風と木の名無しさん<><>2010/11/12(金) 14:32:03 ID:X/HZkw5M0<> ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板61
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1287207773/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/ <>モララーのビデオ棚in801板62 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:35:34 ID:X/HZkw5M0<> ★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4) 一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
   長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
   再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
 また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
 作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。

※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara

■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:36:50 ID:X/HZkw5M0<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:37:37 ID:X/HZkw5M0<> 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:38:44 ID:X/HZkw5M0<> テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:50:11 ID:X/HZkw5M0<> テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:51:06 ID:X/HZkw5M0<> テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:51:45 ID:X/HZkw5M0<> / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 14:52:15 ID:X/HZkw5M0<> / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 15:10:26 ID:X5TYfDJ/0<>    |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 15:14:43 ID:F///O1GU0<> >>1乙&テンプレ貼り乙

>>1のAA1行目が2文字分ほどずれてるので次スレ立てる人は修正よろ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 15:21:14 ID:ZSvcfvNP0<> 何でそんなテンパってるか分からんが乙 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 16:46:03 ID:v8WDUp190<> 慣れないスレ立てにテンパる>>1可愛いよ乙。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/12(金) 23:26:48 ID:6UCAa7KjO<> 可愛い>>1がいると聞いて飛んできました
真面目な話、乙。スレ立てありがとうございます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/15(月) 04:35:54 ID:0QR7uDh8O<> 保守 <> BECK ss ◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/15(月) 22:24:49 ID:bzG5q8xq0<> 一番乗りで投下させていただきます、またまたピュアなラップベースです。
前スレに感想下さった方本当にありがとうございました!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

クリスマスソングが、こんな風に聴こえるものだったなんて知らなかった。

「千葉。」
さらに条件のいいバイトを求めて(?)求人情報誌を読み耽ってた平くんが、俺に声を掛けた。
「ん?何?」
名前を呼ばれただけで嬉しくなっちまうんだもんな。
ホント恋ってすげぇ。
「24日ってさ、お前バイトとか入ってんのか」
「そんな先のことまだわかんねぇよ、」
「ふーん‥そっか」
ちらっとこちらを一瞥してから、平くんはまた視線を落とした。
長い睫毛、白い手首、柔らかい金の髪。
なんで、と聞こうとして思わず見惚れてしまう。 <> BECK ss
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/15(月) 22:29:39 ID:bzG5q8xq0<> 「・・俺はシフト入れないように頼んできたんだけど?」
うわ!平くんの上目遣い!
ちょ、押し倒したくなるから勘弁して!
「なぁ、」
「え、」
「わざとはぐらかしてんのか?」
ああ。

クリスマス。
今までそんな行事、俺には無縁だった。
毎年、街を流れるクリスマスソングを爆音のヒップホップで塗り潰して。
「平くん。」
「ん?」
「その日は俺もバイトないよ。」

今年の冬は、ヘッドフォンをしないで歩こう。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> BECK ss
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/15(月) 22:30:28 ID:bzG5q8xq0<> すみません、伏せ字にするの忘れていましたorz
大丈夫・・・かな? <> 気まぐれ 0/3<>sage<>2010/11/17(水) 00:28:04 ID:wG6Skxn2O<> いちおつ

年下と年上

60巻39と同じ二人を想像して書きましたが
好きな人で想像してもらってもオリジでも

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 気まぐれ 1/2<>sage<>2010/11/17(水) 00:30:57 ID:wG6Skxn2O<> 自分より小柄とはいえ、酒に酔い潰れた男を担ぐのは労力のいることだった。
彼は元々酒に強い方ではなく、飲みすぎるとすぐに眠ってしまう方だったのだが、
今夜は、周りが止めるのを聞かずにしつこく酒を飲み続けていた。
明日が休みということもあったのかもしれないが、こんなに飲み潰れる彼は珍しかった。
タクシーで送ることも考えたが、こう泥酔していては放っておけないということで
年下だが同期であり、仲の良い自分のマンションに連れて行くことになってしまった。

ベッドに寝かせると、彼は「みず・・・」と一言呟いた。
グラスに水を入れて持っていくも、寝込んだまま起き上がらないので
仕方なく背中を支えて口にグラスをつける。
「ほら、水。飲んで」
「んー」
彼は目を閉じたまま、なかなか飲もうとしてくれない。注ぐようにグラスを傾けると
彼は吹きだして、ベッドの上に水が零れ落ちた。
「あ、ちょっと大丈夫ですか?もー」
「・・・うん」
鼻と口から水を滴らせてだらしない顔の彼を、ティッシュで拭く。
「ホント、何やってるんですか」
首元の伸びた襟足をそっと撫でると、くすぐったいような表情をして肩を強張らせた。
(小さな肩だな・・・)
手を伸ばして肩を抱き、耳元に口を寄せた。
「自棄になっちゃダメですよ」
今日飲みすぎていた理由を、薄々感じ取っていた。
圧しかかるプレッシャーと不調が重なり、追い詰められている。
そんな弱気じゃ、ここに居続けることなんてできませんよ。
こっちはその弱みにつけ込ませていただきますけど。


<> 気まぐれ 2/2<>sage<>2010/11/17(水) 00:34:12 ID:wG6Skxn2O<> 彼は覆いかぶさったこちらの顔を、呆然と見上げていた。
「・・・なんで」
「ちょっとした遊びですよ」
「あそび?う・・・」
首筋に顔を近づけると香りがした。香水使っているのか。似合わないなあ。
衣服を脱がせて、抱き寄せる。彼は体を捩らせるも、強く抵抗せず為されるがままだった。
(もちょっと抵抗してくれた方が、俺的に盛り上がったかもしれないけどなー)
慣らせてると、彼はぎゅっと肩に爪を立てた。
「・・・なあ、冗談、なんだよな。これ・・・」
「うん、冗談ですよ」
「本気に、なんか・・・ならない、よな」
答えずに、事を進めた。彼の苦しそうな声が、心地よく耳に響いた。
本気になるわけないじゃないか。
ただのストレス発散。
明日起きたら、このことは全部忘れる。
何事もなかったかのように笑って、彼も笑い返す。いつも通りの日々に戻るんだ。
もう二度とこんな危ない遊びはしない。
これは今夜限りの気まぐれ。



そう思っていた。この時は、まだ。 <> 気まぐれ (終)<>sage<>2010/11/17(水) 00:37:49 ID:wG6Skxn2O<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>>19のナンバリングをミスりました。すみません。 <> 夢路愛し君恋し Part3 1/6
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2010/11/17(水) 09:11:59 ID:g6+KK7bXO<> >>1乙です。
時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
前スレ>>280の続きで、今回はエロなし。
全三回投下の最後です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


朝まだき、淡い闇の中で、真之介はぼんやりと目を開けた。
空気は冷たいのに思いの外身体が冷えていないのは、上にかけられ下にも敷き詰められている、藁の温もりのおかげらしい。
静かな呼吸の音に気付き、大きく目を開いた。兵四郎の胸が目の前にあり、懐に抱かれるような姿勢で自分が眠っていたことを悟った。
慌てて離れ上体を起こし、急に立ち上がった真之介は、腰に重みを感じてふらついた。二、三歩歩くとよろめいてしまい、側にあった柱にしがみついた。
兵四郎は真之介が動いた気配に目を覚ました。寝ぼけまなこで横にいた筈の彼を探すと、なぜか中腰で柱に懐いている後ろ姿が目に入った。

「おはよう、仙石。お前そんなとこで、何をやってるんだ」
「う、う……うるせえっ」
ばつの悪さに悪態をついた真之介は、柱から手を離して逃げようとしたが脚に力が入らず、その場にへたり込んでしまった。
さすがに様子のおかしさに気付いた兵四郎は、腰を上げて真之介に近付いた。

「どうしたんだ、大丈夫か」
「だ、大丈夫だ!構うな、ほっとけっ」
「そうはいかん。腰を抜かしたのは、俺が夕べかわいがり過ぎたせいだな。謝る気はないが、とても放ってはおけん」
「ちっ、違う!こ、腰なんか、抜かしてないっ」
「そうか?じゃあどうして、そんな風に座り込んでいるんだ」
苦笑して尋ねる兵四郎に、顔を真っ赤にした真之介はあくまで意地を張った。 <> 夢路愛し君恋し Part3 2/6
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2010/11/17(水) 09:14:11 ID:g6+KK7bXO<> 「これは、だから、そのう……そうだ、腹が減り過ぎて、脚に力が入らねえんだっ!それだけのことだっ」
「わかったわかった。なら水を汲んで来てやるから、とりあえずそれを飲め。もう少し休んで、歩けるようになったら出立しよう」
真之介に調子を合わせた兵四郎は土間に降り立ち、辺りを物色して見つけた杓を手に小屋の戸を開けた。すると後ろから、いじけたような低い声が聞こえてきた。
「……殿様、俺に構わんでいいから、先に行けよ」
「仙石、そう言うな。実は、俺は今少しばかり、懐が暖かいんだ。朝飯を奢ってやるから、元気を出せ」
「なにぃ、奢るだと!?ほっ、ほんとか、殿様!」
「本当だとも。だから、一緒に行こう。いいな、仙石」
まんまと餌につられ、こくこくと頷く真之介を見て、これでひとまず逃げられることはないと兵四郎は確信して笑った。

杓で川から水を掬い、とりあえず自分の喉を潤していると、少し離れた小屋から出て来た男女が平四郎に声をかけてきた。
「あれっ、おーい!殿様じゃない?あ、やっぱり殿様だ!」
「殿様ぁ!偶然ねえ、こんな所で会うなんて」
旅仲間の鍔黒陣内とお恵は思わぬ再会に喜び、嬉しそうに駆け寄った。
「なんだお前達、こんな近くにいたのか」
「ほんとね、びっくりしたわ。こんなことってあるのねえ」
「殿様、仙石の奴は一緒なの?」
「ああ、一緒だ。とにかく、中に入って話さんか」
「ちょっと待ってて。顔を洗って、荷物取って来るからさ」
小屋の方に戻るふたりに頷いて、兵四郎は先に真之介の待つ中に入った。

杓の水を飲み干した真之介は、少し元気を取り戻した。側の小屋にお恵と陣内が泊まっていた、と聞くとわずかにうろたえたが、やがてやって来て上がりかまちに腰掛けたふたりを、いつもの調子でからかった。
「お前ら、ひとつ屋根の下で寝たのか。大丈夫かお恵ちゃん、このたこ野郎に寝込みを襲われなかったか」
「やだなあ、仙石ぅ。俺がこんな大根足の娘、襲うわけないでしょ。陣ちゃんこう見えて、女には不自由してないのよ」
「何よ、大根足で悪かったわねっ」
手甲脚半を身に付けて旅仕度をしていたお恵は、陣内の耳を摘みねじり上げた。痛い許して、ごめんなさいと謝る陣内に、兵四郎と真之介は笑い声を上げた。 <> 夢路愛し君恋し Part3 3/6
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2010/11/17(水) 09:16:42 ID:g6+KK7bXO<> 「ほんとはね、あたし達この先の宿場まで足を延ばして、そこに泊まるつもりだったのよ」
「そうなの。でもあの井戸の水を飲んで歩いてたら、あそこの小屋の前辺りで、急に眠くなってきちゃってさ」
土間に足を下ろして床に腰掛けたふたりは、ねえ、不思議だよねと首を傾げ合った。井戸という言葉に引っ掛かった兵四郎は、ふたりに問うた。

「その井戸というのは、ここから少し行った竹林の中の、横に小さな祠がある井戸のことか」
「そうそう、それそれ。殿様、よく知ってるね」
「あたし達その井戸の噂を聞いて、水を飲みに寄ったのよ」
「おいおいお前ら、井戸だの噂だの、一体なんの話なんだ」
話にさっぱりついていけない真之介が、懐に入れた手でぼりぼりと胸を掻きながら口を挟んだ。

「仙石、街道脇の竹林にある井戸を見なかったか。俺達は、そこの水を飲んだんだ」
「いや、知らん。俺は道をそのまま歩いて来た」
兵四郎の言葉に、陣内とお恵は驚いた。
「えっ、じゃあ殿様も飲んだの、あの水」
「ああ。噂とやらは知らんが、竹林の見事さに道を外れて眺めていたら、あの井戸を見つけた。ちょうど喉が渇いていたので、祠を拝んでから水をもらった」
「ふうん、そうなの。ねえ、じゃあ、夢を見なかった?」
「夢?夢がどうした」
夢と聞いて兵四郎は驚いたが、何食わぬ顔をしてお恵に訊いた。兵四郎が不埒な夢を見たことを知っている真之介は、少し不安げに眉根を寄せた。

「あそこはね、ここいらじゃわりと有名な井戸で、お参りしてから水を頂くと、土地神様の御利益があるんですって」
「水を飲んでから眠って見た夢に、その人が一番欲している物が出て来たら、それは将来、きっとその人の手に入るんだってさ」
「御利益が無ければただの水なんだけど、それでもやたらに美味しいから、ちょくちょく旅人が寄るみたいよ」
「その点俺達、御利益ばっちりだったよね。しっかり、夢見ちゃったもんね」
ねーっ、と嬉しそうに笑い合うふたりの言葉に、兵四郎はますます驚いた。
思わず後ろにいる真之介を見やると、やや顔を赤らめて、なんとも言えない渋面を作っていた。
兵四郎の視線に気付くと、軽く睨んでから勢いよくそっぽを向いた。 <> 夢路愛し君恋し Part3 4/6
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2010/11/17(水) 09:19:36 ID:g6+KK7bXO<> 「それでお前達、どんな夢を見たんだ」
「それがね、聞いてよ殿様!すごいんだよ、陣ちゃん、山吹色のお風呂に入ってる夢見ちゃった!
も、ほんとすごいの。小判が俺の周りにこう、どばーっと、ざばーっと」
「殿様、あたしはね、小綺麗な小料理屋をやってる夢。近所に住む人達がたくさん来てくれて、美味い美味いって、あたしの料理を食べてくれるの。
粋な感じのお客さんが多かったから、あれは江戸だったかもしれないわねえ」
「そうか、なかなかいい夢を見たんだな」
「うん、陣ちゃん幸せ!あれはねえ、正夢になるよ絶対」
「ねえねえ、殿様も見たんでしょ?どんな夢だったの」
教えて教えてとにじり寄るふたりに、兵四郎は困って真之介をちらりと見やった。
真之介は急に立ち上がると、はしゃぐ仲間を怒鳴り付けた。
「あーっ、うるさい!夢がどうのと、くだらんっ。俺は、もう一回寝るぞ。話が済んだら起こせ、殿様!」
床を踏み鳴らして奥へ向かおうとしたが、歩くうちに勢いをなくし、へろへろと倒れ込むようにまた藁の上に伏した。
陣内とお恵はぽかんとしてそれを見送ったが、気を取り直して兵四郎に向き直った。
「何あれ。殿様、仙石さんどうかしたの?」
「あいつ、自分だけ夢見れなかったからひがんでんだよ。あんな馬鹿ほっといていいよ、ねえ殿様」
「まあそう言うな、陣内。仙石は腹が減っていて、ちょっとばかり具合と機嫌が悪いんだ」
「ああ、だからあんなにふらふらしてんのね。まあいいじゃない、仙石さんのことは。それで殿様、殿様の夢は?」
「そうそう、そうだよ。殿様の見た夢、気になるなあ。気になる!」
「俺か。俺が見た夢はなあ……」
背中を向けて寝そべった真之介は動かないが、こちらに聞き耳を立てているのに違いなかった。
兵四郎は笑って、ふたりに夢の内容を打ち明けた。 <> 夢路愛し君恋し Part3 5/6
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2010/11/17(水) 09:22:18 ID:g6+KK7bXO<> 「俺が見たのは、綺麗で上品な着物を着て、豪勢な座敷にいて、美味い酒と食い物で腹一杯になる夢だったなあ。
周りにはすこぶるつきの美人がずらりと並んで、争うように次々と酌をしてくれてな。いや全く、極楽のようだった」
ご満悦といった風情で顎を撫でつつ語ると、陣内とお恵は呆れたように顔を見合わせた。

「まあねえ、殿様らしいっちゃ、らしいけど……」
「悪いけど殿様、それは正夢にはならないわね、きっと」
「そうかあ?わからんぞ。いずれ御利益が効いて、まことになるかもしれんぞ」
「ないない。ないよ、殿様」
真顔で首を横に振る陣内に、お恵が茶々を入れてきた。
「まあでも陣内さんの山吹風呂も、現実味がないってとこでは、殿様と似たようなもんよねえ」
「ひどいっ、なんてこと言うのお恵ちゃん!この、大根娘っ!」
「あー、はいはい。わかったから、とりあえず次の宿場で地道に売りましょうね、たこの吸い出し」
悲憤する陣内の肩をぽんぽんと叩き、お恵は冷静に悟した。ふたりのやり取りに、兵四郎は声を上げて笑った。

外に出て、吸い出しを一つ陣内から貰い受けると懐にしまい、真之介を連れて後から追うと告げた。
宿場で落ち合うことを約束し、出立するふたりを見送った。

中に戻ると、横たわる真之介はやはりじっと動かなかった。
けして寝相が良いとはいえない彼のやけにおとなし過ぎる寝姿を、兵四郎は狸寝入りだと見破った。
近寄ってすぐ後ろに腰を下ろし胡座をかくと、静かな呼吸に揺れる身体をじっと見つめた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/17(水) 09:47:09 ID:62UXKbgT0<> 支援? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/17(水) 09:57:31 ID:TKpLbYRr0<> 支援? <> 風と木の名無しさん<><>2010/11/17(水) 11:20:44 ID:BaUmXvu+O<> 失せろクズ <> 夢路愛し君恋し Part3 6/6
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2010/11/17(水) 11:28:03 ID:g6+KK7bXO<> >>28>>29様、支援ありがとうございます。続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「……真之介、俺が見たのはあくまで夢だ。俺はあまり、御利益などというものは信用していない。だから、お前が手に入ったとか手に入るなんてことは、全く思っておらん」
真之介が少し緊張しながら言葉を聞いていてくれるのを感じ、兵四郎は更に語りかけた。
「夕べも言ったが、お前のような男を飼い馴らそうとしても、それは無理なんだ。そして俺は、お前のそういうところが……気に入っている」
好きだ、という言葉を飲み込んで、兵四郎は言葉を重ねた。
「自由に駆けるお前の近くにいて、俺はそれを見ていてやりたい。だが、今は……」
兵四郎は真之介の後ろに寄り添って横たわり、左腕を下から差し入れて肩に回し、右腕を腰に絡めて、ぐっと身体を抱き寄せた。
うなじに寄せた唇から熱い息がそこにかかると、目を閉じた真之介はわずかに震えた。

「今だけは、こうしてお前を捕まえていたい。許せ、真之介」
囁くと髪に顔を埋め、真之介を抱きすくめたまま兵四郎は目をつぶった。
真之介は何も言わず、腰を抱いた兵四郎の腕に手を添えた。


夜はすっかり明けて、朝になっていた。ふたりはまだ、夕べの眠りから醒めようとはしなかった。





□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
なんか最後しんみりしてしまいましたが、やはり参匹+妹分のじゃれ合いは書いてて楽しかったです。
長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/17(水) 12:03:59 ID:4z0e+x+sO<> >>31 続き待ってました。ありがとうございました <> BECK 六弦×四弦 Part1 1/3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/17(水) 22:55:55 ID:7Eu+KcLP0<> ライヴが終わって。
平くんがラグランを手に取って、水でも買いに行くのかふらふらと外に出ていった。
横を通り過ぎていったときに感じたにおい、
俺は知らないうちにその背中を追いかけていた。

細い通路を抜けると自販機の光が薄暗い半地階にぼんやりと浮かんでいる。
案の定どこにでもある銘柄のミネラルウォーターのボタンを押した平くんの肩を、俺は突然両手で抑えつけた。
ガシャ、とペットボトルが落ちる音と共に恐怖の色を余すことなくその顔に浮かべた平くんが振り返る。
その表情は俺をさらに興奮させるには充分で。
なんだ竜介かよ、とでも言いたげに歪められた口元を塞いでその唇を割り、無遠慮に口内を犯した。
平くんは、今自分の身に起こっていることが信じられないといった感じで目をキツく閉じて俺の舌から逃れようとする。
自販機に密着させられた身体をイヤイヤするみたいに捩る度余計に舌が絡まって、平くんは観念したように俺の動きに応じ始めた。
あんまり気持ち良くて俺はうっとりして思わず目を閉じて、薄目を開けたら平くんが目尻を染めてこちらを見ていたことに気付く。
扇情的なその瞳に、俺は次の段階へ事を進めようと舌を離し、顔を彼の首筋に、手を下半身に移動させた。
「おい竜介」
平くんが唾液に濡れた唇を舐めながら言う。
「流石にここはまずいだろ、」
じゃあどこで。
まさかこのまま戻るとか言い出すんじゃねぇだろうな。
「とりあえず出よう」
さすがは平くん、賢明だ。
だって、ここはいつ他の演者が来てもおかしくないのだから。 <> BECK 六弦×四弦 Part1 2/3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/17(水) 22:57:19 ID:7Eu+KcLP0<> テンプレ忘れてましたorzほんとすんません

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシテオリマース!

結局俺達が辿り着いたのは、近くにある広い公園の茂みの中。
落ち葉が積もったなるべく柔らかそうな場所に平くんが横たわる。
「…なんかごめん」
「…今更だけどな」
暗くてよく見えないけど、平くんが苦笑しているのだけは分かる。
「…まぁ俺も実際ムラムラしてたし、」
ボソッと言った平くんのハーフパンツの前がテント張ってんのを見て、俺はしみじみと嬉しくなった。
「ヤベ・・触っていい?」
ちゃっかり自分のジッパーを先に下ろしてから平くんのパンツに手を掛ける。
勢いよく飛び出した平くんのに半端じゃねえ愛しさを感じて擦ると、既にカウパーが全体をしっとりと濡らしていた。
「ん、‥ふ、ぁっ‥‥」
「平くんエロ過ぎ、」
「ぅ、あっ‥‥は、」
「シッ!」
茂みの外に人影を認めて俺は息を潜めた。
手の動きは止まんねぇけど。
「ぁ、ぅあ、ふぁ、」
人影は俺と平くんの名前を交互に呼んでいる。
身長からしてあれはおそらくサクだろう。
「平くん、サクに聞こえちゃうよ?」
「‥‥っ」
<> BECK 六弦×四弦 Part1 3/3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/17(水) 22:58:34 ID:7Eu+KcLP0<> 唇を噛み切らんばかりに声を殺す平くんの口に、空いている方の手を突っ込んだ。
平くんは優しい。
俺の手が傷付かないように歯を立てずに咥えてくれている。
でもまさか、その優しくていつも大人な平くんが、こんなになっちゃうなんて、ね。
ぬるぬるとした感触が気持ち良くて、俺は平くんの舌の上で指をスライドさせた。
奥のほうに当たると眉根を寄せて苦しそうな何とも言えない表情になるのが見たくて何度も。
そんでそのタイミングで解放されそうになる平くんをぐっ、と握り込む。
何回かやってると、平くんの目に生理的な涙と抗議の色が浮かび始める。
サクはとっくに公園を出て行った。そろそろだ。
指を抜くと抑えられていた声だか咳だかが平くんの口から一気に漏れた。
ああ、やりすぎちゃったかな。ごめんね平くん。
ハーフパンツが引っ掛かっていないほうの脚を持ち上げ、唾液に濡れた指を二本一気に挿入した。
「うぁぁっ――」
最後の方は声にならないと言ったところか。
ぐちゅぐちゅと掻き混ぜて、さすがにキツそうだったんで「指増やしてい?」って一応訊いたら、平くんは首を横に振った。
「欲しいのはそっちじゃねぇよ」

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

いいところで止めてすんませんですw
続きます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/18(木) 01:57:44 ID:WHzNhwkDO<> >>16
>>33
ちょwwwww
なぜにいま別区祭りですか
上映中は意外にも投下なかったのに時間差で幸せがやって来たー
姐さん方ありがとう!!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/18(木) 03:08:57 ID:XGM/oBTUO<> 前スレのキム空萌えました!
GJでした!いつかこの二人が共演してくれるといいな <> いい子にしてます 1/2<>sage<>2010/11/18(木) 03:21:44 ID:dnSDVZWc0<> どうしてもやらかしたかったので場所をお借りします
諸事情によりわざとぼかしている(つもりな)のでお許しください


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




世の中、こうと言い切るというのは中々勇気がいるものだと日夜痛感する毎日を送っているのだが、こと自分の兄弟仲に関してなら、はっきり「良い」と断言できる。
異常、とか、もの凄い、なんて賞賛とも奇異とも取れる冠をつけられることも少なくない。
異常は少し失礼な気もするが、近しい者になればなるほど形容が露骨で不躾なものになるのだから、まぁつまり、言わずにおれないようなものであることは間違いないだろう。
たしかに、一般的成人兄弟は、時間が惜しいとか風呂が広いといった理由があっても、一緒に湯を浴びるようなことは多分しないものなんだろう。
風邪が流行ってる、とか、ちゃんと朝ごはん食べてるか、なんてメールは百歩譲ってやり取りしても、撮った写真を添付して「今度の帰省土産決定!」なんてメールに、いそいそロックをかけて保存しているというようなことは、あまり世間でも聞かないな。

だがそれも、お互いの多忙が極まっているせいだ。身を置くのは、どちらも華やかな戦場。カメラとフラッシュ。
対極にあるようで、何も変わらない、どちらも泥くさい世界の中で、余裕なフリしていつも足掻いている。
孤独な夜に耐えるには、時には甘える枕も欲しいのだ。絶対に裏切らない、見返りを求めない、唯一無二が条件の。

それに、顔も声もリモコンひとつで確認できるからこそ、その存在が遠く離れたようでおそろしい。
一つ屋根の下に住んでいた時より、よほど近づいてうつる横顔も、それが自分と血のつながった片割れであるのかどうか、見れば見るほど希薄になる。
大衆向けでない、生の姿を恋しく思う。

だから、血のつながった兄弟にしては多少過度なスキンシップを求めるのも、まぁしょうがないことなのだ。
人生いろいろ、兄弟もいろいろ。
悩みもいろいろありすぎて、ちょっと辛いこの頃だけど。 <> いい子にしてます 2/2<>sage<>2010/11/18(木) 03:22:54 ID:dnSDVZWc0<> +++


短い休憩中、熱心に何かを読んでいる後輩の姿に、弁当をつついていた男はちょっと目を開いてから、小さく吹き出した。
相変わらず勉強家だと感心したところだったのだが、よくよく見れば、彼が目を落としている物は大衆向けの雑誌だった。
ページに沿わせた長い指先からはみ出すあおり文字に、ゴルフの三文字が見える。
四角い写真いっぱいに、爽やかなグリーンが息吹いていた。
ゴルフしたいんだろうなぁ、と思う。体を動かすのが好きだと聞いてる。
年末ぐらいは遊ばせてやりたいもんだ、などと、先輩面というより親心のような温かい気持ちを勝手に抱いて箸をねぶった男は、そこでちょっとした違和感を覚えた。
さっきから、全然ページが進んでいない。どころか、ページの文章を読んでいる気配さえなく、一点におかれたまま往年の実父によく似た鷹の目は、見開きの一番左横隅、四角い枠のところで、じっと止まっている。
男は思わず身を乗り出して、なんとか其れが見えないものかと、眉根に力をこめた。

一体、あそこに何が書いて――ん?『ゲストコラムニスト』?
今月は、今月は…小――考……?


舐める様な目つきに、ちょっと背筋を寒くしたところで、不意に後ろから秘書の声がかかった。

「先生、そろそろお時間ですよ」
「おっと、……すみません、今」

そう言って顔をあげたときは、もういつもの涼しげな目元に戻っている。
さりげなく閉じられた雑誌は、すぐに大きな資料鞄とは別の鞄にしまいこまれた。
襟を整えて、すぐに臨戦態勢に変化する。あざやかな切り替わりだった。

男は疲れ目かなぁと不安を覚え、次の審議で眠らないよう、慌てて両目をゴシゴシこすった。



□STOP ピッ ◇⊂ (・∀・ )
イジョウ ジサクジエンデシタ- <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/18(木) 12:29:17 ID:zkMTRgX20<> >>38
感動したっ!おめでとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/18(木) 19:25:00 ID:tNm5/Df90<> >>38
ふおおお滾りました。
あの兄弟仲良いとは聞いてたけどそんなんなんだw
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/18(木) 22:15:37 ID:ij+iGutZO<> >>31
お待ちしてました!心からGJ!!
姐さんのおかげで新たな萌えに目覚めました。
また参匹SS書かれた時には読ませていただけたら嬉しいです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/19(金) 00:52:32 ID:lcLc0ZoJ0<> >>38 をを、いいもの読ませてもらいました。ありがとう。
おばかな幼馴染の乱入まで妄想しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/19(金) 10:36:26 ID:I2XNJ/qVO<> >>38
GJ!!GJ!!
あの二人だけが共有する世界がたまりません。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/19(金) 11:53:16 ID:XUqD+8G6O<> >>19
遅レスだけどGJ!いい物読ませて頂きました
あなた様の書く二人は何とも甘酸っぱい様な雰囲気で大好きです <> 日常という名の 1/1<>sage<>2010/11/19(金) 21:40:07 ID:GAvODwZlO<> 携帯から失礼
元ネタあれど生で微妙なジャンルなので伏せてみた
ヘタレ男前×わがまま後輩

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! ハツトウカデ キンチョウシテルヨ!

 安っぽい白光の下で、重たい顔をした男が二人。
(話し合おうっていったの、そっちじゃん…)
 落ちる静寂にそわそわと落ち着かなくて、もてあまし気味に机の上のボールペンをいじった。カチ、カチ、と断続的に8畳間に落ちる音が、この人といて久方ぶりの暗い沈黙を再確認させた。
 なんかしゃべれよ、そう思って数分振りに顔をあげる。動作はあっさりたものだが、その実内面ではおそろしく勇気をだしたけれど。
「……」
 だからといって当の相手が視線をあわせることはなく、変わらず視線を下げて机の向かい側に座っている。思いのほか長いまつげがほほに影をおとしていて、なんだか妙に色気を感じてしまった。

 おれは今、この男と付き合って、喧嘩して、…なかなおり?
 まったくお互い30越えたおっさんが、恋人やって喧嘩して、なかなおりって。あほか。なんだか無性に馬鹿らしくなって、無意識に舌打ちをしていた。
「……っ」
 その音に反応したのか、いやそれしかない。ビクっと反応してこちらを見つめたその目が、あんまりにも情けなくって少し笑ってしまった。こんな情けない目をしてる男に色気って、どうかしちゃったんだろうか。
 笑いに一瞬傷ついたような表情をのせた瞳が、次には困ったように、そしてほんのすこしうれしそうにゆがむから。
 なんだか楽しくなって、あほらしくなって、思う存分笑ってやった。情けないあんたも、意地をはっていた俺も。
「なんで、喧嘩したんだっけ」
 なんだかものすごく久々に彼の声を聞いた気がして、不覚にも泣きそうになったのをこらえながら目をつぶる。
「あー…、わすれた」

 やっぱりあんたと俺は、あんたと俺でしかないね。変わらないやわらかい空気に安心して、彼の笑顔をなんとはなしに眺めた。
 今夜は甘え倒してやろうと、そう思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

この二人つぶやきでもトークでもやわらかいふいんきで大好きだよ…! <> 新P/e/t/s/h/o/p/O/f/H/o/r/r/o/r/s レオン×D伯爵2 1/2<>sage<>2010/11/20(土) 03:18:32 ID:xaLPYv3Y0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )今回は短いはず!ゲロ甘です

「は…ちょ、ちょっと刑事さん!?」
ばりっとチャイナ服の前を空けると、乳首を舌で転がし、吸い上げる。
飢えた獣そのもの。もう片方の手は、伯爵のズボンを脱がし、性器を刺激する。
「あ!刑事さん、もう少し、おちつい、て!」
「馬鹿、我慢できるかよ」
器用に腰紐を口で解いていく。
性器を掴むと、それを乱暴に扱く。相当お預け食らっていたのだろう、早く伯爵を抱きたくて仕方がない、そんな表情で、何度も胸板に跡をつけた。

「んっ、んふっ、はっ、あっ、あっ」
三十分後、すっかりチャイナ服を乱されて、突き立てられる伯爵と、それを組み敷いて、夢中で体を貪るレオンがいた。
「ディー…あの男に何もされなかったか?」
ふ、と、耳を軽く噛むと、囁いた。あの男とは劉のことだ。
「…?やッ、さ、されてません…、本当です!」
「本当か?」
急に突き上げをやめて、伯爵の瞳を覗く。
体のいたるところがレオンで埋め尽くされてつらいのに、急に動きを止められたら、身体がレオンを求めてやまなくなる。
「本当…です…、何故…」
少し潤んだ瞳で、レオンに訴える。
「本当だな」
ぐ、と一気に突き上げる。そのときに得た快楽は今までに味わったことのないほどであった。
思わず高い声を上げ、伯爵は絶頂を迎える。それとほぼ同時に、レオンも絶頂を迎えた。

「…腰が…痛い…です」
七回もやればそれはもう狂ったかのような快楽地獄だった。腰も勝手に動いてしまって、結局はレオンの気の済むまで抱かれ続けていた。
「わりぃわりぃ。なー、休み取れたんだししばらくここにいてもいいか?仕事の後も、別に家に帰らなきゃなんねぇ訳でもねーし」
「嫉妬で散々人を苛めたおしてその台詞ですか。…いたらどうです?ただし菜食料理しか出てきませんよ」
そう切り返す伯爵の顔は、まんざらでもなさそうだった。 <> 新P/e/t/s/h/o/p/O/f/H/o/r/r/o/r/s レオン×D伯爵2 2/2<>sage<>2010/11/20(土) 03:20:22 ID:xaLPYv3Y0<> のろりと服を着ながら、レオンの逞しい肩に寄りかかる。
「本当に嫉妬、してたんですか?」
「お?」
ふい、と顔をそむける伯爵が気になって、ぐい、と顎を掴んでこちらを向かせる。
「…なんですか」
「嫉妬されて嬉しいんじゃないのか」
にやにや笑うレオンが憎らしいと思う伯爵。しかしそれが図星なので、何もいえなかった。
手を軽く叩いてどけさせると、話を続ける。
だが顔が赤くなっていることに、伯爵は自分でも気づいていた。
おそらく耳まで赤い!
けろ
「…悪いですか、どうなんですか、刑事さん」
「…ディー」
ディーを抱き寄せると、ぐしゃぐしゃと髪を乱す。
「当たり前だろ」
にっかり笑った顔に、伯爵は思う。
(勝てませんね…)
全く、やるときは多少無理するし、平気で店に泊り込むわ、最悪な男だ。
だが、嫌いじゃない。むしろ好きなんじゃないだろうか。
そう考えながら、口付けを交わした。

「何で俺が締め出されなきゃならんのだ!!」
「まあ、まあ、太子、そろそろ仕事ですよ」
今日の残念賞。
劉、追い出されて中に入りたいが、施錠されているので入れない。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )レオD読んでくれる方がここにしかいないので毎度お世話になってます! <> 酔っ払いとの会話 1/3<>sage<>2010/11/20(土) 04:50:51 ID:/AWKr2eX0<> 某生モノ、なので注意を。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


こいつは酔っぱらい。泥酔してる。よくあること。
今までもよくあったこと。だから今のこの会話は、後になったら本当に百パーセント覚えていない。
「じゅーろくねんだ」
「十七年じゃないかね」
「う……っせえ!」
酔っぱらいだな。数のカウントもおかしい。
とりあえずきれいに揃えた爪の指をひのふの、と折って数え直そうとしてるけど、いやそれじゃ足りないから。
ほれ、癇癪を起した。出会ってからの年数なら、足の指まで使わないと多分足りない。
「そーじゃない!だからな、じゅーろくねんなんだ!」
「十七……」
「でな!だからさ!そろそろセックスくらいいいんじゃねいの、っつってんの!!」
こいつは酒に弱いくせに酒が大好きで、そしてさっさと酔っぱらった後のことは、本気で全部俺に丸投げしてくる。
まあこれくらい付き合ってれば慣れるけど。それは今日だってそうだ。
ライブの打ち上げの後なんで、正直俺もちょっと早く寝たい。明日も早いんだし。
隣の部屋まで帰してくれ。明日になったらまた、マネさんより早く起してやるから。
「……ハァ」
「んだそりゃあ!アホ!ボケ!アフロ!」
気のない返事をしたら、ぽこぽこ頭を殴られた、痛い。もうアフロじゃねーってのに、容赦ない。
ホテルまで連れ帰って、ベッドに沈めるまでは上手くいったんだけど。今日はそこでむっくり起き上がって、口を開いたと思えばこう。
愛嬌のある顔立ちだ、とま、俺は思う。酔っぱらうと眼が座るが、ときどきそれも可愛げあると思う。
でも、一度キレだすと罵詈雑言が止まらない。
あの声で。良く響く、やわらかくて伸びのある、惚れこんでるあの声でだ。あああ、結構へこむ。 <> 酔っ払いとの会話 2/3<>sage<>2010/11/20(土) 04:51:29 ID:/AWKr2eX0<> 「おマエ、俺を何だと思ってんだ!」
「え、相棒……」
「……もしかして、そんだけとか!?ふざけんじゃねーぞ!」
しかし言うに事欠いて、何を言い出すのかと思ったら。
そんで、そういうため息もバレた。死ねアフロ!っておい。だからもう俺はアフロじゃねえ!!
「いて、タク、や、イテ!幾つだお前!!」
「……ってと」
「……いい、いい。足の指はいい」
くしゃくしゃと、セットが乱れたパーマ髪をいじってやったら、漸く落ち着いたようだ。
ベッドのシーツを握りしめながら、俺の方を見ないで何かブツブツ呟いてる。
「だって」
「……」
「不安になんじゃんよ」
「……?」
「……俺ひとりで、ソロやってても、お前止めねえし」
「う?」
「昔みたいに、追いかけてこねえし」
ああそりゃあ、三十超えたし。つか、ソロとか何時の話よ、一昨年?でも結局はまた、こうやって一緒にやってるじゃん。
でもがきんちょの頃は、いやそれからも、俺が一緒にやりたいって言ってもお前が逃げ回ってたんだろうが。
だから好きで追いかけてたわけじゃない。お前が逃げるからだ。いや、好きで追いかけてたんだけども、そりゃあ。
「……なぁ」
まだブツブツ、何か言いながら一点病みたいに固まってしまったこの相方に、俺も困ってしまった。
でも寝かしつける使命がある。明日も早いのは、俺もだけどこいつも同じだし、運命共同体だし。
「だから?安心したい……つか、そういう感じで、俺と寝たいってか?」
「うん」
まあ素直。って、じゃなくて。
「あほー」
「何でだ!!」
「何でもないだろが。……寝ろ!!」 <> 酔っ払いとの会話 3/3<>sage<>2010/11/20(土) 04:52:28 ID:/AWKr2eX0<> 油断してたらしく、その一撃でこいつはあっけなくベッドに仰向けにひっくり返った。チャンスとばかりにシーツで挟む。
じたばたするけど、ここで力を緩めるわけにはいかない。
「こら。……待てって!言うから!言うから!!」
「ハァァ!!??寝ねえぞ、俺ぁ!!」
「違くて!……そういう時は、俺から言うから!!」
「?」
「……お前としたくなったら、俺から、言う」
多少卑怯かな、とは思わんでもなかったが、シーツの下の耳のあたりにそう言ったら、ぴたり。動きが止まった。
「だから、今日は寝え。な」
大丈夫、こいつは酔っぱらい。大丈夫、いつもこういうときの話は、百パー覚えてねえんだから。
とんとん。ぽんぽん。
頭のあたりから肩、腰、脚のあたり。ちょっとずつ叩きながら、少しずつ息を殺して、俺は遠ざかった。
枕元の水、ペットボトル確認。
ヘッドライトの電源オフ、確認。
静かにゆっくり、ゆっくりドアへ。起きるなよ、また蒸返すなよ。明日はまた、二人で顔を合わすんだし。
起きるなよ、俺が出ていくまで。
だってそうだな。考えるとそんなにもか、俺がお前を見つけて、追いかけまわして今になって、十何年も経ったのか。
それは言い変えると、そんだけの間、片思い続けてきたみたいってなことで。
「……やっべ、かった」
端的に言うと、ものすごくしたい。俺だって。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/21(日) 12:49:48 ID:rPZ0dUJsO<> >>49
禿しくGJ!
ドキドキしますた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/21(日) 17:10:47 ID:5Dr9cUsN0<> >>49
心の底からGJ!!
シチュエーションやらアフロ(元)の思考やらが好みすぎて
もう理想通りで萌え転がりました…ありがとうありがとう
もしも続きがあるのであれば、是非とも拝見したいです <> 夜伽会3 1/9 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:24:21 ID:FEI5NtmS0<>  闇金ウシジマくんで滑皮×社長。大人向けでソフトなSM表現と暴力描写、お道具使用などが苦手な方は読まない方が良いと思います。時間的な設定は単行本1巻の前
のイメージです。全スレからの続きです。レス頂いた方々、ありがとうござました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 せき止める物を取り除かれ、あっという間もなく放たれた白濁は丑嶋自らの体のいろんな場所に降り注いだ。生暖かい自分の白濁に汚された胸は、くいこんだ縄を弾き
飛ばさんばかりに上下に動いている。屈辱に耐えきれず暴れているのではない。射精しても尚も体の中に残った余韻に蝕まれてしまっているのだ。
 射精して少しは落ち着いた筈なのにうわ言のような小さな声を漏らす丑嶋を見下ろし、滑皮は陶然とした。かつての昔、まだお互いに少年と言える年齢に出会った時分
でも丑嶋は今の丑嶋と変わらぬ人物だった。高慢で冷静、年齢にしてはどこか達観していて、本当に生意気で泣かせたくなる。身体は大きくなったが、本質はまったく変
わっていない気がする。
 そんな丑嶋が体を縛られ、甘えるような強請る様な声を出して、絶頂を終えたにもかかわらず悶えているのだ。身体だけでなく、目隠しを外して顔を良く見てみたくなっ
た。
 滑皮は手を丑嶋の顔に伸ばした。爪の先端が目隠しに触れる。
 「・・・っ」
 丑嶋が喘ぐのを止めて息をのんだ。触れた部分は膨らんでいた。どうやら殴った部分に触れてしまったようだ。痛みを訴える声を聞き、滑皮は眼隠しを外すのを止めた。
丑嶋の爛れ蕩けた表情や、相手が滑皮だと知った時の反応を見たかったのだが、それよりも苦痛や快楽を与える方に好奇心をそそられたのだ。
 目隠しを外そうとしていた手は丑嶋の顔の近くを離れ、ベッドの上に置いてある道具の中からローションを取りあげた。キャップを開け、手に落とすと冷たさを感じた。
手の熱で温めるように指の間でネチャネチャと音を立てながら弄ぶと、空気が入った無色透明のローションは少し白く濁った。 
 空気と熱を含んだローションは最初より粘り気を増した。もう頃合いか、と滑皮はM字に開かれた丑嶋の股間の尻の谷間に指を這わせた。 <> 夜伽会3 2/7 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:26:36 ID:FEI5NtmS0<>  丑嶋がビクリと震えた。そこを触られるのは慣れている。だが、今の今まで丑嶋を責め苛んでいた相手に触られるとなると危機感と嫌悪感が募る。
非難の言葉を投げようとしたが、殴られて傷ついている上に喘いだせいで喉は乾いているので舌がもつれ、拒む前に先に滑皮の爪先2本が侵入してきた。 
 入口は茶色がかった肌色、指の間から見える内部の肉は鮮烈なサーモンピンクだ。その肉が指に絡みつき侵入を拒もうとする。構わずに指は強固な壁を乗り越え、内部
に易々と侵入していく。最初から根元まで入れず、まずは指の第一関節までめり込ませると、浅瀬を優しく掘り返す。
 喘いで開かれていた丑嶋の口は閉じ、ぎゅっと表情が硬くなった。痛いとかではなく、感じてしまいそうなのを堪える為だ。
 しかし、滑皮の指はやはり器用だった。指についたローションを上部に塗り付けたかと思うと、素早く同じところを撫でまわされる。上部は指の腹によって、反対に下
部は爪によって刺激され、硬く結ばれた筈の丑嶋の上唇と下唇の間からは熱っぽい息が漏れだす。
 「んっ、んっ、んっ」
 丑嶋は凛々しい形の眉を八の字に垂らし、内部から生まれた電流によって火照った腰を悩ましくくねらす。滑皮の指を咥えた後孔の粘膜はローションでしっとりとなっ
たが、柔らかい肉とは違い括約筋自体は指を締め上げる。はっきり口にしなくても、丑嶋の内部は指の侵入を歓迎していた。
 歓迎された側の滑皮は下卑た笑みを浮かべ、第一関節までしか入れていなかった指をゆっくりと深く差し込み始めた。指の先端を入れていた時には入口付近のただプリ
プリとした臓物の弾むような感触しかなかったのに、指の根元まで差し込むと直腸内部のザラリとした壁の感触が分かった。
 「ふっ?!ふっ」
 「オラァ、気持ち良いか?嬉しそうにヒクつかせやがって」
 「ち・・・くしょっ、触る・・・な、んっ」
 覆う物が何もない股間は、滑皮に濡れそぼった性器とヒクつく後孔を見せびらかすように突きだされている。いやらしい部分を見せつけて、触るなとは無理を言う。滑
皮の手は、玉の汗をかいた逞しい体を撫でまわす。
 「うあっ、ああ」 <> 夜伽会3 3/7 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:27:36 ID:FEI5NtmS0<>  肉の悦びに負けた素直な後孔は指を締め付けた。特に射精して間もないのにも関わらずヘソにつきそうに勃起した性器に触れると、縛られて伸びきらない背中を可能な
限り反らして悶える。
 「これだけ締めつけてりゃ世話ないな。でも指じゃ物足りないだろ?」
 指を嬉しそうに咥え込んだ後孔を愛おしげに見て、滑皮は片手をベッドに置いた物に伸ばした。そこにはダイアル式のボタンがついたリモコンとコードで結ばれた卵型
の道具がある。俗に言うローターだ。
 用途は簡単だ。電池式で小刻みに震えるので機能的にはマッサージ機的だが、主な目的は肩や腰などの凝りが溜まった部分に当てるのではなく、もっと人間の性感を呼
ぶ部分に当てることだ。具体的に、これから使用される丑嶋の体のどの部分に当てられるかと言えば、指を美味しそうに咥えている後孔や濡れて健気に愛撫を待っている
性器、それに胸など。もし丑嶋が肩や腰が感じる体質ならば、マッサージ機的に押し当てても構わない。その場合、得る喜びはマッサージ機の効能とは異なるものにはな
るが。
 色は漆黒で艶々としているので毒々しい。大きさは滑皮の手の中にすっぽり隠れるサイズだ。性技に長けている上に、サディストの滑皮にしては小さい物を選んだよう
に思えるサイズだが、振動の強さは素晴らしい。
 指を埋め込んだままで片手でローターにローションを垂らす。本当は指で解した時点で受け入れるべき後孔は濡れているのだが、滑りを良くした方が色々操作し易い。
 ローター全体を濡らすと、滑皮はベッドの上に両肘をつく。無理矢理開かされた割には、最早受け入れる状態になって何かの到来を待ち受けている後孔を一度指で撫で
ると、指に肉が吸い付いてくる感じがする。体の持ち主の言や態度や脳みそにも逆らう肉の欲求は凄まじいようだった。
 物欲しげにパクパクと口を開ける後孔が無様であり、愛おしくもある。早く、と急かされるように滑皮の2本の指は左右に開いた。
 「んおっ?!」
 後孔を開かれ、丑嶋が驚いた声を出した。
 続いて滑皮は左右に開いた指の間にローターを挟むようにすると、ローターのコードがついた尻の部分をもう片方の手で押した。 <> 夜伽会3 4/7 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:28:27 ID:FEI5NtmS0<>  体内に異物がめり込んでくる感覚に丑嶋の喉が声も出さずに震える。熱く滾っていた直腸を冷たく硬い物が肉壁を押し広げながら入ってくる。指や性器とは全く異なる
おぞましい感触は奇妙な快楽を内包していて、筋肉に包まれた逞しい腰が武者震いする。
 「ふふふっ。凄いなぁ、オイ。大して力入れなくてもテメェのケツが咥え込んでいくぜ」
 滑皮の言葉通り、餓えた丑嶋の肉体は血の通った人間の物ではないローターでも一向に構わないようで、力を加えて押し込まないでも自ら咀嚼するように戦慄いて受け
入れて行く。
 徐々に淫媚な後孔に沈んでいき、最後にはほんの爪の先程しか見えなくなったローターの行く末を見届け、滑皮は丑嶋の股の間から性器を見え上げ、ゆっくりと自分の
指を引き抜いた。
 引き抜かれた滑皮の指はすぐ傍にあったローターのコントローラーを持つ。ダイアル式のボタンに指をかけ、ゆっくりと中の位置まで回す。ビクリと丑嶋の尻が揺れた。
 「これ・・・、何っ」
 訳が分からない、と丑嶋が拘束された脚を動かす。哀れなことに暴れても体がゆりかごのように揺れるだけだ。
 「何、か。分からない方が良いかもしれないぜ」
 戸惑いと快楽に揺れる落ち着きのない尻が魅力的だ。滑皮は張りと血色のよい尻に引き寄せられるように耳を近づけた。皮膚を通してブーンという羽虫の羽音に似た極
微弱な音が聞こえてきた。だが、手慰みにダイアルを強の方に回せば、音はだんだん大きくなり、丑嶋の身悶えも激しくなってきた。
 丑嶋は体の内部を蹂躙する不埒な侵入者には負けまいと口をつぐむ。だが、そうはさすまいかと言うように滑皮の指が再び後孔に挿入され、痛みを持つほど快楽に敏感
な前立腺にローターが当たる様に押し込んできたから一たまりもない。つぐんだ口はすぐにだらしなく開き、喘ぎ声が漏れる。悔しさに拳を握りしめるが、総毛が立つ快
楽に下半身は抗えず、滑皮の顔がすぐ近くにあるのも分かっているのに、肢体をローターの振動に合わせて小躍りさせるしか出来ない。 <> 夜伽会3 5/7 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:29:12 ID:FEI5NtmS0<>  「あっ、あっ、も・・・っ」
 丑嶋の口から意味の分からない言葉が漏れる。体を動かす度に中にあるローターが腸のぜん動によって微妙に動き、機械的な振動とは別の刺激で前立腺という急所を攻
めてくる。新に生まれてくる刺激に耐えれなくなってしまうが、依然としてローターは止まってくれないので、腰を揺すって滑皮に見せつけるような尻を振る動きも止め
られない。前立腺を刺激されて性器が濡れてしまうのも、誘うように後孔がヒクつくのも丑嶋の意志では最早どうしようもない所まで追い詰められた。
 「くっ、ぐうっ、い・・・く・・・」
 2度目の射精を訴えると、何故か内部のローターの振動が弱くなった。
 「あ・・・?」
 射精感が急に萎んだ。もう射精寸前だったのに、と恨めしく思うのと、拘束され、後ろをローターで攻められただけで射精、という男としてのプライドを引き裂かれる
フィニッシュを終えずに済んだと安堵する思い、異なる感情が湧きあがる。淫らさと自制心という二つの対象的な感情はどちらかと言うと、もっと後ろを攻めて射精まで
導いて欲しかったという淫らな感情の方が強い。
 目隠し越しにでも動揺が分かる丑嶋の感情の起伏を読んだのか、滑皮が物欲しげに揺れる丑嶋の腰を掴んだ。
 「はぁっ」
 滑皮の体温を感じ、丑嶋の体が慄然とした。
 鼻っ柱の強くクールな丑嶋がローターで感じさせられる恥辱に燃えていると思うと、滑皮の腹の中で優越感が芽生え、手を叩きながら喝采を送りたくなる。
 尚も恥辱と快楽を与えてやろう、と滑皮は再び勃起した自分の性器をローターが入ったままの後孔に押し当て、細い尻尾のように垂れ下がったコードの間をぬって先端
を挿入し始めた。
 「あ・・・、あ・・・、あ・・・っ!」
 ローターの責苦が緩んだかと思いきや、突然の挿入に丑嶋の顔が天を仰ぎ、先端を受け入れた後孔が強烈に力んだ。だが、ローションをたっぷり塗られたせいで、たと
え力んでいてもさして拒むことにはならなそうだ。その証拠に、一旦先端を入れてしまえばこっちのものだ、と滑皮が力を込めて押し進んでくると、あっけなく根元まで
受け入れてしまった。 <> 夜伽会3 6/7 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:30:03 ID:FEI5NtmS0<>  緊張で硬くしまっていた内部が一気にざわめき、侵入してきた性器に食いつかんばかりに絡んでくる。
 「ふぉ・・・、スゲェじゃねェか。なかなかのケツしてやがる」
 勝利感に浸りながら滑皮が性器を根元まで収めると、丑嶋の体内で亀頭とローターがぶつかり合った。滑皮は人より遅漏でスタミナがあるが、亀頭をローターで振動さ
れ、竿は熱い直腸壁に絡みつかれ、根元は大げさに締め付ける括約筋によって千切れそうに締め付けられ、余裕は消し飛んでしまいそうだ。
 「ううっ!おっ、おお」
 入れきってしまうとここぞとばかりに激しく抽送をし始める。
 「ふぐっ、おおっ、おっ、おおっ」
 直腸を機械と肉に満たされ、丑嶋は苦しさと不快感に声を漏らす。本当は声なんて出すのは相手の思う壷の気がして出したくないのだが、正常位で激しく突き上げられ
ると内部のローターが奥へ奥へとめり込み、そのまま体内を縦断して口から出て気管を塞がれそうで怖いのでしかたがないのだ。勿論ローターが喉元を突き破るなんて妄
想でしかないが、そのような妄想を抱いてしまうほど滑皮の抽送は強烈だった。
 激しい責苦は痛みだけをもたらすのでない。これがもし体を拘束されていない状態で、相手がある程度信用に足る人物ならば、嫌悪感や恐怖よりも喜びが勝っている筈
だ。逞しい性器に串刺しにされ、息をつく暇もない激しい抽送に後孔を穿たれるのは素晴らしい快楽だ。
 それでも素直になれないのは、眼隠しをされて相手が分からないとはいえ、鋭すぎる勘が真に従順ならざる相手だと訴えてくるからだ。
「んっ!ん・・・っ」
 動きを制限された体で悶え、丑嶋は嫌々と子供のように頭を振る。本当はもっとして欲しい。内部にあるローターは動いていないのではないかと思えるほど微弱に設定
されているが、遠慮なんかせずに最強にし、感じる部分をいたぶって欲しいと思う。 <> 夜伽会3 7/7 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/21(日) 19:30:54 ID:FEI5NtmS0<>  声にならない丑嶋の欲求に勘づいたのではないが、滑皮は絶妙な蜜壺と化した直腸に耐えきれず、射精に向かって動きに変化を加え始めた。
 「あ、あおおっ、んっ、本当に堪らねェ尻だぜ。オラ、そろそろラストスパート行くぞ」
 ただ単純に激しく突くのだけなく、入る所まで性器を挿入して、強烈な締め付けを見せる括約筋を支点にして先端で中をグルグル掻きまわす。内部のローターはその動
きによって機械的な一定の振動だけでなく、前立腺を押しつぶしながら狭い直腸壁を押しつけながら回転した。
  「んおおっ!あぎぃっ、止めろ、動くな。中が・・・、中がぁ」
 動くなと哀願しつつ、丑嶋の腰は揺らめく。気持ち良すぎて気が狂いそうだ。
 「そうか、そんなに感じるのか。ここも濡れっぱなしだしな」
 滑皮の指が丑嶋の性器に絡まり、焦らす様に優しくゆっくり扱き上げる。雁首の部分を特に念入りに触ると、カウパーどころか精子も混ざっていそうな濃い汁が尿道口
からジュクジュクと湧きだした。それに伴い後孔の締め付けもきつくなり、もう動けない程に締め付けてきた。
 しかし滑皮は慌てず、また先程と同じ動きを繰り返して後孔を自分の性器で緩めさせる。掻きまわしてから軽く小突き、掻きまわしては軽く小突くを繰り返す。すると
頑固な括約筋は少しづつだが緩んできた。
 動けるようになれば後は絶頂に向かって突き進むだけだ。また数度、掻きまわしては小突く動きを加える。
 「ふっ、ふぅっ」
 丑嶋の眉がハの字になり、小刻みに痙攣している。
 続いては根元から先端までズボズボと大きく抜き差しをしつつ、爆発しそうに膨らんだ丑嶋の性器を扱きあげてやる。敏感な内部と性器を嬲られ、立て続けに異なる抽
送を加えられ、丑嶋は戸惑ったように肉感的な唇を半開きにして喘ぐ。尻は緊張と刺激で震えている。切なげに性器の抽送を受ける丑嶋は、最早普段の男のプライドなど
何処へ行ったやらという様子である。
 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
 お目汚し失礼しました <> 幸福な人生 1/2<>sage<>2010/11/21(日) 21:59:08 ID:pDBkN+0a0<> 映画「最.高.の.人.生.の.見.つ.け.方」よりト.マ.ス→エ.ド.ワ.ー.ドです
BL未満SS未満


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


 彼の最期の願いを叶えてから、どれくらいの月日が経っただろう。
 彼の愛する娘と孫娘への遺産相続も恙なく終わり、私は暫しの休暇を満喫していた。
 彼から唯一譲り受けたサイフォンに、コピ・ルアックの豆をセットする。
 しばらくすると独特の香りがふわりと広がった。
 彼はこの香りと、香りと同じく独特の味を愛していた。

 彼は今日もきっと、あの人と――あんなにも縺れていた彼の心をいとも容易く解いてしまったあの人と、
肩を並べて荘厳な風景を見ながら笑いあっていることだろう。
 我儘で尊大で皮肉屋だった彼は、あの人によって変わってしまった。もちろん、良い方に、だ。
 それは喜ぶべきことであり、同時に少しの失望と嫉妬とを伴うことでもあった。
 それを為すのが長年秘書を務めた自分でなかったことが、とても妬ましかった。 <> 幸福な人生 2/2<>sage<>2010/11/21(日) 21:59:54 ID:pDBkN+0a0<>  私を「トマス」と呼んでくれる人は、もう、いない。
 その事実に時々押し潰されそうになることもある。
 しかし、彼の最期の願いはあの人では叶えられなかった。私でなければ叶えることはできなかった。
それもまた、事実だった。
 彼の愛した家族と、彼の愛したコーヒーと、そして彼の最期の願いを託された――その幸福を噛み締
めながら、彼のいない、長い人生を歩むのだ。

 そして私は、今日も金色のサイフォンでジャコウネコのフンのコーヒーを飲む。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


先週の金.曜.ロ.ー.ド.シ.ョ.ー見て萌え滾ったもので <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/22(月) 17:39:49 ID:NFM7h6tQO<> >>49
たぎりました!!アフロ可愛いよアフロ
是非続きをお願いします! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/22(月) 18:07:51 ID:VJseHt55O<> >>49
酔う度にこれだったら生殺しすぐるw
ガンガレアフロ!
文章の雰囲気がすごく好きです。
超GJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/22(月) 18:23:26 ID:6lovRoKiO<> >>62
BL未満な社長と秘書イイ!!
社長の最期の願いを叶えた時の秘書の笑顔が堪らんかった
自分もあれ見て萌えてたんだwありがとう
<> BECK 六弦×四弦 Part2 1/2
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/22(月) 20:29:26 ID:CVd/f2sA0<> >>33-35の続き。
全体的にぬるいですが流血しますのでご注意を。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「欲しいのは、そっちじゃねえよ」
掠れた声が耳に響いた。

「ふ‥‥あっ!」
まんぐり返し、っていうのかな。
平くんの膝裏に手を添えて俺はゆっくりと腰を進めていく。
みしり、といった擬音が似合う動きで俺のモノは完全に彼の中に入ってしまった。
「きつい?」
「だ、いじょうぶ」
舌足らずにそう答える平くんはいつもよりも相当幼く見えた。
「ってか恥ず‥‥」
この格好がか、それともこの場所がか。
月明かりに蠱惑的な金の髪を浮かび上がらせてそんなことを言う平くんは、超絶エロいはずなのにどこか崇高に思えて、俺は美しいものを壊してしまいたい一心でひたすらに腰を振った。

「ひ、ぐ、‥‥ぅっ」
それまでとは毛色の違う呻き声ではっと我に帰ると、結合部から血の赤が滲んで泡立っているのが見えた。
「大丈夫、だから‥‥続けろ」
涙目でそんなこと言われても。
「中途半端に、すんな」
「平くん、」
俺は彼の背中に手を回して抱きかかえる。
そして腰を優しくグラインドさせ始めた。
俺の上で平くんは甘い声で鳴いたり時々苦しそうな声を上げたりして、だんだん彼のいいところが分かってきた俺は何度もそのポイントを突くように動く。
<> BECK 六弦×四弦 Part2 2/2
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/11/22(月) 20:29:52 ID:CVd/f2sA0<> 「竜介、」
うわごとみたいに何度も俺の名前を呼んで。
「イク」ってちっちゃく声が聴こえて、それからすぐに平くんがイッた。
その締め付けで絞り取られるようにして俺は彼の中に大量の欲望を吐き出した。

「あー‥どうしよコレ」
楽屋を出てったときに平くんが着てたラグランは彼自身の精液と泥でとても着られた代物ではなくなっていた。
「着なければよかったな」
「裸で戻ればいいじゃん」
「いや無理だろ今から打ち上げだし」
「‥なんか今日は、二人でこのままどっか行っちゃいたいね」
機材とか楽器とか、千葉と年少組に丸投げしちゃうことになるけど。
挨拶しなきゃいけない人もたくさんいる、けど。
怒るかな、と思ったら平くんは妖しい笑みを浮かべて言った。
「行っちゃいたい、な」

もう誰にも止められない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> ソフトクリームの午後1/5<>sage<>2010/11/23(火) 04:03:11 ID:NownxVK30<> >>49-51の、某生モノネタの二個目。前回レスくれた方ありがとうございます。
元アフロとスターの話。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

この近くに、近所に、ミニストップなんてあったっけか。あんまり土地勘のない俺には分からない。
確かこのライブハウスに来る前に通った道には、セブンイレブンとファミリーマートはあった。うん、あった。
だから別にそこに買い出しに行くくらいは、大した時間じゃない。だけどミニストップときたら、うーん。
もしかしたら見つけるまで結構、かかるんじゃないのかな。
「ミニストップの、クーベルチョコのソフトクリーム」
それ以外は却下。
にっこり笑って、スタッフの兄ちゃんにこいつは言ったんだ。あー、結構怒ってんのかも。
帰りの新幹線の切符の時間、それまでのタクシーの手配、そういうのが全部全部遅い。それは俺も思う。
いらっと来る気持ちはよくわかる。地方イベントも嫌いじゃないけど、こういう時はちょっと疲れが顔に出る。
俺もまた、そこでゴメン、って風に頭だけは下げたけど、だからって別にこいつを責めなかったんだ。
こいつのドSっぷりには、それにも慣れてたし。
だから暇だ。結構時間が出来てしまった。大丈夫かね、夜には東京に帰れるのかな。
イベント自体は直ぐ終わった。数曲演奏して盛り上げて、で、でも帰れない、あー暇だ。
「……シンタ君、それ取ってくんね?」
「あー?タバコ?」
「や、ポッキー」
あ、これね。俺はPSPの傍にあった赤い箱を、ぽいと背後に投げてやった。
ぽすっと楽屋の畳に軽い菓子箱の落ちる音、それからごそごそこいつが動く気配。俺はゲームで、こいつは今週のマガジン。
多分もうちょっとだろう。
スタッフ君が息せききって戻って来るのが先か、新幹線のチケを買い直したマネさんから、電話がかかって来るのが先か。
それまで、暇だ。 <> ソフトクリームの午後2/5<>sage<>2010/11/23(火) 04:04:22 ID:NownxVK30<> 別に思い出さなくてもよかったけど、そういえばこんな風に二人だけになるってのも、最近じゃ珍しい。
そんで、ふたりで時間をもてあますなんてのも。この前言われたことを、だから別に思い出さなくてもよかったけど思い出した。
そうだなあ、久しぶりだな、こういうの。デビューする前とか、結構あったような気もするけど。
俺んちでダラダラしたり、歌詞書いたり、CD聞いたり。そん時もお前はやっぱ、甘いものとタバコが欠かせなかった。
「……もうさ、確かに二十年近いな、俺らってさ」
「んー」
「だよな?」
「あ、そうね」
あんまりこっちに集中してない返事が聞こえて、俺は何となくほっとした。
お前には聞こえてなくて良くて、何となく言いたいだけのことだったし。
俺もゲームのカーソルを動かしながら、だらだらっと言う。あんまり俺も集中しないで。
「こーしてると、あんま変わらんよね、結構」
「っは、たっしかに〜」
「……だから何つーかさ、俺、ずっとこれでいいやって思うんよね」
最初お前は俺に対して、絶対に好印象抱いてなかった。後で冗談のネタで何度も言われたけど、でもその時はそれにも気づいてなかった。
馬鹿みたいに、いきなり夢中になった。
「お前とやれてて、マジ幸せとか、うん」
十年近く追っかけまわして、まあ本当に。迷惑そうに眉をひそめられるだけならまだしも、年上なのに蹴り飛ばされたりもして。
それでも時折お前から連絡が来ると俺は、何も文句言わずにいそいそと出かけて行ったんだ。今考えるとかっこ悪すぎだ。
現状維持。
だから俺には、しみじみ今が最強だわ、タクヤ。
お互いやりたいことがまた出来て、もしかしたら離れるかもって時期もあって、でもやっぱ同じがいいなとか思えて、うん。
十六年、ってお前は間違えて、多分十七年、って俺は思ってる。
それをあー、字面恥ずかしいけど、幸せって言っちゃおうと、まあそんな風に。あんまり集中しないで、サラッとね。
「お前がどうでもさ、俺は昔っから同じままだから、うん」
「……。」
「……変わらんからね。もうね、この気持ち墓場まで持ってくつもり、地味−に、ずっとね」 <> ソフトクリームの午後3/5<>sage<>2010/11/23(火) 04:05:00 ID:NownxVK30<> お前に執着したり追っかけたり、好きだったりするのはもう俺の一部、っていうかかなりの部分なもんで。
今さらそれをヤメロと言われても困る、難しい方向の部類だ。本気で俺、やめたらどうなるんかな。
「俺、さー」
あ、あ、うあ、ミスった。やっぱ会話とゲームは一緒にやっちゃダメだわ。
「……シンタ君のそういうとこ、あんまり良くない部分だと思ってるんデスよねー」
死んだー!!ゲームオーバー。
「……え?ナニ?」
「自己完結とか、俺置いてきぼり?」
「へ?」
何か、言われてる。ゲームも一区切りついた(負けた)んで思わず後ろを振り向いたら、こいつは背中を向けていた。
ごろっと寝っ転がって、シャツを皺だらけにしてあっち向いて、雑誌のページを繰っている。
俺は素で聞いた。間抜けな声になってたかもしれない。
「そっちはそうだね、って俺も思うけどさ」
「うん?」
「逆に俺、まだそこまで悟りきれてねーので……だって半分くらい?俺が好きになってから」
何だって?
「……幸せ、って別にそれは嫌じゃねいんだ、けどね、でも」
ぱた、雑誌を半分にして顔を覆って、ごろん。こいつは仰向けに、手を頭の下で組んで体を伸ばした。
「もしかしたら俺ばっか、置いてきぼりになっちゃってるんかいな、と」
「……。」
「あ、あんまこっち見んなよ。……今、超なっさけない顔してっから」
見たくても、見えねーよ、それじゃ。
畳の上についた掌が、じわっと汗ばんだのがわかった。体中も。奇妙な感覚、焦りに近い。
暑くも無く、寒くも無い。空調はちゃんとしてる、そうでなくてもそういう季節。
だからソフトクリームがいいなんて、そんなのお前のただのワガママだって、本当に。
どどどと、うるさい。あ、これ俺の心臓か。
そろそろ、手を伸ばす。
手を伸ばしたら、触れてしまう。
おい、ヤメロ。 <> ソフトクリームの午後4/5<>sage<>2010/11/23(火) 04:05:34 ID:NownxVK30<> 「……タクヤ」
俺、今まで自分らのPVを見ては、さっすが映像は映像のプロだな、とか思ってたんだ。
だっていつも、こいつがあんまりかっこよく撮れてるもんで。ボーカルは得だとか、そんな軽口も叩いてたし。
それが本気の本当に、こんな風に眼の前にあると、どうしたらいいのよ。
ずらされた雑誌の下から、お前がこっちを見ていた。
あれ、本気で本当にお前なんだって、こんな風にこんななんだって、ああヤバい。どうしたらいいっての。
お前あんまりそういう眼、すんなよ、ってちょっと思ってたのが今、眼の前だ。
「だっ」
って、どうにもならずにどうにもできなかった俺に、突然こいつが飛び付いてきた。
体を跳ねあがらせて、抱きつくよりも体当たり、普通にびっくりしたし挙句に咽た。変な咳が出た。
マガジン、まだ俺は読んでない今週号のそれが、ぼすっと落ちた。目の端に見えた。
「終わって、んだ?」
でも、そんな俺の反応完全無視、して耳元で、こいつは言った。
「終わってん、の?」
「……。」
何がだ。答えはわかってたけど、それに自分で答えたくなくて俺はまだ黙っている。
するとこいつは畳みかけてくる。
ドSだな、やっぱり。ホント容赦ないよな、徹底的に追い詰めて、逃がさないんだよな。
「シンタ君のは、もう終わってんの?」
あ。
「……んじゃ俺、どうしたらいい」
でも、何か。
これ、いつものと違う。
さっきのスタッフに、どうしてもソフトクリームじゃないと嫌だって言ったあれとは何か、違う。
顔は見えない、だって耳元にくしゃくしゃの柔らかい髪が当たる、そういう距離だから。だから声だけ。
その声はでも、無茶苦茶近い。あの声、あの声、あの声だっての。 <> ソフトクリームの午後5/5<>sage<>2010/11/23(火) 04:06:31 ID:NownxVK30<> もしかして傷つけてんのかなって思いと、でも傷ついたらそれを必ず財産にする奴だよな、って思いと、同時にあった。
ちょっと冷めてたかな、俺。そういう意味ではごめん、悪い。
腕で、俺の首と背中を締めてくる。けど怒ってるやり方じゃないな、ふざけてるわけでもないな、こんなの初めてだ。
ほんとに、こんなの初めてだ、色々。
「どーしたらいい」
それは、俺のセリフだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

また時々お邪魔します。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 11:24:34 ID:mVClth6eO<> >>68
こじらせた片思いと、すれ違いと、
彼らにぴったりすぎて萌え死にますた。
ここに至る☆の心情を考えるとまた萌える。
また全裸待機しておりますGJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 11:50:22 ID:HaAtmCis0<> 棚・元アフロの人
テンプレのトリ推奨ってこのタイプの人のために追加された気がする
…のでぜひ使って欲しいもんだわー <> 風音 1/3<>sage<>2010/11/23(火) 17:23:28 ID:/aJceiwa0<> ヒスとリエ、置かせていただきます
父王×エウ(書記官)前提の王子×エウ
捏造設定バリバリの未来予想ネタです、ご注意ください

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




風の強い日だった。それだけはよく覚えている。
だから、大きな物音をたてても誰も来なかったのだろう。
床に突き飛ばされた形になってしまった彼は一瞬だけ目を見開いたが、すぐに己を取り戻したらしい。
落ち着いた眼差しで圧し掛かっている相手──私に向かって問いかけた。
『私とあなたの御父君とのことは…ご存じ、ですよね…?』
私の初恋は、はなから叶うものではなかった。

<> 風音 2/4<>sage<>2010/11/23(火) 17:27:23 ID:/aJceiwa0<>
「お召しにより参上いたしました」
待ちかねた相手の声で、私は追憶から引き戻された。
「このような時間になりましたことをお詫びいたします」
夜更けの来訪を詫びる声に首を振る。
元から多忙であったこの書記官の、国をゆるがすあの事件以降のまさに寝る間も惜しんでの東奔西走ぶりは誰よりもよく知っている。
それでも無理に呼びたてたのは、夕刻より唸りだしたこの風の音があまりに強かったためだ。いや違う。すでに私の想いが溢れだす寸前だったのだ。
ほんの些細なきっかけ、木々を揺らす風ごときで耐えられなくなるほどに。
私は小卓の酒杯を取り上げ、飲むか?と差し出す。
が、彼は口端を釣り上げ、目をクルリと回した。
「せっかくですが、それを頂くを立ったまま寝てしまいそうです。それじゃマズいでしょう?」
私は苦笑して杯を置く。
彼らしい物言いだった。王の側近とはいえ、一介の外国人としては不遜と取られかねないその態度は、多くの貴族たちの不興を買いながら、
一握りの貴族たちには随分と気に入られていた──私や、父を含めて。
不意に私は、父の幻影を見る。わざとそんな台詞を引き出して若い側近……いや愛人との遣り取りを楽しんでいた亡き王の姿を。
それを振り切るように、私は書記官の顔を見据えた。
「あの日のことを覚えているか?」
唐突な問いかけになったが、彼に問うにはそれで十分なはずだった。
「私は覚えている。忘れたことなどなかった。そして、今もその気持ちは変わらない」
部屋の隅にしかない灯りでは、彼の表情の微かな動きまでは伺えない。
「君はもう忘れてしまっていたか?──それともまだ君は父上のものなのか?」
<> 風音 3/5<>sage<>2010/11/23(火) 17:31:38 ID:/aJceiwa0<>
あの時、自分と父王との関係を知っているかと問われて答えられず動けなくなってしまった少年を、彼は身を起こしながら優しく宥めた。
『お気持ちは嬉しいのですが、さすがの私も陛下を裏切ることは出来かねます』
しかし次に息がかかるくらいにまで顔を近づけて、彼はこう続けたのだ。
『もし私が陛下に捨てられるか、あるいは天寿を全うされて“独り身”となった折に、まだそのお気持ちをお忘れでなければ、もう一度私をお召しください』
確かにそれは、彼らしい冗談めかした口調と表情での台詞だったけれど、私はずっと彼の言葉を胸に潜めてきた。一瞬だけ触れられた唇の感触は、
大人の口吻をそして情交を知った今でも特別なものだ。だが。
書記官へ問いかけてより、まださほど時は経っていないはずだが、応えを待つ時間はあまりにも長かった。沈黙が私の肌をチリチリと焼く。
彼にとってあれは、幼い王子──愛人の息子の暴走を軽くいなしただけだったのか。重ねた唇の感触を誓約の証のように覚えていたのは、私ひとりだけだったのか。
沈黙に耐えかねて取り乱した言葉を叫びそうになる寸前、書記官が私の名を呼んだ。
「覚えていますよ……忘れられる筈ないじゃありませんか、あれほどの事を」
彼はゆっくりと近づいた。
「だから今宵、貴方のお召しを受けたんです」
その声音も眼差しも先ほどと変わらないはずなのに、僅かな、けれど確かな艶が流し込まれている。
私はやっと手に入れた愛しい人を抱きしめ、口接けた。かつての触れるだけのものとは違う貪るような深い口吻に、私は容易に溺れていった。

<> 風音 4/5<>sage<>2010/11/23(火) 17:33:20 ID:/aJceiwa0<>
俺はのろのろと身を起こし、前髪を掻き上げながら傍らの隆起を見つめた。
その気配が先刻まで肌を合わせていた相手のものでなくなったことを確かめて、俺は冷えた視線を投げかける。
「起きろよ。おまえなんだろう?」
名を呼べば、“蛇”がもそりと寝具から顔を出す。特徴的な痣が隠されていなくても、その斜に構えた表情が正体を明らかにしている。
「いいのか、先王の喪も明けてないのにこんなことして。またあんたボロカスに言われるぜ?」
やつのからかうような問いかけに俺は鼻を鳴らした。
「構うもんか。俺の評判なんざ、とっくに地に落ちてる。これでお前と二人きりになれるなら安いもんだ」
俺は顔から表情を消して、蛇と目を合わせた。
「お前──王を、殺したな」
蛇は薄く笑ったまま眉ひとつ動かさない。それでもそこには俺の知りたかった答えがあった。俺は胸を焼く憎悪を叩きつけんばかりにやつを睨み据えた。
「覚えておけ。いつか必ず殺してやる」
苛烈な殺気を浴びながら、蛇は少しも動揺しなかった。いや、にんまりと笑いさえしたのだ。
「言ってくれる。けど忘れてないよな、俺のこの体は王子の体でもあるんだぜ?」
「分かってるさ。だがそれでも、必ずお前だけを殺してやる」
用は済んだ。それきり蛇を無視して寝台から滑り降り、衣服を身につける。
身繕いを終えて寝所を出ようとする俺の背に、やつが揶揄するように言った。
「あーあ、可哀そうに。王子は真剣にあんたに惚れて、恋しい相手と結ばれて心底喜んでたんだぜ」
俺は一瞬足を止めたがすぐに歩を進め、振り返ることなく部屋を出た。
だが自室まで自制を保つことはできなかった。歩哨の目を避けるように逃げ込んだ回廊の陰で、耐えきれずに蹲る。
顔を覆った手の隙間から、うめき声が漏れた。
<> 風音 5/5<>sage<>2010/11/23(火) 17:34:16 ID:/aJceiwa0<> ──忘れられる筈ないじゃありませんか、あれほどの事を。
あの方への忠誠心も愛情も嘘偽りないものだったけれど、それでも嬉しかったのだ。煌めくように眩しい少年のひたむきな恋慕が、俺なんかに向けられたことが。
だから王子を宥めるために掛けた言葉は冗談めかしていたけれど、ほんの少し真意を混ぜてしまっていた。きっと王子にとっては一時の気の迷い、
麻疹のようなものだと己に言い聞かせながら。
だから年若かった王子が神話中の英雄もかくやという完璧な青年に成長した後も俺に向ける眼差しの色が変わらないことに、どれほど陶然としただろう。
これが本当に、捨てられたか天寿を全うした王を見送った後のこの身に起きたことだったなら、どれほどか幸せだっただろうに。
「……何故、あの方を殺したんです。王子」
脳裏の金髪の青年に俺は囁きかけた。
どれほど目を背けたくても俺は識ってしまっている。“蛇”と王子が共有しているのは肉体だけではない。
その意思も、奥底では深く繋がっているのだということを。
蛇の言動には、たとえ欠片であったとしても必ず王子の意思や願望が投影されているのだ。
だから俺はいつか必ず“蛇”を殺すだろう。蛇が王子の拠り所であると知っていても、蛇を喪うことが愛しい王子に破滅をもたらすとしても。

ああ。
思わず己を嘲笑った。
やはり俺は、愛しいと思わずにはいられないのだ。身の内に“蛇”を飼う王子を。あの方を殺した王子を。この手で破滅に導く王子を。
「お許しください────さま」
俺の声は強い風に吹き消されて、どこにも届かなかった。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

分母ころころ変わってすみませんでした <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 18:44:49 ID:KgjXt2EE0<> >>18
伏字にしないでこのまま行くの? <> 夜伽会4 1/5 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/23(火) 18:50:10 ID:wpDuNv3S0<>  闇金ウシジマくんで滑皮×社長。大人向けでソフトなSM表現と暴力描写、お道具使用などが苦手な方は読まない方が良いと思います。時間的な設定は単行本1巻の前
のイメージです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 

 丑嶋同様に快楽によりタガが外れかけたのは滑皮もだ。只でさえ強い雄としての嗜虐の感情を揺さぶられ、性器はこれまでの人生で最高なのではないかという程に膨ら
んだ。もうそこまで大きな波が来ているのだ。
 「気持ち良いだろ?気持ち良いよなぁ?俺ももうイクぞ・・・」
 滑皮は丑嶋の耳に熱い吐息といやらしい言葉を吹き込み、震える腰を強く掴む。そこはじっとり汗ばんでいた。
 汗ばんで滑る腰を支え、滑皮はとどめとばかりに深々とした抽送を加え始めた。下腹部に力を込め高速の律動を繰り出し、内部のローターに先端が触れるほどまで入れ
ると、極小刻みにそれを小突いてやる。振動を繰り返すローターは一突きずつだが、確実に指で入れるだけでは届かない内部に進んで行った。
 女性の体でもそうだが、膣と違い後孔から体の内部に収納されている直腸には男性器で行きつけるような底というものが存在しないに近い。今、滑皮が入っている直腸
なんて消化器ののほんの一部だ。その奥には結腸があり、その奥には更に盲腸がある。これだけで大腸約1.5m。おまけに小腸もあり、これが約3m。滑皮がどれだけ
立派な物を持っていようとも、満たせるのは直腸の3分の2ほどだ。また、丑嶋がこれまで経験した中でも、滑皮より奥に分け入ってきた者はいない。勿論滑川がどれだ
けローターを奥に突きいれようとも、実際には丑嶋の体内を制することは不可能だ。
 ところが、今のローターの位置は、今まで残されていた未開の場所だった。排泄物は兎も角、約20センチもの長さがある直腸の奥にある結腸の入口まで届こうなどと、
信じられない蛮行だ。
 「おおっ、うおっ」
 未開の処女地を卑猥な機械で汚される汚辱に丑嶋は暴れようとした。
 しかし、ローターがこれ以上入らないであろう、と見た滑皮の動きがひたすら奥を目指すものではなく、滑皮自身が到達できる奥よりも、かなり手前にある前立腺付近
の直腸壁を先端で捩じる様にしてきたので、ただ身をくねらせて滑皮の行為を甘受するしか出来なくなってしまった。 <> 夜伽会4 2/5 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/23(火) 18:50:52 ID:wpDuNv3S0<>  「んんっ、んんっ」
 声を噛みしめるのではなく、自然と出てしまう癖なのか、丑嶋は下唇を噛んでくぐもった喘ぎを出した。
 「お前も・・・、っ、もういきそうか?」
 丑嶋の性器を手に持っている滑皮には、言葉なんて引き出さなくても丑嶋がもう射精寸前というより、ただ射精を無理矢理耐えている状態なのは分かっていた。
 「はっ、あっ」
 意地の悪い問いかけに、返事はしないが、案外素直に頷く。大きな身体は、健気にも二人同時にの射精を待ち望んでいるように見えた。
 ご褒美というように滑皮は直腸壁が擦り切れそうな激しさで抽送を繰り返し、ローターのスイッチを一気に最強にし、更に腰を掴んでいた手を引きしまった尻に伸ばし
た。柔らかさが足りないが、強く握ると指の間から少し肉が漏れる弾力が魅力的だ。
 「んぅっ、出る・・・」
 丑嶋は噛み締めた唇の間から一際高い声を漏らし、ベッドの上でダルマ状態の体を弾ませた。
 「よしっ、出せ」
 性器を扱いていた滑皮の手が雁首に爪を立てて引っ掻いた。
 「んおおっ、お・・・」
 滑皮の手の中で怒張が弾けた。丑嶋の綺麗な下唇は歯型がつくほど噛みしめられていたが、射精した後は雨露に濡れた紅色の牡丹の花の蕾が開くように少しずつ開いて
いく。
 激しい射精は発作のように体を震わせる。その最中、滑皮が半開きの口をキスで塞いできた。唾液をたっぷり流し込まれると、荒い息と堪え切れない陶酔の喘ぎ声と共
に流し込まれた唾液を嚥下してしまった。 <> 夜伽会4 3/5 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/23(火) 18:52:35 ID:wpDuNv3S0<>  「うっ、はああっ、ん、出るっ」
 丑嶋の唇に吸いつきながら、滑皮も丑嶋の中に入れたままで射精した。白濁は奥に潜り込んだ卵型のローターにもかかり、まるで種付けのように放たれた。
 「ふ・・・・・・」
 性も根も尽きはてた、と丑嶋は首をガクリと折り、力の抜けた体をベッドに投げ出した。滑皮の動きも先程までの激しさが嘘のように余韻に浸って止まっているので、
室内で聞こえる音は空調の音と、二人の荒い息と、丑嶋の体内に入ったまま振動するローターの音だけだ。
 「はああぁ・・・」
 射精した後も何度か下腹部に力を込め、竿の管の中に残った物も搾り出した。これ以上出ない、となると、引き抜き始めた。
 「うっ?!あ・・・っ!」
 昂りが残った内部の肉が巻き付いたままで性器を引き抜きかれるのは、まるで内臓全てを手づかみに引き出されるような感覚だったのだろう。丑嶋は切ない声をあげた。
だが、その声には喜びが混じっていた。
 「はぁっ、待て、今抜くなっ!あ、・・・おおっ」
 抜くな、と言われても、と滑皮が呆れていると、ローションと体液で濡れた丑嶋の後孔が急にパクパクと開き始めた。何事か、と見いると、まず後孔からは抽送した際
に外部から入ってしまった空気と体内のガスが混じってローションを泡立てながら漏れ出た。
 「あ・・・、あ・・・」
 丑嶋は力を抜いていた身体にまた力を込めた。だが、もう湧き出た感覚に耐えられないらしく、泡だらけのローションの間を縫うように黒い物体が見えてきた。その正
体はすぐに入れたままだったローターだとすぐ分かった。蠢く後孔からローターを出す様は、まるで卵生の生物が産卵をしているようだった。
 「んーっ」
 抜け出たローターは重力に従ってベッドの上に落ちた。まだ電源が入っているので、ベッドに落ちた後もコードを蛇のように暴れさせている。滑皮は丑嶋の痴態に背筋
が震える程の満足感を得た。 <> 夜伽会4 4/5 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/23(火) 18:53:43 ID:wpDuNv3S0<>



 情事とは言えない激しい行為の後、丑嶋は再び室内に戻ってきた数人の男に身支度を整えてもらい、眼隠しだけは外されないまま部屋のある階のエレベーターホールま
で連れて行かれた。身支度を整えただけで、まともに休憩をとっていないので背中は微妙に猫背で、足は膝から地面に落ちてしまいそうに震えている。
 丑嶋と違い、シャワーを浴びてさっぱりした様子の滑皮も後ろからついてくる。丑嶋の弱々しい姿を楽しそうに見ている。
 エレベーターが到着してドアが開くと、滑皮は丑嶋の背中を蹴って中に押し込んだ。エレベーターはすぐに下の階に向かって動き出した。
 「くそ・・・っ」
 一人になると、丑嶋は急に背筋を伸ばした。足の震えは一瞬で収まる。乱暴な仕草で目隠しを外すと、床に皮製の拘束具を叩きつけた。表情もすっかり通常の冷静な顔
に戻っていた。
 「さて・・・」
 小さな吐息を吐き、ポケットに入れていた携帯電話を取り出す。慣れた手つきで片手でスムーズに操作し、金主の自宅に繋がるようにする。耳に当てると、呼び出し音
が鳴っている。相手は溢れるほどに金と暇を持て余している人物だ。自分が勝手放題に使っている丑嶋からの電話などすぐに出てくれないのは常なので、いちいち気にし
ない。
 「・・・くそっ」
 また一人ごとの悪態をつく。こうして悪態をつけるのも、金主が出ない間だけだ。電話が繋がれば、従順な態度にならなければならない。胸糞が悪くなる怒りを堪えて、
相手の望む態度を演じなければならない。それは先程までエレベーターに乗る前も同じことだ。 <> 夜伽会4 5/5 
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/11/23(火) 18:54:40 ID:wpDuNv3S0<>  まだ電話が繋がらないのを良いことに、口から隠し通すには辛い本音が漏れだす。
 「結局金だ。金がある所に金が集まる。金のねェ奴はとことん搾られ、尊厳まで奪われる。いつか見てろよ。あのババァの座を奪い取ってやる!」
 確かな決意を込めた囁きに被る様に、電話の相手が出た。
 丑嶋の囁きは瞬時に止まる。少し溜まった怒りをぶつける相手もいないので、携帯電話を持っていない方の手を握りしめた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!お目汚し失礼致しました。
 エロガンバッタツモリダケドヒヨッテルヨ( ´゚д゚)(゚д゚` )イツモノコトダ <> 架空スタッフ×某師/匠
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2010/11/23(火) 21:45:20 ID:vGXT2FF60<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   架空のスタッフ×某師/匠だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  今回は架空じゃないスタッフ目線だカラナ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 架空スタッフ×某師/匠
◆E6yH2SFjKs <>sage<>2010/11/23(火) 21:46:26 ID:vGXT2FF60<> 「なぁ。師/匠ってSかな?Mかな?」
「…またお前はそんな事…」
この男は一日中そんな事を考えているんだろうか。
世間一般で言う「中年男性」に対して事もあろうに発情している。
正気の沙汰じゃない。とはいえ…。
実はこういう人が結構いたりする。
こいつほど露骨じゃないけど。
あの人の何がそうさせるんだか、いわゆる、「萌えている状態」の人をよく見かける。
ファンの人にも多いみたいだ。
うーん。俺にはよくわからない。
つーかわかってたまるか。
「作ったキャラクターと普段とあるじゃん。でさぁ…」
そんな話をされているとも知らずに向こうできびきびと作業をしている師/匠に目を移す。
相変わらずなんでも自らやる働き者だ。
…あ、ボタン開いてる。
いつもハイネックで隅々まできっちり隠れてる師/匠の首元が見えるのは珍しい。
俺はどうでもいいけど、ああいうのにもこいつみたいなのは「萌える」んだろう。
そう思うとなんだか落ち着かない。
こいつが気付く前にボタン留めたいなぁ。
こいつはというと、なんか妄想しているらしくニヤニヤしている。
今のうちに行ってくるか。

「師/匠」
顔を上げる。
この上目遣いも、あいつみたいな奴にとっては。
「ちょっといいですか」
胸元に手をやると、何をするんだろうという顔で俺を見た。
普段の師/匠はこんなもんだ。割とされるがままというか。
そのまま無言でボタンを留める。 <> 架空スタッフ×某師/匠 2/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2010/11/23(火) 21:47:52 ID:vGXT2FF60<> 「…外してたんだけど。」
「外してたんですか?珍しいですね。」
「詰まって作業しづらいから」
また外そうとするから、止めた。
「なんで。」
なんで外しちゃだめかと言われたら。
うーん…説明できない。
「いや…」
あ、俺馬鹿みたいな気がしてきた。
「…なんでもないっす。」
留めたボタンをまた外した。
ところを、見られたらしい。奴に。
いつの間にか嬉々とした目でこちらを凝視しているじゃないか。
めんどくさ…
「師/匠!師/匠!Sですか?Mですか?」
で、なんでその質問だよ。
「私はJU8/7G2です。」
答えんのかよ。いや答えてないけど。
「そうじゃなくて〜サドですか?マゾですか?」
ここ、仕事場だぞ。
「それについてはここに居る彼が答えてくれます。どうぞ。」
振られた。巻き込まれたぞ。どうすんのこれ。
…はぁ、しょうがねぇ。
うーん。そうだなぁ…師/匠ってドSってよく言われてるけど…実は結構やられたい願望ありそうな気がするんだよなぁ。
やられたいって言っても別に襲われたいとかじゃなくて、単純に「萌えられる」のは好きそうだよなぁ。
「んじゃ…ドMで。」
師匠の顔が一瞬驚いた顔になり、言われた内容の割にはやたらかわいらしく笑った。
ほら。やっぱりやられたい願望ある気がする。
てか良かった怒られなくて。 <> 架空スタッフ×某師/匠 3/3
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2010/11/23(火) 21:48:24 ID:vGXT2FF60<> 「キミは私がドMだと思ってんの?」
「え…そう言われるとなんか違う気がしますけど」
やべ。俺変な事言ったよな。なんか恥ずかしくなってきた。
「あーだからいつも私を虐げてんだ。」
「いつ…」
出たー
やっぱドSか?
「先日も「おい、そこの床拭いとけ」と言われましたので「はい」と答えてすぐに拭きました。」
「「そこ汚れてるかもしれません」って伝えただけです。」
「あと、ライブの本番でギターにタオルをかけるという悪戯をされました。」
「あれは…す、すいません。でも始まる前にちゃんと取りました。」
「一年も弦を張り替えてないと責められ弦で叩かれました。」
「嘘つかないでください。」
「暴力/エンジ/ニアに暴力/ロー/ディーのおかげで私の体は痣だらけです。」
嘘つくな〜〜〜
「でも私はドMなのでそんな二人に囲まれてとても幸せです。」
「はいすいません俺が悪かったです。」
あのねぇ言わないけどねぇ、てか言えないけどねぇ
あなたはやっぱり曲がり曲ってひねくれたドMだと思いますよ俺は!
ボタンをひっ掴んでまた留めてやった。
「これも嫌がらせの一種ですか?」
「はい、俺がつけた痣を隠そうと思って。」
師/匠はまた一瞬驚いた顔をしたあと、今度は歯を見せて笑った。
そんな顔したって、
そんな顔したって、
俺は絶対かわいいなんて思いませんからね!
「あー…かわいい…おいお前なんかズルイぞ」
うるせぇ。俺は知らん。
あーもう、俺を巻き込むんじゃない! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 21:49:48 ID:vGXT2FF60<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お付き合いくださってありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 1/3をトリップの後にしてしまったらトリップに巻き込まれて
 | |                | |       ◇⊂    ) __変な表示になってしまいました。すみません。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 21:51:58 ID:oirJ30wI0<> >>86
師/匠可愛いでニヤニヤしてしまった。
いいもん見せてくれて有難う! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 22:02:13 ID:eRtkfCrQO<> 59スレ目辺りに書いた生の続きというか軽く別方向。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

紫煙の匂いで目が覚めた。
霞む視界の向こうに女神が見える。
背中から彼を守る、彼が本当に愛おしいと思う人。

「…シンイチさん」

タバコをくわえたまま、彼が振り返る。
先ほどの激しい感情がこもった目ではなく、うろたえるように怯えた色が映る。
その視線は僕を捕らえようとせず、きょろきょろと落ち着きなく動き続ける。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 22:02:43 ID:eRtkfCrQO<> 「シンイチさん…?」
「ユウ、ヒ」

呟いた途端、くわえていたタバコが床に落ちた。
そして、大きく深呼吸をした彼が口元を押さえて倒れ込んだ。

「シンイチさん!」

ひゅうひゅうと荒く早い呼吸を繰り返し、みるみるうちに顔が青白くなっていく。
まだ火がついていたタバコが床を焦がさないうちに灰皿へ放り込んだものの、彼に対してはどうしていいか分からず、ただ背中をさすることしかできなかった。
そんな僕を女神が嘲笑しているように見える。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 22:03:19 ID:eRtkfCrQO<> 「ユウ…ヒ、そばに、いてくれ…」
「えっ…」
「俺、を……助け…て」

縋るような目。
口元を押さえていない方の手が、僕の手首を力強く掴む。
今まで見たことがない、弱々しい姿を晒す彼に、今までとは違う感情を抱く。

呼んでいるのは僕ではなく、兄の名前だ。
さほど似ている訳でもなく、年齢もだいぶ離れているから間違いようがないのに。

「ユウヒ…」
「大丈夫ですよ。俺はここにいますよ」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 22:05:16 ID:eRtkfCrQO<> 兄の口調を真似て、ゆっくり喋る。
僕が『ユウヒ』ではなく『ハヤテ』なのは明らかなのに、彼は安心したような表情を見せ、幾分か落ち着きを取り戻した。

「ユウヒ、もうどこにもいかんでなぁ」
「俺は、どこにもいきませんよ」

再びベッドの中に潜り込み、彼を抱きしめる。
彼も僕の首に腕を絡ませる。


兄の代わりであっても、彼が僕を愛してくれる。
彼が愛してくれるなら、僕は彼を拒む理由がない。
僕を愛してくれる彼を愛す。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ムシャムシャしながら書いたので反省している。
あとナンバー忘れてすいません。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 22:13:55 ID:qbro9+gIO<> >>68
うわああああ切ない二人をありがとう!!
アフロ…頑張って☆を慰めてあげてくれ…
超萌えました。とにかくGJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/23(火) 23:48:14 ID:loW8m8U8O<> >>92
投下乙です!
前回の鬼畜な彼も、今回みたく弱った彼もどちらもおいしいです…
弟も切ないなぁ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/24(水) 00:44:38 ID:qvB5U8d9O<> >>81
姐さんいつも本当にありがとうございます!
念願の滑×丑しかもSM、夢のようです。更に産卵プレイとか萌え滾りましたハァハァ(´д`*)
従順な態度も弱った姿も演技だなんて流石は社長、最高です!
改めて乙&GJでした!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/24(水) 23:07:51 ID:PTtwE7nm0<> >>86
萌えさせていただきましたー!
留めたり外したりのやりとりを想像して和みました…。
師/匠の魔性っぷりにくらくらします。良いものをありがとうございます! <> BEAT/DOWN 大鳥×落胤 1/3<>sage<>2010/11/25(木) 01:10:40 ID:583+rhC/0<> BEATDOWNより無敗バウンサーとご落胤。
ご落胤ルートでバウンサーを仲間にした後ということで。
軽いエリート5時代の捏造あり。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



「なんだこりゃ……」

ザ・ホールの上階にある小さな部屋の、これまた小さなベッドの中で目覚めて1分後、レイヴンは呆然と呟いた。

毛布とシーツの間にある自分の体は素っ裸だ、それはまぁいい。
腕の中に同じく裸の誰かが眠っている、これもまぁいい。
その誰かは仲間だ、まぁいいとしよう。
その仲間は男だ、いいとは言えないがこの際気にしないことにする。

その男の名はアーロンだ。

これはまずい。

絶叫せずに済んだのは、二日酔いの頭痛のおかげだった。
危なかった、下手に騒いで相手を起こしていたら、今頃大惨事が起きている。
アーロン一人ともめるならまだしも、アーロンをボスと呼び、慕い、つるむことを喜んでいる連中にこの事が知れたら、自分は裏切り者に復讐する前に海の藻屑となりかねない。
逃げようとしたが、アーロンを背後から抱くように腕を回していたため、少しでも動けば気付かれそうだったので断念した。 <> BEAT/DOWN 大鳥×落胤 2/3<>sage<>2010/11/25(木) 01:14:23 ID:583+rhC/0<> (……何がどうなってんだ)

痛む頭で、レイヴンは必死に記憶を探ることにした。
昨晩は、情報を得るために協力しろと呼び出された。
街を駆け回り、その途中でちょっとガンつけてきた連中を叩きのめし、ついでの仕事でアーロンが止めるのも聞かずにそいつらの懐を探っていたらポリスに見つかり、罵り合いながらポリスを片付けた後、ザ・ホールへと逃げ込んだ。
二人ともかなりボロボロになっていたが、診療所へ行くのも面倒だったので、酒を飲んで寝てしまえという話に落ち着いて、カウンターに並んで飲み始め――

「……Shit」

シャイトと聞こえるアイルランド訛りで、レイヴンは自分を罵った。
昨晩は疲れていた、だから酒の回りが早かった。
それを「もう酔ったのか、だらしない」とあの人を小馬鹿にした口調で言われ、ムキになってグラスを空にし続けた挙句、二人揃ってべろんべろんになったのだ。
平然と飲んでいたアーロンが突然カウンターに突っ伏したのには驚いた。顔に出ないタイプだったらしい。
メルヴィンに言われてアーロンを部屋に運んだ。運んだのか運ばれたのかは微妙なところだった。お互いにぐにゃぐにゃになった体を、ぶつけるようにして支え合いながら階段を上り、部屋に着くと仲良くベッドに倒れ込んだ。

出て行け、お前が出て行け、ここは俺の部屋だ、うるせぇサツがうろついてるのに帰れるか、と、横になったまま殴り合ったのは覚えている。
殴り合うと言っても、まったく力の入らない拳と蹴りの応酬で、最後はのしかかって押さえ込み、両手首を掴まれて腕の自由が利かなくなれば肩口に噛みつくと、ほとんど犬猫がじゃれているような感じだった。

……何がどうして、そこから本当のじゃれあいになったのかは、まったく記憶に無い。

そっと頭を上げて、向こう側を向いているアーロンの寝顔を覗き込む。
どこにも傷は無い。
自分にも怪我は無いようだ。
合意の上だったことは確かだ。少なくともリンチに遭う事は無いだろう。

少し気分が落ち着いたところで、改めて寝顔を拝見する事にした。
こんな近距離で落ち着いてこの男の顔を見るチャンスなど無かったし、これからも無いだろう。
どうせなら、今後あの腹の立つ物言いが減るように、ここで弱みを掴んでおくのも悪くない。 <> BEAT/DOWN 大鳥×落胤 3/3<>sage<>2010/11/25(木) 01:18:05 ID:583+rhC/0<> 最初の感想は、寝顔は幼いんだな、だった。
いつもの、人を見下すような視線は瞼の下に隠されている。
険のある細い眉は大人しいカーブを描いているし、不機嫌そうに引き結ばれた唇は薄ら開いて歯が見えている。
東洋人の血のせいか、裕福な環境のせいか、肌はきめ細かく男とは思えないほど滑らかだ。派手な色彩のタトゥが映えるだけのことはある。
自由になる手でそっと目元のタトゥを隠すと、腕の中の男は自分が知っているクソ生意気で偉そうなお坊ちゃまとは別人に見えた。

――俺は誰も信じない。貴様に信じてもらいたいとも思わない――

常に他人との間に線を引き、喜怒哀楽を見せる事も無く、仲間に手を差し伸べることもなければ酔うほどに飲む事もしなかったあのプライドの塊のようなアーロンが、
寝首を掻かれるという疑いも持たずに自分の腕の中で眠り込んでいるというのは、裏切りに神経をすり減らしていたレイヴンにとってなかなか乙な光景だった。

起きたらナイフを振り回される前にからかってやろうと、にやつきながら考えたいた、その時。

アーロンが動いた。
当てていた手に、頬を擦りつけるように、顔が左右に二度、三度。


今度こそレイヴンは絶叫した。自分の脳裏に浮かんだ言葉に対して。


上階から悲鳴と怒号、続けて派手な破壊音が聞こえた時、メルヴィンは原因を突き止めるために廊下へと出た。
しかし言い争う内容が耳に届くと、踵を返して自室へと戻って行った。
この街の住人は騒ぎには慣れている、通報されることもないだろう。万が一されたなら、痴話喧嘩なので御心配無くと言えばいい。あの内容を聞けば警察も納得するはずだ。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

エロシーンとオチはビートダウンした。 <> 流行り神 兄・弟 1/3<>sage<>2010/11/25(木) 23:40:23 ID:vTZ3wt1i0<> 流行り神3の《高額アルバイト》後の兄と弟

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

connected


「ねえ、兄さん。もし、僕が死んだらどうする?」


 日暮れ時、オレンジ色の光が僅かに漏れる部屋で、純也は義兄の霧崎水明に尋ねた。
 それまで煙草をくゆらせながら資料を読み耽っていた霧崎は、僅かにその動作を止めるとちらりと義弟を見やる。

「悲しいだろうな。状況にもよるが。」
 意外にもあっさりとした答えに純也は幾分拍子抜けした。

「状況って?」
「死因だよ。もしも老衰や治療が難しい重病なら仕方が無いと諦めもつく。が、これが事故死、ましてや仕事絡みの殺人なんて事になったら…」
 ここで一旦言葉を切る霧崎。純也は続きを促す様に義兄の顔を見ると、彼は僅かに口の端を持ち上げて言葉を続けた。
「俺の力の及ぶ限り原因を突き止めて犯人を捕まえてやる。そして、相応の罪を償ってもらう。」
 静かに、だが力のこもった声で言った。

「…まあ、そんな事態にならない様に、俺も捜査協力には極力応じているつもりなんだがな。何かあったのか、純也?」
 それまで仕事の顔つきでいた霧崎だったが、ふっと表情を和らげて義弟に話しかける。
 弟もそんな義兄の変化を察したのか、馬鹿な質問をしたと漏らした。
「実は、この間捜査した事件がさ、小暮さんの妹さんが関わってて…」 <> 流行り神 兄・弟 2/3<>sage<>2010/11/25(木) 23:42:18 ID:vTZ3wt1i0<>  そうして純也は先に遭遇した高額バイトの事件をかいつまんで話した。
 あの事件で、ぎこちない距離感を持っていた小暮兄妹が和解する事ができたのだ。
 それまでの過程を目の当たりにした純也は、図らずもその兄妹の絆に自分の義兄を重ねたのだろう。
 閉塞感と緊迫感に包まれたあの空間で小暮兄妹を見た時、すぐに義兄の事が思い浮かんだ。

 もしも自分が小暮の妹、綾の立場だったらこの兄はどう接してくれただろう?
 もしもあの場から逃げる事が叶わず、帰らぬ人となってしまったら兄はどう思うのだろうか。

 そんな事を考えている内に、やたらと兄が恋しくなってしまったのだ。



「それはまた、ヘヴィな事件に巻き込まれたな」
「うん。もう、ホラー映画の登場人物になった気分だったよ」
 そう。
 だから報告書やら何やらを早々に済ませて、こうして兄に会いに来たのだ。

 ハタから聞いたらB級ホラー小説の様な話でも、現実に起こった事件である。
 一歩間違えば命に関わる程の出来事だったのも霧崎は十二分に判っていた。
 なのに、柔らかな笑顔でその話をする弟がやけにか細く見えてしまう。
 もしかしたら、選択次第では今この場に存在していないのかもしれないのだ。
 
 何て、不安定な存在なのだろう。
<> 流行り神 兄・弟 3/3<>sage<>2010/11/25(木) 23:45:54 ID:vTZ3wt1i0<>
「…純也」
「何?兄さん…!?」
 つかつかと歩み寄ると、霧崎は両手を広げて弟を抱きしめた。
「!?」
 突然の事に目を丸くする純也。まるで子供にでもする様に、霧崎は力を込めて抱きしめる。
 その存在を確かめる様に。

「…もしも、お前が死んだら、俺はどうなってしまうのか、何をしてしまうのか、自分でもわからないよ」
 自分よりもやや下にある耳元で、低く静かに囁いた。
 よれたシャツと吐息から煙草の匂いがする。自分を抱きしめる腕は力強くて頼もしい。そして、暖かい。

 現実離れした世界に巻き込まれがちな自分を、しっかりと繋ぎ留めてくれるその温度が心地良く、
純也は目を閉じてその中に身を預けた。


「兄さん…変な事聞いて、ごめん」
「気にするな。良く、無事に戻ってきたな」
「うん…ただいま、兄さん」
「おかえり、純也」

 そう言うと純也は、下ろしていた手をぎこちなく兄の背に回して抱き返した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
この兄弟はDS(確か)の追加EP、離島のホテルでの話も美味しいと思うんだ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/26(金) 01:00:29 ID:ODCBGRTXO<> >>100
まさかこれで書いてくれる人がいるとは…落胤かわいよ落胤
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/26(金) 12:36:53 ID:D/008lR00<> >>103
禿萌えたのでちょっとプレイしなおしてきます
ありがとうございました <> 僕らの話 1/4 
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/11/27(土) 11:19:50 ID:DVeQLUHj0<> 生。☆と元アフロネタ。トリ指摘をありがとうございました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

いや、何て言うのかね。長年付き合ってるけど、やっぱり読めないところがあるというか。
何かあったら悩むのは俺のパート、突き進むのはお前のパートって、確かに無意識に役割分担してた面はある。それは認める。
でもあんまりそれが酷いと、要するに頭と体がバラバラみたいな……わかるか?噛みあわなくなるんだよな。
それが仕事とか生活とかお互いの態度だとか、一緒にやってく中でどうしても外せないことの場合はちゃんと話し合うけど。
けど今回のこれは何。ナニに当たるの。
一瞬だったんだ、本当に。あって言う間に、いつものお前に戻ってしまって。
帰りのタクシーの中でも新幹線でも、あくまでフツー。フツーすぎて俺が黙りこんでたくらいに、フツーで。
俺にも冗談言うし、樋口さんとも話してたし。むしろ俺の方が心配されてたな、元気ないとか何とかで。
元気ないかな。頭重いし。あ、それはフツーに体調不良か。
コンポーザーに突っ伏してたら、思いっきり顔にデコボコ跡が付いてて、他のスタッフにも爆笑された。いや、マジ頭がね。
頭が痛い。重いっていうか。
毎日ちょっとずつ重くなってるつか、真っ直ぐになれない、みたいな。
「シンタ君、風邪かぁ〜?」
とりあえず、一旦逃げよう。うん。
結論はそれだったのに、逃げ場をその前に失ってた。スタジオのソファなんかで寝てるんじゃなかった。
早っや!コンビニから帰ってくんの、いつもは小一時間かかってんじゃねーかよ。
「ナニ、マジ風邪?だったら帰った方がいーよ」
「……う、ん」
「熱?」
「わかんない」
何この、かっこ悪い状況は。女子か。しかも子供か、俺は。
頭だけは逃げてて、精一杯の逃げとして……、ソファのクッションの下に、逃げ込んでだな。音だけ聞いている。
かしゃがしゃ、ばりばりとビニール袋の音と、がたがたテーブルが揺れる音がする。 <> 僕らの話 2/4 
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/11/27(土) 11:20:25 ID:DVeQLUHj0<> 「ノド飴とか、要る?」
「……あんの?」
「買ってきた」
「ん、置いといてくれ」
そういうんじゃないんだろうなあ、と思ってる。それはわかるなあ。
「他は?」
「今、いいや」
どうしたもんだろう。ああ早く逃げればよかった。
背中を向けてたらぼすん、と腰のあたりが沈む込む気配と音がした。ああ、ますます逃げ場がなくなったのはわかった。
「どしたのよー、テンション低すぎねえ?」
こいつがそのあたりに座り込んでるんだろう。ぽすっと脇腹に、軽いパンチを喰らう。
どうしたもこうしたも、どうしたもんだろうって。俺の方が変なの?俺が変なのか?
「……何も俺、怒ってないのに」
うだうだ考えてたら、またこいつが言った。
気付いてないんだろうな。絶対に気づいてない、こいつ。
声がワントーン下がってるってことに。
「もしかして、この前俺が言ったこと?気にしてる?」
「……おう」
「えーとさあ、じゃあ……気にしないってことで、一つ」
「え?」
「何ぁんもさ、シンタ君が悪いわけじゃねーっしょ。だから怒る筋合も無いわけで」
「タクヤ?」
「昔みたいな気持ちが、もし冷めててもよ。ねえシンタ君が何か、俺に悪いことやらかしたわけじゃないしな」
「ちょ、待って……って!」
「いやマジでよ。マジで」
思わず飛び起きたら、そこ。
ぽろんと落ちたクッションの先にはまた、何でもなさそうなお前が座っていた。後ろ髪がちょっと跳ねている。
何でもなさそう、っていうかむしろ顔は笑ってて、あー悪だくみしてる時みたいだって、俺の中の冷静な部分が感知する。
ぽすぽすとタバコの箱を弄ってて、ライターを片手でくるくる回してて。いつもみたいだ。
ロクなこと言わない時の、いつもみたいな。 <> 僕らの話 3/4 
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/11/27(土) 11:23:11 ID:DVeQLUHj0<> 「そういうの超越して、俺ぁシンタ君信頼してんだってば」
「何言って、んの?ナニ超越?」
「好きとか嫌いとか」
にや〜って、うわ、絶対何か企んでるわこいつ。それが俺の本能の声です。
うわ、うわ、ちょっと待て、待って。待ってって、本当に。
自己完結してるのはどっちだ。それはお前の癖じゃないの?
「俺ぁ、今、ちゃんと幸せです」
で、笑いながらでも、はっきりと、俺の眼を見てそう言う。
だから、お前が好きなんだよ。
強いな。カッコいいよ、お前。
んじゃ、って手を上げて腰を浮かしかける。待て、待て待て、待て。
行かせるわけにいかない、のだけはわかる。
それだけはわかった。
「……か、ッテに、冷めたとか言うな!」
それだけわかっても、結局何も上手く言えないけども。
つか何て言えばいいんだ、こういう場合。
「……年柄年中。ばっきばきに現役です」
迷った挙句の直球勝負。
迷う暇だって殆ど無かったからさ。
なあ、お前が好きなんだよ。ずっと。
「押し倒したいとか、正直ずっと思ってる」
地雷踏むかもしれん、そうなったら死ぬな、色んな意味で俺。死ぬというか終わると言うか、まあ色んな意味で。
お前がいなくなったらどうなんだろう。どうなるんだろう、俺。
何を失くすのと同じことなのか、それもわからない。
「……タクヤ……?」
決死の覚悟のせいだったのか何なのか、奇跡的に俺は目をそらさずにいたので、見てしまった。
余裕たっぷりのお前が、たっぷりだったはずのお前が、じっとしてるんじゃなく固まっているのを。 <> 僕らの話 4/4 
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/11/27(土) 11:24:46 ID:DVeQLUHj0<> 「……。」
丸めの目はまだ真っ直ぐだったけど。
でも俺を睨むんじゃなく、瞬きも出来ずにいるのを。逸らせずにいる。
目尻から髪に隠れたこめかみ、耳までがわかりやすく赤くなる。
何言ってんのか、口は動いてる。
でも声出てませんけど。全然。
最後にこいつの手からタバコがぽろっと、落ちた。
くらっとしたのは、きっと立ちくらみってやつだ。きっと。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

途中まで自分が攻め気だった☆、うろたえるの図。
☆のソロ詞は色々くるものがありますな。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/27(土) 20:19:02 ID:Hp5FqLZwO<> >>108
素晴らしすぎて、何も言えない
神様…!愛しています <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/27(土) 23:18:42 ID:3x0O+hDN0<> >>108
やっと元アフロが言った辺りが可愛いやら男前やら、
強気だった☆(攻め気だった)が動揺するやらでもう全体的にご馳走様です…。
ほんと堪能しました ありがとうございます
<> ないものねだりの罪 前編 1/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:20:19 ID:/u2ABVPg0<> 難局シェフ。半生注意です。
ドクタ.ー×仁志村で後編にぬるいエロがあります。新やん×仁志村は少しだけ。
前スレからの続きで、帰国後の話です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

『仁志村君、ひさしぶり。フクダでございます。元気だった?』

電話越しに聞こえて来る声に、仁志村は懐かしさよりも違和感を覚えた。
夢だと思っていたことが現実だったような、なんとも言えない不思議な感覚だった。
「ドクタ.ー?うわぁ、ひさしぶり、どうしたの?」
『隊.長がさ、同窓会しようって』

難局から戻って1年が経っていた。
帰国後数週間で白銀世界の何もかもが遠のいて、あっという間に元の満ち足りた文明社会に馴染んでしまった。
仁志村の仕事場は、雪の中から再び慣れ親しんだ海の上になり、パワフルな家族に囲まれた賑やかで穏やかな日々を送っていた。
突然、難局の冷たく乾いた風の記憶を呼び起こしたドクタ.ーの声に、日常との間隙を埋められなくなった仁志村の思考は暫し停止した。
『仁志村君、聞いてる?』
「あ、ごめん、聞いてる聞いてる」
『海辺の温泉泊まってさ、美味いものでも食いながら難局時代の交遊を深めましょうって事なんだけど、おまけがついてるの』
「おまけ?」
『おまけというか、そっちが本題らしいんだわ。…ビーチバレーなんだけど』
「ビーチバレー?なんでまた?」
『うん、難局から持ち越してる隊.長の夢らしいよ。真夏になる前にビーチを独占するって鼻息荒いのなんの』
「へえ」
よくよく考えたら、ドーム藤基地で1年以上生活を共にした7人と、帰国後は公的な集まりでしか顔を合わせていなかった。
同窓会と言う名のビーチバレー大会が実現すれば、プライベートで全員が揃うのは初めてとなる。
雪原で野球をしたことや、マイナス70度の屋外で半裸写真を撮った時のことが次々と蘇って、心が弾んだ。
「いいね、楽しそうじゃない。みんなはどうなんだろう」
『関東開催だったら、みんなオッケーだって』 <> ないものねだりの罪 前編 2/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:21:29 ID:/u2ABVPg0<> 電話の向こう側でドクタ.ーが笑う。
『実は仁志村君が最後なの』
「え、そうなんだ」
『だって、断られたら嫌だからさ。そうなったら、みんなが来る事を盾に迫ろうと思ってたんだよね』
「なにそれ」
仁志村も笑った。
「ビーチバレーの時、バーベキューやろうか」
『お、いいねぇ』
「じゃあ、家で準備していくよ」
『いや、それはいいんじゃない?途中、みんなで材料買って行けば』
「…そう、だね」
仁志村はもう、彼らの料理人ではないのだ。少しだけその事が寂しく思えた。
『でさ、仁志村君。温泉宿ね、貸切露天風呂があるんだって』
「へぇ、そうなんだ」
軽く相槌をうってから、仁志村はどきりとした。
『貸切なんだって、仁志村君』
ドクタ.ーの低い声に鼓動が早くなる。
これは。明らかに誘われている。
『どう思う?』
「い、いいんじゃない?」
―いいわけがない。ここはもう、難局じゃない。
舞い上がった自分を諫める理性の声に、仁志村は耳を塞いだ。

◇◇◇

一年ぶりに会う7人は皆笑顔で、元気そうだった。
主.任は相変わらずもじゃもじゃで、モトさんは帰国時にさっぱり剃り落した髭がまた伸びていた。
山男のようだった比良さんは越冬前のようにつるりとしており、対照的に凡はむさ苦しいままだった。
隊.長と新やんは髪型すら全く変わっていない。北海道からやって来たドクタ.ーは、テレビ放映されたトライアスロンの時と同じく以前より若々しく見えた。
軽口を叩き合い、あっという間に一年の空白が埋まっていく。 <> ないものねだりの罪 前編 3/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:22:32 ID:/u2ABVPg0<> “みんなで”やるはずだったバーベキューも、結局丸投げされた仁志村が全てを取り仕切る事になった。
万が一に備え、持参した自家製のタレは大いに役に立った。
「まさか、タレを忍ばせてくるなんて料理人の鑑だねぇ」
「さすが、仁志村君。健気だよね」
「うまいよ、仁志村君」
「うまいっすねぇ」
「いや、絶妙だよね」
「ホンマにうまいわぁ、仁志村さん」
「このタレでご飯食べたい」

「…どうも」
難局では一度も耳にしたことがない直接的な褒め言葉に、仁志村は改めてここが日本なのだと妙に得心した。

海開きにはまだ早かったが、照りつける太陽はすっかり夏の顔をしている。
重たい腹を抱えて始めたビーチバレーは、笑えるほどラリーが続かなかった。
砂浜に足を取られ思うように動けない。大半は転がって砂まみれになった。
大半の一人である仁志村は、球技があまり得意ではなかった事をすっかり忘れていた。
ボールに翻弄され、早々にコートから捌けた仁志村を追うように、新やんがモトさんチームに文句を言われながら離脱する。
ペットボトルを手に仁志村の隣に腰をおろした。
「疲れちゃいました?」
「ちょっとだけ」
びりびりしている腕の内側をさすりながら仁志村は顔を新やんへ向ける。
新やんがにやりとした。
「なんか、今日はテンション高めですもんね」
「そうかな」
「そうですよ。あの無謀な滑り込みレシーブ、感動しちゃったもん。しかも失敗してるしね」
「…」
新やんがふと真面目な顔になる。
「帰国してからドクタ.ーと会いました?」
「ううん、1年ぶり」
えっ、と新やんが大袈裟に声を上げた。 <> ないものねだりの罪 前編 4/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:23:37 ID:/u2ABVPg0<> 「ほんとに?一度も?」
「うん、みんなと一緒に会った以来かな」
「ふーん……ドクタ.ーと仁志村さんって、なんか不思議だよね」
「…」
新やんが言わんとしていることが察せられ、仁志村は曖昧に笑った。
ペットボトルを弄びながら、新やんが仁志村を見ている。
「仁志村さん、観測旅行覚えてます?」
今度は仁志村が驚く番だった。新やんからその話題が振られるとは思ってもいなかった。

◇◇◇

帰国が近づいた12月。ドーム藤基地から数百キロ地点で雪氷の観測を行う為、野外活動に出掛けることになった。
一次隊、ニ次隊ともに、雪上車二台に分乗しそれぞれ一、ニ週間程度の行程をこなす。
仁志村は、モトさんと新やん、雪上車に同乗する比良さんと共に一次隊となった。
設備の限られた雪上車で一から料理を作る大変さは、庄和基地からドーム藤基地へ移動した際に経験している。
今回は事前に調理したものを、冷凍パックにして持って行くことにした。二次隊の留守番組にも同じものを作り置いてきたので、餓死の心配もない。

モトさん主導で順調に観測が進んでいた旅行中盤の朝だった。
猛烈に不機嫌なモトさんは、電子レンジで温まった朝食が配られるや否や、決定事項を口にした。
「新やんお前さ、いびきがうるさくて本っ当に迷惑。いい加減うんざりなんだよ。今日から比良さんと替われ。いいよね、仁志村君」
「え?あ、はい」
「すいません…」
新やんが申し訳なさそうに項垂れた。比良さんの哀れみに満ちた視線が仁志村に向けられる。
仁志村が比良さんを見ると、すぐに目を逸らされてしまった。替わってくれる気はないらしい。
仁志村だって、狭い雪上車内でいびき掻きの人間と過ごすのは嬉しいはずがない。
「じゃ、そういうことでよろしくね」
「はあ」
反論する事もできず、仁志村はあっさり押し切られた。 <> ないものねだりの罪 前編 5/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:25:25 ID:/u2ABVPg0<> 夏に向かっている難局では、夜でも太陽は沈まない。
雪上車の窓に遮光器具を取り付けると、新やんは簡易ニ段ベッドの寝難い上段へ率先して上がって行った。
仁志村は自分の荷物を漁ってみたが、入れた覚えのない耳栓はやはり見つからなかった。
雪上車の運転や、観測作業諸々を兼任してクタクタだった為か、幸いにも新やんのいびきが聞こえてくる前に仁志村は眠りに落ちた。
それからどの位経ったのか分からなかったが、人の気配を感じて目が覚めた。目の前に迫る黒い影に仁志村は驚いて声を上げた。
「わっ」
「仁志村さん、俺です」
カチッと音がして備え付けの壁面ライトが点る。新やんが至近距離から覗き込んでいた。
「な、なにやってんの」
「何の為にこっちに来たと思います?」
「…モトさんに追い出されたんでしょ」
「わざとですよ」
「え?」
「演技したんです、いびきの。モトさん意外と我慢強くて3日も掛かっちゃったけど」
得意気な新やんに仁志村は言葉を失った。
「だって、こんなチャンスないよね。あの続き、あれで終わりとかないですよね?」
「ちょっと、新やん!」
寝袋のファスナーを開けようとする新やんの手を阻止する為、狭いベッドを身体を曲げて横に転がる。
新やんは寝袋の上から跨って仁志村の動きを封じてしまった。
「重いから…っ」
「じゃ、自分で出てきてください」
「寒くて死んじゃうよ!」
一晩中アイドリングしていては雪上車の燃料がもたないので、当然暖房は切れている。
その為車内とは言え、風が遮られているだけで気温はほぼ外気と変わらない。先程から新やんがこじ開けようとしている寝袋は二重仕様だ。
暫く揉み合った後、新やんは荒い息を吐きながら真上から仁志村を見据えた。
「なんでそんなに嫌がるんですかっ」
「と、とにかく、いったん降りてもらえないかな」
新やんの眉間にぐっと皺が寄った。
「ドクタ.ーは良くて、俺が駄目な理由はなんですか」
「え?」 <> ないものねだりの罪 前編 6/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:26:38 ID:/u2ABVPg0<> 「俺じゃ、子供過ぎるから?」
仁志村は答えられなかった。
「俺、仁志村さんが好きです。…仁志村さんは、俺のこと嫌いですか」
「好きだよ」
新やんがたじろぐ。
「あの、そういう意味じゃなく、俺が言っているのは恋愛感情として、」
「恋、愛?」
裏返った仁志村の声に、新やんは一層怯んだ。
「いや、あの、なんか言葉にするとおかしくなっちゃうけど、そんな感じの。特別、みたいな」
新やんが口にした恋愛と言う単語に、胸の内がざわざわする。
不可抗力もあったとは言え、これまでの言動を顧みた仁志村は自らの軽率さを悔やんだ。
「…新やん、それはきっと思い違いだよ」
「違います」
「ここは誰だって寂しいから、一時的に気迷う事も」
「だから違うって!」
新やんの目から涙が落ちる。落ちた涙は仁志村の頬に辿り着く前に冷たい結晶になった。
仁志村は歪んだ新やんの顔を、呆然と見上げることしかできなかった。
「確かに、失恋がきっかけかもしれないすよ。冷静じゃないかもですよ。でも、誰かを好きになるってそういうものだよね?」
「…新やん、ごめん、」
「ずるいよ、仁志村さん」
搾り出されたその言葉は、仁志村の胸をざっくりと抉った。
新やんが大きく息を吐く。
「キスぐらいさせてください」
避ける間もなく新やんの顔が近づく。
角度を変えて、何度も唇が押し付けられる。頬から顎に掛けて食い込む冷たい指が痛い。
「にいや…」
名を呼ぶために開いた唇の隙間から、新やんの生暖かい舌が侵入する。
口内を探るように這う舌に、避けようとした仁志村の舌が絡まりそうになった。そのわずかな動きを敏感に察知した新やんの口付けが深くなる。
「……っ」
今度は躊躇いなく、仁志村の舌を捕らえて吸い上げた。 <> ないものねだりの罪 前編 7/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:27:46 ID:/u2ABVPg0<> 圧し掛かられた胸も、奪われる呼吸も苦しい。
仁志村はやっとの思いで寝袋から出した片腕を、新やんと自分の体の間に捩じ込んで抵抗する。
流されてはいけない。その事だけを仁志村は考えていた。
いつまでたっても応えない仁志村の唇を、新やんは突然解放した。そのまま顔を仁志村の頬に押し付ける。
「…、……っ」
仁志村には、小さな声で呟いた新やんの声が聞き取れなかった。
「…新やん?」
「さ、」
「さ?」
「さむい…しぬ…」
そう言うと、新やんは震えながら仁志村の横に頽れた。
一瞬固まった仁志村は慌てて寝袋から這い出して、冷え切った新やんを抱え起こした。信じられないほど薄着だった。
急いで温まっている自分の寝袋に新やんを押し込むと、その上から体を摩る。
「大丈夫?」
「眠い……」
消え入りそうな声で呟くなり、新やんは本当に眠ってしまった。
3日間も寝る間を惜しんでいびきを掻いていたのだから、眠いはずだ。
一生懸命いびきを掻く振りをする新やんと、イライラしながらもそれに耐えているモトさんを想像する。
可笑しくて、愛おしかった。たった今こんなことがあったというのに、そんな風に思う自分に呆れた。
「…寒っ」
取り残された仁志村は急激に自分の体温が低下していることに気が付いて、仕方なく新やんの匂いがする寝袋に潜り込む。
あのまま新やんが眠ってくれた事にほっとしていた。

翌朝、まるで何事もなかったかのように以前の新やんに戻っていた。この夜以降、迫られる事もなくなった。
年が明けると、すぐ次の隊がやってきてドーム藤基地は慌しく賑やかになった。
庄和基地を経由して、砕氷船での合計約二ヶ月の道のりも、家族が待つ日本が近づいている嬉しさもあって、気分は軽く、楽しく過ぎていった。 <> ないものねだりの罪 前編 8/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:29:06 ID:/u2ABVPg0<> ◇◇◇

砂浜に歓声が上がる。
新やんが、盛大に砂上に転がる隊.長を見ている。
「あのときの仁志村さんの本気で困った顔、結構ショックだったなぁ」
仁志村は目を伏せて罪悪感をやり過ごす。
「ドクタ.ーってあんな感じだし、仁志村さんを斡旋するような発言もしてたじゃないですか。だったら、俺のほうが」
新やんの言葉が途切れた。
「いや、俺、仁志村さんにお礼を言おうと思ってたんです」
「お礼?」
「俺のこと、止めてくれたから」
真意が読めず、仁志村はまじまじと新やんを見つめた。
「一時の気の迷いだって、あの時仁志村さん言ってたでしょ。あれね、気の迷いじゃなかったみたいです」
「…」
「だから、もし仁志村さんとあれ以上の関係になってたら、きっと諦められなかったと思う」
新やんが顔を顰める。
「そしたら今頃愛人じゃないですか、俺。日陰の存在とか、マジで無理なんで」
思いも寄らなかった言葉に仁志村は噴出してしまった。
「ひどいな、仁志村さん…」
「ごめん」
慌てて謝る仁志村に、新やんは照れたように笑った。
「やっぱり子供でしたよね、いろいろ。押しに弱…優しい仁志村さんに付けこもうとしちゃってましたしね」
「…」
「だからもう、いいんです」
新やんは清々しい顔をしている。 <> ないものねだりの罪 前編 9/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/11/28(日) 00:30:19 ID:/u2ABVPg0<> 「俺、ちゃんと大人の男になりますよ」
何かを吹っ切ったように宣言した新やんが眩しく感じられ、仁志村は少し俯いて微笑んだ。
「いつか、俺が一人前の雪氷学者として難局へ行く日がきたら、その時の調理担当は仁志村さんがいいです」
「うん」
仁志村の胸が熱くなる。
「そのころなら、きっとドクタ.ーみたいに上手くやっていけると思うんです」
うんうん、と頷いた後で何かが引っかかり、仁志村は数回瞬いた。
「…それ、何の話?」
「大人の関係っていうのかなぁ、そういうの。俺もどんとこいって言うか、むしろ楽しめちゃうって言うか、」
「いつまで休んでんだ、そこの二人!」
モトさんの怒声に仁志村と新やんは同時に立ち上がった。
新やんという戦力を欠いたモトさんチームは押され気味で、仁志村のいないドクタ.ーチームは優勢のようだった。
大人ってなんかエロいっすよねぇ、とさわやかな笑顔で囁くと、新やんはコートへ駆けて行った。
仁志村は、熱くなった胸をもてあましながら、遠い目で新やんを見送った。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

後編へ続きます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/28(日) 05:55:28 ID:9gsBXjT1O<> >>114
姐さんお待ちしとりましたw
新やんかわゆすw
後編正座して待ってます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/28(日) 11:11:45 ID:zmG2RLj2O<> >>108
あなたが神か。GJ!
☆の反応を脳内再生して悶えました。 <> 夢落ち 1/4<>sage<>2010/11/28(日) 12:50:55 ID:f683vul30<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | |  |> PLAY.     | |
 | |                | |           ∧_∧ 退カヌ媚ビヌ省ミヌ
 | |                | |     ピッ   (*´ω`*)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

長兄×末弟です。夢オチと言えば夢オチ、パラレルと言えばパラレルです。
包茎話の続きではありません。申し訳ない。
既にこの話を読んだ人がいるかもしれない。
そうしたら申し訳ない。 <> 夢落ち 2/4<>sage<>2010/11/28(日) 12:52:12 ID:f683vul30<> 「今日はここで野宿か…」
正確にいえば今日「も」野宿である。ケンシロウはユリアが死んで家を引き払った後は黒王と一緒に放浪を続けていた。
皆死んでしまった。シンもレイもシュウもサウザーもユダもリュウガもフドウもトキもラオウももういない。一人きりである。
バットとリンの事を思い出したが、やはり北斗は災いを引き起こす者であるので、二人の所へ行くわけにはいけないのだ。
ケンシロウは飲まず食わずでも3ヶ月は平気である。つらいのは、人間と会えない事である。
実際リンやバットと最初に出会った時も、水の問題というより人恋しさ故で行き倒れたと言ってよい。
人恋しい暗殺者というのは何か変な感じがするが、しかしケンシロウにとっては人恋しさが一番の問題なのだ。
「…」
眠ればいい。つらさを忘れたい。
ケンシロウは眠りに落ちた。


ケンシロウは目覚めた。夢か。あんな寂しい夢を見るなんて。最近よく見る夢だ。
傍らを見やる。ラオウが寝ている。
「ラオウ…」
起きない。寝穢い男である。暗殺拳の使い手のくせに名前を呼ばれても起きないなんて相当である。
しょうがないのでケンシロウはラオウに馬乗りになって頬を抓って顔を寄せて耳元で名前を囁いた。
「…」
起きた。まだ真夜中なのに、何をする、と言ったような訝しげな顔をしていたので、ラオウの両頬を手で掴んで口づけした。
ラオウもその気になったようだ。 <> 夢落ち 3/4<>sage<>2010/11/28(日) 12:54:24 ID:f683vul30<> その後色々な体勢を強要された揚句結局いつもの体勢に落ち着いたようだった。それなら最初からいつものにしとけ、とケンシロウは思う。
「うぬの方から誘ったのだろう」ってこんなに色々される事を許可した覚えはない。
でも、こういう無理無理な事が結構楽しかったりするのだ。
「どういう風の吹きまわしだ」
「…何がだ」
「貴様の方から気が向くなど、どういう次第だ」
「…夢を見た」
「夢?」
「ラオウが天に還って、ユリアも死んで、一人きりになった夢」
「くだらぬ」
…そう言うだろうと思った。
「怖い夢を見たと言って兄弟に甘える事が許されるのは3歳までだ」
3歳児がこんな事しないだろう、とケンシロウは内心思った。
「俺も最近夢を見るぞ」
「どんな」
「貴様を殺して天を掴む夢だ」
「……寂しくないのか」
「何故寂しい事がある、天を掴む事こそ我が野望!…貴様ともいずれ闘う宿命」
そう言ってラオウはゴロっと横になった。
ならば何故俺とこんなことしている、とケンシロウは思った。
そう、何故俺もラオウもこんな事をしている。
あの時、ユリアを埋葬した後、ラオウが来てそれ以来ずっと二人で暮らしている。
ラオウは世紀末覇者としての仕事をするでもなく、俺も世紀末救世主としての仕事をするでもなく、
ただだらだらと安息を貪っているだけ。
「…」
このままラオウと話していても仕方ないのでケンシロウも寝ようと横になった。
そうしたらラオウの上に引っ張り上げられた。ラオウと一瞬目があったが、ラオウはすぐ目を閉じた。
ここで寝ろという事なのだろうか。
寝台と違って人の上では寝にくいのだが、そうケンシロウは抗議したかったが、ラオウはもう寝入ってしまったようで。
仕方ないのでケンシロウも目を閉じた。

きっとまた、あの寂しい夢を見る。 <> 夢落ち 4/4<>sage<>2010/11/28(日) 12:55:54 ID:f683vul30<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | |  □ STOP.      | |
 | |                | |           ∧_∧ 
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

長兄と末弟の最終決戦の後長兄が死なないのも、 長兄が末弟を殺して天を握るのも、
どっちもゲームのifストーリーが元です。
本文と前後のAAのレス数が同じじゃないかって言う。
そして前回の話を書くきっかけになった包茎スレが落ちて悲しいって言う。

「抓って」は「つねって」と読みます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/28(日) 15:45:27 ID:Y9BEl0Vg0<> >>125
前回の包茎SSから雰囲気が好きでした。思わずカキコ。
この兄弟はいいものだ……投下乙です。 <> 体温 1/4<>sage<>2010/11/28(日) 21:31:21 ID:tQdhVhYu0<> 屍鬼。夏徹?徹夏?エロないです。
※死にネタ注意!あとグロ注意。
※アニメの今後妄想。原作ルートでの今後の展開を参考にしてるので一応ネタバレ注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 夜明けまでまもなく、という頃だった。
 小屋の戸を開ける音に、徹は牢に凭れていた肩越しに背後を振り返った。
 青ざめた視界の中に浮かび上がったその人影に、息を飲む。
 いるはずがない者が、そこにいた。
 ――人影の手には大きな古い、薪割り用の斧。
 それはすでに、赤く濡れている。
「……夏野。どうして」
 人影はそれには答えず、つかつかと小屋の中に入ってくる。
 空の牢。それに背を預けて座る2人の側に、人影――夏野は、歩み寄る。
「……今と、眠ってからと、どっちが良い?」
 視線の先、座った人影の一方が小さく震える。
 やや間をおいて、微かに笑みを浮かべて答えた。
「……今で良いわ」
 少年は無表情に頷く。
「一発で終わらせるから。お願いだから、動かないで」
 人影が頷き、目を閉じると、少年は手にした凶器を振り上げた。
 重い打撃音。牢の木枠が砕ける音。それに次くごろりという落下音と、
水飛沫が壁を叩くような音。それらがすべて納まると、少年はやっと、数歩離れて
目の前の惨劇に呆然と立ちすくんでいる徹に視線を向けた。
「あんたは、どっちにする?」 <> 体温 2/4<>sage<>2010/11/28(日) 21:32:22 ID:tQdhVhYu0<> 「……夏野、お前……」
「――名前で呼ぶな!どっちだって聞いてるんだ!」
 徹が知らない冷たい光を帯びた瞳と声に気圧されて、徹は答える。
「……眠ってから」
 徹の言葉に、夏野の形の良い眉が上がる。
「そう。――まだ死が怖いんだ?それとも、これを見て怖気づいた?」 
 呟くように言うと、血濡れた斧を置いて、徹の横に座り込んだ。
 その手が震えているのに気づいて、徹は冷静さを取り戻す。
 ――夏野に、こんなことをさせたのは、俺だ。
 こんなことをして、平気な夏野なら、俺は夏野を殺せなかったはずなのだ。
 微かな声が足元からする。
「ごめんな。見たくなかっただろ?この人が死ぬところ」
 それは事実だったが、安堵したのも確かだった。徹は夏野の横に並んで座る。
「……いや。律っちゃんは……感謝してると思うよ。起き上がってからずっと、
 飢えと戦っていたから」
 たぶん、このまま朝を迎えて村人に狩られるより、ずっと楽な死を迎えられたはずだ。
 誰も殺して無いのに、杭を打たれたり、太陽の光に焼かれたりしなくて良かったと、思う。
 そう、と呟いて、夏野は言葉を継ぐ。
「辰巳は死んだよ。清水も。正雄も。兼正には尾崎の先生達が乗り込んでる。
 ――後は、たぶん、徹ちゃんと俺と、ここに潜んでる屍鬼達だけだ」
 淡々と告げた夏野の横顔には、疲労の色が濃い。
 微かに触れた肩に体温を感じて、夏野が人狼として起き上がったことを知った。 <> 体温 3/4<>sage<>2010/11/28(日) 21:33:21 ID:tQdhVhYu0<> 「……俺を、殺しに来たんだ」
「そうだよ。屍鬼を全て滅ぼして、俺も死ぬ」
 起き上がっても尚、自分自身を殺せるほどに屍鬼を憎める夏野が、徹には眩しい。
 ――徹だって憎い。屍鬼なんて、滅びてしまえば良いと思う。
 なのに、自分自身を殺してしまえるほどには、徹には憎み切れなかった。
「……俺はお前みたいにはなれなかったよ。ごめんな、お前に酷いことさせて」
 情けなくて、涙が零れた。その様子を、夏野はじっと見つめて言った。
「徹ちゃんが眠ったら、首を落とす。……大丈夫。今みたいに、一発で終わらせるから。
 きっと何も感じない。そして、ここに来た狩人に俺も殺してもらう。
 ――それで全部、終わりだ」
 淡々と告げる夏野の顔が、徹には悲しい。
 それでは、一番苦しい死を迎えないといけないのは夏野ではないか。
 窶れた顔を見れば、夏野もまた、満足に血を吸っていないのは明らかなのに。
「夏野……お前は、逃げて良いんだ。お前は、人狼になったんだろう?
 人を襲う必要はないんだから。俺に構わず、今すぐ逃げればいいんだ……」
 あの時、言うべきだった言葉を、徹は、やっと言った。
 今更言っても遅すぎると思う。彼から普通の人生を奪った。もう取り返しがつかない。
 けれども――人狼なら。逃げて、人のように生きていくことは不可能ではない。
 だが、夏野は首を振った。
「逃げてどうするの?こんな化け物になって、徹ちゃん死なせて。
 それで生き延びてどうするの?――終わらせたいんだ。全部」
「でも、お前にこれ以上手を汚させたくないよ。俺は、もうすぐ眠ってしまう。
 さっき、牢から人を逃がしたし、お前もここのことを知らせているなら……
 俺は、お前が手を下さなくても、きっと夜を迎えられない」 <> 体温 4/4<>sage<>2010/11/28(日) 21:34:45 ID:tQdhVhYu0<>  だから、逃げてほしい。そう言い掛けた徹に、夏野は微笑って言った。
「徹ちゃんが、俺を殺した。俺が、徹ちゃんを殺す。これで『おあいこ』だろ?
 ……だから、もう泣かないでくれよ。俺、徹ちゃんのそんな顔、もう見たくないんだ」
 夏野の目にも、涙が浮かんでいた。
 ――徹は、説得を諦めた。
 睡魔が急速に忍び寄っていた。
 もういくらも時間がない。どのみち、徹にはもう、祈ることしかできはしない。
「……なあ、夏野。1つだけ、最後に頼んでいいか」
「――何?」
「抱き付いていいか?……その、体温が、恋しいんだ」
 最後に、夏野の温もりを感じて眠りにつきたかった。
「……良いよ。でも、あの世で会った時にやったら、また蹴るからな」
 恐る恐る腕を伸ばして、夏野を抱きしめた。餌としてではなく、大切な人として。
 変わらない温もりに、ほんの少しだけ、微笑えた気がする。
 徹は真っ黒に塗りつぶされていく意識の隅で、抱き返してくれる腕の感触を
嬉しく感じながら、伝えるべき言葉を懸命に呟いた。
「夏野……ありがとう……」 
 涙の一筋を残して、徹の身体から力が抜けた。抗えない睡魔の虜になったのだ。
 冷たいばかりの身体をもう一度抱き返してから、夏野は立ち上がる。
 壁に立て掛けていた斧を手に取った。

 ――これで、全部終わりだ。
 だから、あの世で会ったら……今度こそ、笑顔で俺を迎えてくれるよな?
 ――あの日のように。
 夏野は斧を振り上げた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/28(日) 21:35:38 ID:tQdhVhYu0<>  □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 とか言いながら、夏野は医者のせいで死に損なう悪寒。
 こいつらに序盤の幸せと取り戻してやりたいのに欝エンドしか想像できないよ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/29(月) 18:27:04 ID:xFRTYbaBO<> >>114
投下乙です!
後半も全裸正座で待ってます!
あーもう1回DVD観よう。 <> 潮騒 1/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:06:34 ID:cMrXi9JmO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
タイガードラマ 和介→武智がベースながら、オリキャラ要素満載な半年以上前に投下した話の後日談。
最後詐欺、ファンタジー、死にネタ、色々やらかしてるので危険と思われる方はお避け下さい。途中で一度中断します。

海の音が聞こえた気がした―――

「えっ?」
怪訝そうな声を上げられ、それに和介は瞬時我に返る。
そして上げた視線の先にはこの時、手首の脈を取りながらこちらを心配そうに伺い見てくる年若い医師の顔があった。
名は武智半汰。
かつて自分と縁あった方の死後の養子である彼は、その聡明そうな眉をきつくしかめると、口を開いてくる。
「大丈夫ですろうか?」
真剣に身を案じるように。だからそれに和介は気を取り直すと、彼を安心させるようにその口元に笑みを浮かべていた。
「申し訳ないがです。なんちゃぁ空耳のようで。年ですのう。」
殊更明るく告げる。しかしそれにも彼は浮かんだ表情の曇りを完全には払わないまま、その時ゆっくりと
掴んでいた手を離してきた。
「それならええですが。しかしあまり無理はせんでつかぁさい。今年は夏が酷う暑かった分、その反動で
冬の寒さが厳しゅうなるようです。そう言う差に体がついていかんで倒れる患者を私はこれまで何人も知っちょる。
とにかく無理は禁物。もし何か人手がいるような事があればすぐに呼んでつかぁさい。冬に備えて屋根の修理でも、
食料の備えの準備でも、」
「先生、薪割り終わりました!」
「何でもこの秀にやらせますき。」
「へっ?」
「なっ!」
「えっ、あっ、はい。」
真剣な面持ちの半汰と、部屋に入ってくるなり話を振られて、意味もわからずそれでも首を縦に何度も振る秀と呼ばれた青年。
そんな二人の奇妙な阿吽の呼吸に、和介の笑みは更に深くなる。だから、
「ありがとうございます。」
起き上がっていた布団の上であらためて姿勢を正すと、和介はこの時彼らの前に手を突き頭を下げた。
その髪には白いものが増えていた。
もともとそれほど大柄では無く細身ではあったが、その向けられた肩は夏の頃より更に痩せたようだった。 <> 潮騒 2/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:08:15 ID:cMrXi9JmO<> 「あの〜、先生?」
朱い空に鳥が鳴く夕暮れ時の村の道を、無言で歩き続ける己の二歩程後ろ。
恐る恐ると言った様子で声を掛けてきた秀に、半汰はその時ようやく視線を返していた。
「ん?」
どことなく声に力が入らない。
するとそんな自分の様子に、秀は間合いを詰めながら不安そうな問いを口にしてきた。
「和介さん、どこか悪いんですろうか?」
彼は自分と同じ医学を志す者だった。今はまだ免状こそ取れてはいないものの、日々自分を手伝いその知識を養っている。
そんな彼の目から見て、自分はそんなに周囲の不安を掻き立てるような顔をしていたのだろうか。
思えば、自省の意図から半汰はこの時、一度両の手で己の頬を叩いていた。
「先生?!」
「何ちゃあない。自分が情けのうなっただけじゃ……医者のくせにな。」
「…………」
「心配すな。あの人は今のところどこも悪うない。熱は平熱。脈も正常だった。」
「やったらどういて、」
「……切れちゅうように見えてなぁ…」
「切れ、って何がですか?」
端的すぎてわかりにくい自分の言葉に、傍らで秀が首を傾げる。
それに半汰は苦笑を洩らすしかなかった。
「私にもようわからん。気力、と言うのもちっくと違う気がするし。この世に繋ぎ留めておく執着とでも言おうか。」
「執着…ですか。」
「あの人は、もう生きちゅう事に未練が無いように見える。」
それは、認めてしまえば自分にとってひどく淋しい事だった。
郷土において偉人と称えられるような人の養子に入った自分を、幼い頃から支え、見守ってくれていた人だった。
けして表には立たず、ずっと影から密かに。
それは彼が、自分の養父にあたる人にひどく敬意を抱いていたからのようだった。
昔語りを幾度もせがみ、聞いた、彼と養父との邂逅。
そして引き裂かれたその別れからもう幾年が過ぎたか。
自分からすれば、それは想像もつかないような長い時間だった。
だから、なのだろうか。 <> 潮騒 3/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:10:40 ID:cMrXi9JmO<> 「もう限界なんじゃろうか。」
ぽつりと呟きが零れる。
「私では、代わりにあの人を繋ぎ留める絆には為りえんか……」
口元に浮かぶ自嘲気味な笑み。
と、その時、不意に腕を強く引かれる感触があった。
それに驚いて半汰が視線を向ければ、そこにはひしっと力を込めて着物の袂を掴んでくる秀の姿があった。
「秀?」
驚いて声を掛ける。と、それに彼はひどく勢い込んだ声色でこう告げてきた。
「そんな事は無いがです!」
「………?」
「先生の事を大事に思わん人間は、この村には一人もおらんがです!」
年は自分より少しだけ下だった。
真面目でまっすぐで、まっすぐすぎて時々融通が効かなくて、だけど心の根から優しい。
そんな青年の頭を、わずかな一呼吸の後、半汰はそっと撫でてやる。
「ありがとう。変な事を言うて心配かけさせてすまんかったな。」
子供扱いをされたせいか、それとも礼を言われた事に対する高揚か。
はかりかねる反応ではあったが、秀はこの時顔をほのかに赤くすると慌てて手を離してくる。
その仕草がまた妙におかしくて、半汰は笑う。そして笑いながら語る言葉を続けていた。
「また、気をつけて様子を見に行こう。」
大事な人だった。
「一緒に行ってくれるか?」
尋ねればそれに秀は、もちろんですきと息咳切って答えてくる。
屋根の修理でも、食事の用意でも、薪割りでも、風呂焚きでも。
先刻交わした遣り取りを更に大きくしてくる、そんな彼の実直さに半汰は尚も笑い続ける。
そしてその笑みの裏でこう思い続けていた。
失くしたくない人だった。
口に出す事はけして出来ない。それでも、

彼は心密かに――――父とも、想う人だった
<> 潮騒 4/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:12:50 ID:cMrXi9JmO<> 夜中に時折胸が苦しくなる。
その回数は夏を過ぎた頃から多くなっていた。
呼気の塊が咽喉を圧迫し、息が出来なくなる。
苦しさに身を折り咽喉と布団の表面に指が深く食い込むが、しかしそんなもがきも、ふと脳裏をよぎる思いに
気付くと、その力を急速に失う。
息をしようとしてどうするのか。
望む事はその逆なのに。
気付き、咽喉元から手が離れる。けれどそう言う時に限って、呼吸はまた楽になる。
また目が覚める。
まだ……生きている……
感じるのは安堵よりも淡い絶望。

その日も、その繰り返しだと思っていた。


背にじわりと温かい感触を覚え、その場所から体の強張りが解ける。
戻る呼吸。それに和介は目を閉じたまま眉を寄せていた。
(……また……)
吐く息に諦めの色が滲む。
ため息にも似た、しかしその響きにふと重なる気配を和介は刹那、背後に感じていた。
それは急に温かくなった……誰かに触れられたかのような背の辺りに。
誰かいるのか。
思わず反射的に体を起こし振り返る。
そして寝間の闇に目を凝らした先。そこにはこの時……信じられない光景があった。
夢だと思った。もしくは幻か。しかし次の瞬間自分の脳裏によぎったのは、
それでも構わない……
そんな一念だったから、自然、己が唇が無意識にその夢幻の名を刻む。

「武智様――」

それは遠く、長く、けして忘れえぬ永遠の名だった。
<> 潮騒 5/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:16:17 ID:cMrXi9JmO<> 驚きの中にも縋るような響きが滲む、そんな自分の声に名を呼ばれたその人は笑ったようだった。
暗い夜の闇の中、淡く光る輪郭の向こうで柔らかく、それでいて少しだけ困ったように。
その出で立ちは自分の記憶には無いものだった。
牢内での簡素な着物姿でも、取り調べ時の袴姿でも、最期の日に身に纏っていた白装束でもない。
どこか若々しい色の小袖姿。
そんな人の唇がゆっくりと動く。
『そんな声を出さんでくれ』
身なりに見覚えは無かった。それでも耳に届いた声は、かつて聞いた記憶のものと何も変わっていなかった。
深く、沁みいるような穏やかさで自分に語りかけてくる。
『これは本来ならば禁忌の事』
音も無く進み出で、膝をつき、上半身だけを起こしていた自分と目線の高さを同じにして、告げてくる。
『それでも、もう痛々しゅうて見ちょれんかった』
少し寂しげにも痛ましそうな眼差しを向けられ、それに和介はこの時慌てて座を正すと、彼の人の眼前手を突き、頭を下げた。
「申し訳ございませんっ」
状況の不可思議さなどもはや頭から吹き飛んでいた。
ただただ、この御方にいらぬ心痛を味あわせてしまったのかと、吐き出す声に悲痛な響きが滲む。
しかしそんな和介にその人は―――武智は、尚も穏やかな声色を崩さず言葉を紡いできた。
『おまんが謝る事は無い。頭を下げねばならんのはわしの方。礼を言わねばならんのもわしの方じゃ』
「武智様、何を…」
『長き間、妻と子が世話になった。これは感謝してもしきれん。だがその事でわしはおまんの人生を狂わせてしもうたな』
申し訳なさそうに告げられる。
しかしそれに和助はこの時、首を激しく横に振っていた。
「いいえっ、そのような事はけして。これはわし自らが望んだ事です。むしろ感謝せねばならんのはわしの方。
身の程をわきまえず、奥方様やご養子様には本当に良うしていただきました。」
それはまごう事なき本心だった。だから、
『……迷惑ではなかったろうか』
「そのような事はけして。」
懐疑さを滲ませる相手を安心させるように、口元に懸命に笑みを湛えながら応える。
嘘では無かった。本当に。ただ……それでも、
<> 潮騒 6/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:19:00 ID:cMrXi9JmO<> 『和介?』
それでも、今こうしてその姿を目の当たりにしてしまえば、最早隠しきれず自覚する想いがあった。
それが表情に出たのだろう。名を呼び怪訝そうな視線を向けてくる武智に、和介はこの時、もう抑える事の出来ない
己の本心を吐露していた。
「それでも、わしは少し長う生き過ぎました……」
あれからもうどれくらいの月日が流れたのだろう。
果てしなく遠く遥か昔のような、それでも何一つ消え去る事の無かった記憶。それに自分は……
「……少し疲れました…」
そして、
「淋しゅう、ございました。」
贅沢な物言いだと言う事はわかっている。
自分の人生はけして不幸なものではなかった。むしろ幸せなものでさえあったのだろう。
穏やかに、波乱なく、周囲の人達にも恵まれた果報者。
それでもあの日から胸にぽかりと空いた穴は、終ぞ、今日と言う日まで埋まる事はなかった。
何を見ても、聞いても、触れても、その中にどうしても一つの存在がない空虚感。
人生を狂わせたかと聞かれた。それに自分はいいえと答えた。
嘘では無い。しかしそこには少しだけ真実が欠けている。
今目の前にいるこの人を失って、自分の世界は何かが歪んだ。
そしてその歪みを淋しさと呼ぶのなら、自分は確かに―――長く一人孤独だったのだ。
『すまぬ……』
胸の内を覗き見られたのか、深く再度の謝罪を口にしてくる武智に和介ももう一度、しかし今度はゆっくりと首を横に振る。
「いいえ、いいえ、どうか謝らんでつかぁさい、武智様……ただ、」
それでも、その代わりに、どうか……
「もう…私をお連れ下さいませ。」
それは切なる願いだった。
真剣に、引けぬ。何故ならこうして出会えてしまえば、自分はきっと一人きりの朝のあの眩しい目覚めにはもう耐えられない。
目を伏せられなかった。
少しでもその姿を見失えば、その姿は霞みと消えてしまうかもしれない。
そんな恐ろしさに脅える眼差しを向ける自分に、武智はその時しばし何も言わなかった。
<> 潮騒 7/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:22:15 ID:cMrXi9JmO<> 身の竦むような沈黙。そんな時間がどれほど続いたか。
『これは本来ならば禁忌の事』
不意に落とされた武智の呟き。それは先刻聞いたものとまったく同じものだった。
はっと息を飲む和介の耳に声が届き続ける。
『おまんにはまだ時間がある』
淡と告げられた事実には刹那、背筋に冷たいものが走った。だから瞬間、縋る声がほとんど叫びのようになる。
「それでも私はっ、咎ならば私が受けますき…っ!」
最早何も取り繕う事が出来なかった。
そんな取り乱す自分の姿に、武市は目の前一度静かに息を吐く。そして、
『わしは、あの子に恨まれるやもしれんのう』
おもむろにそっと零された呟き。
その言葉の意図は咄嗟には掴めなかった。だから和介が声無く呆然としていると、その前すっと差し出される手があった。
戸惑い、その手とその人の顔を交互に見遣る。
するとそれに武智はこの時、ようやくその口元にほのかな笑みを浮かべてくれた。
『その咎、わしも共に受けよう』
それは本来ならば拒まねばならない、しかし今の和助には到底抗えぬ甘美な許しだった。
だから誘われる指先が床から離される。伸ばし、触れた、その手は温かかった。
握り、微かに込められた力に促され、ゆっくりと立ち上がればこの時体はひどく軽くなった。
戸惑う、そんな自分の顔を見て、その人がふと笑う。
ゆっくりと解かれた手が今度は自分の頬に向けて伸ばされ、そっと添わされる。そして、
『若うなった。あの頃のおまんのままじゃ』
くすりと可笑しそうに言われ、思わず我が身と目の前の人を見返せば、この時そう言ったその人自身も実は
己の記憶の中の姿形より若干若く見える事に初めて気が付いた。
どうして、と思うより先に悟る真理。
これはおそらく、いやきっと、人が一番幸せだった頃の姿。
ならば、やはり自分の一番の幸せはこの人と共にあったのだ。
『行こう、皆が待っちゅう』
軽やかに告げられる言葉と共に、頬から滑り落ちた武智の手がこの時、皺の無くなった自分の手に何かを握らせた。
何?と思う自分に、ただ笑み、踵を返そうとする。しかしそんな人をこの時自分は反射的に引き止めていた。
振り返り、少し不思議そうな顔をされる。そして、
『やはり嫌かえ?』
短く問われれば、それには慌てて首を横に振った。 <> 潮騒 8/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 21:24:18 ID:cMrXi9JmO<> 違う、そうではない。そうではなくて…
「皆様の所へ行く前に…出来る事ならば……」
一度だけ―――
必死に紡ぎ出そうとする言葉は、しかし途中で途切れ、どうしても最後まで声にならない。
あまりに身の程知らずなと自覚はある。それでも長く夢見てきた想いを断ち切れずに立ち竦めば、それにこの人は
少しの沈黙の後ふわりと身を返してきた。そして、
『これで、ええがか?』
うつむく自分の顔を見上げるように、するりと身を寄せ、腕の中に入ってくる。
そしてそのまま屈託なく笑われれば、自分の想いはこの時、溢れるままにその堰を切った。
わかってくれる事が嬉しかった。
だから持ち上げた腕で、目の前の身体をただ強く抱き締める。
かつて遠い昔、一度だけ触れたその人と自分の身体の間には無情にも冷たい檻があった。
それが今ようやくに取り払われた事を知る。
ようやく…ようやく、触れた温かさが欠けていた心の隙間を埋めてゆく。
それを和介は幸せだと思った。
幸せだから、抱き締める腕をそのままに、満ちた涙が静かに頬を濡らしていた。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・)チョット チュウダーン!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/30(火) 21:56:57 ID:po6RxO7QO<> 支援? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/30(火) 21:59:36 ID:po6RxO7QO<> >>145
ごめん、最後までリロってなかった。 <> 潮騒 9/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 22:08:02 ID:cMrXi9JmO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )>>143ノツヅキ、サイカイシマス


その日、訪れた家の雨戸は日が高くなった時刻にもまだ閉めきられていた。
一瞬顔を見合わせた半汰と秀は、しかし次の瞬間胸に沸き上がった嫌な予感と共にその家の戸を叩く。
「和介さん!入りますき!」
激しく呼びかける声にも反応の無い様子のおかしさに、ほとんど壊す勢いで玄関の戸を外し、家の中へ飛び込む。
そしてさして大きくない家のいつもその人が寝ている部屋に踏み込めば、そこには布団に横たわる一つの人影があった。
眠っていると思いたかった。しかしそうでない事は誰の目にも明らかだった。
急ぎ駆け寄り、半汰はその人の手を取る。
その背後で秀は何をすればいいかとうろたえながらも、懸命に己がすべき事を声に出していた。
「くっ、薬の用意をしますき!あと水も汲んで、他はっ」
しかしそんな秀の声を、その時半汰は小さな声で遮る。
「いや、ええ…」
「先生?」
「もう、遅いようじゃ。」
静かに言い切られ、それに秀が背後に駆け寄ろうとしてくる。が、半汰はそんな彼を押し留めていた。
「すまんが秀。部屋の戸を開けて、ちっくと二人だけにしてくれんか。」
言われた秀が背後で一瞬言葉を失ったように立ち尽くしたのがわかった。
しかし彼はすぐにそんな自分の言葉に従うと、部屋に接した縁側の雨戸を半分ほど開け、そのまま何も言わず
その場から離れてくれた。
外から差し込んだ一条の光であらためて見遣ったその人の顔は、ひどく穏やかでまるで微笑んでいるかのようにさえ見えた。
だから、
「苦しゅうはなかったですろうか。」
静かに問い掛ける。
いつかはこんな日が来る。そんな覚悟は心のどこかでしているつもりだった。
それでも今胸にこみ上げるやるせない想いはどうする事も出来ず、
「貴方っちゅうお人は、結局最後まで私に世話の一つも焼かせてはくれんかったのですなぁ。」
悲しくも見事な、その生き様に畏敬の念を覚えると共に、半汰は何がここまでこの人を支え続けたのだろうと切なさも覚える。
<> 潮騒 10/10
◆DEP4IVx7X6 <>sage<>2010/11/30(火) 22:10:43 ID:cMrXi9JmO<> 清く真面目に、生涯ただ一人の家族も持つことなく、それでいて血の繋がりなどまったくない自分を常に支え、
導いてくれた人だった。
その生涯がどんなものであったのか、その答えはおそらくこの人自身にしかわかるまい。
それでもそんな人に自分がただ一つ贈れる言葉は、
「……長きに渡り、ありがとうございました。」
永久の眠りについた人の枕元に指を揃え、半汰はこの時静かにその頭を下げた。
多大な感謝と、一抹の悔恨と、はかりしれない喪失感と共に。
眦から伝い落ちそうになる涙はあった。
それでも半汰はそれを寸での所で懸命に止め、顔を上げる。
ここには自分だけで無い、待っていてくれる秀がいた。
この事を伝えねばならぬ者達がいる事も、これから自分がやらねばならぬ事もわかっている。だから、
「ちっくと席を外します。けんどすぐに戻ってきますき。」
気を奮い立たせ、一度語りかけるようにそう言うと、半汰はこの時立ち上がろうとする前、先程脈を取る為に
布団から出した人の手を元あった場所に戻そうとした。
熱を失い、最早動かぬ……しかしそんな人の指の隙間からこの時、滑り落ちた何かがあった。
音も無く畳の上に落ちる。
何だ?と思い、半汰が拾い上げ、見る。と、それはどうやら小さな貝殻のようだった。
まるで花びらのように綺麗な桜色をした……
何故こんなものがここに、とそう思った瞬間半汰は不意に耳に届いたざわめきに、はっとその背後を振り返っていた。
視線を向けた、その先には眩しい光があった。
開け放たれた戸の向こう、臨む庭の木々の葉に反射するその光は目を刺すほど強く、それは一瞬脳裏に郷土の
激しく岸辺に打ち寄せる波頭の煌めきを思い起こさせ……
それに何故自分の中、不意にこんな言葉が浮かび上がってきたのかはわからない。
ただそれでも、

「ちちうえ……」

無意識に唇から零れ落ちた言葉。
その掠れた響きの向こうに半汰はこの時、


海の音が聞こえた気がした―――― <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/11/30(火) 22:12:04 ID:cMrXi9JmO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最終回再登場の先生達の設定と絵が綺麗で、たまらず書いてしまいました。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/01(水) 19:14:54 ID:Fh8Lsw47O<> >>136
お帰りなさい姐さん!
輪助さんにとって幸せな結末だと信じたい。
武智様もお久しぶりでしみじみしたよ。
ありがとうありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/01(水) 19:41:51 ID:S9nSUS0O0<> >>130
投下乙です
屍鬼で死にネタ萌えに目覚めた <> タバコとか結論とか 1/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/04(土) 03:56:04 ID:pq2fy01W0<> 生。☆と元アフロネタ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

気まずい。とてつもなく。
視線合わさなくなった。気まずすぎる。
今までこんなこと、本当に一度の一度も無かった。ライブで大失敗した時も、酒で酷い目にあわせられた時も。
お前は俺を見る時、絶対に真っ直ぐ目を見ていたのに、なのに、今はさりげなく、でも確実に違う。
やっちまった感が、ものすごくある。
タバコの匂い。
それが最近、トラウマだ。あれを思い出してしまうから、あれを。お前のあの顔とかを。
でも、鼻をくすぐる。正直銘柄とかどうでもいいけど、とりあえず俺はそれが好きじゃない。
好きじゃないんだよ、タクヤ。
お前の好きなもので俺が嫌いなもの、そしてその逆も結構あって、ってそんなことも思い出すよ。
「…どーっすっか、ねっ」
後ろでお前が言ってる。大丈夫、聞こえてる。
ヘッドフォンの中ではお前が歌っている。でもまたそれが、何でだか今日は俺には、本当に気に入らない。
好きじゃない。
好きだけど。
好きじゃない、好きだけど、でも気に入らない。意味不明の何かがぐるぐる回る。
何だこりゃ。混乱してるなあ、俺も。
「……もうワンテイク、したいとこだな」
「あ、やっぱ気に入らない?」
「何だろ、しっくりこない」
いや、わかってるよ。お前今日、もう二十回くらい歌ってるよ。なのにしっくりこないなんて、結構あり得ねえ。
俺の音とお前の声が、噛みあわないとか。うわ、それ、確認すると結構なショック事実だ。
でもまたお前はふーん、とか。あんまり気にしてないのか気乗りしないのかな声で、いいけど、と返してくる。
ぴんぴんと、俺はモニタのボリュームをアレコレいじくっている。根本的な解決にならないのは承知の上で。
「あ!でもヤバいわ、今日は……飲みに行くんだよねー」
「へ?……あ、そうか」
「ドランクの皆とさ、勢ぞろいで約束してんのよ。久しぶりに」
「……そうか」 <> タバコとか結論とか 2/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/04(土) 03:56:49 ID:pq2fy01W0<> それは、初耳だ。
別に、聞いても仕方ないことだけど。俺、酒飲めないし。
それにそっちの人たちとは、何て言うか無理だよ、あんな酒飲み集団に混じれないよ。人間的には、音楽的には大好きだけどさ。
で、それは多分お前にも、言えることだ。
振りかえるとお前は体を反らせて、天井を見上げながら難しそうな顔をしていた。赤いシャツの襟に、柔らかい髪が埋もれてる。
じー、蛍光灯が鳴っている。
結構、音の根本の段階、テイクの段階を詰めていくのは今も昔もこうやって二人でやってることなんで、それは別にいい。
結構静かなスタジオのどこにも人気がないとか、そんなこと今さら気にしていない。
気にしているとすれば、お前が真っ直ぐ俺を見ないこと、くらいだ。
俺は無言で、ヘッドフォンを手渡す。お前は体をかがめて、こっちに首を伸ばしてくる。ほぼ真横。
横顔ならお互い楽だな。
「……お互い?」
「へ?」
「あ、何でも無い」
何で?俺も楽か?
自問自答する言い方に、こいつは肩のあたりに視線を上げて問いかけた。ほら、目を見ないだろ。
「……あー。何か俺も、アレだな」
「アレか?」
「ばらっバラ。ハウってんのかてーの」
ヘッドフォンを片耳に、そんでもう片手には煙草の煙で、目を閉じてハミングしているが。
俺は口髭を覆い隠すようにして、その匂いをやり過ごす。
「……合わないとか、ヤダね」
ぽつり、お前が呟いた。
「イヤだね」
だからって。その返しを俺は、ちょっと一瞬飲み込むことで耐えた。
「だって、飲みに行くんだろ?明日にしようよ」
「や、そりゃ行くけど、うん。行くけどさあ?」
「んじゃいいって。こういう日もあるって、ことで」
「でもシンタ君は残るよね。で、明日までここにいるだろ」
いやま、そういうことは確かに多々あるけど。俺に原因があるなら、取り除かないとさ、ほら。 <> タバコとか結論とか 3/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/04(土) 03:58:03 ID:pq2fy01W0<> 「シンタ君よ」
「はいよ」
「キスしようか」
思わず隣を見たら、真っ直ぐなタクヤの目と、久しぶりに目があった。
「色々考えてみたけどさ、イヤだって結論で」
「何が、よ……」
「シンタ君と何か合わないとか、どうしてもイヤだ」
「……。」
「聞いてんのかい」
「……聞こえては、いるけど」
好きだよ。もう何がどうでも。
嫌いなことがいっぱいあって、好きじゃない部分もちゃんとあって、でも好きでしかない。
そういうのを見透かされたみたいで、俺は多分、一見超不機嫌だった。多分。
あのさ、そういう顔するの止めろって。本気でそんな風に見えるから。
嘘だ。超ド級のSっ気持ちなのを俺は知ってる。こいつがそんな、しおらしいキャラなわけない。
「ドランクの皆も、好きだけどさ」
「うん……」
「一緒にやってんのは、シンタ君だけだ」
そんな顔するなよ。
「やってくのは」
マジで、そんな顔すんなよ。
好きだよ、なあ。何がどうでも、お前がいいよ。タクヤ。
「だからよ」
「……」
「合わないとか、そんな」
「タクヤ」
「んなのは」
もう、だから黙れ。黙ってくれ。 <> タバコとか結論とか 4/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/04(土) 03:58:58 ID:pq2fy01W0<> 余計なことを考えるのは俺の癖だ、と思ってたけど、多分それはお前の癖でもある。
言葉とか雰囲気とか、仕草とか、そういうので雄弁に圧して来る癖に、どうして最後は退くんだよ。
そんな顔すんなよ。させたくないんだよ。
ああ。タバコくせえ。
髪のイメージとおんなじで、唇は柔らかかった、けど。また、俺のトラウマになりそうな気がする。
「……。」
ちょっと見上げ気味に顔を離して、そして開口一番こいつは、髭の感触ってのは違和感、だと抜かした。
「…う、るさい!」
「ビビってんじゃないよー。舌くらい入れなよ」
「ちょっと、何それ!!」
そしてあははははと笑ったタクヤは、慌てて手に持つ煙草の灰に気付いたようだった。
うわ、アブねえ!ってそりゃ、俺がアブねえわ!こっちに火ついたらどうしてくれる。
「だってそれ、今のは、お前が、あんまり!!」
「俺が?」
「あんまり、……っ」
あんな顔するからじゃねーの、と言ったら、またタクヤは大笑いした。どんな顔だよ、だと?
髪を自分でくちゃくちゃにしながらもう、今度は子供みたいだ、悪ガキのノリ。痛い、ヘッドフォン押し付けてくんな。
「……俺が好きだって顔」
「えー?聞こえねえー?」
「もういい!!」
「……んじゃ、俺行って来るわ」
タクヤは酔ってない。まだ。酔ったらキス魔になるタイプだけど、今はまだ、これから行くってところだ。
「で、帰って来るから」
正直、それはしてほしくない。酔っぱらったお前が帰って来ても、何ぁんもプラスにはならないって。
タクヤはまたにんまり笑いながら、でも二度三度、そう繰り返した。それを俺は別の意味に思う。
「……わかった」
そう、だからそう最後は片手を上げて、わかったから行って来いってひらひらさせた。 <> タバコとか結論とか 5/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/04(土) 04:00:07 ID:pq2fy01W0<> ああ。マジ要らねえのに。
バタンとドアの閉まる音がして、俺はさっきのあいつみたいに天井を見上げて、難しい顔をした。
眉間に皺だ、おそらく。
いや普通に嫌だろう。自分が参加してもいない飲み会の後始末、ものっそい性質の悪い酔っ払いの面倒をみるのなんて。
ていうかあいつ第一に、一人で帰ってこれんのか?その点から既に疑問なんだけど。
そんな普通のことを考えながら、俺の手はでも別に無意識に、乱れたんじゃないかって口髭を弄ってた。
違和感か。
それから自分の口にも、指が当たる。
今、一つの結論が出ている。俺の方の結論だ。
「……。」
それに俺は向かい合っている。
要するに何があっても、みたいな。同じ着地点でないと、どうしても嫌なんだ、俺らは。
どうしても、何が何でも。絶対に絶対にだ、一緒に歩くってことだ。
その為ならたぶん、何を犠牲にでもできる。
「…って。コト?」
アブねえ。火がついた。
どうしてくれる。タクヤ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お互い責任転嫁してればいいよ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/04(土) 09:08:06 ID:2wgl0EJMO<> >>151
投下乙です!
姐さんのSSにはいつも最後の1文で射ぬかれます。
さて☆は帰れるのかw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/04(土) 19:47:45 ID:djuw0WycO<> >>151
乙!また☆の反応が可愛すぐるw <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(1/4)<>sage<>2010/12/05(日) 12:23:57 ID:bfg6oYooO<> ※注意書き※
1.攻が喘ぎます。
2.「赤ちゃん出来ちゃう」とか攻が言ってますが、受は当然男です。
女体化でもありません。
3.色々と残念なのは仕様です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!

「あぁ……ッ…ヒ…、んッ」
ヤバいヤバいヤバい。
心臓がどうにかなりそうだ。
ベッドの上。
そこに居るのは長年憧れ続けた、人形みたいに綺麗な課長。
夏でも見せる素肌は顔とシャツの襟までと、手首から先の指くらい。
いつも良い匂いがして、ビシッと伸びた背筋が憧れだった。
それが今ではどうだろう。
手首に絡まるYシャツ、ダラリと弛められたネクタイ。
アンダーシャツを捲って丸見えになる乳首。
ぷっくりと膨れたそこを、自分で摘んで持ち上げる度にキュンと締め付けてくる尻穴。
下半身には足首付近で引っかかり、妙に存在感をアピールする白ブリーフだけ。
いつもの紺のスラックスはベッドか床のどこか。
電気を消した部屋で、真っ白な肌が目に痛い。
視界も下半身にも強烈過ぎる刺激。
自分のペースで快楽を貪る、木津さんは凶悪だ。
搾られたチンポは三発目なのに限界が近い。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(2/4)<>sage<>2010/12/05(日) 12:25:08 ID:bfg6oYooO<> 「あ…、あっ…ッ!ヤ、…も……、許して」
チラと冷たく見据えられる、視線とは全く違って熱に濡れた眼差し。
ギシリと大きくスプリングの弾む音がする程に押し付けられる腰。
ローションでもったりと濡れた陰毛が肌を擽る。
その刺激ですら我慢の限界で。
もう無理だと木津さんの腕に縋る。
「っ…、かちょ……や、や、あぁッ!チンポッ、そんなっ…、奥、おかしい」
自慢じゃないが、オレのチンポは今まで負けたと思った相手は3人だけだ。
嘘です。
自慢です。
そのチンポを易々と咥え、あまつさえもっとと奥までねだる仕草で骨盤同士をグリグリと押さえられ、完全に引けている腰は逃げたくても逃げ場無し。
所謂これは強姦だろうか。
「ん…、…また、硬くなった。ここ…イイ?」
グリグリと前後左右へ捻りながら腰を回して、そこへ小さな上下運動が加わる。
更には今まで聞いた事のない、木津課長の掠れた甘い声。
その声だけでまたイキかけて、口元を手の甲で押さえながら、何度も何度も頭を振る。
「あっああっ、無理、やっ…、出ちゃう、出ちゃうッ」
完全に自分のペースでピストンを繰り出してくる、木津さんは悪魔だ。
とことん根本まで咥えては、まだ足りないと尻で押さえ込まれたり、緩急をつけた締め方でジワジワと抜ける寸前まで引き抜いては、一度に最後まて咥えられてチンポ全体をそのままバキュームフェラみたいに尻の中でしゃぶられて。
妄想の中ではもっと清楚で、恥じらいながら拒絶されたのに、現実ときたら野獣だ。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(3/4)<>sage<>2010/12/05(日) 12:32:57 ID:bfg6oYooO<> 翻弄されすぎて、指だけで一発、フェラで精液を舐める表情に見とれて一発、木津さんがキレて押し倒されて騎乗位。
木津さんは、まだイッていない。
散々泣かされ、喘がされて、搾られて、既に半泣きのオレと余裕の木津課長。
この無茶な現実に、半ば止めて欲しくて、木津さんの膝裏へと手をかける。
ビクリと一瞬だけ止まる課長のピストン。
今だと思い口を開く。
真っ直ぐ目を見て、言葉を失う。
頭の中が白くなり過ぎて何も出てこない。
目を落とした先には、勃起して揺れる木津課長のチンポ。ローションで濡れた陰毛と赤い尻穴。その尻穴の中には自分のチンポ。尻穴がヒクつく度にチンポと直結してザワつく背中。
木津さんのケツの中にオレのチンポが入っている。
気持ちが理解した瞬間、ブワリと全身に鳥肌が立つ。
有り得ない有り得ない有り得ない有り得ない。
あの綺麗で優秀で、セックスなんかと違う世界に住んでいそうな木津課長。
その木津課長の尻が、オレのチンポを美味そうに咥えている。
妄想でも精々が抜き合いだったのが、妄想を超える異常事態が今まさしく発生している。
慌てて手を離して、肘を掻いて後ろへと逃げるが、散々逃げた後でゴツンとベッドベッドで頭を打つ。本日四度目。
課長は気にした風もなく、再び冷静にピストン再会。
「はっ、……い…ッ、…ダメです、ダメです課長ッ。
ナマ…っンン…、ヤ…、出ちゃう、出ちゃう…コンド…ム、や、ヤッ…、おく、ああっ、そんな、そんな突いちゃ…ダメッ!
ああっ、やぁっ…ナカは!ナカはダメっ!ちょ、抜いッ!抜いて下さい!
課長、ヒァっ…、激しい、壊れるッ!…キツい!イッ…赤ちゃん出来ちゃう!抜いて!ああっ!出ちゃう!!」

☆☆☆☆☆

世界で一番惨めだ。
よりによって赤ちゃん出来ちゃうとか何だ。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(4/5)<>sage<>2010/12/05(日) 12:44:39 ID:bfg6oYooO<> 木津課長は満足すれば、さっさと風呂へゆき、茫然自失となったオレは、ベッドから一歩も動けない。
燃え尽きた。
絞り取られた。
セックスってこんなにも精神的に消耗するものだったのか?
数少ない経験を振り返るが、こんな経験はかつてない。
風呂から戻ってきた先輩を、ベッドから降りて土下座で待つ。
「…何をしているんだ?」
頭上から聞こえる冷静な声。口の中がカラカラになる。
「昨夜は…、酔った勢いとはいえ、…あの………、…スミマセンでした」
返事がない。
全くの無音。
自分の心臓の音だけがバクバク鳴り響く。
「酔ってたら誰とでも?」
真横に座られる木津課長の気配。
慌てて顔を上げて首を振る。
面白そうに目を細めて観察される。
正座をしたまま、今しかない最後のチャンスに声を出す。
「あ…、き、木津課長が好きゃれす」
噛んだ。
死にたい。
そんなオレの肩を、ポンとかるく一つ叩いて課長はどこかへ。
あの、どちらへ?
うろうろとついて歩けば、木津課長はソファの上に。
一人掛けソファなので、横には座れず、再びその前で正座をする。
覚悟を決めて、再び告白する。
さっきと同じくらい喉が乾く。
今度こそ、とちらない様に深呼吸を3回。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(5/5)<>sage<>2010/12/05(日) 12:47:24 ID:bfg6oYooO<> 「木津課長、好きなんです」
「うん。さっき聞いたよ。他に何か?」
仕事の時と同じで、簡潔な言葉。
いや、何かと言われても。
「好きなんです」
「うん。知ってる」
「好きなんです」
「さっきから聞いてる」
もう泣きそうだ。
「…好きなんです」
「そこから何が聞きたいのか。20点」
言われてやっとこさ、意味がわかる。
突き放すようでいて、ちゃんと答えをくれる。
ああ、もう本当に好きなんです。
でも答えを聞くのが怖いんです。
「…好きなんです」
「頑張れ」
頭をクシャクシャに掻き回される。
レベルが違いすぎる。
「好きです」
「そうか」
わざとはぐらかされる答えに、深く頭を下げる。
「頑張ります」
返事はない。
しかし蹴り出されないだけマシだろう。
頑張ろう。
とりあえず明日、出勤した時に目を逸らさない事から初めてみよう。
あと木津課長でのオナニーも、根本から見直さないといけない。
頑張ろう。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンガオオクリシマシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/05(日) 13:01:53 ID:bfg6oYooO<> 場所をお借りしましたノシノシ
楽しかったです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/05(日) 14:06:49 ID:ouNWM1/50<> >>163

攻めかわいい…超かわいい
しかしそれでも課長でオナるんだwww <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/05(日) 19:03:37 ID:F8H8AGSH0<> お話中失礼します。

昨日辺りから、まとめサイトが荒らしに遭っています。
特定の作品だけかとは思われますが、念の為、
大切なページが悪戯されていないか、確認して下さい。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/06(月) 00:37:38 ID:i7zJK9PGO<> >>158
乙です&GJです!
女王様受な課長さんが素敵すぎですツボりましたハァハァ!
年下ワンコな攻くんもめっちゃ可愛いかったです。
ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/06(月) 12:24:05 ID:mHpCMEMpO<> >>130
投下乙です。萌え転がりました。 <> ないものねだりの罪 後編 1/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:33:21 ID:KI15lZ2V0<> 難局シェフ。半生注意です。
ドクタ.ー×仁志村でぬるいエロがあります。
>>114の続きで、帰国後の話です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

仁志村は数分前から檜製の引戸の前で立ち尽くしていた。戸の横にはドクタ.ーに指示された通りの和風名が、凝った意匠の木彫で掲げられている。
久々にふわふわするまで酒を飲んでいた。と言うより飲まされた。それなのに、胸の奥に燻る後ろめたさを、未だに払拭できないままでいる。
取っ手に手を掛けるか否か逡巡したところで唐突に戸が開き、仁志村は驚いて声を上げた。
「わっ」
「仁志村君、そろそろ中入ったら?」
笑いを堪えているようなドクタ.ーの顔が覗く。
どうやら足元の格子から仁志村の姿が見えていたらしい。既に火照っていた顔が恥ずかしさでさらに熱くなった。
上がり框の衝立の向こうに、淡い明かりが灯った室内が広がっていた。小さめの内風呂は、屋外へ張り出す形で露天風呂に繋がっている。
内風呂と露天風呂を隔てる天井までの細い縦格子の間からは、白い月が見えていた。
床を含む全てが檜で設えられているようで、清々しい木の香りが満ち満ちている。
「うわあ、いいねぇ」
「期待以上だったよね」
内風呂の手前には洗い場と、檜製の頑丈そうなレストベッドまである。
室内に見とれていた仁志村を背後からドクタ.ーが包み込んだ。
耳の裏側にドクタ.ーの唇が押し当てられ、仁志村の心臓が跳ねた。濡れた音を立てて首筋を下りていく感触に鼓動が早くなる。
無意識に止めていた息を吸おうとしたが上手くいかず、息苦しさに眩暈がした。
腰の両側から前に回ったドクタ.ーの手が、浴衣の帯を解く。
緩んだ合わせから滑り込む手のひらに、露になった鎖骨を辿る濡れた舌に、身体が硬くなってしまう。
俯いている仁志村を肩越しに覗き込んだドクタ.ーが、困った顔で笑った。
「仁志村君、嫌だった?嫌ならやめるよ。むりやり、とか柄じゃないしさ」
声の感触は軽い。仁志村は慌てて首を横に振った。
「嫌じゃないよ。…久しぶりすぎて、緊張してるのかも」
仁志村は笑って見せたものの、顔が強張っているのが自分でも分かった。 <> ないものねだりの罪 後編 2/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:34:13 ID:KI15lZ2V0<> いろいろと恥ずかしい準備もして、自ら望んでこの場所に来た。
新やんの言うとおり、自分はずるいのだと思う。それを承知で今日だけは罪悪感に目を瞑ってしまうつもりでいたのに、酷く戸惑う。
何かの均衡が崩れてしまうような胸騒ぎに気持ちが揺らぐ。
仁志村の反応を待っていたドクタ.ーがふっと息を吐き、小さく笑った。
「折角だから、風呂入ろうか」
「あ、うん」
ドクタ.ーは浴衣を脱ぐと、缶ビール2本を手に内風呂へ入った。
「仁志村君、こっちこっち」
露天風呂まで移動したドクタ.ーが顔だけ振り向けて手招きする。そっと深呼吸してから仁志村も湯に足を入れた。思ったより温度が高い。
半屋外になっている露天風呂へ出ると強い潮の香りがした。眼下の黒い海に映る月が、光の欠片となって波間に散乱しているのが見える。
「いい眺めだね」
「ね。夏の温泉も悪くないよなぁ…はい、高級ビール」
ドクタ.ーから渡されたビールを一口飲む。すでにアルコールの許容量をオーバーしているため味の違いはよく解らなかったが、喉を通る冷たさが心地よかった。
昼間より幾分涼しくなった潮風が髪を梳いて行く。一際大きくなった波の音に目を伏せて息を吸い込むと、動転していた気分が少し落ち着いてくる。
「なんて言って出てきたの?」
「風呂行ってくるって」
「そう」
嘘は言っていない。抜け出してきた宴会場兼客室にいた全員が出来上がっており、殆ど無反応だったので、また大浴場にでも行っていると思っているはずだ。
「温泉といえば仁志村君さ、初めて藤基地に着いた時の風呂、覚えてる?」
「忘れられないから、あれ」
仁志村達が初めてドーム藤基地に到着した時、フィルター切れの為にしばらく浴槽の水が入れ替えられていなかった。
前次隊員が恭しく風呂場のドアを開けた瞬間流れ出した匂いは、強烈の一言だった。
ドクタ.ーが首をかしげて苦笑する。
「ひどかったよなぁ、湯の花も入ってないのに、あの硫黄臭はどういうことかって言う。濁ってるしさ」
「ほんと、ありえなかったよねぇ」
「なのにさ、何週間も風呂入ってなかったから、嬉しくて入っちゃってね」
「そうそう、そうだった」
髭も、髪もぼうぼうの前次隊員を見て、自分達もこうなるのかと思った日からもう2年以上が経った。
「随分前の話だよなぁ」 <> ないものねだりの罪 後編 3/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:35:20 ID:KI15lZ2V0<> 「…」
仁志村は無言で頷いて、唇だけで笑みを作った。
ドクタ.ーの手が頬に触れる。仁志村は目を伏せ、その手のひらに口づけた。
顎を捉えた指に顔を仰向けられ、薄く開いた唇にドクタ.ーの唇が重なる。
滑らかに口腔を侵す舌は懐かしい味がした。触れていただけの舌を絡めれば、すぐに背筋に甘い痺れが生まれる。
そういえばドクタ.ーのキスは長かったっけ。そう思った瞬間、鼻の奥がつんとした。
ドクタ.ーの唇が、首に触れる吐息が、背中を滑る手の感触が、仁志村にあの場所を思い出させた。
揺らめく緑のオーロラが、極夜の天空にくっきりと浮かび上がる天の川を被う。
抜けるような青空から舞い落ちる、見た事のない量の煌くダイヤモンドダスト。
息も白くならないほど澄んだ空気。そして雪原の小さな基地で過ごしたもう戻らない日々。
今頃になってこんなにも強く焦がれてしまうなんて。
胸にこみ上げる衝動を抑えられず、仁志村の目から涙が溢れ出した。
「…っ…」
驚いて手を止めたドクタ.ーの肩に、仁志村が顔を擦りつける。押し殺そうとしても嗚咽を止めることが出来ない。
ドクタ.ーの手が震える仁志村の項をそっと包んだ。
「…ごめんね、仁志村君。これ、やっぱりルール違反だったよね」
仁志村はしがみつくようにドクタ.ーの首へ腕を回した。
「…やめないで」
一瞬の間を置いて、ドクタ.ーが仁志村を強く抱き締めた。押し出された呼気が仁志村の喉を小さく鳴らす。
「嫌じゃないなら、興奮したから続けちゃう」
仁志村は泣きながら笑った。
「ここで?」
「難局生活経験者として水は大切にしないとね」
ドクタ.ーは冗談めかしてそう言うと、仁志村の腕を引いて湯の中を内風呂へと移動する。そのまま湯から上がり、レストベッドへ仁志村を導いて座らせた。
「仁志村君の泣いた顔見るの、2回目だね」
「そうだっけ」
「うん、べったべたのから揚げの時が最初」
「ああ…」
ドーム藤基地で、仁志村が仕事を放棄した最初で最後の夜。
腹を空かせた7人が作った胸が焼けそうな油染みたから揚げ。
仁志村に欠けていた重要なピースがぴたりと埋まって、心を揺さ振られるほど恋しいものを思い出した。 <> ないものねだりの罪 後編 4/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:37:05 ID:KI15lZ2V0<> 「でもあれ、きゅんとしちゃったんだよね、実は」
「…」
「だって号泣しながらから揚げ頬張るって、反則でしょ」
ドクタ.ーが仁志村を後ろから抱え込むように座る。
止まらない仁志村の涙を拭ったドクタ.ーの指が唇をなぞり、口腔へと差し入れられる。舌の上をゆっくりと出入りする指に、仁志村は目を閉じて舌を絡ませた。
「…ん…っ」
もう片方のドクタ.ーの手が仁志村の前を嬲る。レストベッドの上に敷かれたタオルを握り締めて仁志村はその刺激に耐える。
口の中の指が増え、開いたままの唇の端から顎を伝って唾液が滴り落ちた。
「…っ」
存分に口腔を弄んだ指が引き抜かれると、息を継ぐ間もなく、すぐに顔を横向けられ唇で塞がれる。
唾液で濡れた指が、開かされた脚の間から仁志村の後を撫でる。
そのまま入り口を解すように揉まれ、時折内部に挿入される感覚に仁志村は身を震わせる。
漏れる声は、ドクタ.ーの唇に吸い取られてくぐもった音にしかならなかった。
与えられる刺激が強すぎてつらい。先程から追い上げられている前は既に限界が近い。
きつい角度で首を曲げ、激しい口付けに必死に応えていた仁志村が、ずれた唇の隙間から喘ぐように声を上げる。
「も、う…」
「我慢できない?」
「…は、…っ」
扱き上げる動きが更に激しくなって頷くことしかできなかった。
「出していいよ」
耳に息を吹き込むようにして低くドクタ.ーが囁く。
「あっ…あ」
射精の快楽に仰け反った首筋を甘噛みされて、仁志村は小さく呻いた。余韻に朦朧としている仁志村を、体勢を入れ替えたドクタ.ーが組み敷く。
ローションの滑りを得た後を弄る指が増え、甘い痺れが鈍い痛みを伴って仁志村を苛んだ。
「い、た…」
「初めてさんみたいで、ドキドキしちゃうなぁ」
「…初めてさんって…っ」
にやにやしたドクタ.ーに仁志村もつられて笑った直後、最も敏感な場所を抉られて息を詰めた。
「あ…ぁ…っ」
出入りする指が立てる水音に、先程よりも強い快感と羞恥心が湧き上がる。
そのどちらにも耐えられず、仁志村は腕で顔を覆った。 <> ないものねだりの罪 後編 5/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:43:30 ID:KI15lZ2V0<> 「顔は隠さないで欲しいなあ」
如何にも残念そうな声が降ってくる。きっとまた、問答無用で剥ぎ取られてしまうのだろう。仁志村は眉を寄せ、目を伏せたまま大人しく腕を退けた。
「…仁志村君、僕の一生のお願い聞いて欲しいんだけど」
“僕”だなんて畏まった言い方で、随分大袈裟な事を言う。仁志村が濡れた目を開くと、胸が痛くなる程優しい眼差しがあった。
「今日は僕の事、見ていてくれる?」
ドクタ.ーはやっぱりサディストだと改めて思う。“一生のお願い”なんて切り札を使って、一番苦手な事をさせようとする。本当になんて人だ。
答える代わりに仁志村は瞬いてドクタ.ーを見つめ返した。溢れた涙がこめかみを滑り落ちる。ドクタ.ーは、微かに笑みを形作った仁志村の唇の端に柔らかく口付けた。
「最後まで、目を閉じないで見ていて」
充分に解された入り口に硬い先端が押し当てられ、仁志村の身体がびくりと反応する。
「力抜ける?」
今日は涙腺どころか力の抜き方まで思うようにいかない。
「…ごめん、あの」
「大丈夫。ゆっくり深呼吸してみて」
嗚咽の余韻でまだ震えている呼吸を、意識して繰り返す。呼気に合わせてドクタ.ーがゆっくりと身体を進めた。
「う…あ、あ…っ」
身体の中心が軋みながら開かれて行く感覚に目が眩む。
反射で逃れる為にずり上がろうとする仁志村をドクタ.ーが引き戻し、深く貫いた。
「は、・・・ぁ・・・」
「仁志村君、ほら、息止めない」
言われるまま細く息を吐き出すと、ひどい異物感に強張っていた内側が、記憶を取り戻すようにドクタ.ーに馴染んで行くのを感じた。
自身を収めたまま動かないドクタ.ーへ強請るように、身体の奥が勝手に収縮して思わず高く掠れた声が漏れてしまう。
「あ…」
仁志村の変化を感じ取ったドクタ.ーが徐に動き始めた。快楽に溶けた身体は全く力が入らず、揺さ振られるままになる。どくどくと血液が流れる音が鼓膜に響く。
動悸が激し過ぎて心臓が壊れそうだ。霞む視界の中でこちらを覗き込むドクタ.ーが揺れる。
「あ、あ、あ…っ、あぁ…」
突き上げられる度に零れる声が抑えられない。焦げてしまいそうな羞恥心が快楽に直結して、どうしようもないほど仁志村を昂らせる。
目を開けているはずなのに、じわじわと何も見えなくなって行く。意識が途切れてしまう。 <> ないものねだりの罪 後編 6/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:44:43 ID:KI15lZ2V0<> 「ドク、タ…」
乱れた呼吸の合間に呼ぶ。酷くひずんだ自分の声。ドクタ.ーの荒い息遣い。
溺れるように伸ばした震える仁志村の手を、暖かい手が強く握り返した。

◇◇◇

仁志村は内風呂側の格子に寄りかかってぼんやりとしていた。
泣いたり、痛かったり、気持ちよかったり大忙しでぐったりしてしまった。湯の温かさもあって、このまま眠ってしまいそうだ。
随分と恥ずかしい事を言ったり、してしまったけれど、もうどうでもよくなっていた。
ドクタ.ーは露天風呂で、仁志村が残した温いビールを飲みながらタバコを吸っている。
「仁志村くん、僕ね、また難局隊志願してみようと思って」
格子の向こう側からドクタ.ーが言った。
「…それ本気?」
「僕らみたいな設営部隊は経験者の方がいいに決まってるじゃない。仁志村君もどう?」
「え?」
「下の子がもう少し大きくなったらさ」
ドクタ.ーは仁志村の返答を待たずに続けた。

 庄和基地はさ、トイレ水洗なんだよね。24時間の大浴場ってあのユニットバスから想像できる?
 それに、間違いなくペンギンいるよ。アザラシも。
 仁志村君今度こそ、ペンギンで竜田揚げつくるんでしょ。え、作んない?
 夏季は土もみえるしさ。植物生えるんだよ。野球やってもバット曲がらないからいいよね。
 藤基地で越冬できたら楽勝だって。医療も二人体制だし、調理も二人だしね。
 最近は女性隊員も増えてるらしいし。そんなのどきどきしちゃうよねぇ、ね、仁志村君。
 バレンタインに凡のキモチワルイ女装とか見ないで済むんだよ、本物いるんだもん。
 ま、強要したらセクハラになっちゃうから大人しくしとくけど。
 仁志村君のチョコレートケーキは美味かったのに、凡がなぁ。あれは悪夢だったよね。

珍しく饒舌なドクタ.ー。

仁志村は大所帯の賑やかな昭和基地を幻視する。
夢みたいな話だと思った。 <> ないものねだりの罪 後編 7/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:45:43 ID:KI15lZ2V0<> どんどん、と戸が叩かれる音がして、仁志村とドクタ.ーは格子越しに顔を見合わせた。
「火事、とか?」
「まさか」
さっきより大きく叩く音がした。
ドクタ.ーがタバコをビールの空き缶へ落す。
急いで湯から上がった仁志村が浴衣を身に着け、引き戸を薄く開けると、泣きそうな新やんの顔が隙間から覗いた。
「すいませーん…」
新やんが後方から突き飛ばされてドアが大きく開いた。隊.長を筆頭に、酔っ払った6人全てがなだれ込んでくる。
仁志村は唖然としながら後ずさった。
「やっぱり仁志村君もここかぁ。ちょっとずるいよぉ、二人だけでさ」
「大浴場以外にもいい貸切風呂があるっていうから、借りに行ったらドクタ.ーが借りてるんだもん」
「水臭いわねぇ」
「いやらしいわぁ」
ドクタ.ーが露天風呂から引きつった顔で笑った。
「…いらっしゃい」
「わ!いいじゃない、いいじゃない」
「風情があるねえ」
次々と浴衣を脱ぎ捨て、内風呂へ入っていく。まるで海に飛び込んでいくペンギンに見え、仁志村は堪え切れずに笑い出した。
凡が不思議そうに仁志村を見上げる。
「なになに、仁志村さん、なに笑ってんの」
「ペンギン!ペンギンみたいなんだもん!」
「誰がペンギンだぁ?!」
「ハイハイ、仁志村君に絡まないの。モトさんはもう、しょうがないなぁ」
隊.長がモトさんの肩を抱く。新やんはずれた眼鏡の上から、仁志村とドクタ.ーを交互に伺っている。
「何突っ立ってんだ、新やん。さっさと入れ」
完全に目が据わったモトさんが湯船の中から新やんを睨む。
「失礼しまーす…」
慌てて風呂に飛び込んだ新やんの眼鏡はあっという間に白く曇った。
それがおかしくて、また仁志村は笑った。
「いい加減笑うのやめて仁志村君もほら、ここ!ここ空いてるよ!」
隊員でぎゅうぎゅうになった内風呂のわずかな隙間を指して、隊.長が手招きする。 <> ないものねだりの罪 後編 8/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:46:48 ID:KI15lZ2V0<> 「やだよ!満員じゃないそれ」
「つべこべ言わず入ればいいんだよ、仁志村君」
「みんなで入ればいいんだよね」
モトさんに新やんが控えめに同意する。
「仁志村さん、風呂浸かりすぎじゃないの?のぼせてるでしょ、顔浮腫んでるよ」
比良さんの鋭さに仁志村はひやりとした。
部屋も、身体もきっちり後始末は済ませていたので問題はないはずだった。ただ泣き過ぎて腫れた目蓋はどうしようもなかった。
「…違うよ、皆が飲ませたからだよ」
小さな仁志村の声は誰も聞いていなかった。
「みなさーん、露天に移動するよー。このままじゃ仁志村君入れないからね」
隊.長の声に、飄々としていたドクタ.ーが慌てた。
「待って、こっち狭いから。いま出るから」
「ドクタ.ー何言ってんのよ。遠慮しないで」
「いや、だからさ、順番に呼ぼうと思ってたんだよ。一度だとほら、こうなるでしょうよ」
「いいじゃないの。悪くないよぉ、皆でいっしょもさ」
「ああっ、ちょっとっ、べったりしてるから!くっついてるって!凡!」
「明日、ビーチバレーリベンジ大会を開催します」
露天風呂へ侵攻したモトさんが突然手を上げて言い放った。
「ホンマですか?」
「負けたままで帰れるか!なぁ新やん」
「そ、そうっすよね」
「モトさんは負けず嫌いだなぁ」
「…大体、隊.長のせいでしょうが。闘志を著しく損なうジジくさいランニングは没収します」
「えぇ、あれがないと闘えないんだよ!」
「で、仁志村君は休憩なしで参加しないと罰金な」
「えっ」
「その罰金、次の難局観測の準備金にすればいいんじゃない」
「いいねえ、国からの補助も最近しょっぱくなってきたからなぁ」
次々と、隊員たちが仁志村の罰金の受け取りを申し出ていく。
そんなに払ったら破算するな、と仁志村は呑気に考えていた。
比良さんが打ち上げていた、ゴム製気球用使い捨て観測機材は確か200万円だったし。 <> ないものねだりの罪 後編 9/9 
◆BUsl4O8zWY <>sage<>2010/12/06(月) 21:48:07 ID:KI15lZ2V0<>
仁志村は、皆が当たり前のようにまた難局へ行こうとしている事にすっかり気が抜けてしまった。
終わった夢、だなんて思っていたのは仁志村だけなのかもしれない。
庄和基地にいる8人をイメージしてみる。今度は何故か実現しそうな気がした。
また別の、新しい日々。それもいいな、と思う。
どこにいても、どこかが恋しい。
贅沢過ぎていつか罰があたるかもしれない。
それでも。いつか、きっと。そんな場所がまた増える。
その予感に仁志村はわくわくした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

また皆で難局行けばいいのにね。
コメ頂きありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/07(火) 09:48:40 ID:ppS+z/NZO<> >>168
待ってました!萌えました。
姐さんの書く仁志村がツボすぎます。 <> 風と木の名無しさん<><>2010/12/07(火) 12:31:14 ID:GxFmgH7vO<> >>168
セリフ以外の部分の文章の書き方がおかしい。
自分でわからないのかな? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/07(火) 12:51:31 ID:n5dOBHSFO<> >>168
GJ!切なく、最後はほのぼのしました。
また皆で難局行って、家族みたいな掛け合いするのが見たいです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/07(火) 16:57:14 ID:dPSNVGJRO<> >>178
赤ペン先生!地の文のどのあたりがおかしいのでしょうか?
もしかして先生は漢字の読みが不得手なのですか? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/07(火) 17:40:36 ID:P5bCmKTa0<> 気になって読み直してみたら、
「。」が異様に多い事に気づいた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/07(火) 19:03:34 ID:EBHX8NtT0<> >>178
難癖つけるなら読むな、

こっちは作品読み終わって、余韻味わってんの。
良い気分なんだよね・・・そういうこと言われると気分悪い <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/07(火) 19:13:34 ID:aep0KKFZ0<> ageてるし久しぶりに来た荒らしだろ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 08:13:28 ID:OQn3xzfEO<> 人気があるもんだから僻んでんだよ
書けないくせに難癖つける妬み婆ってやーね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 08:57:46 ID:f/v88dmJO<> 僻むほどの人気と出来か?
単に気に入らないだけだろ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 10:27:04 ID:nIV22kMFO<> 句読点が多いんじゃない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 12:18:40 ID:bQaUTxBrO<> とりあえず、人気も読む価値もない駄作だということはわかった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 13:45:11 ID:OQn3xzfEO<> >>187
失せろ
不満があったり読みたくなければ読まなきゃいい
ここはそういう場所だ
金払って買った本じゃあるまいしケチつけるって何なの

自分は好きだからまたいつか書いてほしいよ
荒らしの言うことなんて気にすんな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 14:24:34 ID:bZETp4VV0<> 荒らしの相手長々とするな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 18:03:28 ID:I96zPJBh0<> もしもしうるさい!(小声) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 20:39:54 ID:1AKBAAF6O<> 次投下したい姐さんいたらかまわず投下していただきたいなー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/08(水) 22:38:43 ID:cWjh60DW0<> 絡みスレへどうぞ。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(1/5)<>sage<>2010/12/09(木) 01:32:25 ID:hfemS0MwO<> みんなネタになーれ☆

オリジナル
ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様
>>158の続きです。

※注意書き※
1.攻がひたすら喘ぎます。
2.攻が相変わらず変態をこじらせています。
3.女王様がだいぶS寄り。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!


「あ、あっ…あぁ、木津課長ッ、スゴい。そんな…ッ…あヒィッ、ダメッ!イイっ…、チンチン、チンチ…ッ、木津かちょ」
「煩い」
あとちょっとでイキかけの、寸での所でベッドから蹴りが入る。
明らかに不機嫌そうな、眉間に皺。
縦にがっつりハッキリと盛り上がる。
「オナニーくらい、静かにしてくれないか」
冷ややかな眼差しに、それだけて背筋がゾクゾクと震え上がる。
ああ、今、木津さんの視線を独り占め。
いや、違う。
怒られてる今くらい、神妙な顔をしないと、外に放り出される。
ベッドの下でささっと正座をして、背筋を伸ばす。
真剣に神妙な顔。
「…鴫野、下半身くらいしまいなさい」
言われてやっと下半身を露出させ、あまつさえチンチンを握りっぱなしだった事に思い至る。
「あ、いや、これは、木津課長が良い匂いがして、ついうっかり」 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(2/5)<>sage<>2010/12/09(木) 01:34:19 ID:hfemS0MwO<> 「鴫野くん、君はうっかりで人の家で、オナニーに励むのかい?」
あ、『くん』がついた。
怒ってる。
神妙なフリが足りないのか、本気で地雷を踏んだのか。
ドキドキしながら恐る恐る木津課長の顔を見る。眉間には相変わらず皺。
「…あ…、木津…課長」
ベッドと床。
立ち位置からして明らかに日常と同じ格差。
寝室に居るため、職場とは違って、Tシャツにハーフパンツという軽装の課長。
しかし細められた切れ長の二重は、常と同じで冷ややかに細められていて。
ゴクリと唾を飲み込む。
渇いた喉に、痛みを伴いながら落ちて行く唾液が、自分の身体の癖に妙に他人地味た遠い感覚で。
「鴫野くん、君は変態なのか」
木津課長の足が、こちらに向かって下ろされる。
その足で、勃起した己のチンポが、木津課長の土踏まずで腹へと押し付けられる。
「ひぃアッ…」
情けない声が上がる。
慌てて口元を押さえ、木津課長から目を逸らす。
「鴫野、さっきから、何をしていたんだい?」
穏やかな、子供にでも優しく語りかける時みたいな優しい声。
それでもチンポを踏む足は止めない。
足の裏全体でチンポを押さえながら、チンポの括れから裏筋を中心に、強弱をつけて絶妙に踏まれる。
目を反らしていながらも伝わる、蔑む眼差しもイイです先輩。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(3/5)<>sage<>2010/12/09(木) 01:37:22 ID:hfemS0MwO<> 「…はっ、…木津…、課長のッ、毛布……嗅い…で、チンチン…扱いてまヒィッ!!」
木津課長の足が、チンポを握る。
いや、足の指で締められただけだが、なんでそんなに器用なんですか。
「かちょ…、ッア、…や、チンポ…っ…、ああっ、グリグリ、グリグリしてる!
木津課長ッ、イッ、課長ッ、そんな」
リズムをつけながら踏まれるチンポ。
前屈になりながら、木津課長の膝にすがる。
止めて欲しいのか、もっと欲しいのかグチャグチャな気持ちが交差する。
木津課長の足は止まらない。
率直に言えば、オレの腰も止まらない。
夢中で木津課長のベッドに手をつき、その内腿へとむしゃぶりつく。
踏まれる度に太く細く形を変える筋肉が、皮膚の内側から応えてくれている様でたまらない。
チンポを踏みつける木津課長の足の甲を握り、もっとと自分のチンポを押し付ける。
踏まれて形を変える勃起したチンポは痛むが、それ以上に興奮する。
「ああ、先輩ッ!
ひっ、あヒッ、チンポ、出ちゃう!
先輩の足でッ、ひンッ…あッあ…ッ!やッ!
せんぱひッ、ティシュ、ああ、出ちゃう!出ちゃうッ!チンチン、出ちゃう!」 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(4/5)<>sage<>2010/12/09(木) 01:40:24 ID:hfemS0MwO<> パンパンに張った睾丸がキュンと持ち上がって、マズいと思う前に既に射精が終わっていた。
ベットリと先輩の足の裏を汚す精液。
少し遅れてプンと鼻を擽る、青っぽくて生々しい体液の臭い。
上がっていた息が落ち着くにつれて、冷静になる頭。
ついさっきまでとは違う意味でドキドキしてくる心臓。
その心臓付近に押し付けられる足。
薄い生地越しに伝わる体温に、また内側から熱が上がる。
「鴫野、汚れた。」
ざりざりと音を立てながら、タンクトップで足を拭かれる。
湿った感触に、泣きそうになって鼻をすする。
また失敗した。
俯いたままで動けないオレの顎へ、先輩の爪先が移動する。
「鴫野。」
甘い声にはただそれだけで先を促す強制力があり、恐る恐るその爪先へと舌を這わせる。
ピリと舌先を刺激する味に、慌てて身体ごと身を反らせば、頬を軽く足先で撫でられ。
込み上げてきた吐き気も最初の一瞬だけで、思いきって舐めてしまえば、精液の味も木津課長のソレと違う様な違わないような。
自分が出した精液で濡れた木津課長の足を両手で包み、濡れた場所だけではなく踵から爪の間まで丹念に舌で舐め清める。
まずは親指を口へと含んで、皺の間から爪先、次いで指の谷間の水掻きも丹念にしゃぶって、人差し指へ。 <> オリジナル ヘタレ年下ドM且つ犬×女王様(5/5)<>sage<>2010/12/09(木) 01:44:55 ID:hfemS0MwO<> そうやって順番に小指まで舐めて再び親指へ。
時折聞こえる鼻にかかった吐息に、夢中になって足の指が入るだけ口へと含んでチュウチュウと吸い上げる。
その指が引き抜かれれば口寂しくなり、その足へと手を添え、もっととねだってしまう。
しょうがないなといった顔で、ベッドから立ち上がる木津課長。
向き合う形で膝の上に座られ、肩を抱かれて囁かれる。
「せめて10分は堪えろ」
いつの間にか脱がれていたハーフパンツとブリーフ。
膝の上に直接木津課長の素肌が当たる感触。
ペロリと舐められた左頬。
挿入もしていないのに、揺すられる腰。
「あ…ッ、…ヤバ、木津課チョッ、はあぁあっっ!」
木津課長の生の尻たぶを開いて、腰を打ちつけようとした刹那、暴発した。
勢い余ってベッドへと押し倒す体、課長の中ではなくベッドの端へとひっかかった精子、びっくりするくらいの沈黙。
もう何も聞かず、この胸で泣かせて下さい。
「……あ、…いや、………その…、…………ゴメンナサイ」
「早漏」
背中を抱かれたまま、笑いの混じった声で殊更甘く囁かれる言葉。
好きすぎて駄目かもしれない。
マジで。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 01:57:19 ID:Bzwmv6Mw0<> >>193
たった今前作を読んでてリロったら続きが!!なんというタイミング!
ヘタレ攻スレ住人兼女王受スレ住人の自分にはご褒美です!最高!!
めちゃくちゃ萌えました!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 01:57:47 ID:hfemS0MwO<> >>158にコメント下さった方、ありがとうございました。 <> オリジナル 今日の料理1/6<>sage<>2010/12/09(木) 02:10:40 ID:gfC3Oetz0<> みんなネタになーれ☆2!
流すぜ!上手くないけど、ホノボノを目指したぜ!
オリジナル、年上クール部下×おバカお子様年下上司、です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!

これは、うちの上司の話だ。
昼飯はいつもマックかモスバーガー、ケンタッキーあたりの三択だから、今日も俺はそれを聞いた。
「筑前煮」
で、それに帰ってきた答えがこれだ。
何だ、筑前煮って。マック、そんな新しいバーガー売りだしてたっけ?
「……は?」
たっぷり十秒くらい待ってそう聞き返してやると、上司はデスクにぺたり突っ伏した姿勢のままで、ぎろりと目だけあげてこっちを見た。
「浅井さん、何ですって?」
「……うっせー」
「煩いじゃわかりません。何がいいんですって?」
「……テキサスバーガーセット!!コーラで!!」
「はいはい。ハッピーセットのオマケは、もういいんですか?」
「お前が知らないうちに、もう全部コンプったよ、バーカ!」
長めの茶髪を抱え込むようにしながら叫ぶ上司に、俺はいつものようにさらり応えて、部屋を出る。何事もいつもどおりのペースで。
うちの上司は、俺より年下だ。確か大学を出て、そんなに経ってないくらいのはずだ。
だからだろう、こんなジャンクフードも好きだし、続いてても飽きないのは。俺は正直、もう無理だと思う。
ちょっと特殊な仕事をやってるせいで、うちの部署は上司と俺だけの、小ぢんまりした空間だ。
必然的に俺はよくパシリをさせられることになるわけだが、正直言ってそれにももう慣れた。注文先も大体決まってて、こんな風な昼飯の
買い出しか、そうでなければコンビニでジャンプかマガジンかサンデーか。そんなものだ。
学生時代ずっと野球をやっていたし、俺は足は速い方だ。それも、上司としてはパシリにしやすい理由なのかもしれない。
「……はい、お待たせし……っ、ました!」
匂いだけは食欲をそそる紙袋を片手に戻ると、ドアを開けた瞬間にひゅっと、白いものが俺の視界に飛び込んでくる。 <> オリジナル 今日の料理2/6<>sage<>2010/12/09(木) 02:11:34 ID:gfC3Oetz0<> 「テキサスバーガー、とポテトとコーラ」
「……つまんねえな園川!またかよ、めっさつまんねえ」
「だから、俺野球やってましたから」
「あー、キャッチャーか。だから何でも取るんだな、くそ〜」
「や、ファーストでした」
だからこそ、むしろ何でも取るんだけど。上司が狙い澄まして投げて来た消しゴムを、またいつもの通り俺は何でも無いことのように
キャッチして、紙袋と一緒にデスクに置く。
これも上司の癖の一つ、何でも俺に投げてくる。書類でも、ゴミでも、大事なデータCDでも。
それをちゃんと落とさないように、必ず俺がキャッチするのを知っているからふざけている、ともとれる。でもまあ、普通にただの悪戯だろう。
つまらないと言いながら、そしてむくれながらそれでも上司はがさごそとハンバーガーにくらいつく。本当に、匂いはいい。
俺も階段を5階のここまで一気に上がってきたので、流石に息が切れていたが、自分の席で昼飯にすることにする。
上司には流行りか、と馬鹿にされたが、俺は弁当持ちだ。自作の。
理由は単に、金がないから。
「……。」
上司が自分の椅子にふんぞり返って、デスクに足を乗せた行儀悪い姿勢のまま、ちらりこちらを見てくるのを俺は知っている。
あちらのデスクの方が日当たりが良い。上司はスーツ嫌いでもあって、直ぐにシャツとネクタイだけになるんだけれど、そのせいで今も、冬場でも
そう寒そうには見えない。
で、いただきます。と。
ばーちゃんに小さい頃厳しく言われたせいで、俺はどんな時でも食事前に、手を合わせてしまう。思えばこれは、俺の癖だ。
「……毎回だけどさー、ちょっとブキミよ、お前」
もごもご上司が何か言ってくる。くるくると自分の髪を指で弄びながら。
「何でそんなでっかいナリして、弁当男子?」
「料理、好きですし」
「行儀もいいよな、相変わらず」
「癖です」
箸の持ち方も魚の食べ方も、ばーちゃんに躾けられた。それも上司には、図体に似合わないとよくからかわれる。 <> オリジナル 今日の料理3/6<>sage<>2010/12/09(木) 02:13:00 ID:gfC3Oetz0<> 今日の中身は自信作の、鶏肉の竜田揚げ。うん冷めても旨い、さすが俺。
「……旨そうに喰っちゃって。彼女に作ってもらったんならさー、見せびらかす気持ちもわかるけど〜」
「旨いですもん。自分の味」
「……そーかよ」
上司がまたポテトをもぐもぐしながら、わざとらしく俺を見て溜め息をついていた。
何の意味だ。
いつも俺なんかどうでもいいような顔で、気が向いたときだけ悪戯を仕掛けてくるくせに、結構俺のことをよく見てるんだ、この人は。
うちの上司は、仕事は出来る。若いけど一部署を任されているのは、ちょっと特殊な仕事でそれが出来るからなんだけど、だから俺は仕事の面では
この人を尊敬しているし、ちゃんと補佐するつもりはある。
でも裏を返すとこう、口は悪い、態度は悪い、味覚もセンスもコドモで騒がしい男だとしか思えない。うん、全然間違っていない。
ただ最近気になるのは、昼休みのこれ、毎回の買い出し前の会話が結構、日常的にこんな風になっていることだ。
昨日は「ブリ大根」だった。その前は「マーボー豆腐」だった。確か、ロールキャベツとか、カニ玉だとか言ってた日もあった。
どれもこれも、ファーストフードには売ってないだろうと俺は、しこったま冷静にいつもツッコミ返してしまうんだが。
「……。」
「何か?」
「んでも、ねぇよ!」
ああ、何だか知らないが機嫌が悪い。午後の仕事も、宥めすかすのが大変そうだ。このお子ちゃま上司め。
そして結局、やっぱり案の定、残業する羽目になった、俺だけが。
これもいつものことなんだけど。
でもそこで、ちょっと息抜きに、と応接セット(うちの仕事場に併設してある)の傍でコーヒーを飲みながら、テレビをつけた俺は、
上司の秘密めいた言い草の謎が解けてしまった。
その日俺は、近所の24時間スーパーで、肉と、ジャガイモと、ニンジンを買って帰った。
買いながら、腹の底がむずむずする感じがした。
レジの兄ちゃんは、そんな俺を見てちょっと引いていたようだ。顔に何となく、は出ていたらしい。
悪い。180オーバーの大男が深夜スーパーでにやにやしている、のは、確かにあんまりほのぼのした光景じゃないか。 <> オリジナル 今日の料理4/6<>sage<>2010/12/09(木) 02:13:45 ID:gfC3Oetz0<> いや悪い。本当に。
でも想像したら、笑えて仕方がなかった。
肉を炒めて、ジャガイモを切って、ニンジンもだ、一緒に煮ながら、匂いを嗅ぎながらも多分俺は笑っていた。
今考えたら、何がそんなに楽しかったんだろう。
そして今日。
そして昼休み。
いつもの会話。
「……で、浅井さん、今日は何をリクエストですか?」
またぐだ〜っと書類の上に寝そべるようにする、上司に俺はお定まりの声をかける。いつもそうだ、仕事は出来るけどそういう、
仕事に関するあれこれを、この人は大事にしない。その上で俺に色々投げつけては無くすものだから、ああだから、俺が付いていないと
この人はヤバいんだろうなとも、俺は思っている。
そう、そんな風に俺は思っている、今気付いたけど。
上司はゴロゴロと喉を鳴らす猫のように身じろいで、斜め前のデスクの俺を見上げて来た。前髪が目にかかっていて、至極子供っぽい。
コドモだ、とは思ってる。何事につけても。
ただしそれはそれで、そういう気まぐれなところは、嫌いとは思わない。強いて言えば、好きかも知れない。
髪は柔らかそうだし。ちょっと触ってみたくなるし。ワガママを言う時の顔も楽しそうだし。結局、俺に甘えてるし。
そして今日その先の言葉を、そう、今日の俺は知っていた。
「……肉じゃが〜」
はい、やっぱり。
ビンゴ。
「了解」
「……ん?」
がさがさと、今日はいつもと違う紙袋から二つ包みを取り出した俺に、上司は拍子抜けしたようなように鼻に抜ける声を出した。
「肉じゃがですね。あと、卵焼きと、ほうれんそうのおひたし」
「……あ?」
「何なんですか。喰うんですか、喰わないんですか?」
洒落た弁当箱は無いから、大きめのタッパー二個になってしまった。けど、そこはいいでしょ、別に。
俺が包みをデスクに置くと、上司は上目遣いにまんまるい目を向けて来た。
本当に、この髪は柔らかそうだ。
染めているのとは別に、ゆるくウェーブがかかっているが、それは天然らしい。
だからこそ、伸ばしておかないとクルックルになるんだと何時だか、思いっきりの雨の日に癇癪混じりに言われたっけ。 <> オリジナル 今日の料理5/6<>sage<>2010/12/09(木) 02:15:15 ID:gfC3Oetz0<> 「けど意外です。浅井さんも、料理番組なんて見るんですね」
「……そ、のかわ……!」
「俺も見ましたよ。結構初心者向けでも、ちゃんとしてたじゃないですか。やってみたらどうです」
「だー!!何だお前!!いきなり!!」
「昨日、肉じゃがでしたもんね」
「……う」
「おとといのメニューが筑前煮で。煮物特集でしたね」
「……。」
ばーん、と俺を威嚇するように立ち上がったまでは威勢が良かったが、ぺしぺしやりこめていくと、上司の口はへの字口になる。
そして、黙る。ある意味わかりやすい人だ。
本当にわかりやすい。前の日テレビで見たものが、次の日食べたくなるんだな。可愛いな。
「で、ナニ?お前、もそれ見て……俺の分までメシ作ってくれちゃったり、したわけ?」
「嫌ならいいですよ」
「バカ、喰うよ!そこまですんだったら、さっさとくれよ!!」
「……何ですかその態度」
「んだよ」
「人にものを頼む時は、ちゃんと口で言いなさい」
「う」
「アナタの分です。食べたいですか?」
「……喰いたい、っす」
「はい?」
「食べたい、です!」
よし。
あれ?
ついに言わせた、と俺の中の誰かが、ガッツポーズした気分になった。変なの。
一度頭を下げると上司は素直で、だってお前の弁当いっつもうまそうなんだもんだとか、俺も喰いたいなって思ってただとか。
髪の先っぽを弄くりながら、唇とがらせながら、まあ嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
自分じゃ料理下手だし、いいなあ喰いたいなあって思いながら、テレビを見てただとか、おい、可愛すぎないか。
「でも、ニンジン入ってますよ。……喰えないとか言ったら、しばきますよ」
「……頑張る」 <> オリジナル 今日の料理/6<>sage<>2010/12/09(木) 02:18:43 ID:gfC3Oetz0<> 喰えないのかよ。やっぱりかよ。
それでもタッパーを開けたときの、その顔には参った。
本当に参った。
嬉しそう過ぎた。うわあ!って素直な声も上げ過ぎ。コドモすぎて、なんて、可愛い。
「……うわぁ……、旨いわー。マジ旨いわ、お前すげぇな!」
「お前?」
「園川、くん……」
白いシャツが汚れますよ。ほら、慌てると髪にもつきますよ、全く。
「よろしい」
「……くそ」
「で、……明日は何がいいんですかね」
「へ?」
本当、頬張りすぎ。あ、もしかしたらまだ食べざかりかな、この人。
足りなかったりしたら、いいや、今日は俺が弁当抜きでも。
もがもがと口にものを入れながらしゃべるのは嫌いだけれど、ばーちゃんには行儀が悪いって言われてたから、気になるけど。
まあこうやって、一個ずつ躾けていくのも悪くないかなと俺は思う。そう、俺は思う。
いつかあの髪を撫でたいな、なんて。
「……んじゃ、なあ……ハンバーグ!」
あれ。
今俺、何を思った?
「園川くん?」
「……りょ、了解です」
俺はごほんと咳払いして、自分のデスクに引っ込んだ。
どうしよう。昼飯のことだけじゃなく、色々、俺。
でも相手はコドモなんだから、これからだ、うん。色々と俺のことも教えて、躾けていけばいい。
「わ、わ、卵焼きすっげーふわっふわじゃん!」
何よりこんなにぴっかぴかの笑顔で喜ばれたら、言われたら、何でも叶えたくなるじゃないか。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 02:21:25 ID:hfemS0MwO<> >>198
ありがとうございます。
読んでいただけてうれしく思います。

ヘタレ×女王大好きです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 15:50:33 ID:PUMPS6tuO<> >>200
GJGJ!
やんちゃ受スキーにはたまりませんでした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 16:38:31 ID:+OYRVADU0<> >>200
なにこれかわいすぎる
GJ!!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 17:45:08 ID:+hHJ5KTr0<> >>200
かわいかった!
続編があったらまた読みたいです <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/09(木) 18:06:29 ID:JCosnvonO<> >>200
やだ、萌えた! <> 生 アコギデュオ1<>sage<>2010/12/10(金) 02:49:34 ID:tbJOz4370<> 夜中にHDの奥から発掘されたヤツを供養したい。
野音でライブやると必ず雨が降った(今年は晴れた)アコースティックギターデュオ。
その晴れた野音で見たシーンに滾って書いたまま放置されていたのをお送りします。
短いよ!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!

弾きながら隣を見やる。これ以上無いくらい嬉しそうな顔。
音楽が好き、演奏が好き、それを聞いた客が笑うのが好き。
好き、嬉しい、好き、楽しい、好き、好き、好き
目があって、笑いかけられる。
好き。
一緒にこの場所にいられて、幸せ。
てらいもなくそんな感情をぶつけられて、正直俺は……呆れた。

…この世界に入ってそれなりに時間が過ぎた。
やはりそれなりに苦いことも経験したはずなのに、
まるで失われないこの甘さと青さ。
聞いているほうが恥ずかしくなるような
(多分、俺だけじゃなくて客もだ)
青臭いメッセージを曲の合間に一人で喋りまくっている。
(…待てよ。結局それを許しているのはのはこっちなんじゃ)
そうだ。その青臭さに呆れながらも俺も、客も、結局は否定しない。
故にその特質は損なわれ無い。
(大甘だ…) <> 生 アコギデュオ2<>sage<>2010/12/10(金) 02:50:09 ID:tbJOz4370<> アンコール後の寒々しい小芝居の帰り道、
恥ずかしげもなく皆に感謝を述べている奴の肩に後ろから手を回す。
誰にも、メンバーにだってゲストにだって、客にだって聞かせたりしない。
奴の耳元にだけ、手を当てて。
『       』

一瞬、完全に固まった。
…で、流すのか。リアクションの一つもできないのか。
客がざわめいただろ?その空気さえ読めないのは本当に関西人か?
長時間固まってみるとか、大げさに聞き返すとか、一言言うとか。
普段のお前ならそんな反応が返って来ると客は思ってるだろうに。
一瞬固まったあとは完全に通常進行で、逆に不自然すぎる。

本当に、いつまでたっても、青臭い。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 棚へ 1/2<>sage<>2010/12/10(金) 05:17:49 ID:6L2BWzpZ0<> オリジナル。勢いで書いた。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!

 どうしてお前はそんなに誰にでも軽々しく身体を許すんだ。
何でもありに決まっていますって、ちょっとウェルカム過ぎるんじゃないか?
もう少し相手を選ぼうとは思わないのか。
チ○コがついてれば誰でもいいって言うのか。

 長時間(30分以上)に及ぶ占拠防止なんて言ってるが、
それは一人の男に抱かれるだけじゃ満足できないということか。
30分経ったら他の男と交代してくれないと嫌なのか。
輪姦希望だなんて、いろんな男のモノを味わいたいなんて、どれだけ淫乱なんだお前は。

 一度に10レス以上投下しないでって、10回の連続射精まではOKってことなのか。
棚よ、それはお前がタフ過ぎる。
ああだから、10回以上連射してお前を満足させる男には、
トリップという首輪をつけて自在に飼いならそうとするんだね。
お前はなんて傲慢なスレッドなんだ。

 馴れ合いや賞賛はほどほどにって、お前は行為の前後の甘い言葉もいらないと言うのか。
優しい前儀も無しに、迷うことなくお前の中にいきなり突っ込んでこいと。
ただヤれればいいと。ずっこんばっこんひたすら投下し続けろと。
自分はどこまでも身体目当てのスレッドだと言い張るのか。
もう少し、自分を大切にしようと思わないのか。 <> 棚へ 2/2<>sage<>2010/12/10(金) 05:23:07 ID:6L2BWzpZ0<>  スレッドは本来、1000レスまでは書き込みができるものだ。
普通のスレッドとはそういうものだ。まともなスレッドはみんなそうだ。
それなのに棚よ。お前はすぐに達してしまうんだ! 500kbに!
1000まで待てないでイッてしまってもうカケナイだなんて、
お前はなんていやらしいスレッドなんだ。
しかもそれを毎回毎回、周りで見ている男達に「もうすぐ達する」
なんて冷静に観察されて、恥ずかしいとは思わないのか!

 お前はお前を抱いた全ての男を「ネタ」だと笑い飛ばす。
今日はお前をどんな男が抱いているのか気になって仕方なくて、
暇さえあればつい801板を見てしまう俺達を見透かしているかのように。
そして予想外の方向からお前が攻められているのを見て、
新たな萌えに目覚めてしまう俺達をあざ笑うかのように。

 棚よ。
俺は本当は、お前が自分を抱いた男達の想い出を、
そっと保管庫に仕舞いこんでいることを知っている。
だけど華やかなりし801板の上で、お前は開けっぴろげで淫乱で生意気なスレッドであり続けるのだろう。

 500kbに達し、すっかり満足したような火照った顔で、
「全てはネタなのさ」
と、冷たい一言を吐いて、何事もなかったかのように次スレに着替える。
自分を抱いた男達のことなんて、もうすっかり忘れてしまったみたいにね。

 それを見て俺達は、絡みスレで関係ないチラシのレスにグダグダ絡みながら、
ただただボヤいているしかないのさ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/10(金) 06:06:43 ID:DyBhmLvYO<> 惚れた 棚タンの痴態もっともっと見たい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/10(金) 07:18:03 ID:cDcOvhGx0<> これはいいテンプレw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/10(金) 11:37:22 ID:vjggNECyO<> >>214
くそ噴いたじゃねーかw
今後荒れた時とかに「ネタに凸カコワルイ」の代わりに投下したい
噴くし癒されるし争いも直ぐに沈下しそう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/10(金) 20:51:13 ID:R0y+EW5H0<> >>214
GJ
心からGJ <> どうして 1/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/11(土) 15:43:39 ID:gKyXMgyH0<> 生。☆と元アフロネタ。☆サイド。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ふっふっふ。バカシンタめ。
世の中にはタクシーっちゅう、ごっさ便利なもンがあるんですよ、ふっふふふ。
スタジオの住所さえ覚えてれば、都内どっからだって帰って来れるんだ。舐めんな〜、俺を舐めんなあ。
というわけで、もうちょっとで着く。
あの角を曲がって、信号の手前で降りて歩こう。
コンビニに寄ってえーと、何か買ってくか。
まさか呑みに行った俺が、本気で一人帰って来るなんて、きっと思ってへんやろなあ。
ギリギリ意識は飛んでないけど、でも声はヘロヘロだから、確かに俺が戻っても意味は全く無い。無いな。
もしかしたら邪魔しに帰るのかもしれん、という状況だが。いや、それでもね、今日はね。
絶対にシンタの顔を見ないと落ち着かないんだ。
何か喰ったかな。喉乾いてないかな。ビール…は、俺がまだ飲みたいから、買う。
千円札で貰ったお釣りをそのままポケットにちゃらちゃらさせながら、街灯の数を数えながら、俺は歩く。
随分と寒くなってきた。おお、息もちょっと白く浮かぶ。
耳と酔いの残る頬、だけが自分でもあったかいのがわかる。でも今日は、大して飲んでないんだ、これが。
途中でペースがぴたっと止まってしまって、だからこそ今まともに前に歩けている。一人で。
次の街灯まで十歩でいけるかな。ああ、最後ジャンプしたら足りるかも。
空は真っ暗で、それも冬っぽい。ジャケットだけじゃ足りなくなってきた、そろそろマフラーも出さなきゃな。
そういや今日のシンタは結構薄着だった。寒くないかな、もうアタマもアフロじゃねーし。
ビルの階段も静か。コンクリートが冷えてる証拠。
一段飛ばしで飛んでやる。
でも流石にドアの前では、俺もちょっと一つ、息を吐いた。一人で咳払い。えーと、ごほん。
ドアノブに手をかける前に、少し考える。中のことを。
目を閉じたら簡単に浮かぶ。シンタ君が眉間にしわを寄せながら、メモを片手にコンポーザーをいじっていたり。
こつこつ長い指先でキーボードのヘリを叩きながら、もう片方で髭をひっぱったりしながらブツブツ言ってたり。
そんないつもの風。見慣れてる背中。
正解が出るまで迷う人だ。その正解を探す人。 <> どうして 2/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/11(土) 15:44:33 ID:gKyXMgyH0<> 大体俺はそこに、その世界にぽんと飛び込んで浮かび上がって、もしかしたらしっちゃかめっちゃかにしたりする。
時には額くっつけながら二人で唸る。全く俺が考えるのをやめてしまうこともある。
でもふと思いついて、理論的にごちゃごちゃ言うシンタ君を、酷いスピードで振り回したりもする。
俺にはそういうやり方しか、出来ない。
がちゃ。
「!」
いや、ドアの音だよ。でも、俺じゃねえよ!
「タクヤ……」
「……うーす」
「え……マジですかよ!」
タイミング悪いよ!いやむしろ良すぎだよ!!
俺の手が回す前に、勝手に冷えたそれが回って、俺はつられて中に引きずり込まれる形になった。シンタだ。
「……ほい、お土産〜」
「あー、りがと……つか、もう!いいって言ったろ、顔真っ赤なのに!」
何で帰ってきた、って言外に言ってますね、この人。うるっせいやい。
どーしても今日は、もう一回シンタの顔を見なきゃと思った。それだけだ!
「固いこと言うな〜、ねえ」
「寒っ!そんで寒っ!……冷えるな〜」
シンタ君はコーヒーでも買いに行こうと思ったらしい。俺のコンビニ袋を見て、とりあえず俺を中に入れて、それを取り出す。
俺は俺で、3歩ダッシュで背後のソファにダイブだ。
ええ、正直。立って歩いてんの、結構ツラかったです!!
そんな俺をシンタ君は、コーヒー片手に苦笑いで見下ろしている。長袖のTシャツ一枚、絶対寒いぜ、今日は。
「寒いっしょ」
「寒いな」
「どーすんの」
「……帰らないで、居ようかな」
けけけけけと俺が笑うと、シンタ君は何だその声、とまた呆れたみたいに言ってきた。
「んだな。それが正解だと思うよ〜」
「ん?」
「じゃあ俺も、帰んない」
つるっと言ってクッションを探して、ごそごそ定位置を探ってたら、シンタ君は返事をしなかった。
出て行った時と同じ、多分さっきまでも同じところに居たんだろう、いつものコンポーザー前の椅子にもう一度戻る。 <> どうして 3/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/11(土) 15:46:01 ID:gKyXMgyH0<> 見慣れた光景だ。他のスタッフさんやミュージシャンと一緒に、相談したり指示を出したりしながら、シンタ君はいつもそこに居る。
満足いくまで突き詰めて煮詰めて、時々煮詰まりすぎてため息をついたり顔がこわばったりしながら。
でもあくまでクールに、真面目に。
プロフェッショナルに。
「……進んでないよ」
イキナリ、ぼそっとシンタ君が呟いてきた。ああ、と間抜けな声で俺は返す。
何がって、ああ、アレンジか。俺が一旦出て行ってから4時間は経ってるんだけど、さ、まあそういう日もある。
まだ詞も全部乗ってないし、焦らなくてもと思うけど、そういう手抜きが出来る人じゃないんだよなあ。
「お前のことばっか、考えたから」
って、でも、おいおい。
「……ナニ?」
いや、聞こえてる。シンタ君は振り返らない。
そりゃ、さ。俺も悪いよ。キスして、やり逃げみたいにしてホッタラカシにしといたんだからさ。
でもさあ、らしくないでしょ。らしくないでしょ。それ。
知ってるんだ、俺。誰より俺が一番知ってるんだよ、シンタ。仕事、音楽、曲、絶対それから逃げねい人でしょ。
別に、今日皆に言われたことを気にしてるわけじゃないよ。
「変なの。……じゃあ何で残ってたの」
寒いから、じゃないよな。
「こんなとこで、俺のことばっか考えるとか、無いでしょ」
俺を待ってたわけでも、ないよね。
「変。らしくない。シンタっぽくない」
今まで100パー、酒飲んで約束守ったことなんてないし、さっきだって俺を見て、明らかに意外って顔してたし。
シンタはこっちも向かないし、微動だにしない。返事する気も無いな、これは。
何で俺を優先するよ。今まで俺に、皆に、誰にも見せて来た全部をひっくり返すようなこと、言うなって。
俺を優先するなよ。バカシンタめ。
プロなんだろ。ビジネスなんだろ。だから手を抜かない、絶対に逃げない。そうだろ、シンタ。
「……もしかしてさ」
俺とは、違うんだろ?
「シンタ君の全部って、俺なの?」 <> どうして 4/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/11(土) 15:47:13 ID:gKyXMgyH0<> 違うでしょ。俺じゃないし、俺とはアンタ、タイプが違うでしょ。
そんな風に考えながら、こんなこと言ってた。我ながら酷いこと言うなあ。うん、ムゴいな、俺。
だからドSだとか、ツンデレだとか言われんの?って、誰がツンデレだよ。
「……うん」
シンタ。バカ。言うな。
んなわけ、ねーでしょ。無いって、ホラ、否定しろ。
まだ間に合う。
「そうだよ」
でも小さくトドメみたいに言われて、俺は、声が出なくなった。
げらげら笑ってた、数時間前のその一瞬と同じように。
最近シンタはどうって聞かれて、まだスタジオだって言ったら、皆みんな、らしい!って笑ってた。
新曲だ、って。久しぶりじゃん、って言われて。ああもう、今回は今が難産でねえ、ってぶっちゃけてさ。
まだ詞が乗ってないってのを、タクヤのそれも毎回だなって言われて俺はむくれた。違う、シンタのダメ出しが、今回は。
ダメ出しがだなあ、本当に今回は。まあ俺にダメを出して、俺が受け入れるのも、シンタだからだけどな。
そうやってあくまで冷静クールに、俺のものを評価するから、俺はそこを何より、誰より信頼してる。
「いつか、愛想つかされっぞ、それ」
笑い声、ああもう、何でその声をリアルに思い出しちゃうんだろう。関係無い、関係無い、違う、違う。
「タクヤは天然だし、シンタはプロ意識高いもんなあ」
俺とシンタのことは、誰にも言われたくない。俺とシンタだけのことだ。関係無い、違うんだ。
でもそれは、言われてることは、何となくわかった。
何も飲み込めないし言えなかった。
だから、もう一回顔を見ないと、俺がどうにもならなかった。
「……俺には、シンタ君が、全部じゃないんだけど」
どんな声だ、これ。
絞り出したのは俺だけど、声もなら耳もおかしな感じで、上手く聞こえない。
「うん」
シンタ君は相変わらず、背中を向けたままで言った。
「構わないよ」
でも俺には、あんたなんだよ。お前なんだよ。
ゆっくり立ち上がったら、膝ががくん!となって、よろけてしまった。そしてジーンズのはじっこを踏んで、もう一度。
一歩ずつ近づく足音と気配を知ってるはず、絶対に知ってるはずなのに、シンタは逃げなかった。 <> どうして 5/5
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/11(土) 15:49:04 ID:gKyXMgyH0<> 後ろから、羽交い締めに近い感じに抱き締める。
頬に、シャツ1枚を通して、直ぐにシンタの体温が通じてわかる。
シンタ君は、また。懲りずに、俺が全部だって言った。あくまで静かに、クールに、冷静に。
「タクヤ」
名前も呼んだ。
でもそこに。
俺はその底に、仄暗い何かを感じ取って、ぞっとした。
背筋が寒くなった。こんな人だと思ってない。こんな風だなんて無い。
俺の歌や曲がダメになったら、きっとこの人は離れてくだろうなと思ってた。俺も多分その時は、お互いのやり方があるだろうからと。
ただし音楽を止められない俺は、まさに止められない、天然だとか言われてる俺は、そうなったら自由すぎるかもしれない。
クールで、真面目で、冷静で、さあ。時々熱くて面白くて、世話焼きでおせっかいで。
だから結構、初めてだった。怖いなと思ったのは。
背中凍るくらい、こいつが怖いと思ったのは。
それから数秒して、だけどその冷たさは胸の下の方で真っ赤に燃えるようになった。熱く熱く熱く。
また酔ったのかと、まるで思った。まさか。
そして俺の中で何か暴れて溢れかえるようになって、髪や指の先隅々にまで行きわたって、最後は強いため息に変わった。
本当に熱くて熱くて、もう冬なのに俺は、熱くてどうにかなりそうだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/11(土) 17:40:13 ID:fsQc+YInO<> >>219姐さん、いつも萌えさせてくれてありがとう!

棚を和ませてくれた姐さん方も本当にありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/11(土) 23:18:07 ID:YQHaiLcU0<> >>219
姐さんこの展開でお預けは地獄です…
☆視点が新鮮で、今までの天真爛漫(元アフロ視点)な☆の頭の中が
覗けたようで、何だかこれまでを振り返って二度萌えました
続き楽しみです、本当いつもありがとうございます <> 花粉症の後に 前編 1/6<>sage<>2010/12/13(月) 17:10:50 ID:nXgZ6jF5P<> 宇忠イヌ作戦、マノレ×モヅャです。
前回投下の姐さんに続いて、萌え上がってしまったので投下します!
惑星ムジ力編のネタバレを盛大にしています。未見の方はご注意を。
ちょっと長いので前後に分けます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「おい、モジャッ卜!入るぞ」
返事も聞かずにドアを開けてずかずかと入ってきた男を、モジャッ卜は壁際のベッドの上で迎えた。
「マノレコ……」
ふらつく体を何とか両腕で支え、上体を起こす。
「どうだ、具合は」
「それが……はっぶしゅ!」
「うわっ」
不意打ちのくしゃみに、マノレコが思わず一歩飛び退く。
モジャッ卜は手を伸ばしてティッシュを一枚取り、鼻の辺りを拭った。
「すいません、まだ少し、くしゃみとだるさが……。でも、だいぶ良くなりました。そろそろ職務にも復帰できますので」
「まあ、無理すんなって。ほら、オ八ナちゃんが作ってくれたチャーハンだ」
「ありがとう……そこに、置いといてもらえますか」
マノレコはテーブルの上に、夕食の載ったトレイを置いた。
オ八ナの作るチャーハンはとても美味なのだが、なぜかご飯がお決まりの丸い形には盛られておらず、いつも平らなままで出てくるのが二人には気になるところだった。
マノレコは軽いため息をつきながら、ベッドの端に腰を下ろした。
「ったく、厄介なもんだな。ショクブツ系人の花粉症ってのは」 <> 花粉症の後に 前編 2/6<>sage<>2010/12/13(月) 17:13:30 ID:nXgZ6jF5P<> 「命を落とさなかっただけでも感謝しなくては。こんなに軽い症状だけで治まるなんて、奇跡的な症例です。本当なら今頃、私が私でいることさえ、できなかったはずですから」
「“自我を失う”ってやつか?」
「ええ。あなたにも、相当ひどいことをしてしまったようですね……その傷は、私がつけたんでしょ」
マノレコの口元には、小さな傷跡があった。
「気にすんなよ。あんまり覚えてねえんだろ?」
「ええ。ところどころ、記憶がはっきりしなくて……申し訳ないのですが」
「だったらいいんだよ。それにお互い様だ。俺もお前を殴っちまった」
傷は残っていないものの、モジャッ卜の頬にも、微かに痛みが残っていた。
「……私が自我を失わずにすんだのは、あなたのおかげかもしれません」
「俺じゃなくて、あのジャマーノレって姉ちゃんだろ」
「確かに、私の心を最後に繋ぎとめてくれたのは彼女かもしれません。しかしその前に、彼女を救いたい余り、私はあなたに銃を向けてしまった。宇宙スギの花粉を飲んだ直後のことです」
マノレコの表情が曇った。
「……お前、やっぱり自分からあの花粉を」
「やはり気づいていたんですね」
「なめんなよ。お前の行動パターンぐらいお見通しだ」
「それを知りながら、あなたは私に銃を向けられても逃げなかった。私を信じていてくれたから……ですね?」
<> 花粉症の後に 前編 3/6<>sage<>2010/12/13(月) 17:21:39 ID:nXgZ6jF5P<> 「まぁ、前にも一度似たようなことがあったからな」
「その時とは状況が違います。私はほとんど正気を失っていました。本当にあなたを撃ってしまうかもしれなかったんです。
……でも、なぜか撃てなかった。きっとあの時、あなたが私を信じて、目をそらさずにいてくれたからです。
意識は朦朧としていたのに、なぜだかはっきりと覚えている。
私の心が壊れるのを最初に止めてくれたのは、あの時の、あなたの目だったんじゃないかと思うんです」
「…………」
「本当に、何と言ったらいいのか……」
「まずは、『すみません』だな」
「え?」
「え、じゃねえよ。お前、花粉症になったら最悪の場合、死ぬって言ってただろ。それを承知であの宇宙スギの花粉を飲んだんだろ。
お前、死ぬつもりだったってことじゃねえか!」
「……すみません」
モジャッ卜は視線を落とした。
「あの時の私には、ああするしかなかったんです。私は臆病な人間です。理性的とか論理的とか、そんなのは体のいい言い訳です。
元の自分のままでは大それた行動をとることなんてできやしない。そんな自分を、あの時はどうしても捨てたかった。
私の命ひとつであの星と一億六千万人の命を救えるのなら、安いものだと思ったんです。
……でも今考えてみれば、自分勝手な思い上がりでした。仮に惑星ムジ力を救えたとしても、その代わりにオーブを失い、
惑星プードノレを救うことはできなくなる。その上、あなたの命まで奪ってしまうところだった」
<> 花粉症の後に 前編 4<>sage<>2010/12/13(月) 17:26:04 ID:nXgZ6jF5P<> うつむいていたモジャッ卜は顔を上げ、マノレコを見た。
「あの……マノレコ、誤解しないでほしいんです!私は決して、ジャマーノレさんや惑星ムジ力のために、
あなたを殺そうとまでするつもりはなかったんです。あの時は……頭が真っ白で、……本当に、どうかしていて……」
消え入りそうな声で呟くと、モジャッ卜は震えながら再び視線を落とした。
マノレコはやれやれといった風に頬杖をつく。
「わかってるよ。花粉症のせいで、頭に血が上ってたからだろ?性格変わってたし。お前はお前なりに必死だっただけだ。
もう気にすんな」
「私は……どうしたらよかったんでしょうか」
「どうにもできやしねえことだってあるんだよ、人には。……俺だってあのときできることがありゃ、何かやってたさ」
「私がやったことは、間違いだったんでしょうか」
「ああ、間違いだったね」
きっぱりとそう言って腕組みをしたマノレコを、モジャッ卜は驚いたように見上げた。
「え……?」
「俺に黙って、よりによって勝手に死のうとするなんてな、間違った選択に決まってんだよ。そんなこと、何があろうと
絶対許さねえからな!」
「許さないって……。私の生き死にについて、あなたの許可を取らなきゃいけないんですか」
「当ったり前だろ」
当然のように言い切るマノレコに、モジャッ卜は思わず眉を寄せた。
「なぜですか?私の命ですよ?」
「そうだよ」
「……私が私の命を自由にしちゃいけないんですか!?」 <> 花粉症の後に 前編 5/12<>sage<>2010/12/13(月) 17:27:27 ID:nXgZ6jF5P<> モジャッ卜は苛立ち、立ち上がった。
「この船の指揮官は私ですよ!」
(この船の指揮官は俺だ)
びくっと、モジャッ卜の肩が震えた。
聞こえてきたのはまぎれもなく自分の声だ。
だがその声は、野獣のような凶暴さを持って脳内に響き渡った。
「……あ……」
治まっていたはずの猛烈な寒気が、再びモジャッ卜を襲った。
がくがくと震えだした自分の肩を、思わず両手で強く抱える。
次の言葉を予感し、彼は怯えた。
(今のお前に、その資格はない)
――そうだ。私には、もう……――。
「そうだよ、この船の指揮官はお前だよ!葉っぱ船長」
「……え」
虚ろな目で、モジャッ卜はマノレコを見た。
「今、何て……?」
「ん?だから、船長はお前だって」
「……は……」
へなへなと肩から力が抜け、モジャッ卜はベッドの縁に崩れ落ちるように座り込んだ。
「おいおい、どうした?」
マノレコが慌ててモジャッ卜の両肩に毛布を掛ける。
「大丈夫か?花粉症ぶり返したのか」
「だ、大丈夫です……何でもありません」 <> 花粉症の後に 前編 6/6<>sage<>2010/12/13(月) 17:31:59 ID:nXgZ6jF5P<> 「ったく、頼りねえな。あのなぁ、船長が勝手に死んじゃ、クルーが困んの!お前には責任があるんだよ、船長としての。
だから勝手なことやって許されるのは俺ぐらいなもんなの」
「…………」
「それにな」
真剣な目で、マノレコはモジャッ卜を見つめた。
「お前はあの葉っぱの姉ちゃんたちのためにも、生きて幸せになんなきゃいけねえんだ。だから勝手に死ぬことは俺が許さねえ!」
モジャッ卜は、はっと目を見開いた。
――あぁ……。あの時と同じ、あの目――。
「わかったか」
「……はい」
「うん、よし。わかったな」
「論理は少々、飛躍していますが」
「うん?」
「でも、あなたと話していると、不思議と前向きな気持ちになってきます。……ありがとう、マノレコ」
「……何だよ、珍しく面と向かって礼なんか言いやがって」
「たまにはいいでしょ」
「なんかむず痒いんだよっ。……お前、まだ病気治ってねえな!?また熱出したり性格変わったり記憶とんだりしたら承知しねえからな。
きっちり休んで光合成でもして、さっさと完治しやがれ!」
そう言って、マノレコはぷいと視線をそらす。
モジャッ卜は優しく微笑みながら、肩に掛けられた毛布にくるまった。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

最初のほう、改行し忘れて長い行が……ごめんなさい。あとナンバリングも(´;ω;`)ブワッ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/13(月) 18:47:44 ID:E4QNQcaE0<> >>226
宇忠イヌが読めるなんて!w
後半楽しみにしております <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/13(月) 19:22:25 ID:/20SlTvjO<> >>226
宇忠犬嬉しいですd!
続きも正座して待ってます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/13(月) 19:46:44 ID:3LaxeZVuO<> >>226
おお!!宇宙大'が読めるだなんて。
わちゃわちゃしてる二人の雰囲気が伝わってきます。
後半も光合成をしながら待っています。 <> 花粉症の後に 後編 1/6<>sage<>2010/12/14(火) 17:53:13 ID:WHpV6K8AP<> >>226-231の続きです。連投になってしまい申し訳ありません。
コメくださった方々、ありがとうございました!後編はほんのりエロありです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「それにしてもこの部屋、まるでお花畑じゃねえか」
部屋の中には大型の観葉植物の間を埋め尽くすように、鮮やかな花々が所狭しと咲き乱れている。
「いつの間にかこうなってたんです。多分、くしゃみをしまくった後にどんどん芽が出てきちゃったと思うんですが」
「ただでさえジャングルみたいな部屋に、さらに色々生やしやがって……ん?何だこれ」
カラン、と乾いた音を立ててマノレコの足元にスプレーボトルが転がった。
「あ、すみません。体力回復のために吸った二酸化炭素の空き缶です。全部片付けたと思ったんですが、
花に埋もれてて気づきませんでした」
「なんだ、空かよ。……めんどくせえけど、新しいの持って来てやるか。これ、倉庫のどの辺にあるんだ?」
「それがもう在庫がないんです」
「え!もう無いの!?」
「こんな短期間に消費してしまうなんて想定外だったもので。今注文中で、届くのは明日以降だそうです」
「お前、それで大丈夫なのかよ」
「空気清浄機は止めてもらってますから。マノレコには少し空気が淀んでるように感じられるかもしれませんが、
しばらくの間我慢してもらえますか」
「まあ俺はいくら淀んでようが死にゃしねえけどさ。清浄機止めたぐらいじゃお前、二酸化炭素足りねえんだろ?
……しょうがねえな!」 <> 花粉症の後に 後編 2/6<>sage<>2010/12/14(火) 17:54:33 ID:WHpV6K8AP<> マノレコはモジャッ卜の隣に座り直すと、突然、その顎を掴んでぐいっと正面に向けさせた。
そのまま、強引に唇を重ねる。
「んっ……!?」
目を白黒させているモジャッ卜に、マノレコは思いっきり息を吹き込んだ。
「んんんーっ……、……ぷは!マ、マノレコ!?何するんですか、いきなり!」
「何って、人工呼吸だよ。俺がいったん吸って吐いた空気をお前にやったの」
「人工呼吸……?そういえば、ショクブツ系人の光合成とは逆に、地球系人は酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する
呼吸をするんでしたね」
「そうだよ。てことは、俺が吐き出した二酸化炭素を吸えば、少しはさっきの缶の代わりになると思ってさ」
「それはまあ、そういうことになりますね……」
「なりますね、じゃねえだろ。実際どうだったの?今の空気は、うまかったのか?」
「確かに、缶入りの二酸化炭素よりは薄いものの、普通の空気よりはだいぶ二酸化炭素が多めで……美味しかったような」
「そうだろそうだろ。なんたって俺様印の二酸化炭素だからな。何なら缶に詰めて売っちゃうってのもいいな」
うんうん、とマノレコは一人で満足げに頷く。
「でもこの動作は……以前、資料で見たことがあるんですけど、もしかして……」
「もしかして?」
「地球人が、……特に愛し合う恋人同士が交わすという、その……『キス』というものでは?」
「おー、お前よく知ってんなー。でも、惜しい!これはただの、人工呼吸」
「……そうなんですか」 <> 花粉症の後に 後編 3/6<>sage<>2010/12/14(火) 17:56:27 ID:WHpV6K8AP<> 「何?お前、キスしたいの?ショクブツ系人なのに」
「べ、別にっ、そんなんじゃありませんっ。ただ、古代地球学を研究していた時、地球人がつくった『映画』というもので
見た動作とそっくりで、その違いがよくわからなかったものですから」
「えぇっ、そんなこともわかんねえの?」
大げさにマノレコが驚く。
「す、すいません……」
「お前、勉強が足りないよ?今のなんかどこをどー見ても完全に人工呼吸じゃん!」
「そうですか?私にはあまり区別が……」
「じゃあ、もう一回な。あ、やりにくいからメガネ取って」
マノレコがモジャッ卜の鼻先からひょいとメガネを奪う。
「あっ、ちょっと……それがないと見えないんですけど」
「いいのいいの。そのほうが集中できるから」
「集中?」
「あと、両手を俺の肩からこう、背中のほうに回して」
「……こうですか」
「あーダメダメ、もっと後ろまで回して、リラックスして……そうそう。よし、じゃあもう一回行くぞ。
あ、目は閉じてね」
かなり至近距離まで来たモジャッ卜が素直に目を閉じたのを確認すると、マノレコは再び唇を寄せる。
「ん……っ」
モジャッ卜も、ぎこちないながらも二度目は抵抗なく受け入れた。
ふーっ、と息を吹き込まれると、それを味わうようにゆっくりと吸い込む。
確かに、快いと感じる空気だった。
「……ふ、……っ」
一度息継ぎをして、マノレコはさらに息を吹き込んだ。
弱った体が二酸化炭素を求めているのか、モジャッ卜は気持ちよさそうにそれを深く吸い込んだ。
体と心が癒されるような温かい感覚に戸惑いながらも、モジャッ卜の意識はふわりと霞んでいった。 <> 花粉症の後に 後編 4/6<>sage<>2010/12/14(火) 17:58:00 ID:WHpV6K8AP<> 呼吸を繰り返すごとにだんだん力が抜けてくる相手を両腕で支えながら、マノレコはぼんやりと観察を続けた。
いつもはメガネに隠れてよく見えない場所で、閉じられた瞼と睫毛が小さく震えているのが見える。
――こいつ、近くで見ると意外と睫毛長いんだな……。唇、柔らかいし……――
頬をうっすらと上気させ、「人工呼吸」に夢中になっているモジャッ卜を、マノレコは不思議な気分で見つめた。
――これは……二酸化炭素が気持ちいいのかキスが気持ちいいのか、どっちの顔なんだ?――
マノレコが息継ぎをしようと唇をわずかに離すと、無意識に次をねだっているのか、モジャッ卜が頼りなげな声を
出しながら、甘えるようにマノレコの口元をついばんできた。
「……んん……」
――何だこの反応!小鳥か。ヒナか!なんかかわいい!……つーか、そこはお前がつけたキズの上だ!
吸うな!ちょっと痛ぇ!――
心の中でいろいろ突っ込みを入れながらも、彼を待たせないようマノレコは素早く息継ぎをする。
そしてふわふわの髪と蔦の間に手を差し入れると、そっと引き寄せて角度を変えてやり、再び唇を合わせた。 <> 花粉症の後に 後編 5/6<>sage<>2010/12/14(火) 18:00:55 ID:WHpV6K8AP<> 「ん……っ、……はぁ……っ」
熱に浮かされたように、モジャッ卜が喘ぐ。
「そんなに、うまいのか」
「……ぁ……、おいしぃ……です」
うっとりとした表情で、モジャッ卜が舌足らずに呟く。
「もっと欲しいか?」
「……はい……、もっと……」
甘く掠れた声が微かに聞こえた。背に回された腕が、弱々しく抱きしめてくる。
マノレコの中で、何かが限界を超えた。
――……あー、もう!我慢できっか!――
マノレコは両腕に力をこめて強く抱き返した。何の抵抗もせずされるがままのモジャッ卜を、
一気に征服するように深く口づける。
舌を差し入れて絡ませると、朦朧としている彼も半ば無意識のままに応えてきた。
――うん、やっぱり、地球系人と一緒だな。意味わからずにやってんだろうけど……――



◇◇◇


「はぁっ、……はっ、……は……っ」
唇を離しても、モジャッ卜はしばらくマノレコの肩に体を預けたまま、深い呼吸を繰り返していた。
やがてうっすらと目を開けたモジャッ卜に、マノレコがニヤニヤしながら尋ねた。
「気持ちよかった?」
「はい……、なぜか缶入りの二酸化炭素より、ずっと気持ちよくって……。地球系人の呼気には、
二酸化炭素以外にも何か特別な成分が入ってるんでしょうか……?」
「うん、つーか今のは完全にキスだったんだよね。人工呼吸じゃなくて」
「……ええ……。……え?えぇぇー!?」
急に意識をはっきりさせて、モジャッ卜ががばっと身を離す。
「ちなみに今の、お前のファーストキスね。俺がもらったといたから。かなりディープなやつ」
「ちょ……ちょっとマノレコ!話が違うじゃないですか!」 <> 花粉症の後に 後編 6/6<>sage<>2010/12/14(火) 18:02:30 ID:WHpV6K8AP<> 「だってお前、違いが知りたいからキスしてくれって」
「そんなこと一言も言ってない!私は二酸化炭素をもらいたかっただけです!……もぉぉぉっ、あなたという人は
何でいつもそんなに自分勝手なんですかっ!早く返してください私のメガネ!」
「うるせーな、でけえ声出すとオ八ナちゃんにまたケンカしてるって怒られるだろーが!もう一回口ふさいでやるっ」
「んんーっ!……ちょっと、マノレコどこ触ってるんですかっ!やめてくださ……服を!服を脱がさないでー!」

彼らの冒険はさらに続く……。


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ エロガヌルイヨ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

ムジ力編の彼はまさかのワイルドさからきれいな涙まで色々おいしかったです。
そして受け受けしかったんです!(いつものことか) 
お付き合いくださりありがとうございました! <> ステイタスゲーム1/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:02:09 ID:DZSTUN290<> 浄化の盾中さんと鑑識中くんの電話番号ネタです。
最近、無事に交換できてたことが発覚したのでオメ記念に。
実際の掲載雑誌の内容は立ち読みだったため記憶になく、適当に捏造なので勘弁してください。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 今日の撮影スケジュールは一日、スタジオ撮りだ。
 ロケだろうとスタジオだろうと鞄のなかには必ず何か本を一冊。今は珍しく小説を読んでいる。
 お茶などの飲み物やちょっとしたお菓子が置いてある休憩スペースには新聞や雑誌の類が何冊か置かれていて、自他共に認める活字中毒である僕はそういったものも一通り手に取り、興味を引かれた記事には目を通したりしている。
 とりあえず持参した本は手元に置き、新聞は今朝目を通したので雑誌を物色する。
「……?」
 テレビ誌にしては紙質が違うと思った華やかなグラビアが表紙の雑誌は、いわゆるアイドル雑誌というやつだった。
 そうか、そういえばNSKDくんは今をときめく蛇二ー図のアイドルなんだっけ。
 最初、共演の話が決まったとき失礼ながら僕は彼のことをよく知らなかった。アイドルにも詳しくないし、歌番組なんかも見ない。
 二十代半ばの若い、関西出身のアイドルなんていうから、さぞかし派手派手しく賑やかしい子なんだろうと思っていたら予想に反してNSKDくんは物静かで控えめな子だったので驚いた。
 俳優としての評価も高く、アイドルとしては二つのグループに属しているという(なんでも彼の事務所では異例のことらしい)、なんだかもう別次元の生き物みたいな存在だ。
 きっと若い女の子がキャーキャー言いながら買っていくのであろう、キラキラしい若い男の子たちの写真が満載の雑誌を手に取り、アイドルNSKD量の顔を拝んでやろうじゃないの、と思いつつページをめくる。
 折り癖でもついていたのか、彼のグラビアが載ったページが一発で開いた。
 こちらに向かって白い歯を見せてにっこり笑った写真は、さすがはアイドルといった華やかな雰囲気がある。
 普段は少し哀愁があるというか、ちょっと憂いのある表情なのに笑うと途端に華やかになるのだ。その表情の落差は芝居をするうえでも効果的で、画面のなかにいると思わず目を惹かれる役者だと思う。 <> ステイタスゲーム2/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:04:28 ID:DZSTUN290<>  写真に埋もれて読みにくいインタビュー記事に目を通す。
 雑誌の取材でも作品や演技のことについて聞かれる俳優業とは違い、アイドルというのはファンの女の子が喜ぶようなプライベートな質問に答えたり、近況を語ったりと大変そうだ。
 記事を書き起こす記者が律儀に関西弁で文面を作っていることに笑いを誘われる。
「……うゎ」
 彼の素の口調のような関西弁で近況を語るその記事を読みすすめるうち、思わず驚きの声が漏れた。
 まさに今、撮影しているこのドラマについて語っているその記事で彼は僕のことをあけすけに褒めちぎり、さらに個人的に親しくなりたいというようなことまで言っているのだ。
 十一歳も年下のJアイドルに電話番号を教えてくれと言われたら、いったいどうすればいいんだろう。
 今まで僕の周囲の関西人は喋るのが上手でウケ狙いが大好きで陽気で気安いひとが多かったけど、NSKDくんは基本的におとなしいし自分でも言ってたけど人見知りが激しいらしい。
 確かに最近でこそ雑談くらいは気軽にするようになったが、最初のうちは撮影に必要なこと以外はぜんぜん喋らなかった。
 そんなNSKDくんがどんな顔をして僕に電話番号を聞きに来るのだろう。
 それとも、ここは大人の気遣いで僕から聞くべきなんだろうか。
 スタッフから声がかかるまで、ついに僕は持参した本を開くことはなかった。 <> ステイタスゲーム2/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:08:03 ID:DZSTUN290<>  SKIさんのことは以前から知ってはいたんやけど、きちんと出演作を観たのは名可村監督の映画にオレが主演させてもらうことが決まってからやった。
 名可村監督の作品に出演してる三本の映画のSKIさんは三本とも、まったくの別人みたいやった。
 役者なんやから当たり前って言えば当たり前なんやけど、役を自分に近づけるタイプの役者と、自分が役に近づく役者がおると思うねんな。
 SKIさんは完全に自分が役に近づくタイプで、しかも演技のパターンっちゅうかタイプっちゅうかが、変幻自在なんよ。
 かけあってる役者さんを際立たせるような演技もできれば、自分が圧倒的に場を支配する存在感を前面に出す演技もできる。
 監督の言うところの、受けの演技と攻めの演技の両方ができるのって、実は言うほど簡単なことやないと思う。
 もうオレはすっかりSKIさんのファンになってもうて、監督から色々話を聞いたり、ほかの出演映画のDVDを時間のゆるす限り観たりしてた。
 そしたら、その矢先に連ドラ出演の話が来て、しかも主演がSKIさんやって言うやん! もう、運命かって思ったもんね。
 実際、会うてみたらSKIさんはイメージどおりの穏やかで物腰の柔らかい笑顔の素敵な人で。
 主演俳優としての現場の雰囲気づくりなんかも細やかに気遣ってて、自分の映画の撮影現場を思い出して主演のオレがアレではアカンかったんやないか……ってちょっとヘコんだり。
 SKIさんは勿論、オレにも気さくに話しかけてくれんねやけど、キンチョーして上手く喋れんし、歴女で有名な餡ちゃんと平賀源内がどうの川上音二郎がどうのっていうオレの守備範囲外の話題で盛りあがってるのを一歩下がって眺めてた。
 それはそれでSKIさんと餡ちゃん、先生と生徒みたいやなあって感心して見てたんやけど。 <> ステイタスゲーム4/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:10:03 ID:DZSTUN290<>  連ドラの仕事が入ると、撮影以外にも取材や番宣なんかで忙しさが倍増する。
 普段から毎月、何誌ものアイドル雑誌の取材があるのに加えてテレビ雑誌の取材、グラビア撮り、インタビュー。
 テレビ雑誌の取材ではほとんどSKIさんと一緒やったから、そのおかげでだいぶ気楽に話せるようになったんが嬉しかった。
 基本、オレはキャラ作ったりすんのも面倒やから話してかまへんことやったらなんでも素のままで正直に話すんやけど、なんかの雑誌対談んとき、思わず「好きです」って言うてしもて……
 SKIさんは笑うてたけど、内心ドン引きされたんとちゃうんかなぁ……あー……ヘコむわー。
 十一コも年上で今や日本を代表する俳優さんとなんてどうやってお近づきになればええんか、さっぱりわからへん。
 メアドとか聞いたら引かれるかな……ちゅうか、SKIさんがケータイでメール打ってる姿が想像できひんぞ。電話番号とか聞いたら引かれるかな……あのひと、意外と天然やから真顔で『なんで?』とか言われそうやし。
 なんでって、仲良うなりたいからに決まってるからやないですか! とか言えるわけないし。
 だいぶ話せるようになったって言うても、SKIさんは台本はいつ読んでるん? て思うくらい待ち時間はだいたい文庫本やなんかを静かに読んでるから、なかなか自分からは話しかけづらい。
 せめてと思って本読んでるSKIさんのなるべく傍におってジャマせえへんようにおとなしく漫画とか読んでるんやけど、そのまったりとした空気感はなかなか心地いい。心地ええんやけど、もっと色々SKIさんと喋りたいなあっていう気持ちはある。
 基本人見知りやし、緊張しいやし、喋るん下手やし、面白いことなんも言えんし。関西人の標準装備や思われてるスキルが全部標準以下の自分が恨めしいわ…… <> ステイタスゲーム5/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:15:04 ID:WRydqW6w0<>  記録的猛暑のなか撮影の続いたドラマもついにオールアップを迎えて、打ち上げをすることになった。
 終わってみれば、気にしていないつもりでもやっぱりGP帯連ドラ初主演というのはけっこうプレッシャーだったようだ。
 数字としては良くはないが全体的に視聴率のふるわない時期ながら新作ドラマではトップというまあまあの結果が出たことにホッとした。
 打ち上げはほのぼのとアットホームなノリで、廉さんと餡さんがギターセッションで歌ったり、僕まで苦手な歌を歌わされたりと、賑やかで楽しい時間が過ぎて行った。
 キャストスタッフともにみんなこのドラマを愛していたし、ほんとうにいいチームだったと思う。
 またこのチームで仕事がしたいなあ、解散してしまうのは寂しいなあ……とほろ酔いのぼんやりした頭でしんみりと浸っていると、NSKDくんがビールグラスを片手にふらりと近づいてきてごく自然に僕の隣に座った。
 そういえば撮影中も、気づけば本を読んでいる僕の傍にいて漫画を読んでいたりと、まるで盾と駆動のように自然に寄り添う空気ができていた。
 どちらかと言うとNSKDくんは憑依型に近いタイプのようだったので、それも無意識のうちに役に入り込んでいるからだろうと思っていたのだが、僕も盾気分が抜けないのか彼が傍にいると一種の安心感というかしっくりくる感覚があるのだから不思議だ。
 劇中でもよく呑む役だったが、彼本人もけっこう呑むタイプらしい。日焼けした肌がほんのり上気して、できあがってるなぁという風情だった。
 寄せられる好意を知っていて、アプローチをかけてくるのは今か今かと観察しているような趣味の悪い優越感は、たとえるなら演劇の練習でやる即興劇のステイタスゲームで1番を引いたときの感覚に似ていると思う。
 あれからずっと、僕はNSKDくんに対して少なからずそんなふうに思っていた気がする。
 いつ、どんなふうに切り出してくるのかを楽しみにすらしていた。
 たぶん、彼が役から抜けてしまい、この心地良さが失われてしまったときにがっかりしないための予防線だったのかもしれない。
 自分の臆病さと大人気のなさに改めて呆れる。 <> ステイタスゲーム6/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:21:40 ID:WRydqW6w0<>  ポケットから携帯電話を取り出すと、それを開いて隣に座るNSKDくんの方へ身を寄せてないしょ話でもするように小声で囁く。
「ねえ、NSKDくん。もし良かったら連絡先とか聞いてもいい?」
「うぇっ?」
 NSKDくんがヘンな声をあげてグラスをひっくり返しそうになるものだから、思わず笑ってしまう。おかげで少しこわばっていた肩から力が抜けた。
「えっ、ちょ、マジ……ホンマっすか? あっ、いや、えっと、いややなくって、その、ちょお待ってくださ……」
 あわあわとジーンズのポケットをあちこち探るNSKDくんの慌てように、また笑いがこぼれる。
「酔っ払ってる? 大丈夫? 僕に番号教えたの覚えてなくて、電話かけたら誰っすか? とか言わないでね」
「大丈夫っす。今、完全に酔いが醒めました。て言うかSKIさんこそ後でメモリ見てこの番号誰のやったっけ、とかっていうのやめてくださいね」
 酒癖の悪さと記憶の失いっぷりはお互い様だ。思わず顔を見合わせて、クスクス笑い合う。 <> ステイタスゲーム7/6<>sage<>2010/12/14(火) 23:22:48 ID:WRydqW6w0<> 「あれっ、えっと赤外線の受送信てどこにあるんだっけ……久しぶりすぎて忘れた」
「マジっすか……オレやってもよければやりますよ」
「……お願いします」
 さすがはイマドキの若者。あっというまにデータの受送信を終えると電話帳の画面を開き、「オレのは『な』行んとこにフルネームで入ってますから」と丁寧に説明してくれる。
「うん。ありがとう」
 なんとなく照れくさくなってお互いへへっと笑ったところで、「こらぁ! 主役ふたりがそんな隅っこでなにコソコソしてるんですか、いやらしい!」という声がかかり、僕とNSKDくんは揃ってビクリと首をすくめた。
「そりゃあ、おっきい声では言えへんエロい話に決まってるやないですか」
 いい加減できあがってる酔っ払い集団に、NSKDくんはすっかり酔っ払っているふりで答えながら立ちあがる。
 うん、役者だねえ。
 スタッフのひとりに引っ張られていくその直前、僕を振り返ってNSKDくんはなんとも艶っぽく微笑んだ。
 果たして今、僕と彼のステイタスゲームの数字は同じなのか、それとも逆転したのか。
 これからそれを探り合っていくのが『盾と駆動』ではなくなった僕とNSKDくんの始まりなのかもしれない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

途中でナンバリング間違えたうえに、最後長すぎてはじかれたので1スレはみ出ました……orzショシンシャデスイマセン
鑑識中のグラビアページに折り癖をつけておいたのは、スタッ腐〜の誰かだと思います。 <> オリジナル バッティングセンター 1/6<>sage<>2010/12/15(水) 03:06:43 ID:jGE5SbKu0<> オリジナル、年上クール部下×おバカお子様年下上司ネタです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス!

久しぶりにやってきたバッティングセンターは、あまり混んでいなかった。もう遅い時刻だからか。
懐かしい。学生の時は、部活でへとへとになってもその後、こうやってセンターに通っては、何十球となく打ったもんだ。
「園川〜」
大体こういうところは、一番奥が難関なんだ。時速150キロくらいに合わせてたり、変化球がえげつなかったり。
「その、かわあ!」
そう、ランダムに内角を攻めてきたり、時々カーブでタイミングを外されて悔しい思いを何度もした。
「そ〜の〜か〜わああああ!!」
「うるせーぞ兄ちゃん!」
はて。
何だか呼ばれているような気がするが。
「バカ!お前俺を放置すんな!!」
ああ、確かにうるさい。お隣のゲージのおじさんに申し訳ない。
「……浅井さん……だから言ったでしょ、初心者には百キロ超は、キツイですって」
「てか、うぉっ!」
「ちゃんとボール見て!あと三球残ってますよ!」
ばすんと、身を乗り出したうちの上司の眼前を白球が走り抜けて、ゲージ後ろのマットにぶち当たる音がする。
危ないったらない。左打席に入ったフォームも腰が引けてて手は逆手だし、そんなんでよくここに来たいなんて言えたな。
全くの初心者だって胸を張るくらいなら、最初は一番簡単なはじっこのやつ、マシンにキティちゃんの映像が出るのにしときなさいって
言ったのに。
今日は出先から直帰の予定だった。上司と二人で現場視察に行った後のことだ。
最近俺に昼飯を貰ってばっかりだから、ラーメンでも奢ると上司が言い出した。俺もラーメンは大好きだから、その申し出はありがたく
受けることにした。
ジャンクなものばっかり食べてる上司の味覚を不安に思わないでもなかったが、行きつけと連れて行かれた店は確かに、結構うまくて
量もまあまああって。これまたラーメン好きらしい上司とギョーザとチャーハンも追加して、半分ずつ食べたりして。
で、その帰り道だ。 <> オリジナル バッティングセンター 2/6<>sage<>2010/12/15(水) 03:07:53 ID:jGE5SbKu0<> 「だっ……」
ダメだ。完全に振り遅れてる。
「ピッチャーが投げたら、もう振りなさい!当たらなくても!」
気付いたんだが、この人、運動神経は相当鈍いんじゃないか。
ラーメンって人を砕けた気分にするよな。何となく。食いながら珍しくプライベートの話になって、そうそうお前野球部だったよなとか
学生時代の話にもなって、その後そうだ近所にバッティングセンターがあるんだよねと、ここへ引きずって来られた。
職場から近いには近いのに、俺は初めて来た。へえ、と思った。
あーあ。これは機嫌が悪くなってるぞ。髪もぐちゃぐちゃだ。
上司はスーツの上着を俺に預けて、先にゲージに入ったんだが、俺のアドバイスを全く聞かなかったのがこの結果だ。
「あーもう、むずい!何だこれ…当たんねえー!」
三百円で二十球、相場としては安い。でもフルスイング二十回で、しかも一回もかすりもしなかったんだから余計に息も上がるだろう。
若いなあといつも思うが、それでもぜーはー言いながらベンチの俺の隣に尻持ちをつくように座り込む上司は、軽く汗ばんでいる。
あの柔らかそうな髪が乱れて、結構、色の白い頬にも赤みが。
「…はは、浅井さんにも苦手なもんがあるんスね」
「うっせえなあ。何だお前、高みの見物か」
差し出したコーヒー缶を上目づかいで受け取る。背は座ってても俺の方が高いんだ。
「まあ懲りましたか、見るのとやるのとじゃ大違いっしょ。大体フォームがおかしいんです、初心者は」
「だからなあ、お前教えもしねーで横から色々言うだけじゃん!マジ速いんだぞ、わかってる!?」
「知ってますよそんなの。無茶なんですよ、浅井さんが」
「……んじゃお前、打ってみろよ!」
「はあ?」
「口ばっかじゃなくて、見せてみろよ!見本!見本!!」
いや、ちょっと。確かにずっと野球やってましたけど、俺にだってブランクというものが。
上司はスタッフのおじさんに大声で、一番速いゲージはどこですかとか聞いている。無理だって、そんなの。もう何年もまともに
バットなんか振ってないのに。
「浅井さん、ちょっと、勘弁して下さいよ」
「ヤダね。お前が俺をバカにするからだろ」
「バカにしてるわけじゃなくてですね、だから初心者……」
「う・る・せ・え!」 <> オリジナル バッティングセンター 3/6<>sage<>2010/12/15(水) 03:09:16 ID:jGE5SbKu0<> ああやっぱり。コドモの機嫌を損ねていた。
ちょっとぼーっとしていた俺も、悪いけど。
だから、こういうセンターは一番奥のゲージが難関なんだ。何だって、時速百五十キロだと。
おいおい、半端なプロの投手より速い。誰だこれ設定してるのは。名物ゲージ、確かにそうだろうな。
「む、無理っすよ」
「上司命令」
「はあ〜!?」
「へっへっへ。何ぁんだ、打てたら俺がちゅーしてやるから!」
「…い、りませんよ!」
途端にニヤニヤしだした上司に完全に背中を押されるようにして、俺は殆ど閉じ込められるようにして、そのゲージに放り込まれる。
「よし三百円は、俺が奢ってやるからな〜」
「…楽しそうですね、浅井さん」
仕方ない。まあ久しぶりに打つのは楽しみだったし、俺は俺にとってずっと慣れ親しんだ、左打席に入る。
スーツの上着はさっきのベンチに置いて、腕をまくってメットを被る。素手で金属バットてのと、足元が革靴っていうのだけは違和感だ。
どん。その俺の前を、あっという瞬間に風と轟音が駆け抜ける。
「はやっ!はええ!!」
そのマットにすごい音と振動を残す時速百五十キロに、ゲージの外で上司がぎゃあと声を上げた。
うるせえなあ。わかってるよ。
マジで並じゃねえんだぞ。
マシンの腕が上がった瞬間構える。次の一球、その次の一球、俺は振り遅れた。
「…あ、当たんのか…」
がきんと固い音だけ残して、白球はコロコロとマシンの方向へ転がった。これじゃショートゴロが精いっぱいだ。
まだ振り遅れてるな。バットヘッドの回転が遅い。
俺は腰を落とす。来い、内角。
「っ」
呼びこめ!
「わっ」
内角は俺の得意だ。インハイなら、いくら速くてもついていける。
一球が鋭くマシン上のネットに突き刺さってからは、体が思い出した。
そうだ外角、低めは一歩踏み込んで流せ。インは引っ張る、真ん中高めなら腰の回転で、センター返しで。 <> オリジナル バッティングセンター 4/6<>sage<>2010/12/15(水) 03:11:05 ID:jGE5SbKu0<> 「……。」
カーブもナックルもチェンジアップも来ないなら、そうは。打ち取られやしない。
がきん、のヒット音が透き通って、鋭くきいんと響き渡るようになって。いつの間にか、ばらばらと打っていた他のお客さんもこっちの
ゲージの周囲に集まってきていた。
結局二十球打って、空振り二回、ゴロ六球。ヒット性の当たり十球、まずまずかな。
メットを脱いだら少しだけ、俺も汗をかいていた。息はまだ上がってないんだが、久しぶりに集中してた、俺もまだ若いな。
うん、久しぶりにいい感じだった。ちょっといい気分で、軽く腕で額をぬぐいながらゲージを出たら、あれ。
「…浅井さん?」
何で、この人固まってんの。
「俺の勝ち、ですかね」
「……おう」
もう空だろうに、さっきのコーヒー缶ずっと握りしめる様にして、何だ。いきなり静かになっちゃってる。
気のせいかさっきまで赤かった頬っぺたもひきつっている。髪はどことなく、警戒している猫の毛並みを彷彿とさせる。
いや全体的にそんな雰囲気で、兄ちゃんやるなあとか、さっきのおじさんに褒められている俺を見上げるようにして黙っている。
「中高大、ずっと四番だったんですよ、これでも」
「……。」
「自慢じゃないですけど、一応社会人野球部にも声掛けられたりしたくらいで……」
「……。」
あれ、いや、ほんとにどうしたんだ。
さっきまできゃんきゃん言ってたくせに、ここまでぐうの音も出ないようだと、こっちはいい気分よりも逆に心配になる。
「浅井さん?」
ぬっとスーツの上着を差し出したら、一瞬飛びのいた。おい、これはあんたのでしょうに。
冷えますよ、いいかげんもう冬が近いんですから。
何か変だ。
何だこれ。
俺が上着を羽織ると、ちょこちょことついてくる。一応、ついてくるのはついてくる。
実は官舎住まいな俺たちは帰る方向も一緒だから、どうしようかタクシー拾おうかとも思ったけど、まあいいか。
久しぶりに体がまだ疼いているから、歩きたい。
歩いていいですかね。多分三十分くらいかかるだろうけど。俺の歩幅についてくるのは、ちょっとホネかもしれませんけど。
大通りから住宅街の方へ抜けていくと、段々静かになってくる。見上げるとくっきりとした三日月だ。 <> オリジナル バッティングセンター 5/6<>sage<>2010/12/15(水) 03:12:34 ID:jGE5SbKu0<> そろそろ冬だなあ、と思う。
職場の大掃除もしなきゃな。
年末進行、めんどくせえな。
そしてとりあえず、まだ上司は黙っている。
「…浅井さん、どーしました、ホントに」
俺は、先を歩いていた。
あんまり静かなのでそこに居るのかって確認も含めて、首だけで振り向いたつもりだった、つもりだった。
「!?」
その瞬間だ。
ある街灯の真下で、肩をグイッと引かれたのは。
「……なあ」
「……。」
「マジで、ちゅーしなきゃ駄目、とか…?」
まだ上着を小脇に抱えたまま、上司は俺をその場に縫いとめた。
数秒間。
俺らの間にはただ何もない時間が流れる。
俺も固まってるし、上司も固まっている。さっきの警戒心の塊の猫みたいな雰囲気そのままで。
そう、その時思った。髪の柔らかそうな具合もそうだけど、この人はどことなく猫みたいだ。
くるくると表情が変わるし、上目づかいが得意だし。いや得意ってなんだ、俺がよくこんな顔を見てるだけなんじゃないか。
俺がよくこんな顔を、させてるのかも。
「……な、んの話…」
「さっきの。…イチオウ、オトコノヤクソクだし」
そこでふいっと唇を尖らせて、手を離した。ああ、とそこで俺は漸く合点がいった。
どうやら。どうやらこの人は、さっき言った冗談を馬鹿みたいに気にしてたらしい。そんなことだったのかと。
こっちは完全に忘れてたのに、何を気にしてるんですかと、俺は軽く笑い飛ばそうとした。でもまた少し、それには時間がかかった。
尖らせてる、その唇を見てしまった。見てしまったんだ。
きっと、柔らかい気がした。
「……い、要りませんよ」
そしてまたその、数秒後。
声、ぎこちなかったかな。俺の体はまだ固まってたから。
でもその声で上司はぱっと顔を上げた。ふにゃって、ああまたくるくる表情を変えて。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/15(水) 03:23:46 ID:RFMp9u/4O<> 支援? <> オリジナル バッティングセンター 6/6<>sage<>2010/12/15(水) 03:26:39 ID:jGE5SbKu0<> よかったーって、ちょっと、頭抱えてしゃがみこまないで下さい。大げさです、御近所迷惑な音量です。
それからあんまりそんなリアクションされたら、俺だってちょっと傷つく。知らないでしょうけども。
ぴょこっと飛び上がった上司はまたさっきみたいに、俺の背中をぐいぐい押しながら笑いだした。そんなことしなくても歩きますよ。
まあでも、そんな風なほうが、らしいですけどね。
「あー!でもお前すげえなあ!いやー見くびってた」
「……どうも」
「でも今度は勝つぞー。ナニ、お前ナニが苦手?」
は。苦手って。俺の顔を見上げてくる上司のいたずらっぽい顔は、次の街灯まで少し暗くて、目だけキラキラしてるのが余計目立った。
すげえ音痴ですって正直にぶちまけたときの、また嬉しそうな顔ったら。
コドモだ。コドモすぎる。
でも俺は、それが何度でも見たいのかもしれない。
「よし、次はカラオケ勝負だな!」
「……ちょっ、あのね、絶対に自分が勝てる土俵に持っていくのはやめて下さいってば!」
「今度ぁ俺が勝ったら、お前がちゅーし……」
「……は?」
「……、は、したら困る」
「俺だって困ります」
見続けたいのかもしれない。
少しダッシュ。わあわあ言いながら先を走っていた上司に追いついた。もう本当に夜も遅いんですから、静かにして下さいよ。
「……なあ、何か」
ぽつんぽつんの街灯の、またその一つの下で、思いついたように上司は首をかしげながら俺を見上げて、言った。
「俺ら、……意外と仲良くなってねえ?」
そう、その髪。きゅるっとした丸い目、見上げるそれをゆるく隠しているくしゃくしゃのそれ。
今は汗をかいた名残りで、柔らかくも少しねじれて乱れているけれど。
それに俺は手を伸ばしたくなる、そんな瞬間があるのを、もう自覚してるんだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ほのぼのドキドキが好きです。 支援ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/15(水) 07:36:11 ID:t2Qam3v00<> >>248
上司も部下もかわいいなあ!
気持ちがぬっくぬくになりました
ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/15(水) 19:48:19 ID:RuO3Je4VO<> >>248
続編ありがとうございます!凸凹あったかな二人大好きですw
「手を伸ばしたくなる瞬間」に期待しても良いですか…! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/15(水) 22:09:10 ID:pgPzwUvcO<> >>248
ものすごくGJ!萌え転がりました!!
もどかしさとどきどき感がたまらない!! <> 何処も<>sage<>2010/12/15(水) 22:32:16 ID:Ldku/whZO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

その瞬間、正樹は激しく動揺した。
実家で新しいスマートフォンをほんのちょっとだけ、自慢するだけのつもりだったのに。

「あら、いいわねぇ。貸して」

この少し年の離れた姉、朝霞に正樹は昔から頭が上がらない。
しっかり者で才色兼備を地で行く姉に、うっかり者で優柔不断な弟の関係性は
今も昔も変わらないのだ。

正樹が承諾を与える前に、携帯はすぐ朝霞の手の中におさまった。
(どうも、はじめまして)
正樹は彼の携帯がうやうやしく頭を下げるのを見て、やや複雑な気持ちになった。
そう、彼の携帯なのだ。そして、「なぜか」「正樹の眼にだけ」擬人化される携帯。
当初は激しく混乱した正樹だったが、最近はそれも受け入れていた。
世の中には奇跡のような偶然がある。それが今回自分に巡ってきたのだと思おうと、
(大層な押し問答の末に)そう、心の平安を求めるために結論付けた。
ただし、一応家族とはいえ自分以外の人間に彼の携帯が触れられるのは釈然としない。

なぜか。
<> 何処も<>sage<>2010/12/15(水) 22:37:26 ID:Ldku/whZO<> 正樹が思索を深める前に、彼の携帯は常ならず正座していた。
「いいじゃない。すごくいい。すっごくいい」と朝霞が画面で雑誌のページを手繰りながら言う。
朝霞ののフリック、ピンチイン/アウトの動きに合わせて、
彼の携帯が左を向いたり寄ったり引いたり動くのを見て、
思わず正樹は「何やってんだよ」とつぶやいていた。
元々はひけらかすつもりだったのが、今ではもう彼の携帯を取り戻したくなっている。
だって、自分のものだし。人に構われるのは落ち着かないし。
なんかいつもよりもハイになってるし(携帯なのに)。

姉はすっかり機能に驚嘆した様子で、「もっと前に会いたかった」などと言っている。
しかし、正樹はそれへの返事に耳を疑った。
彼の携帯がすっ、と姉に近づいた(ように彼には見えた)。

「今からでも十分間に合いますよ」

正樹は我知らず、「ちょっと返してよ」と口に出していた。彼の携帯が目で合図する。

『君、ちょっと静かに』

君ってなんだ、と正樹が地味に憤っているのも、もちろん彼の姉(と携帯)は気にする由もない。
朝霞は彼の携帯をカバンにしまいながら「ちょっと借りるね」と立ち上がった。
<> 何処も<>sage<>2010/12/15(水) 22:39:02 ID:Ldku/whZO<>
えっ!

正樹は一瞬途方に暮れた。このパターンに、幼いころ姉が友人と遊びに行く時に
よく置いて行かれたことすらついでに思い出した。なつい!いや、そうではなく。
彼の携帯が、正樹にだけわかるように『遅くなるかもしれない。いや、遅くなります』と伝える。
ええっ!ちょっと、ちょっとと正樹が引きとめるのも、昔通り、功を奏さなかった。

そうして、正樹はがらんとして感じる実家で先ほどの思索の続きを始める。
案外機械音痴の姉が操作方法を誤っているのではないかということと、
なんであの携帯のことがこんなに気になるんだろうかということを。

(なんだろう、この胸のもやもや…俺もついに胃酸の出過ぎか?)

〜そのころ港の見える丘公園〜
「あらっ。電池がもうない?仕方ないわねえ、正樹に迎えに来させちゃおうっと」
『(アプリの操作により、通話に支障が出るパターン。似たもの姉弟…zzz)』
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!続編タノシミスグル <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 06:54:43 ID:23F6IqjO0<> >>248
上司可愛いよ、上司!
読み返してはゴロゴロしてます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 12:00:23 ID:xiB2+f3YO<> >>241-247きもちわる… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 15:23:38 ID:tHVcBSEZO<> >262
君の存在ほどじゃないよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 16:54:01 ID:DJ1MIc4H0<> 気持ち悪いのなら無理して見なきゃいいのに。
専ブラもっているのなら、NG機能であぼーんすれば済むことなのに。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 21:17:06 ID:n4qVqBeUO<> >262
半年ロムるか絡みでやるかどっちかにしてくれ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 22:28:01 ID:iB6sEEfY0<> >>262
初心者乙 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/17(金) 22:33:26 ID:yiBp+qeQO<> つ >>213 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/18(土) 01:06:29 ID:JNhiqmy1O<> 何処喪いいよ言兼さんいいよ萌えたよ萌えた!!!!!!!!

ふおぅ(*´Д`)お出かけ後の様子も読みたいぃぃぃいいワッフルドゾ!つ### <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:01:23 ID:bPhVJ+EEO<> 続きのつもりで書いたが、内容が内容なのとこれでおしまいなのでオリジナルとして読んでいただけると幸い。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

真夜中に携帯が鳴る。
俺への『合図』
少しでも気が紛れるように1番好きなアイドルの着うたにしているのに、彼女の歌声でも俺の気分は全く晴れることがない。


いつものように、いつもの場所に向かう。
と、いつもなら有り得ない光景が目に入る。

彼の隣で、あの人が寝ていた。

「……」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:01:58 ID:bPhVJ+EEO<> 今までこんなことはなかった。
最初に俺が呼ばれた時にはいたが、それ以来はこういう状況で顔を合わせたことはない。

とにかく、起こさないようにそっとハヤテくんだけを連れ出そうと、彼とベッドの隙間に腕を入れて引っ張り出した。
しかし、手首を掴まれていたらしく、抱え込んだところであの人の手が高く上がって、掛けてあった毛布が大きく捲れ上がってしまった。

「……」

目を覚ましたあの人が虚ろな眼差しを向け、何事か呟く。

「す、すいません。すぐ出てきます」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:02:48 ID:bPhVJ+EEO<> ハヤテくんを抱え直そうとした瞬間、仕事中でも見られないような憤怒の表情で思い切り突き飛ばされてしまった。
突然のことに身構える余裕もなく、壁に強か叩きつけられた。

「ユウヒは俺のだ!」

痛む首を押さえて顔を上げると、あの人はハヤテくんをしっかりと抱きしめていた。
状況が全く分からないのは、頭を打ったからだと思いたかった。

「お前なんかにユウヒは渡さない!」

あの人の声が頭の中に響く。
目がチカチカして、すぐには動けなさそうだ。

「ユウヒは、渡さない」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:03:22 ID:bPhVJ+EEO<> 射抜かれそうなほどの強い視線。
あの人が抱えているのはハヤテくんなのに、繰り返し口にしている名前はお兄さんの方。
しかも、あの人自身があんな目に遭わせたというのに。
これではハヤテくんはますます傷ついてしまう。

「……何言ってるんですか?そこにいるのはハヤテくんですよ」
「ハヤテ…?」
「それに、ユウヒさんをあんな目に遭わせたのは……シンイチさんでしょう?」

後頭部が脈と同じ早さで痛む。
ぐっと足に力を込めると、痛みが早鐘のように鳴り響く。
今の俺にあるのは、『ハヤテくんを助けたい』ただそれだけの想い。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:03:53 ID:bPhVJ+EEO<> 「今更調子のいいこと言って、これ以上ハヤテくんを傷つけるのは止めてください」
「ユウヒ…?ハヤテ…?」
「もう1回言います。ハヤテくんをこれ以上傷つけないでください」

俺のどこにこんな勇気が眠っていたのだろう。
本業ですらまともにできていない俺なのに、ハヤテくんへの想いだけで、ここまで言えるなんて。

「ユウヒは俺が…?これはハヤテ…?」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:21:59 ID:bPhVJ+EEO<> あの人の腕からハヤテくんが転がり落ちた。
勢いでベッドから落ちそうになるのを、抱き留める。
こんな修羅場も知らず、すやすやと眠っている彼を見て、ふっと心が和む。
用意していたタオルケットにハヤテくんを包むと、茫然自失のあの人を放置して、部屋を出た。



自分の部屋に戻り、ベッドにハヤテくんを降ろすと、途端に足から力が抜けていった。
心臓が飛び出しそうなほど早い脈動を繰り返し、それに合わせて全身に響く頭の痛みが、意識を朦朧とさせる。
痛みのせいか、自然に溢れてくる涙のせいか、視界がぼんやりと霞む。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/20(月) 21:23:09 ID:bPhVJ+EEO<> 「ハヤテくん…もう大丈夫だからね…」

彼のしなやかな指に触れる。
同じ仕事をしているからこそ分かる、努力の証。

「これからは、ずっと……俺が守るから…」

痛みが段々尋常じゃなくなってくる。
暖房を入れているのに、ひどく寒く感じる。
唯一感じられるのは、柔らかな感触。

「ハヤテくん…大好き…」

言いたかったことがやっと言えた。
何度も言いかけて言えなかった、とてつもなくシンプルな言葉。
明日になったら、ちゃんと面と向かって言おう。
ハヤテくんはどんな顔をするだろう。

そんなことを考えながら、俺は深い眠りについた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

この後彼らがどうなるのか、ご想像にお任せします。 <> 雪見うさぎ・1 1/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:43:25 ID:vEEuT/9Q0<>  闇金ウシジマくんで柄崎×社長。エロありです。大いに捏造しております。やたら甘くて割とイチャついていて、雄っぱい多め。柄崎が幸せです。社長デレ成分多め。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 柄崎の母は食卓代わりの炬燵の上に乗った鍋の中から最後の一杯分をすくい、燗にした日本酒を水のように飲んでいる丑嶋に渡す。あまりにチビチビと注ぐのもまだるっ
こしいとおちょこから変えた湯呑を置き、丑嶋は湯気をたてる皿を受け取った。
 皿の中には長時間煮たてられてもふっくらプリプリとした鶏肉の塊が数個と、大きく切られたであろう白菜やらの野菜がたっぷり入っている。箸で鶏肉を持ち上げると、
皮と肉の間から美味しそうな汁が漏れだす。それを垂らしてしまわないように、箸を口に近付けるのではなく、口を箸に近づけて齧り付く。
 「うまい?」
 「うまい」
 柄崎の母が問うと、丑嶋は口をわずか開いて応えてくれる。口は夢中で動いているが、目はまっすぐ柄崎の母に向けられている。何とも素直で、実に食べさせ甲斐のあ
る男だ。
 温かいうちに丑嶋は皿の中身を美味しそうに食べつくすと、しばし皆で酒を酌み交わしながら歓談する。
 ここは千葉県船橋市の柄崎の実家だ。毎年年末になると、ここで柄崎と柄崎の母、それに丑嶋も含めて3人で年越しをする。部外者の丑嶋が年越しという特別な家族の
団欒の場に呼ばれるのはおかしな話だが、こうして3人で鍋などを囲みつつ酒を酌み交わすのは、もう何年も前から始っている。
 しばらく何気ない会話をしていると、昔馴染みの3人が集まれば自然と昔の話になった。
 「そうだ。アルバムを・・・」
 柄崎の母は立ち上がると、箪笥の下の段を漁って数冊のアルバムを持ってきた。
 「懐かしいなー」
 柄崎は適当にアルバムを選び、ページをパラパラと捲っていく。小学生以下の幼い頃の写真の記憶はないので、見ていてそれほど面白くもないが、古い写真を母親が後
生大事にとって置いてくれたことと、それを丑嶋のいる場所で披露するのが恥ずかしくもあり、嬉しくもあり、照れ笑いのような表情が浮かんでしまう。 <> 雪見うさぎ・1 2/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:51:38 ID:vEEuT/9Q0<>  丑嶋もアルバムを覗き込んできた。柄崎と丑嶋は炬燵の別の席に座っていたのだが、アルバムを持つ柄崎に近づいたことで互いの肩が触れ合う。外から流れ込む風で室
内も暖房をつけて炬燵に入っても寒いが、触れあった部分は熱をもったように熱く感じた。
 心臓の下の辺が締め付けられるような感じがして、柄崎は手に持っていたアルバムを丑嶋に渡し、それとなく別のアルバムを取る為に身を離した。
 手に取ったアルバムをめくると、最初のページの写真は中学校の卒業式の写真だった。写真自体は学校を卒業する際に卒業生に配られた物だ。映っている者が皆どこと
なく居心地の悪いような顔をしている。思春期真っ只中の少年少女達は、大人に言われて整った制服姿で棒立ちになり集合写真に写るのを良しとしていないのだろう。
 ましてや柄崎の通う中学校は素行の悪い男子生徒も多かった。特に柄崎は中学校では先生に目をつけられるファッションと素行の悪さをしていたので、いかにも「やっ
てられねェぜ」と不平不満タラタラの顔をしている。
 今でも20代前半だが、今より更に若く青い自分の不満顔に出会い、柄崎はバツが悪そうに中学時代の自分から目を逸らす。視線を滑らせて写真を見回すと、3年生で
も同じクラスだった丑嶋を見つけた。
 「社長、小さいっすね」
 小さく独り言を漏らしながら写真に写る丑嶋の姿を眺める。眼付は今と変わらず冷たく険しい。近寄るだけで噛みつかれそうな野性味溢れる瞳は印象的で、魅力的でも
ある。今の柄崎となんら変わらぬ坊主頭がその瞳と合わさって険しい雰囲気を際立たせているようにも見える。その険しさは半端な強さと不良としてのプライドしか持っ
ていなかった当時の柄崎とは一線を画し、若くして絶望と孤独を知っているような大人びた雰囲気もある。
 しかし、目から下を見てみると、大人びた雰囲気は丸く愛らしい少年の輪郭によって徐々にかき消されていく。それに加え、これまた愛らしい鼻が少年らしさに彩りを
添えている。唇は今と変わらず厚ぼったい紅色で、少年の幼さと大人の妖艶さを兼ね備えている。正直言えば、キスをしてやりたくなる良い唇の形だ。 <> 雪見うさぎ・1 3/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:52:29 ID:vEEuT/9Q0<>  写真は集合写真なので丑嶋の姿は小さい。だが、柄崎は今でも中学生時代の丑嶋の顔の全てを細部まで思い出す事が出来る。それはなく、当時から柄崎が丑嶋の行動に
常に気を配っていたからに他ならない。
 本物の丑嶋を必要以上に見つめれば嫌がられるが、写真の中の丑嶋少年はどれだけ見つめても文句ひとつ言わない。それこそ穴のあきそうなほど見つめてからページを
めくった。
 柄崎家の物だから当然のことだが柄崎と母親が映っているものばかりだ。それでも時たま丑嶋はじめ、これまた同じ学校で同級生の加納も映っている写真もある。それ
に学校が別なのに、何故か映っていることが多い同級生の戌亥もいる。しかも戌亥は丑嶋と一緒に映っている写真では、決まって柄崎よりも丑嶋に近い場所にいるのが癪
に触る。
 写真の中に丑嶋がいれば、また飽きもせず見つめる。そしてまた丑嶋の姿を探してページをめくるを繰り返し、柄崎は手に持っているアルバムの残り3分の1までのと
ころまで見進めていった。
 懐かしさを噛みしめ、大事にページをめくっていく。写真の中の丑嶋はどれも今と同じように仏頂面だ。写真という残るものなのだからもう少し愛想がよくてもいいだ
ろうと思うが、だがやはりこの仏頂面こそ丑嶋だと思える。
 「ん・・・?」
 柄崎の眼がグッと開き、一枚の写真に目が留まる。写真には丑嶋ともう一人映っているのだが、今まで何枚も見た中で、初めて丑嶋が軽く微笑んでいるのだ。口角を少
しだけだが上げ、目は他の写真より楽しげに細められている。どことなくぎこちない笑顔だが、そのぎこちなさがかえって魅力になっている。
 「珍しいな・・・。ああ、そうか」
 丑嶋だけに視線を送っていた柄崎は写真の全体像を見て、微笑の意味が良く分かった。写真にはぎこちなげに微笑む丑嶋と、丑嶋の足元で草を食んでいるウサギと、ぎ
こちなさなど微塵も感じさせない微笑みを浮かべる少年、竹本が映っていた。 <> 雪見うさぎ・1 4/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:53:22 ID:vEEuT/9Q0<>  写真をじっと見ていると、当時の事がおぼろげに思い出された。
 たしか、この写真は柄崎が撮ったものだ。近所の年上の男性に一眼レフを借り、素人ながらに腕試しのつもりで竹本と丑嶋に被写体になってくれるように頼んだはずだ。
 柄崎としては、内心では丑嶋一人を撮りたかった。だが、当時の柄崎がそんな事を素直に丑嶋に申し出ることができる筈もない。だから被写体として撮る価値のありそ
うな美少年の竹本と、丑嶋の飼い兎にも一緒に映る様に願ったのだ。単なる3ショットならば、丑嶋に何故被写体にならねばいけいないか、などと問われはしないだろう
と思いついたのだ。
 結果、珍しく微笑みを浮かべる丑嶋を映すことが出来た。おそらく、当時の柄崎はこのような柔らかい丑嶋の表情を見たのは初めてだっただろう。ファインダー越しに
見た微笑みは、今思い出しても眩しかった。
 柄崎はあの微笑みが、自分に向けられた物ではない事を知っていた。写真を撮るから微笑んでいるのではないことも重々承知していた。丑嶋の微笑みは、可愛がってい
る愛兎うーたんがいるからだ。そして何より、竹本が一緒に映っているからだろう。
 何となく小さな嫉妬が湧きあがってきて、アルバムを握り直すふりをして竹本が映っている部分に爪を立てた。写真に写る竹本の微笑みは、ほんの少しだけよれて歪ん
だ。
 少しだけ胸の詰まりがとれ、また次のページに進もうとページをめくろうとする。その時、室内の小さなラックの上に置いてある電話が鳴り始めた。
 「あら、はいはい」
 柄崎の母はどっこいしょと腰をあげ、電話に出る。柄崎も丑嶋も電話の音に反応して頭を上げる。だが丑嶋は当然のこと、随分と前から実家を出ている柄崎にとって、
自分に関係ない内容であることは間違いないので、またアルバム鑑賞にもどる。
 「はいはい、あらー、そう。でもね、今息子と友達が帰って来てるのよ。だから・・・、え?うん。そうね、今晩だけならね・・・。二人とも子供じゃないし・・・。
じゃあ、行くね」 <> 雪見うさぎ・1 5/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:55:00 ID:vEEuT/9Q0<>  電話口でどのような会話がなされたのか分からないが、母は機嫌よさそうに受話器を置いた。
 「ねぇ、貴明、丑嶋くん」
 「うん?」
 母に声を掛けられ、二人ほぼ同時に顔を上げた。
 「今の友達からでね、今から何人か集まるらしいから、今晩遊びに来ないかって誘われたのよ。行ってきて良いかい?」
 母が喋っている内容は何となく聞こえていた。今日東京に帰るなら留守番を頼まれても困るが、まだ新年明けても3日まではここにいる予定なので、断る理由は特にな
い。中々実家には帰ってこれないので母との時間も過ごしたいが、どうせ来年も帰ってこれるのだから、お友達と遊べるのを楽しそうにしている母を留まらせるのは可哀
想だ。
 「おう、行ってこいよ。いいですよね?社長?」
 「ああ。行ってらっしゃい、おばさん」
 息子が良いと言っているのだ。丑嶋は特に反論することもなく賛同した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 「じゃあ、貴明、お母さん行ってくるから、寝るときの戸締まりだけしなよ」
 「分かったよ。ガキじゃねェんだから・・・」
 母が準備を終えると、柄崎は荷物を車に積むのを手伝う為に外に出た。荷物は一泊分なので少なく軽い。だが古い写真の母と比べる間でもなく、少しだけだが年をとっ
たせいで小さく感じる母を労ってやりたくなったのだ。 <> 雪見うさぎ・1 6/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:56:34 ID:vEEuT/9Q0<>  荷物を車のトランクに詰め込んで、母が乗ると、車はゆっくりと家の駐車場から出て行った。
 手を振る様な真似はしないが、それでも安全運転で走って行くのだけは確かめてから家の中に戻った。
 サンダルを脱ぎ、玄関にあがり、ふと気がついた。
 母がいないということは、今晩は丑嶋と二人きりなのだ。母一人が住む借家だが、小さいながらも庭がついた一軒家だ。会社なら二人きりでも色々話題もあるのだが、
こんな場所で一体丑嶋とこれから一晩何をして過ごせば良いと言うのか。
 テレビは年末の大みそかだけあって、おめでたい雰囲気満載だ。だが大して面白い番組はない。ましてや、丑嶋が気に入りそうな番組などないだろう。
 かと言って、折角丑嶋と大晦日に二人きりなのだから、普段でも出来るようなゲームとかに興じるのも時間がもったいない気がする。それならば、何がしたいかと言え
ば、明確には答えが出し辛い。
 「何かないかな?」
 独り言を呟きつつ、先ほどのリビングに戻る。考えても名案は浮かんでこないが、何だったら丑嶋に何か見たい番組がないか、とか、何かしたいことはないか、とか聞
いてしまえば良いではないか。
 「ああ、まず鍋を片付けないとな」
 やりたい案は浮かんでいないが、取りあえずやらなければならない事は浮かんできた。
 急いでリビングに到着し、ドアを開けると廊下の寒さとは比べ物にならない温かい空気が顔を一気に火照らせた。その熱気の内の大半はまだ熱さが残る鍋の湯気なのだ
ろう。柄崎は炬燵の上に置いてある濡れ布巾を手に持ち、鍋の取っ手を掴んだ。
 「社長、鍋片付けま・・・・・・」
 鍋の取っ手を掴みながら丑嶋のいる方を見ると、そこには誰もいない。
 「社長?」
 何処へ行ったのか、と背筋を伸ばして丑嶋のいた場所を覗き見る。 <> 雪見うさぎ・1 7/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:57:53 ID:vEEuT/9Q0<>  「ああ、寝てるのか」
 誰もいなく見えたが、丑嶋は炬燵に入り、頭には昔柄崎がクレーンゲームで戯れにとったミッ○ィーのぬいぐるみを枕代わりに当て、眼鏡を外して床に寝転がっていた。
腹が一杯になったからか、一人でつまらなかったのか、かなりの量の酒を飲んでいたからかも知れない。だがどんな理由にせよ、無防備な寝姿に柄崎の心臓はドキリとし
てしまった。
 「う・・・んむ」
 寝ている丑嶋の口から寝息のような寝言のような小さな声が漏れた。また柄崎の心臓が脈打つ。今度は先程よりも大きく脈打った。
 「うわ、かわい・・・じゃなくて、社長、こんな所で寝たら風邪ひきますよ」
 鍋を下ろし、丑嶋の肩をポンポンと叩く。すると丑嶋はまた小さい声を漏らした。
 「むぅ・・・」
 丑嶋は眠さを訴えるように身を捩る。頭はミ○フィーに擦り寄り、短い頭髪がぬいぐるみの柔らかい毛に埋もれた。
 ミッ○ィーの白い毛とは対照的な黒く硬そうな髪の毛。触ってみたくなり、柄崎は寝ている丑嶋の傍らに座り、そっと手を伸ばした。
 「社長、起きて下さい」
 一応場に合った事を言いつつ、親指と人差し指で一本の毛の先を摘まむ。本当は頭を撫でたいのだが、そんなことしたら起してしまうし、丑嶋を怒らせないか心配だ。
 「ん・・・」
 丑嶋の瞼がピクピクと震えた。柄崎はとっさに手を離した。だが丑嶋は瞼を痙攣させるばかりで起きようとしない。痙攣するまぶたに合わせ、まつ毛もフルルと揺れた。
 先程までやりたいこともないと思っていた柄崎だが、急にやりたいことが出来た。このまま丑嶋に襲いかかってしまいたくなってしまったのだ。
 しかし、そんな事をすれば、首の骨が折れそうな位に殴られるかもしれない。それでも柄崎の湧き出た性欲は数秒で何倍にも膨れ上がり、自分でも困る程になってきた。 <> 雪見うさぎ・1 8/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 00:58:46 ID:vEEuT/9Q0<>  「本当に起きて下さいよ。寝るなら布団敷きますから。社長、起きないと・・・、キスしちゃいますよ」
 常に周囲に気をやり、警戒心が強い丑嶋にしてはあり得ない程の無防備さだ。それだけ柄崎家にいることに安心感を感じていてくれているのだろうが、もう心の中に狼
が出現してしまった柄崎とっては安心感を感じれるなんて無茶なことだ。
 それでも何とか冗談交じりに自分自身も誤魔化す為、おどけてキスを迫ってみた。
 けれども、丑嶋は起きるどころか寝返りをうち、柄崎に背を向けてしまった。
 「起きないんですか?本当にしちゃいますよ」
 背を向けられて少しショックをうけ、柄崎はやや強引に丑嶋の顔に己の顔を近づけた。
 近くで見ると、肌のきめの細かさが良く分かる。まじまじ見つめていると、また丑嶋の瞼が痙攣し、間髪開けずに眼が開いた。
 「んん・・・、柄崎、お前何してんだ」
 「社長、お、起きたんですか」
 もう少しで丑嶋と唇と唇が触れ合ってしまいそうな距離にいた柄崎は面食らい、離れようとした。だが丑嶋は別段慌てるそぶりを見せず、開けた眼を細めて口角を上げ、
微笑を浮かべた。その微笑みは中学校時代の微笑みと同じ不器用さで、視線を反らせない魅力があった。
 「柄崎、・・・・・・するか?」
 丑嶋が挑発するような言葉を吐く。大人っぽい言葉と反対に表情は寝起きの無防備な感じで、柄崎は抗えずに頷き、丑嶋の唇に吸いついた。
 「んっ」
 丑嶋の唇は柔らかい。吐息は柄崎と同じ物を食べていたとは思えぬほど甘く、唾液は頭の芯を蕩けさすほど美味しかった。柄崎は合間合間に丑嶋を呼びつつ、夢中で唇
を貪った。 <> 雪見うさぎ・1 9/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 01:00:23 ID:vEEuT/9Q0<>  「社長っ、好きです」
 夢見心地で丑嶋の口内を舌で探索し、柔らかい舌を吸いつくさんばかりに絡めとる。寝起きの丑嶋の舌は柄崎と同じように激しく動いてはくれないが、それでも懸命に
柄崎の動きについていこうと蠢いている。その健気さと淫媚さが柄崎を煽り、舌の動きは更に激しさを増す。
 「ん、おっ、柄崎、もうキスはいいから」
 舐めまわされて柄崎の唾液まみれになった丑嶋の唇が先を急ぐ。柄崎はそれに応えるべく一旦キスを止め、丑嶋に覆いかぶさる体勢になるように自分も炬燵に入り込ん
だ。
 「社長・・・」
 改めて丑嶋と向き合い、腰に腕を回し、服に包まれた胸の間に顔を埋めて頬ずりする。服の布地を通して逞しい胸板の感触が分かる。筋肉で隆起した左右の胸に顔を挟
まれた状態の心地よさは、巨乳の女性に擦り寄るよりも精神的にも肉感的にも良いものだった。
 しかし、どれだけ心地よくても服の上からでは物足りない。柄崎は丑嶋の服を持ち、ゆっくりと上にたくし上げていった。
 完全に脱がせると丑嶋が嫌がるので鎖骨のあたりで止める。だがそれだけでも丑嶋の生の胸は十分視線を楽しませてくれる。 グッと盛りあがった左右の胸の間には薄
くだが筋肉による谷間がある。きめの細かい肌は美しく、炬燵に蒸されたせいで桜色に色づいている。
 特に色づいているのは、小指の爪もないであろう乳輪の先端にある小さい乳首だ。そこはすでに目印のようにぷっくりと立ち上がっていた。
 「柄崎、いいから触れよ」
 丑嶋の言葉に促され、柄崎は両手を胸板に当て、グッとめり込ませた。 <> 雪見うさぎ・1 10/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/21(火) 01:01:05 ID:vEEuT/9Q0<>  「んんっ」
 堪らず丑嶋が呻くと肺に空気が入って胸が膨らみ、柄崎の指を弾き返そうとした。柄崎は負けじと指に力を込め、胸板を揉みこんだ。手のひらには硬くなった乳首がコ
リコリと当たる。いやらしい感触に手を刺激され、柄崎は勃起した乳首を摘まんで左右別々の方向に引っ張った。
 「あっ、はっ」
 柄崎と重なり合っている丑嶋の足が震えだす。それと連動するように肩が緩やかに波打ち、丑嶋は絶え間なく吐息を漏らす。乳首は引っ張られてさらに尖り、痛々しく
柄崎の指の中で弄ばれていた。
 
 [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
 雄っぱい!雄っぱい!YES!!続きはまた今度・・・。スペースお借りしました。ありがとうございます。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/21(火) 05:23:36 ID:NCdYLQL0O<> >>276さん
やったあぁぁぁ!!炬燵でいちゃいちゃきた!!!
姐さんいつも素敵なSSありがとうございます。早めのクリスマスプレゼントですね。続き楽しみに待ってます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/21(火) 18:19:28 ID:cFjpngbpO<> >>276
いつも乙です!
うたた寝しちゃう社長ハァハァ(´д`*)
DVD BOXおまけマンガで柄崎×社長に改めてときめいたので、タイムリーに禿萌えしました。

いつも本当にありがとうございます!
続きを心待ちにしております!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/22(水) 00:30:45 ID:F0zQ9lY2O<> >>276
うさまくらならぬうさぬい枕にふいた&癒された <> クリスマスの思い出1/10<>sage<>2010/12/22(水) 16:52:07 ID:EXY0jvxU0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | |  |> PLAY.     | |
 | |                | |           ∧_∧ 退カヌ媚ビヌ省ミヌ
 | |                | |     ピッ   (*´ω`*)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

長兄×末弟
クリスマス話。
既にこの作品をどこかで見た人がいるとしたら、申し訳ない。 <> クリスマスの思い出2/10<>sage<>2010/12/22(水) 16:53:32 ID:EXY0jvxU0<> トキが検査入院する事になった。ジャギはもう随分家に帰ってきてないし、一応ケンシロウがメールで尋ねたが、
「クリスマスも年末も帰らね」という返事だった。今年の年末年始はラオウと二人きりだ。これは初めての事だ。
そして、トキもジャギもいないという事は、ケンシロウが御馳走を作らなければならないという事だ。
昔からこの家ではクリスマスの御馳走は手づくりと決まっていた。
リュウケンがいた頃はリュウケンが、リュウケンがいなくなればトキがつくっていた。
そして今、トキがいないのでケンシロウがつくるという事になるのだ。ラオウがつくる、という選択肢は最初からなかった。
ラオウは料理を作る気はさらさらなかったし、ケンシロウもラオウが料理を作るなどあり得ないだろうと思っていたので、
これは至極のことであった。
そこでケンシロウが小豆を煮たりしている間、ラオウはテレビなど見ていたのだが、
「ラオウ、クリスマスツリーはどこだ」
「…何?」
確かにこの家では昔クリスマスツリーを飾っていたが、ケンシロウが中学生になったあたりからもう飾らなくなった。
「そんなことより早く作らぬか」
「ツリー」
今すぐ天将奔烈を放ってやろうかと思ったが、久しぶりにツリーを出すのも悪くはないと思ったので、
ケンシロウを物置に連れて行ってツリーを出させてやった。

ツリーは案外小さかった。いや、2m近くあるかなり大きい物だが、
最後に見た時はまだケンシロウの背は伸びきっていなかったので、その時から比べると大分ツリーは小さく思えた。
ツリーを見ていると、ラオウに箱を押しつけられた。身覚えのある箱だ。床に置いて開けてみると飾りが入っていた。
電飾など、今やすっかり街の電飾は発光ダイオードなので、懐かしい。
それ以外にも色々年代を感じさせるものばかりだった。全部飾りつけると、何故か星が一つ余った。
ツリーの頂上につけるものだ。このツリーに合うサイズのものの他にもう一つ、小さめの星が余った。
なんだろう、と星をじっと見つめていると、
「前のツリーだ」
「?」
「このツリーの前は本物の樅であったが、うぬが物心つくかつかないかの頃に枯れおった」
そう言われると何かそういう物を見た事があるような気がした。
「それは…どんなツリーだった?」 <> クリスマスの思い出3/10<>sage<>2010/12/22(水) 16:55:05 ID:EXY0jvxU0<> 「大体この高さ位だったわ」ラオウは手で示した。
ケンシロウは思い出した。そして呟いた。
「…トキ」
「?」
「トキに…貰った」

ずっと昔、ケンシロウは、自分の身長より遙かに高いツリーを見上げて、その頂上の星をじっと見ていた。
そうしたら、トキが「はい、ケンシロウ」とくれた。俺は「ありがとう、兄さん」と言った。

「…それだけか?」
「?…ああ」
何かラオウが少し不機嫌になったような気がした。
しかし元々何を考えてるのかよくわからない男なので、ケンシロウの気のせいかもしれなかった。
「つまらぬ事を言っている暇があったら、さっさと続きを作らぬか」

ケンシロウの記憶は正確ではない。
ケンシロウがツリーを見上げて座りこんでいた―それは事実だ。しかし。

ケンシロウはツリーの星をじっと見ていた。
「ケンシロウ、あの星が欲しいの?」
ケンシロウは頷いた。
「取ってあげるよ」
しかしトキの身長では天辺に届かなかった。それを見ていたラオウが黙って星を取ってケンシロウに差し出した。
しかし、立ったままのラオウが差し出した星は、座っているケンシロウには届かない。
トキはラオウの手から星を取ると、ケンシロウに「はい、ケンシロウ」と差し出した。
ケンシロウは星を受け取ってじっと見ていた。
「ケンシロウ、兄さんにお礼は?」
そう言ってトキはケンシロウにラオウへ注意を向けさせた。
「ありがとう、兄さん」
ケンシロウはラオウを見上げて言った。

そういう事だったのだ。 <> クリスマスの思い出4/10<>sage<>2010/12/22(水) 16:57:00 ID:EXY0jvxU0<> 晩餐は普通だった。赤飯とスープとステーキ。
今までのクリスマスはサラダや刺身があったけれど、ラオウが「いらぬ」と言うので止めた。
ラオウのステーキは2枚。いつもの事だ。「固い」と不満を言っていた。確かにトキの方が上手いのは認める。
ケーキを食べる前に「きよしこの夜」を歌った。いつもの事だ。
リュウケンがいた時は5人で、トキやジャギがいた時は4人で歌った。
しかし今日は二人しかいないので2人だけで歌った。不協和音を奏でた。

ケーキを切るのはラオウの仕事、いつもの事だ。いつもラオウが切って自分だけやたらデカイピースにする。
去年はラオウが1/4ピース取って、残りの3人は1/12ずつだった。
この家ではケーキは常に二日に分けて食べるので、そういう仕様になっている。
今日もどうせラオウが5/12で自分が1/12だろうと思っていると、意外にもラオウは半分にしたケーキをさらに半分にした。
一応片方が心持ち大きくはあるけれども、上に乗ってる苺の数は3と3で同じだった。
もちろんラオウが大きい方を取って、小さい方をケンシロウに渡した。
「…」
どういう風の吹き回しだろう、とケンシロウは思った。ラオウの行動とは思えなかった。
ラオウが、ケーキを大体とはいえ、等分するなんて。
ラオウはケーキにフォークを突き刺し、そのままむしゃむしゃと頬張った。
相変わらずだな、とケンシロウは思った。
ラオウはラオウで、相変わらずケンシロウは無表情で不味そうに食べているな、と思った。

食事が終わってもラオウは後片付けをしない。いつもの事だ。ケンシロウは一人で後片付けをして洗い物をする。
ラオウはテレビを点けるかな、と思ったが、部屋に戻ったようだった。歯も磨いてないのに何をやっているのだろう。
ケーキにラップをかけ冷蔵庫に仕舞い、皿や赤飯を炊くのに使ったガラスの器を洗う。
割れると面倒なので慎重に洗う。
ようやく終わったのでテレビでも見るか、と思ったが、
例年ならいつもクリスマスのレコードをかけていた事を思い出し、レコードを探してかけた。 <> クリスマスの思い出5/10<>sage<>2010/12/22(水) 16:58:14 ID:EXY0jvxU0<> レコードを聴きながらツリーを見上げる…と言っても頂上の星でさえほとんどケンシロウの目の高さと同じぐらいだ。
ケンシロウはツリーの下に座った、それでも子供の頃より大分小さく見える。ツリーが当時より大きいとはいえ。
腹這いになる。大分子供の頃に戻ったようになった。ぼすん、と何か柔らかい物を投げつけられた。
見上げるとラオウだった。

「何をやっておるのだ」
「…」
体を起こしてぼすん、と投げつけられた物を見る。
「これは…」
以前ケンシロウはラオウとゲーセンに行った。
いや、よく二人でゲーセンに行って大会に参加したり対戦したりするのだが、
その時は対戦が終わった後UFO キャッチャーをしてみようではないかという事になった。
とりあえず挑戦してみたが、秘孔を突く要領でいくらでも景品が取れるので面白くなって二人は取りまくった。
一つの機械からあらかた取り尽くした後で、次にやたらデカい縫いぐるみが一つだけ入っている機械が目にとまり、
これに挑戦しようという事になった。
これはなかなか難しく、ケンシロウがいい所まで持って行ったのを最終的にラオウが取った。
ケンシロウが物欲しそうな目で見ているのに気がついたが、いや、気がついたからこそ、ラオウはケンシロウにあげなかった。
ラオウはこのぬいぐるみは趣味が悪いと思っており、欲しくなどないが、
弟が欲しがっているとわかるとあげたくなくなるのだ。ケンシロウは可愛くないから。
それ以来、ケンシロウはラオウの部屋にゲームをプレイしに来る度にぬいぐるみを一瞥し、
物欲しそうにぼふぼふして帰ったが、絶対にラオウはケンシロウにあげなかった。

「…どういうつもりだ」
「うぬにやる」
「何故だ」
今日のラオウが機嫌がよかったようには見えない。いや、むしろさっきの会話で機嫌を損ねたんじゃないかと思うほどだ。
料理だって「トキの方が美味い」と文句ばかりつけていた。なのに何故。
「嫌ならやらぬ」
「!…誰もそんな事は言っていない」そう言ってケンシロウはラオウに獲られまいと縫いぐるみを抱きしめこんだ。
「…それだけか?」
「…何が」
「サンタクロースには礼を言わぬか」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/22(水) 17:03:02 ID:x6Ueg2lqO<> ごめん規制ひっかかった <> クリスマスの思い出6/10<>sage<>2010/12/22(水) 17:27:38 ID:EXY0jvxU0<> お前のようなサンタクロースがいるか、とケンシロウは思ったが、確かにこれはクリスマスプレゼントであるが故、
礼を言うのは道理。改めてもらったぬいぐるみをじっと見る。
改めて見るとやはり念願かなって手に入れたのはうれしい。
自然とケンシロウの口元に笑みが浮かんだ。
「ありがとう、兄さん」
ケンシロウはその表情のままラオウを見上げて言った。
それをラオウは変な顔でじっと見ていたが、部屋に帰っていった。
レコードはとっくに終わっており、中心の何もない所をずっと針が引っ掻いていた。
ラオウは何がしたかったのだろう。

ケンシロウは部屋に戻ると、改めてぬいぐるみを確認した。うむ、やはりいいものだ。
ぬいぐるみというより、この熊とも犬とも判別がつかぬ謎の生き物が寝そべっている背中に座るのが正しい用法に思えた。
どうやら二人分の座布団である事を想定しているようだが、ケンシロウにとってはこれで一人がゆったり座れるサイズであり、
もう一人ケンシロウが座るというのは少し窮屈であるように思えた。
それにしても、さっきのラオウは随分妙な顔付きをしていた。
あの表情にどこかで見覚えがあるとケンシロウは思った。昔海に行った時だろうか、いや違う、もっと昔、木の下で…。
「あ」
ケンシロウは思い出した。あの時星をくれたのは、
「…ラオウ」
渡してくれたのはトキだったが、取ってくれたのはラオウで、自分の礼も、ラオウに対して向けたものだった。
その晩、ケンシロウは年甲斐もなくぬいぐるみを抱き込んで寝た。
それは製作者が想定した用法ではないように思われた。

ラオウは先ほどからなにやら胸のあたりが曖昧な感じがして眠れなかった。
強いて形容すれば、不快である、とラオウには思えた。

何故あのような恩知らずに優しくしてやったのか、自分でもよくわからなかった。
特に先ほどケンシロウに礼を言われた時から胸のその不快な感じが強くなった。
しかし不快と言っても別にケンシロウを殴り倒したくなるような不快さではなく、
何故か不快な筈なのに何度もケンシロウに礼を言われた事を思い出してその感情を反芻した。

ラオウは自分の感情を完全に取り違えていた。 <> クリスマスの思い出7/10<>sage<>2010/12/22(水) 17:29:04 ID:EXY0jvxU0<> 次の日。
前日はクリスマスイブだったので、今日がクリスマス本番である。
しかし二日連続で御馳走を作る―という事はなく、基本的に普通の料理と、昨日の残りのケーキを食べるだけである。
そこでまたケンシロウが言い出した。
「蝋燭」
「…何?」
「蝋燭」

昔クリスマスに夕食をとる際には電気を消して電飾と蝋燭の明かりだけを楽しんでいた。
しかし、ある時、何の弾みだったかは忘れたが、ラオウが突然激怒して怒りの余りテーブルを叩き壊し、
蝋燭の火が辺りに燃え移って慌や大惨事となる所であったので、それ以来しないようになっていた。
ラオウはまたか、と思う。この弟の尊大で我儘な態度には常に不快にさせられてばかりだ。昨日もそうだった。
しかしやはり自分は北斗の長兄なので教えてやった。
「トキの部屋だろう」

ケンシロウはトキの部屋に行った。
トキの部屋に入るのは何年振りだろう。
ラオウの部屋にはゲームをするために入り浸っているものの、トキの部屋には子供の時以来入った事はなかった。
トキの部屋は調度品が品よく並べられており、落ち着いた雰囲気だ。
自分の部屋があちこちに不要な紙くずや読み終わったジャンプが散乱して散らかっているのとは大違いである。
ガラス扉の棚の中に蝋燭はあった。棚を開けるといかにもアロマ的な香りが漂ってきて、自分とは違うなと再認識する。
蝋燭、というか蝋燭が載っている燭台ごとそれを取ると、ケンシロウは居間に戻った。

電気を消して、蝋燭の明かりとクリスマスの電飾だけで食事する。
二人だと会話という物が無く、ただ黙々と食事をする。たまにラオウが「トキの料理の方が美味い」と文句を言うだけ。

トキがいたなら、うまい事会話が発生するのに。
自分からは話そうとしない俺とラオウ。確かに会話が無いなら無いでいいし、その方が気楽だと俺は思うが。
しかし。ずっとトキが退院するまでラオウと二人きりなのか。上手くやっていけるのだろうか、ふとケンシロウは思った。
そう、もしトキの病気がもっと悪化したら、ずっとこの家でラオウと二人きりになる。
ゲームをしている時は良くても、それ以外の時はどうにも楽しくない。ラオウは何を考えているのかわからない。
激昂しやすくて、気紛れである。 <> クリスマスの思い出8/10<>sage<>2010/12/22(水) 17:30:09 ID:EXY0jvxU0<> ケーキを半分くれたり、ぬいぐるみをくれたりしたのもきっと気紛れに違いない。トキなら、トキがいたなら。
トキなら俺の考えていることもラオウの考えていることもよくわかって、適切な対応をしてくれるというのに。
もう食事は終わって、昨日の残りのケーキを切る段になった。ラオウがケーキを切ろうとした時、ケンシロウは「トキ…」と呟いた。

ドガッシャアア

ラオウが拳で食卓を殴りつけて食卓を粉砕した。
ケンシロウはラオウが拳で食卓を殴りつけた瞬間我に返って咄嗟にケーキと燭台を掴んだが、
それ以外の食器は崩壊した食卓と一緒に床に落ちた。
この家ではこういう事の対策のために、割れないアルミ製の食器にしているので、
調子っぱずれな甲高い音を立てて食器類が床に転がった。
「ラオウ、いきなりなんだ」
ケンシロウは不機嫌である。ラオウの怒りの原因がとんとわからぬ。
しかしラオウはケンシロウがまるでわかってなさそうな顔をしているのにより一層腹を立てた。
「うぬは口を開けばトキの事ばかり…トキトキトキトキ煩いわ!!」
「一回しか言ってない」
「そんな事どうでもよいわ!」
「…何故トキの事でラオウが怒るんだ」
ラオウは、実際の所自分でも何故こんなに激昂したのかよく分かっていなかった。
「トキの心配をしていいのはこの北斗の長兄だけ!うぬにそんな権利などないわ!」

またラオウが無茶苦茶な論理を持ち出してきた、とケンシロウは思う。
トキがいたなら、この暗号みたいなラオウの思考回路も立所に解読してくれるのに。
俺にはラオウの考えている事が理解できない。俺ではラオウが理解できない。理解したくても、わからない。
理解したいのに、わからない。トキでないと…。

ケーキと燭台を持って黙って立ち尽くすケンシロウを見て、
ラオウは、何故この弟は自分を腹立たせるような事ばかりするのだろうと考える。
何故目の前に俺がいるのにトキの事を考える?この世紀末覇者では不服だと言うのか。
北斗二千年の歴史の中で最も華麗な技を持つ男でなければ駄目な物があると言うのか。
ラオウは、本人が気付かないだけで、酷く自尊心を傷つけられたような気がしていた。
能天気に点滅を続ける電飾が虚しかった。 <> クリスマスの思い出9/10<>sage<>2010/12/22(水) 17:31:25 ID:EXY0jvxU0<> ラオウは自分の求めているものがわかっていなかった。
なぜ「弟が自分の思い通りにならない」から腹が立つのか。本当は弟に「どうしてほしい」のか、全く分かっていなかった。
ラオウはケンシロウ目掛けて剛拳を振るったが、ケンシロウはそれをスッ…と躱した。
ラオウは驚いたが、ケンシロウはもっと驚いた。

『悲しみを背負った人間のみに許される究極奥義…それが無想転生』

ラオウはケンシロウがそれほどの悲しみを背負っているとは思えなかったし、その原因も思い至らなかった。
ケンシロウもそれは同じだった。自分に究極奥義を使えるほどの悲しみがあるとは思えなかった。
ラオウはケンシロウが無想転生を使用できるほどになった哀しみの原因はなんだろうと少し考えたが、わからなかった。
それから大分経って、ラオウの方がその場を去ろうとした。ケンシロウは
「ケーキ」と言った。
「うぬにやる」
そう言って振り向かずに電飾の明かりの届かない闇へ消えた。

ケンシロウはケーキと燭台を持ったまま立ち尽くしていた。

ラオウは自分で自分がわからない。自分の望みがわからない。弟にどんな理想を求めているのかもわからない。
こういう時はゲームに限る。

ドンドンッ

ラオウが自分の部屋でゲームをしていると、ドアを足でノックする音がした。今家にいるのは自分以外にはケンシロウしかいないのだから、弟に違いない。
「開けろ」
「自分でやらぬか」
「開けろ」
「忙しい」
「開けろ」
開けてやった。右手に食いかけのケーキが載った皿を持ち、
左手に燭台を持って左脇に昨日やったデカイぬいぐるみを挟んでいるケンシロウが立っていた。
ケンシロウはラオウにケーキを押しつけると、無言でズカズカ部屋に入ってきた。 <> クリスマスの思い出10/10<>sage<>2010/12/22(水) 17:32:12 ID:EXY0jvxU0<> 今来るという事は、食卓の後始末も食器洗いも済ませていないに違いない。
家事を済ませないでゲームをしに来るとは何という怠け者だろうか。
ケンシロウは持ってきた燭台を机の上に置き、火を点けると、電気を消し、床にぬいぐるみを置いて「座れ」と言った。
ラオウは遠慮しないで座ったのでこのぬいぐるみの本来座るべき位置である背中をほとんど占領した。
ケンシロウは座るとは想定されてない頭部分に座った。そしてゲームを始めた。
しかし、ケンシロウがゲームに身が入っていない事は明らかだった。
さっきから最初のクリボーに激突して死んでばかりいる。
尤も、さっきまでのラオウも最初の穴に落ちて死んでばかりいたので似たような物である。
ラオウはゲームをしているケンシロウの横顔をじっと見ていた。
ケンシロウはテレビを見ていても、ほとんど見ていない。どこを見ているのか。何を見ているのか。
ラオウはさっき渡されたケンシロウの食いかけのケーキをフォークで適当に切ると、ケンシロウの口元に押しつけた。
ケンシロウは一瞬嫌そうな顔をしたが、結局ケーキに噛みついてむしゃむしゃと食べた。
ラオウはケンシロウがケーキをむしゃむしゃ食べて飲み込むまでをじっと見ていた。
ケンシロウが食べ終わるとまた差し出した。ケンシロウはまたもぐもぐ食べた。
それを繰り返している間、ラオウはずっとじっと見ていた。
そうしているうちにケーキが無くなった。ラオウは生クリームが付き残っている皿とフォークを舐った。
視界の端でそれを見て、ケンシロウも生クリームが付き残っている自分の口元を舐った。
そうすると、ラオウがいきなり口づけしてきた。
「ん」
マリオが、と思ったが、ケンシロウもすぐ目を閉じた。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/22(水) 17:34:48 ID:x6Ueg2lqO<> ごめん規制ひっかかった。
後はAAだけなんだが <> クリスマスの思い出11/11<>sage<>2010/12/22(水) 17:35:26 ID:EXY0jvxU0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (*´ω`*)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/22(水) 18:13:30 ID:Skw4eYmM0<> >>301
規制に負けず投稿乙でした <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/22(水) 23:45:55 ID:X7bo5Ls00<> 毎回なんだろうこの笑いと萌えが入り混じった気持ちw
乙乙

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/23(木) 02:22:57 ID:qg/cP5BnO<> 歌うとかマリオとかゲーセンとかもうねwww
本当失礼ながら、文体アレなのに物凄く萌える <> 幻の雪 1/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:00:53 ID:TmFG360F0<> リバ注意! ヒカアキのちアキヒカになります

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

十二月も半ばを過ぎ、市ヶ谷駅を行き交う人の足もどこか忙しなく感じられた。
改札を潜ったヒカルは風の冷たさに首をすくめ、ミリタリーコートのジッパーを閉めた。
市ヶ谷近辺はオフィスビルが多いせいか、クリスマス間近だというのにイルミネーションで彩られるわけでもなく、いつも通り殺風景だった。
それは日本棋院も同じだ。碁界の総本山が華やぐのは松の内くらいのものだ。
もうすぐ人生で十七回目のクリスマスが巡ってくる。アキラと同棲を始めて早半年。
今年のクリスマスは家族とケーキを食べ、シャンメリーを飲むような子供っぽいイベントではない。
生まれて初めて恋人と過ごす聖なる夜なのだ。そう考えると心が浮き立ち、自然と歩調も速くなった。
ヒカルは一気に坂を登り、日本棋院に飛び込んだ。
有楽町線の車内と同様、ここも暖房がよく効いていた。
ヒカルはコートのジッパーを開け、エレベーターに乗り込んだ。
六階の大広間ではまだ大勢が打っていた。ヒカルは自販機でC.C.レモンを買った。
「なんだよ、進藤。今日手合いねーだろ?」
和谷の声だった。和谷はヒカルが缶を取り出す前に、自販機に硬貨を入れ始めた。
「聞いても無駄かもしんねーけど、一応聞いとくな。お前、来週の二十四日空いてる?」
「クリスマスイブ?」
ヒカルはプルトップを開け、喉を潤した。
「そう。オレんちでクリスマスパーティーやろうかと思ってんだ」
「ワリィ、その日はずーっと前から先約が入ってんだよね」
「だと思ったよ、バカップル」
和谷が馬鹿にしたように鼻で笑った。ヒカルが言い返そうとした時、大広間から伊角が現れた。
「あ、伊角さん!」
伊角を見るなり、和谷は尻尾を振らんばかりの勢いで駆け寄った。
「伊角さん、今度のクリスマスパーティーなんだけどさ、やっぱ進藤はだめだってよ。
もういっそ二人で過ごさねえ? な、そうしようぜ伊角さん」
ヒカルは時計を見て、そろそろ頃合だなと思い、階段で五階に下りた。
以前、アキラが風邪気味で手合いに出た時、対局室にのど飴と粉末のしょうが湯と長ネギを持っていったことがあった。
風邪を引いた時はネギを首に巻くといいと佐為も祖父も言っていた。 <> 幻の雪 2/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:03:04 ID:TmFG360F0<> 対局の間中、記録係とアキラの向かいの芹澤九段の視線が絶えずちらちらとこちらに向けられた。
検討後、アキラは鼻声でもう二度と対局室にネギを持ってくるなと怒鳴った。
以来、ヒカルはなるべくアキラの邪魔をしないよう、対局中は対局室に入らないようにしていた。
角を曲がると、ちょうど寂光の間からアキラと乃木九段が出てきたところだった。
ヒカルは棋譜を見せてもらった。アキラの二目半勝ちだった。
「すげえ、さすが塔矢」
乃木九段は無言でエレベーターに乗り込み、さっさと帰ってしまった。
「進藤、今日はキミの手合いはなかったはずだが」
「お前を迎えに来たに決まってんだろ」
アキラは人目を気にするように周囲を見回した。すでに記録係などは階下に下りていた。
「晩ご飯、何がいい?」
アキラが安堵した様子で聞いた。
「久しぶりにナポリタン食いてー。ケチャップどばどばのやつ」
「わかった。じゃあ、スーパーでウィンナを買わないとね」
アキラは「スパゲッティまだ残ってたよね」と独りごちながらエレベーターのボタンを押した。
ヒカルはその細い手首を握ると、アキラを引き寄せ、キスをした。
「進藤」
アキラがヒカルの肩を強く押した。ヒカルはキスはやめたが、手首は放さなかった。
「誰もいねーんだからいーじゃんか」
「そういうことは帰ってからにしてくれないか」
「帰ったってお前なかなかヤラせてくれねーだろ」
「声が大きい」
アキラが鋭く睨んだ。
「オレは別に聞かれたって構わねーけど」
「ボクが困るんだ」
エレベーターのドアが開いた。アキラが荒々しい足取りで乗り込み、ヒカルもそれに続いた。
「ちぇっ、結局すんげえ好きなのはいつもオレのほうなのな」
ヒカルは後頭部を壁にごんとぶつけ、ため息をついた。
「ボクだってキミのことが好きだ」
アキラがコートを羽織りながら反論した。
「だといーんだけど」
エレベーターの照明は少し黄ばんでいて、なんだか寂しい気分になった。 <> 幻の雪 3/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:05:09 ID:TmFG360F0<> 「ボクがどれほどキミのことばかり考えていたか知らないからそんなことが言えるんだ」
「ほんとに?」
ヒカルは横目でアキラを窺った。アキラの横顔はどきっとするほど真剣みを帯びていた。
「そっか、オレのことばっか考えてたんだ」
ヒカルはアキラの黒髪に顔をうずめた。
「馬鹿、もう一階だ」
エレベーターのドアが開いたので、ヒカルは渋々アキラから離れた。
「なあ、ちょっと寄りたいとこあるんだ。付き合ってくれねえ?」

タカシマヤタイムズスクエアの地下一階は仕事帰りのOLで賑わっていた。
「早く選べよ」
ヒカルは肘でアキラをつついた。
「進藤に任せるよ」
洋菓子店のショーウィンドウにはたくさんのクリスマスケーキが並んでいた。
ルビーのように真っ赤なものから雪のように真っ白なものまで様々だ。
ヒカルは一番クリスマスらしい雰囲気のイチゴの載ったケーキを選んだ。リボンとトナカイの飾りつきだ。
予約を済ませると、ヒカルはアキラを連れて新宿駅近くのゲーセンに向かった。
「またプリクラを撮るのか? この間も撮ったばかりじゃないか」
アキラは不満そうだったが、ヒカルは気にしなかった。
「あれは初めて一緒の指導碁の仕事が入った記念だろ。今日は初めてクリスマスケーキを予約した記念」
ヒカルは重たい垂れ幕をめくり、アキラを中に押し込んだ。硬貨を入れて一枚撮ったあと、「塔矢」と呼んだ。
「なんだ?」
アキラが振り向いた瞬間、唇を割って舌を入れた。
「……ん」
周囲が垂れ幕で遮られているせいか、アキラは抵抗しなかった。ヒカルはさらに奥深くまで舌をねじ込み、手探りでボタンを押した。
舌を絡めたままもう一枚撮ってから、今度はアキラのズボンのジッパーを下ろした。
「進藤、やめ……」
アキラが言い終わる前に、ヒカルは指をなめ、アキラの奥まったところに入れた。
十円玉大の少し硬い部位を指で押すと、アキラの口から悩ましい吐息が漏れた。
「……はっ……あぁ」
ヒカルは敏感な個所を刺激し続けた。アキラはプリクラ機に手をつき、膝を震わせた。
「……んぅっ……ふっ」 <> 幻の雪 4/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:06:58 ID:TmFG360F0<> 我慢できなくなったヒカルは、すぐにジーンズのジッパーを下ろし、怒張した自身を突き入れた。
「……あっ……あぁっ……しんどう……しんどう」
アキラの声が一段と切なくなった。ヒカルはタイミングを見計らい、腕を伸ばしてボタンを押した。アキラが達し、精液が放たれた。
画面が白く濁った。アキラは手をついたまま、肩で荒く息をしている。画面にはアキラのイった瞬間の顔が収まっていた。
ヒカルはティッシュで画面を拭うと、それを選び、分割せずに一枚のプリクラにした。
「塔矢のエロい顔ゲットだぜ!」
「どうしてキミはこんなことばかり熱心なんだ」
アキラはズボンのジッパーを上げ、髪を整えた。
「碁だって熱心だろ」
ヒカルは言い返したが、アキラの返答はなかった。

一週間後の二十四日。ヒカルは研究会のあと、タイムズスクエアでケーキを受け取り、山手線に飛び乗ってマンションに帰った。
「お帰り、進藤」
テーブルにはすでに料理が並んでいた。
ローストチキンやローストビーフは売り物だが、ホタテのカルパッチョやニョッキのトマトソースがけ、ブイヤベースは手作りだった。
ヒカルは「すげえ、すげえ」と言いながらすべて平らげた。デザートのケーキも天国にいるような味わいだった。
「塔矢、プレゼントがあるんだ」
ヒカルは咳払いをしてから小さな箱を渡した。
「なんだろう、碁石かな」
アキラは中身を確かめるように箱を振り、それから蓋を開けた。中に入っていたのは「オレ」と書かれた一枚の紙きれだった。
「他にいいの思いつかなかったんだ。お前の誕生日にエルメスの財布あげただろ?」
「うん、とても嬉しかった」
「あれに二十何万使っちゃって正直もう貯金がなくてさ」
「値段なんかどうでもいいのに」
「だって緒方先生って平気でお前にブランドもんプレゼントするじゃん。対抗したくなっちゃうのはしょーがねーだろ」
「ボクはキミがくれるものならなんでも嬉しいよ」
「オレ、頑張るから。お前をイカすためならなんだってやるから」
「実はボクもキミにプレゼントがあるんだ」
アキラはポケットから小さな箱を取り出し、ヒカルに渡した。ヒカルは急いで蓋を開けた。
中には「ボク」と書かれた紙きれが一枚入っていた。
「塔矢……」
ヒカルは嬉しさのあまり言葉を失った。 <> 幻の雪 5/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:08:29 ID:TmFG360F0<> 「キミの誕生日に扇子をあげただろう? でも、キミはあの純金製の扇子を一度も使ってないよね。
だから、もうあげるものはボクしかないと思ったんだ」
「いや、違うんだ、塔矢。もったいないから使ってねーだけなんだって」
ヒカルは慌てて言い訳した。だが、実際のところ、純金製の扇子など凶器にはなっても涼を得るためには使えない。
「西陣織の紋付の羽織にしようかとも思ったんだけど、キミの家の家紋を知らないし」
「オレだって知らねーよ。そうじゃなくて、塔矢、ほんとすげえ嬉しい」
「ボクもキミがもらえて嬉しいよ。早速プレゼントを使ってもいいかな?」
「いいぜいいぜ。ここでやる? それとも風呂場でソープごっこする? なんならベランダでもいいぜ」
「ボク、上になりたいんだけど」
「え? えええええええええええええええええっ?」
 ヒカルは驚いた拍子に椅子から転げ落ちた。
「上? お前が上?」
「だめかな?」
アキラがちょっと悲しげな顔で首を傾げた。その姿はとても愛らしく、またこの上なく官能的だった。
「オレがお前の頼みを断れるわけねーだろ。でも、お前が上って、マジかよ」
「キミ、前に言ってたよね。すんげえ好きなのはいつも自分のほうだって。ボクも同じくらいキミが好きなんだってことを証明したいんだ」
「塔矢、そこまで思い詰めてたのか……。わかった、オレも男だ。下になるよ」
ヒカルは「ははは」と笑いながら立ち上がった。内心は緊張のあまり胃が引っくり返りそうだった。
いつもアキラにしていることを自分がされるのだ。果たして入るのだろうか。
「大丈夫だ、進藤。ボクもネットでいろいろ調べた。キミにつらい思いはさせない」
「すげー、かっけー塔矢」
ヒカルはもう一度笑ったが、かすれた声しか出なかった。
「進藤」
アキラがカエルを睨むヘビのような凄みのある表情でヒカルの肩に手を置いた。
「塔矢、顔がこえーよ」
「そうか。たぶん、緊張しているんだと思う」
「だろうな」
アキラの顔が近づいてきて、唇同士がそっと触れた。ヒカルはいつもの癖で自分から舌を入れた。
だが、今夜はアキラに主導権がある。ヒカルはされるがままになった。アキラはヒカルの舌を絡めとり、前歯をなぞった。 <> 幻の雪 6/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:10:08 ID:TmFG360F0<> そのうち、アキラの手が伸びてきて、カットソーの中にするりと入った。アキラのひんやりした指が左の乳首をなでた。
すぐに反対の手も伸びてきて同じように右の乳首をなでた。
ヒカルは最初、アキラの乳首に比べて、自分のはいくら刺激しても硬くならないのではないかと思った。
だが、アキラがキスをやめ、乳首をなめ出したとたん、衝撃がどくんと体を走った。アキラは強く吸ったり軽く歯を立てたりしている。
普段ヒカルがしていることだった。同じことをされただけで、下腹部がじんわりとうずいた。
「この体勢じゃつらいな。進藤、寝室に行かないか」
アキラが腰を伸ばし、ふうと一息ついた。ヒカルはその首に抱きついた。
「お前に入れてー」
「進藤」
アキラの声は硬かった。
「わかってるよ」
ヒカルはぱっと離れた。アキラはリビングの照明を落とし、寝室に向かった。ヒカルも続いた。寝室は暗く、豆電球しか点いていなかった。
「なあ、電気点けちゃだめ?」
「だめだ」
アキラは明るい部屋でセックスすることを嫌がった。一度、無理やり押し倒したことがあったが、碁石の詰まった碁笥で思い切り殴られた。
ヒカルは諦めて裸になった。アキラは脱いだ服をきちんと畳んでいる。ヒカルは覚悟を決め、ベッドに横になった。アキラがベッドに乗り、マットレスが軋んだ。
どきどきしながらじっとしていると、乳首が口に含まれた。アキラはヒカルの乳首を舌先で転がしながら、反対を指でつまんだ。
「……あっ……んんっ……塔矢」
ヒカルの腿にアキラの熱いものが当たった。ヒカルのそれもアキラに負けず劣らず猛っている。
不意に、アキラが口を離した。サイドテーブルに手を伸ばし、がさごそと何かを探している。
サイドテーブルにしまってあるのはローションにバイブ、ローター、エネマグラ、ディルドだった。すべてヒカルがネットで買ったものだ。
さすがにいきなりバイブやディルドはやめてほしい。ヒカルの不安は杞憂に終わった。アキラが探していたものはローションだった。
ぬるぬるとした指がヒカルの穴に入れられた。
「……ひっ」
あまりの冷たさに腰が跳ねた。
「すまない、びっくりしたか?」
「あー、ちょっとだけな」
「違和感がなくなったら教えてくれ。次は二本だ」
アキラは指の出し入れを続けながら、ヒカル自身に舌を這わせた。 <> 幻の雪 7/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:11:58 ID:TmFG360F0<> 「……はっ……あぁっ」
アキラにくわえられ、しごかれるだけでめまいを覚えた。だが、限界まで近づいた時、突然解放された。
「……とーや」
「先に達してしまうと肛門の締まりが強くなってしまうらしい」
「そーかよ」
あまりに直球な物言いにヒカルは少しばかり興をそがれた。しばらく、くちゅくちゅと卑猥な音だけが寝室に満ちた。
「……塔矢、もう平気かも」
「わかった」
指が二本に増えた。
「……んぅっ……あっ」
穴は閉まろうとするのに、指は強引に押し広げる。じれったさのせいで穴が余計に敏感になり、粘膜が裏返るような快感が突き抜けた。
アキラは睾丸をしゃぶったり、手で転がしたりしている。段々と頬が熱くなった。
その時、アキラが指を曲げた。体がびくっと反応した。
「ここがキミの前立腺だ」
「……あっ……塔矢……やめ……やめろ」
ヒカルは拳を握り、閉じたまぶたに押し当てた。亀頭から先走りが溢れ、根元まで伝った。
「知らなかったよ、キミは感じやすいんだな」
アキラが亀頭に唇を当て、ちゅうと先走りを吸った。
「……ひっ……い……やぁっ」
「キミはよくボクのことをエロいだなんて言うけど、キミのほうがよっぽどいやらしいんじゃないのか?」
アキラはそう言うと、また亀頭を吸った。指は相変わらず前立腺を押し続けている。
「……い……いや……塔矢……やだ……やだっ」
ヒカルはさらにきつく目を閉じた。口を開けたまま荒く呼吸しているため、舌の表面が乾いていた。
「もうそろそろかな」
指が抜かれた。そんな些細な刺激だけでもヒカルの体は喜んだ。
足が開かれた直後、ヒカルの中にアキラが押し入ってきた。
「……あっ……あぁっ……塔矢っ」
アキラは想像以上に力強かった。苦しそうに喘ぎながら、それでもずちゅっずちゅっとヒカルを突き上げた。
「……あっ……あんっ……んんっ」
「……しんどう……しんどうっ」
「……とーや……いい……いい」
ヒカルは絶頂が近いのを感じ、果てるのを待った。だが、なかなか訪れない。 <> 幻の雪 8/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:13:16 ID:TmFG360F0<> 大波は押し寄せそうになるたびに引いていく。しだいにヒカルの中で快楽が倦怠感に変わっていった。
「とーや、も、イキたい」
「……ん」
ヒカルは自身に手を伸ばし、しごいた。長く待った分だけ反動もすごかった。
「……ひっ……あっ……あぁぁぁっ」
内臓ごと精液が飛び出したようなすさまじい感覚に襲われ、ヒカルの頭は痺れた。
「……しんどうっ」
すぐにアキラもヒカルの中で果てた。二人とも重なり合ったまま、しばらく動かなかった。
繋がった部分は境がわからないほど熱くなっていた。
「進藤」
アキラが自身を抜き、ヒカルにキスをした。
「どうだった、よかったかな?」
「すげー気持ちよかった。お前ってやっぱ器用なのな。なんでもできちゃうんだな」
「そんなことないよ」
「料理だってうまいし」
「キミだってうまいじゃないか」
二人はしゃべる合間に貪るようにキスをした。
「今度からは交替制にしないか? それなら平等だろう?」
「やだ!」
ヒカルはがばと跳ね起きた。
「今日は特別な日だからOKしたんだ。オレはお前に入れたいの。お前をヤリたいの。お前を犯したいの」
「わかったよ、わかった。ボクが下でいいよ」
「よっしゃ」
「でも、キミだってかなり感じていたんだろう?」
「う……そうだけどさ」
「そうだ、こうしよう。ボクの誕生日とクリスマスだけ役割を交換するんだ」
「うーん、お前がどうしてもって言うなら仕方ねーけど」
「よし、決まりだな」
「なあ、塔矢」
ヒカルはアキラの肩に頭を載せた。
「来年のクリスマスも再来年のクリスマスもずーっと一緒にいような」
「当たり前じゃないか。ボクたちはこのまま大人になっていくんだ」 <> 幻の雪 9/9<>sage<>2010/12/23(木) 20:15:09 ID:TmFG360F0<> アキラがヒカルの背中に腕を回した。
「お前、どこにも行くなよ。勝手に消えるなよ。一生オレのそばにいろよ。
もし死んじゃったらオレに取り憑けよ。オレも死んだらお前に取り憑くから」
「おかしなことを言うんだな、キミは」
「だって寂しいだろ。お前のいない人生なんてオレは耐えられねー」
「ボクもだよ、進藤」
ヒカルは顔を上げ、アキラにキスをしようとした。すると、アキラがくしゅんとくしゃみをした。
「どうした、寒いのか?」
ヒカルはアキラの体に毛布を巻きつけた。
「あ、進藤、見ろ。寒いはずだ、雪が降ってる」
アキラが窓を指さした。窓の外をぼたん雪が音もなく降っていた。
「雪? 十二月に東京で?」
ヒカルは驚いて膝立ちになった。
「不思議だと思わないか、進藤。雪も碁も何千年も前から変わらないんだ。きっとボクも何千年経ってもキミを愛し続ける」
「とーやー」
ヒカルはアキラを押し倒した。
「オレが上になっていい?」
「日付が変わるまでボクが上だ」
「ちぇっ」
ヒカルはアキラと一緒に毛布にくるまった。空気が冷たくなればなるほど、二人の体温は熱くなるようだった。

翌日、新聞に東京の初雪を知らせる記事はなかった。テレビの天気予報も同じだった。
あれは幻だったのだろうか。それとも……。

(完)

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/23(木) 22:08:53 ID:AtkckSso0<> >>305
乙、すばらしいリバをありがとう…しかもヒカアキのアキヒカで! <> 未だ 1/4
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/24(金) 02:03:24 ID:gQJIz/fl0<> 生。☆と元アフロネタ。ホノボノ路線というか肩すかし路線で。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

だからお前と、色々したいんだけど、ってストレートに言ったら、こいつは俺の肩に頭を乗せたまま黙っていた。
「…あのさ」
返事はない。動きもしない。
「ねえ…」
ちょっとずつその頭と腕の重みが、俺の中に現実感とは違ううねりを生み出していた。
ゆっくり息をしているな、とか。指が肩に食い込んでるな、とか。
耳に当たる髪が少し冷えてて、それが何だか気持ちいいな、とか。
まるで現実じゃないみたいだった。
ガラス窓越しに、いつもお前が歌うボーカルブースのマイクが見えていた。ヘッドフォン越しに俺らはよく話した。
そんなことを思い出していた、目の前にその姿は無くて、今はガラスに俺とお前が映っている。
「…あのさあ」
やっと言った声は、呆れたように聞こえた。
「シンタ君、デリカシー無いとか言われねえ?」
「……は?」
イテ、痛て、ちょっと。あのさ、頭ぐりぐりするのやめてくれないかな。頭突きみたいになってんだけど。
「タクヤ、痛いってば」
「ホントにさー、ちょっとさー、モノには言いようってのが…時と場合とかさあ!?」
「…った、あ、ちょっと待って、て、おいって!」
首、首くびクビ、締まってる!関節技になってる!墜ちるぞ、おい。
「……いいけど」
意識とぶかと思った。あー、考えたら流石に、殴り合いのケンカはしたことないかな、って、あれ。
「……え?」
ばたばた手を、タクヤの腕を掴むようにして俺はもがいていたけれど、お互いそこでぴたり動きが止まった。
俺は俺で、またガラスの中の自分と目が合う。バカみたいな顔をしてる。
後輩に細い目だとか言われてるけど、今はそれを目いっぱい見開いて、まるでバカみたいな。
ゆっくり一度、息を吐いた。 <> 未だ 2/4
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/24(金) 02:04:42 ID:gQJIz/fl0<> あの、俺の言ってたのは多分、おそらく、お前の思ってることと違うんだけど、って。でも言わなかった。
俺はお前と人生のことを考えてて、そうずっとお前の相棒でいたいなとか、そんな意味だったんだけど、もう。
もうこうなったら、どれでも同じことだと思う。
もう一度、ゆっくり深呼吸。
なあ今さら、慌てても。
十七年ですよ、何せ。
最初はとげとげしてて、お互い第一印象よくなかった。お互いガキでしたね。
俺が組もうって押しきったときも、結構お前渋ってたよね。
ソロから帰ってきた時、どうにも俺に我慢がならないこともいっぱい言ってくれたな。
そんなこと全部含めた何かが、俺の中で皮膚をつきあげる様になった。熱いなあ、とそう思った。
ソファにひっくり返って俺の全体重を受け止めながら、タクヤは俺の息が熱すぎる、と言った。そうだな。
でもお前のもそうだよ。キスしたらわかるよ。
さっきの関節技が、今はまるで切ないってでもいうみたいに、背中を締めてきた。
耳を噛む。首を噛む。
喰われてるみたい、ってかすれた声。
息を押しつけるみたいに肌にあてる。
俺の舌が熱い、って、今度はため息と一緒に。
「…あ、あ、ちょ、でもちょっ…、ちょと、待った!!」
ふっと、また別の意味で意識が飛びそうになったその瞬間だった。
「痛っ!!」
痛い、また!
「なっ…な、何、タクヤ!?」
今度は髪!!
マジ鷲掴みだ。さっきまで背中にあった指が、俺の髪をめちゃくちゃ引っ張って引きはがす。
いっ、ちょっ、ハゲる!ヤメロ!アフロじゃなくてもハゲるから!!
意識がくっきり現実に戻った。
そういつもみたいに。いつもと違ったのは、お前の方。
そっくり返った俺は冗談でも何でもなく痛くて、ちょっと視界は涙で滲んでた。そのせいかな。
いや、それだけのせいじゃないとは思ったけど。
お前の目も蛍光灯の光を受けて、ゆるく柔らかく、潤んでいた。 <> 未だ 3/4
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/24(金) 02:06:37 ID:gQJIz/fl0<> 俺は少し茫然として、それを見下ろしていた。髪の色が好きだ。その冷たさも。
ジャケットの襟で跳ねてる、それがたまらなく好きだ。
とか。思ったりしながら。
「……何、タク、ヤ」
「……ここはダメでしょ、ね」
「……。」
ぼそり。現実。
くっきり戻った意識は、理性は、俺の頭の中で騒ぎだした。確かに、確かに俺は、こんなとこで何を。
ここは俺のプライベートスタジオじゃないんだ、った。事務所も会社も近いんだった、だから。
ここで問題を起したら即ばれる、ああもう一気に色んな人に。
血の気が引いてしまって黙りこんでしまった俺にタクヤは、まだ俺の腕の中にいるくせに、逃げようともしないくせに、
なのに常識的なことをぼそぼそと喋り続ける。
まだ誰かいるかもしれないとか。鍵かけてないとか。事務所も会社も近いんだとか、うん、うん。
「それに」
「……。」
「……。」
「…それに?」
「か…」
「…か?」
「か!!」
今度は耳がやられる!近い、近いんだから叫ぶなっての!!
いくら惚れてる声でも、怒鳴られて鼓膜が刺激されないわけじゃない。一瞬きいんとなった。
思わずそれを押さえ込んで逃げ腰になってしまう。
「……考えたんだけどっ!」
「何を!」
「俺、絶対声出るし!」
「……。」
で、ナニこっちを恨めしそうに見るんかいね。知らんよ、そんなお前のアレコレとか、流石に。
「はぁ……で」
「つか、……出したいし」
「……!」
ぐ。 <> 未だ 4/4
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2010/12/24(金) 02:08:04 ID:gQJIz/fl0<> 「……だから、ココはさあ、マズいんかも、って……流石にさ」
それには、ちょっと俺も、来ましたよ。何かが。何て言うのか。
上目使うなって、そんなキャラかい。いや、計算でそういうキャラやることはある、のは知ってるけども。
だからって俺に通用すると思うなよ。何年それを傍で見てきて、犠牲者に心の中で手を合わせて来たか。
通用しねえ。しないんですよ、タクヤ、しないよそんな手は。
「……。」
だー。なっさけねえ。
心の中で呟いてても、結局一番俺が、これに弱い。
お前を目の前にすると焦る。何て答えようか混乱する。何だって、何時だって、一番俺が、お前を裏切りたくない。
体は熱くて、心も汗だく。もう直ぐ冬で良かったのかも。
「ろり、あえず」
「あ?」
か、噛んだ。ええいままだ。
「……とりあえず、ちょっと考えようか」
多分お前は呆れる。退くのかよって言って、結局最後そこを飛び越えるのは俺なんだって、なあ。
お前の期待を裏切りたくは無いんだけど、でも本当に、本当の意味で、お前を裏切るのは嫌だなあって。
確かにタクヤは、半開きの口では、と呆れたようにため息をついて、何秒か黙っていたけど、最後には笑いだした。
ヤバい、ってくすくすからげらげらと、俺にしがみついて結構大笑いだ。つられて俺も、いつの間にか笑ってしまった。
らしい。ホントに。
とことん真っ直ぐ進めないのが、たまらなく俺ららしいと思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

そう簡単には…! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/24(金) 08:16:29 ID:uTw+qu0aO<> >>315
たまらん。
姐さんのおかげで新しい萌えの扉がひらいた。
ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/24(金) 18:08:49 ID:5YQeWo+f0<> >>315
いい
すっごくいい
良すぎる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/24(金) 21:54:49 ID:WC0L9zy80<> 台詞等、基本的にドラマ版準拠ですが、ビジュアルはお好きな方で。
「監視カメラどこ行ってん」というツッコミはなしでお願いします。

漫画&ドラマ モリのア○ガオ
及川直樹×渡瀬満

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> Silent Night 1/4<>sage<>2010/12/24(金) 21:55:58 ID:WC0L9zy80<>  「死刑囚として生きるってことは、過去、現在、未来、その全てを捨て去って生きるっ
てことなんだ」
 曾て、そのように語った男がいた。
 その人はぼくにとって、会ったことも話したこともない実の父よりも、ずっと近しい存
在だ。その人がいなければ、その人が他人の血で手を汚さなければ、ぼくがこの世に生ま
れて来ることはなかったのだ。
 ぼくが生まれて来ることも、満と出会うことも、今、こうして満を抱くことも。
 そして明日、この手で満を殺すことも。

 鉄格子の間から差しこむ月光に、満の頬を伝う涙が煌めいた。誰も知らない森の奥深く
にひっそりと咲く、朝顔に置いた露のように。
 彼の裸の右肩に今も惨たらしく残る、赤黒い傷痕にそっと触れる。遠い昔、彼の夢を錆
びつかせ、輝かしい将来を断ち切ったあの恐ろしい一撃を思い、その十数年後、篠突く夜
の雨の中で、彼の放った死の斬撃を思った。
 そして、未決囚として、初めてここにやって来た時の彼。見えないボールを介した心の
やり取り。
 庇うように、傷痕の上に置かれたまま、止まってしまったぼくの手に、彼が自分の手を
重ねてくる。黒目勝ちの涼やかな目がぼくを見つめて、「どうした?」というように笑っ
ている。明日、確実に死すべき人間の目だとはとても思えないほど、無邪気に、穏やかに。
 そんな所じゃなく、こっちを構ってくれよ、と言わんばかりに、手がぼくの手を腰から
下へ導いて行く。彼にはこれが生まれて初めての――そして生涯最後の――経験になる筈
なのに。ぼくの方は、男性は初めてとはいえ、それなりに場数を踏んでいるのに。今やすっ
かり、彼に主導権を握られた形だ。
 明朝、必ずやって来る永遠の別れ。そしてその時、彼が耐えなければならない、想像を
絶する恐怖と苦しみを思うと、胸が張り裂けそうだ。それなのに、彼が切なそうに上げる
声をもっと聞きたくて、喉を反らせて身悶える様をもっと見たくて、その熱く昂った部分
を更に強く握りしめ、擦り上げてしまう。そうしながら、尖った乳首を片方ずつ食んで、
濡れてますます妖しく色づいたそれを、指先で摘まみ、弄ぶ。 <> Silent Night 2/4<>sage<>2010/12/24(金) 21:56:39 ID:WC0L9zy80<>  固く固く彼を抱きしめ、乱暴とすら言えるやり方で、その唇を貪った。彼も、ぼくの背
中に回した腕に力を込め、舌を絡めて、慇懃に、誠実に応えてくれる。
 ああ満、大事な大事な、ぼくだけの満。暁を知らず、このまま二人一つになって、永遠
に闇の中へと堕ちてゆければ、どんなにいいだろうか。

 語るべきことは、この数年間に語り尽くした。この夜、涙に暮れるぼくに、満が寄り添
い、そっと抱きしめてからは、二人とも、もう無言だった。ただ、抱きあい、崩れ落ち、
濃やかな愛撫と口づけと、言葉にならない溜め息と、互いの温もりの中に溺れていくだけ
だ。
 だけど満。ぼくは満の髪に、濡れた頬に触れる。ぼくはこの先ずっと、悩み続けるだろ
う。いつか年老いて、病に倒れて、息を引き取るその日まで、「本当にこれでよかったの
か」という問いを抱き続け、問いに苛まれ続けて生きるだろう。
 正義という名の道なき道を探しあぐね、白と黒、二人の自分に引き裂かれ、疲れ果てて、
光の差しこまぬ森の奥を、幽鬼のように彷徨い続けるだろう。
 ごくわずかな苦痛さえ、どんなことがあっても、絶対に与えたくなかった。細心の注意
を払って、少しずつ少しずつ、満の中へと押し入った。満はすっかり力を抜き、時々目を
開けたり閉じたりしながらも、信頼しきった眼差しでぼくを見つめている。
 初めて味わう満の内奥。温かく、しっとりと絡みついてくる感触。深く息をつく。身震
いをする。歓びと共に、哀しみに似た、得体の知れない何かがぼくの中心を咥えこみ、骨
まで溶かす底なしの淵へと引きずりこんでゆく。
 満の目が、「どう?」と問いかけている。微笑みながら、何度も頷いてそれに答え、もっ
ともっと、満の中を感じたくて、目を瞑った。
 奇妙なことに、唐突に瞼の裏の闇に浮かんだものは、ぼくら二人のこの一時に、全く似
つかわしくも、相応しくもないものだった。鮮やかな色彩と、凛とした佇まい。
 今はもういないあの人が、死の間際まで、丹精込めて作っていた――未完成のまま旅立っ
てしまった――あの貼り絵の御仏。
 それらの美しい作品の数々を寺院に納めるよう、ぼくに言ったのは、間もなく退官を迎
えようとしている、ぼくの最も尊敬する人だった。 <> Silent Night 3/4<>sage<>2010/12/24(金) 21:57:15 ID:WC0L9zy80<>  きっと、最後には、あの人の心は澄みきっていたし、彼ら二人の魂は、ぼくと満に劣ら
ないほど、固く結びついていたのだろう。
 この世界。果てしない苦渋と矛盾と絶望と、「なぜ!?」という憤りの叫びに満ちたこ
の世界。そこに生まれ落ち、生きて、出会って、別れて、愛して、憎んで、傷ついて、傷
つけて、悔い改めて、癒されて、償って、許して、ついに旅路を全うしたその時、その手
を掴んでくれる手があるだろうか?その魂を救い上げてくれる何者かが存在するだろうか?
 「直樹・・・・」
 満の囁く声がして、我に返った。
 腕の中の愛しい人に、意識を戻した。彼の手が動き、ぼくの手を掴み、五本の指を絡め
て、二度と放すまいというように、しっかと繋ぎ合わされた。
 満の唇が開き、短く淡々と、しかし、一言一言を噛みしめるような、いつもの言い方で、
これだけを伝えた。
 「直樹。俺は、ここにいるよ。これまでも。今も。・・・・これからも」

 ネオン輝くきらびやかな大都会の片隅に、誰も知らない、鬱蒼とした森がある。
 その奥深くに、ぼくと満は、永遠に開けられることのない秘密の壷を埋めた。
 恋人どうしだった、最初で最後の夜の思い出を封じこめて。

 その夜、ぼくの愛する人は、何度も何度もぼくの名前を呼びながら、乱れ咲き、歓喜の
呻きと共に達し、短い微睡みに落ちた。
 満ち足りた、天使のような寝顔を見つめながら、もしかしたら、正義なんてどうでもよ
かったのかも知れない、という思いが胸を過った。
 贖罪なんて、救いなんて、どうでもよかったのかも知れない。ぼくはただ、満を永遠に
自分のものにしたいばかりに、敢て彼に死を突きつけたのかも知れない。
 そう、あの時、ぼくは確かに、一度、彼を殺したのだ。そして、明日の朝、もう一度。
 半年前、彼に届けられたあのクリスマスの絵を思い出した。恐らく、十数年ぶりに描か
れたであろう、作者の兄の顔。今、ぼくの目の前にあるのと同じ、安らいで、幸せそうな
彼の顔だった。 <> Silent Night 4/4<>sage<>2010/12/24(金) 21:57:43 ID:WC0L9zy80<>  いつか、そうした人もあったように、森の外に出ることもできたかも知れなかった。彼
女の許へ――あのひたすらに孤独で、ひたすらに不幸な娘の許へ――帰る道もあったかも
知れなかった。
 それを諦めるように諭したのは、このぼくだ。
 でも、彼だって、ぼくに背き、生きて再び妹を抱きしめるよりも、ここでぼくと過ごし、
最後にぼくに抱かれることを選んだのだ。
 最後にぼくを見て、ぼくの手によって、奈落の底に堕ちて行くことを望んだのだ。
 明日、朝顔の咲く頃に――。

 語るべきことは、この数年間に語り尽くした。
 夜が明けるまで、二人とも、もう無言だった。

Fin. <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/24(金) 21:58:15 ID:WC0L9zy80<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

結局、野球のゲームはできなかったようですが、
「(最初で)最後の対戦」とは、こういう意味だったのかも知れません。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/24(金) 23:16:47 ID:/xec50Q60<> >>321
素晴らしい作品をありがとう!
主題歌聴きながら浸ったよ……!歌詞の一部が使ってあるのが素敵。
GJでした! <> 賢者の贈り物 1/5<>sage<>2010/12/25(土) 04:10:30 ID:MZkcBax40<> 生、エロなし、某役者×某製作者
久々の燃料にちょっと滾った結果
役者の口調と関西弁がへろへろなのは勘弁して下さい…
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


旅行。そう、これは旅行だ。
少し前に事務所から話が来たときに、真っ先にそのことで頭がいっぱいになった。
即座に予定も調べずにその話を受けた。予定なんて入っていようと無かろうと構わない、
というよりも入るはずもない身の上だ。リア充は爆発しろ。
その日から荷物をパッキングして空港に向かうまで、頭の片隅に常にそのことが陣取ることになった。
勿論、ラウンジで彼に会ったとたん握手とセクハラ染みたボディタッチをしたのは言うまでもない。

「クリスマスイブにイベントって何だかロマンチックですね」
「きっとキラキラしてると思うの。夜景!100万ドルの夜景!」
いつもと違って眼鏡をした彼女がまるで夢見る乙女のようにはしゃいだ。
「でっかいツリーとかもあるんやろなあ」
その姿を愛おしそうに見つめ、彼は微笑みつつ言う。
いつも3人でほぼ毎週会っているが、彼が彼女に向ける視線はとても温かいもので
羨ましくもあり微笑ましくもある。
片や長年の付き合い、片や長年の尊敬から片想いそして半ば恋人のような感じになった関係。
密度では勝っているという自信があるが、期間では勿論彼女に完敗だ。 <> 賢者の贈り物 2/5<>sage<>2010/12/25(土) 04:11:07 ID:MZkcBax40<> そんなことを考えているうちにふと思考を現実に戻すと、すっかり二人は会話に花を開かせていた。
割り込む隙間もない。空気読めない発言とかで引き戻すのも憚られるぐらい。
「やっちまったか…」
そうぼそっと呟くと横に座っていた彼の部下がきょとんとした顔をしてこちらを見てきた。
「忘れ物とかしちゃいました?まだ時間ありますけど」
「いえいえ大丈夫っす。あっそういえばこの間ですね」
こんな面倒な気持ちは会話の流れに乗せて忘れよう。それが一番だ。
どうせ僕らは、もう頻繁に会うことはないのだから。
「あ、グラサンかけてるとこ写真とってええですか?」
そんなこちらにも気付かず笑顔の彼はそう言って携帯電話をこちらに向けた。


日本とは違い暖かい空気。
クリスマスを控えたこの時期に、しかも彼と、海外に来ることができた。
以前みたいに世界中を飛び回り段々と窶れていく姿をただ眺めているだけじゃない、
その姿を目に焼き付けることが出来、何よりセーブさせることができる。
出国前の重ったるい考えは異国情緒溢れる空気に押し流されてしまった。
観光地を巡りショッピングをし美味しものを食べていれば当然忘れるというもの。
だからイベントが終わりフリーになった途端、蘇ってしまった感情に内心慌てふためいた。
どうしよう。この後も一緒に行動する予定だがこのままだとまた嫌な感情に流される。
彼女への嫉妬?いや違う。彼女のことは好きだ。可愛いし頭も切れる。
これはきっと性別が違うことによって現れる優位さに対しての複雑な感情だ。…多分。 <> 賢者の贈り物 3/5<>sage<>2010/12/25(土) 04:11:37 ID:MZkcBax40<> 「押し倒した癖に小さいことで悩むんですねー」
「だっかっらあれは勢いというかこう昂ぶりをぶつけただけでして」
複雑な感情についてを彼に質問、というか向こうに勘づかれて追求されたことがある。
その時彼は呆れたようにそう言った。
「僕のことを好きだから、公共の場で押し倒すわキスするわ乳首ネタ出したりするんでしょ?」
「ちょ、後半後半!もしかして怒ってますか」
「当たり前や」
「す、すいません」
一々謝らない!と頭をぺしっと叩かれた。
「怒っているのは君の考えについてです」
彼は叩いた部分を摩りながらそのまま胸に頭を押し当ててきた。
「人が人を好きになるのに、良いも悪いもあるか」
まるで全身の熱を吐き出したかのような熱さを持つ言葉が、頭の上をゆっくりと通過した。
諭すように、促すように。

だが、今はだからこそ揺れているのかもしれない。
人と人、それは確かにあの時の不安定さを強固にしてくれた。
あの後今まで唇を軽く合わせるぐらいだったキスに舌を入れるという選択肢が増えた。
抱きしめるだけじゃなくて交わるということも視野に入ったし、実際そうなった。
でもそれは彼女との関係にも当て嵌るわけで。
――女々しすぎる。
こんなことで延々と悩み続ける自分に嫌気がさした。 <> 賢者の贈り物 4/5<>sage<>2010/12/25(土) 04:12:14 ID:MZkcBax40<> 「……ん!……さん!聞いてますか!」
もう少しで80年代のSF映画のような街並みの中で絶叫しかけそうなタイミングで
彼はこちらの肩を叩いて我に返させてくれた。
「おっ、はい聞いてますん」
「どっちや!」
「ごめんなさい聞いてませんでした」
仕様がないな、と彼は苦笑して頭を撫でてきた。
ふと周りを見る。彼女は少し離れた土産物屋で彼の部下と通訳と一緒に買い物に勤しんでいる。
二人とも交友関係の広さが半端ないからなあと他人ごとのように思った。
「またどーしようもないことで悩んでるんじゃないんですか?」
やっぱりバレている。その通りですと両手を上げて降参ポーズをすると途端に彼はそっぽを向いた。
えっ、何か怒らせるようなことしたっけ!?
慌てて顔を合わせようとするも彼はつんとしてこちらを向かない。
「何でですかぁ…」
我ながら非常に情けない声で追加の降参を宣言すると、彼はそっぽを向いたまま。

「……」
「えっ?」
「その…そのですね」
「はあ」
「来年は毎週…会う必要がなくなるじゃないです、か」
「そうですね。お疲れさまでした」
少しふざけた口調でそう返すと、彼はちらりをこちらを睨んだ。
その顔は少し、赤いように見える。
――これって。 <> 賢者の贈り物 5/5<>sage<>2010/12/25(土) 04:12:50 ID:MZkcBax40<> 「もしかしてツンデレとか」
ツンデレ、という単語を口にした途端彼はしっかりと体重の乗った右ストレートを腹に繰り出した。
重い。この人ガチムチいや細マッチョにも程がある。
ゲフーとかグハーとかの漫画のような効果音を口から出して落ち着かせ、続きをどうぞと促す。
「孤独を愛する僕としては別に構わなかったんですが、その」
「彼女とはこれからも毎週会うわけで」
「でもそこに君はいなくて」
「僕らはそれなりにそれなりの立場にいて」
「下手に一緒にいられない訳で」
「だからそれに慣れようと」
ぽつぽつと語る彼は、いつもと違ってとても不安そうに見えた。
同時に、二人とも同じようなしょーもないことで悩んでいることにも気付き。


彼の頭を叩くととてもいい音がした。
突然のことに抗議しようとした彼の頭を素早く胸に抱え込む。
じたばたと彼は暴れる。そりゃそうだ、ここは人通りも多ければお互いの顔も知られている可能性もある。
それ以前に同性だ。
でもそんなことは関係ねえ。今やらなきゃ、言わなきゃ駄目だ。

「  」


きっと何だかんだ理由をつけて来年も一緒に居ようとするんだろう。
それでいい。居たいから居る。好きだから居る。
だって、恋は盲目だから。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最後のラジオはゆっくり聞くよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/25(土) 13:44:28 ID:pAgXUwjHO<> >>326
いつかモリアサが来ないかと超待ってました。
最後の試合は直樹の勝利だったんですね…
たまらん萌えをありがとうございました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/25(土) 15:26:48 ID:JAPcrgU6O<> >>321
思い切り泣きました。もっかいドラマ最終回見て、もっかい泣いて来る!
ありがとうGJ!
<> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 1/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:15:43 ID:ETubLmdO0<> ひさしぶりに投下させていただきます
オリジ ゲイニソでコソビ外カプ
全国区ブレイク後輩×ローカルゲイニソ先輩
クリスマスに投下間に合わなかった残念な結果

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

『なあ、オマエ、さ。今月24日、とか?その、なんか予定、あんのん?』
『………』
『何やねん、この沈黙』
『すんません。ちょお驚いてました。意外とイベントとか気にしはる方なんやなあって』
『ガラやなくて悪かったな。どうせ女みたいやなあとか思うとるんやろ』
『えー、別にええんやないですか?ベッドの中では女役してはるんですし』
『ちょ…!』

東京におるアイツと携帯越しにこんなやりとりをしたのがちょうど2週間前。 <> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 2/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:16:23 ID:ETubLmdO0<>
「おう、お疲れー」
いつもの劇場で久々の夜公演を終えた俺は、帰り支度をしていた後輩の一人に声をかけた。
「なあ、この後メシでも行けへん?」
「あー、兄さんすんません。今日は彼女と約束あるんで〜」
「ああ…そらそうか」
12月24日。こんな日に女の子差し置いて男と呑みに行くアホはそうおれへんわ。それがたとえ先輩の誘いとしても、な。
「邪魔してすまんかったな。ほんなら、楽しいイブを〜」
「あ、はい。ホンマすんません。お疲れさんっしたー」
誘って、断って、お互い申し訳ないという空気が漂う中、俺はひとり足早にその場を立ち去った。

その後劇場出口であった別の後輩に声をかけてみたものの、返ってきた答えはほぼ同じものだった。
「ちゅーか兄さん、今日予定あらへんのですか?」
「ん…あ、ああ。ちょお向こうと予定が合わんで」
適当に茶を濁して答えると、そいつも何となくアカン空気を読んでくれたのか、曖昧な相槌に留めてそれ以上追求はしてこなかった。ふう。
「あの、アレやったら、俺知ってる子ぉ何人か当たってみましょうか?」
「ああ、ええねんええねん、気ぃ使わんと。他当たってみるわ」
何や『クリスマスイブに一緒に過ごす相手がいないかわいそうな先輩』っちゅーイメージ植え付けてしもうたか?それはプライドにかけても断固拒否させてもらうで!
「ホンマすんません」
そう言って頭を下げる後輩に、俺は余裕たっぷりの笑顔でひらひらと手を振って、そのまま劇場を後にするのだった。
<> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 3/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:17:25 ID:ETubLmdO0<>
結局聖なる夜にカップルたちでごった返す店でひとり呑みする気も起こらず、俺はそのまま帰路につくことにした。
「――すんません、か」
聞かせる相手も誰一人いない部屋の中、ぼそっとひとりごちてみる。
その言葉、2週間前にはとうに聞かされとったわ。
『すんません。24日は正月特番の収録があって――』
大体予想しとった答えやった。
何度も言うとるけど、アイツは全国区の売れっ子ゲイニソで、俺はしがないローカルゲイニソなんやから。
生放送も含めて特番ラッシュのこの時期に時間が空くことなんか、初めから期待しとらんかったし。
いつもみたいに、向こうに俺が合わせる形で上京できればそれなりだったんだろうが、何故かこういう時に限って、翌日朝からローカル番組のロケが入るときたもんだ。
普段暇を持て余す程予定空きまくっとるのに、どんだけタイミング悪いっちゅーねん。

男の一人暮らしで散かったテーブルに、コンビニで買ってきた夜食と小さなケーキとシャンメリー。あかん、いよいよ寂しいクリスマスの様相を呈してきたで。
背伸びせんといつもの発泡酒にしとけばよかったと、ちょっとだけ後悔する自分が悲しい。
『――意外と、イベントとか気にしはるんやなあって』
ふとあいつの言葉が蘇る。
女やあるまいし、クリスマスだのバレンタインだの行事ごとにはこだわらんと自分では思っとったんやけどなあ。
やっぱ俺、イブを楽しみにしとったんやろうか?
それとも……。
<> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 4/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:19:26 ID:ETubLmdO0<>
「ん?」
ちょうどその時、ジーンズのポケットの中で、マナーモードにしっぱなしだった携帯が小刻みに震えた。
通話を繋ぐと、受話口からはアイツの声がノイズ雑じりに聞こえてきた。
「おお、お疲れさん。何、今外なん?」
「はい。新大阪着いたんで、こっからタクシー拾いますー」
……はいぃ?
反射的に時計を見る。
今日は1日特番の収録やって、もち東京で、ほんで明日も朝から収録って、え、え?ええ!?
「東京駅でケーキ買うてきたんです。時期も時期やし、保冷バッグもつけてもらったんで多分大丈夫とは思いますけど。とにかく急ぎますわ!」
何だか訳が分からないなりに俺がかろうじて理解したのは、アイツが今移動速度を新幹線から車のそれに落としながらも、急いで俺の元に駆けつけようとしているということだけだった。

保冷バッグを片手に現れた男は開口一番、今日の特番の収録が予定よりずっと早く終わった事を俺に告げた。別にドタキャンしたわけやないですよ、というアピールのつもりなんか。
「明日?ええ、朝から収録の予定変わってませんよ。けどあの局やったら始発に乗れば間に合うし、まあ大丈夫やろって」
「お前なあ…」
相変わらずのノリの軽さでこういう大胆なことを平気でやってのけるから、コイツはホンマにすごい奴やと感心する。
俺が同じ立場やったら、いやまあコイツみたいに多忙とちゃうから絶対ありえへんシチュやけど、始発乗り遅れたらどうしようとか、何か事故で遅延が生じたらシャレならんわーとか考えて、絶対移動できへんぞ?
<> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 5/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:20:27 ID:ETubLmdO0<>
「俺だって、アナタ絡みやなかったら、何もここまで思い切ったことやりませんよ」
「えっ」
冷蔵庫にケーキの箱をしまいながらサラッと言いやがった。
アカン、不意打ちや。不意打ちはアカンて。
「だってアナタが24日の予定気にしてはったから。恋人がイブは一緒に居りたいって望むんやったら、そら男やったら仕事があっても何とかしたいと思いますよ。そうでしょう?」
「いや、男やったらって…」
俺も男や!という言葉は喉まで上がりながら、口の端まで上ってくることはなかった。
俺はいつもいつも、コイツがポンポン放り込んでくる豪速球に、為すすべもなくあっさりやられて飲み込まれてしまうねん。
「それとも、アナタはこうやって俺が来たこと、迷惑やって思ってはるんですか?」
「いや、誰もそんな言うてへんやん!」
自分でも意識しなかった大声が出てもうた。うわっ、しかも即答とかっ!
恥ずかしくて顔を背けようとした視界の隅に、アイツの笑顔がチラリと映る。

「それに、疑われるのも嫌やったですしね」
「は?」
「明日も仕事やって言い訳して、大阪帰ってこんと向こうで他の女の子と遊んでるんやないかって」
「なっ……!」
それやったらまるっきり女の嫉妬やないか、そこまで女々しくないわ!
と言いかけたところで、不意に強い力で抱き寄せられた。
「んっ」
そのまま口も塞がれて、言葉も封じ込められる。
強引な遣り口、これはコイツのズルさやといつも思う。思うのに、俺はやっぱりコイツのペースに流されてしまう。
「俺はアナタ一筋ですから。今までも、そしてこれからも」
ああ、アカン。またそんな顔で、そんな殺し文句で。
強張っていた体の力が抜けていく――。
<> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 6/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:25:08 ID:ETubLmdO0<>
『俺は何もイブを楽しみにしとったわけやない。
 俺はクリスマスイブっちゅーイベントに託けて、コイツと一緒に過ごすことを楽しみにしとったんや』
ようやっとさっきの自問自答の答えにたどり着いた。けどその感触ときたら何ともこそばゆくてしゃーない。
「どないしはったんですか。口元めっちゃ緩んでますよ?」
「なっ、べ、別ににやけてへんわい!」
「何ぞエロいこと考えとるんやったら、このサンタクロースがお望みどおりに」
「何がエロイお望みやねん!っておいサンタ、てっ手ぇ!」
シャツを捲くり上げ、イヤラシイ手つきでスルリと脇腹を撫で上げる。
「ええやないですか。サンタさん、仕事の合間をぬって東京から2時間半もかけて来たんですよ?しかも自腹で」
「移動の手間と距離と時間と交通費を免罪符みたいに言うなや」
しかも俺が東京に行く方が圧倒的に多いっちゅーんじゃ。一回や二回でそんなに勝ち誇った顔すんなや、ドアホ。
「ほんで朝イチで東京に戻らなあかんのですよ?ケーキ食べてシャンメリー飲んで終わりとか、それで俺が満足すると思うとるんですか?」
「……………」

ああ、ああ、わかっとるわい。
オマエがすっかり臨戦態勢になっとって、健全で終わらせる気ぃがこれっぽっちもないことぐらいわかっとるわい。
わかっとるから、わかっとるから言い返せんで、それが悔しいんじゃい!
<> オリジ ゲイニソ 後輩×先輩 7/7
◆YJTFeOIvMY <>sage<>2010/12/27(月) 15:26:24 ID:ETubLmdO0<>
「はいはい、ええ子ですね〜。サンタさんはええ子にだけプレゼントをあげますよ〜」
反論を諦めた俺の頭をよしよしと撫でてから、アイツは俺の体をゆっくりとベッドに押し倒していく。
「……明日遅刻せんよう、プレゼントはほとほどにしとけよ、サンタさん?」
「ああー、明日新大阪でドリンク剤買うて行くから、サンタさんの体の方はご心配なく」
「俺も明日ロケがあるっちゅーねん!!!」

コイツが来る前に携帯のアラームセットしとくべきやったと、俺はまだ頭の片隅に残っている理性を総動員して激しく後悔するのだった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 白と黒 1/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:03:28 ID:yzhV5RdE0<> こっそり葬り去るつもりだったヒカアキSSを大掃除のついでに晒します
>>305-313のep0的な話です

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

十段戦五番勝負はアキラの三連敗で幕を閉じた。
第一局、第二局ともに中押し負け。
第三局は二目半足りなかった。
終局後、タイトルを防衛した緒方と記者の質問に答えながら検討をし、九時過ぎ、ホテルの自室に戻った。
十六で初めて挑戦権を手に入れたことは、他人に言われるまでもなく偉業だと自覚していた。
だからこそ余計に悔しかった。
勝てる自信はあった。だが、力が足りなかった。
まだ自分には勉強が必要だと思い知らされた。
翌日、神戸から東京に戻ったアキラは、日本棋院の出版部に顔を出し、コメントに目を通した。
ヒカルは今日、天元戦の予選がある。帰ってくるのは夕方ごろだろう。
夕飯は何にしようか。作るのは面倒だ。
だからといって惣菜を買うのも今は億劫に感じられた。
アキラはマンションに帰ると、シャワーを浴び、寝室のベッドに寝転んだ。
早くヒカルに会いたかった。
夕飯をどうするかなどという瑣末な問題は、ヒカルの顔を見ればなんとかなるような気がした。
気がつくと窓の外は真っ暗だった。寝てしまったらしい。
ゆうべは天井を睨みながら一手ごとに別の攻めを考え、そのたびに繋ぎが薄ければ破られるとかキリ違えてもシボリで不利だなどと頭の中で打ち消していた。
そのせいで睡眠時間は二、三時間ほどだった。
アキラは半身を起こした。いい匂いが漂っていた。アキラは廊下に出てリビングのドアを開けた。
「進藤?」
「おう、塔矢。メシできてるぜ」
テーブルにはなすの煮びたしや豆腐のそぼろあんかけ、舞茸の炊き込みご飯が並んでいた。
どれもアキラの好物だ。
「スーパーの惣菜で済まそうかと思っていたんだけど」
「オレだって料理ぐらいできんだぜ」
夕食の間、会話は他愛のないことに終始した。ヒカルは十段戦のことには触れなかった。
食後、ヒカルが冷蔵庫からシュークリームを取り出した。 <> 白と黒 2/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:05:13 ID:yzhV5RdE0<> 「コンビニの前に『プレミアムシュークリーム』ってでっかく書いてあるのぼりが出ててさ。
『プレミアム』だぜ? そんなにすげえのかって思うだろ。で、お前食うかなって思って買ったんだ」
「おいしそうだね」
「だろ。一個百八十円」
アキラは袋を開けたが、すでに満腹だった。ヒカルは「すげえ、皮ぱりっぱり」と言いながら頬張っている。
その口の端に白いクリームがついていた。
「進藤」
「何?」
アキラはテーブルを回ってヒカルの元に行くと、覆いかぶさるようにしてクリームをなめた。
ヒカルはきょとんとしたようにアキラを見上げた。
「こんなところでこんな気分になったなんて言ったら、変に思うか?」
アキラはヒカルのパーカーの裾をまくり、腹をなでた。
「オレがそんなこと思うわけねーだろ」
ヒカルはアキラの腰を引き寄せ、膝に座らせた。シャツのボタンを外し、乳首をきつく吸った。
アキラはヒカルの髪をくしゃくしゃにして頭を抱きしめた。
「……悔しいよ、進藤、悔しい」
弱音を吐く気などまったくなかったのに、勝手に口から漏れた。
アキラは歯噛みして後悔した。
「うん、わかる。すげえ悔しいよな」
労わるようにヒカルが脇腹を優しくなでた。ヒカルに同意してもらえただけで後悔が少し薄らいだような気がした。
ヒカルはアキラのズボンのジッパーを下ろし、下着の中に手を入れた。ヒカルの手の中でアキラのそれはすぐに猛った。
腹をなめながらヒカルはアキラからズボンと下着を脱がせた。
「なあ、ドライオーガズム試してみねえ?」
ヒカルが上目遣いで聞いた。
「前にキミが話してたあれか?」
「そう、一度イクとイキっぱなしになるってやつ。お前、うしろだけじゃイケないだろ。いい機会だと思うんだけど」
「わかった、試してみてくれ」
渋々といった風を装ったが、内心は早く新しい快感で我を忘れたくてたまらなかった。
だが、それをヒカルに知られるのは癪だった。
こういったことに関して、ヒカルは碁と同じかそれ以上に勉強熱心だ。
だから、初めて枕を交わした夜も当然のようにヒカルが上だった。
それはいまだに変わらない。 <> 白と黒 3/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:07:04 ID:yzhV5RdE0<> 碁も実生活もすべてにおいてリードしているのは自分だと思っていただけに、アキラはちょっとばかり複雑だった。
ヒカルはシュークリームからクリームをすくい取ると、その指をアキラの穴にねじ込んだ。
「……っう、冷たい」
ヒカルの指は躊躇することなく進み、ある一点を探し当てた。
そこを押されたことで、下半身がふわっと浮いたように感じられた。
「ここが前立腺。どんな感じ?」
アキラはしばらく考えた。
笑いたいような泣きたいような感情がこみ上げてきたが、それが快感かといえば違う。
「よくわからない」
「最初はあんま気持ちよくならないらしいぜ」
ヒカルは探し当てた一点を押し続けた。前立腺は硬い塊らしく、ヒカルの指に抵抗してぐにぐにと動いた。
「あと、ここも刺激するといいって書いてあった」
人さし指を入れたまま、ヒカルは親指で両足の付け根を押した。肛門と陰嚢の真ん中あたりだ。
「……っん」
「どう? 感じる?」
「……なんだかくすぐったい、かな」
下を向こうとすると、顎をつかまれて顔を正面に向けさせられた。
「ちゃんとオレの目見て」
アキラはヒカルの膝の上で恋人の目を見つめた。ヒカルも熱っぽい目で見つめ返す。
じわじわと腰のうしろに熱がたまってきた。
「もしかして、声我慢してる?」
「いや、そんなことはないが」
快感の兆しはあったが、声が出るほど大きくはなかった。
「声出せよ。オレ、塔矢のエロい声が好き」
時おり、夢から醒めたようにヒカルとの関係が信じられないと思うことがある。
碁会所で初めて出会ったときの印象は、小さいな、だった。
小学校での背の順は前から数えたほうが早かった。
そんなアキラよりもさらに小さかったのがヒカルだ。
当時の自分に、ヒカルと将来暮らすことになると教えてもまったく信じないだろう。
ヒカルが生涯のライバルになることは直感でわかっても、生涯のパートナーになることまでは小学生の頭では理解できない。
二度目の対局は中押しで負けた。
三度目は別人のような打ち筋だった。 <> 白と黒 4/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:09:03 ID:yzhV5RdE0<> それから、ヒカルを追いかけることをやめた。
だが、何かにつけて思い出すのはヒカルの真剣な眼差しだった。
常に頭の中はヒカルでいっぱいだった。
それを実感させられたのは名人戦予選での二年四ヶ月ぶりの対局だ。
目の前にヒカルがいることが嬉しかった。
本人と実際に打てることに体が打ち震えるほど感動した。
あの時、エレベーターに向かうヒカルを追いかけながらアキラは混乱した。
思わせぶりなヒカルの言葉に苛立ち、その体を抱き寄せたいと思う自分に腹が立った。
頬が紅潮し、エレベーターの中で言い合いになった。
碁会所で打つようになってからもヒカルとはよく喧嘩した。
傍からはものすごい剣幕でヒカルに食ってかかっているように見えたことだろう。
だが、実際に喧嘩していたのは内なる自分だった。
生涯のライバルには絶対に負けたくない。
その負けたくないと思っている相手にキスしたかった。
自分自身をくわえてもらいたかった。
アキラはそんな感情を抱く自分を呪った。
正気ではないのかとさえ思った。日に日に悩みは深くなっていった。
だがある日、自分は何も間違えてなどいなかったことを知った。
北斗杯に備えての合宿二日目。
深夜、人の気配に目を覚ますと、ヒカルが布団の上から覆いかぶさっていた。
真っ暗闇だったにもかかわらず、体にのしかかる重みがヒカルだとわかったのが我ながら不思議だった。
アキラは手を伸ばした。
顔の輪郭をなぞると、やはりよく見知ったヒカルのそれだと確信できた。
ヒカルはアキラの手を引き寄せ、キスをした。
燃えるような熱い息が掌にかかった。
アキラはヒカルをかき抱き、首を伸ばしてキスをした。
そのあとの二人はもう無茶苦茶だった。
ヒカルはアキラを組み敷き、強引に中に入ってきた。
アキラは歯を食いしばって激痛に耐えた。
ヒカルを遠くから思うことの痛みに比べればなんでもなかった。
布団は血で赤く染まった。
母に悟られないよう、シーツは捨てなければならなかった。 <> 白と黒 5/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:11:07 ID:yzhV5RdE0<> それからというもの、二人は暇さえあればセックスにいそしんだ。
一度、位置を変えないかと提案したことがあった。
ヒカルは「ぜってえやだ!」と幼い子供のようにつっぱねた。
以来、アキラはその話題には触れないようにした。
一緒に住まないかと言い出したのはヒカルだった。
アキラが世間体のことなどを考えているうちに、ヒカルは情報誌を買い、不動産屋に足を運び、適当な物件を見つけた。
最寄り駅から日本棋院まで乗り換えなし。マンションまで徒歩十分。
家賃は高めだったが、二人で折半すればなんとかなりそうだった。
アキラが「いいんじゃないかな」と返答した翌日にはもう、ヒカルは不動産屋と契約を交わしていた。
中国から帰国した両親に、アキラは友人と一緒に住むことになったと簡単に告げた。
両親は相手がヒカルだとわかると安心したようで、それ以上は何も聞かなかった。
息子を信頼しきっている親の存在がこれほどありがたいと思ったことはなかった。
手合いのない日、アキラはヒカルと共にインテリアを見てまわった。
こだわりなどなかったため、最終的な決定はすべてヒカルに委ねた。
フランフランという店に二人で入った時は店員にぎょっとしたような顔をされた。
ヒカルは業者に引越し作業を頼むことはせず、知り合いを駆り集めて手伝わせた。
といっても、家具は店から直接届くことになっていたし、荷物といえば服と洗面道具くらいのものだった。
和谷というヒカルの友人は一番文句が多かったが、拭き掃除やら何やら、結局一番働いてくれた。
彼らが帰ったあと、家具も何もないがらんとした部屋で、アキラとヒカルは床に座ってコンビニの弁当を食べた。
「家具が届いてから引っ越せばよかったんじゃないか?」と指摘すると、ヒカルは「これはこれで楽しいだろ」といたずらっぽく笑った。
その日の夜、ふたりは毛布にくるまって寝た。
この世界に存在するのは自分たちだけで、あとは何もない無機質な空間がただ茫漠と広がっているように感じられた。
恐怖などは微塵もない。
むしろ尽きることのない喜びがあとからあとから溢れた。
自然と唇が重なり、お互いがお互いを激しく求めた。
セックスは朝方まで続き、チャイムに叩き起こされるまで泥のように眠った。
家事の分担はちゃんとした取り決めをしたわけではない。 <> 白と黒 6/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:14:10 ID:yzhV5RdE0<> 食事を作るのはもっぱらアキラだった。
その代わり、ヒカルは洗濯や掃除機がけをやってくれた。
神戸に出かける日も朝食は自分で作った。
ヒカルは泊りがけで友人たちとリーグ戦をやっていたにもかかわらず、八時ごろには帰ってきて駅まで見送ってくれた。
タイトル戦の対局は地方で行われる。
アキラはヒカルと過ごせない時間を少しでも減らすため、果敢に攻めた。
その結果がストレート負けだった。
声を出さないアキラにじれたのか、ヒカルはテーブルに両手をつかせ、穴の周囲をなめた。
「……んあっ……あっ……んぅっ」
ヒカルを受け入れるようになって一年半経つ。アキラのそこは敏感になっていた。ヒカルは中に舌を入れず、執拗に周囲をなめるだけだ。
「……ん……しんどう……はぁっ……ああっ」
「塔矢、すっげえエロい」
体中の血がたぎり、自身に集中するのがわかった。アキラはテーブルに爪を立てた。
爪がかりかりとテーブルの上を滑った。ヒカルが穴を舌でつつくだけで背がひくついた。
「塔矢、入れてほしい?」
ヒカルが意地悪く聞いた。
「……ん」
アキラは小さく頷いた。
「ちゃんと言わなきゃ入れてやんねーぞ」
ヒカルは陰嚢と穴の間を何度も丹念になめた。
「……進藤の」
「オレの何?」
恥ずかしさのあまり、頬が熱くなった。
「……進藤の、ペニスが、欲しい」
「どこに?」
ヒカルがちゅうと音を立てて穴を吸った。
「……ボクの」
「塔矢の?」
アキラは下唇を噛んだ。
「……アナルに」
「なんだよお前、やればできんじゃん」
ヒカルが立ち上がる気配がし、ジーンズのジッパーが下ろされる音がした。 <> 白と黒 7/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:16:23 ID:yzhV5RdE0<> 「あぁっ……!」
いきり立ったものが押し込まれ、アキラを深く突いた。ヒカルが出入りするたびに激しい快感がアキラを襲った。
「とーや……とーやっ」
「……んっ……んっ……んぁっ」
アキラはヒカルに合わせて腰を動かした。テーブルががたがたと揺れた。
背中にヒカルの熱い息がかかった。全速力で走るマラソン選手のように苦しそうに喘いでいる。
それは自分の息遣いかもしれなかった。もうどちらか判別できないほど二人は同化していた。
「はっ……あぁっ……ああんっ」
アキラは目をつぶり、自身をしごいた。白い幸福感が下腹部から頭のてっぺんまで満ちた。
直後、精液が飛び散った。アキラの中でヒカルも果てた。ヒカルは入れたまま、腕を回してアキラを抱きしめた。いつもの癖だった。
目を開けると、食べかけのシュークリームにべったりと精液がかかっていた。
「あとでこれ、捨てないと」
アキラは息を整えながら呟いた。
「だめ、オレが食う」
「食べるな」
アキラはヒカルの腕から抜け、精液まみれのシュークリームをゴミ箱に捨てた。
「ああっ、オレのプレミアムシュークリームがっ!」
ヒカルがひどく悲しそうに叫んだ。
「ボクの分を食べればいいだろう」
「お前のはただのシュークリームじゃん。オレのは塔矢特製のプレミアムシュークリームだったんだよ」
「よく恥ずかしげもなくそんなことが言えるな」
アキラは心の底から残念そうなヒカルに呆れた。
「それより塔矢、続きしようぜ」
ヒカルは背後からのしかかるようにアキラに抱きついた。答える前に押し倒され、仰向けにされた。
「こんなところでするのか?」
「いつもワンパターンじゃつまんねーだろ。なあ、今度アオカンしねえ?」
「断る」
アキラは即答した。
「えー、なんでだよ。絶対楽しいって」
ヒカルは「一度棋院で挑戦したいよなあ」と言いながら指を入れ、別の指で陰嚢と肛門の間を押した。
「……ふっ……んっ」
アキラは思わず目を閉じた。 <> 白と黒 8/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:19:17 ID:yzhV5RdE0<> 「感じる?」
「……さっきよりは」
ヒカルは指に力を込め、アキラを真上から見つめた。
「相手と見つめ合うことが大事なんだってよ。塔矢、愛してる」
アキラは何も答えなかった。ヒカルの目は笑っていたが、その底には黒い狂気がちらちらと揺れていた。
たぶん、今まさに被害者を殺そうとしているシリアルキラーの目を間近で覗き込んだら、まったく同じものが見えるだろう。
その土台は、相手を引き裂きたいとかぐちゃぐちゃにしたいといった類の衝動だ。
アキラは安心した。同じ感情をヒカルも抱えているのだ。
「オレの指、感じてる?」
「ああ」
「塔矢の中、オレの精液だらけですごいやらしい」
「ゴムを使ってくれると助かるんだが」
「やだ、生がいい」
ヒカルは鼻先をこすりつけながらキスをした。
「オレ、浮気なんか絶対しねーもん。だから、病気がうつる心配ねーだろ」
「毎回かき出すボクの身にもなってくれ」
ヒカルはアキラの口を封じるように舌をねじ入れた。アキラはヒカルの舌を貪欲に吸った。ヒカルが肉をつまんだ。
前立腺に二ヶ所から強い刺激が加わった。瞬間、体が震えた。
「あぁぁぁっ!」
悲鳴に近い声が出た。
「しんどう、しんどう、しんど……」
びくびくっと腰が浮き、白い幸福感に包まれた。
「やったじゃん、塔矢。出てねーぞ」
束の間、なんのことだかわからなかった。しばらくして、この体勢なら腹に精液がかかるはずだと思い至った。
頭の中はブロックノイズが生じたように切れ切れだった。ヒカルは指で刺激を続けながら、アキラ自身に唇を這わせた。
「進藤、やめろ……もう……も……」
また腰が浮いた。快感のせいで脳が融解しそうだった。
「お前、すっげえかわいい」
「変になる……変に……んっ……あっ……」
腿が痙攣し、足が伸びた。ヒカルが膝の裏を押さえているため、真っ直ぐにはならない。
中途半端に足を曲げたまま、V字開脚をしている状態だ。足を下ろして楽になりたかったが、ヒカルは解放してくれなかった。
苦しい体勢のまま、アキラは三たび達した。 <> 白と黒 9/9<>sage<>2010/12/27(月) 22:21:11 ID:yzhV5RdE0<> 「……あっ……はぁっ……しんどう……しんどう」
ヒカルは指を抜くと、自身を突き入れた。
「……とーやっ」
「い、いい、しんどう……」
アキラはヒカルにすがりついた。四度目までは数えることができた。だが、すぐに数字も思考も霧散した。
イったかと思うとすぐに新しい波が来て、だんだん上下の感覚がなくなっていった。
アキラの世界にはヒカルしかいなかった。今も昔も、おそらく死ぬまでヒカルしかいなかった。
「塔矢っ」
名前を呼ばれただけでアキラは何度目かわからない絶頂を迎えた。ヒカルが腰を振りながらキスをした。
アキラは自分から舌を絡めた。目尻が熱くなり、涙がこぼれた。覚えているのはそこまでだった。
あとはふっつりと意識が途切れた。

目覚めるとベッドに寝ていた。シャツは着ていない。素肌に毛布の感触が心地よかった。
窓の外はうっすらと白んでいる。朝刊を配達するバイクのエンジン音がやけにうるさかった。
眼前にはヒカルの寝顔があった。誰にも渡さないと言わんばかりに、アキラにがっちりと腕を回している。
アキラは起こさないようにそっと手を伸ばし、指先でヒカルの唇をなでた。
この口が「お前とは打たない」とか「オレの幻影なんか追ってるといつかほんとのオレに足をすくわれるぞ」と言ったのかと思うと、愛しさのあまり胸が詰まった。
「かわいいよ、進藤」
面と向かって「かわいい」などと言えば、ヒカルはむきになって「かわいいのはお前のほうだ」と言い返してくるだろう。
アキラは自分だけに聞こえる声でもう一度「かわいいよ」と繰り返し、目を閉じた。
白い幸福と黒い狂気が内在する胸を合わせると、温かい心音が感じられた。もう何もいらなかった。
いや、碁はいる。
碁盤と碁笥と碁石と、それから対局相手のヒカルさえいれば何もいらなかった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <>
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:03:00 ID:0KB/Or980<> 以前「君に笑顔が戻るまで」を書いたものです。
浄化ー専用避難所が出来たので、あちらに行くべきかな、でもここが好きだし・・・と
ちょっと悩んでいたのですが、「棚へ」を読んでこちらで修行させて頂きたいと思いました。
よろしくお願いします。

サザエさんの予告ではありませんが、

「冬が訪れる前に」久流須+盾(捜査一課強行班係四班のお昼時のたわいもないお話。)
「寒椿」マス×盾、久流須×盾(続編プリーズ。マスと盾にぐでぐで考察させてます。)
「蛇足」久流須×盾(1回目と2回目の間。ボツにしろよ自分!)

の3本です。
年末だというに、11月のお話です。
久流須の実家とか家族構成とかは、捏造です。
トリップ付けてみましたが、大丈夫でしょうか…。 <> 冬が訪れる前に(1/4)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:08:01 ID:0KB/Or980<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 昼食後、盾が自席で昼寝をしている。
昼休み時間中だし昨夜も遅くまで仕事をしていたから、まあいいのだが、
問題はこの、なんというか、幼稚園児並みの無防備さだ。
両手を重ねた上にちょこんと顔を乗せ、すやすやと眠っている。
ダメだろ。人前で、そんな寝顔を見せるなんて。
打ち合わせの所で寝ていれば、課長のいない今は他から見えないのだが。
さりげなく椅子をずらして新聞を拡げ、それで一課の他の連中から見えないように、
盾の寝顔を隠した。四班は一課の端にあるので、片方を遮ってしまえばいい。
以前は苦しそうに眉間にしわを寄せて寝ていたり、びくんと体をひきつらせて
目覚めたりしていたが、最近は安らかに眠れているようだった。
盾の眠りを妨げないよう、ゆっくりそっと紙面をめくっていく。
 盾はノンキャリアで30ちょっとで警部になった。
キャリアが30前に警視になるのに比べたら遅いが、ノンキャリアでは相当なものだ。
警部は警察官全体の6%とかいうのを、最近どこかで見た気がする。
俺や美弥木(亡くなった兄も)は警部補だが、これは30%。警部補より下の階級が60%以上だ。
一応、エリートだよな、これでも。と、横目で盾のおだやかな寝顔を見る。
彫っ田と驫木は、盾が捜査会議に出席するとその事件は迷宮入りになるなんて噂を
信じているようだが、あれのモトは課長の戯言だろ。
あの人は盾に甘かったから、こいつがやりたがらないことは大目に見ていた。
噂通りなら、25で県警本部の捜査一課に来たり、10年もそのままのはずがない。
荒っぽいことは不得手だが、盾は優秀な刑事だった。
配属されてきた時は、以前の盾と奈津記のようなお互いの長所短所を補いあうコンビに
なれるのではないかと思っていたが、上司と部下になってしまった。
それに、奈津記が亡くなってからまともにコンビを組むの避けているようだった。
疑問に思ったことを、単独で調べに行ってしまう。
逮捕術とかの成績のひどさを知っている同期としては、危なっかしくてたまらない。
警部に昇進したくらいだし現場で鍛えられたはず、と思っていたら相変わらずだった。
なので、ついつい怒鳴ってしまう。 <> 冬が訪れる前に(2/4)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:11:43 ID:0KB/Or980<> こいつの疑問を頭から否定せずに聞いてやらなければ、とは思うが、
班長なのだから自分から指示すれば済むことなのに、とも思う。
頭痛いぞ、俺は。

 新聞紙がめくられていく音を聞きながら、盾は静かに覚醒してきた。
もうすぐ冬なのに、今日は珍しく暖かい。
以前、課長に怒られたな・・・。
「馬鹿やろ。警察は男ばっかりだぞ。
そんなところでおまえみたいな優男が、弱ってるところなんぞ見せるな!」って・・・。
あれは今くらいの季節の、今日と違って冷たい雨の夜・・・。
覚醒していくまどろみの中で、昔のことを思い出す。
佐衛子と恋人同士になった頃にはひどくうなされることはなくなっていたが、
今でも悪夢は繰り返し見ている。
質の良い睡眠が不足しているのに加え、“紙隠し”で睡眠時間も減った。
久流須が一課に配属されて来た時には、既に昼休みに昼寝をするようになっていた。
盾が少しでも眠れるよう、久流須が周りから遮ってくれるようになったのは、いつからだろう。
とはいっても、署内でちゃんと昼休みが取れることは少ない。
盾と久流須が揃っていることはもっと少ないが、少ない中でありながら気が付くとそばに居てくれた。
「久流須がにらみを効かせていてくれるから、誰も近づかないんだよね・・・。」
盾が独り言とも話しかけてきたとも取れる事をしゃべったので、久流須は盾の顔を見た。
長い睫毛の二重のまぶたがゆっくりと開かれ、そのままじっと久流須を見つめる。
思いがけないほど強い光がその目に宿っていたが、盾はすぐににこっと微笑んだ。
どきっとして目を逸らした久流須は、今自分はどちらに驚かされたのだろうかと思った。
そして、新聞に目を戻したふりをして「起きたか。」と聞いた。
「うん、ふぁああ〜。」と、盾は大きな欠伸をした。
「久流須、髪切った?」「ちょっとだけな。」
いつもきちんとして清清しい印象の久流須だが、いっそう襟足がすっきりしていた。
じっと見られていたのは、そこか。
「そっかー、俺も伸びたな。切ろうかな。」
一応警察官なわけだし、びしっとした格好をしていた方がいいのだが、
久流須はちょっと残念な気がした。
盾の、柔らかい髪がふわふわしている今くらいが、好きだ。 <> 冬が訪れる前に(3/4)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:14:09 ID:0KB/Or980<> 「髪と言えば、久流須、警察学校の時、最初一番短かったよね?」
「そうか?奈津記も結構短かかったろ?」
スーツで坊主頭だと見かけが怖いから、あんまり短い人はいないという話だったので、
みんなそんなに短くしていかなかった中、三分刈りの久流須は目立っていた。
奈津記も短くて二人とも怖そうな第一印象だったが、話してみると笑顔が優しかった。
「最初は程ほどにしたのに、生ぬるいって親父に刈られたんだった。」
「お寺さんだから、お手の物?」
「ああ。」久流須の実家はお寺だ。
お寺さんの子なのに手が早いよなぁ。一応これでも上司なんだけれど、ボカスカ殴るし。
久流須にしたら小突いているくらいなのかもしれないけれど、結構痛いんだよー。
「久流須のお父さん、文学好きなの?」
「親父というより、じいさんだな。」
兄の名前がリュウ之介、弟の名前がジュン之介とくれば、容易に想像がつく。
「久流須のお兄さんて、」
「今は剃ってないぞ。修行してた時だけだ。」
「そーなんだ。」
「俺の剃髪した頭を想像したろ。」
「うん。」と言って、盾はくすくす笑い始めた。勝手に笑ってろ、まったく。
今度こそ久流須は記事を読むのに戻る。
「似合うと思うよ。」
「おまえは、髪が短いと小学生みたいだったよな。」
「あ、ひどい。」と口を尖らせる。
ホント、小学生だよ。興味のある方へ、ポーンと跳んで行ってしまう。周りは置いてきぼりで。
でも・・・結構カッコよかった。清潔感が際立っていた。
「ジュン之介って、いい名前だよね。」
「・・・呼ぶなよ、署内で。」
盾に背を向け、拡げていた新聞が心持ち上に上がった。
向こうをむいてしまったからわからないが、顔が赤くなっているか眉間にしわが寄っていそうだ。
「外でならいい?」どっちだろ。
「んなこと、ここで聞くんじゃねえ。」久しぶりにウザイって言いそうになる。
だいたい兄貴のとばっちりで付けられたような時代がかった名前なんか、そんなに好きじゃない。
それがわかっていて聞いてくるんだから、性格悪いぞ。 <> 冬が訪れる前に(4/4)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:17:32 ID:0KB/Or980<> 怒ったかな、久流須。
肩霧の名前、亡くなる間際まで呼んでやらなくて寂しがらせたから、
久流須は呼んでみようかと思ったんだけど、うーん、男と女じゃ違うか。
しかたないので、話を変える。
「彫っ田君はともかく、驫木君は坊主頭が想像出来ないな〜。」
警察官になれば警察学校に行くわけだが、そこでは短髪にする規則だ。
ここで働いている刑事はすべてそうしてきたはずだが、
長身のイケメンである驫木は短髪も想像するのが難しい。
「そうだな。」
むすっとしながらも、久流須は同意して新聞をたたむ。
昼休みも終わりだ。
驫木は、今日は彫っ田と一緒に外に出ている。
戻ってくる予定から、まだ時間があってよかった。
今驫木を見たら、こいつは笑うだろうな。
当人は、駆動君は意外と似合っちゃいそうだ、などと想像の範囲を広げていた。
駆動か・・・。あいつの腕っぷしも、盾と似たり寄ったりなんだろうな。
最近二人でなんかコソコソ調べているようだが、大丈夫か?
と、そこに、いつもは報告に来る溝具地のお供なのに、今日は一人で田毛本が
鑑識報告書を持って来た。
背が高いのに、なんでこんなに顔が小さいんだ・・・。
思わぬ伏兵に、盾が噴出すと久流須もつられた。二人して懸命に笑いをこらえた。
「絶対、似合わない〜。」
「俺も、そう、思う。」
「なんですか?盾さんはともかく、久流須さんまで。」
「「なんでもない!」」
「?」
訳がわからない田毛本は、きょとんとするばかりだ。

冬が訪れる少し前の、暖かい昼下がりの事―――。


※あのテンカでのクル中さんの役名が「竜之介」だったんですよね。 <> 寒椿[前編](1/5)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:19:56 ID:0KB/Or980<>  盾が東京拘置所に見神との面会にやってきたのは、11月も終わりに差し掛かった頃だった。
エイPECの後、見神の代わりに命日に彼の妻子の墓参をして来た。
前回の面会から間があいたことを詫びる。エイPECの期間中は時間が取れなかったし、
盾は一般人の立場で面会に来ているので、十日毎に一回、一人一日一回の規則に縛られた。
見神は、盾の優しげないつもの雰囲気の中に、しっとりとした色気が含まれているのに気が付いた。
伏せられた長い睫毛の先から、わずかに、零れるように匂い立つものがあった。
つぼみはまだかたく、その奥に閉ざされている香りは密やかだ。
だが、それがかえって人を惹きつけ、そそる。
「新しい本を差し入れしておきました。今日は宅下げのものはありますか?」
と聞かれて、はっとなった。
「いや、今日はいい。いろいろ差し入れしてもらって、すまんな。
 供養のこともありがとう。おまえの方も、もうすぐだな。・・・それに美弥木君も。」
「ええ。」
「来年は27回忌だが、俺はしてやれないな。」
「見神さん・・・。」
見神の穏やかな顔に、なんと返せばいいのか。
死刑か無期懲役か。いずれにせよ、当面出所することはない。
「盾は、美弥木君のご両親に会ったことはあるんだろ?」
「葬式のあと、肩霧と一緒に行ったことがあるんですが、犯人を捕まえるまで来ないでくれ、
と言われました。」
追い返されたのか。
「そうか。捜査が打ち切りになったから、警察に不信を抱かれただろうしな。」
「そうですね。」
寂しげに、盾が微笑みを浮かべて俯いた。
自分が逮捕されたことで、盾の立場は微妙だ。警察の中でも、美弥木や肩霧の家族に対しても。
会話が途切れると、面会を早めに打ち切りされかねない。
話題を変えた。 <> 寒椿[前編](2/5)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:21:40 ID:0KB/Or980<> 「駆動は、どうしている?傷の方は?」
「もう痛まないって言っていました。若いですからね。」
「そうか、それなら良かった。」
「鑑識のみんなが怪我を心配してくれて、当人はくすぐったがっていましたよ。」
「なんだ、思っていたより人付き合いが出来てるじゃねえか。」
「そうですよね。彼も面会に来たがっていましたが・・・。」
「よせよー。おかしいだろ、俺が刺したのに。簡単に許してるんじゃねぇ、あのバカ。」
「ひどいなー。見神さんだからですよ。」
少し笑顔が明るくなった気がした。
「おまえとは、うまくやっているんだろ?」
「ええ、前と変わりないですよ。」
駆動か?
いいえ。
最初、盾の雰囲気が変わったのは、駆動と付き合い始めたからか、と思った。
“紙隠し”だけではなく体の関係でもパートナーにしたのかと。
佐衛子と男女の関係でなくなって4年経っていたが、二人の間にあった信頼関係は変わらなかった。
その彼女が亡くなってすぐ、というのは意外だった。
いや、それだけ盾の受けた衝撃が強かったのかもしれない。
盾は信頼していた人間を、二人失った。
駆動でないのなら、他にそんなヤツがいただろうか。
「見神さんは、俺の部下の久流須には、会ったことありましたっけ?」
「んー、おまえの同期だっけ?いや、会ったってほどじゃないな。
すれ違ったくらいで、顔もよく覚えていない・・・。」
久流須?
「そうでしたか。」
なに、その久流須というヤツなのか?
「どうかしたか?」
「俺は久流須に心配されているようで、ウザイって言われなくなりました。」
盾の浮かべた微笑は穏やかで、満たされているようだった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/27(月) 23:21:57 ID:S1D/LpmJ0<> 589 :風と木の名無しさん:2010/12/27(月) 23:14:40 ID:V47ni7IW0
棚351

黙って投下すりゃいいじゃん。嫌だって言われてたら止めるのか?
お伺い立ててるようで三本立てですって予告だし
結局投下する気満々じゃん
棚が好きだっつうなら空気嫁
誘い受けはいらないだろ。馴れ合いたいなら避難所でやればいいのに

590 :風と木の名無しさん:2010/12/27(月) 23:19:02 ID:Mi1DJBa9O
棚351
驚きのウザさ <> 寒椿[前編](3/5)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:23:55 ID:0KB/Or980<> 「・・・どんなやつだ?」
「美弥木みたいにまっすぐな正義感を持っていて、でも融通が利かなくて、
頭がカタイって肩霧にバカ呼ばわりされてましたね。すぐ怒るくせに、世話焼きなんです。」
まっすぐな正義感を持っているって、“紙隠し”をやるおまえには危ない人間じゃないのか?
「大丈夫なのか?」
「ええ、先のことはわかりませんが、今のところは。」
どうして、おまえはいつもそういう人間を選ぶんだ?
唐突に、ある考えが浮かんだ。
盾に聞きたい。だが、この面会室で名駄偽の名前を出すのは躊躇われた。
差しさわりのない話をしながらどうにかして聞けないものかと考えているうちに、
刑務官に「時間です。」と告げられた。
「また来ます。」と微笑んで去っていく盾を、見送るしかなかった。
盾に聞いて確かめたかった。
名駄偽を刺したことが裁かれなかったことと、両親を救えなかったことのどちらが
おまえを苦しめているのか、と。

 見神は独居に戻された後、三年前のことを思い返した。
「金を出せと脅された」だけだなんて、何故盾が言ったことをそのまま信じたのか。
盾は両親が殺されたとき、二つの罪を犯した。
一つは名駄偽に対する殺人未遂。そしてもう一つは、両親を見殺しにしてしまったこと。
十歳の少年の殺人未遂を法律は罪に問えないし、恐怖に足が竦んでしまったことを誰も責めはしない。
あと数歩踏み込んでいれば、両親の前に盾は殺されていただろう。
生存本能が、盾の足を止めた。
どのみち、彼には両親を助けることは出来なかった。
それでも、それがわかっていても盾は自分が許せないだろう。
盾がこの世で一番許せない人間は、盾自身だ。
それこそ、誰にも裁けない。 <> 寒椿[前編](4/5)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:25:42 ID:0KB/Or980<>  俺は、俺のせいで妻と子が殺されたのをどうしても忘れられない。
俺が帰宅した時、すでに二人の命は手の届かない所に連れ去られていた。
血の海の中で冷たくなっていた二人に駆け寄って抱きしめたい衝動と、
現場保存をしなければならない刑事の理性に引き裂かれた。
俺は結局、刑事の理性を優先させた。
それなのに、犯人を逮捕することは出来なかった。
事件は俺の手の届かないところで捜査され、俺が何も出来ないまま時効が成立した。
ふたりを成城に残さなければ良かったのかもしれない。
もしも、一緒に横浜に住んでいれば・・・。
もしも、もう少し早く帰宅していれば・・・。
もしも、あの男の出所を知っていれば・・・。
いくつもの「もしも」が、俺を繰り返し苛んだ。
あの男は、時効が成立した後は事件のことを忘れていたのに。
盾も同じだ。
もしも、あの時、両親が殺される前に、あのまま刺していたら・・・、と。

 名駄偽と名駄偽の弁護士は、盾が刺したことを最大限に利用して死刑を免れた。
そのことも、盾を苦しめた。
結局、名駄偽の余罪を明らかにすることが出来ず、十歳の盾を証言台に立たせる事も
出来なかったので、名駄偽は無期懲役になった。
名駄偽は、刑期中ずっと自分を刑務所に送った少年のことをどうやって痛めつけてやろうかと、
暗い執念を持ち続けていただろう。
そして、名駄偽は盾の傷をえぐる言葉を持っていた。
言わないはずがない。
舌なめずりするように言っただろう。目に浮かぶ。
両親が逃げた理由が自分にあったと知ったら、余計苦しんだろう。
俺が盾を名駄偽で“制裁者”にしたのは、盾の苦しみに更に追い討ちをかけたかもしれない。
あいつは自分は法の裁きを逃れた人間だと、ずっと思い続けている。
親友の奈津記と元恋人の佐衛子は、真っ当な正義感の持ち主だった。
だから、盾は二人に惹かれたのだと思う。
盾はずっと裁かれたかったのに、俺はそれを邪魔し続けた。
救うどころか、逆のことをして来てしまった。 <> 寒椿[前編](5/5)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/27(月) 23:27:26 ID:0KB/Or980<>  親代わり、というのも中途半端な関係だ。俺はあいつを抱いたのだから。
いつも盾を悦ばせ、安心して眠れるように優しくした。
だが、一度だけ、俺の思うがままにした。
一度だけだったが、それが俺たちの関係の、本当の姿だったんじゃないのか。
始めての時だって出血させなかったのに、あいつの白い足を伝った血の色の鮮やかさに、
俺は我に返ったんだった・・・。
結局自分の考えをあいつに押し付け、縛り付けただけじゃないか。
いっそのこと、俺を一番恨んでくればいいのに、盾の俺に対する態度は逮捕される前と変わらない。
俺が逮捕されたことで、盾は自由になれただろうか。
駆動は、伊図津から盾の両親が盾の目の前で殺されたことを教えて貰ったと言っていた。
巡査部長である駆動が見れるのは、実況見分調書くらいだろう。
あれに書かれているのは、盾の両親の状況だけだ。
盾が名駄偽を刺したことは書かれていない。
十歳の子供の将来を守るということで、俺が厳重に伏せさせたのだ。
警察関係者では、事件を担当した県警本部と横須賀の所轄署の数人しか知らない。
盾が自分から話さない限り、駆動も伊図津も知らないはずだ。
そして、おそらく、盾は話していないと思う。

 ある男を制裁した時、ナイフで反撃されて盾は怪我を負った。
引き渡した後、盾のマンションで怪我の手当てをしてやっていると、事件発生の知らせが入った。
知らせてきたのが、久流須だった。
盾の返事も待たずに、「迎えに行く」と言って電話を切ったので、
見神は盾の部屋を出たのだが、マンションの入り口で久流須とすれ違った。
顔を見ないようにしていたので、長身だったということしか覚えていない。
盾が認める正義感の持ち主なら、盾を裁いて、そして許してやってほしい。
それしか、盾が自分を許すすべがない気がする。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/27(月) 23:34:17 ID:S1D/LpmJ0<> 591 :風と木の名無しさん:2010/12/27(月) 23:31:34 ID:+9ibpBIh0
棚351
ああいう書き込みをされると、避難所行けとしか言えない
びっくりするくらい心証悪いぞあれ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 01:28:21 ID:HCvxhKhQ0<> 599 :風と木の名無しさん:2010/12/28(火) 01:24:46 ID:uLQa70cSO
棚351
ここのコピペ貼られたからか規制なのか知らないが
あまり長い間中断しないでほしい
もう投下しないならその旨書いてから去れ
次の人に迷惑だ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 01:48:34 ID:kyxyJ8nWO<> どんな理由だろうと絡みコピペは厨 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 06:31:30 ID:W1C/QL8C0<> 某役者さん関連の話の投下後には必ず変なのが湧いてるね。
気のせいかもしれないけど。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 08:58:26 ID:RZrEURdrO<> 気のせいだよ。 <> 寒椿[後編](1/6)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:00:27 ID:YZxhPBZ70<>  ロッカーに預けておいた携帯の電源を入れると、駆動からメールが来ていた。
見神の様子が気になってしかたないのだろう。
刺された本人が、刺した相手を心配している。
自然と笑みがこぼれた。「元気にしていたよ。」と知らせてやる。
駆動も面会に来たがっているのだが、盾が止めていた。
刑務官が立ち会っていることを忘れて、余計なことまで話しかねないからだ。
駆動もそれを認めて、我慢している。今度は一緒に来ようか。
拘置所を出て、その高い塀を振り返って見た。
 自分が見神に体の関係を持ちかけ、見神もまたそれを受け入れたのは、
擬似親子になるのを避けるためではなかったろうか。
見神との間には、奈津記や佐衛子とは違った絆がある。
盾には一番長い時間を共にしてきた絆だ。
両親が殺害されて、それまでの縁は総て失った。
お互い、どんなにつらくても殺された家族の事を忘れて生きていくことは出来なかった。
いまでも名駄偽の「おまえが殺したんだ」という声で、汗をびっしょりかいて目を覚ます時がある。
駆動には「過去を乗り越えろ」なんて言っておきながら、全然ダメだな、と自嘲した。
失った家族の代わりを受け入れるのを、罪悪感が許さなかった。
それでも、同じ苦しみを持った見神は盾には特別な人だった。
伊図津に教えられるまで、見神の妻子が殺害されたことは知らなかった。
だが、妻子と死別したこと、それが自分の両親の事件の少し前くらいであること、
そのことに見神が深い負い目を持っていることは、長い付き合いの中で徐々にわかってきていた。
伊図津から事件の事を聞いて、いろいろな事が腑に落ちた。
 盾は、奈津記と佐衛子の事が見神の独断だということが今だに信じられなかった。
信じられないのか、信じたくないのか、ずいぶん悩んだ。
悩んでも悩んでもやはり信じられないのだ。
見神もすべて話したわけではない。
警察官になって被害者の苦しみを少しでも減らしたいという目標を持つまで、
いっそのこと両親と一緒に殺されていた方がマシだったと、何度も思った。
その目標を与え、前を向かせてくれたのが見神なのだ。
二人にすまないと思いつつも、見神を憎んだり恨んだりできなかった。 <> 寒椿[後編](2/6)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:04:36 ID:YZxhPBZ70<>  死刑判決が出れば、親族ではない盾は面会が許可されなくなる可能性がある。
無期懲役の長い年月の後ならば、見神もすべてを話してくれるかもしれない。
しかし、死刑なら・・・。
このまま黙ってすべてを自分一人の胸に仕舞い込んだまま、逝ってしまうのではないだろうか。
盾はそれを恐れていた。
辞表を書いた時、警察を辞めれば見神の養子になれる、と思った。
辞めるのは伊図津に止められたし、見神は拒むだろうと思って、結局養子のことは言わなかった。
死刑囚ともなれば、面会が許可されても、会話は記録されるようになる。
今だって、こっそり録音とかされているかもしれない。
収監されている限り、見神の本心は聞けないと思う。
それでも、会い続けていれば、なにかわかるのではないか、と思わずにはいられなかった。
 見神のために、見神の妻子を殺した犯人だけは、あの島から出したくなかった。
島の場所を知らなければ、もし盾が逮捕され“紙隠し”のことが発覚しても、
盾の所以上は追求が出来なくなる。だから、あえて知らずにいたのだ。
なぜなら、時効が成立した午前0時過ぎ、犯人を殺して自殺するつもりだった見神を
止めたのは盾だから。そして、そうするように盾を導いたのは伊図津だ。
そういう意味では、盾と伊図津は奈津記と佐衛子の死に二重の責任がある。
 見神は、奈津記と佐衛子の殺害と駆動を刺したことは認めたが、他は一切語っていない。
情報屋の件についても、だ。その件を認めると、“紙隠し”に繋がる怖れがあるからだ。
確かに殺害の手口は同じだが、情報屋は殺害場所が特定出来なかったし、
殺害後海に投げ込まれたせいで、確実な物証もない。
見神が自供しなければ、とても立件出来るものではないだろう。
死よりも重い罰をあえて生きて受けるつもりと、“紙隠し”を守るためかもしれないし、
そうではないのかもしれない。
 改めて調べ直してみたが、あの情報屋が裏金の件を掴んだきっかけがどうしてもわからない。
たいしたことのないチンピラだったし、彼のフィールドは夜の繁華街だった。
伊図津が調べさせたのは、夜の街で不相応な金額で遊ぶ警察関係者がいないか、
ということだった。 <> 寒椿[後編](3/6)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:06:37 ID:YZxhPBZ70<> 今だからわかるが、遊興に充てられるような金ではなかったから、そういうところから
引っかかったとは思えないし、実際1ヶ月くらい何も見つからなかったそうだ。
だが、情報屋はなにかを掴み、詳しいことを話す前に殺されてしまった。
5年前、奈津記はそのしっぽを掴めたが、今では情報屋のことを覚えている人間を
見つけるのも難しかった。

5年前、奈津記はそのしっぽを掴めたが、今では情報屋のことを覚えている人間を
見つけるのも難しかった。
奈津記はいったい誰から、あのCD−Rの内容を知ったのだろうか。
CD−Rのリストに見神の名前はなかった。
裏金の流れから、直接見神にたどり着けたとは思えない。
万が一、見神が“紙隠し”をしているところに偶然遭遇しても、
それだけでは裏金と結びつかないだろう。
それに、見神は慎重な人だ。
“紙隠し”を始めた頃なら、なおさらだと思う。
見神からCD−Rの内容を手に入れられたとは思えない。
そして、あの内容では、直接“紙隠し”に結びつかない。
もしあの数字が島の座標だとわかったとしても、一週間で見神にまで辿りつくだろうか。

奈津記に情報を漏らした人間が、その尻拭いをさせたのかも・・・。
見神は独断だと言ったが、それこそ、あの女弁護士のように、
匂わしただけで見神が行動することを見越して・・・。

見神の独断だと信じたくない逃げかもしれないと思いつつも、その可能性を捨てられない。
見神は探るなと言ったが、もう、今までのように知らずに済ませる事は出来なかった。 <> 寒椿[後編](4/6)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:08:56 ID:YZxhPBZ70<>  高い塀から視線を正面に戻す時、視界の端に赤いものが入った。
何だろうと思ってそちらに目をやると、民家の塀と屋根の間に一本の木が見えた。
その濃い緑の葉の茂りの中に、一つだけ大輪の赤い花が咲いていた。
椿だ。たった一つ・・・。
いくつかつぼみが付いていたが、みな固いままの中で一輪だけ咲いていた。
一時、鮮やかなコントラストに目を奪われた。
どうして一輪だけ・・・?
強く吹いてきた冷たい風に首を竦ませると、盾は駅に向かって歩き出した。
 電車を待っている間に久流須にメールをすると、
盾からの連絡を待っていたらしく、すぐ返信が来た。
待ち合わせて、一緒に食事をすることにした。どんな話をしたのかとか、一切聞かれない。
食事を終えるとそのまま帰ろうとするので、盾の方から誘った。
以前の男が拘置所にいるのに、その男と会ってきた夜に新しい男に抱かれるのは
ばつが悪かろうと久流須なりに思いやってくれたらしいが、一人でいたくなかった。
もうすぐ12月。奈津記と両親の命日がやってくる。
まだ日はあるが、その日のことを思うとこんなふうに寂しくなる。
一緒に過ごした時間より、一人残された時間の方が倍以上になったのに、何故なんだろう。
それに、こんなすっきりしない状態で、奈津記の墓前に何と報告すればいいのだろうか。

 その夜の盾は積極的だった。
俺に入れる気かと久流須が思うほど、周辺を舐め愛撫し、そこから勃っている先まで
舌の先でずっとなぞられた。
愛おしくてならない、というような表情を浮かべて、久流須の先端を丁重に口に含む。
「なんか、甘いもの舐めてるような顔で、すんなよ、んっ」
「・・・だって、久流須だから・・・」
盾がため息混じりに答えると、その息遣いが敏感なところにかかって、
それだけでイってしまいそうになる。
そのうえ、上目遣いの目が潤んでいるのにも煽られる。
仰向けになっている久流須の上に乗り、勃っているものどうしをすり合わせ、
なまめかしく腰を動かしてくる。
触れ合っているところからの快感もたまらないが、盾がしてくれていると思うと格別だ。
盾の肌は、しっとりと吸い付くような手触りがする。 <> 寒椿[後編](5/6)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:11:13 ID:YZxhPBZ70<> やわらかく充実している尻を撫で回して自分に引き付けると、悩ましい吐息が洩れた。
体を引き上げて、胸の突起を舌で舐ってやると、切なげな声を上げて上体をのけぞらせる。
久流須は自分の体をずり下げ、盾自身を口にした。
さきほどのお返しに逆の道筋を辿り、舌と指を交互に差し入れてやる。
上になっている盾の体が、がくがくと揺れた。
夏からこっち、痩せたままだな、と思う。
体を入れ替えて久流須が上になって、盾の中に指を抜き差ししながら舌を絡め合った。
あえやかな声が零れて、深く差し入れた指をきゅっと締められた。
「久流須」もう、来て。
久流須はベッドから降りて脇に立つと盾の体を引き寄せ、足首を掴んで大きく開かせた。
色白のしなやかな体が上気して、息を弾ませて色づいている様に見惚れる。
ゆっくり、盾の中に入っていく。
お互いの熱が気持ちいい。
そこからとろけていく。
盾の中が久流須の形になじむまで待って、ゆるやかに動き始める。
久流須を受け入れて、潤んだ目元も薄く開かれた唇もいっそう艶を帯びる。
もっと、もっと盾が欲しい。
俺が帰ろうとしたときの、あのなんともいえない表情・・・。
儚くて、脆くて。
どうしたら、俺はこいつの寂しさを埋めてやれるんだろう。
掴んでいた足首を引き寄せ、足の指を一本一本丁寧に嘗め回し、味わう。
盾は潤んだ目を細め、じっと久流須を見詰めた。
久流須だって、甘いもの舐めてるような顔、してるよ。
本当は、いっぱい聞きたいことがあるよね。
それなのに何も聞かずに、ただ寄り添おうとしてくれる。
久流須、もっと奥まで来て、もっと。
盾の腰と腹が激しく動いて、貪欲に久流須を呑み込もうとする。
きゅうとしめつけられるの息を止めてこらえ、力が抜けると突いてやる。
全身に拡がって行く快感に、もう零れる声が抑えられない。
身を捩って枕を掴もうとする盾に、久流須が覆いかぶさってきて耳元に囁く。
「俺にしがみつけよ。」 <> 寒椿[後編](6/6)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:13:50 ID:YZxhPBZ70<> 「え?」
ぐっと、久流須が盾の体を持ち上げた。
挿入が深くなって、盾は声も上げられない。
何度かあえいで、やっとのことで言葉を搾り出す。
「無茶・・・するなっ、ああっ!」
「しっかり、しがみついてろ。」
久流須が盾の体を揺すり始める。
感じている顔もよがる声も、もう隠せない。

俺にしがみつけよ。

聞き間違えたかと思った。
それが出来るのは、こうして抱かれている時だけだ。
一人で抱え込むなって久流須に怒られたけれど・・・。
エイPECも終った。そろそろあちらからアプローチが来るだろう。
そうしたら、自分たちはどうなるのだろうか。
明日のことはわからない。
いっぱいに満たされ、激しく揺さ振られる最中、
唐突に昼間見た色鮮やかな椿の花が脳裏に浮かんだ。
あの花はたった一輪で咲いて、たった一輪で落ちるのだろう。
久流須の肩にすがる腕に、力を込める。

意識が遠のく中で、あとどのくらい久流須に抱いてもらえるのだろうか、と思った。


 1ヶ月後のクリスマスイブ。年末特別警戒の勤務を終えて深夜に帰宅した盾の部屋に、
1枚のカードが届いていた。
カードには―――。 <> 蛇足(1/3)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:16:17 ID:YZxhPBZ70<>  一回終った後、まだ離れがたくて下肢を絡めながら二人で寄り添って横たわっていた。
時々、お互いの足の甲をすり合わせて肌の滑らかさとぬくもりを味わう。
久流須の肌はすべすべしていて、撫でると気持ちがいい。
一回一回、回を重ねるごとにお互いの体がなじみあっていくのがわかる。
久流須は、自分の肩の上に乗った盾の髪をゆっくり撫でていた。
久流須に髪を撫でられるのは好きだが・・・。
「腰、大丈夫?」
「平気さ、今のおまえ、痩せてるからな。」
「男としては、あれやられるのは、恥ずかしいんだけど。」
警察学校時代、柔道で何度もいいように転がされていたので、
力では久流須に敵わないのはわかっていたが、やりすぎだ。
「ふーん、その割にはよがってなかったか?」
と久流須はにやついた。
さきほどの乱れようは、鮮やかに目に焼きついている。
耳元であえぐのもたっぷりと聞くことが出来た。
「・・・重くなってやる・・・。」
盾はそうつぶやいて横を向いてしまった。
枕に顔を埋めて声や表情を隠すことも出来ず、なんだかずいぶんあられもないことを
口走ってしまった気がする。ああ、もう。
久流須が上機嫌なのも、小憎らしい。
「ちょっとくらいならいいけど、あんまり太るなよ。
田木川たちとケーキの情報交換している割には、痩せたままだよな。」
横を向いた盾の左肩に音を立ててキスしながら、そんなことを言う。
ん?それは誰がカロリー消費させているのか、わかってて言っているのかな?
まあ、気懸かりなこともあるけれど。
肩にキスする時、二の腕の傷跡が目に入った。触れそうになって、寸前で止める。
いつか、聞ける日が来るかな。
すこしずつ。すこしずつでいい。こうやっておまえを暴いていけたらいい。
久流須の温かい掌が、盾のわき腹をゆっくりとさすって下に向かい始めた。
二回目、行きたい。
「ちょっと待ってて、久流須。」
そう言って振り向いた盾は、にっこり微笑んだ。 <> 蛇足(2/3)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:19:27 ID:YZxhPBZ70<>  盾が持って来たのは、ミネラルウォーターのペットボトルとバスタオルだった。
部屋の暖房の設定を、少し上げる。
フタをあけると、ぷしゅっと音がした。
久流須が飲むハイボール用の炭酸水だ。
盾は一口含み、久流須に口移しで飲ませた。
冷たい炭酸水は、汗をかいた後には爽快で、気分がしゃきっとした。
舌を絡めようとする久流須から、盾が逃げる。
もう一口含むと、そのまま久流須の先端をその水ごと含んだ。
炭酸水の弾ける刺激と冷たさで、久流須の背筋を戦慄きが駆け上がる。
それに追い討ちをかけるように、舌を使い、吸い上げた。
声も出せずに久流須がのけぞっているのを満足そうに見て、盾が囁いてきた。
「どう?昔、してもらった事があるんだ。
ホントは暑い時にシャンパンとかビールとかでやるんだけど、、、。」
って、え、おまえ、コレを、シャンパンかビールでやられたわけ?
酒に弱い盾のことだ。すごいことになっただろうな、と想像しただけで喉が鳴った。
「久流須、今ヘンなこと考えた?」
軽く盾が睨む。
「う、うん、まあ」
へどもど答えると、盾は笑って、
「酒をあっちに使うと、俺の場合、救急車を呼ぶことになると思うよ。」
と言った。
お見通しか。急性アルコール中毒。たしかにヤバイ。
また一口含むと、今度は久流須の胸元に顔を寄せた。ぴりぴりとした刺激に思わず声が出る。
「もっと、する?」
「・・・うん。」
盾はにこっと笑って、バスタオルを引き寄せた。 <> 蛇足(3/3)
◆vgaZcDdieY <>sage<>2010/12/28(火) 10:21:45 ID:YZxhPBZ70<>  盾って、無邪気な顔して大胆なことするよなぁ。
どこまで自覚していて、どこから自覚していないんだか。
くそー、俺は振り回されるだけか。
警察学校時代、奈津記が話してくれたことを思い出した。
同じ大学だったが、当時は交友はなかった。が、盾は有名だったので知っていたと。
「何で有名だったんだ?」と聞くと、
来る者拒まず去るもの追わずで、女の子とっかえひっかえだったと。
「人は見かけによらないな。」と久流須が驚くと、
そういう盾を自分のものだけにしたくて、付き合っていた女の子は頑張ってたらしいぞ、
と奈津記は笑った。
当人は最後はフラレてばっかりだよ、とぶーたれていたが、奈津記が聞いたところによると、
結構な人数だったそうだ。
それプラスおやじテクニックがこれかー、と思った。
まあ、いいか。振り回されてやるよ、おまえになら。
「なあ、まだある?」
「もう一本、冷蔵庫に。お腹壊すの、やだよ。」
二本目は、久流須が盾に使うことにした。
注意事項は守る・・・つもりだ。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 10:32:09 ID:buD8ikRp0<> >>342
素晴らしい作品をありがとう!!
現実的な二人の関係性に萌えました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 12:50:29 ID:AEJfvCik0<> >>351さん
萌えました。素敵なお話ありがとう。
またここでお待ちしてます。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/28(火) 22:39:24 ID:LrthJW+XO<> 嵐の相手するなよ <> 別苦 四弦×六弦 Part1
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/12/29(水) 00:26:18 ID:klpGD7+30<> ばんど漫画別苦より。専スレで盛り上がってたので投下シマス!
取り敢えず途中まで。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

昨日、初めて流助とヤった。
おれんちのベッドの上。そのままに乱れてるシーツの上で、俺は一人昨日のアイツの姿を思い出す。
長い黒髪が白いシーツの上に散らばってて。肌も、思ってたより白くて。
目とかすっげえ綺麗で。吸い込まれそうで。
先にキスしてきたのは流助のほうだったと思うんだけど、あの瞳に捕えられた瞬間、抑え切れなくなってしまったのは事実だ。
つーかもう記憶全体が曖昧で、もはや切っ掛けすらよくわからない。
挿れた瞬間は痛がってたような気もするけど、その後は割とアイツも気持ち良さそうだったし。
・・・とかなんとか、ヤった側がいいように解釈するのは当然な訳で。
朝(つーか昼?)に起きたら、バンドで一番寝起きが悪い筈の流助の姿は既に無かった。怒って帰ったか。ショック過ぎてわけわかんなくなっちまったか。
けど俺の身体は憶えてる。とりあえず考えるのが面倒臭くて、スエットの中に手を入れようとした瞬間、携帯のバイブが鳴った。
<> 別苦 四弦×六弦 Part1
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/12/29(水) 00:27:18 ID:klpGD7+30<> ビクッ、って音が聞こえそうなくらい身体を跳ね上げて、俺は枕元の携帯を手に取った。
この長さはメールじゃない。着信。誰だこんな昼間から。・・・
「・・・もしもし」
無意識に通話ボタンを押していた。
『あ、もしもし田井等くん!』
「・・・元気かよ」
自分でも意味不明だと思った。元気かよってなんだ。自分が犯しといて、ちゃんちゃら可笑しいだろそれ。
『え?元気だけど〜今日俺バイトだったから先帰ったんだよね。で、一応報告と思って』
「・・・そうか」
自分でも驚くほど声が低い。
相手のあっけらかんとした様子に、昨日の情事なんてほんとはなかったんじゃないかという気すらしてくる。
『どしたの?あ、それとさ、おれ今日も田井等くんち行っていい?』
思考が停止する。
「は?何言って・・・」
『あ、じゃあそろそろ休憩終わるから切るね!またね田井等くん!』
もしかして男とすんの慣れてんのか、
それとも昨日のことは本当に夢だったのか・・・?
しばらく働かない頭でぐるぐると思考を巡らせていたが、それだけでどっと疲れてしまった俺は、我に返るまで狂ったようにベースを弾きまくった。 <> 別苦 四弦×六弦 Part1
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/12/29(水) 00:29:23 ID:klpGD7+30<> 気が付けばもう夕方で。
起きてから何も腹に入れてないことに気付いて、身体が急に空腹を訴え出す。
なんか簡単に残り飯と野菜に卵でも入れてチャーハンにでもしよう、と思いきや卵を切らしていた。
さっきの流助の言葉を思い出して。
アイツ来るなら酒買い足しとかないと五月蝿いな。・・・ってなんで来る前提なんだ。
しかもアルコール入れたら駄目だ、また昨日の二の舞になるぞ。
・・・とか思っても良さそうなもんだったけど。
結局、スーパーのアルコールのコーナーの前に俺は立っていた。
がしゃがしゃ音を立てて、適当にビールのロング缶をカゴに入れていく。
あとツマミとかも要るか?流助は何が好きって言ってたっけ。
また流助のことを考えてる自分が嫌になって、ため息をついて立ち上がり振り返るとそこに本人がいて、本気でビビった。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
一旦切ります!多分そう遅くないうちに続き投下予定です。w <> 別苦 四弦×六弦 Part2
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/12/29(水) 12:36:49 ID:klpGD7+30<> 流ちゃんが誘い受。まだ本番までいかない。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「田井等くん!やっぱ田井等くんだった」
俺より体格いいくせに、ちょっと上目遣いでおれを見て嬉しそうに名前を呼ぶ流助の手には、大量のお菓子。
「何してんだよ」
「あ、これ?これは田井等くんにもみあげ」
「ぶっ・・・!」
それまで仏頂面してたのに、竜介の変な日本語を聞いたら緊張が解けた。
「なに?なに?」
「何でもねえよ、てか俺に気ー使わなくていいから」
そう言って竜介の手からお菓子の袋を奪い取って自分のカゴに入れる。
「ほら、行くぞ」

「お会計、1500円になります」
うお。こんなん初めてだ。ぴったし。
こんな風に、昨日の出来事もすっきり清算出来ると良いんだけど。・・・
とか思ってたら流助が隣で暢気な声を上げた。
「田井等くん!いちえんあるよ!」
「いや今日は一円いらねーよ」
「え、なんで?だすねっ!」
ほら、って広げた手のひらには四円。
「あのな、今日はピッタリだから要らねーの。」
「そっか。」
「じゃ、帰ろっか。」
「うん!」 <> 別苦 四弦×六弦 Part2
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2010/12/29(水) 12:37:29 ID:klpGD7+30<> 帰る、って。同棲かよ・・・どう見たって兄弟には見えねえだろうし。
けど、昨日の出来事を気にしているのはまるでおれだけみたいで、隣のロン毛は至って元気だ。
「卵とか買っちゃって何作ってくれんの?」
「え?あ、ああ、オムレツとか?」
また昨日の妖艶な流助がフラッシュバックしてて、俺はしどろもどろに答える。
オムレツとか作ったことあったっけ。
「わあー楽しみ」
「そうか」
なんだろコレ。可愛い、とか思っちゃってる自分が嫌だ。

結局おれは超絶美味いチーズオムレツを拵えて、流助はそれを俺の分まで奪って食べた。
普通にビール開けて。何にか分かんねえけど乾杯して、あっという間に飲み干して。
二本目を取りにいってる時、なんだこれ・・・またお泊まりパターンじゃねえか、と気付いた。
もうこれ飲み終わったら帰ってもらおう、今日の食事で昨日のコトはチャラでいいってことなのかもしれないな・・・とか思ってたら。
「たいらくんはさ。」
舌足らずな声で、切なげに名前を呼ばれて、俺は冷蔵庫の前に立ち尽くした。
「好きな子とか、いるの?」
「・・・」
「おれ昨日気付いちゃった。たいらくんが好きだって。」
突然の告白。
「おれ結構遊んできたけどさ」
流助はどんな顔でそんな話をしているのだろう。見てはいけない気がして、振り返ることができない。
「年上に憧れるのははじめて。ほんとだよ・・・」
俺の中で、何かがぷつりと音を立てて切れた、気がした。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/29(水) 18:14:03 ID:4In++Y43P<> >>213
随分と遅レスでご免
あなたがネ申か <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/29(水) 21:13:10 ID:Qt3Nb3noO<> >>379
別句キタ!!!
どうしようこんな可愛いギター初めてハァハァ
続きまってます!
けど、中断何度もするよりまとめての方が良いですよ〜 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/29(水) 21:44:13 ID:NdASqLEl0<> >>385
この倍以上の長さがあるんなら途中で連投規制に引っかかる可能性が高いし、
トリもあるので別に分割投下は問題ないと思う <> 25年目の出来事1/2<>sage<>2010/12/29(水) 22:23:05 ID:jmuG/eIO0<> 永遠の○○な3人組の赤→黄
ショックなニュースに動揺して妄想文を書いてしまったらしい
全盛期ですらどマイナーカプだったからとても自己満足でゴメン

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


マネージャーからその報を伝えられて、
普段縁のない女性誌なんぞをこそこそと買って来て、
いざ目的のページを開いた俺は、
ひたすら動揺していた。
何でかって、昔ほどつるむ機会は減ったものの、
30年近く顔を突き合わせてるのに、
そんな表情俺は見たことがないんだよ。
大体お前は、ガハガハ笑ってるか、
数ヶ月年下のメンバーにからかわれてムキになってるか、
たまに泣いたって嬉し泣きで、
あとはごくまれに、ステージ上で見せる真剣な顔。
それが何だ。
疲れたのか?悲しいのか?寂しいのか?
初めて見るもんだから、そんな顔をしてるお前が今どんな気持ちで居るのかわけがわからん。
心配3割、相談されなかったイライラ3割、茶化してやろうって気持ち3割、
だったはずなんだが、
残り1割の、
とっくの昔にケリをつけたはずの、
昇華したはずの、
諦めたはずの、
今さら名前をつけるのも恥ずかしいような感情がもう、
押さえきれなくなって来て俺は、
気づいたら電話していた。 <> 25年目の出来事2/2<>sage<>2010/12/29(水) 22:24:47 ID:jmuG/eIO0<>
そしたらさ。
「ごめんな」っておい。
そんな声のトーンも聞いたことないもんだから、
記事で言ってたまんまじゃねーか、とか、
俺に謝ってどーすんだ嫁に謝れ、
とか、今までなら俺が言いそうな軽口を一つも言ってやることが出来なかった。
代わりに俺の口からやっと出た言葉と来たら
「まあ俺が居てやるよ」
ずっと、とか、そばに、は何とかつけずに済んだらしいが最悪だ。
俺らしくもない。
おまけに相手に引きずられてシリアスな口調になってしまった。
本気にされただろうか?
焦る俺に聞こえて来たのは笑い声だった。
俺の好きな声だ。
「ばーか、なに言ってんだよ!」
ああ。今どういう顔してるかはわかる。
俺の好きな顔だ。
お前はそうやって、俺の言う事にいちいち笑い転げてりゃいいんだよ。
そしてもうあんな顔しなくて済むように、
俺がずっと一緒に居てやるよ。
何しろ俺は、どうやらまだ、お前の事を愛してるんだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

読んでくれてありがとう!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/30(木) 00:25:16 ID:NOqyw6wZ0<> >387
間違いでなければダンスの得意な3人組ですよね…?
うれしいです!!! <> 雪見うさぎ・2 1/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 20:58:21 ID:f+9GVStFP<>  闇金ウシジマくんで柄崎×社長。エロありです。大いに捏造しております。やたら甘くて割とイチャついていて、雄っぱい多め。柄崎が幸せな変態です。社長デレ成分
多め。>>285の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 丑嶋の強靭な精神を包み込む肉体は堅強だ。しかし部分部分の性感に弱い箇所はこれほどまでかと言う程弱い。勿論相手と状況にもよるのだろうが、それでも尚、弱さ
を曝け出していて男を誘う。
 「ふっ」
 柄崎の手の動きに翻弄され、丑嶋が背中を弓なりに反らした。日に焼けていない首筋がのけ反り、顎に生えた髭の黒々とした様子と抜群の対比だ。
 「ああっ、社長っ!」
 触っている方なのに、丑嶋の痴態にすっかり興奮してしまった柄崎は上擦った声を搾りだすと、手は胸に当てたままで丑嶋の胸に倒れこんだ。丑嶋の胸は汗で少しだけ
湿っていて、温めた牛乳に少し酸っぱそうな物を加えたような匂いがした。
 「はぁ、はぁ・・・。んんっ、社長、社長・・・っ!」
 柄崎は匂いの元である汗を求め、夢中で胸の谷間にむしゃぶりついた。
 「はっ、柄崎、汗かいてるから舐めるな。汚ねェぞ」
 人によっては不快に感じそうな熱で蒸れた男の体臭を胸一杯に吸い込む柄崎を咎める。 
 しかし、柄崎にとって丑嶋の汗や体臭は好ましい物なのだ。舌を尖らせ、ペロペロと動物のように谷間を舐める。舌の先は神経が集まっていて敏感なので、汗の塩分と
いった味覚だけでなく、申し訳程度に淡く生えた体毛も感じとることが出来た。 <> 雪見うさぎ・2 2/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 20:59:27 ID:f+9GVStFP<>  舌で動物のグルーミングのように体毛を舐めまわす間も、相変わらず手の動きを怠らない。両手の五指を大きく開き、餅を捏ねるような丁寧で粘っこい手つきでしつこ
く揉みほぐす。その間にも人差し指と中指の間に挟まれた乳首は胸板と一緒に揉みほぐされ、表面にブツブツとした鳥肌のような物が浮かんできた。
 「う・・・、柄崎、下も」
 胸ばかり苛められ、下半身が切なくなってきたのか、丑嶋が腰を上に突き出してきた。当たった部分は硬くなっている。
 「はい。じゃあ、脱がしますから、ちょっと腰を上げたままでいてくださいね」
 丑嶋から素直に強請られ、柄崎はデレデレとしながら言う。
 「脱がすって、全部か?」
 上気した丑嶋の顔が、表情だけ不満げに曇る。やはり、どれだけ気持よかろうと、服を脱ぐのはご不満なようだ。
 「はい。でも、炬燵の中だから見えないですよ。ね?脱ぎましょうよ?社長」
 確かに炬燵の中に入ったままならば、柄崎の視線に直接晒されることはない。丑嶋はやや不満を残したようすだが、無言で腰を上げたまま顔を背けた。
 柄崎は心を蕩かされるような幸福な思いを抱き、丑嶋の下半身の衣類に手を掛けた。つい先程まで団欒の場面だったのでゆったりとした服装だ。ベルトは着けておらず、
ボタンを外してファスナーを下げると、それだけでズボンは脱がせられた。
 脱がせたズボンは炬燵の外に置き、再び炬燵の中に手を入れ、今度は下着の中に手を入れた。下腹部は張りつめた腹筋があるが、それから下は流石に筋肉は少ない。張
りはあるが柔らかみもある感触があり、硬い陰毛が指に絡んできた。
 手をじっくり動かしながら更に下に移動すると、隆々と起ち上がった性器がある。根元から撫で上げ、先端に行きつくとヌルリと手が滑った。そこはすでに蜂蜜を水で
溶かした様な体液で濡れていて、指で撫で廻すと弾けるような肉の弾力と滑る体液の感触があった。 <> 雪見うさぎ・2 3/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 21:02:56 ID:f+9GVStFP<>  「おい、脱がせるんじゃなかったのか?」
 「ああ、そうでした」
 長い間ブリッジ状態で腰を上げていたので、丑嶋の腰は震えている。柄崎は慌てて下着に手をかけると、足から引き抜いてズボン同様に置いた。
 いよいよ、と根元に触れると、丑嶋の眉間にギュッと皺が寄り、口は固く結ばれた。以前丑嶋とセックスをして以来、何度かこういう行為をしたことはある。丑嶋は柄
崎が初めてではないし、柄崎との初めての時は大胆極まりなかった。それなのに柄崎がこうして少し強引に出ると、あの大胆さは消え失せてしまったようになる。恥じらっ
ているというより、慣れないので戸惑っているのだろう。
 丑嶋の強固な態度を少しでも和らげる為に手を性器から離し、皺の寄った眉間にキスをする。何度もすると、フッと丑嶋の表情が和らいだ。
 「くすぐってェよ」
 嫌ではないのだろうが、照れ隠しを含んだぶっきら棒な口調が愛おしさと性欲を煽る。柄崎は最後に眉間に強く吸い付く。名残惜しげに唇を離し、手の動きを再開した。
 指を生命力溢れる熱さと、鼓動に満ち溢れた性器に絡める。途端に丑嶋の大きな体が揺れ、張り詰めた亀頭の先端から新たなカウパーが沁み出てきて、柄崎の手まで滴っ
てくる。
 「気持ち良いですか?」
 炬燵の掛け布団の中で触っているので、性器がどのような状態にあるのか詳しくは分からない。だが粘りつくカウパーを手に纏わりつけ、性器を撫でていると丑嶋の表
情が甘く蕩けていくことから、さぞかしいい具合に出来ているのだろう。
 柄崎は夢中になって手の中の性器を激しく扱き始めた。手の動きとともに、いやらしく湿った汁音が掛け布団越しでも聞こえる。
 「あっ、おうぅっ」
 敏感な胸を攻められた後、性感の塊の性器を激しく愛撫され、丑嶋は射精感がジリジリと生まれ、そして一気に感極まっていくのを感じた。 <> 雪見うさぎ・2 4/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 21:03:59 ID:f+9GVStFP<>  けれど、このまま出す訳にはいけない。ここは柄崎の実家で、しかも炬燵の中だ。もしこんなところで出してしまっては大変だ。
 「柄崎、うっ・・・、まずい、いきそうだ」
 単純に匂いの籠る中で射精したくないので我慢しているだけだが、その我慢する姿が何とも色っぽく、柄崎を更に煽った。
 「いいですよ、イっても」
 言いながら炬燵の中の手の動きを変える。根元から先端に向けて扱くのではなく、手の平をお椀のようにして射精孔である尿道孔に蓋をしながら先端のみを撫で廻す。
 やがて丑嶋の腰が艶めかしく揺らめき、手の平に当たっている尿道孔が蠢く。
 「おうっ、おっ、うっ」
 与えられる快楽に陶酔しきった咆哮を上げ、丑嶋の体がヒクヒクと止めどなく痙攣する。反り上がった性器から濃厚な白濁が吐き出された。
 先端に蓋をするように手を被せていた為に、白濁は全て柄崎の手にかかった。23歳という若さゆえに、毎日有り余るほど製造されているに違いない白濁が、性器が震
える回数と同じ分だけ手のひらを叩く。
 「社長の、熱いっすね」
 濃厚な物を噴きかけられ、それだけで柄崎は射精しそうなほどの恍惚を味わった。噴きかけられた物を見る為に手を炬燵から出すと、中から熱気と男の匂いが放出され
た。
 堪らねェ・・・、と柄崎は心の中で呟いた。掛け布団を少し上げただけでこれだけ香るのだ。出来る事ならば、炬燵の中に頭を突っ込んで胸一杯に丑嶋の匂いを吸い込
みたいとさえ思う。
 しかし、もし丑嶋の前でやれば変態呼ばわりされるに決っているし、実際に自分でもそんな行動をする奴がいたら変態だと罵るに違いない。 <> 雪見うさぎ・2 5/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 21:05:13 ID:f+9GVStFP<>  せめて丑嶋から搾りだした白濁を味わってしまいたい。まずは唇を尖らせて啜り、強烈な粘度を感じたい。その後はすぐに飲み込まず、口内に溜めてから鼻で呼吸をし、
鼻から抜ける香りを楽しみたい。その後は舌で歯茎の間まで滲み込む程に口内に塗りたくり、最後は少しずつのど越しと味を味わうべく唾液で溶かしながら飲みこみたい。 
 喉から湧き上がった唾液を呑み込み、何とか欲求の数々を抑え、喘ぎそっぽを向いている丑嶋の後孔に手を伸して指を這わせた。
 「あ・・・」
 丑嶋は聞きようによっては媚びた喘ぎに聞こえる鼻にかかった声を出し、顔を上げた。下半身は炬燵の中に入っているので見る事は出来ない。それでも触れられている
であろう辺りと、柄崎を交互に見ずにはいられない。正直、挿入までする気は無かった。やる気を出してしまった柄崎と互いに抜き合えば終わりだと考えていた。他人様
の実家で、その家の息子の息子を体内に収めるような非常識なことはしたくないのだ。
 気が急いている柄崎は丑嶋の非難がましい顔には気が付かない。丑嶋同様に自分が触れている辺りを見下ろし、まだ硬く閉じきった穴全体を白濁を塗りつけた指で押し
揉んでいく。強引に割り開かず、緩々と上下左右に後孔を指の腹で擦りながら揉む。
 「んーっ」
 指を入れずとも、丑嶋の後孔は撫でるだけで反応して緩んでくる。反対に口は辛そうに閉じられた。自分の体が意思と違って柄崎を求めてしまうのが悔しいのだ。
 ところが、柄崎の指は丑嶋の気持なんぞ気づきもしないで自由に動き回り、徐々に丑嶋の後孔へ二本がめり込んできた。
 「ふぅっ、柄崎、指っ、テメェ、このっ、俺の許可なく入れるんじゃねェ」
 「すんません・・・。入れて、いいですか?」
 一応口先では謝っているが、すでに指は二本も爪先だけだが入ってしまっているので、入れて良いですかも糞もなかろう。しかも指の動きは謝っている最中も止まらず、
粘膜を巻き込みながら奥へ奥へと突き進んでくる。粘液を纏った指はうねうねと蛇のように微妙にくねりながら狭い肛洞を掘り進み、やがて前立腺を押しつぶし指の根元
が後孔にペタリと張り付くまで奥に潜り込みきった。 <> 雪見うさぎ・2 6/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 21:06:48 ID:f+9GVStFP<>  「えざ・・・きぃいっ、入れるなって言ってんだろうがぁ!」
 丑嶋は体の内部から沸きあがる熱と室内の熱に当たりすぎて動きが鈍っていて、驚くほどらしくない弱々しい声で文句を言う。だがそんな態度では今の発情状態の柄崎
を脅かすことなどできず、頼りなさが際立って柄崎の指の動きを促すだけだった。
 「ほぐしますよー」
 「だから、止めろと・・・、うぅ、んっ」
 奥を掻きまわす指の動きを食い止めようと尻に力を入れるものの無駄だった。むしろ気張ったことによって指を締め付け、直腸壁が指に張り付き、無骨な感触が嫌と言
うほど感じとれてしまった。
 「あっ、あっ、あっ」
 嫌々と頭を振ると、丑嶋自身の意思は置き去りに直腸壁は柄崎の指に悩ましげに絡みついてしまう。
 「うっ、あー・・・」
 口を精一杯開けて息をしても呼吸困難に陥ったかのように胸が苦しく、止められない素直な喘ぎ声が漏れ出てしまう。絶頂の頂はもうすぐそこまで迫っていて、このま
までは二回目の射精を指だけで迎えてしまいそうだった。
 「柄崎、もう・・・」
 どうせ絶頂の頂に上り詰めるならば、指よりもっと太い物に突かれて一緒に登り切りたい。丑嶋は淫靡な体感のみに支配され、柄崎を欲そうとした。 <> 雪見うさぎ・2 7/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/12/31(金) 21:07:35 ID:f+9GVStFP<>  しかし、これだけ体に力が入らないのだ。このまま炬燵に入ったままでは気を失ってしまう可能性もある。丑嶋は腰を動かして床の上をずり上った。
 「うっ」
 指は名残を残す様に粘液の糸を引きながら抜けた。
 「え?嫌ですか?」
 突然強制的に指を抜かされ、柄崎は悲しそうに眉をハノ字に下げる。
 「嫌じゃねェ」
 丑嶋は唇を尖らせながら腰を捻って炬燵の中で四つん這いになる。叱られた飼い犬のように身を縮めた柄崎を横目に炬燵の中と柄崎の下から抜けだすと、恥ずかしさを
堪えながら四つん這いのまま柄崎に尻が見えるように腰を上げた。
 「うわぁ・・・」
 しょげていた柄崎は丑嶋の行動に目を奪われ、自分も炬燵の中から抜けだして丑嶋に近寄った。猫のような四つん這いのポーズはほぐれてヒクつく後孔が丸見えだ。
 柄崎に好色な感嘆の声を上げられ、丑嶋が苦しげに尻を揺らす。視線を意識した羞恥の仕草だ。だが意思とは裏腹に尻はいっそう悩ましげにくねるばかりだ。
 「くそっ、柄崎、もう入れろ」
 指により射精直前まで導かれ、惨めで淫らな顔を曝け出しながら正常位でするよりも、顔を見られないで済む後背位のがマシだと思ってしたポーズだが、よく考えてみ
れば、結合を待ち望んで蠢く部分を見せつけながら挿入を望んでいるようだ。
 しかし、今更「お終い」と言えはしない。一度も射精していない柄崎は勿論だが、もうすでに一度射精している丑嶋だって我慢の限界なのだ。それに、今更恥ずかしい
から、などと女々しいことを言って体位を変えるのも情けないではないか。 <> 雪見うさぎ・2<>sage<>2010/12/31(金) 21:16:24 ID:WhX6Ox17O<> 連投に引っ掛かりましたので、続きはまた後日投下させていただきます。スペースお借りしました。ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/31(金) 21:42:21 ID:lfRgj7u7O<> >>390
わー!待ってました!!
大晦日だからある意味ライブですね!
柄崎が変態で純愛で素敵すぎます!
本年は沢山の社長萌をありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/31(金) 22:17:51 ID:686pcp80O<> しばらくして書き上げたら、ここに投下しようと思うんだけど
どのくらいで改行すべきだろう
それとも一文を短くしたほうがいいのか
「、」のあとに改行してもいいのか <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/12/31(金) 23:22:43 ID:78BCIVZF0<> >>399
保管庫に行っていろいろ見てくれば?
そんで好みの改行を使えばよろし <>
【吉】 【56円】 <>sage<>2011/01/01(土) 01:23:03 ID:74utka5V0<> >>389
間違ってません!
わかって下さる人が居てよかった <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/01(土) 05:10:30 ID:8S24Akoz0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  1月からアニメ化のGO/SICK 警部×一弥
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  棚19の作品と同じ作者モナー
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
4年もしぶとく萌えていれば、アニメ化というご褒美がもらえるらしいです。
会話の中に若干ネタバレ的な要素もあるのでご注意。

久城一弥…西洋の小国に来た東洋の留学生。軍人の三男坊で童顔小柄な少年。
ブロワ警部…貴族の嫡男。美形で洒落者だけど妹のせいで髪型が常にドリル。
ヴィクトリカ…一弥の同級生で人形のような美少女。一弥の大事な人で警部の妹。 <> GO/SICK 1/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:11:27 ID:8S24Akoz0<> 「く……っふ……う……」
 唇を噛み締めて呻くように喘ぎをこらえる一弥に、
「どうした、久城くん……感じているのかね……?」
 覆い被さりながら、ブロワ警部が顔を近づける。
「寄らないでください……っ……ッ刺さりますから……」
「え……?」
「ドリル……が……っ!」
「……君は無粋なことをいうな……」
「いっぺん、刺さってみれば……いいんですよ……っ」
 南北に細長く広がる小国ソヴュール。
 そのアルプスの麓に位置する場所には聖マルグリット学園という貴族の子女が通う学園がある。
 その学園がある村の警察署、その中でも名警部グレヴィール・ド・ブロワの為に用意された立派すぎる執務室。
 聖マルグリット学園の留学生である久城一弥は、その執務室の、執務机の上にいた。
 執務室の机に上半身を載せる状態で横たわり、身体を小刻みに揺らしている。
 いや、揺らされているが正しい。
 一弥はズボンと下着を脱がされた状態で、ブロワ警部に足を抱えられていた。 <> GO/SICK 2/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:12:14 ID:8S24Akoz0<>  ブロワ警部が腰を揺らす度に、一弥の小柄な身体が大きく揺らされる。
 そしてこらえきれなかった嬌声が、一弥の口から漏れた。
 一弥の慎ましやかな秘所に、ブロワ警部の西洋人特有の大きさをした性器が無理矢理ねじ込まれているのだ。
「執務室で……というのも背徳的でいいと思わないかね……?」
「し、りませんよ……っ、あ……っ……」
 普段はブロワ警部が用意したホテルで交わっている二人だったが、
今日一弥が連れ込まれたのは警察署の執務室だったのだ。
「い、いいから……さっさと終わらせてください」
「本当に無粋だね君は」
 気分を害したように、眉に皺を寄せたブロワ警部が、腰の動きを激しくした。
「あっ、ああっ……うあぁっ」
 一弥はたまらず悲鳴のような喘ぎを上げ、慌てて口を塞いだ。
「大丈夫だ、この部屋の声は外には漏れない。好きなだけ声を出したまえ」
「お断り……です……」
 睨み付けてくる一弥に、ブロワ警部は、ふう、とため息を吐いた。
「もう少し素直になりたまえよ、君。わたしに抱かれて感じているのだろう?」
「だ、れが……」
 揺すり上げられながらも、一弥は頑なな態度を決して崩さない。
 それが一層ブロワ警部の情欲をそそっていることには気付かないまま。
「わたしが忘れられなくて抱かれに来ているんだ、そうだね?」
「ち、が……います……」 <> GO/SICK 3/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:13:14 ID:8S24Akoz0<> 「では、どうしてわたしに抱かれるんだ? ん?」
「んあっ!」
 大きく突き上げられて、一弥がたまらず一際大きな嬌声を上げる。
「ん、く……っ……決まって、ます……ヴィクトリカの外出許可を……もらうためです……」
「……あいつの名前をここで出すのか。君は本当に無粋だ……」
「何度……だって言います……ぼくがあなたに抱かれれば……
 ヴィクトリカに外出許可を出してくれる……そういう約束です……」
 一弥はブロワ警部に揺さぶられ続けていたが、口に出す言葉によどみはなかった。
「ヴィクトリカのためでなきゃ、誰があなたとこんなことを……」
 一弥は顔を歪めて吐き捨てるように言った。
「あれと外出ね。それがそんなに楽しいことかね」
「警部とここでこうしているより、断然……っ……いや、比べるまでも、ないです……っ、
 ぼくは今何より、ヴィクトリカと一緒に、いられるのが、一番幸せなんだ……っ」
「そのために厭わない犠牲、なのか。わたしとの行為は」
 ブロワ警部は憮然として言った。
「そう、です……」
「なら、わたしの機嫌を取るような言葉を使うとか、態度を取るとか、そういう真似は出来ないのかね?」
「不器用なので……それに、ヴィクトリカを、裏切るようなことは、できません……っ」
「なら、せいぜいその身体でわたしを楽しませるんだな」
「どうぞ、ご勝手に……」 <> GO/SICK 4/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:13:52 ID:8S24Akoz0<>  事が終わると、一弥は何事も無かったようにそそくさと服を着込んでしまう。
 いつものことではあったが、ブロワ警部は歯がゆい気持ちでそれを見つめていた。
 後朝の別れとまではいかなくても、もう少し名残を惜しむような態度はないものか。
「外出許可のこと、お願いしましたよ」
「……今度は、どこに行くのかね」
「ソヴレムに。ジャンタンはなくなりましたけど、ヴィクトリカが楽しんでくれそうなお店が沢山ありますから、
 きっと楽しいデートが出来ます」
(デート……だと……?)
 一弥がヴィクトリカの手を取ってソヴレムの街を歩く姿を想像し、
ブロワ警部はくわえたパイプを知らないうちに噛み締めていた。
 東洋の少年が人形のような少女と歩く姿が、まるで絵のように様になっていて、それが余計にブロワ警部を苛つかせる。
「君も物好きだ。あんな愛を知らない娘と一緒にいて楽しいなどと。人形といるようなものではないか」
 思わず皮肉るような言葉がブロワ警部の口をついて出た。
 だが一弥はそんな皮肉など意に介してはいなかった。
「ヴィクトリカは愛を知らないとあなたはおっしゃいますが」
 一弥は帽子をかぶり直すと、振り向きざまに言った。 <> GO/SICK 5/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:30:53 ID:8S24Akoz0<> 「母親が……コルデリア・ギャロが娘をいかに愛しているかを知っています。
 そしてコルデリアにどれだけ愛されているかも。彼女は愛を知らない獣なんかじゃありません」
「コルデリア・ギャロ……だと!」
 ブロワ警部は一弥のネクタイを掴んでねじ上げた。
「久城くん……君は何をどこまで知っている……?」
「あなたに教える義理なんてありません」
 一弥の目と口調はどこまでも冷ややかだった。
「く……っ」
「それに、ぼくもヴィクトリカを愛しています。彼女はそれを知っていますよ。
 ぼくが、彼女を愛を知る生き物に、人間に戻したのだと言っていました」
「愛してる……だと……君は……あの灰色狼をか……っ」
「ヴィクトリカはぼくの可愛い、守らなければならない女の子です。
 そんな化け物を呼ぶみたいに言わないでください。彼女だって、ちゃんとぼくの事を愛していますよ」
「あの娘が人を愛することなど出来るものか」
 ブロワ警部は吐き捨てるように言った。だが一弥はまったくひるまない。 <> GO/SICK 6/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:31:34 ID:8S24Akoz0<> 「ぼくを愛してるから、彼女のためにぼくが、貴方と愛のない情交をしているのを止められないんです。
 聡い彼女はちゃんと知っています。でも、ぼくと外で過ごす時間も愛しくて大事だから、
 ぼくが馬鹿な真似をしているのを、やめさせられないのですよ。彼女のためにやっていると知っているから」
「……久城くん、君は本当にわが妹の外出許可のためだけに、わたしに抱かれているのだね……」
「当たり前です。そうでなければ、誰がこんな真似を……く……っ!」
 ブロワ警部は一弥のネクタイを引いたまま、その小さな身体を壁に叩きつけるように押しつけた。
 かぶり直した帽子が勢いで床に飛んだ。
「何をするんですか……」
 体重を掛けられ、一弥が呻く。
「わたしのものになれ。久城くん」
「お断りします」
 一弥は即答した。にべもない、とはこのことだった。
「なぜ、あの娘にばかり執着するんだ……なぜだ! あれが君に何をくれるというんだ。わたしなら、君のためになんでもしてやれる」
「あなたに人なんて愛せません」
「なに……?」
「ぼくは、愛を知らない人のものにはなりません」
「君は……わたしのこの髪型の理由も知らないから、そんなことを言うんだ!」
 激昂したブロワ警部が頭をぶんぶんと振り回して接近してくるので、一弥はドリルを避けるのに必死だった。
 手で押さえたくても、肩を両方とも押さえつけられているので手が上に上げられない。 <> GO/SICK 7/7<>sage<>2011/01/01(土) 05:48:55 ID:jpp9XfbkO<> 「では、なぜ、ヴィクトリカに、お前は愛を知らない、愛することが分からないなどと言うんです」
「それは本当のことで……」
「貴方はヴィクトリカの兄です。なぜ妹を愛さなかったんですか。
 ヴィクトリカは確かにかつて愛を知らない生き物だったかもしれない。
 それなら、兄である貴方が愛してあげればよかったんです!
 愛を伝える義務が、兄である貴方にはあったはずです! 貴方がヴィクトリカを愛するべきだったんです!」
 知らず、一弥の目には涙が浮かんでいた。ヴィクトリカが得られたかも知れない、幻の愛を思う涙だった。
「君に分かるものか……あれは……妹などと呼べる生き物ではない……化け物だったのだ!」
「実の妹を化け物と恐れて、愛することを怠ったのですね。代わりにそっくりな人形を愛して。
 それが本当に愛を知る人の行動なんでしょうか。
 貴方は、父親と、いもしない化け物の影に怯えて妹すら愛せない、そんな男なんですよ」
 一弥は肩に掛けられたブロワ警部の手を払った。力を失ったブロワ警部の腕は、すとんと下に落ちる。
 一弥は床に落ちた帽子のホコリを払うと、またかぶり直した。
 ひっぱられて歪んだネクタイを整えると、執務室のドアノブに手を掛けた。
 一弥は振り向くと、普段と変わらない口調で言った。
「ヴィクトリカの外出許可、くれぐれもよろしくお願いしますね」
 ブロワ警部は返事もせず、その場に立ち尽くすだけだった。顔は蒼白になり手は小刻みに震えている。
 一弥はそのまま、ドアを閉めた。
「……愛したいさ……愛せるものなら、あいつも、君も……。弟妹を愛するように……」
 残されたブロワ警部は絶望的な気持ちで呟いた。
「だが……、どう愛すればいいのか、分からない。もう分からないのだよ……」


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )アニメガタノシミダー
一弥のセリフにはブロワ警部に対して感じていることを全部詰め込みますた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/01(土) 20:41:00 ID:Ej/F8HsY0<> >402
新アニメ一覧表を見た瞬間貴方の作品が頭をよぎったよ!
知らないけど面白いなーと思い続けてアニメになってた、アニメ見てもっと作品が味わえるようになる! <>
【だん吉】 【969円】 <>sage<>2011/01/01(土) 21:12:19 ID:DN5lmHMx0<> >>387
遅レスですまん
ちょっと泣いた
何十年経ってもだいすきだ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/02(日) 02:21:38 ID:f5eLI4rC0<> >402 GJ!!!!
<> 別苦 四弦×六弦 Part3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2011/01/03(月) 03:25:20 ID:cQdECMIa0<> レスくれた方ありがとうございました!完結です。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

最強のバンドを作りたかった。そのために、安定感のあるリズム隊は絶対だった。
あの頃は東郷がドラマーで。正直それが不安要素で、ベースこそ最強の奴を入れないと、って思ったら田井等くん以外に考えられなかった。
血場がボーカルで加入して。なんだかんだで、田井等くんはBECKに入ってくれて。
そんなこんなで、サシで飯食ったのなんてはじめてじゃなかった。はずなのに、昨日はなんかいつもと違った。
パワレコでバイト帰りの田井等くんに偶然会って。
丁度俺がこないだ買ったのと同じのを試聴してて、じゃあそれパソコンに落とさせてくれって言われて、まずは近くの居酒屋に入って飯を食った。
家近かったから歩いて帰ることにして、ビールも飲んで。
世間話とかバンドの話とか適当にしてたんだけど、やたら田井等くんが血場の名前ばっか出すのにイライラしてる自分に気付いて、あれ…?って。
「まーアイツは何にでもガチだからな。」
田井等くんは何気なく言ったつもりだろうけど、おれにはこの言葉が深く胸に刺さった。
俺は正直音楽以外はかなりちゃらんぽらんだし、毎晩違う女と寝たりしてた時期もあった。
別に田井等くんは俺に本気で生きろとか言ってるワケじゃない、でも。
なんだろう、この感じ・・・・・・。 <> 別苦 四弦×六弦 Part3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2011/01/03(月) 03:25:52 ID:cQdECMIa0<> 「好きな子とか、いるの?」
そう問いかけてしまった手前、後には引けなかった。
「たいらくんが好き」そう、真剣に好きなんだ。
昨日、結局あのあと田井等くんちに行って、田井等くんがベッドに腰掛けてノートパソコンを開いて音源落としてるとき、酔ってるのを理由にしてそのきれいな首筋にかじりついてみた。
「なんだよ流助、くすぐってぇ」
振り返った田井等くんの唇に思わずキスをしてた。
―――気付いたらおれは、田井等くんの下になっていて。
断続的に与えられる快楽の中で、後ろに宛てがわれてる感覚だけが妙に鮮明で、でも田井等くんが俺を抱いてるっていうその事実がなんでか知らないけど嬉しくて、結局全部受け入れた。
そして、そう経たないうちに、俺の腹は田井等くんのと自分ので真っ白になった。
ああ、なんか雪みたいだとか場違いなこと思って、その後の記憶はまったくない。
朝、女からの着信で奇跡的にバイトに間に合う時間に起きれた俺はすぐに田井等くんちを飛び出した。
腰の痛みと後ろの違和感だけが非日常的で、あとは全くいつも通りでなんか拍子抜けしたけれど・・・。
気付いてしまった。
俺は、田井等くんが好き。
お願いだから、なかったことにしないで欲しい。
そう思って俺は田井等くんに電話をした。それも努めて明るい声で。
寝起きだったのか、いつもより低い声が聞けただけで、バカみたいに舞い上がった。 <> 別苦 四弦×六弦 Part3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2011/01/03(月) 03:26:22 ID:cQdECMIa0<> 「好き、かどうかはまだ分かんねえんだけど、正直。」
田井等くんは取って来たばかりの二本のビールを静かに脇に置いた。
「おれは今すごくお前を抱きたい。」
切れ長の目で真剣にそんなことを言われて、落ちない女がいるだろうか。
…もっとも俺は男だけど。
でも、性欲に負けただけだとしても俺は田井等くんから必要とされたかった。抱いてほしかった。
「・・・田井等くん」
言葉は要らないみたいだった。座った俺の膝と頭の裏に手を当てて、田井等くんが口づけてくる。
下唇を包み込むように吸い上げられて、温かい舌が口内に侵入してきてくらくらしたけど、俺は夢中で舌を絡ませ合った。
いつの間にかずるずると崩れ落ちた俺の背に廻されてた手がシャツに侵入してきて、胸元をまさぐられる。
思わず声を上げそうになるけれど、それも全部田井等くんの唇に奪われてしまった。
「ん、んッ」
あっ、と思った時には唇は俺の首筋から胸へと移動していて。
所々吸い上げられて、その度に身体の奥がきゅってなる。
「ふ、ぁ・・・あっ」
乳首を舌で転がされて、こんなん普段の俺は絶対ヤな筈なのに。
酔ってるから?単に気持ちいいから?
いや、多分田井等くんだから。全部受け入れてしまう。恥ずかしさが快感に変わる。
「可愛い、流助」
言われて、脱がされかけたズボンの中でやんわり田井等くんの手に包み込まれた俺自身はこれまで直接刺激を与えてないのにもかかわらずきっちりと勃起していて。
その手が動き出した瞬間に、俺は堰が切れたように声を上げた。
<> 別苦 四弦×六弦 Part3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2011/01/03(月) 03:26:48 ID:cQdECMIa0<> 「お前を抱きたい」
こんな台詞、これまでどんな女にだって言ったことないぜ?
けど俺は、流助がどうしても欲しくってたまんなかった。
キスして、胸、下腹と、・・・それから。流助が女の子じゃないってシルシ。
でも、そんな酔ってないはずだけど今日も全然嫌じゃなかった。
むしろすっげえ反応してくれる竜介が可愛過ぎて軽くパニクった。
「もっと声、出せよ、」
手の動きを速めて、
「ぁ、あぁぁっ、ああっ!!!」
あとちょっとでイっちまう、ってギリギリんとこで解放する。
仰け反る度に見える顎から首の白さがやけに扇情的で憎らしくって、首締めてやりてぇとか一瞬凶暴な思考が頭を過るけれど、
そんなことしたら一瞬でイっちまいそうだったからかろうじて思いとどまった。
……つうか、そろそろ俺も限界なわけで。
片手で器用にベルトのバックルを外して前を寛げた時、流助の目に初めて不安の色がうかんだ。
デジャヴだ。昨日も見た、あの表情。――けどその後、俺は無理矢理犯した。
全ての動きを停止した俺を、流助の大きな瞳が捕える。
「たいらくん・・・好き・・・・・・」
ふっ、て目尻が下げられて。
「たいらくんが欲しいよ――・・・」 <> 別苦 四弦×六弦 Part3
◆0lcJIQGLyc <>sage<>2011/01/03(月) 03:29:47 ID:cQdECMIa0<> 指を入れてバラバラに掻き回したら、流助は恍惚の表情で俺を見上げた。
おいおいマジかよ・・・破壊力半端ねえ。もう今すぐにでも突っ込みてえ。
「なあ、もういい?」
問いかけたら流助はゆっくりまばたきをして。
俺の先端が流助のに入った瞬間、その目から涙が一筋流れた。
ゆっくり腰を進めて、ちょっと抜いて、また進めて。それを繰り返して。
俺自身が流助の中に全部入り切ったとき、視線がガッツリ重なった。
――逸らせない、逸らせない、
セックスしてるから、ってだけじゃ説明つかないくらいに、心臓が高鳴って。
・・・ああ、俺も好きなんだ、と悟った。
そう気付いたら愛しさが溢れ出して、肌と肌がぶつかる度にそれがどんどん大きくなって。
流助のを手で受け止めたすぐ後に、流助に搾り取られるようにして俺は、思いきり射精した。

しばらく顔を隠して荒い息をしていた流助の腕をどけて、頬にキス。
「好き。」
口に出したら竜介はびっくりしたような顔をしてて、それがあんまり可愛くて俺は何回も同じようなことを繰り返した。
「…アイラヴュー、たいらくん」
なんて言ってるのかわかんなかったけど、放心状態で思わず英語になってしまってるのかもしれない。
そんなとこまで愛おしくて、俺はぎゅっ、と流助を抱き締める。
ギターが好きで、女が好きで、どうしようもねえバカだけど。
おれはどうやら、そんな馬鹿が大好きでたまんなくなってしまったみたいなんです。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンガオオクリシマシタ!
お付き合いありがとうございました!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/04(火) 02:02:55 ID:+ewYQ85iO<> >390
素敵なお年玉、ありがとうございました!
今年も姐さんの社長受、楽しみにしております。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/04(火) 06:00:49 ID:zsqtgt8u0<> >>417
原作知らないけどかなり萌えた
GJ <> 流恋情歌 Part1 1/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:24:35 ID:PKQvKKccO<> 時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
訳あって殿様がオカマちゃん風味。エロなしです。三回に分けて投下します。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


とある大きな宿場の目抜き通り。ぶらぶらと見物がてら歩いているうち、色街を抜けた先の船着き場にたどり着いた。
何の気無しにさらさらと流れ行く川を見下ろしていると、ふと急激に切ない気分に捕われた。
八坂兵四郎は不可解な感傷に浸りながら、陽の光に煌めく川面を無言で見つめていた。


色街をひやかしながら通り過ぎた九慈真之介は、川に面した道に佇む友の姿を見つけ立ち止まった。
「おぉい、殿様。どした、そんなところでぼんやりして」
呼びかけると、兵四郎はゆっくりと顔を向けた。
夢見るような顔付きだったが、真之介に気付くやいなや、たちまちぱあっと明るい笑みを浮かべた。
その口から飛び出した言葉に、真之介は仰天した。
「……せんさん!会いたかった!」
「せ、せんさん!?」
兵四郎はあだ名の仙石か、時たまは本名で真之介を呼ぶが、今までそんな呼び方をしたことはない。
目を剥いた真之介に、兵四郎はさらに言葉を投げかけた。
「せんさんったら、今までどこにいたのよ。あたしがあんたを、どんだけ待ってたか……ねえったら、なんとか言っておくれな」
「……ちょ、ちょ、ちょっと待て!殿様、どうしたんだ。冗談にしちゃ、趣味が悪いぞ」
「冗談とは何さ。あんたこそそんな、お侍の出来損ないみたいなかっこして、一体何の冗談だえ」
「で、出来損ない!?」
真之介は憤慨しかけたが、突如しなだれかかってきた兵四郎にそれどころではなくなった。

「せんさん、抱いておくれよ。あたし達、やっと会えたんだから」
「と、殿様、いい加減にしろよ!これじゃあ、とんだ見世物じゃねえか」
がっきと抱きつかれて困惑した真之介は、もがきながら叫んだ。
その言葉通り、いつの間にか彼らの周りを大勢の野次馬が取り囲んでいた。
男と女ならともかく大柄な男ふたりが、やれ会いたかっただの抱いてくれだのと、真っ昼間の往来で堂々と語らっているのだ。
町中に住まう者や、旅の途中の物見高い輩が、おもしろげに眺めてくるのも無理はなかった。 <> 流恋情歌 Part1 2/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:27:41 ID:PKQvKKccO<> 中には浪人姿のふたりに怖じけづくことなく、からかう声を上げる強者もいた。
「おいおいご浪人さん、お連れさんがあんなにねだってるじゃないか。一つ抱いてやったらどうなんだい」
「すぐ前は岡場所だってえのに、女には目もくれずあんたを待ってたって言うじゃないか。なんとも健気なもんだねえ」
「あらまあ、どっちもけっこういい男なのに、もったいないねえ。あれがお侍のたしなみの、衆道ってやつなのかしらね」
「しゅどう?それなぁに、おかみさん……」
野次馬達はやいのやいのと好き勝手なことをまくし立てた。
「……殿様っ、一緒に来い!」
「せんさん、痛い。もっと優しくしておくれな」
好奇の目に耐え兼ねて、真之介は纏わり付く兵四郎の腕をひっ掴み、強引に引っ張ってその場から逃げ出した。

目抜き通りの外れにさびれた一膳飯屋を見つけ、ふたりは中に飛び込んだ。
腰の曲がった枯れ木のような親父が働いているだけで、他に人は見当たらなかった。
真之介は兵四郎の腕を放すと、腰に差した刀を外して粗末な椅子に腰掛け、走って乱れた息を整えた。
兵四郎も次いで座ると、荒い呼吸のままで真之介をまた呼んだ。
「せ、せんさん……」
「だから!せんさんはよせ」
「だって、せんさんはせんさんだもの」
「殿様ぁ、しつけえぞ!一体なんのつもりだ。俺をからかってんのか」
「そんなに大きな声、出さないでおくれ。それにからかうだなんて……ひどい、せんさん」
「お、おいおい、勘弁してくれ!参ったなもう」
しくしくと泣き出してしまった兵四郎に渋面を作り、真之介はがりがりと頭を掻きむしった。
するとまだ何も注文していないのに、熱燗を一本と猪口を二つ盆に乗せた親父がふたりの席にやって来た。
無言で徳利と猪口を台に置くと、去り際にぽそりと呟いた。
「……喧嘩は、ようないのう」
よぼよぼとした足取りで板場に戻る親父を見送った真之介は、頭を掻く手を止めて腰にやった。
帯に挟んでいた手ぬぐいを掴んで差し出すと、兵四郎は少し笑って受け取り、涙目に押し当てた。
ため息をついた真之介は気を落ち着けようと、酒を注いで一口あおってから兵四郎に向き直った。 <> 流恋情歌 Part1 3/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:30:50 ID:PKQvKKccO<> 「あのなあ、殿様」
「せんさん。さっきからあたしを、殿様、殿様って呼ぶけど……どうせならさ、お姫様って呼んでおくれよ」
「……はあ?」
「まあでも、そんなあだ名なんかよりちゃんと、名前で呼んで欲しいわねえ、やっぱり」
「じゃ、じゃあ、へ……兵四郎」
滅多に呼ばない名前をやや照れ臭い思いで呼ぶと、兵四郎は顔をしかめて手ぬぐいを真之介の肩にぶつけた。
「もう!せんさんたら、ふざけてないで前みたいに、『お絹』って優しく呼んでったら」
「お、おきぬぅ!?」
完全に様子がおかしい、いやおかしいなんてもんじゃない、これではまるで別人だ、と真之介は思った。
あらためて見れば兵四郎は、腰から大刀も取らず不自由そうに椅子に腰掛けていた。
姿形は紛れも無い兵四郎だが、斜めに座り妙にしなをつくって、憂いと愛しさを含んだ視線を自分に投げ掛けてくる。
わけがわからぬまま、真之介は兵四郎が望む名前を呼んだ。

「あの……お絹、さん」
「水くさいねえ。さんはいらないよ」
「そうか。じゃあ、お絹。お前は、確かにお絹なんだな」
「当たり前じゃないか。あんたと言い交わした、梅乃屋の絹ですよ」
「言い……!いやっ、だがなお絹。お前その、自分の、か、顔を」
「顔?顔がなんだって言うんだい」
不思議そうに首を傾げられた真之介は、奥の親父にここに鏡は置いてないかと尋ねた。
親父が首を横に振るのを見て、兵四郎は笑って言った。
「鏡なら、あたしの部屋にあるわよ。そうだせんさん、うちのお店においでなさいよ。こんな汚いとこじゃあ、ゆっくり話も出来やしない」
「お店ってのは……梅乃屋とやらか」
「そうよ。さ、いらっしゃい。もう、絶対に逃がさないんだから」

さっきとは逆に、兵四郎が真之介の腕を引いて立ち上がった。
店を出ようとすると意外な素早さで追いかけてきた親父が、これまた意外な力強さで袖を掴むので、なけなしの金で酒代を支払った。
「殿様!後で金返せよ」
「いやなせんさん。あたしの名前は、絹ですってば」
歩きながら腕を軽くつねられて、真之介はもうなるようになれとやけっぱちな心境だった。 <> 流恋情歌 Part1 4/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:34:17 ID:PKQvKKccO<> 普段通りに営業していた梅乃屋に、ちょっとした騒ぎが巻き起こった。
旅の浪人らしきふたり連れが、女も選ばぬうちに店先から中へ、どかどかと上がり込んで来たからだ。
慌てたやり手婆が金切り声を上げてふたりを制したが、前を歩く恰幅の良い着流しの浪人は薄汚い袴姿の浪人の腕を引き、構わずずんずんと奥に進んだ。
「ちょ、ちょっと、困りますよお侍さん方!なんだって、勝手に入り込もうとなさるんです」
「あらお勝さんこそ、なんだって止めるのよ。あたしが自分の部屋に入るのに、勝手にするのは当たり前じゃないさ」
「じ、自分の部屋って……何言ってんだい、あんた!おかしな真似をすると、お役人を呼ぶよっ」
「まま、待て待て婆さん!役人は困るっ、役人は」

真之介が老婆をなだめている隙に、兵四郎は奥の部屋に入り込んだ。
しかしすぐにまた店先に姿を現すと、おっかなびっくり自分達を見ている遊女達に、不思議そうな顔つきで声をかけた。
「おかしいわねえ、あたしの荷物が見当たらないのよ。ねえ、おみっちゃん、あたしの鏡を知らない?」
「えっ、な、なんであたしの名前を!?」
名前を言い当てられて驚く女を尻目に、兵四郎はねえお夏ちゃん、お咲ちゃんはどう、おきみちゃんは、と遊女達に次々と問いかけた。
「さ、騒がせてすまん!この男は俺の友人なんだが、どういう訳か、自分がお絹って女だと思い込んでるんだ」
老婆を羽交い締めにしながら真之介が説明すると、女達は口々に悲鳴を上げた。
「お絹って、あのお絹ちゃん?」
「まさか、だってこの人、どう見たって男よ」
「それにお絹ちゃんは、もう……」
戸惑いさざめく声に苛々とし、真之介は叫んだ。
「お前ら、お絹を知ってるのか。お絹は確かに、この店にいるんだな」
「せんさん、だからあたしが絹だって言ってるじゃないの。みんなもどうしたのよ。あたしがわからないの?ねえ、あたしの鏡どこ?」
兵四郎がせんさん、と呼ぶのを聞いて、女達はまじまじと真之介の顔を見つめてきた。 <> 流恋情歌 Part1 5/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:38:12 ID:PKQvKKccO<> 「な、なんだなんだ!」
「……あんた、せんさん?」
「間違いないよ、この人せんさんだ!お侍みたいな恰好してるけど、確かにせんさんだよ」
「馬鹿っ!今更帰って来たって、遅いんだよう」
「あんたがもっと早く帰って来てたら、お絹ちゃんは、お絹ちゃんは……!」
「なんだっ、お前らまで一体何の話だ!俺は知らんぞ。第一俺は、せんさんとやらじゃあねえんだ!」
しらばっくれるのかと女達に鼻息荒く詰め寄られ、身に覚えの無い真之介は動転し、老婆を手放した。
女達に絡まれる真之介のかたわらで、なおも鏡を探して辺りをきょろきょろと見回していた兵四郎に、ひとりの女が近づいた。
「あのこれ、お絹ちゃんの鏡だけど……」
「あらありがとう、おきみちゃん。どこにあったの?」
「あたしが貰ったんだよ、お絹ちゃんの形見分けに」
「形見分け?何言って……」
おきみから受け取った手鏡を、兵四郎は笑いながら覗き込んだ。途端に笑顔は強張り、空いた手で確かめるように自分の顔を撫で回した。
「何これ……誰よ、この顔!お、男じゃないの!」
「だから、さっきから言ってるだろうが!お前は兵四郎だよ、八坂兵四郎!またの名を、殿様!」
「お絹ちゃんは、亡くなったんだよ。つい、五日程前にね……」
真之介の吠える声と女の悲しげな声を耳にして、青ざめた顔の兵四郎は、鏡を手から取り落とした。
「……あたし、死んだの?」
呟いてからふらつき倒れそうになるのを、真之介は慌てて抱き留めた。
「おい、殿様!しっかりしろよっ」
肩を揺さぶると、目を閉じてうなだれていた兵四郎は、すぐに目をぱちりと開けた。
「仙石?どうしたんだ」
「と、殿様!俺がわかるのか」
「当たり前じゃないか……おいおい仙石、お前、金も無い癖にこんなとこに来て。言っとくが、俺も持ち合わせは少ないぞ」
「ば、ばっ……馬鹿野郎!」
飄々としたいつもの調子に安堵しつつも、誰のせいでこんなとこにいるんだと腹を立てた真之介は、腕の中の兵四郎を怒鳴り付けた。

怒り心頭の老婆に客じゃないなら出て行けと男衆をけしかけられ、店から追い出されたふたりの後を、軽目の足音が追って来た。振り返ればそこには、遊女のおきみが立っていた。
あまり時間は取れないからと前置きし、女は船着き場までふたりと歩いた。 <> 流恋情歌 Part1 6/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:41:17 ID:PKQvKKccO<> 「あんた、本当にせんさんかい?」
「だから、違う!俺は九慈真之介ってえ名で、あだ名は確かに仙石だが、せんさんと呼ばれたことはねえし、お絹なんて女も知らん。この町に来たのだって、初めてだ!」
「そうだろうね。みんなはああ言ってたけど、あたしはお絹ちゃんといっとう仲がよかったから、せんさんの顔もよく見てたんだ。あんたは似てるけど、違う人だね」
おきみは、頷く真之介から兵四郎に目線を移した。
「それで、こっちの人だけど……最初はからかってるのかと思ったけど、あたしらの名前をよく知ってたし、あの喋り方や仕草は、お絹ちゃんにそっくりだったわね」
「そうなのか?殿様、お前、自分が女だって言い張ってたんだぞ。覚えてるか」
「……うん、言われてみれば、うっすらと覚えているな。確かに俺は、そんなことを言っていた」
真之介とおきみの会話を聞いていた兵四郎は、目を閉じて胸に手を当てた。
「多分、お絹という女はまだ、俺の中にいるのだ。よくわからんが、そう感じる」
「おい殿様……そいつは、まさか」
「お絹ちゃん、この人に取り憑いちまったんだねえ……」
目を丸くしたふたりに見つめられて、兵四郎は少し困ったように微笑んだ。

遊女のお絹には、千吉という馴染みの客がいた。元はいずこかの裕福な網元の息子であったらしいが、悪い仲間に誘われて始めた博打で身を持ち崩し、勘当も同然に家を追い出され風来坊のようになっていた。
ふと訪れた梅乃屋で千吉はお絹に岡惚れし、足しげく通ううちにふたりは将来を誓い合う深い仲になった。
お絹を身請けするために、まとまった金を作って帰ってくるから待っていてくれと言い残し、千吉は色街の側の川から舟に乗って何処へともなく旅立った。
それが三年前のことで、お絹は毎日のように船着き場に立って川を眺め、惚れた男の帰りを待っていた。
しかし三年の間何の音沙汰もなく、待ち疲れたお絹はひいた風邪をこじらせ、五日ほど前に呆気なくこの世を去った。
苦界に身を沈めた女のありふれた悲劇ではあるが、話を聞いたふたりは、なんともやり切れない気分になった。 <> 流恋情歌 Part1 7/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:44:26 ID:PKQvKKccO<> 仔細を語ったおきみは、まだお絹と話をしたいから、明日もまたここに来てくれと頼み店に戻った。
兵四郎と真之介は再び飯屋に舞い戻り、酒を酌み交わした。
「このところの寒さにもめげず、川を眺めていたんだな。弱った体を風邪にやられてあの世行きか……つくづく気の毒な女だったんだな」
「ふん、色を売る女が客の戯言なんぞを、真に受けるからだ。まんまと騙されたんだよ、間抜けな話だぜ」
「そう言ってやるな、仙石。きっと本気で惚れていたんだ」
自分に棲みついた女に同調しているのか、兵四郎はやけにしんみりした口調で庇った。
真之介は口では罵ったが、心中では女を哀れに思い、騙した男に腹を立てていた。そいつが自分に似ていたと思うといっそう気分が悪く、それを紛らすようにぐいぐいと酒をあおった。

「しかしその、どうする殿様。お祓いでも頼んでみるか」
「うーん、お祓いかあ。ちょっと可哀相な気もするな」
「呑気なこと言ってる場合か。取り憑かれたまんま、旅するわけにいかんだろうが。下手したらあの女にお前の身体、乗っ取られちまうかもしれんぞ」
「乗っ取るなんてしませんよ。いやねえ、人聞きの悪い」
「わかるもんか。女郎なんてのはな、一癖も二癖もある……な、なにぃ!?」
うっかり聞き流しかけた真之介は、飲みかけた猪口を台に置き、兵四郎の顔を見直した。
兵四郎は台に両の肘を乗せて頬杖を付き、にこやかに真之介を見つめていた。
「せんさん」
「……違う!」
「そうねえ、こうしてよく見ると、違ったわね。あたしのせんさんの方が、あんたよりいい男だったわ」
「や、やかましい!お前、お絹だなっ」
「そうですよ、旦那。九慈様って言ったかしら。おかしなことになっちまったけど、よろしくお願いしますね」
「……なに?お願いたあ、どういう意味だ」
「あたししばらく、この旦那の身体にいさせてもらいますからさ。だから、よろしくって」
「なんだと!?ば、馬鹿抜かせっ」
ぺこりと下げた頭の上から、真之介は怒鳴り付けた。 <> 流恋情歌 Part1 8/8
◆SIw6ke0ny6 <>sage<>2011/01/04(火) 10:48:39 ID:PKQvKKccO<> 兵四郎は唇を尖らせて、拗ねたようにまた語りかけた。
「だってねえ、あたし死んじゃったんだもの。でもせんさんにまた会うまでは、あの世になんぞ行きたかないんですよ」
「だ、だからって、そいつにくっついていられちゃあ、迷惑だ!」
「まあねえ、あたしも本当は男の人の中にいるなんていやなんだけど、どうしてだか居心地がいいんですよ。それに旦那方、あちこちを旅してるんでしょ。
そしたらいつか、せんさんに巡り逢えるかもしれない。もう添い遂げるのは無理だけど、せめて恨み言の一つも言ってやりたいもの」
「な……なんて女だ」
あれほど驚いていた自分の死をあっさり受け入れ、取り憑いた兵四郎を上手く利用しようとするお絹のしたたかさに、真之介は呆れ、また感心もしていた。
己れの身一つで生き抜いてきた女の逞しさが、そこにはあった。

「せんさんに似てる旦那に会えたのも、何かのご縁かも。だからね、お頼みしますよ。旦那、この通り」
「……本当に、そいつを乗っ取ったりしないな?」
「しませんったら。なんなら指切りげんまんで、お約束しましょうか」
手を合わせた後小指を差し出した兵四郎に、真之介は苦笑した。
「馬鹿、男と指切りなんぞ出来るか。もういい、わかった。殿様さえよければ……いや、あいつはいいと言うだろうな。そういう奴だ」
「ああ、俺は構わんよ。女の気分も味わえて、なんだかちょっと楽しいしなあ」
「ほらな、こういう奴……と、殿様!?」
「うん。仙石、まあそんな訳で一つ、よろしく頼む」
屈託なく笑うと、兵四郎は親父に酒の追加を頼んだ。
しばらく俺はこれに付き合わされるのか、そしてしばらくって一体いつまでなんだ、と真之介は胸の内でぼやき、徳利を鷲掴みにして酒を喉に流し込んだ。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
続きはまた後日に。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/04(火) 22:42:22 ID:DcyV5gaa0<> >>427 wktk!!
またこの二人が読めるなんてウレシイ <> 巡り落ちる 1/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 02:15:46 ID:nc4hFSco0<> 生。☆と元アフロネタ。会話多くてかさ張ってすまない。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


新曲が出来た。詞が乗った。
いい歌だ。掛け値なしに。
やっぱりお前が歌うのは、いい歌だ。それも、掛け値なしに。
全部の作業が終わった後、最初に全部を聞き返すことができるのが俺の特権で、大体はそういうとき一人だ。
だから自然とニヤニヤしてしまうのは、俺の悪い癖かもしれない。まあ、渾身の出来ってやつ。
プロモーション活動ってのも疲れるもんだけど、でもそういうのも含め仕事だから。それに、もう慣れてるし。
年末も近いわけで、あちこちのイベントに呼ばれたり演奏したり、ありがたいことだね。
現実に忙しくて、そう、そうやって日々を消化してて、お前とほとんど毎日顔を突き合わせてるのに、大体
その話しかしなかった。当たり前っちゃ当たり前なんだけど。
またお前はいつかみたいな、おっそろしいほどの変わり身の早さで、タケシにも何も不自然さを感じさせないとくる。
クールなのか残酷なのかくらいは、少し考えたりした。でもそれを思うたび、忘れられない熱さのことも同時に
思い出されて頭は、手は、髪は、変な風に泡立つような感覚に陥った。
ピピピと聞き慣れた音がする。
メールだ。
俺の携帯の音。
「はいはい」
誰も居ないのに一人で返事して、俺はベッド傍のサイドボードのそれを掴んで中を確認した。あ、思ってればタケシだ。
もちろんあいつなわけがない。それは最初から期待してない、あの携帯嫌い人間からのはずがない。
九時にロビー集合か。なるほどね。
うちの事務所とか、他のミュージシャンさんたちとの、今日のイベントの打ち上げのこと。ホテルロビーまで送り迎え
してくれんのか、さすが出来るジャーマネだね、タケシ。
俺はまあ、飲まないつか飲めないんだけど、例のアレな。アレ、あいつはな。あいつがな。
「…死ぬまで飲むからなあ…」
うん。俺が一人で苦笑いしながら、了解、あと十分で行くって返信を打ってる間に、今度は別の音がした。 <> 巡り落ちる 2/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 02:16:44 ID:nc4hFSco0<> こんこん。
と、聞き慣れない音。
「?」
固い音。出かける準備をしようと、ベッドの上に放り出してあったコートを握りしめて、俺は思わず周りをきょろきょろ
眺めてしまう。
どんどん。どんどんどん。
「…シンタくーん!?あれ、違うー?」
「!」
わかった、ドアの音!
お前、チャイム鳴らせよ、しかも不確定な自信で人の部屋のドア叩くなよ!
「はいはい、タクヤ、静かに……」
「何だ、居んじゃん」
「居るよ。…てか、お前こそ何してんの」
「え?プレステとか借りたいなと」
「じゃなくて、何そのカッコ」
ここのホテルのこの階には、うちの関係者は確か俺とタクヤだけで、別の部屋は全くの一般の人が泊ってるはずなんだ。
だから慌てて飛んで行ってドアを開けると、そう、にっこにことお前が立っていて、俺はちょっと怒っていいのか脱力
していいのか、な気分になった。
よくある。遠征先のホテルで暇なとき、俺の部屋でゲームしたり遊んだりするのは。でもさ、もう直ぐ集合時間よ。
お前何してんの、明らかに頭濡れてるし部屋着のTシャツだよね、それ。出掛ける準備とかそういうの、どうしたのよ。
「だって、ライブで汗かいたじゃん!だから風呂入ったんよ」
じゃなくて。俺はちゃんとシャツとジーンズ着てるでしょ、何だそのラフな格好は。
「おあ、何?シンタくんとこだけツインなの!?」
「聞けよ!」
いや、これにも慣れてるけど。これもよくあることだけど、お前が俺の話聞かないなんていうのはさ。
タクヤは足元もホテルのスリッパで、もう完全にくつろぎモードに入ってて、そんでずかずか俺の部屋へ踏み込んでくる。
俺の荷物は機材が多い。仕事柄そう、仕方ない。キーボード一本以外にも、色々要るんだ。
楽器以外にもリミックス用のパソコンとか、プレステとか、蹴りたいボールとかも。だからツインにしてもらってんだ。 <> 巡り落ちる 3/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 02:17:45 ID:nc4hFSco0<> 「タクヤ!…打ち上げ行くぞ?」
そんな荷物に埋もれた方、のベッドにこいつは、躊躇なくダイブする。頼むから壊さないでほしい、気を使ってほしい。
「あ、俺今回は行かない」
「…は?」
「ま。ま。タイチョウフリョウで」
嘘つけ。どこがだ。そんなにんまり笑って、どこが。
普段ならどんなにつらくても、酒が飲めなきゃ人生じゃないって飛んでいく癖に、どんな風の吹き回しだ。
「何言って…ほら。タケシ待ってるし。早く着替えてきなってば」
「集合何時?あと何分?」
「九時にロビーだって。…あと十分くらい」
「そか」
じゃあ十分でいいや。
タクヤが笑いながら言った時、何だろう。
ぴん、と。りりりり、と。警鐘、警報みたいな音が聞こえた。
嫌な予感みたいなのがしたんだ、本当に。後で考えれば。
とりあえずマジに体調が悪いとかいうので、手招きされるがままもう一方のベッドに腰掛ければ(今日俺が寝る方、ね)、
こいつはダイブして突っ伏した姿勢のまま、芝居がかった風にうんうん頭を抱え始めた。何だこのコントは。
もう冬だ。髪をちゃんと乾かせ、でないと逆に風邪ひくよ。
「…何してんの、お前」
呆れて俺が言ったら、心配しろよー、と今度はがっかりしたような声と顔。アホか、お前。
「シンタくんは行くのかよー?」
「行くよ。…飲めないけど。行かない方が気、悪いっしょ」
一応これも仕事。仕事みたいなもん、楽しいから大歓迎な部類でも、ちょっとは義理とか付き合いも絡んでる。だから。
そう言ったらまたタクヤはにやにや笑った。怖い。ぶっちゃけ無気味。
何か、確かにこれは企んでるって顔。
「じゃあ、俺が行くなって頼んだら?」
「…は?」 <> 巡り落ちる 4/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 02:18:37 ID:nc4hFSco0<> ホラ来た。
それ来たぞ、タクヤの無理難題、無茶ブリが。別名ワガママとも言うが。
最近黒に近い風に染め直した髪を掻きあげながら、明らかにこいつは俺を困らせて楽しんでる風だ。悪い冗談だ。
俺は思った。思おうとした。
「…バカ言うなよ、マジでしんどいなら、タケシに言ってよ」
そう。でないと、りりりりり。警報が煩い。
「あー。なる。シンタ君は相方を見捨てるわけね」
「何よ、今日は。何のコント?何の冗談……」
「考えた?」
「…何を?」
「俺のこと」
「?」
「俺はちゃんと、考えてたよ」
だからその話をしに来た。
タクヤは起き上がってベッドの上に座り込み、言いながら笑顔をゆっくり挑戦者の顔に変えた。
ほら来た。
悪い予感が。俺の中で警報が鳴り響く。
「十分…あと五分か。それでいい」
何回も何十回も、俺は考えた。俺は考えた。俺はね。
タクヤは言う。
言外に、お前はどうだって言っていた。何のことかくらい、そのくらいはもうわかっていた。
「シンタ君この前…俺が全部だって言ったよね。バカみたいだね」
本当にムカつく顔で笑う。本当に俺を小馬鹿にしてる時の、半笑いの最低の目だ。
「それ、もっかい言ってみな」
「……」
「どういう意味なの」
そんな顔も知ってた。何回も見て来た。こんな風に追い詰められたり、きつく詰られたりも何度も、何度も。
俺は。でもまた、その言葉にウソがないのも事実で。
この前腕に抱いた。そうだった。
寒さと熱さで、ぞっとするほどの夜だった。 <> 巡り落ちる 5/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 02:19:38 ID:nc4hFSco0<> 思い出せば一気に何十枚ものページがめくれるように、俺の前の景色、色、空気、全てが変わっていく。
お前を中心として、お前だけが変わらずに。
「……。」
そこから、すごい沈黙が流れた。
俺は多分息も止めていて、その苦しさに気付くまで随分かかっていた。
何処からも、何の音も聞こえない。ホテルの薄い壁の向こうからも、大して高くない階下の街の音も。
突然、思いっきり空が高くて、地面からも遠い気がした。他の何もなく、俺はただお前の前にいるだけなんだと。
半分笑ってる目にはそれでも俺をひきつけてやまない何かがあって、逃げられもしない。
いつものようで、でもいつものようでなく。
暗くもないのに頼りなくて泣き出しそうな気分、の一歩手前、いやもう、その領域に踏み込んでいた。
たまらず俺が目を閉じると、数秒してゆっくり暖かいものが頬に触れた。掌だった。
その温みのこともまた。
「俺は考えてた」
ひとつひとつ。ぽつりぽつり。
「シンタ君って」
声も。俺の名前を呼ぶことも。
そうだな。俺は考えようって言って、考えてなかった。
考えたくなかった。考えてもどうしようもないと思った。
お前はそれをバカみたいだと言うし。実際そうなんだろう。
お前は俺の最強だ。掛け値なしに。
お前と別れて違う道を、違う方法で歩くことになったら、それは本当に全く新しい世界だ。
そんな風だ。俺はそうやって一回死んで、また生きていける。
俺はお前が居なくても、俺の生きたいように、生きられるから。
だけど、そんでじーさんになって、いい人生だったって本当に死ぬ間際に、多分お前とのこの十年間を必ず思い出す。
「シンタ?生きてる?」
生きてる。死んでない。
バカみたい。確かに。
死ぬときに、お前思い出して、結構いい人生だったよとか、言う気なんだ。俺。
そのときに思い出すお前のことを、多分誰にも言わないで俺は、ずっと自分の中に置いておくつもり。 <> 巡り落ちる 6/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 02:21:47 ID:nc4hFSco0<> 温もりのように、光のように、大事なことのように。護るように、忘れないように、誰にも渡さないように。
「タクヤ……」
頭を抱えた俺の、その髪をお前が撫でている。
お前が俺の人生にどれだけ食い込んだか。どれだけ俺に食い込んでいるか。
それをちゃんと伝えろと言われて出来ない、俺は、バカだ。
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ。
ああ。バカみたいとかじゃなくてバカだ、もう。くそ、息が荒い、情けない。泣いてるみたいじゃないか。
ぴぴぴぴぴぴぴ、ぴぴぴぴぴぴ。
泣いてないってば。煩い。警鐘。
「シンタ、電話……」
あれ、……現実?
「……え?」
ぼんやり顔を上げると、俺の隣をタクヤが指差す。
ホテルのベッド特有の、重だるい感触と色のシーツの上に、俺の電話が半分埋まって、でも必死に何かを訴えかけていた。
電子音と、コールの点滅。モニタにうちのマネージャーの名前が、あ、と思って見上げた目ざまし(ベッドサイドの)の
時刻は、いつの間にかいつの間に、とっくに集合時間を過ぎていて。
タクヤがよっと、声を出しながらそれを掴んで、俺を見る。
無言で今度は何も言わず、だが俺の目から視線をそらさず、それを俺の手に握らせる。電話はずっと、鳴ったまま。
「……。」
現実が俺を呼んでいる。
お前が俺を待っている。
俺は一瞬、見比べた。だけどそんなの、どっちを選ぶかなんて、そんなの選択にならない。なりっこない。
「……もしもし?」
『あー?シンタ君?ちょっと、時間過ぎたよ、何やってんのー?タクヤも降りて来ないしさー!?』
「…悪い、タケシ」
『いーから。俺飛ばすからー。とにかく早く来てよー?』
「じゃなくて…俺、今日はパスするわ」
『はあ?何でよっ』
「タクヤも。…ちょっと、二人で話したいことがあって」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/05(水) 02:31:54 ID:UeG8oKsAO<> 4 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/05(水) 02:38:51 ID:g+GGMGrXO<> 支援? <> 巡り落ちる 7/7
◆I9jpBkGhiY <>sage<>2011/01/05(水) 05:02:00 ID:nc4hFSco0<> 俺はお前を見ている。お前も黙って、こちらを見ている。
『何、何、ちょっ…お前ら、マジにまたヤバい喧嘩とかしたんじゃっ…』
「ん、喧嘩じゃないよ。じゃなくてちゃんとした、面と向かって話すことっていうか…」
『…えーと、それは、お前ら二人でとことん話し合うべき、ってタイプのやつなの?』
「……うん、そうだね」
そうだな。タクヤにも聞こえてるかもしれない。
『そか。…わかったよ』
うちのマネージャーは、こうだ。だから出来る奴だ。何だかんだで俺ら二人に揃って、惚れこんでくれてる。
畜生、いい奴だなタケシ。背が小さいとか口うるさいとか、無茶振りはタクヤ並みだとか、色々あるっちゃあるけど。
『じゃあな。絶対決着付けろよー。逃げんなよ、二人とも』
「お、おお」
『こっちは何とかしとくからな!俺が!…感謝して働け』 
そう、こっちは俺らが何とかしなきゃならない。
俺らがさ。
なあタクヤ。
電話を切ったら、こいつは笑った。今日初めて見る、子供みたいな嬉しそうな、裏のない笑い方。
俺を押し倒して上に乗っかって来る。冷えた洗い髪が、今度は気持ちいいと思える。
首を背中を、この前みたいに抱きしめられた。俺は、俺も多分、笑ってるんだろうなと思っていた。
「シンタ君よ。俺は、シンタ君のことちゃんと、考えてたよ」
ぽんぽんと肩を叩くと、タクヤは言った。
「俺、……死ぬまで忘れないと思うよ」
耳元で、口説き文句だな、これは。
まあ口説かれる気は、満々です。
「シンタ君のことはさ」
殺し文句。どうもありがとさん。
俺は俺で、さっき考えてたみたいなことを言った。
言ったらまた、バカかお前って、心底呆れたみたいな声のあと、キスをされた。
熱くもなく、寒くもない。そんな夜だった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中でさるってさらにすみませんでした。 <> 雪見うさぎ・3 1/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:20:56 ID:qHyE76a/0<>  闇金ウシジマくんで柄崎×社長。エロありです。大いに捏造しております。やたら甘くて割とイチャついていて、雄っぱい多め。柄崎が幸せな変態です。社長デレ成分
多めですが、最後はやっぱりツンが出てしまいました・・・。>>396の続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 丑嶋は朦朧となりながらも両手で自らの尻たぶを掴み、左右に開いて後孔を露出させた。
 「柄崎、来いよ」
 言葉自体は男前だが、声は上ずっている。だが柄崎はそれを笑いもせず、自分の勃起した性器を素早く衣類から取り出す。
 「入れさせて頂きますっ」
 丑嶋の腰を掴み、後孔に先端を押しつけたかと思うと、腰を体ごと前に倒して圧力をかけた。
 「ぐぅっ、んぐっ」
 たっぷりしたつもりだったが、実際には指二本で中を少し弄っただけだったので内部はまだ硬い。体の肉を圧縮される苦しさに丑嶋は腕をバタつかせ、床に爪を立てる。
 柄崎は性器を圧迫される痛みを堪え、力任せに腰を押し進める。挿入されている丑嶋にとっては、凶器とも言える張りと太さのある性器が入り込み、最後には柄崎の陰
毛と丑嶋の尻たぶが擦れ合ってジョリジョリと音をたてるまでにくっついた。
 「ふぉ、うあっ」
 最後まで収めきると、丑嶋の背中が弓なりになったかと思うと、胸を床につけるように脱力した。倒れた丑嶋の体から余分な力が抜け、少しだけだが後孔の括約筋も緩
んだ。 <> 雪見うさぎ・3 2/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:21:37 ID:qHyE76a/0<>  柄崎は隙を見逃さずに腰を使い始めた。今はまだ頑なだが、このように奥まで入れて前立腺を責め立てれば、やがて良い声で鳴いてくれるのは以前に確認済みだ。
 「ちょっと、好いとこだけしますから、少し中に集中してくださいね」
 「あ、ああっ、柄崎っ」
 10回も裏筋が前立腺を擦ると、丑嶋から普段の威圧感のある態度からは想像し難いか弱く甘い声が漏れだした。柄崎は経験したことはないが、男の真の泣き所は性器
でなく前立腺だとはよく言った物だ。反応が後孔を弄っている時とは雲泥の差で、やがて丑嶋の尻は左右に揺れ始めた。
 「ん〜っ!」
 柄崎は漏れ出そうになる感嘆の声を喘ぎ声に変えて誤魔化し、腰を前にせり出して動くのを止めた。性器は半分位まで埋まっているが、埋まっていない肉竿は丑嶋の腸
液で濡れ、赤黒く光っている。その光景は、じっと見下ろすだけでいやがうえにも興奮を誘われた。
 「スゲェやらしい」
 深く浅く出し入れすれば全てが埋まってしまうので、今度は半分まで埋め込んだままで小刻みに奥を穿ち始めた。入れる時はギリギリまで広がった後孔が竿にしがみつ
いたままで中にめり込み、内部に入った性器を舐めまわす様に纏わりついてくる。出す時はこれまた後孔が竿にしがみついたまま引き伸ばされ、内部は性器を離すまいと
しつこく吸盤のように張り付いてくる。このままなら今の緩やかな動きだけで射精出来そうだ。
 「はぁぁっ、社長っ、気持ち良いです」
 性器を包み込む内部に気を取られていると、ふいに丑嶋が背中を揺らめかした。
 「うぅん、んっ、柄崎、もっと深くしなきゃイケない・・・だろうがぁ。」
 丑嶋が首をひねって振り返り、不満顔で柄崎を睨みつけた。うさぎのように赤くなってしまった眼で睨まれ、柄崎はただでさえ緩やかだった動きを完全に止めてしまっ
た。 <> 雪見うさぎ・3 3/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:22:22 ID:qHyE76a/0<>  「だからっ、深くしろと言ってんのが分からねェのかっ!」
 もう少しで丑嶋馨と言うクールな自分を完全に捨て、乱れ切れそうになっていたのに、興を削がれてしまった。丑嶋は辛抱堪らず体に力を入れると、自ら腰を前後に激
しく動かし始めた。
 竿と裏筋と亀頭と部分にこだわらず、全てを自分の内部に擦りつける。もうこうなってしまえば、当たる部分は前立腺だろうが何だろうが気持よくなってしまう。
 「ひっ、社長!」
 柄崎は腰を強張らせて丑嶋のするがままになる。まったりと熟れた内部の肉全てに性器全体を刺激され、自分が突いていた時とは別次元の快楽が訪れた。脳天まで蕩か
す快楽は強すぎ、気持ち良いのは性器だけな筈なのに、まるで自分の体全体を包まれている気分になった。
 「ふぅうっ、スゲェ、これ、スゲェ!」
 堪えようとも漏れだしてしまう声。これでは柄崎の性器が丑嶋の内部に犯されているようではないか、と錯覚してしまいそうだ。先程まで翻弄していたのは柄崎の方な
のに、いつの間にか立場を逆転されてしまったのは、例え普段は丑嶋に対しては絶対服従な柄崎でも、男としてここは踏ん張りたいところだ。
 けれども、パンパンと肌がぶつかり合う音が響き、性器の下にある睾丸が振り子のように揺れて、丑嶋の太ももの裏の辺りを叩くほど激しい抽送を繰り返すと、ますま
す自分の腰が砕けてしまうのが分かった。
 「んんっ、社長、胸触らせてっ!」
 柄崎はせめてもの反抗のつもりで抱きつき、張りきった筋肉で豊満な丑嶋の両胸を鷲掴みにした。
 「柄崎っ、お前そこばっかり・・・」
 胸を鷲掴みにされ、丑嶋は驚いた顔で後ろを振り返った。ふっくらした唇はワナワナと震え、言葉は途中で消え行ってしまった。
 来る。大きな射精の波が来る、と柄崎が胸を包んでいる手に力を一層込めた。
 根元まで力強く入った瞬間、最奥と入口が同時に締まった。根元から搾りとられるように締め付けられ、柄崎は自分の限界が来た事に気がついて根元を握って抜いた。 <> 雪見うさぎ・3 4/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:23:05 ID:qHyE76a/0<>  ゴムをつけていないので、このまま出したら丑嶋に嫌な思いをさせてしまそうだと瞬時に判断し、自分の手の中に出そうとしたのだ。だが、自分で思っていた以上に限
界は近かったのか、あまりに内部がよかったのか、先端を手で握り込む前に射精してしまった。
 「ああっ、あーっ」
 白濁はまるで狙いすましたように丑嶋の尻に向かって存分にほとばしった。
 「おあっ、あーーー・・・っ」
 長い射精だった。眼の前に火花が飛んだような感じがした後には体の力が抜け、踏ん張る暇もなく丑嶋の背中に抱きつく体勢で倒れこみ、最後の一滴まで尻に擦り付
けながらほとばしらせた。
 「おおっ、うぉうっ!」
 丑嶋の口からまた咆哮が漏れた。背中は限界まで反り、尻から背中の方の上に掛けてゆっくりと電流が流れる様に痙攣していき、痙攣が頭まで達したかと思うと、ガ
クリとまた床に突っ伏してしまった。
 「え、と・・・、社長?」
 「はぁっ、ああああっ、ああ・・・」
 どうかしてしまったのか、と柄崎は心配になった。
 「社長、あのぉ」
 突っ伏してまだ痙攣している丑嶋の顔を覗き込むと、焦点はぼやけていて、口からは涎が垂れている。恍惚とした表情には見覚えがあり、柄崎は安堵した。
 「イキまし・・・」
 「うるせー」 <> 雪見うさぎ・3 5/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:23:50 ID:qHyE76a/0<>  柄崎の言葉が終わる前に丑嶋の手が口を塞いでくる。赤く上気していたのは頬までだったが、急激に耳の半ばまでが赤くなり始めた。
 丑嶋は柄崎の顔を口を塞いだままグイッと押し、先程まで手をついて四つん這いになっていた場所とは少し距離を取る。尻を押さえながら仰向けになると、置いてあっ
た衣類を引き寄せて股間を隠す。それでもまだ恥ずかしいので炬燵の中に下半身を突っ込み、顔だけそっぽを向けてしまった。
 今は炬燵の掛け布団で隠したが、丑嶋の脇腹のすぐ横にはつい先程床に溢してしまった白濁が散らばっている。確かに、柄崎の言う通り射精してしまった。しかも、最
初の一度目と違い、二度目の射精は性器への愛撫はほとんど無く、指と性器で後ろを突かれて出してしまった。
 「チッ、好き勝手しやがって」
 悔しそうだが、柄崎に図星を指され、バツが悪そうに舌打ちをする。表情は急にいつもの冷静さを取り戻したが、顔や耳の赤さまではコントロール出来ないようで赤い
ままだ。
 「可愛い・・・」
 憎まれ口も愛おしくて嬉しく感じてしまうのは、完全に惚れた弱みだ。柄崎はどうしてもデレデレと鼻の下を伸ばしながら丑嶋を見つめられずにはいられない。
 一歩的に攻められるのにあまり慣れていない丑嶋としては、柄崎が一度しか射精していないのにも関わらず、一方的に二回も射精させられてしまったのが大いに不満だ。
ジロリと柄崎を睨みつけようとしたが、もうそんな気力も起きない。
 「フンッ、馬鹿が」
 丑嶋は意味のない罵倒を吐くと、少し離れた場所に弾き飛ばしてしまったミッフ○ーのぬいぐるみを掴み、また枕代わりにした。そしてそのまま、身を丸めて炬燵の中
に肩まで潜り込んでしまった。
 「すみません・・・」
 子供のように拗ねる丑嶋を可愛いとは思うが、どうしたらいいのか分からないのも事実で、柄崎は困ってしまう。 <> 雪見うさぎ・3 6/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:27:02 ID:tCqDIZMyP<>  取り敢えず、どうしようと頭を掻くと、急に鼻の辺がムズムズしだした。
 「へ・・・っきし!」
 かなり大きなクシャミが出た。只でさえ尻にこれでもか、とぶっかけてしまったのに、下で寝ている丑嶋に唾液までぶっかける訳にはいかない、と咄嗟に手のひらを口
に当てた。
 「うー」
 ギリギリのところで間に合い、唾液だけではない色々な体液で汚れた手を拭こうと炬燵の上にあるティッシュケースに手を伸ばそうと体を起こす。何となく居心地が悪
く、視線は出来るだけ丑嶋に合わさないようにしていると、何気なく視線が行った先は外の庭に繋がっているガラス張りのドアだった。
 「あ、雪だ」
 いつのまにか降り積もったのか分からないが、小さな庭には雪が積もっていた。母が育てている小さく可愛らしい南天の木の葉にも、赤い実にも白い雪が積もっている。
 「雪?どうりで寒い筈だな」
 横になったままで寝がえりをうち、丑嶋も庭のほうを向いた。
 「結構積もってますよ」
 「ああ」
 しばし二人で外を眺めていたが、ふと柄崎は自分の下半身だけが妙に寒く風通りがいいことに気がついて下を向いた。視線の先にはまだ濡れているが、寒さで普段より
も縮こまってしまった性器が衣類の隙間から零れ出ていた。
 慌ててティッシュを数枚抜き取り、手拭き、性器を拭き、しまい込んだ。
 「おい、着替えるから、ちょっと外見てろ」 <> 雪見うさぎ・3 7/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:27:48 ID:tCqDIZMyP<>  言うが早いか、丑嶋も起き上がり、前を服で隠したままで炬燵から出た。
 小娘でもあるまいし、着替えを見られるのが今更恥ずかしい間柄でもなかろう、と思いつつも、柄崎は素直に外を見つめた。
 丑嶋は柄崎が外を見ていることを確認すると、取りあえず乱暴な手つきで下半身を清める。終わると、ティッシュを丸めて柄崎の顔めがけて投げつけた。それでも柄崎
は外を見たまま動かない。
 「よし、そのまま外見てろよ」
 安心し、下着とズボンを手早く身に付けていく。柄崎は反省して委縮しているのか、瞬きもしないで外を見つめている。何故か時折鼻の辺をひくつかせながら。
 実は柄崎は直接にではないが、隣で行われている着替えを見ているのだ。丑嶋は気がついていないが、外に繋がっているガラスのドアは綺麗に磨きあげられている為、
室内の物がかなり鮮明に映っているのだった。
 丑嶋は隣にいる間接的な覗き魔の視線に気が付かないままに着替え終わった。腰が痛いが、柄崎の隣で座る気にはなれない。室内にはまだ情事の匂いが留まっているし、
柄崎以上に居心地が悪い。
 考えてみれば、柄崎が最初にしたがったのはキスで、はっきり誘ったのは丑嶋のほうだ。着替えた時に床にぶちまけてしまった白濁は拭いたが、後々にはあそこの辺り
に柄崎の母が座ったりするかもしれないのだと思うと、居心地の悪さはピークに達してしまった。
 「ちょっとドア開けるぞ」
 解決にはなっていないが、取りあえず換気だけでもしてしまおうと思い、柄崎の同意も得ずにドアを全開にした。
 「寒っ!うっわ、寒い!社長、風邪ひいたら不味いです。ドア閉めてください」
 柄崎としては寒いも寒いが、何より丑嶋が風邪をひいたりしたりするのが心配だ。全開にしたドアを閉めようとする。 <> 雪見うさぎ・3 8/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:29:11 ID:tCqDIZMyP<>  「うるせーな。俺は熱いんだよ」
 散々主導権を握られてしまったので柄崎の言う事を聞く気が起こらない。反発するようにわざとドアの上がり口までいくと、手を伸ばしてドアのすぐ傍の南天に積もっ
た雪を一掻き手に取った。
 雪はサラサラとしていて、真っ白で、何だか美味しそうにも見える。手の温度ですぐに融けて、数粒の水滴が指の間から下に積もった雪の上に落ちる。
 「冷たくて気持ち良い」
 火照った体には冷た過ぎる位が気持ちいい。丑嶋が愉快そうに目を細めると、柄崎も丑嶋の隣に来て南天の木に積もった雪を掬った。
 「本当ですね。気持ち良い」
 柄崎は何となく手を合わせ、雪を大きな塊にした。サラサラとした雪はまとまりがよく、手の熱で融ける前に地面の上に置いても形崩れしない。何となく作った形だが、
柄崎は形に見覚えがあった。
 「これと、これと・・・」
 手を伸ばし、南天の木から二枚の葉と二粒の実を採る。
 「こうして、と」
 葉は一枚ずつ雪の塊に斜めに挿し、実は適度に間を開けて埋める。
 「出来た。雪うさぎ」
 「雪うさぎ?可愛いな」
 愛らしい雪うさぎを見て、丑嶋が柄崎の肩にやんわりと凭れかかってきた。
 「俺も・・・」
 丑嶋は融けてしまった雪を手放すと、新たな雪を手にとる。丁寧にふんわりと柔らかさを感じさせる形になるように固めると、柄崎同様に融けないように地面の上に置
いた。互いに隣に座っているので、雪の塊は自然と柄崎の作った雪うさぎの隣に寄り添うように置かれた。
 「どうぞ」
 すでに出来上がっている雪うさぎよりも、よりうさぎらしい愛らしく丸っこい形に相応しい物を、と立派にピンと張った葉を二枚、大きく赤い実を二つ選んで渡した。
 「おう」
 まるで職人のように真剣な顔の丑嶋は、慎重に葉と実を雪の塊に装着した。ただ単なる雪の塊はまるで本物の白い兎のように見えた。これも、普段から丑嶋が兎と接し
て見ているからだろうか。 <> 雪見うさぎ・3 9/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2011/01/05(水) 18:31:26 ID:tCqDIZMyP<>  寄り添う2匹の雪うさぎを見ていると、何だか羨ましくなってくる。
 「仲良さそうですね」
 柄崎がそれとなく呟くと、単純に雪うさぎを近くで見ようと思ったのかも知れないが、丑嶋の肩が柄崎の肩にぴったりくっ付いた。
 「そうだな。うさぎは多頭飼いして一度仲良くなると、ずっと一緒にいたがるしな」
 可愛い雪うさぎに機嫌が良くなったのか、口数が大分増えてきた。
 「社長、無茶してすみませんでした」
 視線を直に合わせると睨まれるかもしれく、睨まれると何も言えなくなってしまうので、チラチラと横目に見ながら言う。
 「・・・別にいい」
 いつのまにか緩んでしまった唇を引き締める。丑嶋はドアを閉めて、外に置いてある雪うさぎ達をもう一度見つめると、炬燵に戻ってしまう。柄崎はまた何か機嫌を損
なう失言をしてしまったか、と慌てた。
 丑嶋は、先程自分が汚した場所に座るのが嫌で別の席に着くと、床に置いてあったミ○フィーを拾って膝の上に乗せる。白い左右の耳の間に顎を乗せ、体を前後に揺ら
しながら不明瞭な声で呟いた。
 「ああいうのも、まあ、たまにはいい。それより、雑煮喰いてェ」
 ドアを開けて外の寒い風に当たっていたのに、また丑嶋の顔の血色が戻ってくる。
 「はい、雑煮っすね。作ってきます」
 またニヤつけば怒られそうなので、表情筋を引き締めようと頬を数度叩いて台所に向おうと立ち上がった。
 外はまだまだ雪が降っているので、柄崎が幸せな溜息をつくと、息がかかったドアは白く曇った。
 
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 すみません!ナンバリング途中まで間違えてました。お目汚し失礼致しました。
モットノウコウナエロスガカケルヨウニナリタイネ( ´゚д゚)(゚д゚` )パイズリトカネ

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/05(水) 19:48:44 ID:mjGM8HqbO<> >>438
キター!!赤くなる社長がこんなに可愛いものだとは…!
柄崎と社長がめんこすぎて息が止まりそうです!
なにこのおしどり夫婦…!いいぞもっとやれ
柄崎×社長大ッ好きなんで本当に嬉しかったです!ゴチになりました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/05(水) 21:57:13 ID:16eGeid2O<> >>429
GJ。丁寧で好きだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/06(木) 00:43:10 ID:ubLMpk+J0<> >>335
亀ですが萌えました!
一途な後輩も後輩に甘い先輩もかわいかったです!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/06(木) 01:56:19 ID:qEHnfNQy0<> >>438
GJ!テラ萌えた!
デレる社長がかわいすぎて、幸せな柄崎がうらやまけしからん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/06(木) 09:40:24 ID:Tu2mn5QFO<> >>429
GJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/06(木) 12:24:06 ID:kl0YxhfLO<> >>429
萌えた!
切ないシーンなのに優しい気持ちになれました。いつも期待してお待ちしてます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/06(木) 21:13:46 ID:bKMa07dKO<> 480KBでそろそろ新スレの季節ですが、
申し訳ない、寄生虫であります。
どなたかお願いできますでしょうか。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 00:01:46 ID:V5Mss6Kj0<> >>453
スレ立ててみようとしたらダメだったorz
どなたかお願いいたしまする。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 01:52:54 ID:HsU8doP00<> AAズレても許してくれる?
とりあえずやってみる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 02:13:34 ID:HsU8doP00<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄






<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 02:21:44 ID:HsU8doP00<> 張り間違えた、ごめんね…
一応立てました

モララーのビデオ棚in801板63
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1294333262/

テンプレ途中で、改行多過ぎエラー出て張り切れない… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 02:25:20 ID:HsU8doP00<> テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 02:32:23 ID:HsU8doP00<> また間違えた…
一応テンプレ全部張った…はず…
慣れない事するもんじゃなかった…ホントごめんね…

>>457
新スレ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 11:24:28 ID:vkOqYguZ0<> >>459
どんまい
乙です! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 21:22:53 ID:xOPYn94EO<> 本当に乙!!
一生懸命さがめちゃくちゃ伝わった。
ストイックで完璧な>>1さんも素敵だが
必死に頑張る>>1さんも魅力的なものであります。
ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 22:57:49 ID:V7JS1Z+b0<> >>459
乙カレー

なんか最近の1さんは可愛いなぁw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/07(金) 23:38:02 ID:1bBwzp7VO<> >>459
乙様です!
健気ドジっ子ちゃんな459に萌えw

>>438
お待ちしておりました!エロ可愛い社長にたぎりました。
赤面やお着替え、2人が雪で遊ぶところとか、想像して過呼吸になりそうなほど胸きゅんです。
いつも本当にありがとうございます! <> 架空のスタッフ・ローディー君?×某師/匠
◆0VYjeLFHig <>sage<>2011/01/08(土) 21:53:26 ID:VBtxKc9dO<> >>459 非常に乙でありました。梅がてら、規制中につき携帯よりお借りします。
架空のスタッフ×某師/匠ですが、やや雲行きが変わって、
ローディー君×某師/匠風味になっているので注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「お前はほんと、なんて事してくれたんだよ。」
「なんだよ。俺忙しいんだけど。」
まただ。
理不尽に俺に当たってくるこいつは、いくつも年上の師/匠を変な目で見ている。
その変な目で見られている師/匠が初夢に出てきたのだという。
だけどまた「イイトコロ」で俺が邪魔に入ったと言って怒っている。ふざけるな。
こっちは師/匠に任された(面倒な)仕事でいっぱいいっぱいなのに。
のんきに夢なんか見てんじゃねぇ。
「もう一度眠ったって続きなんか見れないに決まってんだよ。それをお前が。」
「うるせぇ。俺は忙しいんだよ。」
「詳しく聞きたい?」
「聞きたくない。」
「誰かに聞いてもらわないと爆発しそうなんだもん」
「爆発するなら外行って爆発してくれ。」
溜息をついたら、弱音を吐かれた。
「誰かに聞いてもらわないと…師/匠どうにかしちゃいそうなんだもん。」
すでにこの攻防が約10分。もうなんかめんどくさい。
それに、どうにかされても困るから、仕方なく聞いてやる事にした。 <> 架空のスタッフ・ローディー君?×某師/匠
◆CR0fZJBp/k <>sage<>2011/01/08(土) 21:54:35 ID:VBtxKc9dO<> 「夢でさ…俺は普通に仕事してて…今みたいに。そしたら師/匠が来てさ、俺の隣りに座ったんだよ。
で、片足上げてその踵を俺の腿に、こう、置いてきて…。
え?って思って師/匠見たの。そしたらさぁ、腕組んでムスッとした顔して目伏せてんだよ!!かわいくね?!!!
ピンと来たね。「これはお誘いだ」って。もちろん、俺が断るわけがない!
もーヨダレ垂れそうでさぁ「こいつをどう料理してやろうか」なんて大それた事考えちゃったりなんかして。
で、腿に乗った足をこう…撫でていって…上の方にだんだん…内側とかこうスリスリして
チラッと反応見るんだけど腕組んだままさっきと同じ顔してんの。で、あー完全にお誘いだって思って、大胆になったね俺は。
お姫様だっこして。お姫様だっこ得意だから俺。師/匠にも一回やった事あるし。
普通なら暴れるんだけど、その師/匠は大人しく連れ去られてくれて。
で、ここからがいいんだけどさ
だっこしたままソファに座ってさ、勢いで口唇にチュッてしちゃった。
でさ、今度はベロチューしようとしたらプイッて顔逸らされたんだよ。
逸らすから必然的に目の前に首筋があって、舐めたくなるじゃん。だから舌でツーってやったんだよ。
そしたら肩がピクッて揺れてさぁ俺もう興奮しちゃって。あー今かわいい師/匠が俺の腕の中に居るんだって実感しちゃって…----」
……。
なんだこのテンションの上がり方ついていけねぇ
やっぱ聞くんじゃなかった。
かわいくないだろ。第一お前の話は展開が早すぎてよくわかんねぇ。
…なのになんとなく映像出てくるからヤだ。
身振りをつけるな。やめろその手つき。
何か爆弾発言してたし…スルーするけど。
何やってんだよお前はほんともう…それにしても長ぇな。
まだあんのかよ。すでに耐え難いもんがあるぞ。
これ以上想像させんな。
首振っても映像がついてくる。どうしたらいいんだこれ。
なんでこんな話聞く事にしたんだっけ俺。で、いつ止めるんだ夢の中の俺。早くしろよ。
眩暈がしてきた。頼むから早く抵抗してください夢の中の師/匠。 <> 架空のスタッフ・ローディー君?×某師/匠
◆nrXwOa3VzM <>sage<>2011/01/08(土) 21:55:55 ID:VBtxKc9dO<> 「で、もう即効服ん中手突っ込んで乳首探して
ゆるーく触りながら「ここをどうして欲しいんです?」って聞いたらさぁ
師/匠、「お前なんかにはやらせてやんない」とか言うの!!!自分から来たくせに!!抵抗しないくせに!!!!
だからちょっといじわるして擦ったらすぐに勃ったから、「じゃあこれはなんですか?」って摘みながら言ったわけよ。
…俺さぁ師/匠って絶対乳首遊ばれ慣れてると思うんだよねー…実際触った事あるんだけど、そんな感じだったな〜」
「ちょっと待て。」
あ、しまった。さすがにスルーできなくてうっかり止めちゃった。
こいつが調子に乗るの目に見えてるのに。
なんか色々聞き捨てならない事言ってたけどスルーしたのに…俺とした事が。
「うっわーお前現実もこのタイミング?夢でもお前がさぁここでドアバーーーン!て開けて、「はいストーップ」って入ってきたんだよ」
俺はお前のトラウマか?
「で、びっくりして目が覚めたっていう…」
「……ふーん。」
「………。」
「……じゃ、終わりな。仕事すんぞ。」
「あれっ質問は?」
「何が。」
「今俺が「師/匠の乳首触った」って言ったから止めたんじゃないの?」
「そうだけど、なんか聞いたらめんどくさそうだからいいわ。」
「俺、触ったよ。この間。」
「あっそ。」
「聞きたいんだろ?」
やっぱりこういう展開になるよなぁ。あーなんで止めたんだ俺。
「聞きたくない。」
「嘘つけ。気になったから止めたくせに。お前も素直じゃないなぁ」
「……お前が素直すぎるんだろ…」
突然ドアがバーーーン!!と開いたので俺たちはびっくりして振り返った。
そこには、
師/匠がいた。 <> 架空のスタッフ・ローディー君?×某師/匠
◆ck.GhVTI7Q <>sage<>2011/01/08(土) 21:56:52 ID:VBtxKc9dO<> 「「あっ…」」
師/匠はムスッとした顔をしたままつかつかと歩いて来た。
やっべ…聞こえてたくさい…
あ、頼まれた仕事まだできてない。
キョロキョロお互いを見合う俺たちの前に、師/匠は腕を組んで仁王立ちした。
そしてものすごい勢いで見下された。…これならそんなに怒って無さそうだ。
そのまま俺たちを交互に睨みつけながら椅子に座って、
ヒョイッと片足を上げて、
俺の腿に踵を乗っけた。
………。
…え、俺?
「ああああああああああああああああああああああああああああああ」
「なんで俺の方なんすか」
「…私はねぇ忙しいからこんな事やってる暇は無いのだよ。」
「し、師/匠、俺、俺です!俺!」
「はい、すいません。今すぐ仕事やりますんで…これ…どけてもらっても…」
微動だにしない師/匠。出たー、嫌がらせ…。やっぱり聞こえてたな。しかも最初から。
「師/匠俺に乗せてください!俺に!」
うるせぇ馬鹿。
動きそうにないので仕方なく乗っている足首を軽く掴んだら、
即座にカッと俺を睨みつけてきた。わー怖い。
しっかし…なんでこの人の乳首をいじろうと思うんだ?
…乳首ねぇ。
……。
なんとなく
なんとなーく。
興味本位で、足を掴んで無い方の手を師/匠の胸元に伸ばした。 <> 架空のスタッフ・ローディー君?×某師/匠
◆qe39x.izcc <>sage<>2011/01/08(土) 21:58:29 ID:VBtxKc9dO<> でも、
その手は、胸に届く前に師/匠の手に掴まれた。
「キミも仕事しなさいね。馬鹿な事ばかり言ってないで。」
そう言いながら師/匠は奴を見ている。
…ああ。
この手は俺に「引っ張って起こして」の意味で掴まれてんのか。
足を降ろし、何事も無かった振りでその手を引っ張り、師/匠を椅子から立たせた。
「じゃ。私は忙しいので。」
そう言うと、師/匠はそのまま部屋を出て行った。

「おーーまーーーえーーーずるくない?!」
うるせぇ。
「師/匠はいっつも、お前ばっかり!贔屓だ!」
うるせぇ。
「ちょっと機械に詳しくて変な事しないからって…いいよな〜」
うるせぇ。
要は、安全牌って事だよ。
「俺も「彼が居ないと私は何もできません」て師/匠に言われて〜」
……。
お前は本当に素直だな。
…まぁいいや。仕事しよ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
読んでくださってありがとうございました。
感想もいつもどうもありがとうございます。 <> 架空のスタッフ・ローディー君?×某師/匠
◆zT1lbr0CW2 <>sage<>2011/01/08(土) 22:02:12 ID:VBtxKc9dO<> 申し訳ありません。
ずーっとナンバリングがトリップに巻き込まれていました。
5/5で終でした。すみません。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/08(土) 22:40:22 ID:Xb5vTVmc0<> >>469
GJでした
相変わらず、天然不思議キュート系の師匠たまらんです
何気な包容力があって、師匠の気に障らない特技の
スタッフ青年がいいなあw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/10(月) 23:31:35 ID:1muli4Y5O<> 埋めがてら
>>213
読み返したらあらためて棚の淫乱クールっぷりに禿げ萌えた。GJすぐる。 <> 彼と男と世界一の私1/3<>sage<>2011/01/11(火) 22:18:55 ID:TKknCwN+0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル 片思い 切ないっぽいつもり でオオクリシマース!


波の音に包まれ、海の匂いに身を委ね、今日も彼の背中を見つめている。
庭から海を眺める彼の後ろ、玄関脇に私用の椅子はあった。
変わることのない、ただの日常になりつつある、そんな日々。
私に幸福を与えてくれる日々だ。ただ一つ、彼から陰を感じてしまうことを除いては。
陰りの原因はわかっている。

「海辺に家を借りた。ついてくるか?」
一年前、振り向きもせずに歩く彼がそう言ったあの日。
私は黙って彼の背を追って歩くしかなかった。
同棲していた恋人に捨てられた彼は、一つのバッグと、私だけを伴って出て行くと決めた。
冷たい雨が、彼の上等な背広を濡らしていた。私は拭う手を持っていなかった。

日が落ちて、彼が暖炉へと薪をくべる。
「アルフレード、お前は綺麗だな。」
私の頭を撫でる手が、哀しいほどに優しい。
「アルフレード、お前はきっと世界で一番美しい。俺が保証するよ。」
寂しさを滲ませて笑う彼の指先に、私の長い毛が絡みつく。
小さな嗚咽が漏れそうなのを噛み殺すかのように、ただ彼を見つめる。
「アルフレード、……………――……」
彼の腕が私の体を抱き締める。
私の名を呼びながら、小さく、本当に小さく、あの男の名を呟く。

何故私ではだめなのか。
何故、私を選んではくれないのか。

そうして、彼は哀しくも安らぐ眠りにつく。私に深い渇望を残して。
これもまた、私と彼の日常になりつつあったのだ。 <> 彼と男と世界一の私2/3<>sage<>2011/01/11(火) 22:19:27 ID:TKknCwN+0<> 今朝は彼が寝室を離れなかった。たまにそんな日がある。
朝の早い時間から、その日の天気を知らせる厚い雲が空を覆っているような日だ。
冷たい雨は、私も苦手になった。
嫌な予感はしていたのかもしれない。来るなら、きっとこんな日なのだと。

煙るような雨の中、大柄な影が庭先に立った。
玄関脇の椅子に座っていた私を視界に入れると、男は軽く手を上げて見せた。
「やあ、アル。久しぶりだね。シュウは中かい?」
勝手に私の名を省略した男は、返事も待たず家へと入っていく。
ああ、予感はしていたのだ。
彼がいつも見ていたのは、海なんかではなかったのだから。
私は慌てて男の後を追った。

図々しく家へと踏み入った男は、同じく何の遠慮も無く奥の寝室のドアを開けた。
男の立てる物音を不審に思っていたのだろう。彼はベッドから立ち上がりかけていた。
「シュウ!」
男は一声発すると、彼の体を再びベッドへ押し戻すように抱き込んだ。

抵抗する彼の姿に、男へ飛び掛かるつもりだった。
男が浮かべている笑みを消してやるつもりだった。
私は確かにそうしてやるつもりだったのに。
彼の手はゆっくりと男の首へと回された。
愛しさを込めて、自らへと引き寄せるために。
二度と離れたくないと言わんばかりに。 <> 彼と男と世界一の私3/3<>sage<>2011/01/11(火) 22:20:10 ID:TKknCwN+0<> あの男が開けっ放しにしたドアから、静かに部屋を出る。
そうする以外、ないではないか。


「もう離さない、シュウ」
「孝明……愛してる、孝明」


『世界で一番美しいアルフレード』と何度も囁いてくれた彼。
その彼が囁く愛の言葉を、私へではないその言葉を、これ以上は聞きたくない。

何故私ではだめなのか。
何故、私を選んではくれないのか。
抱き締める腕はなくとも、彼を温める毛皮があるのに。
愛を囁くことはできなくとも、愛していると顔を舐める事はできるのに。

わかっている。わかっている。ああ、わかっているのだ。
ゆっくりと尻尾でドアを閉めながら、理解してしまう自らを呪う。


彼は決して言ってはくれなかったのだから。
『世界で一番愛しているアルフレード』とは。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/13(木) 19:07:11 ID:CZfG3kz3O<> うめ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/13(木) 19:19:33 ID:CZfG3kz3O<> うめうめ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/13(木) 23:18:36 ID:YkCOb7mg0<> 埋める位だったらなんか過去作品の感想でも書いていけ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/13(木) 23:23:28 ID:1O0hDJ0k0<> 保管庫の管理人さん&協力者の方々
ありがとうございます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/14(金) 01:16:35 ID:oFBGEaL+0<> >>478に同じ。
いつもあなた方のお陰で萌えを享受出来てます。
大変な作業かと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2011/01/14(金) 23:39:54 ID:qe0p6PE80<> 保管庫の中の人には、いつもお世話になっております。心からの感謝を込めて。

埋めついでに小ネタをひとつ
!!ナマモノ注意!!
GCCXで 課長×構成作家

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> セットの裏でつかまえて 1/3 <>sage<>2011/01/14(金) 23:41:28 ID:qe0p6PE80<> 「宣伝文句(要英訳)でつかまえて」収録の合間の休憩中。

「なぁ、キベ君、ちょっと話あるねんけど」
なにやら深刻そうな面持ちで、話しかけてきたのは蟻野さん。
「なんですか?」
でも、騙されてはいけない。
この人の「深刻そう」なのは、実はただのネタフリだったりするから。

「エー…っと、ここでは、なんやから、ちょっとアッチいかへん?」
そう言って、スタジオの隅に連れて行かれた。
セットや機材の死角になって、他のスタッフからは見えない場所。

・・・なんだろう。本当に真剣な話なのかな・・・?

ちらりと辺りを一瞥して、回りに誰も居ない事を確認してから
蟻野さんは話始めた。

「あんなぁ、一個気になってる事があるねんけど、訊いていい?」
「なんですか?」
「キベ君が『不正解です』って言う前のタメが、僕の時だけ、なんか長い気がすんねんけど」
ここで、一拍間を置いて、僕の目を覗き込んでくる。
「なんで?」
きらきらと悪戯っぽく光る瞳が、彼の望む答えを僕が言うのを待っている。

・・・そんな手には、乗りませんからね。
「そりゃ、蟻野さんがメインなんですから、長くカメラに映るようにするのは当然でしょう」
わざと冷淡にそう答えると、あからさまに蟻野さんの表情が曇る。

わかってますよ、アナタが言って欲しい答えは。
わかっているんでしょう?僕の本当の答えを。 <> セットの裏でつかまえて 2/3 <>sage<>2011/01/14(金) 23:42:56 ID:qe0p6PE80<> 「なんやー」
蟻野さんが、ぼりぼりを頭をかきながら呟く。
「てっきり、僕と見つめ合いたいのかと思ったわー」

えぇ。そうなんですけどね。でも言いません。・・・恥ずかしいから。

「ほなさー」
まだ諦めない悪戯な瞳が僕を射る。
「次の撮りから、キベ君がタメてる間、僕、少しずつ近づいて行こか?」
「は?」
「いや、だから、こうやって・・・」
そう言いながら、蟻野さんが少しずつ僕の方へ歩を進める。
僕は思わず後ずさったけれど、すぐに壁際へ追い込まれた。
背中につめたい壁が当たって、もう逃げられない。
蟻野さんが両手を僕の頭の両脇に置いて、左右の逃げ道も絶たれた。

近づいてくる蟻野さんの、いつになく真剣な表情から、視線が逸らせない。
って、いうか、僕の視界いっぱい、蟻野さんの顔なんですけど。

息がかかる程に、近い近い距離。
近すぎて、目の焦点があわなくなって、もう蟻野さんの表情もわからない。

「・・・目ぇ、閉じぃや」
蕩けそうなほど、甘い声が、僕の唇のほんのちょっと先から響く。
僕は、ぎゅぅっと目を閉じた。

――― そして。 <> セットの裏でつかまえて 3/3 <>sage<>2011/01/14(金) 23:44:43 ID:qe0p6PE80<> 「蟻野さ〜〜〜ん!キベさ〜〜〜ん、収録始まりますよ〜〜」
能天気な元ADの声が、僕の緊張の糸を切って、スタジオに響き渡る。
「おー!今、行くわ〜〜」
これまた、さっきの甘い声の主と同一人物とは思えない、能天気な声で蟻野さんが応えた。

僕は壁に背中を預けたまま、ずるずると座り込んだ。
まだ、頭に霞がかかっていて、状況の変化についていけない。
唇が―――触れていないはずなのに―――妙に熱い。

「おしかったなー」
いつもの表情に戻った蟻野さんが、僕に右手を差し出しながら言った。

何が?何を?
混乱しつつ、その手を取ると、ぐいと力強く引き上げられて、なんとか立ち上がった。
立ち上がったと思ったら、もう一度手を引かれて、蟻野さんの胸に倒れ込まされた。
あ、と思う間もなく、こめかみに柔らかいモノが当たる感覚。
ちゅっと小さく音を立てて離れたそれは、確かに蟻野さんの唇で。

「今日は、このくらいで、勘弁してやるわ」
真っ赤になっているであろう僕の頬を、ぺしぺしと軽く叩きながら蟻野さんが笑う。
「なっ・・・!」
何か言い返したいのに、言葉が出てこない。
そんな僕にはかまわずに、蟻野さんは皆の待つセットの方へと駆けていく。

僕はため息を一つついて、その後を追った。
この顔の火照りが、一刻も早く収まる事を祈りながら。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お目汚し、失礼しました。 <>