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#title(語るも夢)
※ナマモノ注意、枯れ専注意
昇天の紫緑です。
時系列は218〜の「地獄雨でもどこまでも」と228〜の「今じゃ...
紫の視線が完全に犬のそれだったのと、緑の一人称がたまに「...
連投して申し訳ないですが、何とぞご容赦を……
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
電球の切れた和室の窓枠に腰掛け、満月にすっぽり輪郭を収...
ああ、弁天小僧菊之助か。
「さすりましょうか?」
花の茎のようにぴんと伸びた背筋がいつの間にかゆるやかに...
「気持ちだけで十分だよ、ありがとう」
しわの増えた顔が歪み、愛用のジッポでピースに火をつける。
「師匠の機嫌とらなくていいのかい?」
「年寄りは敬えってのが一門の掟なんでね」
「俺の方が歳下だっての」
実を言うと最初の最初だけ「お前はどっちが大事なんだい?...
寄席ではこうも行くまいが、この番組特有の穏やかな空気に...
「しかし、お前も歳とったね。俺はそのくらいの時にはもう...
高々と積まれた藍色の座布団と白い肌の拮抗に目がくらみそ...
「私も、こんなに長続きするなんて思いもしませんでした。...
「いくらネタにしていいっつったって、こんな何十年もくそ...
嫌味のようにも取られかねない言葉の端々に、慈愛がにじみ...
若い時分から懐の深さで慕われているこの人の隣に選ばれた...
今や丁々発止の罵倒合戦は名物のひとつに数えられているが...
視聴者や観客の無言のうちに訴えかける要望に応えるのと、...
どこぞの女学生のような気恥ずかしい感情を、この人は知っ...
「師匠が毎度毎度律儀に返してくれるから、ついつい甘えて...
様式美と化したほんの束の間のやりとりの中でだけ、独り占...
このひとときだけはたったふたりきりだという幸せな欺瞞に...
「いけない人だよ、剣呑剣呑」
煙を吐き出す細い喉と、肘先を支える立膝の具合の悪さに、...
芸の道であれば、瞬きする程度の短い間でも心と体がこちら...
まだ酔いの残る脳みそが最初に捉えたその画角には、皺だら...
「起きたかい?」
「私は、なにを……」
酒に焼けた声は途切れ途切れで、狼狽と恐怖で震えていた。...
「覚えてねえのか?」
顎を掴まれてぐいと顔を寄せる格好になって、張り倒される...
「知らざあ言って聞かせやしょう」
ああ、菊之助だ。菊之助がここにいる。
「……この助平、与太郎、腹黒の音痴」
かすん、と間抜けな音がして、タバコの箱で頭を叩かれたの...
「女に不足はねえだろうに、なんてことしてくれてんだよ」
「……すいません」
「ぶるぶる震えてる暇あったらとっととそのイカくさい体洗...
それでようやく、自分が情けない格好のままで寝入ってしま...
「師匠、あの……」
「あ?」
「私……私は」
「俺が告げ口するようなケツの穴の小せえ男に見えるか?さ...
帯のあたりを撫でながら箪笥の中をあさり、バスタオルを取...
「いいか、誰にも言うんじゃねえぞ。もしバレたらかみさん...
「……はい」
「よしよし、いい子だ。あとはもうちょーっとだけやさーし...
くつくつと漏れる笑い声に、一瞬盛大な勘違いをしてしまい...
「……善処します」
「おえらい先生方みてえなことしか言えねえのかよ」
「恥ずかしいんです」
じっとりとこちらを睨めつけていた視線の、触れれば切れそ...
「次の収録は頑張れよ。……俺をネタにしていいから」
タオルと自分の髪の間に手が差し込まれ、乱れた髪の上を滑...
「……ありがとうございます」
「その代わり、滑ったら上納金持ってこい」
「剣呑剣呑」
あれもすでに20年近く前の記憶だ。
あれから幾度か体を重ねたが、じっと耐えるように息を漏ら...
ほんのしばしの間だけ心の通い合う奇跡があるとしたら、や...
「私は師匠の飼い犬ですよ」
「おお、そうだったのかい!クロや、お手」
それでいい、他に何を望む必要があるだろう。
「わん」
「ふふっ、いい子だ」
まだ長命のタバコは無残に潰され、乗せた手を軽く握られた...
首に縄をつけるよりもたやすい心の捉え方を、この人は生家...
(知らざあ言って聞かせやしょう)
ああ菊之助、応えておくれ。
どうかその手を差し出してくれ。
宵の淵なぞ怖くもないさ。
お前の目だけが灯籠だ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
#comment
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※ナマモノ注意、枯れ専注意
昇天の紫緑です。
時系列は218〜の「地獄雨でもどこまでも」と228〜の「今じゃ...
紫の視線が完全に犬のそれだったのと、緑の一人称がたまに「...
連投して申し訳ないですが、何とぞご容赦を……
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
電球の切れた和室の窓枠に腰掛け、満月にすっぽり輪郭を収...
ああ、弁天小僧菊之助か。
「さすりましょうか?」
花の茎のようにぴんと伸びた背筋がいつの間にかゆるやかに...
「気持ちだけで十分だよ、ありがとう」
しわの増えた顔が歪み、愛用のジッポでピースに火をつける。
「師匠の機嫌とらなくていいのかい?」
「年寄りは敬えってのが一門の掟なんでね」
「俺の方が歳下だっての」
実を言うと最初の最初だけ「お前はどっちが大事なんだい?...
寄席ではこうも行くまいが、この番組特有の穏やかな空気に...
「しかし、お前も歳とったね。俺はそのくらいの時にはもう...
高々と積まれた藍色の座布団と白い肌の拮抗に目がくらみそ...
「私も、こんなに長続きするなんて思いもしませんでした。...
「いくらネタにしていいっつったって、こんな何十年もくそ...
嫌味のようにも取られかねない言葉の端々に、慈愛がにじみ...
若い時分から懐の深さで慕われているこの人の隣に選ばれた...
今や丁々発止の罵倒合戦は名物のひとつに数えられているが...
視聴者や観客の無言のうちに訴えかける要望に応えるのと、...
どこぞの女学生のような気恥ずかしい感情を、この人は知っ...
「師匠が毎度毎度律儀に返してくれるから、ついつい甘えて...
様式美と化したほんの束の間のやりとりの中でだけ、独り占...
このひとときだけはたったふたりきりだという幸せな欺瞞に...
「いけない人だよ、剣呑剣呑」
煙を吐き出す細い喉と、肘先を支える立膝の具合の悪さに、...
芸の道であれば、瞬きする程度の短い間でも心と体がこちら...
まだ酔いの残る脳みそが最初に捉えたその画角には、皺だら...
「起きたかい?」
「私は、なにを……」
酒に焼けた声は途切れ途切れで、狼狽と恐怖で震えていた。...
「覚えてねえのか?」
顎を掴まれてぐいと顔を寄せる格好になって、張り倒される...
「知らざあ言って聞かせやしょう」
ああ、菊之助だ。菊之助がここにいる。
「……この助平、与太郎、腹黒の音痴」
かすん、と間抜けな音がして、タバコの箱で頭を叩かれたの...
「女に不足はねえだろうに、なんてことしてくれてんだよ」
「……すいません」
「ぶるぶる震えてる暇あったらとっととそのイカくさい体洗...
それでようやく、自分が情けない格好のままで寝入ってしま...
「師匠、あの……」
「あ?」
「私……私は」
「俺が告げ口するようなケツの穴の小せえ男に見えるか?さ...
帯のあたりを撫でながら箪笥の中をあさり、バスタオルを取...
「いいか、誰にも言うんじゃねえぞ。もしバレたらかみさん...
「……はい」
「よしよし、いい子だ。あとはもうちょーっとだけやさーし...
くつくつと漏れる笑い声に、一瞬盛大な勘違いをしてしまい...
「……善処します」
「おえらい先生方みてえなことしか言えねえのかよ」
「恥ずかしいんです」
じっとりとこちらを睨めつけていた視線の、触れれば切れそ...
「次の収録は頑張れよ。……俺をネタにしていいから」
タオルと自分の髪の間に手が差し込まれ、乱れた髪の上を滑...
「……ありがとうございます」
「その代わり、滑ったら上納金持ってこい」
「剣呑剣呑」
あれもすでに20年近く前の記憶だ。
あれから幾度か体を重ねたが、じっと耐えるように息を漏ら...
ほんのしばしの間だけ心の通い合う奇跡があるとしたら、や...
「私は師匠の飼い犬ですよ」
「おお、そうだったのかい!クロや、お手」
それでいい、他に何を望む必要があるだろう。
「わん」
「ふふっ、いい子だ」
まだ長命のタバコは無残に潰され、乗せた手を軽く握られた...
首に縄をつけるよりもたやすい心の捉え方を、この人は生家...
(知らざあ言って聞かせやしょう)
ああ菊之助、応えておくれ。
どうかその手を差し出してくれ。
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