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#title(恋の課題4) [#g06e2594]
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| 日曜朝の闘う...
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| >>189-...
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| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
「シバサ、君に宿題だよ。…僕に恋をして。」
僕、光は小図家5兄弟の魔/法の先生。
只今小図家に居候中。
次男のシバサに宿題を出してから四週間が過ぎようとしていた。
シバサはほかの子より想像力が足りないので、てっとりばやく...
だって、恋した人間の想像力って、計り知れないものがあるじ...
この授業をするようになってからというもの、シバサの事を色...
例えばにんじんは嫌いだけど、お兄ちゃんに言われたら一つだ...
放課に明日のデートどの服がいいか選んでと頼まれたら嫌そう...
商店街でくじ引きがあると裏羅に駆り出されては何か賞品を持...
隣に座っていた貝がうとうとして倒れ込んできたら頭を叩くも...
そっけない、だけどとても優しい子だ。
家族を心から愛している情の深い子だ。
自立心が高く、甘えたりしない、いつでも気丈に振る舞って…
だけどお母さんが居なくなった時は戦えなかったのだとお兄ち...
…かわいいなぁ…
「シバサ、僕の事が好きかい?」
「なんスか突然。…てか、いちいち聞くなっ」
「だって聞きたいんだからしょうがないよ。」
「しょうがなくねぇよ」
「シバサ、早く僕の事を好きになりなさい。」
「命令形かよっ!無茶言うな。そんな簡単に…………だいたい、」
「ん?」
「…なんでもねぇ」
「なんでもない顔じゃないじゃない。」
「なんでもねぇ!」
「シバサ、先生に隠し事は困るな。」
真剣な目で見つめればシバサは困った顔になった。
押しに弱い所があるよね、シバサは。言わないけどね。
「…俺が…俺が先生の事す、好きになったら、先生どうすんだよ…...
「そりゃあ、嬉しいよ。」
「…として、かよ…」
「え?」
なんだろう、声が小さくて、よく聞こえなかった。
「…やめる」
「え?」
「やめる!俺、先生の事好きになるのやめる。だいたい、恋な...
他の誰かにするから、それでいいだろ!」
そりゃ、いいと言えばいいんだけど…
あれ?いいと言えば、いいはずなんだけど。
自分でもよくわからなくて黙っていたらそれを肯定と取ったら...
「…じゃ、出会いを求めて外行って来る。」
そう呟くとダッシュで魔/法部屋を出ていった。
シバサの口から出会いを求めるとかすごい言葉が飛び出したも...
まあ…お手並み拝見と行こうかな。
なんて言ったものの、なんだか落ち着かない。本を読んでも頭...
早く帰ってくればいいのにシバサはお昼にも帰ってこなかった...
今日はスパゲティーだったのにね。おいしかったのにね。
三時のおやつはマフィンと紅茶。なんだか葉を入れすぎたかも...
いつの間にシバサの分まで入れるクセがついてしまったのかな...
夕方になってからやっとシバサが帰ってきた。
すかさず後ろに立った。
「やあ、おかえり。どうだった?」
「…まぁまぁ」
気配もなくいきなり後ろに立っても驚かなくなったのでつまら...
まぁまぁ?よくわからないな。はっきりしなさい。
シバサの顔はむすっとしていたけれど、普段から仏頂面だから...
「じゃ、俺先風呂入っから」
「待ちなさいシバサ。」
思わず腕を掴んで止めてしまった。
あれ?
「今夜も一緒に寝るからね。」
「…なんでだよ。俺はもう、先生には…」
「わかっているよ。僕にも少し考えがあってね。」
「なんだよ考えって。」
「ちょっとね。じゃ、後で部屋に行くからねー。」
半ば強引に押し切った。
シバサが押しに弱くて良かった。
困ったな。なんだか僕は少し、怒っているのかもしれない。
「シバサ、入るよ。」
「あー、はい。」
初めて一緒に寝てからだいぶ経っているからシバサも慣れたも...
すでにベッドに寝転がって魔/法書を読みながらこちらを見もせ...
これだ。この、慣れがいけないんだよね。
「今日はちょっと特別授業をするからね。」
「特別授業?」
「シバサが早く誰かに恋ができるようにねー。」
誰かに、の部分の声に力が入ってしまった気がする。
「疑似体験できる魔/法があるんだよ。これで恋を疑似体験して...
キョトンとしているシバサが何か言う前にすかさずチケットを...
なんか僕、焦ってる?
魔/法の効き目は即効性。みるみるシバサに効いてきた。
途端、寝転がっていたシバサが起き上がり、僕を見て目を丸く...
「な、何…」
シバサはTシャツの心臓あたりを掴んだ。
「…これが恋だよ、シバサ。」
にっこり笑って見せたら、シバサの顔が朱に染まった。
今、シバサは僕に恋をしている。
…疑似体験だけどね。
ベッドにあがろうとすると、シバサが壁ギリギリまで後退した。
「どうしたんだい?」
「やめろよ、くんなっ…」
「いつもしてる事だろう?」
「いつも、こんなんじゃねぇっ…」
初めて一緒に寝た時より数倍初々しい反応を示すシバサがとて...
大丈夫だから、となだめても言うことを聞かない。
「先生、これ、やめてくれよ、やだよこれ」
「やめないよ。大丈夫だよ。何もしないから。」
「当たり前だろ!い、今なんかされたら俺、」
「へぇ。どうなるのか見てみたいなぁ」
「ふざけんな!」
目尻が紅くなる。
「シバサ、僕の事好きだろう?」
真剣な顔で見つめているつもりだけど、少し笑っているかもし...
怯えるシバサの腕を掴んで引き寄せると小さい悲鳴が聞こえた。
「好きって言ってごらん。」
シバサの震える身体を抱きしめて耳元で囁いた。
「絶対嫌だ!!」
「言わないとずっとこの魔/法解いてあげないよ。」
「いやだ!」
耳にくちづける。
少し離して頬にもくちづけた。
「言わないと何かしちゃうよ。」
「い…」
本当はイヤじゃないよね。僕の事好きだものね。
その事はわかっているし、僕にわかられているのも、シバサは...
「僕の事を好きだと言いなさい、シバサ。」
シバサの紅くなった目尻に羞恥と困惑の涙が溜まる。
「やりすぎだろ、先生っ!」
僕もこんな事までするつもりは無かったんだけどね。
今日一日考えていたけれど、認めざるを得ないかな。
この感情のいきつく所は一つ、嫉妬だ。
僕はシバサの事で嫉妬しているんだ。
シバサに恋をさせるはずが、なんてことだろう。
いつの間にか嫉妬するほど僕の方がシバサに恋をしていたんだ。
だけど気付いた所でこの嫉妬は止まらない。
肩を押してベッドに組み敷いた。
「ほら、早く言わないと。」
「冗談だろ…!」
「この状況でかい?」
シバサは激しく抵抗したらそれこそ冗談では無くなるのを恐れ...
「いいかい、言えばすぐにやめてあげるからね。」
逃げ道を作る。シバサと、…僕の。
何が起こるのかわからない恐怖にシバサの目は見開いたままだ。
恐がらないでシバサ…僕は君にヒドイ事をしたいわけじゃないん...
ジッと見つめると、シバサも見つめ返してきた。
それはたぶん、目をそらせなかっただけなのだろうけれど。
「シバサ…」
シバサの顔の両側に手を付き、ゆっくりと顔を近付けた。
おでこに一つ、頬に一つ、唇を落とす。
シバサの両手が僕の肩に当てられる。けれど力は込められない。
押し返して抵抗しようか迷っているようだ。
「まだ言ってくれないのかい?それなら…」
僕の視線はシバサの紅い唇に向かう。
その視線に気付いたシバサが手に少し力を入れたけれど、僕は...
とっさには避けられない速度で唇を重ねた。
「んっ」
シバサの手が肩を掴む。
少し触れて唇を離すと、肩にかかった手に力がこもった。
けれど押しが弱いのをいいことに、そのまま角度を変えて何度...
ギュッと目を閉じたシバサの目尻からは涙が溢れていた。
「どうして我慢するんだい?好きって言うだけなんだよ、シバ...
「…言いたくねぇ…でも、こんなのも嫌だ、先生っ」
傷付けて、しまっただろうか。
「なんで言ってくれないのかな。今なら、簡単な事なのに」
シバサが弱々しく抵抗する。
「言えるかよ…んな事…」
なんでだい。今、僕の事が好きなはずなのに。
魔/法は効いているはずなのに。抵抗する方が辛いはずなのに。
「そんなに僕には恋したくないのかな?結構ショックだよ。」
シバサの目がまた見開き僕を見つめる。
「だって、先生に恋したって…」
「うん?」
「俺は、辛いだけじゃねぇか…」
僕に恋をしたら、シバサが辛い?
「どういう事だい?」
シバサの目尻に溜まっていた涙がまたポロポロ落ちてきた。
「先生は、授業でやってるだけじゃねぇか…俺は、本当に好きん...
その後、俺の気持ちは、どこに行けばいいんだよ…」
…ああ、どうしよう。
「だから、だから先生には恋したくねぇんだよ!」
どうしよう。
かわいい。なんてかわいいんだろう、この子は。
こんなかわいい子にそんな思いをさせていたなんて。
僕は本当に先生失格だな。
「シバサ…それなら心配要らないよ。心おきなく僕に恋してほし...
「恋したら、魔法で、元に戻すのか?」
泣きながら喋るシバサは声がとぎれとぎれで、
それすらなんだかもう、すごくかわいく思える。
「いいや、違うよシバサ。よく聞いて。」
シバサの涙を指で拭う。
泣かせちゃったのは、二度目だね…。
「まずは謝らないとね。ごめんよ、翼。僕は嫉妬したんだ。君...
「…えっ」
「シバサ…僕はどうやら君に恋をしたようなんだ。」
その言葉にはじかれたようにシバサが身体を離した。
「う、嘘だ!」
「本当だよ。」
「嘘だ。先生魔/法かかってないくせに、いい加減な事言うな!...
「そうだよ。僕には魔/法がかかっていない。その状態で君にキ...
「あ…」
「このまま君の魔/法を解きたくないくらいだよ」
またシバサを引き寄せて強く抱きしめる。
「シバサ、君が好きだよ。」
しばらくの沈黙。
僕もシバサを抱きしめる以外何もできなかった。
シバサはただただ無言で僕に抱きしめられていた。
シバサがどんな顔をしているのか見たくて少し身体を離した。
「シバサ…」
シバサはゆっくり顔をあげた。
その顔に怒りは無い。少し、ホッとした。
僕を見つめながら、シバサは息を飲んだ。
「先生、として、かよ」
真意がわからなくて、顔を傾けて続きを促す。
「俺の事…先生として好きって事かよ」
「違うよ…先生と生徒じゃない。光として、シバサが好きだよ。...
「…じゃあ、俺も好きになっても、いいのかよ…」
「いいに決まってるじゃないか…むしろそれを強く望んでいるよ...
シバサの目が泳ぐ。
鼻が赤くなって、横を向いてしまった。
「す…」
「…何だい?」
グッと唇を噛みしめる。
また今にも泣きだしそうだ。
「ごめんよ、意地悪したね。もう泣かないで、シバサ…」
「…るせえ!!…好きだつってんだよ!」
言って、僕の胸に顔をうずめてきた。
ああ。
ああもう。
ごめんねシバサ。君にはどうにも悪戯心が芽を出してしまうみ...
僕は少し細工をした。
「よく言えたね、シバサ。ご褒美をあげるよ。」
シバサの顎をすくい上げて、チュッと音がするような軽いくち...
「何すんだよ…っ」
「うん。ごめんね。もう意地悪しないよ、シバサ。」
また抱きしめる。
「かわいいね、シバサは。」
頭を撫でる。
「だから早く僕の事を好きになりなさい、シバサ。」
「…っさっき、言ったばっかりじゃねぇか…っ!聞いてなかった...
「今も好きかい?」
「んな短時間で変わるわけねぇだろうが!だいたい、魔/法がか...
シバサが飛び起きる。
「あんた、まさか…」
僕はにっこり笑って、魔/法解除の切符をシバサに見せた。
「うん。もう解けてるんだよね。魔/法。」
「い、いつの間に、あんた…!」
「気付かなかったのかな?おかしいなぁ、全然違うはずなんだ...
「っっ!!…ほんっと、爽やかな顔して性格悪ぃなあんた!!」
「怒ってる顔もかわいいよ、シバサ。」
僕も起きあがり、シバサを抱きしめてそのまま倒れるように寝...
「は、離せヘンタイっ!!」
「何もしないよ。…まだね。じゃ、おやすみなさい、シバサ。」
魔/法で部屋の電気を消す。
シバサは抱き合ったまま寝転がっている事に不服なようだ。
まだブツブツ何か言っている。
「…本当に大好きだよ、シバサ。」
抱きしめる腕に力を込めた。
「…。」
「シバサも僕の事が好きかい?」
「…。」
シバサは何も言わない。
だけど抱きしめられていることに抵抗もしない。
シバサはしばらく黙った後、返事の変わりに僕にギュッとしが...
____________
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「シバサ、君に宿題だよ。…僕に恋をして。」
僕、光は小図家5兄弟の魔/法の先生。
只今小図家に居候中。
次男のシバサに宿題を出してから四週間が過ぎようとしていた。
シバサはほかの子より想像力が足りないので、てっとりばやく...
だって、恋した人間の想像力って、計り知れないものがあるじ...
この授業をするようになってからというもの、シバサの事を色...
例えばにんじんは嫌いだけど、お兄ちゃんに言われたら一つだ...
放課に明日のデートどの服がいいか選んでと頼まれたら嫌そう...
商店街でくじ引きがあると裏羅に駆り出されては何か賞品を持...
隣に座っていた貝がうとうとして倒れ込んできたら頭を叩くも...
そっけない、だけどとても優しい子だ。
家族を心から愛している情の深い子だ。
自立心が高く、甘えたりしない、いつでも気丈に振る舞って…
だけどお母さんが居なくなった時は戦えなかったのだとお兄ち...
…かわいいなぁ…
「シバサ、僕の事が好きかい?」
「なんスか突然。…てか、いちいち聞くなっ」
「だって聞きたいんだからしょうがないよ。」
「しょうがなくねぇよ」
「シバサ、早く僕の事を好きになりなさい。」
「命令形かよっ!無茶言うな。そんな簡単に…………だいたい、」
「ん?」
「…なんでもねぇ」
「なんでもない顔じゃないじゃない。」
「なんでもねぇ!」
「シバサ、先生に隠し事は困るな。」
真剣な目で見つめればシバサは困った顔になった。
押しに弱い所があるよね、シバサは。言わないけどね。
「…俺が…俺が先生の事す、好きになったら、先生どうすんだよ…...
「そりゃあ、嬉しいよ。」
「…として、かよ…」
「え?」
なんだろう、声が小さくて、よく聞こえなかった。
「…やめる」
「え?」
「やめる!俺、先生の事好きになるのやめる。だいたい、恋な...
他の誰かにするから、それでいいだろ!」
そりゃ、いいと言えばいいんだけど…
あれ?いいと言えば、いいはずなんだけど。
自分でもよくわからなくて黙っていたらそれを肯定と取ったら...
「…じゃ、出会いを求めて外行って来る。」
そう呟くとダッシュで魔/法部屋を出ていった。
シバサの口から出会いを求めるとかすごい言葉が飛び出したも...
まあ…お手並み拝見と行こうかな。
なんて言ったものの、なんだか落ち着かない。本を読んでも頭...
早く帰ってくればいいのにシバサはお昼にも帰ってこなかった...
今日はスパゲティーだったのにね。おいしかったのにね。
三時のおやつはマフィンと紅茶。なんだか葉を入れすぎたかも...
いつの間にシバサの分まで入れるクセがついてしまったのかな...
夕方になってからやっとシバサが帰ってきた。
すかさず後ろに立った。
「やあ、おかえり。どうだった?」
「…まぁまぁ」
気配もなくいきなり後ろに立っても驚かなくなったのでつまら...
まぁまぁ?よくわからないな。はっきりしなさい。
シバサの顔はむすっとしていたけれど、普段から仏頂面だから...
「じゃ、俺先風呂入っから」
「待ちなさいシバサ。」
思わず腕を掴んで止めてしまった。
あれ?
「今夜も一緒に寝るからね。」
「…なんでだよ。俺はもう、先生には…」
「わかっているよ。僕にも少し考えがあってね。」
「なんだよ考えって。」
「ちょっとね。じゃ、後で部屋に行くからねー。」
半ば強引に押し切った。
シバサが押しに弱くて良かった。
困ったな。なんだか僕は少し、怒っているのかもしれない。
「シバサ、入るよ。」
「あー、はい。」
初めて一緒に寝てからだいぶ経っているからシバサも慣れたも...
すでにベッドに寝転がって魔/法書を読みながらこちらを見もせ...
これだ。この、慣れがいけないんだよね。
「今日はちょっと特別授業をするからね。」
「特別授業?」
「シバサが早く誰かに恋ができるようにねー。」
誰かに、の部分の声に力が入ってしまった気がする。
「疑似体験できる魔/法があるんだよ。これで恋を疑似体験して...
キョトンとしているシバサが何か言う前にすかさずチケットを...
なんか僕、焦ってる?
魔/法の効き目は即効性。みるみるシバサに効いてきた。
途端、寝転がっていたシバサが起き上がり、僕を見て目を丸く...
「な、何…」
シバサはTシャツの心臓あたりを掴んだ。
「…これが恋だよ、シバサ。」
にっこり笑って見せたら、シバサの顔が朱に染まった。
今、シバサは僕に恋をしている。
…疑似体験だけどね。
ベッドにあがろうとすると、シバサが壁ギリギリまで後退した。
「どうしたんだい?」
「やめろよ、くんなっ…」
「いつもしてる事だろう?」
「いつも、こんなんじゃねぇっ…」
初めて一緒に寝た時より数倍初々しい反応を示すシバサがとて...
大丈夫だから、となだめても言うことを聞かない。
「先生、これ、やめてくれよ、やだよこれ」
「やめないよ。大丈夫だよ。何もしないから。」
「当たり前だろ!い、今なんかされたら俺、」
「へぇ。どうなるのか見てみたいなぁ」
「ふざけんな!」
目尻が紅くなる。
「シバサ、僕の事好きだろう?」
真剣な顔で見つめているつもりだけど、少し笑っているかもし...
怯えるシバサの腕を掴んで引き寄せると小さい悲鳴が聞こえた。
「好きって言ってごらん。」
シバサの震える身体を抱きしめて耳元で囁いた。
「絶対嫌だ!!」
「言わないとずっとこの魔/法解いてあげないよ。」
「いやだ!」
耳にくちづける。
少し離して頬にもくちづけた。
「言わないと何かしちゃうよ。」
「い…」
本当はイヤじゃないよね。僕の事好きだものね。
その事はわかっているし、僕にわかられているのも、シバサは...
「僕の事を好きだと言いなさい、シバサ。」
シバサの紅くなった目尻に羞恥と困惑の涙が溜まる。
「やりすぎだろ、先生っ!」
僕もこんな事までするつもりは無かったんだけどね。
今日一日考えていたけれど、認めざるを得ないかな。
この感情のいきつく所は一つ、嫉妬だ。
僕はシバサの事で嫉妬しているんだ。
シバサに恋をさせるはずが、なんてことだろう。
いつの間にか嫉妬するほど僕の方がシバサに恋をしていたんだ。
だけど気付いた所でこの嫉妬は止まらない。
肩を押してベッドに組み敷いた。
「ほら、早く言わないと。」
「冗談だろ…!」
「この状況でかい?」
シバサは激しく抵抗したらそれこそ冗談では無くなるのを恐れ...
「いいかい、言えばすぐにやめてあげるからね。」
逃げ道を作る。シバサと、…僕の。
何が起こるのかわからない恐怖にシバサの目は見開いたままだ。
恐がらないでシバサ…僕は君にヒドイ事をしたいわけじゃないん...
ジッと見つめると、シバサも見つめ返してきた。
それはたぶん、目をそらせなかっただけなのだろうけれど。
「シバサ…」
シバサの顔の両側に手を付き、ゆっくりと顔を近付けた。
おでこに一つ、頬に一つ、唇を落とす。
シバサの両手が僕の肩に当てられる。けれど力は込められない。
押し返して抵抗しようか迷っているようだ。
「まだ言ってくれないのかい?それなら…」
僕の視線はシバサの紅い唇に向かう。
その視線に気付いたシバサが手に少し力を入れたけれど、僕は...
とっさには避けられない速度で唇を重ねた。
「んっ」
シバサの手が肩を掴む。
少し触れて唇を離すと、肩にかかった手に力がこもった。
けれど押しが弱いのをいいことに、そのまま角度を変えて何度...
ギュッと目を閉じたシバサの目尻からは涙が溢れていた。
「どうして我慢するんだい?好きって言うだけなんだよ、シバ...
「…言いたくねぇ…でも、こんなのも嫌だ、先生っ」
傷付けて、しまっただろうか。
「なんで言ってくれないのかな。今なら、簡単な事なのに」
シバサが弱々しく抵抗する。
「言えるかよ…んな事…」
なんでだい。今、僕の事が好きなはずなのに。
魔/法は効いているはずなのに。抵抗する方が辛いはずなのに。
「そんなに僕には恋したくないのかな?結構ショックだよ。」
シバサの目がまた見開き僕を見つめる。
「だって、先生に恋したって…」
「うん?」
「俺は、辛いだけじゃねぇか…」
僕に恋をしたら、シバサが辛い?
「どういう事だい?」
シバサの目尻に溜まっていた涙がまたポロポロ落ちてきた。
「先生は、授業でやってるだけじゃねぇか…俺は、本当に好きん...
その後、俺の気持ちは、どこに行けばいいんだよ…」
…ああ、どうしよう。
「だから、だから先生には恋したくねぇんだよ!」
どうしよう。
かわいい。なんてかわいいんだろう、この子は。
こんなかわいい子にそんな思いをさせていたなんて。
僕は本当に先生失格だな。
「シバサ…それなら心配要らないよ。心おきなく僕に恋してほし...
「恋したら、魔法で、元に戻すのか?」
泣きながら喋るシバサは声がとぎれとぎれで、
それすらなんだかもう、すごくかわいく思える。
「いいや、違うよシバサ。よく聞いて。」
シバサの涙を指で拭う。
泣かせちゃったのは、二度目だね…。
「まずは謝らないとね。ごめんよ、翼。僕は嫉妬したんだ。君...
「…えっ」
「シバサ…僕はどうやら君に恋をしたようなんだ。」
その言葉にはじかれたようにシバサが身体を離した。
「う、嘘だ!」
「本当だよ。」
「嘘だ。先生魔/法かかってないくせに、いい加減な事言うな!...
「そうだよ。僕には魔/法がかかっていない。その状態で君にキ...
「あ…」
「このまま君の魔/法を解きたくないくらいだよ」
またシバサを引き寄せて強く抱きしめる。
「シバサ、君が好きだよ。」
しばらくの沈黙。
僕もシバサを抱きしめる以外何もできなかった。
シバサはただただ無言で僕に抱きしめられていた。
シバサがどんな顔をしているのか見たくて少し身体を離した。
「シバサ…」
シバサはゆっくり顔をあげた。
その顔に怒りは無い。少し、ホッとした。
僕を見つめながら、シバサは息を飲んだ。
「先生、として、かよ」
真意がわからなくて、顔を傾けて続きを促す。
「俺の事…先生として好きって事かよ」
「違うよ…先生と生徒じゃない。光として、シバサが好きだよ。...
「…じゃあ、俺も好きになっても、いいのかよ…」
「いいに決まってるじゃないか…むしろそれを強く望んでいるよ...
シバサの目が泳ぐ。
鼻が赤くなって、横を向いてしまった。
「す…」
「…何だい?」
グッと唇を噛みしめる。
また今にも泣きだしそうだ。
「ごめんよ、意地悪したね。もう泣かないで、シバサ…」
「…るせえ!!…好きだつってんだよ!」
言って、僕の胸に顔をうずめてきた。
ああ。
ああもう。
ごめんねシバサ。君にはどうにも悪戯心が芽を出してしまうみ...
僕は少し細工をした。
「よく言えたね、シバサ。ご褒美をあげるよ。」
シバサの顎をすくい上げて、チュッと音がするような軽いくち...
「何すんだよ…っ」
「うん。ごめんね。もう意地悪しないよ、シバサ。」
また抱きしめる。
「かわいいね、シバサは。」
頭を撫でる。
「だから早く僕の事を好きになりなさい、シバサ。」
「…っさっき、言ったばっかりじゃねぇか…っ!聞いてなかった...
「今も好きかい?」
「んな短時間で変わるわけねぇだろうが!だいたい、魔/法がか...
シバサが飛び起きる。
「あんた、まさか…」
僕はにっこり笑って、魔/法解除の切符をシバサに見せた。
「うん。もう解けてるんだよね。魔/法。」
「い、いつの間に、あんた…!」
「気付かなかったのかな?おかしいなぁ、全然違うはずなんだ...
「っっ!!…ほんっと、爽やかな顔して性格悪ぃなあんた!!」
「怒ってる顔もかわいいよ、シバサ。」
僕も起きあがり、シバサを抱きしめてそのまま倒れるように寝...
「は、離せヘンタイっ!!」
「何もしないよ。…まだね。じゃ、おやすみなさい、シバサ。」
魔/法で部屋の電気を消す。
シバサは抱き合ったまま寝転がっている事に不服なようだ。
まだブツブツ何か言っている。
「…本当に大好きだよ、シバサ。」
抱きしめる腕に力を込めた。
「…。」
「シバサも僕の事が好きかい?」
「…。」
シバサは何も言わない。
だけど抱きしめられていることに抵抗もしない。
シバサはしばらく黙った後、返事の変わりに僕にギュッとしが...
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
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作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
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