、
ただの男です。そんな人間が、部無さんを好きだなんて言ってもいいものか」
「……うれしいです。でも。すみません棗さん、食事に出てください」
部無の手が震え、顔をおさえ、体はそむかれようとする。口元に牙のようなものが見えた。
かれはまた耐えている。苦しんでいる。棗は急いて部無の体に触れた。
服に覆われていない肌が緑に染まりつつあったが、気にもならなかった。
「部無さん。我慢しないで。大丈夫ですから」
「な、つめさん。外に」
行け、と訴えるのを無視して、その体を抱きしめる。硬い筋肉が動いている。
なだめるようそのおもてを撫ぜ、あやすように大丈夫、とささやくと、次第に荒い息が
穏やかに変わっていった。濡れた目で棗を見て部無は、どうして、と聞いた。 <> 永い一瞬 5/5<>sage<>2011/11/05(土) 02:51:54.08 ID:V+u9ssIj0<> 「棗さん。どうして、そんなに優しいんですか」
「言いましたよね。俺、部無さんを好きです。あなたが苦しむのを見たくないけれど、
苦しむしかないならそばにいたい。それだけです」
笑顔を作ってかれを覗きこむ。
大きな瞳から涙がこぼれて、棗は傘を貸した雨の夜を思い出した。
部無は涙をぬぐって繰り返し、ありがとうございます、と言った。
棗さんは本当に立派な人間です、と。
そんな言葉を吐く形のいい唇に、いま自分がなにをしたいと考えたか。
教えてやりたい、と思ったが、伝える勇気はなかった。
自分は立派な人間なんかじゃない。邪な考えを抱えた、そのくせに臆病なつまらない男だ。
そのことを身をもって知れば、かれは自分になにを思うだろう。
ため息を殺し苦笑いを浮かべると、部無は首をかしげ見つめかえしてきた。
やはりまったく気がついていないようだ。
ふたりきりの夜は長い、一瞬に過ぎないけれど。
「夕飯はやめにしましょう。一晩ぐらい抜いたって平気です。そうだ、チョコ食いませんか」
つねに持ち歩いている小さな包みを取り出す。かれの白いてのひらに乗せる。
口にした部無は、甘いですね、と言って微笑み、棗の胸を苦しくさせた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/05(土) 03:14:02.48 ID:jqHCxak60<> >>299
乙です!萌えた…!
一日だけ二人でいたいだなんて、ここから離れたくないだなんて
なんてけなげなんだ部無…! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/05(土) 11:11:45.73 ID:nVo0NfnS0<> >>299
禿しく萌え!!
どっちも想いを抑えながら悶々とする様子が彼ららしくって
どストライクに萌えツボにキました……!!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/05(土) 21:59:49.20 ID:HbsvgKVz0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

オリジナルSS
だめんずうぉーかーな受けが好き <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/05(土) 22:00:39.33 ID:HbsvgKVz0<> 「なあ、携帯。連絡したんだけど」

畳の上に怠惰に寝転がる男。
風が吹き、カーテンが揺れる。4畳半、暗くて狭い部屋が一瞬だけ明るくなる。

「止められた」
「またかよ」

買ってきた食材の入ったビニール袋を置き、彼の傍に膝をつく。ぼうぼうに伸びた髭に乱れた髪、銭湯にもろくに行っていないのだろう、少し臭う。

「家賃は」
「2ヵ月滞納中」
「お前さあ……、」

溜め息を吐くと、髭面が嬉しそうに笑う。

「払ってきてよ」
「なんでよ。前も払ったもん」
「だって、俺と連絡が取れなくなったり、俺の住む場所がなくなったりしたらさあ」

抱き付かれる。押し倒される。臭い。
布団もない、なにもないこの部屋。

「お前が困るでしょ?」

汚れた手が俺の身体を這い回る。

「抱いてやるからさ、お願い。払ってきて」

ヤリたいだけなのに、よく「抱いてやる」なんて言えるよな。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/05(土) 22:01:28.77 ID:HbsvgKVz0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

萌えをはきだしてみた! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/06(日) 02:39:31.40 ID:QAz/Ne9f0<> こんな時間に溶解人間の掲示部無で書いてみた。
今はこれで精一杯。 <> 雨が連れてくるもの 1/4<>sage<>2011/11/06(日) 02:42:12.73 ID:QAz/Ne9f0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

十一月の空は晴れていてもどこかに暗い鉛色が隠れている。
まして今日のように曇りがちの空なら尚更陰鬱に暗い。そんな空の色が部無はあまり好きではなかった。まるで醜い自分自身の正体を見抜かれているかのようで。
人間であればこんな気分の時に煙草を吸うのだろう。
廃ビルの剥がれ落ちそうな壁にもたれながら、あの人はどうなのだろうか、と脈絡もなく一人の
男の顔を不意に思い浮かべてしまい、そのことに一人で内心戸惑っている。
こんな気持ちになったことなど、今まで一度たりともなかった。
誰かをこれほど思うなど。

この頃、部羅の視線が何故か怖い。
何を言うでもなくただじっと部無を凝視してくる表情は、『あたしを欺くんじゃないよ』と言っているかのようだ。無論、欺く筈もない。
ただ、誰にも言えない些細な秘密を胸に抱えているだけだ。
『それがあんたの、そしてあたしらの破滅にならないといいね』
そんな婀娜な声が聞こえる気がした。

ぽつり、と雨粒が暗い空から落ちてきた。
もうじき夜になる、空気も冷えてきている。この勢いなら雨も本格的になるのだろう。それでも
部無はそこから動く気になれなかった。
指先が冷たい。
雨脚も激しくなってきた。
「寒い、な…」
思わず口にした呟きが意外なほど強いことに部無自身が驚いていた。寿命も短く脆弱な人間と違い、自分たちはこの程度寒かろうとどうということもない。なのに今は心までが空虚になりそうなほど
寒さを感じていた。
原因など、とうに分かっている。
雨に濡れた指先をぬくめようと背を丸めて息を吐く自分の姿は、さぞ滑稽なことだろう。
なのに。 <> 雨が連れてくるもの 2/4<>sage<>2011/11/06(日) 02:45:34.02 ID:QAz/Ne9f0<> 「、部無さんじゃないですか、奇遇ですね」
「…あ」
差しかけられる傘の下で、見覚えのある顔が柔和に笑んでいた。
なのにこんな時に限って心を見透かしているように声をかけてくるのだ、この優しい男は。

こんな寒い雨の日に崩れそうな壁にもたれかかって退屈そうに空を眺めているなんて、傍から見れば
ただの酔狂な暇人でしかない。一体どう思われただろうと不安になりながら仕方なく目を合わせる。
「…棗さんじゃないですか。どうしたんですか?こんな時間に」
「いやあ、さっきまでこの近くで起こった事件の捜査をしていましてね、ようやく終わったんで署
に戻ろうと思ったら部無さんを見かけましたんで」
「そう、ですか…」
どう返答していいか分からず曖昧に言葉を濁して誤魔化そうとする部無に、棗はいつもの快活な
口調で笑いかけてくる。
「今日は随分気温が下がりましたね、もう冬ですしねえ」
「いえ、それほどは」
突然こんな風に出会ってしまったことで、どう話を合わせていいか分からなくなっていた。弾む
ことのない何度かの会話の後で遂に部無は口を噤んだ。
「部無さん?」
いつも以上に無様に口籠る部無をどう思ったのか、棗が顔を覗き込むような素振りをした。
「あ、の…」
「随分濡れているじゃないですか、寒いでしょう?」
「…いえ、いいえ…」
ぐっと近付く顔に胸が張り裂けそうになりながら、どきまぎと言葉を返す部無の頬に濡れた髪から
水滴がしたたり落ちる。
「怖がらないで下さい」
不意に、棗がひどく真剣な顔で告げた。
「え、一体、何を…」 <> 雨が連れてくるもの 3/4<>sage<>2011/11/06(日) 03:01:03.50 ID:QAz/Ne9f0<> 傘を叩く雨の音が激しさを増していて、余計に耳に障る。
「どうしてあなたはいつも、そんなに寂しそうなんですか?」
まるで尋問でもされているような言葉に、何か言おうとした口が止まる。
「あんなにお美しい奥さんも可愛らしい息子さんもいらっしゃるというのに」
チガイマス、と怯えて声にならない声が喉の奥で掻き消えた。部羅は妻ではないし部露も息子では
ない。どちらかと言えば三つ子と言った方がいい存在だ。しかしそれを言ったところで信じては貰
えないに違いない。似た年恰好の男女と子供が同居しているとなれば、それは人間の世界では親子
でしかないからだ。
「離れて、くれませんか?」
感情が昂ぶる、ざわりと身の内の血が騒ぎ出した。これ以上この男の側にいたら危険だと本能が吼
えていた。
「離れません」
だが意外にも、棗は普段の柔和さをどこかに隠したようにぎらぎらした目で部無を見ている。
「あなたを前にすると、僕は善人ではいられないんです」
「何を、仰って…」
離れなければいけない、離れたくない。
双反する感情が激流のように渦巻いて、遂には昂ぶることさえ超えてしまったように妙な冷静さが
部無に訪れた。
このまま、どうなってもいい。
「雨が激しいですから、棗さんも濡れますよ」
「構いません、あなたといられるなら」
片手が頬を滑った。何をされるのか分からないまま目を見開いていた部無の冷たい唇にも長い指が
這う。
そのまま棗の怖いほど真剣な顔がさらに接近してきて、舌先で唇を舐められた。あ、と声を上げ
そうになった瞬間を狙ったように唇の間から舌がするりと入り込んで絡め取られた。決して怖くない
とは言えない。しかし未知の感覚ばかりが立て続けに襲い掛かってきたせいで、もう何も考えら
れなくなっていく。
人間とは情を感じればこうして触れ合うのだろうか、とおぼろに考えたものの、すぐに霧散して
しまう。 <> 雨が連れてくるもの 4/4<>sage<>2011/11/06(日) 03:06:58.30 ID:QAz/Ne9f0<> 「…すみません」
どれほど経ったか知れない。
気が付けば棗に抱き締められていた。どうやら変身しなくて済んだのは幸いだったと言うしかない
だろう。幾ら何でも激情に押し流されてしまうなど、軽率だった。
「いえ、こちらこそ…」
何でもないことのように装って離れると、棗はどこかバツの悪そうな顔で薄く笑う。
「今の事は、忘れないで下さいね」
「…忘れません」
先程までの雨は大分小雨模様になっていた。もっと何か交わす言葉があったのかも知れない。それ
でも何一つ言葉にはならなかった。それは棗も同じようで、じゃあまた、と以前と同じに部無に傘
を握らせて来た時と同じように立ち去っていく。
忘れません、でもあなたもいずれ俺たちを蔑むのでしょう?
密かに胸の中で呟いた言葉もいつまでも残り続けた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/06(日) 08:43:37.30 ID:hoCR4RR4O<> >>311
禿げ上がるほど萌えました!
部無がエロ切なくて…… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/06(日) 10:43:21.74 ID:+PUJ9z+f0<> >>311
切ねえ…!!
ラスト2行が特にイイです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 07:48:50.59 ID:LO/pkh450<> 半生注意。
続けて溶解人間部無でスマソ。後輩掲示→棗掲示→溶解
でも後輩の台詞ばっかりです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

先輩、聞いてくださいよ。俺もうどうしたらいいんですかね。いえ、棗先輩のことなんですが、
ああ、先輩にとって棗先輩も後輩ですけど、いやそれはいいんです。
…ええ、最近お手柄なんですよ。連続で犯人確保して、俺もすごいなーって。
でもね先輩、これが大問題なんです。
棗先輩ってば、犯人を捕まえたのは、えーと、その、バケモノのおかげだーなんて
言うんですよ。いや、笑わないで下さい!俺だって笑っちゃいますけど、棗先輩、
真剣な顔して言うんですよ。
挙句の果ては、このあいだ命を助けられたんだって、俺にこっそり耳打ちするんですよ。
棗先輩が耳打ちですよ、ほんのりチョコレートの匂いのする体を寄せてくるから
俺もうどうしたら…いえ、すみません。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 07:49:30.16 ID:LO/pkh450<> それでですね、棗先輩、最近なんだかぼーっとしてて、どうもそのバケモノのこと
考えてるみたいなんです。
この前もいないからケータイに電話したら、そのバケモノに助けられたっていう工事現場に
行ってたみたいなんですよ。
だいたい、バケモノが人を助けますかね。いえ、俺だって信じてるわけじゃないですよ。
どうせこの前のバケモノの格好した通り魔を見間違えたか、そのバケモノが棗先輩に
襲いかかろうとしたところに偶然上から鉄骨が落ちてきて、棗先輩を助けるかたちに
なったのか、まったく俺はバケモノが羨ま…いえ、俺はバケモノなんていないと思ってますよ。
でも、棗先輩ひとがいいから、きっとバケモノに助けられたって思い込んでるんですよ。
…俺だって、意見しましたよ。ノロケ…いや、ケンソンもほどほどにしないと、イヤミに
なりますよ、って。それでも考え込んでいるみたいなんで、もしかして、そのバケモノに
惚れちゃったんですかーってからかったんですよ。
そしたら、そしたらですよ、棗先輩ってば顔をパーッと赤くして、何も言わないで
うつむいちゃったんですよ!何ですか!何なんですか、あれは!何でバケモノのこと
考えてオッサンがあんなにかわいくなるんですか!いえ、いいんです、聞いてください。
しかも、しかもですよ!「もう一度会いたいんだ。会って、お礼を言いたい」なんて…
俺は…俺は…ちくしょー!!

「おおおぉおー!!」
「ちょっ…!何事だい、いきなり姿変えて!?」
「どうしたの!?なにか事件!?悲しいことでもあったの?」
「……あ、……いや、何でも……ない」
打ち捨てられた船の中、特殊な能力で街の声を聞いていて、喜びのあまり
妖怪の姿になってしまった部無は、人間になりたい、人間になって遠慮なく
棗さんに愛されたいと、心の底から思うのであった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 14:18:40.77 ID:iYkh69c0O<> >>317
コメディタッチっすね!GJ
後輩掲示→棗は萌えストライクど真ん中なもんで美味しかったです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 19:55:29.37 ID:7L1B0MG/0<> >>317
最後ワロタw
慶事さん達も溶解さん達もみんなかわいい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 20:29:49.50 ID:y1po+p2A0<> テンプレぐらい読んでから投下しろよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 21:00:01.32 ID:5BExZybu0<> (3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/07(月) 22:54:04.28 ID:8WWCUoSv0<> >>307もそうだな <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 06:59:14.40 ID:c9dKjVXqO<> 調子に乗るなよ亀虫ヲタ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 07:26:04.78 ID:fIP0M89kO<> テンプレぐらい読んでからレスしろよ
>推奨 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 07:28:33.11 ID:u3GdXhASO<> いろいろとウザいな
ヲタもアンチもまとめてどっか行ってくんないかなー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 08:13:54.60 ID:TlRjlTRm0<> 自演もどっかいってくんないかなー <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 09:39:53.10 ID:c9dKjVXqO<> 亀虫ヲタキモすぎ
調子乗るなよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 10:57:38.06 ID:OP1Gj6BD0<> 次の作品どーぞー <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 11:06:50.10 ID:c9dKjVXqO<> また溶解?
亀虫受けヲタのマンセーオナニー駄文ばっかで飽きた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 11:37:20.54 ID:nahLFKgJ0<> ID出るってことまさか気付いてないの?
一人だけ亀虫亀虫言ってて浮いてるよ

次の作品いきましょー <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 11:40:07.66 ID:c9dKjVXqO<> また溶解だろどうせ

飽きた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 12:19:06.18 ID:/u7Y5as10<> ヲタも自演もアンチもこのレスも全てネタです
さあさあ、気にせずどうぞどうぞ <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 12:30:34.38 ID:c9dKjVXqO<> また溶解なんだろどうせ
このスレ開くたびにまたか…とがっかりする

ちょー飽きた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 12:54:26.04 ID:Q0pg6zQ00<> ここまでくると次も溶解を期待してる振りじゃないかと思ってしまう <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 13:05:35.39 ID:c9dKjVXqO<> 溶解ヲタうぜえ
飽きたって言ってんじゃん氏ね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 13:17:04.47 ID:2Uq/evhaO<> >>334
じゃあ自分の好きなの書けば? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 13:27:27.22 ID:/lmTel6Q0<> なにこれこわいwwww <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 13:33:35.58 ID:c9dKjVXqO<> >>337
「じゃあお前が作れよ」

最高に頭の悪い返しですね

さすが低脳溶解ヲタ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 13:47:14.07 ID:Q0pg6zQ00<> 自分で書けもしなくせに文句ばっかり一人前ですね^^ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 14:03:33.15 ID:x0LqfH3C0<> 522 名前:風と木の名無しさん[] 投稿日:2011/11/08(火) 10:45:13.37 ID:c9dKjVXqO [3/4]
溶解ニンゲンヴェム

亀虫受けキモッキモッ

ヲタも勘違いしすぎきんもー☆

僕スタ99の波×鷹のほうがよっぽど萌える
佐々木×西島最高♪
美男カップル♪ <> 雨垂拍子 1/3<>sage<>2011/11/08(火) 14:19:01.25 ID:OP1Gj6BD0<> 湯目枕爆の小説「恩妙字」で安海苔→静名です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「お前は何を考えている?」
安海苔は静名の烏帽子を払いのけると、流麗な黒髪を握り締めてぐっと持ち上げた。
「あ…っ」
「静名」
静名の紅い唇がふっと開かれる。同時に零れる白い息が夜気に溶けて行く。
そんな吐息に音が乗る。

「雨垂拍子な手際、と」

含んだ笑み。
ぶれない視線。
一瞬にして安海苔の頭内が白くなる。
「―――っ」
再び晴れた時には仰向けにした静名の白く細い首は安海苔の両手の中にあった。
とくとくと鳴る音は、静名の命。今、自分の手の中にある、この命は、己のモノ、神にも譲れないモノ。
「う…ぁ………」
「苦しいか、静名」
「………」
いつも安海苔の心を見透かす瞳は今は閉じられ、惑わす声は封じられ、魚のように小さく開かれた口は震えていた。 <> 雨垂拍子 2/3<>sage<>2011/11/08(火) 14:20:15.54 ID:OP1Gj6BD0<> 安海苔の手を外そうと重ねられた静名の手は、まるで懇願しているように思え安海苔の顔に冷笑が浮かぶ。
「良い姿だ」
「―――っ!ぁ、あっ」
「ふ……う………」
安海苔は静名の首に手を掛けたまま、腰を打ちつける。
腰を振る度にぎし、ぎし、と古い戸板が鳴る。と、庭に植えられていた楓が秋風に乗って、静名の横にふわりと着地した。
「ほお…」
「は……っ……ぁ」
「…静名よ、風流だな」
「…………」
「なあ、静名」
安海苔は静名の首から手を外し、静名の耳にそっと口付けた。
「術を使えば俺を追い払うことなど出来得るのに、せぬのだな。お前は」
「………………」
「そういえば広昌さまは本日は貴船に参っているとか」
「………………」
「山の天気は変わりやすい。何事も無ければよいのだが………」
「やすのりさ…ま………」
「ようやく俺の名を呼んだな」 <> 雨垂拍子 3/3<>sage<>2011/11/08(火) 14:23:47.16 ID:OP1Gj6BD0<> 苦々しく言い捨てると、安海苔は静名の足を抱えると再び静名の中を荒らしていく。
「お前が此処に居る限り広昌さまには何事も無く無事に御勤めを済まされることだろうよ」

だから。

「お前は何事も案ずることなく此処に居ればよいということだ」
安海苔は一際強く打ちつけると同時に、身をよじって逃げようとする静名の頭を床に押し付け己の精を静名の中に吐き出した。
何度か腰を振って全て吐き切ると静名を抱き寄せるて唇を重ねた。
唇を離す瞬間、静名の唇が微かに動いたのを安海苔は見逃さず、
「どうした。何か言うてみよ」
と問うと静名は目を細め頬を緩ませて安海苔の唇を指でなぞった。
「静名?」
「やはり…」
「ん?」

「雨垂拍子な手際なこと、と」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

雨垂拍子…
・ 雅楽や謡曲で、拍子を雨垂れのように一定の間隔でとること。
・ 物事の進行がとぎれがちで、はかどらないこと <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/08(火) 16:50:47.44 ID:c9dKjVXqO<> ここって溶解以外には感想の一つも書いてやらないのか

最低だな
溶解だとアフォみたいに食い付くくせに <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 20:12:58.53 ID:xC8BJM1n0<> ハイハイ
ワロスワロス <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 20:49:05.30 ID:D05/FHjf0<> しかし亀ヲタが必死でキモいのには同意
妖怪スレのぞいてみたら思わず厨ジャンル認定したくなった
我ながらチラ裏だな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 21:09:27.55 ID:v7GFDeti0<> 他人の萌えは自分の萎え
自分の萌は(ry
スレチだから文句はこっちで吐け↓
嫌いなカップリングをひっそり叫ぶスレ 32スレ目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1314191680/l50 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/08(火) 21:34:21.49 ID:XoiMlf3i0<> c9dKjVXqO
は結婚コンプレックスなのかな <> 初めての体験1/3<>sage<>2011/11/09(水) 00:24:36.72 ID:FIG9Zssg0<> 半生注意
「妖怪人間ベ.ム」夏.目←ベ.ム
ぬるいけど示威行為メインなので設定はちょー適当です。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



乗り上げたような体勢になれば、当然ながら体の下にあの人の温もりがあり、そこから体

中へと熱が広がった。
かつてなかった、ありえないほどの熱さに、全身が細かく震えてしまっている気がした。

もちろん人間であるあの人の体がそれほどに熱いはずもない。触れているという事実こそ

が、あまりにも熱すぎたのだ。



あの日から、時々こういった夜が訪れる。
その場合の常であるように、今日も自らの腕で体を抱えてやり過ごそうと試みた。幻に過

ぎない熱さを思い出しては震えてしまう体を疎ましく思う。
大丈夫だ、何とかなるはずだと強く目を閉じるが、昼に見た笑顔が閉ざした瞼の裏を過ぎ

った瞬間に耐えることができなくなった。
彼女たちに気付かれぬよう、静かに棲み家を抜け出し、隣県まで駆けた。
山の中腹にあった、既に使われなくなったらしき物置小屋へと忍び込む。


<> 初めての体験2/3<>sage<>2011/11/09(水) 00:25:22.34 ID:FIG9Zssg0<>
今まで知識にはあったが感じることなどなかった身が疼き始めている。
服を脱ぎ、剥き出しの土床へ敷いた上で膝を付いた。
熱を持つ下腹部へと恐る恐る触れてみる。瞬間、ビクリと震え、痺れのような感覚が抜け

ていくのを息を吐いて耐えた。
背を丸め、足の間から手を伸ばし、奥にある排泄口にも触れてみた。
人とは違う長きを生きてきたのだ。禁忌だという同性同士の行為がどういうものなのか、

知らないわけでもなかった。
脳裏に描いた、照れたような笑顔が体を更に熱くさせる。
想像一つで疼く体は、受け入れてもらいたいと望むゆえなのか、受け入れたいとの思いか

らなのか。それすらもわからない。
ただ想像であっても、あの人へ苦痛を与えたくはなかったから。
指を少しずつ沈めていく。深さに比例するように吐き気が込み上げてくる。引き連れたよ

うな痛みがある。
それが、反転する。

『ベ.ムさん』
「ぁっ……ん…、ふ……」

頭の中で笑顔のあの人が自分の名前を呼ぶ。それだけで、吐き気は熱への飢餓に、痛みはもっとと望む痺れに。
動かした指が、触れるこの手が、もし彼のものだったらと思うだけで、ぞくぞくとした感

覚が信じられないほどに増幅し、身体を駆け抜けていく。
これが、人と人とが交わっておこるという快楽なのか。痛みを伴う神聖な行為を助けるた

めの感覚を、それさえも自分は穢れに堕としてしまう。頭の中であの優しい人を穢して、

己はそうやって快楽を貪るのか。
ああ、やはり、自分は人間ではないのだ。だから、こんな酷いことができるのだ。


<> 初めての体験3/3<>sage<>2011/11/09(水) 00:26:04.33 ID:FIG9Zssg0<>
『自分は人間ではない。』

自らでおこす快楽に身を委ねながら、わかりきったことを、繰り返し言い聞かせる。
醜い妖怪の体を望むものなどいるはずがない。どれほど優しい人間であったとて、この鱗

の浮いた緑の肌に触れたいなどと思うものか。
だから、わかりきったことを、繰り返し繰り返し心に刻み込む。そこから見えない血を流

そうとも、どれほど頬を濡らそうとも、決して忘れてはならない。夢を見てはならないの

だ。自分は人間ではないのだから。
あの穢れのない優しい目が嫌悪と恐怖に歪もうとも、この心が傷付いたりしないように。

自分が傷付いたのだと表に出してしまわないように。
たとえ醜く恐ろしい姿のバケモノであったとしても、あの人は自分が傷付けたと思えば後

悔してしまいそうだから、拒絶は当然のことだと弁えていなくてはいけないのだ。

溢れるものは涙ばかりで、次第に快楽も消えていく。今はもう悲しみしか感じなくなって

しまった。
手を離し、指を抜く。背を起こせば、闇の中でも服に落ちた汗や唾液がわかる。そこに土が混ざり合い、こびりついている。
土の匂いと、錆びた金物の匂いと、腐った木の匂いの中で、呆けたように座り込んだ。
汚れた指と、汚れた服とを目の前に、どうやって戻ろうかと途方に暮れる。

「はは……」

少し、可笑しくなった。誰にも知られないように、隠れて一人でこんなことをしている。
この惨めさが、身の程知らずにもあの人を思う愚かな自分に相応しい。

だから、笑いながら、涙が流れるに任せて泣いた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

たぶんこのあとベ.ムのあとをつけて全て覗き見てたベ.ロに呼ばれた姐さんがくる。
蒼白になって姐さんのマントを借りて帰るがいいと思う。不幸萌え。

スペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/09(水) 00:31:31.58 ID:8JWCnxSeO<> 溶解飽きたって言ってんじゃんいい
加減にしろ
マジ迷惑

キモキモキモ!!!

不法占拠すんなカス!!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 00:53:01.47 ID:0ZykELWk0<> >>350
乙です
不幸萌えもいいですね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 00:57:42.34 ID:OtxaLfs+O<> >>353
ここはあなたのものではないのであなたの意見だけを通してはくれないと思いますよ <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/09(水) 01:00:43.60 ID:8JWCnxSeO<> もうここ溶解専用棚とかにしろよ

マジうぜえ

溶解ヲタ最悪
洪水で流されればいいのに <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 01:38:10.13 ID:ZOfyUuPO0<> 886 風と木の名無しさん 2011/11/09(水) 00:34:52.49 ID:8JWCnxSeO
僕☆99

にっしーとくらさま最高☆
専スレ欲しいよー

ただの西島ヲタか、タヒねよ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 02:09:06.73 ID:VZM2ZS7I0<> >>357
そいつ亀梨アンチの赤西ヲタらしいよ
ドラマスレで毎日100〜200件位アンチレスしてる基地外
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 03:06:06.72 ID:b0539awU0<> 罰☆スレで蟻アドネsage将軍(ていうかニツジマ)ageしてた奴と
同じ匂いがする <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 06:31:01.10 ID:Wh3WwDxbO<> >>342
懐かしいw萌えたw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 07:52:41.77 ID:5verQyjP0<> >>356
お前震災が起きてまだ一年も経ってないこの時期に洪水とかなんなわけ
<> 風と木の名無しさん<><>2011/11/09(水) 07:54:29.14 ID:8JWCnxSeO<> >>361
棚を荒らす溶解厨は震災以下のクズ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 07:58:11.21 ID:Mv1qxFc0O<> 溶解って人気なんだな
見てみよう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 08:53:30.25 ID:6P6IeLRcO<> >>342
遅レススマソ
姓名ひどすぎ燃えたww事後にそんなこと言われたら立ち直れんwww
姓名殿はクールに反撃スレ住人かと

ネタ抜きにしてしっとり美しいSSでした <> 風と木の名無しさん<><>2011/11/09(水) 14:22:56.41 ID:uQhop8+y0<> >>356
溶解大好きなID:8JWCnxSeOは毎日ここに来てSS楽しみにしてるんだね
溶解見たことないから今度見てみる人気なんだね

>>357
そいつID変わらないこと知っててわざと西島厨にヲタナリして亀ヲタとモメサせたいだけの

本当は謎解き櫻井ヲタだよw

ホントのヲタなら具体的に萌えを書くのに「西島最高☆」とかいかにも
厨っぽく☆マークつけて萌え内容書かない典型的なヲタナリしかもババアのよく使う手w
西島を叩かせたい工作ミエミエだから、西島も亀も両方嫌いなんだろう

ホントに低脳櫻井ヲタはやることが幼稚だな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 15:59:03.62 ID:xxWDrPeK0<> そんなもん、どーでもいーわ
つまらんネタにもならん長文投下すんな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 19:42:17.74 ID:AcyC017U0<> ジャニヲタ臭がすごいな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/09(水) 22:59:19.82 ID:6N3TBxs+O<> ジャニヲタってマジキチだな
キモくて怖いわw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/10(木) 01:56:57.71 ID:/9jtWmgO0<>               ,. ‐'' ̄ "' -、   ,. ‐'' ̄ "'' -、
             /        ヽ/          ヽ
                l          l             l
            l         l          l
         ,. ‐'' ̄ "'' 、    ,,. --‐┴─-- 、     / ̄ "'' -、
       /      ,.-‐''"´           \ _/        ヽ
      l       /                   ヽ          l
       l     /  ●                l          l
      ヽ    l       (_人__ノ         ● ヽ         /  そんな事言われても
       ,,>-‐|   ´´     |   /       , , ,. ‐'' ̄ "' -、/      ウチ ポン・デ・ライオンやし
      /    l        ヽ_/           /          ゙ヽ
     l     ` 、               l            l
      l       ,. ‐'' ̄ "' -、   ,. ‐'' ̄ "'' -、            l
       l,     /         ヽ /        ヽ,         /
       ヽ、,,  l            l          l,,,___,,,/
         "'''l            l             l
              ヽ          /ヽ        /
             ヽ,___,,,/  ヽ,,___,,,/
                   /     |
                /       | <> 忍法帖変更議論中@自治スレ<>sage<>2011/11/11(金) 15:50:40.35 ID:jgLXsP5vO<> >>317
最後ワロタw
可愛いな〜楽しかった! <> 忍法帖変更議論中@自治スレ<>sage<>2011/11/12(土) 01:16:47.76 ID:BC+5496v0<> >>365
これだから亀梨ヲタって…
<> 忍法帖変更議論中@自治スレ<>sage<>2011/11/12(土) 01:30:06.55 ID:DfsiqJ7E0<> もう終わった話題なうえに3日も前のageレスに反応すんなよ
うぜえ <> キス 1/6<>sage<>2011/11/12(土) 21:54:08.58 ID:JKQQnLve0<> 映画「悪/魔/の/い/け/に/え」からババちゃん受
※若干グロ描写あり

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

獲物の皮をあらかた剥いでしまう頃には、ババ・ソーヤーの黄色いエプロンは返り血で真っ赤に染まっていた。
たった今剥がしたばかりの顔の皮を両手で持ち上げ、じっくりと観察してから、丁寧にフックに吊り下げた。
なめしてみて出来がよければ、また新しいフェイスマスクを作るつもりだった。

次の工程に入ろうと鉈を手にしたところで、兄のチョップ・トップが大声を上げて部屋に飛び込んでき、
ババの後ろから両肩に手をかけて飛びついた。
ぎょっとして鉈を取り落としたババにはかまわず、チョップ・トップはけたたましい笑い声を上げた。
「映画に行こうぜ!」そういってババの体から飛び降り、その場で小躍りし始める。
ババは両手についた血の汚れをエプロンでぬぐいながら、床に落ちた鉈を解体台の犠牲者の横にきちんと置いた。
「うちから一時間くらい走ったとこのドライブインシアターで、ポルノを上映してるんだとよ。
兄ぃはゲームの仕出しで遅くまで帰ってこねえし、一緒に出かけようぜ!」
チョップ・トップに腕を引かれてうなずきながら、かたわらの肉に目をやる。肉が傷んでしまう前に
処理を終わらせておかないと、またドレイトンにこっぴどくどやされてしまう。
ババは再び鉈を手にして肩をすくめてみせたが、チョップ・トップに両手首をつかまれて引っぱられては、
それ以上どうすることもできずに素直に鉈を置いて兄とともに部屋を出ていった。

ドライブインシアターに向かう途中で、チョップ・トップはトラックをガソリンスタンドに乗り入れた。
食べ物と飲み物を買いにトラックをおり、軽快な足取りで店へ入っていったチョップ・トップを見ていると、
それまで気楽な姿勢で雑誌を読んでいた店主が奇異を見るような目つきでチョップ・トップを
目で追っているのが目に入った。店内の品物を物色しながら、いつもの調子でハンガーの先で頭を掻いている。 <> キス 2/6<>sage<>2011/11/12(土) 21:55:21.16 ID:JKQQnLve0<> ババがつくってやった人毛のかつらがあるのだが、チョップ・トップが好んでつけるのは
どこかで手に入れてきた安い人工毛のものだった。一目で偽物とわかる代物で、かつらの下から
わずかに生えた地毛がいつもはみだしていたが、本人はさして意に介していないようだった。

バックミラーに目をやると、荷台にしっかりと縛りつけられて座っているチャーリーの姿が目に入った。
久しぶりの外出で、いつもより少し機嫌がよさそうだ。ババは後ろを振り返ってチャーリーに何か
話しかけたが、当然ながらチャーリーは微動だにすることなくそこにじっと座っていた。
機嫌がいいのはババも例外ではなく、いつになく高揚した気分だった。
ドライブインシアターには、今までにも何度か家族にともなわれて出かけたことがあった。
チャーリーとチョップ・トップは子どもの頃からじっと座って映画を観るということができない子どもだったし、
そもそも人目がある場所にはババを連れていけなかったので、ソーヤー家にとって映画館といえば
ドライブインシアターだった。
ドレイトンが運転する車にチャーリー、チョップ・トップ、ババがそろって乗り込み、
ドライブインシアターの一番目立たない場所に車を停め、思い思いの飲み物や食べ物を片手に、心置きなく映画を観た。
そう頻繁にあることじゃなかったが、家族そろって外出する機会など皆無に等しいソーヤー家にとっては、
ドライブインシアターはすばらしい娯楽だった。
今となっては家族そろって映画を見にいくということもなくなったが、だからこそ、久しぶりの
映画がババにとってはとても特別なものに感じられた。
「ポルノ」という意味がババにはわからなかったが、なにが上映されていようとかまいはしなかった。
ただ家族そろって映画を観るというその時間そのものが、ババは大好きだった。

唐突に助手席の横の窓ガラスが叩かれ、ババはぎょっとして身体を揺らした。
「いいマスクだな!」若い男が至近距離から車内をのぞいていて、開口一番そういった。
カウボーイハットのつばを親指で上げ、きれいに生えそろった白い歯を見せつけるように笑みを見せる。 <> キス 3/6<>sage<>2011/11/12(土) 21:56:41.77 ID:JKQQnLve0<> パニックに目を泳がせると、その若い男の後ろにさらに数人の若者が立っているのが目に入った。
ひとりはビール瓶をラッパ飲みしていて、一目で全員がひどく酔っ払っているということが理解できた。
「後ろのは友達かい?ハロウィンにはまだ早いぜ!」荷台のチャーリーに目をやりながら
そういうと、若者たちはけたたましく笑い始めた。
ババは床に隠しているチェーンソーを手探りしたが、店内でのんびりと品物を選んでいる
チョップ・トップが目に入り、チェーンソーから手を離した。
チョップ・トップの気が変わり、映画にいけなくなるのが嫌だった。
「あんたもゲームを見にダラスへ?」
カウボーイハットの男の後ろから、口ひげを生やした若者が顔を出した。
色とりどりのペイントを顔中にほどこしていて、地元のフットボールチームのTシャツを身につけている。
が、フットボールのことなどまったく知らないババにとっては、ただのばかな若者に見えた。
店内のチョップ・トップに視線を走らせながらおどおどしていると、後方にいた若い女が店のほうへ顔を向けた。
「お店にいるのがあなたの連れ?」豊満な尻にぴったりと色あせたデニムを張りつかせた女がそういうと、
ババはきょろきょろしながらうなずいた。カウボーイハットの男が運転席側の窓に移動し、
開いていた窓から頭を突っ込んだ。ババの手がチェーンソーに触れては離れた。
「よかったら俺らと一緒にゲームを見にいかないか?とはいっても、スタジアムに入る金なんかねえから、
パブでテレビ観戦なんだけど。そこでばかな格好して、ただ飲んで騒ぐんだよ。どう?」
「あんたも連れもそんな仮装してるぐらいだ、派手にやろうって魂胆だろ?俺らと一緒に行こうぜ」
カウボーイハットの男の手がババの肩を叩き、後方の連中が犬の遠吠えのような歓声を上げた。
そこではじめて、店内にいたチョップ・トップが異変に気づき、あわてて店から飛び出してきた。
怒り心頭のチョップ・トップが車まで駆け寄ると、酔った連中は歓迎の雄たけびを上げた。
「どけ!俺の弟にかまうんじゃねえ」カウボーイハットの男につかみかかろうとした
チョップ・トップを制止し、若者たちのひとりが先ほどババを誘ったときと同じ言葉を口にした。 <> キス 4/6<>sage<>2011/11/12(土) 21:57:38.57 ID:JKQQnLve0<> 「ゲーム?そんなもんはどうでもいいな。どうせ、兄ぃの仕出し弁当の手伝いでいやというほど
スタジアムに連れてかれんだ。どけどけどけ」
「あんたらの仮装、最高にいかしてるから一緒に来てほしいんだよ!絶対面白いぜ」
口ひげの若者がチョップ・トップの手にビール缶を押しつけ、後方にいた若者のうちのひとりが
胸から下げた笛を一息するどく吹いた。
それまで立腹していたはずのチョップ・トップは騒ぎにつられて笑い始め、気づけば口の周りを
ビールで濡らしながら若者たちのひとりと肩を組んで踊っていた。
店の店主が何事かという顔つきで窓からこちらを見ていたが、店から出てこようとはしなかった。
ババがおどおどした態度で車外の喧騒を見守っていると、助手席側のドアが開き、隙間から
カウボーイハットの男の手がぬっと伸びてきた。
ババは声にならない声を上げたが、チョップ・トップが「ババも来いよ!」と叫ぶのを聞いて、
おとなしくカウボーイハットに腕を引かれるまま車をおりた。
ババの手にもビールの缶が押し付けられ、若い女がぎゅっと一瞬飛びつくようにハグをして離れた。
「俺たちみんな家族だ!そうだろ!俺たちみんな家族だ!」狂ったように若者のひとりが叫び、
ビール瓶を大量にこぼしながらラッパ飲みする。
「いかれちまってるな!こいつら、いかれちまってるぜ、ババ!」チョップ・トップが嬉しそうに叫びながら
ハンガーを振り回し、するどくとがったハンガーの先が若者のひとりの服を裂いたが、誰も意に介さなかった。
「帰りはここまで送ってくるからさ、今から俺たちの車で出かけようぜ」カウボーイハットの男が
ババの腕をつかんだままそういい、ババの肩を親しげに叩いた。
ババは首をかしげて男のあごのあたりに手を伸ばし、探るような手つきで触ったが、男は
気にかける様子もなく満面の笑顔を浮かべたままでいた。
若い肌は張りがよく、何より男の顔立ちは整っていた。とてもいいマスクになりそうだった。
いつのまにか顔にペイントをほどこされたチョップ・トップがババのところへ戻ってきた。
若い女がすがりつくようにチョップ・トップの腕にしなだれかかったままついてきて、けたたましく
笑い声を上げていた。
「よう、ババ、どうする?どうする?」そういいながら、ハンガーで頭を掻く。 <> キス 5/6<>sage<>2011/11/12(土) 21:58:38.55 ID:JKQQnLve0<> ババは若者たちを見た。このまま若者たちと一緒に行けばたくさん肉が手に入るだろうし、
何よりこのカウボーイハットの男のフェイスマスクがほしくてしかたなかったが、
ババは首を横に振った。チャーリー、チョップ・トップと三人で映画を見にいきたかった。
すると、チョップ・トップはあっさりと若者たちに別れをつげ、腕にくっついていた女を振り払うと、
車のもとまで戻っていった。大ブーイングが巻き起こったが、チョップ・トップは涼しい顔をしている。
ババは兄の後ろについて車へ戻ろうとしたが、カウボーイハットの男が腕を離さなかった。
「どうしてもいやか?おごるぜ?あんたらと友達になりたいんだよ」
「おい、俺の弟から手を離せ!」チョップ・トップがそういい、ハンガーを振り回した。
ババが首を振るのを見て、カウボーイハットの男はあからさまにがっかりした顔つきをし、
ババの腕から手を離した。若者たちは興をそがれた様子で自分たちの車まで引き返していったが、
カウボーイハットの男はそこにとどまり、にんまりと笑みを浮かべた。
「あんた、可愛い目をしてて、気に入ったんだけどな」そういったカウボーイハットの男に
仲間から野次がとび、男は声を上げて笑った。
カウボーイハットの男が飛びつくようにババの唇に自分の唇を押し当て、さっと身をひるがえして去っていった。
車に戻ると、チョップ・トップが得意満面の顔つきで若者からもらってきたビールや食べ物の数々を
荷台に積んでいた。自分の金を使わずに済んで、上機嫌だった。
「おう、来たな、ババ。さ、ポルノを見にいこうぜ!」
顔に不恰好なペイントをほどこされたチョップ・トップがそういい、手のひらをこちらに向けて差し出したので、
ババはその手にタッチをした。

ドライブインシアターにトラックを停める頃には、ポルノはほとんど中盤に差し掛かっていた。
チョップ・トップが興奮しながらビールの空き缶を窓から投げ、甲高い笑い声を上げている。
映画は男と女が裸で絡み合うだけの退屈なものだったが、ババは満足だった。
若者からもらったサラミの燻製をかじりながら、スクリーンの中でくちづけをかわす男女を眺めていた。 <> キス 6/6<>sage<>2011/11/12(土) 22:00:36.87 ID:JKQQnLve0<> キスという行為は知っていたし、ほんとうに小さい頃は、チャーリーやチョップ・トップは
言うに及ばず、じい様やばあ様、ドレイトンにもキスをされていたが、家族以外の人間に
キスをされるのは初めてだった。
ババは人間の肌の感触が大好きだったので、キスをされるのが好きだし、ハグをするのも好きだった。
と、酒のにおいを漂わせたチョップ・トップが唐突に助手席のババに覆いかぶさってき、キスをしてきた。
「キス、キス、キス、キス」上機嫌のチョップ・トップは歌うようにそう繰り返し、もとの姿勢に戻ると、
またスクリーンを食い入るように眺め始めた。
ババは助手席から身を乗り出し、チョップ・トップにキスをした。
チョップ・トップはそれを受けて甲高い声で笑い、かつらをはずすと、ふざけて「俺のプレートにキスをしな」といった。
ババは兄の頭に埋まったプレートにキスをすると、兄の体をぎゅっと抱きしめた。
はじめこそおとなしく抱かれていたチョップ・トップだったが、しばらくその姿勢のままでいると、
ついには映画が見えないと怒り出した。
ババは兄の体から手を離し、車をおりると、荷台からチャーリーを連れて戻ってきた。
すっかり軽くなったチャーリーの体を膝に乗せ、その体をぎゅっと抱きながら映画を観た。
「チャーリーも上機嫌だぜ、ババ。嬉しそうな顔だ」チョップ・トップがそういい、けたたましく笑った。
チャーリーにキスをすると、チャーリーは物も言わずじっとしたままだった。
ババは気が済むまでチャーリーにキスをし、ずっと膝に抱いたままでいた。
やがて、ババが小さく体を揺らして歌い始めたが、チョップ・トップはとがめるどころか、それにつられて大声で歌いながらビールの空き缶を楽器にみたてるようにしてダッシュボードをリズミカルに叩いた。
いつになく楽しい夜だった。
ババはもう一度チャーリーにキスをし、家に帰ったら、じい様とばあ様と、ドレイトンにも
キスをしようと考えていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

セクハラされるババちゃんが書きたかった
ソーヤー家の家族団らんが書きたかった <> 魔性少年 1/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:37:37.38 ID:53pROhlG0<> 「機動戦士ガンダムAGE」のデシル×フリットです。内容とか特に無くて、ただヤってるだけです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 フリットはデシルの膝に包帯を巻き終えると、立ち上がり、言った。
「はい、これでもう大丈夫」
「うん。ありがとうフリットお兄ちゃん」
「他に痛いところはある?」
 尋ねるフリットに、デシルはベンチに腰掛けたまま答える。
「うん……。あのね、足の、もっと上の方が、ちょっと痛いかも」
「え、どこ? この辺?」
「ううん、もっと上」
「ここ?」
「もう、違うってばぁ」
 デシルはフリットの手を取り、導く。
「こ、こ!」
「え、ちょ……っ!?」
 そこはズボンの前、男の子の大事な部分だった。
 すでにはっきりと発情を示しており、幼い外見に似合わないほど大きく膨らんでいる。
 デシルは、引っ張られた弾みで膝を着いたフリットの手をグイグイと押しつけ、擦りつけた。
「んっ、あん……」
 艶かしい喘ぎが、少年の小さな口から溢れ出す。天真爛漫な顔が、淫らに歪む。
「デ、デシル……」
 デシルの突然の行動に激しく動揺しながらも、その背徳的な光景に、フリットはひどく魅せられる。
 男同士だというのに、胸がときめく。
 そんな自分に戸惑い、混乱し、手を離すことも失念して、デシルにされるがままそこを撫で回してしまう。
「ねえ、フリットお兄ちゃん」
 そんなフリットに、デシルは無邪気とも妖艶とも聞こえる口調で囁く。
「ここ、苦しいんだ。だから、ね? 直接、さすって欲しいな」
 ごく……。
 思わず唾を飲むフリット。驚くほど、喉が乾いている。 <> 魔性少年 2/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:39:28.19 ID:53pROhlG0<> 「そ、そっか、く、苦しいんだ……わ、わかった……なら……」
 まるで自分に言い訳するようにそう呟くと、フリットはデシルのズボンのファスナーを下ろす。
 子供らしい、シンプルな白い下着の穴からは、すでに男の子の証が顔をのぞかせていた。
(す、すごい……僕のより、ずっと大きい……)
 しっかりと自己主張するそれは、年相応に包茎ではあったが、長さ、太さ共に、大人のものと比べても遜色ないサイズだった。
「ねー、フリットお兄ちゃぁん、早くぅ」
 腰を軽く突き出し、巨根に圧倒されて固まるフリットを促すデシル。
「わ、わかった……」
 フリットは息を荒げながら恐る恐る手を伸ばし、生白い太筒をそっと握った。
「あん……」
「あ、ご、ごめん……っ!」
 少年の発した可愛らしい嬌声に驚き、思わず手を引いてしまうフリット。
 デシルは素早くその手を掴むと、再び自分自身に添えさせた。
「ダーメ、フリットお兄ちゃん。焦らさないで」
「う、うん……」
 フリットは小さくうなずくと、添えた手をゆっくりと動かし始めた。
「んっ、あっ、い、いいよ、フリットお兄ちゃん……ねえ、もっとしっかり握って……」
 言われるまま、デシルを握りこむフリット。そのまま動かすと、余った皮がスライドする。
 皮越しにも、しっかりとエラの張った亀頭の形が指に伝わる。
 しばらくしごいていると、先端からカウパーが滲み出てきて、動きが滑らかになった。
 にちゃにちゃと、卑猥な水音が部屋に響く。
「んっ、んんっ……うふふ、フリットお兄ちゃん、いつもこういう風にするの? こうやって、全体を掴んで、皮ごとごしごしって、やらしく擦るの?」
「い、いや……僕は、別に、こ、こんなことは……しないから……」
「うそだあ。だって、やり慣れてる感じがするよ?」
 図星だった。朝と夜、毎日二回の自慰は、すでにフリットの日課になっている。
 妄想のネタはエミリーがメインだったが、最近ではユリンが登場することも多い。
 フリットは誤魔化す様に、手の動きを早めた。
「ふあっ、ああっ! うふふ、フリットお兄ちゃん、激しいよぉ」
 嬉しそうに喘ぐデシルだったが、その手はフリットの手首を掴み、動きを制止した。 <> 魔性少年 3/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:41:59.99 ID:53pROhlG0<> 「ね、皮こきもいいけど、ずっとだと伸びちゃうよ。だから、剥いて。それで、先っぽ、直接いじって」
「え、あ……ああ、そ、そうだね……」
 うなずくフリットだったが、彼自身のペニスもまだまだお子様であり、未だに先端を露出させた事すらなかったため、どうすれば良いのか分からず躊躇してしまう。
 その様子を見て、デシルは察したようだ。
「えへへ、そっかー。フリットお兄ちゃん、まだ剥いた事ないんだね」
「うぐ……」
「やだ、フリットお兄ちゃんってば可愛いー。じゃあね、僕が教えてあげる。見てて。こうするんだよ」
 年下の少年に恥ずかしい事実を見透かされ言葉に詰まってしまうフリットに、デシルはそう言うと、親指と人差し指で肉茎の中程をつまんだ。
 そして根元に向かってゆっくりと引っ張り、皮を剥いていく。
 顔をのぞかせたそれは、すでにたっぷりの潤滑液でてらてらと光っていた。
 やがて皮がカリ首にを越え、くるんと裏返るように引っかかる。
 完全に剥けた濡れそぼる亀頭に、デシルは再びフリットの指を導き、にちゃりと掴ませ、しごかせる。
「んっ、あっ……ほら、どお? こうすれば剥けるんだよ。こうやってここを直接しこしこするとね、すごく気持ち良いんだ。フリットお兄ちゃんのも、あとで剥いてあげるね」
「……っ!!」
 フリットはもう言葉も出ない。思考もまとまらず、自分が何をやっているのかもだんだん分からなくなってくる。ただ本能の赴くまま、少年ペニスへの奉仕に没頭する。
「ああっ、ふあぁっ! フリットお兄ちゃぁん、気持ち良いよぉっ!」
 デシルは快楽に顔を歪ませながらも、娼婦のような淫蕩な笑みを浮かべている。
 夢中でしごき続けるフリットが見守る中、デシルの睾丸が、ゆっくりとせり上がり始めた。
「あつ、あっ……フリットお兄ちゃん……出すよ……」
「……っ! ……っ!」
 フリットはさらに鼻息を荒くして手の動きを早め、デシルのペニスを追い込んでいく。
 程なく、ベンチの縁をきゅっと掴み、腰をぐっと持ち上げて、デシルは絶頂に達した。 <> 魔性少年 4/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:51:25.38 ID:53pROhlG0<> 「ふうぅ……っ!」
 いとけない呻き声と共に、びゅるるっ! びゅるるっ! と、大量の精液を撒き散らすデシル。
 そのほとんどは、目の前のフリットに降りかかる。
 髪に、顔に、年下の少年の劣情を浴びせかけられ、興奮のあまり意識が飛びそうになる。
 びくびくと震えながら欲望を吐き出し終えたデシルの男の子は、そんなフリットの手の中で、ゆっくりと力を失っていった。
「はー……はー……えへへ」
 コケティッシュな表情で微笑みかけるデシル。
 フリットは茫然として、かかった精液を拭こうともしない。
 打ち出された残りの精液は、ふわり……ふわり……と宙を漂っている。
 と、デシルはいきなり座った状態から一動作でフリットに飛びついた。
 そのまま空中に浮かびながら、フリットをぎゅっと抱き締める。
 腕ごと抱き締められてしまったので、身動きが出来ない。
「うわ……っ!? で、デシル……っ!?」
「フリットお兄ちゃんのお顔に、こんなにいっぱい出しちゃった。ごめんね、今お掃除してあげる」
 そして、顔に付いた自分の白濁をぺろりぺろりと舌で拭っていく。
「んあっ、で、デシル……ん……っ!」
「れろ、れろ……れろんっ……ちゅぅ……。ふふ、けどさー、フリットお兄ちゃん」
 フリットの顔の精液を全て舐め取り、かわりに唾液まみれにしたデシルは、耳たぶをそっと甘噛みながら、責めるように囁く。
「指の動きが単調だったよぉ。ちょっとつまんなかったかも」
 そう言って右手でそっと包み込むようにフリットの股間を押さえ、撫で擦る。
「あ……っ!」
「うふふ、もうこんなになってるね。今度は僕の番。僕が、もっと気持ち良いやり方を教えてあげるね」
 どこで覚えたのか、非常に巧みな少年の指使いは、ズボンの上からだというのに確実にフリットを射精へと追い込んでいく。
「ふあっ、ああっ……だ、ダメ、だよ……んうっ、で、デシル……やめてよ……っ!」
「あっれー? まだまだ、本気はこれからだって言うのに、もしかしてもう出ちゃいそうなの? やあだ、フリットお兄ちゃんってば、よっわーいっ!」 <> 魔性少年 5/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:55:07.20 ID:53pROhlG0<>  蔑む様な目で屈辱的なセリフを浴びせかける。悔しいはずなのに、しかしフリットは、デシルの言葉責めに奇妙な興奮を覚えてしまうのだった。男の子の部分が、ひくんひくんっと嬉しがる。
「あはっ! 貶されて喜んでるー。フリットお兄ちゃん、マゾなの? 変態なの? くすくすくす」
「そんな……違……う、ああ……っ!」
 反論しようにも、爆発を我慢するのに精一杯で、うまく言葉がまとまらない。
 そもそも、体が反応してしまっているのは事実なので、反論できない。
「デシル……っ! 僕もう……っ! お、お願い、このままじゃ……」
「もう出るの? いいじゃない。ズボン履いたまま出しちゃいなよ。ほらほらー」
「ひぃっ、や、やめ……っ! あああっ! ダメぇっ!」
「いやなの? じゃあさ、自分で脱いで、恥ずかしい包茎おちんちん、さらけ出してよ」
「そ、そん、な、こと……っ!」
「僕は別に、このまま中で出させちゃっても構わないんだよ?」
「ああっ! わ、分かったっ! 分かったからっ!」
 デシルは、一度フリットの腕を解放する。
 あきらめたフリットは、ズボンに手を掛け、パンツと一緒に降ろし始める。
 やがてぷるんっと、こちらは思春期の少年らしい、たっぷり皮の余った初々しい勃起が現れた。
「わあ、フリットお兄ちゃんのおちんちん、ちっちゃくて可愛いねー」
「うぅ……」
 確かにデシルのものと比べると一回りスリムだった。
 とはいえ、この歳の男の子としては平均的なサイズなのだが。
 デシルの言葉に男の子のプライドを傷つけられながらも、フリットはさらに脱ぎ進める。
 しかし、膝まで降ろしたところで、デシルに再び抱きつかれてしまった。
 今度は、お尻を顔の方に向け、足でフリットの腕を挟む。
 ちょうど空中でフリットの胸の上に馬乗りになった格好だ。
「うわっ!」
「へへへー。どおフリットお兄ちゃん。こうすると動けないでしょう」
 デシルの言うとおり、ズボンとパンツで両足を、デシルの足で両腕を拘束されたフリットは、思うように力が入らず、彼を跳ね除けることも出来ない。
「じゃあ、フリットお兄ちゃんのおちんちんに、たっぷりご挨拶してあげる」 <> 魔性少年 6/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:56:42.42 ID:53pROhlG0<>  デシルは片手でペニスの根元を掴むと、舌を伸ばし、れろ、れろ、れろ……と先端を唾液で濡らしていく。
 濡らしながら、もう片方の手で、少しずつ被った皮を剥いていく。
 ぴっと、沁みる様な痛みに、フリットは小さく呻く。
 やがてペニスは完全に頭を出し、先端の粘膜が初めての大気にさらされた。
「はーい、こんにちわぁ」
 剥きたてのそこに、デシルはちゅっと口付けた。
「きゃひっ!」
 痛いほど敏感な部分にキスをされ、フリットはまるで女の子のような声を出してしまう。
 自らの発した悲鳴が恥ずかしくて、あわてて口を閉ざすフリットだったが、続けざまに襲ってきた刺激に、堪らずまた声を上げてしまう。
「ひあぁっ! ああっ! んうーっ! ふひぃっ!」
 デシルが、舌でそこを舐め回しているのだ。
「うふふふ、くっさーい。ダメじゃない、フリットお兄ちゃん。ここ、ちゃんと剥いて洗わないから、汚れちゃってるよ? しょうがないから、僕がきれいに消毒してあげるよ」
 デシルは、舌を少し強めに押し付け、こびりついた恥垢をこそぎ落としていく。
「ふひぃーーっ!! あーーっ!! うあぁーーっ!!」
 剥けたばかりの亀頭には強すぎる快楽に、最早叫び以外の言葉が出せない。
 逃れたくとも、膝の布の拘束で下半身の身動きが取れない。
 あられもない声を上げながら、首を振り、足を空中でばたつかせるしかないフリット。
 その勢いで二人の体がくるくると回り始めてしまったが、デシルはフリットを逃がさないよう、両足をクレーンのアームのようにしてしっかりと体を挟み込み、さらに容赦なく追い込んでいく。
「あーっ! あーっ! ふひっ、ひぐっ! ひぐぅぅぅ…………っ!!!」
 ついに、フリットは白い欲望を吐き出してしまった。
「ふひっ、ふひぃ……っ!!」
 それは、自慰では得られなかった、強烈な快感だった。
 一度では収まらず、二度、三度と恥ずかしい噴水を打ち出してしまう。
 デシルはその小さな口でペニスを咥え、全てを受け止める。
「んぐ……んぐ……」
 ちゅうちゅうと、管の中の残滓も逃さず吸い上げる。
 ごくんごくとん、喉を鳴らして飲み込む。
 飲み込みながら、舌での掃除を続ける。
<> 魔性少年 7/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 11:58:30.66 ID:53pROhlG0<> 「あーーっ!! あがぁーーっ!」
 達したばかりの亀頭を責められ、悲鳴を上げるフリット。
 萎えかけたペニスが、少年の口中で再び大きくなっていく。
 最大まで回復したところで、デシルは口を離した。
「ぷふぅ……。えへへ、じゃあきれいになったところで、指の使い方を教えてあげるね」
「い、いやっ……も、もう、いいよ……っ! もういいからっ!」
「えー、遠慮しないでフリットお兄ちゃん」
「や、やめ……」
 デシルはフリットの皮を根元にぎゅっと引っ張ると、ぬらぬらとぬめる粘膜に指を絡ませ、そこだけを執拗に責め立てた。
「あひぃっ! ひぃぃっ! ふあおぉーっ!」
 デシルの巧みな亀頭責めに、フリットは気が狂いそうになる。「フリットお兄ちゃん、うるさいよぉ。もお、仕方ないなー。じゃあ……」
 と言って、デシルは腰を頭のほうへずらした。フリットの目の前に、剥き出しの勃起が迫る。
「僕のも、お口でしていいよ。これでおあいこでしょ」
 ぐぐっと、フリットの口に押し付ける。
「んう……っ!」
「僕の手が止まっちゃうくらい、気持ちよくしてね」
 とっくに快楽と淫靡な空気に飲まれてしまっているフリットは、両手が自由になったことにも気が付かず、それが同性の性器であるという嫌悪感も忘れ、大きく口を開け、迎え入れた。
 むわっと、生臭くも芳しい少年の匂いが口腔内に広がり、さらに興奮する。
「あん……っ! フリットお兄ちゃんのお口、あったかぁい」
 するとその途端、またあの奇妙な感覚が体を走った。
 何かが、少年のペニスから体の中に流れ込んでくる。
 しかしそれが何かを考える余裕は無かった。
 フリットは夢中で、口いっぱいの勃起に舌を絡め、丁寧にしごいた。
「うふふ……いいよ、フリットお兄ちゃん。じゃあこっちも」
 デシルは、絡めていた指をいったん離すと、手のひらを窪ませ、亀頭にかぶせ、渦巻きを描くように撫で回した。
「んーっ! んーっ! んおぉーーっ!」
 耐え難い快楽に、フリットの舌の動きはすぐに止まってしまった。
 咥えたままの口から、くぐもった呻き声が漏れ出す。
「あれえ、フリットお兄ちゃん、お口がお留守だよー?」
<> 魔性少年 8/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 12:00:52.37 ID:53pROhlG0<>  揃えた指を鉤型に曲げ、亀頭だけをスライドさせる。
 人差し指と親指で輪を作り、亀頭を締めながらさする。
「んーっんうーっ!! んうぅぅっ!!」
「うふふ、ここだけしか責めてもらえないと、苦しいほど気持ち良いのに、中々出せないんだよねー。ほらあ、早く僕をイかせてくれないと、いつまでもこのままだよー?」
 フリットは靄のかかった頭で、なんとか口唇愛撫に集中しようとする。
 それを、デシルがさらなるテクニックで妨害する。
「あははははっ! あははははっ!」
「おぉぉーっ!! おーーーっ!! んおーーーっ!!」
 宙に浮いたままうねうねと蠢くフリットの体を離さないように、ペニスの根元を握っていた方の指を離し、その手をお尻に回して抱き込む。
 片手になっても、デシルは器用に亀頭を責め続ける。
「本当、フリットお兄ちゃんは弱いなぁ! じゃあ、こうしてあげる」
 あきれた口調で呟くと、デシルはお尻にまわした指を、ぷりんとした双丘の谷間へと割り込ませた。
「んーっ!? んおーーっ!?」
 本能的な危険を感じ、朦朧としながらも腰を捻り逃げようとするフリットだったが、当然ほとんど効果は無い。
 抵抗むなしく、とうとうフリットのアナルは少年の中指を迎え入れてしまった。
「んうぅーーっ!!? んうぅぅーーーーっ!!!」
「ほら、フリットお兄ちゃんのカウパーでねちょねちょだったから、簡単に入ったよ。この分なら、もう一本いけるよね」
「んんんんっ!? んんんんーーーっ!!」
 ぬぬぬぬ……と、今度は人差し指が進入してくる。
 揃えた指を交互に動かし、デシルはフリットの中をかき混ぜるようにきつく愛撫する。
 ペニスの根元の裏側――いわゆる前立腺を、こりこりこりこりと刺激する。
「んふぅぅーーっ!! ふぅぅぅぅ……っ!!」
 もう片方の指も、ひたすら焦らす亀頭責めから、搾り取るような全体への愛撫にシフトしている。
 あっという間に、フリットは二度目の射精へと至らしめられた。
「んふぅぅ……っ!! ふうぅぅぅ……っ!! うぅぅぅぅ……っ!!」
 焦らされた挙句の絶頂は、大量の精液を吐き出させた。
 びゅるるっ! びゅるるるっ! びゅーっ! びゅびゅ……っ! <> 魔性少年 9/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 12:02:03.40 ID:53pROhlG0<>  半分ほどに萎えたペニスから、中に残った精液を指でぎゅうーっと搾り出しすと、デシルはフリットの口からペニスを抜き取り、体を蹴って離れた。
 そして壁を蹴って戻ってきたデシルは、今度はフリットの背中側から抱きついた。
「はー……はー……はー……」
 フリットはだらしなく四肢を伸ばしながら、肩で息をしている。
 ペニスもまた、ぐったりと力を失っている。
 そんな彼の後ろから、デシルは自分自身をあてがった。
「うぁ……!? な、なに、を……!?」
「指二本が簡単に入ったんだから、大丈夫だよね」
 そして、ぐぐー……っと、先程の責めでほころんだフリットの窄まりに侵入していった。
「〜〜〜〜っ!!」
 強烈な異物感に、フリットの息が止まる。と同時に、またあの奇妙な感覚が襲い掛かる。
(なんだこれ……っ!? な、なんなんだ……っ!?)
 フリットのその疑問も、デシルが腰を使い出した途端、雲散霧消してしまう。
「ひぃぃぃ……っ!!」
 わけも分からず襲い掛かってくるA感覚の快感に、すっかり萎えてしまっていたペニスが、また力を取り戻していく。
「あー、フリットお兄ちゃん、初めてなのに後ろでこんなに感じちゃうんだぁ。やらしい体なんだね」
「あが……っ!! か……っ!! かは……っ!!」
 そんなデシルの罵りも、もうフリットには届いていない。
 彼のアナルはデシルをしっかりと咥え込み、彼の意思とは関係なく蠕動して奉仕する。
 半分ほど回復したフリットの勃起が、準備不足のまま堪らずに射精した。
「んひぃ……っ!!」
 だがデシルは構わず、自分のペースでがしがしと腰を使い続ける。
「ぁぁ……ぉぉぉ……ぉぉ……っ!!」
 前立腺を容赦なく圧迫され、間を置かずにまた射精してしまう。
 だが、もう萎えかけたまま回復する様子も無く、精液も先端から滲むようにしか出ない。
 さらに抽迭を繰り返すデシルだったが、フリットは弱々しい反応しか見せなくなっている。
「ぁぁ……ぁー……あー……」
「あれ、もう終わりなの? なんだ、つまんないなー」
<> 魔性少年 10/10
◆DYW6d/nzvM <>sage<>2011/11/13(日) 12:03:23.29 ID:53pROhlG0<>  デシルはそのままもうしばらくフリットの尻穴を犯し続け、中に射精してから、ペニスを抜き去った。
 そしてもうほとんど動かなくなってしまったフリットを突き放すと、冷たい目で見下ろして言った。
「フリット・アスノ、期待ハズレだな……。飽きちゃった。もうかえろーっと」
 そしてデシルは脱力して動けないフリットを残したまま、部屋を飛び出していった。


 その後のこと。ハンガーでガンダムを前に思い悩むフリットがいた。
 彼は、デシルのペニスにアナルを犯された時に襲ってきた、謎の感覚のことを思い出していた。
 そして、独りごちる。 
「あの不思議な感覚……あれはいったい……。あれがあれば、もっと強くなれるんだろうか……」
 少年の手には、ユリンにもらったリボン――に包まれた、アナルバイブが握られていた。

 その様子を、物陰からのぞき見ていたエミリーは、悲しげに呟く。
「フリット……。フリットが、どんどん遠くなっていく……」



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 最終戦の後で 1/2<>sage<>2011/11/14(月) 00:15:25.41 ID:czBqHvw50<> 生 プロ野球 4番×監督(ぬるいです)
完全妄想話につきダメな方はスルーお願いします

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

最終戦を勝利で終え、飲みに行こうと騒ぐチームメイト達を後に監督室を訪ねた。
その人はすでにスーツに着替え、荷物を持って部屋を出ようとしていた。
脱いだユニホームを彼は再び着ることはない。
彼の姿を見つめる。本当にスーツの似合う人だと思う。
現役時代は野次も飛ばなかったという端正な面立ちと、野球選手にしては華奢な体は今も変わらない。
「どうしたんだ。こんな所に来て」
彼が不思議そうに自分に言った。
チームは既に来シーズンに向けて動いており、もうこの人を気にかける者はいない。
昔と違い、Aクラス入りが当然となったこのチームで彼は結果を出せなかった。
解任された彼は、全ての責任を引き受け、言い訳ひとつ口にせずチームを去ろうとしていた。
彼だけが悪いわけではない。勝てなかった責任は自分にもあった。
4番の重圧から極度の打撃不振に陥り、守備でも失策を重ねた。
それでも彼は自分を見捨てなかった。どんなに打てなくても、4番を外してでも、周囲の非難を
一心に集めながら、彼は自分を試合に出し続けた。
最初はそれがただ重く、彼を恨んだこともあった。だが、ヒットを打つたびに自分のことのように
喜ぶ彼を見ているうちに、彼の為に打つことが自分の喜びとなり、気が付けばタイトルまで取っていた。
この人がいなくなったら自分はまた元に戻ってしまう。 <> 最終戦の後で 2/2<>sage<>2011/11/14(月) 00:20:02.84 ID:czBqHvw50<> 「後は頼んだぞ」
黙ったまま立ち尽くす自分に彼が言った。
「え……」
「皆を日本シリーズに連れて行ってやってくれ」
「無理ですよ、だって俺は…」
あなたがいないと駄目なんだ。
「出来ると思った」
初めて聞く彼の強い口調だった。
「お前なら出来ると思った」
真っ直ぐに自分を見据える眼差しに、ようやく彼が自分を使い続けた理由が分かった気がした。
「辛い思いもさせたけど、俺は間違ってないから」
きっぱりと言い切ったその姿に、この人が優しいだけの人ではなかったことに気付く。
彼もまたあの栄光の年の戦士の1人なのだ。
「ま、本当は俺がしなきゃいけなかったんだけどな」
そう言って笑った彼は、もう審判の判定に文句も言えないいつもの彼だった。
「最後に飲みにでも行くか?お前の知ってる店……」
そんなことを言う彼の顔はもう監督のそれではなくなりかけていて。
まだ離したくなくて彼を抱き締めた。
頭1つ分低い彼の体は自分の腕にすっぽりと収まった。
「…え……。ち、ちょっと……」
「すみません」
一度だけ。
驚いて固まっている彼の唇にそっと口付けた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

℃アラの姐さん、落ち着いてからでいいので作品待ってます! <> 誕生日 1/2<>sage<>2011/11/14(月) 02:14:19.33 ID:r680ODLx0<> ナマ。豆消防車なバンドの秋田×北海道
秋田の誕生日だったのと北海道の寝る時裸発言に滾ったのでw
北海道視点です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「おめでとう」
自分のベッドに入ってから、隣のベッドにいる相手に言う。
さっきメンバー全員で打上げ中に日付が変わった時、一度みんなで言ったのだが、二人になったところでまた言ってみた。
「ありがと」
それまで仰向けだった体を横にしてこちらに向け、そう返された。
自分は仰向けで顔だけ相手に向けていたけど、その状態で目が合うと照れてしまって、慌てて顔を上に向ける。
視界のほとんどは天井で占められたものの、まだその隅にこちらを見ている相手の姿がわずかに見えて、目が隠れる所まで掛け布団を引き上げた。
少し経つと隣のベッドの上で動く気配がした。
それが止まった時、また相手が姿勢を戻したのだと解釈したが、少し間をおいてそろそろと布団を下げると、ほぼ同時に相手がこちらのベッドの端に座った。
まさかこちらに来るとは思っていなかった上に、顔を出した瞬間に再び目が合ってしまい、慌ててまた潜る。
「入っても、いい?」
いつもより少し低い声だった。
「…いいよ」
とても面と向かっては言えず、顔を出さないまま答える。
こっちの声もいつも話しているのとは違っただろうな、と思う。 <> 誕生日 2/2<>sage<>2011/11/14(月) 02:16:25.39 ID:r680ODLx0<> 布団に潜ったままで、少し体の位置をずらして場所を開ける。
そうしておきながら、やっぱり顔を合わせるのが躊躇われて、顔だけ反対側に向けて更に目も閉じた。
すぐ横に人が入って来るのを感じる。
深く考えずに承諾したものの、こちらは今何も身に着けていないために、腕や脚に感触が直接伝わってきた。
それにくすぐったさと恥ずかしさを感じている間に、完全にベッドに納まった相手が何かもぞもぞし始める。
何をしているのかと思っていると、僅かに布団が持ち上げられ、その隙間に布が入ってきた。
驚いて目を開け、状況を確認する。相手が浴衣の前を開いて、片側をこちらの体の上に掛けていた。
当然ながら、互いの肌が密着している。元々相手の方が体温が高いのだが、今は実際の温度差以上に触れている部分が熱く感じる。
「プレゼント代わりに、今夜はこうやっていさせて?」
耳元で囁かれる。
「抱き枕みたい…」
小さな声で言ったのだが、しっかり聞こえていたようだ。
それまでただ胸の上に添えられていただけだった腕に力が籠る。
「今年の誕生日プレゼント、専用抱き枕もらっちゃった」
そう言って笑っていた。

相手が先に寝たのを確認してから、起こさないように気をつけて今までよりも体をくっつける。
起こさないように、というのは寝ている邪魔をしないようにというより、自分から寄っていく事に気付かれたくないからだった。
そう思ってしまう位には恥ずかしくて、そのせいで今夜は寝られないんじゃないかとも思ったが、次第に心地良さを感じ始める。
そこから記憶が途切れるまでの間は、予想していたよりもずっと短いものだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
もたもたしてる間に日付け変わってしまったor2 <> 忍法帖変更議論中@自治スレ<>sage<>2011/11/14(月) 20:45:57.18 ID:SfSa5Cd/0<> >>219
後編の
気持ちイイことされてる師/匠を…!
いつまででも待つ所存ではありますが
楽しみにしております
<> 難局日誌  余子嶺 記<>sage<>2011/11/15(火) 23:07:14.49 ID:0rDLlhrhP<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 難局日誌  余子嶺 記1/4<>sage<>2011/11/15(火) 23:10:43.62 ID:0rDLlhrhP<> >394で
ちょっとカキコミ失敗しましたが、日曜ナイトのドラマ「難局大陸」より
新聞社 先輩と後輩のお話、エロなしです。


難局日誌 昭和31年○月1日  余個嶺 記

蔵餅さんたちが一命を取り留めてから、宇積先輩は上機嫌だ。
本当に心配してたから。先輩がうれしいと僕もうれしい。
先輩はいつもエネルギッシュで、強くてかっこいい。その記者魂と旺盛な好奇心には
いつも頭が下がる。
・・・・そう、旺盛な好奇心には・・ちょっと迷惑・・・。

先輩は常に何か記事になることを探しているが、生憎こんな閉鎖された空間の
わずか11人しか人間がいない場所でそう大ニュースが転がっているわけではない。
都合、先輩は隊員たちの個室の突撃取材と称していきなり飛び込み、覚め縞さんが
幼い息子さんの描いた絵を手にしてホームシックで泣いている場面を見るわ
若い荒氏山君が自分を慰めているシーンに遭遇し(鍵をかけない荒氏山君も悪いが)、
顰蹙を買うわ、僕が妻へ送る電文(短い中にも気持ちを込めた文を書くのは大変だ)
を覗きにきたり・・・、数々の迷惑行為に及んでいる。
「余個嶺よお、退屈だなあ。」
「そうですか。いいことじゃないですか。ほんの2.3日前まで青ざめた顔してた
じゃないですか。心臓に剣山植えてる先輩が。」僕は笑う。
「だれが剣山だ。俺の繊細な大和心はお前にはわかるまい。」
実際、この一見ガサツを絵に描いたように見えるこの人が、意外や名文筆家である
ことは知れ渡っている。昨年の難局キャンペーンでは大人たちのみならず子供たちの
心までグッと掴んだ名文は今も僕の心に感動を呼び覚ます。
<> 難局日誌  余子嶺 記2/4<>sage<>2011/11/15(火) 23:12:49.44 ID:0rDLlhrhP<> 「おい、余個嶺、今日は通信状況いいんだろ。」
「そうですね。快晴ですし良好です。」
「よし、ソ連の通信傍受しろ。日本に戻って浦島太郎にならないように、ここで
スクープ記事を書くぞ。」
「何言ってるんですか、こんなとこで。僕程度が傍受できるわけないでしょう。」
「よしっよしっ、ここだったら身ルヌーイ基地が割りと近いな。ここでソ連の
機密情報集めるぞ。余個嶺、実は俺は人類で初めて宇宙ロケット打ち上げるのは
ソビエトだと踏んでるんだ。」やる気満々である。
「何、バカなことを。アメリカがいるってのに。それに傍受したってロシア語なんか
解読できませんって。」
「大丈夫大丈夫。俺が訳してやるから。」
・・・そうだった。この人は度ストFスキーが原書で読めるんだった・・・。

「先輩、そんなに暇だったら、那珂里さんの料理手伝ってあげたらどうです。
難局で作れる料理って制限があっていい記事になると思いますよ。」
僕もKGBから受信傍受の疑いで抹殺されるのは避けたい・・。
国には、いとしい妻と生まれたばかりの二人の子供が待っているのだ。
「ああ、それはとっくに試してみたんだけどな。てんぷら油の温度下げようとして
水足したら大ごとになって、それ以来厨房立ち入り禁止になったんだ。」
はた迷惑な文系だ。
「とりあえずここでしか書けない身近な記事を書きましょう。ねっ、国民はそういうのを
望んでるんです。難局での生活とか読者は待ってますよ、きっと。」
「そうかなー。」
「そうです、そうですよ!」とにかく宇積先輩の意識を大スクープから逸らさないと。
「そうか・・・・、うーーん。そういえば生活面で気になることが・・・。」
「何です?先輩、興味を持ったことあるんですか。」とにかく盛りあげよう。
「・・・・余個嶺、お前、弁天さま使ったことあるか?」
「ええーーーーーーーっ??!」
<> 難局日誌  余子嶺 記3/4<>sage<>2011/11/15(火) 23:13:42.23 ID:0rDLlhrhP<> 弁天様とは、別名難局1号、その・・・・等身大の女性の形をした性具である。
「俺、興味はあるんだけどなあ。やっぱりその気にはならないんだ。」
「はあ・・・。」
「お前はその気になるか?」
「今のとこは・・ちょっと。僕には妻がいますし。」
「難局における性欲。これはちょっとした生活レベルの興味を惹くネタだと
思わんか。」
「はい・・・。」まあ、生活レベルかどうかは別として、ソ連よりはマシだ。
「余個嶺、俺と試してみないか?」
「☆+□×%#!!!」僕は奇声を発した。
「この場合、無機物にはそそらないが、有機物にはその気になるかも・・と
考えるんだが。」
僕は有機物扱いですか・・・。
「お前、どうだ?」
「ぼっぼっぼくには、可愛い妻が・・・。あのっあのっ」涙声になる。
「いいじゃないか。男同士だと妊娠しないだろ。実害ないしスッキリするし
名案だと思うんだよな。試してみようや。」
もう、どこをどう突っ込んでいいのかワカラナイ・・・。
「そっそんなの、もっと昔なじみの仲のいい人で試してください〜。ほら、いるでしょ。
蔵餅さんとか、日室さんとか・・・。」もう、僕以外なら誰でもいい。
「日室・・・、下手だと軽蔑されそうだしな・・・。」
そういう問題か。
「蔵餅か・・・・・・・・・・・・・・・・・。」先輩、長考に入りました。
「やっぱ止めとくわ。あいつ、なんだかんだで別に好きな奴がいそうだし。
だから余個嶺、お前さあ・・。」
「那珂里さんっ。那珂里さんならあったかそうですよ。」
神様仏様、僕は地獄に落ちます。だれでもいいから人身御供に捧げます。
「いやあ、俺も選ぶ権利あるしさ。結構面食いなんだよなあ。」
相手にも選ぶ権利があることを考えないのか。
「せっせっ先輩。あの、不名木さんとか、あと、そうっ!荒氏山君。」
「確かに、溜まってそうだな。あいつ。」
荒氏山君、さんざんな言われようです。
「でも、彼、結構男前ですよ。ひげそって髪下ろすとアイドル系!」
「そうか。荒氏山か。そうか、考えてみよう。・・・メモメモ。」
僕は心の中で荒氏山君に米搗きバッタのように頭を下げた。
<> 難局日誌  余子嶺 記4/4<>sage<>2011/11/15(火) 23:16:16.24 ID:0rDLlhrhP<> とにかく、怒涛のやり取りが続く中、突然宇積先輩が笑い出した。
とにもかくにも明るくくったくのない笑顔。
どうやら僕はからかわれたらしい。先輩ひどいっ!
「先輩、スクープならこの前の没んヌー天の苦難の旅なんかどうです。
みんな無事だったんだし、いい記事が書けると思いますよ。先輩の筆ならきっと
甘さに堕ちない迫力ある記事が書けると思います。」
「ああ、あれはパス。」
「何でですか。これこそ難局でしか書けない記事ですよ。生死の瀬戸際で間一髪で
3人を救助できたなんて、感動的な記事になるんじゃないですか。」
「でも、それを記事にすると実行した蔵餅や、それを許した☆野さんについて
あらぬ中傷が出てくる・・・。」先輩は少し遠い目をする。
「先輩・・・。」
「無鉄砲・・・俺は結構好きだ。越冬隊事体が無鉄砲の極みだしな。それに登頂の旅は
結果としては生死がかかったが、かなり綿密に組んだ旅だったと思う。でも世間は
そう見ない。無鉄砲とか隊長失格とか血税の無駄だとか。きっと蔵餅の過去を暴く奴
も出てくる。そうなると越冬隊について無責任な醜聞が世間にバラ巻かれる。」
「先輩・・・。」
「俺は偽善やまやかしは大嫌いだ。嘘は書けない。でも今の日本は醜聞じゃなく
希望を求めてる。蔵餅のためじゃない。蔵餅に5円玉を手渡した子供たちのためだ。」
「・・・・・。」
「没んヌー天登頂の報に俺は泣いた。何よりも支えあって生き抜いた蔵餅たちの
人間力に感動する。極限でも人間は人間であり得ることを文字にしたい。
・・・でも、俺は書かない。」
先輩はニヤリと笑う。「甘ちゃんだな。俺も。」
「なあ、余個嶺、俺はブンヤ失格と思うか。」
「いいえ。」
「余個嶺。」
僕は先輩をまっすぐ見て言う。
「先輩の頭の中にある記事は、今、俺が読みましたから。」
先輩はクスリと笑って僕の肩を叩いた。
「ほら、行くぞ。」
「えっ?どこへ?」
「まだ医務室は記事にしてない。」さすが先輩。どこまでもはた迷惑でかっこいい。
「また出入禁止になったらどうするんです。」僕は笑う。
「二人でかぶれば怖くない。」
「お供しますよ。」僕は、走って付いていく。カメラバッグを抱えて。
<> 難局日誌  余子嶺 記 終了<>sage<>2011/11/15(火) 23:17:32.87 ID:0rDLlhrhP<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お目汚しでした。
あんまり慣れてないので、うまく書き込めてるかどうかドキドキです。
<> 難局日誌 日室さん受難編 1/3<>sage<>2011/11/16(水) 01:59:17.09 ID:JAIhWr1tP<> 続けて、すみません。
「難局大陸」保志野隊長 記
日室さん受難編です。エロなしですが、匂わせ程度に 蔵×日です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

難局日誌  昭和31年△月30日  保志野 記

【没んヌー天から帰ってきた日室はんが峠を越え、やっと昏睡状態から脱け出しました。
この間、自らも弱っている身なのに、日室さんにずっと付きっ切りだった蔵餅はんには
頭が下がりますわ。
日室はんの意識がはっきりして、やっと口が聞けるようになった時は、医務室で歓声が
上がりました。皆して狭い医務室に集まって、日室はんの顔見に我も我もともう。
なんだか皆がひとつになったんやな、としみじみ思いましたわ、】

日室「僕は・・今日は何日なんです・・・?」
皆、歓声「わーーーっ!日室さんがしゃべった!」
日室「皆・・・・いるのか・・。」ちょっと身体を起こす
渓医師「あ、まだ無理してはいけません。」
蔵餅「日室、俺がわかるか?」
日室、擦れた声「わかる・・・。まだ・・生きてたのか。」ムスッ
宇積「言うよな。蔵餅の奴、ずっとお前についてたんだぜ。お前が峠を越したと聞いた
 途端、ぶっ倒れたけどな。」
蔵餅「先輩・・・!」口尖らせる
保志野ニコニコ「ここにいる皆が、日室さんが着いたとたん一丸となって
あっためたり、さすったりしてましたんやで。」
日室、ベッドから身体を起こそうとする。「ありがと・・・う。」←ちょっと素直
覚め縞「いいってことよ。なあ。」
皆「おう。」笑い合う。

<> 難局日誌 日室さん受難編 2/3<>sage<>2011/11/16(水) 02:02:32.56 ID:JAIhWr1tP<> 渓医師「あ、日室君、まだベッドから動かないでくださいね。尿管入ってますから。」
日室「・・・尿・・・管・・・?」
蔵餅「当たり前だろ。何日もずっと寝たきりだったんだから。点滴で生きてたんだぞ。」
日室、うつむく←尿管突っ込まれてる自分の姿を想像するとちょっと恥ずかしい
荒氏山「ああ、いっぱい出てますよ。おしっこ。」
覚め縞「どこだどこだ。おお、もう大丈夫だ。ションベンこんだけ出てりゃな。」
日室、屈辱・・・、ちょっと震えている
余個嶺<覚め縞さん・・・デリカシーなさすぎ・・・。>ハラハラ
宇積「大体よお、日室、お前やせすぎだって。ここじゃある程度脂肪がついてないと
命取りだぞ。貧弱な身体しやがって。」日室の肩をバンと叩く
日室「は・・・い・・・。」ふるふる・・・
余個嶺、ハラハラ(-"-;A<ああ・・・、わかってたけど、先輩もデリカシーない。>
那珂里「これからはたくさん食べてくださいねー。皆で身体温めるのに、一旦服を
脱がせようとしたんですけどねー。これがもう中々大変で。」
日室「脱がせた・・・? 皆で・・・?」←声震えてる
鮒木「あ・・それは・・・もう。」←割とデリカシーがある人
荒氏山「身体が固まってたもんで、服を挟みで切ったんですよね。こう、ジョキジョキと。」
覚め縞、胸を叩く「おうよ。一度すっぽんぽんにしてだな。」
日室、血の気が引く「すっ・・・・・!」←お下品な言葉が出ない
余個嶺・鮒木・戌束「あわわわわわわ」煤i; ̄□ ̄A アセアセ
日室「は・・・はだかに・・?」
覚め縞「何だよ、スッポンポンっつったらスッポンポン、素っ裸のこと
じゃねえか。大倉省さんよ。俺がハサミ入れてやったんだぜ」自慢っw
日室、ガックリと首を落とす<・・・よりによってこの人が・・・>

<> 難局日誌 日室さん受難編 2/3<>sage<>2011/11/16(水) 02:06:27.51 ID:JAIhWr1tP<> 余個嶺<同情します・・・。日室さん・・。>
宇積「天下の大倉省が、こんなに細くっちゃ、外国から日本はまだ戦後かって
疑われるぞ。ははは。」屈託が無い
余個嶺<ああ・・宇積先輩、日室さんの顔色、読んでください・・・泣>
日室、無言ヒクヒクッ
荒氏山「えっ・・もしかして気にしてるんですか?」
戌束<気にしてます・・・てーか、日室さんダメージ受けてます>
鮒木<衆人環視の中で裸にされるなんて、普通の人でもたまらないが・・>
荒氏山「あっ、やっぱり高そうなとっくりのセーターダメにしたこと、気にしてます?
 すいません。あの時はもう必死で・・・。」
戌束<そこじゃないっ。そこじゃないって!>
覚め縞「何だ、大倉省、気分が悪りいのか。真っ青が顔してんぞ。んっ?」
日室「ちょっと・・・気分が・・・。一人に・・・しておいて・・くださ・・。」
蔵餅「尿管つけてるとそんなに苦しいのか。日室。俺も手伝ったんだが、キズでも
 つけたのか?しっかり×××の入り口押さえてつもりだったけどな・・。」心配そう
日室<蔵餅・・・人前で・・・許さん・・・っ!>
保志野「蔵餅はんはなあ、隅から隅まで日室さんの身体タオルで拭いてやってです。
手足から胸からお尻から、日室さんのこと誰にも触らせんとですな。いやあ、感動
しましたわ。」
那珂里「ぼくたちはみんなで見守ることしかできなかったんです。」
日室<何故見守る・・・・“皆で”・・・・>わなわな・・・
渓医師、すまなさそう「いえ・・・私は止めたんですが・・・。力及ばす・・。」

【あれから日室さんは、またしばらく医務室から出られない状態になったんですわ。
何でも心配して横に付きっきりの蔵餅はんにも、ひとっことも口をきかなかったそうです。
やっぱりあのブリザードの中の記憶っちゅうもんは、後々精神的に来るもんだと
いうことをしみじみ感じた次第です。
日室はんが一日も早く早う退院して元気になるのを皆首を長くして待ってますわ。
 保志野 記】
<> 難局日誌 日室さん受難編 終了<>sage<>2011/11/16(水) 02:08:36.59 ID:JAIhWr1tP<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ああああ>>402が3/3で終了でした。重ね重ねすみません。
日室さん、何故かいじめたくなるんですよーーー。 <> 忍法帖変更議論中@自治スレ<>sage<>2011/11/16(水) 02:16:02.29 ID:TARMTmuB0<> >>403
GJ!
萌えをありがとう!! <> 忍法帖変更議論中@自治スレ<>sage<>2011/11/16(水) 10:04:44.55 ID:QhXS9la50<> あそこもとっくりなのを全員に見られんだとしたら
日室はんそら立ち直れませんな <> NEBULA-EchoNight- 代償 1/3<>sage<>2011/11/19(土) 21:32:34.00 ID:ezmNsnow0<> フロムソフトウェアから出てるホラーゲーム
「NEBULA -Echo Night-」の所長→ケネスです。ネタバレ注意!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 何もかも上手くいくと思っていた。これで漸く目的を達成出来るのだと信じきっていた。

 リチャード・オズモンドは虚ろな目で、親友ケネス…を模した、アンドロイドを見つめていた。
 彼はアンドロイド、謂わば機械だ。当然のことながらその体に血は通っていない。
 感情も宿っていないはずなのに、不思議と、死んだケネスがそこにいるように思えた。

 唯一無二の親友だったケネスは、ある日突然、滑落事故で死んでしまった。
 ケネスが手で指し示していた場所には、まるで赤い石が輝いていた。

 酸素不足に喘いでいた月面基地全体に、酸素が巡ったのは、その直後のことだった。

 突然の死を嘆き悲しむ間もなく、リチャードはその赤い石に魅了されてしまった。
 親友が遺してくれた、最後の希望だと、リチャードは赤い石を常に持ち歩いた。
 赤い石に願いを言えば、その願いは簡単に叶った。
 アンドロイドのケネスも、リチャードの願いのもと生まれたものだ。
 容姿も、声も、仕草も、趣味嗜好も全てが同一のものだった。

 ただ一つ、人の手によって作られたということを除いては。

「…どうしたんですか?
 私の顔に、何かついていますか?」
「…」

 首を傾げて問うケネスに、リチャードは黙って首をゆっくりと横に振った。

 赤い石を使い始めて暫く経った頃、施設内には不吉な霧が現れた。
 換気をすれば用意に取り除くことは出来たが、問題はそれだけに留まらなかった。 <> NEBULA-EchoNight- 代償 2/3<>sage<>2011/11/19(土) 21:35:09.60 ID:ezmNsnow0<>  月面基地の建設事業を掲げた本社、ホシオカマテリアルからの連絡が途絶え、食料不足が深刻になっていった。
 作業員達は次第に衰弱し、死んでいった。何故か作業員達の亡霊が襲いかかり、その犠牲者もまた亡霊となった。

 …この施設が本社から既に放棄されていたのだと知ったときには、もう何もかも手遅れだった。
 赤い石の力で自分の食料は確保された。
 周囲の者が皆、死んでいく中で、唯一人、生き延びた。

「…ケネス…」
「はい」

 広い施設に作られた、親友の為のアトリエで、絵の具と筆を操って絵を描く彼の頬に、リチャードはそっと指で触れた。

「…所長?」

 月面基地を任されたとき、真っ先に祝って支援してくれたのは、親友のケネスだった。
 抱擁を交わしながら、共にこの地に降りた日がひどく懐かしい。

「…赤い石は、私にとって、最後の希望なんだ…」

 首を傾げたままのケネスに、リチャードはぽつりぽつりと呟いた。

「お前が遺してくれた、最後の希望…
 私にとって赤い石は、ケネス…お前そのものなんだ…」
「…」

 親友の死を嘆き悲しむ暇など無かった。問題続きの施設をまとめる為に忙しなく動き回っていたからだ。
 しかし、だからといって、悲しくないというのは違う。
 親友を亡くした痛みを癒してくれたのは、彼が遺した赤い石だった。
 多くの犠牲を払い、赤い石に願い続けることで、亡くしたはずの親友の温もりが、そこにあるように感じられた。 <> NEBULA-EchoNight- 代償 3/3<>sage<>2011/11/19(土) 21:37:33.45 ID:ezmNsnow0<>
 …果たして自分は間違っていたのかと、心の底で後悔しながら、リチャードは向かい合うケネスを強く抱き締めた。

 これまでずっと、婚約者であるクラウディアに逢いたいと思い続けていた。

 しかし、今だけは違った。アンドロイドでは無く、生身の親友に逢いたいと願った。

「ケネス…お前に会いたい…」

 温もりの無い無機質なアンドロイドを強く抱き締めながら、リチャードは枯れたはずの涙を零して深く祈った。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

このゲームは難易度高いけど、ストーリーがなかなか良いのでぜひやってみてください!
それでは失礼します!ノシ <> たにずきんちゃん2  1/5<>sage<>2011/11/23(水) 11:39:06.06 ID:pIvTIRv70<> 昨年末特番の大仙石鍋テレビ/ウツケBarノブ特別編
元後輩→元先輩+ウツケ3人衆
半生およびお可まちゃん注意です

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「そろそろ店、閉めちゃおうかなあ」
寂れたバーの片隅で、谷愚痴はため息を付いて時計を見上げた。一人ぼっちの新年を迎えて1時間が経とうとしている。
「俺も行きたかったなあ、ハワイ」
盾ママはともかく、恋人の小重郎子にまで大晦日に置いてけぼりを食らうとは。
こうなったらお一人様の女性客と思いっきり羽目を外してやろうと目論んだが、
置手紙一つ(と紋付袴の衣装)で任されたこの場末のバーにやって来たのは、一癖も二癖もある客ばかりだった。
ホステス同伴の戦国武将だの、一つのパフェをつつきあうヤンキーだの、首にビラビラが付いた4人組アイドルだの。
手伝いにと呼びつけた元後輩のケンタは、時代遅れの衣装を纏ったアイドルになっていた。
年越しライブがあるからとケンタが0時前に店を飛び出してから客足は途絶えたままだ。
「あー今頃あの二人パイナップルとか食べてんのかなあ」
「ちょりーっす」
チャラい挨拶に驚いて入り口を見ると、ドアの隙間からにやけた顔が覗いていた。
「ケンタ?!お前、カウントダウンライブは?」
「終わったんで、急いで戻ってきちゃいましたー」
ギラギラしたピンクの衣装のまま満面の笑みでピストルの形状にした両手を谷愚痴に突き出した。
「ライブ短くない?って言うか打ち上げとかないわけ?」
「たにっち先輩に届けてもらった槍持って、ちゃんと歌って踊ってきましたよー、ってことでアケオメコトヨロー」
「こ、ことよろー」
手を掲げてくるケンタと、仕方なくカウンター越しにハイタッチする。
残念ながら女性客ではなかったが、一人じゃないのはちょっと、いやかなり嬉しい。 <> たにずきんちゃん2  2/5<>sage<>2011/11/23(水) 11:40:12.39 ID:pIvTIRv70<> 「酒飲む?」
「え、いいんすか」
「新年だしさ、特別に1杯だけな」
「マジっすか、じゃドンペリで」
「…お前な」
「うそっす、なんでもいいです」
片付けてしまった氷を取りに奥のキッチンへ向かう。
「もうウサギの被り物脱いじゃったんすね…可愛かったのに」
「え?被り物がなんて?」
戻った谷愚痴がグラスにウイスキーを注ぎ終わるのを待ってケンタが口を開いた。
「カバみたいだったのに」
「なんでカバだよ!耳長かっただろ!どうみてもウサギだったし!」
カウンターに置いた水割りを引っ込めようとしたが、タッチの差でケンタがグラスを掠め取った。
「冗談っすよ、いただきまーす」
美味そうにグラスを傾けるケンタをなんとも言えない気持ちで眺める。
今は行方知れずとなったノブママに、このバーでこの後輩をどうしたらいいか相談したのはいつだったか。
ぐだぐだだったあのケンタが真剣に自らの信念を語る日が来るなんて。
「なんかさー、俺感動しちゃったよ、4人組に言ったあの”一度男が自分の夢掴むって決めたんなら”ってくだり」
「4人組?あー天然健康商戦なんとかさん」
谷愚痴は思わずドアを見たが、キラキラした4人組が再び自己紹介のために現れる気配はなかった。
「あいつらもう戻ってこないっすよ、きっと」
「だな」
カウンターから出てケンタの隣へ座る。
「そういえばたにっち先輩、随分ご乱心でしたけど落ち着いたんですか」
「何が?」 <> たにずきんちゃん2  3/5<>sage<>2011/11/23(水) 11:41:17.58 ID:pIvTIRv70<> 「そこのマネキンに濃厚なキッスかましてたじゃないっすか」
ケンタがカウンターの中に仁王立つ盾ママの着物を着たマネキンを指差す。
「何時間前の話だよ…それもう忘れてくんない?」
「忘れられるわけないっすよ、あんなキモチワルーイ放送事故レベルの画」
「またそうやって傷つくことを・・・」
「マネキンとするキスより俺との方がいいと思いますよ」
「そりゃあまあそう…って、え?」
いきなり腕を引かれ、椅子から落ちかけてケンタの胸に倒れこんでしまった。
衣装の胸に付いた紅白の羽に顔を押し付けられて身動きできなくなる。
「ぶふっ、羽が口に入るっ、スパンコールがちくちくする!」
「俺、メンバーに馴染めなくて、ちょっと壊れかけたこともあったんです」
「うん、わかったから。ちょっと…」
「けど、こんなちんちくりんなたにっち先輩だって元男な彼女との人生を選んで頑張ってるんだから、俺も頑張らなくちゃって」
「ちんちくりんってなんだよ!」
両肩を掴まれて体を起こされ眼鏡を外された。視界が滲んでぼやけてしまった。
「今夜はどうしてもたにっち先輩に会いたくて、打ち上げ断って戻ってきたんです」
ケンタがどんな顔をしているのかよく見えない。
「俺、たにっち先輩のこと」
顔に掛かるのはケンタの息なのか?
「ちょっ、何す」

ばーん!と背後でドアが開いた。

「たにやーん!あけおめー!」
「寂しかったでしょー!って、てめえ人の店で何やってんだこのメガネっ!」
盾ママのドスの利いた怒声に谷愚痴は竦みあがった。 <> たにずきんちゃん2  4/5<>sage<>2011/11/23(水) 11:42:52.92 ID:pIvTIRv70<> 慌ててケンタから取り戻した眼鏡を掛け直すと、首からレイを下げた小重郎子が肩を震わせていた。
「ひどい…たにやん…。盾ママっ、あたしの刀どこ?ホトトギスちょんぎってやる!」
「ちがっ、誤解だって!」
「一人じゃたにやんがかわいそうって小重郎子ちゃんが駄々こねるから仕方なく戻ってきたのに、はい刀っ」
「たにやんの浮気者〜!!」
「わあああっ」
「ちょっと、あんたたち落ち着きなさいよみっともない」
ケンタを押し退けトイレに逃げ込もうとしていた谷愚痴は、聞き覚えのある声にはっとして振り返った。
「ケンタくんよね?」
気だるく柔らかな懐かしい声の主はにっこりと微笑んだ。
i潔く刈り上げたボブスタイルに特徴のあるヒゲ。トレードマークの赤いマント。
「ええーっ!!のぶ、のぶっ」
「ノブママおひさしぶりっす、ケンタっす」
「ノブママ、このダサい人知ってるの?」
盾ママが驚いてノブママを見る。
「前に会ったことあるのよ。たにやんの後輩のケンタ君」
「後輩?」
「元後輩っす、いまは新しい業界でがんばってます」
「そう、よかったわ。とうとう自分の道を見つけたのね」
「うっす。…つーか、たにっち先輩、この小重郎子さん?元って言うか今も完全に男じゃないですか」
よりによって旅行帰りの小重郎子はジーパンにアロハシャツにヒゲ面だった。
谷愚痴だって立派なホトトギスが付いたままだったのには驚いた。
「えーっと、そのー、いつもはエビちゃんみたいな格好なんだよ、ヒゲはあるんだけどさ」
「俺ならヒゲないっすよ」
「え?そういう問題?」
「きーっ!ちょっとあんた!」 <> たにずきんちゃん2  5/5<>sage<>2011/11/23(水) 11:44:50.64 ID:pIvTIRv70<> 「小重郎子ちゃん落ち着いて」
「冗談っす、じゃまた来まーす」
今度は忘れずに槍を持ち、ドアの所で谷愚痴に向き直った。
「あ、たにっち先輩、うまいものご馳走してくれる話、俺待ってますから」
「お、おう」
「それと、もう後輩でもなんでもない俺に、わ・ざ・わ・ざ電話くれて嬉しかったっす!」
「お前…!話がややこしくなることを」
「ちょりーっす!」
くしゃくしゃの笑顔でケンタが出て行った。
「もーっ、たにやんのばかばかばかっ」
「ぐえっ」
泣きだした小重郎子に抱きすくめられ、肋骨がぎしぎしと音を立てる。
「し、死んじゃう…じゃ、じゃあもう置いてかないって約束してよ」
苦し紛れに発した言葉が小重郎子の腕を緩めた。目を見開いて谷愚痴を見つめている。
「今度置いてったらどうなるか知らないぜ?」
小重郎子が再び抱きついてきた。
「二度と離れないんだからねっ」
「あはは、たにやんの癖に生意気言うわね」
盾ママが笑う。ノブママが頷いて目を細めた。
「驚いたわ、しばらく会わないうちにたにやんも大人になったわねえ」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

祝・特番決定!MTの未公開映像にwktk!
年末が待ちどおしいです。 <> いまはむかし(1/8)<>sage<>2011/11/23(水) 19:14:38.68 ID:rM5sBP5A0<> 某巨大特撮ヒーロー(獅子兄弟、獅子→←明日虎)                         
※明日虎がショタ化しています。
 あと、昔からあの容姿だったという設定でお付き合い下さい…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「…おい、何だそれ?」
こちらが持て余す程元気な弟子が一瞬で凍りつく。
小さな頭の角、両腕のリング、左足に残った足枷。
それはよく見慣れたもののはずだった。
その持ち主が明らかに子供であることを除けば。

「なあお前、名前は…」
ぽつり、と囁くように子供は答えた。
遠い昔によく聞いた声。紛れもない、俺の弟だ。 <> いまはむかし(2/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:15:15.88 ID:rM5sBP5A0<> 不穏な動きがあるとの通報を受け、弟は新人隊員と調査に向かった。
その結果悪さを働いていた連中は一網打尽にされ、最後のあがきで、横流ししていた武器で新人を狙ってきたらしい。
それを庇い、何故か弟はこんな姿になってしまったそうだ。

弟子は一旦は驚いたが、すぐ落ち着きを取り戻したようだ。
「まぁ、なっちまったもんはしょうがねえか。
明日虎、ひとまず俺のことは零さん…いややっぱり零兄さんと呼べ。
まず、俺から優しくされた事は、どんな小さな事でもすぐこの人に報告しろ。
それから俺が…いや人が傷めつけられるのを見たら、もっと偉そうな人に助けてもらうんだぞ」
「おい、零!調子に乗るんじゃない!」
「何だよ、相変わらず冗談通じねえな」
「零兄さん。兄さんはぼくより大人なのに、どうしてそんならんぼうな言い方をするの?早く直した方がいいと思うよ」
「…っ…!」 <> いまはむかし(3/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:17:05.96 ID:rM5sBP5A0<> そんな事があったが結局弟と弟子は打ち解けたらしく、立ち寄る度に遊んだり、組み手をしたりといった光景を見た。
俺はといえば、忙しくて、中々二人のところには顔を出せなかった。
いや、本当は忙しさなんて口実だった。俺は意識して、なるべく二人に、弟に会わないようにしていたのだ。

ある日、事前に連絡も入れず、弟子が俺を訪ねてきた。
訪ねてきたというより、とうとう怒鳴り込まれたという方が正しかった。
「おい獅子!あんた明日虎に嘘ついただろ!」
「…」
「適当にごまかして…大体、何で自分の事教えなかったんだよ。何も言わないけど、あいつ、あんたの事気にしてるぞ」
「…すまん」
「何だよ、あんたらしくもねえな。…とにかく会ってやれよ。ごまかされてるなって、ガキでも結構分かるもんだ」
<> いまはむかし(4/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:35:01.83 ID:rM5sBP5A0<> 子供になった弟を初めて見た時、あいつは身を固くして座っていた。
周りは慌ただしく働く大人ばかり。そんな時現れた同族の男に飛びつくように、こちらへやってきた。
『どうしてぼくこんなところにいるの?あなた、名前は…?』
俺は答えられなかった。あれから何があったのか。
故郷が滅ぼされ、弟は囚われ。そのどちらからも俺は弟を守れなかった事。
『お願いです、なんでもいいから教えてください。兄さんはだいじょうぶ?』
その声も表情も、記憶にあるものそのままで。
それだけに、左足にぶら下がっている鎖が、いつも以上に重々しく見えた。
結局俺は適当な嘘をついて、俺自身の事は何も話さず、そのまま弟を連れ帰った。

弟子を持つ立場になりながら、俺は今でも師に教えを受けていた頃のままだ。
自分に対する甘さを捨て切れていないところも、あの時の弟に何も話してやれなかった弱さも。
<> いまはむかし(5/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:41:53.17 ID:rM5sBP5A0<> 弟子に何も言い返せない。顔を合わせれば生意気な事を言い、叱り飛ばす。
初めて弟子と出会った険悪なあの時も、こんなに黙っていたことはない気がする。
そう言えばあの時も弟は、何を言うでもなく静かに俺達を見ていた。
あいつはいつも何を思っているのだろう。あまりに近すぎて、かえって知らない事が多すぎる。
そんな事を考えていると、弟子が口を開いた。
「…あ〜あんたも、こういうところがあるんだな」
「…どういう意味だ」
「人の事しごいたり、傷めつけたり、鬼みたいなあんたでも、こんな風に迷うことがある。意外だな」
「…そうだな」
「とにかく会ってやれよ。とりあえず家族がいるってだけで、子供は結構安心出来るもんだ」
目つきの悪さも態度の大きさもそれ程変わっていないはずだが。
そう言ってすぐそっぽを向いた弟子は、初めて会った時とどこかが確かに違っている。
<> いまはむかし(6/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:45:27.71 ID:rM5sBP5A0<> 「…それにまあ、母が忙しいから子供のまま預かる事になったんだ。帰ってくればすぐに片付くだろ」
「…お前」
「何だよ?」
「…お前という奴は!」
「うわっいきなり抱きつくな!?気持ちわりぃ!おい、止めろ!離せ!」
その時ちょうど入室してきた女子隊員が何も言わずに出ていった。
そしてざわめきの後、皆が部屋に押しかけてきた…などのトラブルもあったが、とにかくそういう訳で俺は改めてあいつに、いや弟に会いに行く事にしたのだった。

文字通り飛んで駆けつける。
若い男女が肩を寄せ合って歩き、親子連れが遊んでいる広場でただ一人。
あいつはぼんやりと空を見上げていた。
『僕らの星に比べて、ここは何もかも少し眩しすぎるんだよ』
そういえばある時、そんな事を言っていたのを思い出す。
<> いまはむかし(7/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:51:39.39 ID:rM5sBP5A0<> 「明日虎」
思ったように声が出ない。いつもはもっと大きな声で叫ぶことも出来るのに。
「あ、おじさん。どうしたの?」
「…おじさんじゃない」
「ぼくからしたらおじさんだもん」
「…お前なぁ」
「それにぼく、おじさんの名前、知らないし」
「…すまなかった」
「ふふふ」
咎めるでもなく、縋るでもなく、ただじっとこちらを見ている。
その顔は確かに幼くなっているのに、俺は何故か子供の頃ではなく、
ごく最近の弟を――俺が弟子を指導しているのを、何も言わず見ていた時の顔を思い出した。
どこか寂しそうな、そして微笑ましいものを見ているような。
<> いまはむかし(8/8)<>sage<>2011/11/23(水) 20:59:56.94 ID:rM5sBP5A0<> 俺と弟はこの世にたった二人きりの兄弟だ。それでもいつも一緒にいる訳ではない。
それでも。
どんなに離れていても、会う事がなくても。俺と弟は、この世にたった二人の兄弟なんだ。
ひとまず今の俺には、名乗るだけで精一杯だった。あいつは一瞬何とも言えない顔をこちらに向けて、すぐに俯いてしまった。
「…ばか」
小さな声がして我に返った。片手に小さな柔らかいものが触れている。
しっかりと、両手で包み込むような握手。
「兄さんのばか」
ふふふ、と笑い声がした。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
母が多忙で治療にかける時間がなく、獅子零が預かる事になった…という事で許して下さい。
いい兄さんの日記念…的な。獅子兄弟はかわいすぎる。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/23(水) 21:24:34.94 ID:N43ZSMUVO<> >>389
禿げた…!萌えをありがとうございました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/24(木) 03:45:35.00 ID:l1UDKMmTO<> >>409
まさかのこの2人!
御馳走様でした、ものすごく萌えました <> セカイノハテ 1/3<>sage<>2011/11/24(木) 16:08:50.72 ID:1HLq5koj0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「難局大陸」蔵×日 キス止め。5、6話を見て思わず。

夜中に上から抑え込まれ、頬を舐められた。
ザラリと生温かい感触にさすがに目が覚め、驚き、しかし自分の上に乗っているものの正体がわかると一気に脱力する。そして、
「一体何をやらせてるんだ。」
そう非難の声を上げれば、おもむろに部屋の明かりをつけながら蔵持が「なんだ、もうわかったのか」と部屋の隅から明るい笑い声を立ててきた。


南極の地で遭難した。
磁場が狂った地では方位磁針も使えず、気力と体力を奪うブリザードの中で食料も尽きかけ死を覚悟した。
そんな自分達を救ってくれたのは助けを求める為に鎖から放たれた三匹の犬達だった。
そしてその中でもリーダー格であった力が、今、日室の上に乗っている。
「何しに来た。」
遭難中に負った足の凍傷の為、基地について速攻医務室の世話になり、そのまま一晩を過ごす事になった自分の顔を舐め続ける力の頭を撫でながら
声だけは冷たく言い放つ。
しかしそれにも蔵持はいつもの通り堪える様子も無く、ゆっくりとベッドの上に横たわる自分に近づいてくる。
「いや、医務室で一晩ってする事無くて暇かと思ってな。力が見舞いに行きたいって言うのに付き合わせてもらった。」
犬をダシにする言い草でベッドの足に腰を下ろし、こちらに視線を向けてくる。
柔らかく黒目がちな、そんな瞳がしかし何故か直視できなくて日室はこの時あからさまに顔を横に背けた。
「馬鹿な事を。」
「足、大丈夫か?」
「大丈夫じゃ無い。痛い。しばらくは動かせないし、完全に元に戻るかもわからない。」
「そうか…」
「でも……生きている。」
そう生きている。また生き残った。だから、
「もう謝るな。」 <> セカイノハテ 2/3<>sage<>2011/11/24(木) 16:11:07.77 ID:1HLq5koj0<> なにか言いたげな蔵持に先んじて日室は告げる。
それに蔵持がハッとした表情を向けてくるのが気配でわかったが、それもけして見ない。
ただ大学の頃からもう十数年、自分の中に溜まり続けていた言葉だけを自分勝手に吐き出した。
「俺は以前も今回も自分が原因で死にかけた。以前に至ってはそのせいで他人が死んだ。しかしその罪を背負わされたのはお前だけだった。
俺は怪我のせいで加害者ではなく被害者の扱いを受けた。誰も俺を責めなかった。その分、俺の罪の意識はどこにも行き場が無くなった。」
「…………」
「おまえにぶつけるしかやり場が無くなったんだ。」
「…別にいいよ。」
「お前は良くても俺はもうごめんだ。あんな八つ当たりで後味の悪い思いを何年も引きずるのは御免をこうむる。だから、」
少しだけ息を吸い、一気に言い放つ。
「今度の事の責任は自分自身で負う。おまえなんかに渡してたまるか。だから……もう謝らなくていい。」
言い切った、それに対する蔵持の反応はしばらく無かった。それでも、
「おまえ……どんだけ上からよ。」
やがて、噴き出すような笑いと共に告げられた言葉に、瞬間カッとなる感情がある。だから、
「うるさい!」
わずかに大きくなった声で鋭くそう叫べば、それに腹の上に乗っていた力が驚いた様にクウーンと鳴いて、再び頬を舐めてきた。
その様子を見ながら蔵持が尚も笑い続ける。
「ああ、大丈夫だ、力。こいつは別に怒ってる訳じゃなくてテレてるだけだから。」
「誰が照れてっ!」
「おまえだよ。ったく、そんな事言われたらこっちも生きてる幸せもっと実感したくなるじゃねーか。」
「なに?」
思わず口から出た問いにしかし蔵持は答えず、ただ自分の上に乗っていた力を「ちょっと変わってくれ」と言いながら下に下ろすと、
代わりに彼自身が自分の上にのしかかってきた。
「…っ、何の真似だ?!」
「ん?あぁ、ちょっとキスしたいなと思って。」
「キスゥ?!」 <> セカイノハテ 3/3<>sage<>2011/11/24(木) 16:13:33.42 ID:1HLq5koj0<> 驚きと呆れで思わず声が裏返る。しかし続けて罵倒する間を与えずに、倉持はこの時かすめるような軽さで自分の唇に己のそれを重ねてきた。
すぐに離れる。その瞬間にフフッと鼻にかかった笑みが洩らされた。
「まぁ…いいじゃん。ちょっとだけだから怒るな。」
悪気などまるで無いような、そんな態度にたまらず眉間に皺が寄る。
でもこの余裕の相手に怒っては、そこですでに負けな気がして。
「…キスなんて大した事じゃない。」
負け惜しみにならないよう何でもない事のように言ってやれば、それに蔵持はオッと面白げな興味の色をその表情に浮かべてきた。そして、
「そうだよな。キスなんて欧米じゃ普通の事だし。」
「挨拶みたいなものだ。」
「だな。だから…もう一回いいか。」
返事はしなかった。それが返事になった。
再度重ねられる唇。今度は深く長く。
ただ欲望よりは体温を互いに教え合うような柔らかな触れ方は、自分が知っているキスとは何もかもが違う気がした。
そしてその不思議さをまるで読みとったかのように、倉持が唇の隙間に囁いてくる。
「ここは欧米でも無いから……」
あぁ、そうか。それもそうだ。
だから奇妙な納得と共に、自分の唇もキスの合間に小さな呟きを零す。
「ここは…世界の果てだ…」
告げた言葉に自分の上で蔵持が笑った。
久しぶりに見る、この男のこんなに近くの笑顔。
それが自分達がひどく遠くまで来た証しのように、この時日室には思えた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
力は賢い子。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/24(木) 19:39:24.84 ID:KESEFAjA0<> すみません、質問させてください。
現在どのくらいの忍法帖レベルがあれば投下可能でしょうか?
以前は3回までならほぼ全員書き込め、支援があればまた数回という感じだったと思います。
レベル40でも4回までしか書き込めないと以前伺いましたが
4回以上の連投ができている方は●持ちさんでしょうか? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/24(木) 20:30:19.79 ID:ns+jBjfk0<> >>424
GJ!!!力もGJwwww
ツンデレ可愛いよツンデレ!
ツンデレの扱い巧い蔵持がかっこよす <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/25(金) 00:47:51.78 ID:4cgeKKnSP<> >>424
ス・テ・キ!
蔵餅、余裕の大人だなあ。
カッコイイ!
なんであの二人はあんなにお似合いなんだろ。 <>
忍法帖【Lv=40,xxxPT】 <>sage<>2011/11/26(土) 01:12:05.48 ID:ZrD1bhfs0<> >>427
自分は●餅じゃないのでそっちの事はよくわからないけど
通常だとレベル8以上はないと苦しいかと

自分はレベル40だけど、前に投下した時は4回目で規制にひっかかって焦ったよ

現状では、長文投下の時は無理せず
避難所の投下代行にお願いするのが良いと思う <>
忍法帖【Lv=4,xxxP】 <>sage<>2011/11/26(土) 19:48:06.44 ID:nZoTdFFL0<> >>430
どうもありがとうございます。
書き込みに対するレベル8〜40の違いがよくわからなかったのですが、
8以上は文字数は一緒で、あとは投下間隔時間の違いくらいでしょうか。

それにしても3回までしか保証無しはきついorz
テンプレ>>2の内容も少し変更が必要かもしれませんね。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/26(土) 23:52:25.45 ID:s7FTJsKg0<> SS書きに三回制限はマジで辛いよねw
こういう規制が有るたびに、2ちゃんの技術屋さんの総力を結集すれば
荒らす人だけ上手く規制するツールが出来そうな気がするといつも思うw <> 妖神 1/3<>sage<>2011/11/28(月) 22:42:55.67 ID:YKslwLaS0<> 前から萌えてたんだけど>>239さんので滾ったので 束原僕伝 従者×若様

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

鍛え抜かれた裸身が闇の中査問の下でしなやかに反り返る。
着物の上からは分からずとも、当代一の名を欲しいままにしているのだ。
こうして肌を合わせるようになって分かった事だが、
若は査問の多少の攻めぐらいなら易々と受け入れてしまう。
「私が血に酔わぬよう今宵は見ていてくれないか」
斬り合いのあった夜、若は時々そういって査問を自室に呼びよせるようになった。

(若は色を知って変わっただろうか…あるいは、私は若を変える事ができたのだろうか)
切ない衝動のままに体を突き動かしながら査問は思う。
うっすらと汗を滲ませながら自ら感じていることを隠そうともせず貪欲に快楽を追う若の姿は、
それでいて尚、普段剣を振っている時と同じように、ただ自然に身を任せているだけだとでもいうように
どこか清らかで、まるで自分と肌を合わせている事が色事でもなんでもないように思えてくる。
それでいて、時折催促するように査問を見返すその細めた眼には
査問をはっとさせるような色香が漂っているようにも思え、
(確かに何かは変わられた)とそんな気もしないでもない。 <> 妖神 2/3<>sage<>2011/11/28(月) 22:43:34.13 ID:YKslwLaS0<> いよいよ切なく切迫する若の呼吸に合わせるように、前に手を回し、
ゆるやかに刺激していたその手を吐精を促すように動きを変えると、
若は査問の腕の中でびくびくと痙攣しながらやがて果てた。
若が十分に落ち着いた頃を見計らって、査問は未だ堅いままの己の下半身を
若の体を傷つけぬよう気遣いながら、そっと離した。
息を荒げて横たわっていた若が、そんな査問をふと見やり、
「どうした、お前はいかぬでも良いのか」と聞いた。

「私は良いのです。」と査問は微笑む。
私と若との間にあるのはやはり、色ではないと査問は思う。
若には色恋などという俗世の感情は分かるまい。
だから互いに情を交わし合う必要などありはしない。
ただの血の興奮を冷ますためだけの本能的な雄の行為、それで良いのだ。

だがそんな査問の思いを知らぬげに、若は身を起こすと査問のそこについと口を寄せ、
躊躇うことなく口に含んだ。
「若…何をなさいます!」 <> 妖神 3/3<>sage<>2011/11/28(月) 22:44:02.52 ID:YKslwLaS0<> 思いも寄らぬ行為に査問は激しく動揺し、若の体を引き離そうとしたが、
武芸の上で1枚も2枚も上手な若に査問が叶うわけもなく、
又、査問が若の意志に反する事など所詮出来もしない。
「お前は私の色指南役なのであろう…ならば口技もきちんと教えてくれねば」
からかうような目つきで、若は狼狽する査問の顔を下から見上げる。
その妖艶な女のような目つきに、査問はくらくらと目眩のするような思いに囚われた。

(これは…私の知っているあの若なのか。私は若に何を教えてしまったのか)
惑乱する思いの中で、査問はたちまち吐精してしまう。
「…早いな、査問」からかうように査問の雄を弄びながら、若はまるで無邪気な顔をして微笑んだ。
なぜだか査問は、急に泣き出したいような衝動にかられ、その男らしい顔を闇の中でくしゃりと歪ませた。
「どうしたのだ査問…私のしたことはいけなかったのか?」
たちまち若が、心配そうに査問を覗き込む。
その顔は幼い頃から査問の知るものと何一つ変わらないように見えた。
「いいえ…若、なんでもないのです…なんでも…」

二人の旅が終わり、故郷に戻るまで、もうさほどの時間も残されてはいなかった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/11/28(月) 23:31:16.22 ID:AmP/K4IIP<> >>433
わーーい。タイトルの通り、若ったら妖神ですわ。
キュートで小悪魔で妖婦のようで、そのくせ清らかさも同居してて
最高です。また書いてくださいっ! <> 某ローディー×某師/匠 1/6
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/01(木) 00:41:03.16 ID:ik1Z5tiL0<> 某ローディー×某師/匠
>>219-221の続きです。※性描写あり注意※
名前を出さないように師/匠、キミ、あいつ等になっています。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

どこをどう走って師/匠の家まで来たのか覚えていない。
「鍵ください。」
「…。」
師/匠がポケットから鍵を取り出し俺に差し出す。
ドアを開け、師/匠の背中に手を添え中へ入るよう促す。
鍵は前に居る師/匠を見ながら後ろ手に閉めた。
靴を脱いで一段高くなっている廊下に上った師/匠が振り返る。
「…あのね、『全部冗談です』って言ったら、聞いてくれる?」
「もちろん聞きません。」
「A ROR…」
そう言うとスタスタと行ってしまった。
今更遅いんです。
師/匠を追って俺も部屋へ向かう。
部屋へ入ると、師/匠が腕を組んで立っていた。
「…で?」
やや顔を上げ、冷たい目で一瞥してきた。威嚇したって無駄です。
「はい、じゃあ。」
肩に手をかける。師/匠の身体がわずかに強張った。
逃げられないようにすかさず強引に抱き寄せる。
ここへ来るまでの間怒りに任せてずっと考えていた。
師/匠をどうやって気持ちよくするか。後ろに本人が居るから想像もし易かった。
俺にできるだろうかとか、そういう次元はとうに超えていた。 <> 某ローディー×某師/匠 2/6
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/01(木) 00:42:02.05 ID:ik1Z5tiL0<> 「離しなさい。」
「嫌です。」
もう言う事を聞くつもりは無いんです。
特に抵抗しない師/匠にまた怒りが湧いてきた。なんなんだもう。本当に誰でもいいのか。
片手でシャツの上から胸をさする。師/匠はインナーを着ないから、こういう事をすれば、必ず。
ハッと息を飲む声が聞こえて師/匠の身体が揺れた。
手を動かしながら一層強く抱きしめる。
徐々に形を現してきたそれに触れる。
「キミねぇ…私にこういう事してどうすんの?」
「気持ちイイ事ってこういう事ですよね。」
「こういう意味じゃないんですけど。」
「じゃあどういう意味ですか。」
「マッサージとかぁ、」
嘘ばっかり。
軽くこねると、師/匠の身体がビクンと揺れた。
「あいつを選んだ時点でこうしてほしかったとしか思えません。」
「違います。」
「じゃあもっと気持ちイイ事ですか?」
「キミともあろう人がわからないんですか?」
ええ、わかりません。
シャツの中に手を入れ、直接乳首を弄る。
師/匠の息がわずかに上がる。
軽くはじくと、鼻にかかった溜息が聞こえた。
先端を指の腹でくすぐるように擦る。
そのまま弄り続けていると、師/匠の身体から徐々に力が抜けてきた。
少し開いた唇に口づける。
舌を入れても乳首をいじられたままの師/匠の舌は全く応えない。
息をし辛い、と顔をそむけようとするから
キュッと乳首を摘むと「んぅっ」という声が漏れた。
師/匠もこういう声出すんだ。 <> 某ローディー×某師/匠 3/6
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/01(木) 00:43:24.31 ID:ik1Z5tiL0<> こんなんじゃ駄目だ。全然足りない。
右手をもっと気持ちよくなれる部分に伸ばす。
「あ…そんな所は許すつもり無いんですけど。」
「そうは思えません。」
もう一度乳首をキュッと摘むとビクッと揺れた。
片手でズボンのボタンを外しジッパーを降ろす。
「だからー、キミともあろう人が…」
ここまで来ても師/匠は抵抗しない。なんなんだ本当。
ズボンと下着は足元に落とし、そのまま後ろから抱きかかえる形で壁を背に座り込む。
人差し指で形をなぞると口では不平不満を言ってくる。
「俺だってこんな事するつもりなかったですよ。」
「じゃあやめなさい。」
反して手の中のそれは徐々に反応を示す。
「足もっと開いて下さい。」
言う事はもちろん聞かないから、言いながら片足の膝を掴んで開かせる。
「キミはヒドイ人ですね。私にこんな事をして。」
師/匠こそ。俺を悪者にして自分は被害者ぶる。
5本の指を上下に行き来させる。
少し反応のあった所を重点的にくすぐると、師/匠の反応が顕著に表れた。
手のひらいっぱいに包みこみ、そこを擦り上げるように扱く。
しばらくすると、弱々しい声が聞こえてきた。
「…ぁ………」
駄目だ。まだ全然駄目だ、これじゃ足りない。
もっともっと気持ちよくしないと。 <> 某ローディー×某師/匠 4/6
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/01(木) 00:46:04.84 ID:ZWGgU0o/O<> 手が止まった事に不満なのか、顔を上げて睨んできた。
「続きはちゃんとしますから、ちょっと待っててください。」
抱きかかえていた師/匠をゆっくり寝かせ、上着をかけた。ものすごい睨んでくる。
キッチンへ行き、目的の物を持って部屋へ戻る。
俺が手に持っている物を見て師/匠が初めて不安そうな顔をした。
「痛い事するつもり?」
手にはエクストラバージンオリーブオイル。潤滑油の変わりだ。
「そんな事しませんよ。」
なんだろう、少しだけスカッとした。
再び後ろから師/匠を抱きしめ、自分へ引き寄せる。
オリーブオイルをたっぷり指につけ、右手は前に、左手は股の間から後ろに伸ばす。
師/匠が俺の服の裾を掴む。
「もうキミを怒らせるような事は言いませんから、これ以上の事はやめてくれませんか」
あれ、初めての本気の抵抗かもしれない。
「指だけです。痛くしませんから。」
返事は無かった。
入口をしっかりヌルヌルにしてから、中指でゆっくりと押し入る。
俺の服が引っ張られるのを感じる。怖いのかな。…どうせ慣れてるんだろうとか、ちょっと思ってたんだけど。
前にもヌルヌルの刺激を与えて力を抜かせる。
全て入れきった所で中をさぐる。第一関節を曲げたところとかよく言うけど。
師/匠の息がだんだん荒くなっているのがわかる。
「んんっ」
突然師/匠の背中が引きつり、俺の服がグンと引っ張られた。
「ここですか?…こっち?」
師/匠は答えてくれない。ただ荒い息を繰り返しジッと俺の服に掴まっている。
ちょっとずつ指をずらし壁をさぐる。
反応を見て、だんだん場所が分かってきた。
ここだ。やや反応のあった場所をコリコリ擦ると、弾かれたようにビクンと揺れた。
「ああっ」
見つけた。 <> 某ローディー×某師/匠 5/6
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/01(木) 00:47:40.01 ID:ZWGgU0o/O<> 逃げる腰を執拗に追う。
前への扱きも再開すれば、逃げ場を失った師/匠が俺の腿をポカポカと叩いてきた。
「ハぁ…ごめんなさい…っやめてください」
「師匠が気持ちイイ事してって言ったからしてるだけですよ。」
「ぁ………お願いですから、その事は、もう忘れて下さい…」
服を掴んだかと思えば、またすぐに叩かれる。
絶対わかってやってる。ずるい。
この人はどうしようもなく人の嗜虐心を煽ってくる。悔しいくらいに。
後ろは一定のリズムでコリコリ擦り、前は扱く速度を上げていよいよ師/匠を追い詰める。
「あぁー…あぁー…」
目をギューッと瞑って悶えている顔を見ながら指を動かす。
腿が引き攣り、背中が弓なりに反る。手の中の物の脈打つ間隔も短くなってきた。
師/匠の手がソワソワと動いている。
「イきますか?我慢しないでください。」
「ヤだ…」
「俺は師/匠が望んだ事をしているつもりです。これでも我慢できますか?」
さらに速度をあげ、擦りあげる。
「ヤだぁ…!」
もうだいぶ限界だったらしい。
師/匠の手が俺の腿をグッと掴んできたかと思うと、
その瞬間、腹筋がビクビクと揺れ、俺の手に勢いよく熱い感触が走った。
数回脈打ちながら揺れる下腹部と師/匠の顔を交互に見る。
フローリングには点々と白い液体が飛び散った。
「師/匠…」
全てを出し切り、ハアハアと荒い息を繰り返す師/匠は俺の視線に気づいてプイッと横を向いた。
「…何で拗ねてるんですか。」
師/匠は俺にもたれかかったまま荒い息を必死で整えようとしている。
それがなんだかちょっとかわいいと思ってしまったので、やんわり抱きしめた。 <> 某ローディー×某師/匠 6/6
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/01(木) 00:48:32.72 ID:ik1Z5tiL0<> この人はすごい年上なのに、俺はまるで小さい子でも抱いている気分だ。なんでだろう。
「…離しなさい。」
本当は尊敬してるのに。かっこいいんだ。すごい人なんだ。
「気持ちよかったですか」
「ベタベタしてキモチワルイ。」
「師/匠の家使えそうなのオリーブオイルしかなくて。」
「キミは本当にヒドイ人です。あの人なら途中で止められたのに。」
「そうなんですか?」
「クビって言ったらすぐやめてくれます。だからあの人にしたのに。」
「……本当に嫌だったら俺にもクビって言ってくれたらさすがに止まりましたけど。」
「キミがクビになったら困るのは私でしょ。」
「………。」
「…あの人が居なくなっても、困りますけど。」
「………。」
「さ、じゃ、仕事がありますので。とっとと離しなさい。」
悔しい。どうしようかなもう。
なんとなくギューッと抱きしめると、師/匠の溜息が聞こえた。
あいつが言ってたな。師/匠は溜息すらエロいって。
今ならちょっとわかるかもしれない。言いたくないけど。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
いつも感想ありがとうございます。
保管庫の方も、本当に嬉しい感想をいただけて感無量です。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/01(木) 01:18:30.37 ID:B1dZJV3Q0<> >>437
おわあああありがとうございます!
禿萌えた…!たまらない…!どうしてくれようこの師/匠…! <> 会話と緩和 1/7<>sage<>2011/12/01(木) 22:59:54.84 ID:sYSuyVR30<> えすでぃーGんだむFースの青い騎士×赤い武者 59スレ315〜の続きです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ちょっと厠」
「目になんか入ったから洗ってくる」
「そういえばやかん火にかけっぱなしだったかも」
「あ、鍵かけてない」
「明日の天気予報だけ見せて」
「金魚に餌やるの忘れた」
「持病の腰痛が」

「や、や、やる気あるのか貴様っ!」
やられる気…などと言葉遊びするような余裕は、こう指摘するだけでも振り絞って
かすかすになるほどの度胸を発揮しなくてはならなかったゼロにはなかった。
「だって、お主は、お主はそう言うがなぁ!」
逃げ口実をずらずら並べ、ゼロのストレートを目指してことごとく玉砕していっているサイン
(普段問答無用で頭や刀に咲かせる花を手渡ししようとして、できるかぼけ!とひとり叫んで床に叩きつけたり)
(物に、それも花に当たってしまったことに自己嫌悪しているところを見かねてにじり寄ってみると、
見上げて、更に顔を真っ赤にして爆熱丸の名前を呼ぼうとして思いきり噛んだり)
(その赤面に釣られて同じように赤くなり、あわあわした爆熱丸によって、そこでやっと冒頭の言い訳が出てくる)
を更に粉微塵にしておいてなんだが、何時までも逃げられるとは思っていないし、
「嫌だから」逃げたい訳ではない。のだが、なのだが。
いっそ、「じゃあお前がこっちやれ!」と言うだけ言ってしまえれば、実際に代わる代わらないは置いといて、
こちら側の懸念をその身に当て嵌めて考えてみてくれる、と、思うのだ。
と同時に、ゼロが爆熱丸の不安を察していない、思いやってもいない、
等ということは絶対ないのも良く解っているのだが。
さて、前回はなし崩しにああいう役割分担になったわけで、今回仕切り直すという方向に持って行こうとしないで、
実際には代わらなくてもいいから、などと自然と頭に浮かぶのは、一重に爆熱丸が(これはもちろん無意識下で)、
ゼロを妙に丁重に扱いたがっている節があるからだ。 <> 会話と緩和 2/7<>sage<>2011/12/01(木) 23:00:34.20 ID:sYSuyVR30<> 具体的に言うならこう、
だってこいつ絶対びーびー泣くよ! 耐え性ないし、とんでもなくプライド高いんだもん!
……という風にゼロを捉えて、自分がこの役割りを担うことを納得させようとしている。
かといって彼を見くびっているのでは無い、けれども負担を掛けさせるには彼はやわ、
屈強な己の方が「どちらかというと」、「まだ」、適任だと思っている……要はゼロに対してちょっと過保護気味なのだ。
ひょっとするとこいつを受け止められるのは自分だけ、なんて自惚れめいた所も僅かにあるのかもしれない。
「えーい、ええいっ! いいだろう腹を括ろう!」
迷いを断ち切るつもりで兜を振って、爆熱丸はぎゅうっとゼロの手を握る。
「ちょっ、と、わわっ、あ、あんまり強く引っ張るな!」
と、いざそうなると困惑しきりなゼロを連れて、爆熱丸は自室の扉を蹴っ飛ばした。

間抜けだ、すこぶる間抜けだ。
「す、素直に倒れないか」
ぐぐぐぐぐ。肩を掴み、力を入れて押し倒そうとしても、それ以上の力で踏ん張られてしまえば
エネルギーは同じところに留まるだけで、それも叶わない。
「うぐぐ…そう言われても、言われても……」
初めこそ、手は添えるだけで、後はそーっと慎重にリクライニングシートばりに
ゆっ…くりと押し倒してやるつもりだったのだが、もうこうなってはちょっと変わった押し相撲をしているようなものだ。
ベッドに腰かけ(させられ)た状態で、腕を突っ張り、淵に手を掛け、
そこをぎちぎちに握って抵抗する爆熱丸の肩を一層強い力でぐいぐい押して、ゼロはとうとう口を開いた。
「さっさと倒れないと、このままあの……い、いろいろするぞ」
「それは嫌だ、でも見下ろされるのもなんかいやだ…」
「じゃあ立ってする」
こてん。
「………」
「うるっさいな! 立ってたら俺もお前もしんどいだけだろう!」
何も言っていないゼロにそう怒りながら、しかし彼の分のスペースを空けるためにずり上がる。
「よい、しょ」 <> 会話と緩和 3/7<>sage<>2011/12/01(木) 23:01:06.32 ID:sYSuyVR30<> 膝から乗り上げて座り、ゼロが布団を沈めると、
爆熱丸は転がっていたクッションを手繰り寄せて抱き締め、顔に押し付けた。
呆れたような、不満気なゼロの声が降って来る。
「またそれか。どうしてそう……そうやって…」
「……見られたくないからです」
そんなの解りきったことだろうが、と思いながらも、爆熱丸はごにょごにょ答える。
「それは…どうしても、その……見られたくない?」
「…………。み、みた、みたい、のか…?」
「なっ、何を言う! べつに、そんな、そんなことは…………!」
弾かれたようにゼロは声を張り上げ、ぽか、とごく軽い力でクッションを叩く。で、
「……ちょっと、だけ、3ミリぶんだけ」
………。
「さんみり…ってどれくらい……」
聞いてみると、外からクッションを掴まれる。しがみつく力を抜いてやれば、
ゼロはそれを両手で取り上げ、まるで小さないじめっこがやるように高々と持ち上げた。
「そ、それが3ミリぶん?」
「そう、これが3ミリぶん」
「そうか、なら仕方ないな」
「そうだ、仕方ないのだ」
何がだ。一体何が仕方ないと言うんだ。
然るべき発言はどちらからも終ぞ出て来ず、爆熱丸が納得したところで、ゼロはそれを脇に寄せた。
そして改めて向き合っ…てはいない、爆熱丸は天井のパネルを、ゼロは布団のユニット模様をねめつけ、
しかし、どかん! とほとんど同時に顔面を染め上げた。 <> 会話と緩和 4/7<>sage<>2011/12/01(木) 23:01:33.59 ID:sYSuyVR30<> 場を支配するのは、硬質同士が触れ合う音と、色気もへったくれもない呻き声だ。
「あー、……あー、もう、…うぅぅ」
否、呻き声であるかも怪しい。痛みに耐えて漏れ出るのが呻きなら確かにこれはそうなのだが、
爆熱丸のには言い出しにくいことを抱えていたりする際のもの、
更にそこに触れ合った時に穏やかに聴覚を撫でる音を聞かないようにしているようにも見える。
「うー……ゼロ、あのさ、あのー…」
「うん」
もぞもぞ喋り出すと、ゼロはぴたりと手を止める。この変に丁寧な扱われ方も恥ずかしい。
若さと情熱にに任せてがつがつと…、な展開にならないのは果たして自分達らしいのか。
普段の付き合い方を考えれば全くらしくない、のかもしれない。
「すまん、なん、か……やっぱりきついから、あの…」
ゼロの腕にしがみついて起き上がり、しかし目を合わせず、かといって俯くなんてもっとできないので、
壁にかけられたカレンダーに視線を注ぐ。
「い、いわゆる…ほら、引き戸が突っかからないようにするために……」
しかしこれだけでは伝わらず、ゼロは首を傾げた。
「引き戸?」
「の、溝に塗る、油、みたいなものが欲し、い…」
「あぶら…。……?」
「いや、それはものの例えであって、本物使われたらぎとぎとして堪らんから、だから、ええと」
言葉を濁しながらもなんとか伝えようとして、しかし碌に喋られないで黙りこくる。
一先ずは続きを待っていたゼロだったが、ついに爆熱丸は彼の砦からすり抜けた。
「……ちょっと待ってろ。すぐ戻る」
「すぐだぞ」
「うん。その間素数でも数えていろ」
「…それは緊張している時にすることであって、暇な時にすることではないだろう。
いや、それより君が素数を知っていたことに驚きだ」 <> 会話と緩和 5/7<>sage<>2011/12/01(木) 23:02:02.47 ID:sYSuyVR30<> 「まーた俺を馬鹿にして…」
爆熱丸はゼロのその言葉に何時ものようにむきにならず、扉に手を掛けて部屋から出て行ってしまった。
ああ言ってしまったが、今の自分が緊張していないとは言いがたいので、ゼロは口に出してそれを行う。
「素数がひとつ、素数がふたつ、素数がみっつ……」
緊張し過ぎである。

どん、と音を立ててサイドテーブルにボトルを置き、しかし手を離さずもう一度持ち上げて、
爆熱丸はゼロの目の前にそれを突き出した。
「はい」
半透明の容器の中身がたゆんと揺れて、ゼロは漸く爆熱丸が言おうとしていたことに気付く。
「あ、ああ、そういう…」
そこにラベルは貼られていない。市販のものとは違うのだろうか。
「ほら、手出せ」
ポンプが押され、ゼロの手の平にとろりと液体石鹸が注がれる。
薄く色のついたそれを眺めながら、ふとゼロは今の時間帯を考えた。
個人部屋にはシャワーが備え付けてあるのだが、ここに爆熱丸が訪れた当初、
「はんぎゃぁああああ!!」と身も蓋もない叫びが聞こえてきたので
黒いあいつでも出たかと思って覗いてやると、シャワーがぐねぐねと蛇のようにのたうち回って冷水を撒き散らし、
部屋が水浸しになっていた……ということがあって以降、爆熱丸は洗面台より奥のそこには寄りついていない。
つまり彼がこれを持って来られるのは、ちゃんと浴槽もある共同の大風呂からくらいなのだが、
夜も遅いこの時間ではもう閉まっているはずだ。ということは。
「………これ、借り物だな?」
「うん。リリ姫の」
「ばかぁああああああああああああ!!!」
「あだだだだっだ痛い痛い痛い痛い沁みる沁みる!」 <> 会話と緩和 6/7<>sage<>2011/12/01(木) 23:02:29.99 ID:sYSuyVR30<> ゼロの手がぺちんと爆熱丸の頬を叩く…否、撫でる。格好と気分は平手打ちなのだが、
勢いはほとんどついていないので打撃による痛みはない、
その手に汲まれた石鹸がべったりと頬に擦りつけられ、弾みで目に入ったのだ。
「我がリリジマーナ姫の! その繊細で華奢な御身体を清めるためのものを! こんなことに使えるかぁああ!!!」
「姫が一番ぱあーっと気前良く貸してくれそうだったからぁ!!」
「姫じゃなくても誰かのものなんて使えるか馬鹿ー!!」
手の平を彼の顔にこすりつけ、削げ落とす。もう爆熱丸(の顔)で全て拭き取ってしまいそうな勢いだ。
かと思えば、後のことを考えずに布団になすりつけ、ゼロは勢いそのまま、テーブルに置かれていた刀油の瓶を引っ掴んだ。
「私がこれを使おうとしたら、お前も腹が立つだろう!」
小瓶を振って液体を揺らし、爆熱丸に示す。
「あ、当たり前だ! 刀は武者の魂だぞ! それを手入れするためのものを、こんな不埒なことに……ふらちな……」
徐々に声がフェードアウトしていく。ゼロが言わんとしていることを己の身に置いて理解したのと、
これからやろうとしていることを口にしようとして、でもやっぱり出来ないことに、だ。
「…すまん、浅はかだった。返してくる」
「い、今は駄目だ。もう夜も遅いし、二度も君や私如きが姫の眠りを妨げてはいけない。
明日の夜までは姫もこれには用はないだろう」
普段のゼロなら姫に何か借りたのなら、いつ姫がそれを必要としてもいいように、
すぐに返したがりそうなものなのだが、今回ばかりは例外だ。一度彼女と顔を合わせてしまえば後ろめたさと、
しかしそれを上回るいつもより一回多く姫の御顔が見れた、
就寝の挨拶ができた幸福で、もう思い残すことはちょっとしかない! 
とそのまま自室に直行して布団でぐっすりと眠ってしまう。姫煩悩とでも言えばいいのか。
「よし」
立ち上がり、ゼロはティッシュの箱に伸びていた爆熱丸の手を捕まえた。
代わりに自分の空いた手でそれを数枚引き抜き、顔を拭いてやる。 <> 会話と緩和 7/7<>sage<>2011/12/01(木) 23:02:56.32 ID:sYSuyVR30<> ぞんざいな手つきに「ふぐぐ」「いたい」などと潰れた声が聞こえたが、それはまあいい。
あらかた拭き取ると丸ままに立ち上がり、訝しんでいる彼の脇に転がっているボトルを拾い上げ、
姫にそう接するようにひどく慎重にサイドテーブルに置く。
……かと思えば視界の隅にすらちらつかないように、今度はクローゼットにしまった。
そして爆熱丸を振り返って一言。
「新しいの買いに行くぞ」
「か……でえぇええええっ!? やだ、やだやだやだやだ嫌だ!!! 一人で行ってくれ!」
「何故だ、ちょっと出かけて日用品を買うだけだろうが!」
「そうだけど! でもお前! 俺とお主が並んで日用品選んでたら、そんなの面白すぎるだろう!」
「面白がらせておけ!」
「無理! こ、こここ、こんなことに使うのを、平気な顔して連れ立って買いに行けるか!! お前が買って来い!」
「嫌だ恥ずかしい! ベッドに正座して待っているお前のこと考えながら、どれがいいかなーなどと私に選べと!?」
「いやそれも相当恥ずかしいけど、でも一緒の方がぜったい恥ずかしいってぇえええ!!」
「行くぞ!」
「どわわっ、お、おおぉい! わかった行くから抱えて飛ぶなぁあ!!!」

「あ、ローズの香りだって。これにしよう」
「薄ら寒い、無臭で良いわ無臭で! あ、味海苔買っていい?」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
続きます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/01(木) 23:54:01.22 ID:y7k7RS05O<> >>437
乙です!!!
萌えすぎて爆発しました <> トクベツ 1/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:01:14.19 ID:EjcdOUmh0<> O振り、らーぜのトウシュ×ホシュです。
最近ハマったのでホシュの誕生日にじっとしてられなかった……

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「お疲れー。寒いだろうけど体はしっかり拭いてから着替えてね、汗が冷えると風邪の元だよ」
「みんなタオル持っていってね」
「しのーか、オレにもタオル〜!」
「はーい。あ、阿倍君今日誕生日だよね。おめでとぉ」
練習が終わってわいわいがやがや、その雰囲気は嫌いじゃねェけど
積極的にその輪に入ることのないオレがマネジの一言で急に巻き込まれる。
Ξ橋の誕生日以降そういったことを順番に祝ってきたから、期待が無かったとは言わない。
でも、朝練のときにそういう雰囲気にならなかったから、てっきり何も無いものだと思っていた。
他の奴らはともかくΞ橋ですら何も言ってくんねーし。
いつも以上にちらちらと視線を送って来るくせに、オレが近寄ろうとすると慌てて逃げるように離れて。
結局いつもみたいにやきもきして一日が終わろうとしていたのに。
「部室に戻ったらプレゼントやるから」
花居がにやりとした顔で振り返る。
ハメられた。口裏合わせて言わねェようにしてたんだ。クソキャプテンめ。
「いいなー阿倍は当日に貰えて」
「どーいうことだよ」
「ああ、そっか、瑞谷は冬休み中に誕生日来ちゃうもんね」 <> トクベツ 2/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:01:29.55 ID:EjcdOUmh0<> 「そーなんだよ栄□! しかも毎年じゃん。不公平だと思わない?」
「そんなこと言ったら俺も新学期すぐだから大抵貰えないぞ」
「後から貰えることもほとんど無いしな」
「あ、やっぱり須山も?」
「オメーらもΞ橋みたいに主張すりゃいーじゃん」
「おっ、しゅ、主張して な…っ」
「Ξ橋はおばさんが主張したんだよなー!」
「ごごごごめ、な、さい」
「謝んなって。オレはあれ楽しかったぜ」
「でも、なかなか自分の誕生日って言い出せないよね……」
「そうだよねぇ」
捕手の癖か、少し俯瞰的に会話を聞いて「性格っておもしれー」と思う。
それが顔に出たのを、
「あっ、阿倍が嬉しそう!」
「ばっか、ちげェよ」
「阿倍、朝からなんか難しい顔してたじゃん。誕生日なんだから笑ってるほうがいいって!」
目敏い田嶋に気付かれてオレは慌てて否定したけど、
耳まで赤くなった顔をにやにや笑われてもうどうしようもない。
12月生まれってだけで年下扱いされてる気がすんだよな…。
よくとっつきにくいって言われるから、遠慮が無くなったのはいいんだけど。
…つーか、
「今日くらい素直に祝われとけって」
花居が頭をぽんと叩いて横を通り過ぎながらと言った言葉にこっそり
「はぁい」
と返すくらいには、やっぱり嬉しかった。
<> トクベツ 3/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:01:43.81 ID:EjcdOUmh0<> 栄□のアドバイスを元に花居が買ってきたというプレゼントは
キャッチャーミットのメンテナンスに使うクリームで、
よくメーカーが分かったなと感心すると、
人のいいキャプテンは和泉が教えてくれたんだとあっさりネタばらしした。へえ。
和泉も案外観察眼が鋭いというか、ちょっとしたことにも気付く奴だとは思ってたけど、
オレだったら他人の使ってる道具にまでそこまで興味は持てないから素直にすげェと思った。
「サンキュ」
「別に大したことしてねーよ。それよりこれ、濱田から」
Ξ橋の幼馴染だという応援団長は確かに随分とオレら野球部に肩入れしてくれてるけれど、
わざわざ個別に用意してるだなんて思わなかったから中が気になって開けようとすると、
「あー、待て、それは一人のときに開けろ」
と、和泉に制止された。
中身知ってンのかよ、という疑問が浮かんだが、
同じ9組だし仲も良いんだろうと思い直してそのまま鞄に仕舞う。
どうせ今日はもう会わないんだし、家で開けて明日お礼言やあいいや、てな感覚で。
「じゃあお祝いも終わったところで、阿倍、悪いけど鍵当番よろしくな」
「げっ」
キャプテンの言葉に、鞄を背負おうとしてた体が止まる。
すっかり忘れていた。
誕生日だから代わってやる……なんて奴がこの野球部に居るはずもなく、
よろしくーという声がちらほら聞こえるほどだ。
でも、それくらいでちょうど良かった。
別に誕生日ったってそれほど特別なモンを感じてるわけでもない。
朝練しててきとーに授業受けて弁当たらふく食って昼寝して練習して。
そんな当たり前の一日でいい。……はずだった。 <> トクベツ 4/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:01:59.29 ID:EjcdOUmh0<> なのに今は、Ξ橋が居るから。
『祝われたい』という欲深さをオレは初めて知った。
……まあ、それはどうも高望みだったみたいだけど。
結局、口止めとかは関係無しに、あいつは言ってくんねーんだ。
鍵と日誌を乱暴に受け取ると、オレはどっかと椅子に座って日誌を書き始めた。
「先にごめんなー」
へらっと笑ったクソレを先頭にオレに改めて「おめでとう」と言いながら、一人、また一人と帰っていく。
最後に残ったのは田嶋とΞ橋。
Ξ橋がまだもたもたとコートを着ている間に、田嶋が声を潜めて聞いてきた。
「プレゼント、満足?」
「どーいう意味だよ。充分過ぎんだろ、ちゃんと要るモンだったしな」
「ふぅん」
絶対納得してないその言い方が気になったのに、
「お、お待たせっ」
ぐるぐる巻きのマフラーから口をぷはっと出して田嶋を促すΞ橋の声が割り込んできて、なし崩し的に雰囲気が変わる。
もーいいよ。さっさと帰っちまえ。
「……阿倍も案外言いたいこと言わねーよな。何で?」
「は?」
「エスパーじゃないんだから言わなきゃ分かんねェよ。ほら、Ξ橋も」
「たっ、じま、くん……あの、オレ は」
「言いたいことは言わなきゃダメだぞ、ゲンミツに! 阿倍、これはオレからのプレゼントな」
「おい、たじ」
ま、とその名を呼び切るより早く嵐のように去っていく。
静まり返った部室にオレとΞ橋が取り残されて。
『これ』と田嶋が称したものは、Ξ橋……なんだろうな、この場合。
けど、二人で残されたってどうしたらいいんだ。
<> トクベツ 5/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:02:13.98 ID:EjcdOUmh0<> オレが言いたいことって何なんだ。オレにも分かんねェのに何で田嶋が知ってんだ。
ぐるぐるぐるぐる、疑問が廻る。
「あああああべ、く……」
「ん、なんだよ」
てっきり黙りこくるかと思っていたΞ橋の方が口を開いたからオレは促してやる。
ちょっと意外だったけど、田嶋が「言いたいことは言え」って念押ししてたわけだし、Ξ橋は何かを言いたいんだろう。
「……、ごめ ん」
「だああっ、なんでてめーはそこで謝ンだよ!訳わっかんねェ!」
「ううっ、ごめんなさ……」
思わず立ち上がるとΞ橋はますます怯えたように縮こまって肩を震わせた。
しまった。ビビらせたい訳じゃないのに。
「だから、いきなり『ごめん』て言われてもオレは何に対して謝られてるか分かんねェだろ。説明しろって言ってんの」
伝えたいことは丁寧に噛み砕いて、声の大きさにも気をつけると、Ξ橋は恐る恐る顔を上げた。
ほぅ、と胸を撫で下ろす。
ちょっとでも大きい声を出すとすぐ怒ってるって勘違いさせちまうことに気付いてから、
オレはそれまでよりΞ橋と会話が出来るようになった気がする。
「あべ、く……誕生日、お・オレっ、……持 って、な…い」
「……持ってないって、何を?」
何かの暗号文のようなΞ橋の言葉を、辛抱強く紐解いて、解読を試みる。
せっかくΞ橋の方から切り出してきたんだから、きちんと言わせてやりたい。
「プレ、ゼント……」
「だって、花居からのにお前も金出してくれたんだろ?」
「そ れは、そうだけど、オレ、阿倍君の『トクベツ』なのに……何もあげられな くて」 <> トクベツ 6/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:02:25.74 ID:EjcdOUmh0<> 何とか最後まで聞き取って。
はぁああぁ〜。
思わずため息をついた。
オレが息を吐き出した分だけ、Ξ橋の釣り目がちな目の淵にぶわっと涙が溢れる。
「別にオレは怒っても呆れてもねェよ」
「で、でもっ、オレが ダメ……だから」
「そりゃ、確かに、期待はしてたよ。けどそれは物じゃなくてさ、なんつーの、
言葉だけでもお前からなら充分なんだって。……それこそ『特別』なんだからさ」
言っててめちゃくちゃ恥ずかしいけど、こいつはちゃんと言わないとすぐ悪い方向に考えるからな。
オレ達は元々バッテリーっていう特殊な関係性を持ってはいたけど、野球を離れたところでも特別になって。
じゃなきゃオレだって期待しねェよ。
結局プレゼントどころかおめでとうも言ってもらってはない訳だけど、
どうもΞ橋も意識してくれてたみたいだから、それでいいや、という気分になる。
「う、うひっ」
「分かったか? そんなことでいちいち落ち込む必要無いんだって。
それよりお前、他に悩みとかねーの? 野球のこととかさぁ」
「無い よ!」
「……あ、そ」
Ξ橋にしては珍しい即答っぷりにオレは二の句が継げなくなる。
あんだけ野球が好きで、なのに悩みが無いってのは良いことなのかどうなのか。
ま、Ξ星と違ってこっちではちゃんと『チーム』になってるからかな、なんて勝手に想像を巡らせていると。
「阿倍君が 球、捕ってくれればオレ……全部平気っ、だ、から」
ここでも自分の名前が出てきて心臓がばくばく言う。
なんか、すげェ嬉しいこと言われた。
サードランナー! って唱えたところで落ち着けるはずもない。 <> トクベツ 7/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:02:37.00 ID:EjcdOUmh0<> 「だから、オレも 阿倍君にちゃん、と お返ししたい…っ」
「あー、もういいよ」
その言葉だけで、どんな『おめでとう』も敵わないって思うもん。
「よ よくな、い!」
オレが内心幸せに浸っていると、Ξ橋は少しだけ表情を険しくして。
いつになく強い口調で言い切るのと、ガチッと音がして歯がぶつかるのとは、同時だったと思う。
「い……っ、たたた」
自分からしてきたくせにその痛みにうずくまるΞ橋をオレは慌てて覗き込む。
「大丈夫か!? くちびる切ったりとかしてねェだろうな?」
「あ だ、だいじょぶ、デス」
しまりのない顔でにやけるΞ橋を見ると、焦って心配した自分がバカみたいに思えて恥ずかしい。
「ったく、なんなんだよいきなり」
「ぷ、プレゼント、だっ」
……。
なに、いまどきキスがプレゼントって、それどんな雑誌の仮想デートだよ。それとも田嶋の入れ知恵か?
あー、くそ。不意打ちのせいだ。今の、あんなキスとも呼べない接触で、こんなに舞い上がるなんて。
「あ、阿倍く、血 が……」
「ん? あぁ」
舌で唇をぐるっとなぞると僅かに鉄の味がした。
「ごめ、んね……あの、イタイ?」
「いーよこんなの。舐めときゃ治る。でも次からいきなりはやめろよ。お前が怪我する可能性もあんだかんな」
「う、うん! オレっ、いきなり しない!」
「そーそー」
「いきなりじゃなきゃ してもいい、んだ ね?」 <> トクベツ 8/8<>sage<>2011/12/11(日) 13:02:51.15 ID:EjcdOUmh0<> 「は?」
まぁ、そういうことになる……のか?
でもなんかそれってちょっと違くねェ?
「じゃあ、オレ、今からキス…するよ」
へたり込んでいたΞ橋の体を支えていた腕を逆にぎゅっと掴まれて、真剣な顔が近くなる。
それはいつもマウンドからオレを射抜く視線に似てて思わず見惚れた。
って、そんな場合じゃねェだろ、オレ!
「お、おい、みは――」
「オレ、言ったから、ね」
一人であたふたしている間にΞ橋の鼻先がオレのそれに当たるくらい近づいていた。
荒い鼻息が濡れた唇に当たってリアルに感じる。
その握力は、ひょろっちい腕をしてるくせにさすが投手というべきか、簡単に振りほどけるものじゃなくて。
変に動いて怪我でもさせたら…と、恋人としてなんだか捕手としてなんだかよく分からない
曖昧な心配もあって動けないでいる内に、距離はじりじりと詰められていく。
オレはそれ以上Ξ橋の目に映る自分を見てられなくて、ぎゅっと目を閉じた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/13(火) 17:13:19.83 ID:ScY8zj0C0<> >>444
待ってました!
このもどかしい関係がなんとも素敵です! <> 某ローディー×某師/匠 1/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/18(日) 21:05:12.74 ID:f5xKwrQ60<> 某ローディー×某師/匠
>>437-442の師/匠目線バージョンです。
名前を出さないように師/匠、キミ、ローディー等になっています。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

さて、どうする?
ずっとなんか怒ってるし、バックミラーごしにチラチラ見られてるような気がする…。

気付かないふりしてるけど、結構しんどい。
鍵忘れちゃったから仕事場に戻りませんか?
とか喉まで出かかったけど「んそ」ってばれるのわかってるから言わない。
普段こんな事しないのに。私はそんなにキミを怒らせたんですか?
上から言えば言うこと聞くかも…と思って腕を組んで冷たい目で一瞥してみたのに全然効かないし。
私、一応上司なんですけど。
全然言う事聞いてくれないし。なんかもっと怒らせた気がするし。
なんとか気持ちを逸らそうとしたのに余計煽った気がするし。
初めは確かにあの人をからかってあすぶつもりだったんです。
あの人はそんな感じのキャラクターですし、言う事は聞いてくれるし、あすぶにはもってこいです。
こういうのはああいう方に限ると思います。
でもキミは違います。キミはこういうキャラクターではありません。
ローディー君と言えば、いつも真面目で一生懸命で、仕事熱心で機材に詳しくて、
あらゆるトラブルにも打開策を提案してくれたりととても頼りになって、
私と同じくらいの背丈ですから、配置のテストもいつも完璧で、
仕事上居なくてはならない存在と言っても過言では無い人です。
なので、そんな過言では無い人にこういう事をされると私はどうしたらいいのかわからないんです。
ていうかどうか私を気持ち良くしないでください。
本当もう勘弁してください。声出ちゃうんです。 <> 某ローディー×某師/匠 2/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/18(日) 21:06:15.30 ID:f5xKwrQ60<> 師/匠としての威厳とかそういうのがあるはずなんですけど。私はコワイ人なんですから。
あ、そこは本当にやめてください。
私はキミには何故か強く言えません。なんとか思い直して欲しいんです。
あ、そんな事まで。何度も言いますがキミはこういうキャラクターじゃないはずです。
師/匠として見せるべきでない部分を見せて、適切でない行為を受けている気がします。さっきから。
本当、なんでこんな事になったんでしょう。
私のナニがキミのキャラクターを変えてしまったんでしょうか。ナニですか。
もうイヤです。勝手に身体が動いちゃうし、恥ずかしい。
自分の上着を脱いで私にかけてくれるキミはやっぱりいつも通りのキミで安心するのに、
その持ってきた物はなんですか。
そのお方はうちのキッチンに鎮座していたはずなんですけど。
一般的にこういう場面で登場するようなお方では無いはずなんですけど。
きっといつもと違う私の姿を見て「まじで?」と思っていると思います。
例外は好きですが、こういった例外は望んでいません。
私はこんな辱めを受けるほどキミにヒドイ事をしたんでしょうか。
もうキミを怒らせるような事は言いませんから、これ以上の事はやめてくれませんか。
そんな所にそのお方を使ってそんな事をするのはやめてください。
こんなはずじゃなかったのに。
やめてくださいもう無理です。
耐えられそうにないです。
お願いですから、もう私が言った事は忘れて下さい。
私はここまでされる予定はありませんでした。本当です。
無理です。限界です。言う事を聞いてください。
ヤだヤだヤだヤだ
あああああ <> 某ローディー×某師/匠 3/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/12/18(日) 21:07:15.22 ID:f5xKwrQ60<> みっともない姿を見られて私は心底落ち込んでいます。
部屋も汚れちゃったし…。身体もベタベタするし…。どうすんのこれ。
本当に予定外なんですから。
なんだか機嫌直ってるみたいですけど、今度は私が怒っているんですから。
とても怒っているので、一週間くらいキミを冷たい目で見るんですから。
とても怒っているので、そんな風に抱きしめたってなんとも思わないんですから。
とても怒っているので、もう何も言わないでください。
色々、自覚したくないんで。
「離しなさい。」
「はい……ごめんなさい。」
そろそろ言う事を聞いてほしいものです。
離して貰えないとお風呂に入れないし、仕事にも戻れません。
キミ、私が強く言えないの知ってるでしょ。
どうせ私がお風呂に入っている間にこの部屋を奇麗にするつもりなんでしょ。
キミはそういうキャラクターの人ですから。
まったく。そういう事をするのはやめてください。
とても怒っているのに、怒れなくなるので。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
平常心を装いつつ、心の中ではへーーーーーーーーーっっっ!!?と思っている師/匠が好きです。
感想いつも本当にありがとうございます。待ってていただいて嬉しいです。
改めてですが保管庫のまとめてくださっている方、管理人様、感謝しております。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/20(火) 00:13:39.06 ID:DJlwQ1M/0<> >>461
まさかの師/匠目線バージョン!
落ち込んでいる師/匠の可愛さにやられました!
あなたの書かれる師/匠大好きです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/23(金) 11:54:27.53 ID:HzK+9LdPO<> 保守

こんだけ過疎ると、連投でも感想でもいいから誰かいませんか?てなるな。
忍法帖は本当にひどい事してくれたよねorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/23(金) 12:11:20.90 ID:9BfZn+A+0<> >>465
いま勢い4.7で圧縮も当分来ないからまだ平気だよー
この板じゃ勢い0.1で最後の書き込み1ヶ月以上前なんてスレもザラだし

それと過疎ってるのはここだけじゃないんで
元凶は忍法帖ってわけでもないと思うw <> 虎&兎 触手×虎 1/4
◆dU4hlANcIg <>sage<>2011/12/24(土) 18:55:44.47 ID:qxrk91UN0<> 虎&兎の 触手×虎です。エロそうで全然エロくありません。
超王道をへぼんでお送りします。
まだ初期の頃の二人の設定です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「こんな事になるなんて聞いてませんよ。」
『接続が甘かったか!!次はしっかり固定する必要があるなァ!!』
「み…見てないで早くこいつを止めてくれえーーーーーーーー!!!」
危なかった。断って無かったら僕がこうなっていたのか。
バーナビーはモニター越しにジッとタイガーを見つめたまま、安堵のため息をついた。
タイガーの腹部から飛び出した武器は、その飛び出した勢いで本体から収納部分ごと?がれ、
本来敵である方向に伸びるはずの触手が本体へと標的を定めてしまったのだ。何故かというと近くにいたから。
たったそれだけの理由で不運な事に本体…すなわち、タイガー自身が攻撃対象にされてしまった。
斎藤に新機能を試してみるよう言われたのはつい5分前。
「…僕はとりあえず見学してみます」と言うバーナビーと、
俺やってみたいと意気揚々とシミュレーションルームに入った虎徹。
犠牲者は、一人だった。
シミュレーションルームの様子を真顔で見つめる二人は、その行為を止めそうにない。
「なんっで止めねーんだ!?」
『とりあえずそのままやられてくれぇ!!どうなるのかデータを取りたい!!』
「俺で試すなーーー!!!」
「…斎藤さん、あの武器の特徴は?」
バーナビーは他人事なので余裕で腕を組みながら聞いた。
『あれはすごいぞ!!身体の数か所を攻撃する事により対象の弱点を感知する機能がついてるッ!!
そして弱点が見つかればそこを集中的に攻撃するようにできているんだあ!!!』
「すごいじゃないですか。」
だが、対象が自分ともなると、タイガーは気が気じゃない。
触れてくる触手からなんとか逃れていたが、足を絡め取られついに宙へ吊るされてしまった。
吊るされた途端数十本の触手の先端ががちょんちょんと体中をつついてきた。 <> 虎&兎 触手×虎 2/4
◆dU4hlANcIg <>sage<>2011/12/24(土) 18:56:44.86 ID:qxrk91UN0<> 「うわああぁぁああぁぁ俺今どうなってる?!大丈夫?!」
「大丈夫です。ちょっと風の谷っぽいくらいですよおじさん。」
タイガーは別に異国の青い服は着ていなかったが、のちにこのコンビは伝説となる事を、この時の二人はまだ知らずにいた。
斎藤の手元にあるモニターとタイガーのマスクの内側にデータが映し出される。
弱点が数か所発見され、そのデータは即座に記号化されまた触手に転送された。
受信した触手の動きが、調査モードから攻撃モードに切り変わる。
一連の動作は完璧だった。斎藤は満足げに見つめた。
先端の形状を細く変化させた触手が、?がれた腹部より装備の隙間に入り込む。
「げぇっ…は、入ってきたぁ…!」
『あ、まずいな。タイガー!装備を壊されたら修理が大変だから一旦外すぞォ!!!』
「えっ外したら俺攻撃されて死んじゃうんじゃないの?」
『安心しろォ!!攻撃設定を最弱にする!!ちゃんと稼働するかどうかのデータが取れればそれでいい!!』
タイガーの手足には蔦のように触手が巻きつき暴れる事もできない。
斎藤が操作すると、タイガーの装甲は体から分解され外れてしまった。
インナーだけになったタイガー、もとい、虎徹の腿に蔦が食い込む。
「ちょっ…とこれどうなの?!」
さらに充分強いはずのインナーが侵入してきた触手にいとも簡単に破られてしまった。
所々露になった素肌に触手が這う。そして、胸元へと触手が伸びた。
ギャーギャーうるさくわめいていた虎徹が突然ビクッと身体を硬直させる。
布の切れ端で隠れている部分を攻撃されているらしい事はわかるが、バーナビーは何をされているのかよくわからない。
虎徹の顔がみるみる赤くなる。
「う…ぅぅ…」
驚いたような表情のあと、目をギュッと瞑る。
「斎藤さん、おじさんの様子がおかしいです。いつもおかしいですけど。」
しかし斎藤はすでにマイクを外しており、ブツブツ言いながらパソコンに向かって何やら作業を始めていた。
虎徹の目尻に涙が溢れる。
「おじさん、何をされているんです?」
「……言えない…っ」
「は?」ビキ <> 虎&兎 触手×虎 3/4
◆dU4hlANcIg <>sage<>2011/12/24(土) 18:57:51.37 ID:qxrk91UN0<> 別にあなたの心配をしているわけじゃありません!新しい武器に不具合が無いか知りたいだけです!
そんなバーナビーの声が聞こえるが、虎徹はそれどころじゃなかった。
「と、と、止めてっ止めてっ!!斎藤さん!!さいとうさぁーーーーん!!!」
虎徹の悲痛な叫びに驚いたバーナビーが振りかえると、斎藤はすでに研究に没頭して周りの音が聞こえなくなっていた。
バーナビーは、相当面倒臭いが虎徹のピンチを救うのが自分しかいない状況だと察した。
一般人より遥かに知識を蓄えているとはいえ、見たことのないスイッチがたくさんある機材を前にどうしたものか考える。
「あっ…あ、あっ…ダメだって…」
そうこうしているうちに虎徹が痙攣をはじめた。いよいよ尋常ではない。
「おじさん!あなたに何が起こっているのかわからないと対処できません。早く言って下さい。」
「やだっ」
「何子供みたいに駄々をこねてるんですか。おじさんのくせに!」
「おじさんだからこそ言えねぇもんもあるんだよ!…あぁっ!!」
こっちは助けようとしているのに。
バーナビーはイライラしながらも先ほど斎藤がいじっていたスイッチを確認し、おじさんだからなんとかなるかと思い適当に押してみた。
すると、触手が途端にうねうねと力強くしなり、活気を取り戻した。
腿に絡まっていた触手がさらに食い込み、左右に足を引っ張られ虎徹は無理やり開脚させられた。
そして新たに出てきた数本の触手が下腹部へと伸びる。
バーナビーが押したのはどうやら威力を増すスイッチだったらしい。
「い…やだぁーーー!!」
おじさんがもっとうるさくなった。イラッとするから早く止めなくては。
「斎藤さん、よくわからないんでお願いします。」
斎藤は無反応だ。
「気持ち悪ぃ…は、入るなぁっ入るなぁっ!!」
バーナビーは履いていたスリッパで斎藤の頭を叩いてみた。
それでも斎藤は無反応だ。
もう駄目だこいつ。
バーナビーは、相当面倒臭いが虎徹のピンチを救うのが自分しかいない状況だと再び察した。ちょっと自分のせいでもあるし。
かくなる上は、しょうがない。
「おじさん、どうにもならないんでハンドレットパワーで脱出してください。」
「………んっ……むっ無理…集中できない!…っあぁ」 <> 虎&兎 触手×虎 4/4
◆dU4hlANcIg <>sage<>2011/12/24(土) 18:59:20.44 ID:qxrk91UN0<> 触手にいいように喘がされている虎徹の荒い息と、グチュグチュという卑猥な音がシミュレーションルームに響く。
赤面したままギュッと閉じた目尻に溜まった涙が一筋流れる。しきりに痙攣する足。
「駄目だもう無理だっ!こいつ、入ってこようとしてる…バニー!!助けてくれ!!」
さっきからおじさんがよくわからない事を言っている。
「入るって……一体、どこにです?」
「ど、どこってそりゃあ…なっなんとなくわかるだろうがあ!!」
「?」
「おまっ……」
虎徹の赤い顔はさらに赤くなった。
とんだ羞恥プレイをしかけてくる真顔のバーナビーが何を考えているかわからない。
「もうどこだっていいじゃないか!早く助けてくれよ!」
悲痛な目でバーナビーを見つめるしか無かった。
「頼むバニー…このままじゃ…俺…!あっ!!あだだだだだだだ!!!」
虎徹が痛がり出した。
どうやら、入ってきたらしい。
「ちっ」
虎徹が怪我をしたかもしれない。
そんな危機感に、バーナビーはとっさにシミュレーションルームに飛び出した。
結局ハンドレットパワーで触手を引きちぎり、おじさんをお姫様だっこで助け出すいつものパターンで解決した。
「あなたが居なくても僕だけで敵は倒せますけど、一応コンビポイントも無いと困るので。」
「もうなんかお前のそのツンデレっぽい対応とか色々どうでもいいと思える所まで来てるぞ俺の心は。」
珍しく心底へこんでいるらしい虎徹がお礼も言わない事にバーナビーはカチンと来たが、
なんとなくかわいそうなので何も言わない事にした。

ようやくデータを解析し終わった斎藤が現場の惨事と新機能の崩壊を知るのは3時間後の事だった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> あるガーディアン達の恋 1/4<>sage<>2011/12/25(日) 06:02:09.35 ID:5L33uBJy0<> オリジナル。勢いで書いた。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 彼らは守護者、ガーディアンだった。
守っているのは彼らの主の領地であるが、それは同時に彼らの生まれ故郷の大地でもあった。

 彼らが隣同士の位置に並んで配属されたのは全くの偶然だったし、
配属された当初も、ただありきたりな挨拶をしただけだった。
しばらく経ってもそれは変わらず、どちらかが眠っていて目覚めた時に、
軽く目線を交わしてお互いの存在を確認する程度の仲がずっと続いていた。

 本当にそれだけの関係の筈だった彼らが、いつしか熱く睦みあうようになったのは何故だったろう。
どんなきっかけでそうなったのか、彼ら自身ももう忘れてしまっていた。

 当時、愛し合っているのかと問われれば、どちらも分からないと答えただろう。
けれど彼らは熱く結びついた。
夜ごと日ごと、お互いに求め、求められるままに返し、決してほどけないほどに絡みあった。
最初からそうなるのが運命であったかのように、彼らの身体の相性はあまりにも合いすぎていた。
時には守護者としての職務を忘れ、複雑に絡み合ったまま大地にその身を預けた。
我を忘れてお互いの身体を貪り食った。快楽から逃れることなどとうていできそうもなかった。 <> あるガーディアン達の恋 2/4<>sage<>2011/12/25(日) 06:05:44.72 ID:5L33uBJy0<>  ガーディアンの職務は厳しく、息もできぬほどの臭気に襲われることもあったし、
水攻めに合うこともしばしばだったが、彼らはお互いを支え合い、励ましあって任務を遂行した。
身体だけの関係であった筈が、いつしかお互いにかけがえの無い存在となっていた。
どんなに辛く厳しい状況でも、いつでもすぐ隣に彼がいた。それが心の支えとなった。
決して離れぬようにお互いの身体を縛りあった。
触れたところから感じる相手の体温から、熱い思いが、情熱が、そして肉欲が伝わってくる。
過酷な時が過ぎ去れば、彼らはまた今まで以上に熱く絡み合った。


 一年ほどの月日が過ぎた頃から、彼らのうちの一方が、己の身体の異変に気付いた。
しっかと大地に立っていた筈の足が、おぼつかない。
隣の彼の身体としっかり結ばれ支えられていたせいで、一息に倒れることはなかったが、
ふわふわとした感覚が身体を突き抜け、それは日増しに強くなっていった。

 ああ、俺は歳をとったのだ。
彼は自身の寿命が尽きようとしていることを悟った。
もう一方も、パートナーがもう自分で立つこともままならない状態なのだと気付いていた。
支える身体が酷く重かった。

二人とも何も言わなかった。言わないままに寄り添っていた。
もう以前のように愛し合うことはできなかったが、ただ傍にあるだけで、それだけで良かった。 <> あるガーディアン達の恋 3/4<>sage<>2011/12/25(日) 06:07:54.41 ID:5L33uBJy0<>  それでも彼らは守護者、ガーディアンであった。またすぐに戦いの時は訪れた。
彼らの陣地の前に大きく張られている布の弾幕がはぎとられた時、
その時起きたとてつもなく巨大な風の威力に、弱っていた彼も支えていた彼も二人とも耐えられなかった。

 軽々と吹き飛ばされた。大地から離れ、風に弄ばれるように舞い上がっていく。
小さくなっていく彼に向けて必死に手を伸ばす。声の限りに名を叫ぶ。
けれどそれは、ただ虚しく風の音にかき消された。なすすべも無かった。



 残された一人は、自身の隣にぽっかりとあいた空間を見た。
相棒が立っていたところに、痕跡だけがはっきりと残っていた。
それをじっと見つめながら、彼は泣いた。
愛していた、愛しているよと、虚空に向かって叫んだ。
もう届かないと分かっていても、叫ばずにはいられなかった。 <> あるガーディアン達の恋 4/4<>sage<>2011/12/25(日) 06:15:07.88 ID:5L33uBJy0<> 風に翻弄されるまま遠く遠く飛ばされた彼は、いつしか知らない土地にたどり着き、そこで倒れていた。
薄れゆく意識の中に、暖かかった故郷の大地と思い人の姿が浮かび上がっていた。
頬に触れる地面は硬く冷たかったが、想い出が彼をそっと温めた。
愛する人の名を呟きながら、彼は静かに不帰の客となった。













数日後、冷たくなった骸を、通りすがりの一人の青年が見つけた。
青年は少し驚いたような顔をして言った。
「なんでこんなとこにチン毛落ちてるんだ?」

それから彼は、彼が長年抱えているらしき疑問を口にしながら、その骸に指を伸ばした。
「チン毛ってあり得ないとこに落ちてるよなー」
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/25(日) 09:47:40.90 ID:ml+YytEVO<> >>471
涙を返せ

詐欺じゃないけど詐欺だぜ。
GJ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/25(日) 10:24:34.46 ID:mro8OFt+0<> >>292
うわ、すごい。
密かに自分の中で好きなカプだったから嬉しい異常に驚いた。
ありがとう!

レス番付けないけど溶解人間関連SS全て美味しいです^q^
ありがたやありがたや <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/25(日) 11:42:46.94 ID:dY6V/tjs0<> >>474
ぼっちクリスマスに悲恋もいいわ…(;´Д⊂)

と思いながら読んでた純真な乙女心を傷つけやがって
これがあるから棚通いは止められんwGJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/26(月) 09:08:50.09 ID:BBQLndOI0<> 「剥がれる」って文字化けする? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/26(月) 15:04:34.02 ID:KyjK/itF0<> >>471
やられたw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/26(月) 16:55:45.12 ID:iS2oE75P0<> >471
すごく良かった。
途中で「人間じゃない?」と思ったけどまさかそういうオチとは。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/26(月) 22:28:08.55 ID:SWIuz+px0<> >>478
第三水準のほうなら化けるよ。環境依存文字 <> Forget-me-not 1/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:22:37.21 ID:HNwwRrW20<> ヒカ碁ヤンスミです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「買い物に行ってきます」

楊海は自室の机に残されたメモを指先で摘み上げた。
伊角が投宿して1ヶ月。
ほぼ棋院内で事は済むとはいえ、
日常のこまごまとした物の購入や、
息抜きと称して楽平らに連れ出される外食の為
周辺の店に行きつけなども出来ている。
外はまだ明るい。
成人男性の一人歩きを心配する状況ではないが、
楊海は落ち着き無く窓の外を見やったりしてしまう。

伊角は一見地味な外見だが、よく見るととても綺麗な顔をしている。
それに気付いたのはこの部屋の退去を決める最初の対局中だった。
対局に手一杯だった伊角はあずかり知らぬ事だが、
不自然なくらい見つめてしまった。
目を奪われていた。 <> Forget-me-not 2/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:23:03.67 ID:HNwwRrW20<> 次に気付いたのは夜半の雷雨を見る横顔で。
既に消灯した部屋に踊る雷光に、
水のように静かな気配で、すっと伸ばした背筋で、
「こちらの雷は青いんですね」
と呟いた顔を見て、ああ自分はこの青年を好きなのだと知った。
引き寄せてそのまま奪った。
驚きや、物慣れない故の羞恥と焦りは見せたが
嫌悪による拒否は無かった。
それをいい事に関係を続けている。

楊海は溜め息をついた。
何故伊角が自分に従い続けているかが分からない。
だが問い詰めて「押しに弱いからです」などと言われてみろ、
二重の意味で終わりだぞ、と足を留めたままでいる。
それに自分だってずるい。
彼にいまだに、一度も「好きだ」と白状していないのだから。 <> Forget-me-not 3/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:23:40.25 ID:HNwwRrW20<> 「戻りました」

ドアを開けると、出かける前には不在だった楊海が在室していた。
部屋の中で唯一散らかっていない伊角のベッドの上に、
日用雑貨を入れた袋と、もうひとつの包みを降ろす。
楊海が寄ってきて覗き込む。

「何?」
「あの、いつもの食堂の杏仁豆腐を……
 さっき訓練室で冷たい物が食べたいって
 言ってたから」
「買ってきてくれたんだ!ありがとう!
 よく持ち帰りって単語知ってたね」
「いえ、知りませんでした」
そう言って苦笑した。 <> Forget-me-not 4/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:24:02.80 ID:HNwwRrW20<> 「漢字なら分かるかなって、紙に『持帰』って書いたんですけど
 全然伝わらなくて。他のお客さんまで集まってきちゃって、
 ジェスチャー大会でしたよ」
「はは!それは見たかったな。それで通じたんだ?」
「いえ、そういえばと思って、『テイクアウト!』
 て言ったら満場一致で『ああ!』って。
 なんかすごく皆やりとげた感じになって……
 何笑ってるんですか」
「いや、伊角君らしいなと思って……ばかにしてる訳じゃないよ」
そう言いつつも身をよじっている楊海にむくれて、
白いポリエステルの容器をその胸に押し付けた。
「もうずっと笑ってたらいいです。
 この話はもうしません!」
「ごめんって。怒らないで?」
ね?と機嫌を取ってくる楊海に背を向けたが、
怒った訳ではなかった。
自分の口が過ぎた事を後悔しているだけだ。
帰国するまでの、ただの遊び相手であろう自分が
彼の為に筆談やジェスチャーで必死になっていたと、
そこに気付かれたら疎まれてしまう。
それが何よりも怖い。
黙っていなくては。
せめて帰るまでは。 <> Forget-me-not 5/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:24:24.59 ID:HNwwRrW20<> 見送りは固辞されたが、無理矢理空港まで付いてきた。
出国手続きも全て終わって、
後はもう別れるだけだ。

「本当にお世話になりました」
「世話という程の事はしてないよ。
 君は碁の事以外で我が侭を全く言わないし。
 楽な同居人だったさ」
それだけじゃない。好きだと言え、自分。
内心で鼓舞しながらも、その一言を引き伸ばしている。
伊角が「我が侭……」と呟いて、ふと手を上げた。

視線を彷徨わせていた自分の左手の袖を、
二本の指で控え目に捉えられた。
どうかしたかと問う前に、
伊角が楊海の国の言葉で言った。 <> Forget-me-not 6/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:24:54.15 ID:HNwwRrW20<> 「ダイツォオ」

諦めたような、勇気を全部使ったような笑顔で繰り返した。
「ダイツォオ。」
ぽかんとしている間にさっと指は離れ、
これ前の時にお店の人に教わってたんですよねと笑って続ける。
「それじゃあ、お世話になりました!」
一礼して伊角はゲートの向こうに消えていった。

取り残された胸に彼の声が何度も響く。
ダイツォオ。
帯走。

持って帰りたいです。


飛行機は遅延もなく空を走って行った。 <> Forget-me-not 7/7<>sage<>2011/12/31(土) 00:25:16.77 ID:HNwwRrW20<> 成田空港では意外な人物が伊角を出迎えた。
「慎ちゃんお帰り!」
「桜野さん!わざわざ来てくださったんですか」
「成瀬門下代表でね。だって2ヶ月も行ってたんだもの、
 そりゃ心配したのよ皆」
「すみません」
「しっかりしてるのに抜けてるとこもあるから。
 成瀬先生の所にもさっき楊海さんて人から電話が来てたのよ」
楊海、の名に心臓が跳ね上がる。
これで別れだからと、
直裁にではないものの告白などしてしまったのだ。
今更無かった事には出来ないが、嫌われていないかなど
もう会う機会も無いだろうに未練がましく気になってしまう。
「あの……なんて?」
「さっき飛行機に乗りましたって!」
丁寧な人よね、と桜野は頷いて、
「それから、持って帰るって言った物を忘れて行ったって。
 近々日本に行くから、その時渡しますって」
慎ちゃん何忘れてきたの?と呆れ顔をされた。


「だからそれまで忘れず覚えておいてだってさ」


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/31(土) 05:09:24.69 ID:MtBPLBZ90<> >>482
GJ!!!!!!!!
まさか今ヤンスミが読めるとは…! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/12/31(土) 15:11:41.98 ID:PvGu6iuR0<> >>482
年末にヤンスミが読めるとは…! <> 花の夢 0/5<>sage<>2012/01/03(火) 18:20:35.74 ID:Pm0mSQs60<> 半生il注意。
元旦スペの早見×九差壁

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 花の夢 1/5<>sage<>2012/01/03(火) 18:20:53.99 ID:Pm0mSQs60<>  彼は、薄汚れた壁を眺めながら、ぼんやりと考える。
 考える時間だけはいくらでもあった。彼にとって、今生きていることは計画外のことであり、それゆえ彼は静かだった。
 余生を過ごすというのはこんな感じなのだろうかと、彼は考えていた。
 彼は生きているはずではなかった。けれど、死ぬと決めたときに死ななかった。死ねなかったのではないし、
死にぞこなったというのも少し違う。ただ、死ななかった。それはまぎれもなく彼の意志だったが、だからといって、
生きる希望を持っているわけではない。
 つまるところ、今生きていることは、彼にとって余りの時間だった。

 未来を考える機能が壊れてしまった彼は、ぼんやりと過去ばかりを思い出していた。
 例えば、7年間働いていた屋台珈琲店。他人から見れば不安定で夢も希望もないような仕事だっただろうが、
彼には彼なりの誇りと愛着があった。ろくに体を動かすこともできないほど狭い店内の、一つ一つを、彼は今でもありありと瞼の裏に思い描くことができた。
 例えば、思い出と呼べるほどの思い出もない、父親のことを。父親の死が彼に与えた影響は強かったのだろう。
 だが、それは悲しみというより、不意に横殴りにされたような重い衝撃だった。父親の死に顔を見ても、
 悲しめるほどの思い出すら彼の中にはなく、悲しみに浸ってしまいたいのに、ひたすら空虚だった。
 泣くこともできない虚ろの中で、こんなに近くにいたのにという衝撃だけが、唯一リアルな手触りを持っていた。

 そして、例えば ─── あの人のことを。
<> 花の夢 2/5<>sage<>2012/01/03(火) 18:21:08.84 ID:Pm0mSQs60<> ある男との出会いが、彼に一つの計画を思いつかせ、実行させた。それは二重構造になっており、男の計画を隠れ蓑にして、
彼自身の目的を叶えようというものだった。
だが、彼は知っていた。本来、二重構造のおもちゃ箱は、目的という名のコインを入れれば、隠しBOXへ落ちる仕掛けになっているべきだ。
けれども、彼の作ったおもちゃ箱では、コインはどこにも留まらない。いっとき留まったかのように見えても、
スルリと抜け落ちて、誰の望みも叶えはしない。
彼は初めから知っていた。十億を手にして公園を買い取るなど、夢物語でしかないと。
知っていて行動に移したのは、彼には失うものが何もなかったからかもしれない。別にそれは、今まで、彼を絶望させたりはしなかった。
彼は家族に縁薄く、特別親しい友人も持たなかったが、だからといって自分を不幸だと思っていたわけではなかった。
彼は彼の人生を生きており、この特別幸せでも、特別不幸せでもない日々こそが、そこらじゅうにありふれている生活なのだと知っていた。
その意味では、彼は確かに自分の人生を受け入れていたし、国や政府に対する強い憤りなどもってはいなかった。

─── そういう意味では、自分よりずっと、あの人のほうが、純粋だった。

初めから、犯罪で手にした十億で、公園を買い取ることなど不可能だと知っていた。それでも彼が実行に移したのは、
その目的は、突き詰めてしまえば、自己満足であったのかもしれない。
誰もかえりみることのない人々に、傘を差し出して、ほんのいっとき守ろうとするような自己満足だ。
長期的に見れば誰も助けていない。本当に彼らのことを思うならば、もっと別の方法を取るべきだ。……だけど、本当にって、なんだ?
ほんの一瞬、差し出された傘に、心が救われることだってある。たとえ無意味でも、何も成していなくとも、
そんな優しさが必要なときだってある。彼はそれを知っていた。彼の人生において降り注いできた優しさというのは、
常にそういった類のものだったからだ。だから、彼もまた、自己満足という名前の傘を誰かに差し出して、ほんのいっとき守ってやりたかった。

─── それを、あの人に話していたら、あの人はなんと答えてくれただろうか?
<> 花の夢 3/5<>sage<>2012/01/03(火) 18:21:26.54 ID:Pm0mSQs60<> わからない。彼が問いかけることはなかった。なぜなら彼にとって男は本物の桜だった。彼自身は、
季節に左右されることもなく店の隅で埃を被っている造花だったが、男は春にしか咲かない本物の美しい花だった。
少なくとも彼は、そう思っていた。
だから彼は、男に真実を打ち明けることはなかった。造花の理論など、本物の花には理解できないだろうし、
して欲しいとも思わない。本物の花には、本物の花としての生き方がある。それは造花の彼から見れば、あまりに理想主義で、
現実から程遠く、哀れなほどに夢想的だったが、同時に、手を触れることが叶わぬほど美しかった。
夢を見ることをやめてしまった彼にとって、男の語る理想は、赤々と燃える太陽のようだった。美しかった。
決して手が届かないとわかっていても、頷いてしまうほどに。
いっそ男の語る理想に身をゆだねてしまうかと思ったことも、一度や二度ではなかった。男と過ごす時間は、
彼にとって久しぶりに温かく、幸福だった。理想以外のことを話しているとき、男は彼を弟か、まるで息子のように扱った。
ぞんざいで、荒々しく、それでいて楽しげに。何度も使い走りにされて、彼の部屋には男の好む銘柄の煙草ばかりが増えた。
お前は若いくせに体力がないと呆れられて ─── 男に比べればほとんどの若者が体力なしだろうと彼は
内心で思ったが ─── 早朝マラソンに付き合わされたこともある。柔軟体操も大切だと、足を開いた状態で思い切り背中を押されて、
股関節が脱臼するかという目にあったこともあった(その時ばかりは、さすがの彼も涙目になって抗議した)

楽しかった。今になって、あの人のことばかり思い出すほど。

いっそ、男がただの友人に戻ることを望んだなら、彼は計画すら捨てたかもしれない。
だが彼はわかっていた。もし彼が、共犯者としての立場を捨て、ただの友人としての関係を望んだなら、
男は何もいわず彼の元を去っただろう。男はどこまでも本物の桜だった。造花にはなってくれない。永遠に。
そして彼もまた、そんな男を愛していた。造花にはなれない、どこまでも純粋で理想主義な男を、守ってやりたかった。
<> 花の夢 4/5<>sage<>2012/01/03(火) 18:21:38.57 ID:Pm0mSQs60<> 男の理想に身をゆだねてしまおうかと思う日もあった。どこまでも男についていって、ともに死んでしまおうかと考える日もあった。
男との日々が永遠に続かないかと願う日もあった。計画の全てを捨てて、平凡だがそれなりに幸せな生活を、
男とともに生きていけないだろうかと祈る日もあった。


けれど彼は、そのどれも選ばず、ここにきた。結局は、初めの計画を変えることなく、男を欺き、殺し、金を奪い、
包囲されて…………ただ一つ、計画と違うのは、生きていることだけだ。

死ぬはずだった時に死ななかったから、今さら死ぬ気にもなれなくて、彼は毎日を生きている。

ここに至るまでのことを、毎日ぼんやりと思い出しているけれど、特に後悔も悲しみも浮かばない。
これで良かったのだと思う。彼はいまや凶悪な犯罪者だ。金目当てに幼い子供たちを誘拐し、仲間を操り罪をなすりつけ、
挙句に殺した。忌まわしい事件の主犯、唾棄すべき犯罪者。……男の理想が汚される日は来ない。
造花は踏みにじられてもいい。けれど本物の桜が、真実美しいものが、ゴミのように扱われるのは耐えられない。
汚されるくらいならば、永遠に隠しておく。男の理想を知っているのは自分だけでいい。あの人が何を憂い、何を願って、
どんな風に生きていたかは、誰にも語らない。自分の罪状がどれほど重くなろうとどうでもいい。裁判で、報道で、
男の心がしたり顔で解説される日など、永遠に来させはしない。これはただの金目当ての誘拐であり殺人だ。それでいい。

あの人の真実は、自分が胸の中に隠し持って、墓まで抱いていく。

そのために、自分はあの人を殺したのだから。
<> 花の夢 5/5<>sage<>2012/01/03(火) 18:21:59.97 ID:Pm0mSQs60<> ただ、彼には一つだけ不思議なことがあった。
夢を見るのだ。男の夢を。
夢の中で、男は何も語らない。裏切り者である彼を、罵りも蔑みもしない。
自分の願望が見せているにしては、不可解な夢だった。彼はむしろ、男に徹底的に軽蔑されることを望んでいた。
本物の桜である男なら、必ずそうするだろうと思ってもいた。
造花の自分を理解して欲しいと思っていたわけではないし、慈悲を請うていたわけでもなかった。

なのに、どうして。

──── 夢の中で、男はいつも、笑っているのだろうか。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/03(火) 21:05:06.35 ID:eSmKne2mO<> >>491
本編の補完ありがとうございます!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/04(水) 02:53:31.26 ID:Tv/Mq77P0<> >>491
めっちゃ読みたいと思ってたモノがここに!!
ありがとうございます!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/04(水) 23:04:35.87 ID:4eEvURe1O<> >>491
ありがとう!涙出てきた! <> オリジナルやきう0/3<>sage<>2012/01/12(木) 22:08:18.03 ID:w26BQ8/z0<> オリジナル
プロ野球試合中の一幕
特にモデルさんなどはいらっしゃいません

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> オリジナルやきう1/3<>sage<>2012/01/12(木) 22:11:59.61 ID:w26BQ8/z0<> ベンチウォーマーなどという随分な言葉があるが、まさにそれを不本意ながら体現しつつも半一軍選手である椎名恵太は戦況を見つめていた。
このイニングを守り抜けば、信陽アルバトロス――我々の勝利が確定し、セ・リーグ単独トップに返り咲くことが出来る。
今年のペナントレースは終始混戦を極め、通常では消化試合の時期にあたる今も連日デッドヒートだ。
そして今日はまた一つ歴史が作られる瞬間に立ち会えるかも知れない、そんな日でもあった。
三塁側ベンチに座る誰もが、固唾を呑んでマウンドの二人を見つめていた。

「何か俺が緊張してきた……」
同期入団の大和眞也は、つい昨日初めての一軍登録をされたばかりだ。
分離ドラフト時代に高校を卒業したのち入団した椎名らは、今年で三年目のシーズンを迎えている。
普段ならばブルペンに入るべき大和だが、監督も今日ばかりは他のピッチャーを使う気は無いらしい。
「大和が緊張?」
めっずらし、と椎名の横に座る阿嘉嶺悟が小さく呟いた。
もう一人の同期入団者である阿嘉嶺は、プロ入り二年目から完全に一軍に定着し六番を打っている。
複数球団で競合するようないわゆる逸材というやつで、鳴り物入りで入団した形ではあったが実にその働きは目覚ましい。
現に今日、このゲームでリードしている二点は彼によるツーランホームランのお陰だ。
「ミネは図太てーんだっ、よっ!」
阿嘉嶺の太腿からばしり、小気味良い音が鳴った。大和は唇を尖らせ阿嘉嶺をじとりと睨みつける。
イースタンリーグ最優秀防御率のタイトルを持つ大和は、少々子どもじみた面があった。
しかし沖縄出身である阿嘉嶺は何食わぬ涼しげな顔をしてマウンドへと意識を戻す。
板挟みされた椎名にとってこれはたまったものではない。ただでさえ緊張感の走る一面だというのに。
今日のゲームはいつも見慣れた外野からの景色を見ることもなく代走に起用され、そのまま一打席も立たずにベンチへ戻った。
どっと疲れがやって来たような気さえする。 <> オリジナルやきう2/3<>sage<>2012/01/12(木) 22:14:59.96 ID:w26BQ8/z0<> マウンドには見慣れた二人が口元を隠し、真剣な表情で何か言葉を交わしていた。
信陽アルバトロス名物バッテリーがそこには立っている。
彼らの雰囲気はあまりに独特で、特にこの九回は他の内野陣を介入させない程の剣幕があった。
「服部さん、いけるかな」
マウンドに立つエースピッチャーは、今日の勝利で最多勝利投手となることが確定する。
そしてこの回をゼロで抑えると、最優秀防御率のタイトルもほぼ彼のものであると言って差し支え無いだろう。――そんな大事な試合だった。
「いっけるに決まってんだろ!……って言われんぞ」
「何それ大橋さんの真似?」
「しいちゃん、大和の物真似は似てないからこそ面白いんだよ」
椎名が疑問形で返すと、阿嘉嶺が茶々を入れる。
大和はすっかりふてくされたようで、片頬を膨らませわざとらしく鼻を鳴らした。正直可愛くない。
「冗談じゃなくて、あの人ならやるな」
「いやあの人らなら、だろ」

服部勝と大橋徹のバッテリーは球界でもしばしば話題に上がる、押すに押されぬゴールデンバッテリーだ。
信陽アルバトロスの中核を担っていると言ってもいいだろう。
服部は大橋を「俺のキャッチャーはあいつしかいない」と評し、
大橋は服部を「あいつが引退する時に俺も引退する」と真面目な顔で複数のインタビューに答えている。
「俺最近知ったんだけどさ」
「うん?」
三人のじっと見つめる先で、大橋が何か耳打ちした言葉に服部が笑った。
試合展開にはそぐわない表情だったが、野球小僧らしい表情だと椎名は思う。
まるで悪童がいたずらを思いついた、そんな顔だ。
「あの二人のミットとグローブ、モデルはお揃いじゃん」
喧騒にまぎれる椎名の言葉は、確かに二人には届いていた。そんなことは誰だって知っている。 <> オリジナルやきう3/3<>sage<>2012/01/12(木) 22:15:52.68 ID:w26BQ8/z0<> 同じメーカーのオーダーメイド一品物。
服部が赤のグローブを、大橋が青のミットを使っており、違うのはその種類と色だけだ。
ステッチや装飾品、背番号の刺繍に至っては服部が大橋の背番号である21、
大橋が服部の11とそれぞれお互いがお互いのものを入れている。有名な話だった。
「内側に刺繍あるの、お前ら知ってた?」
この椎名の言葉には阿嘉嶺も大和も目を丸くした。知らない、と思わず戦況から目が離れる。
「この前試合前にベンチで並べて置いてあって、たまたま見えたんだけど」
観客席がどよめく。遂に九回が始まるようだ。
このベンチからは見えるはずも無いのだが、バッターボックス後方に座るマスクを被った大橋の得意げな顔が何故か思い浮かんだ。

――“Trust me, trust you.”って入ってんの。
椎名はそう呟いたはずだった。服部が第一球を放った瞬間、あれだけさざめいていた客席が水を打ったように静まった。
誰もがマウンドの服部に視線を向け、次にスピードガンへと眼差しを移す。
椎名達も例外ではない。阿嘉嶺も大和も、椎名の発言など聞いてはいなかった。
「ひゃくろくじゅう、ご……!」
夢見心地で叫んだその言葉は、様々な場所からの和音に紛れた。
球場全体が歓声に包まれる。一塁側も三塁側も関係無い。
椎名は刮目する。先に思い浮かんだ大橋の表情と、今マウンドで笑む服部のそれがそっくりだったからだ。
してやったり。エースは誰の為ではなく、唯一無二と認めたキャッチャーに向かってサムズアップした。
歓声が鼓膜を打ちつけるそんな音に、あと数十分でドラマが生まれる予感がする。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/13(金) 22:54:06.88 ID:tPn/LO7K0<> >>501
もしかしたら結構前にこのバッテリーさんで書かれてた方かな?
こういう普通な感じたまらんです! <> 深夜の電車内にて 1/2<>sage<>2012/01/13(金) 23:09:45.83 ID:ayef6LBQ0<> 半生。危険刑事 嵩山×十流。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
1.
 深夜の電車内は静かだった。嵩山が今乗っているこの車両には、自身のほかに後輩である十流
しかいない。隣に座る十流はうつらうつらと夢現を彷徨っていて、嵩山は起きてはいるものの黙
って身じろぎもしないから当然だ。ちらりと見える隣の車両の奥には、サラリーマンらしき男が
いるが、座席をベッド代わりにして熟睡しているようでピクリとも動かない。
 視線だけ動かして、嵩山は十流の顔を眺める。うつらうつらしていた十流は、視線に気付いて
眠そうな目を嵩山に向ける。
「せんぱい……?」
 半分寝ぼけた頼りない声で、十流は嵩山を呼ぶ。それがなぜだか妙におかしくて、嵩山は思わ
ず笑ってしまった。とたんにむっとした顔をする十流の頭を撫でてやる。
「なんなんですか、もー」
「いや、別に」
 眠くて抵抗する気も起きないのか、不満そうな顔をしながらも十流は嵩山の手を振り払わなか
った。そのまま頭を撫で続けると、十流の顔から不満が薄れて、だんだんまぶたが下がっていく。
 このまま本格的に寝入ってしまいそうな姿に、嵩山は小さく息を吐いて、
「寝るなよ。次の次で降りるんだからな」
「……わかって……ます……」
 そう答えた十流のまぶたは完全に下がっていて、どこからどう見ても眠りに落ちる寸前である。
これが電車に乗った直後なら嵩山も寝かしてやるのだが、降車駅まで後わずかの今、寝かしてや
るわけにも行かない。上背とそれに比例した体重を持つ十流を、嵩山一人で運ぶことは出来ない
からだ。
「十流、寝るなって言ってるだろ」
 肩を揺すって再度言うが、十流の口から漏れるのは言葉にならない、むずがるような声だった。
「……ったく」 <> 深夜の電車内にて 2/2<>sage<>2012/01/13(金) 23:10:13.76 ID:ayef6LBQ0<> 2.
 この車両には嵩山たちしかいない。隣の車両のサラリーマンは、奥の座席に寝転んですっかり
寝込んでいる。……ならば、問題ないだろう。

 眠りに落ちかかっている十流の唇に、嵩山は自分の唇を重ねる。そのまま無防備に半分開いて
いる口腔内に舌を差し込んだ。上顎をなぞり、舌を絡め取って吸い付いてやる。
 そうまでされれば流石に目が覚めるらしく、慌てて十流が身じろぎした。逃れようとする十流
の頭を押さえつけ、さらに深く口付ける。舌の付け根をつついてなぞると、んっ……と、十流は
鼻にかかった声を漏らした。
 気が済むまで唇を犯してようやく嵩山が唇を離すと、十流は赤い顔をして手の甲で唇を拭う。
唇の端に残った唾液が車内の照明に反射して、ぬらりと光った。
「目、覚めたか」
「……何考えてるんですか、こんなところで」
 赤い顔で睨み付けられても、まったく怖くはない。赤い顔を引き寄せて額に軽いキスを落とし
てやると、ぴくりと肩がはねた。
「なぁ」
「……なんですか」
「お前明日非番だったよな?」
 真意をきっちり汲み取ったらしい十流は、赤くなった顔を嵩山の肩口に押し付けると蚊の鳴く
ような声で、
「……はい」
 と答える。
 その返事に満足して、嵩山は十流の頭をくしゃりと撫でた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
萌えが抑えられずに書いた。十流受けが増えますように。 <> 戯れに誘う 1/6<>sage<>2012/01/14(土) 01:28:10.50 ID:R+PAv0BoO<> 半生注意。洋画ホラー「不来卜ナイ卜」吸血鬼×モブの青年。
エロあり。多少読みにくいかも。
吸血描写が苦手な方はお手数ですが数レスほど飛ばしてください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

俺がその男を見つけたのは偶然だった。というか、俺が気を抜いていたせいで”食事”の光景を見られてしまったのだ。
その日もいつものようにストリッパーと呼ばれるようなタイプの女を家に呼び、誘惑し、悦ばせ、気を緩めたところで首筋に喰らい付き、その甘く蕩けるようなエネルギーに満ちた生血を啜った。
その後同類と化したその女を闇の中へ誘い、口直しに瑞々しい青リンゴを頬張りながらテレビの前に座ろうとした時ふと気が付いた。
ニオイがする。見てはいけないものを見てしまった後悔と、得体の知れない存在に恐れ慄くニオイが。
俺はゆっくりと鼻から息を吸い、その芳しい恐怖を肺に満たす。どうやらソイツはこの家の中にいるらしい。
こういうことに鼻が利くやつは勝手にこっちに近付いてきてくれるからありがたい。俺がわざわざ家に招き入れてもらう手間を省いてくれる。
好奇心というものは実に残酷だ。一体何人がそれのせいで俺の手に掛かったか。
堪えきれず笑いを漏らしながら、俺はソイツの出方を窺う。気付かれていないと思っているのか、身を屈めてコソコソと玄関に向かっている。
必死に息を殺し、物音を立てまいと神経を尖らせながら背後を気にしているソイツを、俺は正面から眺めてやった。
出口の一歩手前で何かにぶつかって尻餅をついたソイツは目玉が飛び出そうなほどに目を見開いて後退る。
何故リビングでテレビを見ていたはずの俺が目の前にいるのかと混乱しているようだ。 <> 戯れに誘う 2/6<>sage<>2012/01/14(土) 01:30:15.75 ID:R+PAv0BoO<> 残念だったな。俺はちょっとばかり早足でね。しゃがみ込んでそう耳元に吹き込んでやると、ソイツは逃れられない運命を悟り顔を引き攣らせた。
それにしてもコイツは面白いくらいに怖がってくれる。まるで腹を空かせた野犬に囲まれたウサギのようだ。
もっとも、目の前にいるコイツはウサギほど可愛らしくもないし、向き合っている俺は野犬ほど優しくもないが。
だが残念なことに、俺はたった今食事を済ませたばかりで腹を空かせてはいない。しかし腹が満たされた分、別な欲求が頭をもたげ始めていた。そう、肉欲だ。
幸いにも俺は愉しめるのなら瑣末な問題は気にしない性質だ。だから相手が必ずしも女である必要はない。
改めて目の前の男を品定めしてみれば、見た目はそう悪くはない。身体も程良く肉が付いているし、何より生命力が漲っている。
命の危機に瀕して種としての本能が呼び起こされたのか、頭は恐怖と絶望に凍り付いているというのに
身体の方は子孫を遺さねばと躍起になっているのだ。コイツ自身はそれに気付いていない。だから俺が自覚させてやろう。
俺は人差し指を軽く咬み、指先に血液の滴を作る。それを唇や歯や舌に塗りたくって口元を真っ赤に染め上げると、両手で彼の顔を引き寄せキスをした。
初めは驚いて抵抗したが、血の味に気付くとすっと身体から力が抜ける。唇を啄み、歯列をなぞり、舌を絡ませて息を奪う。
一旦解放し、彼が呼吸を整える間に舌を噛んで血を滲ませてからもう一度口付ける。今度は俺が舌を入れるより早くそこに吸い付き、媚薬のような俺の血を自ら飲み込んだ。
そこからはあっという間だ。完全に蕩けきった彼をベッドまで連れ戻し、引き裂くように服を脱ぐ。何度もキスをして俺の血を飲ませ、肌に触れるだけで達しそうになるほどに身体を昂らせた。 <> 戯れに誘う 3/6<>sage<>2012/01/14(土) 01:32:06.68 ID:R+PAv0BoO<> 正気を失いつつある彼は、狂いそうな快感から逃れようと身を捩る。そんな彼を縫い止めるように上から覆い被さり、顕わになった胸元に舌を這わせた。
ひゅっと喉を鳴らして彼が仰け反る。吸い付いたり歯を立てたりして更に追い詰めると彼は泣き出した。
はっきりとした刺激でないと絶頂を迎えられないようになっているのだ。俺の血がそうさせている。こういうことはもっと長く愉しまないと損だからな。
俺は徐々に移動してようやく下腹部に到達する。そこはジーンズの上からもヒクついているのがわかりそうなくらいに張り詰めていた。
悪戯に軽くつついてやると、彼は情けない声を漏らして大げさに腰を揺らす。その刺激だけで彼は身体を震わせてイッてしまった。
しかし、一度の射精くらいで解放されるはずなどない。一層増した熱が身体を駆け巡り、屹立が萎えることを許さない。異変に気が付いた彼が悲鳴を上げる。ここからが本番だ。
ジーンズから中身を出させ、ガチガチに硬くなったモノを舐め上げる。コイツ見た目の割に結構なモノをぶら下げてるな。
愉しませてくれそうだ。俺は思わず舌なめずりをしてソレを口に含んだ。
さっきので溢れた精液を音を立てて啜りながら頭を上下に動かす。時々先端を舐め回してやると引っ切り無しに嬌声を上げる。
下の袋を手で弄ぶと、瞬く間に二度目の絶頂を迎えて俺の口内にぶちまけた。
尿道に残っていた分まで全部吸い出してから頭を上げる。屹立はまだそそり立ったままで、彼はあまりの快楽に垂らした涎も飲み込めず気を失いかけていた。
おいおい、まだまだこれからだぞ?俺はちゃんと聞こえるように呟いてから、
彼のお陰ですっかり元気になった自分のモノを取り出す。そして何の猶予も与えないまま一気に彼の中に押し入った。 <> 戯れに誘う 4/6<>sage<>2012/01/14(土) 01:34:09.85 ID:R+PAv0BoO<> 弾かれたように色気のない声を上げて彼が硬直する。千切られそうなくらいに内壁が俺のモノを締め付けてくるのが堪らなく気持ち良い。
その苦痛を堪能するようにしばらくそのままでいると、強張った彼の身体もじわじわと悦びに目覚めてくる。やがて内壁は入り込んだ異物を押し出そうと蠢き始めた。
その動きに彼は甘い声を漏らし始め、胸を上下させて喘ぐ。それでもまだ動かずにいると、
異物が除かれないことへの不快感とそれ以上の快感が与えられないことへの渇望が混ざり合い、彼は苦しそうに呻き声を上げる。
どうして欲しい?俺が身体を折り曲げて耳元で尋ねると、彼は焦点の合わない目で俺を探しながら啜り泣く。
たすけて、くるしい、おかしくなる。切れ切れに声を絞り出して手を伸ばす。首に回そうとしてきたその手を掴み、片手で彼の頭上に固定した。
絶望に彼の表情が引き攣る。俺は涙で歪んだ視界にもはっきりと映るように大きく口角を上げて笑い、思い切り腰を突き上げた。
ソイツは踏み付けられた小動物のような声を上げ、その衝撃で限界を超えたのか勢い良く精液を飛び散らせた。
まるで俺のモノに押されて出てきたようなその現象がとても面白く見えた俺は、何度かゆっくりと、だが奥の奥をこじ開けるような激しさで腰を打ち付ける。
彼は揺さ振られる度に屹立から白濁を飛ばして自分の身体を汚していった。
襲い掛かる強烈な快感に飲み込まれ、彼は呼吸の仕方すら忘れてしまったように全身を硬くする。
だが俺のモノで中をぐちゃぐちゃに掻き回されていく内に、かろうじて残っていた理性や怯え、間近に迫った死への恐怖すら零れ落ち、
ただ与えられる――いや、強引に捻じ込まれる牙にも似た圧倒的な感覚に全てを奪われる。 <> 戯れに誘う 5/6<>sage<>2012/01/14(土) 01:35:44.69 ID:R+PAv0BoO<> だが、享楽も行き過ぎれば拷問に等しい。まだわずかに悦びを含んでいた喘ぎ声は次第に苦悶の呻きに変わり、やがて解放を求めて俺に懇願する叫びとなる。
いやだ、もうやめて、おねがい、ゆるして、たすけて――まるで糸の切れた人形のように力の入らない身体を執拗に責め立てられ、彼は泣き叫ぶ。
その喉を締め上げるようにして発せられる声が、尋常でないほどに熱を叩き込まれた身体が、混濁した感情を滲ませて俺を捉えようとする瞳が、
どうしようもないくらいに俺の欲望を煽り立てた。抵抗もできない無力な存在をいたぶり捕食する悦びに魂が打ち震える。
腹の底から湧き上がる本能に従い、俺は本気で彼に襲い掛かった。全身で圧し掛かり、脚を限界まで広げさせて突き刺すように中を抉る。
もはや悲鳴すら聞こえない。息をしているのかもわからない。目を見開き舌を覗かせ、大きく背を反らした彼の汗ばんだ首筋に顔を摺り寄せた。
頚動脈が脈打っている。彼の心臓は狂ったように血液を全身に巡らせ、必死に生きようとしている。
人間の血液が最も美味くなるこの瞬間、彼らは嗅ぐだけでイッてしまいそうなほど濃厚なニオイを発して俺を誘惑する。頭の中が蕩けそうだ。
そろそろ俺自身も限界が近くなり少し動きを早めると、もうほとんど意識が飛んでいる彼が縋るように俺の背中に腕を回してきた。
しにたくない、と唇だけを動かして命乞いをする。
死にはしない、死ぬよりもずっと愉しいことを教えてやる。そう囁いて髪を撫でてやると、
彼の中で霧散していた恐怖が再び呼び起こされ、虚ろだった目に一瞬だけ光が灯る。 <> 戯れに誘う 6/6<>sage<>2012/01/14(土) 01:37:28.29 ID:R+PAv0BoO<> その隙を突き、俺は牙を剥き出しにして首筋に突き立てる。ブツッという肉が切れる音と共に溢れ出す焼けるように熱い血液が、魂の飢えと渇きを癒していく。
その甘い汁を一滴も漏らさないようにもっと牙を食い込ませ、もっと唇を吸い付かせ、喉を鳴らして全てを飲み干した。
体内に流し込んだ彼の血は上質な麻薬のように俺を高揚させ絶頂へと急き立てる。ゾクゾクと背筋を走る快感に天を仰いで獣のような咆哮を上げ、彼の中に収めたままの屹立の熱を弾けさせた。
それを感じた彼は苦痛とも歓喜とも取れる表情で涙を流し、全身を大きく痙攣させながらもう何度目とも知れない絶頂を迎えて事切れた。
そうして彼の人間としての生は幕を下ろした。次に目が覚める頃には変化は完全なものとなり、晴れて俺の同類となる。
夜を支配し、恐怖を従え、暗闇を飼い馴らす。何も恐れるものはない。
忌々しい太陽ですら夜の闇を完全に追い払うことができないように、人間は俺の餌であるという現実から逃れることはできないのだ。
だがこの街も幾分暮らしにくくなってきた。俺が街の人口をかなり減らしたせいで、その正体がわからない恐怖から逃げるように住人は街を捨てて他所へと移り始めた。もう潮時のようだ。
次の住処にはもう目星を付けてある。ベガス近郊に最近できた新興住宅地だ。
ベガスは眠らない。活気付いた人々が夜の街に溢れ、歓楽に飢えた奴等が俺の誘いを今か今かと待ち侘びている。
さぁ、今度はどんなやつが俺に興味を持つだろう。誰であろうと、俺が暗闇の世界に引きずり込んでやるさ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/14(土) 08:33:46.97 ID:p+OxzZ4f0<> >>507
観に行った時に「女がこうならきっと男も…」って思ってけど、まさかここで読めるとは!
いいものをありがとう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/14(土) 16:11:07.54 ID:/i5AfnXE0<> >>505
十流ちゃん可愛いよマジ可愛い
アホ可愛い後輩好きだったけど、今になってこんな物が読めるなんて! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/14(土) 17:47:04.10 ID:Jg/UsyZV0<> >>507
GJ!GJ!
姐さん、仕事早いっすねw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/14(土) 21:01:47.43 ID:aZ3KR/dz0<> >>505
萌えた…!十流ちゃん受いいよいいよー
是非また書いてくださいお願いします <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/15(日) 11:42:30.15 ID:1Q9Acxbz0<> 503 :風と木の名無しさん:2012/01/14(土) 21:53:44.81 ID:GIvKzTUv0
あまりにくだらなさすぎるのでここで吐き出し
赤ずきん×狼で801小説が読みたい・・
悪い狼が赤ずきん(ほんとの意味で)食ったるわーとベッドの中で変装して
ゲヘゲヘ待ってるんだけど蓋を開けてみたらあれ?狼の方が食われちゃったよ?(性的なry)っていう感じの
丸飲みにされたおばあちゃんを狼のお腹から助け出す前に「女物の服着てこんなことされて恥ずかしいね」とか
「こんなにお腹膨れて妊娠してるみたいだね」とか「僕たちの子供欲しいね。妊娠するまでしようね」とか
言葉攻めしながら怯える悪い狼を犯してほしい
おばあちゃん良い迷惑
狼がベッドで待ち伏せてても良いけど狼の企みを察知して赤ずきんが先におばあちゃんに扮してベッドで
待機してても美味しいです・・これだと赤ずきんの設定から更に遠のいちゃうけども
悪さをした狼に気が済むまでお仕置きした後はおうちに連れて帰って鎖に繋いでペットにすればいいじゃない
赤ずきんちゃんは可愛いペットをゲットできたし狼は衣?食住が保障されるしで良いことづくめだよ
やったね狼ちゃん
そのまま家の隅に設けられた小屋の中涙で毛皮を濡らしながら(その他色んなところも色んな汁で濡らしながら)
一生過ごすのも良し、801のお約束で狼にも愛が芽生えちゃうのも良し
どっちかといえば後者がモエス
赤ずきんの姿みたら拒絶する素振りはみせるのに尻尾は振れちゃうくらいになるとおいしいよ・・
いやらしいことをされている時にもイヤイヤ言ってる割に尻尾ブンブンなくらいに刷り込まれればいいじゃない愛とかをなっ
どなたかビデオ棚に赤ずきん×狼を投稿してくれないかな・・

923 :風と木の名無しさん:2012/01/15(日) 11:39:08.60 ID:GIvKzTUv0
チラシ503
すんごい萌えた
もう503が書いて棚に投下しちゃえばいいと思う <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/16(月) 18:16:00.21 ID:vUzhNkXU0<> 955 :風と木の名無しさん:2012/01/16(月) 02:20:34.12 ID:1dv9btV40
棚517
ジエン爆死はともかく、日付変わってもID変わらないことってあるんだね
初めて知った


956 :風と木の名無しさん:2012/01/16(月) 02:39:08.74 ID:ztpLGwg8P
>>955
棚517に貼られてる絡み923と>>923のIDを見てみるとどういうことか分かると思う


957 :風と木の名無しさん:2012/01/16(月) 02:40:28.59 ID:wZYlExt/0
>>955
元レスと比べてみれ
IDを書き換えて自演って事に工作したやつだ
<> 結晶 1/8<>sage<>2012/01/20(金) 08:57:52.35 ID:ZNlHy90R0<> 半生です。「溶解人間部無」スレッドに投下した
359・379が元ネタです。
「軍服・出征」という設定は375さんの設定です。
辛味はありませんが、棗×部無です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

3人の妖怪たちが、名前のない男に初めて出会う前の話。

妖怪たちは、港とレンガ造りの建物がある街にいた。
生まれた場所から少し離れた、大きな街だった。

その街には、洋装の人間たちがほかの場所よりたくさんいた。
和服の人間が多い村落地帯だと、洋装の妖怪たちは目立つ。
洋装の人間が多い街なら村落ほど目立たずに済む、という理由で
妖怪たちはその街が少し気に入った。

ねぐらを探して歩き回っているうちに、部無の発達した聴覚が
何かが水に落ちる音と女の悲鳴を捉えた。
3人が急いで(妖怪たちが急げばほんの数秒だ)
水音の聞こえたあたりに向かうと、小さな川のほとりで
おろおろと泣き叫ぶ女と、川に落ちてもがきながら
流されていく小さな子どもを見つけた。

状況を把握した部無はすぐ川に入り、軽々と子供を救い上げた。
部羅と部路は取り乱す女をなだめて落ち着かせた。
部無は泣きじゃくる子供を抱いたまま、
部羅と部路とともに女を家まで送った。

道すがら話を聞くと、子供と女は親子で川に遊びにきて
女が草摘みをしているうちに子供から目を離してしまったそうだ。
お礼がしたいからどうぞあがってください、と引き止められて
3人はこわごわと、めったに入ることのない人間の家に招かれた。


<> 結晶 2/8<>sage<>2012/01/20(金) 08:58:36.19 ID:ZNlHy90R0<> 家の庭では、くるくるとはねた癖っ毛の壮年の男が
小さな畑の草むしりをしていた。
男は息子がびしょ濡れの洋装の男にびしょ濡れで抱かれていることに驚き、
妻から事情を聞いて部無の手を取り、人懐こい目で何度も礼を言った。
申し訳ありませんでした、とうなだれる妻にも
助かったのだから大丈夫、あまり気を落とすなと優しく語りかけた。

言葉少なにぽつぽつと、棗と名乗った男に聞かれたことに返しているうちに
部無たちがこの街に来たばかりで住居を探していることを知った男が
ではうちの離れに住んではどうでしょう、と持ちかけてきた。
棗の両親が住んでいた場所だがもう世を去り、使う人もいないので
ぼろ家ですがお礼替わりに使ってください、とまっすぐに笑う棗とその妻の目に
部無はこれまで出会った人間たちとは少し違う、暖かい想いを感じた。

しばらくその街で暮らすうちに、妖怪たちは棗が職業軍人であることを知った。
「守りたいんですよ、大好きな人たちや街、この国をね」
俺の力は弱くて小さいものですが、少しでもお国の役に立てれば、
と照れたように笑いながら頭をかく棗に、部無は少し驚いた。
時々街で見る軍人たちは、威張って肩を怒らせて歩き、
女や子供や街の人にも横柄な態度で接している。
威張りたいから軍人になったような男たちと、
軍人という仕事を選んだ動機が根本から違う棗の中には
軍人が持つ虚勢とは違う、人間が持つ本物の強さがあった。
<> 結晶 3/8<>sage<>2012/01/20(金) 08:59:37.06 ID:ZNlHy90R0<> ある日、畑仕事を手伝っていた部路が突然出てきた蛇に驚き、
棗の前で妖怪の姿に戻ってしまった。
棗は驚いてぺたんと座り込んだが、怯えた目で棗を見る部路の姿を見て
ゆっくりと息を整えると、妖怪のままの堅い部路の手を取り
「大丈夫、これは毒がない蛇だから大丈夫だよ」といつもの声で語りかけた。

正体がばれてはここにいることはできない、と出ていこうとした妖怪たちに
棗はいかないで、ここにいてください、と語りかけた。
「少し気がついていたんです、あなたたちが普通の人たちとは違うって。
とても力が強いし、何かを隠しているようにも見えた。
でも、あなたたちはとても心が綺麗で、嘘がないようにも感じていました。
だから、もしかしたら山から街に降りてきた神さまなのかもしれない、って
そう思っていました」
あなたたちに俺たち家族から離れて欲しくない、
人でも怪物でも神様でもなんだっていい、俺はあなたたちが好きなんです、
と棗はすこし顔を赤らめて言ってくれた。

部無たちはより一層、棗の家族や街の人たちのために働いた。
人間が持て余す重い荷を運び、困っている人間がいれば助けて歩いた。
少しでも、人たちの役に立ちたかった。
棗のような人間になりたくて、棗のように人たちを守りたくて。

長くはここで暮らせないことは分かっていた。
自分たちは年を取らない。
大人である自分たちはまだしも、育たない子供である部路は
歳を重ねるうちに人間ではないことが周囲に分かってしまう。
いつかはここを離れなければならない、棗のそばを…
そう思いながら、その間だけでも彼の、人たちの役に立ちたかった。
しかし、別れの日は思いがけなく、棗側の事情から訪れた。
<> 結晶 4/8<>sage<>2012/01/20(金) 09:00:35.86 ID:ZNlHy90R0<> 満月の夜に部無を夜の散歩に誘った棗は
「大陸への出征が決まったのです」と、部無に話した。
北の大国との戦争が苛烈さを増し、もしかしたら
そのまま家族のもとに帰れなくなるかもしれない、と
棗は少し寂しそうな目をしながら部無に語りかけた。
激しく動揺する部無に棗は言った。
「あなたに二つだけ、お願いをしてもいいでしょうか」

「俺は…俺たちはあなたにお願いをされるのがとても嬉しいのです。
あなたの…人たちの役に立ちたいのです」
懸命に波立つ心を抑えながら、部無は夏目の真剣な目に向かい合った。

「一つは、妻と子供たちのことなのです。俺が出征したあと、
陰ながら家族を見守ってやってくれませんか」
妖怪たちとともに長くは暮らせないことは棗にも分かっていた。
だから、陰ながらでもいいから残していく人たちを守って欲しい、
と、棗はベムに未来を託した。
「約束します…きっと、守ります…あなたの大切な人たちを…」

本当は、危険な戦地に棗をひとりで行かせたくなかった。
自分も彼を守るために、人知れず戦地に一緒に赴きたかった。
棗の家族のためだけではない、自分が棗のそばにいたかったのだ。
勘のいい棗に思いを見透かされそうで、部無は少しうつむいた。
<> 結晶 5/8<>sage<>2012/01/20(金) 09:01:27.74 ID:ZNlHy90R0<> 棗はうつむいた部無から少し目をそらして天にかかる月を仰いだ。
もう一つの願いは、とても部無と目を合わせては口に出せない。

「もう一つの願いは…怒らないで聞いてくれますか?
女々しい願いなのですが…あなたの髪の毛を
少しだけわけて欲しいのです…
家族の髪と一緒に守り袋にいれて、持って行きたくて…」
部無は驚き、思わず棗の姿を見た。
月に目を向けて、自分の指を弄びながらそうつぶやく棗の耳が
月光でもそれと分かるほど真っ赤に染まっている。

「こんなことをいきなり言い出してごめんなさい。
部無さんの髪の毛がとても綺麗で…
初めて見た時からずっとそう思っていました。
あなたの綺麗な心と同じに、とても綺麗だと。
あなたの心を少しだけ、征く俺に分けてください」

「…俺も二つだけお願いしてもいいですか…
俺にも、あなたの髪の毛を少しだけ分けてください。
あなたの心と同じ、柔らかくて暖かそうな髪の毛に
ずっと触れたいと思っていたのは、俺の方なのです」
<> 結晶 6/8<>sage<>2012/01/20(金) 09:02:39.83 ID:ZNlHy90R0<> 上を向いていた棗の視線と、俯いていた部無の視線が
月明かりの中で柔らかく絡み合った。
暖かな眼と透き通った眼が、互いの瞳に映った姿を見つめる。
棗は部無の黒いラシャの帽子を、部無の頭からそっと外し、
髪を束ねている紐を解くと、肩に広がって銀色に輝く部無の髪を指でそっと梳き始めた。
人ならざるものの証である額の小さな角も、棗の指が優しく撫でていく。
おずおずと、部無の細くて白い指が棗の髪に絡まり、
頭の形や耳の形を己の指に覚え込ませるように、棗の癖っ毛を梳いていく。
二人は指に残った互いの髪の毛を、大切な宝物、互いの思いの結晶のように
懐紙に包んでポケットにしまい込んだ。

まるで儀式のような髪の毛の交換を終えたあとも
棗の手は部無の銀の髪を慈しむように、部無の頭を撫でていた。

「もう一つのお願いってなんですか?」
頭を撫でられながら、部無は棗のささやくような問いかけに答えた。
「…生きて戻ってください…あなたが大切に思う人たちのところに…」

軍人は戦って死ぬことで国を守る、そう棗が思っていることを
部無も分かってはいた。それでも生きて戻って欲しかった。
卑怯な手段でも無様に逃げるのでもいい、生きて戻って欲しかった。
人ではない自分を、こんなにも優しく撫でてくれるただひとりの人間の命を
無残に冷たい雪原の上で散らせたくはなかった。

「…約束はできません…でも、もし俺が戦地で果てても
心はずっと一緒にいたいです…家族と、あなたの心と一緒に…」
<> 結晶 7/8<>sage<>2012/01/20(金) 09:03:10.31 ID:ZNlHy90R0<> 部無の綺麗な瞳が涙で潤むのを、いとおしい思いで棗は見つめ、
抱き寄せてしまいたい衝動を懸命に抑えた。
そうしてしまったら、俺はこの綺麗な人を手元から離したくなくなる。
この一夜だけでなく、全てを捨てて命が果てるまで
ずっと部無を離せなくなることがわかっていたから。

部無もまた、棗の胸に身を寄せたい衝動を必死で押し殺していた。
そうしてしまったら、俺はこの優しい人から離れられなくなる。
この一夜だけでなく、棗との約束も守らず
ずっと棗のそばにいたくなることがわかっていたから。

部無の髪から手を離し、棗は部無に微笑みかけた。
「明日、写真館で家族と写真を撮るのです。
あなたたちも一緒に写ってくれませんか?」
部無はこくりと頷き、棗が手渡してくれた帽子をかぶって
夏目と肩を並べて家路への道を歩き出した。

数日後、棗は戦地にむけて旅立っていった。
<> 結晶 8/8<>sage<>2012/01/20(金) 09:04:12.81 ID:ZNlHy90R0<> 妖怪たちは夏目の妻と子供たちが、今の街より少し北の街にある
妻の両親の家に住居を移すのを見届けて、自分たちも
北の街のすこし山に入った土地にねぐらを移した。
棗とともに暮らした土地の人たちが、成長しない部路に
少しづつ不審を感じ始めていたのだ。

ずっと、ずっと棗の帰りを待つつもりだった。
優しい人の愛する家族を守りながら。
大好きな人がそうしていたように、人たちを守りながら。


でも…

100年近い時が、この国と妖怪たちに流れていった。
妖怪たちは、優しかった軍人の棗の記憶を失ってしまっていた。

「本家の土蔵からこんな昔の写真が出てきたよ、
このご先祖様なんかあんたそっくり」と母親に渡されたセピア色の写真を
刑事の棗は何気なく手にとった。

そして軍服姿で直立不動の、自分によく似た癖っ毛の男とその家族、
そして、現在の棗の家のピアノの上に家族写真と共に飾ってある姿と
かわらない姿で緊張して写っている3人の妖怪たちの姿を認め、
その写真を握りしめんばかりにしてぼろぼろと涙を流した。

「我が末代までの契を結びし得難き友と写す」
裏に墨書でそう書かれた古い写真を棗の手から取り戻し、
「なんだろうねこの子は、いきなり泣き出して」
と、棗の母は笑った。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/20(金) 14:37:22.83 ID:uOos2RBD0<> >>526
良かったよ!泣いた…
実はあの写真裏の一文はスレの中で拝見してて、とても心に残ってたんだ
てか、あの一文で泣いたくらいw
とても綺麗な棗さんと部無さんでした
ありがとうございました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/20(金) 19:14:57.30 ID:JYgqbZasi<> >>526
切な萌えで胸が苦しいよ…!
美しい御伽噺のようでした。
姐さんにスタンディングオベーションを捧げます。 <> アラウンド70 1/2<>sage<>2012/01/22(日) 19:28:20.05 ID:W0EFu5P7O<> 皇帝×公爵

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

麗しく老いた公爵は、壮麗な天蓋の下で花芯に銀髪の皇帝の老巧な口淫を受けていた。
金獅子王と呼ばれた皇帝は老いてなお壮健だが、皇帝の豪奢な金髪は、もうすっかり銀色だ。
公爵は熱い息を吐き、臣下の股間に顔を埋める皇帝の銀髪を掻き抱いた。
皇帝の愛撫は丁寧で優しい。快感が煌めきながら下腹部に溜まっていく。
公爵は皇帝の指玩や唇に深く感じいっていたが、老いた花芯は昔の様には華やがない。
刺激には興奮を覚えていたが老いた公爵は、濡れ易い少年の様に清々しく飛沫を放てなかった。
かつては瑞瑞しく艶やかに張り詰めていた先端は柔軟なままだ。
もどかしく溜まるばかりの快感に喘ぎ喘ぎ、公爵は少し憂い小さく笑うと皇帝に詫びた。
どんなに愛されても今宵はこの世の果てまで行けそうもない。強壮の薬用酒や陰萎の秘薬が、どうにも効かない夜もある。
<> アラウンド70 2/3<>sage<>2012/01/22(日) 19:33:26.59 ID:W0EFu5P7O<> 一晩に幾度も達していた青年の時分には戻れない。ただそれだけの事。そう思うのにやり切れなさが募る。
皇帝は切なげな公爵の、しどけなくうなだれている子息に触れ、長い指を添え木の様に用いて支えると、愛おしげに接吻した。
「藤の花房の様だな。優美だ」
それから皇帝は、麗老の公爵の手を取り、己の陰萎を握らせると、昔は卿の喘ぎ声ひとつで一晩中高ぶっていたものだが、今はもう硬度が持続しないのだと微笑んだ。
「お互い難儀な身体になったな」。
老いた皇帝は豪快に笑い、老齢の公爵を抱き寄せ抱擁した。
<> アラウンド70 3/3<>sage<>2012/01/22(日) 19:35:14.75 ID:W0EFu5P7O<> ただ抱きしめ合いながら互いの温もりを味わう。結合を伴わなくとも感じる一体感に公爵は霞む瞳を潤ませた。
皇帝の右腕だった宰相、幼なじみの元帥。聡明な皇后や側室たち。皇帝の友や妃が世を去る度、いがみ合っていた皇帝と公爵の距離は縮まった。
50年前は憎んでいた金獅子王と訳あって肌を重ねたのは40年。身体だけの関係が10年、20年、30年と積み重なり
気がつけば、こんなにも近くにいる。公爵は暫し遠い目をし、静かにひとつ笑うと
老齢の皇帝の右耳にそっと唇を寄せ、約30年前から言いそびれていた愛の言葉を今更ながら囁いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリング ミスッタ ゴメンナサイ <> アラウンド70 修正<>sage<>2012/01/22(日) 19:48:35.05 ID:W0EFu5P7O<>
×:肌を重ねたのは40年。
〇:肌を重ねたのは40年前。

ブンマツニ、【前】ガヌケテタ。
カサネガサネ スミマセン <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/22(日) 20:43:28.00 ID:ljUavKQv0<> アラウンド70新作待ってましたよ!
2人の過去の一端が見れて萌えでしたわ
いがみ愛から始まっていたのか…意外でしたわ
また気分が乗った時にでも新作お願いします
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/24(火) 20:38:17.52 ID:Qna+YmIe0<> ふつくしい!
50年前の憎しみと40年前の肌を合わせることになった訳もkwsk! <> 風と木の名無しさん<><>2012/01/31(火) 03:33:23.96 ID:NvFNpTlB0<> きもい <> アラウンド70 1/4<>sage<>2012/01/31(火) 13:17:13.18 ID:KX5H5nko0<> 皇帝×公爵
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

皇帝の私室には、天鵞絨張りの瀟洒な安楽椅子がある。
背持たれや座だけでなく肘掛けの部分にも詰め物をした、ゆったりとくつろげる大きな安楽椅子は、老齢の皇帝、愛用の一脚だ。
椅子の前には趣のある上質の壁紙が張られた壁があり、壁には縁の装飾が美しい大型の姿見が掛けられている。
麗しく老いた公爵は、安楽椅子に座した老皇帝の屹立に後ろ向きに腰をおろした。
目の前の全身鏡は、背面座位で繋がる二人を映じている。
老いてなお精悍な皇帝は、白髪美翁な公爵の脚を大きく広げ、
半裸の公爵の加齢によって白くなった恥毛を指先で弄びながら、鏡の中の公爵と目を合わせた。
「卿もここが真っ白になったな」
公爵の首筋に口づけをひとつ落とし、年を重ねたセロの様な深く低い声で囁く皇帝のそこも色を変えて久しい。
金獅子王と呼ばれた皇帝の豪奢な金髪は、老いてすっかり銀色になってしまった。下叢も然りだ。
公爵は皇帝の囁きと内耳をくすぐる吐息に赤面した。
初めてそこに白い毛を一本見つけた夜、公爵は焦燥感を覚え歎いたものだ。
互いの下叢がこんなにも白くなるまで、皇帝との関係が永らうとは想像だにしなかった。
公爵が思いを巡らせていると、皇帝は背後から皴深い大きな手を伸ばし、芳香花の精油を用いて公爵の花芯を刺激しながら、
もう片方の手で老いて感じやすくなった公爵の胸の双茱を、左右交互に愛撫した。
下から力強く皇帝に後蕾を穿たれ、同時に胸と股間を愛される。老いた身体では受け止めきれない強い快感に老体を炙られた公爵は、
熱く潤んだ瞳で鏡の中の皇帝の碧眼を見つめ、切なげに喘ぎ悶えた。
「今宵の卿は、そこかしこ華やいでおるな」
いつになく花芯が硬度を保ち、胸の双茱もツンと勃っていることを皇帝に指摘された公爵は、羞恥に目を伏せた。 <> アラウンド70 2/4<>sage<>2012/01/31(火) 13:17:56.86 ID:KX5H5nko0<> ここのところ公爵の花芯は、強壮の薬用酒の力を借りても決して頭を擡げなかった。
皇帝の老巧な指玩や口淫にふっくらと膨らみはしても、その先端がかつての様に瑞瑞しく張る事はなく、
快感を追い、欲を吐き出すことが出来ずにいたのだ。けれど、今宵は花芯がはしたないほど濡れている。
艶やかに張りつめた先端は、若かりし頃の様にきらきらと淫蜜を零し、皇帝の大きな手を濡らした。
老齢の皇帝は、陰萎の秘薬を服しても、営みの中途で軟らかくなり憂う事や、硬度を得られず和合に至らない夜が増えていたが、
今宵は乱れる公爵に煽られ、皇帝の漢も壮健だ。皇帝は、久方ぶりに鏡の前で繋がったのが、二人に興奮をもたらしたに違いないと思った。
公爵が老いて腰を病んでからは、寝台にて腰に羽毛の枕を当てがい、公爵の腰を労りながら睦み合う事が多かった。
たまには趣向を変えてみるのも悪くない。下から力強く公爵の後蕾を穿った皇帝は、ニヤリと片頬で笑い、男臭い笑みを浮かべた。
今宵は数年ぶりに、二人揃って果てる事が出来るやも知れぬ。皇帝は馴れ親しんだ公爵の心地好い締め付けに笑い、
公爵の中で己の漢が大きくなるのを感じた。
「あっ、あっ、ああっ!陛下、陛下ッー!」
なめらかに腰を動かしながら、強弱をつけて公爵の花芯を扱く皇帝に喘がされ、
公爵は皇帝の掌に、限りなく透明に近い乳白色の飛沫を放った。
ほぼ同時に公爵の中で達した皇帝は、繋がったまま背後から公爵をギュッと抱きしめ、肩に口づけると満足げに笑った。
「こんなにも心地好い吐精が、まだ出来るとはな……」
満面の笑顔でしみじみと呟き、悦に入っている皇帝に公爵は恥じらいながら頷いた。
久方ぶりに精を射する事が出来た爽快感と、皇帝のすべてを受け入れた昂揚感が、公爵の下腹部で溶け合っている。
心地好いけだるさに浸りながら公爵は、皇帝の老いてなおぶ厚い胸板に背中を預けてもたれ掛かり、うっとりと目を閉じた。
50年前は、この男に背中を預ける日が来るなど思いもしなかった。 <> アラウンド70 3/4<>sage<>2012/01/31(火) 13:18:25.15 ID:KX5H5nko0<> 55年前、先帝は有力貴族を後ろ盾に持つ異母弟の公爵を、皇太弟として次期皇位継承者に定めた。
けれど5年後、先帝が崩御した日、野心に燃える先帝の第一王子が挙兵。皇位継承をめぐり宮廷は皇太弟派と王子派に二分された。
軍部を味方につけ戦を制した金髪の王子は帝国を簒奪し、大陸統一の夢を追って辺境の蛮族との戦いに明け暮れる。
大敗した皇太弟は、領地と爵位を剥奪され、収監された監獄の檻の中で、ずたずたに犯された。
皇太弟には皇帝を憎んで余りある正当な理由がある。
反乱軍に救われ牢を脱した皇太弟は、反乱軍の先頭に立ち、時に辺境の蛮族と共闘し帝国軍と戦った。
狡猾な戦略で帝国軍を苦しめた皇太弟は、反乱軍の毒蛇と呼ばれ、金獅子王の好敵手となる。
ハルクロードの戦いで皇太弟は憎い皇帝を追い詰めた。が、皇帝の半身的存在の従卒が、身を盾にして皇帝を守ったため取り逃がしてしまう。
乳兄弟でもあった最愛の従卒を殺された皇帝は、皇太弟を憎悪した。
翌月、友だと信じていた蛮族の長に裏切られた皇太弟は、捕縛され帝国軍に売られる。
皇帝は仇敵を殺そうとしたが、皇帝の右腕の宰相は敗軍の将の才を惜しみ、彼を手厚く遇した。
生きて生きて生き延びて、いつの日かこの手で皇帝を殺す。そのために、皇太弟は矜持を捨て皇帝の臣下にくだった。
頭も股も使えるものは皆使った。蛮族の鎮圧で功績を挙げた。反乱軍と和議を結んだ。
麗しい微笑で牙を隠し従順な犬を演じながら、目覚ましい手腕を発揮した青年は、宰相の執り成しで旧領と爵位を復する。
公爵領の領民は、待ち望んでいた領主の帰還を喜んだ。 <> アラウンド70 4/4<>sage<>2012/01/31(火) 13:18:58.92 ID:KX5H5nko0<> 翌年、帝国は突如半島に侵攻してきた外海の異教徒に聖地を奪われる。聖地奪還のため、皇帝と公爵は力を合わせて戦った。
敵にすると厄介だが、味方にすると頼もしい。皇帝は公爵がいれば、己がどこまでも強くなれる気がした。
公爵も然りだ。皇帝と共に戦うのは楽しく、酌み交わした勝利の美酒は、たまらなくうまかった。
宰相はこれを機に、皇帝と公爵が蟠りを捨て歩み寄る事を願ったが、二人の確執は根深かった。
40年前、訳あって肌を重ねてからも、いがみ合っていた二人を、仲睦まじくしたのは時の流れだ。
老いを受け入れ、互いを労る心を持てた5年前、二人はようやく肌と共に心を重ねる事ができた。

そうして今に至る。

鏡の前の椅子で皇帝と繋がった公爵は、果てた後も繋がったまま、公爵の花芯を愛撫する皇帝の皴深い大きな手に小さく喘ぎ、
麗しい笑みを浮かべると、
ほっそりとした首を後ろに捻り、長くゆるやかな白髪をかき上げながら、背面の皇帝に口づけた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/31(火) 13:33:16.88 ID:Q54M5xMx0<> アラウンド70キター
待ってました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/01/31(火) 16:47:37.51 ID:rQQOPnWN0<> おっつー
楽しみにしてました
もういっそネットで連載はじめてしまえw
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/01(水) 14:59:02.48 ID:6hWwAdAX0<> >>539
爺さん萌え属性では無いけれど
萌えたよ
GJ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/06(月) 00:45:34.21 ID:FiIKZT670<> 公爵の名前はたかし <> 萌えてはいけない24時<><>2012/02/09(木) 21:46:54.70 ID:MB0BTeCs0<> 大みそか恒例の、●ってはいけない●時より、蝶乃×山嵜です。

伏字これでいいんかな(初心者か)



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

<> 萌えてはいけない24時<><>2012/02/09(木) 22:17:01.55 ID:MB0BTeCs0<> 「また今年もやってきたよ…」

山嵜こと山嵜方正は、年もくれた12月30日、
めでたい新年も近いはずのその日に、ため息をついた。
「やっぱり今回も俺がやられるんやろうなぁ」
彼は《○キの使いや●らへんで ●ってはいけない××●時間SP》
次々仕掛けられる笑いのネタを見ながらも、笑わないよう堪え続ける、というバラエティー番組に毎年出演している。
<> 萌えてはいけない24時<><>2012/02/09(木) 22:22:19.33 ID:MB0BTeCs0<> 笑うとバットでお尻を叩かれたりタイキックをされてしまうという、
中々厳しい番組内容ではあるが、ココ●●及び●ウン●ウンの四人と出演するので、
何も山嵜ばかりがやられる訳ではない。
ならば、何をそんなに思い悩んでいるのか。
それは、笑いの仕掛人の一人であり、数年前から毎回出演するようになった、
元プロレスラーの蝶乃政洋が悩みの種なのだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/10(金) 02:46:38.85 ID:tQ6inI4k0<> さるった? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/11(土) 00:41:01.79 ID:nbA/Uq060<> あー今って三レスくらいで連投規制入るんですよね……
SSスレにはめんどくさいですねえ

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/11(土) 14:18:32.75 ID:cvq44rIui<> サルベージだぜ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/12(日) 06:52:13.98 ID:nylJp6Nh0<> sageないしナンバリング付いてないし導入の時点で面白そうじゃなry <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/12(日) 15:59:06.28 ID:glAJibWX0<>     _, ,_  パーン
 ( ‘д‘)
  ⊂彡☆))Д´) >>550
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/14(火) 02:12:15.50 ID:C0fsVitZi<> テスト <>
忍法帖【Lv=10,xxxPT】 <>sage<>2012/02/14(火) 08:42:16.96 ID:nEdclqnk0<> 現在容量480KB
次スレどうします?

最近の投下頻度では今新スレ立てても
こっちが埋まる前に即死するような気がするので
490KBぐらいまで様子見たほうがいいかもと思うのですが
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/14(火) 18:48:42.61 ID:ii9xSK0B0<> そうですねそれがよさそうです

パソコンと携帯で交互に投下すれば8レスくらい行ける
忍法帖レベルは8以上奨励

てことでせっせと忍法帖を溜めてたら携帯規制ワロス <> LINDA 1/3<>sage<>2012/02/15(水) 00:06:24.80 ID:n+OVJPzu0<> ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



――僕の夢はね、死ぬまでレコードを聴く事なんだ

インタビュアにいつか、目標はあるのかと聞かれて、目標なんてないけど夢ならあるよ、
って答えたんだ。
死ぬまで好きな事をやり続けたいなあ。
ねえ、マー××。

テーブルいっぱいに広げたレコード。かっこいいジャケット。
僕の夢以上にとてつもなく、大きなものが詰まった円盤がたくさん、あるんだ。
「うん、そうだね」
約束もしないけれど僕の部屋でくつろぐ君は、寝転がる僕の傍のソファに身体を沈めて
本のページを捲りながら頷く。

僕のちょっと上に、テーブルから零れそうなレコード。
そのちょっと上に、そんな君の伏し目がちな顔。
いっぱいの水が流れるようなメロディ。
僕はいちばん下で、フワフワしている。

いつでも僕は飛べる。今だって、飛んでるみたいだ。
ね、そうでしょ?
マー××。
「そうだねえ。・・・てか、泳いでる?背泳ぎ?」
君は小首を傾げて、本のページから目を離す。
僕はまだいちばん下で、フワフワしている。
<> LINDA 2/3<>sage<>2012/02/15(水) 00:07:27.42 ID:n+OVJPzu0<> 気まぐれな猫の目が、くるっと動いた。
「ねー、ヒ××」
それだけで、僕は従順にソファへ。
だって、君はいつもいちばん端っこに座るもんねえ、一人でも。
ちゃんと聞いてみた事なんてないけど、その空いてるスペースは僕のものなんだ、って
決めちゃっても、もう間違っていないよね。

君の右手が、ギターを弾くための指が、寝そべる僕の髪に絡む。
僕の頬を滑る。
僕は目を閉じて、その感触を一つ一つ確かめるんだ。

くすぐったいよ、って笑ってあげる。
君がのどの奥で笑う声がする。きっとやさしい目をしてるんだろうな。
君は僕のだよ、って言うみたいに、その手を握ってあげる。
すると君の手は僕の頬の上で、おとなしくなる。そのまま。

僕は実際、すごく調子に乗っているんだ。
君、僕の事が全部大好きなんだろ、って。ねえ。
僕が僕の好きな事をしていると、君はとても幸せなんだろう?

君は、大好きな僕のために、僕が好きな事をするための環境を作り上げた。
僕はその世界でめいっぱい楽しむんだ。
君がいつも僕を走らせてくれる。君が幸せそうだと、僕はもっともっと調子に乗るんだよ。
しょうがないよね。
そして、僕は君のためのうたを唄いたいんだ。


水の中のような、空の中のようなところで、円盤がたくさん漂っている。
僕らはその中で浮かんでいる。
ゆめのなかにいるみたいだ、ほら。ねえ。
<> LINDA 3/3<>sage<>2012/02/15(水) 00:08:23.47 ID:n+OVJPzu0<> ――七十年なら一瞬の夢さ

いつか君は、絞り出すように叫んでた。
現実は夢。夢が現実。どっちでも、同じかな。
僕らは、あの時君がざらつくコンクリートを掻き毟るように叫んだ夢の中にいるんだろう。
たくさんのドアを開けながら、ずっと同じ夢の中にいるんだろう。
未来はいつも僕らの手の中にあって、君はずっとその事を知っていた。
やらずにいられない事をやるだけって、君は知っていた。
君はずっと夜のように大きくて、君の目はその中の灯火だった。

シニカルで寡黙な気まぐれ猫。
でもその目だけは、思わず泣き出したくなるほどいつも正しかった。
そんな君が、僕の事をずっと大好きで仕方ないらしいんだ。
全くかなわないよ、ねえ。

だから、いつも僕から言ってあげる。なにも惜しまずに。
「君が好きだ、そばにいたいよ」

ねえ。ほんとうだよ。
マー××。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 急加速 1/3<>sage<>2012/02/15(水) 00:12:48.08 ID:XiLFo77d0<> ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


重低音の何かが、いつも腹の底で鳴り続けている。
空腹に似ている気がしないでもない。安っぽい感情とかいうものでもない。
ただ、それは確実に俺を動かしているものであったので、俺は何とかそれと
折り合いを付けながら生きていくしかなかった。

他のものはそれこそいくらでもあるのだ。
コロコロ変わる俺が見たいなら見せてやる。
必要なら何にでもなってやろうか、今すぐにでも。
なんて傲慢で、馬鹿なヤロウだと自嘲する。

キチガイになれるものならなりたかった。
他人からはキチガイだの最低だの死んじまえだのと罵られても、俺は多分
すんでの所で結局凡庸であった。
ふざけんな。黙っててくれ。俺の邪魔をするなよ。 <> 急加速 2/3<>sage<>2012/02/15(水) 00:15:30.40 ID:XiLFo77d0<> 君。
おまえ。
「――ヒ××」

俺はおまえの名を呼ぶ。
深い意味は無いんだ。ただその単語が、俺にとってとても大きいだけなんだ。
おまえの唄声を聴いたあの日、世界中に色がついた。
それは、その日分かったんじゃない。
思い出したんだ。



ひとつ、ごめんなさい。僕は重低音の鳴るままに君を引き摺り回しました。
先の事など何も分からない無責任さで。
けれども君は、引き摺り回している張本人が思わず忘れてしまう程、それ以上
に跳んでくれました。



おまえは俺の追憶の彼方の憧憬。
おまえは俺の果ての忘れもの。
おまえは俺のたからもの。

おまえを悲しませたくない。おまえの笑顔を見ていたい。おまえの唄声を聴かせてくれ。

なんてエゴだ。その言葉どもの上に“俺の為に”って付けてみろよ。
まるでオナニーじゃないか。
熱っぽいものが浮かぶと、すぐに冷めたものがそれを嘲笑う。いつだって俺の中で。

<> 急加速 3/3<>sage<>2012/02/15(水) 00:16:46.08 ID:XiLFo77d0<> 「――ヒ××、」
もう一度、おまえの名を呼ぶ。
おまえはどこかそわそわしながら、俺の顔色を窺っている。
言葉は情けなく喉の奥で詰まる。おまえの目の中で、俺の唇が震えている。
耐えられなくて、俺は目を閉じた。
けれどもすぐ次の瞬間、おまえの両の指先がさらりと頬を滑り、あたたかい意志を
持つ大きな手のひらがじんわりと俺の顔を包み込んだ。

「ねえ、マー××。目を開けてよ」
「ねえ、どんなになっても、君は君なんだから」

とてつもなく無垢な声。誤解されがちなおまえの、賢くてそれでいて無垢な姿に。


ああ、もうエゴだろうが何だろうがどうだって良いのだ。
腹の底から、俺はもうおまえに全てを差し出してしまうのだ。
俺にしか分からない、俺にも分からないものまで、全部。
けれどそうしてしまえば、きっとそれは重低音どころじゃなくなるだろう。
次から次へと溢れ出で、地響きにさえなるだろう。おまえになら全部差し出せる。

いっそ俺ごと食っちまってくれ。おまえの中に取り込まれたいとさえ思う。
「もう俺は全部出す。おまえは、唄うか ―――」

―――――


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 外は春の雨 1/3<>sage<>2012/02/15(水) 23:41:36.16 ID:ruDnWH3w0<> ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


彼はダラダラしていた僕からテレビを強奪して捨ててしまったけれど、
しかし、僕以上に物ぐさなんじゃないだろうか。


「ほら、おまえはやれば出来る子なんだよ。凄いじゃん」
曲を作って、唄って、皆で練習して。
好きな事や何気ない話をしている時だって、彼は何か彼の心の琴線に
触れる事があった時にはいつだって躊躇なく僕を褒めてくれる。
逆に、何かイライラしているなという時もとても分かりやすい人なので
そんな時はそっとしておくのが良いのかな、と最近思ってきていた。
僕がご機嫌を取りに行くと逆効果・・・というか、彼自身でしか解決出
来ないみたいだし、いつも時間が経つとケロッとしている人なんだよな。

<> 外は春の雨 2/3<>sage<>2012/02/15(水) 23:42:39.44 ID:ruDnWH3w0<> でも、ねえ。
僕は彼の部屋のドアの前でしばらく立ち竦んでいた。
彼の姿は三日前のミーティングの時以来見ていない。確かに部屋には居る
のだけれど。
「マー××。入るよ」
僕がドアを開けると、まず煙草の煙が迎えてくれた。
「あ、ヒ××」
顔を上げた彼はやっぱりケロッとして煙草を咥えながらギターを弄っていた。
どしたの、とご機嫌な様子で万年床に座り込んでいる彼の手の届く範囲には、
吸い殻の盛り上がった灰皿、無造作に積み上げられた本、ノートに鉛筆が
転がって。

いや、逆効果でもあんまりそっとしておいちゃ駄目だな、と反省する僕を
後目に、彼はボサボサ頭を頼りなく揺らしながら唄を口ずさんでいる。
僕だって人の事言えたものじゃないけどさ、
「マー××、曲作る以外に何かしとるん?」
彼は咥えていた煙草を摘みあげ、大きな目を僕に向ける。
こけた頬をして、さも意外そうに口を開く。
「曲作る以外に何があるんだよ?・・・それに、してんじゃん。洗濯とか、
買い物とか、メシ、くったりとか・・・」
ちょっとずつ、声が自信なさげになっていく。
僕は可笑しくなって、笑いながら首をかしげてしまう。
彼も照れ臭そうになって、俯きながら甘えるように言った。
「そういえばヒ××、はらへった」
「はいよ」
この声、好きだなあ。あんまりこんな状態で言って欲しくないけど。
多分三日ぶりだよなあ、きっと何も食べてないと思う、この人。
不器用だよなあ、繊細で生きるのが下手だよなあ、でも最低限生きる為の
事をしないとさ、心配でたまんないよ。
「買うてきちゃるわ。餅入りうどんにする?」
「うん。あ、あと悪いけどペプツとセヴンスターも買ってきてくんない?」
「ええよー」 <> 外は春の雨 3/3<>sage<>2012/02/15(水) 23:43:22.09 ID:ruDnWH3w0<>
彼の声を背中で聞きながら、僕はいそいそと部屋を出る。
やっぱり、ご飯を食べる時はいつも彼と一緒に食べてあげようそうしよう、と
思いながら。



ちょうど別の部屋から出てきた仲間と、連れ立って外に出た。
「僕より年上やのに、ほんと放っとけないヤツなんよなあ」
自分の事を棚に上げて、そんな愚痴を言いながら。

部屋から彼がギターを爪弾く音が聴こえる。
それに合わせて、僕は心の中でうたう。
――愛じゃなくても、恋じゃなくても、君を・・・



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 夏を告げる雨 1/3<>sage<>2012/02/15(水) 23:59:41.44 ID:ruDnWH3w0<> ナマ注意です。
元青心・高低、現原人バンド唄×六弦です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


――ウソだろ、おい。勘弁してくれよ・・・
消えたい。消えたい。今すぐ俺の分の面積だけ、床が抜けてくんねえかな!
男と女が絡み合う真っ最中、俺は固く目を瞑ったまま出来るだけ小さく小さく
なるしかなかった。

そもそも、俺がずっとヒ××の部屋にいたのが悪いのだ。
そのまま、転寝してしまったのが悪いのだ。
けれどまさか、こんな状況に巻き込まれるとは思わなかったぜ、と俺は部屋の
隅っこで丸まったまま小さく嘆いた。

昔の仲間と飲みに行く、と夕方出て行ったあいつは、真夜中にしたたかに酔っ
払って何故か女と部屋になだれ込み、そしてそのままおっ始めやがった。
俺は二人がベッドに倒れ込む音で目を覚ましたのだが、暗かったので二人は
俺が驚いて目を見開いているのに気付かなかったようだ。
「やだちょっと、人がいるわよ」
「んん、大丈夫大丈夫、寝てるから、分からんって・・・」
調子よくヘラヘラしながら女に抱きついている様子のあいつは、ああ男の情け
ない性丸出しで、こっちが恥ずかしくなる。
俺はもうどうにも出来ずに、部屋の隅っこで全てを諦めた。

<> 夏を告げる雨 2/3<>sage<>2012/02/16(木) 00:00:19.53 ID:ruDnWH3w0<>
否応なしに耳に突き刺さる、女のイイ声。
あいつの息遣い。激しいキスの音、布団の擦れる音。
カセットもイヤホンも、多分俺の足の方。着けときゃ良かった。

じっと押し黙って、二人のやってるのを聞いてるなんて、俺まるで変態じゃね
えかよ。一応、被害者の筈なのに。

オイ、あんた。そいつ臭くねえ?多分三日くらい風呂入ってねえぞ。
でも普段よりマシか、その前にビニールプールで行水してたから。

イライラして、急に起き上がって言ってやるための言葉を色々考えてみた。
でも、俺臆病だからきっとそんな事出来ないだろうな。
あっという間に酔いが醒めて、泣きそうにうろたえるだろうあいつが可哀相だし。
俺だって、記憶にないけどもしかしたら過去に似たような事、してたかもしれな
いし。
心を無にするために“俺は貝、俺は貝だ”と自分に言い聞かせてみてもやっぱり、
音は突き刺さってくる訳で。

ああ、コイツこんなふうに女を抱くんだ。
ああコイツ、こんな声出すんだ。女にはこんな事言っちゃうんだ。

何故だか分からないけれど、俺は部屋の隅っこでひとり、無性に泣きたくなって
いた。

――何なんだよ、すげえ、惨めったらしい
バカ、バカ、バカ、バカ、バカ。
<> 夏を告げる雨 3/3<>sage<>2012/02/16(木) 00:01:30.05 ID:ruDnWH3w0<>
やがて事が済んで、二人は寝てしまったらしい。
静かな夜の終わりが、青白く窓に映っている。
俺は物音を立てないように、部屋から私物を抱えて引き揚げた。

その日は、昼過ぎまで寝た。
ヒ××は最近いつもそうしてくれるように、俺の部屋まで昼飯を一緒に食おう
って持って来たついでに、マー××マー××と無邪気な犬のように俺を揺さ振っ
た。
「朝起きたら、横に女が寝ててなあ、でも、僕ぜーんぜん覚えとらんのよ」
しまったなあ、と残念そうに笑い話にしようとするヒ××に、俺は生返事をして
気まずくカレーパンを齧っていた。

――夜の事なんて、全部誰かの夢だったら良かったのに


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/16(木) 00:26:13.25 ID:gdKH6jn20<> 492.4kb
スレ立て出来る人がいればお願いします <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/18(土) 01:49:19.03 ID:NZBApM860<> あげ <> 風と木の名無しさん<><>2012/02/18(土) 14:51:55.85 ID:w09eWT590<> モララーのビデオ棚in801板67
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1329544209/
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/18(土) 21:44:13.35 ID:Y2ljEOZT0<> >>569
スレ立て乙!ありがd <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/22(水) 08:32:39.64 ID:7SMdf2fLO<> 嫉妬深いのは女の特徴であって腐女子だけの特徴ではないのに
漫画同人関連板では腐女子による嫉妬はやり玉にあげられるても
女オタ(ノマカプ女)による嫉妬はあまり指摘されない不思議
彼女らだって女だぞ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/22(水) 08:58:35.89 ID:zDdXG+Bd0<> 誤爆? <> キム×空 1/2
◆l5uYUz79nM <>sage<>2012/02/26(日) 19:20:20.18 ID:J4baG0If0<> キム/タクと唐/沢さんがドラマで共演したらという妄想の産物
キム×空です。 棚15よりダラダラと続けております。
保管庫のシリーズ物に収録して頂いております。
※甘々注意。梅がてらの超SSです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「寒ぃ」
いつからだったか、家に居る時はこのソファに二人で掛けてテレビを見るのが日課になっていた。
起きたて全開の空沢さんがリビングに来るなり俺の隣りにドサッと腰かけた。
「おはようございます。今日今年一番寒いみたいっすよ。」
「だよなぁ…寒くて起きたもん」
そういえば今日は休日なのにいつもよりだいぶ早い。
「コーヒー?」
「んー…」
まだ寝ボケてるのか、焦点の合わない眼で窓あたりを見ている。
とりあえず淹れてきますか。
「空沢さーん、目玉焼きでも焼くー?」
キッチンから話しかけながらふと見ると空沢さんの姿が無い。
「うんー…」
お、返事はある。ああ、ソファに寝転がったな。
「ベーコンは?」
「食べるー…」
たべるーって。子供みてぇ。 <> キム×空 2/2
◆l5uYUz79nM <>sage<>2012/02/26(日) 19:21:32.12 ID:J4baG0If0<> コーヒーとトースト、目玉焼き(ベーコンつき)を持ってリビングに戻ると
空沢さんがまた寝息を立てていた。
なんも喋んないからこうなってる気はしたけどさぁ。
エアコン入ってるからまぁあったかいですけど、風邪引くでしょ。
顔の前でグーになっている手を握ってみる。
最近俺が手出さないからってちょっと油断してるよなこの人。
言っとくけど俺全然その気ありますからね。
握った手の甲にキスをする。あ、起きた。
「お目覚めですか?お姫様」
「!だっれが……お前なー、おっさんにこういう事するか普通?」
「何?まだんな事言ってんの?何年のつきあいですか俺ら」
ソファに顔埋めんな。耳赤いし。よし。
たまにこうして思い出させてやらないとすぐ忘れそうなんだもんあなた。
「顔洗ってくる!」
「いってらっしゃい」
手を離してやると、俺に顔を見られないように変な角度で起き上がってそのままリビングを出て行った。
かわいいわ。
やっぱマジでかわいいわあの人。
いい、いい。そのままでいいです。
あなたはいつまでもそうやって、俺にドキドキしててください。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
いつも感想全部読ませていただいております。幸せです。
読んで頂いてどうもありがとうございます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/26(日) 20:05:34.72 ID:kKPvcygU0<> >>573
キム空さんキテター!
相変わらず空サーさんは照れ屋で可愛いw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/02/26(日) 21:45:46.93 ID:uETaRU0x0<> 新婚さんのようでもあり熟年夫婦の味もありw
もう!お前ら!突き合っちゃえYO! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/03(土) 12:06:16.89 ID:twGZO+SR0<> 久々のキムカラキテタアア( ゚д゚)
かわいい…二人とも可愛いww
早くエチーしちゃえよ(*´д`*)ハァハァ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/03(土) 22:44:50.69 ID:/6R1t9pR0<> やばいなキムカラ目覚めそうだ
めっちゃ可愛かった <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/06(火) 21:46:49.37 ID:ahaqNiDL0<> キム空キテタワァ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!☆
いつもながら萌えました!空沢さん可愛いなあ…!!
キムの作った朝ごはんがさりげにハウノレw

勢いで保管庫行って過去作品全部読み返しちゃったよ
いつもいいもの読ませてくださってありがとうございます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/06(火) 23:18:32.25 ID:seS8xfC/0<> 保管庫に保管する人がおらんらしい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/07(水) 01:16:03.70 ID:Jf8mCxee0<> え?
ちゃんと保管されてるけど? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/07(水) 05:22:59.92 ID:1ovzZSpx0<> >>581
>>2の避難所掲示板参照
いま一人で回してくれてるみたいだね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/13(火) 19:49:38.86 ID:sEo5mCq+0<> 管理人さんご無事で何より…。・゚・(ノД`)・゚・。
頑張っていらした方も本当にどうもありがとうございます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/13(火) 21:59:41.93 ID:h+wzoku/0<> 棚の管理人さんにはいつも感謝しています。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2012/03/16(金) 11:45:39.94 ID:A2A20Pgh0<> 管理人さん申し訳ありません。
なにを勘違いしたのか管理棚のほうに投下しちまいましたorz
知らんとはいえ無作法なことして失礼しました <>