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71-63
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#title(偽兄弟)
とあるアーティストさんのPVを見て滾った勢いで書きました。...
殺人・暴行・薬物描写ありでめちゃくちゃバッドエンド注意。...
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
──そんなつもりじゃなかったんだ。
お前が傷付いていくのをこれ以上見たくなくて、止めたかった...
助けたかった。
救いたかった。
だから俺は──…
家に帰って来るなり台所に駆け込んで行ったアイツに嫌な予感...
後を追うと案の定、シンクに向かって咳き込んでいる。震える...
「おい、しっかりしろ」
「ぅう……うぇっ」
「またアレ飲んだな?水飲んで全部吐け」
「っ、ゲホッ!んぐっ、うぅ」
フラつく身体を支えつつ背中を擦る。何度か水を口に含んでは...
「はぁ…はぁ……苦しぃ……っ、気持ち悪いよ…」
「そうなるのはわかってたことだろ!何度やれば気が済むんだ」
「……っ…!ぅ…っ」
「もう止めるって約束したのに……どうしてお前はっ…!」
苦しんでいる最中の弟をつい非難してしまう。弟といっても血...
コイツはあまりにも酷い家庭環境で育ち、自分やお袋さんを虐...
全身を真っ赤に汚して泣きながら俺のところに辿り着いたコイ...
でも自分とそんなに歳も変わらない人間の面倒を見きれるほど...
そんな状況で、彼が一時の快楽に救いを見い出してしまうのを...
昔は愛嬌たっぷりで目を奪われるほど華やかな笑顔をしてたア...
俺にできるのは、時々ネジが外れたような笑い声を上げて自分...
「…どのくらい飲んだ」
「……ぇへへ………兄ちゃんには…あげなーい……全部僕のだ」
「っ!?まさかお前っ……!」
咄嗟に彼の財布をひったくって中身を確認する。今朝生活費に...
「……全部注ぎ込んだのか…!?」
「全部ちゃんと飲んだもん……怒らないでよ…」
「は!?お前死ぬぞ!早く吐き出せ!!」
「何言ってんの兄ちゃん……飲んだ水は吐き出せないんだよー…知...
「バカ!!何言ってんだよ!早く吐けって!!」
一気に血の気が引いた俺は無理やりにでも水を飲ませようとし...
「っっ!!」
その音がアイツのトラウマに突き刺さる。
──アル中だった親父さんに酒瓶で殴られる音。
定まっていなかった視線が俺で止まり、恐怖と混乱で見開かれ...
「うわぁああっ!!」
パニックに陥った彼が叫びながら腕を振るい、俺の頬を弾き飛...
どうにかして腹の中のものを出させたいと考えるあまり、俺は...
「うぐっ!っ、がはっ!!」
「っ…すまん、でもこうしないとっ…!!」
「っっ、ぐ、ぇ…っ、ゴホゴホッ!」
彼が俺から逃げるように腹を押さえながらシンクに寄りかかる...
「はぁ…っ、許せ……お前のためなんだ…!」
「……ぅ……うぅ…っ、ううぅ…!!」
「…?」
「っうああぁぁああ!!!」
すると次の瞬間、弟が獣のような唸り声を上げながら俺に向か...
「うるさい…!消えろ!!」
「!?」
「消えろ消えろ消えろ消えろぉ!!消えろ!!消えろっ、消え...
そのまま彼は俺の腹に向かって何度も拳を振り下ろした。
親父さんの影を消そうとしてるように。自分に襲いかかる脅威...
半狂乱になって、悲鳴を上げながら、何度も何度も必死に。
俺は抵抗出来なかった。取り返しのつかないことになったと思...
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……はあ………っ…ぁ……?」
「……っぅ……」
「………あれ…?兄ちゃん……?」
しばらくして動かなくなった俺に気付いたのか、一瞬弟が冷静...
そして自分の手を見て、自分の身体を見た。
「…ぁ……え?」
「……ごほっ…」
俺の口から咳と一緒に熱い何かが零れた。それは弟の手や身体...
彼の手にはシンクの横に置いたままだった包丁が握られていた。
「に、ぃ…ちゃん……?」
呆然と俺を見下ろす弟は、自分が何をしたかを悟った。
親父さんにそうしたように、俺をメッタ刺しにしてしまったの...
彼の震える手から包丁が床に落ちる。肩を大きく揺らして息を...
──あぁ、泣かせてしまった。
「……ご…めん、な……」
「っ、ごめん……ごめんね、兄ちゃん……あぁ、なんで僕、こんな...
弟は俺に開いた穴を両手で塞ごうとした。だけどズタズタにな...
「……俺が、悪か……っ、お前、を……殴る、な……て」
「兄ちゃん……兄ちゃん……っ!!」
「ご……め…っ、ごふっ…」
ちゃんと謝りたかったのに上手く声が出ない。
苦しみ続けた弟に俺は何もしてやれなかった。
いや。しなかったどころか、追い詰めてトドメをさした。
見てみろ。涙で濡れる瞳から感情が消えていく。
後悔も絶望も怒りも全部なくなって、ただの真黒い穴みたいに...
弟は天を仰いで一言、溜息と一緒にか細い声を漏らした。
まるで何かが抜け出ていったように見えて、多分それが、彼が...
「…………ごめんね兄ちゃん」
もう一度俺に目を向けた彼の口元は不自然に歪んでいた。
そういう風に見えただけかもしれない。だって俺の意識はもう...
窓から射した月明かりに照らされた弟は、涙と血で彩られてこ...
それが彼の本当の姿だったのかもしれないなんて思うのは、き...
傍観してただけで彼を救えなかった事実から目を背けようとし...
「──……っ」
力を振り絞って弟の名を呼んだ。返事はない。
その代わりに唇が降ってくる。
彼が飲んだあの毒々しい甘みと、俺が吐いた血の味。
混じり合わせるように何度も深く重なって、離れていく。
「僕はこれから地獄へ行くから、もう会えないね」
温もりを感じない声が耳元に届く。
「さよなら。兄ちゃん」
そしてのしかかっていた重みが消え、覚束無い足音が遠ざかっ...
──何言ってるんだ。どこへ行く気だ。何するつもりだ。
バカな真似するんじゃないだろうな。戻ってこい。行っちゃダ...
「…………ぃ……く、な……」
──行くな。
行かないでくれ。
俺を独りにしないでくれ。
世界が恐ろしいほど静かになる。
全身を包む冷たさが俺の罪を突き付ける。
弟に家族を殺させ、俺を殺させ、自分を殺させた。
──こんなつもりじゃなかったんだ。
お前が傷付いていくのをこれ以上見たくなくて、止めたかった...
助けたかった。
救いたかった。
だから俺はお前を抱き締めたはずだったのに──
あの時引き留めずに自首させてれば、それより早く手を差し伸...
でももう遅い。
俺は何も出来なかった。
悔しくて、情けなくて、哀れで堪らなくて、俺の目から涙が零...
自分の返り血が混じって赤く滲んだ涙が目尻を伝って床に落ち...
そしてずっと遠くで、何かが潰れる音がする。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
投稿してるうちにレス数が増えてしまいましたすみません
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とあるアーティストさんのPVを見て滾った勢いで書きました。...
殺人・暴行・薬物描写ありでめちゃくちゃバッドエンド注意。...
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──そんなつもりじゃなかったんだ。
お前が傷付いていくのをこれ以上見たくなくて、止めたかった...
助けたかった。
救いたかった。
だから俺は──…
家に帰って来るなり台所に駆け込んで行ったアイツに嫌な予感...
後を追うと案の定、シンクに向かって咳き込んでいる。震える...
「おい、しっかりしろ」
「ぅう……うぇっ」
「またアレ飲んだな?水飲んで全部吐け」
「っ、ゲホッ!んぐっ、うぅ」
フラつく身体を支えつつ背中を擦る。何度か水を口に含んでは...
「はぁ…はぁ……苦しぃ……っ、気持ち悪いよ…」
「そうなるのはわかってたことだろ!何度やれば気が済むんだ」
「……っ…!ぅ…っ」
「もう止めるって約束したのに……どうしてお前はっ…!」
苦しんでいる最中の弟をつい非難してしまう。弟といっても血...
コイツはあまりにも酷い家庭環境で育ち、自分やお袋さんを虐...
全身を真っ赤に汚して泣きながら俺のところに辿り着いたコイ...
でも自分とそんなに歳も変わらない人間の面倒を見きれるほど...
そんな状況で、彼が一時の快楽に救いを見い出してしまうのを...
昔は愛嬌たっぷりで目を奪われるほど華やかな笑顔をしてたア...
俺にできるのは、時々ネジが外れたような笑い声を上げて自分...
「…どのくらい飲んだ」
「……ぇへへ………兄ちゃんには…あげなーい……全部僕のだ」
「っ!?まさかお前っ……!」
咄嗟に彼の財布をひったくって中身を確認する。今朝生活費に...
「……全部注ぎ込んだのか…!?」
「全部ちゃんと飲んだもん……怒らないでよ…」
「は!?お前死ぬぞ!早く吐き出せ!!」
「何言ってんの兄ちゃん……飲んだ水は吐き出せないんだよー…知...
「バカ!!何言ってんだよ!早く吐けって!!」
一気に血の気が引いた俺は無理やりにでも水を飲ませようとし...
「っっ!!」
その音がアイツのトラウマに突き刺さる。
──アル中だった親父さんに酒瓶で殴られる音。
定まっていなかった視線が俺で止まり、恐怖と混乱で見開かれ...
「うわぁああっ!!」
パニックに陥った彼が叫びながら腕を振るい、俺の頬を弾き飛...
どうにかして腹の中のものを出させたいと考えるあまり、俺は...
「うぐっ!っ、がはっ!!」
「っ…すまん、でもこうしないとっ…!!」
「っっ、ぐ、ぇ…っ、ゴホゴホッ!」
彼が俺から逃げるように腹を押さえながらシンクに寄りかかる...
「はぁ…っ、許せ……お前のためなんだ…!」
「……ぅ……うぅ…っ、ううぅ…!!」
「…?」
「っうああぁぁああ!!!」
すると次の瞬間、弟が獣のような唸り声を上げながら俺に向か...
「うるさい…!消えろ!!」
「!?」
「消えろ消えろ消えろ消えろぉ!!消えろ!!消えろっ、消え...
そのまま彼は俺の腹に向かって何度も拳を振り下ろした。
親父さんの影を消そうとしてるように。自分に襲いかかる脅威...
半狂乱になって、悲鳴を上げながら、何度も何度も必死に。
俺は抵抗出来なかった。取り返しのつかないことになったと思...
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……はあ………っ…ぁ……?」
「……っぅ……」
「………あれ…?兄ちゃん……?」
しばらくして動かなくなった俺に気付いたのか、一瞬弟が冷静...
そして自分の手を見て、自分の身体を見た。
「…ぁ……え?」
「……ごほっ…」
俺の口から咳と一緒に熱い何かが零れた。それは弟の手や身体...
彼の手にはシンクの横に置いたままだった包丁が握られていた。
「に、ぃ…ちゃん……?」
呆然と俺を見下ろす弟は、自分が何をしたかを悟った。
親父さんにそうしたように、俺をメッタ刺しにしてしまったの...
彼の震える手から包丁が床に落ちる。肩を大きく揺らして息を...
──あぁ、泣かせてしまった。
「……ご…めん、な……」
「っ、ごめん……ごめんね、兄ちゃん……あぁ、なんで僕、こんな...
弟は俺に開いた穴を両手で塞ごうとした。だけどズタズタにな...
「……俺が、悪か……っ、お前、を……殴る、な……て」
「兄ちゃん……兄ちゃん……っ!!」
「ご……め…っ、ごふっ…」
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苦しみ続けた弟に俺は何もしてやれなかった。
いや。しなかったどころか、追い詰めてトドメをさした。
見てみろ。涙で濡れる瞳から感情が消えていく。
後悔も絶望も怒りも全部なくなって、ただの真黒い穴みたいに...
弟は天を仰いで一言、溜息と一緒にか細い声を漏らした。
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「…………ごめんね兄ちゃん」
もう一度俺に目を向けた彼の口元は不自然に歪んでいた。
そういう風に見えただけかもしれない。だって俺の意識はもう...
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それが彼の本当の姿だったのかもしれないなんて思うのは、き...
傍観してただけで彼を救えなかった事実から目を背けようとし...
「──……っ」
力を振り絞って弟の名を呼んだ。返事はない。
その代わりに唇が降ってくる。
彼が飲んだあの毒々しい甘みと、俺が吐いた血の味。
混じり合わせるように何度も深く重なって、離れていく。
「僕はこれから地獄へ行くから、もう会えないね」
温もりを感じない声が耳元に届く。
「さよなら。兄ちゃん」
そしてのしかかっていた重みが消え、覚束無い足音が遠ざかっ...
──何言ってるんだ。どこへ行く気だ。何するつもりだ。
バカな真似するんじゃないだろうな。戻ってこい。行っちゃダ...
「…………ぃ……く、な……」
──行くな。
行かないでくれ。
俺を独りにしないでくれ。
世界が恐ろしいほど静かになる。
全身を包む冷たさが俺の罪を突き付ける。
弟に家族を殺させ、俺を殺させ、自分を殺させた。
──こんなつもりじゃなかったんだ。
お前が傷付いていくのをこれ以上見たくなくて、止めたかった...
助けたかった。
救いたかった。
だから俺はお前を抱き締めたはずだったのに──
あの時引き留めずに自首させてれば、それより早く手を差し伸...
でももう遅い。
俺は何も出来なかった。
悔しくて、情けなくて、哀れで堪らなくて、俺の目から涙が零...
自分の返り血が混じって赤く滲んだ涙が目尻を伝って床に落ち...
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