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65-20
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#title(紫陽花)
殺し屋さんの不良少年と不良中年で、年下視点の父の日ネタ。
劇中のあんなことやこんなことが片付いて、事務所を構え直し...
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
岩西の事務所に向かう途中、アジサイが目に留まって、花屋...
ち止まった。青、青紫、赤紫と微妙に違う色のアジサイの中央...
じくらい混ぜたような紫の花と、青と黄色をちょうど同じくら...
輝いていて、無性に腹が立った。ムカつく理由は分かってる。...
だ。普段はあいつの性格をそのまま映したみたいに暗く冷たい...
受けると淡く柔らかい色になる、紫色の目と緑色の髪。くそ、...
「お好きなんですか?」
「誰が! あんな奴大っ嫌いだ!」
背後からふわりと耳に届いた甘ったるい声に、反射的に怒鳴...
少し年上くらいの、背の低い茶髪の女が、驚いた顔で俺を凝視...
けているから、多分、花屋の店員だ。しまった、と思う。この...
きかどうか聞いてるのに、とんちんかんなことを口走っちまっ...
いつかねぇ俺が固まっていると、女はにっこりと微笑んだ。
「そっか、大っ嫌いなんですね。分かる分かる。私もすっごい...
中年の男性って、何でみんなああなんでしょうね?」
どうやら俺は、自分では気付かずに、何か独り言を呟いてい...
ーキじゃねぇか。何もかもあのカマキリのせいだ、ちくしょう。
「あいつに比べたら、そいつは百万倍マシな人間だと思うぜ?」
「そうかなぁ」
そうだよ、だからその上司で我慢しとけよ。心の中でそう言...
を再び動かそうとすると、女はアジサイを見下ろしながら、俺...
「紫陽花ってね、こんなに綺麗な花なのに、花言葉は結構辛辣...
浮気、高慢、無情、冷淡――まあ、愛情や家族を象徴する花でも...
俺もアジサイを見下ろす。
「……ふーん」
人間が勝手にその花の意味を決め付けるなんて、イカれてる...
「おひとつ、いかがですか? 驚くと思いますよ。驚いた顔、...
わざとじゃないのかもしれねぇけど、人に媚びるような笑顔...
男なら、喜んで買うんだろうな。水商売でもやれば、結構金稼...
「別に。あんな奴に物をくれてやるなんて、想像しただけで反...
俺は買わねぇ、という意味を込めて女の横顔を睨んでやった...
つめている女は気付かない。
「あげなくてもいいんですよ。あなたが花束を持ってるところ...
に締りが無くなりますから。喜んでいるところを、鼻で笑って...
に飾りたくて、自分のために買って来ただけだ、何勘違いして...
っと見つめてたってことは、アジサイはお好きなんでしょう?」
面倒臭い。周りに人が居なければ、とっくに顔を殴っていた...
必死になるのは、生きるために必死になるのは当たり前だ。買...
放される。だから、仕方無く買ってやることにした。
事務所のドアを開けて、岩西が踏ん反り返っているデスクに...
「遅ぇぞクソガキ! 大人をどれだけ待たせるんだ。ジャック...
花束なんて似合わねぇもんを持ってる俺を見た岩西は、眼鏡...
見開いて、ぽかんと口を開けた後、顔をにやつかせた。
「ひひっ。何だ? その花束は。爆弾でも入ってんじゃねぇだ...
驚いた顔も、締りの無ぇ顔も、バカみたいでケッサクだ。俺...
的を達成したあとは、もう女の言葉に従う必要は無い。俺は俺...
「花屋の店員にムリヤリ買わされた。俺は要らねぇから、事務...
俺は花束を岩西のデスクに置いた。岩西は意味ありげに俺を...
を鳴らして、小刻みに肩を震わせている。何かが変だ。何だよ...
「ひっひっひっ……はははははははは!」
今度は、俺が目を見開いて、ぽかんと口を開けるはめになっ...
う可笑しそうに、楽しそうに、文字通り腹を抱えてけたけたと...
このまま革椅子から落ちるか、革椅子ごと引っくり返るんじゃ...
にこれに当てはまる四文字熟語があったような……何だっけ。ホ...
ットー?
「……ひーっ……死ぬ……腹痛い……!」
ああ、そうだな。本当に笑い死にそうだよ、お前。低い声が...
が浮かんでいた。涙に濡れた紫から、雨に濡れたアジサイを連...
もんと、この人でなしが繋がっていいはずがないのに。
「何なんだよ岩西! 花買って来たくらいで、そこまで笑わな...
俺が叫ぶように言うと、岩西は眼鏡を外して涙を指で拭った...
がら俺の顔を見る。
「蝉。さてはお前、今日が何の日か知らねぇだろ?」
「ああ?」
俺だって、祝日くらいは何となく覚えてる。けど、俺の記憶...
も書いちゃいない。六月に祝日は無い。今日はただの日曜日だ...
「騙そうったってそうはいかねぇよ。六月に祝日は無いぜ?」
岩西は眼鏡を掛け直すと、今度は真面目な顔をして俺を見た。
「父の日だよ」
「チチの日?」
岩西はまたにやにやと笑う。
「おっと、おっぱいの日じゃねぇぞ。今日はな、オトーサンの...
で買ったんなら、ポスターが貼ってあったろ? 六月の第三日...
ちを込めて、大切な人に花を贈りませんか――ってな」
ポスターなんか見てないけど、思い出しちまった。五月の日...
あったはずだ。そういえば、あの花屋、妙に客が多かったよう...
年の男性」って、もしかして。つーことは、多分、嘘じゃ、な...
「そうかそうか、お前は俺のことを父親みてぇだと思ってたの...
蝉。くくっ……」
「違っ……俺が買ったのは、そのっ、綺麗だと思って、自分で鑑...
熱い。顔が熱い。もうマジ訳分かんねぇ。
「ほー、『綺麗だと思って』買ったのか。『花屋の店員にムリ...
なかったんだな。『自分で鑑賞しようと』……ねぇ。『俺は要ら...
も飾っとけ』って言ったのは、どこのどいつだったっけか?」
そうだよ、それを言ったのはお前んとこの俺だよ。何も言い...
「ありがとうな、息子よ。お父さんは涙が出るくらい嬉しいぜ...
「気色悪ぃこと言うな! 殺すぞ!」
「ごめんな、先月のこどもの日は何も用意しなくてさ。来年も...
んと用意するから。くっ……ははははは! マジで傑作だぜ、こ...
岩西は、またホーフクゼットーし始めた。
「笑うな、笑うな、笑うなーっ!」
岩西も花屋の店員も半殺しにしてやりたいけど、笑ってる岩...
たことの無い普通の男みたいに見えるのは、ほんのちょっとだ...
特別に許してやるよ。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
#comment
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#title(紫陽花)
殺し屋さんの不良少年と不良中年で、年下視点の父の日ネタ。
劇中のあんなことやこんなことが片付いて、事務所を構え直し...
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岩西の事務所に向かう途中、アジサイが目に留まって、花屋...
ち止まった。青、青紫、赤紫と微妙に違う色のアジサイの中央...
じくらい混ぜたような紫の花と、青と黄色をちょうど同じくら...
輝いていて、無性に腹が立った。ムカつく理由は分かってる。...
だ。普段はあいつの性格をそのまま映したみたいに暗く冷たい...
受けると淡く柔らかい色になる、紫色の目と緑色の髪。くそ、...
「お好きなんですか?」
「誰が! あんな奴大っ嫌いだ!」
背後からふわりと耳に届いた甘ったるい声に、反射的に怒鳴...
少し年上くらいの、背の低い茶髪の女が、驚いた顔で俺を凝視...
けているから、多分、花屋の店員だ。しまった、と思う。この...
きかどうか聞いてるのに、とんちんかんなことを口走っちまっ...
いつかねぇ俺が固まっていると、女はにっこりと微笑んだ。
「そっか、大っ嫌いなんですね。分かる分かる。私もすっごい...
中年の男性って、何でみんなああなんでしょうね?」
どうやら俺は、自分では気付かずに、何か独り言を呟いてい...
ーキじゃねぇか。何もかもあのカマキリのせいだ、ちくしょう。
「あいつに比べたら、そいつは百万倍マシな人間だと思うぜ?」
「そうかなぁ」
そうだよ、だからその上司で我慢しとけよ。心の中でそう言...
を再び動かそうとすると、女はアジサイを見下ろしながら、俺...
「紫陽花ってね、こんなに綺麗な花なのに、花言葉は結構辛辣...
浮気、高慢、無情、冷淡――まあ、愛情や家族を象徴する花でも...
俺もアジサイを見下ろす。
「……ふーん」
人間が勝手にその花の意味を決め付けるなんて、イカれてる...
「おひとつ、いかがですか? 驚くと思いますよ。驚いた顔、...
わざとじゃないのかもしれねぇけど、人に媚びるような笑顔...
男なら、喜んで買うんだろうな。水商売でもやれば、結構金稼...
「別に。あんな奴に物をくれてやるなんて、想像しただけで反...
俺は買わねぇ、という意味を込めて女の横顔を睨んでやった...
つめている女は気付かない。
「あげなくてもいいんですよ。あなたが花束を持ってるところ...
に締りが無くなりますから。喜んでいるところを、鼻で笑って...
に飾りたくて、自分のために買って来ただけだ、何勘違いして...
っと見つめてたってことは、アジサイはお好きなんでしょう?」
面倒臭い。周りに人が居なければ、とっくに顔を殴っていた...
必死になるのは、生きるために必死になるのは当たり前だ。買...
放される。だから、仕方無く買ってやることにした。
事務所のドアを開けて、岩西が踏ん反り返っているデスクに...
「遅ぇぞクソガキ! 大人をどれだけ待たせるんだ。ジャック...
花束なんて似合わねぇもんを持ってる俺を見た岩西は、眼鏡...
見開いて、ぽかんと口を開けた後、顔をにやつかせた。
「ひひっ。何だ? その花束は。爆弾でも入ってんじゃねぇだ...
驚いた顔も、締りの無ぇ顔も、バカみたいでケッサクだ。俺...
的を達成したあとは、もう女の言葉に従う必要は無い。俺は俺...
「花屋の店員にムリヤリ買わされた。俺は要らねぇから、事務...
俺は花束を岩西のデスクに置いた。岩西は意味ありげに俺を...
を鳴らして、小刻みに肩を震わせている。何かが変だ。何だよ...
「ひっひっひっ……はははははははは!」
今度は、俺が目を見開いて、ぽかんと口を開けるはめになっ...
う可笑しそうに、楽しそうに、文字通り腹を抱えてけたけたと...
このまま革椅子から落ちるか、革椅子ごと引っくり返るんじゃ...
にこれに当てはまる四文字熟語があったような……何だっけ。ホ...
ットー?
「……ひーっ……死ぬ……腹痛い……!」
ああ、そうだな。本当に笑い死にそうだよ、お前。低い声が...
が浮かんでいた。涙に濡れた紫から、雨に濡れたアジサイを連...
もんと、この人でなしが繋がっていいはずがないのに。
「何なんだよ岩西! 花買って来たくらいで、そこまで笑わな...
俺が叫ぶように言うと、岩西は眼鏡を外して涙を指で拭った...
がら俺の顔を見る。
「蝉。さてはお前、今日が何の日か知らねぇだろ?」
「ああ?」
俺だって、祝日くらいは何となく覚えてる。けど、俺の記憶...
も書いちゃいない。六月に祝日は無い。今日はただの日曜日だ...
「騙そうったってそうはいかねぇよ。六月に祝日は無いぜ?」
岩西は眼鏡を掛け直すと、今度は真面目な顔をして俺を見た。
「父の日だよ」
「チチの日?」
岩西はまたにやにやと笑う。
「おっと、おっぱいの日じゃねぇぞ。今日はな、オトーサンの...
で買ったんなら、ポスターが貼ってあったろ? 六月の第三日...
ちを込めて、大切な人に花を贈りませんか――ってな」
ポスターなんか見てないけど、思い出しちまった。五月の日...
あったはずだ。そういえば、あの花屋、妙に客が多かったよう...
年の男性」って、もしかして。つーことは、多分、嘘じゃ、な...
「そうかそうか、お前は俺のことを父親みてぇだと思ってたの...
蝉。くくっ……」
「違っ……俺が買ったのは、そのっ、綺麗だと思って、自分で鑑...
熱い。顔が熱い。もうマジ訳分かんねぇ。
「ほー、『綺麗だと思って』買ったのか。『花屋の店員にムリ...
なかったんだな。『自分で鑑賞しようと』……ねぇ。『俺は要ら...
も飾っとけ』って言ったのは、どこのどいつだったっけか?」
そうだよ、それを言ったのはお前んとこの俺だよ。何も言い...
「ありがとうな、息子よ。お父さんは涙が出るくらい嬉しいぜ...
「気色悪ぃこと言うな! 殺すぞ!」
「ごめんな、先月のこどもの日は何も用意しなくてさ。来年も...
んと用意するから。くっ……ははははは! マジで傑作だぜ、こ...
岩西は、またホーフクゼットーし始めた。
「笑うな、笑うな、笑うなーっ!」
岩西も花屋の店員も半殺しにしてやりたいけど、笑ってる岩...
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