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61-103
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#title(オリジナル 「蟲の居る世界・1」)
完全オリジナルファンタジー。元ネタなし
親友同士・寄生生物・洗脳・介護・監禁・拘束・無理矢理?
構想30分ですが、ちょこっとだけ続きます。
どう見ても山なし・意味なし・オチなしの為の設定ですが、今...
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| カマキリから...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| でも触...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
ある夜、俺は何かの気配を感じて目を覚ました。
半分寝ぼけたまま視線を巡らせると、隣のベッドで寝てるはず...
それだけなら、何も問題ねぇ。トイレに起きたんだろう、で済...
――だけど、俺は気付いちまった。
親友・レンの瞳が、いつもの銀色ではなく、アクアマリンの光...
身体中の血の気がさっと引いて、一気に目が覚めた。
慌てて飛び起き、レンの肩を強く揺さぶる。――畜生、こんな事...
「レン!!おい、しっかりしろ!!」
「……ライ、ゼ?如何したんだ?何を…?」
驚いたように俺を見上げるその瞳からは、既にアクアマリンの...
…だけど。
言葉を交わすのももどかしくて、俺はレンの服の裾を掴んで、...
「ばっ、馬鹿!!いきなり何するんだ!」
「何するんだじゃねぇよ…レンお前、『蟲』に寄生されてるじゃ...
色の白いレンの下腹には、くっきりと紺色の紋様が浮かび上が...
――この世界には、蟲と呼ばれる生き物が居る。
蟲は、うねうねしたミミズのでっかいのみたいな気色悪りぃ生...
目も耳もねぇ、知性があるとは到底思えねぇ外見だ。
どうやってか知らねぇが人間に寄生し、十分に成長したら腹を...
当然、腹を食い破られた人間は死んじまう。
寄生されると下腹に紋様が出て来て、それの濃さで蟲の成長度...
この紋様は、寄生度合いを示す一種のバロメーターだ。
寄生を防ぐ手段はねぇ。
「綺麗な水ばかり飲んでると寄生される」とか「見た目がいい...
体感として判るのは、「一度寄生された奴は、また寄生やすい...
ん?一度寄生されたら死ぬんじゃって?
いや、死なずに済む方法はある。
腹の中から出て来させねぇか、腹の中から出て来る前に蟲を殺...
蟲が腹の中から出て来るには、ある条件を満たす必要がある。
一つは、十分に成長する事。もう一つは、水辺に行く事。
…そう。連中が腹を食い破って出て来るのは、水辺と決まってる...
蟲は水の中の生き物だ。陸に引っ張り上げてやると、干からび...
水場以外で出て来るのは、自殺行為だと知ってるんだろう。
「なら、水辺に近づかなきゃいい」と思いがちだが…此処が奴等...
蟲は、ある程度成長すると、腹の中から宿主を操れるようにな...
操って、水のある所に行きたくって堪らなくさせるって話だ。
実際、これを我慢しようとして狂い死んだ人を知ってる。若く...
相当な覚悟で挑んだらしいけど…。まあ、それだけ強力なんだろ...
だけど、腹の中で蟲が死ぬまで耐え切れれば助かるって話だ。
助かる方法は、もう一つある。ってか、こっちの方が手っ取り...
腹の中に居る蟲を殺せば、水辺に行きたい衝動も消える。当然...
今の所、虫を殺せると判ってるのは『精液』だけだ。他のモン...
要するに、後ろを一発ヤられちまえば助かるってわけだ。女で...
――だけどそれには、一つ問題があった。
「………嫌だ。」
「レン、お前…ワガママ言ってる場合じゃねぇって事くらい解か...
「それでも嫌だ。…如何して俺が、女の様な真似をされなけらば...
「このままだと死ぬんだぞ?!お前、それでもいいのかッ!」
「死ぬ気は無い。蟲が死ぬまで耐え切れば済むだけの話だ。」
ふいっと視線を逸らしたレンの横顔を眺めつつ、俺は深い溜息...
命懸かってんのにゴネるか?普通。
――いや、予想通りっちゃ予想通りだけどさ。
銀の髪、銀の目。いくら日に当たっても焼けねぇ肌、華奢な体...
やれ「男にしておくのは勿体ない」だの「そこらの女より綺麗...
レンは、『女っぽく見える自分』に深いコンプレックスを持つ...
その結果『男らしくある事』に拘ってるし、かなりの努力も積...
こんなに細っこいのに力は相当なモンだし、喧嘩もめっぽう強...
身長も体格も俺の方が恵まれてるが、ぶっちゃけレンに勝てる...
…俺だって、そこまで弱くねぇとは思うんだけど。まあ、程度の...
でないと、自分が惨め過ぎる。
とにかく、(外見はどうあれ)レンはものすごく男らしい。そ...
一度言い出したら聞かねぇってのは、親友兼家族であるこの俺...
現に、紋様がここまで濃くなる間、黙って一人で耐えてたんだ。
俺が反対しようがどうしようが、考え直したりはまずしねぇ。
誰かに頼んで無理矢理ヤってもらおうかとも思ったが、レンの...
…ってか、そんな事してレンの恨み買ったら俺が死ぬ。
色々考えたが、俺も腹をくくる事にした。
「…しゃーねぇ。そこまで言うんだったら協力してやるよ。」
「流石ライゼだ。話が早くて助かる。」
溜息混じりにそう言うと、レンはにっと笑って応えた。
…見慣れてるはずのその顔が、なぜか胸をぎゅっと締め付けて来...
「死ぬんじゃねぇぞ」って言ったら、「ああ」という短い返事...
その日から、俺達と蟲との闘いが始まった。
レンの目に現れたアクアマリンの光。…それは、蟲がレンを操れ...
要するに、水場さえあればいつ蟲に食い破られてもおかしくね...
…気付けてよかったな。マジでギリギリのタイミングだったけど...
だから、俺が最初にしたのは、レンの周囲から徹底的に水を遠...
と言っても、完全にじゃない。そんな事をしたら、蟲が死ぬ前...
蟲はでかい。その身体が完全に浸かるくらいの水がない場所で...
だから、コップはセーフ。手桶もセーフ。
タライはセーフかアウトか悩んだけど、万が一アウトだったら...
部屋には内側からだけど錠を掛けて、鍵は俺が持ってる。
どこに隠し持ってるか、レンにも知られないようにした。もち...
特に何事もなく、丸一日が過ぎた。
今は、沐浴が出来なくなっちまったレンの身体を拭いてやって...
手桶に湯を張り、タオルを固く絞る。
もう長い事一緒に暮らしてるし、下着姿で居るのを見ても今更...
だけど、こんな事をしてやるのは流石に初めてだったから、ガ...
タオル越しに触れた白い肌からは、薄い筋肉と骨の感触が伝わ...
――元から細っこい奴だけど…少し痩せたんじゃねぇか?
「…こうしていると、何だか重病人にでもなった気分だな。」
「ちょっと気ぃ抜いたら死ぬんだぞ?十分重病人じゃねぇか。」
「違いない。」
くつくつと笑うレンを見てると、コイツの体内に蟲が居るなん...
こんな細っこい身体の中に、あんなにでかい蟲が入ってるなん...
…例え、よく見ると下腹が少し膨らんでるようにも見えるとして...
だけど…紋様は、最初に見た時より確実に濃くなってやがる。
思わず睨みつけちまいつつも、身体を拭いてやってたら…突然、...
濃紺色だったはずの紋様が、淡いアクアマリンの光を放ち始め...
ぼんやり光ったかと思うと、
反射的に見上げると、レンの瞳にも同じ光が宿っていた。
――まずい。
そう思った次の瞬間、俺はレンに思いっきり突き飛ばされた。
だけど、床に転がりながら感じたのは違和感。
――俺、今…思いっきり突き飛ばされた、よな?
思考を巡らせている間に、レンは扉に辿り着き、力尽くで錠を...
そんなんで開くわけねぇはずだけど、万が一って事もある。
慌てて立ち上がると、レンの肩を掴んで床に引き倒した。
柔らかく癖のない銀髪が、床に散らばる。
すぐさま馬乗りになって、細い手首を掴んで床に押し付けた。
アクアマリンの光を宿したまま、抵抗の素振りを見せるレン。
――ああ、やっぱりそうだ。コイツ…。
「ライゼ…?俺は一体…。」
戸惑いを含んだ声で我に返ると、銀色の目が俺を見上げてた。
さっきまで感じていた、手首を押し返そうとする力も今はねぇ。
取りあえず、正気には戻ったらしい。予断は許されねぇ状態だ...
「…蟲に操られてた。覚えてねぇのか?」
「いや、朧気には。外に出る事しか考えられなくなって…。そう...
呟き、眉間に皺を寄せる。
辛そうにも見えるし、何か思案してるようにも見える顔。
…言いてぇ事は色々あったが、俺はレンの次の言葉を待った。
「…ライゼ、頼みがある。」
「何だ?言えよ。」
「俺を縛り付けてくれないか?自力では、絶対解けない様に。」
「なっ…?!」
「頼む。…意思が勝てなくなり始めた以上、そうするしか無い。...
「レン……。」
「今回は運良く取り押さえて貰えたが…。お前と俺の腕力を考え...
「…それなんだけどさ、レン。」
レンの視線を避けるようにして、俺はさっき立てた仮説を口に...
親友を縛り上げるなんてしたくねぇ。その一心で。
――だけど、それは間違いだった。
「お前……力、弱くなってねぇか?」
レンの瞳が見開かれ、表情が歪む。
それを見て、ようやく俺は、レンのプライドを傷つける発言を...
当然だ。
レンは『男らしくある事』…ひいては、『強くある事』に相当執...
俺より弱いなんてのは、レンの中での絶対許せない事のTOP5入...
…例え、その原因が何だったとしても。
「ッ、いいから縛れ!!」
部屋中に、レンの怒声が響き渡る。
やっちまった。…完全に意地になってやがる。
「俺は弱くなってなんかいない!!お前なんて簡単に振り解け...
今は操られてねぇはずなのに、組み敷いた身体は、さっきより...
それでも俺を振り解けねぇって事実に激昂して、動きも声もど...
このまま続けさせたら、レンの身体が持たねぇ。
…力が弱くなってんのだって、ここまで耐え続けた事で体力を失...
あんなモンが身体の中に居て、平気で居られるわけがねぇんだ。
肉体的にも精神的にも、レンは少しずつ追い詰められてる。
なるべく、表に出さねぇようにしてるみてぇだけど…それが分か...
俺の親とレンの親が流行り病で死んじまってから、ずっと二人...
こんな事で死なせて堪るかよッ!!
「分かった、縛る!!縛ってやるから、大人しくしやがれ!」
そう言った瞬間、レンの身体からずるりと力が抜けた。
…ったく、やっぱり無理してやがったな。
レンの上から退いて身体を助け起こしてやると、「済まない」...
それは、俺が今まで聞いた事ねぇくらい弱々しい声だった。
レンをベッドに横たえ、両腕を上げさせる。
そのままじゃ太すぎるので、タオルを縦に裂き、両手首を拘束...
…強く締めすぎねぇように。レンの細い指が、結び目に届いてし...
縛りつけた手首を、別のタオルでベッドの柵に固定する。
後から思えば、縛る前に服を着せてやった方がよかった気がす...
「こんな感じでいいか?」
「……。」
しばらく引っ張ったり動かしたりしてみた後、解けない事に満...
「そっか。なら寝ちまえ。」
他にする事もねぇだろうしと思って言った一言は、次の瞬間否...
「…駄目だ。」
「なんでだよ?」
「蟲が五月蝿い。気を抜くと、乗っ取られそうだ。」
思わず息を呑む。それって、つまり…。
「ずっと、頭の中で『声』がするんだ。…お前に気付かれた時は...
――あの時から…いや、ああなる前から今まで寝てないって事じゃ...
「だけどお前、それじゃ…!」
「蟲が死ぬまで、眠る訳にはいかないな。」
蟲の寿命なんて詳しく知らねぇが、今日明日の話じゃねぇのは...
それまで寝ないで耐え続けるなんて、どう考えても無理だ。本...
「…なあ、もうやめようぜ。今からでも誰かに」
「ふざけるな!!死ぬ気は無いが、あんな事をされるなら死ん...
俺の言葉は、即座に否定された。
レン自身、無謀だって事には気付いてるんだろう。ただ、折れ...
折れるくらいなら、死んだ方がマシだって思ってやがるに違い...
俺は、レンを死なせたくねぇ。それだけなのに。
――どうしろって言うんだよ。
身体は蟲に寄生されて、心は追い詰められて。
服もほとんど着てねぇまま、両腕を縛り上げられて。
それでも、レンは俺を睨むのをやめねぇ。…真っ直ぐな銀の眼差...
強い意志を宿したそれに耐えられそうになくて、思わず視線を...
…訪れる、気まずい沈黙。
重苦しいそれを破ったのは、レンの方だった。
「ライゼ、もし俺が……。」
柔らかい調子に変わった声に、顔を上げた。
さっきとは違って、銀の瞳は穏やかな光を湛えてる。
「もし俺が、蟲に負けてしまったら…その時は」
いや、穏やかになったんじゃねぇ。これは――。
「……俺を殺せ。食い破、られる…前に、な。」
――今にも消えそうなんだ。
「頼ん、だ…ぞ。ライ………ゼ」
「ッ、レン!!しっかりしやがれ、縁起でもねぇ事言うな!」
肩を引っ掴んで、滅茶苦茶に揺さぶる。
畜生!どうしてコイツは、ロクでもねぇ頼み事ばっかしやがる...
いくらなんでも、そんなの聞けるわけねぇだろ!?ちったぁ考...
情けない声で名前を呼び続ける俺を見上げて、レンが小さく微...
その唇が、形だけで謝罪の言葉を紡ぐ。
――目を見開いて固まった俺は、とんでもなく間の抜けた顔をし...
ゆっくりと、瞼が閉じられてく。
レンの身体から力が抜け、首がかくんと落ちるのを、俺は絶望...
支援ありがとうございます。
でも、さるさん引っ掛かってしまった。ごめん。
次回から9回以内で収まるように組み立てるよ。
少しでも、姐さん達の燃料になりますように。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| とりあえず前...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 勢いで始...
| | | | ...
| | [][] PAUSE. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
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#title(オリジナル 「蟲の居る世界・1」)
完全オリジナルファンタジー。元ネタなし
親友同士・寄生生物・洗脳・介護・監禁・拘束・無理矢理?
構想30分ですが、ちょこっとだけ続きます。
どう見ても山なし・意味なし・オチなしの為の設定ですが、今...
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| カマキリから...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| でも触...
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
ある夜、俺は何かの気配を感じて目を覚ました。
半分寝ぼけたまま視線を巡らせると、隣のベッドで寝てるはず...
それだけなら、何も問題ねぇ。トイレに起きたんだろう、で済...
――だけど、俺は気付いちまった。
親友・レンの瞳が、いつもの銀色ではなく、アクアマリンの光...
身体中の血の気がさっと引いて、一気に目が覚めた。
慌てて飛び起き、レンの肩を強く揺さぶる。――畜生、こんな事...
「レン!!おい、しっかりしろ!!」
「……ライ、ゼ?如何したんだ?何を…?」
驚いたように俺を見上げるその瞳からは、既にアクアマリンの...
…だけど。
言葉を交わすのももどかしくて、俺はレンの服の裾を掴んで、...
「ばっ、馬鹿!!いきなり何するんだ!」
「何するんだじゃねぇよ…レンお前、『蟲』に寄生されてるじゃ...
色の白いレンの下腹には、くっきりと紺色の紋様が浮かび上が...
――この世界には、蟲と呼ばれる生き物が居る。
蟲は、うねうねしたミミズのでっかいのみたいな気色悪りぃ生...
目も耳もねぇ、知性があるとは到底思えねぇ外見だ。
どうやってか知らねぇが人間に寄生し、十分に成長したら腹を...
当然、腹を食い破られた人間は死んじまう。
寄生されると下腹に紋様が出て来て、それの濃さで蟲の成長度...
この紋様は、寄生度合いを示す一種のバロメーターだ。
寄生を防ぐ手段はねぇ。
「綺麗な水ばかり飲んでると寄生される」とか「見た目がいい...
体感として判るのは、「一度寄生された奴は、また寄生やすい...
ん?一度寄生されたら死ぬんじゃって?
いや、死なずに済む方法はある。
腹の中から出て来させねぇか、腹の中から出て来る前に蟲を殺...
蟲が腹の中から出て来るには、ある条件を満たす必要がある。
一つは、十分に成長する事。もう一つは、水辺に行く事。
…そう。連中が腹を食い破って出て来るのは、水辺と決まってる...
蟲は水の中の生き物だ。陸に引っ張り上げてやると、干からび...
水場以外で出て来るのは、自殺行為だと知ってるんだろう。
「なら、水辺に近づかなきゃいい」と思いがちだが…此処が奴等...
蟲は、ある程度成長すると、腹の中から宿主を操れるようにな...
操って、水のある所に行きたくって堪らなくさせるって話だ。
実際、これを我慢しようとして狂い死んだ人を知ってる。若く...
相当な覚悟で挑んだらしいけど…。まあ、それだけ強力なんだろ...
だけど、腹の中で蟲が死ぬまで耐え切れれば助かるって話だ。
助かる方法は、もう一つある。ってか、こっちの方が手っ取り...
腹の中に居る蟲を殺せば、水辺に行きたい衝動も消える。当然...
今の所、虫を殺せると判ってるのは『精液』だけだ。他のモン...
要するに、後ろを一発ヤられちまえば助かるってわけだ。女で...
――だけどそれには、一つ問題があった。
「………嫌だ。」
「レン、お前…ワガママ言ってる場合じゃねぇって事くらい解か...
「それでも嫌だ。…如何して俺が、女の様な真似をされなけらば...
「このままだと死ぬんだぞ?!お前、それでもいいのかッ!」
「死ぬ気は無い。蟲が死ぬまで耐え切れば済むだけの話だ。」
ふいっと視線を逸らしたレンの横顔を眺めつつ、俺は深い溜息...
命懸かってんのにゴネるか?普通。
――いや、予想通りっちゃ予想通りだけどさ。
銀の髪、銀の目。いくら日に当たっても焼けねぇ肌、華奢な体...
やれ「男にしておくのは勿体ない」だの「そこらの女より綺麗...
レンは、『女っぽく見える自分』に深いコンプレックスを持つ...
その結果『男らしくある事』に拘ってるし、かなりの努力も積...
こんなに細っこいのに力は相当なモンだし、喧嘩もめっぽう強...
身長も体格も俺の方が恵まれてるが、ぶっちゃけレンに勝てる...
…俺だって、そこまで弱くねぇとは思うんだけど。まあ、程度の...
でないと、自分が惨め過ぎる。
とにかく、(外見はどうあれ)レンはものすごく男らしい。そ...
一度言い出したら聞かねぇってのは、親友兼家族であるこの俺...
現に、紋様がここまで濃くなる間、黙って一人で耐えてたんだ。
俺が反対しようがどうしようが、考え直したりはまずしねぇ。
誰かに頼んで無理矢理ヤってもらおうかとも思ったが、レンの...
…ってか、そんな事してレンの恨み買ったら俺が死ぬ。
色々考えたが、俺も腹をくくる事にした。
「…しゃーねぇ。そこまで言うんだったら協力してやるよ。」
「流石ライゼだ。話が早くて助かる。」
溜息混じりにそう言うと、レンはにっと笑って応えた。
…見慣れてるはずのその顔が、なぜか胸をぎゅっと締め付けて来...
「死ぬんじゃねぇぞ」って言ったら、「ああ」という短い返事...
その日から、俺達と蟲との闘いが始まった。
レンの目に現れたアクアマリンの光。…それは、蟲がレンを操れ...
要するに、水場さえあればいつ蟲に食い破られてもおかしくね...
…気付けてよかったな。マジでギリギリのタイミングだったけど...
だから、俺が最初にしたのは、レンの周囲から徹底的に水を遠...
と言っても、完全にじゃない。そんな事をしたら、蟲が死ぬ前...
蟲はでかい。その身体が完全に浸かるくらいの水がない場所で...
だから、コップはセーフ。手桶もセーフ。
タライはセーフかアウトか悩んだけど、万が一アウトだったら...
部屋には内側からだけど錠を掛けて、鍵は俺が持ってる。
どこに隠し持ってるか、レンにも知られないようにした。もち...
特に何事もなく、丸一日が過ぎた。
今は、沐浴が出来なくなっちまったレンの身体を拭いてやって...
手桶に湯を張り、タオルを固く絞る。
もう長い事一緒に暮らしてるし、下着姿で居るのを見ても今更...
だけど、こんな事をしてやるのは流石に初めてだったから、ガ...
タオル越しに触れた白い肌からは、薄い筋肉と骨の感触が伝わ...
――元から細っこい奴だけど…少し痩せたんじゃねぇか?
「…こうしていると、何だか重病人にでもなった気分だな。」
「ちょっと気ぃ抜いたら死ぬんだぞ?十分重病人じゃねぇか。」
「違いない。」
くつくつと笑うレンを見てると、コイツの体内に蟲が居るなん...
こんな細っこい身体の中に、あんなにでかい蟲が入ってるなん...
…例え、よく見ると下腹が少し膨らんでるようにも見えるとして...
だけど…紋様は、最初に見た時より確実に濃くなってやがる。
思わず睨みつけちまいつつも、身体を拭いてやってたら…突然、...
濃紺色だったはずの紋様が、淡いアクアマリンの光を放ち始め...
ぼんやり光ったかと思うと、
反射的に見上げると、レンの瞳にも同じ光が宿っていた。
――まずい。
そう思った次の瞬間、俺はレンに思いっきり突き飛ばされた。
だけど、床に転がりながら感じたのは違和感。
――俺、今…思いっきり突き飛ばされた、よな?
思考を巡らせている間に、レンは扉に辿り着き、力尽くで錠を...
そんなんで開くわけねぇはずだけど、万が一って事もある。
慌てて立ち上がると、レンの肩を掴んで床に引き倒した。
柔らかく癖のない銀髪が、床に散らばる。
すぐさま馬乗りになって、細い手首を掴んで床に押し付けた。
アクアマリンの光を宿したまま、抵抗の素振りを見せるレン。
――ああ、やっぱりそうだ。コイツ…。
「ライゼ…?俺は一体…。」
戸惑いを含んだ声で我に返ると、銀色の目が俺を見上げてた。
さっきまで感じていた、手首を押し返そうとする力も今はねぇ。
取りあえず、正気には戻ったらしい。予断は許されねぇ状態だ...
「…蟲に操られてた。覚えてねぇのか?」
「いや、朧気には。外に出る事しか考えられなくなって…。そう...
呟き、眉間に皺を寄せる。
辛そうにも見えるし、何か思案してるようにも見える顔。
…言いてぇ事は色々あったが、俺はレンの次の言葉を待った。
「…ライゼ、頼みがある。」
「何だ?言えよ。」
「俺を縛り付けてくれないか?自力では、絶対解けない様に。」
「なっ…?!」
「頼む。…意思が勝てなくなり始めた以上、そうするしか無い。...
「レン……。」
「今回は運良く取り押さえて貰えたが…。お前と俺の腕力を考え...
「…それなんだけどさ、レン。」
レンの視線を避けるようにして、俺はさっき立てた仮説を口に...
親友を縛り上げるなんてしたくねぇ。その一心で。
――だけど、それは間違いだった。
「お前……力、弱くなってねぇか?」
レンの瞳が見開かれ、表情が歪む。
それを見て、ようやく俺は、レンのプライドを傷つける発言を...
当然だ。
レンは『男らしくある事』…ひいては、『強くある事』に相当執...
俺より弱いなんてのは、レンの中での絶対許せない事のTOP5入...
…例え、その原因が何だったとしても。
「ッ、いいから縛れ!!」
部屋中に、レンの怒声が響き渡る。
やっちまった。…完全に意地になってやがる。
「俺は弱くなってなんかいない!!お前なんて簡単に振り解け...
今は操られてねぇはずなのに、組み敷いた身体は、さっきより...
それでも俺を振り解けねぇって事実に激昂して、動きも声もど...
このまま続けさせたら、レンの身体が持たねぇ。
…力が弱くなってんのだって、ここまで耐え続けた事で体力を失...
あんなモンが身体の中に居て、平気で居られるわけがねぇんだ。
肉体的にも精神的にも、レンは少しずつ追い詰められてる。
なるべく、表に出さねぇようにしてるみてぇだけど…それが分か...
俺の親とレンの親が流行り病で死んじまってから、ずっと二人...
こんな事で死なせて堪るかよッ!!
「分かった、縛る!!縛ってやるから、大人しくしやがれ!」
そう言った瞬間、レンの身体からずるりと力が抜けた。
…ったく、やっぱり無理してやがったな。
レンの上から退いて身体を助け起こしてやると、「済まない」...
それは、俺が今まで聞いた事ねぇくらい弱々しい声だった。
レンをベッドに横たえ、両腕を上げさせる。
そのままじゃ太すぎるので、タオルを縦に裂き、両手首を拘束...
…強く締めすぎねぇように。レンの細い指が、結び目に届いてし...
縛りつけた手首を、別のタオルでベッドの柵に固定する。
後から思えば、縛る前に服を着せてやった方がよかった気がす...
「こんな感じでいいか?」
「……。」
しばらく引っ張ったり動かしたりしてみた後、解けない事に満...
「そっか。なら寝ちまえ。」
他にする事もねぇだろうしと思って言った一言は、次の瞬間否...
「…駄目だ。」
「なんでだよ?」
「蟲が五月蝿い。気を抜くと、乗っ取られそうだ。」
思わず息を呑む。それって、つまり…。
「ずっと、頭の中で『声』がするんだ。…お前に気付かれた時は...
――あの時から…いや、ああなる前から今まで寝てないって事じゃ...
「だけどお前、それじゃ…!」
「蟲が死ぬまで、眠る訳にはいかないな。」
蟲の寿命なんて詳しく知らねぇが、今日明日の話じゃねぇのは...
それまで寝ないで耐え続けるなんて、どう考えても無理だ。本...
「…なあ、もうやめようぜ。今からでも誰かに」
「ふざけるな!!死ぬ気は無いが、あんな事をされるなら死ん...
俺の言葉は、即座に否定された。
レン自身、無謀だって事には気付いてるんだろう。ただ、折れ...
折れるくらいなら、死んだ方がマシだって思ってやがるに違い...
俺は、レンを死なせたくねぇ。それだけなのに。
――どうしろって言うんだよ。
身体は蟲に寄生されて、心は追い詰められて。
服もほとんど着てねぇまま、両腕を縛り上げられて。
それでも、レンは俺を睨むのをやめねぇ。…真っ直ぐな銀の眼差...
強い意志を宿したそれに耐えられそうになくて、思わず視線を...
…訪れる、気まずい沈黙。
重苦しいそれを破ったのは、レンの方だった。
「ライゼ、もし俺が……。」
柔らかい調子に変わった声に、顔を上げた。
さっきとは違って、銀の瞳は穏やかな光を湛えてる。
「もし俺が、蟲に負けてしまったら…その時は」
いや、穏やかになったんじゃねぇ。これは――。
「……俺を殺せ。食い破、られる…前に、な。」
――今にも消えそうなんだ。
「頼ん、だ…ぞ。ライ………ゼ」
「ッ、レン!!しっかりしやがれ、縁起でもねぇ事言うな!」
肩を引っ掴んで、滅茶苦茶に揺さぶる。
畜生!どうしてコイツは、ロクでもねぇ頼み事ばっかしやがる...
いくらなんでも、そんなの聞けるわけねぇだろ!?ちったぁ考...
情けない声で名前を呼び続ける俺を見上げて、レンが小さく微...
その唇が、形だけで謝罪の言葉を紡ぐ。
――目を見開いて固まった俺は、とんでもなく間の抜けた顔をし...
ゆっくりと、瞼が閉じられてく。
レンの身体から力が抜け、首がかくんと落ちるのを、俺は絶望...
支援ありがとうございます。
でも、さるさん引っ掛かってしまった。ごめん。
次回から9回以内で収まるように組み立てるよ。
少しでも、姐さん達の燃料になりますように。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| とりあえず前...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 勢いで始...
| | | | ...
| | [][] PAUSE. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
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