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#title(speed drunker) [#da39b200]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| ハンチョウの...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作よ...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
「お疲れ。今上がりか?」
署から出ようとしたところで、安積は速水とばったりはち合わ...
「俺も上がりなんだ。乗ってかないか。たまには俺とドライブ...
ちょうど事件が一つ片づいたところで少し疲れていた。
速水の運転というのが少々気になるが、帰宅のラッシュに揉ま...
「お前が上品に運転してくれるのなら考えないでもない」
ナンパのような誘いに、安積は勿体ぶって答えた。
「わかったわかった、どこかのお姫様でも乗せてるみたいに運...
速水は見事なウインクを残し、本人曰く「法の許す限りにおい...
台場はがらんとした街だ。
大きなビルが建ち並んではいるが、ごちゃごちゃとしていない...
それを過ぎて橋を渡る。暮れなずみ、灯りが点り始めた一番美...
風景が車の窓ガラスをなめらかに流れてゆく。仕事の気分がだ...
速水はすっかりリラックスしてハンドルを握っている。
気の置けない友と二人きりの車内は、エンジンの音だけが穏や...
金色が一瞬、水平線のふちに最後の光芒を煌かせて消えていく。
安積は夕日を背負った飛ばし屋の少年を思い出した。
殺人事件の参考人となった彼が速水に仕掛けた公道でのレース。
乗り合わせてしまった安積は、絶叫マシン顔負けのスリルを速...
命がけのバトルで、速水は伝説と呼ばれたその少年を一度抜い...
その時見た全身から気迫が吹き出しているような速水の姿。
いつも飄々とした旧友の初めて見る一面に、不可思議な高揚が...
安積は前方を見つめる横顔に「今日は大人しいんだな」と話し...
「そりゃあ、大事な大事なお姫様を乗せてるからな」
速水はにやりと笑いながら安積に向かって恭しく点頭した。
「誰がお姫様だ」
「じゃあ、飛ばしてやろうか」
不適な笑みを閃かせた速水は、返事を待たずにアクセルを踏み...
やめろと言っても聞く男ではない。
安積は呆れ顔を少しひきつらせ、Gで押しつけられたシートに...
車線移動を駆使して、速水は次々に車を追い抜いていく。
これくらいのスピードはなんてことないのだろう、鼻歌交じり...
しばらくすると、安積もスピードに慣れてきた。
余裕が出てくれば、恐怖は簡単に爽快感へととって変わる。
追いかけ、追いついて、追い抜く。スィングするジャズのよう...
バスドラムのように低く響くエンジン音。鋭く鳴るシンバルの...
速水の奏でる旋律に魅せられ、安積の心も浮き上がっていく。
陳腐な台詞だが、男は少年の頃からなにも変わっちゃいない。
ミニカーを手で押して遊びながら、自分より遙かに大きい鉄の...
スピードの快感に酔える生き物だ。
だが今俺が感じているのはそれだけじゃないようだ、と安積は...
自分で運転するときは次にどう進むのか分かっているから体が...
誰かに運転を任せたとしても大体予想がつく。
しかし速水の助手席では、全く予測できずにただ振り回されて...
今感じているのは、無防備なまま強く大きいものに翻弄される...
やや被虐的な悦びも混じっている。
そういうのも自分は嫌いじゃないらしい、と安積はまた思う。
「気持ちいいだろ、安積」
見透かしたように速水が言った。
「あぁ。……少し、癖になるな」
陶然とした声で答えると、速水が含み笑いをして目を細めた。
混みあった部分を抜き去り、前を走る車はほとんどいなくなっ...
スピードは落とされたが、見通しがいいという一事だけで十分...
乗せられているだけでこうなのだから、運転している速水はさ...
「なあ、飛ばすのってどんな気分なんだ?」
「それは仕事のことか? それともプライベートの話か?」
「お前にその区別があるようには見えないがな」
「ひどいなぁ。ありますよ、もちろん」
速水は指をハンドルの上で軽やかに踊らせ、タタンタタンとリ...
「じゃあ聞くが、刑事が犯人を追い詰めるときの気分はどんな...
「質問返しか?」
言い返しながら、安積の手は口元に自然と伸びた。薄い唇を親...
「刑事は猟犬みたいなものだ。俺たちは捜査の間、犯人のこと...
追い詰めたときやワッパを掛ける瞬間は、高揚感も確かにある。
だが俺たちの仕事では被害者が必ずいるんだ。
だから……楽しいとか嬉しいとか思ったことはないな。
そういう感覚は持ってはいけないんだろうと俺は思ってる」
「同じだ」
速水はあっさりと言った。
いつものように真面目過ぎるとからかわれるかもしれないと思...
「じゃあ、プライベートのときはどうなんだ?」
「そりゃもう、いい気分だ」
すっかり暗くなった窓から、安積は速水の方へと目を移した。
レースの快感を体の内に蘇らせているのか、速水の表情が次第...
「一人で飛ばすのもいいが、強い相手がいたほうがもっといい。
そいつのことしか見えなくなる。飛ばして、追いついて、ねじ...
速水は口元に緩い笑みを浮かべた。精悍さに、凶暴な衝動の匂...
「一旦抜いて頭を押さえたのに、またすり抜けられるのも悪く...
手が届きそうで届かない、そういう獲物ほど燃えて、体が疼く」
速水がちらりと安積の方を向いた。
「肉食獣みたいだな。ライオンとかそういう、猫科の」
目が合ってはじめて見とれていた自分に気づき、安積は照れ隠...
「……そうかもしれない」
速水はうっそりと笑い、唇をぺろりと舐めた。
「猫は獲物を弄ぶって言うからな。本気を出せば手に入れられ...
だが、俺はずっと駆け引きを楽しんでるんだ」
意味ありげに安積を見た速水の瞳が、街灯の光を反射して光っ...
その瞬間、ぞくりとした快感が背筋を駆け抜けた。
「……っ……!」
安積は息を詰まらせ、両腕で己の体を抱きしめた。
得体の知れない感覚が体の中で膨れ上がっている。
何かが疼くような、苦しいのに、どこか甘いような――。
「どーしたの、安積くん? 車酔いか?」
さっきまでとは一転して呑気な声で速水が訊いた。
何にも知りませんとばかりに惚けた顔をしている。何が肉食獣...
「さっきの話……なんか含み持たせただろ」
むかっ腹が立った安積は、じとりと速水を睨んだが。
「考えすぎでしょ?」
はげるよ、安積ちゃん、といつものように軽く言い、
速水は「お前のマンションまで送ってやるよ」と読めない瞳で...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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| ハンチョウの...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 原作よ...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
「お疲れ。今上がりか?」
署から出ようとしたところで、安積は速水とばったりはち合わ...
「俺も上がりなんだ。乗ってかないか。たまには俺とドライブ...
ちょうど事件が一つ片づいたところで少し疲れていた。
速水の運転というのが少々気になるが、帰宅のラッシュに揉ま...
「お前が上品に運転してくれるのなら考えないでもない」
ナンパのような誘いに、安積は勿体ぶって答えた。
「わかったわかった、どこかのお姫様でも乗せてるみたいに運...
速水は見事なウインクを残し、本人曰く「法の許す限りにおい...
台場はがらんとした街だ。
大きなビルが建ち並んではいるが、ごちゃごちゃとしていない...
それを過ぎて橋を渡る。暮れなずみ、灯りが点り始めた一番美...
風景が車の窓ガラスをなめらかに流れてゆく。仕事の気分がだ...
速水はすっかりリラックスしてハンドルを握っている。
気の置けない友と二人きりの車内は、エンジンの音だけが穏や...
金色が一瞬、水平線のふちに最後の光芒を煌かせて消えていく。
安積は夕日を背負った飛ばし屋の少年を思い出した。
殺人事件の参考人となった彼が速水に仕掛けた公道でのレース。
乗り合わせてしまった安積は、絶叫マシン顔負けのスリルを速...
命がけのバトルで、速水は伝説と呼ばれたその少年を一度抜い...
その時見た全身から気迫が吹き出しているような速水の姿。
いつも飄々とした旧友の初めて見る一面に、不可思議な高揚が...
安積は前方を見つめる横顔に「今日は大人しいんだな」と話し...
「そりゃあ、大事な大事なお姫様を乗せてるからな」
速水はにやりと笑いながら安積に向かって恭しく点頭した。
「誰がお姫様だ」
「じゃあ、飛ばしてやろうか」
不適な笑みを閃かせた速水は、返事を待たずにアクセルを踏み...
やめろと言っても聞く男ではない。
安積は呆れ顔を少しひきつらせ、Gで押しつけられたシートに...
車線移動を駆使して、速水は次々に車を追い抜いていく。
これくらいのスピードはなんてことないのだろう、鼻歌交じり...
しばらくすると、安積もスピードに慣れてきた。
余裕が出てくれば、恐怖は簡単に爽快感へととって変わる。
追いかけ、追いついて、追い抜く。スィングするジャズのよう...
バスドラムのように低く響くエンジン音。鋭く鳴るシンバルの...
速水の奏でる旋律に魅せられ、安積の心も浮き上がっていく。
陳腐な台詞だが、男は少年の頃からなにも変わっちゃいない。
ミニカーを手で押して遊びながら、自分より遙かに大きい鉄の...
スピードの快感に酔える生き物だ。
だが今俺が感じているのはそれだけじゃないようだ、と安積は...
自分で運転するときは次にどう進むのか分かっているから体が...
誰かに運転を任せたとしても大体予想がつく。
しかし速水の助手席では、全く予測できずにただ振り回されて...
今感じているのは、無防備なまま強く大きいものに翻弄される...
やや被虐的な悦びも混じっている。
そういうのも自分は嫌いじゃないらしい、と安積はまた思う。
「気持ちいいだろ、安積」
見透かしたように速水が言った。
「あぁ。……少し、癖になるな」
陶然とした声で答えると、速水が含み笑いをして目を細めた。
混みあった部分を抜き去り、前を走る車はほとんどいなくなっ...
スピードは落とされたが、見通しがいいという一事だけで十分...
乗せられているだけでこうなのだから、運転している速水はさ...
「なあ、飛ばすのってどんな気分なんだ?」
「それは仕事のことか? それともプライベートの話か?」
「お前にその区別があるようには見えないがな」
「ひどいなぁ。ありますよ、もちろん」
速水は指をハンドルの上で軽やかに踊らせ、タタンタタンとリ...
「じゃあ聞くが、刑事が犯人を追い詰めるときの気分はどんな...
「質問返しか?」
言い返しながら、安積の手は口元に自然と伸びた。薄い唇を親...
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追い詰めたときやワッパを掛ける瞬間は、高揚感も確かにある。
だが俺たちの仕事では被害者が必ずいるんだ。
だから……楽しいとか嬉しいとか思ったことはないな。
そういう感覚は持ってはいけないんだろうと俺は思ってる」
「同じだ」
速水はあっさりと言った。
いつものように真面目過ぎるとからかわれるかもしれないと思...
「じゃあ、プライベートのときはどうなんだ?」
「そりゃもう、いい気分だ」
すっかり暗くなった窓から、安積は速水の方へと目を移した。
レースの快感を体の内に蘇らせているのか、速水の表情が次第...
「一人で飛ばすのもいいが、強い相手がいたほうがもっといい。
そいつのことしか見えなくなる。飛ばして、追いついて、ねじ...
速水は口元に緩い笑みを浮かべた。精悍さに、凶暴な衝動の匂...
「一旦抜いて頭を押さえたのに、またすり抜けられるのも悪く...
手が届きそうで届かない、そういう獲物ほど燃えて、体が疼く」
速水がちらりと安積の方を向いた。
「肉食獣みたいだな。ライオンとかそういう、猫科の」
目が合ってはじめて見とれていた自分に気づき、安積は照れ隠...
「……そうかもしれない」
速水はうっそりと笑い、唇をぺろりと舐めた。
「猫は獲物を弄ぶって言うからな。本気を出せば手に入れられ...
だが、俺はずっと駆け引きを楽しんでるんだ」
意味ありげに安積を見た速水の瞳が、街灯の光を反射して光っ...
その瞬間、ぞくりとした快感が背筋を駆け抜けた。
「……っ……!」
安積は息を詰まらせ、両腕で己の体を抱きしめた。
得体の知れない感覚が体の中で膨れ上がっている。
何かが疼くような、苦しいのに、どこか甘いような――。
「どーしたの、安積くん? 車酔いか?」
さっきまでとは一転して呑気な声で速水が訊いた。
何にも知りませんとばかりに惚けた顔をしている。何が肉食獣...
「さっきの話……なんか含み持たせただろ」
むかっ腹が立った安積は、じとりと速水を睨んだが。
「考えすぎでしょ?」
はげるよ、安積ちゃん、といつものように軽く言い、
速水は「お前のマンションまで送ってやるよ」と読めない瞳で...
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