風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:02:22 ID:2FdMY2d30<>    ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板59
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1278218230/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/ <>モララーのビデオ棚in801板60 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:04:17 ID:2FdMY2d30<> ★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間(30分以上)に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>4-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
(4) 一度にテンプレAA含め10レス以上投下しないで下さい(連投規制に引っかかります)
   長編の場合は10レス未満で一旦区切り、テンプレAAを置いて中断してください。
   再開はある程度時間をおき、他の投稿者の迷惑にならないようにして下さい。
(5)シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
 また、長期連載される書き手さんはトリップを付ける事を推奨します。
(参照:トリップの付け方→名前欄に「#好きな文字列」をいれる)
(6)感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬や、書き手個人への賞賛レスはほどほどに。
 作品について語りたいときは保管庫の掲示板か、作品が収録されたページにコメントして下さい。

※シリーズ物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara

■投稿に当たっての注意
1レスあたりの最大行数は32行、タイトルは全角24文字まで、最大byte数は2048byte、
レス投下可能最短間隔は30秒ですが、Samba規定値に引っかからないよう、一分くらいがベターかと。
ご利用はテンプレをよくお読みの上、計画的に。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:04:57 ID:2FdMY2d30<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:05:37 ID:2FdMY2d30<> 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:06:06 ID:2FdMY2d30<> テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:06:37 ID:2FdMY2d30<> テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:07:13 ID:2FdMY2d30<> テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:07:41 ID:2FdMY2d30<>  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 20:08:21 ID:2FdMY2d30<>    |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/25(水) 23:51:52 ID:/7gIfvyU0<> スレ立て乙です!

前スレ461
禿げ萌えました。ありがとう!
スペインモード恐ろしいw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/26(木) 22:40:27 ID:lfMb78CSO<> スレ立てお疲れ様です
携帯から失礼します

前スレ落としたあげく新スレも立てられず
本当に申し訳ありませんでした
>>1さんをはじめ皆さんにご迷惑をおかけしてしまい
大変反省しております
今後気をつけてます
後日改めて規制が解除されてから投下し直すので
次の方どうぞお使いください
本当にすみませんでした <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/27(金) 00:47:04 ID:AQUoEcVy0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ドラマ 浄化ーの話です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  主人公とツンデレ部下。夜の宿泊所です。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

初投稿なので、いろいろと不備があったらゴメンナサイ。
<> お前は俺のイライラの元 1/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:49:59 ID:AQUoEcVy0<> 35歳で警部補ともなれば、同期の奴らに比べて出世競争に一歩
先んじているものだ。
有能をもって鳴る殺人課の降旗さんも、未だ警部補。
同期での集まりでもいささか鼻が高い俺である。

・・・しかし、ここにきて、キャリアでもないのに、とんでもなく
出世している奴がいる。
盾和良、階級は警部。無網の極みのくせに俺の上司。
今、俺の隣でいちごオーレを飲んでいる男である。

「だいたい、何でお前が今日ここで泊まりなんだよ。」
そう、ここは県警内のホール兼宿泊部屋。
本来明日5時から出張の俺一人が広い宿泊部屋を独占できる
予定だった。
だのになぜ、盾がいる。
「俺んちさ、昨日ガス湯沸かし器が故障しちゃってさ、風呂に
入れないんだよ。ホテルに泊まるのお金かかるし、ここならタダだし。
何よりギリギリまで寝てられるし。
あっクル巣がいるなら起こしてもらえるし。」
「県警をホテル代わりに使うなーーっ!俺は目覚まし代わりか!」
いいじゃないそのくらい、と口をとんがらせるぼけ上司。
「だいたいお前、独身だろうが。警部のくせに金ケチるなっ!」
「硬いこと言わないで。そうかー、クル巣も泊まりか。なんだか
修学旅行みたいだな。」
「気色悪いこと言うなっ!」
<> お前は俺のイライラの元 2/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:51:24 ID:AQUoEcVy0<> こっちの気分お構いなしに盾は、Tシャツとジャージに着替えると
枕投げしそうな中学生みたいなわくわくした目で俺を見ている。
いや、ひまわりの種を見つけたハムスターみたいな目だ。
一瞬撫で回したくなったが、ハッとして俺は手を引っ込めた。
あぶねーーーっ!
「クル巣―、守衛さんが来るのは3時だから悪さするならその時間は
避けろよ。」
悪さって何だ、悪さって。
「それから、トイレ行くときの照明は足元のスイッチの方が近いからね。」
うぜっうぜっ
「クル巣、いびきとか歯軋りとかする方?」
「わからん。」
「俺がいびきかいても許せな。」
「うんにゃ、絞める。」イライライライラ
「あっ、クル巣がヤバい寝言言っても俺、バラさないからね。」
「早く寝ろーーーーっ!」キレたのは俺のせいじゃない。
でも、盾はクスクス笑いながらほざきやがった。
「クル巣―よくないよ。いつもイライラしてさ。」
だれがイライラさせてるっちゅーんじゃ。
「ほら、甘いもの取ってさ。」
盾は、いつも持っているデカいエコバックを不器用に漁りながら言った。
「はい、いちごオーレ!」
「お前は小学生かーーっ!」
「ぴぎゃーーーーっ!(じたばた)」
俺は上司の首を思いっきり絞めた。
<> お前は俺のイライラの元 3/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:52:18 ID:AQUoEcVy0<> 「だいたいこの前の健康診断、捜査一課でお前だけだ。
40前で、悪玉コレステロール値で引っかかったの!
せめてブラックコーヒーとか茶にだなーーーっ!」
「だって・・・コーヒーとかお茶はおしっこ近くなっちゃうし・・・。」
じじいか、お前は・・・。
「あっ、クル巣、小腹空いてない?俺少し食べ物持ってきたんだけど。」
そういえば少し・・・。まあ、少し食べてやってもいいか。
あいかわらず、ダサいエコバックをまさぐり、盾はなにやら取り出した。
「ほら、チョコレートポッキー。」
脱力・・・。大の男がどうしておやつ持ち歩いてるのか・・・。
「えっ?気に入らない?じゃあいちごみるく?甘納豆?」
味覚がガキなのか、年寄りなのか・・・。
っつーか、そのエコバッグ、そんもん入れてるのか。
「ポッキー・・・。」かろうじて俺はまだ「マシ」なのを選んだ。
「そうだよな。男はやっぱりポッキーだよな。」
わけわからん・・・。
って、おいっそんな変な開け方したらっ!!
案の定、ポッキーは盾周辺一帯に散らばった。
ポカンとして、何が起こったのか理解できない盾。
目が点になったまま動かない。
こいつ・・・どこまでどんくさい・・・。
ポテトチップスの袋でやっちまう奴はたまに見るが、ポッキーの
中袋開けるのに、どうやったらそこまで散乱させられるのか。
<> お前は俺のイライラの元 4/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:54:50 ID:AQUoEcVy0<> もたもたと後始末する盾をひとしきり手伝ったあと、
俺はポッキーを食べる気力は既になく・・・。
ドッと疲れた。

「もう寝る。」無視だ無視。こっちばっかりペースを乱される。
俺は毛布を引っかぶった。
「いいか、俺より3つ以上近い布団で寝たら殺す。イビキかいたら
締める。話しかけたらその場で銃殺。わかったな。」
「乱暴だなー、クル巣くんはー。だから捜査も雑になるんだよ。」
えっ?グサッ
「だいたい怒りっぽくて猪突猛進だから、推理が早すぎるんだよ。
そりゃ勘も当たってるかもしれないけど、そうじゃないかもしれない。
常に捜査にはいろいろな可にょうひぇーほ・・・じたばた」
「こーのーくーちーがー言うかーーーっ!!!」俺の両手の人差し指が
盾の口を思いっきり広げる。
「ごみぇんなひゃい、ひょーひににょりしゅぎまひひゃー。」
ひたすら土下座する盾。思いっきり痛いところつきやがって。

<> お前は俺のイライラの元 5/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:55:41 ID:AQUoEcVy0<> 「あのさ・・・。クル巣、最近、うっすらと思うんだけど・・」
今度は何だ。
「ひょっとして、クル巣、俺のこと・・・嫌ってる?」
「・・・へ・・・?」
何言ってんだ、この鈍トンカチは・・・。
「うっすら」とじゃなく「思いっきし」嫌いオーラ出してる
だろーか。それを最近まで気づかなかったのかぁ????
「今頃気がつきやがったのか。てめーは。
そうだ、でーーーっキライだ。お前なんかよ。」ざまあ見ろ
「やっぱりそうだったのか・・・」
盾は一瞬小さく頷いたあと
「良かったーーーー。」とそれはそれは満面の笑顔と大きな声で
伸びをした。
え・・・・?ズキッ?<良かった・・?>
今、一瞬俺の心、ハートブレーク???
「うんうん、そうか。スッキリした。さあ、寝よ寝よ。」
相変わらずニコニコして床に入ろうとした盾の毛布を剥ぐ俺。
「ちょーーー待てーーーっ!」
「何だよ〜。人がおとなしく寝ようとしたら、勝手だなあ、クル巣は。」
「お前、良かったって何だよ、良かったって。」
「だってー、すっきりするでしょ。」
「スッキリって・・・スッキリって・・・、おまえなー。」
<> お前は俺のイライラの元 6/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:56:32 ID:AQUoEcVy0<> 頭の中がクエスチョンマークで支配されている俺に
さわやかに盾が言った。
「いやあ、クル巣が俺のこと嫌ってるとかそうじゃないのか、
どっちなんだって悩むと、こう心がモヤモヤしちゃってさ。
でも、答えはどうでもどっちかはっきりすると、心のつっかえが
無くなるってーかさ。」
「はっきり・・・すっきり・・・??」
そんなもんなのか・・?お前にとって俺って。
「そうそう、告白前より玉砕したほうがスッキリして、一歩が
踏み出せるってーか、よく寝れるってーか。そういう感じ?」
おまえは、ねるとん(←若干思考が古い)やってる高校生か・・・。
「ともあれ、クル巣の気持ち聞けて、心のモヤモヤが解けたっ
てーか。」
「・・・お前なー、人にキライだって言われて傷つかないのかよ。」
俺は、自分のことを棚にあげて問いただす。
えっ?という顔をしたあと、盾は妙に優しい目で俺を見る。
何だろう、一瞬よぎるこの不安・・・。
そしてそのまま視線を暗闇に移す。
いつもの小動物のキョトキョトした視線じゃない。
「俺はいいよ・・・」微笑む。
そして宙に向かってつぶやくように言う。
「だいたい俺、そういうガラじゃないし。
人に好かれたり愛されたりするような価値ないし。」
達観しているような、優しい響きで、同時に氷のようにしんと
冷えた声。

<> お前は俺のイライラの元 7/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:57:43 ID:AQUoEcVy0<> 「・・・・・・。」
どこかとてつもない迫力を感じさせる盾のつぶやきに、
つい無言になってしまった俺。
盾はハッとしたような顔をしたあと、我に戻ったのか、また
いつもの小動物の目に戻った。
「でもさ、俺はクル巣のこと結構好きだな。」
今度は半月目の明るい笑顔。
「え・・・・?」一瞬俺はどぎまぎと。
「なんたってクル巣は、俺の停職明けにいちごオーレ
おごってくれたしさー。」
安っっっっ!
「クル巣はさ、見た目は出世欲強そうだし、実際強いし。
でも本質はすごい正義漢なんだよな。」
「おいっ」ほめてんのかケナしてんのか。
「一生懸命生きてる人が、悪い奴に踏み潰されるの
見て見ぬ振りができないというか。案外、面倒見いいし、
だから土屋たちがついてくるってーか。」
「・・・・」なんだか照れる。
「時々査定なんか無視して上に突っかかるし。まあ相手は9割方
俺だけど」
まさか、査定に入れてやがるのか・・・。
「クル巣はまっとうだよな。こんなに長く刑事やってるのに
まっとうで純粋な正義感持ってる・・・。」
俺、一瞬なんだか幸せな気分になってないか?気のせいか。
そんな俺に盾は、とびきりの笑顔で言った。
「やっぱりクル巣は出世できないなぁ・・・」

俺の両コブシは盾のこめかみにぐりぐりめり込んだ。

<> お前は俺のイライラの元 8/8<>sage<>2010/08/27(金) 00:58:41 ID:AQUoEcVy0<> ひとしきり、俺の制裁を受けた後
「痛っーーー!もう、すぐ拳に訴えるう。」
小動物はまた口とんがらせる。
「まあ、俺に好かれてもクル巣は迷惑だろうけどな。」
盾は笑った。

ホントにこいつは小悪魔だ。
天然の小悪魔。
悪気もなく俺を振り回す。俺はイライラしっぱなしだ。
小動物みたいな目しやがって、小動物みたいな目しやがって
俺がいないと何もできない小動物の・・・。

でも何故だろう。
こいつの瞳、切れ長の目の中の大きな瞳が、ときどき闇より暗い光
を放っているように見えるのは・・・。
闇より深い漆黒の瞳。怖くほど悲しいまなざし。
ほんの一瞬だけ、気のせいかもしれないが。

「迷惑じゃねーよ・・・。」俺はつぶやく。
「うーん・・・え?何?」盾は寝たまま眠そうな目で尋ねる。
不機嫌な顔で俺はもう一度言い放つ。
「迷惑じゃないって言ってんだよっ。お前に好かれても。
だから、自分のこと価値がないなんて言うな。」

盾はクスクスと笑いだした。
「やっぱりクル巣は出世できないなあ。」

そして俺の両こぶしは盾の・・・・・。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/27(金) 01:00:13 ID:AQUoEcVy0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシター | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 台ふきんどうしよう 1/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:06:04 ID:mq5/JUOgO<> スレ立て乙です。

つい最近DVDを借りて滾ってしまいました。
難局のコックさん。
半生注意です。ぬるいエロ有。医者×コックさん。 


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


今日のドクタ.ーの舌は、朝食に作った白和えの味がする。
甘いな。
やっぱり甘すぎたかな。

息も継げないほどの激しさで唇を貪られながら、仁志村はもう少し甘さ控えめに作ろう、とぼんやり考えていた。
ドクタ.ーは北海道出身だから、きっと甘めの味付けが好みなのだろう。
比良さんが残した白和えもすべて平らげていたっけ。

朝食を済ませ、6人が作業の為に外に出かけてすぐ。
生理現象が伴う起き抜けの早朝ならまだしも、腹が満たされ落ち着くはずのこの時間がもっとも慌しい。

「だって、今しかないでしょ。夜じゃばれちゃうし。早朝はほら、仁志村君がいそがしいじゃない、飯の支度でさ」

どうやらドクタ.ーは「盛りの週」に入っているようで、3日連続で誘われてしまった。
・・・・・・誘いに乗る自分も自分なのだが。

穏やかで賑やかな日々の中、性欲を忘れかけていたような気がする。
二人目が生まれてから、ますます“家族風味”が増した。
すっかりご無沙汰だったはずなのに、14000キロメートル離れた現在、氷に閉ざされたこの場所で、
妙にはっきりと、妻の丸みのある腰のラインや、水を含んだしっとりとした肌の質感が思い出される。
懐かしい、生臭く甘い、女性の匂い。 <> 台ふきんどうしよう 2/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:08:17 ID:mq5/JUOgO<> どちらかと言えば髭の薄い仁志村は、頬を擦る強い髭の感触に現実に引き戻された。
今密着しているのは、柔らかな女性のそれではなく、濃厚な雄の匂いを放つ鍛えられた肉体だった。
ここは南の最果て。氷はあるが水はなし。水はつくらなくてはならない貴重なモノなのだ。
身体を洗う為、満足に湯水を使えるわけもなく。
湿度が低いとは言え、リビングスペースはいつだって、8人揃えば運動部の部室のように、香ばしい。
仕事柄嗅覚の鋭い仁志村には全てが3割増で感じられる。

仁志村の小さい後頭部をがっちりと固定して、口腔内を問答無用で蹂躙している男からは、タバコと、消毒用アルコールも微かに漂う。

ああ、息が苦しい。

背筋が痺れ切って、頭がぼうっとしてきた頃、味わうようにゆっくりと唇を舐め上げて、ドクタ.ーはやっと仁志村を解放した。
息が上がっているのは仁志村だけだった。
-54度の雪原の彼方へ、半裸で自転車を駆る男とは、身体の出来が違うのか。

無言で身体の向きを換えられ、窓側に押し付けられる。
首に吸い付く濡れた感触に、仁志村は小さく声を上げた。 <> 台ふきんどうしよう 3/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:10:10 ID:mq5/JUOgO<> 目の前の窓の四方には、霜がびっしりとこびりついている。
強化ガラスの向こうはどこまでも青く、どこまでも白い。
遠くに、オレンジや紫の蛍光色の動く塊が見える。
仁志村は無意識にその数を数えている。1、2、3、4、5・・・・・6。
総員屋外活動中。目視確認完了。

ドクタ.ーとこんな事になってしまってることが誰かにばれたら、ちょっと面倒だなと思う。

隊.長だったら、毎日の献立にラーメンを強要されるかも。
主.任にはサボタージュの片棒を担がされるかもしれない。
凡には、夜食の追加か。比良さんは見て見ぬ振りをしてくれそうだ。
モトさんは・・・・・・・・軽蔑した目でみるのだろうか。
神経質そうな大きな目が険しく歪む様を想像して、少し落ち込んだ。

ふいに背中へ、硬い感触が強くこすり付けられ、体温が一気に上昇するような錯覚に陥る。
同性に欲情されている、とはっきり意識することにまだ慣れない。
いや、慣れるべきではないような。

ドクタ.ーの乾いた手が、いつのまにか下着の中に侵入し、仁志村自身をつかみ出した。
直接擦れて痛みが走る。
刺激が強すぎる。
辛くて身を捩ると、耳元でドクタ.ーが小さく笑った。

「痛い?じゃ、濡らしてみよっか」

仁志村自身の匂いが付いた大きな手で口を覆われる。
舐めろ、と言う事か。

至近距離でこちらの顔をのぞきこんでいる。
医者ってサディストだな。

仁志村は目を閉じて、必死に舌を使った。 <> 台ふきんどうしよう 4/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:11:32 ID:mq5/JUOgO<> 顔中が自分の唾液でべたべたになって、情けない気分になったのもつかの間。
濡れたドクタ.ーの手が仁志村を扱き始めて、恥ずかしいほど、上ずった声を上げてしまった。

「声出せばいいよ。誰もいないし、聞かせてよ」

唇をかみ締めた仁志村の耳元でドクタ.ーが囁く。
その吐息が下腹部に響いて、仁志村は震えた。


ドクタ.ーはすごく上手い。
密かに自分の左手が一番だと思っていたので、正直驚いた。

どんどん追い上げられて、なんだかもう、どうでもよくなってくる。
滲む窓の外。
青い空、白い大地。
そして。

「あ」
「ん?」

潤んだ視界に動く蛍光点が5つしかない。
2回数えたが、やはり一人いない。

「一人足りない、ちゅ、中止・・・」
「仁志村君、いまやめてどうするの、これ。仕舞えないよ」
「ちょ、」
「ほら、早く。もういけるでしょ」
「ん、あ・・・」

頑健な身体に背後から拘束されたまま、容赦なく、煽られる。

ああ、また今日もドクタ.ーに連れて行かれてしまう。 <> 台ふきんどうしよう 5/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:12:53 ID:mq5/JUOgO<> 「あ、あ・・」
ドクタ.ーの肩に反らした後頭部を擦り付けて、飲み込まれそうな快楽に耐える。

「仁志村君」

低い声で我に返る。
余韻に浸っている場合ではなかった。

どうやら最年少メンバーの新やんがドクタ.ーを探しているようだ。
声が近づいている。この厨房に。

後始末もそこそこに、慌てて身支度をした。

ドクタ.ーが台ふきんで手を拭っている所に、とうとう新やんの長身が現れた。
オレンジ色の防寒具のまま、顔を上気させている。

「あ、いた。 あれ、仁志村さん、どうしたんですか。顔すげー赤い」
「蒸気に噴かれたんだって。軽いやけどだな。ちょっと外でてれば落ち着くよ」
「ダイジョブすか」
強い目に直視されて、仁志村はあわてて首を縦に振った。
「あ、うん。大丈夫。」

「それより新やんどうした、また凍傷か」
眉間に皺を寄せながら眼鏡をかけるドクタ.ーに、
ここちょっと切っちゃって、と新やんは袖を窮屈そうに捲り上げる。 <> 台ふきんどうしよう 6/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:14:15 ID:mq5/JUOgO<> 「あーあ、こんなにざっくりやっちゃって。はい、処置室直行。
じゃ、またあとでね、仁志村君。午後の増水の時間終了したら、こっち来てね様子見るから」

新やんの背中を押しながら、振り返って、ドクタ.ーはカッと目を見開いた。

“次、オレの番ね”

無声で唇が動き、そのままドアからフレームアウト。

そういえば、ドクタ.ーのアレ、白衣で隠せたのだろうか。

ドクタ.ーが手を拭った台ふきんを睨みながら、ぼんやりそんな事を考えていると、
二人が消えたドアからひょこ、と新やんが顔をのぞかせて、仁志村の度肝を抜いた。

「仁志村さん、今日の昼、何ですか」
「えっ、あー・・・おにぎりと豚汁。納豆入った卵焼き付き」
「今日の当たりはなんすか」
「今日もいくらだよ」
「っしゃ!それ、今日は俺に当ててもらえますよね?」
「え」
意志の強そうな整った顔がにやりと歪む。

「口止め料」

・・・・・・・・・見られてた。

「匂いで分かりますよ。それにその、今の仁志村さんの顔。エロすぎます」
ウインクして見せ、新やんはさわやかに厨房を出て行った。

再び新やんが消えたドアを呆然と眺めながら、仁志村は口をぱくぱくさせるしかなかった。
よりによって、新やんにおにぎりの八百長をさせられるとは。
数日前に遠距離恋愛に破れ身も世もなく泣いていた若者は、あっという間に逞しく成長してしまったようだった。 <> 台ふきんどうしよう 7/7<>sage<>2010/08/27(金) 01:16:34 ID:mq5/JUOgO<>
数時間後。
隊員が黙々と豚汁を啜り、せわしなくおにぎりを口に運ぶダイニングでの光景。
新やんに当たるはずのいくら入りおにぎりはなぜかドクタ.ーに渡り、新やんは不機嫌そうに納豆入りの卵焼きを掻っ込んでいた。
ドクタ.ーと新やんの間に一体何があったのか。
知らぬが仏、だな。
仁志村は考えないように、そっと目を伏せ、梅入りのおにぎりを頬張った。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


“オレの番”では仁志村、なかされるんだろうなぁ。。フフフ。

貴重なスペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/27(金) 01:37:45 ID:AQUoEcVy0<> うっわーーー。難局シェフ。超うれしい。
二氏村さんの色っぽいこと。とっても素敵でした。
姐さん、ぜひぜひ二位やん編、っつーかお父さん編とか凡ちゃん編とかも
ヨロシク! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/27(金) 19:20:34 ID:hcc1TFL20<> >>12
キターーーーーーーーーーー!!!!
ありがとうありがとうありがとう
毎日ツン×盾を待ち続けてた!!!
無邪気だけどどこか淋しそうな盾さんカワイセツナス…
クルたんどうか後ろから抱きしめて眠ってやってくれ〜〜〜 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/27(金) 23:58:40 ID:SxDvd9ZeO<> >>12>>22
浄化ー難局とまさかの境まつりじゃまいか。
ありがとうありがとう!
とくに難局は仁井やんバージョンは是非とも続きを… <> 聖黒1/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:28:17 ID:Oj/JeRk40<> 柴田/よ/し/きさんの小説 「聖/なる/黒/夜」 龍×練 一緒に旅行へ行く二人。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ガタン、ガタンと単調な音を立てて電車が線路の上を走る。
僅かに開けた窓から、初夏の爽やかな風が流れ込んできた。時折かすかに響く振動が心地よい。
これは俺の心臓の音だ、と練は思う。あの夜、線路の上で確かに俺は死んでいたのだ。
そう、誠一がその逞しい腕の中にこの身を拾い上げてくれるまで、俺はいつ来るとも知らぬ始発の振動を待ち続けていたのだ。
ガタン、ガタンと一定のリズムを刻む電車の音に耳を貸しながら、自分の左胸に意識を集中させる。
トク、トク、トクとまるで電車の音に呼応するかのように左胸が脈を打つのを感じる。
静かに、しかし力強くそれは鳴り続けていた。

旅行に行きたい、と言い出したのは練だった。
仕事が、と渋る龍太郎にほぼ無理やり電車のチケットを握らせた。
しかしいざ行くとなると、積極的になったのは龍太郎の方だった。
どこから仕入れてきたのか、温泉街の地図を広げ
「どこから回ろうか、」
などと計画に余念がなかった。
大の大人が、まるで子供のようにはしゃぐ様が可笑しく、そしてとても愛おしく思えた。

飲み物を買いにいく、と席を立った同行者の帰りが遅いことに焦れて練は目を閉じた。
別段眠くも無いが、このまま眠ったふりをしてしまおう。
眠ってしまった俺を見てあいつはどんな顔をするだろうか。
途方にくれた男の顔を想像して練は小さく微笑んだ。
それは自分を待たせた恋人に対する、ささやかな意趣返しでもあった。
<> 聖黒2/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:29:45 ID:Oj/JeRk40<> 2
「練」
耳をくすぐるような声がしてすっと薄目を開くと、視界の端に見慣れた龍太郎の革靴の先が見えた。
「練、寝たのか」
尚も聞こえないふりを続けると諦めたのか、かすかな溜息と共に龍太郎が腰を下ろす気配がした。
もう少し、もう少しだけ寝たふりをしていようと、練は内心でほくそ笑む。
龍太郎は買ってきた缶コーヒーのプルタブを開け、パラパラと雑誌を捲ったり足を組み替えたり、どうにも落ち着かない様子だったが、しばらくするとふっと静かになった。
予期せずして訪れた不気味なほどの静寂に、どことなく気まずさを覚え、目を開けようとした練は、ふいに強い視線を感じて戸惑った。

――龍太郎がこちらを見ている。じっとりと粘りつくような視線を感じる。
まるで体の奥底まで見透かされるような感覚におちいる。目を開かずとも分かる。
俺はこの感覚を知っている。ベッドの中で快楽に溺れる俺を見る時、あいつはこんな目で俺を見る。
焼け付くような視線に体の芯が熱くなるのを感じた練は、甘い痺れを振り払うかのようにがばっと身を起こした。
<> 聖黒3/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:31:11 ID:Oj/JeRk40<> 3
「ごめん、寝てた」
我ながらわざとらしいと内心苦笑いをしながら、練は大きく伸びをした。
龍太郎はというと、先程の熱っぽい視線など微塵も感じさせないような穏やかな笑みで
「もうすぐ着くぞ」
と言って、すっかり温くなった缶コーヒーを練の手に押し付けた。
「何してたんだよ」
「えっ?」
「俺が寝てる間」
先程の視線が気になり、それとなく龍太郎に問いかけた。
彼は驚いたようにしばらく瞬きをした後、
「別に何も」
と言ってのけた。あいかわらず嘘がつけない男だ。
「本当に?」
「ああ」
それ以上追求する気にもなれず、練は黙った。彼が何でもない、と言うのであればそれでいい。
電車内にはいささか不似合いの、官能的な視線の意味を推し量るのを止め、練は窓の外に目を向けた。
飛ぶように流れていた景色が、次第にゆっくりと速度を落としていく。
「着いたな」
どうやら目的地である温泉地に到着したらしい。終点ということもあり、乗客はまばらである。
他の乗客に混じって二人は駅のホームに降り立った。
<> 聖黒4/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:32:15 ID:Oj/JeRk40<> 4
宿に入った二人は荷解きも早々に浴衣に着替え、風呂へ向かった。
まだ日も高いせいか、風呂場に人影はなかった。
脱衣所で服を脱ぎながら練が「あ」と小さく声を上げた。
忘れ物でもしたのかと怪訝に思って振り返ると、練が真っ赤な顔をして俯いている。
「どうかしたのか」
「いや、その・・・何でもない」
そんな真っ赤な顔をして何でもないはずがないだろうと、練の視線の先を追った龍太郎はあるものに気がついた。
真っ白な練の胸元に散る、赤い花弁。それは他ならぬ龍太郎がつけた情事の印でもあった。
「お前のせいだからな、こんなの人に見られたらどうするんだよ」
気恥ずかしさからか、練は龍太郎と目も合わそうとせず、早口にまくし立てた。
その細い肩をぐっと抱き寄せてしまい衝動に駆られながら、
「部屋に戻ろうか」
とだけ告げると、真っ赤になった練がこくんと頷いた。
<> 聖黒5/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:33:26 ID:Oj/JeRk40<> 5
部屋に戻ると帯を解くのももどかしいとばかりに、龍太郎が練の唇を塞いだ。
そのまま獣のように互いの舌を貪りあう。
「っふ・・・う」
じん、と下半身に熱が溜まるような感覚がする。熱い。キスだけでは足りない。
もっと熱いのが欲しい。もっとぐちゃぐちゃにして欲しい。
待ちきれず、練は舌を絡めたまま胡坐をかいた龍太郎の膝の上に乗り上げた。
自分で浴衣の前をはだけてみせ、龍太郎の眼前にさらけ出す。
「ね、ここ」
練は胸を突き出すようにしてねだった。
淡い色をした二つの突起は固く立ち上がり、淫靡な色香を匂わせていた。
じゅっと湿った音がして、龍太郎がそこを舐めあげる。
「ん・・・んっ、あんっ」
じんわりと熱を帯びた愛撫を与えられ、高い声が漏れる。
恥かしい、と思う間も無く今度はそこを指で撫で上げられる。節くれだった指が乳首を摘む。
ぴりっとした痛みが駆け抜け、練はびくりと身を震わせた。
そのまま指でこね回され、再びそれを口に含まれる。
「やっ・・・それ、だめっ・・・ん・・・っ」
ぐちゅぐちゅと濡れた音が響き、耳を塞いでしまいたくなる。
やるせない感覚に身を震わせた練は、すでに反応しきっている自分自身を龍太郎の腿にこすり付けるようにして、更なる快感を求めた。

<> 聖黒6/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:36:56 ID:Oj/JeRk40<> 6
「もう少し我慢できないのか」
「・・・できなっ、もう、りゅう・・・龍っ」
練が龍太郎の名を呼んだ瞬間、龍太郎が小さく息を詰めた。
浴衣の裾がはだけ、露になった龍太郎の雄に指を這わせた練は、その先走りを掬い取る。
そのまま粘ついた液体を指になじませ、その指を自分の秘所にあてがう。
ぬぷん、と何の抵抗もなく指が入る。
「あんっ・・・も・・・ね、はやく・・・」
普段練のそこを慣らすのは龍太郎の指だ。あの、節くれ立った男らしい指で練の中をかき回す。
自分の中を擦る、龍太郎の指の感覚を思い出しながら練の官能に火がついていく。
内壁を擦るようにかき回す。気持ちがいい。
まるで龍太郎の前で自慰をしているような倒錯におちいる。
「お前な、そう俺を煽るな」
龍太郎が尚も行為を続けようとする練の指を止めさせ、代わりにもっと熱くて硬いものをそこにおし当てる。
そのまま、ずんっと奥まで貫かれる。
「ひゃ・・・あ・・んっ、きもち・・・い・・っ」
頭の中が真っ白になる。抗えない快楽の渦に落ちていく。龍太郎が律動を早める。
「龍、龍っ・・・」
龍太郎の腰に白い足を絡ませながら、必死に龍太郎の名前を呼ぶ。
快感に押し流されるのを恐れるように。最愛の人がそこにいるのを確かめるかのように。
「練っ・・・」
「・・・っあ、ああっ・・・!」
愛しい人の声が自分の名を呼ぶのを聞きながら練は絶頂に達し、意識の底に沈んだ。
<> 聖黒7/7<>sage<>2010/08/28(土) 22:39:55 ID:Oj/JeRk40<> 7
明け方近く、目を覚ました練は隣に眠る龍太郎に目を向けた。
精悍な横顔を見詰めていると、ふいに龍太郎が目を開け
「お前さ、」
と口を開いた。

「お前、睫毛長いよな。今日、電車の中で寝てるお前見て思ったんだ」
「何だ、やっぱりあんた、俺のこと見てたんじゃん」
「ん?お前、寝てただろ。あの時」
「あ・・・」

危うく自分の狸寝入りがばれそうになり、練は口を噤んだ。
ふっと龍太郎が笑う気配がして、隣から伸びてきた腕に頭を引き寄せられる。
髪の毛をわしゃわしゃとかき回され、練はその力強い腕に抱きしめられた。
「やっぱり、可愛いよ、お前」
「・・・馬鹿じゃないの」
耳に吹き込まれた甘いささやきに首筋まで赤くしながら、練はその幸福の中に身を委ねた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

最近読んでどうにも萌えすぎて恐れ多くも初投下させて頂きました
本編、続きでないかなー
<> そんな気<>sage<>2010/08/29(日) 01:21:09 ID:M4SWrmPRO<> 無屋主と慨家主

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ソッキョウノジサクジエンガ オオクリシマース! <> そんな気 1/2<>sage<>2010/08/29(日) 01:23:30 ID:M4SWrmPRO<> 程よい温度に調整されていたバスから降りると、蒸し暑い外気が瞬時に身体を包む。
だが若干涼しく思えた風に、季節の終わりが近付いていることを感じた。
ホテルに入ると、負けたこともあって、気だるそうな「おつかれさま」がロビーに響く。

それぞれがエレベーターに向かう中、きょろきょろと視線を巡らし、自販機の前で水を買っている
その男を見つけた。歩み寄って「お疲れ」と声をかけると「あ、お疲れ様です」とこちらを見下ろして
返事をするだけで、くるりと背を向けてエレベーターへ向かった。
複数あるエレベーターはすべて上がってしまった後だったので、彼の隣に並んで自分も待つことにした。
いつもなら軽い口調で話しかけてくる彼だが、今日は話しかけない。
理由のひとつは、負けたこと。
でも、もうひとつ理由がある、はず。
それはまるでアクシデントのような一瞬の出来事。

「なあ、アレ何だったんだよ」
隣を見ずに聞いてみる。返事がないのでちらりと横目で窺うが、彼は飄々とした表情のまま。
腹立たしかった。こっちは振り回されるばかりだ。
指で自分の唇を摘んだ。
あまりに衝撃だったのか、感触が生々しく残っている。
終了後、ロッカーで背後から声をかけられ、振り向いた一瞬だった。

<> そんな気 2/2<>sage<>2010/08/29(日) 01:26:10 ID:M4SWrmPRO<> 「あんな人がいる所で、変な冗談・・・」
「人がおらんかったら冗談になりませんよ。どうせ誰も見てませんて」
開き直ったような答えに、大きくため息をついた。
せっかく今日は久々に当たりが出たのに、何でこんな罰ゲームを受けなきゃならないんだ。
エレベーターがなかなか降りて来ないイライラも相まって無言になると、
彼は「久々に出るから、緊張した」と呟いた。
「お待たせしてすみませんねー」
「ホンマですよ。でも嬉しかった」
話をしているうちに、顔が自然と笑ってしまう。
やっぱり彼のことを憎めない、と気を緩ませた直後だった。

「せやし、そういう気になってしもたんですよ」

目の前の扉が開いた。
一瞬間を置いて「へ?」と彼に顔を向けると、彼は笑いを堪えた表情でエレベーターに乗った。
後に続いて自分も乗り込むと、先ほどの「人がいないと冗談にならない」の言葉が頭をよぎった。
あの時と同じように、肩を掴まれ振り返る。
エレベーターのドアが閉まった。

<> そんな気(終)<>sage<>2010/08/29(日) 01:27:12 ID:M4SWrmPRO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ヒサビサノジサクジエンデシタ! <> どろぼうのはじまり 1/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:28:00 ID:oyQZKO9OO<> 半生注意の浄化ー。
クル×盾メイン。ナツ×盾、盾×缶、も臭わせつつ。
とは言え、エロはぬるく、明るい話ではありません。
7話のスキマで時間その他捏造しています。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )マツリチュウノジサクジエンガ オオクリシマース!


ふにゃふにゃと笑うようになったのはいつ頃からだろう。
出逢った頃は、“ふにゃ”程度だったように思う。

あいつが、いなくなってからか。

久留須は苦々しく、組み敷いた男を見下ろした。
照明は薄暗く、顔を反らせている為、その表情はよく分からない。

鎧のように、愚者の仮面を身に着けてしまった。
盾はただでさえ本心が透けない男だったが更に見え難くなって、もともと短気な久留須は必要以上に絡むようになった。


それ以外にどんな方法がある?
どんどん遠くなっていってしまうのに。
<> どろぼうのはじまり 2/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:29:24 ID:oyQZKO9OO<>
―数時間前。

珍しく、定時に上がれた。まるで糸の切れた風船のような班長に代わり、実質1課を回している久留須にとって、これは奇跡と言ってもいい。
暫く放置していた愛車のメンテナンスにでも寄ろうか、と考えながら向かったエントランスに小柄な男がぽつんと佇んでいた。
最近べったり寄り添っている、アロハを着た調子のいい野良猫の姿はない。
ぞっとするほど実兄に性質が似ていると評判の、新人女の姿もなかった。

ひとり、ガラスの外に視線を投げ、ぼんやりしている。
笑っていなくても、表情は読みにくい。
近づく久留須に気が付いて、盾はゆっくり顔を向けた。

「よ、おつかれ」
「・・・なにやってんだ」
フラフラしやがって。

盾はふにゃ、と笑い、
「久留須を待ってた」
と言った。

面食らった久留須は、眩暈を覚える。
胸が、ざわつく。

「背中、痛いんですけどぉ。・・・・責任とって湿布とか、貼ってもらおうかと思って待ってたんだ」

盾の顔からすう、と笑みが消える。
驚くほど印象が変わるその表情。
笑わない盾の目は、冷たい色をしている。
<> どろぼうのはじまり 3/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:33:03 ID:oyQZKO9OO<> 久留須の部屋は相変わらずきっちりと整頓されていた。
最近は着替えに戻る程度だろうに、一体いつ片付けているのか。
大切そうにディスプレイされたCDや、使い込まれたエスプレッソマシン。
艶やかで清潔な床。
久留須らしいな、と盾は思った。

それに比べ、盾の部屋は必要最低限のものしかない。
あの日から、余計なものは持たないと決めた。
みんな、捨ててしまった。

その事を、久留須はしらない。


「ビールしかないぞ」
「あ、おかまいなく」
盾は受け取ったビールのロング缶をそのままテーブルの上に置いた。
久留須はジュースを飲まない。
まして、苺なんとかなど買い置きがあるはずもない。
盾に構わず、久留須はプルトップを引き上げ、冷えたビールを喉へ流し込む。
車のメンテナンスはもう、諦めた。

「鑑識のチビと、こそこそ何やってんだ?」
「工藤は、ああ見えて優秀なんだよ」
「危なっかしい。あいつらは地面を這いずり回るのが仕事だろ。あんまり調子に乗らせるな」
「うーん」
「だいたい、」
「はぁああ」
わざとらしく、大きなため息をつく盾に、久留須は気を削がれてしまう。
<> どろぼうのはじまり 4/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:34:54 ID:oyQZKO9OO<> 「・・・なんだよ」
「うん、なんかやっぱり背中痛いなぁって思って」
むっとして、久留須が立ち上がる。
女じゃあるまいし。あの程度で男の背中が傷つくわけがない。

「ほら、湿布」
一体いつの湿布なのか。キャビネから見つけ出した湿布を箱ごと盾に押し付ける。
盾は瞬きをしながら、箱の説明書きに目を落した。

貼る気などないくせに。
久留須は、自分のビールを飲み干し、無断で盾に渡した缶に手を伸ばす。

「あのさ、貼ってくれる?」
「・・・・」
久留須は無表情に、飲みかけの、汗をかいたビールの缶を見つめている。

「久留須、」
「本気か」
久留須は盾の言葉を遮った。
こんな、茶番はごめんだ。

問われたその真意を、盾は知っている。

「うっそだよぉ、って言ったらどうする?」
「しね」
「ひい」
「お前、人をからかうのも、」
「本気だよ」

久留須は信じられない思いで、まっすぐ自分を見つめる盾を見つめ返した。
今頃になって。盾から誘われるなんて。
<> どろぼうのはじまり 5/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:36:10 ID:oyQZKO9OO<> *****

盾を抱いた事は前にもある。
同期の実矢木ががいなくなってすぐだった。
きっかけは何だったのかよく覚えていない。酷く酔っていたような気がする。
何度か寝て、その内自然消滅した。

意外なのか、予想通りなのか、盾は抱かれる事に慣れていた。
それについて盾は何も言わなかったが、何故か相手は実矢木だとすぐに分かった。
その頃、付き合っていた久留須の恋人は、セックスに貪欲で(そこが魅力だった)、膣以外でも交わったことがあった。
だから、方法を知っていた。
セックスにおいて、体調の変わりやすい女性との見えない壁は厚い。
その点、同性は分かりやすい。
どの程度の強さで、どこをどう触れられれば気持ちが良いのか。手に取るようにわかる。

そして、抱かれる度、必ず盾は乖離する。
目の前にいるのに、中身がない。
快楽に溺れやすいのに、しっとりと潤むその目は久留須を見ていない。
イライラして、つい、手荒く扱ってしまう。

その時向けられる、“ああ、久留須か”というような、目。
―畜生。

あの野良猫とはどうしているのか。
抱いているのか、その逆か。
盾は工藤を“見て”いるのだろうか。

いや、見てないのだろう。

工藤が盾を追う、視線の温度。
あれは、久留須と同じものだ。
<> どろぼうのはじまり 6/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:37:44 ID:oyQZKO9OO<> *****

股関節に掛かる重量が盾を苛む。

この重さは知っている。
盾の身体は記憶している、実矢木として。

久留須と実矢木は背格好が酷似している。
だから、時々混乱してしまう。

今がいつなのか。
自分の上に居るのは誰なのか。
―ナツキ?

舌を噛みそうなほど、激しく揺さぶられて、思い出す。
―久留須。
視線が重なる、獰猛な久留須の目は昏い。

そうして、滅茶苦茶に追い詰められる。手加減は全くない。
こんな風に夢中で盾を抱く男は他にいない。
実矢木とは違う。

その違いに。
興奮する。

最低だ、と盾は思う。

「カズ」
乱れた呼吸の合間に久留須が盾を呼んだ。
盾は肩で大きく息をしながら、薄く目を開く。
「・・・・懐かしい。随分ひさしぶりだなぁ、久留須に、その呼び方されるの」 <> どろぼうのはじまり 7/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:41:47 ID:oyQZKO9OO<> 久留須がいて、サエコがいて、実矢木がいた。
皆一緒、と言うわけではなかったけれど、あの頃は楽しかったな。
盾だけがすでに汚れていたのに、仲間ができたような気がしていた。

いまは、もう取り返しが付かない程、盾の手は黒く染まってしまった。

「カズ」
探るように、覗き込む久留須の視線が辛い。
粗暴なようでこの男は勘が鋭い。
おそらく、盾の内側に巣食う闇に気付いている。

「くるっぺ・・・」
荒い息の中、盾が呟いた。
久留須は、ぽかんと口を開けて、まじまじと盾を見た。
くつくつと身体を揺すって盾が笑い出す。その振動が繋がったままの久留須に深く響く。
「昔、所轄で“くるっぺ”って呼ばれてたよねぇ、ウケる・・・」
「おまえ・・・」
「しつこく呼んでたら久留須、怒ってさ、今度言ったら殴るぞって言いながら、俺殴られた気がする」
「・・・」
「今度って言ったのに、あ」

久留須が盾の最も弱いところを乱暴に扱い、盾の声が途切れる。
また、意識が混濁する。

今、この瞬間久留須は盾だけをみている。
その快楽は、盾をさらなる高みへと追い上げる。

自分は工藤をきちんと抱いてやれているだろうか。
盾はこんな風に、工藤を抱けない。
必死に縋り付いて、求めているのに、本当に欲しいものを与えられていない。
<> どろぼうのはじまり 8/8<>sage<>2010/08/29(日) 03:43:20 ID:oyQZKO9OO<>
常より呂律の甘い、鼻に掛かった声がよみがえる。
『ねぇ、盾さん、俺は怖くないよ。あんたとなら・・・だから、』

だから?
工藤が望む望まないにかかわらず、自分の横に引きずり堕したのは、盾だ。
その自覚は、ある。
その責任はいつかとらなければならない。
せめて、これ以上工藤が傷つかないうちに。

盾は酩酊するように、神隠しの模倣犯を想う。
あれは、誰だ。もう一人の自分ではないのか。

麻酔銃を向けるその一瞬、自分は何を考えている?
まるで擬似処刑ではないか。
根本にある衝動まで違うと、言い切れるのか。

「カズ、ここにいろよ。どこにも行くな」

遠くに、久留須の声がする。
聞こえない振りをして、盾は応えなかった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

書いてて、盾×缶に楽しみを見出してしまった。
また貴重なスペース、いただきました。

あ、難局の感想下さった方、ありがとうございました。うれしい。
難局から浄化から、ラッシュ人生から苦非男まで萌え散らかし中。
回収できたものから吐き出させていただきました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/29(日) 18:01:04 ID:5F9XdZwKO<> >>32
こんなところで読めるとは思わなかった…!
いちゃ甘な二人ゴチでした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/30(月) 00:13:01 ID:kfZDux7J0<> >>38
久しぶりに麻練堪能しました! <> 20年が過ぎても 1/2<>sage<>2010/08/30(月) 00:23:27 ID:SmbxeTBmO<> ※半生注意
家送検の女シリーズ10・第7話の修復家→天才画家
TVドラマスレに触発されて勢いだけで書いてしまいました
ネタバレありです
修復家の自白調書取ってる最中とお考え下さい

|> START ピッ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガ ミジカク オオクリシマース!

――はい…はい、秋津が背中を向けた時、近くにあった木槌で殴りました
マキの話を聞いて、カッとなって――いえ、回数は覚えていません、頭が真っ白で
動機?動機ですか?それは勿論、マキのことに決まっているじゃないですか
20年も経っているのに今頃真実を明るみにするだなんて…
刑事さん、20年経つと人の記憶は薄れるんです。私もマキとの思い出が、遠い日になっています
…あっ、でもあの百合の絵は違った。20年前と同じ衝撃を私に与えました
動機は…マキのことだけじゃなく、あの絵を守りたかったんだと思います
秋津は、私が依頼を拒んだらきっと…いえ、必ず私に失望したでしょう
そしてあの絵を持って警察に行ったでしょう…警察に渡ったら、絵がどんな扱い方をされるかは目に見えていた!
――すいません、つい興奮してしまって。私が捕まった時点であの絵がどうなるか分かっています
あの絵は、もう二度と人の目に触れることはない…秋津と私と、運命を共にしたと思えば惜しくはありません
私には百合を消すことは出来ない。今でも同じ気持ちですたとえその下にマキを殺した証拠があったとしても、です
嗚呼、私はあの絵とあの絵を描き上げた才能を嫉ましく思っていたのに、同時に愛してもいたんです…! <> 20年が過ぎても 2/2<>sage<>2010/08/30(月) 00:27:57 ID:SmbxeTBmO<> ――えっ?マキよりもですか?そう聞こえた?まさか、そんなはずは…
…いや、刑事さん、私は彼のことを――そうか、守りたかったのかもしれません
20年経ってもまったく秋津は変わっていなかった。学生時代と同じ、自尊心が強くて人を見下していて…才能に溢れていた
もしも彼の罪が暴かれたとしたら、もう絵は描けなくなる
人殺しの画家…奴にカラバッジオと同じ汚名を着せたくなかった。ずっと、これからも、私が憧れた画家でいて欲しかった
だから…殺しました…天才画家と呼ばれた彼を守るために…私のために…
――そうか、私は彼の絵も才能も愛していましたが、それ以上に彼自身を愛していたんだ…
人殺しでも私から恋人や夢や人生を奪っても、そんなことはどうでも良いぐらいに秋津のことを私は…!
20年も経っているのに、どうして今頃…どうしてこの手で秋津を殺した後に気付いてしまったんだ!
この気持ちにもっと早く気付いていれば、彼を殺すことはなかったのにっ!
秋津――許してくれ…きっと、お前の才能に初めて触れた時から…20年以上前から、ずっと…!
――あぁ、すみません、取り乱して。ええ、今落ち着きます…
彼が死んだ後は無我夢中で、どうやって死体を運んだのかもよく覚えていません
絵に付いた血痕も必死で消していました。頭では何も考えられなかったのに、体は勝手に動いていて――


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) イジョウ ジサクジエンデシタ!
中の人に缶コーヒーのCMで萌えていたところへ燃料を投下されました
サクライ脚本恐るべし…! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/08/30(月) 20:12:09 ID:Y1tpyAmb0<> >>53
まさか仮想権ネタを拝めるとは…
あの2人は妙に濃密な空気を纏ってたよね
ゴチでした <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/02(木) 15:40:27 ID:b9py81JM0<> >>43
禿 萌 え た ! !
男にだらしない盾えろカワイス
あっちこっちでイケメソたぶらかしまくりでけしからんハァハァ=3 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/08(水) 11:41:22 ID:bpllfb050<>                      |  ドラマ 浄化ーの話です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  主人公の殺された親友の独白です。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

<> 刹那・・・1/3<>sage<>2010/09/08(水) 11:48:39 ID:bpllfb050<> ドラマ 浄化ーより
主人公の殺された親友の死ぬ直前の独白です。菜月→盾で
ナイフで刺された直後です。
801スレのカキコに萌えましたので設定お借りします

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


ちくしょう・・・、左腹部裂傷か。
相手はプロだ。刺した後ギリギリと捻りながらナイフを上に
ずり上げた。
顔を見た俺のショックなんか、意に介すこともなく冷静に・・・。

ぱっくり開いた傷から、ポンプみたいに血液が流れ出ている。
これは持つまい。
不思議だ。痛みよりも恐ろしく思考がクリアになっていくのを感じる。
事件のことや、過去のことや、いろいろなことが走馬灯のように・・・。
ああ・・・これが死ぬってことか。
これが・・・・・。

やっと真相に辿りついたというのに。くやしいな。
やっと腐った警察の闇に・・・。
伊津都さん・・・、あとは頼みます。

飛鳥、泣くんだろうな。「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」って
あいつドジだから大丈夫かな。
いや、きっとあいつには助けてくれる人が現れるか。かわいい俺の妹。
それと、父さん・・・母さん・・・
<> 刹那・・・2/3<>sage<>2010/09/08(水) 11:49:42 ID:bpllfb050<>
いや、もういい・・・。
今思い出すのは、盾、おまえの細い首筋だ。
お前がイクときのあの顔だ・・・。
俺の上で、激しくゆすぶられながら、背を逸らし自らも腰を振る
あいつの姿だ。
紅潮した頬に、切なそうに繭を寄せて。泣きそうな顔して。
きつい内部は俺を痛いほど、締め付けやがって・・・・。
こんな時に、俺って・・。笑っちゃうよな。

盾・・・お前、俺を刺したのがだれかわかったら激しく動揺する
だろうな・・・。
お前、どんなに傷つくだろうな・・・。

なあ、盾、お前・・・いつも微笑んでたな・・・。
仮面みたいにさ。
でも・・俺には・・お前がいつも泣いているように・・見えた。
微笑んでいても・・・決して心を許さない・・・。
その目は闇しか見つめていない・・・
でも、俺知ってるよ・・・・・。
その裏にどれほど深く・・豊かで激しい感情を秘めているか。
お前はいつも泣いてる・・。
どれほどの怒りを抱えてきたのか。
どれほど悲しみを抱えてきたのか。
どれほどの慟哭を・・・・。
<> 刹那・・・3/4<>sage<>2010/09/08(水) 11:52:15 ID:bpllfb050<>
くそっ、やっぱり頭の中が朦朧としてきた・・・。
血が足りない・・・。
今のうちに、この手についた血で、俺を刺した男の名を・・・

不思議だな・・・。浮かぶのは、なぜかお前の泣いた顔だ・・・。
お前・・・一度も俺の前で泣いたこと・・なかったのに・・な。
大きな瞳から・・・子供のように涙を流すお前だ・・・。

盾、ありきたりだが、お前・・・もっと自分を大切にしろ。
自分のこと・・・・、罪人かなにかのように思ってないか?
お前は、決して自分を許さない・・・。
何故・・?何故・・?何故・・?
俺の・・・胸に顔を埋めて眠る・・お前の髪を撫でながら・・・
俺は・・・いつも思ってた・・
もっと・・・自分を・・愛せ

ダイイングメッセージ
早く・・・イニシャルだけでも・・・。
お前なら、すぐに気づくだろう・・きっと、お前なら・・
でも・・その人に気づいたら・・・お前・・
<> 刹那・・・4/4<>sage<>2010/09/08(水) 11:53:07 ID:bpllfb050<> 「菜月・・・、菜月・・・菜月・・・、俺のこと・・・」
いつか、俺に抱かれたとき・・・。
・・・絶頂のあとの・・気だるい時間の中・・・
お前は・・何度も・・小さな・・擦れた声で・・・俺の名を呼んだな・・・
いつも・・俺かの視線を・・意識的にそらしていたお前が・・・

知ってるよ・・・・。
「菜月・・・俺のこと嫌うな・・・」
そう言いたかったんだろう・・・。

嫌うもんか・・・。
愛してる・・・愛してる・・・もう一度・・お前・・抱きたい・・
ふっ・・こんなときに、・・・、俺・・
でも、愛してる・・・こんなにも・・。
だから・・もう、泣くな・・・。
・・・自分を・・・傷つける・・のは・・・もうやめろ・・・
傷つくな・・・・。

闇が来る・・・・でも・・

でも・・お前には・・・残さない・・・。
お前は・・・知らない・・・方がいい・・・・。

愛してる・・・・・盾・・・・。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/08(水) 11:56:11 ID:bpllfb050<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

すみません。途中で書き込めなくなって、3話→4話になってしまいました。



<> 0/2<>sage<>2010/09/10(金) 01:39:31 ID:ZUuEEEU80<>                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  数レスお借りします。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  生注意。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前は出しませんがわかる人はわかるかも。 <> 1/2<>sage<>2010/09/10(金) 01:41:04 ID:ZUuEEEU80<> 小さいな、と。ふとした時に思う。
肩を組む時。抱きしめる時。キスをする時。抱き合う時。
元々この子こんなにちっさかったけ。ソファに座って、隣同士。
身体と同様に小さい彼の手を弄りながら呟くと、お前がでかくなったんだろがと何の可愛げもなく返された。
今みたいに俺にされるがまま抵抗もしない癖にそんな乱暴な口をきく彼を、時々愚かだと思う。

「あんたひょろひょろだったじゃん昔」
「そう?」
「初めて見た時こいつもうすぐ倒れんじゃねぇかと思ったもん」
「…そうだっけ」

確かに身体は強い方ではなかったけれど、そんな風に思われてたんだ。
子供の頃から一緒で、仕事仲間で、遊び友達で、たぶん、恋人。

「…恋人繋ぎー」
「…馬鹿かよ」

嬉しそうだけどね。顔が赤いのは気のせいじゃないはず。
素直じゃないのは昔っから。彼の考えてる事なんて、大体知ってたよ。
彼が俺に向ける視線は特別。それって多分ほとんど出会った当初からだった。
それなのに何年経っても天邪鬼な態度を取る彼は、愚かで愛しい。 <> 2/2<>sage<>2010/09/10(金) 01:42:21 ID:ZUuEEEU80<> わざと指の間をくすぐるように指を滑らすと、短く息を漏らすのが聞こえた。
悪態ばっかついてくる彼を黙らすのは簡単で、ちょっとでもそういう触れ方をしてやればいい。
頭がよくて、なかなか人に正体を見せない彼だけれど、俺にとってみれば分かりやすいことこの上ない。
それこそ何年一緒に居るんだっつー話で。

だってほら、もう大人しい。
ある意味動物を扱うより簡単だなんて言ったら、こいつは怒るだろうな。
代わりに頭をわしゃわしゃと撫でてやったら、弱い力で押しのけられた。
聞こえるか聞こえないかの声で、うざいってさ。怖い怖い。

そっとその薄い肩を押すと、何の抵抗もなく倒れる身体。
どっちかって言うとお前の方が貧弱そうだよね、今。鉄分足りてなさそうだってさ。

「白過ぎんじゃない、ちょっと」
「…それ今言うの?」

前髪が彼の額に触れるくらいの距離で言うと、あからさまに面倒くさそうな顔をされた。

「たまには外出ろよ」
「知るかよ」

今度久しぶりに野球にでも誘ってやろうか。きっと尻尾振って付いてくる。
そんな事を考えながら、その生意気な口を塞いだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/10(金) 01:44:02 ID:ZUuEEEU80<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
チッスで黙らせるなんて男前すぎるぜ…。>本尊 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/10(金) 23:26:03 ID:w8WOW/hx0<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オリジで後輩×先輩。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  女装足コキアナニーマスターの変態祭り。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ヘンタイダー
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> 1/6<>sage<>2010/09/10(金) 23:26:46 ID:w8WOW/hx0<> 「どうっすか先輩!」
「おお椚田相変わらず素晴しい美脚だ。しかも最強の女子校生制服に黒のタイツなんてもうニッチなあれで俺のどれを狙い撃ちじゃないか」
ちゃぶ台に行儀悪く右足を乗せ、妙な決めポーズを取っている好青年がこの部屋の主、椚田右だ。右と書いてすすむと読む。そのお世辞にも似合っているとは言えない女装した成人男子に
惜しみない賛辞を能面のように無表情で送っている端正な顔立ちの青年が榎木優二、椚田の会社の先輩で指導係だ。
勿論彼らとてしらふでやっている訳ではない。椚田の資格試験の勉強会だったのがいつの間にか二人ともうっかり摂取したアルコールでほろ酔い気分になってしまっているのだ。
「ところで椚田、なんでそんな頓狂な格好をしているんだ」
「それはっすねぇ」
急に抑えた声になり、榎木はベッドに座った椚田に少し体を寄せる。
「ほら、前回のあれがあったじゃないっすか」
さぁっ、榎木は自分の血の気が引く音を聞いた上に、胃に氷をぶち込まれた気分になった。
あれ、というのは酔いに任せて榎木が椚田に強要した行為だ。今の今まで忘れたみたいにおくびにも出さなかったくせに、コスプレして持ち出すとは。目眩をなんとか抑え、榎木は先を促した。 <> 2/6<>sage<>2010/09/10(金) 23:27:13 ID:w8WOW/hx0<> 「それで、おれ色々考えたんすけど、先輩は足フェチじゃないですか」
「反論の余地もない」
「でも先輩は女の子が好きでしょう?でもおれは先輩の理想の足の持ち主でしょ、ところがおれは男。」
「……それでたどり着いた結論が女装と」
まさにしょんぼり、といった具合で椚田は視線を落とす。
「今のちょっときゅんときたな」
「まじっすか!」
うん、と榎木は素直に頷いてみせる。美脚に性別もくそもあるか、それよりこんな変態の自分の事で一生懸命悩むなんて、可愛いじゃないか。榎木の思考は概ねそんな感じだった。
「そんないつもの無表情で言われても…」
「…わかった」
榎木は椚田の頭を抱えて軽くキスをした。
「せ、せんぱ」
「お前は可愛いな。女子高生マジックか、俺が思ってたよりお前の事好きなのかな」
「そういう葛藤は心の中でしてください…」
<> 3/6<>sage<>2010/09/10(金) 23:27:51 ID:w8WOW/hx0<>
「あ、ぁっはぁ、ン!…いい、気持ちいいよ、くぬぎ、だぁ……」
「せんぱ、おれ、おれどんくらいの力いれたら…」
「もっとして…ァっ!そこ、うぁ…タマんとこ、きもち……ん!くぅ…」
ごくり、部屋中に響き渡りそうな音を立てて椚田は生唾を飲み込んだ。前回酔った榎木に足コキをお願いされた時は驚きが先行して、ろくに状況の把握ができなかったが、今は違う。
仕事ができて、頼りになる、人形みたいにきれいで性の匂いなんて全くしない憧れの先輩が自分の足に縋り付いて悦がっているのだ。
「あ、ぁ、だめ…イく、くぬぎだ、イキそう…」
「いいっすよ、おれの足で、イって下さい」
抑えた声と共に黒いタイツに白濁液が広がる。
「ぁ、ハッ…汚れちゃった…」
「いいっすよせんぱ、ぅわっ!何すんですか!」
足裏の生暖かく湿った感覚に驚いて椚田は左足を引っ込めようとしたが、榎木に阻まれて叶わなかった。恍惚とした顔で足の裏を舐められていたのだ。
「せ、先輩、駄目…、きたないよ…」
椚田の言葉も耳に入らない様子で榎木は指の間まで丹念にタイツ越しに舐めなわしている。ふと目が合い、なぜか椚田は思わず目を逸らした。
「くぬぎだ、勃ってる…」
榎木は椚田の脹ら脛に這わせていた手をそっと太ももの内側につたわせた。
「はは、すげーエロい…」
「そ、」 <> 4/6<>sage<>2010/09/10(金) 23:28:25 ID:w8WOW/hx0<> そんな事はない、と椚田は自分の足を好き勝手に愛撫している榎木に反論しようとしたが、目に入ったのは紺色のスカートの不自然な盛り上がりと嬉しそうにうっとりと笑う榎木で、声を失った。
確かに、これまで見た中で一番卑猥な光景だった。
「うわ……わ!」
自分の反応に戸惑っている間に、榎木の悪戯な手がタイツ越しの椚田の中心を撫でた。
「…なあ、あのさぁ、これ入れていい?」
「は?え…な、どこにっすか」
「もうさぁ、ここまでしちゃってるし…ぶっちゃけちゃうけどさ、俺アナニー好きでさあ、拡張してたら本物も入れてみたくなってたっていうか、
いや誰でもいいって訳じゃないけど、こんなお前見ちゃったらお前の、その、すげーほしい…なと思っちゃって」
突然の思ってもみない告白に、椚田はぽかんと口を開けてしまった。
「なん、凄いっすね」
馬鹿みたいな返事をしてしまう。それもそうだ、尊敬する先輩が自分のペニス―しかもスカートの下の―を握りながら目を逸らして恥じらっているのだから。目眩がした。
「お、おれよく分かんないっすよ……」 <> 5/6<>sage<>2010/09/10(金) 23:29:10 ID:w8WOW/hx0<>
なんてことだ、混乱した頭で椚田は思う。今までの一番エロい光景記録がどんどん更新されていく。
自分は女装で、押し倒されていて、シャツだけの榎木が跨がっていて、挿入しているのは自分で、状況を把握しようとすればするほど倒錯的で興奮する。
「…っはぁ、う、せんぱ、ぁ、い」
「ふあっ、熱ぅ…んっ、くぬぎだ、きもちい…」
予想以上の快感で喘いでいた榎木だが、蕩けた頭の片隅でふと心配になった。乱れきった可愛い後輩の顔を覗き込む。
「なぁっ、これ、和姦?」
「…へ?」
「だからぁ、はぁっ、ん、おまえも…ちゃんと気持ちいい?」
「え」
間の抜けた返事を返す椚田に痺れを切らし、榎木は椚田の胸に手を伸ばす。
「気持ちいい?」
「そんなとこ、うわっ…な、なにしてっ」
湿った感覚が椚田の乳首に広がる。未知の感覚に身体中がぞわぞわした。
「ぁ、はっ…こら、抜ける…」
「あ、あ、何、だめ、だめですって、そんなしたらおれっ…」
シャツの上から乳首を舐られ、限界に近いペニスはいっそう締め付けられて、椚田は射精したい、その一心で気も狂わんばかりだった。でも言わなければ。ひとかけらの理性が促す。
<> 6/6<>sage<>2010/09/10(金) 23:29:40 ID:w8WOW/hx0<> 「どうして泣くんだ」
「だって、そんな事、言われたら、あ!…おれ、バカみてぇじゃないっすか、こんな、こんなにして、好きに…好きに決まってるじゃないですか!」
「!っあ、ぁア…ぁああ!」
「ひ、も…ぅあ、んっ…」
先に達した榎木につられるように椚田もすぐに絶頂を迎えた。力なく榎木が倒れ込む。抱き合うかたちになり、二人で荒い息を整える。
「っはぁ、どうしよう…」
「…何がっすか」
「すげー気持ちよかった…嬉しい。ん、何固まってんだ?」
「…イエ、それでもいーんです、おれ……」
挙動不審な椚田に、榎木なりに考えに考えて、どうやら椚田は自分のオモチャでもいいと思ったのではないだろうか、という結論に達した。
馬鹿なやつだ。自分はさっきの告白でまだ動悸が収まらないというのに。こんな自分の事で精一杯で鈍い自分のどこに惚れたのか。確かに、涙がでそうだ。
榎木は少し笑って、言った。
「ばぁか、お前が俺の事愛してくれて嬉しいってこと!」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/10(金) 23:30:48 ID:w8WOW/hx0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |  衝動的に書いた。はい、変態は私です。
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/10(金) 23:49:21 ID:HGuCbfsP0<> >>67
(; ゚∀゚)=3ハァハァ
GJ! GJ! 変態バンザイ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/11(土) 00:48:23 ID:QKaRcv49O<> >>67
801の夜明けやーw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/11(土) 01:32:49 ID:nr1mNnByO<> >>67
アナニーからガチにいっちゃう男子の時代がついに来たか…
好みど真ん中すぎる ナイス変態ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/11(土) 22:26:20 ID:unVhXprr0<> アナニーいいな
もっと広まれアナニーの輪 <> 天葬 1/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:29:15 ID:4W4GcSgFO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋と復讐鬼。
激団特番を見ていたら萌えが再燃&以前書きかけだったものを見つけたので投下。


切り立った崖の先から臨む朝の海は、穏やかに静かだった。
水平線から昇り始めた陽の光を受け、波が白く煌めき、その上を海鳥が飛んでゆく。
そんな移り変わってゆく風景をどれくらい眺めていたか。
佐治は不意に強く吹いた風に髪を煽られ、それを片手で押さえた。
そしてそれをきっかけにスッと後方に視線を流す。
見やった背後にあったのは、うずくまる一人の男の背中だった。
夜明け前、ここに辿り着いた時から微動だにしていないようにも見えるそれは、
いつもの教主の白い衣装では無く、忍び用の黒衣を身にまとっている。
その後ろ姿に滲むのは怒りか悲しみか。
理解できないまま見つめ続ける彼――怒門の前にはその時、ただ土を盛った上に
目印のような石が置かれただけの、簡素な墓があった。
<> 天葬 2/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:32:02 ID:4W4GcSgFO<> 都に近づく旅の途上、その土地に足を踏み入れる前から怒門の様子は少しおかしかった。
言うなれば落ち着きがない。しかしそのくせ土地の者の中には殊更積極的に入っていく。
そしてそんな中で耳に入ってきたのは、昔、この土地にいた青年のお伽噺のような話だった。
青年は年の頃衛兵として都へ上がり、そこでとある媛君に見染められた。
結婚の約束をし、その箔付けのように海の向こうの国への留学も決まり、すべては順風満帆。
しかしそんな夢のような話は長くは続かなかった。
青年はこの国には戻ってこなかった。
留学した国で、許嫁の媛君の兄を殺した咎で処刑されたらしい。
どうしてそうなったのか。事情は知らされず、訳も分からず、ただそれでも青年の父はそんな息子の
身の潔白を信じ続けた。
きっと何かの間違いだ。息子はそんな不忠を働くような男ではない。
頑なに、ひたすら。
青年もその父親も人の好い者達だったから、事情が知れても周囲の人間が冷たく当たる事は
無かったが、それでもどうしても余所余所しくなっていく雰囲気をその父親は肌で感じ取っていたようだった。
徐々に孤立し、口を利かなくなり、食も細った。
そんな父親のもとに、ある日都からの使いが来た。
立派な武人の身なりをしたその使いは、父親にかつての息子の許嫁だった媛君の婚儀を伝えた。
この国の大王が媛君を妃にと望んだらしい。
自分達にとってはまるで雲の上のような話。
しかし父親には例え相手が雲の上の存在であろうと、その行為は息子を信じる心に対する
裏切りになったようだ。
武人が来た翌日、その父親は……死んだ。

『自害だったようですけどね。詳しい様子はわしらにはわかりませんでした。
知らせを聞いたその媛様の家中の方々が、片づけのすべてを取り仕切ったので。
ただその中に例のご武人は見かけましたね。彼らはその父親をこの林を抜けた先にある
海の見える崖に埋葬したようです。そしてわしらには、その場所に無闇に近づかぬようにと。
だから、どうぞ気をつけて下さい教主様。下手に近づけば、どんなお咎めを受けるかわからない』
<> 天葬 3/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:38:41 ID:4W4GcSgFO<> 語られた言葉に固まっていた、あの時の怒門の背中。
その夜、宿坊から一人抜け出そうとするその行く手に立った時、彼は自分をただ無言で
見つめてくるだけだった。
おそらくは説明や言い訳を口にする余裕も無かったのだろう。だから、
『一緒に行くよ』
と、自分は言った。
『僕は君の護衛だからね』
それに返される彼の声は、あの時やはり無かった。
<> 天葬 4/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:43:41 ID:4W4GcSgFO<> 「父上との話はまだ終わらないかい?」
夜が明け、空も白んじてきた。
こっそり抜け出てきた宿坊も、自分達の姿が見えないとなれば騒ぎが起こるかもしれない。
そんな理屈を胸に発した佐治の声に、その時怒門はビクッと肩を震わせたようだった。それでも、
「……話などしてしていない…」
ややして、ポツリと落とされた呟き。それに佐治は少しだけ安堵の息を吐き出した。
「ならば何を?」
「俺に出来る事と言えば、ただ謝る事だけだ。」
ひっそりと返される、その声にはどうする事も出来ない無常感が滲んでいる。
さもありなん、どれだけ悔いようが悲しもうが、もはや取り返しがつかない事と言うものはある。
彼の父親の死は、まさにそれであった。
「君の事を最期まで信じていたようだね。そう考えると君と父上はやはり似ていたんだろうか?」
自分は血の繋がりなどまるで信じてはいないけれど、
「何故そう思う?」
「だって、驚くほどに頑固じゃないか。」
サラリと告げてやった、その言葉に怒門が膝を突いたままハッと振り返ってくる。
その視線に向け、佐治はこの時ほのかに微笑んで見せた。
しかしその笑みの下でこうも思う。
だからこそ、その強固なまでに張りつめた心の糸は、切れてしまえばこれ以上なく脆い。
自分以外にも息子の無実を信じていてくれたと思っていた唯一の者の裏切り。
下手に希望など持つから突き落とされる。
それは自分にはただ愚かな所業としか思えなかった。けれど、
「君の父上をここに埋葬したのは、やはり君の許嫁の手の者かい?」
今はそれを口にはせず、違う言葉を操る。ただ事実を確認するように。
しかしそれにこの時、怒門の表情にはサッと苦い影が走った。
「あぁ、京鐘家の手の者だろうな。美琴の婚儀の前に忌まわしい過去はすべて闇に葬り去りたかったんだろう。だから人里離れたこんな場所に…」
語尾が掻き消える、しかしその言葉尻を捕らえて佐治はこの時ふと周囲に視線を巡らせた。
眼前に広く海の広がる、ここは寂寥とも閑静とも取れる場所。
しかし佐治は、この時もそれについての言及を避けた。その代わり、
膝まづく怒門の肩越しに見やる簡素な墓。
「人の体を、地に埋めるから想いが歪む。」
そしてボソリと告げたその言葉に、怒門は瞬間ふと眉をひそめてきたようだった。 <> 天葬 5/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:46:54 ID:4W4GcSgFO<> 「佐治?」
いぶかしむ様に名を呼ばれ、口元にもう一度笑みが浮かべる。そして、
「大陸ではね、」
場に不似合いな涼しげな声が、この時唇から零れた。
「大きな都では知らないけど、そこから一歩外れれば野晒しの死など珍しい事じゃない。
山に川に、そして荒地では人の骸を鳥が食う。けれどそれはただ痛ましいだけの事ではなくて
食われた体は鳥の血肉となり、天に舞う。だから鳥の葬いは天の葬いとも言われている。」
「…………」
「君が望むなら叶えてあげようか?」
笑みを消さぬまま、佐治はそう言ってスッと着物の襟の合わせから懐を探った。
そして呆然と口を閉ざし続ける怒門の目の前に取り出してやったのは、竹で出来た小さな笛だった。
「鳥笛だよ。鳥を呼び寄せるのに使う。昔は連絡用に使っていた事もあったけど、ここ数年は
無用の長物だった。それでも吹けば何とかなるかもしれないよ。」
まあ、その手の鳥がこの辺りにいるかどうかも問題ではあるけれど。
そう言葉をつけ足し、佐治はこの時まるで子供が遊ぶような軽やかさで笛に唇を近づけようとする。しかし、
「…待てっ…」
瞬間、それを叫ぶような激しさで押し留めてくる声。
視線をゆらりと傾ける。と、そこには片手を前方に差し出し自分を必死に止めようとする怒門の姿があった。
だからそれを瞳に映したまま、佐治はゆっくりとその手を下へおろす。
するとそれに怒門は一瞬緊張の解けた表情を見せ、そのまま地面に両手を突いた。
うつむくのに合わせ、彼の長い白い髪が肩から滑り落ちる。
そしてその隙間からやがて聞こえてきた音。それはどうやら彼の失笑じみた声のようだった。
前のめりだった体が起こされ、ドサリと地面に座り込む。そして、
「慣習の違いだな。」
一言天を仰ぐようにそう呟くと、怒門は次の瞬間佐治にまっすぐな目を向けてきた。 <> 天葬 6/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:50:07 ID:4W4GcSgFO<> 「すまない。だが、止めておこう。おまえの申し出を受ける為には、俺はこの墓を暴かなければならなくなる。
その結果、俺の気持ちは少しは軽くなるかもしれないが、父にしてみれば静かな眠りを妨げられる
二重の親不孝になるだけだろう。」
「…………」
「すまない。」
怒門は繰り返し言った。そして、
「でも……ありがとうな。」
こんな言葉まで口にした。
言われた瞬間、佐治の目がわずかに見開かれる。
まさか礼を言われるとは思わなかった。それどころか、
「しかし、なんなら俺が死んだ時は佐治に頼むか。すべてを無に帰し、空を舞えるのならそれもいい。
もっとも……そんな綺麗な終わり方を俺が望んでいいのかはわからないが。」
穏やかな笑みの中に微かな自嘲を含ませて、そう視線を落とした怒門に、この時佐治はなんとも
例えようのない感情が胸に湧き上がるのを覚えた。
それはひどくもやもやと形を成さない……だから、深い考えのないまま滑る言葉が口をつく。
「君は……僕より先に死ぬつもりかい?」
珍しく不快に近い感情が滲む声に、目の前今度は怒門の方が驚いたような表情を見せた。
「いや…そう言うつもりで言った訳じゃないんだが……でも、そうなるのか。」
言っている途中で気付いた様に最後がひどく小声になる、そんな怒門に佐治の理由の無い苛立ちは増す。
「何故?」
だからジリッと足を踏み出しながらそう声の調子を強めれば、しかしそんな佐治の胸の内など
まるで気がつかないように、怒門はこの時困ったような笑みをその目元に浮かべながら告げてきた。
「何故って、おまえの方が俺より年若いじゃないか。」
「………」
「それにおまえの方が俺より強い。」
きっぱりと言い切られた、その言に佐治は一瞬返す言葉を失ってしまう。
それは、そうだが。そして自分は確かに、自分の死に方など考えた事も無いけれど。でも……
「なんだか嫌だな……」
心底苦々しげにポツリと零した、そんな佐治の呟きに、怒門はこの時尚も笑ったようだった。
「なら、先に死にたいのか?」
「それも御免だ。」 <> 天葬 7/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:52:03 ID:4W4GcSgFO<> 少しからかうように言われ、即座に返す。と、それに怒門は佐治は我儘だなと続けてきた。
我儘、そうなのだろうか?よくわからない。けれど、
先に死なれるのはつまらない。
先に死ぬのもつまらない。
ならば、それを避ける為には……

不意に目の前煌めく光が見えた気がした。
交じりあう剣戟が放つ一瞬の光。
それは過去の記憶か、それとも……未来の予見か―――

その中に同じ命の長さを求める可能性を探れば…それは…

相討ち――――

「心中くらいか。」

沈みかけていた思考に割り入る様に、その時不意に耳に飛び込んできた言葉。
それに佐治がハッと顔を上げると、視線の先にはやはりこちらを穏やかに見つめてくる怒門の瞳があった。
その唇が動く。
「一緒に死のうと思ったら、それくらいしかないだろう。」
「………」
「まぁ、戯言だな。すまん。」
黙り込む佐治の先回りをするようにそう告げ、怒門はその時座り込んでいた場所からゆっくりと立ち上がる。
着物についた土を払い、その手も叩く。そして、
「帰ろう。」
彼はそう言うと、すっとその手を佐治に向け差しのべてきた。
<> 天葬 8/7<>sage<>2010/09/12(日) 23:55:38 ID:4W4GcSgFO<> 宿坊へと戻る道すがら、気を取り直したように見えても、まだ怒門の口数は少なかった。それでも、
「おまえが一緒に来てくれてよかった。」
時折、前を行く彼の肩越しに零される呟き。
「でなければ俺は笑う事はおろか、こうして立ち上がって歩く事も出来なかっただろう。」
ボソリと言われ、そうなのかと思う。
と、同時に先程までの事を思い出しもする。ああやって笑っていたのも無理をしていたのかと。
ならばそのやせ我慢が愚かしいにもひどく可愛らしくて、

やはり天にも地にもこの男はやれない―――

再び可笑しそうな笑みを取り戻しながら歩く速度を速め、少しだけ彼との距離を縮める。
そんな佐治の手の中でその時、不要となった鳥の笛がキリリと軋む音を立てていた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

久しぶりで手間取り+ナンバリングもミスりました。すみません。
早くゲキツネ公開にならんかな。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/13(月) 01:12:40 ID:9LN4Cd5nO<> >>79寝る前に覗いて良かった!ありがとうありがとう。
教主様も殺し屋も二人の関係も愛おしいよ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/13(月) 02:33:22 ID:ZSASJAUg0<> >>66
深夜時代のごほうびわしゃわしゃを思い出しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/13(月) 23:44:53 ID:jkaoRExx0<>

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某ゲ仁ソ麺話です。生注意。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  エロなしヤマなしオチなし。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
<> きみとねむる 1/3<>sage<>2010/09/13(月) 23:46:47 ID:jkaoRExx0<> ピンポン、とインターホンが鳴る。
受話器を取ると、予想通りの声が聞こえてきた。
「健太郎、来たよー」
「今開ける」
ボタンを押してロックを解除する。部屋に着くまであと2〜3分といったところだろうか。
少し時間を持て余していると、またピンポン、とベルが鳴った。
玄関のドアを開け、「おう」と客人を招き入れる。
「ごめんな、いきなり呼びつけちゃって」
「別にいいよー、今日暇だったし。台本できたんでしょ?」
「あらかたね。ファックスとかでも良かったんだけど、ちょっと実際読んでみて欲しいとこがあったから」
「珍しいねぇ健太郎にしては。そゆのあんまりないのに。」
「うん、ただ直したいとこが出てきたからちょっと待っててもらっていい?」
「わかった」
肩桐は慣れた様子で仕事場のソファベッドを倒し、ごろんと寝転がった。
子林もそれをさして気にすることなくパソコンへ向かう。
「あのさあ賢太郎、こないだやついがさ」
「たろうの幼稚園でさ」
「今度の芝居がね」
「はははっ」
「そーか」
「んー…」
容赦なく投げかけられる言葉を、容赦なく適当に投げ返す。
子林はキーを叩くのに没頭していた。
面白いセリフ、面白い動きと間、頭の中でカチカチと音を立てて建ちあがる世界。
どれだけの時間が経っただろうか。子林はようやく手を止めて伸びをした。 <> きみとねむる 2/3<>sage<>2010/09/13(月) 23:49:02 ID:jkaoRExx0<> 「あー終わったー。お待たせ仁」
振り返ると肩桐は寝入ってしまっていた。時計を見ると3時間近く経っていたのだから仕方がないかもしれない。
ソファベッドの周りにはいつの間に買ってきたのか食べかけのポテトチップスやらコーヒー牛乳やらが点在し、
ベッドの上には開きっぱなしの携帯ゲーム機と漫画が放ってあった。その中心で眼鏡も外さず眠る肩桐を見て、子林はため息をついた。
「汚ぇなー…」
食べ残しを片付け、漫画と携帯ゲーム機を閉じてテーブルに置いておく。床に置いてあるコンビニの袋を覗くと、もうひとつ汗をかいたコーヒー牛乳のパックが入っていた。
これは多分自分にだろう、とあたりをつけてコーヒー牛乳を啜る。疲れた頭に甘さがじんわりと痺れた。
「ぬるいし…」
気の抜けた顔で眠り続ける相方を見ていると、子林にも眠気が襲ってきた。
「ベッドで寝やがって」
自分が床で寝るのは癪だ。なるべく肩桐を隅に追いやってからソファベッドに横になる。さすがにベッドが軋んだ。
「眼鏡くらい外せよ」
肩桐の眼鏡を外して床に置いた。長年見てきた顔が、結構近くにあった。自分にはない天性の面白さ。素直さ。したたかさ。
コンビを組んで、何度コイツになりたいと思ったか知れない。しかしもしそんなことを口に出せば、肩桐は「何で?健太郎の方がすごいじゃん。俺なんてなんもできないよ」と事もなげに返すだろう。
それが自分が持てない強さだと、子林は羨むような、妬むような気持ちの広がりをじんわりと感じる。
でも、と子林は思う。肩桐の面白さを一番分かっているのは自分で、その面白さを一番引き出せるのも自分だ、それだけは間違いないのだ、と。
今まで数え切れないほど繰り返してきた自問自答をまた辿り、子林は眠りに落ちてゆく。
<> きみとねむる 3/3<>sage<>2010/09/13(月) 23:50:42 ID:jkaoRExx0<> 肩桐が目を覚ましたとき、もう時計は夜中の1時を回っていた。
薄目で腕時計を確認し、寝入ってしまったことを知る。煌々と明るい蛍光灯の光が目に突き刺さるようだった。
「うわ、1時って夜中じゃん…もう電車ない…」
ふと気付くと、目の前の随分近い位置に子林の顔があった。
「何で健太郎も寝てんの…」
寝すぎでぼうっと痛む頭のまま、肩桐はその見慣れた顔を眺めた。
自分には想像もつかない世界が、この頭の中に広がっているのだ。自分が逆立ちしてもでてこないようなアイデア。何でもこなす器用さ。ストイックさ。
こんなに近くにいるのに、コンビを組んでいるのに自分はただ心の底から感心することしかできない。無力さがいつも嫌になる。
でも、と肩桐は思う。子林が相方に選んだのは自分で、そこには何かしらの意味が必ずあるのだ、と。
こんなに眉間に皺を寄せて眠るコイツを、誰かが守ってやらなきゃならない。きっとそれが自分の役割のひとつだ。
左手で子林の額に触れる。少し顔を歪めたあと、子林はいくぶん安らかな顔で寝息を立て始めた。
それを確認すると、肩桐はそっと電灯を消し再びベッドに滑り込む。
「おやすみ」

雨の気配と共に、夜が静かに更けていった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/13(月) 23:52:53 ID:jkaoRExx0<> ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ おしまい。読んでくれてありがとう!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/13(月) 23:59:27 ID:CvHDhax/0<> >>93
ちょうど今飢えてて避難所を覗いてきたところで凄いナイスタイミングでした!
癒されたよー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/14(火) 01:13:26 ID:gSUhWmpcO<> >>93
ふたりの感情が素朴でイイ!
萌えましたありがとう <> Living Dead Lovers 1/7<>sage<>2010/09/14(火) 23:57:46 ID:T2eentl90<> 藤/崎/竜版の屍/鬼で徹×夏野です
「もしも夏野が屍鬼達の幹部になっていたら」という捏造if設定なので苦手な方はご注意ください
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

人ならざる者屍鬼の集落、外場村は頂点に兼正の沙子を頂き、僅かな人狼に統率される3つの集団に
分けられる。
倉橋佳枝率いる屍鬼として起き上がったばかりの者を教育する山入、辰巳率いる屍鬼としての生活に
慣れた者が起居する外場村、そして結城夏野率いる都会班である。
都会班は屍鬼ばかりで獲物となる人間がいない村から自動車道で都会へ屍鬼を送り、狩りを采配する。
また自分で狩りを行えない仲間のために餌である人間を都会から間引いてくる役割も担っていた。
深更、村に都会班が帰ってくる。村中で遠征した屍鬼達を降ろすと、バンは山入へと分け入っていった。
「お疲れ様!辰巳が結城くんのこと待っているよ!」
バンを待ち構えていた佳枝は、降り立った夏野に声をかけるとテキパキと教育係の屍鬼達に指図して、
家畜をトラックで移送するごとくバンから人間達を引き摺り下ろしては檻へと連れて行かせる。
夏野は無言で頷くと、バンを運転していた傍らの武藤徹を見上げた。
徹は唇を噛み、連れて行かれる人間達をじっと見つめている。
「行こう、徹ちゃん」
すっと脚を運ぶ夏野に遅れまいと、徹は慌てて夏野の一歩後ろを付いて行った。
―――ほら、あれが結城夏野だよ
―――私を攫うよう指示したのも彼なのね
―――傍らの青年は武藤徹といって、結城さんの子飼いだ
―――人狼だから、ヒトを襲わなくても俺達のように飢えないのさ。同じ化け物なのに
―――その辺で止めときなよ。兼正や人狼に逆らったり目をつけられたりしたら・・・
集落を横切る夏野達を、屍鬼の畏怖の視線と囁きが追いかける。人狼として身体能力や五感が発達した
夏野でなくとも、その囁きは徹にも聞き取れた。
徹は声を振り切るようにただ前を行く夏野の足元を見つめたまま歩いた。
「や!お帰り。今夜もご苦労様」
徹と夏野が外場で住処としている家には、辰巳が既にきていてリビングで待っていた。
夏野は辰巳に一瞥を投げると、対面のソファーに腰を下ろす。 <> Living Dead Lovers 2/7<>sage<>2010/09/14(火) 23:59:17 ID:T2eentl90<> 時に冷酷な一面を露わにする辰巳を徹は苦手としていて、人狼同士の会合の際には給仕だけして
奥に引っ込んでいるのが常だった。
「俺、コーヒー用意してきます」
「ああいいよ、それより今日は武藤くんも座ってくれ」
にこにこと促され、仕方なく徹は夏野を伺うとそろりと夏野の隣に座った。
「で?用件は?」
「沙子がきみのことを褒めていたよ。『よく働いてくれている』って」
「どうも」
徹は無愛想な夏野に辰巳が機嫌を損ねないか、はらはらと忙しなく二人を見やる
「ただね、きみが間引いてくる人間なんだけどね―どうして少年がいないんだい?」
ひたりと辰巳は夏野を見据え、夏野は微塵も揺るがずその視線を受け止めた。
「そう、きみや武藤くんのような年代の若い子がいない。これはどういうことかな」
「どうもなにも。たまたま運よく俺達に間引かれなかっただけだろう」
「それだけかい?僕はもしや結城くんが手心を加えているのかと思ってね」
にたりと笑う辰巳を、夏野は睨めつけた。空気がピンと張り詰める。
「…何が言いたい」
「屍鬼に殺され、屍鬼となった武藤くん。そして飢えと家族と親友の命を天秤にかけ、
家族を取った親友の武藤くんに襲われて人狼として蘇生した結城くん。
今なおその事で苦しむ武藤君のために、きみのような年頃の少年をわざと見逃しているとしたら、
これはいただけないね」
辰巳はぐっと身を乗り出すと、獰猛な狼が生餌を嬲るように夏野を注視する。
「家族が起き上がらなかった屍鬼は、気に入った相手がいればそういう者同士で連れ添う。
でもきみが屍鬼となる餌を間引いてこないと、可哀想にあぶれる者も出てくる。
…中にはヒトを襲わずに済み、幸運にもパートナーの人狼の血で生き永らえている仲間に妬みを
募らせる屍鬼も出てくるかもね」
ぴくりと夏野の肩が揺れ、徹は俯いていた面をはっと上げる。
「人間でありながら屍鬼になった人狼の血なら、人間の血と同じように屍鬼の飢えを満たせる。
その上人狼だから回復力もある。
ヒトを襲いたくない殺したくないって思っている覚悟がない屍鬼からすれば、その屍鬼も、
血を与える人狼も憎しみの対象だろうね」
辰巳はじっくりと夏野と徹の反応を味わうと、身を引いた。 <> Living Dead Lovers 3/7<>sage<>2010/09/15(水) 00:00:42 ID:T2eentl90<> 「や!そんな人狼と子飼いの屍鬼なんていないだろうけど、そんな噂が外場に広まらないように
頑張ってくれというのが沙子と俺の考えだ。
じゃ、これで俺は失敬するよ」
辰巳がひらりと手を振って出て行ったリビングには重苦しい沈黙だけが蹲っていた。
「夏野…」
ふうっと夏野は力を抜くと、徹に寄りかかった。
腕の中の肢体は青年への過渡期の薄い体のままで、自分では死と共に失った呼吸と温もりが哀しく、
愛しく、そっと抱きとめた。
「徹ちゃんが初めて俺を襲ったときも、こんな風に優しく抱きしめてくれたよな」
背中を支える腕の優しさも、その腕の冷たさも覚えている。そして『獲物』として自分を覗き込んだ
冷えた瞳も。
手を指し伸ばすと、徹ちゃんは自分から頬を寄せてきた。
「夏野を襲いたくなかった。人の生き血を啜らなければ生きられない自分が嫌だった。
でもあの時、清水が夏野を襲おうとしたとき、思ったんだ。
清水は夏野を襲うことを受け入れていた。夏野を襲うことを躊躇する人間らしい苦しみはなかった。
俺はその苦しみを、誰にも譲りたくなかったんだ。たとえその苦しみを未来永劫抱えることになっても」
まるで石を飲み込んで苦しくてたまらないように眉を寄せる徹ちゃん。
人だった頃の徹ちゃんは、こんな風に苦しげではなかった。
当たり前だ。俺達は人外の化け物になったのだから。
「俺は、徹ちゃんを殺した屍鬼が憎い。俺を殺した徹ちゃんが憎い」
徹はぐっと顎を噛み締め、夏野の憎悪を受け止める。
「徹ちゃんが俺を襲った苦しみを抱え続けて、苦しくても辛くても生きるっていうのなら、
生きたいとは思わないけど、俺も生きるよ。
俺は俺と徹ちゃんを奪った屍鬼への怒りと憎しみを抱えてな。
…矛盾してるよな。
屍鬼を憎んでいるのに、都会班を采配して、徹ちゃんを許せないのに中途半端な間引きでその苦しみを
和らげようとして、けっきょくこの村に帰るしかないんだ」
「夏野」
夏野は蘇生してから、「夏野」と下の名前で呼んでも怒らなくなった。きっと、そういうことなのだろう。
「村に捕らわれるのは御免だけど、徹ちゃんにならいいよ」
夏野は身を起こすと、シャツを脱ぎ捨てた。
健康的な生き血を前に、ぞろりと牙が伸びるような感覚を覚える。 <> Living Dead Lovers 4/7<>sage<>2010/09/15(水) 00:02:08 ID:T2eentl90<> 「食えよ」
徹は屍鬼としての本能に身を任せ、夏野を押し倒した。
ぶつりと張りのある肌を牙で噛み破ると、さらりと甘味のある血液が口いっぱいに広がる。
牙の毒がもたらす軽い酩酊感で夏野の瞳が揺らぐのが綺麗だと思った。
ひとしきり喉を鳴らして貪ると、牙を引き抜く。
飢えが満たされた満足感に一息つくと、見る間に噛み痕は塞がった。
「満足した?」
「まだ。…今度はこっち」
伸び上がって甘えるように鼻先をすり合わせると、夏野の唇が誘うように開いた。
「んぅ……ふっ…んんッ」
舌を絡め合い吸い上げると、ぞくぞくと背筋を快感が駆け巡り腰の奥に重く溜まっていく。
夏野が己の血で徹を養うようになったときから、ごく自然に徹の食事の後に抱き合うようになった。
生き血を啜るという化け物の行為の後にセックスをするのは、精神までは化け物になったわけではない、
人と同じ精神の在り様を―誰かを愛して心と体を繋げたいという想いをこの空虚な入れ物に
宿し続けていると表したかったのかもしれない。
牙で舌を軽く噛むと、夏野が抗議するように髪を引っ張る。
「牙で舌噛むのは止めろよ!毒が苦くて嫌なんだよ」
「ごめん。つい。でもさ…」
「でも何?」
徹はカチャカチャと金具を鳴らして夏野の下衣を取り去ると、勃ち上がりかけているものを撫で上げた。
「こっち噛まれるのは好きだよね」
「な、馬鹿!そんなわけあるか、あっ」
ぐっと喉の奥まで咥えこむと、冷たい口内に迎えられた夏野のものがびくりと震えた。
屍鬼は肺呼吸がないから、思う存分咥えて愛してやることができる。徹はじゅぶじゅぶと唾液を
絡めながら、竿を舌と唇で扱き育てていく。
「ぁ、あはぁ……とぉる、ちゃん……」
紅い粘膜を曝け出した先端を、舌先でぐりぐりと抉るように差し込んでやれば先走りがどんどん溢れてくる。
「も、でそぅ…!」
限界だと夏野の太腿が引きつる様に痙攣し、忙しなく腹筋が上下する。
「いいよ我慢しなくて」
徹はじゅぷっとペニスを解放すると、チクリと小さく牙を立てた。
「ぅわ、ああああああッ」 <> Living Dead Lovers 5/7<>sage<>2010/09/15(水) 00:03:30 ID:T2eentl90<> 小さな痛みの後に甘い疼きが腰の奥で爆発し、夏野は勢いよく達した。
「大丈夫?」
達した余韻で情欲に弛緩したまま、夏野は忙しない呼気を鎮めようとする。
「…大、丈夫だから、ジェル…取って来て」
「待ってて」
ちゅっと軽いリップノイズを立ててフレンチキスを落とすと、夏野は照れてぷいっと顔を背けてしまった。
賢いけど気難しい猫のようで、徹は忍び笑いを堪えながらジェルを取りに立った。
後孔が乾いたままだと動き辛く、何より夏野を傷つけてしまう。
人狼なので血が流れてもすぐに治り、血は潤滑油の役割を果たしてくれない。
徹は夏野とのセックスを苦痛だけで染め上げたくなかった。
「お待たせ」
「別に」
衣服をすべて脱ぎ去ると徹は夏野に覆いかぶさった。太腿に口付けながらそっと軽く押すと、
夏野がそろりと脚を開いていく。
その様が「徹ちゃんが押すから脚を広げられるだけで、けして俺から脚を広げるなんてまねはしてないぞ」
と言っているようで、
徹は思わずくすりと笑みを滲ませてしまう。
「何だよ笑ったりして」
「いーや別に。夏野は可愛いなぁと思って」
「ふざけたこと言ってんなよ」
つり上がった目尻をキスで宥めつつ、手の平に取ったジェルを指に絡めてそっと夏野に沈めていく。
暖かい夏野の中が異物感と徹の冷たい体温にきゅうっと収縮する。
屍鬼には寒暖など関係ないが、人間でありながら屍鬼である人狼は体温があり、
人間よりは耐性があるとはいえ多少は寒暖を感じる。
こりこりと前立腺を刺激すれば夏野の肌は上気し、暖かい涙が流れていく。
それなのにこの死んだ体はいつまでも冷たいままだ。
「ごめんな。俺、いくら夏野が暖めてくれても冷たいままで」
申し訳なさにそっと涙を拭うと、夏野は柔らかく笑い徹を抱き寄せて幼子にするように額に口付ける。
「いいよ。俺が何度でも徹ちゃんを抱きしめるから。徹ちゃんはただ俺の体温を感じてくれるだけでいい」
鼻の奥がつんとして、夏野に抱き着いて遮二無二泣き叫んで謝りたくなる。
「殺してごめん。飢えに負けてごめん」と。 <> Living Dead Lovers 6/7<>sage<>2010/09/15(水) 00:05:33 ID:T2eentl90<> でもそんなことはできない。夏野は根底では今でも屍鬼も、己を殺した徹も許していないからだ。
だから徹は腕の中の存在をただ大切に、大切に、抱きしめた。
「はぁッ……ん、そろそろ、いい、よ」
「うん」
ぐっと体重を乗せて腰を突き出すと、ぬぷっと呑みこまれていく。
「ん、う、あ、んあっ」
「夏野」
夏野の呼吸を促すように、髪や頬を愛撫する。
「う、あ、とおる、ちゃんっ」
「うん、俺だよ」
「ああっ…あん…ぅあっ」
夏野の息が整ってきたところで、ゆっくりと引き抜いては大きく腰を突きこむ。
冷たい杭がペースを徐々に上げて夏野を追い込んでいく。
熱を持たない徹のものが突き上げるたび、腰が熱く重く痺れていく。
「夏野っ…夏野っ」
縋るように名前を呼ばれると、胸の奥に飲み込んだ硬く凍った怒りが絆されていく。
まるで自分達がただの人間の恋人同士みたいだと勘違いできそうで、夏野は徹を掻き抱いた。


「徹ちゃんに抱かれてイったときの感覚って、死んでいく感覚に似ている」
荒くなった呼吸と火照った体が落ち着いた頃には、夏野はうとうととまどろんでいた。
徹は先を促すように乱れた髪を梳いてやる。
「血を吸われる快感が終わると、手足が無くなったみたいに体が重くなって世界が真っ暗になっていくんだ。
そしてどこまでも落ちていく。俺は徹ちゃんに抱かれる度に、人だった頃の最後の夜を繰り返すんだ…」
「…夏野?」
覗き込むと、寝付いてしまっていた。こうして見る寝顔は人間だった頃とちっとも変わっていない。
自分はかつて飢えに負け、夏野以外にも人を殺め、罪を犯した。
夏野が血を与えてくれるから、今は飢えることもなく人を殺さずに済んでいるだけだ。
いつか夏野がその胸に抱える屍鬼への怒りと憎しみが溢れたら、そのときはどこまでも夏野に着いて行こう。
そしてこの手で殺した夏野に、今度こそ死なせてもらうのだ。
(でも、それまではずっとそばにいるよ)
徹は眠る夏野の掌にそっと冷たいキスを捧げた。 <> Living Dead Lovers 7/7<>sage<>2010/09/15(水) 00:07:04 ID:17vflZ9l0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スレ立てではご迷惑をお掛けし、申し訳ありませんでした
書いてるうちに「むしろ徹ちゃんは包容受けじゃん!」と起き上がった
dgdgですが小説書いたのも棚投下も初めてなので、ご容赦いただけるとありがたいです <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/15(水) 01:17:43 ID:KLvpc6UG0<> GJGJ!
お互い離れられない二人が切なくてイイ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/15(水) 21:32:04 ID:EnTEFyVj0<> 前スレ>>193-195に※トンでした。
規制くらわないうちに続編。
先輩×後輩←更に後輩
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


真夜中に鳴り響く、携帯の着信音。
曲は俺の大好きなアニソンの……って、今はそんなことはどうでもいい。
このメロディが流れる時は、俺に『命令』が下る時だから。


「後は任せたわ」

相手は、それだけ言って電話を切った。
用件どころか、自分の名前さえも伝えてこない。
勿論、俺の都合などお構いなしだ。
もっとも俺の方は、自分の都合なんかより、この『命令』の方がよっぽど大事なのだが。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/15(水) 21:32:49 ID:EnTEFyVj0<> 自室を出て、指定の場所に向かう。
そこには、必ず彼がいた。
いつもとは違う彼が。



「ハヤテくん、大丈夫?」

毎回、最初にかけるのは同じ言葉。
返事が返ってくることはまずないけど、何か言わなければならない衝動に駆られる。


俺に下された『命令』
それは、あの人の後始末をすること。
つまり、あの人に散々弄ばれた彼の面倒を見ることが俺への『命令』だった。



最初に呼ばれた時は、ぐったり横たわっているハヤテくんをみて、頭の中が真っ白になってしまった。
そして、悪魔のようなあの人の囁き。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/15(水) 21:33:22 ID:EnTEFyVj0<>
『ごめんなぁ、先にいただいたわ』

ここで相手をぶん殴って、「俺のハヤテくんに手を出すな!」とか言えたらかっこいいんだけど、現実は二次元のようにはいかない。
パニックになりながらも彼を抱きかかえて部屋に戻り、一晩中手を握っていたのは、もう大分前のことになる。

「ごめんね…俺が弱いばっかりに…」

本業ですらまともにできていない俺に、どうやってあの人から彼を救えというのだろう。
歯がゆい思いだけが募る。

『飽きたらタイキにやるわ』

そう言って不敵な笑みを見せたあの人。
他の誰でもなく俺を選んだ理由が、余りにも残酷だ。




「俺が、必ず助けるから」


思いとは裏腹に、今日も俺は『命令』に従う。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
書いておいてなんだけど、そんな日はこないんじゃなかろうか。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/16(木) 03:21:53 ID:p09mJabAO<> >>104
久しぶりに来たら続編キテター!!GJGJです!
後輩←更に後輩ktkr
後輩君本業がんばってくれ!と応援せざるをえない…たとえ可能性が低くとも。 <> 1/2<>sage<>2010/09/16(木) 21:05:36 ID:E8w3F0Dv0<> ドラマ浄化ーで一応、盾→←鑑識です。
浄化ースレのすれ違い両思いに感化されてやってしまいました。
初投稿なので不備があったらすいません。
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



自分で決めたんだ。
マスターの代わりになるって。

マスターと盾さんの間には誰も踏み込むことなんか出来ない。
サエコさんと別れたのもそういうのを彼女がどこかで感じたからかもしれない。
どんなに頑張っても絶対に入り込めない、共有できない距離に耐えられなくなったのかも。
でも俺はそれでもいいって思った。
マスターに盾さんを頼むって言われて、傍にいられるなら代わりでもいいって。
本当に、思ってたんだ。


***

あ、盾さんだ。
盾さんが俺を見つけてこっちに来た。
何か話し掛けてくるけどよく聞こえない。
だけど笑ってるからきっと楽しい話なんだろうな。
わからないまま盾さんと話をしてたら急に抱きしめられた。
ドキドキしてる俺の耳に唇を寄せて
『マスター…』
幸せそうに呟く声が聞こえた。

***

<> 2/2<>sage<>2010/09/16(木) 21:06:50 ID:E8w3F0Dv0<>
「…くん、工藤くん」
ぼやける視界がだんだんとはっきりしてくる。
目の前には少し心配そうな顔をした盾さんがいる。
「盾、さん…」
またあの夢か。最近よく見る夢。
「あのさ、変なこといってなかった?」
「いや…なにもなかったよ」
よかった。盾さんには知られたくない。これ以上余計なものまで背負ってほしくない。
背負ってやるって言った自分が盾さんの負担になるようなことはしたくない。
「コーヒー淹れよっか」
気持ちを切り替えるように立ち上がる。
盾さんの横をすり抜けようとしたら腕をつかまれて抱きしめられた。
「積極的だね」
「君がどこかに行きそうに見えた」
「どこかってどこだよ」
どこにも行くわけない。行くところなんかない。
あっても行けない。だって俺はマスターの代わりなんだから。
さっきの夢と重なる。今、盾さんが見ているのは俺じゃない、マスターだ。
マスターを想ってるんだって思ったら、抱きしめられてうれしいよりも悲しくなる、泣きたくなる。

盾さんごめんね。
マスターの代わりなのにあんたを抱きしめ返すことも出来ない。
傍にいられればいいなんて嘘だ。俺のことを見てほしい、好きになってほしい。
伝えたい気持ちと泣きたい気持ちを閉じ込めようと、握った拳に力をこめた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
思いのほか暗くなりすぎました。
そして盾→←鑑な感じが全くしない…。
<> お前は俺なんだ<>sage<>2010/09/16(木) 23:53:45 ID:yqIz68vQO<> ジョーカー半生、たまたま連投スマソです。
マス盾にたぎってしまい、なんだかわいてきたので投下してみます。

だって最終回直後だから仕方ないじゃないと開き直り居直りスマソ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> お前は俺なんだ 1/5<>sage<>2010/09/16(木) 23:55:03 ID:yqIz68vQO<> 盾にとって保護者といえば見上だった。
事件の後、俺はずっと施設で育ったが誕生日や学校を卒業した時など節目節目に必ず見上さんから祝いのメッセージを貰ったものだ。
自分は普通ではない。
そのことに気がついたのは思春期になってからだった。
他人に冷静で自分に客観的すぎる自分。
異性に興味がわかない。
感情がない自分に対して不安を覚えて僕は「壊れてる」と見上さんに訴えた。
僕はこれで大丈夫なんですか?と。
見上さんは、そういう自分を抱きしめて言った。
俺たちは大事なモノを失ったんだから、そう感じて当然なんだと。 <> お前は俺なんだ 2/5<>sage<>2010/09/16(木) 23:57:09 ID:yqIz68vQO<> そう言って見上さんは僕の唇を奪った。
不思議と嫌悪感のない自分に驚く。
見上さんの包容力に安心しきっている自分に気がつく。
「ああ…俺はきっと自分を誰かに委ねて安心したかったんだ…。」

見上さんは執拗に俺の身体をまさぐりながら、舌をからめていく。
舌の感触で感じてきている自分に驚きながらも、1人で自慰するときとは違う興奮を覚えて、自ずと積極的に舌をからめる。
やらしいなあ…。
自分のあそこに血が集まっていくのがわかる。
そっか俺は男にも興奮できるんだ。
見上さんに尻やら太ももやら触られて感じる。
<> お前は俺なんだ 3/5<>sage<>2010/09/16(木) 23:58:31 ID:yqIz68vQO<> 不思議な気持ちで。
でも快楽を感じてしまい。
安心しきっている自分は、さらに見上さんに自分の身体を委ねる。
見上さんの手が俺自身に伸びると気持ちよくって「あん…」と声がもれた。
調子づいた見上さんはさらにいやらしい手つきで俺自身に愛撫を施す。
思わず声がもれる。
「ん、んん…だめ…きもちよすぎです…」
見上さんは、そんな俺の姿に満足気に「もっと良くしてやる…」とさらに愛撫を強くする。
「あ、だめ…もういっちゃう…」
「いいよ…イケよ」
許しを得た途端、俺のははじけてしまい見上さんの手を白く汚した。
<> お前は俺なんだ 4/5<>sage<>2010/09/16(木) 23:59:48 ID:yqIz68vQO<> 「はあ…」
イッた余韻で思わず声がもれる。
イッた盾の顔を眺めながら見上は自分の手のひらに飛び散った盾の白濁を盾の後ろにおもむろに塗りつけはじめて。
「俺にも気持ちよくさせてくれよ」
言い訳じみながら、後ろの穴に愛撫を施し始める。
「ん、あ、ああ…」
後ろの穴への刺激に又声がもれる。
優しくほぐしていく見上の指はそれでも執拗で、あまりの気持ちよさに盾は早く指ではない熱い塊が欲しくなって。
「見上さん、もう大丈夫…。ねえ入れて…お願い…」
その声を合図に見上も堪えきれなくなって盾の後ろの穴に自分自身をあてがった <> お前は俺なんだ 5/5<>sage<>2010/09/17(金) 00:01:33 ID:yqIz68vQO<> 不思議な気分だった。
「あれ、俺、見上さんとセックスしてるのかよ」って。
何でこんなに気持ちいいの?って。
繋がりながら擦りあいながら見上さんと俺は今度は同時に昇りつめることができた。
「どーしよ、俺、ホントにフツーじゃないかも。」
でも俺の中に欲望を放って落ち着いたのか見上さんは「思春期すぎたらお前もマトモな恋愛できるようになるよ」と言ってくれた。
まだ実感は全然ないけど、いつか将来、そうなるといいなと、「ならないだろうけど」と思いながらも、微力ながら祈った。
でも、見上さんとのセックス気持ちよすぎる。
<> お前は俺なんだ 6/5<>sage<>2010/09/17(金) 00:03:14 ID:yqIz68vQO<> 思春期が終わるまでは楽しんでいいよね、と自分に甘い俺は自分に言い訳してしまうんだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ナンバリング間違えたスマソ!
マス盾に最終回萌えすぎた。
後悔はしていないw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/17(金) 00:19:25 ID:Pe8MMaeN0<> 浄化ーが浄化しきれず、
眠れなくて覗いてよかつたー


>108-109
ワンコ、可愛いよワンコ!!
マスタの絶対的な愛から抜け出れない盾さんへの愛がシュテキ
「両思いなのに擦れ違い」マニアには玉りません
第2弾お待ちしておりまする

>110-116
思春期盾さんエッロー
感じながらも「…です」口調エッロー!!
ぜひ今度はサエコと別れた後の2人も読んでみたいッス!!
オッサンスキーには玉りません!!

<> BA/SA/RA3の戦国最強×権現<>sage<>2010/09/17(金) 00:27:54 ID:BIBrw24Z0<> BSR3
某スレのレスを見たら書きたくてしょうがなくなった
体がうずいちゃう権現

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> BA/SA/RA3の戦国最強×権現 1<>sage<>2010/09/17(金) 00:28:49 ID:BIBrw24Z0<> 月明りが、濡れた瞳を反射した。
そして主と臣下は対峙する。

「……忠勝、ワシは、おかしいのか?」








混乱した。
それはもう、どうしようも無いことなのではないかと思い立った瞬間、苦いものが込み上げてきた。
気づかぬうちに、振り返らないうちに、自分は決してもどることのできない橋をわたってしまったのだと。



それに気づいたのは、豊臣の臣下になって数日もたたないうちのことであった。

「……っ、く……」

深夜の寝室。寒々しい空気の中に、生暖かいものが混じる。
ぼんやりとしか見えない視界の中で、必死に右手を上下に動かす。
くちくちという音の中で、時たま先端をえぐるようにこねる。
詰まった息が、荒く吐き出される。
壁にもたれ掛かった家康の背中が、ぴん、と伸びた。
と、同時に栗の花に似た香りが鼻をつく。 <> BA/SA/RA3の戦国最強×権現 2<>sage<>2010/09/17(金) 00:29:21 ID:BIBrw24Z0<>
「はーっ……はーっ……」

萎えた陰茎から、離した手にはべったりと放ったものが付着していた。
わずかに動かしただけで、くちくちと鳴る音に耳を塞ぎたくなる。

これで、終わりだ。

そう思い、手拭いを取ろうと腰をあげた瞬間。
意識してしまった。
陰茎の更に奥。物足りないとでもいう様に疼き出した、その箇所を。

「……っ」

唇を噛む。
疼きから痛みへと意識を向ける為に。
治りかけた傷痕に、ピタリと歯を突き立てた。
だがその痛みさえも、強くなる疼きの前に霧散して行く。
ならば、と無意識に右手を噛んだそのとき。
口の中に懐かしい苦味が広がった。
どろりと、舌にのるその液体は家康の奥底から身体に残る記憶を引きずり出す。

捕らわれの
夜ごとの
苦しみの
拷問の日々。
<> BA/SA/RA3の戦国最強×権現 3<>sage<>2010/09/17(金) 00:29:52 ID:BIBrw24Z0<>
わかる。みなくてもわかる。
力を失っていたはずの陰茎が、先よりもなお、張りつめるのを。

待ち焦がれている。
いつかのように無理矢理に。いつかのように複数に。いつかのように乱暴に。
奥まった場所に、浅ましく突き立てられるのを、

鳥肌が立った。
認めざるを得なかった。
自分を苦しめていた行為を、何時の間にか身体が求めていることを。


(ああ。)
(疼きが、止まらないのだ。)


月明りの下、それを隠すことはしなかった。
荒い息も、剛直も、欲情も。
なにもかも、考えて、ありのままで臣下の前に立つ。

「……」
「ただ……かつ……?」

低く唸る、からくりの駆動音。
そっと、冷たい感触が頬に触れた。
する、する、する、と三度。宥める様にあやす様に。

いつも、こうなのだ。
忠勝は、この臣下は、いつだって家康の味方なのだ。 <> BA/SA/RA3の戦国最強×権現 4<>sage<>2010/09/17(金) 00:30:26 ID:BIBrw24Z0<> だから、家康が追いすがった時、その身体をまさぐるのも、特段おかしなことではない。

それが、家康の救いになるのであれば。
【どんなことでも】実行する。




「は――、あっ、あ、あ、あああ」

感じたのは、充足感。
羞恥も、後悔もあったが、それを押しのけてなお、肛門を満たす、その無機質にそれを感じた。
先程まで、赤子の頬をなでるように優しさを伴っていた忠勝の指が、荒々しさをもって奥へ奥へと突き進む。

「ふっ、う、う」

ごり、ごり、と内壁をこするたび、もっとその感覚を追おうと明確な意思を持ってそこが収縮する。しゃぶるように、こすりつけるように。

「お、く……もっと、おく……だ!」

そうすると更に気持よくなれることを家康は知っていた。



確実に近くなる絶頂を前に、空を仰いだ。
柔らかくあたりを照らしていた月は雲に隠れ、暗闇が広がるばかり。
まるでひとつになったかのように、景色も家康も忠勝も、黒く黒く塗りつぶすようだった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/17(金) 00:31:43 ID:BIBrw24Z0<> ビッチ権現もピュア権現もどっちも美味しく頂きたい

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 権現マジ権現
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/17(金) 01:52:12 ID:lG2HeMZJ0<> >>123 萌えました・・・!!!!
誰か権現様をどうにかしてくれないかな
足軽でも敵武将でも誰でもいいしかしやっぱり忠勝だろうかとか
そんな私は非常に満たされました!ありがとう・゚・(つД`)・゚・ <> 創作 赤ずきん×オオカミ 1/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:05:12 ID:BEAQsDk6O<> 創作で、赤ずきん×オオカミです。
微妙に三角関係的な描写あり。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


むかしむかし、あるところに赤ずきんと呼ばれる少年がいました。外に出るときはいつも赤いずきんを被っていること、またそれが少年ながらに似合うかわいらしい容姿であることから、赤ずきんと呼ばれていました。
ある日、赤ずきんは森の中に住むおばあさんの家へとお見舞いに行くことになりました。
お母さんに渡されたバスケットを携えながら、赤ずきんが花畑沿いの道を歩いているときでした。

「赤ずきんちゃん、赤ずきんちゃん」

どこからか声がして、赤ずきんは辺りを見まわしました。すると、花畑の方から、1匹のオオカミが近付いてきました。
オオカミはふさふさの耳と尻尾を揺らし、人なつっこい笑みを浮かべて話しかけてきます。

「これからどこに行くの?」

「おばあちゃんちにお見舞いに行くの」

「そうなんだ。じゃあ、ここにある花をつんでいったら、きっともっと喜ぶよ」

そう言って、オオカミは辺りに広がる花畑を指しました。
オオカミの言うことに頷いた赤ずきんは、さっそく花をつむことにしました。
ひとつ、またひとつと、赤ずきんの手の中に花が増えていきます。 <> 創作 赤ずきん×オオカミ 2/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:07:42 ID:BEAQsDk6O<> けれど、赤ずきんはふと思い出しました。
『オオカミは悪知恵が働くから、口車に乗ってはだめよ。自分の行き先も、決して教えてはだめ。』
お母さんが以前、森に出る赤ずきんに言っていた言葉です。さっき、赤ずきんはオオカミに今日の用事を話してしまいました。
もしかしたら、自分が花をつんでいる間に、オオカミはおばあさんの家に行くかもしれない―。
そう考えた赤ずきんは、花をつむ手を止め、はっと顔を上げました。


「ん?どうしたの?」

しかしそこに映ったのは、赤ずきんと同じように花をつんでいるオオカミでした。オオカミの特別鋭くも丸くもない目には、悪い企みなどないように見えます。
お母さんに言われたことと、目の前のオオカミの姿がつり合わず、赤ずきんは思わず訊ねました。

「…どうして、オオカミさんもお花をつんでるの?」

「んー、ふたりでつんだ方が早いかなって」

迷惑だったかな、と、オオカミが苦笑します。
赤ずきんは少しの間、このオオカミについて考えていましたが、やがてふるふると首を横に振るだけの返事をしました。 <> 創作 赤ずきん×オオカミ 3/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:10:33 ID:BEAQsDk6O<> いっしょに花をつみながら、赤ずきんはちらちらとオオカミを見ます。花をつむオオカミの顔は、子供である赤ずきんの目にも、なんだか無邪気に映りました。
―変なオオカミさん。そう思いながら、赤ずきんもまた手を動かしました。

気付いたころには、ふたりの手の中にはたくさんの花があふれていました。

「はい、どうぞ」

「…ありがとう」

オオカミから花を受けとった赤ずきんは、不思議そうな目で彼を見つめます。
ふと、オオカミの片手に、まだ幾らかの花の束が残っていることに気付きました。

「それは、どうするの?」

「これは、俺の分。…渡したい相手がいるんだ」

喜んでくれるかは分かんないけどね、と、オオカミは苦笑します。
そのどこか照れたような表情と、手の内の花を見比べながら、―やっぱり、変なオオカミさん。と、赤ずきんは思いました。 <> 創作 赤ずきん×オオカミ 4/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:13:23 ID:BEAQsDk6O<> オオカミと別れた後、赤ずきんはおばあさんの家に辿り着き、頼まれた品物や、つんできた花を渡しました。たくさんの花を受けとったおばあさんは、きれいなお花ね、ありがとう、と喜んでくれました。

帰り道、赤ずきんは同じ道を辿って歩きました。あの花畑に行けば、またあのオオカミに会える気がしたのです。けれど当然ながら、オオカミの姿はもう花畑にありませんでした。
―そういえば、花を渡したい相手がいるって言ってたっけ。
赤ずきんはオオカミの言葉と共に、あのときの表情を思い出しました。
オオカミは、その相手のところに行ったんだろうか。そう思ったとき、赤ずきんはつきりと自分のどこかが痛むのを感じました。
だけど、それがどこなのか、またなぜ痛むのかが分からず、首を傾げながらとぼとぼと帰路を辿りました。 <> 創作 赤ずきん×オオカミ 5/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:16:20 ID:BEAQsDk6O<> それから年月が経ち、赤ずきんと呼ばれていた少年は、顔に幼さを残しながらも青年へと成長していました。
また、青年は猟師の職に就きました。
童顔である彼に銃は似合わない、などという人もいましたが、彼はそんな声に反発するように、むしろ積極的に森へと狩りに出かけていきました。

ある日、いつものように青年が森の中を歩いていると、ガサ、という音が耳に届きました。
勘のいい青年は、それが獣の出した物音だと判断し、近くにあった木の影に身を潜めました。
ガサ、ガサと、ゆっくりと物音が近くなっていきます。青年は銃を構え、獣の姿が見える瞬間を待ちました。
そして、向かいの木立の隙間に、獣の耳と尻尾の影が見えたとき―。 <> 創作 赤ずきん×オオカミ 6/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:19:34 ID:BEAQsDk6O<> パァン、と、銃弾の音が森に響きました。
続いて、打たれた獣が地に倒れる音。

青年は少し待ち、獣の影が起き上がらないことを確認してから、ゆっくりとその方向に向かいました。
足を進め、薄暗い森の中でも獲物が確認出来たとき―。


「…、あ…、」


青年は、思わず声を漏らしました。無意識にこぼれたその声は震え、青年の驚きを表していました。
木の幹に背を預け、荒い呼吸を繰り返す獣に、彼は見覚えがありました。
青年が撃った片足からは血が流れ、その赤さが、獣の手からこぼ落ちた花を染めていました。その花の種類にさえ、青年には覚えがありました。


「…俺を、殺しますか…?」

はあ、と喉を喘がせながら、獣が青年を見上げます。立ちつくす青年はただ、表情を浮かべることすら出来ず、故に無表情で獣を見下ろしていました。
その瞳が、僅かに震えていることなど気付かずに、獣が言葉を繋ぎます。

「…少し…、待って、いただけませんか…?この、花を…、届けたい、場所があるんです…」

そう言って、きゅ、と花の束を握り、獣は弱々しく笑いました。
その表情が、青年の記憶にある、いつかの照れくさそうな笑みと重なりました。 <> 創作 赤ずきん×オオカミ 7/7<>sage<>2010/09/19(日) 06:24:22 ID:BEAQsDk6O<> ―ああ。
青年は、気付いてしまいました。
この獣が―彼が、あの日花を渡そうとしていた相手は、もう、「場所」という思い出としてしか残っていないのだ、と。

応えを返さず黙りこくる青年を、獣が不思議そうに見つめます。
その、黒い瞳が、まるで空虚な穴のように見え、青年は崩れ落ちるように獣を抱きしめました。
獣の、彼の温かな体温。
そして、自分の頬を滑る涙の冷たさ。
その温度に、青年は震える声をこぼしました。



「…オオカミ、さん…」


―やっと、見つけた。
そう呟いた青年は、ぼう然とした目を向けるオオカミの唇に、やさしくかじりつきました。





□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!

元々は自カプのパラレルで考えていたものですが、いっそ創作にしてしまいました。尻切れトンボかつ微妙なオチですみません…。
スレ占拠失礼いたしました。 <> コーヒーを一緒に・・・1/10 ◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:27:36 ID:KrvtpxWR0<>  闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、
媚薬物、エロありです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 時刻は夜の九時、いつもならとっくに終業を迎えている時間だが、顔見知りと長話
をしてしまい、今しがた本日の業務が終わった。
 「柄崎さん、ちょっと待ってよー!」
 負債者を紹介と言うか、沈めた風俗店から数人分の取り立てを終え、帰路を急ぐ
柄崎を誰かが後ろから呼び止めた。
 何事か、と振り返ると、恰幅の良い男性がふくふくとした頬とお腹を揺すりながら
走ってくる。 
 男性はつい先程柄崎が仕事を終えた風俗店の店長で、まだ40代後半の
筈なのに、ふくふくしい体型とてっぺんが薄くなり始めた頭頂部のお陰で年齢以上の
貫禄をもった人だ。
 「はぁ、はぁ・・・」
 柄崎の元に走ってきた店長は前かがみになり、走ったせいで痛くなったのであろう
脇腹を擦り、荒い息を整えようとしている。
 世間一般から言って、柄崎は身長はそんなに高くない。本当なら店長の方が大きい
のだが、店長が前かがみになっている為に薄くなり始めた後頭部が目の前に見えて
しまう。
 おまけに店長は毛は早々と栄養が足りなくなって少なくなっているくせに、元々肌質
が良いのか、心許ない髪の毛の間から見える頭皮は雪国の10代の小娘のような薄桜色の
玉の肌だ。それが余計毛の少なさを侘しい物に見せている。
 柄崎は噴き出しそうなのを堪え、視界をわざとぼかして店長の頭頂部を直視しない
ようにした。
 そんな柄崎の心の内など露知らず、店長は手に持っていた小さな瓶を柄崎の手に
握らせてきた。  <> コーヒーを一緒に・・・2/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:29:04 ID:KrvtpxWR0<>  「柄崎さん、これ、これあげるから、持ってって」
 「これ、何ですか?ジュースか何か?」
 手の中にすっぽり収まる瓶のサイズと、黒いガラス。それに、どこの国の文字かも
柄崎には分からないパッケージは、やたら元気がよい様な感じのデザインなので、
てっきり栄養ドリンクなどの類と思った。
貰った瓶を手の中で転がしてみると、中に入っている液体が瓶の底でユラユラと
揺れた。
 液体の動きは栄養ドリンクのような水のように滑らかではなく、瓶の内側にへばり
つくように動く感じだ。
とろみのありそうな謎の液体が入った瓶を眺め、柄崎は店長を見た。
店長は愉快そうに柄崎の前に人差し指を立てた手を突き出すと、「チッチッチ」と
舌うちしながら手を左右に振る。余裕ぶった態度に柄崎はイラッとしてしまった。
 これが高田のようなイケメンならば様になるのだろうが、お腹の出た禿げかけのオジ
サンがやると突き倒してやりたくなる。
 「ジュースなんかじゃないよ。うちが色々備品を注文してるメーカーのね、媚薬
らしいんだけど・・・。かなり強力でそのまま飲まずに何かに混ぜても、ンもーっ!
って位効くんだって。どんな子でも効くらしいよ」
 媚薬、という言葉を頭の中で思い浮かべてみるが、どうにも信用できない。
 言葉としては異なるが、よく似た効果を謳うのは男性用の精力剤、勃起促進剤など。
有名な物にはバイアグラがある。バイアグラは医師の処方がいる医療品で、血管を
拡げて血流を促進し、陰茎海綿体の血流を良くすることで勃起率をあげるものだ。
 だが、それならばわざわざ媚薬なんて言い方をせず、素直に精力剤やメジャーで万人
に伝わりやすいバイアグラとでも言っておけば良い。それをわざわざ媚薬と名乗る
とは、自らハードルを上げているようなものだ。
 何しろ、媚薬、と言われて、世間一般でイメージするものは精力剤や勃起促進剤では
なく、性欲を高める物を指す。 <> コーヒーを一緒に・・・3/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:30:22 ID:KrvtpxWR0<> もっと下世話な言い方をすれば、その気の無い相手をその気にしてくれる催淫剤として
イメージされる。
 そして、究極のイメージは惚れ薬と言われる物だが、薬ごときで人の感情がどうこう
出来る筈もない。
 柄崎はさも馬鹿馬鹿しい、というように鼻で笑う。
 「そんな馬鹿な。媚薬なんて・・・」
 ありえない、と言葉を口に出そうたした瞬間、ポケットに入れた携帯電話が鳴りだした。
 ディスプレイを見てみると、着信相手の部分には「丑嶋馨社長」と出ている。
 別に「丑嶋社長」でも、「社長」だけでも登録すれば良いのだが、あえてのフルネーム
登録だ。あの逞しい体躯と強健な性格に似つかわしくない馨(カオル)という愛らしい
名前を、本当は一度でいいから本人相手に呼びかけてみたい。勿論、女性的な名前への
嘲りとしてではなく、あくまで純粋に呼んでみたいからだ。
 もし呼んだらどうなるだろうか。親の付けた名前なので名前事態に怒りはしないだろうが、
古い幼馴染なのにも関わらず、部下で明らかに下に見ている感がある柄崎に気安く呼ばれる
のは良しとしてくれないだろう。
 恐らく、丑嶋を下の名前で呼ぶと言う柄崎の願いは敵わないだろう。だからせめて、と
携帯の名前だけはフルネームで入れているのだ。
 考えようによっては並々ならぬ忠義というか、敬愛の表れととれるが、人から見ればある
種の盲執と言え、はっきり言えば気持ちの良いものではない。柄崎自身が重々分かっている
から、誰かにこれ見よがしに披露したことはないのが救いだ。
 それにしても、終業時間はとっくに過ぎていると言うのに何故電話が掛ってくるのだろうか。
 柄崎が会社を出る際に見た社員が出かける際には、丑嶋は今日一日新規の客の面談と利息
の回収に当たると言っていたのだ。普段の業務と別段変ったことはしていない筈だから、
こんな時間に電話が来るのがおかしい。
 もしや、債務者が飛んだか、もしくは厄介な債務者に当たってしまい面倒が起ったのだろうか。
 柄崎は慌てて携帯の通話ボタンを押し、電話に出た。 <> コーヒーを一緒に・・・4/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:32:00 ID:KrvtpxWR0<>  「はい!社長、何でしょうかっ!」
 電話では向こうに伝わる筈もないが眉間に皺を寄せ、緊張で背筋を引き締めた。
 「よぉ、柄崎!」
 「・・・誰?」
 着信は確かに丑嶋からなのに、電話の向こうから聞こえてきたのは丑嶋の声ではなかった。
どこかで聞いた事がある声だと思ったが、すぐに相手が答えを出してくれる。
 「戌亥だ。いま丑嶋くんと俺の家で飲んでたんだけど、丑嶋くん車だし・・・、柄崎迎え
に来てあげられないか?」
 「え・・・?あ、ああ・・・、うん」
 電話の相手は戌亥だった。柄崎、加納、丑嶋と幼馴染で大人になった後も付き合いの深い
戌亥とは丑嶋もよく食事やお酒を共にする。
 大して疑問を持つこともなく、柄崎は二つ返事で了承した。折角なので貰った瓶はシャツ
の胸ポケットにしまい込む。
 そして、会社に帰って車を出すことになった。



 戌亥のマンションのインターホンを押すと、しばらくしてから戌亥がドアを開けて顔を覗か
せた。
 「お、御苦労さん」
 「社長は・・・?」
 戌亥が後ろを振り返る間もなく、丑嶋が仏頂面で戌亥の後ろから顔を覗かせた。
 「・・・おう」
 迎えに来て貰った礼の一言を柄崎に言うでもなく、丑嶋は戌亥を退かせて部屋の外に出た。
 そして、そのまま戌亥にも柄崎にも一度も視線を合わせず、いつも通りの態度のまま歩き
だし、帰路に着くためエレベーターがある方向へ一人で向かってしまった。
 「あ・・・、じゃあ、戌亥、俺ももう行くわ」
 「おう」
 大した会話もせず、柄崎は踵を返して丑嶋の後に着いて行く。 <> コーヒーを一緒に・・・5/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:35:09 ID:KrvtpxWR0<>  戌亥は遠ざかって行く柄崎の姿には目もくれず、柄崎の前方を行く丑嶋の背中だけを見つ
めた。
何ともそっけない態度だ、と少し寂しく思う。だが、いつでもぶれない姿勢の丑嶋が眩しく
もあり、戌亥は眼を細めて笑みを浮かべ、ドアを閉じた。



 柄崎は先を行ってしまう丑嶋に追いつこうと小走りでついて行く。二人の身長差は20センチ
ほどあるので当然歩幅も違う。しかも丑嶋は脚が速いので追いつくのは容易ではない。
 時間はもう夜の10時近いので、案外音が響きやすいマンションのコンクリートの床の上で
走るのはマンションの住民に迷惑だ。
 丑嶋に追いつくのを諦め、速度を緩めて歩いて行くと、前方にはエレベーターホールには
ドアがエレベーターが見えた。中には丑嶋が一人立っていて、コントロールパネルがあるで
あろう壁に手を付いていた。
 「お待たせしました」
 柄崎が乗り込むと、丑嶋が一階のボタンを押そうと手を動かした。無愛想な態度で前を歩い
ていた丑嶋だが、言葉に出さないだけで柄崎が追い付いて来るのを待っていたらしく、1階の
ボタンを押す前の人差し指の位置はドアを開けるボタンを押していた。
 エレベーターが動きだすと、柄崎は狭い密室に丑嶋と2人きりだということを変に意識して
しまい、妙に緊張してしまった。
 丑嶋も無言で、エレベーターが動く音だけが聞こえる。
 それにしても、何故丑嶋は店でなく、戌亥のマンションで飲んでいたのだろうか。戌亥と
丑嶋が二人きりで会う事は疑問の余地は無い。丑嶋が戌亥に何か頼みごとがあった時など、
よく二人で会っている筈だ。
 しかし、そういう場合は人気の少ない場所で昼間に話したりするようだ。もし夜としても、
食事をしながらでも個室の用意出来る店を使う。わざわざプライベートな空間である戌亥の
マンションを選んだ事など、柄崎は一度も聞いたことが無い。 <> コーヒーを一緒に・・・6/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:35:55 ID:KrvtpxWR0<>  ましてや仕事に関する事ならば、いつも柄崎は丑嶋が戌亥と会うのを聞いているのだ。
 だから、今夜の用事は幼馴染の友達として会っていたのだろう。それならば丑嶋も戌亥も
水臭い。終業後とはいえ、加納も柄崎も同窓会じみた飲み会ならば喜んでお付き合いした
ものを。
 柄崎は何だか自分と加納が楽しい遊びからのけ者にされたようで寂しくなり、丑嶋に聞こ
えないような小さなため息をついて重苦しいような空気を吐き出し、新鮮な空気を含むべく
大きく空気を鼻から吸い込んだ。
 鼻から空気を吸い込むと、丑嶋の立っている方から桃のような香りがした。酒らしき匂い
は少しするが、桃の香りにかき消されてアルコール臭さは掻き消えてしまう。
 何の香りか、と丑嶋の方をチラリと見ると、長袖のポロシャツから少しだけ見える手首の
皮膚の薄い部分には、うっすらと赤い内出血らしき物があった。
 すぐに柄崎の頭の中で、散らばっていた事項が集まり、答えとして固まった。
 漂う甘い桃の香りは恐らくシャンプーなりの戌亥のマンションの風呂場に備え付けてある
物だろう。こんな夜中に戌亥の元に丑嶋が一人で来なければならなかったのは、二人っきり
でなければならない時間だったから。そして、加納と柄崎はのけ者にされた訳ではなく、
最初から居てはならなかったのだ。
 正直、薄々とだが戌亥と丑嶋の只ならない関係には気が付いていた。 
 いや、正確には完全に知っていた。柄崎も、あえてその事を話題にしたことはないが、恐ら
く加納もだろう。
 けれど、気がついていることを柄崎は認めたくはなかった。それは、自分の中にある丑嶋の
強く気高い男性としてのイメージが崩れることへの危険を感じたからではなく、丑嶋が夜を
一時でも過ごす相手に対して、みっともない嫉妬を自分の中に燻らすのが嫌だったからだ。
 自分でも探りたくない腹の内を探って、自己嫌悪や常識を巻きつけた本音を無理やり引き
ずりだせば、戌亥の位置に立ちたいという切望が見えてくる。
 丑嶋という人間に並々ならぬ敬愛の念を寄せるきっかけとなったのは、もう10年も前の
出来事だが、これまでは「あくまで人間として丑嶋が好きなのだ」と言い聞かせきた。なのに、
そんなメッキなんて簡単に剥がれてしまいそうだった。
 「あの・・・、社長・・・」 <> コーヒーを一緒に・・・7/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:36:57 ID:KrvtpxWR0<>  柄崎は何と言うかも決めていないまま、声を出した。声は自分でも驚くほど小さくかすれて
いて、エレベーターが1階についた際の「チン」というベル音にさえ負けるほど頼りなかった。
 丑嶋は柄崎の声が聞こえなかったようで、開いたエレベーターのドアから出た。
 開いたドアから流れ込んだ外の空気によって桃の香りは消えてしまい、結局柄崎は何も言え
なかった。



 運転中、柄崎は極力仕事の話をするだけに努めた。決して戌亥との事を触れないように。
一度だけ丑嶋の口から戌亥の名前が出た時には急ブレーキを踏みそうに慌てたが、内容は
過日の仕事に関する件だった。
 落着きを無くして事故を起こさないように、自分に「落ちつけ落ち着け」と良い聞かし
ながら運転し、程なく丑嶋のマンションの前に着いた。
 丑嶋は車のドアを開け、降りた。だが、酒が入っているからか、柄崎にはバレていない
事になっているが戌亥に抱かれて体に応えているのか、僅かだが膝が折れる様に前のめりに
なった。
 けれど、丑嶋がそんな弱い素振りを儚げに見せてくれる筈もなく、何食わぬ顔でいつもの
凛々しく堂々とした立ち姿に戻り、運転席の柄崎に声を掛ける。
 「助かったぜ。じゃあ、な」
 「しゃ・・・、社長!」
 柄崎は先程から溜めていた感情を噴き出す様に大きな声を出し、咄嗟に自分もドアを開けて
外に出た。
 「ん?何だ、柄崎」
 丑嶋が眉根を寄せて尋ねてくる。だが、柄崎とて何か考えがあって行動したわけではない。
気が付いたら、勝手に口が丑嶋を呼び止めていて、体が車外に飛び出ていただけだ。 <> コーヒーを一緒に・・・8/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:38:07 ID:KrvtpxWR0<>  「・・・えー・・・、と、ですね・・・」
 何か言わないと、何か言わないと、と柄崎は慌てる。呼び止められたものの、何を言われ
るのでも無い丑嶋は機嫌が悪そうになっていく。
 「部屋まで、送ります」
 丑嶋の機嫌が悪くなっていくのに急かされ、柄崎は思いついた言葉を口にした。
 「送ってくれなくていい」
 当然だが、丑嶋は断る。どうせ慣れた道だ。ましてや、後は自分の部屋のある場所まで行く
だけだ。
 「いえ、その・・・、ちょっと酔ってるかな、と思いまして・・・」
 「あっそ。じゃあ、好きにしろ。ついでにコーヒーでも淹れてくれ」 
 しどろもどろとなりながらも食い下がる柄崎を面倒に感じたのか、丑嶋は好きにさせる事に
したようだ。柄崎に背を向けてマンションの入口に向かったが、柄崎がオートロック式の入口を
一緒に通過できるようにゆっくりした足取りだった。



 部屋に着くと、丑嶋はソファに座った。柄崎は手持ち無沙汰そうにしている。
 「柄崎、コーヒー」
 「はい」
 そう言えば、先程そんな事を言っていたな、と思いだした。だが、コーヒーを淹れたくても
台所の場所がよく分からない。柄崎は周囲を見回す。
 「台所はドアを出て右側。コーヒーメーカーにコーヒーは入ってる。カップは棚にあるのを
使え。お前と俺の二人分な」
 それだけ言うと、丑嶋は眼鏡を外して眉間を押さえ、ソファに深く座ったまま動かなくなって
しまった。
 柄崎は頷くと、台所に向かった。 <> コーヒーを一緒に・・・9/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:39:29 ID:KrvtpxWR0<>  台所の位置が分からないのは仕方がない。何しろ、柄崎が丑嶋の部屋に来た事は初めてなの
だから。
 しかし、これがもし戌亥ならば、勝手知ったると手早く台所の場所も何もかも把握していたの
だろうか。丑嶋が戌亥の家に行っている位だ。恐らく戌亥だって、柄崎の知らないこの場所に
来る事を許されていて、柄崎とは比べ物にならない程上手くスマートに振る舞うに違いない。
 戌亥の事を考えると喉に小石のような物が詰まったようになり、柄崎は口に手を当てて咳き
こんだ。
 胸の苦しさを抱えつつ、柄崎は台所に入り、コーヒーを用意始めた。
 台所は男の一人暮らしとは思えないように整理されていて、かなり機能的で使い易そうだ。
柄崎は自分の部屋を思い浮かべる。特別汚れているのではないだろうが、丑嶋の台所と比べたら、
使っていないのに雑然としているだろう。全体を見ても掃除が行き届いていて、素直に感心する。
 同時に、台所の棚にある食器を見て安心もした。家事に疎い柄崎だが、白い無駄なデザイン
のない食器は二人分のお揃いの数にしては足らないように感じる。
 つまり、戌亥が柄崎たちに内緒で丑嶋と暮らしているわけではないようだ。勿論、仮に一緒
に暮らしていたならば、柄崎達に報告することこそカミングアウトになってしまうのだから、
柄崎が知らないのも無理はないのだが。
 考えてみれば、丑嶋はタクシーで自宅に帰れた筈なのに、戌亥は何故迎えに来てやれと言った
のだろうか。 <> コーヒーを一緒に・・・10/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/19(日) 19:40:22 ID:KrvtpxWR0<>  もしかして、柄崎のことを不審に思い、丑嶋にとっての柄崎と自分の立ち位置が違うのを決定
づけさせ、けん制する為だったのだろうか。どうせ丑嶋を送り届けさせても、柄崎が送り狼に
なるなんて無いと高をくくっているのだろうか。
 柄崎は少し胸の苦しさが軽くなったように感じ、コーヒーをマグカップに注いだ。
 コーヒーメーカーにサーバーを戻し、いざカップを持っていこうと前屈みになると、胸の
肉に何か硬い物が当たっているのに気が付いた。
 そういえば、とポケットに手を入れて中を出す。中には、先ほど風俗店の店長に貰った
真偽の危うい媚薬の瓶があった。
 「媚薬、か・・・。本物かなァ?んな訳ないよな」
 どうせ偽物だろうが、少しは効果があるかもしれない。だが、現在付き合っている女がいな
ければ男もいない柄崎には無用の長物に過ぎない。
 一人で飲んだって意味がない。意味がある使用方法は誰かに飲ませて、致すことだ。
 柄崎は瓶を握りしめ、視線をゆっくりコーヒーを注いだマグカップに移した。
 コーヒーに入れて、丑嶋に飲ませたら媚薬としての効果があるのか確かめられるし、意味が
ある使用方法には違いない。
 「どうせ偽物だろうし」
 男として情けない使い方をする言い訳を漏らし、瓶を開けてみる。どこかで嗅いだ事がある
ような香りがした気がするが、どこか気持が高揚している柄崎は中身をしっかり確かめず、
片一方のカップに瓶の中の液体の半分を入れた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
柄崎ご乱心。続きは後日。貴重なスペースお借りしました。お目汚し失礼致しました。
<> 「エガヲノインリョク」1/4<>sage<>2010/09/20(月) 02:34:47 ID:EWOtCULj0<> ナマモノ注意!!

GCCX
もうすでに新シリーズが始まっているのに、
今更、前シリーズの最終回をネタに、8代目AD×課長

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


この現場での、最後の仕事が終わった。

その場に居たスタッフ全員に、声をかけ、挨拶をし、
そして、本当に、最後に、最後の挨拶がしたくて、あの人の狭い楽屋を訪ねた。

蟻野さんは、連日の挑戦で疲れているのに、ましてや、次の仕事が押しているのに
心底嬉しそうに、招き入れてくれて「寂しなるわー」と、言ってくれた。

それだけで、泣きそうになってしまって、言葉がつまる。

暫しの沈黙を破ったのは、蟻野さんの方で。
「・・・あの歌ってなー」
「え?」
「あのー、うちのカーヴィーが歌ってた歌な」
「あ、はい」

脳裏に、最後の収録の時、一緒に見たDVDの映像が甦る。

アナタガイタカラ キセキガオキタ
アナタガ タスケテ クレタ
<> 「エガヲノインリョク」2/4<>sage<>2010/09/20(月) 02:36:27 ID:EWOtCULj0<> 「あの歌詞って、柄藻戸の事やんなぁ」
「え・・・?」
「レミングスのときも、シレンの時も、柄藻戸が助けてくれたからエンディングが見れたんや
 ほんまにに、奇跡を起こしたんは、エモヤンやで」
「そんな事は・・・」
(ありません)と続けようとした言葉が、込み上げる想いにかき消される。

「ほんまに、今まで、ありがとうなー」
そう言って、蟻野さんが右手を差し出した。
「あ、はい」
マヌケな返事しかできずに、慌ててその手を取った。

ぎゅっと握った蟻野さんの大きな手の温もりに、背中を押されて、
ずっと言いたかった言葉を切り出した。

「あの・・・餞別に、キスしたいって言ったら、どうしますか?」

蟻野さんは一瞬驚いて、真顔になって、でもすぐに悪戯っぽい笑顔になって
「・・・したら、いいんちゃう?」と、軽く言い放った。

そんなにアッサリと承諾されるとは思わなかったので、今度はこっちが面食らって
一寸戸惑っていると、蟻野さんは目を閉じて「ん」と少し顎を突き出した。

その口元は少し緩んでいて、本当にいいのだと告げているようで。
<> 「エガヲノインリョク」3/4<>sage<>2010/09/20(月) 02:38:18 ID:EWOtCULj0<> ゆっくりと蟻野さんの前に跪き、震える手を彼の肩に置いた。

喉が渇く。
息が止まる。
早鐘のような鼓動が、耳の奥で聞こえる。

まるで、繊細な硝子細工に触れるように、そっと、そっと、唇を重ねた。


柔らかく、触れるだけの、キス。
でも、今までの、すべての想いが伝わるように。
・・・唇が、震えてしまっているのも、伝わっているだろうか。


触れたときのように、また、そっと、唇を離した。
目が合わせられなくて、俯いていると、蟻野さんが呟いた。

「エモヤン、オマエ、優しいキスするなぁ」
その声色こそが、とても優しいのに。
「俺まで、切なくなるわー。もー」
そう言って、困ったような顔で笑う。
<> 「エガヲノインリョク」4/4<>sage<>2010/09/20(月) 02:40:51 ID:EWOtCULj0<> 「んで、キスだけで、ええのん?」
「え・・・?」
思わぬ一言に、なんと返していいか分からなくて、瞬きも出来ないほど固まってしまった。

ニヤリと口元で笑った蟻野さんに、肩を軽く叩かれる。
「キスの続きは、オマエが出戻ってきてからな」
本気とも、冗談とも取れそうな物言い。
それでも、鼓動はさっきよりも早くなって、頬が熱くなっていく。

目の前には、少し照れたような笑顔。

ふいに。
一度はこの番組を卒業していった先輩たちが
何故か、出戻ってきてしまう理由が分かったような気がした。

この笑顔に引き寄せられてしまうのだ。
この人の傍に居たいと、そう願わずにはいられない。
そんな、不思議な引力を持つ、笑顔に。

「・・・いつでも、出戻り大歓迎やからな」
くしゃりと髪の毛を撫でられる。
止めようも無い涙が、頬を伝い、冷たい床に落ちる。

「泣くなやー、もー」
そう言う有野さんの瞳も潤んでいて、それがまた新しい涙を誘う。

馬鹿みたいに泣く事しか出来なくて震える体を、有野さんの優しい腕が
そっと包み込んでくれた。

<> 「エガヲノインリョク」終<>sage<>2010/09/20(月) 02:42:41 ID:EWOtCULj0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

「Good-by Game(和訳)」の歌詞が切なすぎて泣ける…
お目汚し、失礼しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/20(月) 06:06:06 ID:ipB0mp0/O<> >>141
続きが気になりますGJ!
姐さんはネ申です(感涙)いつもありがとうございますm(_ _)m <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/20(月) 12:34:48 ID:/rwwTRsi0<> 【BL】ボーイズラブ・やおい創作総合【801】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1284387625/l50

創作発表板に全年齢向けのスレができたようなので、一応、お知らせしてみる。

エロ成分低めの作品はここに投下しても良いかも。 <> 浄化 1/3<>sage<>2010/09/20(月) 16:36:59 ID:fACRvBBsO<> ドラマ浄化 マス鑑だけど盾もいます。3人で7話目 
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

1.

彼に出会って、自分の人生に違う風が吹いてきた。
駆動は最初、そう考えていただけなのに。
起きている時間のほとんどを彼のことを考えて過ごし、眠っている間に彼の夢を見ることを願って体を横たえる。
 
仕事に行けば当たり前のように彼は手の届くところにいて、触れてみたいと思う気持ちが強くなるのを止められない。
偶然に手が触れてしまった時、すぐに手をひっこめないでいてくれたという、そのほんの数秒の出来事に、駆動は震えた。
小さな希望が心の中で爆弾になるのに時間はかからなかった。
その抱え込んだ爆弾を胸の奥からつかみ出して見せずにはいられない。
薄暗い倉庫でささやくように話をする彼を見つめながら、駆動はついに言葉にしてしまった。

「初めてのときは盾さんがいい」

散々心の中で逡巡して出た言葉だったけれど、そこに至る紆余曲折はわかるはずもなく。
駆動の突然の告白に、彼はまぶしそうな目をしたまま黙っていた。

「あ、次に誰かに行くからその前にって言う意味じゃなくて、もちろん盾さんが最初で…最後っていう…」
「ダメだよ」
「え?」

ちょっと息を吸ってからうつむいた彼が、それでも駆動に十分聞こえるように言った。

「それは出来ない」

彼からのはっきりした拒絶に「盾さんのことあきらめないから…」と返したつもりが、それは掠れて声にならなかった。
<> 浄化 2/3<>sage<>2010/09/20(月) 16:46:43 ID:fACRvBBsO<> 2.
見上はその長身を折りたたみ、カウンター越しに彼の顔を覗き込んだ。
久しぶりのキスをせがむかのようなそのしぐさに、彼は心得てストローを唇から離し、唇に残ったミルクをチロリと舐めとる。
一瞬見せた舌先が、了解のサインに思えた。
いいですよ、僕もそんな気分です、と。
「じゃあ時間を作ってやらなきゃな。悶々としてミスでもされちゃかなわん」
見上が思いやったとき、その当の本人は柄にもなく遠慮して、店の扉の向こうに佇むばかりだった。
==========
「盾さんとずっとこうしたかった」
思いがけず抱きしめられた心地よさと幸福感に酔ったようになって、駆動は身体を擦り付ける。
「ダメだなんて言わないでよ」店の外の薄暗く狭い路地で、駆動にしたいようにさせて、彼は微笑んでいるだけだ。
じれったいと思っているうちに、唇が頭におりてきたのがわかった。
彼は駆動のつむじにキスしてささやいた。
「ね、マスターにしてもらおっか?」
はっとして駆動は顔を上げ、彼を見あげた。
突然、駆動は気付く。
熱を持っているのは自分だけだということを。
すぐにまた抱きしめられたので、確かめようと覗き込んだ彼の瞳が見えなくなった。
「ダメ…なんだ」
肩口に額を擦り付ける駆動の頭を抱え込んで、彼はつぶやいた。
次の瞬間、おいでと繋がれた手を振りほどく理由を駆動は持たなかった。
==========
背中の傷を見られることに躊躇はなかった。
なのにマスターは、脱ぎ捨てたシャツを拾って駆動の背中からそっと掛ける。
なんだか彼に売り飛ばされたような思いがしていたのに、引き渡された相手に優しくされると、泣きそうな気分になる。
だから駆動は言った。
「盾さんも、一緒にいてよ」 <> 浄化 2B/3<>sage<>2010/09/20(月) 16:53:58 ID:fACRvBBsO<> 2B.
最初の衝撃は通り越し、身体の奥で受ける見上の熱の快感に耐え切れなくなる。
立っていられなくなって、くうん、と鼻の奥で声を出すと、彼の手の平が頭の後ろをそっと包み込んで自分の胸に引き寄せた。
心の中でふくらんだ思いが行き場を失くし、駆動の身体を駆け巡る全身の血が逆流を始める。駆動の髪に指を絡めながら、彼は見上を見つめ続けた。
背中から駆動を蹂躙するのに忙しい見上も、彼から視線をはずさない。
その強い視線にまっすぐ応えながら、彼は引き締めた自分の唇をゆっくりと舐めた。
それを合図にしたように、見上が盾の唇を求める。
猫がミルクを舐めるような音をわざと立てながら、彼は見上と舌を絡ませた。
みるみるうちに上気して、赤味を帯びていく彼の胸元に駆動は頬を擦り付ける。
「盾さん、盾さん…盾さん…盾さん、盾さん…」
見上は長い腕を伸ばし、駆動の身体を間に挟んだまま、ぐいと彼の腰を抱き寄せた。
自分の高まりが上を向いたままで彼の腹に押し付けられた瞬間、駆動はうめき声を上げて自らを解放する。
2、3度震えてからのけぞるように駆動が見上の胸にもたれかかったのを機に、彼はそっと身体を離して見上に引き渡す。
喉元まで飛び散った駆動の精がゆっくりと流れていくのを、彼は気にもしなかった。
唇は濡れて光り、首筋には見上の唇が残した跡がくっきりとその色を主張している。
見上にまだ身体を揺すぶられながら、駆動は驚くほど艶やかになった彼の顔を、いつまでもうっとりと見ていた。 <> 浄化 3/3<>sage<>2010/09/20(月) 17:00:31 ID:fACRvBBsO<> 3

本当のところ、マスターは俺の身体を使って盾さんとやってる気分だったんだろうなと駆動は思った。
けれど、不思議と惨めな気持ちにはならなかった。

『最後までちゅーしてくれなかったけど、ずっと抱きしめてくれてたのは盾さんなんだから』
#それに感情はさて置き、見上との行為がたまらなくよかったことにも、駆動は気がついていた。

さっきまでの出来事を夢のように思い出しながら、駆動は照れてちょっと笑った。
それからすぐに、やばい、また泣きそうとうつむく。
ラーメン屋のカウンターなのに、一人でアップダウンしている駆動を気にかける様子もなく、彼は食べ続けている。

「俺は、盾さんに救われた」

思い切って駆動が声にすると、彼はいつものほほえみ顔で「のびちゃうよ」とだけ言った。
そのおだやかな横顔にほっとして、駆動は鼻を「すん」と鳴らした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
盾さんは天使だからね。E・Dにしてごめんよ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/20(月) 22:16:03 ID:LFq9QmQb0<> >146
GJです!えもお疲れでした!その曲切ない・・・! <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 1/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:18:04 ID:xmiOPaQC0<> キャシアス+シーフォンという試み。
相手が賢者の弟子なら、同じフィールドなので真っ向から楯突くけど
全く別のジャンルなら違った方向からのアプローチもありえるかなと。
シーフォンの病気全開で17世+魔将フラグな表現があるのでご注意下さい。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

遺跡の最下層に位置する大廃墟の中心、更にその地下。
四つの秘石によって進入を許されたその墓所には、
単に瘴気と呼ぶことすら憚られるような濃く暗いもので満ち満ちていた。
息をするだけでも肺に圧力が掛けられているような感覚に何とか抗いながら、
キャシアスたちは注意深く歩を進めていった。
手元に掲げた玻.璃.瓶の光が、青白く、凄味を持って
通路の宝飾や壁画を照らし出している。
明るい陽の元で見れば美しいかもしれないそれは、
今はただおぞましい空気の一部分でしかない。

「キャシアスさま、ご注意なさって下さい。
 この空気……まるで、感覚が狂わされてるみたいです。
 あちこちに色んな気配があって……」
「空間そのものが、魔力を保持して循環させる力場になってるみてぇだな。
 おそらく、この墓所全体が何かの呪術的な装置なんだ。……胸糞悪ぃ」

そう言う二人の顔も、光加減のためか別の理由のためか、どことなく青白く見えた。
襲ってくる魔物も見た事がないものが多い。
地上のそれよりもずっと手ごわい闇の塊のようなものを切り捨てながら、彼らは更に進んだ。
玄室と移動用の通路を交互に行き来しながら、三つ目の短い階段を下りる。

そのフロアの壁や天井は、上層よりも更に多くの壁画と碑文で埋め尽くされていた。
長い廊下には神話の風景が所狭しと描かれている。
しかし細かい装飾やレリーフたちは、いかにも何かの仕掛けが含まれていそうではある。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 2/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:19:41 ID:xmiOPaQC0<> 用心しながら廊下を進むうち、ふとキャシアスは後ろから聞こえる足音が
遅れがちになってきていることに気がついた。
振り向くと、すぐそばのフランの背後から更に数メートルの距離をおいて
シーフォンが壁に手を付いている。
パーティに付いてきてはいるようだが、その歩みは普段より遅い。
どうしたのかと尋ねるとシーフォンはすぐに壁から手を離し
「なんでもねぇよ」と言った。
しかし壁から離した手は頭痛のときのように彼のこめかみへと向かい、
顔色も心なしかさっきより悪いようだ。

「あまり離れない方がいいですよ。はぐれたりしたら大変ですから」
「うるさい。わかってる」

(鈍感な奴が幸せだってことは、死者まみれの宮殿で嫌というほど思い知ったからな)

ガンガン痛む頭と、呼吸をするたびに吐き気を増してくる胸を押さえながら
シーフォンはすり足で二人の後を追った。

少し行くと、高い天井を持った大広間へと出た。半円状の暗い天井に星図らしきものが書き込まれている。
星座を作る点と線たちは、キャシアスたちは夜空に見た事がないものばかりだった。
どこか別の土地の夜空なのだろうか。あるいはこの墓所に眠る者たちが生きていた時代の。

「……ちょっと待て」

注意してそこを通り抜けようとしたとき、最後尾のシーフォンが前の二人を呼び止めた。

「何か書かれてる。単なる神話じゃないな……」

中ほどの壁にはめられた石版と、そこに刻まれた碑文にシーフォンが見入っていた。
彼は振り向きもせず、無言のまま右手を後方に伸ばす。
キャシアスがその手のひらに玻.璃.瓶を乗せてやると、
シーフォンはそれを碑文へと近づけてますます真剣な眼差しを注いだ。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 3/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:21:31 ID:xmiOPaQC0<> 「『四つの秘石、および輝きのイーテリオについて』……。
 伝承?いや、予言の類か……『大河流域世界の統治者にして…」

手にした玻.璃.瓶で碑文を照らしながら、シーフォンはゆっくりとそれを読み上げていった。
淀んだ魔力が充満したこの場所で、まるで詠唱のような不思議な響きを持ったその言葉は
連ねられるたびに何かの術式が発動してしまいそうな不安を後の二人に与える。
その二人が背後から見守る視線を気にも留めずシーフォンは一文字一文字を解読していった。

「『……時により形を変える。そして帝国の永続を願う呪文が刻まれている。
 これらには大いなる…』…ん、……
 ダメだな。削れてて読めない部分がある。
 『大いなる……が宿り、所持する者を…永久の……
 ああクソ、こっからが肝心だってのに!」

碑文は、その中ほどの部分がまだらに削れ、文字の形を失っていて
知識の問題ではなく物理的に読み取る事が不可能になっていた。
シーフォンは悪態をつきながらその壁を軽く殴る。

「ん、最後の方はまだ読めるか。
 『……時来れば、四つの秘石を再び得る者が現れ、
 四重の守護を破りタイタスの前に至る。
 その者が』、……『タイタスに等しき者であるがゆえに』
 ……これで終わりだ」
「……どういう、意味でしょうか…」
「…………」

碑文の意味を図りかね、不安そうにしているフランには応えず
シーフォンは黙ったままその壁を睨みつけるようにして考え込んでいた。

「…………ふん。さあな。だが、この傷……」

シーフォンの指が碑文の中ほどに刻まれた傷をなぞる。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 4/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:23:13 ID:xmiOPaQC0<> 「ただの風化じゃない。墓所の年代や碑文の古さから見ると、この傷は新しすぎる。
 しかも跡が鋭利だ。意図的に削られたとしか思えない」
「え?だって……」

フランの言わんとする所は、キャシアスにもすぐに理解できた。
この墓所は、今まさにキャシアスたちがその『四重の守護』を破って入って来た所だ。
それより以前にこの碑文を削り取ったものがいる?この封印された墓所の中で?
考えたくはないが、嫌な想像はどうしてもある一箇所に辿りつくしかない。

「ハッ、こんな半分魔界になりかけてるような場所だ。
 何がいたっておかしくはねえだろうよ。魔物以外にもな」

シーフォンは恐ろしい事をいとも簡単に言い放つと、
それまでかぶりつくように見入っていた碑文からぱっと体を離した。

「お前らが考えてたってどうしようもねえだろ。さっさと先に行こうぜ」

つうと、こめかみから頬へ伝った脂汗をシーフォンはローブの袖でぬぐった。
あの碑文を読んでいる途中から、頭痛に加えて
頭の中で鐘を鳴らされているような耳鳴りが繰り返された。
しかしここで引き返せるわけはない。
その耳鳴りに混じって、シーフォンには聞こえたのだった。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 5/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:24:34 ID:xmiOPaQC0<> この場の濃い瘴気が、さながら水が雷を通すようにして
地下深くの意識を伝えた。
高い魔力を持つシーフォンだけがその断片に気づいた。
その意識は、自分たちにだけ向けられたものではなく、
ずっと昔からこの空間に満ちていたものだったのだ。
何千年もの間ただ一人の意識がここを埋め尽くしていた。
そしてそれは、呼んでいるのだった。
キャシアス。
確かにそう聞こえた。
おぞましいほどに低く、文字通り地の底から響く音でありながら
その声は歓喜にうち震えているようだった。
シーフォンの中で、いくつもの疑問が一気に瓦解する。
始祖帝は、彼にもっとも似た者をこうして呼んでいるのだ。

目の前に立つ騎士を睨むようにして見つめる。
あの貴族の坊ちゃんほどではないが、常に矢面に立ち、
他人を守ろうとするキャシアスの行動にシーフォンはほとほと嫌気が差していた。
普段はそうやって善人ヅラしてても、いざ自分の命が危ないとなったらケツ捲って逃げ出すんだろうが。
貴族や騎士なぞどれも同じだ。
だが、なぜか。以外に結構ちょっとだけ、つるんでいる間は楽しかったりしたのだ。
しかしそれももう終わりだとシーフォンは心中で決意を新たにする。

「ち、ちょっと待って下さい。シーフォンさん、顔色が真っ青ですよ!?」
「……なんでもないって言ってるだろ。このランプのせいだ」
「そんなんじゃ……!」

フランの反論が終わらないうちに、シーフォンの身体がぐらりと前にかしいだ。
慌ててキャシアスがそれを抱きとめる。
細い身体は驚くほど体温が低く、軽かった。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 6/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:26:28 ID:xmiOPaQC0<> 「……ああ畜生、そうだよ、最悪の気分だ!つうかよくこの瘴気の中で平然としてられるなお前ら!?」
「いえ、その……。危ない感じはしますけども、気分が悪くなったりは……」
「これだから脳筋は……うぷっ…やべえ、マジ吐きそう…」

シーフォンは最後の力を搾り出すように呻くと、
開き直ったのかぐったりとキャシアスの肩にもたれかかった。
ともあれ、一人がこんな状態では奥へ進めそうもない。
キャシアスの支えがないと今にも地面に倒れこんでしまいそうなシーフォンは、
歩く事も難しそうだ。

キャシアスは、背負っていた道具の入ったバックパックをフランに預けると
ろくに抵抗もせずされるがままのシーフォンを無言でおぶった。

「う」

背に乗せられたことに気が付いて、流石にシーフォンはわずかに身じろいだが
それ以外に選択肢もないとすぐに気づくと大人しくなった。
キャシアスとしては、肩に担ぐ形が片手も開くため抱えやすくはあったのだが、
体調が悪い状態で頭を下にするのはよくないだろうと
これでも気を使った結果なのである。

「キャシアスさま、警戒は私に任せてください」

よいしょと荷物を背負って来た道を引き返し始めたフランに、
キャシアスも背中の低い体温を気にしながら頷いてその後を歩いていった。

「……ぅう………」 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 7/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:28:28 ID:xmiOPaQC0<> キャシアスの背に揺られながら、ぐるぐると混濁する意識に抗ってシーフォンは思っていた。
いずれ、いや、もうすぐ。
この『タイタスに等しい者』が始祖帝の元に辿りつくだろう。
四つの秘石を持ち、孤児として拾われ、数々の化け物を打ち倒したこの男が。
それこそが少し前まで疑問と思っていた仕掛けだ。
タイタスの霊魂と相対した時、こいつは始祖帝そのものになる。
そして、歴代のどの皇帝にもなかった圧倒的な力でもって帝国を再建するだろう。
知らず、シーフォンは強くキャシアスの肩を握っていた。

(――連れて行け)

縋る腕も、蚊の鳴くような声も、瘴気にうなされての事だと思ってキャシアスは気にも留めない。
フランと共に周囲に気を配りながら墓所の出口を目指している。
シーフォンは暗い視界の中でその横顔を盗み見た。

もはや始祖の力は、望んでも詮無いことだ。
その正当な後継者が目の前にいるからだ。
しかし、ひとつの目的が潰えても、すぐさま他の最適な行動に移ることにシーフォンは慣れていた。
この場合は、つまり。


何とか強敵に出会うこともなく墓所から脱し、遺跡そのものから出てくる頃には
シーフォンの体調もあらかた回復していた。

「……もういい。一人で歩ける。さっさと下ろせ馬鹿」 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 8/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:29:41 ID:xmiOPaQC0<> いつもの言い草で、しかし声は弱々しくシーフォンが言った。
本当ならば宿まで運んでも構わないのだけれど、
そうすると後ろから焦がされる危険性が多いにあるため
キャシアスは大人しく町外れで彼を背中から下ろした。
しかし、すとんと音がしたことを確認し、振り向こうとしたキャシアスの上腕を
いまだシーフォンが掴んだままでいた。
無理に振り向けないこともないが、シーフォンがそれを望んでいないのが
なぜかその指から伝わってくる。

「……連れて行けよ」

唐突に呟かれた言葉の意味が分からず、キャシアスは思わず聞き返した。

「僕をだ。そのときが来れば分かる。せいぜい、役に立ってやるから」

腕を掴んだまま離さずにいるシーフォンは、その言葉こそ普段の乱暴なものだったが
声の色にはどこか必死さが滲み、強張っていた。
どんな表情をしているかは分からないが、細い指にも不必要な力が入っている。
その様子に、単なる探索のメンバー組みのことではないのだろうと察する事は
キャシアスにも可能だった。しかし何を意味しているのかまでは読み取れない。
疑問を問いかけようとしたところで、シーフォンは今まで掴んでいた腕を離し
とん、と軽くキャシアスの背中を押しやった。
その反動を利用して背を向け、宿に向かって歩き始める。
キャシアスは慌てて振り向いたが、
ぶかぶかのローブに包まれた背中に、なぜか声をかけることもはばかられて
キャシアスとフランはそのまま彼が角を曲がって見えなくなるまで見送った。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 キ.ャ.シ.ア.ス+シ.ー.フ.ォ.ン 9/9<>sage<>2010/09/20(月) 22:31:01 ID:xmiOPaQC0<> そうだ。
皇帝そのものになれないなら、その腹心になればいい。
幸いあいつはお人よしで、その上魔力の面はからきしだ。
必ず僕が必要になる。
いや、必要とさせてみせる。

陽が落ちて冷たい風の吹いてきた町外れで、
シーフォンはばさりと音を立てて闇色の外套を羽織る。
それは彼がいつの間にか荷物の中から抜き取っていた、魔将の外衣だった。

もう後には引けない。
元より赤みの強かった瞳を、ますます血のように赤く光らせ、シーフォンはぎゅっと拳を握った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
せっかくの腕力スキル、お姫様抱っこに使いたかったけど
ダンジョンの中では無理がありすぎて諦めました。無念。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/21(火) 09:07:35 ID:Z1Jv0NhvO<> >>149
切な萌えな投下ありがとう! <> 風と木の名無しさん<><>2010/09/21(火) 09:47:23 ID:VyNS1+HRO<> >>131ラストは悲しいけど、けして嫌な悲しさではなく切なくてしみました
素敵なお話ありがとうございました

>>141ハム式カップリングキターー
柄崎は社長をどうするのかとハラハラ
誘い受俺様社長にも期待してます!
そしていつか、滑丑の成人バージョンもお願いします! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/21(火) 09:52:27 ID:VyNS1+HRO<> さげ忘れました
申し訳ない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/21(火) 10:54:10 ID:4r8QUf7aO<> >>125
おもしろかった!
もっと読みたいと思ってしまった <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/21(火) 11:23:15 ID:htAdhlLB0<> >>125
切なくて可愛くてきれい
なんといったらいいか分からないけど
温かい気持ちになりました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/21(火) 11:57:41 ID:OSGb12vu0<> >>154
GJです!
読み応えあってすごく面白かったー!!
言動がすごく僕様っぽくて萌えたよ、萌えた!

17世ルートは夢がいっぱいだね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/21(火) 22:28:26 ID:NHHZEwtpO<> >>141
神め…!姐さんの作品に萌えたぎりました!
柄丑のエロが読みたくて仕方なかったので嬉しすぎてTryMeを斉唱する勢いです…!
続き楽しみにしてます!ハチミツとワインかぶって全裸で待機! <> ストレス時代9/1<>sage<>2010/09/22(水) 04:31:54 ID:oYgN+hkO0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某フィルムタイプ薬品のCMに感動したんだって
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  第二段は州取 英二だね
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |ト メ  タ" イ  ン    | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | | \         /   | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |     (・∀・)      | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

ストレス時代に救世主がやってきたよ!そんなヘタレなアイツが主人公のオハナシだよ!
とりあえずはEROなしの導入編だよ!若干トイレ描写が粘着質だよ!
(だってそれが彼のいいところだもんね!)
※全体的に予想以上の長さになってしまったので、中断を入れさせていただきます。 <> ストレス時代2/9<>sage<>2010/09/22(水) 04:33:01 ID:oYgN+hkO0<> 山のように積まれた書類を持って、止田は廊下を歩いていた。赤い絨毯を一歩踏みしめる毎にそれは不安定に揺れる。
「止田さん、持ちましょうか?」
「あっ、わっ、わわッ」
突然声を掛けられ動揺し止田が思わず足を止めると、書類はぐらりと円を描いて揺れた。
それをとどめようと踊るように足を動かした結果、案の定の転倒をし、書類は止田の頭の上へ崩落する。
バサバサ、と豪快な音を立てて乱舞するそれを、止田は呆然と見上げていた。
止田の視界の端には、ベージュの膝丈スカートと、ベストの裾が見える。
「ご、ごめんなさい!私が突然声かけたから、ビックリさせちゃいましたよね。ごめんなさい!」
言いながら膝を折り、大下美由紀は慌てて書類を拾い始める。
大下の姿を見て、止田は我に返り、書類へと手を伸ばした。
「あっ、いや、別に大下さんのせいではないです。すみません」
顔も上げずに言い、黙々と拾い始める。
「おお!止田、ご苦労なこったな!」
通りすがりに笑いながら声を掛けるだけの無情な先輩からの激励を受けながら、しばらく二人で廊下を占拠して拾い続けた。
<> ストレス時代3/9<>sage<>2010/09/22(水) 04:33:45 ID:oYgN+hkO0<> おもむろに大下が口を開いた。
「止田さん、今回の発表、機密事項が多いみたいですね。社運がかかってるって聞いたけど……」
「あ……はい……なんか、いきなり重役任されて」
はは、と空笑いをしながら、書類に目をやる。そこには企業機密がびっしりと書き込まれ、様々なプランが書き起こされている。大下が言った“社運”がまさにそこにあった。
社運が廊下に散らばっているのに、それを拾おうともせず去っていく仲間が多いことに止田は胸が痛んだ。
そもそも、その散らばっているものが“社運”だと彼らが知る筈もないのだが。
「こんなの、うまくいきっこないんですけどね」
また自嘲するように小さく笑った止田を、大下は励ましも応援もしなかった。ただ、無言で書類を拾い続けていた。

国内大手の製薬会社“大蝶製薬株式会社”に入社し、止田和史は3年になる。
大蝶製薬株式会社は、社長の岩谷進をトップに、斬新なアイディアで改進を続けるトップ企業だ。
止田はその巨大企業の中、営業職で現場を経験し、6ヶ月前に企画部へ異動になった。
友人達からは「ペコペコしなくていいなんて、良かったな」と羨ましがられ、一般的には昇進と言われている道だったが、
止田にとっては常に上司の監視下にある事のほうがよっぽどのストレスだ。
大下美由紀は入社4年目の先輩で、何かと止田を見てくれているが、これも監視のひとつだと止田は感じていた。 <> ストレス時代4/9<>sage<>2010/09/22(水) 04:34:36 ID:oYgN+hkO0<> (おなかいたい)
大下に手伝ってもらい広い集めた書類は、欠損がないことを確認して、またナンバー順にまとめ直さないといけない。
今度は落とさないようにとダンボール2個に詰めたそれを台車に乗せて、企画部へ戻るため廊下を歩く。
(おなかいたい……)
下腹部がギュリ、と音を立て、冷や汗が出た。あぁ、またいつものストレス性の下痢だ、と止田はため息を吐いた。
台車を廊下の端に寄せ、トイレへ入る。個室へ入ると鍵をかけた。
いつものようにトランクスを脱いで便器へ座ると、すぐさま極度の緩い状態の便が出た。
下腹部はまるでつま先で踏まれているかのように痛んだ。内臓が動いているのが自分でも解り、吐き気をもよおす。
「うぇ」
思わず声を出して上体を倒す。冷や汗が頬を伝い、膝に落ちた。
(俺はなんでこんな体質なのに、こんなデカい事やらされてんだろ)
しばらく個室でもんもんと考えながら、同時に用を足す。ひととおり出し切って尻を拭き、流した後、またトランクスとスラックスを上げた。
不快な匂いとサウナ状態になった個室から出ると、トイレ内の空気はやたらと爽やかに感じた。
<> ストレス時代5/9<>sage<>2010/09/22(水) 04:35:46 ID:oYgN+hkO0<> トイレから出て、また台車を押して歩く。正面から大下が歩いてくるのが見えて、止田は会釈をした。
大下が駆け足で近寄ってくる。先ほどとは打って変わった笑顔だった。
「あ、ダンボールに入れたんですね。ナイスアイディア!」
「ホントだぁ!こんな量を持ってたなんて、無謀ですよ、止田さん!」
大下の後ろからひょっこりと顔を出しているのは、止田と同期の沢村香奈だ。入社4年目の大下にいつもくっついていて、子分のような状態である。
おそらく大下からこの件に関して一通りの話しは聞いているのだろう、まるで書類の散らばり具合を知っているかのような顔をしている。
「そうですね、無謀でした。じゃぁ、ちょっと企画部戻るんで」
書類の散乱で精神的にも疲れ、下痢で体力も使いきり、クタクタだった止田は早々にそこを後にした。
残された二人は顔を見合わせ、小さく笑っていた。
<> ストレス時代6/9<>sage<>2010/09/22(水) 05:03:55 ID:oYgN+hkO0<> 午後6時。退社の時間になり、終礼が行われる。皆一様に伸びをしたり、身なりを整えたりと自由に動いているが、止田は違った。
一切の事など関係ないようにパソコンに向かっている。
窓際で沈む夕陽を背にしながら、部長の福島が止田に向かってまるめた紙を投げた。コツン。
「ぃてッ」
「おい、お前業務違反だから」
福島はため息を吐きながらジャケットに袖を通している。中年太りが始まったその体を、上等なジャケットはスマートなラインで包み込んだ。
止田が申し訳なさそうに会釈をしながら、情けない顔で笑う。
「あ、すみません。でも、まだ発表の書類が出来上がってな」
「ふざけんなおい。残業代なんか出ねーぞ」
止田の言葉を遮って、福島は現実をぶつけたが、止田はそれでも変わらない表情で会釈をしている。
「あの、本当、これだけはやらないと、心配で仕方が」
「お前自分の仕事が遅いだけだろうが。1時間でカタつけて出ろ。1時間したら電源落とすからな。管理にそう言っとくから」
「え……」
困ったように固まる止田の横を、福島が通り過ぎる。誰よりも先に部署を後にするその姿と、固まる止田の姿を、部署の人間達は交互に見比べていた。 <> ストレス時代7/9<>sage<>2010/09/22(水) 05:04:44 ID:oYgN+hkO0<> 午後6時42分。もう部署には止田以外誰もいなくなっていた。
大下と沢村はやたらと残ろうとしていたが、する事もないのか早々に帰っていった。
かち、かち、と時計の針の音がする。止田はじっとパソコンの画面を見ている。
その時、ピピピピピピ……と地味な携帯のメール受信音が響いた。
止田が携帯を手に取り、受信メールを確認する。

FROM:サチ
件名:今日どんな?
内容:
おしゴト、お疲れ様!
今日こそは会えるかなぁ?
ってか会ぃたぃょー(><)!
あたしマヂでッッッッ
おいしいご飯作るょ?

ため息を吐いて、止田は携帯を閉じた。冗談はやめてくれ、と頭に浮かんだ。
仕事に追われて帰れない。食事もそこまで食べたくない。緊張して眠れない。
しかし、彼女は帰宅を猛烈に催促し、自宅への立ち寄りを強制し、食事へのコメントを求め、最終的には体を求めてくる。
疲れているなどという言葉は、どんなに言っても理解してくれない。
それをこなす器用さを、止田は持ち合わせていなかった。
(どうしてこうなっちゃうんだろう。6年も付き合ったのに)
止田は窓に目をやった。そこにはガラスに反射して自分を見つめ返す姿があった。
弱々しく、情けない、眉の下がったその表情を見て尚更悲しくなる。 <> ストレス時代8/9<>sage<>2010/09/22(水) 05:07:46 ID:oYgN+hkO0<> その時だった。バチン!と音がして、全ての電源が落ちた。
「あ…………あぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
止田の絶叫が暗い部署にこだまする。
避難誘導のライトがぼんやりと部屋を照らし、窓の外は他の高層ビルのオフィスから漏れる光できらきらとしている。……が、そんな事は止田にとってどうでも良かった。
「データ!データが!あぁぁ!データ!!!」
(やばい、おなかいたい!)
「データを!そうだ、管理だ!」
(おなかが―――ッ!!)
頭と体が別々の動きをしている。
慌てて立ち上がり、オフィスのデスクの隙間を縫って歩く。時折他の人のデスク横に詰まれた書類に蹴躓きながらも、視線は前方しか見えていない。
企画部を出た瞬間、何かにぶつかった。
「ゎぶッ!」
顔を抑えながら数歩後ずさると、止田はゆっくりと目を開けた。避難誘導のライトで、足元と廊下の所々に緑色のライトが光っている。
そのライトに照らし出され、目の前にはぼんやりと人影が見えた。自分よりも背が高い、その雰囲気からして男のようだった。
「すっ、すみません!」
慌てて言う止田に対して反応するように、人影は何度か首をかしげている。おそらく、止田をしげしげと眺めているのだろう。
「もう終業から1時間経っていますが……何をしているんですか」
低い声が、波のように廊下に浸透した。凛と張り詰めていながら、相手に有無を言わせぬ響きがあった。聞いたことのない声に、止田は少々たじろぐ。
「あっ、あの……まだ、企画が出来上がってなかったので、少し残っていました」
「叫び声が聞こえたから来てみたんですが」
その言葉に、止田の胸には若干の安堵が生まれた。何かしらの事件を察知して来たということは、警備員だろう。
「あっ、す、すみません!僕です!突然電源落とされて、データが消えちゃったもんで」
先ほどより少しフランクに話しをしてみるが、相手は黙ったままだった。
ぎゅるるるる……止田の腹が、まるで地底の唸り声のように鳴って体を震わせた。
(やばい!おなかが限界だ!)
「あのっ、すみません、ちょっと急ぐんで!!」
止田は腹に手をやり、男に会釈をしながら歩き始めた。視線はトイレ、ただ一点を見つめている。
立ち尽くす男を迂回して、先ほどの威勢はどこへいったのかという勢いで弱々しくトイレへ入っていった。 <> ストレス時代9/9<>sage<>2010/09/22(水) 05:21:42 ID:oYgN+hkO0<> 毎度の事ながら、腹を下しやすい己を呪うしかない。止田は手をハンカチで拭きながらトイレを出ると、廊下が明るい事に気付いた。
慌てて企画部へ戻ると、そこもきちんと電気が点いていた。そして、自分のパソコンは落ちる寸前の状態のまま、無事に立ち上がっていた。
ホッと胸を撫で下ろし、すぐさま保存をする。
(きっとさっきの警備員さんが、管理に連絡してくれたんだ……!)
「警備員さん、ありがとう!」
「誰が警備員さんですか?」
止田がハッとして振り返ったそこには、30代後半と思われる男が立っていた。
髪は黒く整っているが、緩くパーマがかかっていた。濃紺のスーツを着こなし、腕を組み、鋭い目付きで止田を見詰めている。
止田は一瞬で相手を観察した。
見たことのない男だったが、その声は先ほどぶつかった相手だと容易に想像が出来た。あわてて止田が言い訳をする。
「あの、すみません、さっき姿がよく見えなくて警備員さんだと思ってしまっていました」
「警備員ではないですが、警備員みたいなもんですね」
男がゆっくりと近づいてくる。止田は無意識にディスプレイの画面を隠した。男は苦笑しながらも、歩みを止めない。
「今さら隠したって無駄ですよ。何故パソコンが立ち上がってたのか、疑問ではないですか?」
言われて止田の顔色が変わった。
たしかに男の言う通りだった。電源が落とされた強制終了の状態でパソコンを再度立ち上げても、普通はIDやパスワードを求めてくる。
止田のIDとパスワードを入れなければ、ログインすらできないはずだった。
そしてそのIDとパスワードは個人で管理されており、止田以外は知らない情報だ。
近寄る男に、止田は慌てて定規を手に取り、男に向けて構えた。
「あなた、何なんですか!」
「警備員ですよ」
「勝手に俺のパソコンを立ち上げたりするなんて、警備員のはずがない!」
「おや、貴方が言ったんじゃないですか。私を警備員だと」
止田は後ろ手でパソコンの電源ボタンを長押しし、強制的に電源を切った。男が驚いた表情をすると、止田は鞄を鷲掴みにして駆け出した。
「警備員さんーッ!不審者ですー!」
廊下に響き渡る声で叫びながら、止田が姿を消す。
男は、射抜くような視線で止田の席を見下ろしていた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/22(水) 22:30:30 ID:9ncqY4PZO<> とめださん頑張ってつとめだIN <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/22(水) 23:15:30 ID:CoZgNTm40<> 続きwktk <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/23(木) 02:33:04 ID:WbuqPJBB0<> >>170
ちょwwwまさかのトメダサンktkr
続きお待ちしております! <> 植/物/系/人的エロス 1/6<>sage<>2010/09/23(木) 03:24:46 ID:IMUwiZ+t0<> 宇忠イヌ作戦 マノレコ×モヅャット的な何か
花粉発言にほとばしる萌えを止められなかった…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

なんとなく夜中に腹が減って、
冷蔵庫の中になんかなかったかな、とキッチンへ来た俺は、
リビングに怪しい発光体を発見した!
何かがぼんやり光っている! 何だ!?
あ、普通にテレビだった!
いや待て、テレビの前に誰かいるぞ! 誰だ!?
あ、普通にモヅャットだった!

っていうか、

「……おい、こんな夜中に電気もつけないで何見てんだ?」
「うわあああ!!」

相当集中して画面を覗き込んでいたのだろう、
俺の存在に全く気付いていなかったらしいモヅャットが
奇声を発しながら勢いよく顔を上げた。
「な、何ですか!?」
「いや、それはこっちのセリフだ。コソコソ何してんだよ?」
言いながらテレビ画面に目をやった俺はさらに首をひねることになる。
そこに映し出されていたのは、
どうやら遥か昔の地球のテレビ番組の一場面のようだが…
「何だこれ?」 <> 植/物/系/人的エロス 2/6<>sage<>2010/09/23(木) 03:25:32 ID:IMUwiZ+t0<> なんかこう…森というか山というかそんなのが…もやーっとけぶって……
「おいモヅャット、この映像なんなんだ?」
「これはその、別に大したあれじゃないんです!
このあたりを整頓してたら出てきて、そう、本当に偶然発見して、
けっして私の個人的な趣味とかそんなんじゃ……」
涙目になりながらモヅャットが俺に訴えかけてくる。
どうしてそんなに必死なんだ! なんかこわい!
そのとき天才的な俺の頭脳にひらめきが走った。
「これはもしかすると…」
モヅャットが不安げな目で俺を見つめている。
「『花粉症』とかいうやつの関連映像じゃないのか?」
ごくり、とモヅャットがつばを飲み込む音が聞えた。図星のようだ。
「太古の地球人はたしか大量に飛散した花粉によるアレルギー症状に
悩まされていたと聞いたことがあるような気がするぞ。
おそらくこれはその花粉が大量に飛散している様を捉えた映像……
そして植/物/系/人であるお前が
そんな映像を人目を忍んで見ている理由はただひとつ……」
青ざめた顔のモヅャットが目を見開き、俺の言葉を遮ろうとするかのように
首を小さく横に振った。
俺は元大海賊の名に恥じぬとってもとっても悪い笑みを浮かべて、
暗闇に響き渡る通りの良い声でこう言った。

「――エロスだな!!」
「あああああああああー!!!」 <> 植/物/系/人的エロス 3/6<>sage<>2010/09/23(木) 03:26:19 ID:IMUwiZ+t0<> ヅャットは耳をふさいでソファに倒れこみ、じたばたと足を動かした。
手の間からちらちら見える耳がありえないほど真っ赤だ! 照れていやがる!
「そうかーそうだよなあおまえら植/物/系/人にとっては
花粉飛びまくり映像なんてもうえらいエロ動画だもんなー!
あははははは!!」
あまりの滑稽さに俺もソファに崩れ落ち腹をかかえて笑った。
モヅャットはというと、ひとしきりじたばたし終えて力尽きたのか、
ソファの背もたれに顔をうずめて脱力し、
ぐすんぐすんと肩を震わせ始めた。どうやら泣いているらしい。
なんせこのくそ真面目な公務員モヅャットが
夜中にこっそりAV見てるところを現行犯逮捕されたわけだから、
その恥辱屈辱たるや想像するに面白い。
いつも俺のスケベハッスルぶりを冷徹な目で見やがって、ざまあみろである。
とはいえちょっと可哀想でもあるかな、と
俺はあやすようにモヅャットの肩をぽんぽんと叩いた。
「ま、男は誰しもスケベなもんだ。ドンマイ☆
ほらほら気をとりなおして続きをみようじゃないかモヅャットくん!」
と、画面に目をやると、相変わらず花粉大量飛散映像が流れている。
どうやら数秒の映像をエンドレスリピートしているようだ。
何が偶然見つけただよお前! 熱烈スケベ編集済みじゃねえか!
そう思いっきり突っ込んでやりたい気持ちを抑える優しい俺。
が、モヅャットはソファから顔をこっちにむけたはいいものの、
完全にボロ泣きである。
スケベのくせになに泣いてんだ! なんかムカついた。
こうなったらお前を再度マヌケ極まるムラムラあはーん状態に叩き込んで
指差して笑ってやるぜ! <> 植/物/系/人的エロス 4/6<>sage<>2010/09/23(木) 03:26:59 ID:IMUwiZ+t0<> 俺は両手でモヅャットの顔を引き寄せると、
涙で張り付いている髪と葉っぱをわっさりかき上げ両サイドにはらい、
良好な視界を確保させた上で無理矢理テレビ画面に向けさせた。
モヅャットの首がぐきりと音を立て、なんとも言いようのない悲鳴が聞えたが
まあ気にしない。そんなことよりも。
「ほーらご覧なさいモヅャットさん、花粉がばっふばっふ飛んでるよー。
まさにザ・淫ら! どうだ感想を言ってみろ!」
「いたたた! ちょ、やめてくださいよ…!」
「なあ、どうなんだよ? 植/物/系/人的にはこれ、どんな風にエロいの?」
「どんな風って……」
「こんなに花粉が飛びまくってさ、もう受粉しまくりだろ?」
びくん、とモヅャットの体が一瞬大きく震えたのが分かった。「受粉」という言葉に
反応したらしい。
ていうか何だそりゃ!? 植/物/系/人のエロつぼってよく分かんねー!
と思いつつも、俺はモヅャットの耳元で囁き続ける。
「あんなにメチャクチャに受粉しまくったら、
もう何がなんだか分かんなくなっちまいそうだな?」
「……マ、マノレコ、やめてください…。映像を止めて…」
「何言ってんだよ、ほんとは見たいんだろ?」
モヅャットの視線はさっきからずっとテレビ画面に注がれたまま動かない。
最初は強い抵抗を無理矢理抑え込んでいた俺の手も、
今はモヅャットの顔の顎あたりにそっと添えられているだけだ。
「見ろよ、すげー花粉まみれ…」
「……や…」
液晶画面の光に照らし出されたモヅャットの顔は見たこともないほど紅潮していて、
呼吸はどんどん浅く、短くなっていく。
しっかり欲情してるな。俺は思わずニヤリと悪党笑いを浮かべてしまう。
いいぞいいぞ、俺の前でもっとみっともない姿をさらせ! <> 植/物/系/人的エロス 5/6<>sage<>2010/09/23(木) 03:28:10 ID:IMUwiZ+t0<> 「やっぱあんだけ花粉出したら気持ちいいのか?」
もっと耳に唇を寄せて囁いた。
んん、とモヅャットが目を伏せて、喉の奥でうめき声を押し殺す。
「ちゃんと見ろって、な?」
俺はくいっとモヅャットの顎を持ち上げて、俯いた顔を再び画面に向けさせた。
モヅャットの目は潤みきっていて、
もう映像を見ていなくても欲情を止められない段階に達しているようだった。
こいつのこんな表情初めて見た! 愉快すぎてゾクゾクする。
顎に添えていた指先を、そのままモヅャットの喉へゆっくり滑らせる。
厚い唇から、堪えきれないといったように吐息が漏れた。
「ほら、受粉してる。メチャクチャになってるぜ……」
「……ん、マノレコ…、もう、ほんとに……ぁ、あっ!」
ぐっと目を閉じてモヅャットの体が痙攣した。
「ん? もう何だよ…? って、ぎゃああああ!!」
と思った瞬間、もふっという音と共に俺の視界が盛大に霞んだ!
何だこりゃ!? しかもけむっ! すごいけむい!!
「げほっ! ごほっ……」
手で顔の周りを仰ぎながら、聡明な俺は迅速に事態を把握した。
花粉だ! 花粉出ちゃったこいつ!
つまりイッちゃったわけだ!
つーかイッちゃって花粉出るってお前…! 再び笑いがこみ上げる。
ああ指差して笑ってやりたい!!
が、花粉のもやが晴れるにしたがって俺の笑いは次第に引っ込んでいった。
モヅャットが乱れた息のままぐったりとソファにもたれかかっている。
蕩けた目の縁は赤く染まり、
まだ少し震えている肩が呼吸に合わせて上下している。
何だ? 男がイッた直後の姿って、こんなにエロかったっけ? <> 植/物/系/人的エロス 6/6<>sage<>2010/09/23(木) 03:35:50 ID:IMUwiZ+t0<> 「……ぁ、マノレコ…、あ、わああ!!」
やがて正気を取り戻したらしいモヅャットがすごい勢いでキョドり始めた。
俺のことを見るなり目を見開いて、頭から爪先までゆっくりと見回したあと、
また俺の目を見て「すみません! すみません!!」と
土下座せんばかりの勢いで謝りだしたのだ。
「え? な、何だよ? イッたとこ見られたくらいでそんな気にすんなよ」
「いや、だからその…ほんとすみません!!
ああどうしよう…! マノレコの全身に私の花粉をぶっかけてしまった…!!」
ぶっかけって…。あ、植/物/系/人にとってはそういうことなのか。
多分すっげー失礼なことをしたと思ってんだろうけど、
こちらとしては全然ピンとこねーぞ。たかだか花粉だし。
それよりもなんだ。
俺としては、さっきからこいつがやたらエロい感じに見えてることのほうが
問題なんだ。
たしかに俺はどスケベだけど、変態じゃなかったはずなのに。
そうか、宇宙船生活が長いからたまってるんだな。きっとそうだ。
「とりあえず、気にしなくていいって」
「気にしますよ! ああ…すみません、もう何ていって謝ったら……」
「うんモヅャット君、俺いますごく良いことを思いついた」
「え?」
「太古の地球にはこんな言葉がある。『目には目を』……
つまりやられたらやりかえせという意味なんだけどね」
「……ええ」
俺はモヅャットを抱き寄せると、
ボリューム満点の後ろ髪に手を差し込んで俺に向き合わせ、こう言った。

「今度は俺の花粉をお前にぶっかけるってことだよ!!」

多分、俺は今すっごい悪い顔で笑っている。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/23(木) 03:50:02 ID:Ldn3fUUv0<> >>182
元ネタ知らないけど萌えましたw
空中散布イイヨー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/23(木) 08:55:07 ID:pf1j0nA60<> まさかの宇宙イヌー!!萌えたぜ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/23(木) 11:05:58 ID:jb5HhcxbO<> >>182
エロ親父マノレコに萌えワロタw
宇宙大`読めるとは!GJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/23(木) 11:56:33 ID:p9j492mDO<> >>182
この二人の話が読めるとは!
GJGJ!同じく盛大に萌えワロタw <> 怪物と私 1/3<>sage<>2010/09/24(金) 00:34:28 ID:8uVOZZ/1O<> conteの王様コンテストで不覚にも萌えたので、Pスの怪牛勿とイ白爵様でどうぞ

台詞等が違う可能性が高いですが見逃して戴ければ幸いです
あと初投稿なので文の拙さもついでに見逃して戴きたいです


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


私は今、原宿に来ている。
こんな薄汚い人間が集まる下界くんだりまでどうしてこの私が来なければいけないのか。

「すみません、イケメソイ白爵様…」

こいつだ。
こいつのせいだ。
私の屋敷で働く怪牛勿で、いつも同じ服しか着ないくせにお洒落をしたがって私と出掛けたがるのだ。


しかし原宿に来て1時間、あれだけ来たがっていたのに来たのにクレープを片手にしょんぼりしている。

「なんだ、食べきれないのか?」
「はい…」
「だから食べきれるのかと聞いたんだろう!」

クレープ屋だ、クレープ屋だと嬉しそうな顔をするものだからつい買ってしまったが、結局は残ったこのクレープだって私が食べる羽目になるのだ。

「もう食べられないのなら私によこせ!」 <> 怪物と私 2/3<>sage<>2010/09/24(金) 00:36:45 ID:8uVOZZ/1O<>
少し語気を荒げてしまったためか、怪牛勿は下を向く。

「すみませんイケメソイ白爵様」
「謝るな」
「せっかく私のような怪牛勿を、好奇の目を忍んで連れ出して下さったのに」
「気にするな、興が冷めるわ」
「イ白爵様…」


そうこうしているうちに裸フォーレについた。

「ほら、着いたぞ」
「あの」
「何だ?」
「お金が…」
「3万やったろう!」
「賽銭箱に入れてしまいました」

3万も賽銭に使う願いなどあるはずないだろう。
私はこのままお前と暮らしていきたいと、たった5円の賽銭で神に願ったのに。 <> 怪物と私 3/3<>sage<>2010/09/24(金) 00:37:21 ID:8uVOZZ/1O<> 「…屋敷に帰ったら狼の世話をちゃんとするか?」
「します」
「いつも以上に働くか?」
「はい」
「今回だけはジーンズを買ってやるからな。今回だけだぞ」

怪牛勿は私を伴い、嬉しそうに裸フォーレへと入ってジーンズを買った。

「で、お前。そのジーンズはいつ履くんだ?いつもこうやって買い物に連れて来てやってもまた今日のこの服を着るのだろう」
「だってこの服はイ白爵様が私に初めて下さった服なので…」
「それでは私がお前の為に金を注ぎ込んでもドブに捨てているようなものではないか」

私は大きく息を吸った。

「いいか、そのジーンズは絶対に似合うから私の前で必ず履け!前買ってやった服も着ろ!!絶対だぞ」
「え?」
「だから買ってやった服は絶対に着ろって言ってるんだ何度も言わせるな恥ずかしい!ついでにこれからずっと、毎日の私の服も選べ!わかったな!!!」

私の言葉が聞き取れた瞬間怪牛勿の目は潤み、微笑んで出会ってから初めて大きな声ではいと言った。


まったく、世話のかかるやつだ。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
キャラとストーリーが破綻してしまい、大変申し訳ございません <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/24(金) 00:55:27 ID:qXZ9J+i8O<> >>192
神よ、ありがとう…!
平和(要英訳)のネタが邪な目でしか見れなくて悶々としていたのです!
まさか棚に投下されるとは!
ツンデレな伯爵に胸が高鳴るっ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/24(金) 00:58:18 ID:YBAuQN5r0<> >>192
まさかこの2人の話が読めるとは
ちょうど同じ番組見て萌えてたところです <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/24(金) 01:05:43 ID:+r1nvFWu0<> >>192
GJ!
かわいい二人をありがとう <> コーヒーを一緒に・・・2 1/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:24:05 ID:X58NEJuU0<>  闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、
媚薬物です。ツンデレ気味。>>141の続きになります。レスして頂いたた方、ありが
とうございました 成人滑丑の釣り針に釣られそうですw

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 「お待たせしました」
 丑嶋が座っているソファの前にあるテーブルにコーヒーが入ったカップが置かれた。
 眼鏡を外したままだった丑嶋はコーヒーを持ってきてくれた柄崎を一瞥する。
 丑嶋は数度瞬きをし、眼鏡をかけると白いマグカップの取っ手に手を掛けた。長い
指が白い取っ手に絡まる。そんな何気ない光景さえも、もし万が一にでもあの薬が効
いたらと想像をすると淫靡な行動に見えてくるから不思議だ。
 本当に眠くて判断力が鈍っているのか、柄崎が何か良からぬことを企んでいるとは
思ってもいないのか、それともただ単にコーヒー自体が自宅の物だから疑う余地もない
のか、丑嶋は何も躊躇することなくカップを唇に近づけた。
 あと15センチ、あと10センチ、もう少しだけ、と柄崎が固唾を呑んで見守る中、つい
に丑嶋の唇に白磁がピタリと付いた。
 「や・・・、やっぱり駄目だ!社長、そのコーヒー飲まないで下さい!」
 柄崎はこれまでの人生で一番とも言える素早さで丑嶋の持っているマグカップを掴んだ。
 「わっ!」
 丑嶋がまだ持っているカップを勢いよく掴んで引っ張ったものだから、急に予期せぬ
力が加わったことにより丑嶋の手がグラつき、中のコーヒーが少し柄崎の膝の上に零れて
しまった。 
 「あちっ!」
 先ほどまでコーヒーメーカーで保温されていた中身は予想外に熱かった。 <> コーヒーを一緒に・・・2 2/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:25:52 ID:X58NEJuU0<>  「おい、急に何だ?!」
 幸い丑嶋はコーヒーを被らなかったが、下手をすれば丑嶋だって火傷をしたかも知れ
ないのだ。あまりに不可解な行動をする柄崎に声を荒げる。
 「すっ、済みません、本当に済みません」
 柄崎は完全に混乱している。
 半分涙目になっている柄崎を「危ないだろ」と叱り飛ばすことも出来ず、丑嶋は手近
にあったティッシュボックスから無造作に大量のティッシュを出し、柄崎の膝を優しく
叩くようにコーヒーを拭いてくれた。
 一人で慌て、一人で場を乱し、まさに空回りを演じきった柄崎は、擦って余分な染み
を広げないように拭いてくれている丑嶋に今すぐ土下座で謝りたくなる。
 丑嶋はティッシュで柄崎のズボンに滲みたコーヒーを拭き取ると、続いては床に零れた
分を手早く拭き始めた。
 屈んで床を拭く丑嶋を柄崎はオロオロと眺める。柄崎は立っていて、丑嶋は床に屈ん
でいるので、ポロシャツの襟首からはうなじが見える。あの風俗店の店長にも負けない
玉の肌だが、そんなことで鼻の下を伸ばせる余裕はない。
 「社長、俺がやります」
 「いいよ。もう終わる」 
 せめて、と思った柄崎だったが、丑嶋の声は冷たい。
 冷静になれば、丑嶋の声色はつねに冷たいのだと思えるのだが、今の柄崎にとっては
拒絶されているようだ。
 もうこれ以上ここにはいられない、と帰ろうと思うと、床を拭き終わった丑嶋は柄崎の
心中を察したのか、ティッシュを捨てて柄崎のほうに向き直った。
 「柄崎」
 「はい・・・」
 丑嶋は柄崎の目を見ながらテーブルの上に置いたカップの片方を指で弾いた。
 「お前がこっちを飲め」 <> コーヒーを一緒に・・・2 3/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:26:41 ID:X58NEJuU0<>  顔を上げ、丑嶋が指で弾いているカップをみた柄崎は一気に青ざめた。丑嶋が「飲め」
と言っているカップは、もう片一方のカップに比べると明らかに中身が少なく、白い
カップの表面にはコーヒーが垂れた筋がついている。つまり、先程、柄崎が丑嶋に飲ませる
為に用意した媚薬入りのカップの方だ。
 媚薬の真偽は危うい。でも考えてみれば、このコーヒーに混入した媚薬をくれた店長は
以前から妙に誠実な所がある。だとすれば、本物の媚薬かもしれない。
 もし本物だとしたら、丑嶋に飲ませる分にはこの上ない幸運だ。だが、自分が飲んだら
危険だ。
 柄崎は最早にっちもさっちもいかなくなり、顔色は真っ青だというのに額からは大粒の
汗を流すという真逆の状態を器用にこなす。
 丑嶋は今にも気絶してしまいそうな柄崎をただジッと見つめる。よく視線が突き刺さると
いう比喩があるが、まさに柄崎の心の中の罪悪感には丑嶋の強い視線が突き刺さった状態だ。
 もういっそのこと、本当に土下座して誤ってしまおうか。だが、土下座したところで「飲
め」と言う命令は覆らないだろう。柄崎は深呼吸すると、床に座った。そして、恐る恐る
わざわざご丁寧に自分の前に移動された媚薬入りコーヒーのカップを手に取った。
 けれど、手が強張って動かない。
 ギクシャクと出来の悪いからくり人形のように動く柄崎を見かね、丑嶋が珍しく穏やか
で優しい声を出す。
 「なあ、柄崎。飲めないのか?何でだ?」
 「それは、ですね・・・。そのォ・・・」
 「もしかして、何か入れたか?」
 「う・・・・・・。はい」
 優しい猫なで声がかえって怖く、柄崎は洗いざらい白状してしまい、このコーヒーがどの
ように危険なものかを説明して許してもらおうと腹を決めた。 <> コーヒーを一緒に・・・2 4/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:27:34 ID:X58NEJuU0<>  一旦手の中のカップをテーブルに置き、胸ポケットに入れておいた媚薬の小瓶を丑嶋に
差し出す。
 「これを入れたのか。ふーん、中身は?」
 丑嶋は差し出された小瓶を受け取り、マジマジと見てみる。
 「中身は今日回収に行った風俗店で貰った、所謂、なんと言いますか、媚薬らしいです」
 媚薬、と言われて、丑嶋は天を仰ぐように上を見た。店長に小瓶を貰った時の柄崎と同然、
日常では聞きなれない媚薬という言葉を考え込んでいるようだ。
 続いて瓶のふたを開け、匂いを嗅ぎ始めた。すると、すぐ合点が言ったというような顔に
なり、一瞬眉を顰めた。
 「媚薬?これが?」
 丑嶋は再びカップを持つと、柄崎の手の中に握らせ、残酷極まりないこと結論を口にした。
 「媚薬、か。あっそ。良いから飲めよ」
 完全に身体窮まった柄崎は、ついにカップに口をつけ、心を無心にして一気にコーヒーを
飲み干した。
 コーヒーは砂糖もミルクも入っていないブラックの筈なのに、何故か甘ったるく感じた。
匂いはコーヒーだが、どことなく他の食品の匂いもしたような気がしたが、果たして何の
匂いかは分からなかった。
 カップの底には何も残らない程丁寧に飲みつくし、丑嶋に見せるようにカップをテーブル
に置いた。
 「飲みました・・・」
 すっかり空になったカップを覗き込むと、従順な柄崎に気を良くし、珍しく丑嶋が笑顔を
見せてくれる。
 「よし」
 にっこり、とか花の咲くような、とか表現することを憚られるニヒルな強面の笑顔だが、
それだけでも柄崎には十分だった。もし柄崎が犬だったら、千切れんばかりに尻尾を振って
いることだろう。 <> コーヒーを一緒に・・・2 5/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:28:17 ID:X58NEJuU0<>  しかし、褒められたところで、薬を無断で使用しようとした罪悪感はまだあり、丑嶋の笑
顔を直視できない。柄崎は首を曲げ、顔を背ける。
 ぎこちない態度の柄崎に対し、丑嶋は笑顔を崩さずに立ち上がる。丑嶋が動いたことで、
柄崎の鼻腔にコーヒーとは別の香りが届いた。キツイ匂いでもないのに、何故か胸焼けする
ような甘い桃の香り。戌亥との秘められた情事の証拠。憎くて、羨ましくて堪らないのに、
丑嶋が衣服にではなく素肌に纏わせた香りだと思うと、それだけで興奮を煽る。すっかり
忘れていた筈なのに、今のタイミングで突然強く感じるようになったのか。
 柄崎が再び丑嶋のいる方を向くと、丑嶋は柄崎のほぼ横に床に座り、柄崎の顔を覗き込
んでいた。
 「・・・!」
 叫び、飛び退き、誤魔化すように笑って済ます。醜い嫉妬と、猛る欲望を悟られないた
めにすべき行動が脳裏に浮かぶ。だが、ただ浮かんだだけだった。
 あどけない可愛さなど微塵もない丑嶋の笑顔に魅入られ、柄崎はぬめる様な色欲が足の
爪先からヘソにかけて昇って来るのを感じた。下半身全体がジンとし、体が重たく感じる。
 柄崎の理性と倫理と丑嶋に対する純粋な忠誠心が熱を増す下腹部に懸命に叱責を繰り返す。
 けれど、心なしかいつもよりも勃起の速度が速いような気がする。やはり、あの媚薬は
本物だったのだろうか。
 だとすれば、これ以上丑嶋の傍にいたら不味いではないか。もう柄崎自身の中では、丑嶋に
対する自分の気持ちが単なる尊敬の念ではなく、年々と蓄積してきた恋心だということは
自明だ。それに、戌亥に対するモヤモヤとした感情が嫉妬だと言う事も自明だ。
 ならば、このまま丑嶋の傍にいては、いつ感情が爆発してもおかしくないのだ。ましてや、
媚薬が効果を表し始めている今ならば尚更だ。
 いざとなれば、丑嶋に力で劣る柄崎が丑嶋を力づくでどうこう出来ることはないのだから
良いのだが、そんなことになって、丑嶋に軽蔑されるのが一番怖かった。なのに、下半身に
集まった血流は一気に性器に流れ込み、硬度を強めていく。そんな最低な自分に嫌気がさし、
落ち込んでしまう。 <> コーヒーを一緒に・・・2 6/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:28:55 ID:X58NEJuU0<>  丑嶋の方から近づいて来たならば、柄崎が離れれば良いだけだ。柄崎は媚薬を盛ろうと
したことを謝り、何とか丑嶋の許しを得て自宅に帰ろうと思った。
 しかし、柄崎が口を開く前に、丑嶋の長くて無骨な指が柄崎の手に重ねられ、離すまいと
指を絡めてきたものだから驚いた。
 「う、丑嶋!あっ、間違えた、社長っ!何して・・・」
 みっともないほど声が裏返り、握られた手には大量の汗が滲んできた。それに比べ、丑嶋の
手は冷たく、スベスベとしている。やはり、予想通りのキメ細かい肌だった。
 「柄崎、お前さ、俺に媚薬を飲ませてセックスするつもりだったんだろ?やりたきゃ、やって
みるか?」
 丑嶋は柄崎の手を撫でながら穏やかな声で物騒な事を言い出した。突然何を言い出のだろう
か。柄崎は媚薬のせいで幻聴が聞こえたのかと思った。
 「社長、本当に今日はこんなことして、どれだけ謝っても許されないかもしれませんけど、
すみませんでした。俺、もうここらでお暇します」
 「このまま帰るなんて、お前は馬鹿か?」
 甘美な幻聴に勃起した性器がビクリと跳ねる。だが、これは単なる幻聴なのだから。誘惑
されて、のってはならない。だが、幻聴は未だ止まない。 
 「やりたいなら、やってみろよ。つーか、やれよ」
 柄崎は丑嶋の口の動きを見る。口の動きと、丑嶋の言葉は共通している。どうやら、幻聴
ではないようだ。だからと言って、相手は丑嶋だ。そこらでナンパした奴や、キャバ嬢や、
風俗従業者ではないのだ。お言葉に甘えて、はい、いただきます、といける訳無いではないか。
 けれど、さらりとぶつけられた甘美な誘いの言葉を避けきれず、真正面から喰らってしまっ
た柄崎はもうフラフラだ。それに、媚薬のせいかもしれないが、先程から心臓が早鐘を打ち、
呼吸は苦しくなるほど浅くなってきている。 
「しかしですね、この件に関しましては全て俺が悪かったんですし、いくら何でも、その気
のない社長をどうにかするのは・・・」 <> コーヒーを一緒に・・・2 7/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:31:12 ID:X58NEJuU0<>  柄崎は言い訳の言葉を紡ごうとしたが、ふいに重ね合わせられていた丑嶋の手が移動し、
胡坐をかいている柄崎の股の間に来たので、ついに押し黙ってしまう。直接触られたのでは
ないのに、腰を前に突き出せば熱くなった性器の先端が触れてしまいそうな場所に丑嶋の手
があるというだけで、根深くある倫理感、罪悪感などの多くの想いの中から、「誘われるが
ままにセックスしたい」という肉欲だけが他を押しのけて前に出てくる。
 しかし、しかし、と柄崎の頭の中では壊れた蓄音器のように言い訳が零れる。やりたくて
仕方がないのに、どうしても前に踏み出せない。もしかしたら、丑嶋はこのような逼迫した
状態を利用して、柄崎の忠誠心を試しているのかもしれない。普通ならそんなことは考えにも
及ばないのだが、丑嶋はそれぐらいのことを平気でやってのける冷静な男だ。
 第一、先ほど言い訳したように、媚薬という卑怯な手がばれてしまった今や、冷静な男、
丑嶋を抱く理由などなくなってしまったのだから。嘘か誠か分からない口先だけの誘いの
言葉に釣られ、丑嶋に「この程度の男か」と低く見られるのは悲しすぎる。どうにかした
いのに、どうしたら良いのかは出口が分からなかった。  
 
 柄崎が混乱で顔を真っ赤に紅潮させ、目をキョトキョトとする柄崎に対し、丑嶋は半分
呆れていた。本物か偽物かなんて丑嶋にとっては最早どうでもいいことだが、媚薬まで盛
ろうとしたくせに柄崎は手を出してこない。
 確かに、正直に言えば、最初は柄崎とセックスしようなんて考えは持っていなかった。
柄崎はあくまで部下だったからだ。かなり以前から柄崎が自分に対して恋心を抱いていた
のは感じていたが、自分から餌を与えてやる気になんてなれなかったのだ。
 しかし、いざ柄崎が媚薬を使おうとした事を知ってしまったら、卑怯な手を使われるの
は嫌だが、そんなに追い詰められるほど求めていてくれたのか、とおかしなことに嬉しく
なってしまった自分がいた。調子に乗るから、絶対に言ってやらないが。 <> コーヒーを一緒に・・・2 8/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:32:36 ID:X58NEJuU0<>  丑嶋は柄崎の性器が勃起しきっているのを気がついている。今の柄崎は、ギリギリまで
水を注がれたコップと同じだ。愛情、肉欲などの愛しい気持ちは許容量寸前まで溜まり、
表面張力でかろうじて気持ちを溢れさせないように耐え抜いている。角砂糖の一つでも
落としてやれば。きっと水は溢れかえる。でも、与える角砂糖は甘く、解けにくく、重い
物でなくてはならない。
 可哀想な程追い詰められた柄崎を鼻で笑い、傍らに置いておいた媚薬の小瓶を手に取った。
中身はあと半分。溢さないように蓋を開けると、甘い匂いがしてくる。
 丑嶋は蓋の開いた小瓶を親指と人差し指で摘まむと、下を向いてウンウン唸っている柄崎
の額を瓶の底で小突いた。
 「・・・っ!何ですか?」
 柄崎はやっと顔を上げた。混乱のせいで眼には生理的な涙が滲んでいる。涙と爆発せん
ばかりの肉欲との戦いで眼は霞んでいる。
 霞む視界には丑嶋が媚薬の入った小瓶をぶら下げている。何をしているのだ、と首を捻る
と、何と丑嶋は媚薬の入った小瓶に口をつけ、あろうことか中身を呑み込んでしまったでは
ないか。
 「えっ?」
 柄崎の目の前に空になった小瓶が置かれた。中身は当然ながら、小瓶から丑嶋の体内へと
注がれた。飲んだ直前だから、恐らくまだ食道あたりだろうが、飲んでしまったのは間違い
ない。
 何て事をするんだ、と柄崎は唖然とするやら、丑嶋の体を心配するやらで、呼吸さえも
忘れて丑嶋を見つめた。
 厚い唇に少し付いた媚薬の残滓が数滴光っている。色艶の良い唇に付いた媚薬を改めて見て
みると、媚薬は薄こげ茶色だったのに気が付いた。
 呆けている柄崎に丑嶋の視線が合わさる。丑嶋は空になって邪魔になった小瓶を手で払うと、
胡坐をかいて座っている柄崎の足を跨いできた。 <> コーヒーを一緒に・・・2 9/9
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/24(金) 01:33:28 ID:X58NEJuU0<>  至近距離で丑嶋に触れ、柄崎は逃げようとする。ちょうど股の上に丑嶋がいる為、尻の谷間
に勃起した性器が当たる体制になってしまうのだ。不味い。もう完全に不味い。媚薬と、刺激
的すぎる体制にこれだけで射精してしまいそうに興奮してしまう。
 ところが、丑嶋が上に乗っているので思うように逃げれない。ただ肩を左右に振り、少しだけ
だが床につけた脚をバタつかせることしか出来ない。
 丑嶋は往生際の悪い柄崎の両頬を両手で挟むと、鼻と鼻が触れ合いそうな距離に自分の顔を
近づける。最早、首を曲げて視線を反らすことも敵わない。かと言って、目をつぶってしまう
には勿体無いと感じる程に丑嶋の眼は穏やかだった。
 ついに丑嶋に捕らわれてしまった柄崎は何か気の利いた言葉を言わねば、と思う。だが声帯は
音を出す方法を忘れ、代りに湿り気を帯びた吐息が漏れ、すぐ近くにある丑嶋の唇にかかった。
 丑嶋の唇についていた媚薬の残滓は柄崎の吐息に揺れ、数滴の粒は一粒にまとまって唇から滴り
落ちようとしている。柄崎は今にも滴り落ちそうな水滴を舌で舐め、たった一滴だが味わいながら
飲みこんだ。
 「やっとその気になったか。この小心者」
 丑嶋が楽しそうに言う。柄崎は反論せず、言葉を紡ぐ丑嶋の唇に舌を這わせた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
 柄崎、へタレ脱却?まだ終わりませんが、続きはいずれ。お目汚し失礼しました。貴重なスペース
をお借りし、ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/24(金) 02:45:35 ID:fKrqYAVaO<> >>198
生殺しすぎます姐さん!
まさに社長を目の前にお預けくらう柄崎の気持ちをリアルに味わわせて頂けて嬉しいやら焦れったいやら…

続きを首長でお待ちしてますm(_ _)m <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/24(金) 04:41:55 ID:VRUBUabZO<> >>206
ちょっ…!マウンティングポジションな社長にときめいてたら
寸止め…だと…
浴槽に突っ張り棒して続きを待ってますよ〜! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/24(金) 14:40:29 ID:43l9/FPDO<> >>192
ツンデレイ白爵サマktkr
生放送で萌え録画で萌え、姐さんの投下で3度萌えたよ
ありがとう!!!
<> たぶん全部気圧のせい 前編 1/6<>sage<>2010/09/25(土) 20:04:05 ID:lCoPsCGF0<> 難局のコックさん改め、シェフ。半生注意です。

ドクタ.ー×仁志村 後、新やん×仁志村。
前者を新やんが見てしまったその後。ぬるいエロがあります。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「仁志村君、楽しいことしない?」
「え、なに?どんな?」

満面の笑みを浮かべて厨房へやってきたドクタ.ーに、うきうき聞き返してしまったのがそもそもの始まりだった。

太陽が姿を見せなくなって2ヶ月。
ドーム藤基地周辺は連日マイナス70℃を記録する夜の世界に支配されている。
のんびり穏やかマイペースの仁志村も、正直かなり滅入っていた。
計画的に仕入れたラーメンを盗み食いされたり、こっそりバターをかじる人間が現れたり。
話すたびにちょっとだけ緊張してしまう、雪氷の研究者であるモトさんには、「飯を食うために南極にきてるんじゃない」
とまで言われてしまった。
悪気はないのだろうが、これにはかなり傷ついた。
仁志村はその飯を作る為に、富士山よりも高く、ウイルスさえ死滅するこの白銀の砂漠にいるのだから。

そんなわけで、仁志村はまんまとドクタ.ーの毒牙に掛かった。
ドクタ.ーの言う“楽しいこと”は、仁志村の予想を遥かに超えたものだった。

「大丈夫、俺、医者だからね。なんかあったらすぐ治療するし。人体のスペシャリストだよ、仁志村君」
「はあ。・・・え、治療?」
「人間、性欲は持ち続けないと。それから何よりね、他人に触れること。これは一番大切。自己処理は勿体無い」
「いや、あの」
「じゃ、試してみようか」
「え、あの、ちょっと、・・・・あっ」 <> たぶん全部気圧のせい 前編 2/6<>sage<>2010/09/25(土) 20:05:39 ID:lCoPsCGF0<>
・・・・毒牙というほど、悪くはなかった。むしろすっきりしてしまった。
良くも悪くも、仁志村は環境に馴染むのが上手い。
14,000キロの彼方にいる家族の顔を想うと、とんでもないことになってしまったような気がしないでもない。

そして数ヶ月振りの夜明けが訪れてすぐ、悲劇は起こった。
ドクタ.ーと“楽しいこと”をしているところを新やんに見つかってしまった。
口止め料として強請されたいくら入りおにぎりは、不渡りとなった。(おそらくドクタ.ーの所為で)

仁志村は再び気が滅入った。

***

医療棟にあるドクタ.ーの診療室は厨房と違い、きちんと閉まるドアがある。

果たして、ドクタ.ーは全く懲りていなかった。
仁志村もなんだかんだで結局乗ってしまった。

消毒用とも飲用ともつかないアルコールの匂いが漂う室内は、仁志村の荒い息遣いと、体液が交じり合う濡れた音で満ちている。
毎夜ドクタ.ーがマスターに変身する“BARフクダ”のソファ席兼診察台の上、
執拗なほど長い口付けの合間に、仁志村は必死に空気を掻き集めていた。

「仁志村君、慣れて来たじゃない」
上から覗き込まれる笑みを含んだ視線に耐えかねて、仁志村は無言で目を伏せた。
身体の奥できつく擦れる異物の感覚が鮮明になる。
ドクタ.ーの動きに合わせ、下腹部に広がる痺れがより強くなって、眩暈がする。

「随分気持ちよさそうだねぇ」
・・・この人は本当にイイ趣味をしている。

思わず手をあげ顔を覆った仁志村の手首を、ドクタ.ーは笑いながら強引に診察台に押し付ける。
そのまま強く突き上げられて、仁志村は掠れた悲鳴をあげた。 <> たぶん全部気圧のせい 前編 3/6<>sage<>2010/09/25(土) 20:06:30 ID:lCoPsCGF0<> 背筋に強い痺れが生まれる。
―もう少し。
喘ぎながら、そのまま上り詰める熱を逃そうとすると、図ったかのようにドクタ.ーが動きを緩めた。
駆け上がる快感を引き止められ、取り残されたような浮遊感に不安になって、仁志村は眉を寄せ薄く目を開けた。
ドクタ.ーの肩越しに天井の照明がぼやけて見える。

初めの頃は喉元まで圧迫されるような異物感がひどく、苦しいだけで全く楽しくなかった。
今でも異物感はある。しかし、回を重ねるごとに仁志村の身体に馴染んで、確実に気持ちが良くなっている。
こういう快楽があるんだなぁと、元来淡白な仁志村は他人事のように思う。
平時でさえ淡白だったのに、ドクタ.ーの手を取ってしまうのはなぜなのだろう。
人恋しいから?命に係るほどの寒さ故の本能?(明後日方向なのは置いておいて)
それとも気圧が低い所為なのか。そんなわけはないな、それはむしろ逆じゃないのか。
けれども仁志村は、閉ざされたこの場所で8人の隊員が次々に発情期を迎える様を想像してしまった。
滑稽すぎて、逆に恐ろしかった。

「ほら仁志村君、集中して」
「ふ・・・・あ・・」
挿入の角度が変わり、奥まで突き上げられた身体がたわむ。
診察台が仁志村の下で軋んだ音を立てる。
ドクタ.ーは顔を反らす仁志村の顎を強い力で押さえつけ、酸素を求め開いたままの口腔へ舌を差し入れた。
絡まる舌の動きに混ざり合った唾液が仁志村の喉を塞ぐ。
「ん・・・っ・・」
ただでさえ息苦しいのに、呼吸まで奪われたら本当に死んでしまう。
ドクタ.ーの胸を上手く力が入らない腕でなんとか押し退け、首筋を這い上がる甘い痺れと苦痛に苛まれながら、仁志村は濡れた目を上げた。
「ドクタ.ー、もう・・・」
「もう無理?」
ドクタ.ーは薄く笑いながら、言葉なく首を縦に振る仁志村の腫れた唇を柔らかく噛むと、体勢を変えた。
仁志村の腰がその予感にひくりと反応する。
焦らされることなく与えられる快楽に、すぐに何も考えられなくなった。 <> たぶん全部気圧のせい 前編 4/6<>sage<>2010/09/25(土) 20:08:05 ID:lCoPsCGF0<> ****

レンズ越しのきつい眼差しが先程からずっと仁志村に向けられている。
右手を怪我した新やんは、モトさんのサポートに付く事ができなかった。
厨房で出来る事もないのだが、先程から作業台に肘をついた姿勢で居座っている。

―やりにくい。

仁志村は針の筵に座っているような気分で、数日前のドクタ.ーとの会話を思い出していた。

『ドクタ.ー、新やんと何か話した?』
渡されたウエットティッシュで情事の残滓を拭いながら仁志村はドクタ.ーを伺う。
もともとこれが聞きたくて、診療室に足を運んだのだった。
『うん、俺を脅すのは百万年早いって事で、いくらは没収しといた』
『それで』
『それだけ』
ドクタ.ーはそっけなくそう言うと、火を点けたばかりのタバコを目を細めて不味そうに吸った。
『それだけって・・・あと4ヶ月もあるのに』
さすがに気まずい。
ここでの生活はまだまだ続く。それなのに、“口止め料”を取り上げた上に、何のフォローもしていないなんて。
ドクタ.ーはどこか寂しげに笑った。
『4ヶ月も、か。前にも言ったけどさ、俺はあと数年ここにてもいいな』

「仁志村さーん、聞いても良いですか」
のんびりと響いた新やんの声に、仁志村は飛び上がりそうになった。
「・・・・なに」
「前、オレが凍傷になったとき、モトさんのサポートに代わりに入ってくれたでしょ。モトさんとどんな話してたんですか?」
「どんな話って・・・・削りだした長細い氷・・・コアだっけ?それの値段とか・・かな」
万が一落したら弁償しろ、と脅された気もする。
「ふうん」
「なんで」 <> たぶん全部気圧のせい 前編 5/6<>sage<>2010/09/25(土) 20:08:56 ID:lCoPsCGF0<> 「モトさん、結構キツイとこあって、俺、割と落ち込むんですよねー」
「うん」
「いや、すげーいい人なんです。大好きなんですけど、ウチの教授より全然イケてるし」
仁志村も異論はなかった。モトさんはすごくいい人だし、楽しい人だとも思う。
気難しい所が多々あって、機嫌が読みにくいことも沢山あるけれども。
自身の仕事に対する姿勢は、畑違いの仁志村から見ていても格好良い。
生活サポートチームとして同じ隊にいることが誇らしく感じる程に。

「で、モトさんとも、あんなことしてるんですか」
油断していた仁志村は、危うく持っていた包丁を落しかけた。無意識に瞬きの回数が多くなる。
「・・・あんなことってなにかな」
「イチャイチャ、とか。キスしたりと」
「してません」
新やんが仁志村のほうへ身を乗り出す。
「じゃ、ドクタ.ーとだけ?」
「黙秘します」
「俺とは嫌ですか」
「え?」
さらに新やんは仁志村に近づいた。
「俺ともしてください」
仁志村は笑い飛ばそうとしたが、新やんの思い詰めた様な表情を見て諦めた。
新やんはつい最近遠距離恋愛の恋人に振られたばかりだった。
相手の元に駆けつけられないもどかしさを、吹き荒ぶ雪嵐の中で必死にやり過ごしていたのを知っている。
仁志村は少し心配になってしまった。
「自棄はよくないよ、新やん」
「自棄じゃないです。だってオレがモヤモヤしちゃったの、仁志村さんの所為ですよ。あんなやらしい顔してるから」
「・・・インマルサットの鶯嬢はどうしたの」
「それはまた別の話で。つーか先の話で。だから、」
「減るからだめ」
「むしろ減らしましょうよ!」
「やだよ」 <> たぶん全部気圧のせい 前編 6/6<>sage<>2010/09/25(土) 20:10:48 ID:lCoPsCGF0<> 「おねがいします!」
「はいはい、食事中あぐらかかないようになったらね」
「もうかきません!ぜったい」
「・・・新やん、何言ってるかわかってるの?」
“自分を棚にあげて”、とはっきり顔に書いて新やんはむっと押し黙った。
眩しい程白い包帯が巻かれた右手を仁志村に差し出す。
「わかってます。だって手が不自由なんですよ、仁志村さん」
「反対があるでしょうが」
「いや、俺はこっちって決めてるんで」
「しらないよ。さ、向こうでビデオでも見ておいでよ」
仁志村は一方的に話を切り上げ、調理作業に戻った。
その場で立ち尽くす新やんが視界の隅に入ったが、無視を決め込んだ。

「モトさんに、言っちゃおうかな」

今度こそ高い金属音を響かせて包丁が床に落下した。
どうしてモトさんなんだ。
驚きすぎて包丁を拾うことも出来ず、仁志村は暫く真正面から新やんを見つめてしまった。
新やんは不貞腐れた子供のような顔をして仁志村を睨んでいる。
「冗談、だよね」
新やんは一瞬目を逸らした後、何かを振り切ったような鋭い視線を仁志村へ向けた。
「冗談かもしれないし、冗談じゃないかもしれません」
仁志村の心臓がぎゅっと音を立てて収縮した。
「口止め料はきっちり頂きます。ご存知の通り俺、今、手負いのケモノですから」
やっぱり自棄じゃないか。
可愛い弟分のようだった新やんの豹変振りに、仁志村は文字通り開いた口が塞がらなかった。
気圧か。気圧だな。きっとそうだ。難局の低気圧はきっと何か違うんだ。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

10レスいってしまうので、ここで中断します。後編につづく。
貴重なスペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/26(日) 00:20:18 ID:2WXTFfNH0<> >>215
いよ!待ってました!!!
そして続きも待ってますとも!!! <> 風と木の名無しさん<><>2010/09/26(日) 00:38:28 ID:wNZyqtVTO<> 待ってました2イヤン!
<> 風と木の名無しさん<><>2010/09/26(日) 19:25:47 ID:M0re7NH00<> http://ranobe.sakura.ne.jp/src/up48911.jpg <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/26(日) 21:32:45 ID:KH/4rHaz0<> >>215
まってまーす <> ヘンリ−とうわさばなし 1/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:49:05 ID:DIJoTG/P0<> ちょいとスペースをお借りします。

きか○し。ト−マス 擬人化(機関車→機関士)エロ有。
4×3に4←6絡み。6好きな方はスルー推奨でお願いいたします。

以前こちらに投下しました「ゴードンとヘンリーと腕の中のホシ」の引き続き
といっても、前の読んでなくても読めますが。だいぶマイ設定入ってます。
少々長いので2分割で。エロは後半にて。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

噂話はとにもかくにも時間も場所も選ばずに、いつも不躾に舞い込んで来る。
人が集まれば集まっただけいろんなネタがあるわけだけど、中には特にそういったものに好かれてしまう人がいたりする。
彼がそこにいるだけで、彼の名前が出るだけで、新しい噂が次から次へと飛び出してくる。
僕の恋人は今日もまた、噂話の真ん中にいた。 <> ヘンリ−とうわさばなし 2/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:50:04 ID:DIJoTG/P0<> 「なぁヘンリ−、知っているかい? タンク機関車の機関士で一番可愛いって評判のあの子が、ゴ−ドンに告白したらしい」
ジェ−ムスはワクワクが止まらないといった表情で、僕の肩を叩いて言う。
「噂は聞いているけど、タンク機の機関士って女の子はロージーしかいないよね。あの子なの?」
「六号機の子だよ」
「六号って……パーシ−? まさか。男の子だろ」
「そうなんだ。モテるのは相変わらずだけど、まさか男まで落としちゃうなんて、一体どこまで罪作りなんだろうね?」
ジェ−ムスはゴ−ドンと僕の関係を知らない。
ゴ−ドンと僕が男同士でありながら恋人として付き合っていることを知っているのは、年長者のトビ−とその夫人のへンリエッタだけ。
僕らが付き合うきっかけになった出来事に、トビ−が少し関わっていたからだ。
男同士の社内恋愛なんて隠して当然のものだし、何よりゴ−ドンの人気ぶりを考えると、とてもじゃないけど公言するわけにはいかない。
いつも一緒にいる僕らは表向き親友ということになっていて、今のところはそれでなんとか済んでいる。特に噂にされたこともない。
勤務中は仲良くするよりも鼻息荒く言い争っている事の方が多いから、当然の流れなんだろうけど。
「よくもこう毎日、新しい相手との噂が立つもんだよね。でも告白しちゃったなんてのは初めてだろ」
「うん。面と向かって言った子は初めてだね。男の子も……初かな」
「君も寂しくなるんじゃないか? 親友に恋人なんか出来ちゃったら、居心地悪いよねぇ」
「そんな事ないけどね。四六時中一緒ってわけじゃないんだし」
そっけない事を言っておく。食い下がって怪しまれると面倒だし。
「それにまだ、ゴ−ドンが付き合うって返事をするとは……」
OKなんてするはずがないのは判っている。彼には既に僕という恋人が居るんだから。
「いーや、するさ。可愛いからなぁ」
「確かに可愛いけど、それだけでOKするとは思えないな」
「性格もそれなりでしょ。僕ほどじゃないけどね」
よく言うよ、この自惚れやさん。 <> ヘンリ−とうわさばなし 3/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:51:49 ID:DIJoTG/P0<> 「なるようにしかならないよ。僕らが口を出すことじゃない」
「まぁね。でも見てなよ。明日には、溶けちゃうくらいくっ付きあっているかもしれないよ?」
「他人事だと思って……」
意地悪そうににんまり笑うジェ−ムスに呆れた視線を送って、次の仕事のために機関庫へ向かう。
ジェ−ムスはあとを追いかけてきて、まだこの話題を引きずろうとした。ちょっと、しつこいなぁ。
「なんでも、みんなの前で堂々と『好きです。僕と付き合ってください!』って大声で言っちゃったらしいよ」
「だからこんなに噂されているのか」
今回は特に、ソド−鉄道の関係者でこの噂を知らないのはトップ八ム・八ット卿くらいのものじゃないかと思うくらいに、広がりまくっている。
『噂話が広まるのはゴ−ドンの急行より速い』なんて誰かが言っていたけど、ここまで来ると笑い事じゃない。本当にその通りだ。
「そうなんだよ。それでその時、ゴ−ドンがまんざらでもないって顔していたって言うから!」
「……へぇ」
あくまでも噂だ。見てもいないのに、気にすることなんかない。
「あれ、噂をすればだ。それもふたり一緒だぜ」
線路を何本も挟んだ向こうにある建物から、ゴ−ドンとパーシ−が出てきた。
ゴ−ドンは僕らに気付くと、いつもと変わらない様子で手を上げて合図をくれる。ジェ−ムスも僕もそれに手を振って応えた。
ゴ−ドンの後ろで、パーシ−も手を振っている。小さい身体をめいいっぱい、大きく使って。僕から見ても十二分に可愛いパーシ−。悔しいけど二人、絵になるなぁ。
「一便追加になった。帰るのが少し遅くなるぞ」
相当な距離があるにもかかわらず、ゴ−ドンがよく通る声で言う。僕も頑張って声を出した。
「わかった。先に帰って待ってるよ」
もう一度手を振りあって了解したことを確認しあう僕らを見て、ジェ−ムスが僕を肘でつついて言った。 <> ヘンリ−とうわさばなし 4/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:53:27 ID:DIJoTG/P0<> 「でも、一番怪しいのは君なんだよね」
「怪しいって、なにが?」
「実は付き合ってんの? ゴ−ドンと」
「外出なんかに付き合う事は多いよ」
「その付き合うじゃないよ。君がゴ−ドンの恋人なんじゃないの?」
「何処から出てくるんだ、そんな話」
「夕飯はいつも一緒なんだろ。しかも君が作ってるって」
「ひとり分より二人分作るほうが効率がいいんだよ。無駄がなくて安上がりだし」
「そうじゃなくて。なんでわざわざ手料理なのかって事」
「僕の健康管理のためだよ。へンリエッタから自炊を勧められてね。ゴ−ドンが一緒なのはさっきの理由。それだけさ」
「そう? だったら、あの二人がくっついても、ほんとうに寂しくないんだね?」
「……寂しくないよ」
「強がっちゃって」
ジェ−ムスは呆れたように言って僕の肩を叩くと、彼の真っ赤な愛車のほうに走って行った。
その後姿を見送りながら、ため息をつく。
そうだ、強がりだ。
ゴ−ドンの事は信じている。誰に告白されようと、彼が浮つくなんてありえない。
男が男を好きなるって、そしてその想いを伝え合うなんて、生半可な覚悟では出来はしない。それを乗り越えた僕らだもの、多少の事で揺らぎはしない。
でも、誰かと噂になるたびに、誰かと二人だけで居る姿を見るたびに、モヤモヤする。
無駄なヤキモチで生まれる疲労感と、妬いた自分に対する嫌悪感。わずか一瞬の疑心に対する罪悪感。
自分の中にこんなにねちっこくて湿った部分があるなんて、彼の恋人になる前には知りもしなかった。ひどく女々しい性格に、ほんとうに嫌気がさす。
一体いつまで、これからいくつの噂に、悩まされ続ける事になるんだろう。 <> ヘンリ−とうわさばなし 5/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:55:00 ID:DIJoTG/P0<> 今日の仕事は定時で終わり。愛車の点検をして、いつものようにしっかり磨き上げる。それから日報を書いて提出。
着替えを済ませてから宿舎の自室に帰る前に、駅前の商店街でお買い物をする。
ジェ−ムスにも説明したとおり、最近は自分の健康管理のために、自炊をすることにしている。
新婚気分を味わっているわけでは、決してなくて。
ゴ−ドンと僕が付き合いだした頃の事。愛車の不調のストレスと整備疲れがたまった僕は、食事が全く喉を通らなくなった。
食べない日が何日か続くと、このまま何も食べなくても生きていけるんじゃないかと思うようになるんだ。
水分さえ取っていれば動けてしまうから、お腹も空かないし、食への欲望が全く出なくなる。
でもそれから、頻繁に貧血を起こすようになった。そして、ついに倒れた。
それを助けてくれたのがゴ−ドンとトビ−で、そのときのある出来事をきっかけに僕らは恋人になった。
後日事情を知ったへンリエッタから勧められて、彼女の助力を受けながら自炊を始めた。
無理せずに食べられる量を、毎日きちんと摂る。独りだと不精してしまうからと、ゴ−ドンが付き合ってくれた。
それからは、夜行や早朝便なんかで時間が合わないとき以外は、毎日僕の手料理。
始めてみると意外と料理が楽しくて、食べてくれる人がいるのも嬉しくて、驚くほどの成果を挙げた。
気付けばレパートリーもかなり豊富になったし、彼の好みも完全に把握した。
長い絶食でガリガリに痩せていた身体も今ではだいぶふっくらして、お腹周りがちょっと心配になってくるほど。
顔見知りになった商店街の人たちにすすめられたら、あっという間に買い物籠は旬のお野菜や新鮮なお魚で一杯になる。
今日は安くて良いものが沢山手に入った。気分がいいから、ゴ−ドンの大好きなものを沢山作ってあげよう。
<> ヘンリ−とうわさばなし 6/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:57:13 ID:DIJoTG/P0<> 夕飯の準備はばっちり。お風呂も済ませて、ベッドを整える。
男の単身部屋に似つかわしくないダブルのベッドに洗いたてのシーツを被せて、枕をふたつ並べて置いた。
一緒に眠る機会が増えたから、成人の男二人でシングルベッドはさすがに辛いって、二人で買ったダブルのベッド。
みんなにバレないように運び入れるのに苦労したんだ。独り住まいでこの大きさは、あまりにも不自然だから。
でも実は、この上で肌を重ねたことはまだ数えるほどしかない。
この宿舎の壁は結構薄くて、隣の部屋に音が漏れてしまうことが時々ある。
普通の会話なら漏れはしないけど、どうやら僕は事の最中の声がわりと高くて大きいようだから、きっと確実に聞こえてしまう。
僕の部屋の両隣はジェ−ムスとゴ−ドン。問題はジェ−ムスだ。噂好きの彼に聞かれてしまうと、色々困る。
それはゴ−ドンだって同じ考えのはずで、だから今まで、みんなが仕事に出かけている日中や、ジェ−ムスが夜勤の日以外の行為は避けてきた。
寄り添って眠るだけの愛の巣。それでも、独りじゃないならいい。
仕事の都合で離れて眠らなくてはならないとき、広い広いベッドの上で独りぽつんと眠るのは、孤独でとても辛い。
一度だけ、独りは嫌だって、離れて眠るのは寂しいと言って駄々をこねたことがある。
次の日に、彼は大きなくまさんのぬいぐるみを抱えて帰ってきた。抱えるものがあれば少しはマシだろうって。
それでもやだって泣いた僕を優しく抱いてくれたけど、彼が本当に困っていたから、それからはわがまま言わずに独りに耐えた。
寂しくなったらくまさんを抱っこ。それがこの部屋で過ごす時の癖。
自分の部屋なのに独りで居られないなんて……変な癖ついちゃったな。
ふと時計を確認する。
「遅いな……ゴ−ドン」
増えた仕事が一便だけなら、もう帰ってもいいはずなんだけど。また追加があったのかな。
もう少し独りで待たなくてはならないらしい。今日もいつものようにくまさんを抱きかかえて、だだっ広いベッドに独り転がった。 <> ヘンリ−とうわさばなし 7/18<>sage<>2010/09/26(日) 22:59:56 ID:DIJoTG/P0<> しんとした静けさが耳に痛い。自分の心臓の音だけがやたらと大きく響く。
どくん、どくん、どくん……心臓ってこんなに大きな音を立てて動くものだったっけ?張り裂けそうなくらい大きな音。
一定のリズムを乱すことなく刻まれるその音に集中すると、指先がピリピリとしてきた。
身体の奥の奥の、真ん中の部分が握りつぶされるようにきゅっと傷む。
ここのところ体調はいいはずなのに、ご飯もちゃんと食べているのに、また貧血?
おかしいな。なんなんだろ?落ち着かなくちゃと思って深呼吸をしたら、息を吐くと同時に涙が溢れた。
寂しいからって、泣くか、普通?男だろ。
もうすぐゴ−ドンが来てくれるんだから。追加の仕事を終わらせて、お腹空いたって言いながら。それまでの我慢。
大丈夫。独りじゃない。この子がいる。ゴ−ドンがくれた、くまさんがいる。
いつからだろう、この子の存在に頼り始めたのは。この布と綿の塊が、唯一、縋りつけるもの。
いつまで、この子に頼らなくちゃならないの?
ゴ−ドンの気持ち次第では……これからも、ずっと?もし彼が、パーシ−を受け入れてしまったら……。
ありえないことだと判っていても、恐ろしいくらい不安になる。だってもう完全に、心も身体も離れられなくなってしまっているから。
早く会いたい。早く触れたい。この冷たいぬいぐるみじゃなくて、暖かいゴ−ドンに。
どくん、どくん……
僕の中で鳴り続ける鼓動、その音だけを残して、次第に他の感覚がなくなっていく。
意識が朦朧としてきた。痛みもなくなった。
どくん、どくん、どくん……かちゃ……どくん、どくん
ただひたすら事務的に刻まれていく音に、違うものが混ざる。なんだろう?
どくん、どくん……ぱたん……どくん、どくん
まただ。あぁもう邪魔しないで。
ゴ−ドンが来てくれるまで、くまさんと二人で待っていなきゃならないんだから。うるさくしないでよ。
腕の中で何かが動いた。するりとすり抜けようとする感覚に気付いて、手を伸ばして縋りつく。
やめて、逃げないで。……盗らないで。捕まえようともがくけど、手応えがない。
なんで居なくなるの?なんで置いていくの?独りにしないでよ……! <> ヘンリ−とうわさばなし 8/18<>sage<>2010/09/26(日) 23:02:13 ID:DIJoTG/P0<> 襲ってくる喪失感から逃げ出したくて、夢中で手探りした。何度掴んでも空を切るだけ。探しても探しても見つからない。
絶望に似た感情が沸きあがってきた。怖い……独りは怖い。
いやだ!助けて、ゴ−ドン!捨てないで……置いていかないで。帰ってきて……!
「うぁあああああぁああ!!」
うるさい、誰の声?僕?叫びたくなんかないのに、叫んでいるの?やめて、止まれ、止まって……!
突然、身体が強い力でぐっと包み込まれた。直後に聞こえた声に、意識を揺さぶられる。
「……リー! 起きろ! 目を覚ませ、ヘンリ−!!」
「あ……」
一気に、失っていた全ての感覚を取り戻した。指先の痺れも、胸の痛みも、頬を伝う涙の感触も。
そして、腕の中から消えた存在と、換わりに僕を包み込んだ腕の暖かさを認識する。
「………」
声が出ない。身体が震える。心臓の音は、もう聞こえない。
「ヘンリ−、もう心配ない。俺だ、ゴ−ドンだ。わかるな?」
「……ゴ−ドン……」
「あぁ、俺だ。……今帰った。遅くなってすまない」
「……」
確かに、ゴ−ドンだ。彼の事を確認した途端、どっと疲労感に襲われた。肩口に顔を埋めて、身体の全てを彼に任せる。
「もう大丈夫だ。何処にも行かない」
「……?」
「だから泣かないでくれ。捨てたりなんかするもんか……!」
身体が痛いくらいに力強く、抱きしめられた。ゴ−ドンの声が震えている。何があったんだろう。
かろうじて動かせる左腕をゴ−ドンの背中に回して、掌でぽんぽんとする。
「……どうしたの?」
「お前がうなされていた。泣いていたんだ」
「僕が?」
「寂しかったんだろう。ごめんな」
「……うん」 <> ヘンリ−とうわさばなし 9/18<>sage<>2010/09/26(日) 23:04:25 ID:DIJoTG/P0<> 肩越しに見えた枕元にくまさんが居た。投げ出されたようにおかしな姿勢で転がっている。
なんであんなところに?くまさんのほうに伸ばせる限り手を伸ばすと、ゴ−ドンが声を荒げて僕の腕を乱暴に掴んだ。
「! あんなものの相手をするな!」
不意に腕を曲げられて肩に痛みが走る。
「痛っ」
「っ、すまん! ……もうあれに触らないでくれ」
「どうして?」
「お前があれを抱いているところを見たくない」
「君がくれたんだよ」
「そうだ。だが、ここまであれに依存するとは思わなかった」
「依存なんかじゃ……」
そりゃぁ、頼りにはしているけど。君がいない間、慰めてくれるから。
そもそも、君が早く帰ってきてくれれば寂しい思いすることなんてないんだけどね。
なんでこんなに遅かったんだろう?追加が一便だけならもっと早かったはず。
「ねぇ……追加の仕事って何だったの?」
「……クロバンズゲートからナップフォードまでの定期便だ」
それは多分、十八時にクロバンズゲートを出る普通客車便のこと。スカ−ロイたちの鉱山鉄道との連絡便で、その区間限定の便としてはそれが最終になる。
でも、それを牽いて今の時間?時計の短針は、もうとっくに十の数字を超えている。
聞かなきゃよかった。ため息をつきながら、頭をゴ−ドンの肩口に戻す。
腕、離してくれないかな。握られた部分が痺れてきた。さっきからずっとピリピリしている指先も加えて痛みを増してきたみたいで、少し辛い。
「……パーシ−のところに寄っていた」
「!」
全身から血の気が引いた。とっさに両耳を手で塞ごうとしたら、握ったままの腕がまた強く引かれる。
ありったけの力で逆らうけど、ゴ−ドンに敵うわけはない。たやすく引き剥がされた。
腕が痛くて、胸の奥が握りつぶされるような圧迫感に襲われる。止まりかけていた涙がまた溢れ出してきて、どうしようもない。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
今半分、止められる前に中断します。続きは、後ほど。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/26(日) 23:24:12 ID:YMedNfF90<> 支援 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/26(日) 23:30:02 ID:snNe9PME0<> >>220

うわああああ続きが気になるうううう
全裸でお待ちしてますのでどうか風邪引く前に続きを……! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/26(日) 23:48:03 ID:11cenOQE0<> >>215
既に萌え死にそう…おまちしています <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/27(月) 00:18:36 ID:MbXwbAoIO<> なんなんだこの焦らせ祭りはww <> ヘンリ−とうわさばなし 10/18<>sage<>2010/09/27(月) 01:12:55 ID:EypgH9Dp0<> 日付が変わったので改めまして、>>220-228の続き行きます。
支援と米ありがとうございます。よろしくお願いします。
読み返して気付いた……エロ少なっ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「聞いてくれ」
「聞きたくない!」
「聞いてもらわなくちゃ困る」
「困らないよ! 言い訳なんか聞きたくない!」
「言い訳じゃない」
「パーシ−の所に寄って遅くなったんだよね、わかったから、わかってるから! 離してよ」
「寄る必要があったんだ、どうしても」
「寄っちゃ駄目だなんて、言ってない」
「だったら聞け!」
「やだ……聞きたくないよ……」
「話をしてきた。断ったんだ、付き合えないと」
「! ……どうして」
「どうしてって……俺にはお前がいるじゃないか」
「……パーシ−は、いい子だよ。僕なんかより、ずっと……」
「そうだな。お前みたいに泣いたりせず、真剣に話を聞いてくれた」
「……」
「あいつの場合はな、勘違いだ」
「……勘違い?」
「憧れと恋心を混同してしまっていた。話し合ったらわかった。納得してくれたよ」
「憧れていただけ……ってこと?」
「そうだ。心や身体を求められたわけじゃない」
「……最悪だ、僕」
「まったくだ。ぽろぽろ泣きやがって。俺を疑ってんのか?」
「疑ってなんかないよ! 信じてる! ……ただ……」
「ただ?」
「噂が多すぎて……イライラする。辛いんだ」 <> 赦される為の罰 1/4<>sage<>2010/09/27(月) 01:13:39 ID:qhuXS7sYO<> 浄化ー。盾×駆動。ぬるいエロばっか。両方とも座位。前半は対面です。3話以降、6話前です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

駆動の頬を伝うそれが汗なのか涙なのか、触れたところでわかるわけもないのに、
盾は思わず紅潮した駆動の頬に右手を滑らせた。
駆動は潤みきった眼差しを盾に向けると、甘えるように頬をこすりつけた。
「んぅ……」
鼻にかかった甘い声と吐息を隠すこともせず、駆動は盾の膝の上で腰をくねらせる。
盾は冷静な視線に時折快感を走らせながら、駆動の痴態を見つめていた。

制裁を終えた後、駆動はいつも盾を求めてきた。
何かに突き動かされるように性急に口付け、それをしなければ
死んでしまうとでも言わんばかりに切実な様子の駆動を盾は拒まなかった。
「あぁっ、あぁっ、すげ、いいっ…」
盾の肩に爪を食い込ませ、駆動の薄いからだがのけぞる。
盾は呼吸を読んで下から突き上げてやる。駆動の声に泣きが混じりだし、限界だと伝えてくる。
盾は躊躇うことなく駆動のそれに手を伸ばし、促してやりながら
先端部に親指の爪を立てた。
その瞬間、駆動は目を見開き、直後にかすれて艶めいた悲鳴をあげながら達した。
上体を倒し、盾に体重を預け、目を閉じて荒い息をつく。
盾が耳元に口付けると、それに反応してひくりとからだを痙攣させた。 <> ヘンリ−とうわさばなし 11/18<>sage<>2010/09/27(月) 01:14:22 ID:EypgH9Dp0<> 「聞くたびにこうなのか」
「今回は、特別、だけど……」
「まったく……身が持たないぞ。少し割り切れ」
「……うん」
「相手には困らない俺様が、何故お前を選んだのか……少し考えろ」
「…………」
「自分の魅力に自覚はないのか」
ゴ−ドンは明らかな呆れ顔。今思えば彼が僕の何処を好きになったのか、聞いた事が無い。
最初に繋がったのは身体から。いきなり強引に奪われて、その時は本気で殺意すら覚えた。
でもその後、心から僕の全てを欲していたのだと聞かされたら、意外なほどすんなりと彼の行為を受け入れてしまった。
なにより僕もゴ−ドンの事が好きだったから、好きな人から本気で求められれば、拒絶する事は叶わなかった。
それに乗じて彼を自分のものにしてしまおうと、我ながら随分無茶な理由で言いくるめて、この関係になだれ込んだんだ。
全てが都合よく上手く進みすぎたせいで、好きになったきっかけや相手に求めているもの、それらを語り合う事のないまま、今に至る。
ひとつだけ、彼を惹き付けているのが確実なものといえば……
「……身体?」
「否定はしないが……」
力強い腕に支えられて、僕の身体が横に寝かされる。枕の上にきちんと置かれた頭の横に、くまさんが転がっていた。
僕が手を伸ばすより早くゴ−ドンの手がくまさんを鷲掴みに持ち上げて、ベッド脇のサイドボードに背をこちらに向けて座らせた。
そっぽ向かせたりして、これからする事を見られないように……って、ぬいぐるみ相手に?
僕を気遣ってそうしたのだろうけど、時折垣間見えるゴ−ドンの幼さがとても可愛く思えて、つい笑いがこぼれる。
「……なにがおかしい」
「見られるのが恥ずかしいの?」
「そんなんじゃない。独り占めしたいんだ。見られるのも気に食わん」
「ぬいぐるみじゃないか。……君って意外と可愛いところあるよね、ゴ−ドン?」
「言ってろ」
身体全体に、慎重にふわりと重みが掛けられる。彼の唇と僕の唇が触れそうになった瞬間、ふと、大事な事を思い出した。
「ごはん! 食べる?」
「! ……なんだいきなり」
「晩御飯だよ。まだなんだろ?」
「後でいい。先にお前を食べたい」
「遅くなるよ」
「欲しいんだ。今すぐ」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/27(月) 01:18:36 ID:EypgH9Dp0<> あ、かぶってるんで、自分は後からまた改めます。
>>234さん、どうぞ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/27(月) 01:19:26 ID:qhuXS7sYO<> わー、間が悪いな私。待ちますね。 <> 赦される為の罰 2/4<>sage<>2010/09/27(月) 01:26:42 ID:qhuXS7sYO<> 普段ならそこで盾も達し、からだを離していつもの2人に戻るのだが、今日は様子が違った。

盾はいつもは無意識に触れずにいる、駆動の背に貼り付いた傷痕に手を伸ばした。
事後の疲れでうっとり目を閉じていた駆動は反射的に離れようとする。
「なっ…にすんだよ」
盾の意図がつかめず、困惑したひどく気弱な声を上げた。
「君は、罰を受けたいんだろう。制裁を終えると必死に俺を求めてくる。
まるで自分の罪を知る者に傷つけられようとするかのように」
駆動は盾の囁くような、男性にしては線の細い声に急所を突かれたように黙り込む。
「ちが……、俺、そんなつもりじゃ……」
おどおどと子供のように怯えたまなざしに、盾は
『ああ、彼はいつも父親にこんな顔をしていたのか』
と胸の奥を痛ませた。だがそれは一切表情に出さず、温度のない視線を駆動に当てる。
駆動から目をそらさぬまま、盾は駆動の傷痕にじわじわと爪を立てた。 <> 赦される為の罰 3/4<>sage<>2010/09/27(月) 01:28:56 ID:qhuXS7sYO<> ひび割れ、くもった鏡にさえ、駆動の泣き顔はしっかり写り込んでいた。
盾は駆動を背後から犯しながら、そのほっそりした手で駆動の髪を掴み、
鏡の中を見るよう駆動に要求した。
「な…んで、んな、ひでえことすんだよ…」
「ひどい?君が望んだことだろう?お望み通り、
徹底的に俺が君を傷つけてやる」
「そんな、こと、俺、いつ言ったよ…?あ、くるし……」
駆動は快感と苦痛と恐怖に混乱し、そこから逃れようと身をよじった。
「弱くて、無力で、惨めな情けない自分。どんな気がする。今こんな目に遭わされて」
盾は吐息一つ乱さず、追い詰めるように駆動を苛んだ。
「わっ、かんねえ、よ。も、やだ…やめてくれよ…」
突かれるごとに声を漏らしつつ、駆動は震える声で訴えた。
「そんな自分は嫌いか?駆動…」
髪から手を離し、背中の傷痕を撫でながら盾が囁きかける。
駆動は涙を両目からポトポトこぼし、いやいやをするように首を振った。
「でもね、駆動。俺は君が好きだよ。君を裁くのは俺だ。俺だけが君を傷付ける。
君は気が済むまで泣けばいい。どんなに泣いても、俺は君を笑わない」
恐怖にこわばっていた駆動の表情が、みるみる和らぎ、紛れもない快感に彩られ始めた。
そして絶え間ない嬌声がこぼれ出す。
それから2人は無言で快楽を追い始めた。 <> 赦される為の罰 4/4<>sage<>2010/09/27(月) 01:31:12 ID:qhuXS7sYO<> 「あー、腰いてえ…」
鑑識部屋で駆動に恨みがましい視線を向けられても、
盾はいつもの調子でマグカップを口元に運んでいる。
「んー?もうそんなトシなの駆動くん。若いのに大変だねえ…」
「若くないのにムチャする誰かさんのせいなんだけど。ね、責任とってくんない?」
「責任?どうやって?」
カップを口元で止めて盾はキョトンとした顔をする。
おっさんのくせに可愛いなんてずるい、と駆動は心の中で毒づきながら、盾の耳元に口を寄せた。
「明日、盾さん家に泊めてよ」
何を言われるやらと内心ビクビクしていた盾は、その可愛い要求に微笑み「そんなことならお安い御用だよ」
と請け合いコーヒーをすすった。
駆動はニカッと笑い、今度は俺が盾さんいじめる番ねと告げた。
盾の口からコントのオチのように、コーヒーが霧状に吹き出された。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

すみません、ベタな展開+オチで。しかも間が悪くて。 <> ヘンリ−とうわさばなし 12/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:49:47 ID:EypgH9Dp0<> 再び改めまして。>>235の続き参ります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「仕方ないなぁ……晩御飯を入れるスペース、ちゃんと残しておいてよね」
「心配するな。いくら食っても食い足りないよ」
ゴ−ドンが笑った。僕の頬を撫でながら、唇を重ねてくる。
大きくて強いゴ−ドンも、唇はとても柔らかくて暖かい。その暖かさが心地よくて、全身に安堵感が広がった。
帰ってきてくれたんだ。僕のところに。そう思うと、やっと、ゴ−ドンに触れることが出来ている実感がわいた。
二人を隔てる邪魔な服がゴ−ドンの巧みな手捌きで抜き取られると、触れ合う素肌の感触が気持ちよくて、少しだけ身体を動かして肌と肌を摩り合わせた。
お互いの胸に二ヶ所ずつ、小さく硬くあたる部分がくすぐったくて少し恥ずかしい。
それに気付いたゴ−ドンが、僕の胸に掌を当てて硬い部分を転がした。チリっと痺れに似た痛みが身体を貫いて、小さく声が漏れる。
いつのまにやら僕の身体は感度が上がって、完全に食べ頃になっている。
彼の唇は僕の耳に移り、舌先で耳に軽く触れながら、熱い吐息混じりに囁きかけてきた。
「もう気持ちよくなってきたのか」
「……うん」
「自分で魅力だと言うだけのことはあるな。いやらしい身体だ」
「いやらしいのが嫌いなら、食べなくてもいいんだよ」
「好き嫌いはしないんだ」
「明日のごはんはホワイトアスパラのフルコースだね」
「……緑のにしてくれ」
「白いのも、美味しいのに……んっ」
ゴ−ドンの手が胸からわき腹へ、更に下へと降りていき、妙に熱っぽい足の間に滑り込む。
僕が間違いなく男なのだと主張するそこに手が触れると、さっきよりも更に強い衝撃が走った。
既に緊張しきったそこを解きほぐすようにやさしく摩られる。摩られれば摩られるほど、かえってガチガチに凝り固まっていく。
容赦なく襲い掛かってくる快感に必死に抗うけれど、不意に胸の上で硬くなっているところを啄ばまれて、一気に堰が切れてしまった。
「んっ! ……ぅあ……っ!」
この部屋ではご法度の喘ぎ声。
一瞬だけ、隣室のジェ−ムスの存在が頭をよぎる。今日の彼は夜勤ではない。多分、部屋に居る。
でも一度声を出してしまったら、もう止められない。止める気になんてならない。
<> ヘンリ−とうわさばなし 13/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:50:39 ID:EypgH9Dp0<> 声は美味しく食べてもらうための調味料だから、出来るだけ色濃いほうがいい。
ゴ−ドンの手や舌の動きに合わせて、身体が敏感に反応する。彼が触れる場所全てが気持ちよくて、全身が熱い。
「あんっ……あっ、はぅ……んっ」
足の間に鈍い痛みが走って、直後に更に強い快感が、お腹の底からじわりじわりと湧き上がってくる。
くちゅくちゅとソースをかき混ぜるのに似た音と、ちゅっちゅっと吸い上げるような音が室内に響いて鼓膜をくすぐった。
頭の中が真っ白になって、あっという間に何が何だかわからなくなる。
「あっ、あっ……んっ、ぁっ!」
足の間はとても熱い。けれど、急激に寒気を感じた。またあの恐ろしい感覚が戻ってきた。強烈な孤独感に胸が締め付けられてひどく痛む。
ゴ−ドンに触れられている、その感触は確かにあるのに、実感がひどく薄い。温もりを求めて伸ばした腕が、虚しく空を切った。また、何も掴めない。
「ゴ−ドンっ! ……どこ? ……ごーどん……!」
力が抜けてベッドに落ちかけた腕が、途中で受け止められた。
「ここだ、大丈夫。……離さない。何処にも行かない」
ふわりと身体を包み込む確かな温もりを感じて、胸の痛みが和らぐ。同時に、涙がどっとあふれ出してきた。
「……ゴ−ドン、よかった。ゴ−ドン!」
「ずっと側に居る。だから泣くな」
声がとても優しくて、言葉が発せられる度に耳に当たる吐息が熱い。
「ずっと、ずっと一緒だ。ヘンリ−」
「うんっ……うん、ゴ−ドンっ! 一緒、に……んっ……うぁっ」
引き裂かれるような異物感が、お腹のそこのほうから身体の中へと突き進んできた。
一緒どころじゃない、溶け合って同化するようなこの感じ。迫り上がってくる鈍い快感に、頭の中がかきまわされていく。
もう二度と離れないようにゴ−ドンの身体に必死で縋りつきながら、夢中で彼の名前を呼んだ。
「はっ……んっ、ゴ−ドン、ゴード……ンっ! あんっ、あっ……ゴー……ド、ン」
「くっ……ぅっ……ヘンリ−……っ!」
呼び返してくれるゴ−ドンの声も、段々荒くなってくる。
小刻みに激しく突き上げられる振動とゴ−ドンの吐く息のリズム、僕を呼ぶ声と僕の声が不思議と調和して、ぼんやりした頭の中に気持ちよく響いた。
「ヘンリ−……ヘンリ−!」 <> ヘンリ−とうわさばなし 14/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:51:58 ID:EypgH9Dp0<> 「はっ、はっ……あんっ、ゴー……ドンっ! あぁっ、うぁ、あっ……んっ!あっ、あぁぁっ!!」
一段と強い刺激が、頭の先からつま先までを一気に駆け抜ける。
雷に貫かれたような、強い衝撃。それを最後に、僕の意識は完全に途絶えてしまった。


今日もゴ−ドンはいつもどおり。快調に急行をすっ飛ばし、時間通りに駅に着く。
そして僕は、少し遅れる。
「ヘンリ−! また遅れやがって! 何度やったら気が済むんだ、お前は!」
「うっるさいなぁ……。支線が遅れてきたんだよ、これでも随分取り戻したんだから感謝してよね!」
「支線の遅れくらいお前のところで全部取り戻せ! でかい機関車に乗っているんだ、そのくらい出来なくてどうする!?」
「でかいとかでかくないとか関係ないだろ! 安全運転が基本なんだよ!」
「安全かつ時間通り、それが基本だ! それをお前ときたら……」
恒例の口げんかに、駅員と車掌たちは肩をすくめて苦笑い。助手たちはハラハラしながら、お互いの機関士をなだめにかかる。
「鈍行は一区間分の走行距離が短いから、速度が出せないんだ。そう簡単には縮まらないよ!」
「お前に出来ないだけだろうが。俺様を見習って精進するんだな!」
「あぁぁもう! ……そうだね、そうするよ! ぜーんぶ、君の言うとおりです。ハイ」
これ以上言っても無駄。こんなときは大抵、僕が折れて言い合いは終了。
わかったらいいんだ、と言わんばかりの笑みを浮かべて頷くゴ−ドンに生ぬるい視線をちらりとだけ向けて、機関室内の作業に戻る。
僕なんかよりゴ−ドンのほうがずっとずっと腕がいいのは確かだけど、こう毎回やられっぱなしだとさすがに頭に来る。
それに誰かさんのせいで、朝からずっと腰が重いんだ。レバーを握るたび、ブレーキをかけるたびに、身体が悲鳴を上げていた。
「あれが先輩に向かって吐く台詞!? っとにわがままなんだから!」
「俺がいつわがままを言った?」
僕の真後ろで声がする。
いつの間に?ゴ−ドンが、機関室のドアの前に立っていた。
「いつもだろ! 俺様俺様、急行急行って……すっとばせばいいってもんじゃないんだよ」
「生憎すっ飛ばすしか能がないんだ。こんな風にな」
ゴ−ドンが機関室に乗り込んできて、僕の腕を掴む。
やばい、言い過ぎたかな。 <> ヘンリ−とうわさばなし 15/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:52:46 ID:EypgH9Dp0<> 後悔は一瞬。それも、違う意味で。
「なにすっ……んっ……」
腕を引かれ、抱きしめられた。そして、深い、深いキス。助手の見ている前で、容赦なく舌を絡みつかせてくる。
駅員は?車掌は?お客さんは?……他に見られたら大変だ。引き剥がそうと必死にもがくけど、力強い腕はびくともしない。
「んんーっ!……んっ……んぅっ」
こんな状況でも、ゴ−ドンのキスはとろけそうな位甘いから始末が悪い。絡まる舌が気持ちよくて、つい夢中になりかける。
息継ぎのために接続が緩んだその隙に逃げるのも忘れて、流れ込んでくる唾液を残さずに飲み込んで、彼が満足するまでされるがままになってしまう。
「んっ、んくっ……はぁっ」
唇が離れた途端、僕は口を押さえてへたり込んだ。頭がぼやけて、身体に力が入らない。
腰が砕けたってやつ。勤務中なのに……。
「ほら」
座り込んだ僕の膝の上に、紙袋が置かれた。
「本土との乗換駅でよく会う行商の夫人から貰ったんだが」
「……え?」
「例の……白いのだ」
わけが判らないまま、袋の中を確認する。中には季節のお野菜。この色はソドー島ではあまり見かけないけど、誰でも知っているもの。
「あ……あぁ、なんとか、するよ。スープやソースにすれば、緑のと変わらなく食べられるよ」
「そうか、よかった」
ほっと胸をなでおろして笑みを浮かべたゴ−ドンは僕の頭をひと撫でし、何事もなかったかのように自分の機関車へ戻っていった。
立ち上がれず座り込んだままの僕に向かって笑顔で手を振ると、車掌の合図に従って、青い機関車が軽快に走り出す。
「せ、先輩?」
「……誰か、見てた?」
「い、いえ! あ、ぼ、僕だけ、です」
「よかった。……じゃぁ、君も、忘れて」
「え……は、はい!!!」
助手が慌てて作業を再開する。
やられた。不意打ち。あの悪ガキめ……!
掌を当てた額には、汗がにじんでいる。身体が熱い。頭が痛くなってきた。これから、まともに仕事できるかな……。
「へぇ、なるほどねぇ」
「!」
ホームとは逆の方から声がする。聞きなれた、今のタイミングではとても聞きたくない声。
恐る恐る横目で確認すると、見慣れた赤いボディの機関車がいつの間にか隣の路線に停車している。 <> ヘンリ−とうわさばなし 16/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:53:30 ID:EypgH9Dp0<> よりによって、なんでこんな時に、機関室がぴったり横付くように停めるわけ?
「何か言いたいことはある?」
「……君の予想通りだと思うから、何も聞かないで」
「怪しいとは思っていたけど、まさか本当にその通りだとはね。君が本命じゃ、パーシ−も諦めるしかないね」
噂が広まってしまうのを覚悟した。ずっと必死で隠してきたのに……ゴ−ドンのおばか!
「昨日の晩といい、今といい。ほんっとお盛んだよねぇ、君達は。ネタに困らないよ」
「……きのう…の、晩?……その……」
「最初は君が女を連れ込んでいるのかと思ったんだけどね。名前なんか呼び合うから、すぐに分かった。それにしても意外といい声出すんだね、ヘンリ−?」
「あ……」
最悪だ。
自業自得には違いない。隣室のジェ−ムスが部屋にいるのを承知の上の行為だったんだから。
でもやっぱり、実際に聞こえていたと言われると、どうしようもなく恥ずかしい。同時に、ものすごい後悔に襲われた。もう終わりだ、本格的に。
「……そういえばさ、急行の客車係のアリスのことなんだけど。知っているかい?」
突然、何の話?アリスなんて子、知らない。ふるふると首を横に振る。
「小柄でふっくらしたほっぺが可愛い栗毛の女の子さ。急行の、三等客車に乗っているんだけど。その子がね、ゴ−ドンにぞっこんらしいよ?」
「……え?」
「今度はまた女の子だ。君の旦那様ってほんと、罪作りだよね」
きょとんとする僕を見て、ジェ−ムスがにやりと笑った。
「噂なんてね、根も葉もない奴のほうが面白いんだよ。憶測が憶測を呼んで、枝葉がついて大きくなるのが楽しいんだ」
「それって……」
みんなには言わないでいてくれるってこと?
「今度夕飯おごってくれる? エドワ−ドの分もね。その時に聞かせてよ。馴れ初めとか、夜の話とか!」
「……そのくらいで済むなら」
ほっと、安堵のため息が出る。
「ま。旦那様には噂立てられないように気をつけろって言っておきなよ。人の目は気にしたほうがいいぜ。僕以外にも噂好きは沢山いるんだから」
「そうするよ。……ありがとう、ジェ−ムス」 <> ヘンリ−とうわさばなし 17/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:54:41 ID:EypgH9Dp0<> 「あと、声は控えめにね。まったく、君の声がよすぎて……参っちゃうよ」
「! ……あ……う、うん……」
よすぎるとか……僕の声ってどれだけいやらしかったんだろう……顔が火を吹きそうなくらい熱くなる。
「あはは、耳まで真っ赤だよヘンリ−。助手君、火が強すぎるんじゃない?」
「えっ、あっ、……は、はいっ!」
振られた助手も、真っ赤になってしどろもどろ。もうどうしようもない。
「おっと時間だ。じゃぁ、また後で!」
ジェ−ムスは人好きのする顔に悪戯っぽい微笑みを乗せて、手を振りながら赤い機関車を発車させた。
僕も手を振り返す。彼の愛車の後姿を見送りながら、ほっとため息をついた。この際ばれたのはどうでもいい。噂になりさえしなければ。
ジェ−ムスがフォローしてくれたおかげで、幾分具合がよくなった気がする。ぼやけていた頭がすっきりして、なんとか仕事は出来そうだ。
「……ヘンリ−先輩。そろそろ時間だけど、走れますか?」
助手が遠慮がちに声をかけてきた。一連の出来事に気圧されて、畏縮してしまっているらしい。
まぁ、いきなりあんなシーンやこんな会話、彼には刺激が強すぎる。
重い身体をなんとか持ち上げて立ち上がり、頭をわしわしと撫でてやると助手の顔に安堵の色が浮かんだ。
「大丈夫、行けるよ」
「はい!」
助手の笑顔に笑顔を返して、操縦盤のレバーを握る。
車掌の合図を貰ってから、ゆっくりと緑色の愛車を発車させると、助手が火室をいじりながら言った。
「アリスは一ヶ月くらい前に、付き合っていた彼氏と別れたらしいんです」
「へ?」
「新しい恋をしたんですね」
「……厄介な相手選んじゃったなぁ」
「付き合ってる事、後悔してるんですか?」
「僕じゃなくて。アリスが、だよ」
「そうですね。最初から負けてる勝負、ですからねぇ」
「知らないから仕方ないんだろうけど……申し訳ないな」
「でも……噂ですから」
「まぁ、ね」 <> ヘンリ−とうわさばなし 18/18<>sage<>2010/09/27(月) 03:55:33 ID:EypgH9Dp0<> なんて、そんな事よりも。今の僕にとって何よりも重大なのは、あの紙袋の中。
ゴ−ドンの苦手なホワイトアスパラ。あれをどう料理しよう?へンリエッタに聞いてみるのが確実かな。
それにしても、あれを食べたときのゴ−ドンの顔。思い出して、思わず笑いがこぼれてしまう。
「どうかしたんですか?」
「いや、何も」
強がりで見栄っ張りな彼のあんな顔、知っているのはきっと僕だけ。
顔も知らない恋のライバル達には悪いけど、ちょっとだけ優越感。
明日の相手は誰だろう。いつかは僕の名前が出てきて、噂が終わる時がくるのかな。
「そうだ。僕らの事は、忘れておいてね。噂になると困るんだ」
「わかってますよ。噂は根も葉もない奴のほうが、面白いですから」
「言うね。……ありがとう」
大きなものも、小さなものも、転がるたびにいろんなものをくっつけて、今日も花咲く無責任な噂。
いろんな噂を背中に乗せて、僕らは今日もしゅっぽしゅっぽと島中を駆け抜ける。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


ヘンリ−兄さんお気に入りのくまさんはディーゼル7101号とは別物です
パーシ−には申し訳ないことをしました。ごめんなさい……orz

きか○しゃジャンルになので衝突事故もネタ的に面白かったw
お目汚し失礼いたしました。
<> 兄のいぬ間に 1/4<>sage<>2010/09/27(月) 13:26:15 ID:7XBMfR6W0<> 数レス失礼します。
CP要素低い&会話文のみですが、お付き合いくださると嬉しいです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 超人シリーズ、零→←明日虎
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ※あの人=ウノレトラマソキングです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

**************************************************************************************

「じゃあ、行って来る。二人とも、留守を頼むぞ」
「行ってらっしゃい。気をつけてね兄さん」
「(おっしゃあ、修行休み!)気ぃ付けろよ〜」
「・・・」


「よし、着いた。早く用事を済ませて戻らなければ」
『今日のニュース!最近各星系で、若者の性の乱れによる問題が多発していますが、
この度総合教育省は・・・』
「悲しい事だなあ・・・地球も今はどうなっている事やら・・・
しかし我々も他人事ではいられないな」
<> 兄のいぬ間に 2/4<>sage<>2010/09/27(月) 13:26:55 ID:7XBMfR6W0<> 「そういえば前から気になってたけど、あんたの左足、何付けてんだ?
特製のアイテム?カッコいいな」
「足枷だよ。以前、故郷を滅ぼした敵に捕まってた事があったんだ。
その時に付けられた物が今でも外せない」
「な!?・・・わ、悪かったな、嫌な事聞いちまって」
「いいよ気にしないで。もうある事に慣れてしまっているからね」
「本当に取れないのか?その鎖」
「色々試して、あの人の力でも外せなかったから、多分もう無理なんじゃないかな」
「いいのか?あんたはそれで」
「兄さんに悲しそうな顔はして欲しくないけど、取れないんじゃ仕方ないよ」

「・・・そんなのやってみなくちゃ分かんねえだろ。俺もやる!あんたの足枷、この俺が叩き潰す!!」
「え、ちょっと・・・うっ・・・い、痛い!!」
「じっとしてろ!何だよ、意外と大した物じゃなさそうじゃん」
「く・・・痛い!ちょっと待てって!う、無理に動かすな!」
「ちょっとの間だけだ!」
「(くそ、いつの間にか逃げられない体勢になってる・・・)」
「取れない・・・引っ張る力が足りないのか?俺が姿勢を変えてみれば・・・おし、今度こそ!」
「こら!!った・・・」
<> 兄のいぬ間に 3/4<>sage<>2010/09/27(月) 13:27:34 ID:7XBMfR6W0<>
「ただいま!二人とも、いないのか?あれ、なんだいるじゃないか」

「ただい・・・」
「ちょっと落ち着け!」
「もうちょっとだ、暴れるんじゃねえ!!」
「!?」
「離せ!ちょっ・・・止めろ!」
「大人しくしてろ!」
「・・・っ・・・あっ・・・」
「!!」

「・・・・・・・・・お、お前は人の外出時に何をやっているんだぁぁぁぁ!!!!!」
「うげっ!?」

「大丈夫か!?」
「に、兄さん?」
「くっそ、いきなり人を怪獣みたいにぶっ飛ばしやがって!何だよ一体!?」
「お前こそ何をしていた!?」
「何って・・・」
「ああ、僕の足枷を外そうとしてくれてたんだよ」
「・・・え?」
「そりゃ、ちょっと・・・いや、大分無理矢理だったけど、いきなりぶっ飛ばす事ないだろ」
「・・・そうだな、す、すまなかった・・・俺はてっきり・・・」
「てっきり?」
「いや、何でもない・・・」

<> 兄のいぬ間に 4/4<>sage<>2010/09/27(月) 13:28:26 ID:7XBMfR6W0<> 「何だったんだよ・・・畜生、頭が飛んでいくかと思った・・・」
「相手の意見も聞かないで力任せに押し切るから兄さんも誤解したんだよ。
(でも何であんなに血相変えてたんだろう?)」
「・・・悪かった」
「いや、ありがとう」
********************************************

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アリガトウゴザイマシタ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
獅子兄さんがちょっとお間抜けさんになってしまった。モウシワケナイ
明日虎が零に指導するところも見たかったなあ
今度の映画も楽しみだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/27(月) 17:11:42 ID:ZFRT+mse0<> 支援! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/27(月) 19:12:23 ID:LCn/1nww0<> >>251
お師匠さん虎のこととなると必死だなwww
でも萌えましたGJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/27(月) 21:42:38 ID:VKf41Pbk0<> >>220
続きktkr!
待ってた甲斐がありました、GJです! <> じゃじゃ馬ならし 前編 1/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:04:23 ID:mnp7oewbO<> 20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
包容力ある温厚攻めと年下やんちゃ受けにどうしようもなく萌えて、勢いで書きました。
エロあり、というかほぼエロです。
長いので分けて投下します。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




とっぷりと日暮れて寒さは増し、吐く息は白くなった。暗い山道を進んだ奥に、さびれた小屋を見つけた。
荒れ果ててはいるが、なんとか一夜はしのげそうだと思い、九慈真之介は小屋に近寄った。
すると中から、ほのかに明かりが漏れるのが見て取れた。
先客に交渉しようと、真之介は笑顔を作り戸を開けた。

「ごめん!怪しい者ではない。すまぬが、相宿をお願いしたく……」
「なんだ、仙石ではないか」
「……殿様!こんなところで、どうしたんだ」
「いやあ、あまりにもこの山の紅葉が美しいのでな。見とれていたら、いつの間にか……」
「夜になって、宿に泊まりそこねたか。おぬしらしいな」
八坂兵四郎は、板張りの床に胡座をかいて鷹揚に語り、小枝をぱきりと手折って土間の焚火にくべた。
真之介は笑って腰から刀を取り、兵四郎の隣に腰を下ろした。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 2/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:05:13 ID:mnp7oewbO<> 「ところでおぬし、なんか食い物はないか」
「うん。茶屋で買った、豆餅の残りならあるぞ」
「なに!豆餅だと」
「少し、固くなっているかもしれんが……」
「構わん、寄越せ!」
真之介は跳び起き、兵四郎が懐から取り出した包みを引ったくって開け、豆餅に豪快にかぶりついた。
途端に喉に詰まらせてむせ返り、拳で胸をどんどんと叩いた。
兵四郎は笑いながら、竹筒に入った水を差し出した。

「そう慌てずとも、誰も取りはせん。ゆっくり食え、仙石」
「うぐ、す、すまん、こふっ」
咳込みながら水をあおり、なんとか餅を飲み下し一息をついた。
すると真之介はにわかに、手から竹筒をことりと取り落とした。

「どうした?仙石」
「……うわあああぁっ!!」
訝しんだ兵四郎が声をかけると、真之介はぎょっとするような大きな悲鳴を上げた。
「なんだ!どうしたんだ」
「と、取れ!そいつを、取ってくれっ!わああっ」
「取るって、何を……むっ」
ひたすらに怯えた声を上げる真之介の向こうを見やると、そこには鎌首をもたげた小さな蛇が、赤い舌をちろちろとうごめかし、こちらを睨みつけていた。

「なぁんだ、蛇くらいでだらしない。しっかりせんか」
「だ、だめなんだ、そいつだけは、そいつ……うわあっ、こ、こっち、見んなぁ!」
「お、おいおい!仙石っ」

蛇と目が合った真之介が身体を翻し、兵四郎の首にかじり着いてきた。
兵四郎は驚いて離れようとしたが、真之介の腕はがっしりと巻き付き一向に外れない。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 3/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:06:14 ID:Q70NESdwO<> とりあえず元凶を除こうと、兵四郎は右手を伸ばし大刀を取った。
鞘を振り打ち払うと、蛇は土間の隅にぽとりと落ちた。
蛇はしゅるしゅると身体をうねらせて、板壁の隙間から外に出て行った。

兵四郎はふっと息をつき、しがみつく背中に手を添えた。

「おい、仙石……」
もう大丈夫だ、と言おうとして、言葉を止めた。
真之介は目をつぶり、ぶるぶると震えていた。
普段は負けず嫌いで威勢がよく、何者をも恐れず立ち向かう男が、たかが一匹の蛇を恐れて自分に縋り付いている。
兵四郎は急に、年下のこの男がかわいらしく思えてきた。
するとふいに、ちょっとした悪戯心が沸いて来た。

「仙石、動くなよ。蛇はまだ、こっちを睨んでいるぞ」
「う、わ、わかった……!殿様、は、早く、なんとかしてくれ」
「うむ、任せろ。じっとしてろよ」
兵四郎は囁きながら大刀を床に置き、両手を真之介の背中に回した。
さわさわと優しく撫でてみると、真之介はびくんと身体を揺らした。

「殿様?どうしたんだ……へ、蛇は」
「姿が、見えなくなった」
「で、出てったのか?」
「いや、まだ中におるかもしれん。とにかく動くな。いいな、仙石」
「う、うん……」
いつになく素直に従う様子が珍しく、兵四郎はひそかに笑みを浮かべた。

兵四郎は右手を真之介の前にやり、袷から中に忍び込ませた。
ひやりとした平らな腹に触れると、驚いて叫びを上げた。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 4/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:07:05 ID:mnp7oewbO<> 「……わっ!と、殿様!?何してる!」
「仙石、身体が冷えてるな」
「や、山道を歩いて来たんだ。そりゃあ冷えるさ……おい、殿様!どこ触って」
「大声を出すな。蛇が、やって来るぞ」
「……!」
蛇と聞いた途端に真之介は押し黙り、兵四郎の肩口に顔を埋めた。
「せっかくだから、手っ取り早く暖めてやろう」
「と、殿様?何を……」
「いいから、じっとしておれ。さもないと、蛇が」
「あ、あいつは、まだいるのか?なあ、殿様……あ、あっ、おい、ま、待てっ……」
兵四郎は真之介の腰を左手でしっかりと支え、腹から胸に右手を這わせた。
耳に息を吹きかけられ、撫で摩る手が乳首をかすめると、真之介は思わずうろたえて叫んだ。
大丈夫だ、と囁きながら、兵四郎は冷たい上体を抱き肌を優しく擦った。

「……殿様、もっ、もういい!じゅ、じゅうぶん、あったまった!」
「いや、まだ冷えておる。それに蛇はまだ、この小屋のどこかにいる。俺から、離れないほうがいい」
「し、し、しかしっ……!」
「いいから。任せておけ、悪いようにはせん」
兵四郎はにっかりと笑い、寒さと蛇への恐怖に強張った身体を抱きすくめた。
ふいに身体の向きを変え、真之介を抱いたまま藁束の上にどさりと被さった。
「と、殿様っ……」
「静かにしておれ。静かにしておれば、いずれあやつは、いなくなる」
低く囁くと真之介の首筋に顔を埋め、ちゅっと軽く口づけた。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 5/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:08:06 ID:Q70NESdwO<> 「あ……!な、何をっ」
「おぬしは、かわいいな」
「な!きっ、貴様、ふざけてんのかっ」
「ふざけてはおらん。おぬしは豪快で真っ直ぐな、実に気持ちの良い男だが、なぜか時折無性に、かわいらしく思う時もある。今夜はますます、強くそう思った」
「やっぱりふざけてる。離せ、殿様。もう蛇など、おらんのだろう!」
真之介は兵四郎を引きはがそうと肩を押して身をよじった。
厚みのある身体に体重をかけてのしかかる兵四郎は、笑いながらもがく腕を押さえた。

「いいや、いるぞ。下手に動けば、噛まれるぞ。ほれ、そこに……」
「う、うわっ……う、うんんっ!」
焦って叫んだ口を、兵四郎は自分の唇で塞いだ。
いきなり吸われて舌を深く絡められ、真之介の頭は咄嗟に拒むことも忘れて混乱した。
慣れた調子で口内を暴かれ、たちまち真之介は呼吸を荒くした。
巧みに快感を引き出され、いつの間にか自らも舌を絡めていた。
兵四郎は唇を貪りなが真慎之介の右腕を左手で押さえ、伸ばした右手を袴の紐にかけ器用に解いた。

真之介は長く呼吸を奪われてぼうっとなっていたが、袴をするりと下ろされるとさすがに慌て、強く兵四郎に抗議した。

「おいっ!待て、殿様!お、俺はそっちの気は、ないぞっ」
「安心しろ、俺にもない」
「だ、だったらなんで、俺の袴なんか剥ぎ取るんだっ!女の腰巻きでも、引っぺがして来い!」
「うん。だがな、今はおぬしの袴を剥がしたい気分なんだ。許せ」
「……許せるかぁ!!あ、うわ、よ、よせっ……あ、ば、馬鹿!」 <> じゃじゃ馬ならし 前編 6/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:09:03 ID:mnp7oewbO<> 悪態を気にも留めず、兵四郎は裾から手を差し入れ、真之介の中心を下帯越しに握り込んだ。
ゆるゆると揉んでやると、息を乱して涙目でねめつけ、また罵声を放った。
「と、殿様!馬鹿、馬鹿野郎っ!俺の、そんなとこ触って、な、何が楽しい!」
「それがな、思ったより楽しくて、我ながらびっくりしてるところだ」
「く、くそっ、ふざけ、やがって……あっ!や、や、やめ……」
「まあ、そう怒るな」
下帯をも外され、兵四郎の大きな掌にじかに握り込まれて、真之介の身体からやや力が抜けた。
すかさず肉厚な手が真之介自身を丁寧に扱き、半勃ちだったものは完全にそそり立った。

「ん、んっ、と、殿様……!もう、や、やめて、くれっ」
「今やめたら、おぬしが辛いぞ。いいから、任せておけ」
兵四郎は微笑み、なぶる手を休めず真之介の唇をまた奪った。
息苦しさに真之介が呻くと解放してやり、顎や浮き出た喉仏に口づけて舌でなぞった。
襟を大きくはだけ、胸骨の浮いた胸を撫でて乳首を含んだ。
真之介は身体を跳ねさせ、高くなる声を必死で殺しかすかに喘ぎながら、弱々しく兵四郎の着物を掴んだ。

「う、ふっ……と、殿様、い、やだ……いっ、いや、だ……!」
「安心しろ、仙石。蛇はもうおらん。外に、逃げて行ったよ」
「そっ、そんな、こと、わ、かって、る……うぁ、ん、あ……」
「おぬしはもっと、肉を付けたほうがよいな。腕は確かだが、少し骨が目立つ。ちゃんと、飯を食ってるのか?」
「よっ、けいな……世話だ!うっ、ん……ふ、うぅ」
回した左腕でぐっと肩を抱き寄せ、また唇を吸った。
憎まれ口を叩いた真之介は、だが素直に兵四郎の舌を迎え入れた。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 7/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:10:04 ID:mnp7oewbO<> 兵四郎はあくまでも優しく真之介自身をいじり揉みしだき、甘くねっとりと口内をなぶった。
温かな人柄がそのまま表されたような心地良い愛撫に、いつしか真之介は抵抗を忘れ、与えられる快楽に飲み込まれつつあった。

「あ、あっ……との、さ、殿様、も、う、もう……っ」
「仙石、ちょっと待て。どうせだから、もっとよくしてやろう」
「うんっ、あぁ……な、なに、をっ……」
兵四郎は懐に手を入れ、傷薬の軟膏を詰めた貝殻を取り出した。
手早く右手の指に塗り付けると、真之介の脚を大きく開かせた。

「仙石、ちょっと痛いかもしれんが、我慢しろ。すぐに慣れる」
「なん、なんだ、殿様!痛いって、な、なにを……あっ、ひ……あぁっ!」
「仙石、力を抜け」
「う、むっ、むり、無理、だっ……いっ、あぁ、うあ……っ!」

軟膏にまみれた兵四郎の太い中指が、真之介の後ろに侵入してきた。
傷を付けないようゆっくりと慎重に中に埋め込み、そろそろと動かして馴染ませた。
真之介が痛さを訴えなくなったところで、中指を折り曲げ動かして、慎重に内部をまさぐった。
すると硬いしこりが指に触れたので、そこをそうっと押した。

「ふ、あぁっ!あ、な、なん、だっ……あぁ!」
「ここだな」
「あ、あっ、と、殿様っ!や、だ、やめろっ、やめ……うぁっ、は……っ」
「よくないか?仙石、どうだ」
「ば……かっ、馬鹿!ああ、あうっ、ん、ふぅぅ……」
後ろを刺激され、真之介の先端からとろとろと、透明な露が滴り落ちた。
じわじわとうごめく仙四郎の指が与える快楽に、真之介の頭は霞み、高い鳴き声を続けざまに上げた。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 8/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:11:11 ID:mnp7oewbO<> 顔や全身を真っ赤に染め、緩やかに首を振り感じ入る様に、兵四郎はたまらない愛しさを覚えた。
そして下腹に熱い重みをずしりと感じ、乱れる真之介をしばし眺めた。
やがて指を引き抜き、肩と腰を掴んで身体を裏返させた。

兵四郎は俯せの真之介に覆い被さった。
上体に纏ったままの着物の襟を後ろに引き、あらわになったうなじに口づけを落とした。
真之介の汗の匂いを感じ、ぺろりと舐め上げるとしょっぱい味がした。

「ふ、あっ……殿様、もう、本当にもう、いい。あったまったから、勘弁して、くれ……!」
「いや、まだ途中だ。もっと暖めてやる。それに俺も、暖まりたくなったのでな」
「え、な、なに……?う、わっ、ま、て、待てっ、殿様……は、あっ!」
剥き出しの肩に軽く歯を立て、無防備に晒された後ろに再び指を突き入れた。
抜き差しすると中はちゅくちゅくと濡れた音を奏で、真之介は藁を握りしめて甘い吐息を漏らした。
兵四郎はもう一本指を増やし、慎重に中をまさぐった。

「……あ!ひっ、だ、だめ、駄目だっ……との、さまっ!」
「大丈夫だ、仙石。力むな、余計に辛いぞ」
前に左手を回し、わななくものをまた揉みしだいた。
すると身体から力が抜け、指は真之介の中にすんなりと入っていった。
「そうだ、いい子だ。偉いぞ」
「ば、ばかっ……!あぁっ、ふぁ、あ、あっ……」
低く響く美声で耳元に囁かれ、真之介はぞくぞくとした快感に包まれた。 <> じゃじゃ馬ならし 前編 9/9<>sage<>2010/09/28(火) 00:12:35 ID:mnp7oewbO<> 「もうひとつ、増やすぞ」
二本の指が慣れたところで、兵四郎はまた指を増やした。
「な、に、うっ……嘘、だろ!おいっ、殿様……あ、あ、あっ」
「大丈夫だ、ちゃんと入った」
「嘘だ、う、そだ……!あぅ、ふ、あっく、嘘……あぁ!」

いまや真之介の後ろの口は、兵四郎の節くれだった指を三本も飲み込み、あまつさえ締め付けていた。
優しく撫でられる前は先走りを溢れさせ、今にも弾けそうにばんぱんに膨らんでいた。

「あぁ……と、殿様、んっ、んぅ、ふぁ、あっ」
「仙石、気持ちがいいか?暖かくなってきたか」
「うっ、うん、うん……はっ、あ、ふぅ……」
藁の山に顔を埋め、真之介は無心に頷いた。
兵四郎は指を抜き去り、後ろから顎を支えて自分のほうに向けさせ、喘ぎを零す唇を吸った。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

初めてDVDで見たら、このふたりに萌えが止まらなくて……ああすみませんすみません。
ではまた後日に。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/28(火) 01:23:46 ID:y0qGZ78b0<> >>255
おぉぉ2人の掛け合いが可愛いしエロいしですごくイイ!
秋の夜長の焦らし祭 絶賛開催中ですね <> 胡蝶の褥 1/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 02:49:34 ID:erhsqQgR0<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ゲーム版・銀河天使2で三/侯/爵の話だってさ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  摂/政受け・将/軍×摂/政メインだけど侯/爵とか蛇さんもいるよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マイナーッテレベルジャネーゾオイ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
長いので複数に分けて投下します
※誘い受け(というか襲い受け)・媚薬、獣姦(蛇)要素、エロあり
※捏造設定満載
<> 胡蝶の褥 2/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 02:51:05 ID:erhsqQgR0<>
 ひらりと。
 月明かりを遮って闇夜を舞う影を目の端に認め、ベネディクタインは盃に注いでいた
視線を上げる。
 一羽の――否、本来は一頭と数えるのだったか――蝶が、夜の帳の中を漂うように
飛んでいた。
 夜陰にはっきりと浮かび上がる、目に鮮やかな白い羽根。窓の向こうを横切っていく
それを、静かに目で追う。別段興味がある訳ではない、単なる暇潰しだ。
 そう、未だに姿を現さない待ち人――ジュニエヴルを待つ間の、なんの意味も
持たない戯れ。
 ふわふわと踊る白い羽根の向こうに見える月、その傾きの移り変わりから今の時刻を
推し量る。事前に定めていたはずの刻限は、とうに過ぎ去って久しい。
 しかし、ベネディクタインが邸の奥座敷に通されてからこちら、やって来たのは酒を
運んできた下女らしき中年の女だけ。彼をここに呼んだ張本人であるジュニエヴルは、
顔を見せないどころか言伝の一つすら一向に寄越してこない。
 全くあの若造は人を呼び付けておいて一体何をやっているのかと、ベネディクタインが
憤るのも当然のことと言えた。
 無言のままに眉を顰める彼の真向かいで、同じように呼び出され、そして待たされている
男がより率直な形で怒りを表に出す。
「ええい! 摂政殿は一体何をしておるのだ! もう約束の刻限はとうに過ぎておるでは
ないか!」
 干した盃を自慢の強力で握り潰し、将軍ことカジェル候カルバドゥスは声を荒げた。
見た目の印象そのままの野蛮な言動に、ベネディクタインはまた表情を歪める。
 ジュニエヴルと三人、こうして密会の場を設けるようになってしばらく経つが、どうもこの
男とは気質が合わない。対するカルバドゥスのほうも、老齢に差しかかり体力的な衰えが
目立つベネディクタインを侮った目で見ている節があり、両者の中はお世辞にも良好とは
言えなかった。
 そんな相手と二人きりで顔を突き合わされ、ただでさえ不愉快になっているところにこの
仕打ちである。常になく機嫌の悪い二人は、この状況の原因を作った青年への苛立ちを
ふつふつと募らせていた。 <> 胡蝶の褥 3/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 02:52:00 ID:erhsqQgR0<>
 ぶつける先のない怒りをベネディクタインは黙してやり過ごそうとし、カルバドゥスは適当な
もの――例えばその辺りに転がっている空の銚子――に八つ当たりをすることで消化しようと
試みる。
 叩き割られた器の破片が飛んできて、肩に乗せていた白蛇が怯えるように体をすり寄せてきた。
その頭を指先で撫でてやりつつ、ベネディクタインは目の前で鉄瓶の柄を折り曲げている男に
苦言を呈する。言っても聞かないだろうと思いながら。
「少し落ち着いてはいかがか、将軍殿。我らがここで騒いだとて、事態が好転する訳でも
あるまい」
「何を仰るか、侯爵殿! 人を招いておいて断りの一つもなく待たせるなど、あまりにも礼を
失した行い! 貴公はこの非礼を許すと申されるか?!」
「……立腹するのは勝手だが、それに我輩を巻き込まないで頂きたい……甚だ迷惑だ」
「なんだとぉ?!」
 棘を含んだ言葉が、元より堪え性のないカルバドゥスの癇癪をついに爆発させた。
 今にも掴みかからんばかりに腰を浮かせる彼を、ベネディクタインは色眼鏡越しに冷たく
見据える。
 部屋の襖が静かに引き開けられたのは、丁度その時だった。
 人の気配を察した二人は、互いを睨んでいた目を部屋の入口に向ける。手燭の明かりに
浮かび上がるのは、群青の着物に身を包んだ一人の青年。
「やあ、二人共。遅くなっちゃって、ごめんね」
 挨拶のつもりか軽く片手を上げ、ジュニエヴルはにっこりと二人に笑いかけた。
「摂政殿! 一体何をしておられたのだ! 話があると貴殿が申されるから、我らは
こうしてここに参ったのだぞ!」
 罪悪感など欠片も抱いていなさそうな朗らかな笑みに神経を逆撫でされたか、
カルバドゥスは語調も荒くジュニエヴルに詰め寄っていく。人一倍大柄な体躯も相まって、
目端を吊り上げるその表情には中々の威圧感があった。並の人間ならば容易く怖じ気付いて
しまうだろう眼光を前に、しかしジュニエヴルはまるで動じず、涼しげに笑って受け流す。 <> 胡蝶の褥 4/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 02:52:43 ID:erhsqQgR0<>
「そんなに怒らないでよ、カルバドゥス。ボクも早く二人に会いたかったんだけど、実は急に
人が訪ねて来ちゃってさ。大切な知り合いだから追い返す訳にもいかなかったし、キミ達と
会うことは他人には言えないし……ボクだって困ったんだよ?」
 両手を広げ肩を竦めてみせながら、彼は弁解を口にした。要は不可抗力だと言いたい
らしい。
散々待たされた身としては、その自分に非はないと言わんばかりの態度は少し癇に障った。
「ほう、このようなお時間に来客とは……さすがは摂政殿。夜会のお誘いも引く手数多と
お見受けする」
「まあね。ほら、ボクって人気者だし」
 いけしゃあしゃあと自賛の言葉を口にするジュニエヴルを見やり、ベネディクタインは心中の
苦々しさを噛み締める。年若い癖に人を食ったような言動をするこの若者を、老侯はやはり、
あまり好いてはいないのだった。
 こちらの胸の内を知っているのかいないのか――この男のことだ、十中八九分かっているの
だろうが――青年は険しい視線を真っ向から受け止め、くすくすと笑う。そして不服げに佇んで
いるカルバドゥスを軽く押しのけると、ベネディクタインの座る窓の際まで歩み寄ってきた。
 しかし。
 一体どうしたことか、数歩も歩かぬうちにその足元が揺れたと思うと、彼はその場にへなへなと
くずおれてしまったのである。
「せ、摂政殿?! いかがなされた?!」
 床にへたり込んだきり動かなくなってしまったジュニエヴルを前に、豪胆で知られた将軍もさすがに
度肝を抜かれてうろたえる。戸惑いながらも肩に手を置いてみればその身体は熱く、常態とは
思えない体温がますます彼の動揺を誘った。
 柄にもなく狼狽し始めるカルバドゥスを見て、ベネディクタインも事態の異常さを察したらしい。
体に纏い付かせた蛇をそのままに、二人の元へと近付いて来る。
「ふむ……摂政殿、どうかなされたか? お加減が優れないように見えるが」
 形ばかりの労わりに、ジュニエヴルは俯いたままくつくつと肩を震わせた。そして、愉快そうに
細めた瞳をついとこちらに向けてくる。
「ちょっとね……まだ、薬が抜けきってないんだ」 <> 胡蝶の褥 5/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 02:53:11 ID:erhsqQgR0<>
「何?」
 言葉の意味を図りかね訝しげにそう呟いたベネディクタインは、自身を見つめる双眸が奇妙な
程に濡れていることに不意に気付いた。
 よく見れば―― 仄暗い部屋の中でもはっきりと見て取れる程に、ジュニエヴルの端麗な顔が
上気しているのが分かる。色の白い肌が淡く鮮やかな朱に染まり、唇などまるで紅をさしたかのようだ。
 陶酔感を漂わせる表情の中に確かな色香を感じ取って、ようやく先程の言葉の意味を理解する。
「……貴殿、一体誰と会われていた?」
 ベネディクタインの問いにジュニエヴルは答えず、ただ意味ありげに笑ってみせた。
 そしてその表情のまま、一人状況を理解できずに当惑しているカルバドゥスを見上げる。
「ねぇ? カルバドゥス……キミ、男を抱いてみる気はない?」



「実はねぇ、前からちょっと興味があったんだ。キミは一体どんなモノを持っているんだろうってね」
 半ば近く立ち上がった肉棒に指を絡ませながら、ジュニエヴルが楽しげに語る。わざとらしく
声を潜め、口の端を吊り上げるその様は、まるで悪戯の計画を話して聞かせる子供のようだ。
無邪気と悪意が混在する、毒気など全く感じさせない笑顔。
「やっぱり大きいんだろうなとは思っていたけど……これは想像以上かな。さすがは剛勇で
知られた将軍殿だ。実にご立派なものをお持ちでいらっしゃる」
 寛げられた服の袂から顔を出しているカルバドゥスの性器は、ジュニエヴルの言葉通り、
大柄な体に見合った逞しいものだ。
 その浅黒い皮膚の上を、男のものとは思えない程に細く白い指先が滑っていく。雫の
滲み始めた先端を優しく擦られ、カルバドゥスが呻き声を上げた。確実に息を上げつつある
男の顔を上目で見やり、ジュニエヴルは声もなく笑う。
 ひどく愉快そうに、あるいは酷薄に。その眼差しは、獲物を追いつめる狩人のそれによく
似ていた。 <> 胡蝶の褥 6/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 03:00:10 ID:erhsqQgR0<>
「どうだい、カルバドゥス? ボクの手淫も、そう捨てたものじゃないだろう?」
「ぬっ、く……う、うむ、そうだな……中々の、お手、前でっ……いらっ、しゃる……っ」
 裏筋に爪先を這わせながらの問いにカルバドゥスは、ともすれば上擦りそうになる声を
必死に抑え付けながら答える。
 背後の壁に背を預け、彼は自分の足の間にうずくまっている青年を見下ろした。こちらを
見つめるジュニエヴルの笑みには、相手を玩んで楽しんでいる色がありありと浮かんでいて、
湧き上がってくる屈辱感にぐっと奥歯を噛み締める。

 ベネディクタインと同様にカルバドゥスもまた、ジュニエヴルのことを決して快く思っては
いなかった。自分達より遥かに若年の分際で、摂政という実質的な為政者の座を手中に
している男。秀麗な容姿と痩せた体躯はまるで女のようで、ジュニエヴルが摂政の任を
引き継いだ当初は、何故こんな男に頭を垂れねばならないのかと、ことあるごとに忌々しく
感じていたものである。
 今でこそ、共通の目的の為にこうして手を取り合う間柄となっているが、かつて抱いた
わだかまりがそう簡単に消えるはずもない。その結びつきが情を伴わない利己的なもので
あるならば尚更だ。
 だからこそ、先刻ジュニエヴルの誘いを受けた時に思ったのである。これは良い機会だと。
 何しろ、いつも高みから人を見下ろして笑っているような人間が、自分に向かって足を
開くと言うのだ。男の内に潜む嗜虐心と征服欲を、これ程そそる申し出もあるまい。
 どうせ誘ってきたのはジュニエヴルのほうだ、日頃苦汁を嘗めさせられている礼に思う様
泣かせてやろうと、心密かにほくそ笑んでいたのであるが。
 ――ぬぅぅ……こ、こんなはずでは……!
 目論見とはまるで逆の立場に追いやられ、悔しさに歯噛みする。そんな心中など全て
お見通しだと言うかのように細められた目付きが、余計に腹立たしかった。 <> 胡蝶の褥 7/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 03:01:32 ID:erhsqQgR0<>
 どうにかして優位に立てはしないかと手立てを探るものの、施され続ける愛撫に思考の
全ては掻き消されていく。どころか、緩慢な指の動きにもどかしさばかりが募り、恥も外聞も
捨てて浅ましく快楽をねだってしまいたいとさえ思う有様だ。
 恥辱と、高まりつつある快感への抵抗からぎりぎりと歯を食いしばるカルバドゥスを、傍から
二人を眺めていたベネディクタインは嘲笑う。気に食わないと思っていた相手が醜態を晒す様を
眺めるのは、なんと胸のすくものであろうことか。
 くすりと、抑えきれずに漏れてしまった声が聞こえたのか、それとも単に視線を感じたのか。
ジュニエヴルを睨み据えていたカルバドゥスが不意にこちらを向き、口元に浮かべた笑みを
見咎めて激昂する。
「き、貴様っ……何を笑っている?! ワシを侮辱するつもりか?!」
 一瞬で頭に血が上り、カルバドゥスは巨躯を震わせて怒鳴った。怒りのあまり、敬語を使う
ことも失念する。
 常ならば気に障る粗野な物言いも、内心の動揺を悟られぬ為の虚勢と知れば愉快な
ものだ。自身を睥睨する視線など歯牙にもかけず、ベネディクタインは鷹揚に肩を揺らす。
「いやいや、滅相もない。ただ、随分とお辛そうに見えたものでな。素直になってはいかがかと
思ったまでのこと……気に障ったのならばお詫びしよう」
「何を――ぬ、ぁ……っ!?」
 図星を指され、反駁しようと張り上げた声が不自然に途切れる。敏感な場所に息を吐き
かけられて、とっさに唇を噛み締めた為だ。
 慌てて顔の向きを元に戻す。床に投げ出した足の間に、上向き始めた己の性器と――
そこに唇を寄せて微笑む、恐ろしい程に美しく整った横顔が見えた。
「ダメだよカルバドゥス、よそ見なんかしちゃ……ちゃぁんと、ボクを見ててくれなきゃ」
 わずかに掠れた声音で、甘えるかのようにジュニエヴルは囁く。赤々と濡れた唇から舌の先が
覗き、亀頭のくびれをそっとくすぐった。不覚にも、腰が跳ねる。
 こちらの反応に気を良くしたのか、彼は艶然と笑い―― そして、綻んだ唇から零れた白い
歯を肉茎に近付け、言う。
「じゃないと……何するか分かんないよ?」 <> 胡蝶の褥 8/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 03:02:32 ID:erhsqQgR0<>
 どこまでも甘いばかりの声音を前に、カルバドゥスは今度こそ言葉を失った。心の内で
くすぶっていた反抗心が、霧散していくのをはっきりと自覚する。
 押し黙ったきり動かなくなったカルバドゥスをしばしの間眺めていたジュニエヴルは、
自分の優位を確信したのだろう、ややあって、にっこりと花の咲くような笑みを浮かべた。
「そうそう。人間素直が一番だよ。つまんない意地なんか張ったって、いいことなんて
なーんにもないんだからさ。ね? ベネディクタインも、そう思うだろう?」
 笑顔のまま、背後に座した老人を振り返るジュニエヴルから、カルバドゥスは目を逸らす
ことができない。
 それは、言外に伝えられた脅迫に対する怯えからの行動ではない。潤んだ双眸に潜む、
凄艶なまでの色香に魅せられた故のものだった。
 仄赤く染まった眦と、挑発するかのように自分を見上げる熱を帯びた眼差し――
思い返した先の光景に、握り込まれたままの一物がぐっと勢い付くのが分かる。
 ジュニエヴルも気が付いたのだろう。ベネディクタインと何事か談笑していたのが急に
こちらへ向き直ったと思うと、その薄い唇が静かに弧を描いた。
「ああ、ごめんねカルバドゥス。言った側から、ボクがよそ見しちゃってた」
 着実に反り返りつつある剛直を愛しむように撫で、青年はちろりと唇を舐める。
「それじゃ……大人しく言うことを聞いてくれたご褒美に、そろそろイかせてあげようかな」
 そして、声を発する為に軽く開いた口唇で、そのまま先端を咥え込んだ。
「ぐ……っ!?」
 下肢から脳髄にかけてを雷のような衝撃が走り抜け、カルバドゥスは思わず呻く。
 温かく湿った口腔が、エラの張った亀頭部分をすっぽりと包みこんでいた。上等の
別珍にも似た、柔肉の質感。それだけでも十二分に反応してしまう肉棒に、さらに
舌が絡み付いて来る。
 ただでさえ並外れた大きさを誇る剛直は、頬張っているだけでもかなりの苦痛を
伴うだろう。にもかかわらず、舌は狭い口内を器用に動き回り、敏感な部位を満遍なく
舐め回す。時には包むように優しく、そうかと思えば擦り上げるように強く。緩急を
付けて与えられる刺激に、肉棒は瞬く間に硬く張りつめ天を仰いだ。 <> 胡蝶の褥 9/9
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/09/28(火) 03:03:57 ID:erhsqQgR0<>
「ぬっ……ぐ、ぅっ……摂、政殿……!」
 もはや漏れる呻き声を隠すこともできず、カルバドゥスはただ荒い呼吸に肩を
上下させる。
「ふっ……んぅ……気持ち、いいかい……カルバドゥス……?」
 甘やかな息の音が混じる、ジュニエヴルの問いかけ。かすかな嘲りさえ孕むその
声色に、しかしカルバドゥスは反論する言葉を持たなかった。
 認める他ない。これは、確かに。
 わずかに頭を俯け、自身の股座に顔を埋める青年の顔をじっと見つめる。
 いつも飄々とした笑みを湛え、歪んだところなどついぞ見たことのなかった秀麗な
容貌が、男の―― それも、他ならぬ自分の――肉棒を淫らに舐めしゃぶっている姿。
さすがに苦しいのか、形の良い眉がかすかに顰められており、唇の端からは唾液と
一緒にくぐもった吐息が零れ落ちる。見下ろしたその表情は、今までに組み敷いてきた
どんな女のそれよりも美しく、そして卑猥だった。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! キルトコチュートハンパニナッチャッタ・・・
スペースどうもです。続きはまた後日に
ああ、うっかり連投してしまった…… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/28(火) 09:43:56 ID:f+BpZjCaO<> >>234
浄化投下ありがとう!
楯駆動らしくて萌え <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/28(火) 13:11:03 ID:SYtGEV9TO<> 亀ですが>>182
まさかの宇宙戌!大変萌えましたdです!
惑星薔薇絵亭の回を見た後だったのでどストライクでw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/29(水) 00:19:29 ID:sa2a7LkF0<> 支援 <> じゃじゃ馬ならし 後編 1/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:31:35 ID:T8O0T1sPO<> >>263の続きです。
20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。
残り一匹+妹分も出てきます。
エロありです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



兵四郎の施す快楽に捕われた真之介は、夢中で舌を絡めて混じった唾液を飲み込んだ。
ん、んと小さく呻きながら口づけに応える真之介から離した唇を、兵四郎は耳元に近付け囁いた。

「真之介、入れるぞ。許せ」
「……!と、のさま?」
急に名前を呼ばれて、真之介はうろたえた。
すると兵四郎の指が後ろをぐっと押し広げ、入り口に熱いものが宛てがわれた。
真之介が驚く間に、それはずんっ、と中に入り込んできた。
指ではない大きなものが何なのか、すぐにはわからなかった。
緩められたおかげで、わずかな痛みのみで全てが埋め込まれ、内部をみっしりと満たした。

「なんっ……と、殿様っ!なんだっ、なん、だ、こ、れっ……あぅ、あぁっ!」
「ふう、熱いな。痛くないか?」
「ひあっ、や、だっ、いやだっ、との、さま……!う、あぁ、あーっ」
口づけの間に下げた袴から取り出された兵四郎自身が、中を犯しているのだと真之介はようやく気付き、動揺して叫んだ。 <> じゃじゃ馬ならし 後編 2/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:33:34 ID:T8O0T1sPO<> 「大丈夫、大丈夫だ。真之介、何も怖くはないぞ」
「う、ば、馬鹿……名前なんぞ、呼ぶなっ!ふぁっ……」
「そうか、じゃあ仙石、何も怖がるな。俺に全て、委ねればいい」
「このっ、馬鹿!馬鹿、野郎っ、この、助平殿様っ……あ、あっ!」
衝撃のあまり真之介は涙をぽろぽろと流し、兵四郎の所業を罵倒した。
兵四郎は困ったように笑い、震える身体を背中から包むように抱きしめた。

「すまん、仙石。お前があまりにもかわいくてな、つい」
「つ、つい!?つい、入れたってのか!ふざけるなっ……あ、あ!うっ、動かす、なっ……!あぅ……っ」
馴染んだと見て、兵四郎はゆるゆると腰を打ち付けた。
中をえぐる熱いものに気を乱された真之介は、半ば兵四郎への怒りを忘れた。

「ふぁ、あ……嘘だっ、こんな、こん、なっ……」
「嘘ではないぞ、仙石。俺のものが、お前の中に入っている」
「ば、馬鹿!いっ、言わなくて、いいんだっ!あ、うくっ」
「ふふ、今日ほどお前に、馬鹿と呼ばれた日はないな」
「んうっ、あ、ふっ、ばっ、ばか!馬鹿!貴様なんか、馬鹿殿様、だっ……う、あぁっ」

兵四郎は真之介の腰を掴み、貫いたものを大きく抜き差しし追い込んだ。
真之介は悪態をつきながらも無意識に兵四郎の高ぶりを締め付け、動きに合わせて腰を揺らめかせた。
狭さと熱さに兵四郎は酔いしれ、年甲斐もなくと自嘲しながらも真之介の身体を貪った。
じっくりと突かれ甘く責められて、やがて真之介は、ほとんど意味を成さない喘ぎ声しか出せなくなっていた。 <> じゃじゃ馬ならし 後編 3/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:35:08 ID:T8O0T1sPO<> 「あっ、あ、あふ、も……もう、も、うっ……との、さ……あぁっ」
「うん……仙石、俺ももう、限界だ」
「はぁ、あぅ……あ、あっ、うぁっ……」
「いいぞ、仙石。出して、いい……真之介、出せ」
「あ!あ、あっ……んっ!ふ、あぁーっ……!」
「……っ!」
深く突かれてとうとう耐え切れず、真之介は藁束の中に欲を放った。
ぎゅうっと締め付けられて兵四郎は呻いたが、放つ前に中から自身を抜き取り、懐から出した懐紙で包み欲を受け止めた。

汚れた懐紙を丸めて放り投げると、袴を上げて着衣の乱れを直した。
そして、俯せたままはあはあと荒い息をつく真之介を見やった。
流れた汗を手ぬぐいで拭き、下がった襟を直してやった。
抱き起こして板の床に仰向けに身体を横たえさせ、残りの懐紙で中心の残滓を拭き取った。
下帯を付けさせて袴は履かせず、楽な着流しの恰好にさせて、汚した部分を取り替えた藁の上に寝かせた。 <> じゃじゃ馬ならし 後編 4/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:36:20 ID:T8O0T1sPO<> 呼吸は元に戻ったが、真之介は気怠げに手足を投げ出し、目を閉じてぐったりとしていた。
無理をさせてしまった、と兵四郎は心配になり、乱れた真之介の髪や髷を指で梳き、頬を撫でた。

「仙石……大丈夫か?」
「……大丈夫じゃ、ない」
「だろうな。いや、悪かった。いい年をして、歯止めが効かなかったのだ。すまん、許せ」
「……殿様」
心から頭を下げると、真之介は人差し指をちょいちょいと動かし、兵四郎に顔を近付けさせた。
「うん?なんだ」
「歯ぁ、食いしばれ」
囁くように耳元に告げてから真之介はにやっと笑い、思いっきり右手で兵四郎の頬をはたいた。
思わず兵四郎はよろめき、寝そべる真之介の上に倒れ込んだ。

容赦ない痛みに顔を振り、目を白黒させる兵四郎を見て、真之介は気持ち良さそうに笑った。

「ざまみろ!いいようにしてくれた、お返しだ!はっはっはぁ」
「っつう……やってくれたな」
「なんだ!文句あるかっ」
「いや、ない。それでこそ、仙石だ」
「ふんっ、これでもだいぶ、おまけしてやってんだ。握り拳じゃなかっただけ、優しいと思え!この、馬鹿殿様」
「ふふ、確かにそうだ。ありがたいよ、仙石取り」
赤くなった頬を摩り、兵四郎は笑った。

「全く、その気がないってのに、どこで覚えたんだこんなこと」
「そりゃあおぬし、いろいろさ。読んだり、聞いたり。あとは実践したり、な。ただし相手は、おなごだが」
「……お、おぬし、女相手に、あんなことするのかっ」
「いやいや、あそこまではさすがにせんよ。せいぜい、指を入れられるくらいだ」
「い、入れられ……女にか!」 <> じゃじゃ馬ならし 後編 5/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:37:48 ID:T8O0T1sPO<> 「うむ。吉原には、すごい技を持ったのがいてなあ……」
「そ、そうかぁ。江戸に行った折りには、ぜひ紹介してくれ」
「ふふ、あいわかった。覚えておこう」
すごいなぁ吉原は、と呟いて目を輝かせた真之介に、兵四郎は微笑み頷いた。

そして、自分はなぜこの男にあそこまでしてしまったのか、と考えた。
初めは単なる悪戯のつもりだったが、腕の中で身悶え艶やかな声を放つ真之介に、いつしか我を忘れてのめり込んでしまった。

真之介は色恋故の所業とは受け取らず、あくまで兵四郎の度の過ぎた悪ふざけだと思っているようだ。
抱かれている時は大いにうろたえ、快楽に溺れながらも兵四郎を非難したが、終わればもう取り返しがつかないこととして、平手打ち一発でけりをつけた。
あっけらかんとした、この男らしい始末の付け方だと思った。
それがありがたくもあり、また少し、寂しくも思えた。
その寂しさが何なのかと考えたが、容易に答えは出ては来なかった。

「おい殿様、俺はもう寝るぞ。寝る前に言っとくが、あの一発だけじゃあやはり、気がおさまらん。明日は宿場で一杯、いや十杯は、奢ってもらうからな!」
「おお、いいとも。温泉宿も、おまけしてやろう」
「なにぃ、本当か!殿様、金持ってんのか」
「いや、ない。ないがまあ、なんとかなるさ」
にこにこと笑ってのたまった兵四郎に、真之介は呆気に取られ苦笑した。
そして、本当になんとかなるかもしれない、と思わせるのがこの男のすごいところだと感じた。 <> じゃじゃ馬ならし 後編 6/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:39:33 ID:T8O0T1sPO<> 「ふん、まあ、どうなるか楽しみにしてるよ。じゃあ、俺は、寝るからなっ」
「ああ。おやすみ、仙石」
告げて間もなく、すやすやと寝息が聞こえてきた。
兵四郎は穏やかに、真之介のあどけない寝顔を見つめた。
そして焚火に小枝を投げ込み火を強めてから、真之介の隣に藁を積み、横になって目を閉じた。


昨夜の疲れからか、目が覚めた頃にはすっかり夜が明けていた。
秋晴れの空に山の赤さが照り映えて、兵四郎はまたも美しさに気を取られて歩いた。
やや足腰に力が入らない真之介も、彼に合わせてゆっくりと歩いた。
ひょっとして自分を気遣っているのかと思ったが、わざわざ訊くのも野暮だと思い黙っていた。

すると道の先の方から叫び声がした。走れない真之介を置いて兵四郎が駆け付けると、身なりのいい若い夫婦連れの旅人が、籠掻きの雲助達に因縁を付けられて途方に暮れていた。
雲助達が絡んで殴りかかってきたので、即座に叩きのめし追い払った。
上品そうな若い夫婦は兵四郎に心底感謝し、ぜひ宿場までの用心棒になってくれ、先程の礼と合わせて謝礼ははずむから、と伏して拝んだ。

追い付いた真之介に事情を説明すると、「やったな殿様、温泉宿!」と叫んで肩をどやしつけてきた。
聞き付けた亭主が、それならふたりの宿代も持たせてくれと申し出てきた。
さすがに兵四郎は固辞したが、夫婦はどうしてもと言い張り、結局折れて厚意を受けた。

真之介は自分が助けたわけでもないのに、得意げに意気揚々と先頭を切って歩き出した。
高らかに陽気な唄まで歌い出したので、兵四郎は夫婦と顔を見合わせて笑った。 <> じゃじゃ馬ならし 後編 7/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:43:26 ID:T8O0T1sPO<> 宿場で一番の旅籠に着くと、すすぎを持って出迎えた女中は見知った顔だった。
「あらっ、殿様!仙石さんも」
「おけいじゃないか。お前、ここで働いてるのか」
「美味しい物食べまくったら、お金なくなっちゃって。殿様達はずいぶん豪勢ね、こんないいとこ泊まるなんて」
「おう、いいだろ!何しろ、俺達はこちらのご夫婦の、用心棒だからな」
正確には兵四郎が、であるが、真之介は胸を張って言い放った。

「へええ、うまくやったわね……あらぁ?ちょっと殿様、どうしたのよその顔!」
「うん?顔がどうした」
「こっちが訊いてんのよ。真っ赤な手形が付いてるわよ!」

真之介は何も言わず、若い夫婦も気付いてはいたが恩人に非礼があってはと黙っていたので、兵四郎は自分の頬がそんなことになっているとは、ついぞ知らなかった。
そういえば雲助達は俺を見て、このさんぴん妙な面をしやがってとか喚いていたなあと思い返した。
朝起きたらやたらひりひりしていたから、川の水で冷やしはしたが、痕になってしまっていたかと、兵四郎は真之介に張られた頬を撫でた。

「ひどく痕になってるわねえ。もう、どこの女にやられたのよっ。だらしないわね、殿様!」
呆れたおけいの台詞を聞いて、真之介はぶうっと派手に噴き出した。
真正面から唾をかけられて、おけいは怒った。

「やぁだっ、きったないわねえ仙石さんったら!何がそんなに、おかしいのよっ」
「いや、な、なんでもない、なんでも……くくっ、はっはっは!」
「何よ、変な仙石さん。ねえ殿様、あんまりおかしな女に引っ掛かっちゃだめよ」 <> じゃじゃ馬ならし 後編 8/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:46:08 ID:T8O0T1sPO<> 「……そうだな。あれはえらく、凶暴なやつだった。もっとも俺が調子に乗りすぎたんで、ぶん殴られてこの有様になったんだがな」
「ううん、殿様みたいな優しい人をこんなにするなんて、その女が間違ってるわよ!絶対よっ」
「そうか、まあ、そういうことにしておくかな」

ふたりのやり取りを聞いて、真之介はまた笑い声を上げた。
夫婦は目を丸くし、おけいは見知らぬ性悪女と真之介に、ぷんぷんと怒り悪態を付いた。
兵四郎はにわかに頬に痛みを感じ、思わず顔をしかめた。


「たこはどうしてる?」
「陣内さんなら、あっちの角で売ってるわよ。『たこの吸い出し』」
荷物を置いて一杯やろうと、宿から出かける前に尋ねると、おけいは外を指し示して答えた。
兵四郎は真之介と連れ立って通りを歩いた。
やがて聞き慣れた、流れるような口上が耳に入ってきた。

「あらん、そこ行くいなせなお兄さん、素敵なお姉さん、ちょいと寄ってって!見てってお願い!陣ちゃんのお願い!よし集まったね。
さぁて、こちらに取り出したるは、天下に名だたる、たこの吸い出し。出物腫れ物、なんでもござれの妙薬だ……あれっ?殿様!仙石も」
鍔黒陣内は、丸く福々しい顔いっぱいに笑みを浮かべて、勢いよく手を振った。 <> じゃじゃ馬ならし 後編 9/9<>sage<>2010/09/29(水) 02:48:20 ID:T8O0T1sPO<> 「やあ、たこ。売れてるか」
「ま、ぼちぼちってとこね。この宿場いいよ〜。珍しく悪い奴いない!温泉は最高!陣ちゃん幸せ……って、殿様、どしたのそれ」
「いてて、こら、つ、つつくな!」
「ここの温泉、打ち身に効くのよ。よかったね〜」
「おい、吸い出しは薦めんのか」
「うっせえな仙石!しかし殿様、隅に置けないねえ。どこのあばずれにやられたの。もう、陣ちゃん妬けちゃうっ」
「うむ、じゃじゃ馬だ。じゃじゃ馬にやられた」
それを聞いてまた、真之介が笑った。

「なぁに笑ってんだよ、仙石の馬鹿!馬ったって、お前のことじゃないよ。かぁわいい、お馬ちゃんだよ」
「そりゃあとびきり、かわいい馬だろうさ。なあ、殿様」
「何、お前、見たの?殿様のお馬ちゃん、見たの?どんなんだった?なあおい、教えて!教えろ、こら待て、馬面!」

追いかけっこをしてじゃれ合うふたりに笑い、兵四郎は空を見上げて眩しそうに目を細めた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
後半は参匹+妹分のじゃれ合いをただ書きたかっただけという……あー楽しかった。
貴重なスペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/29(水) 03:41:25 ID:zaAEyxUoO<> >>285
やべぇネ申すぐる…!
昔からこのCPで間違いないと思って見てたんだ!
殿千かわいいよ殿千!
こんなところで偶然にも読めるとか…(´;ω;`)ブワッ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/29(水) 08:11:44 ID:wGueHnE70<> >>285
脳内音声再生余裕でした!あざーす

メンバー変わったときに悲しみのあまり大暴れした自分を思い出したわw
CPももちろん、じゃれあいも大変おいしゅうございました <> コーヒーを一緒に・・・3 1/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:12:38 ID:RVFlJTU00<>  闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、
媚薬物でエロありです。ツンデレ気味。>>206の続きになります。レスして頂いたた方、
ありがとうございました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 丑嶋の唇に舌を這わせ、まだ少しだけ付いていた媚薬を舐めとる。改めて味わうと、
砂糖を溶かしたシロップに何かの香料を混ぜた味がする。と言っても味わうほどの量
は残っていない。それでも尚、丑嶋の唇が味わいたい一心で執拗に舌を這わせた。
 柄崎の唾液で丑嶋の唇がグロスを塗ったように照り光る位に舐めまわすと、柄崎は
やっと舐めるのを止めた。
 夢中になってがっつきすぎたか、と慌てて顔を離して丑嶋の顔色を窺うと、丑嶋は
満更でも無さそうな表情で柄崎の腕を引っ張ってきた。
 「舐めるだけでいいのか?」
 挑発的な態度に、柄崎の中に閉じ込められていた情欲が火を点けられ、理性を拭い
さった。
 クイクイ、と小さい力で腕を引っ張ってくる丑嶋の腕を、逆に柄崎が強引に掴む。
力任せに引っ張り、床の上に押し倒した。
 丑嶋は突然強引な態度に出た柄崎に面食らうが、自分程の力強さではないが、かなり
のウエイトがある自分を力任せに捩じ伏せられる柄崎には男を感じてしまう。柄崎にも
こんな強引で乱暴な雄の部分があったのだと改めて見せつけられ、丑嶋は「柄崎のくせ
に生意気だ」と苦笑いしてしまった。
 仰向けで苦笑いしていると、視線の先にある天井の照明を覆い隠す様に柄崎の顔が
近寄ってきて、これまた強引な噛みつくような勢いでキスをしてきた。
 「ふむっ!・・・むう」
 誘われたとはいえ、随分と強引で身勝手なキスだ。 <> コーヒーを一緒に・・・3 2/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:13:24 ID:RVFlJTU00<>  けれど、乱暴で蹂躙するような感じは一切ない。柄崎のキスは愛情に溢れ、正直それ
なりに巧い。飢えているくせに、いざキス自体が始まると紳士的とさえ言える程に丁寧
だし優しさが伝わってくる。
 少しでも乱暴に自分の快楽を引き出すだけのキスであったら、キスが嫌いな丑嶋は今
の時点でもセックスをすることを拒んでいただろう。誘ったのは自分の方なのに、ゆっ
くりとは差し出された柄崎の舌に誘われ、丑嶋は媚薬の風味を互いに分け合うように舌
を絡ませ合う。
 媚薬の風味がすっかり口内から消えてしまうと、柄崎の味覚中枢は純粋な丑嶋の唾液
の味で満たされた。縦横無尽に舌を動かして味わう。
 思う存分味わい、丑嶋のエキスを搾りとるとやっとキスを終える。唾液の糸を引きな
がら唇を離し、また調子にのってしまっていないかと丑嶋の顔色をまた窺う。丑嶋の眼
はすでに力強さを示すよりも、快楽に陶酔し始めている淫らさが見てとれた。
 それなりに長い付き合いなのにも関わらず、こんなに欲望を剥き出しにした人間らしい
丑嶋を見るのは初めてだった。これも媚薬のおかげだろうか。
 じっと見ていると、丑嶋がふい、と首を振り、視線を避ける。恥ずかしい思いをさせて
しまったか、と心配して許しを乞おうと眼を合わせようとする。丑嶋の視線を追うと、
丑嶋の眼は怒っている風ではなく、潤んだ目を今いるリビングの奥にある部屋へのドアを
捉えていた。
 「社長・・・?」
 視線の意味が分からずに問うと、丑嶋は急に不機嫌そうな顔になった。やはり、嫌な
思いをさせていたか、と身をすくませてモジモジとさせる。居心地の悪そうな柄崎の下で
組み敷かれていた丑嶋も身を蠢かせる。柄崎は見るからにしょんぼりとし、丑嶋の上から
退いた。 <> コーヒーを一緒に・・・3 3/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:14:08 ID:RVFlJTU00<>  「痛ェ・・・」
 丑嶋は床から起き上がると、腰を拳でトントンと叩く。たとえ興奮していたとは言え、
床の上で組み敷かれるのは辛い。痛くなった腰を叩き、肩を揉んだりしていると、柄崎が
腰を擦ってくれる。マッサージや整体の心得がある訳でもないので実際効果はないのだろ
うが、人の手によって触られるのは案外それだけで気持ちのいい物だ。
 腰を解すと、丑嶋は先程視線を送っていたドアを指差す。
 「あっちに寝室があるから、ベッドに連れて行ってくれ」
 積極的どころかストレート過ぎる言葉で誘われ、柄崎の口内に大量の唾液が湧く。唇から
零れそうになって飲み込むと、耳朶に嚥下の音が反響する。もしかしたら、丑嶋にも聞こえ
てしまったかも知れない。
 羞恥を誤魔化そうとしたが、もう今更遅い。柄崎は開き直って丑嶋の腰に手を回すして
立たせると、まるで自分の家のように堂々と丑嶋をエスコートする。

 寝室に移動すると、互いに衣服を脱がしあう。柄崎は全裸になったが、どうしても、と
渋る丑嶋は下半身のズボンとベルトのみ脱いだ。上半身着衣、下半身は下着と、いっそ脱い
だほうが卑猥さが半減するような姿の丑嶋には疑問を投げかけたくはなるが、我慢する。い
ずれ気が乗ってくれば、快楽に溺れた丑嶋から剥ぎ取れば良いだけだ。
 二人でベッドに腰を掛け、啄ばむ様な軽いキスを何度も繰り返す。よくキスは親愛の証し
というが、大人の二人にとっては軽いキスでもお互いの欲を満たす前戯になる。 
 しつこい位にキスを繰り返していると、丑嶋が吐息を漏らしながら柄崎にしな垂れかかって
きた。柄崎は思わず受け止めた。
 途端に柄崎の体の周りには丑嶋の体臭が立ち昇った。もうすでに例の桃の香りは匂わない。
あるのは男の汗の匂い。これこそ丑嶋の匂いなのだと思うと、もっと嗅ぎたくなってくる。
 最早遠慮も躊躇いも無くなった柄崎は対面にある丑嶋の肩に顔を埋め、クンクンと匂いを
嗅ぐ。洗剤の清潔な香りの中に、丑嶋の汗の匂いがする。独特の匂いだが、決して不快な刺激
臭ではない。 <> コーヒーを一緒に・・・3 4/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:15:00 ID:RVFlJTU00<>  もしかしたら、体温が上がったせいで飲んだ媚薬の成分が溶け出したのではないか、と疑っ
てしまう程に柄崎を惹きつけて止まない。人間にフェロモンという物があったとしたら、まさ
にこういう物ではないだろうか。
 柄崎は一心不乱に匂いを嗅ぎつつ、堪らず丑嶋の背中を撫で上げた。
 「んっ、ん・・・」
 丑嶋は柄崎が背中を撫でる度に切なげに身をくねらせ、負けじと柄崎の背中や腰を弄って
くる。
 想像以上に丑嶋は性感に弱いようで、少し触るだけで赤い顔を更に赤くし、耐えれない
声を漏らす。敏感で淫らな様が普段の堂々としすぎた態度との落差がありすぎ、余計淫らに
見える。
 夢中で互いの背後に手を回し、抱きしめ合い、まさぐり合う。丑嶋だけでなく、柄崎も汗を
かいているので匂いさえ混じりあう。
 柄崎にとっては夢にまで見た解けてしまいそうな幸せに、先ほどから勃起していた性器が更
に硬くなり、下着に先端が擦れて痛い程になってきた。勃起した性器は下着越しに丑嶋の股間
に当たっている。柄崎は性器同士が触れ合っていることに興奮し、丑嶋の股間にギュッと押し
付けた。
 「あ・・・」
 押し付けてみて、改めて丑嶋も柄崎と変わらない硬度になっているのに気がついた。媚薬の
せいかもしれない。だが、もしかしたら柄崎のせいかもしれない。嬉しさに思わず顔を綻ばせ
ると、丑嶋は性器を押し付けられたお返しだ、とばかりに右手を柄崎の股間に伸ばし、いきり
立った性器を握ってきた。
 「うっ、あああっ」
 いきなり勃起した性器を握られ、柄崎が悲鳴を上げる。情けない声に丑嶋は満足げに微笑んだ。
柄崎にいい様にされるなんてプライドが許さないのだ。  <> コーヒーを一緒に・・・3 5/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:15:49 ID:RVFlJTU00<> ところが、握ってみてその感触に驚いた。太さもそれなりにあるが、長さも中々の物だ。
 何よりも驚くべきなのは少し力を入れてもビクともしない膨張した性器の硬さだ。丑嶋の瞳
は期待に潤んだ。
 柄崎は触られる喜びを感じるが、尊敬する丑嶋の手を汚してしまうのに躊躇も感じる。だが、
丑嶋が顔をやや上気させた色気のある表情で柄崎の性器を凝視し、焦っている様な手付きで先端
から滲み出たカウパーを竿全体に塗りこんでくるものだから、手を払うのも忘れて下っ腹を戦慄か
せるしか出来ない。
 カウパーまみれになった性器だが、丑嶋が触れば触るほど先端からはドクドクと新しい物が溢れ
出てくる。カウパーは性器の尿道にある豆粒のような小さな器官から排出されるのだが、小さな
器官からよくこんな大量な液体が分泌できるものだ。
 呆れるどころか感心してしまう量のカウパーを手全体に付け、丑嶋は長竿を両手で持つと、捻り
を利かせながら上下に扱きあげる。最初はゆっくり、徐々に速度を上げていくと、柄崎の太ももが
激しく痙攣し始めた。
 「ちょっと、待ってください!・・・ううっ、いっちゃいますから!」
 「あ?!もうか?お前、速すぎるだろ・・・」
 速すぎる、と男としては情けないことを指摘され、柄崎は内心でへこんだ。余りに速いと、こん
なに妖艶な態度で迫ってくれた丑嶋を失望させかねない。
 柄崎は隙をついて丑嶋の淫らな手から性器を開放すると、出てしまわないように根元を握りなが
ら言い訳をする。
 「今日はたまたま速いだけです」
 「そうか?」
 「そうです、そうです!媚薬飲んじまったし、それに・・・」
 「それに?」 
 顔が熱くなり、こめかみがドクドクと脈打ち血管が破裂しそうだ。柄崎は先を促してくる丑嶋の
視線を一身に受けながら、2度深く息をした。 <> コーヒーを一緒に・・・3 6/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:16:28 ID:RVFlJTU00<>  「速くなってるのは社長が相手だからです。好きな人に触られて気持ち良くならない奴なんて
いません」
 媚薬だうんぬんは言い訳まがいで自分に言い聞かせるためのだったが、最後のは本心からだ。出
会って約10年。ずっと好きだった相手に淫らに誘われたり触られたりすれば、速くなるのも仕方
がないではないか。
 時折重く感じるほどの柄崎の気持ちには気がついていた丑嶋だったが、顔には一切出さないまでも、
本音を吐露されて少し戸惑った。そんなストレートに言われてしまっては、もうからかうのも可哀想
になってしまうではないか。
 丑嶋は何だか自分が悪者のような気がしてきた。悪者扱いされるのは慣れっこだし、実際に自分
が善人だと一度も思ったことがないのだが。
 柄崎のことが嫌いなのではない。嫌いな男とセックスを簡単に出来るほど丑嶋の貞操観念は緩く
ない。
 媚薬を使ってまで自分を物にしようとした柄崎の気持ちは嬉しい。
 しかしやはり、ストレートすぎる好意をぶつけられては面食らってしまうではないか。好かれる
のが嫌なのではない。柄にもなく、ただ単に照れてしまったのだ。
 柄崎は急に黙りこくってしまった丑嶋の様子を恐る恐る伺った。やはり、いきなり「好き」なんて
告げて戸惑わせてしまったのだろうか。
 いや、違う。顔はいつものごとく仏頂面。だが、ふっくらした唇を拗ねた子供のように尖らして
いるし、頬から耳にかけては先程より明らかに赤みを増している。照れているのだ。あの丑嶋が。
それに照れるだけで反論しないということは、言われて嫌ではなかったということだ。 
 嬉しさの余りに血圧が急騰し、耳鳴りと頭痛がする。笑うと丑嶋に怒られるだろうから耐えよう
とするが、どうしても頬が緩み、口角が上がってしまう。
 だらしなく鼻の下を伸ばした柄崎を丑嶋は睨んだ。さすがに眼光の鋭さに柄崎は一瞬たじろいだが、
やはり笑顔を隠せというのは無理な注文だ。 <> コーヒーを一緒に・・・3 7/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:18:41 ID:RVFlJTU00<>  「チッ!ニヤついてないで、続きはどうすんだよ?止めるか?」
 止めるか、と生殺しもいいとこの脅しを受け、柄崎は頭を振った。今更止められたら、それこそ
丑嶋に襲いかかってしまいそうだ。
 「フン・・・。じゃあ、どうする?口でしてやろうか?」
 やっといつもの強気な態度に戻れた丑嶋は柄崎を挑発するように口を半開きにし、唾液を纏わせた
舌を出した。舌は血色のよいピンク色で僅かだがヒクヒクと蠢いている。いかにも器用に動きそうだ。
それに口内の肉は舌と同様に唾液で濡れていて内臓のようだ。こんな中に入り舌で嘗め回されたら、
たちまちに射精してしまいそうだ。
 けれど、あの唇に咥えてもらいたい。思う存分舐めまわされてしまいたい。あわよくば喉の奥めが
けて白濁を叩きつけたい。飲んで欲しい。挑発されて浮かんでくるのは今までも何度も夢想した淫ら
なことばかりだ。今、柄崎が乞えば、長年の淫ら極まりない夢想が現実のものとなるのだ。
 ありがたい申し出を断る理由はなく、丑嶋の問いかけに深く頷いて、ベッドに座った。
 柄崎が頷くと、丑嶋はまず性器の根元を握り、先端に唇を押しつけた。そのまま咥え込みはせず、
まずは鼻で息をしながら先端を唇で愛撫する。ポテッとした唇にグッと押しつけると、張りのある唇
は押される力でへこみ皺が寄った。
 そのまましばらくは先端に触れるだけのキスを繰り返す。やがて先端から漏れているカウパーが粘り
気を増してきたので、丑嶋は改めて口を開けて柄崎を迎え入れた。
 「うぐぅうう」
 一気に根元近くまで咥えてみて、改めて柄崎の性器は長かったのだと思い知らされた。根元まで咥え
ると先端が喉の奥の壁まで届いた。息苦しさに吐き出したくなるが、口の中を満たされる感じは悪く
ない。特に、上顎を活きの良い魚の尻尾のように小刻みに叩いてくる性器に浮かんだ血管が堪らない。
 丑嶋は内心うっとりしながら、しかし表面上はなるべく無表情で頭を上下に動かしだした。 <> コーヒーを一緒に・・・3 8/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:20:35 ID:RVFlJTU00<>  唇を竿に纏わりつかせながら咥え込み、出す時は吸い上げながら素早く引き抜く。すぐに柄崎は喘ぎ
始め、口内のカウパーの粘り気が増してくる。滲んだ精子混じりのカウパーを吸引しながら奉仕を繰り
返すと、口からは息をせずに鼻から呼吸をしているので口内の香りが鼻から抜けて行く。その生臭い男
の匂いにも丑嶋は興奮してしまう。
 匂いと、感触と、身近で昔から知っている柄崎に奉仕している恥ずかしい事実とが合わさっていく。
柄崎が感じてくれていると思うと、丑嶋の性器は股間を押し付け合った後は触れられてもいないのに、
段々むず痒くなってきた。
 柄崎を気持ち良くしてやっているのだ。当然セックスなんだから、自分だって気持ち良くなる権利は
ある筈だ。丑嶋は自分の下着の中に手をいれようとした。
 「待って下さい、社長」
 今まさに下着の中に侵入し、自身の性器によからぬことをしようとした不埒な丑嶋の手を柄崎が掴ん
だ。
 せっかく自分を慰めようとしたのを止められたのと、柄崎に手を掴まれてしまったのが気に入らなく、
丑嶋は柄崎の手を振りほどこうとした。
 ところが、かつて格闘技を齧っていた柄崎の力は強く、簡単には振りほどけそうにない。現在の筋力
に関しては丑嶋の方が優勢だが、あくまで力のみだ。柄崎は昔取った杵柄で柔軟に丑嶋の腕の動きに合わ
せて振りほどかれないようにしてくる。
 せっかくの良い雰囲気を壊すのも嫌で、丑嶋はすぐに柄崎の手を振りほどくのを諦めた。
 「・・・んだよ、柄崎。言っておくけどな、女と違って濡れちゃくれねェんだぞ。だから準備しないと
いけねェんだよ」
 不満なんだか、挑発なんだか判断できない言葉を吐く丑嶋に対し、柄崎は先程思いついた考えを頭の中
で反芻し、一人悶々とする。果たして、丑嶋に頼んだとしても、承諾してくれるのか分からない。
 媚薬を自ら飲み、柄崎を挑発し、手淫やらフェラチオまでやってくれたのだから大丈夫かもしれない。
だが、柄崎が望むのは恐らく丑嶋にとってはかなり羞恥心を呼び起こされるだろう。プライドの高い丑嶋が
可哀想な感じになってしまうだろう。 <> コーヒーを一緒に・・・3 9/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:21:46 ID:RVFlJTU00<>  けれども、柄崎はどうしてもしてみたいのだ。それは、ある意味丑嶋と出会ってから10年越しの願い
だった。
 媚薬とフェラチオに完全に酔った丑嶋は柄崎の顔をジッと見つめてくる。柄崎は緊張からの喉の渇きを
感じつつ、真剣な表情で10年越しの願いを言った。
 「準備、俺にさせて下さい」
 人に触られるのが根本的に好きではない丑嶋は、戌亥とするときでも挿入の準備は自分で行う。羞恥心
は相手が柄崎でも変わりない。はっきり言えば嫌だ。だが、柄崎の表情は真剣で、手は興奮に震え、丑嶋
に触れたい事を如実に表している。
 かなり恥ずかしいが、挑発した手前、断ることも場の雰囲気を白けさせるだろう。丑嶋は数秒無言で
考え、やがて小さく頷いた。
 丑嶋が承諾すると、柄崎は心の底からほっ、とした。同時にこれから行う行為に期待が膨らみ、只で
さえ射精間際まで来ている性器をヒクヒクと動かした。
 「それじゃ・・・」
 期待に胸を膨らませ、まずは柄崎はベッドに仰向けに寝た。
 突然寝ころんだ柄崎に丑嶋は面食らった。一体これから何をするのだろうか。疑問は尽きない。
 しかし、丑嶋の疑問はすぐに解消されることとなる。
 「俺が社長を気持ちよくしてあげますんで、お尻をこっちがわにして俺の顔を跨いでください」
 柄崎の言葉の意味が分からず、丑嶋は首を傾げた。尻を向けて顔を跨げ、とはどういうことだろうか。
言葉のままの状態を想像してみる。すると頭に血液が一気に上がった。つまり、シックスナインの体位
を要求されているのだ。
 別にフェラチオして貰うこと自体が嫌な訳ではない。丑嶋がフェラチオをするのまた然り。
 けれど、口で抜き合うなんて簡単には出来ない。しかも柄崎の言うとおりにするならば、丑嶋が上に
なって、こんな明るい場所で柄崎の顔を跨いでしまえということになる。そんなことしては、性器どころ
か何もかも丸見えになってしまうではないか。 <> コーヒーを一緒に・・・3 10/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/09/30(木) 01:22:48 ID:RVFlJTU00<>  丑嶋が柄崎の突拍子もないお願いに呆れていると、柄崎が寝ころんだままで丑嶋の尻を両手でわしずかみ
してきた。手は丸い尻肉に食い込み、不埒な指の先端は豊かな丸い尻肉を掻き分け、間にある後孔をグッと
押してきた。
 「くっ、んっ!」
 感じやすい場所をいきなり弄られ、丑嶋は言葉を詰まらす。すっかり出来上がっているこの雰囲気の中、
そんなことをされたら欲しくなってしまうではないか。丑嶋は柄崎の手を振りほどこうとしたが、柄崎の手
は執拗に蠢き、左右の尻たぶを擦り合わせるように撫でてくる。
 「ふっ、あ・・・、柄崎、止めろ」
 止めろ、と言われても、快楽を強制的に引き出されてしまった丑嶋の声に威圧感は一切ない。柄崎は更に
激しく手を動かし、左右の尻たぶ同士を擦り合わせる。筋肉隆々とした肉体の丑嶋だが、流石に尻までは
きたえられないらしく、豊満で敏感だ。
 「柄崎、本当に・・・。うっ、あああっ。分かったから、ちょっと待てって」
 丑嶋は吐き捨てる様に言うと、柄崎の手を擦り抜けた。柄崎は慌てて丑嶋の体を逃がしてなるものか、と
手を伸ばそうとしたが、それより早く丑嶋が動きだす。
 「ジロジロ見るなよ。それに、あんまり必要以上に触るんじゃねェぞ」
 羞恥に苛まれながら迫力にいまいち欠ける文句を吐くと、丑嶋は犬がマーキングをする時のように片脚を
上げ、寝ている柄崎の顔を跨いできた。

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
10年越しの「口で抜き合うまで許さねェぞ!」実現間近。エロが長くなりまして、まだあと1回分続きます。
続きはまた後日に。貴重なスペースをお借りしありがとうございました。お目汚し失礼致しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/30(木) 02:37:07 ID:J0f5qNoiO<> >>288
ふわぁぁぁ!待ってました!!
社長がエロかわゆすぎる…なんというツンデレ
柄崎も優しくて雄々しくてヘタレで優しくてほんとに大好きです!
続き楽しみにしてます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/30(木) 05:12:14 ID:/dTYv9pCO<> >>288
GJ!
社長のツンデレ加減と柄崎のヘタレっぷりに禿げ散らかしまくりました(*´Д`)=3
養毛剤準備しつつ、ラストの投下をお待ちしております。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/09/30(木) 16:49:08 ID:v113Y4vs0<> >>210
亀ですいません
続き待ってます! <> たぶん全部気圧のせい 後編 1/6<>sage<>2010/10/01(金) 00:57:25 ID:cMp3EJKG0<> 難局シェフ。半生注意。ぬるいエロあり。
新やん×仁志村編。
>>210-215のつづきです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ここ、ドーム藤基地にはお世辞にも快適とは言い難い、4畳程の個人用居住ユニットがある。
ドアの上方に外気導入口が付いているものの、閉塞感は否めない。
一人でも息苦しいのに、二人でいたらすぐに窒息してしまいそうだ。
仁志村の部屋と寸分違わぬ窓のない室内に、個性の欠如した狭いベッドと、小さな机に椅子が一脚。
壁に貼られた見知らぬパンクバンドのポスターと、机に積まれている難しそうな本が辛うじて部屋の主を彷彿とさせている。
その当人は、仁志村を呼びつけておきながら、先程から落ち着かない様子でベッドに座ったり立ったりを繰り返している。

「で、新やんの右手の代わりをすればいいのかな」
壁に寄り掛かっていた仁志村は、極力事務的に話を切り出した。
新やんは背筋をピンと伸ばし、ずれた眼鏡の隙間から上目遣いに仁志村を見た。
「・・・はい。あの、口とかは選べたりしないんですか」
「却下します」
「・・・ですよね。それじゃあ、密着させてください」
「密着?」
「なんか、離れてると気が削がれるというか、寂しい感じがしちゃうんで」
そう言いながらベッドから立ち上がると、躊躇うことなく仁志村の腕を引き寄せた。
反射的に押し返そうとしたが、新やんの腕はびくともしない。
華奢に見えて基地の誰よりも腕相撲が強かった事を思い出した。
おどおどしたり、開き直ったり。今日の新やんは本当に忙しない。
百歩譲って大人しく抱き込まれた仁志村は、新やんの肩に少し仰のいた状態で顎をのせる格好になった。
体温の高い新やんのTシャツから仄かに汗とタバコの匂いがする。
「このままするの?」
「おねがいします。あ、コントロール得意なんで大丈夫です」
「・・・そう」 <> たぶん全部気圧のせい 後編 2/6<>sage<>2010/10/01(金) 00:59:24 ID:cMp3EJKG0<> 「あの、俺も触っていいですか」
「だめ」
「ですよね」
にべもない仁志村に、新やんはわざとらしく大きなため息をついた。
きっと今頃、BARフクダは隊員で賑わっている。彼らが居住棟に戻る前に、ここから出なくてはならない。
仁志村はポスターに焦点を合わせ、手探りで新やんが履いているジャージの紐を解いた。
腰から落ちたジャージを、片手で器用にずり下ろした下着ごと足を振って脱ぎ捨てると、新やんは言葉通り密着してきた。
仁志村のチノパン越しに暖かく、既に硬くなったものの感触が生々しく伝わってくる。
覚悟を決めてきたはずなのに、顔が熱くなる。
顔を見られずに済むこの体勢で助かったのは、仁志村の方かもしれない。
「もう少し離れてくれないとできないよ」
「あ、そうでした」
慌てて新やんが腰を引いた。
仁志村は慎重に深呼吸をしてから手を伸ばし、立ち上がり掛けた新やん自身をそっと手に包み込む。
下から上へゆっくりと動かすと、あっという間に硬さを増し、滲み出した体液が指を濡らした。
先端から溢れるそれを、手のひらに塗り広げるように丸みに沿って滑らせる。
そのまま撫で下ろし、幾分滑らかになった動作を再開する。
徐々に浅くなる新やんの呼吸につられそうになった仁志村は、慌てて深く息を吸いこんだ。
――自分が興奮してどうする。
ふいに俯いた新やんの熱い息が耳元に掛かって、仁志村は堪らず首を竦めた。
「・・ちょっと新やん、」
「すいません」
謝りながら、その首筋に捩じ込む強引さで新やんが顔を埋めてくる。
背中に回る腕がきつくなって、身じろぎすら封じられてしまう。
眼鏡のフレームが当たって痛い。
それよりもぞくぞくと背筋を這い上がる感覚を退けたい一心で、仁志村は新やんの背中を叩いた。
「痛いって」
新やんは首筋を死守しようとする仁志村の後頭部を鷲掴みにして無理やり仰のけさせた。
「い、た・・」
掠れた声を漏らす仁志村に構うことなく、露になった首に新やんがゆっくりと口付けた。
仁志村の肩がびくんと揺れる。
首の付け根から耳の裏側まで時間を掛けて辿っていく湿った唇に、膝が震えてしまう。 <> たぶん全部気圧のせい 後編 3/6<>sage<>2010/10/01(金) 01:01:38 ID:cMp3EJKG0<> 仁志村は必死に理性を保とうとしていた。完全に新やんのペースに呑まれている。
「仁志村さん、もっと強く」
仁志村の耳元で、新やんが低く囁く。
言われるまま、先程よりきつめに握り込んだ仁志村の手の中で反発するように膨張し、さらに硬度が上がった。
早く済ませないと巻き込まれてしまう。
そう思った矢先、新やんの口腔が仁志村の耳を覆った。
「・・っ」
鼓膜を刺激する唾液が立てる音と、耳を這う舌の動きに息を詰める。
逃れようと身を捩るが、新やんの腕は全く弛まない。
耳の奥に、容赦なくぬめる舌が侵入する。
「にい、やん・・ちょっと待っ・・!」
全身に鳥肌が起つ。立っていられない――。
崩れかける仁志村を新やんが壁に押し付けて支えた。鼻先が触れる距離から呼吸の乱れた仁志村を覗き込む。
「他の人でも来てくれました?」
今まで見た事がない新やんの顔にどきりとする。
甘さのない、欲望のみに支配された、まるで――雄の目そのものだ、と仁志村は思った。
「それとも、モトさんだから、知られたくなかった?」
「・・・や、め・・」
「ね、仁志村さん」
荒い息を縫って新やんが名を呼ぶ。用を為さなくなった仁志村の手のひらに、新やんが自身を擦り付ける。
卑猥な濡れた音と、その感触。
仁志村は居た堪れず、きつく目を閉じた。
「その表情。すげー興奮する」
新やんの指が仁志村の下唇をゆっくりとなぞる。
「仁志村さん、目を開けてよ」
包帯に巻かれた手が頬に触れた。
仁志村は濡れた目を開く。開いてしまってから後悔する。間近に迫る新やんの目。
「キスしてもいい?」
熱さすら感じるその眼差しに、仁志村は何も答えられなかった。
息苦しくて自然に開いた仁志村の唇に、新やんが傾けた顔を近づける。
仁志村は目を閉じる事もできず、その一部始終をスローモーションのように見ていた。
唇に新やんの熱い息が触れる。 <> たぶん全部気圧のせい 後編 4/6<>sage<>2010/10/01(金) 01:02:50 ID:cMp3EJKG0<> 無意識に仁志村の指先が痙攣し、手のひらを犯す新やんへ爪が当たった。
「あ」
新やんが間の抜けた声を発して、仁志村から離れた。
「・・・・・」
「す、すみません・・・出ちゃった・・」
抑揚のおかしくなった新やんの声。
唐突に解放された仁志村は、状況が飲み込めないままぼんやりと自分を見下ろす。
生暖かく粘性の高い液体が、仁志村の手のひらとチノパンをべったりと汚していた。

我に返った仁志村は、喉に痞えていた息を大きく吐き出した。
まだ心臓がばくばくしている。
久しぶりすぎてコントロールできなかったあぁ、と大袈裟に頭を抱えている新やんを尻目に、無言のまま微かに震える手を拭う。
盛大に汚れたチノパンを脱いで新やんに押し付け、脱ぎ捨てられていた青いジャージに足を通した。
「あ、それ俺のジャージ」
新やんの目を軽くにらむと、慌てて俯く。
「それ、洗って返してね」
「はい、すいません・・・」
仁志村にも責任があるような気もするが、この際棚上げすることにした。
「あの、それ裾引きずってるんですけど」
「気にしない」
「いや、裾が削れちゃうし・・・仁志村さん、意外とケツでかいすね」
「ほっといてくれ」
ジャージの紐を結ぼうとしてポケットに何か入っているのに気付いた。何気なく取り出したモノに仁志村は目を疑った。
小さなプラパッケージの中に見覚えのあるゴム製の。
「・・・なんでコンドームなんか持ってんの」
頭を掻きながらばつが悪そうに新やんが顔を歪める。
「ドクタ.ーに貰ったんで」
「・・・は?」
「頼んでみたら?ってドクタ.ーが」
「・・・」 <> たぶん全部気圧のせい 後編 5/6<>sage<>2010/10/01(金) 01:05:05 ID:cMp3EJKG0<> ドクタ.ーが。頼んでみたらって。
それはつまり“仁志村<いくら”と言う事か。

暫く複雑な心境でコンドームを弄んでいた仁志村は、無表情のまま新やんを見据えた。
Tシャツの裾を片手で延ばして立ち竦んでいた新やんが身構える。
「新やん、これ、使っちゃおうか」
「ええっ、まじですかっ」
「やっぱりやめた」
「ええぇ・・」
仁志村さんだってちょっとその気になってたくせに、ともごもご聞こえてくる小さな声は黙殺する。
「何か履いたら?」
慌ててトランクスを身に付けながら新やんはおずおずと口を開く。
「あの、仁志村さん。なんか、色々、すみません・・・。でも」
そこで、照れくさそうなくしゃくしゃの笑顔を見せた。
「すっげーよかったです」
随分酷い扱いをされた気がしなくもないが、仁志村は笑顔に弱かった。
まあいいか、と思ってしまったことを悟られないように不機嫌な振りを通すことにした。

*****
「仁志村くん。このさっぱりしたメニュー、なに」
食卓の反対側から隊.長が消え入りそうな声で問う。
性欲増大の原因は低気圧ではなく、ボリュームたっぷりの食事の所為ではないかと思い至り、
個人的な反省もあって、なんちゃって精進料理にしたのだった。
「えー、今、日本は夏真っ盛りですので季節感を演出してみました!」
「だからって難局で素麺て・・・・また何かあった、仁志村さん?」
比良さんが怪訝そうに仁志村に視線を投げる。その反対側で、もじゃもじゃの髭の間から主.任がボソボソと不平を漏らした。
「肉類が皆無やないですか」
「ハンバーグがあるよ」
「でもこれ豆腐、だよね」
「肉です。れっきとした畑の肉ですから」
仁志村の静かなる気迫にドクタ.ーが口を噤む。 <> たぶん全部気圧のせい 後編 6/6<>sage<>2010/10/01(金) 01:06:42 ID:cMp3EJKG0<> 「なんだか物足りないよぉ。麺はさぁ、やっぱりこう黄色くて、縮れていて・・・」
「隊.長、ラーメンの食いすぎはよくないです」
「難局ではいくら食べても太らないよ、仁志村さん」
「他の人はね。凡はバターの分まだ消費できてないよね」
いつもと様子の違う仁志村に隊員達は目配せしあい、いつもより和気藹々と会話をしながら食事を始めた。
新やんは黙々と蓮根入りの豆腐ハンバーグを口に詰め込んでいる。
モトさんを伺い見ると、眉間に皺を寄せながらも、白だしに潜らせた素麺を口に運んでいた。
「お、ゆず胡椒だ」
モトさんの機嫌のいいときの声のトーンに仁志村は嬉しくなった。
「ごま油風味の揚げ茄子も一緒にどうぞ」
「お、サンキュ」
喧騒にまぎれてドクタ.ーが隣の席から小さな声で囁く。
「仁志村君何か怒ってる?」
「新やん、ドクタ.ーから貰ったイイモノ持ってたよ」
「え、まさかしちゃったの」
無反応で素麺を啜る仁志村に、珍しくドクタ.ーが慌てた素振りを見せる。
「え、え、ホントに?」
「してないよ」
「だよね、びっくりしたー」
なんだそれ。自分でけしかけておいて。
暫く不機嫌を装おうとしていた仁志村は、馬鹿馬鹿しくなって笑い出した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

初めは上手くいかないこともあるよね。次はガンバレ新やん。

コメ下さった方、どうもありがとうございました。
帰国時期の逆算間違えたけどキニシナイ!(4→7ぐらい・・?)
貴重なスペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/01(金) 01:35:40 ID:xwpe0zo+0<> >>306
流されまいとする仁志村さんがエロくて禿げました
長編お疲れ様でした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/01(金) 02:50:00 ID:iQzxiIFyO<> これほんっとに色鮮やかに
みんなの顔が浮かぶよおおうい、
ありがたやありがたや…
待ってたかいがありました、
お疲れ様&ありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/01(金) 08:23:14 ID:eMFi3eRb0<> >>306
待ってました!素晴らしい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/01(金) 08:28:03 ID:j7zeK9Lz0<> >>306
映画の最後の食事シーンはコレだった気がしてきた。
そうか、それで仁志村さんジャージはいてたのか。 <> 出立前夜1<>sage<>2010/10/01(金) 22:39:38 ID:2bT0gc9sO<> 一応ナマモノ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

目が覚めたら、彼がいた。
「来てたのか」
あいかわらずの仏頂面というか、渋い表情。
どんな顔をしていいか分からない、といったところか。
「いつからいた?起こせばよかったのに」
「気持ちよさそうに寝てたら、起こせないよ」
ふっと和らいだ表情に、自分までも優しい気分になれる。
「思ったより、大丈夫そうでよかったよ。安心してフランスに行ける」
「あぁ、いよいよだったっけな。忘れてた」
<> 出立前夜2<>sage<>2010/10/01(金) 22:40:20 ID:2bT0gc9sO<> この世界にいる者なら誰でも憧れる、世界的な権威のあるコンテスト。
彼は数年前にも挑戦していて、あと一歩のところで栄光を逃していた。
「俺、絶対勝つから」
「うん」
「だから、おみやげはトロフィーだ」
「期待していいんだろうな」
「勿論」
まだ痛む左腕を伸ばす。
驚いた彼が、慌てた表情になる。
「手ぇ出せ。左手」
「痛いんじゃないの?」
「ちょっとなら平気。点滴入ってる右よりマシだ」
<> 出立前夜3<>sage<>2010/10/01(金) 22:41:03 ID:2bT0gc9sO<> 強がってはみたものの、やはり痛いものは痛い。
だが、痛みを押してでも彼に勇気を与えたかった。
彼の左手が自分の左手に重なったのを見て、そっと手を閉じる。
「俺の分まで、大暴れしてこい。お前なら絶対に勝てるから」
「頑張るよ」
「無事に帰ってこいよ」
「……」
さっきまで和んだ顔をしていたのに、今度は泣きそうな顔。
俺の前では忙しいヤツだ。
「泣くな。勝ってから泣けよ」
「……そうだな」
また元の仏頂面。
意識しないと、表情が固まってしまうクセはなかなか抜けないらしい。
<> 出立前夜4<>sage<>2010/10/01(金) 22:41:42 ID:2bT0gc9sO<> 「帰ってきたら、また来るから」
「あぁ」
ぎこちなく笑って出て行った彼は、出たところで泣いているだろう。
俺が何も言わなくとも、大舞台に強い彼なら何の問題もない。
だからいつもの調子で、いつもの励まし。
それが彼の不安を取り除く、唯一の方法。
「頑張れよ…」
彼の手のぬくもりと若干の痛みが残る左手を見ながら、俺はまた眠りについた。
<> 出立前夜・終<>sage<>2010/10/01(金) 22:42:40 ID:2bT0gc9sO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
携帯からなので、ぶつ切り申し訳ない。
今の『俺』は多分ここまでの状態ではなかろうし、
『彼』も忙しくて行ってはないはず。
『俺』の1日でも早い復活と『彼』の凱旋を祈るばかり。 <> 胡蝶の褥2 1/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:21:59 ID:7gTzgPet0<>
敬語の用法を間違えまくったことに気付いて泣きたくなった>>265の続きです。
銀河天使2で将/軍×摂/政、侯/爵もいます。誘い受け、媚薬要素・エロあり。
後半はちょっと無理矢理系です。捏造設定満載につき注意。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 咥えるのに邪魔なのか、ジュニエヴルは流れ落ちる自身の髪を掻き上げ、耳にかける。
手と指に付着したカルバドゥスの体液が、その艶やかな長髪に纏わり付くのも構わずに。
 その光景を見て、壁際で杯を傾けていたベネディクタインはおもむろに立ち上がった。
床板の軋む音が耳に入り、ジュニエヴルの意識が口中の肉欲から逸れる。
 何、と言葉なく問うてくる視線には答えず、ベネディクタインは、床に伏したジュニエヴルの
傍らに膝を付いた。
 怪訝そうな青年の眼差しを受けながら、しどけなく乱れ散っている髪の一房をそっと手に
取る。さらりと、かすかに鳴る音色が耳に心地良い。
 指の間をなんの抵抗もなく滑り落ちていく毛筋の手触りを堪能し、美しい髪だと、率直に
思った。癖もなく真っ直ぐに伸び、床上に波模様を描くそれは、淡い縹色と相まって流れ行く
清水を連想させる。
 まやかしの流水を掬い上げようとするかのように、ベネディクタインは幾度も繰り返し、掌に
毛髪を滑らせる。そんな彼の行動を、ジュニエヴルは遠回しな誘いと受け取った。音を立てて
肉棒に吸い付く合間に、傍らの老人へ流し目を送る。
「ん、っ……キミも混ざるかい、ベネディクタイン? そんなところでただ見ていたって、つまらない
だろう?」
「くくっ……折角のお誘いだが、遠慮しておこう。我輩はこちらだけで十分だ」
 黙々と髪を梳くベネディクタインをしばし見つめ、ジュニエヴルは一端性器から口を離した。
唾液と先走りの混ざり合った液体が唇から垂れ落ち、美麗な面を卑猥に穢す。
「ふぅん……なら、あの話はやっぱりただの噂かな? それとも、男には欲情しないだけ?」
 自身の唾液で濡れた剛直をつつきながら、青年は意味深な言葉を呟いた。不審に思った
ベネディクタインが片眉を上げると、彼は笑いを堪えるかのように俯き、くつくつと肩を震わせる。
そして一瞬の後、弾けるように笑声を響かせた。 <> 胡蝶の褥2 2/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:23:37 ID:7gTzgPet0<>
「キミが妾を囲ってるって話だよ! 妾宅に通われるなんて、侯爵殿はお歳の割に随分お盛んの
ようだって、下世話な笑い話! アッハハハ!」
 甲高く哄笑しながら、ジュニエヴルは手にしていた肉樹の先端を爪先で引っ掻く。全く唐突に
与えられた強い刺激に、カルバドゥスは驚くよりも早く絶頂の証をぶちまけていた。白く粘ついた
液体が勢いよく噴き上がり、辺りのものを手当たり次第に汚していく。綺麗に磨かれた床板を、
纏ったままの衣服を、そして、高らかに笑い続けている青年の細面を。
「フフッ……出しちゃったねぇ、カルバドゥス」
 未だ放出を続けている性器に頬をすり寄せ、ジュニエヴルは陶然と目を細めた。上気して朱に
色付いた肌が、見る間に濁った白に染まっていく。唇にまで伝い落ちてきた一筋を見せ付ける
かのように舌で拭い、彼はくすくすと忍び笑いを漏らした。
「久しぶりなのかな……キミの精液、濃くてどろどろしてて……とっても、おいしいよ……」
 うっとりと呟かれた言葉が終わるか終わらないかのうちに、白濁に塗れた肉棒が温かい粘膜に
包まれる。音を立てる程の強さで吸い上げられて、カルバドゥスは堪らずに低く呻いた。
 尿道の奥にわだかまる精液をも、全て啜り上げようとするかのようなその行為が、先程果てた
ばかりの場所に再度熱を集めていく。竿に纏わり付いた残滓を存分に味わい尽したジュニエヴルが
ようやく顔を上げた時には、カルバドゥスの性器は完全に硬度を取り戻し、力強く脈打っていた。
「アハハハ! ねぇ、見えるかい? キミの、出したばっかりなのにまた大きくなってるよ?」
 ぴくぴくと震える一物を撫で、ジュニエヴルは軽薄に笑う。それは紛れもない、冷笑。
「でも……ちょーっと、元気過ぎるんじゃないの? 童貞じゃないんだからさぁ……」
「いやはや……どうやら、将軍殿は随分と御無沙汰のようですな。この速さにこの反応の良さ……
まるで、自慰を覚えたばかりの童のようだ」
「な、何ぃ!?」
 明らかな揶揄を含んだ二人の言葉に、体中の血が一瞬にして沸騰した。浅黒い皮膚が
傍目にも分かる程に紅潮し、射精後の倦怠感もどこかへけし飛ぶ。
「きッ……貴様ら言わせておけ、ば――ッ?!」
 反射的に飛び起きようとした体はしかし、不意に訪れた快感にあっけなく弛緩してしまった。 <> 胡蝶の褥2 3/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:25:22 ID:7gTzgPet0<>
「やだなぁ、そんなに怖い顔しないでよ。ちょっとした冗談なんだから」
 舌先で肉棒を玩び、ジュニエヴルは悪びれもせずに言ってのける。薄ら笑いを張り付けた
その美顔を殴り飛ばしてやりたい衝動に駆られたが、くすぐるような舌の動きは悔しいことに
ひどく甘美で、腰から広がり行く快感に上手く拳を握ることができない。
「いや、お若いようで何より。全く、羨ましい限りですな」
 しわがれた声が、あからさまな侮蔑を投げ付ける。嘲弄を隠そうともせず、ベネディクタインは
口元を笑みの形に歪め、カルバドゥスを見下ろした。
 ――こンの……! 若造と爺の分際でぇぇぇ……ッ!
 爆発寸前の怒りに、屈強な肉体がわなわなと震える。今にも咆哮を上げて暴れ出しそうな
男に目を眇め、さすがにやり過ぎたかなと、ジュニエヴルは内心で呟いた。
 ここで下手に刺激して手なり足なり出されると最悪命に関わるので、さてどう言って丸め込もうかと
肉竿を頬張ったまま算段する。
 舌で舐め上げる透明な体液に白い色が混ざる頃には、考えは粗方定まっていた。
「ねえ、カルバドゥス?」
 陰茎から口を離し、ジュニエヴルは手慣れた様子でしなを作る。持って生まれた美貌の上手な
扱い方を、この年若い摂政はとうの昔に心得ていた。
 じろりと睨め付けてくるのを真正面から見つめ返して、顰めっ面にそっと顔を寄せる。無防備を
装った指の先に、しっかりと急所を捕らえておきながら。
「ごめんね、ちょっと言い過ぎちゃった。そんなに怒ると思わなかったんだ……ねぇ、許してくれない?」
 吐息の混じり合うような距離で、ことさらに甘ったるい声色で媚びる。引き結ばれた厚ぼったい
唇からは、強い酒の匂いがした。自分の吐く息はきっと、青臭い精の匂いがするのだろう。
おかしく思えて笑うと、きつく顰められていた眉がぴくっと震えた。
「三人で過ごす、折角の夜なんだもの……つまんないことは忘れてさ。楽しもうよ、ね?」
 解け始めた眉間の皺を舌でなぞり、駄目押しに指の腹でカルバドゥス自身を撫でさする。
小さく跳ねるそこに、衣類越しに自分の昂ぶりを押し付けた。先端が下着に擦れて、図らずも
甘い声が漏れる。 <> 胡蝶の褥2 4/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:31:42 ID:7gTzgPet0<>
「ほら……ボクももう、正直言うと辛いんだぁ……だからさ、怒ってないで続きしようよ……
お詫びって言ったらなんだけど、何かリクエストがあるなら聞いてあげるよ?」
「……ほう。それは真ですかな、摂政殿?」
 鼻先に吊るされた餌をまるで怪しむことなく、獲物はあっさりとそれに食い付いてきた。溶け
消えた憤怒の代わりに好色な笑みを浮かべるカルバドゥスに、心中でほくそ笑む。
「うん、もちろん。ボクとキミの仲だもの、遠慮なんかしないでなんでも言ってよ。ああ、でも……
痛いのはナシね」
 ちゃんと、気持ち良くしてよ? ――逞しい体に身を寄せて、耳元で囁く。ごくりと、太い
喉が音を鳴らすのが聞こえた。
 あまりにも思い通りの反応をしてくれる男の単純さに口元を綻ばせ、ふと思い出した
ジュニエヴルは、沈黙を続ける同席者を振り返る。
「キミはどうする? ベネディクタイン。またボクの髪でも触って遊ぶかい?」
「いやいや、我輩のことならお気になさらず。酒の肴代わりに、こちらでこの子と拝見して
おりますのでな」
 節くれだった指で愛蛇の体を撫で、ベネディクタインは皺の深い顔に笑みを刻んだ。
 白い鱗を愛しげになぜている老人からは、色情を覚えている様子は欠片も感じられず、
ジュニエヴルは少し拍子抜けしてしまう。単に男色に興味がないだけなのか、それともやはり、
誰しも老いには勝てないということなのか。そういえば、先刻の問いも結局うやむやになったままだ。
 興味を引かれて尋ねてみようとしたジュニエヴルの顎を太い指が捕らえ、強引に顔の向きを
戻される。
「いけませんなぁ、摂政殿。よそ見はご法度と、先程も仰ったはずでは?」
 細い腰を撫で回すように抱き込みながら、カルバドゥスはにたにたと品のない笑みを浮かべる。
大きな掌が臀部を掴み上げてきて、不意打ちに背が思い切り震えた。 <> 胡蝶の褥2 5/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:32:34 ID:7gTzgPet0<>
「あっ、ふ、く、ぁんっ……カル、バ、ドゥス……っ」
 柔肉を揉みしだく手付きに、自然息が弾む。服越しに施される愛撫は穏やかなものだが、
長いこと熱を持て余していた体はそれだけでも十分過ぎる程感じてしまう。四肢から一気に
力が抜け、倒れ込むようにして厚い胸板に顔を埋めた。
「カルバドゥス、っ……それ、いい……もっとぉ……」
 自身の腕の中で身を震わせる青年を見下ろし、カルバドゥスは喉奥で笑った。ねだる声に
応えて指先に力を込めてやれば、細い体はさらにその先を期待してわななく。
 こちらの企みになど、気付きもしないで。
 口角を持ち上げ、双丘を撫でていた手を静かに離した。無意識の反応か、それとも
挑発しているのか、色っぽい溜息が胸をくすぐる。
 弛緩しきっている体を強引に引っ張り起こすと、ジュニエヴルがのろのろと顔を上げた。唐突に
愛撫の手を止められてもどかしいのか、潤んだ瞳でこちらを見つめてくるのが堪らない。
 もっともっと、徹底的に嬲り尽してやりたくなる。
「ジュニエヴル殿」
 きっちりと着込まれたままの服の襟元をはだいてやりながら、普段は滅多に口にしないその
名前を呼んだ。ふるりと、青年の長い睫毛がかすかに震える。
「そういえば、失言の詫びにワシの頼みを聞いて下さるとか……そのお言葉に甘えて、一つ
お願いしたいことがあるのですが……よろしいですかな?」
 さらけ出された雪肌に指を這わせ、舌舐めずりをした男の目付きは―― まさしく、獣の
それだった。 <> 胡蝶の褥2 6/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:33:54 ID:7gTzgPet0<>
 果実を握り潰すような音と共に、悲鳴染みた嬌声が室内に響き渡る。
「ぁっ、っ……は、ぅ……く、ぁんっ……」
 騎上位の格好で真下から肉棒を咥え込まされ、ジュニエヴルは喘ぐように息を弾ませた。
快楽とも苦痛とも分からない衝撃に体が震え、体勢を保てずにふらふらとよろめく。
 そのまま倒れ込んでしまうかと思ったが、上体が傾いた瞬間、乱暴に腕――後ろ手に
纏められ、裂いた服の布地で縛り付けられている両腕だ――を引き上げられた。
「おおっと……いや、これは申し訳ない。ワシとしたことが、少々性急に過ぎましたなぁ……
お怪我はありませんか? ジュニエヴル殿」
 苦しげに肩を上下させている青年に、カルバドゥスは厳つい顔に似つかわしくない猫撫で声で
尋ねかける。しかし、火照った裸体を見上げるその目には、相手を労わる色など欠片も
存在しなかった。あるのはただ、無抵抗な獲物をいたぶることへの喜悦と興奮のみ。
 だがジュニエヴルには、自分の痴態を眺めてにやついている男の顔は見えなかった。
いや顔だけではなく、足の下に跨いでいる屈強な肉体も、快感に上気した己の裸身も、
どこかで自分達を見ているのであろう老侯の姿も、今の彼は何一つ見ることができない。
 何故ならその漆黒の双眸は、巻き付けられた帯状の布で覆い隠されているのだから。
 目隠しと、両腕の拘束―― それが、カルバドゥスがジュニエヴルに申し出た“頼み”の
内容だった。
「ジュニエヴル殿? 聞いておられますかな? まだ、気をやってしまうには早過ぎますぞ……
くっくっく」
 汗と涙に濡れた頬を指の腹で撫ぜ、黙り込んだままのジュニエヴルに返答を促す。ただ
それだけの刺激にも感じ入って喘いでしまう彼に、答える余裕などあるはずもないと分かっていたが、
カルバドゥスは執拗に言葉での返答を求めた。
 そうすることで自身の上で震えている青年を嬲り、加虐の愉悦に浸る為に。 <> 胡蝶の褥2 7/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:37:30 ID:7gTzgPet0<>
「はて、困りましたな。お返事を頂けないとなると……これは、お身体に直接お尋ねする他
ありませんか」
「ひ、ぁあ……ッ!」
 押し広げられた蕾の縁をなぞられて、力の抜けていた体がたちまち跳ね上がった。同時に
咥え込ませている肉棒が締め付けられ、心地の良い快感を覚える。肉体的な悦びと精神的な
満足感、双方に口角を吊り上げながら、充血して膨らんだそこを揉み込むように刺激し続けた。
「どうやら傷は付いていないご様子……いやぁ、安心しました。まだまだこれからという時に、
御身に何かあってはワシも堪りませんのでな」
「はぁ、っ、く、あんっ、カルバ、ドゥスッ……あッ、あぁー……!」
 何かを懇願するように、自身を犯す男の名を呼ぶ甲高い声が、中途で途切れる。
 一瞬の空白を置いて、張りつめていたジュニエヴルのそれが爆ぜた。粘度の薄まり始めた
体液が飛び散り、彼自身を、そして彼の真下に横たわる男の体をも汚していく。
 がくがくと痙攣を続ける体から手を離してやると、支えを失った痩身は今度こそ前のめりに
倒れ伏した。
「おやおや……また果ててしまわれたのですか? これはまた随分とお早いことで……ああ、
いや。これは失礼、ハッハッハッハッハ!」
 先刻の意趣返しにと、カルバドゥスは嘲りも露わに声を出して笑う。
 振動が体内を犯す肉棒から伝わったのか、ジュニエヴルがまた掠れた声を漏らす。前戯の
段階で既に幾度となく絶頂を迎えさせられた体――ここに来る以前のことも考えれば、その
回数はさらに増えるのかもしれない――は熱く、両目を覆う布地は、溢れ出した涙を吸って
しとどに濡れそぼっていた。浅く速く繰り返される呼吸音は、今にも途絶えてしまいそうな程に
苦しげで――だからこそ。
「勝手に休まれては困りますな、ジュニエヴル殿」
 髪を掴み上げ、胸元に伏せられていた顔を上向かせる。苦痛に呻く短い声が、荒い呼吸の
合間に零された。ぐったりしていた四肢が痛みに反応して緊張し、貫いた場所が収縮する。
「ワシは先程申したはず。まだまだ、これからだと……最後まで、お付き合い頂きますぞ」
 切れ切れに息を吐く唇が、何かを言おうとかすかに震える、その言葉が音になるよりも早く、
ジュニエヴルの体を無理矢理起こした。 <> 胡蝶の褥2 8/8
◆QgjEYcxl4Mc2 <>sage<>2010/10/02(土) 03:40:02 ID:7gTzgPet0<>
 力のまるで入っていない、人形のようなその肉体を、腰に添えた手で楽々と支える。深く
男を咥え込む体勢を強要された彼は、哀願するように弱弱しく頭を振ったが―― その体の
中心は早くも熱を持って上向き、いかにも物欲しげにふるふるとわなないていた。
 飲まされたと言う薬のせいか、それとも単にこの身体が淫らなだけか。嗜虐的に笑いながら、
肉付きの薄い腰をしっかりと掌で掴み、そのままゆっくりと持ち上げる。
 先端ぎりぎりの位置まで一度引き抜き、そして一息に、突き下ろした。
「あ、――ッ! あっ、っ、は、っく……ぁ、ぁん!」
 真下からの強烈な衝撃に、痩せた体が踊るように身悶える。ぎゅっときつく窄まった後孔の
動きに逆らうように、ことさら荒々しく狭くなる中を犯した。
 繰り返す律動の、それは幾度目のことだったか。一際強い力で最奥を抉った刹那、
仰け反った喉から声にならない悲鳴が上がる。
 腹に降り注ぐ熱いものを感じながら、千切り取られんばかりの締め付けにカルバドゥスも
また果てた。 
「っ、ぁ、……はっ、ぁ……っ、はぁ……ッ」
 絶頂の余韻も冷めやらぬ中、体内で熱の弾ける感触にジュニエヴルの体が震える。
 ずっと呼吸を苛んでいた衝撃がようやく止み、やっとの思いで息を継ごうとしたその瞬間――
出し抜けに下から突き上げられて、彼は悲鳴も上げられぬまま身をしならせた。
「んっ、く、ぁ、あんっ! はっ、ぁぁあ!」
 もはや、頭を振る余力もなく。揺すり上げられるままに喘ぐしかできない哀れな青年を
見上げ、カルバドゥスが凶悪に笑う。
「くくく……そぉら、気絶するにはまだ早いぞ! 散々侮辱してくれた礼だ! 最後の
最後まで……楽しませてもらうぞ、若造!」
 注がれた体液が泡立ち、しぶきが散る程の勢いで、柔らかな蕾が繰り返し抉り込まれる。
 柔肉を蹂躙する音と、掠れた涙声が混ざり合う空間で―― 蠢く二つの肉体を、紅い瞳が
じっと見つめていた。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
本当は“殿”とかもおかしいのかもしれないけど、原作準拠を言い訳に押し通す。
スペースありがとうございます。続きはまた後日に。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/02(土) 06:24:30 ID:faS6bq5e0<> >>315
あああああああこれはもしや…
泣いた・゚・(つД`)・゚・
ありがとうございます!
仏国での健闘、いや栄冠を
そして少しでも早く回復と復帰を祈っております <> 風と木の名無しさん<><>2010/10/02(土) 08:44:10 ID:n51Snf/QO<> >>315
うわあああ本番前にこのお二人の話が読めるとは…
同じくかの地での栄冠を、そして無事回復・復帰されることを祈ってます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/02(土) 08:51:35 ID:n51Snf/QO<> すみません、あげてしまった… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/02(土) 10:53:01 ID:LAIzgabP0<> >>301
ありがとー。待ってました。
新やんが鬼畜になるのかと思ってたら、新やんらしさがあって良かったです。
二氏村さん、相変わらず抱きたくなる人だなあ。 <> 捏造戴国物語<>sage<>2010/10/02(土) 10:54:29 ID:Tw0d/jPc0<> >PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 驍宗×泰麒です。
 なんかもういろいろすみません。死にネタ注意。
 2王に仕えて前王への想いと現王の狭間で…って話が書きたかった。 <> 捏造戴国物語 1/5<>sage<>2010/10/02(土) 10:55:34 ID:Tw0d/jPc0<>  弘始10年春、8年に渡る戴極国の暗黒時代は終わりを迎えた。
 失踪していた泰麒が諸国の援助により帰還して、2年目のことである。
 内乱の渦中にあって深く病んだ泰麒は、再び蓬山まで運ばれ、今度は病のみならず角の治癒を許された。
 全ての力を取り戻した麒麟と、玉座に還った王。
 その後300年以上にわたり、戴極国は小乱はあれど、平和な時代が続いた。
 かの大乱は遠い昔話となり、民は潤い、朝は整い、何も問題なかった。
 だが、治世350年を祝う大祭が晴れやかに行われたその年の秋、
 だれも予想もしていなかった事態が起きた。

「王気が――王気が……!」
 常になく狼狽し、蒼白になった泰麒が正寝を飛び出し、衣服も改めずに
外殿に駆け込んできたのは早朝、まだ日も昇らぬ時刻であった。
「台輔!どうぞ落ち着いて下さい、一体どうなさったのです!?」
 只ならぬ麒麟の様子に、正寝から追いかけてきた下官達が駆け寄ると、
血の気の失せた腕が取りすがってくる。
「驍宗様はどちらに行かれたのですか!?」
 下官は困惑した。
「――失礼ながら、台輔に分からぬでは私共には……」
 それは、麒麟には王の居場所が分かる等という一般論ではなかった。
 王が即位した翌年より、泰麒は仁重殿ではなく王と同じ正寝で寝起きするようになってたが、
かの大乱の後、王と麒麟の関係は公私ともより密になった。
 ――要するに、おなじ臥室で寝ることも少なくない程の仲となっていたのである。 <> 捏造戴国物語 2/5<>sage<>2010/10/02(土) 10:56:18 ID:Tw0d/jPc0<>  下官の言葉に、泰麒は激昂する。
「分からないから訊いているんです!どこか遠くに――王宮の外に、起たれたはずです。
 だったら、だれも気づかないなんてことは――」
 穏やかな顔以外見たことのない麒麟の豹変ぶりに、縋りつかれた下官が救いを求めて
集まってきた官達を見回した時だった。 
 麒麟と変わらぬ程に血相を変えた官が数人、駆けこんできた。二声宮の官達だ。
 泰麒の姿を認めると、その中の1人が足元に転がりこむように駆け寄ってきて叩頭する。
 叩頭するなり、官は絞められた鶏のような声で叫んだ。
「――禅譲にございます!!白雉が――白雉が落ちました!」
 その場の全員が凍りついた。
 張りつめた長い長い沈黙。
 だれもが言葉もなく立ち尽くす中、泰麒が悲鳴に似た声で呟いた。
「嘘です…そんなことは……」
 ありえない、そう言いかけて泰麒は絶句した。
 叩頭している男に続いて駆けつけた官が、白いものを抱えていた。
 あの大乱の際、8年間生き埋めにされても生きていた白雉。
 王の死以外では殺せない鳥。
 それが、官の腕の中で死んでいた。
 泰麒はその場に崩れ落ちた。周囲の官が慌てて支えた腕の中、泰麒は呆然と呟いた。
「何故……僕は――王は、道を失ってなどいない……」 <> 捏造戴国物語 3/5<>sage<>2010/10/02(土) 10:57:10 ID:Tw0d/jPc0<>  白圭宮が混乱の只中にあった。
 冢宰と六官長が額を集め、この変異にどのように対するかを協議していた。
 本来なら宰輔である泰麒もその場にいなければならないのだが、とてもそんな協議に
立ち会えるような状態ではなかった。
 勝手な決定はせぬと冢宰に宥められ、泰麒は臥室に逆戻りさせられていた。
(――本当は、分かっていた。)
 外の混乱が嘘のように静まり返った臥室の仲、天井を眺めながら泰麒はぼんやり考える。
 今朝は、途方もない喪失感で目覚めたのだ。
 特に何かの夢を見たわけではなかった。なのに、酷い動悸がして、凍える様な寒気と寂寥感を感じた。
 なぜだろうと考え、今夜は王と同衾しなかった。その寂しさのせいだと自分に言い聞かる。
 それでも不安が鎮まらないので、慌てて王気を探った。
 だが、いくら探っても王気が感じられない。驍宗様の気配がない。
 その瞬間、感情では理解したくなくても、本能が嫌と言うほど教えてくれたのだ。
 ――王は失われたと。

 昨夜、王の臥室に行かなかったのは、王がそれを拒んだからだ。
 強く拒まれたわけではない。ただ、まだ決済すべき書がある、先に休めと言われただけ。
 それは決して珍しいことではなかったから、無理をせぬよう言葉を残して、大人しく引き下がった。
(――あの時、考えてみれば、驍宗様の様子は少しおかしかった。)
 退出する間際、王はわざわざ呼び止めて、接吻をしてくれたのだ。 <> 捏造戴国物語 4/5<>sage<>2010/10/02(土) 10:58:11 ID:Tw0d/jPc0<> 『どうされたのですか、驍宗様?』  
 くすくす笑って泰麒は問いかけた。珍しい、と思った。
『何少し、そなたと別れ難くてな』
 そう言った驍宗の声は暗くはなかった。
 だから、胸に抱かれたままで、その顔は見えなくとも、泰麒は不審を感じなかった。
『驍宗様は随分お腹が空いていらっしゃるようですね。
 僕で良ければいつでも餌になりますが、明日どなたに恨まれましょうか?』
 胸に抱かれたまま、卓上に積まれた書の山に目を遣り泰麒は訊いた。
『琅燦に一緒に怒られてくれるか?』
 琅燦は王にも麒麟にも容赦がない。
 一度など、これに印を押してからにせよと、書を持って寝所にまで入ってきた。
 笑い含みの主の声に、泰麒は笑って言った。
『それは……怖いなぁ』
 ――そして、笑顔で促されるまま、王の居室を出た。

 無論、王に真実求められたなら、琅燦の叱責など怖くは無かった。
 毎晩だって王の傍にいたかったが、自分の我儘のために王の仕事を邪魔してはならない。
 そんな勇気など、身体の関係を持って以来一度もなかった。
 ――でも。

(あのまま抱かれていれば、打ち明けて下さっただろうか?
 ――考え直してくださっただろうか?) <> 捏造戴国物語 5/5<>sage<>2010/10/02(土) 11:01:54 ID:Tw0d/jPc0<>  悲嘆に枕を抱いた時だった。枕の下に、乾いた感触を感じた。
 引き出すと、それは手紙だった。
 震える手で、畳まれた手紙を開く。
 慕わしい文字が並んでいた。だが、その内容に呼吸が止まる。

『暗い衝動が最近、心に浮かんでどうにも抑えられぬ。
 愚行を実行に移す前に、禅譲を決めた。
 そなたとこの国を道連れにはできぬ。
 新王を選定し、これまで同様、新しい朝の要となれ』
 
 これはいつ置かれたものだろう。
 きっと、昨夜自分が臥室に入った時には、もうあったはず。
 ――眠る前に、この手紙に気づいていれば、せめて諫めることができた。
 
 その事実に、泰麒は呆然となった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 うわ―驍宗様ひでぇ(棒読み)。
 続きます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/02(土) 12:00:33 ID:olwC7Sso0<> おおおおおお!!
雰囲気が素晴らしい!続き待ってます! <> 光さす日まで 1/6<>sage<>2010/10/03(日) 01:45:16 ID:7folkYVBO<> 浄化ー。マス×盾…?思いきり過去捏造。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


三神がその噂を聞いたのは、一度や二度ではなかった。
夜の街に、時折ものすごい男が現れるのだという。
男といっても二十歳前くらいの少年で、暴力沙汰を起こしたりするわけではなく、
一見地味な風貌ながら、関わった相手が例外なく、まるで魅入られたように夢中になるというもっぱらの噂だった。
名前はもちろん、どこに住んでいるのか何をして暮らしているのか、知る者は誰もおらず、
ふらりとやってきてはその場で知り合う男とどこかに消え、
朝にはろくに話もせずに去り、一度関係した男とは二度と寝ないともいう。

三神には確信があった。あいつだ。あいつに違いない。
凄惨極まる縁で知り合い、息子とはいわないまでも、親類の子供を思うような気持ちで
見守ってきた、あの悲しい生い立ちを背負った少年に違いない。
三神は仕事柄少しずつ情報を集め、ますますその確信を深めていった。

三神は最近まで彼が暮らしていた施設に彼が入所してから足繁く通い、
彼が自ら背負い込んでいる重荷を少しでも手放すよう、心を砕いてきたつもりだった。
彼は自らを普通ではない、まともではないと言い切り、三神の手を取ろうとはけしてしなかった。
その時強引に手を取り、無理矢理にでも光の当たる場所に連れて行き、
闇に向かおうとする彼の心を彼が望まずとも救うべきだったのかもしれない。
三神は自分の臆病さを嫌悪した。 <> 光さす日まで 2/6<>sage<>2010/10/03(日) 01:47:14 ID:7folkYVBO<> 仕事を早めに切り上げた三神は彼がよく現れるというクラブに向かった。
もちろん、初日に彼に会えるとは思っていない。
三神は培われた根気を総動員して、必ず彼にたどり着くつもりでいた。

暗く、うるさく、秒単位で空気が濁っていくような店内。それに顔を背けるほど三神は潔癖ではない。
スーツ姿で棒立ちの三神は明らかに異分子であり、客にぶつかられては無遠慮に睨まれるが
逆に黙って一瞥をくれるだけで相手はすぐに去っていく。
こういうことにだけ鼻が利くんだなと呆れながら、三神は店内をくまなく見回した。

その時。見慣れた背中がたちの悪さを隠しきれない男に伴われて部屋の隅へ消えていくのが目に入った。
白いTシャツにジーンズ。こんな店には不釣り合いの無頓着な服装。きょうび珍しい程の撫で肩。
三神の視界から、すべてのものが消え、すべての騒音が遠ざかる。
三神は客という名の障害物をかき分け、その背中を追った。
救わねば。今救わねば取り返しのつかないことになる。三神は彼が消えたトイレに駆け込んだ。
三神の目に最初に映ったのは、ピアスをした男の耳と、男の首に腕を回して男と舌を絡め合う彼だった。 <> 光さす日まで 3/6<>sage<>2010/10/03(日) 01:49:21 ID:7folkYVBO<> 彼は、まるで三神が来ることがわかっていたかのように視線だけを三神にやり、
よりいっそう猥褻な音を立てて男とキスを続ける。
男はすでに興奮状態なのか、彼のTシャツに手を潜り込ませていた。

三神は男の襟首を掴んで、引きはがすように乱暴に後ろに引いた。
邪魔が入った男は当然のように激昂し何かを喚きながら殴りかかろうとする。
ああ、うるさい。三神は口の中で小さく呟きながら、男の顔の真ん中に拳をめり込ませる。
男が鼻血を噴き出しながらくずおれていく様を、彼は唇を光らせたまま眺めていた。

三神に、カズと呼ばれた彼は三神の運転する車の助手席に黙って座っている。
笑えばかわいくなりそうなその顔からは、今は何の感情も読み取れない。
「いつからだ」
三神が前方を見据えたままおもむろに尋ねる。
「尋問?」
「質問だ。いつからあんなことをしている」
「さあ。いつからかな。覚えてない。いつの間にかこうなっていた」
声変わりは迎えているが、彼…盾の声は、高いのに深い、独特のものだった。
盾はゆるりと車窓に目をやり、どこに連れて行く気?と呟いた。
「俺のうちだ。どうせ…誰もいない」
三神は盾がそれを嫌がるのではないかと思ったが、盾はふうん、と言っただけだった。
そして三神の横顔を上目遣いで見つめ、
「僕のこと、好きにしてくれてかまわないよ」
と囁き、身を乗り出して三上の耳たぶを軽く噛んだ。 <> 光さす日まで 4/6<>sage<>2010/10/03(日) 01:51:42 ID:7folkYVBO<> 三神の家は何もなく、生活感が微塵もないものだった。三神にとって自宅は寝に帰る場所でしかなった。
そんな空間にすら盾は所在なさげに立ち尽くしている。
三神以上に盾は、家庭という要素をその身に持っていなかったのだ。

「風呂に入りたかったら入ってもいいぞ」
「風呂場でするの?別に僕はどこでもいいけど」
男と二人きりになる=セックスなのかと、三神の心は暗くなる。
「俺は別にお前と寝たいわけじゃない」
素っ気なく背を向ける三神に盾は小さく笑うと
「そうなの?僕は三神さんとしたいけどなあ」
と呑気にも聞こえる口振りで答えた。
三神が思わず振り向くと、盾は三神のすぐそばまで来ていて、
三神の後頭部に手をやるとその薄い唇を自分のそれで塞いだ。
盾は三神の口内を舌で存分に犯してからゆっくり唇を離す。
「ねえ、してよ三神さん。今まで試したかったこと、全部僕にしてくれていいから。
爪を剥がしてもいい。目を潰してもいい。毒を飲ませてもいいよ。
犬になって這い回れと言ったらそうする。足の指だって舐めるよ。
三神さんがしたいこと、全部僕にしてよ」
急に饒舌になった盾の体の奥から匂い立つ冷たく暗い色香に、三神はわずかに怯んだ。
これは、並みの男では太刀打ちできないだろう。三神でさえ、理性がぐらつく。 <> 光さす日まで 5/6<>sage<>2010/10/03(日) 01:53:23 ID:7folkYVBO<> 「…カズ。やめろ。自分を大事にしろ。ちゃんと普通の暮らしをしろ」
「普通?」
盾の表情が一瞬だけ泣きそうに歪む。
「あなたがそれを言うのか。普通の人は悪いことをすれば罰を受ける。
だけど僕は罰を受けなかった。僕は普通じゃないんだ。
普通じゃない僕はどうすればいい?僕は壊されたい。誰からも大切にされたくない」
三神は盾を抱き締めた。盾は身をよじったが、それさえ押さえつけて耳元で囁いた。
「わかった。だったら俺がお前を壊す。お前に大切な相手ができるまで
俺のことしか考えられなくなるようにしてやる」
三神は覚悟を決めて、盾をベッドに引っ張り込んだ。

盾の全身に赤い痕が散る。至る所に口付けた三神は、盾のそれを口にしていた。
盾の声は高く低く響き、笑っているのか泣いているのかわからない顔になっていた。
限界まで攻めた後口からはなし、今度は後ろを指でしつこくなぶる。
盾は三神を急かし、叫びながらねだる。三神は盾の脚を割るとその身をねじ込んだ。
痛みに盾は陶然となり、三神を締め付ける。三神は顔をしかめてやり過ごしながら
盾をセックス漬けにすると決めたはいいが、自分が溺れそうになっていることに小さく苦笑した。 <> 光さす日まで 6/6<>sage<>2010/10/03(日) 01:55:06 ID:7folkYVBO<> 「結局あの日三神さんは3回でしたね」
特製苺ミルクをストローで飲みながら、盾は謎めいた笑みを浮かべる。
「…カズは7回か」
三神も常にない、少し意地の悪い笑顔になる。
「ちょっと、いったい何の話だよ。そういや今日は記念日みたいなものか、って言ったきり2人とも黙るし」
駆動が横で面白くなさそうに口を尖らせる。
「ん?ああ、こっちの話」
盾は大人びた優しい笑みを駆動に向ける。
三神はそれを見やりながら、ああ、カズにも大切な相手ができたのだなあと
わずかな寂しさと感慨深さに顔を綻ばせた。
盾に巣くう闇は余りに深く重いが、この小僧ならやり遂げてくれるに違いない。
慕ってはくれたが、愛してはもらえなかった自分には結局できなかった、
盾の心に灯をともす大役を果たしてくれるだろう。
「おい、小僧」
わざと厳めしい顔つきで駆動をじろりと見る。駆動の顔がわずかに引きつる。
「カズは本気出すとすごいぞ。お前なんか気を失うだろうな」
意味がわからずぽかんとする駆動と目を白黒させる盾。
こんな2人を見守って生きることができればどんなにいいだろう。
三神は一瞬だけ強くそう思った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ああ、変な話になった。私は盾×鑑識なのでマスターは保護者感覚なのです。 <> 捏造戴国物語2 1/4<>sage<>2010/10/03(日) 09:36:24 ID:uv7p0i5u0<> >PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 驍宗×泰麒、続きです。エロなし、ひたすら暗いです。
 勝手に戴の宝重をどこでもドアに設定してしまいました。


「少しは、落ち着かれましたでしょうか?」
 冢宰がそう言って泰麒の元を訪ねてきたのは、夕刻の事。
「……落ち着けるわけがありません」
 言ったものの、すっかり冷静になっている自分に気づく。
 自分はもはや驍宗のものではなく、まだ見ぬ新王のためのもの。
 ――だから、驍宗のことを想う心すら失っていくのだろうか。
 麒麟の表情のない貌と、棘のある言葉に、冢宰は痛ましげに言葉を継ぐ。
「台輔。ご心痛は察するに余りますが、至急、瑞州州侯の座を何某かにお譲りの上、
 蓬山に御戻りください」
 泰麒はしばらく、冢宰の顔を凝視してから、言った。
「……その必要はないでしょう。冬至には戴に最も近い令艮門が開きますが、
 それでもたった二月弱の間にどれだけの昇山者が集まりましょう?
 蓬山で昇山者を待つ必要はありません。僕が自分で探します」
 驍宗のように一度目の昇山者に王がいるとは限らない。
 戴の冬は厳しい。王がいなければ国は荒れる。
 王を失った国が何事もなく、無事に冬を越せるとは思えなかった。
 可能であれば、本格的な冬を待たずに新王が立つことが望ましい。
 ――そんなことを考えられる程、冷静さを取り戻している自分が悲しい。
 だが、冢宰は首を横に振った。
「無論、その件も理由ではございますが、先刻、蓬山から青鳥がございました。
 至急、蓬山に御戻りくださいと。玄君より大事なお話があるとのことです」 <> 捏造戴国物語2 2/4<>sage<>2010/10/03(日) 09:36:55 ID:uv7p0i5u0<>
 転変し、雲海の上を全力で駆けること数刻、たどり着いた蓬山は夜だった。
 凌雲山の頂に着くと、例によって玉葉、そして数名の女仙が待っていた。
 獣形を解いた泰麒に衣服の世話した女仙達が引くのと入れ違いに、玉葉が口を開く。
「転変してまでとは、ご足労をおかけしたの、泰麒」
 泰麒は玉葉を睨みつける。
「知っておられたなら、どうしてきちんと諫めて下さらなかったのですか!!
 いえ――なぜ禅譲をお許しになったのですか!!」
 青鳥が蓬山から白圭宮まで着くのに、少なくとも4日はかかる。
 今朝青鳥を放ったのなら、その日のうちに届くはずがないのだ。
 ――今朝、王だけでなく、宝重が王宮から消えていたという。
 驍宗は宝重を使って蓬山に行ったのだ。
 宝重を使えば一瞬で蓬山と白圭宮を行き来できる。であれば、禅譲の前に、
人知れず驍宗が蓬山を何度か訪れていても不思議はない。 
 ――その時に、何とか諫めてくれていれば。
 激した泰麒に対し、玉葉は冷静だった。
「妾が止めて改める泰王でもあるまい。それに、妾には禅譲は妨げる権はない。
 泰麒なら考え直すかと思って青鳥を飛ばしたが、間に合わなかったようだの」
 泰麒が息をついた。――分かっている。
 この人は所詮、天の代理。この人に何か主体的な行動を求めても無駄なのだ。
「……驍宗様に会わせて下さい。お連れして帰ります」  <> 捏造戴国物語2 3/4<>sage<>2010/10/03(日) 09:37:45 ID:uv7p0i5u0<>  玉葉は眉を上げる。
「そなたが?」 
「冢宰には話を通しています。ここまで来て、置いて帰るなどできません。
 幸いなことに、僕にも宝重は使えますので、それほど体調を崩すこともないでしょう」
「……分かった。ついて来られるが良い。宝重と共にお返ししよう」
 案内されたのは雲海の下、雲梯宮の一室だった。
 扉のない堂の中央に、白い石造りの棺が置かれているのが回廊から見えた。
(――驍宗様。)
 駆け寄りたかった。だが、堂に入った瞬間、死臭に思わず足が止まる。
 ――近づきたくない。怖い。
 主なのに。唯一無二の主だった方なのに。
 今すぐこの場を逃げ出したい程の嫌悪を感じる自分が悔しい。
 足を止めてしまった自分に、玉葉が気遣わしげな目を向けるのが疎ましい。
 その視線と、近づくなという己の本能の声を何とか無視して、棺の傍まで寄る。
 白い棺の中で、白い袍を着た主が眠っていた。穏やかな顔に、少し安堵する。
「驍宗様は……苦しんで亡くなったのでしょうか?」
 主の顔を見たまま呟くように訊くと、玉葉が答えた。
「禅譲の場合、いろいろな場合があるが、驍宗殿は安らかに亡くなったようじゃ。
 国を乱さず長く統治されておられたので、天もせめてもの慈悲を下されたのだろう」
(苦しい最期で無かったのなら、これで良かったのかもしれない。)
 国を治め続けることは、苦痛を伴う。多くの王が百年と保たずに失道するのがその証拠だ。
 その苦痛から、苦しみなく解放されるなら、それで良かったのかもしれない。
 自分が死んで王が死ぬ場合には、病に大いに苦しんで死ぬと聞いた。
 ――失道の病の苦しみは、麒麟も王も同じだと。 <> 捏造戴国物語2 4/4<>sage<>2010/10/03(日) 09:41:40 ID:uv7p0i5u0<>  震える手で主の頬に触れてみた。ただただ冷たい。
 あんなに温かかったのに。
 遠い昔の冬の日、露台で抱き上げてくれた主の頬に手を遣った、幼い記憶が蘇る。
 あの時の温かさが戻ることはもうない。そう思うと初めて涙がこぼれた。
「驍宗様、戴へ帰りましょう。……僕が、お連れしますから」
 言って泰麒は、主の唇に最後の接吻を零した。

 大葬が執り行われたのは、2日後のことだった。
 だが、泰麒は葬儀には出席できなかった。
 穢れを忌む麒麟は出席しないのが習わしであったのは元より、
体調を崩したことを理由に、黄医が臥室を出ることを許さなかったからである。
『台輔には今しばらく、ご休息が必要です』
 そう黄医は言ったが、臥室を出られない程の不調ではない。
 独り臥室に伏しながら、泰麒は苦く笑う。
 だいぶマシになったが、この宮の者は皆、過保護だ。
 数少ない例外だった琅燦でさえ、いつもの毒舌が無いという。
 戴は今、突然の名君の死に、白圭宮だけでなく鴻基だけでなく九州全ての民が悲しみに沈んでいる。
 だが、いつまでも沈んではいられない。
 蓬山を去る際、葬儀が終わり次第蓬山に戻るよう言った玉葉に、泰麒は言い捨てた。
『そんな暇はありません。豊かな国を豊かなまま新王に引き継げと、
 そう驍宗様は僕に仰ったのです。時間を惜しんでなどいられません』
 そう、時間を惜しんではいられない。
 葬儀が終わり次第、宮を出よう、と泰麒は決意した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

 次はエロくするつもりです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/03(日) 16:17:25 ID:b2c1fnLk0<> >>341
続きキター!お待ちしておりました
読み応えがあります。泰麒…健気だな…
次楽しみに待っています <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 1/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:06:51 ID:uv7p0i5u0<>  続けてすみません。重いのの反動で、唐突に軽いエロが書きたくなった。驍宗×泰麒です。
 注)泰麒も驍宗様も天然で変態です。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 とある日本の貴金属買取店。
「あの、これを売りたいのですが」
 そう言って店に入ってきたのは、中華風の着物のような奇妙な服を来た、長髪の少年。
「君、未成年じゃないの?」
 店員の男は訊いたが、これでも49歳です、と少年はにっこり笑う。
「嘘をつくな、どう見ても二十歳になってないだろ。
 ――帰りなさい。子供の相手をしてる暇はないんだ」
 男が手を振ると、少年は困ったような顔で抗議する。
「そんな、ものを見るだけ見てくれても良いじゃないですか」
 そう言って、少年は勝手に椅子に座ってしまい、帰る気配がない。
 男は溜息をついて、もう一度少年の身なりを確かめる。
 良く見れば、少年は奇抜な服を着ているが、その布地は絹のようだし、細密な刺繍がされており、
袖口に縫いとめられているものは黒真珠のようだ。本物なら数百万は下らないだろう。
 もしかしてすごい客かもしれない。男は少し少年に興味を持った。
「……なんだい、売りたいものって」 
「これです」
 そう言って、少年は小さな巾着袋を差し出す。
 受け取った袋は見た目に反しずっしり重い。開けると、掌に載るような小さな
金色の丸い玉が1つ入っていた。 <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 2/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:08:15 ID:uv7p0i5u0<> 「お、おい、これは……」
 重量からして間違いない。男は背に冷たい汗が滴るのを感じた。
「少し不純物が混じってるかもしれませんが、純金です。500gちょっとあります」
「こんなもの、子供がなんで持ってるんだ!」
「だから僕は子供じゃありません。ちょっと若く見えるかもしれませんけど。
 ――どうしても現金がいるので、売りたいのです。100万くらいでどうでしょう?」
 随分安い価格提示に、男の心が動く。本物なら、かなり美味しい話だ。
「……本物だって確かめられたら、買い取ってもいいぞ」
「ホントですか!良かった」
 男はすぐさま店の奥の鑑定士に声をかける。
 そうして、間違いなく本物であることを確認してから、男は少年に代金を渡した。

「良かった。これで目立たない服装ができる」
 軍資金が出来た泰麒はさっそくユニ●ロに行って適当なTシャツとジーンズを購入し、
ごくラフな服装に着替えていた。換金では役立ったが、あちらの服は悪目立ちしすぎる。
「まずは図書館かな……」
 本は借りられないが、必要な本をじっくり探す分には良いだろう。
 泰麒は大きな県立図書館に足を向けた。
 東北とか、北欧とか、寒い地方の産業で参考になるものが無いだろうか。
 あるいは、文州のようなツンドラ気候でも可能な畜産業は無いか。
 せっせと参考になりそうな本を探しては気になったタイトルとISBNコードをメモする。
 ざっとリストができると、どんどん別の棚を漁っていく。
「景王が大使館がどうのと言っていたし、福祉関係や国際関係の本も探してみよう」
 そうやって見ているうちに、あっという間に百冊以上のリストが出来上がった。
 リストを手に、今度は本屋に向う。カウンターに行くと、泰麒は店員ににっこり話しかけた。
「在庫があるものだけで良いので、この一覧にある本を買いたいのですが――」 <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 3/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:09:15 ID:uv7p0i5u0<>  翌日。
 白圭宮には、泰麒の戦利品を目当てに延麒がお忍びで訪れていた。
「なんだ泰麒。本ばっかり買ってきたのか?真面目だなあ」
 段ボール4箱分の本の山に、延麒は呆れたように声を上げた。
 泰麒は苦笑する。
「1箱は景王へのお土産です。あちらの制度についてもっと
 勉強しておけばよかったと仰っていたので。でも、本以外もあるんですよ」
 泰麒は笑って、ビニール袋を手渡す。
「はい、延台輔にお土産です。安物ですけど、蓬莱の服です」
「おお、あんがと。さすが、気が効くな」
「それから、これは驍宗様へのお土産です」
 綺麗に包装されてリボンをかけられた大きな箱を泰麒は愛しそうに撫でる。
「中身は何なんだ?」
「……秘密です」
 何やら頬を染めて恥ずかしげな笑みを浮かべる泰麒に、延麒はこれ以上の
詮索はしないことにした。泰王と泰麒の関係は、なんとなく延麒も把握している。
 泰麒は延麒の反応を気にした風もなく、さらにサンタクロースのような大きな袋を
どこからともなく(※傲濫が隠形したまま持っていた)引き出して卓に置く。
「あと、お菓子もいっぱい買ってきました。
 驍宗さまと李斎に声をかけてきますから、一緒に食べましょう?」 <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 4/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:10:06 ID:uv7p0i5u0<>
「蒿里、蓬莱はどうであった?」
 そう泰麒の主が訊いてきたのは、夜、臥室の中でのこと。
 この日の朝帰ってきた泰麒だが、朝は朝儀で、昼もなんやかやで主は忙しく、
残念ながらこの時間まで落ち着いて話す事が出来なかったのである。
「はい、三十余年も経つと、やはりかなり変わっていました。
 見たことのない製品や技術も沢山ありました。当分はそうそう国を空けられませんが、
 また機を見て行かせて頂いても宜しいでしょうか?戴を良くする参考になるやもしれません」
 今回の旅のもう1つの目的は、家族の三十三回忌に、せめて墓に花でも手向けてくること
だったのだが、無論、泰麒はそんなことを敢えて主に言うつもりはない。
 少し憂いを帯びた麒麟の顔に、驍宗は泰麒の髪を優しく梳いて言った。
「ああ。だが、延台輔のように、断りなく国を空けてくれるなよ。道中何があるか分からぬ」
「はい、分かっております。――ところで、驍宗様。驍宗様にお土産があるのですが」
 泰麒はにこりと微笑んで、臥室の隅に置いておいた大きな箱を取り出す。
「私に?――空けてみて良いか?」
「……はい。すごく恥ずかしいのですけど、驍宗様に喜んで頂きたくて」
 見れば、先刻まで落ち着いているように見えた泰麒の顔が、真っ赤に染まっている。
 いったい何をくれるというのか、驍宗は期待に震える指で掛け紐を解き、箱を空けた。
 数瞬の沈黙。
「……蒿里、これは何だ?」
 驍宗には、中身の正体が皆目見当もつかなかった。
「あの……こちらでいうところの、張り型のようなものと、媚薬です」
 絶句した驍宗に、泰麒は耳まで真っ赤になって蚊の鳴くような声で説明する。 <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 5/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:12:39 ID:uv7p0i5u0<> 「あの……驍宗様。僕は、痛いのは、驍宗様のためなら、それは別に構わないのですけど。
 でも、驍宗様は僕が痛がると、とてもすまなそうな顔をされますし……だから、
 ちゃんと気持ちよくならないとと思って……」
 言うなり、泰麒はガラガラと箱の中身を布団の上にひっくり返す。
「これは、電池といって、張り型の動力です。それで、この桃色の小さい張り型が、
 ローターといって、入れたり当てたりすると振動で気持ち良くなるものだそうです。
 それからこの太さが違うこの3つは、動く張り型で、細いのから順に使うと、
 切れたりせずにうまく慣らすことが出来るみたいです。あと、これは効くかどうか
 良く分からないのですけど、媚薬で、興奮して快感を高める薬だそうです」
 機器のスイッチを入れつつ、泰麒は一息で説明して息を吐いた。
 布団の上には、うねうねブルブルと踊る機器。
 黙ったままの主を見上げると、驍宗はわなわなと震えていた。
「蒿里……こんなものをお前、向こうにいた時から使っていたのか?」
「まさか!……今回、初めてお店に行ったんです。それで、痛くないようにするには
 どうしたら良いでしょうかと相談したら、これを選んでくれたんです」
 どれだけ恥ずかしく、大変な思いをしたか思い出して、泰麒は遠い目をする。
 当然のことながら、年齢は疑われるし、僕のご主人様へのプレゼントで、と言ったら、
何やら恐ろしい拷問器具をいっぱい並べられるしで、日本にはこんな恐ろしい世界が
あったのかと背筋が凍る思いをしたのだ。
 ――だが、これも主には言わない方が良いだろう。
 無言のままじっと自分の顔を見ている主に、泰麒は恐る恐る訊いた。
「あの、驍宗様、ご不快でしたか?」
「……蒿里、本当にこれを使っていいのか?」
「勿論です。だって、驍宗さまに使って頂くために買ってきたんですから」
 ぷっつん。
 微笑した麒麟の顔に、驍宗は理性の糸が切れる音を聞いた。
「……どうなっても知らぬぞ」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/03(日) 20:13:05 ID:Si+/SOWRO<> >>341
続きwktk <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 6/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:14:56 ID:uv7p0i5u0<>
「驍宗様ッ…まだっ…まだ、ですか……ッ?」  
 泰麒は布団を強く掴み、身悶えしながら問う。
 白い肌は全身すっかり桃色に染まり、快楽の涙にすっかり濡れた頬には、鋼の髪が張り付いている。
 身体の中の卑猥な動きに合わせて震える身体は、もう限界に近いようだが、
機械にイかされるわけにはいかぬと思っているのか、必死に耐えている様がいじらしく、楽しい。
 驍宗は圧でずり落ちてきたそれを、麒麟の秘所に再び深く押し込めた。
「ひッ……ぁあぁ――ッ!!」
 強い刺激に目の前が白くなりかけた麒麟の雄を、驍宗は強く掴んで射精を止めてやる。
 少し痛いだろうが、イってしまった方がこの麒麟には辛いことを、驍宗は知っていた。
 麒麟はとろんとした目で驍宗を見上げて強請る。 
「ぁあッ……早く…驍宗様っ……出ちゃう…出ちゃいます……!」
「まだ2本目だぞ蒿里。もう1本使って解さねば、また痛い思いをするのであろう?」
「でも……ッ!」
 駄々をこねるように首を振る麒麟に、驍宗は笑む。
「お前がそんなに言うなら、次を入れてみよう」
 驍宗は先刻押し込んだばかりのバイブを抜くと、1まわり太い3本目のスイッチを入れ、
一息に突き入れた。 <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 7/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:16:33 ID:uv7p0i5u0<>  抵抗もなくするりと最奥まで納まったそれが、泰麒の中で暴れ回る。
「――!?ぁッ!…待…、驍、宗様っ、ス、イッチ…止め…っ!!」
 最強状態でいきなり入れられたその刺激はあまりにも強くて、イキたくてもイケない
強い快楽に、泰麒は痙攣しながら身を捩るしかない。
「蒿里、すいっちとはなんだ?」
 真顔で聞かれて、泰麒は気が遠くなるのを感じた。
 ――ああ、通じてない。電源、もだめ?どう言えば… 
 混乱した泰麒は叫んだ。もう機械はいい。主が欲しい。
「ッあ!も…驍、宗様ぁ…機械じゃなくて…様が……が欲しいです」
「蒿里、ちゃんといってくれぬと、どうすればよいか分からぬ」
 うまく言えないのがもどかしい。泰麒は驍宗の雄を掴んで言った。
「いッ…入れて…ください!!」
 驍宗は真っ赤に染まった泰麒の頬に、接吻をして笑った。
「良い子だ」
 平静を装ってはいるが、己の麒麟の初めて見る痴態に、
すでに驍宗の雄ははち切れんばかりになっていた。
 驍宗は泰麒の中で暴れ回っていた機械を抜くと、味わうようにゆっくりと、その身体に己を埋めた。 <> 戴国振興計画(戴国捏造物語外伝 8/8) <>sage<>2010/10/03(日) 20:17:55 ID:uv7p0i5u0<>  一刻後。臥室の中には甘く気だるい空気が漂っていた。
 泰麒は安堵していた。今日は痛くなかった。主の心配そうな顔を見ずに済んだ。
 代わりに激しい快楽に翻弄されて、随分な痴態を演じてしまった気がするが、
それも大いに主を喜ばせたようなので、無論恥ずかしくはあるのだが、とてもホッとしていた。
 充実した疲れに、そのまま眠りに落ちようとした時、驍宗が話しかけてきた。 

「なあ、蒿里」
「……なんですか、驍宗様」
「この機械を戴の特産として輸出できれば、大きな利益が出ると思わんか?」
「……そうでしょうか?」
 疑わしげに泰麒は返したが、主は確信を持っているようだった。力強く頷いて言う。
「……売れる。絶対に売れる。明日琅燦に訊いてみよう」
 驍宗がそう言うなら、そうかもしれない。泰麒は微笑して言った。
「そうですね」

 ――驍宗の言葉通り、後にそれは戴の裏の特産品となったのだが、
 それはまた別の話。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

琅燦なら作れる! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/03(日) 20:43:44 ID:coZi8ryB0<> >>341
戴話沢山ありがとうございました!
寒い国はそっち産業がいいよなっ!出来る!出来るよ!範に負けない産業国に! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/03(日) 22:02:37 ID:I842ufKSO<> >>315
目から汗が止まらなくなったんだぜ・゜・(ノД`)・゜・。
今年の某レースからこの2人が気になっていたのですごく嬉しいです

「俺」さんの回復と復帰を祈りつつ、「彼」さんの仏国での活躍に期待してます
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/03(日) 23:03:33 ID:MnCrTRus0<> >>341
落ちに噴いたwwwwww
どこまでも王様だなあwww <> 初夏の匂い1/7<>sage<>2010/10/03(日) 23:24:33 ID:/bwMhM8FO<> 初夏の匂い
オリジナル。
電車待ちの人ら。
ずっとイチャイチャしてるだけ。
真枝視点


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマス。

「ケイ」
ベッドの中心を陣取り、ブランケットを頭から被って丸まって眠る圭介の肩を揺する。
小さく呻いて、余計に丸くなる様子は本当に猫そっくり。
違うところは大きさくらいか。
セミダブルのベッドを独り占めして、幸せそうに寛ぎ始めた身体を再度揺する。
「圭介、遅刻する」
『風呂明日。帰って着替えたりしたいし、7時に起こして』
いつも予定より30分以上前から起こしてはいるが、毎度時間通りに起きれた試しはない。
「ケイ、10時から仕事だろ。着替えに帰るじか…」
ブランケットの中から伸びてきた手が腕を掴めば、有無を言わさず腕の中へと引きずり込まれる。
抱きしめられるのを慌てて胸板へと手をつき、辛うじて逃れて距離をとる。
ベッドへと座り込んだ際、ギシリと軋んだスプリングの音に、昨夜の情事がフラッシュバックする。
『そう、もっと見せて。見られんの、…大好きでしょ?』
背中をなぞる舌、尿道へと見えなくなる寸前まで回されながら入れられる綿棒、身じろげばリンと高い音を立てる鈴付き <> 初夏の匂い2/7<>sage<>2010/10/03(日) 23:28:26 ID:/bwMhM8FO<> の首輪、黒い尻尾がついた細いけれども長いバイブ。
そしてバイブの横から無理やりねじ込まれた圭介の太いペニス。
ベッドの向かいに置かれた姿見には、尿道へと白い棒を抜き差しされながら、悦んで腰を揺らす自分の姿。
「ケイ…ッ」
初夏の爽やかな風が背中を撫でる刺激に、はっとして昨夜の記憶を奥へと沈める。
「…ン、ちょっ…、圭介!」
いつの間にか腰へと回されていた圭介の両腕。
ブランケットの中で圭介の左手が尻を撫で、右手が下着ごとスウェットを下げる。
「痛かった?」
ブランケットの中からようやく上げられる顔。
今時の若い子らしい、細く整えられた眉、厚めの唇。
何時もはキツそうな吊り目気味の眼も、寝起きの今はなりを潜めて年相応に見えなくもない。
ただ、尻を揉む手や、ペニスを摘んで裏筋を一舐めする様子はいただけない。
「は…ッ、ケ…スケ」
震える声を隠そうと、手の甲を口へと当て息を詰める。
丹念に尿道の先をくじる舌。
今更気にするくらいなら、昨日止めてくれれば良かったのに。
たっぷりと舌を絡めては、少し唇を離してわざと音を立てながら吸い上げられる唾液。
「…ケイ、時間…遅れる」
尻を揉むことから孔を探るように動きを変えた手首に、力の入らない手を添え首を振る。
昨日の夜に十分解されたそこは、圭介の指程度なら容易く飲み込み、痺れる甘さを脳へと送る。
逃げればギシギシと揺れるベッド。甘ったるいフェラに、昨夜の記憶。
初夏の日差しだけが涼やかに部屋を明るく照らして、 <> 初夏の匂い3/7<>sage<>2010/10/03(日) 23:32:32 ID:/bwMhM8FO<> あまりのコントラストに目眩がする。
「ここから行く」
巨大尺取虫がもぞもぞと暴れたかと思えば、脱ぎ捨てられるハーフパンツとタンクトップ。
ブランケットの中へと引きずり込まれて、濃厚にキスされ、後から焦らされながら入れられて。
「や……、ケイスケ…、バック…ヤだ」
コンドームもなく、濡らさずに入れる圭介のペニスは痛い。
ましてやバックから突き入れられれば、二発目ならともかく一発目には快楽よりも痛みが先立つ。
「痛いのも、恥ずかしいのも大好きでしょ?」
膝を開かせながら腿へと這う骨ばった指。
教えた癖に。
圭介以外でイケない体にした癖に。
「…ぁっ…、ケ…スケ、深ッ…」
くんと押し上げられる腰、硬いペニスにチカチカと目の前に星が散る。
シーツを掻いて逃げようとしても、肩と腰を押さえられて動けない。
「…スゲェイイ」
掠れた甘い声と共に首筋を舐める舌。
乳首を摘んで引っ張る指に、濡れた声が上がって枕を咬む。
ドロリと濁る思考。
痛かった事が気持ち良い。
ヌチヌチと重く湿った音を上げる結合部。
抜かれれば淋しさに締め付け、入れられるのは痛みに目眩。
けど欲しいのも何時だってこの痛み。
動物が交尾するのような体位に、頭の芯が熱くなる。
こんな体位でも感じる浅ましさに、込み上げる吐き気すら気持ち良くて、ただただ全てが恐ろしい。
「圭介…、ヤだ。…おかしい」
気が狂うくらい気持ち良くって、幸せで、倒錯的で、破滅的。
こんな姿を誰かに見られたら、今の生活は一瞬で終わる。 <> 初夏の匂い4/7<>sage<>2010/10/03(日) 23:37:13 ID:/bwMhM8FO<> いくら相手が成人しているとはいえ、一回り近く年下の青年との異常な性行。背徳的過ぎて、他人がもし同じ事をしていたら、心底軽蔑する。
それなのに気持ち良さの中心にはいつも圭介がいて、圭介も気持ち良くなってくれれば中に出して貰える。それが嬉しいだとか、せめて性別が違うならだとか、自分が抱く方なら、まだ幾つもの言い訳が出来るのに。
「顔見せて」
圭介の手が優しく頭を撫で、背中にキスされる。
枕から顔を上げられずに頭を振れば、膝ごと抱えられて腹の上へと乗せられて。
繋がったままで回される痛みに、上擦った声が上がる。
やめてやめて、意識が飛ぶから。
圭介を気持ち良くする前に、一人でイッてしまうから。
「可愛すぎ」
うっとりと細められた目で、圭介が囁きかけてくる。
息継ぎより早く擦られる内壁、キスで唇を塞がれうまく出来ない呼吸。
再びベッドに押し倒されて、激しく揺すられ、中で出されて。
自分が何時イッたかは知らない。


「だから拗ねんなって」
朝の圭介よりも更に丸くなって毛布に隠る。
慌ただしい朝の出発の合間、圭介が寝室へ戻ってきては機嫌を確かめる。
無理だと泣いて縋らせた癖に、昨夜に続いて朝から2度。
「帰ったらちゃんと座薬入れてあげるからさ」
抱き締めていたクッションを投げつける。
誰のせいだと思ってるんだ。
何でこんなにデリカシーのない男に惚れたんだ。
情けなくって涙が出る。
しばらく反応もなく、そろそろ立ち去るかと思った頃、ベッドを軋ませ、背後から抱き締められる身体。 <> 初夏の匂い5/7<>sage<>2010/10/03(日) 23:39:15 ID:/bwMhM8FO<> 「…怒った?」
いかにも心配そうな声。
こんな時だけ殊勝に反省した素振り。
背後から、項や首筋へ点々と着けられる唇。
「…セーブ出来なくてごめんなさい」
甘えてくっついて、背中からぎゅうぎゅうと抱き締めて、待ての姿勢。
触れ合った場所から伝わる熱が、言葉に嘘偽りがないと気持ちを伝える。
「帰ってきたら、お腹に優しいご飯作るから、鍵開けてね?」
鍵くらい持っている癖に。
「…泣かれると本当に困るんだって」
機嫌を取る様に肩口へと埋められる顔。
仕方なしに許そうかと振り返る間際、
「もっと泣かせたくなるだろ」
ガツンと音がするくらい鳩尾へと肘を入れて、呻いている圭介をベッドから蹴り出す。
思えば随分と手癖も足癖も悪くなった。
偏に圭介からの影響か、元々素質があったのか。
玄関に向かって人差し指を水平に指し示して、短く告げる。
「仕事だ変態」
異論の声を上げる圭介を、冷ややかに見据えて再び無言で玄関を指差す。
犬の躾と同じで、甘やかしたらつけあがる。
それは犬、もとい圭介にも良くない。
せめて遅刻癖くらいをなくしてやるのが、年長者としての務めだ。
ベッドの周りを鼻を鳴らしてウロウロする圭介に、改めて玄関を指差して出勤を促す。
ふてくされた様に唇を尖らせて顔を寄せるのを、軽く睨んで見つめ返す。
「…にゃあ」
わざとらしい鳴き真似とニヤつく目に、カッと全身の血が逆流する。
あまりの事に、池の鯉さながら口を開閉するだけで、それに続く言葉が出ない。 <> 初夏の匂い6/6<>sage<>2010/10/03(日) 23:52:38 ID:/bwMhM8FO<> 言わせたのは自分だろう、誰の趣味だ、変態。
何でも良いから反論すべき場面に、とっさに言葉が口から出ない。
固まってしまって動けない隙にキスで唇を塞がれ、二度三度と角度を変えて口付けられる。
思えばこの唇には随分騙されてきた。
いつまでもキスをしてくる圭介に、終わらせる為にも一度こちらから唇を押し付け返して頬を叩く。
「遅刻する」
何のために早く起こしたのか。
不服さを表しながらも渋々出て行く圭介を玄関まで見送り、再び重い腰を引きずりながらリビングに戻ってソファへと腰掛ける。
開けた窓から爽やかな風が家の中を抜ける。
昼から暑くなりそうな、爽やかながらも熱を孕んだ微風。
マンションの窓から見える、高い空へ沸き立ち始めた入道雲。
久々に味わう一人の時間。
数ヶ月前には考えた事もないほど騒々しい生活。
今更一人に戻れるとは思わないが、騒々しさごと受け入れるには独りが長すぎた。
幸せとはこんなにうるさかったのだろうか。

手元にある携帯のメールを見ながら、ぼんやりと父が生きていた当時のこと、母の事を思う。
母も今の恋人とは、こんな思いで家族になる事を考えたのか。
父が死んで、息子も手が放れて、寂しかったのだろうか。
ここ数年の母は、幸せだったのだろうか。
逡巡の末、こちらからはかけた事のない番号をリダイヤルする。
数度のコールの後、同年代のようにも聞こえる若い声。
「……祐一です。………いや、母に用ではなく………はい。その、……今度、酒でも…飲みに行きませんか。とうさん」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンガオオクリシマシタ!

ナンバリング間違えました_| ̄|○
ごめんなさい。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 1/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:11:33 ID:EPDpbx76O<> >>285の続きで、20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。エロありです
元作品が古いのにも関わらず、前回投下の際は反応いただけて嬉しかったです。
ありがとうございました。
またもや長いので、分けて投下します。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



道に迷っているうちに夜は更けた。
一夜の宿を求めて林の中に見つけた観音堂に、ふたりは入り込んだ。
月は明るく障子から光が差し込み、明かりを点けずとも目は利いた。

古いが大事にされているお堂らしく、幾つかのお供え物のうちに酒もあった。
観音様に手を合わせてから拝借して回し飲み、冷えた身体を暖めた。
中で火を炊く訳にいかないので、酒を手に入れたことはふたりに取って至極幸いだった。

ささやかな酒宴の後、離れて壁際に座った九慈真之介に、八坂兵四郎は声をかけた。
「仙石、なんで壁際に行くんだ。こっちで寝たほうが、隙間風が来ないぞ」
「いや、俺はここでいい」
壁にもたれて愛刀を抱いた真之介は、目をつぶって答えた。
「しかし、せっかく暖まったというのに……風邪をひくぞ」
「いいったらいいんだ、ほっといてくれ。寒くても、おぬしの側にいるよりましだ」
「ん?どうしてだ」
「……また手ごめにされちゃ、かなわんからな」

片目を開けて睨むように見つめ、真之介は不機嫌そうに告げた。
以前蛇に怯えたところを付け込まれ、悪戯心を起こした兵四郎に抱かれてしまったことを根に持っていた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 2/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:13:32 ID:EPDpbx76O<> 「手ごめとは、ひどいなあ」
「ひどいたぁなんだ、ひどいのは、殿様だ!どう考えても、手ごめだろうが。俺に、あ、あんなことを……」

のんきな口調の兵四郎に憤った真之介は、段々小声になり、顔を真っ赤に染めた。
あの時兵四郎から受けた辱めを、まざまざと思い出したからだ。

「俺は、手ごめにしたつもりはないぞ。おぬしが蛇を怖がって、身体も冷やしていたから、ほぐして暖めてやりたかったのだ」
「て、てめぇ、ぬけぬけと……!」
「本当だからしかたない。まあ確かに、ちょっとやりすぎてしまったがな」
「ちょっとじゃないだろう、ちょっとじゃ!……もういい!言い争いなど、くだらん。俺は寝るっ」

あくまでものらくらと悪気のない兵四郎に呆れ、真之介はそっぽを向いて再び目を閉じた。
へそを曲げた真之介に、平四郎は苦笑した。
そして、あの夜のことを思い返した。

やんわりねっとりと撫でていじるとたちまち真之介の身体は熱くなり、妙なる嬌声を上げて身悶えた。
そんな彼を、心からかわいらしく思った。
そうするとたがが外れたように止まらなくなり、最後まで情を交わしてしまった。
無理をさせたことはすまなく思ったが、本当に手ごめにしたなどという気はなかった。
恐怖に震えて自分に縋り付く真之介の冷たい肌を、芯から暖めてやりたかったのだ。

真之介もまたあの時の自分の恥態を思い返し、さらに赤くなっていた。

幾ら蛇に怯えすくんでいたとはいえ、まともに抗うこともせず、友だと思っていた男に抱かれた。
色恋は不得手な上に、金が無いから滅多に女も買えない真之介には、久々の睦み合いだった。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 3/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:16:30 ID:EPDpbx76O<> 兵四郎は終始優しく、じっくりと丁寧な愛撫を施した。
女にも触れられたことのない場所をいじられ、あげくにとんでもない物を入れられた。
真之介はうろたえ兵四郎をなじりつつも、深い快楽に取り込まれた。
そんな自分が信じられなくて、たまらなく恥ずかしかった。

「なあ、仙石」
「……」
「仙石、こっちへ来い」
兵四郎の声は気遣いを含んでいたが、微妙な気まずさに真之介は無視を決め込んだ。

「真之介、こっちへおいで」
「……ガキみたいに呼ぶなっ」
あだ名ではなく名前を呼ばれて、思わず目を閉じたまま怒鳴った。
抱かれた時に兵四郎が、低く甘い声で名前を呼んできたことを思い出した。
その時と同じ、優しさに満ちた口調であることに、真之介は動揺した。

ふいに、背中に温もりを感じた。
驚いて顔を向けると、兵四郎が寄り添うように座っていた。
咄嗟に壁伝いに身体をずらし、真之介は叫んだ。

「なんだっ、殿様!何してる」
「何って、おぬしが来ないから、俺が来たんだ」
追うようにまた身体をくっつけて、兵四郎がとぼけて言った。

「別に、来なくていい」
「だが、こうしてくっついたほうが温かいだろう」
「い、いらん世話だ!こら、寄るなったら」
「なんだ、つれないなあ。仙石、そう言うな」

くっついては離れてを繰り返し、やがて角に行き着いた。
目の前が板壁になり、真之介ははっと後ろを向いた。
すると、抱えた刀ごと兵四郎に抱きすくめられた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 4/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:20:11 ID:EPDpbx76O<> 「と、と、殿様!?なっ、何しやがる」
「仙石、蛇だ」
「……嘘つけ!その手に乗るかっ」
「はは、ばれたか」
当たり前だ、とぼやきながらも真之介は暗いお堂の中を見渡し、何もいないことを確かめた。
そして腕から逃れようと、兵四郎の胸を押して身をよじった。
「殿様、なんだ、なんのつもりだっ」
「うん、また温めてやろうと思ったんだがおぬし、けっこう温かいな」
「酒のおかげだ。余計な心配しなくていいから、あっちで寝ろ、殿様!」
「そうか。だが俺は、少し寒い」
「知るか!酒飲め」
もがくのを押さえながら兵四郎は真之介の身体を撫で、耳元に囁いてねだった。
「酒はもうなくなった。だから仙石、おぬしの熱を分けてくれ」
「いやだ、駄目だ。やらん、絶対にやらん」

触れんばかりに唇を寄せ、耳元に囁く甘い声音に、真之介はぞくんと身体を震わせた。
がっしりと腕を回した兵四郎は、真之介を捉えて離さない。
兵四郎の身体もまた熱くなっていて、包み込まれるような心地良さに、真之介はしばし抵抗を忘れた。
「仙石、胸がせわしく鳴ってるな」
「……おぬしが、おかしな真似をするからだ。もうあったまったろう、離せ、殿様」
「いや、朝までこうしていたいな」
「ふ、ふざけるなっ。なんで俺が、おぬしと……うわ、ま、待て、んんっ!」
兵四郎は笑って、喚きかけた唇に唇を合わせて塞いだ。
ふいを突かれて口を吸われ、真之介は焦った。
肩を強く抱き、頭を壁に押し付けるようにして真之介の動きを封じ、兵四郎は舌を差し入れ、酒の香りのする口内を味わった。
巧みになぶられ暴かれる口づけにぼうっとなっていた真之介は、唇を解かれてやっと我に返った。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 5/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:21:58 ID:EPDpbx76O<> 「きっ、貴様!悪ふざけも大概にしろ」
「いやいや、ふざけてるつもりはないぞ」
「じゃあ、なんでだ。この間といい、なんで俺に、こんな真似をしやがる」
「おぬしが、かわいいからだ」
「……ば!ばっ、馬鹿野郎!」
目を見つめて真っ直ぐ言ってのけた兵四郎に、真之介はうろたえた。
「前もそんなことを抜かして、俺のことを好きにしやがったが……それが本気なら、よっぽどの物好きか、頭がおかしい奴だぞ」
「そうか?思ったことをそのまま言ってるだけだが。まあ、物好きでも変わり者でもかまわんさ。俺はお前がかわいい」
「……まだ言うか」
「ああ、言うとも。仙石はかわいい。だから、仙石が欲しい」
「ばっ……!!」

また怒鳴りかけた真之介は、言葉を止めた。
わずかに高い目線で自分を見下ろす黒い眼は少し細められ、薄闇の中でも不思議にきらきらと光を纏い、唇は弧を描いて微笑みを浮かべていた。
穏やかで慈愛に満ちた兵四郎の表情に思わず見入ってしまい、真之介の胸はますます高鳴った。

呆けた隙に、兵四郎はまた口づけた。
真之介はびくりと身体を揺らし、抗うように兵四郎の肩を掴んで押したが、なぜかうまく力が入らない。
兵四郎はふたり分の刀を横に置き、唇を重ねたまま真之介にのしかかり、ゆっくりと押し倒した。

熱い舌で上顎や歯列を念入りになぞられ、翻弄される真之介は喉を鳴らして涙を浮かべた。
息苦しそうに呻く口内を、兵四郎は飽かず執拗に貪った。
真之介の手からは段々と力が抜け、弱々しく兵四郎の背中に腕を回した。

兵四郎は笑って、やっと離した唇を首筋に押し当て這わせた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 6/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:24:54 ID:EPDpbx76O<> 袷に手をかけて開くと、浅黒い肌は赤味を帯び、鍛えられた胸はなだらかに波を打っていた。
首筋から喉元を舌でなぶりながら、兵四郎は両手を着物に差し入れ、胸や腹、腰や背中を丁寧に撫で回した。
「あ、あ……との、さまっ、ま、て、待てっ……」
「大丈夫だ、仙石。前よりも優しくしてやるから」
「い、いい!優しくなんか、しなくていいから……は、離せ、離して……んっ」
「いや、もう無理だ。真之介、お前を抱くぞ。心配するな、全て俺に任せろ」
「ば、かっ……殿様!あっ、う、あぁっ、やめ……」

尖った乳首を含みねぶられ、袴の上から中心をさわさわと撫でられると、真之介の悪態は止まり、覚えのある快感に気を乱された。
悩ましく身をよじる真之介を愛しく思い、兵四郎はますます愛撫する舌と手を動かした。

袴と下帯を取り去り、震える真之介自身をそっと握り込むと、途端に身体が跳ねた。
鮮やかな反応に微笑み、兵四郎はそそり立つ愛らしいものをいきなり口に入れた。
熱く濡れた感触にすっぽり包まれ、真之介は驚き戸惑った。

「う、あっ……!と、殿様……よせっ、馬鹿、なんてこと、あ、ふぅっ……」
「ん、お前のここが、あまりにも美味そうでな。実際、美味いぞ」
うろたえた真之介に、唇を離した兵四郎はしれっと答えた。喋ると先端に息がかかり、真之介はそれにすらびくびくと感じた。
「……馬鹿っ!し、しばらく、ふ、風呂、入って、ねえぞっ……あ、あっ」
「そうか、まあ俺も二日前に入ったきりだ。気にするな」
またも顔を股間に埋めた兵四郎に、真之介はしつこく怒鳴った。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 7/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:26:32 ID:EPDpbx76O<> 「殿様!やめ、やめろったら!う、き、汚ねえ、だろうが……ふぁっ、あ……」
「大丈夫だ。俺は、お前の味が好きだ」
「あ、味なんて、言う、なっ……あぁっ、ん、ふぅ、んっ……」
兵四郎はくわえ込んだ真之介を丁寧にしゃぶった。
鈴口を舌先でくりくりとくすぐり、幹や裏筋を丹念に舐め上げ、同時に右手で袋を揉みほぐした。
頬をすぼめてじゅぷじゅぷと出し入れすると、真之介は首を振って切なく鳴いた。
滅多にされない口淫に翻弄され、頭に血が上った真之介は荒い呼吸を繰り返した。

「はあっ、あっ、ん、くっうんっ、との……さま、あっ、やだ、だ、駄目……だっ」
「ん、仙石、いいぞ出しても。お前のなら、飲んでやる」
「い、いや、だっ……!馬鹿っ、だ、出す、もんかっ……あうっ」
「そうか?意地を張らなくていいのにな。ほれ、こんなに露が出てるぞ」
兵四郎は先走りを指で掬い、ぺろりと舐めた。
たまらなく淫らな行為を施され、真之介はますます赤くなった。

「……殿様っ!馬鹿、やろ……っ」
「じゃあ、こっちを使うか。痛まんよう、柔らかくしてやるからな」
「う、ふあっ、うわ、や、やめ……あぁ!」
兵四郎はまた露を掬い中指に塗り込めて、真之介の後ろにその指先を潜らせた。
探るようにわずかにうごめかせると、まだ狭い入り口はきゅうっとすぼまり、指を締め付けた。

「仙石、ひくひくしてるぞ。かわいいな」
「……こ、このっ、助平!へ、変なもん、いっ、入れんな、あぁっ……!」
「ふふ、まだ指だけだ。変な物はまだ、入れんよ」
「あっ、く……ぅ!はぁ、あ、との、さ……うあっ」 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 8/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:28:57 ID:EPDpbx76O<> 兵四郎は一旦指を抜き、以前と同じように軟膏をたっぷり塗り付けた。
そして中指をあてがうと、止めようと腕に絡む真之介の手をものともせず、慎重にぐっと中に差し込んだ。

「あーっ!うぁ、や、やめろ、との、さまっ……!はっ、あ、あ……」
「もう入った。前より、入りやすかったな。動かすぞ」
「ひ、ああっ!や……だ、い、やだっ……殿様、と、のさ……ふぁっ」
軟膏が滑りを助け、指はちゅくちゅくと音を立ててまだごく狭い中を擦った。
兵四郎はふと思い付き、腰に締めたままの真之介の帯を空いた手で解いた。

纏った着物の前が開き、真之介の胸から平らな腹、そして息づく中心があらわになった。
青白い月明かりの中で、指を動かす度にしなやかに肢体が揺らめき、のけ反ってわななく様が見て取れた。
たまらぬ眺めに、兵四郎は引き締まった腰の線を唇でなぞり、指を増やした。
前よりもすんなりと入っていき、更に増やした指も後ろの口は貪欲に飲み込んだ。

「もう、三本くわえてるぞ。この前より、馴染むのが早いな」
「うっ、うる、せえ……っ!あぁ、あ、あっ、ふ……あ!」
「ん、ここか。ここが、感じるか?どうだ、仙石」
「う、あっ!あ、や……ひぃ、あぁっ、とのさ、ま……んあ、ああっ」
床に爪を立て、操られるままに悲鳴を上げる真之介の艶姿を見下ろして、兵四郎は熱くたぎるものを身の内に感じた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 前編 9/9<>sage<>2010/10/04(月) 09:30:37 ID:EPDpbx76O<> 突いてやりながら、喘ぐ唇に吸い寄せられるように重ねかけると、真之介は兵四郎の顎を掴み口づけを阻んだ。
「な、なんだ、仙石。どうして止める」
「と、殿様……俺の、舐めたろ」
「それが、どうした」
「その口で吸われるなんざ、ご、ごめんだ……っ!」
「細かいことを気にするな。別に構わんじゃないか」
「いやだ、ぜ、絶っ対に、いやだ!」

兵四郎は苦笑しつつなおも唇を近付けたが、その顎を押さえた真之介は、顔を逸らして頑なに拒んだ。
大して身なりを気にしない癖に、意外に潔癖なところがある真之介に兵四郎は驚いた。
無理矢理にして本気で怒らせては、段取りが台無しになる。
だが高揚した身体は真之介の口を吸いたがっている。
どうしたものかと顔を上げると、祭壇の前に置かれた酒瓶が目に入った。

「仙石、ちょっと待っていろ」
「あ……っ!ふぁっ、とっ、殿様……!?」
指を引き抜き、兵四郎は立ち上がって真之介から離れた。
火照った身体を急に放り出され、真之介は驚き身悶えた。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
またもやエロばっかりですみません。
全て仙石がかわいいせいなのさ……! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/04(月) 13:00:49 ID:BptN+6QS0<> >>364
若き日のシティーホール工事さんが目に浮かびますw

この調子で、「続続・じゃじゃ馬ならし」
「また又・じゃじゃ馬ならし」「新・じゃじゃ馬ならし」
なんてのも期待w <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/04(月) 20:26:00 ID:8mw7NqrlO<> >>358
おぉ……。まさか電車待ちの続編が読めるとは……ありがとうございます!
今回も、めちゃくちゃ萌えました! <> 脱出0/2<>sage<>2010/10/05(火) 01:13:48 ID:cCh3cGyM0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  とあるゲームが元ネタ気付いても他言無用で
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  何気にネタバレしてるが気にしない
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ダッシュツシスギテうpヌシがコワレタ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 脱出1/2<>sage<>2010/10/05(火) 01:15:41 ID:cCh3cGyM0<>  「WELCOME…っと」
 カチリと音がして、目の前の不思議な仕組みの木でできたカバの置物が口を開けた。
 カバの口の中には一本の鍵が置かれている。
 「よし、これが出口の鍵だな」
 鍵を取りくるりと踵を反す。目の前の出入り口の扉を開ければ脱出完了。
 最近はテレビでも知られてきた脱出ゲームだけど、流行る前から脱出ゲームに慣れていた自分には、テレビでは物凄く物足りないと、この部屋の主でもあるあいつに常々呟いていた。
 そしてある日、あいつが僕にメールを送ってきた。
 −大きな窓のある部屋に引っ越したから、遊びにおいで−
 森が近くにある郊外の静かなログハウス。
 『全部の仕掛けが解けるかな?』
 そう言って、あいつはテラスの脇に車を止めて、脱出ゲーム用に改造した部屋の中に僕を閉じ込めた。
 閉じ込められるのは何も初めてじゃない。
 あいつの他にも、同じ様にリアル脱出ゲーム好きな人が何人もいて、その人たちに招かれては僕は部屋の謎を解いて脱出する。
 極力部屋を汚さず、物を壊さず。スマートに脱出する。それが僕のポリシーだ。
 そして、少し考えたけど、無事にこの部屋を脱出する事ができそうだ。と、そこでふと手に持った鍵を眺める。
 「GETCOIN…?」
 細い鍵の胴体に彫られている文字を見つけた。
 もしかして、と思い再びカバの置物の前に立って仕掛けを動かすと、カバは再び口を開け、今度は金色のコインを出した。
 「おめでとう、コインも見つけたね」
 パチパチという拍手が聞こえて振り返ると、あいつが部屋の入り口に立っている。
 「さぁ、テラスでアフタヌーンティでも如何かな?」
 と、あいつがテラスを指すと、先程までは何も無かったテーブルにお茶の準備がされていた。 <> 脱出2/2<>sage<>2010/10/05(火) 01:17:37 ID:cCh3cGyM0<>  いつの間にか辺りも暗くなってきて、あいつがついでにとディナーもご馳走してくれた。
 外は寒くなってきたからと、昼間脱出した部屋に移動して、座り心地の良いソファーで飲みたかったワインを飲んでいたら、隣に座ったあいつの手が、僕の頬を撫でて顔を寄せてきた。
 自然に僕は目を閉じて、あいつからのキスを受ける。
 ワイン味のキスを繰り返しながら、あいつは僕の太腿に手を乗せてきた。
 「全部の仕掛けを解いた御褒美」
 太腿の手が、ズボン越しに股間を撫で回す。ああ、と声を上げると嬉しそうにあいつは、股間を揉みしだく。
 「久しぶりだからもう勃起してきたね」
 言葉にされて、僕はぎゅっと目を閉じた。
 かわいいな、と囁かれながらズボンの前を暴かれ、下着の中に手を入れられた。
 あいつのひやりとした手が、僕のペニスを掴んで直に扱き始める。僕は久しぶりに他人からされる感覚に頭を振った。
 「あっ…いや…」
 「嫌じゃないね、もうカチカチになって先走りも漏らしてる」
 腰を浮かさせられて、ズボンも下着も足首まで引き下ろされる。その間も、あいつは厭らしい言葉で僕を煽った。
 「こっちも触って?」
 僕の手を取り、あいつの股間に導かれる。
 膨らんだズボンの前に、僕の手は自然と膨らみを撫で、その下のあいつのペニスを思い出して唇を舌で濡らした。
 「厭らしい顔」
 僕があいつのペニスをズボンから引き出し、同じ様に扱くと、あいつは嬉しそうに言った。
<> 脱出3/2<>sage<>2010/10/05(火) 01:19:24 ID:cCh3cGyM0<>  「一緒にイこう」
 体を横に向け、お互いに荒い息を吐きながらペニスを扱き擦り付けあう。
 ビクンと跳ねる程強い刺激に、あいつも声を上げる。
 「あ、ああっ…イきそう、イく、ああ、あ、イく、イク!」
 「イ、いく…イク…あ、ああ、ん、んん!」
 ほぼ同時に僕とあいつはイった。
 お互いの服が汚れたけど、僕の手の中のペニスはまだ熱く反り返っていて、イった余韻で体はすこしだるいけど、僕はあいつのペニスを頬張った。
 「あ、おい!」
 あいつの慌てた声が聞こえるけど、僕は構わずに亀頭をしゃぶりはじめる。
 「御褒美をくれるんだろ?」
 あいつを見上げながら問いかけると、あいつは満足そうに頷いた。
 「いっぱいシてあげよう」
 僕はフェラを止め、あいつの膝の上に登る。尻の間に宛がわれた熱に貫かれて、僕は何度も声を上げた。
 −君がこの部屋から脱出できなければ、君を独り占めできたのにね−
 間に囁かれたあいつの声が、酷く落ち着いていたのは、多分気のせいじゃない。



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 色んな意味ではみ出ました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 夜の中 1/5<>sage<>2010/10/05(火) 02:27:17 ID:YDnCkNcG0<> 生 ラクGO家 合点×焦点(灰)
薄暗い話

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

押さえた様に咳込む声を耳が拾う。その所為で目が覚めた訳じゃなかったけれど、重い瞼を持ち上げて、
ぼんやりとした視界の中で一番最初に気付いたのは、隣のベッドが空になっている事だった。
眼鏡、何処に置いたっけ。
手探りでベッドサイドを探って、指先に触れたそれを掛ける。
生活感のないホテルの部屋。真っ暗じゃないのは、カーテンが開けられているからだ。
起き上がりしなのシーツの摺れる音で、士のさんは漸く俺が目を覚ましたのに気付いた様だった。
「起こしたか?」
「んーん、勝手に起きた」
「ごめん」
「勝手に起きたっつうに」
窓際に設えられている、二脚のソファーと低いテーブル。その内の一つに腰掛けて、士のさんは
窓の外に広がる夜景を眺めながら煙草を吸っていた。横顔が何処となく寂しそうな気配を漂わせている。
また……なんかに捕まってんのかな。見てるこっちが身体に悪いんじゃないかと心配になる程考え込む癖を持ってる
士のさんは、時折眠れなくなるらしい。不眠と呼ぶ程頻繁ではなく、本当に時々らしいけれど。
「寝られなかったの?」
「そういう訳でもないんだけどな」
じゃぁどういう訳? なんて訊くのは野暮かな。
多分、思考をぐるぐるさせている内に寝そびれたんだろう。悩み事は一つじゃなくて、複合で襲ってくる。
症状が重なった風邪みたいに。だからって俺を起こす訳にもいかず、電気も点けずに独りでぼんやりしてたのかな。
馬鹿だな、起こせばいいのに。 <> 夜の中 2/5<>sage<>2010/10/05(火) 02:27:52 ID:YDnCkNcG0<> この人らしい妙な気遣いがおかしくて、ちょっと切なくて、感情が綯い交ぜになった微妙な笑いが零れた。
耳聡く聞きつけた士のさんが不思議そうに俺を見る。
「何?」
「いや、ちょっとね」
「変な奴」
「あんたに言われるとは光栄だな」
「俺が変だとでも」
「きついの分かってて壇士一門を選ぶマゾなんだから変でしょ」
「それもそうか」
「納得すんのかよ」
咽喉の奥で笑う士のさんの指先で煙草が静かに燃えている。
手応えがあるのかないのか今ひとつ図れない会話に、傍に行っていいのかも図れずに少し迷う。志のさんの纏う雰囲気が
拒絶してんのか触れて欲しがってんのか分からなかった。
起こしてくれりゃ良かったのに、と方向の違う八つ当たりをしたくなる。
そしたら、俺の事必要としてくれたんだなって分かるじゃん。普段分かり易い癖に、こういう時だけ読めないんだ。
考え事をしてたいんだったら、このまま大人しく寝直すけどさぁ。
窓の外は水槽の底を覗き込む様な深い夜。正確な時間は分からない。でも散々飲んだくれてそろそろ寝るかって
話になった時には完全に日付は越えていたけれど、空の感じからいっても、夜明けはまだ遠そうだった。
階層の高いこの部屋の分厚い窓硝子を通して入ってくる外の音はなくて、室内は静寂に保たれている。
士のさんを一人で置いて寝ちゃうのか、俺は。
つい先刻まで寝てたってのはこの際棚上げだ。この寂しい気配の中に志のさんを置き去りにするのは、何となく嫌だった。
「士のさん」
呼び掛けて、次の言葉が見つからない。士のさんはそんな俺を数秒の間黙って見つめてから、煙草を灰皿に
押し付けて揉み消すと小さく言った。 <> 夜の中 3/5<>sage<>2010/10/05(火) 02:28:27 ID:YDnCkNcG0<> 「こっち、おいでよ」
「ん」
ほっとしながらベッドから降りる。つっかけたスリッパをぺたぺた言わせながら士のさんの横を通って
対面に向かおうとすると、手を引かれた。
見上げてくる目が無言でねだってくるけれど、自分から乗っかってやるのは気恥ずかしいから、何っと視線で返す。
士のさんはもう片方の手でぽんぽんっと自分の太腿を叩いた。やっぱり乗れってか。
人恋しかった癖にねだり下手さも、俺を起こしも出来ない気弱な優しさも、困った事にいとおしい。
惚れた方が負けだと口の中だけで呟いて、言いなりになるのは癪なんだけどって表情を作って膝の上に
横座りに乗った。腰に回った手がそっと抱き寄せてくる。
「これで良かった?」
「うん。ありがとな」
「あんたさぁ、甘えるんだったら最初から起こせよ」
「でもなぁ、お前、気持ち良さそうに寝てたし。見てて憎らしくなる位にさ」
「人の寝顔まじまじ見てんじゃねぇよ」
「見るだろ、そりゃ」
「だから見るなって」
あー、これって端から聞いたら完全に睦言のレベルだよな。俺、膝の上に乗っかっちゃってるし。
もたれちゃってるし。でも違うんだよねぇ。弱々しいシグナルを必死に拾う。
「見るってば。翔ちゃんさぁ……死んだみたいに寝てるし」
言いながら士のさんは僅かに唇を尖らせた。
馬鹿な想像してんじゃねぇよ……とは笑い飛ばせない。この人は置いてかれた人だから。
言ってから、しまったと士のさんは目を伏せる。晒すつもりがなかった言葉を聞かなかったフリは
してあげられなかった。
大体さー、士のっちが悪いんだよ。捨てられた犬みたいな顔すんだもん。だたでさえデフォルトが疲れてる人だし、
ちょっと考え込んで目を伏せただけで、何かに憂いてるみたいに見えるし。実際寂しくなっちゃってるみたいだし。
<> 夜の中 4/5<>sage<>2010/10/05(火) 02:28:59 ID:YDnCkNcG0<> 手のかかるおっさんだな、ほんと。
いつもなら撫で付けられてる前髪が今は軽く降りているから、指先でそれを払って額に唇で触れる。立ってりゃ
俺の方が十センチとちょっと背が低いけど、この体勢なら頭ごと抱いてあげられる。
髪を抱きながら、こめかみに、瞼に。ゆっくりと触れていくと、士のさんがぼそりと呟いた。
「……お前に優しくされんのに慣れてないから、ドキドキするわ」
「やめようか?」
「いや、やめないでよ」
「だったら喧嘩売んなよ」
目を眇めて顔を覗きこんだら、ごめんって笑う。軽く上げられた顎。唇が合わさるまでの数センチ。夜の中に
閉じ込められても、俺も士のさんも素直じゃない。駆け引きというには足りない間は、どちらから仕掛けるのかの
探り合いだ。
そんな事しても何の意味もないのにね。手の内というならば、とっくに晒してしまっている。
だったらこの何秒かも勿体無くて、自分から唇を重ねた。
啄ばんで、啄ばまれて、徐々に時間をかけていく。お互いの薄い皮膚が同じ体温になるまで、ゆっくり、ゆっくり。
腰に回ってる士のさんの手に少しだけ力が入る。逃げないよ。俺だってこうしていた。混ざり合う体温の中に、
士のさんの不安も溶けちゃえばいいのに。臆病で不器用なこの人は、心の中にある憂慮を曝け出せやしない。
人当たりの良いフリをしてるのにね。今俺の前で少し泣きそうな顔になったのは、この人が俺を自分のテリトリーに
入れているからだ。だからね、いいよ。あんたの気の済むまでこうしてる。離れない、傍に居る。口に出しては
言わないけれど、伝わってるって知っている。朝になりゃ、きっと何もなかった顔をして笑うんだろう士のさんが
預けてくれた弱い部分を、出来るだけ優しく抱いてやりたい。
掠れた声で士のさんが言った。
「俺……何でお前とこうなれたんだろう、って、時々考えるよ」
「それって良い意味? 悪い意味?」
「俺には良い意味。お前にゃ……どっちだろうな」
<> 夜の中 5/5<>sage<>2010/10/05(火) 02:29:30 ID:YDnCkNcG0<> 以前、高座の上で冗談めかして言われた言葉がある。『翔ちゃんの婚期が遅れているのが私の所為だというのは、
分かっているんですけれど』。そりゃそうだよね。でもあんたの所為じゃないんだけどな。
余計なもの背負い込んでんじゃないよ。馬鹿だな。俺が決めたんだよ。反論は山程湧いたけれど、
どれもこの人にぶつけても仕方がないものだ。言った所で背負ったものは軽くならない。 
必要なのは反論じゃない。
こつりと額をぶつけて目を覗き込んだ。夜の闇を溶かし込んだみたいな真っ黒な目には俺だけが映っている。
「好きだよ、あんたのそういらないものまで自分のみたいに考え込んで早死にしそうな所も含めて」
「後半余計だろ」
「だからまぁ勝手に考え込んでくれてていいんだけど、後悔する日がきたら自分でやるから、あんたは
手出ししないでよ」
「……うん」
「士のさん、すきだよ」
これ以上余計な事を言わせない様にと、もう一度口づける。
落語の世界なら望めば烏が鳴いて夜明けを連れて来てくれるんだろうけど、分厚い窓硝子はその声を通さない。
カラスカァでは夜が明けない。烏に押し付ける気もなかったけどさ。
淡いままのキスを繰り返しながら、この時間をたゆたう。切なくても、寂しくても、士のさんとなら構わない。
だから二人、夜の、中。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

合点の発言は本当に言ってた。
普段の仲良しっぷりには本当にnrnrしてしまう。けしからんもっとやってください。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 1/8<>sage<>2010/10/05(火) 08:54:41 ID://U3ZXmhO<> >>372の続き、20年位前の時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿様×仙石。エロありです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



兵四郎は酒瓶を手に取り、耳元で振った。
かすかに水音がしたので、口を付けて傾けた。
わずかに残っていた酒が流れ込み、口内を隈なく濯いでから飲み込んだ。
空の瓶を置いて戻り、荒く息をつき横たわる真之介の身体と頬を、優しく撫でた。
暖かい掌の心地良さに、真之介はほうっと甘い吐息を漏らした。

「仙石、まだ少し酒があった。口を濯いで消毒したから、いいだろう?」
「……本当か」
「本当だ。ほら、匂いがするだろ」
吹き掛けられた息には、確かに強い酒の香りがした。
「お前の味はもうしない。なあ、だからいいだろう、仙石」
「だ、だから、味とか、言うなっ」
「吸ってもいいか?」
「……勝手にしろっ」

許された兵四郎は真之介の顔を両手で包み、嬉しそうに口づけてきた。
同時に広がった酒の味と、絡められた甘い舌にくらくらとしながら、真之介は兵四郎の口づけに応えた。
兵四郎はねっとりとしつこく丁寧に口内をなぶり味わいながら、両手を真之介の脚にかけて大きく開かせた。
かたわらに放っていた真之介の袴を丸めて、腰の下に差し入れ浮かせた。
名残惜し気に唇を離し自分の袴を下げて、痛い程たぎった高ぶりを取り出した。
入り口をつつくと、真之介は身をよじった。
兵四郎は笑って、軟膏を自身に塗り付けた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 2/8<>sage<>2010/10/05(火) 08:56:09 ID://U3ZXmhO<> 「真之介、俺が欲しいか」
「……っ、く、くだらんこと、聞くなっ」
「ふふ、そうは言っても、こっちは素直だぞ。いい子だな、今、入れてやる」
「ばっ、ば……かっ!う、あっ!は、あ、あああぁっ……!」
淫らにうごめく口を指で押し広げ、兵四郎はぐぐっ、と突き入れた。
灼熱の杭はじわじわと侵入し、真之介はその熱さと太さをまざまざと感じた。

「はあっ、ん、ああっ、との、殿様……ふ、あ、あっ」
「真之介、相変わらず熱いな。ぴたりと吸い付くようで、気持ちがいいぞ」
「くぅ、うるっ、せえ……!ひ、あぁ!うっく、あ……ふぅっ」
両脚を肩に担ぎ、深く繋がったままで、兵四郎は罵倒する唇をまた塞いだ。
手は胸や担いだ太股を摩り、馴染むまであらゆる場所に愛撫を与えて慰めた。
やがて内壁は兵四郎に纏わり付き、締め上げ始めた。
真之介の変化にほくそ笑み、兵四郎は緩やかに抜き差しを始めた。

「あっ、ま、待て……うあっ、はぁ、あぁ……はぁあっ」
「真之介、気持ちいいか?俺はもう、とろけそうだ」
「ふぅ、く、あっ、との、さ、ま……あっ、あ、ひぁ、あっ!」
くぷりくぷりと音を立てて突かれる度、真之介は細かく高いよがり声を上げた。
力が入らない手の指に指を絡めて床に縫い付け、兵四郎は上から突き刺すように真之介を甘く責めた。
小刻みに腰を動かしながら、震える唇や首筋を吸い舌を這わせた。
爛れるような悦びに涙を浮かべた真之介はもっと快楽を欲しがって、兵四郎の動きに合わせて疼く秘所に力を込め締め付けた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 3/8<>sage<>2010/10/05(火) 08:57:12 ID://U3ZXmhO<> 「ああ、真之介、なんて具合がいいんだ。極楽に、いるみたいだ……ふうっ」
「あ、ひっ、あふぅっ、殿様、も、もっと……あっ、んあ、は、んんっ」
「真之介、兵四郎だ。兵四郎と、呼んでくれ」
「あぁ……あっ、へ、へい、し、兵四郎っ……んっ、へいし、ろ……」
「もっとだ、もっと呼んでくれ、真之介……!」
早められた突き上げにがくがくと身体を揺さぶられ、恍惚となった真之介はひたすらよがって鳴いた。
頭には霞がかかったように何も考えられず、耳元で告げられた兵四郎の願いに素直に答えた。
名前を呼ばれて喜びに溢れた兵四郎は、ますます優しく激しく真之介を貪り快感を与えた。

「ふぁあっ、あぁ、へ、兵四郎……も、うっ、もう……あうっ」
「んっ、真之介、出そうか?」
「あっ……で、るっ、もう、出る……あぁ!」
「わかった。お前の手ぬぐいを、借りるぞ」
「うぁっ、あ、くぅあっ、あ、ああぁー……っ!」
「う、しん、のすけ……!」
兵四郎が前を手ぬぐいで包むと同時に、真之介はその中に欲を放った。
急激にきつく締め上げられた兵四郎は低く呻き、抜く間もなく真之介の中で達してしまった。
最奥に叩き付けられた兵四郎の熱いほとばしりを感じ、真之介はびくびくと身体を跳ねさせた。
肩から脚を下ろした兵四郎は、真之介の残滓を拭き取り、衝撃にぶるぶると震える身体を繋がったまま抱きすくめた。

「あ……あっ、はぁ、はっ、うぅ……」
「真之介……大丈夫か?」
「と、殿様……よくも、な、中で、だっ、出しやがったなっ……」
「うん、咄嗟に抜くことが出来なかった。許せ。だがそれもこれも、お前があまりにも絶妙に締め付けるからだ」 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 4/8<>sage<>2010/10/05(火) 08:58:08 ID://U3ZXmhO<> 「……お、俺のせい、だってのか!」
「まあ、半分はそうなるな」
「て、て、てめえ……くそ!離せっ、離れろ、殿様!」
「いや、もうちょっとこのままでいさせてくれ」

怒りにもがく真之介を押さえ付けて、兵四郎は笑ってまた抱きしめた。
真之介は逃れようと下から身体を押したが、動くと中の萎えたものが存在を示すことに気付き、抗いを止めた。
おとなしく抱かれる真之介の髪や頬に口づけ、兵四郎は取り出した自分の手ぬぐいで彼の汗を拭いてやった。

真之介はうっとりとされるがままになっていたが、貫かれたものがやはり気になり、兵四郎に小声で催促した。
「……おい、殿様。もうよかろう」
「ん?何がだ、仙石」
「何がって、その、なんだ、いい加減……ぬ、抜けよっ」
「あー、これか」
「あーじゃない。終わったんだから、さっさと出てけ」
「またそんな、つれないことを。俺はもうちょっと、お前の中を味わっていたいんだがなあ」
心から残念そうに呟くと、兵四郎はまた真之介を抱きしめた。
「なんなら、朝まで繋がっていたいくらいだ」
「……またぶん殴られてえのか、殿様」
「いやいや、それは勘弁してくれ。わかった、わかったよ、仙石」
兵四郎は笑うと名残惜し気に身体を離し、真之介の身体を床に横たえさせた。
「じゃあ仙石、抜くぞ」
「……んっ、う、うぅ……っ」
「ふふ、抜く時もかわいい声を出すんだなあ」
「う、ば、馬鹿……!」
兵四郎はからかいながら、ゆっくりと自身を引き抜いた。
去っていく感触に眉根を寄せ、真之介は長い息を吐いた。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 5/8<>sage<>2010/10/05(火) 08:59:05 ID://U3ZXmhO<> 兵四郎は抜いたものを懐紙で拭うと、袴を上げて着衣を直した。
真之介も着物の前を合わせて中心を隠し、かたわらに散らばっていた帯と着衣を引き寄せ掴んで、上体を起こそうとした。
「待て待て、仙石。まだ、着ちゃいかん」
「あ?なんでだ」
「俺の出した物が、中に入ったままじゃないか」
「……っ!」
確かに気を緩めると中から零れそうで、抜かれてからは身体を引き締めていた。
指摘されて、真之介の赤い顔に更に血が上った。
兵四郎は真之介に向き直り、帯と袴と下帯をその手から取った。
「仙石、そのまま横になっていろ。中を綺麗にしてやる」
「……い、いいっ!殿様、そんなこと、しなくていい!」
「そうは言っても、気が落ち着かんだろう。遠慮せず、任せておけ」
「遠慮なんか、してないっ。わ、わかった、自分でやるから、ほっといてくれ!」
「だが、自分じゃやりにくかろう。俺が出したんだ、後始末を付けてやる」
「や、やめろったら、こら、触るなっ」

合わせただけの裾をめくろうとする手を抑え、真之介は泡を食って喚いた。
これ以上不様にいじられるのは御免だと、力が入らない身体をよじって抗った。
兵四郎はふうっとため息をつき、着物から手を離した。
諦めてくれたかと安堵した途端、被さるようにきつく抱きしめられ、床にまた倒された。
「こら、おいっ、と、殿様……!」
「真之介……あまり、暴れて煽るな。また、抱きたくなる」
「な、なっ……!」
「嫌がるお前を見てると、どうも俺は、余計に可愛がりたくなって困る。だから頼む、おとなしくしておれ」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/05(火) 10:18:41 ID:GEZ0rZaxO<> 規制?
不必要かも支援 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 6/8<>sage<>2010/10/05(火) 12:12:45 ID://U3ZXmhO<> >>389様、ありがとうございます。規制くらって時間置いてました。
続きです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


甘く優しい声で脅されて、真之介はびくりとわななき、逆らう動きを止めた。
くたりと身体を預けた真之介の髪に、兵四郎はそっと口づけた。

真之介の身体が冷えることを心配した兵四郎は、着物を纏わせて帯を締めてやり、裾を捲り上げ下肢のみをあらわにさせた。
開かせた脚の間を見つめ、探るように指を差し入れた。

「うーん、よく見えんな……仙石、明かりを点けていいか?」
祭壇の蝋燭に目をやりながら訊くと、真之介が怒鳴り付けて来た。
「……やめろ、絶対点けるな!点けたら、斬るぞ!」
「斬るとはえらく、物騒だなあ。わかったわかった。じゃあ、おとなしくしててくれよ」
「うるさい、さっさとやれ……っ、う、う、くっ」

広げた懐紙の上に丁寧に掻き出し、手ぬぐいで拭いてやる間、仰向けの真之介は目を腕で覆い、声を殺して恥ずかしさに耐えていた。
指が動く度に震える真之介を、兵四郎は愛らしく思った。
冴えた月の光の中に浮かぶ無意識なその媚態は、たまらなく煽情的に兵四郎の目に映った。
「やはり、煽られるな……」
聞かれぬよう小さく呟くと、ほのかに感じた熱を抑え、真之介の身体を清めてやることに専念した。


明け方の冷気に顔を撫でられ、目を覚ました。
左肩を下にし大刀を抱いて横たわった真之介は、身体に暖かな重みを感じた。
肩に目をやると、逞しい腕が自分を包むように回されていた。
真之介のすぐ後ろに寄り添って横になり、兵四郎は眠っていた。
起こさないように腕をそっとどけ、真之介は起き上がった。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 7/8<>sage<>2010/10/05(火) 12:14:14 ID://U3ZXmhO<> 左腕を枕にして胸に刀を抱き、すやすやと寝息を立てる穏やかな寝顔を、胡座をかいた真之介はじいっと見つめた。
その頬に触れようと、ふと手を伸ばしかけてやめた。
手を握りしめて戻し、その甲を唇に当てた。
しばらくまた眺め、やがて真之介は笠と刀を掴み立ち上がった。

ぱたりと扉が閉められてから、兵四郎は目を開けた。
身体を起こすと、真之介に触れていた右腕を摩った。
そこにはまだ、彼の温もりが残っていた。
「逃げちまったか……まあいい。また、捕まえてやるさ」
扉を見やって兵四郎は笑い、立ち上がってうぅんと大きく伸びをした。


林を抜けた眼下に小川を見つけ、真之介は岸に降り立った。
しゃがみ込んで水を掬い、口を濯ぎ喉を潤してからぱしゃぱしゃと顔を洗った。
濡れた顔を拭こうとして腰に手をやり、手ぬぐいを置いてきたことに気付いた。
仕方なく袖を掴み、ごしごしと乱暴にぬぐった。
「くそ、手ぬぐいを新調しなくちゃな……ふん、いいさ。金はそのうち、あいつから取り立ててやる」
ひとりごちてから、ふと水面に映る自分の顔に目をやった。

どこからどう見てもむさ苦しい男なのに、兵四郎は何がよくて自分を抱くのか。
ただ一度きりの悪ふざけだと思ったから、あの夜真之介は兵四郎の頬を張ったことで、全て終わらせたつもりになっていた。
だが兵四郎はお前がかわいいだの、欲しいだのと告げ、言われた側の戸惑いや抗いなどものともせず、再び熱く激しく丹念に愛撫を与え真之介を抱いた。
この身を貫いた時、極楽にいるようだとまで言っていたが、あれは本心から出た言葉のようだった。 <> 続・じゃじゃ馬ならし 後編 8/8<>sage<>2010/10/05(火) 12:15:53 ID://U3ZXmhO<> 元来が嘘をつくような男ではない。
かと言って、柔らかい女の身体を差し置いて、真剣に自分なぞに夢中になるとも思えない。
しかし兵四郎はあくまでも優しく、まるで惚れた女にするが如く、真之介を扱うのだ。
あの男の気持ちが、真之介にはわからなかった。

しかめっ面の真之介はため息をひとつつくと、水に映った自分の顔に握り拳を打ち込んで画像を乱した。
「考えてもわからんことを、いくら考えたってしょうがねえ。なるようになれだ、うん」
また呟くと、腰を上げた。
小川を跨いで対岸の斜面を昇り、しばらく行くと道らしきものを見つけた。
ほっと安堵し、道を歩き始めた。
とりあえず歩け、歩くことだ、俺には今それしかない、と真之介は心中で自分に言い聞かせた。

朝焼けの空はピンクと青のまだらに染まり、朝の空気は爽やかに真之介を包んだ。
「それにしても……腹減ったなあ〜」
彼方を見つめてぼやくと、懐に突っ込んだ手でへこんだ腹を摩り、ざくざくと足音を立てて歩き続けた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

天然無邪気攻め殿様バンザイ!(・∀・)
貴重なスペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/05(火) 21:44:00 ID:MZYqwwC+0<> >>392
ありがとう!つるっつるにハゲ散らかした!!
もうほんとセリフも、「言うよ、こいつら絶対このシーンでこういうセリフ言うよ!」
ってカンジで萌え転がりました
そして密かに 続々 待ってますw <> コーヒーを一緒に・・・4 1/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:46:09 ID:wo79uWA20<>  闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、媚薬物でエロありです。ツンデレ気味。>>297の続きになります。レスして頂いた
方、ありがとうございました。エロに気合いを入れたら長くなってしまいました。あと一回で終わりますなんて書きましたが、今回ともう1回で完結ですorz

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 丑嶋に顔の上を跨がれ、見上げた柄崎は息を飲んだ。長身の丑嶋は背中を丸め跨っているので、柄崎の目の前には引き締まった見事な体躯の中でも、普段はひた隠しにさ
れた恥部の大半が薄い下着の中に詰っているのだ。
 はやる気持ちを抑えつつ、人差し指を下着に掛けると視線の妨げにならない所まで下げる。下着を下げさせると、風呂上がりであろうが少し蒸れていたのか、丑嶋の裸体
に張り付く事を許された憎らしい布にせき止められていた汗の匂いが香った。
 初めて見る秘められた肌は、夏場でも露出しない為に白い。適度に脂肪のついた尻たぶの左右の丸みは、中央にある谷に向かって絶妙な曲線を描いている。その曲線の行
きつく先にある尻の谷間には放射線状に皺の寄った小さな後孔が見える。後孔は尻の中でも一際色が濃く、肌色に茶色を混ぜたような色だ。まるでそこだけ日焼けしたよう
な感じで、キュッと窄まった感じなのに、色濃さが却って存在を際立たせている。
 視線を徐々に下の方に移動させると、後孔と睾丸を繋ぐ道のような蟻の戸渡りがある。皮膚内部から盛りあがった部分は男にとっては性的に弱い部分で、大概の男は圧さ
れたりすれば生理的に勃起してしまう。蟻の戸渡りには細い体毛が生えている。体毛の太さや硬さはないが、それなりに密集して茂っている。
 そして、蟻の戸渡りから更に視線を下げると二つの睾丸がある。サイズは並みだが、中身の詰まっていそうな張り具合を見ていると、想像したくもない事なのだが、とて
も数時間前に戌亥とセックスをし、中身を排出したとは思えない。 <> コーヒーを一緒に・・・4 2/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:48:49 ID:wo79uWA20<>  更にその下には性器がぶら下がっている。四つん這いになっているのでどれ程硬く反り返っているのかは分からない。だが、先端が微かに濡れていて、竿には血管が浮か
んでいる。太い幹をした木にシダ植物が絡みつくように見えるので、勃起していることは間違いない。
 柄崎は以前から丑嶋とセックスすることを夢想していたりしていたし、以前に自分の性癖を確かめる為にゲイビデオも見たことがあった。だが、こうして実際に同性の生
殖器や排泄器官を目の当たりにするのは初めてだった。いくら丑嶋が相手でも、自分についている物と同じ物を目にすれば心が折れるかと最初は思っていた。
 ところが、柄崎は丑嶋の恥部に性的魅力を感じこそすれ、嫌悪感は何もない。特に排泄器官である後孔には、今から自分が侵入する部分だと思うと愛しさを感じるほど魅
力的に感じるから不思議だ。
 見れば見るほど、後孔は果たして男の物を受け入れる事が出来るのだろうか、と疑わしくなるほど小さく頑なにすぼまっている。無茶をしては壊してしまう。優しくせね
ばならないし、先程丑嶋が言っていたように自ら潤滑油となる液体を出してくれないので濡らさねばいけない。
 けれど、まさか今日丑嶋とこんな事が出来るなんて全く予想もしていなかったので、何か準備がある筈もない。今よりもっと若い頃には財布の中にお守りのようにコンドー
ムを忍び込ませていたものだが、近頃は入れていない。使わない、というわけではないのだが、相手がプロでお店側が用意してくれることばかりなので用意する必要もない
と言ったところか。
 考えてみれば、あの風俗店の店長も媚薬なんて大層な物をくれるならば、もう少し気を回して他の物もセットで付けてくれればよかったものを。媚薬が本物ならば、当然
のことながらローションとコンドームはセットで構わんだろうに。そういう心遣いが出来れば、あの店も女の子だけではなく店側のサービスも良いとされる優良店になれる
だろう。
 柄崎は目の前が絶景のあまり、若干クラクラして現実逃避している。そんな場合ではないが、実際問題準備もないのに、これからどうしたら良いのか分からないのだ。 <> コーヒーを一緒に・・・4 3/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:50:57 ID:wo79uWA20<>  勝手がわからない柄崎と違い、慣れている丑嶋は「跨げ」などと偉そうに命令したものの、戸惑うばかりの柄崎に再び焦れて来た。
 本当なら、こんな間抜けで卑猥な恰好なんてしたくない。でも、あの従順な柄崎が珍しく過激な命令をしてきたのだ。命令されて従う屈辱感とは別に、見せているいう快
楽が生まれつつある。
 丑嶋は潔癖症で性的なことにはあまり興味がないように見える。潔癖症なのは否定しないが、性的な事には人並み以下だが興味がある。
 普段そういう部分を見せてしまえば、利用されたり弱みになることもありうるので出さないだけだ。しかも感情表現が苦手で、ある意味不器用な丑嶋にとっては、今のよ
うなセックスでの状況では自分の生の部分が曝け出しやすくなる。おまけに相手は柄崎だ。ある程度素直に接せれるので、気持ち良いことが出来るならば多少の羞恥心も抑
えられるというものだ。勿論、羞恥心の大半は残っているが。
 それなのにも関わらず、柄崎はちっとも動いてくれない。丑嶋は戸惑う柄崎を奮起させる為、眼前で興奮の証を噴き出す性器をパックリと口に咥えこんだ。
 「うくっ、社長ぉ・・・!」
 突然敏感な部分に刺激を加えられ、柄崎は寝たままで自分の腹の方に目を向けた。ふくよかな唇に自分の性器の亀頭まで入っているかと思うと、すぐに反り返った性器は
根元までズッポリとふくよかな唇に飲み込まれていった。温かい口内に入りきったかと思うと、次の瞬間には滑らかな舌が亀頭に絡みついて来るのが分かる。
 「おっ、お!」
 全てを生暖かい粘膜に包まれ、先端や雁首や亀頭全体を張りと潤いのある舌に弄ばれる。69の体制に入る前にもフェラはしてもらったが、先程の竿を唇で扱かれた時の
暴れたくなるような強い刺激とは違い、亀頭のみを重点的に責められるのは全身が泡立つような刺激だ。異なる快楽を器用に与えてくれる丑嶋は途轍もなく卑猥だが、やは
り少しは羞恥心が残っているらしい。溢れ出て来る自分の唾液とカウパーを溢してはしたなく見せたくないらしく、時折口をキュッとすぼめている。 <> コーヒーを一緒に・・・4 4/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:51:48 ID:wo79uWA20<>  「社長、触りますよ?」
 羞恥心と淫らな欲望に自らを放り込んだ丑嶋に煽られ、柄崎はやっと自分も手を動かしだす。
 まずは、とドキドキしつつも、人さし指一本で尻の谷間にある皺に囲まれた後孔に触れた。
 「んんっ」
 いきなり肝心な部分を触られ、丑嶋が息を詰める。最初からそこを触られるとは。まずは、性器からだろうと思っていたので、反射的に声が漏れてしまった。物を咥えて
いるので抗議は出来ない。また、せっかく柄崎が動いてきたので気持ちを萎えさせるような事はしたくないのだ。
 口を動かした事で、口の中から溢れないように溜めていた液体が、声と共に竿と唇の間から泡立ちながら出てしまった。丑嶋は出来る限り汁をすすった。
 「ここに、俺のが・・・」
 柄崎は一度深呼吸をすると、指で後孔を押してみる。ちょうど指の腹の中央に当たる部分がへこんでいる。ここが穴だ。今一度場所を確認すると、普段は内側から排泄す
るために盛り上がる筈の後孔に外から指をめり込ませていった。
 「・・・っ!あっ、おおっ」
 丑嶋が小さく悲鳴を上げる。指は第一関節まで入ったが、そこまで入ると直腸壁が異物の侵入を防ぐ為に指を頑なに締め付けてきて入れなくなってしまった。硬い肉が哀
れで、指をゆっくりと抜いた。
 未開の地ではないのだが、どうしたら奥に入れるのだろうか。やはり潤滑油が必要不可欠なのだろう。だが、濡らせる物なんて唾液位しかないではないか。
 「・・・そうか」
 独り言を呟くと、柄崎は丑嶋の腰に腕を回し、腹が胸につきそうになるまで屈ませた。尻は柄崎のすぐ目の前にきて眼を楽しませてくれる。 <> コーヒーを一緒に・・・4 5/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:53:25 ID:wo79uWA20<>  下半身を密着させられたことで自然と上半身も下がり、口に入っていた性器はそれこそ根元まで丑嶋の口の中に治まった。先端が喉の奥を塞ぎ、流石に苦しげな声を出す。
 しかし、柄崎は丑嶋の苦しげな声を聞いても動きを止めず、腰を屈ませたまま丸い尻たぶに手を這わせる。弾力のある尻を数度揉み、質量を確かめつつ、尻たぶを左右に
割り開いた。
 「くっ、はっ、えふぁき、ひゃめろ・・・」
 根元まで咥えたまま丑嶋が抗議をした。頭を振って後ろを振り返ると、縁のない眼鏡がずり下がって落ちそうになった。
 柄崎は嫌がおうにも尻から手を離さずにいる。69の体勢でいるので、互い違いの視線では自分の尻が柄崎の顔のどれくらい近くかは丑嶋には分からない。だが、後孔に
吐息が噴きかかっていることから察するに、ほぼ尻に顔を埋められるそうな距離にいるのが感じとれた。
「濡らしますね」
 排泄する為の部位を舐めるのは躊躇うが、自分一人が勝手に突っ込んで勝手に射精するセックスでは意味が無い。丑嶋にも感じてもらいたい。お互いに気持ちがいい思い
をしたい。ただそれだけが願いで、同性とのセックス初心者は覚悟を決め、後孔に唇を付けて舐めはじめた。
 「うぁ、あぁ・・・」
 丑嶋は後ろを弄られるのは初めてではない。だが、流石には舌で愛撫されるのは初めてだ。ただでさえ見られたり触られたりするのが苦手だと言うのに、そんなことをさ
れては羞恥心で暴れてしまうかもしれない。丑嶋は口で言ってもダメならば、腕の一本でも折ってやる覚悟で怒声を上げようと性器を吐きだした。 <> コーヒーを一緒に・・・4 6/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:54:09 ID:wo79uWA20<>  「っ、おぉお、お・・・」
 怒声を上げようとしたが、意に反して漏れたのは紛れもなく快楽の喘ぎ声だった。柄崎の舌が後孔の周りの壁に刻まれた皺の一つ一つに唾液を塗り込めながら動き回ると、
身震いするほどの強烈な快楽が湧き上がってくる。本来は性感なんてろくにない部分ではあるが、後ろは最も感じる部分だと慣らされ、開発されたおかげで、下手をすれば
性器よりも感じやすくなってしまっているかもしれない。
 「おぁ・・・、うっ」
 舐められる度、次々と溢れだす快楽が身体と頭を支配していき、次第に羞恥心は圧倒されていく。
 暫く舌を動かす柄崎だが、やがて舐めるのにも飽きたのか、舌の先端が後孔に少しだけめり込み入口を解そうと動いてくる。入口が濡れると、続いては舌全体が直腸壁を
刺激しながら入ってきた。
 予想もしていなかった侵入に四つん這いになった太ももが震えながら閉じてきて、ゆっくり閉じた太ももは柄崎の顔を挟み込んで止まった。
 「はぁっ、うー・・・」
 気持ち良い。もっとして欲しい。指でされる前戯も気持ち良いが、舌がナメクジのような軟体動物じみた動きで中で動くのが堪らない。指よりも格段に短い舌では内部で
一番敏感な前立腺には届かないが、慣れないムズムズした感じに内部も疼き、舌の動きに合わせて腰が揺れてしまう。
 最早柄崎にフェラチオをする余裕もなくなってきて、頭に浮かぶのは後ろで感じる様に開発した戌亥と、只今舌での愛撫を植え付けてくる柄崎への恨み事だ。何でこの自
分がこんなに翻弄されなければならないのか。俺を誰だと思ってんだ、と低い声で柄崎を脅してやりたくなるが、舌で後孔をほじくられて感じてしまっているのは、柄崎に
は分かりきったことだろう。何故なら、仰向けに寝た柄崎の顔が尻に埋まる位に屈まされているせいで、丑嶋の性器は柄崎の胸のへんにべったりくっ付いているからだ。 <> コーヒーを一緒に・・・4 7/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:54:59 ID:wo79uWA20<>  柄崎のくせに、柄崎ごときが、このうんこ野郎が、と内心でらしくない程子供っぽく毒づく。自分はいつでも冷静沈着で斜に構えていなければならないのに、と悔しくな
る。顔には出さずに器用に心の中だけで動揺する丑嶋を、柄崎はたった舌一つで冷静に丑嶋の性感を揺さぶり、翻弄する。いつだって翻弄するトリックスターは自分の筈な
のに、柄崎は長年望んでいたであろうこのような場面でも全然動揺していないのだろうか。
 「ぉ・・・、あ、あー・・・」
 もう少しで後ろを舐められるだけで射精してしまうかもしれない。それだけは避けないと、と丑嶋は性器が触れている柄崎の胸に腰を押し付けた。性器を刺激する為では
ない。痛いように潰し、少しでも萎えさせる為だ。
 ギュッと押しつけると、丑嶋はハッとした。丑嶋の性器は浮かんだ血管が今にも切れそうに血液を巡回させていて、ビクビクと震えている。そして、性器をくっ付けた柄
崎の胸板からも心臓の鼓動が伝わってくる。鼓動はとても速い。つまり、丑嶋だけでなく、夢中になって丑嶋を攻めているので余裕があるように見えたが、柄崎は緊張と興
奮で胸が張り裂けそうな程になっているということだ。
 柄崎の緊張が分かると、丑嶋の中に新たな火照りが生まれた。余裕なんて互いに無いのだ。互いに欲しいのならば、与えあってしまえば良い。丑嶋は震える自分の体を持
て余しつつも、今にも落ちてしまいそうな眼鏡を掛け直した。
 「ん、ああ」
 大きく口を開る。そして折角塗りこんだ唾液が渇きかけた柄崎の性器を咥えこんだ。
 「あっ、あっ!」
 柄崎は息に詰まり、舌の動きを止めた。せっかく丑嶋が喜んでくれているのに行為を中断したくはない。だから必死に行為を再開しようとしたが、お返し、とばかりに激
しく見舞われる快楽には敵わない。 <> コーヒーを一緒に・・・4 8/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:56:00 ID:wo79uWA20<>  「そんなにしたら、あひっ、出ちまいます・・・!」
 竿が震え、粘っこいカウパーが出初めてしまい、柄崎は素早く腰を引いて丑嶋の口から引き抜こうとした。
 しかし、丑嶋は勢いよく引き抜かれる性器を離すまいと口を閉じた。引き抜く力と、離すまいとする力が摩擦を生む。しかも、急に口を閉じた事で加減が分からず、敏感
で大事な部分に歯を立ててしまった。
 「ぎゃっ、ううっ!!」
 竿の根元から先端まで前歯で擦られ、皮膚が焼けるような痛みが起きる。痛みは激しく、萎えるよりも強い刺激となる。口から抜け切ると、傷ついた竿の部分に外気が当
たり、瞬間だが確かな痛みが襲いかかった。
 「あっ、はあぁ・・・」
 快楽よりも強い決定打を受け、柄崎は射精した。全身が大きな脈動にのたうち、大量の白濁が放出される音まで聞こえた気がした。
 やがて潮が引くように快楽の波は急激に降下していった。
 「はあっ、ふぅっ、ふううっ、うー」
 思いっきり射精して、少し冷静になってしまった柄崎がぐったりとしていると、上に乗っていた丑嶋が体を動かして振り向いた。
 「う、わぁあああ・・・」
 丑嶋の顔を見た柄崎はうめき声をあげた。眼鏡にはべったりと白濁が付着していて、右側のレンズはほとんど覆われて見えなくなっている。口はぽかんと開いて、そこか
ら零れ落ちる粘液はだらしなく下に零れ落ちている。いつもの知的さと冷轍さと凄味は一切ない。まるで安っぽいAVのパッケージのような姿になってしまっている。 <> コーヒーを一緒に・・・4 9/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 21:56:45 ID:wo79uWA20<>  陳腐で使い古された姿だが、あの丑嶋がやるとなると極上の姿になる。つい先程まで波が引いていた柄崎だが、見ているだけで、下に垂れていた性器が手を添えなくても
ヘソに向かってグッと上って行く。
 丑嶋は顔面に白濁を浴びせられたことにショックと怒りを覚えたが、むせかえる様な濃い匂いを顔一杯に浴び、目の前で瞬く間に復活した性器を見ると下半身がジンと熱
くなってしまった。これから起こることに対する期待が猛々しく勃起した性器を見るほど高まる。この長いのが体の奥底の肉を抉り貪るのかと想像すると、理性に縛られて
いる今の状態が馬鹿らしくなってくる。
 最早自分の欲を満たすことを優先しよう。そう決めた丑嶋はほぼ白濁に覆い尽くされてしまった眼鏡を外し、ベッドに尻を突いて座った。尻に付いている唾液がシーツに
ついてベタベタとするが、もうそんなことには構っていられない。濡れるのはいいのだ。ただ、まだ濡れも滑りも足りない。手の平にある柄崎の白濁を自ら後孔に塗りつけ
た。
 準備は整った。柄崎は性器を硬くしながらも、丑嶋の顔面に掛けてしまったことを後悔しているらしい。だが、丑嶋は顔についた白濁を簡単に手ではらい、柄崎に見せつ
けるように徐々に脚を開いていった。
 柄崎の視線はもうすでに局部にしか向けられていない。まさに据え前という状況に誘われてしまう。だが、流石に挿入をするとなると、流石に一線を越えてしまいそうで
臆病な自分がまた顔を覗かせてきた。口で愛撫までしたのだから、男の排泄器官に挿入することが今更嫌なのではない。
 柄崎が望んでいることは、会社の社長としての丑嶋と、人間として敬愛する丑嶋への最大の裏切りにして、弁解の余地が無い大罪だ。肉欲に駆られ、勢いで挿入してしま
えば、今後、社長としての丑嶋に向けられる想いは敬愛の念ではなく、束縛したい程の愛情になってしまう。そうなってしまえば、積み上げてきた上司と部下としての絆は
崩れてしまう。
  <> コーヒーを一緒に・・・4 10/10
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/05(火) 22:01:19 ID:wo79uWA20<> [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
地元では放送されないが実写化を祝して柄崎にご褒美をあげたかったんだぜ。
続きは近々。
貴重なスペースお借りいたしましてありがとうございました。お目汚し失礼致しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 00:21:52 ID:o4SIgn/+O<> >>394
うああああー!
相手が柄崎だとちょっと素直になっちゃう社長萌ぇぇー!
いつもありがとうございます!
ラストスパート楽しみにしてます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 02:07:02 ID:V2cPIXeM0<> >>379
水曜の夜と日曜の夕方に挙動不審になりそうなお話ありがとうございます。
言葉が商売道具のくせに言葉になりきらない雰囲気が好きです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 03:47:40 ID:Wkb+TFix0<> >>358
幸せそうでよかった…!
最後泣けた。
しかし二人の情事はたまらなくエロいです。 <> 兄弟1-4(+おまけ)<>sage<>2010/10/06(水) 10:14:11 ID:STYcvWOD0<> 半生 霜新居で次男末っ子です。
本編のネタを派生させているのでネタバレ大量発生。多少捏造したネタもあるので、心の広い読者をお待ちしています。またオマケがありまして、そっちには三男が出てきます。改行の関係で細切れになってしまいます。悪しからず。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

健二の盗聴テープに、計らずも大号泣していた大洋は、途方に暮れる様にして柱に寄り掛かっていた。
「大洋にぃ?」
「・・・お、おぅ。修一、まだ、起きてたのか・・・」
「うん・・・」
すると、突然2階から修一が降りて来た。
泣いてる姿を見られまい、と大洋は慌てて涙を隠した。
「ねぇ。大洋にぃ」
修一は、大洋の隣に座ると、静かに口を開いた。
「俺さ。本当に、死んでほしくないんだ・・・大洋にぃに」
「まだそんな事言ってんのかよ。俺は、もう決めたんだって」
「だってさ、俺、嫌なんだ・・・大洋にぃがいなくなるなんて・・・」
「今までいなかったんだから、何も変わんねぇだろ?」
「でも・・・、こうしてまた会っちゃうと・・・・嫌なんだよ・・・」
「たいして覚えてもいない兄貴に愛着湧くかねぇ」
あまりにも真剣な面持ちの修一の語る言葉は、大洋の胸に突き刺さった。
湿っぽい考えはやめようと、大洋は必死に修一の言葉を茶化した。
茶化していないと、大洋は自分の涙が止まらなくなりそうで、自分をあまりにも心配する弟を抱き締めてしまいそうで、怖かったからだ。 <> 兄弟2-4(+おまけ)<>sage<>2010/10/06(水) 10:15:36 ID:STYcvWOD0<> 大洋の知る修一は、まだ物心がついたばかりの小さな子供だった。
修一は、いつも「大洋にぃ、大洋にぃ」と大洋の周りをついて周った。
「大洋にぃ、遊んで」
「大洋にぃ、鬼ごっこしようよ」
修一は、大洋が大好きだった。
また大洋も、修一と遊ぶのが好きだった。
「ようし!修一。今日は兄ちゃんが鬼だ!」
「修一に、兄ちゃんが捕まるかなぁ?」
毎日毎日修一と遊んで、時には泥だらけになって怒られたりもした。
でも怒られても、修一は「大洋にぃ、またやろうね」とにこにこ笑っていた。
そんな平凡な毎日だった。

でもある時、自分と大造は兄弟と血が繋がっていない知らされ、大洋は落胆した。
大洋は高校生になり、修一は小学生になろうとしていた。
血の繋がりがなくとも、兄弟は兄弟。そう父も、大造も言っていたが、大洋にはその日から兄弟、あんなに好きだった修一すらも、赤の他人としてしか接する事が出来なくなっていた。
「大洋にぃ、遊んでよ」
「・・・・他の兄ちゃんに遊んでもらえ」
「なんで・・・?」
「兄ちゃん・・・忙しいんだ」
「大洋にぃ!」

そして、ある日。
大洋は家を出た。
書置きも、行き先もつけずに家を出た。
赤の他人しかいないこの家に、戻ってくるつもりはなかった。
修一のことも、忘れようとしていた。 <> 兄弟3-4(+おまけ)<>sage<>2010/10/06(水) 10:23:54 ID:STYcvWOD0<> 「・・・大洋にぃ?」
暫くぼんやりとしていた大洋の顔を、修一が覗き込んだ。
「あ・・・。何だ?」
「考え事?」
「・・・まぁな」
それから20年。修一は大きく成長していた。
20年前の記憶、増してや子供の頃の事なんて覚えていないだろうと思っていた修一は、昔大洋と一緒に遊んだ事を覚えていた。
それが、じわじわと大洋の心を刺激し、決意したはずの心はぐらぐらと揺れていた。
「ねぇ、大洋にぃ・・・」
「何だ?」
「本当に・・・考え直す気は無いの?」
修一は、瞳の端にうっすらと涙を溜めて大洋を見た。
今にもあふれ出しそうな涙に、大洋にも熱い物が込み上げてきた。
「・・・あぁ」
精一杯の返答をすると、大洋は修一から目を逸らした。
その瞬間、堪えていた涙が溢れてしまった。
修一の涙に、溢れ出ている思いに、我慢が出来なかったのだ。
何とかごまかそうとしても、肩が震えてしまいどうしようもなかった。
「大洋にぃ?」
「・・・何でも、ねぇから・・・」
「泣いてるの?」
「何でもねぇって、言ってるだろ・・・」
「大洋にぃ」
「何でもねぇって言ってるだろ!!」
そう言って、大洋は修一を突き飛ばした。
突き飛ばされた修一は椅子にぶつかった。 <> 兄弟4-4(+おまけ)<>sage<>2010/10/06(水) 10:25:06 ID:STYcvWOD0<> 思わず突き飛ばした修一の傍によると、修一は大洋に抱きついた。
突然の出来事にしどろもどろしていると修一の体が震え始めた。
「・・・・泣いてるのか?」
「行かないでよ・・・大洋にぃ」
「修一・・・・」
「お願いだから、死ぬなんて言わないで・・・。俺、大好きな大洋にぃが、死ぬなんて嫌なんだ・・・!」
「でもな、修一・・・」
「大洋にぃだって、本当に死にたくないんでしょ?」
「それは・・・」
「お願いだから・・・死なないで・・・・」
そう言って、修一はさらに涙を流した。
小さな頃から、めったに泣かなかったあの修一が、俺を思ってこんなに涙を流している。
修一の強い思いに揺れ動かされ、大洋は修一の涙をぬぐうと唇に優しくくちづけをした。
「ん・・・っ」
兄からの突然のキスに最初は戸惑っていた修一も、暫くすると大洋をさらに強く抱き締めた。
「・・・・ごめんな、こんな兄貴で」
「いいよ、謝らないで」
「もう寝ろ。俺ももうすぐ寝るから」
「・・・勝手に、出て行かないでね?」
「行くかよ。こんなに警察に囲まれてんだから」
「・・・おやすみ」
「おやすみ」
修一が2階に上がっていくのを見ると、大洋はまたさっきのテープを再生した。
修一が生まれた頃と今、自分たちは何が変わってしまったんだろう。
何が変わって、こんな事になってしまったんだろう。
テープが流れ終わると、大洋はその場で目を閉じ眠った。

おわり <> 兄弟 おまけ<>sage<>2010/10/06(水) 10:27:54 ID:STYcvWOD0<> 一方、2階。
「あれ、健二にぃまだ起きてたの?」
その声に、健二はしていたヘッドホンを外した。
「まぁ、な」
「いつまでも盗聴してないで、早く寝たら」
「あぁ、もう寝るよ」
「おやすみ」
「おやすみ・・・」
健二は、修一が眠ったのを確認すると、大きく息を吐いた。
布団にもぐっても寝付けずにいると修一が下に降りていく音がしていたので、健二は興味本位にリビングの盗聴をしていたのだった。
今までの一連のやり取りを全て聞いていた健二は、頭を抱えた。まさかこんな物が録音出来るとは思ってもいなかったのだ。
思わぬものが録音出来てしまい、健二は苦悩した。2人は確かに元々血は繋がっていない、がしかし。
一応、兄弟だ。それにこんな事公開されたら困るに決まってる。
でも。
これは、何かあったときのお守りに使える・・・・・。

「いやいやいや」

何のお守りだ。
兄弟が切ないキスを交わしているテープを取っておいてどうする。
修一も、大洋も困るだけの代物だ。
聞き返すなんて事もないだろう。
あぁ・・・・。

「どうしよう・・・・」

健二の苦悩は朝まで続いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 13:26:46 ID:tTgoRL5J0<> 現在442.3KB

長編投下予定の方は残り容量にご注意を <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 13:28:33 ID:BvS+gpwj0<> いくら長編だって50KBも一気に埋まらないよ、まだ大丈夫 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 17:50:02 ID:tTgoRL5J0<> あー、ここの注意は480KB過ぎで大丈夫だったっけか
別の所と間違ったわゴメン <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 19:36:08 ID:K2tM0690O<> >>407
おまけまで萌えましたdです!
下洗い兄弟読めて至福
次回作もお待ちしてますー <> コーヒーを一緒に・・・5 1/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:24:25 ID:4Y4WZqSX0<>  闇金ウシジマくんで戌亥×社長前提の柄崎×社長です。小悪魔(魔王様)誘い受け、媚薬物でエロありです。ツンデレ気味。>>403の続きになります。レスして頂いた方、
ありがとうございました。時間を開けてはおりますが、2日続けての投下でご迷惑おかけします。一つの話なので棚60内で収めきりたかったのです・・・。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 行きたいのに行けない。戻りたいのに戻れない。柄崎が指さえ動かせずにいると、焦れて仕方がない丑嶋は膝に纏まっていた下着を脱ぎ、脚を開いたままで柄崎を手招い
た。
 「来いよ。ヤッて良いって言ってんだぞ。そんな硬くしといてヤル気がねェとは言わせねェぞ」
 躊躇を張り倒すような強烈で強引な誘い文句が、胸を締め付け心を掻き乱す。嬉しくて涙が出そうだ。最初は敵対するクラスメイトとして出会い、程なくして降りかかっ
てきた脅威を押しのけてくれた心強い友人となり、やがて命に代えても守るべき人となった丑嶋。その愛おしい相手に求められていること、性の快楽を享受し合う仲になれ
ること、何より男として認められることに無上の喜びが湧いてきた。
 「社長!」
 顔を真っ赤にした柄崎が丑嶋に必死に抱きつき、体を重ねてきた。
 「んっ」
 突進をくらわされた丑嶋は少し苦しそうにしたが、柄崎が伸しかかってくるので動けない。
 「入れます、入れますから暴れないで下さい」
 暴れているのは柄崎の方だ。丑嶋はすでに受け入れようと身を開いているのに、闇雲に性器の先端を押し当ててくるので滑って上手に入らないのだ。堪らないのは丑嶋の
方だ。舌でえぐられ、後ろだけで射精しそうなほど昂らされた部分を亀頭が擦りあげるだけで入ってこないのだから。
 「柄崎、落ち着け」
 辛抱出来なくなった丑嶋は柄崎の性器の根元を両手で掴んだ。 <> コーヒーを一緒に・・・5 2/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:25:36 ID:4Y4WZqSX0<>  「うひゃっ!」
 先端を後孔に擦りつけ、根元を痛くない程度に握られ、二つの異なる刺激に耐えかねた柄崎は何とも間抜けな声を出した。丑嶋は急所を刺激されて柄崎が固まったのを好
機とし、股関節が痛むほど股を開く。そして、一つ深呼吸をすると、柄崎の性器の先端を後孔に押し付けたまま自ら腰を押し付ける。
 「あ・・・あ・・・」
 ズルッという確かな手応えがあった。猛々しい性器が後孔を割り、直腸壁を擦りながら一気に奥まで侵入してきた。
 「ひぃ、すげぇ狭い・・・。ふっ、は、は・・・、あああ・・・」
 慣れた丑嶋でさえ、柄崎の長竿を全て体内に収めるのには痛みと大きな喜びを感じた。対して柄崎は女性器なら兎も角、本来は排泄する為に出す機能しか備わっていない
器官に初めて押し込んだのだから、素晴らしい狭さと熱さをもつ内部には短く喘ぐだけしか出来ない。
 「うわぁ、こんなに狭いのか・・・。うぅっ、う・・・、ふーっ」
 途切れ途切れの喘ぎ声が、初めて体験した底知れない快楽を物語っていた。
 「ふ、ふ・・・」
 やがて挿入の大きな衝撃が引くと、初めて知った快楽に挿入だけで夢中になってしまった柄崎は丑嶋の逞しい肉体を抱きしめながら夢中で腰を振りだした。
 「うああっ、え、ざき・・・っ」
 激しすぎる動きに丑嶋の頭がグラグラと揺れる。長い竿はつねに前立腺を捕らえ、雁首によって内部で転がされる。限度を超えた快楽に気が遠くなりそうになるが、慣れ
ているくせに、いつまで経っても繊細な直腸壁を突き破らんばかりの衝撃が正気に戻す。 <> コーヒーを一緒に・・・5 3/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:26:33 ID:4Y4WZqSX0<>  「ふ、んっ、んっ、んっ」
 予想以上の激しさに丑嶋はすぐに息も絶え絶えになり、切なそうな声を出すだけになってしまう。体力、スタミナ、精神力、全て人並み以上に強いが、テクニックなどを
超えた柄崎の想いが丑嶋の体力と思考を低下させる。いっそ気が失えたらどれだけ楽だろうか。
 そんな丑嶋の様子にはまるで構わず、むしろ一気に叩き潰そうと、奥を性器の雁首で掘削するように腰を回しながら抽送を速める。
 「ぐっ、おお・・・、出るっ、もう出る。柄崎、出る、出るぅ」
 一度射精した柄崎は気持ちが良いながらも丑嶋より余裕がある。だが、丑嶋が射精するならば一緒にいきたいではないか。
 柄崎は全身から汗を噴き出す丑嶋の逞しい脚を抱え、大きな体を二つ折りにし、更に一突き一突きに体重を加えて奥を痛打し始めた。
 「おおっ!うぉああっ、柄崎、柄崎、んんっ、イク・・・、・・・んーっ!」
 盛大な突き上げに感極まり、丑嶋は自らの手で射精をし易いように性器を扱く。
 「うっ、うっ、あ・・・、イクっ!」
 丑嶋の口からあられもない声が一際高く上がった。それとともに内部は性器を食いちぎらんばかりの収縮がおき、余裕があった筈の柄崎もいよいよ限界がきた。
 「ふううっ!しゃ・・・・・・、う、丑嶋、俺もイク!丑嶋の中に出していいか?」
 頭の中には閃光が走り、電流が背筋を駆け抜けていく。もう敬愛の籠った役職名で呼ぶのも忘れ、懐かしい呼び方で愛しさだけ込めて呼ぶ。
 「あぁ、あ・・・、出すぞ!」
 奥に雁首を押しつけたまま、柄崎は堪りきったほとばしりを爆発させた。
 「ん、んおおっ!」
 「ああっ、おぉっ!柄崎、奥が熱いっ!」 <> コーヒーを一緒に・・・5 4/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:27:41 ID:4Y4WZqSX0<>  丑嶋も柄崎に少し遅れて射精した。こちらは性器ではなく後孔の刺激のみなので、古くなった蛇口から垂れさせるような小さな勢いだった。
 「あ、あっ、丑嶋、出た、出しちゃった、丑嶋の中に・・・」
 熱汁を噴き出す長竿をうねる直腸壁が締め付け、更に絞りつくそうとする。柄崎は背中をしならせながら一滴残らずに内部に射精した。
 体の奥で熱い飛沫を受け、身体全体で柄崎の体温を感じ、丑嶋は暫く体を痙攣させていた。



 倒れそうな位に体力を消耗した激しいセックスの後、柄崎はどういう顔をして丑嶋を見れば良いのか分からなく、枕に顔を埋めて眠いふりをしている。本当はいまだ興奮
冷めやらぬ状態なので、聴覚を研ぎ澄まして丑嶋の動向を窺っているのだ。
 姿を見ているのではないのでいまいち分かり難いが、丑嶋は暫く荒い息を隣でついていた。そして徐々に息が収まると、起ちあがってどこかに歩いて行ってしまった。
 足音を聞く限り、部屋内の歩数ではない。どこに行ってしまったのだろうか。
 気になるが、柄崎はまだ顔を上げられないでいる。後悔と満足、冷静になった頭には正反対の感情が渦巻いていた。
 やがて、遠くから微かに水を流す音と、丑嶋がうがいをしている音と、何をしているかは分からないが水をバシャバシャとかき混ぜるような音が聞こえた。察するに、丑
嶋は恐らく洗面所へ行ったのだろう。そして柄崎のカウパーまみれであろう口をゆすぎ、白濁をぶっかけられた顔を洗っているのだろう。
 柄崎は丑嶋がまだ洗面所の方にいるのを音で確認し、恐る恐る顔を上げた。だが、すぐにまた目の前にある物を見て頭を抱えて枕に突っ伏した。
 「あああああ・・・・・・。やっちまったぁ」
 目の前には、乾いた白濁でレンズの大半がどんより曇ったリムレスの眼鏡が置いてあった。 <> コーヒーを一緒に・・・5 5/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:28:56 ID:4Y4WZqSX0<>  考えてみれば、興奮していたとはいえ随分と無茶をしてしまったものだ。丑嶋の許可は貰ったし、セックスしたことは事実だからもうどうしようもないとしても、我なが
ら一度目の射精は景気よくぶっぱなしたものだ。気持ち良かったのだから仕方がないと言えば仕方がない。
 何故こうなってしまったのだろうか。勿論、長年想っていた丑嶋とこういう関係を持てたのは嬉しい。
 けれど、あくまで嬉しいのは柄崎の感情で、丑嶋がどういう魂胆で誘って受け入れてくれたのかが分からない。
 第一、この事態の発端になった戌亥宅へのお迎えだって、タクシーでも良かったではないか。
 それに、あの抜け目ない戌亥がおいそれと深夜に柄崎を呼び出し、送ってこさせたのかも分からない。戌亥とて、丑嶋を誰かに取られるのは嫌だろうに。それは戌亥と同
じ感情を丑嶋に対して持ち続けていた柄崎なら分かる。
 柄崎なら送り狼になる勇気もないだろうから安心と思ったのだろうか。だがそれならば、根本的に丑嶋に対して忠誠心しか持っていない加納でも良かった筈だ。
 分からないことだらけで、枕に顔を押しつけたまま頭を悩ました。
 「柄崎、泊まっていくか?」
 いつのまにか戻ってきたのか、すぐ隣から丑嶋が声を掛けてきた。
 「うわっ!うし・・・・・・、社長・・・」
 柄崎は驚いて飛び起きた。丑嶋は柄崎の反応には興味が無いらしく、ベッドに座って濡らしたタオルでメガネの汚れを拭いている。
 「あ、あのー・・・」
 何か言わねば、と気ばかり焦る。 <> コーヒーを一緒に・・・5 6/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:29:44 ID:4Y4WZqSX0<>  謝るべきか。謝っても仕方がない。セックスは丑嶋が望んだことでもある訳だし。では、気の利いた口説き文句でも言うべきか。この顔でそんなこと言ってもコントにし
かならないし、恐らく「あっそ」の一言でスルーされるに決まっている。
 丑嶋は眼鏡を拭き終ると、目頭を一度押えて眼鏡をかけた。見えにくいせいで細かった眼はいつもの眼光鋭い目に戻った。その目で見られ、柄崎は一瞬で委縮して視線を
ずらしてしまう。
 「何だ?」
 委縮して黙ってしまった柄崎に丑嶋は続きを促す。だが、柄崎は何を言うか決めていたのではないので、当然ながら言葉に詰まってしまう。
 「その、あの、俺、あの・・・」
 しどろもどろになっていると、横目に映る丑嶋の表情が険しく曇っていく。柄崎は更に慌てる。何か言わないと、何か言わないと、と頭が真っ白になってきた。
 「な・・・何で戌亥は俺を迎えに来させたんですか?」
 口を付いて出た言葉は謝罪の言葉でも口説き文句でもなく、ただ単なる疑問だった。結局、この場に相応しい言葉が思いつかなかったのだ。
 「迎えに、って・・・。ああ、戌亥ところからの帰りか」
 丑嶋はやや拍子抜けしたように険しげに上げた眉を下げる。
 「いや、別に戌亥が勝手にお前に電話したんじゃなくってな、俺がお前にしてくれって言ったんだ」
 意外な答えが返ってきた。てっきり戌亥が柄崎に目星をつけたのかと思っていた。だが、丑嶋がわざわざ柄崎を指名したと言うなら、話は全く変わってくる。柄崎に丑嶋
が来て欲しかった、ということになるではないか。
 「うん・・・、まぁ、お前ならきっとこんな時間でも来てくれると思ってな」
 「え?」 <> コーヒーを一緒に・・・5 7/7
◆CPu0lwnplk <>sage<>2010/10/06(水) 21:31:43 ID:4Y4WZqSX0<>  柄崎は丑嶋の言葉を反芻する。「お前なら」「きっと」なんて、先程の言葉と合わせれば、ますます柄崎だからこそ、と言うことだろうか。信頼してくれているのだろう
か。柄崎の恋心とは違うかもしれないが、もしかしたらいつか丑嶋も、と期待していいのだろうか。
 勘違いをしてしまいそうな程嬉しい言葉に丑嶋を見ると、丑嶋はそっぽを向いていた。だが、座っている位置は遠のいておらず、「勘違いするな」という牽制はなさそう
だ。
 少し時間はかかるかもしれない。だが、そんなの中学時代からなのだから、今更少し待ったり、なお好かれる様に頑張る時間なんて楽しさしかない。柄崎は嬉しさに顔を
綻ばせ、丑嶋の傍に少しだけ近づいた。
 「泊まっていってもいいんですか?」
 「・・・おう」
 ぶっきらぼうに返事をすると、丑嶋は柄崎に背中を向けて横になった。
 「そうですか。じゃあ、お言葉に甘えます」
 もう少し話していたい。でももう夜は遅い。早く寝なければ明日の仕事に差し支える。それに、恐らく長期戦になりそうな一進一退のこの関係に向けても、ゆっくり英気
を養い挑んでいかねば。
 柄崎も横になり、目を閉じる。腕枕をして寝る、とはいかないが、近くにいれば意外に熱いほど暖かかった。

 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 むっつりへタレ×ツンクール90%素直デレ10%の魔王様でした。結局下の名前は呼べなかったんだぜ。
 貴重なスペースお借りいたしましてありがとうございました。  <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 21:59:25 ID:pAMSADOFO<> >>416
うぁああぁぁ
リアルタイムで見れて感激です!!

ヘタレだけど愛情たっぷりの柄崎とツンデレなエロ社長が最高でした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/06(水) 22:13:04 ID:o4SIgn/+O<> >>416
うああありがとうございます!ありがとう!!
まさか生きてるうちに柄丑エロを読めるとは思ってもみませんでした!
素直な社長と枕に突っ伏してアワアワしてる柄崎がかわいすぎます…!
このカプ最高に好きなので、読んでいる間本当に嬉しかったです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/07(木) 13:27:44 ID:eWfPtIHAO<> >>416 社長ってばなんたるツンツンデレなんですか!
以前の戌亥×社長では社長完全着衣でキスもさせてくれなかったと言うのに…
柄崎にはもったいないごほうびですね
あと、以前の感想に成人滑皮×社長と書きましたが
反応ありがとうございました
期待してますv <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/07(木) 21:06:26 ID:wvw162y8O<> いつの間にかまとめサイトの
シリーズものインデックスがインデクスになってる
特に理由がないなら戻して欲しいんだけど…なんか変 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/08(金) 00:30:39 ID:pzVajoK7O<> >>416
素晴らしいの一言ですGJ!
媚薬盛られたとは言え、戌亥を相手にした後で柄崎とも致しちゃう社長はさすがスポーツクラブに通ってる体力は伊達じゃないですねw
柄崎の長年の想いが成就してめでたいですが、意外と柄崎に対してだけ甘えるとはいえ社長は一筋縄では行かないし、この先も楽しみです。
本当にいつも有難うございます! <> 十3人の■ 野人×甥<>sage<>2010/10/08(金) 23:11:26 ID:M9oV7vBj0<> オリジナルとしてもいける感じで。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 十3人の■ 野人×甥 1/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:12:33 ID:M9oV7vBj0<> 山の民、と呼ばれるその男の耳が、目当ての獣とは違う音を捉えた。
人間の足音だ。
山男は少し考え、獲物を諦めて足音の向かう先へと躍り出た。

不意打ちを食らった足音の主は、目を大きく見開き山男を見た。
足音の主は小柄な男だった。
乱れ髪を無造作に結わえ薄汚れた身なりながら、どこか凛とした雰囲気を持つ男。
山男もまた、大きく目を見開いた。
呼び掛けようと口を開きかけた時、弓を引き絞る音を聞いた。
間髪入れず、矢音。
枝葉を掠めながら迫り勢いを失った矢は、木に弾かれて落ちた。
男は一瞬背後へ視線をやり、向き直ると山男の脇を駆け抜けようとした。
山男は男の腕を掴んでそれを留める。
口角を上げながら顎をしゃくり、自ら先に立って駆け出す。
男は無言でそれに続いた。
<> 十3人の■ 野人×甥 2/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:13:32 ID:M9oV7vBj0<> 山男が足を止める。
男も立ち止まり、肩で息をしている。
もう足音は聞こえなくなっていた。
顔見知りだったのだろう、山男が男の名を呼んだ。
聞こえていないはずはない、しかし男は応えなかった。
もう一度呼び掛ける。
男は応えない。
「これだから侍ってやつは」
山男が毒突く。
「もうその名は捨てた」
呼吸を整え終えた男が言った。
「捨てなければ、」
腰の刀を一瞥する。
「生きられなかった」
柄を握り締めていた手を緩め、離す。
山男は鼻を鳴らして見せた。 <> 十3人の■ 野人×甥 3/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:14:23 ID:M9oV7vBj0<> ねぐらへ案内してやる、と山男は言った。
男を導き、着いたところは岩屋だった。
ムシロを敷いて寝床が作ってある。
「居心地が良さそうだな」
少しの皮肉を含めて言ったであろう男の言葉に、山男は自慢げな笑みで応える。

「お前が欲しがってたあの女は」
男が問う。
途端に、山男が拗ねたような表情を浮かべた。
「どうした?」
「逃げた」
ぽつりと、山男が呟いた。
男は近付き、先を促す。
「せっかくカシラから奪って手に入れたってのに、あいつ自分で逃げやがった」
唇を尖らせて言う山男を見、男は今日初めて笑みを浮かべた。
<> 十3人の■ 野人×甥 4/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:14:58 ID:M9oV7vBj0<> 炙った肉と野草の汁物で腹を満たした後、男は早々に体を横たえた。
疲れが男の瞼を重くする。
山男はつまらなそうな表情を浮かべた後、おもむろに動いた。
男の枕元へにじり寄り、見下ろす。
手を伸ばして男の髪を束ねている紐を引き、解く。
そして男の髪へ指を差し入れると、無造作に掻き乱した。
男の腕が持ち上がり、その手を捕らえる。
開かれた目が山男を咎めている。
構わず、握られたままの手で今度は男の顎を掴んだ。
真上から見下ろし言う。
「でけぇ目だ。ちょっとあいつに似てる」
男は真っ直ぐ見つめ返す。
「俺が欲しいか」
山男は瞠目し、それから顔を綻ばせた。
「欲しい」
男の手が、ムシロの上へぱたりと落ちた。 <> 十3人の■ 野人×甥 5/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:15:58 ID:M9oV7vBj0<> 苦しげに息を詰める音と、荒々しく吐き立てる音が続く。
吐き付けた唾を菊に塗り込められ、指で暴かれる間も、押し入られた時も、男は声一つ上げなかった。

眉根を寄せ、ムシロに爪を立てて耐えている。
しかしやがて、男の腕が動いた。
辛うじて手の届く範囲に、男の刀が転がっている。
男の指がそれに這い寄る。
顔を傾け、目でも追う。
山男が気付き、男の顎を掴んで上向ける。
「俺を斬るのか?」
「違う」
音より息の方が多い声で、男は即座に吐き捨てる。
山男は、投げ出されている男の手を強く握り締めた。
男は抗わなかった。
<> 十3人の■ 野人×甥 6/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:16:45 ID:M9oV7vBj0<>
重怠い体を水で清め、そのまま岩に身を預ける。
軽快な足音が近付いてきて、男の傍に降り立った。
男に笑みを見せる、その口の端から鳥の足が飛び出ている。
男の視線をどう取り違えたのか、山男はそれを咥えたまま不明瞭な声で、お前も食うかと問う。
男が断ると、山男はその場にしゃがみ、清流へ鳥の足を吐き落とした。
鳥の足は流れに乗り、やがて見えなくなった。
「名は捨てたのに、ソレは持ってんのな」
男が声の方へ視線を戻す。
山男は男の傍らを指差していた。
「こいつは、」
鞘に納まった刀が、そこに置かれている。
「身を守る為のただの道具だ」 <> 十3人の■ 野人×甥 7/7<>sage<>2010/10/08(金) 23:17:31 ID:M9oV7vBj0<> 山男が刀に手を伸ばし、触れた。
男は止めない。
持ち上げて鞘から抜く。
顔が映り込むほど美しく砥がれた刀身が現れた。
山男は男を見た。
いつの間にか目を閉じている。
眠るつもりらしい。
少し逡巡した後、山男は抜き身の刀を持ったまま座り直した。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/09(土) 20:02:40 ID:LIqejTyt0<> >428
GJ!
こんなに早く■のお話をいただけるとは。
殿がらみも読みたいです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/09(土) 22:45:30 ID:gr5J37gYO<> >>428
GJ!
名前出さないところがなんとも憎いです。
捨てられたワンコ同士の傷の舐め合いのような虚無感がありつつ、結局は似た者同士の得難い絆というか…、上手く言えませんがとても色っぽかったです。
更に野人×甥っ子が好きになりました。ありがとうございました! <> そばにいる 1/4<>sage<>2010/10/10(日) 00:06:16 ID:9WUJkacU0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
朝銅鑼金失ッパン 子煩悩なオヤジと生臭坊主。オノミチ弁はさっぱりわかりません!

「じゃあ親父お願いしてもいいですか?」
人のざわめきが遠く聞こえる控室で長男金欠弥にそう言われ、龍円は気安く「おう」と
返事を返していた。
「すいません、こんな早くから酔い潰れてしまって…」
「しょうがないじゃろ。今日は朝からずっと暴走しとったからのぉ。」
「はぁ……」
「しかしまぁ、船の進水式の挨拶で荒波に揉まれて座礁だの心配連呼だの、志乃宮が
慌てふためいてたのが面白かったな。」
「いや、もう志乃宮のおじさんには申し訳なくてっ。」
「でもおまえ、止めなかったな。」
「えっ?」
「携帯、アカリに聞かせてやっていたのか。」
見透かすように言う。それに金欠弥は一瞬息をのむような表情を見せたが、それでもすぐに
素直に首を縦に振った。
それに龍円は和やかに笑う。
「おまえにとっても大事な妹の門出だったのに、今日はよう務めたな。」
「俺は、仕事ですから。」
しっかりと生真面目に、そう言う金欠也に龍円は尚も笑う。そして、
「なら、ここはいいからもう一仕事して来い。打ち上げでいい気分になってる今なら
騙して契約取りやすい客も多いかもしれんぞ。」
「騙してって、そんな事はしませんけど、でも……いいですか?」
「おう、しっかり営業行って来い。」
地元信用金庫に勤める真面目を絵に描いたような長男坊が、そんな言葉に背を押される様に
もう一度頭を下げて部屋を出ていく。
それをにこやかに手を振りながら見送り、しかし扉が閉まった途端、龍円はその笑みを止め
どこか冷めた目を横斜め下に落とした。
隣りにはソファがあった。その上には完全に酔い潰れた大の大人の姿があった。それに向け一言。
「このダメ親父が。」
きっぱり言い捨てる、それは金欠弥の父であり自分の幼馴染である邑上金定に対しての言葉だった。 <> そばにいる 2/4<>sage<>2010/10/10(日) 00:07:34 ID:9WUJkacU0<> 今日は特別な日だった。
金定が手掛けた船の進水式。
金定の末娘のアカリが故郷を離れる日。
そしてそのアカリは彼にとって実の娘では無い養女で、そんな彼女が就職の為向かった大阪には
彼女の唯一の肉親である祖母がいるらしい。
「あらためてまとめてみると結構壮絶じゃのう。」
近くにあったパイプ椅子を引き寄せ腰を下ろしながら、龍円は一人嘯いてみる。
金定の幼馴染でありこの町の寺の住職であるこの身は、その辺りの事情には昔から深く絡んでいる。
だからこそ冷静に思う。
「まあ、いずれはこういう日が来たんじゃろうがの。」
「養女かどうかなど、戸籍を見れば一発でわかるし。」
「それでも、」
このバカはそんな日が来るなんて思いもしなかったのだろう。
だから覚悟も気構えも無かった。
それゆえのこの有様だ。
「で、公の進水式で自分の子供の名前由来は語り始めるわ。しかもそれの縁起が悪すぎるわ。
息子の名前の一字が金を欠くに金を失うっておまえネーミングセンス悪すぎだ。
金欠弥が可哀想じゃったぞ。本人がまた真面目に良く出来てるから尚更憐れが沸く。」
暴走して娘への想いを演説し続ける父親の声を携帯を通して、旅立つ妹に繋げてやっていた
長男の姿を思い出し、龍円はこの時ふっと口の端を歪める。
美人の嫁に出来た長男、やんちゃな次男。そして可愛い末娘。
「おまえは幸せ者じゃろう。だから誰が同情などしてやるものか。」
こっちは誰かさんのせいでいまだ独り身じゃと言うのに。
そう思った瞬間、少し前その事で2人言い争いをした事をふと思い出す。
遠い遠い昔の事。独り身なのは彼の嫁になった女性を取られたからだと嘯く自分と、それを信じ、
フラレたからだと言い方を変えて思い込んでいる彼。
その内実は実は少々違うのだが、しかしそれを直すつもりも教えてやるつもりも自分には無い。
だって、それは……面白いから。
「にしても、怖い顔は昔から変わらんのぉ。」
酔い潰れ、ひっくり返っている男の顔をマジマジと見つめながらひっそりと呟いてみる。
「その上感情過多で、それでいて意外と涙脆くて、暑苦しい。」
それでもやっぱり見ていると面白いから、壊せないのだ。自分はこの関係を。 <> そばにいる 3/4<>sage<>2010/10/10(日) 00:08:58 ID:9WUJkacU0<> と、その時、ソファの上の体が不意に身じろぐ気配があった。
「うう…ん…」
呻きに似た声。それに龍円はサラリと声をかけてやる。
「目、覚めたか。」
「う…ん…ここは…?」
「控室だ。おまえ打ち上げ会場で飲みすぎて危なかったから、俺と金欠弥でここまで運んだんだ。」
「金欠弥…」
「あの子は会場に戻ったよ。だからおまえのお守りは今は俺だけ。」
「…おまえは大丈夫…なんか?」
「何が?」
「酒…」
「おまえみたいな無茶な飲み方はしないよ。それに酒が弱くてこの仕事が務まるか。」
「この生臭坊主…」
「減らず口うるさいよ。」
言い合いながらもその呂律がヨレヨレで、それに思わず笑ってしまいながら龍円は座っていた椅子から
立ち上がる。そして、
「水飲むか?」
「…ああ、」
弱々しい声を聞きながら部屋に置いてあったペットボトルの水を紙コップに注いでやろうとすれば、
そんな龍円の背中に金定の声は尚も届き続けた。
「……行ってしまったな…」
主語は無い。それでも何を言いたいかはわかるからそのまま返事を返す。
「ああ。」
「大丈夫じゃろうか。」
「この時間なら新幹線に乗っている最中じゃろう。新幹線が脱線でもしとらん限り無事だ。」
「おまえはなぁっ、俺は真剣に!」
「真剣になんだ?まだ諦めがつかんのか?」
「そんな事っ」
「ん?」
「つく訳ないじゃろう!」 <> そばにいる 4/4<>sage<>2010/10/10(日) 00:10:27 ID:9WUJkacU0<> 本気で往生際が悪すぎる。それに思わず声を上げて笑ってしまいながら龍円は踵を返すと、ソファに
横になる金定に水を差し出した。
「おまえにそれだけ愛されて、アカリは幸せもんじゃのう。」
「娘を愛して何が悪い。」
「何も悪くはないさ。しかしそんなに手元に置いておきたかったか。」
「ああ、置いておきたかった!」
完全に開き直っている、そんな男のキレ方に尚もクスクス笑いながら龍円はふと思いついた事を
口にしてみる。
「アカリは無理でも俺はずっとここにいるぞ。」
「……はぁ?」
「残念ながら、お・る・ぞ。」
酒のせいもあってか上手く頭が回っていないような金定がパチクリと目を瞬かせてくる。
しかし顔が怖いから全然可愛くない。
そんな事を思いながら、龍円はこの時いつまでも一人笑い続けた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
オヤジかわいいよオヤジ。坊主もエロいよ坊主w
来週からの登場人物も紹介見てるとなんだかクセ者揃いだよ、朝銅鑼w
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/10(日) 00:28:21 ID:gDvBY0uCO<> >>411
ヶ゙ヶ゙ヶ゙夫妻が好き過ぎて今の朝銅鑼見てなかったんだが
今朝たまたま見て主人公の父親が気になったところだった
クセ者スキーなので来週からちゃんと見るよ!ありがとう! <> 442<>sage<>2010/10/10(日) 00:30:24 ID:gDvBY0uCO<> >>441の間違いでしたorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/10(日) 07:24:26 ID:rPPIfpz30<> >>438
オサーンいいよーGJ!
長男受けも読みたいです <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/10(日) 11:16:20 ID:5hOInSb/0<> >>438
うおおおおおGJ!
坊主好きだ <> 十3人の■ 野人×甥 (続)<>sage<>2010/10/13(水) 18:57:33 ID:H2HzhiaC0<> >>428 の続き的な。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 十3人の■ 野人×甥 (続) 1/4<>sage<>2010/10/13(水) 18:58:15 ID:H2HzhiaC0<> 男は右手で枝を掴み、刺さった岩魚を食している。
左手首は、岩屋の中へと這う木の根に括り付けられている。
それを施した張本人である山男もまた、枝に刺さった岩魚を食らっていた。
食べ終えた枝を火の中に投げ入れた後、男は言った。
「こいつを解け」
「嫌だね」
既に幾度となく繰り返された問答。

山男がねぐらを離れた隙に、男は山を下った。
数刻歩いた頃だろうか、不意に聞こえた草を分ける音に、男は身を硬くする。
刀を掴み、柄に指を滑らせたところで、予想よりずっと近い場所から山男が姿を現した。
思わず息を呑んだ男とは対照的に、山男は飄々とした態度で言ってのけた。
「どこ行く気だよ?」
<> 十3人の■ 野人×甥 (続) 2/4<>sage<>2010/10/13(水) 18:58:53 ID:H2HzhiaC0<> まだ下るのは危険だと山男は言う。
構わぬと男は言う。
その結果がこれだった。
男は諦めたのかそれ以上言い募りはせず、不自由な体勢に何とか折り合いをつけて横たわった。
少し遅れて食い終えた山男は、男のもとへとにじり寄る。
男の左手首を掴んでまじまじと見つめた。
散々動かした為、男の手首は縄で擦れ血が滲んでいる。
山男はその血を舐めた。
それまで好きに触れさせていた男が、ぴくりと身じろぐ。
構わず、山男は滲み出てくるその血を幾度も舐め取る。
唾液と混ざって滴るその薄赤い雫を啜る。
耐え兼ねた男が、震える息を吐いた。
<> 十3人の■ 野人×甥 (続) 3/4<>sage<>2010/10/13(水) 19:00:11 ID:H2HzhiaC0<>
「あれだけの、戦いした割りにゃ、背中にあんまり、傷ねぇな」
男を背ろから攻めながら、山男が言う。
「叔父御が…ッ、護ってくれた…」
岩肌に縋る男の手に力が入り、指を傷付けていく。
「あ、止せって」
山男は動きを止め、その手を引き剥がした。
男は取られた手を払い、また岩肌へ置く。
「お前までしななくて、よかった」
感情の籠もらぬ、言った本人さえ意識していないのかと思えるほど抑揚の無い声で、男がぽつりと呟いた。

<> 十3人の■ 野人×甥 (続) 4/4<>sage<>2010/10/13(水) 19:00:43 ID:H2HzhiaC0<> 「山を降りてどこ行く気だ?メリケンか?」
山男が問う。
男は解放された手首に、裂いた布を巻き付けている。
「メリケンには行かん」
男が答えると、山男は眉を顰めた。
「じゃぁ何の為に山を降りるんだよ」
男は一つ息を吐き、それから言った。
「市井に交わり、天下の行く末を見届ける」
「市井って、お前っ、だから追われて、」
山男は大袈裟な仕草で何か訴えようとし、結局止めて両腕を下ろす。
「…それ、面白ぇのか?」
「面白ぇか否かは、今わの際に悟るんだろうさ」
男が薄く笑みを浮かべた。
山男は頭を掻き小さく唸り、そして顔を上げる。
男を見た。
「俺も行く」 <> 十3人の■ 野人×甥 (続)<>sage<>2010/10/13(水) 19:04:24 ID:H2HzhiaC0<>
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/13(水) 23:55:18 ID:1ck9jbn7O<> 乙
野人×甥はツン同士な2人な話ならよく見るけど
程よく素直な2人って新鮮かもしれん <> 零/の軌跡(主人公×兄貴分)<>sage<>2010/10/14(木) 02:31:28 ID:tY3XGcag0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

夢の中は常に赤く染まっていた。
片手にライフルを、もう片手には適当に拾った長物を持ち、ランディはいつも駆けていた。
胸の悪くなりそうな鉄錆の香り、人間や家畜の息のあるうちの焼かれる匂い。
付き従う外道たち、ならばその先頭に立つ自分は何なのだろう。
彼を苛むその疑問はだが『戦場の叫び』とともにいつしか消えていくのだ。
「……ディ…」
暖かい。
「…ンディ…」
それはランディの罪を象徴するような戦場で燃える炎とは違い、陽だまりの中にいるような、生きている暖かさだ。
無意識にそのぬくもりに擦り寄ってみれば、赤い夢は遥か彼方へと遠ざかった、そんな気分がした。
「ランディ」
穏やかで誠実そうな声が呼ぶのはあの呪われた名前ではない。それがうれしくて、ランディはへらりと笑った。
声に応えようとも思ったが、このぬくもりと声に包まれてまだ少しまどろんでいたかった。
「…仕方ないなあ」
閉じた視界の中、何かが近づくのを感じたが、避けようとは思わなかった。
これは、絶対に自分に危害を加えない、そんあ確信があったからだ。
「ん…」
汗で張り付いた前髪を少し皮膚の硬くなった手がかきあげ、あらわになった額にやわらかいものがそっと触れる。
「くすぐってえ…」
くすくすと笑い声をあげるランディにはかまわず、そのやわらかいものは額からゆっくりと下りていき、鼻の頭を軽く噛む。
嫌がって首を振ろうとしたが、先刻前髪をかきあげてくれた手がしっかりとランディの顔を押さえつけ、叶わない。
「なにすんだ…ん…う…」
くちびるをやわらかいものが覆い隠し、ぬめったものがランディのくちびる割って侵入してくる。
ランディが今までくちびるを重ねた相手と比べれば拙いにもほどがあるが、ぎこちなく舌を絡めて吸うだけの動きに不思議と体が昂ぶっている。
寝ぼけ半分、今のくちづけが半分、脱力しきったランディのくちびるを解放して、彼は笑った。
<> 零/の軌跡(主人公×兄貴分)2<>sage<>2010/10/14(木) 02:32:35 ID:tY3XGcag0<> 「おはよう、ランディ」
朝の挨拶とはかくあるべし、と教科書にでも載せたくなるような爽やかな笑顔と声でロイドは言った。
おはよう、と自分も返そうとして、だがもつれた舌はうまく言葉をつむぐことは出来なかった。
朝日に照らされたロイドの一糸まとわぬ鍛えられ、だが幼さをどこかに残した体のあちらこちらに残る赤い鬱血痕にやっと今の状況を理解した。
昨夜、部屋に遊びにきた彼と酒を飲んで、馬鹿みたいな話をして散々笑って笑わせられて、そして。
体格ても格闘術でも勝るという確信はあった。だから、これは、この腰を襲う倦怠感と鈍痛と枯れた喉は、すべて自分自身が望んだことなのだろう。
上から圧し掛かられて、酒に呑まれているというにはあまりにも真っ直ぐすぎる視線に抗うことなど出来なかった。
「…ティオすけいわく、フラグをたてられちまったもんなあ…」
「……?」
「気にすんな、こっちのはなし」
ようやく働き始めた頭で馬鹿みたいなことを思い出して、ランディは笑いかけた。
「おはようさん、ロイド」
「ああ。ランディって意外と寝起きが悪いのか?」
「いや…慣れないことして疲れたせいだと思うけどねえ?」
途端に頬を染めてうろたえるロイドはなんというか可愛らしい。
弟みたいに思っていたのに、いつの間にか一人前の男で、しかもその雄があの少女たちやセシルではなく自分に向けられていたというのは少々複雑な気分ではある。
いやだが、これでロイドと自分は恋人同士になったということなのだろうか。それともあの時は否定したがやはり酔った勢い、それとも。
これからの関係をどうしたらいいのかと頭を悩ませていたせいで、反応が遅れた。
申し訳程度にかけられていた毛布が、ぱさりと床に落ちる。
急に裸の体を外気に晒されて一瞬竦んだところで、ロイドの手がランディの片膝の裏を掴み、脚を抱え上げた。 <> 零/の軌跡(主人公×兄貴分)3<>sage<>2010/10/14(木) 02:33:40 ID:tY3XGcag0<> 「へ…?」
当然、あまり人様には見て欲しくない格好になるわけなのだが、常識人のはずのロイドの視線はその見て欲しくない場所に向けられている。
朝だからなのか、さきほどの緩いふれあいのせいかランディの性器はわずかに頭をもたげている。そしてなによりも、昨夜、ロイドに幾度も貫かれ、暴かれたその場所すらも、朝の光の中で見られているのだ。
かあっと、耳まで血が上るのを感じた。
「ちょ、待て、ロイド…」
「すごいね。どこもかしこも真っ赤だ」
くちびるだけで笑ったロイドの台詞を幾度も脳内で反芻して、あまりの内容に気が遠くなった。
あの、可愛い弟キャラはどこにいったんだ。そんな台詞はワジあたりの担当だばかやろう。
「…ランディ…」
「あ…いや、ロイド、ちょっと待ていい子だからって…!!」
思わず呻いてしまうような圧迫感はあったが、痛みはそれほど感じなかった。
その童顔からは意外なほどに昨夜みたロイドのそれは立派だったのだが、散々に使われたそこはまだ緩んでいたのだろう。
逆に、少しきつめなのが気持ちいいくらいだ。
そう思ったのはロイドも一緒なのだろう、ほんのりと頬を赤く染めて、すごい、と呟いている。
「なにが凄いんだ…いや、説明しなくてもいい」
真面目な彼が真面目に説明しようとしたのを慌てて止める。
残念そうな顔をするロイドはやっぱりちょっと可愛くて、この行為とのギャップが凄い。
体格差のせいで、抱きしめられているというよりは抱きとめているという状態で動き始めたロイドの顔があまりにもうれしそうで、さっきから地味に悩んでいる自分が馬鹿らしくなってさえくる。
「…っ…締りのない面しやがって…あ…」 <> 零/の軌跡(主人公×兄貴分)4<>sage<>2010/10/14(木) 02:34:41 ID:tY3XGcag0<> 「そりゃあ…ランディのせいだよ」
「人のせいにすんなって…朝っぱらから…襲いやがって…」
後始末が完全ではなかったようでロイドが動くたびに中から彼の精液が掻き混ぜられる音がして、正直恥ずかしさで死ねる。
「…ランディが言ったんじゃないか…」
「んあっ…あ、なに…」
「朝起こしたあと、がばっと襲うのもあり、なんだろ?」
「は?…くっ…ん…」
どこか拗ねたような顔つきでロイドが言った台詞を、揺さぶられてかきまぜられているせいでうまく働かない頭で考える。
そういえば、落ち込んでいた彼を心配して叩いた軽口の中で…。
「…結構、悔しかった。ランディと、そんな経験した人がたくさんいるって考えたら」
「あっ!!」
前触れもなく、後ろだけで完全にたちあがったものを握りこまれ、思わず甲高い声を漏らす。
そんなランディを嬉しそうに見ながら、ロイドは言った。
「…でも、襲われたのは、初めて、だろ?」
完全に、独占欲をむき出しにした『男』の目をしているロイドを見て、これで襲われるのも初めてじゃないといったらなにをされるんだろうと霞む意識の中で思った。

<> 零/の軌跡(主人公×兄貴分)<>sage<>2010/10/14(木) 02:35:39 ID:tY3XGcag0<>
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/14(木) 07:09:50 ID:7NIU+jpX0<> 乙でした!!!
「弟系草食男子を装ったリア充」イイヨイイヨw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/14(木) 10:01:54 ID:kn83v4YP0<> >>453
乙です!そしてGJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/14(木) 19:36:10 ID:LC8UsK/CO<> 乙乙!
年下攻いいよいいよー!
めっちゃ萌えましたありがとう! <> 1/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:00:19 ID:KFoCQS2W0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
残念なオリジナルだよ!
KYちょいSリア充×KYキモキモ厨二病


 俺はおかしくないと思う。おかしかったらアニメもゲームもドラマも映画も小説もあんな
に流行らないはずだ。みんな好きでカッコイイって思ってるから流行るわけだろ? それを
追求してなにが悪いんだ。なにも悪くない。学ぶことは多い、少なくとも同年代のバカと話
してるよりずっと有意義な知識を得られる。アニメにもゲームにも哲学が取り込まれてるこ
とを俺は知っている。ニーチェ、ゲーテ、ドストエフスキー、ユングとフロイト。どこが
キモいんだバカ共め。高尚で崇高なものにしか俺は興味がない。バカは罪だ。この世で最も
恐るべき大罪だ。
 しかし現実は厳しい。俺の知識についてこれないバカで周りは埋め尽くされてる。だから
俺は延々と思考を重ねる。たまにそれを他人に恵んでやると、愚かな周りはそれを恐れる。
「ちょっとひとりで笑ってるとか、なに考えてんのキモーい」
 クラスの奴なんて子供でバカの集まりだ。
 相手をするとバカがうつる。俺は彼らをバカ地獄から目覚めさせてやりたくて、時折声を
かけてやるのだが、いかんせんバカには俺の話が通じない。
 もっと言葉を噛み砕いて幼稚園児でも分かるように言うべきだったかと俺が口を開きかけ
た瞬間、真横からアホほどのんびりした声が降ってきた。
「お前はキモくていいなぁ」
「えっ」
 今日はちょっと暇だったので、他愛ない女子のお喋りに聞きかじったユングの精神分析を
説いてやった。そしたらキモいと切り捨てられた。しかも話しかけてやったってのに、「ひ
とりで」なんてオマケつき。そんでヘコむ間もなくキモくていいなと言われた。
 誰が一番キモいって、ひとの本気をキモいと笑う女でもなく、日常会話を精神分析する俺
でもなく、キモいものをいいなあって言うこいつだ。このバカだ。
「……えー」
 罵倒と寵愛を一緒に受けると反応に困る。やだーキモいのうつるよーと女がバカに笑いか
ける。うつる程こいつのキモさは強くないから大丈夫、とバカは笑う。罵倒と庇護を一緒に
受けるとやっぱり反応に困る。 <> 2/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:03:07 ID:KFoCQS2W0<>  このバカは確か同じクラスメートでお祭り騒ぎとゲーセンとカラオケが大好きな、なんとか
君だ。いつもなにかと騒いでいるから顔は知ってるけど、名前は知らない。友達じゃないし、
有益ではないからクラスメートの名前を俺は一人も覚えてない。俺の脳みそは他の事に使う
ので忙しいのでバカな同年代の名前如きを詰め込む余地はないのだ。
「……な、な、なんだよ……キモいって……まあいいけど」
 そう切り捨てて俺は読んでいた本へ顔を戻した。これ以上の会話は不毛だと経験上分かって
いる。誰も俺の真意を理解できないのだ。不毛な会話はキリよく終わらせるに限る。
「まあいいって何だよ、イミフー。なに読んでんの」
「ジークムント・フロイト。フロイトって名前ぐらいは知ってるだろ?」
 中身は知らないだろうけど、と嘲笑を浮かべてやると、バカは笑顔全開で知るかよボケと罵倒
してきた。若干傷付いたのでもう知るかと本に顔を向け直すと、机をガタガタと揺すられる。
「なーいきなりシカトはねぇだろフロイト。おい、おいお前だよ」
「……え? 俺っ? な、なんでフロイト?」
「いーじゃん俺、お前の名前知らないしフロイトで。それなに書いてある本なの」
「これは――ヒトコトじゃ説明が付かないな」
 それぐらい高尚で、知的で、複雑で、学問的なことが書いてあるのだ。ただの中学生には理解
しがたい。もったいぶって言った俺にバカはあっけらかんと返してきた。
「じゃあ一言じゃなくていいから説明してよ」
「へ? え……説明……そんなの、面倒クセーよ。貸してやるから読めよ」
「ヤダよ読むのなんて」
「えっ? じゃあなんで興味持つんだよ」
「いや持ってない。聞きたかっただけ」
「それは興味があるって言うだろ」
「ないよ」
「あるよ。なきゃ聞かないもん」
「ないってマジで。ただ話しのネタだって、お前、会話続かないし」
「……あ、そう」
 バカはひとを傷付けるのが上手い。
 バカなりにフロイトに興味を示すとは少しは話が通じそうだ、と思った俺が間違っていた。
「なんでそこで引いちゃうかなー。フロイトって普段、なにして遊んでんの? いつもひとりで
ずーっと本読んでんの? それ楽しい? マジで休みの日とかずっとそれ? それだけ? 
それだけって、死にたくなったりしねー?」 <> 3/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:04:09 ID:KFoCQS2W0<>  バカのバカな言い分に俺の心臓はきゅっと縮み上がった。なんでみんな、俺を見てそう言う
んだろう。俺は俺なりに人生楽しんでるつもりなんだけど。
 友達作っていつも遊んでれば人生楽しいのか? そうじゃないだろ。俺は友達ひとりもいな
いけど寂しいことなんてない。最近会ってないけどイトコとだって仲良かったし、他人と会話
しようと思えばできるんだよ、必要がないからしないだけで。
 変なこと訊くな。俺のどこがつまらなそうに見えるんだ。こういう質問に心臓が縮み上がる
理由は分からないけれど、別にそんなのどうだっていい。
「別に……楽しいし、有意義だよ。ほ、本は、本を読むのはいいことだろ。死にたいとか考え
てない」
「へー? じゃあお前、何歳まで生きたい?」
「はぁっ?」
 またきゅきゅっと心臓が縮む。もうどっかいけこのバカ。
 あんまイジメんなよー、とさっきの女が笑う。
 キンキン声うるさい。これは庇護じゃない、ただの煽りと嘲りだ。凄くうるさい。
「――死ぬまで生きたら、いいんじゃない……」
 どっかのアニメかゲームかドラマか映画か小説で見たセリフをそらんじる。バカはニヤニヤ
笑いながら、ガタガタ椅子を揺する。
「それ答えになってねーべ」
「うっせ……どうでもいいだろ、死ぬなんてただ、ただの当たり前のことじゃねーか」
 これまたどこかで見聞きしたセリフ。バカのニヤニヤは止まらない。こいつハゲろと念じな
がら、俺は一生懸命に活字を追う。頭の中にはフロイト先生の高尚な心理学は入ってこない。
雑念が邪魔をする。バカのせいだ。
「じゃあさ、明日死んでも当たり前なのかよ?」
 その問いかけはちょっと俺の好奇心を刺激した。ドラマかアニメみたいだ。隣の女がくすく
す笑ってるのが邪魔だけど。
「そ、それが寿命ならしょうがないだろ」
 ちょっとどもりながら俺はそう返した。うん、このやり取りはなかなか崇高で知的なんじゃ
ないか。相手がバカなのが残念だけど。
「フーン。フロイトって死ぬの抵抗ないんだー」
「あんまりないね。まあ、あんまり早死にだったら、まだあるはずだった時間で、さらに知識
を深められなかったことを残念だと思うかもしれないけど」
 些か早口でまくし立てると、バカは間抜けな顔で聞き返してきた。 <> 4/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:04:41 ID:KFoCQS2W0<> 「は?」
「だから……」
「いやいーや説明。なんか長くて聞き取れんかったけど面倒クセーことだろ?」
「……あ、ああ」
 なんでここで肯定するかな俺。ていうかなんでフロイトって定着してるかな。
 あだ名としてはカッコイイけど、この人類の崇高な祖と同じ名前で呼ばれるなんて俺には
ちょっと身に余る光栄だろう。
 そのとき、えいっという間抜けな掛け声と共に俺の額に衝撃が走った。
 バカの目の前で目を閉じ瞑想してはいけない。
「なにすんだよ!」
「キモい顔してたからデコピン」
「ふざけんなよ! ……もう、いや、いいけど」
「え、なんでそこで引くん?」
「いや……お、お前流に言うと面倒くさいってことだ」
 俺がこの返しに満足する前にバカは大笑いした。
 女子はもう飽きたらしくて、彼氏の話題で盛り上がっている。隣のクラスのエリコの彼氏の
親が金持ちどーたらこーたら。俗物的な上に下賎な話題だ。
 バカはニヤニヤ笑って再度デコピンの構え。バカほんとバカ。痛いからやめろって俺が泣けば
泣くほど喜んでる気がする。なんだよ、バカで変態でサドなのかよ。
 俺は本で防御しながら勘弁してくれと泣きたくなった。
「今日デコピンで死んでもお前の寿命な!」
「なんでだよ!」
「だってお前さっきそー言ったじゃん」
「い、言ってねーよ!」
 バカは飛躍するから困る。なんて嬉しそうに俺の寿命を決めるんだ、バカ。
 必死の攻防が続いて、俺は何度かデコピンをセーブし、何度か痛いのを食らった。ついでに
足も蹴られてた。こんなに運動したの久しぶり。
 休み時間が終わる間際に、バカはなぁんだぁと気の抜けた声を出してデコピン攻撃を止めた。 <> 5/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:05:16 ID:KFoCQS2W0<> 「フツーに元気なんじゃん、フロイト」
「へっ?」
「いやいつも死にたそうな顔で本読んでっから、暗い奴だと思ってた」
「え?」
「俺さー、死んでも構わないとか死にてーとか言ってるやつ見るとほっとけねーんだよなー」
 バカ、熱血バカだったのか。殴って友達とか、青春物語は好きじゃない。ちょっと引いた。
 しかしバカは飛躍する。それを俺は再度確認した。
「そういう奴が、泣いて死にたくありませんって言うまで叩くの好きなんだ」
「……えっ?」
「お前、えって言いすぎ」
「え? あ、いやこれは、……あ、そう」
「それも多すぎ。なんだーフロイトが死にたいっつったらボコボコにしよーと思ってたけど
違うんならいいや。ていうかお前面白いな」
 バカの不条理さには負けると思うよ? という俺の心の声は届かない。
 呆然とする俺の前で、バカは爽やかに笑う。
「でさー、フロイト何歳まで生きんの?」
 俺が答えを返さなかった質問だ。バカはしつこい。俺の複雑な心理など理解できないのに、
答えを追及してどうしたいんだ。
「……それは」
 隣の女子の視線が気になる。長生きしたいとか言ったら笑われるだろ。迷惑早く死ねとか
言われるかもしれない。でも三十歳までとか言って、マジでその時に死ねよと言われても困る。
 そのとき俺は閃いた。こういう時はバカに合わせればいいんだ、世間一般の、なにも考えず
生きている奴らに合わせてやれば、こいつは満足するだろう。
「普通に平均寿命くらいいったら満足、かな」
「それ何歳?」
「え? 知らないの?」
「知らない」
 実は俺も正確な数値は知らない。でもなにか言うしかないこの状況。
「……男なら、今は多分七十歳ぐらいだと思うよ」
「うお、百歳とかじゃないの?」
 なにに驚いてんのそれ? まさか本気で日本人みんな百歳まで生きると思ってんの? <> 6/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:07:55 ID:KFoCQS2W0<>  思ったより短い、と呟くバカ。神様はなんで俺をこういうお気楽なバカに生んでくれなかっ
たんだろう。
「マジかー、でもまー七十ならまあまあかー」
「まあまあって……」
「じゃー俺も七十にする」
 うわ軽く自分の寿命を決めたよこのバカ。
 ていうか、じゃあ俺もってなんだ。俺が反論しようとすると、チャイムが鳴った。あれ、
休み時間ってもっと長いんじゃないか、そう考えて俺は時計を確認する。きっちり終わってた。
嘘だろと思いながら、とりあえず反論だけしておくことにする。
「なっなんでお前も七十歳になんだよ……か、勝手に、」
「は? なに? あ、休み時間終わったから戻るわ」
 なんというか俺はこの短い休み時間だけでも、お前が充分に自分勝手な人間だということは
把握した。把握したが、納得はしてない。
 俺が七十歳まで生きるとして、なんでバカがそれに合わせるんだ。なんで一緒なんだ。そん
なの、名前も知らないクラスメートでやることじゃないだろ。色々言いたいのに、もう休み時
間終わるからなにも言えないし、どうしてくれるんだ。
「じゃ、また後でな」
 そう言ってバカは自分の席に戻ってしまった。バカの前の席の奴が、イジメてんなよーと大
声で笑ってる。俺の心臓は嫌な予感にまたきゅっと縮み上がった。また悪口とか言われるんだ
ろうな、キモいとか頭おかしいとかブサイクの癖にとか、いつも繰り返し同じ言葉で語彙の貧
相な哀れなクラスメートの無意味な評価。
 俺と話すのは胆試しに似てるって言ったのは小学六年の頃に同じクラスだったナントカって
奴だ。俺に話しかける奴はだいたいそれが目的。どうせなら全部フロイトの言葉で返してやろ
うか、今度から。同年代の馬鹿ならきっと理解できなくて逃げていく。そうだそうしよう、な
んて考えていたら、とんでもない言葉が耳に飛んできた。
「イジメてねーし! キモいけど面白い奴じゃん、俺あいつ気に入ったわー」
 バカがそう言った途端、縮み上がっていた心臓が飛び上がった。かっと全身が熱くなる。耳
とか頬とか首とか、もう全身真っ赤になっているのが自分で分かるほどだ。なんだこれなんで
俺が恥ずかしいって思わなきゃいけないんだ。恐る恐る顔を上げると、バカの声が聞こえた
奴等は揃って俺を哀れみの目で見ていやがった。 <> 7/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:08:55 ID:KFoCQS2W0<>  やめてやれよ気に入らないでやれよって、なにを説得してるんだ。
 それまで恋愛話をしていた女子が心配そうな声で言う。
「ちょっと……本気であれ友達にすんの? あんたマゾ?」
「はっ? とっ、ともだちとか今のでなるわけないだろ?!」
「いやだって気に入ったって言ってっしアレはもうタゲ確定じゃん」
 初めての友達があれって相当ヤバイね、不条理な女子はそう言って俺から目を逸らした。
 俺ポカン。取り残された。多分、バカと一緒のところに取り残された。遠くでバカが手を
振ってる。バイバイの挨拶ならいいけどあれは多分、なんか違う……ドラマとかアニメとかで
よくある知り合いにオーイって手を振るジェスチャのように見える。俺にそんな風に手を振った
のはこいつが始めてだから、もしかしたら違うのかもしれないけど……でもやっぱそう見える。
 無反応でいると申し訳ない気がして、俺は小さく手を上げてみた。バカは大爆笑した。恥ず
かしい。やっぱやるんじゃなかった。
「ほら見ろ! なっ! 俺、あいつともうオトモダチ! 俺のデコピンであいつ落ちたね!!」
 マジでやるんじゃなかった。七十歳までよろしくぅ、とバカが椅子の上に立ち上がって叫ん
だら、入ってきた教師に一喝されて転げ落ちた本当にバカ。
 誰が友達だ。次の休み時間に俺の全知識を総動員して反論してやる。
 ああ顔が熱い。早く次の休み時間になればいいのに。なんだこの気持ち。全然理解できない。
さっさと授業終われ。いや終わらないでくれ。どんな顔して話せばいいんだ?
 その前に本当に七十歳まで一緒なのか? 明日には飽きて他人同士に戻ってるだけじゃない
のか? それにバカだし、知的レベルが違い過ぎる生き物同士で友情は成り立たないだろ?
 そうだよなそうに決まってる俺の考える通りだきっと。
 俺は赤くなったり青くなったりして必死に否定を続けた。だが二日経って一週間経って一ヶ月
経って三ヶ月経ったある休み時間にバカがいつも通り俺の元にやってきて、いい加減あきらめろ
と右頬にえくぼを作って笑った。俺の手元の三ヶ月前から一ページも読み進んでいない本をひょ
いと取り上げてエロいページないのと乱雑に捲り始める。 <> 8/8<>sage<>2010/10/15(金) 23:09:28 ID:KFoCQS2W0<> 「ひろきさあ、今日うち来ない? メロン貰ったのメロン、オジサンが農家やってて。食いた
いだろ? メロンはいいよなーうまいし甘いし、二つあるからボインごっこしようぜ」
「……メロンあんま好きじゃない」
「俺ひろきがボインだったらなんでも許すわー」
「キモチワリ……」
「あ? なに、なんつった? ところでいいよなうち来るよな、帰りにコンビニでマンガ立ち
読みしてこーぜ。なあひろきエロ本買ってみねー? お前一冊も持ってなさそうだし」
「買わない! あ、あ、あきおが買えばいいだろ欲しいんなら、さあ」
 だらだらと俺の本を傷めていたバカがぱっと顔を上げた。また俺の顔にみるみる熱が上がっ
ていく。くしゃって笑ってバカはフロイトの本を机に叩き付け、ガッツポーズで雄たけびをあ
げた。そのまま教室の中を走っていく。なにが嬉しいんだか、俺には全然理解できない。まった
くもって理解不能。名前呼ばれただけで手を叩いてはしゃぎ回って知らない奴に強制握手かまし
て女子からドン引きの目で見られながら携帯電話のスケジュールに記念日登録なんて、そこまで
する? バカなの? バカだからなの?
 帰ってきたバカは溌剌とした顔で俺の前の席にどすんと座った。ちなみにそこはバカの席じゃ
ないのに物凄く当たり前みたいに座る、ここ最近ずっとそう。
「ひろき!」
「……なんだよ」
「ひろき」
「……なにがしたいんだよ」
「ひーろきー」
「な、……なんだよあきお」
 うはぁとか気持ち悪い声出してバカは机の上に崩れ落ちる。フロイトの本を胸に抱いて、俺は
三ヶ月前から考え続けていた問いの答えを出した。
 齢十代にして人生決定。七十歳で死亡。
 それまでこの、どうしようもないバカと一緒。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
不意に萌えたんだけどリア充も厨二病も上手く書けない結果でごめんなさい
ちなみに日本人男性の平均寿命は79歳よってばっちゃんが言ってた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/15(金) 23:10:50 ID:e4gG0rzUO<> しえん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/16(土) 01:14:53 ID:m85tw9vw0<> >>461
GJGJ!!甘酸っぱくていいねいいね!
続きがきになるよ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/16(土) 01:18:00 ID:U1BjV01pO<> KYリア充×KY厨二病GJ!
キュンキュンきましたよ…
中学生同士というのがまた、これからを想像させてたまらんですね! <> 風と木の名無しさん<><>2010/10/16(土) 10:13:39 ID:iXRaVWUJ0<> ターナー・ザ・インサート <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/16(土) 13:07:47 ID:MEsXjXXe0<> 現在493KBなんで、スレ立ていってくるー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/16(土) 13:11:38 ID:MEsXjXXe0<> ダメでした…orzテンプレ置いとくので、どなたかお願いします
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        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

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前スレ
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ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/16(土) 14:42:14 ID:4cdtLUht0<> いてくる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/16(土) 14:46:52 ID:4cdtLUht0<> おげ

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http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1287207773/

テンプレさんくす <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/17(日) 13:31:31 ID:MJfufaqD0<> >>461
GJ!!すごく萌えました!
続きがあるなら読みたいです!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/17(日) 17:15:43 ID:UvERIhfGO<> >>446
遅ればせながらGJです!拘束ハァハァ!
野人も甥っ子もなんか素直ぽくて可愛い。つかず離れずの微妙な距離感に萌えます!
ありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/17(日) 18:18:35 ID:SFkRsm0+O<> >>375
亀レスだが萌えた!GJ!
そして萌えているのが自分だけでないことに安心した!
元ネタの脱出をやる度にニヨニヨしそうだwww
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/18(月) 02:19:29 ID:qJK5uRp+0<> 金失木反の長男受け投下して下さる女ネ申が表れる事を祈りながら埋め <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/18(月) 08:48:17 ID:3xxoXO3R0<> 自分はilの投下をwktkして待ってる!
特に板缶の姐さん続きをっ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/18(月) 16:11:51 ID:VJP+Ucto0<>
         うめ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


          /^l
    ,―-ァ-―-'  |               /^i,,、,、/^i 
    ヽ.   ´ ∀ `ヽ          ヽ'       ツ,
    ,'        i  ∧_∧   ミ ´ ∀ `   彡
     |    つ    つ (´∀` ヽ ハ,_,ハ         ミ,
     |   ,-、     |  し  u  |,:'  ´∀nと      ミ
    ヽ、  ノ    _⌒)と,,_とノミ;:,っu_,,っ,、_、、,,,_,、,,;;,彡 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/18(月) 18:10:35 ID:uK79vCEEO<> 題名を「〜の赤」とつけているので、赤の人と勝手に呼ばせて頂いています
またいつか、ふとした時に投下されるのを心待ちにしています <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/18(月) 23:10:10 ID:3gDH+GKb0<> キム空の方、いつまででも待てますので投下される日を心待ちにしています埋め <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/19(火) 01:32:41 ID:dzO5F+6Y0<> >>481
自分も気持ちは同じだお!
続きが気になってしょうがない。
あの紙袋の中身がなんなのか、まじで教えてほすぃ・・・。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/20(水) 00:12:35 ID:0AWgaKGl0<>                  / ̄ ̄\   ____ 。o
   愛してるだろ    /   _ノ  \/      \
   常識的に・・・梅  |    ( ー)  ) ─    ─_ \  んんっ
.         ┌── │ ///⌒(__人)(=)  ( =)   \──┐
          │   │     ( β  (__人__)  u  │   │   _,,..i'"':,
.         │    |       │    ` ⌒       │   │   |\`、: i'、
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<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/20(水) 02:30:55 ID:e4Qpp9MWO<> とめださんの続きを全力で待ちつつ埋め <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/20(水) 08:37:54 ID:SGHel2j/0<> 大阪府大「宇治原さん!問題です!」(やる気のないテロップ「宇治原クイズ」)
京大「おお!ありがとうございます!」
大阪府大「花札の各スートは、それぞれ十二ヶ月に対応していますが、その内、二月は何の花でしょう?」
京大「梅です!」(寒いテロップ「クイズ王・宇治原の答え」)
二人「イェーイ!」(ハイタッチ、全近畿のお茶の間に白昼堂々垂れ流しされる熱い抱擁)

青空有罪「ちなみに、『山』はススキ、『雨』は柳です。それぞれ、八月と十一月に対応しますよ。忘れた府職員は減給処分にします」
青空無罪「君がそんなミヤビなこと知ってるとは思わなかった。では、閉廷!ホテル行こ♪」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/20(水) 09:23:09 ID:9ZA4FGHX0<> 次スレ

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<> 風と木の名無しさん<>sage<>2010/10/20(水) 09:24:27 ID:9ZA4FGHX0<>   ||  !| │
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