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S-36
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#title(12doors) [#f8f0859b]
狭い部屋にむさくるしい男ばかり数人。ぼそぼそと小声で語...
暗いのは夜だからというのもあるが、ここが地下室で窓一つな...
照明は誰かが用意したランプが一つきり。
電気が通ってないから、こんなもんでも上等なほうだろう。
ガラス越しに炎が揺れるたび、荒削りのコンクリートの壁に映...
空気はかび臭く、煙草の煙で視界は不明瞭。
だがここにいる男たちの誰一人として、気にするような様子も...
それは俺も同じか。みんなですっぱすっぱ吸ってりゃ、煙くも...
「OK、ターゲットは了解した。名前はコードで呼び合おう」
渡された資料の紙を覗き込んでいた面々はその声に顔を上げ...
みながみな、自己紹介をしていない。でもやっぱり誰もその...
きな臭い『仕事』をするためだけに集められた面々は、自分の...
その雰囲気は俺の救いだ。どうしても名乗らなきゃならないな...
「了解。ターゲットコードは『ユミル』。
後方支援は『ヴィリ』、直接攻撃隊は『ヴェー』、全体指揮は...
頷いた男たちの一人が、そんなことを口にする。
誰も異を唱えないところを見るとある程度元ネタを知っている...
「潜入者は…」
「ロキ」
取り交わされる会話の合間に、俺はひょいと割り込んだ。み...
「撹乱役にはもってこいだろ」
ひょいと肩をすくめて笑いながら言うと、みなが「それでい...
それからまた額をつき合わせて、ぼそぼそ、ぼそぼそ。
決行日や決行時間など、細かい打ち合わせをして早々に解散...
地上に出れば夜空にまん丸お月様が綺麗だ。
時間的にも土地柄的にもあたりには人っ子一人なく、
うらぶれた雰囲気は据えた臭いを運んでくるがあの地下の空気...
そんなもんでも清清しく感じられる。
ばらばらの解散だったために、周りを見回してみても俺より...
俺は少し深呼吸をし、そのままさっさと帰路に着いた。
また今夜もあいつは落ち着きなく部屋の中をうろついている...
そんなに心配することないのにな。
俺は胸元から煙草を一本取り出し、火をつけた。
その拍子に触れた口元は、うっすらと笑みを形作っている。
俺も変わったもんだよな。
今まで家なんか寝るためのものという認識しかなかったのに、...
新婚家庭じゃねんだからよ、と胸のうちで己に突っ込み、
ついでに渡された資料の紙を燃やしてとっとと帰ることにした。
与えられた情報は全て頭に入っている。物騒な証拠はさっさ...
他のやつらも多分同じようにしている。名乗ることはしなかっ...
みなこの道のベテランだ。
最後に一度ターゲットの顔写真を眺めてそれも燃やす。
脳裏で何度か顔を反芻し、あとは忘れた。プライベートに仕事...
そう思い頭のモードを切り替えると、真っ先に浮かぶのはヤツ...
まったく、俺も毒されすぎだよな。
親の帰りを待って心細そうにぴーぴー泣く子供みたいなヤツ...
早く帰って安心させたやらなきゃ可哀想だ、なんて、がらにも...
だけどそう思ってしまうんだから仕方がねぇだろと、
誰に対してか心の中で言い訳をぼやき、俺は足を急がせた。
* * * * *
「ジャック」
鍵を開けてそうそう、ヤツは俺の名を呼び抱きしめてくる。
いつものことだ。こいつは俺が仕事から帰ってくるたびに抱...
次いで俺の存在を確かめるように頬に手を添えて間近からじっ...
俺は慣れたもんで、抱きついてくる背中をぽんぽんと叩いて...
あとはやつの気の済むまで好きにさせる。
今日もまたお決まりの手順を踏み、確かに存在している、
夢じゃないと分かったヤツはようやく笑みに顔をほころばせ、...
「無事もなにも、今日は打ち合わせだけだって言っただろ」
俺は苦笑し、間近なヤツの頬をぺちぺちと軽く叩く。
ヤツはほんの少し恥ずかしそうにはにかみ、「でも心配なんだ...
こいつの俺への執着や依存は、いささか度を越しているよう...
今までのことがことだったし、それを考えると仕方のないこと...
それにしてもやっぱり異常だ。それはもう、仲間意識とか友情...
そういうのを飛ばしているんじゃないだろうか。
そう思うくらい、並じゃない執着。
だがそれを別に疎ましく思っているわけでもない俺がいる。...
ヤツには俺だけがいればいいと思うあたり、俺も相当なんだろ...
「ジャック、私も働きたい」
と、ヤツがそんなことを言い出した。このところ毎日そう言...
俺だけに働かせているのがしのびないらしい。
それと、『心配だから』。そんなん、俺だって一緒だ。
俺はそれとなくヤツから目をそらし、部屋の中へと入ってい...
整理整頓は行き届いている。几帳面なヤツがきちんと片付いて...
家自体が古いおんぼろだし、壁に消えない染みとかついている...
昔の仲間のつてを頼って借りているとこだし、そもそも俺たち...
こんなところでも住むところがあるだけ幸せってもんだろう。
とにかく、そんな部屋の中、粗大ゴミ置き場から拾ってきた...
その辺で売っているような雑誌まで、色んな種類の本が山をな...
どれもこれもヤツの勉強道具だ。世間一般の知識を持ち得な...
必死に勉強して早く働きに出られるようにと努力している。
その生真面目さや几帳面さは、俺とはまるで正反対だ。
「…まだ早いと思うけどな」
そのうちの一つ、開かれたまま放り出されている雑誌に手を...
適当にページを手繰りながら言うとヤツの足音が聞こえる。俺...
「私も色々覚えた。その辺でバイトをするくらいなら出来る」
へぇ、バイトってもんも覚えたか。
「無理だな」
「なぜ…!」
軽い口調で短く言うと、わずかに声を荒げる。俺は雑誌に目...
「国籍も身分証明もないくせに、どうやってまっとうな仕事に...
と出来るだけ淡々という。
「まっとうな職でなくてもいい。履歴書ならいくらでも改竄で...
「甘くみるなよ」
更に言い募ってくるヤツに、俺は見ていた雑誌を乱暴に閉じ...
それを視界の端に見止めて、俺はヤツの顔をまっすぐに見返し...
「腕に覚えがあるかもしれんが、それだけでやっていけると思...
色んな決まりごとがあるんだ。言葉ほど簡単に出来るもんだと...
低めの声で諌めるように言うと、ヤツは目を落とす。
ヤツだって分かっているのだ。俺が今やっている仕事が、ど...
あの研究施設を抜け出して、やっぱり昔のつてを頼ってもぐ...
当面の生活費は俺の家から持ち出した金で賄っていた(余談だ...
だがそれだけでやっていけるはずがない。起き上がることが...
ヤツは心配でたまらないのだ。
政界を陰で操るとまで言われる財団を敵に回し、その上で金...
結局俺は身元を偽り日雇い仕事のほかに前と同じような仕事に...
俺ばかりが危険な目に遭っている。ヤツはそれがいやでたま...
危険な目に遭うのは俺だけで十分なのだ。生まれたばかりで世...
あんな危険なことなど任せられない。…もっと言えば、家で黙っ...
危険は少ないに越したことはない。
詰まる所、俺もヤツのことが心配で仕方がないのだ。危ない...
俺はヤツの気持ちを知っている。ヤツが俺に対して心配だと気...
だが分かっていても譲る気にはなれない。これは俺のエゴだっ...
「…すまない」
そっと謝ったヤツに、俺は少し罪悪感を覚える。
確かに軽々しく口にしては欲しくなかったし、甘く見られては...
俺の我が儘も多分に含まれているから。
すっかり落ち込み悄然としている様子は、まるで飼い主に叱...
今までせっせと振っていた尾がぱたりと落ちてしまったような...
俺はヤツの頭に手を伸ばし、軽く撫でた。
ちらりと伺うように上目遣いになるヤツに笑みかけて、「お前...
ヤツはほっとしたように表情を緩めて、
「…髪を染めただけでも結構印象が変わるものなのだな」
とお返しのように俺の髪を梳いた。
「変に足がつくと厄介だからな」
だからもう偽名でもジャックは使わない。どこにどこまで財...
知れたものではないからだ。
俺はもう一度笑いかけて、ヤツの頭から手を引く。そうして...
これもまた粗大ゴミ置き場からかっぱらってきた小さな冷蔵庫...
「腹減ったなぁ。なんか食うもんねぇの?」
俺の言葉にヤツが慌てたように駆けて来る足音が背後から。
「悪い、そうだよな、なにか作っておけばよかった…」
申し訳なさそうな声。俺は喉の奥で笑って、「気にするな」...
「今すぐ作るよ」
「いいよ、自分で作るから。お前も食うか?」
「食べる。…いや、そうじゃなくて、それくらい働いてない私が...
──────────────────────────────
「気にするなって」
脇から冷蔵庫を覗こうとするヤツの顔を振り仰ぎ、俺はにや...
「たまには俺が腕を振るってやるからさ、メサイア様は椅子に...
揶揄るように言うと、ヤツはむっとする。この名前で呼ばれ...
ちょっとした嫌がらせだ。もちろん、これも交流の一つ。
それをヤツも知っているから、むっとした顔はするけれども...
「その名前で呼ぶなと何度言ったら…」とかぶつぶつぼやきなが...
「好きなように呼んでくれというから、呼んでるだけだけど?」
その背中に追いかけるように言葉をかけると、ヤツは肩越し...
「確かにそうは言ったが、その名前は嫌いだ」
いじけたような口ぶり。俺はなんだかおかしくて、声を上げ...
このままの生活がずっと続けばいい。それは願ってやまない、...
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狭い部屋にむさくるしい男ばかり数人。ぼそぼそと小声で語...
暗いのは夜だからというのもあるが、ここが地下室で窓一つな...
照明は誰かが用意したランプが一つきり。
電気が通ってないから、こんなもんでも上等なほうだろう。
ガラス越しに炎が揺れるたび、荒削りのコンクリートの壁に映...
空気はかび臭く、煙草の煙で視界は不明瞭。
だがここにいる男たちの誰一人として、気にするような様子も...
それは俺も同じか。みんなですっぱすっぱ吸ってりゃ、煙くも...
「OK、ターゲットは了解した。名前はコードで呼び合おう」
渡された資料の紙を覗き込んでいた面々はその声に顔を上げ...
みながみな、自己紹介をしていない。でもやっぱり誰もその...
きな臭い『仕事』をするためだけに集められた面々は、自分の...
その雰囲気は俺の救いだ。どうしても名乗らなきゃならないな...
「了解。ターゲットコードは『ユミル』。
後方支援は『ヴィリ』、直接攻撃隊は『ヴェー』、全体指揮は...
頷いた男たちの一人が、そんなことを口にする。
誰も異を唱えないところを見るとある程度元ネタを知っている...
「潜入者は…」
「ロキ」
取り交わされる会話の合間に、俺はひょいと割り込んだ。み...
「撹乱役にはもってこいだろ」
ひょいと肩をすくめて笑いながら言うと、みなが「それでい...
それからまた額をつき合わせて、ぼそぼそ、ぼそぼそ。
決行日や決行時間など、細かい打ち合わせをして早々に解散...
地上に出れば夜空にまん丸お月様が綺麗だ。
時間的にも土地柄的にもあたりには人っ子一人なく、
うらぶれた雰囲気は据えた臭いを運んでくるがあの地下の空気...
そんなもんでも清清しく感じられる。
ばらばらの解散だったために、周りを見回してみても俺より...
俺は少し深呼吸をし、そのままさっさと帰路に着いた。
また今夜もあいつは落ち着きなく部屋の中をうろついている...
そんなに心配することないのにな。
俺は胸元から煙草を一本取り出し、火をつけた。
その拍子に触れた口元は、うっすらと笑みを形作っている。
俺も変わったもんだよな。
今まで家なんか寝るためのものという認識しかなかったのに、...
新婚家庭じゃねんだからよ、と胸のうちで己に突っ込み、
ついでに渡された資料の紙を燃やしてとっとと帰ることにした。
与えられた情報は全て頭に入っている。物騒な証拠はさっさ...
他のやつらも多分同じようにしている。名乗ることはしなかっ...
みなこの道のベテランだ。
最後に一度ターゲットの顔写真を眺めてそれも燃やす。
脳裏で何度か顔を反芻し、あとは忘れた。プライベートに仕事...
そう思い頭のモードを切り替えると、真っ先に浮かぶのはヤツ...
まったく、俺も毒されすぎだよな。
親の帰りを待って心細そうにぴーぴー泣く子供みたいなヤツ...
早く帰って安心させたやらなきゃ可哀想だ、なんて、がらにも...
だけどそう思ってしまうんだから仕方がねぇだろと、
誰に対してか心の中で言い訳をぼやき、俺は足を急がせた。
* * * * *
「ジャック」
鍵を開けてそうそう、ヤツは俺の名を呼び抱きしめてくる。
いつものことだ。こいつは俺が仕事から帰ってくるたびに抱...
次いで俺の存在を確かめるように頬に手を添えて間近からじっ...
俺は慣れたもんで、抱きついてくる背中をぽんぽんと叩いて...
あとはやつの気の済むまで好きにさせる。
今日もまたお決まりの手順を踏み、確かに存在している、
夢じゃないと分かったヤツはようやく笑みに顔をほころばせ、...
「無事もなにも、今日は打ち合わせだけだって言っただろ」
俺は苦笑し、間近なヤツの頬をぺちぺちと軽く叩く。
ヤツはほんの少し恥ずかしそうにはにかみ、「でも心配なんだ...
こいつの俺への執着や依存は、いささか度を越しているよう...
今までのことがことだったし、それを考えると仕方のないこと...
それにしてもやっぱり異常だ。それはもう、仲間意識とか友情...
そういうのを飛ばしているんじゃないだろうか。
そう思うくらい、並じゃない執着。
だがそれを別に疎ましく思っているわけでもない俺がいる。...
ヤツには俺だけがいればいいと思うあたり、俺も相当なんだろ...
「ジャック、私も働きたい」
と、ヤツがそんなことを言い出した。このところ毎日そう言...
俺だけに働かせているのがしのびないらしい。
それと、『心配だから』。そんなん、俺だって一緒だ。
俺はそれとなくヤツから目をそらし、部屋の中へと入ってい...
整理整頓は行き届いている。几帳面なヤツがきちんと片付いて...
家自体が古いおんぼろだし、壁に消えない染みとかついている...
昔の仲間のつてを頼って借りているとこだし、そもそも俺たち...
こんなところでも住むところがあるだけ幸せってもんだろう。
とにかく、そんな部屋の中、粗大ゴミ置き場から拾ってきた...
その辺で売っているような雑誌まで、色んな種類の本が山をな...
どれもこれもヤツの勉強道具だ。世間一般の知識を持ち得な...
必死に勉強して早く働きに出られるようにと努力している。
その生真面目さや几帳面さは、俺とはまるで正反対だ。
「…まだ早いと思うけどな」
そのうちの一つ、開かれたまま放り出されている雑誌に手を...
適当にページを手繰りながら言うとヤツの足音が聞こえる。俺...
「私も色々覚えた。その辺でバイトをするくらいなら出来る」
へぇ、バイトってもんも覚えたか。
「無理だな」
「なぜ…!」
軽い口調で短く言うと、わずかに声を荒げる。俺は雑誌に目...
「国籍も身分証明もないくせに、どうやってまっとうな仕事に...
と出来るだけ淡々という。
「まっとうな職でなくてもいい。履歴書ならいくらでも改竄で...
「甘くみるなよ」
更に言い募ってくるヤツに、俺は見ていた雑誌を乱暴に閉じ...
それを視界の端に見止めて、俺はヤツの顔をまっすぐに見返し...
「腕に覚えがあるかもしれんが、それだけでやっていけると思...
色んな決まりごとがあるんだ。言葉ほど簡単に出来るもんだと...
低めの声で諌めるように言うと、ヤツは目を落とす。
ヤツだって分かっているのだ。俺が今やっている仕事が、ど...
あの研究施設を抜け出して、やっぱり昔のつてを頼ってもぐ...
当面の生活費は俺の家から持ち出した金で賄っていた(余談だ...
だがそれだけでやっていけるはずがない。起き上がることが...
ヤツは心配でたまらないのだ。
政界を陰で操るとまで言われる財団を敵に回し、その上で金...
結局俺は身元を偽り日雇い仕事のほかに前と同じような仕事に...
俺ばかりが危険な目に遭っている。ヤツはそれがいやでたま...
危険な目に遭うのは俺だけで十分なのだ。生まれたばかりで世...
あんな危険なことなど任せられない。…もっと言えば、家で黙っ...
危険は少ないに越したことはない。
詰まる所、俺もヤツのことが心配で仕方がないのだ。危ない...
俺はヤツの気持ちを知っている。ヤツが俺に対して心配だと気...
だが分かっていても譲る気にはなれない。これは俺のエゴだっ...
「…すまない」
そっと謝ったヤツに、俺は少し罪悪感を覚える。
確かに軽々しく口にしては欲しくなかったし、甘く見られては...
俺の我が儘も多分に含まれているから。
すっかり落ち込み悄然としている様子は、まるで飼い主に叱...
今までせっせと振っていた尾がぱたりと落ちてしまったような...
俺はヤツの頭に手を伸ばし、軽く撫でた。
ちらりと伺うように上目遣いになるヤツに笑みかけて、「お前...
ヤツはほっとしたように表情を緩めて、
「…髪を染めただけでも結構印象が変わるものなのだな」
とお返しのように俺の髪を梳いた。
「変に足がつくと厄介だからな」
だからもう偽名でもジャックは使わない。どこにどこまで財...
知れたものではないからだ。
俺はもう一度笑いかけて、ヤツの頭から手を引く。そうして...
これもまた粗大ゴミ置き場からかっぱらってきた小さな冷蔵庫...
「腹減ったなぁ。なんか食うもんねぇの?」
俺の言葉にヤツが慌てたように駆けて来る足音が背後から。
「悪い、そうだよな、なにか作っておけばよかった…」
申し訳なさそうな声。俺は喉の奥で笑って、「気にするな」...
「今すぐ作るよ」
「いいよ、自分で作るから。お前も食うか?」
「食べる。…いや、そうじゃなくて、それくらい働いてない私が...
──────────────────────────────
「気にするなって」
脇から冷蔵庫を覗こうとするヤツの顔を振り仰ぎ、俺はにや...
「たまには俺が腕を振るってやるからさ、メサイア様は椅子に...
揶揄るように言うと、ヤツはむっとする。この名前で呼ばれ...
ちょっとした嫌がらせだ。もちろん、これも交流の一つ。
それをヤツも知っているから、むっとした顔はするけれども...
「その名前で呼ぶなと何度言ったら…」とかぶつぶつぼやきなが...
「好きなように呼んでくれというから、呼んでるだけだけど?」
その背中に追いかけるように言葉をかけると、ヤツは肩越し...
「確かにそうは言ったが、その名前は嫌いだ」
いじけたような口ぶり。俺はなんだかおかしくて、声を上げ...
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シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
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第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
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第49巻
第48巻
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第46巻
第45巻
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第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
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第32巻
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第20巻
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第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
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