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#title(移り香) [#ka4c4e13]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼。今回左大臣×殺...
エロはありません。
「戻るのかい?」
「ええ、待っている男がいるので。」
床に脱ぎ捨ててあった着物を拾い上げて羽織り、襟元を正しな...
それに背後の男は笑ったようだった。
薄い絹の天蓋を払い、寝台の奥から現れる。
自分とは対称的に、着崩れたままの夜着に貴人特有の傲岸不遜...
左大臣、京鐘籍春。
自分よりも遥かに年上の男に、佐治は一度だけその柔らかく細...
先の大王亡き後、その后であった自分の娘をその座に着かせ、...
ほぼ同じくして、自らの政敵であった希一族を宮中から追い落...
実質的にこの国の実権を握った男。
一見柔和な表情の仮面の下に、慇懃にも人の悪い笑みを湛える...
近づいてくる気配を感じる。
そして不意に伸ばされた戯れな腕。
それを佐治は避けなかった。
「先程まで褥を共にしていた相手に告げるには、ひどくつれな...
後ろから抱きすくめるように回した両腕で肩を引き寄せ、
耳元に笑みを含んだ囁きを落としてくる。
そんな籍春に、佐治の唇からもたまらず苦笑に近い笑みが零れ...
「つれないも何も、事実ですから。」
そう言う間にも身繕いをする手が止まる事はなく、台座の上に...
刀にも手を伸ばす。
するとそれに自然と籍春の腕は解かれた。
本能的に危険を察する。
そのくせ表面的にはそんな事はおくびにも出さないようふるま...
その自尊心の高さを佐治は面白いと思った。
思ったから、誘いに乗ったのだ。
数日前、宮中で行われた教義問答を終えた後、示唆された新し...
辞退した事で言い争いになっていた怒門とペナソ。
そんな2人を少し距離を置いた場所から眺めていた自分に、あの...
『君はあの教主殿の護衛かい?』
教義問答に招かれた豪族達の面前で、大王自ら先王暗殺の嫌疑...
まるでそんな事など気にも留めていないかのように飄々と語り...
温和に悠然と。それでいてその声と瞳の奥に底暗い闇を秘めて。
そして彼は続けた。
『君達の番新教について聞きたい事があるんだ。よければまた...
一度私の屋敷を訪ねてはくれないか』
聞きたいのはもっと他の事だろうと言うことは透けて見えてい...
それでもあの時の自分には、彼とまた同様に、その男の中に探...
だから、
『いいですよ』
軽やかに笑んでそう告げる。
彼の申し出は、自分にとっても渡りに船だった。
「待っている男か。それはやはりあの教主なのだろうな。少し...
心にもない事をすべらかに舌に乗せながら、ゆっくりと自分の...
回り込んできた籍春が、再び手だけを伸ばしてくる。
力仕事などとは無縁な傷一つない指先で、肩に落ちる黒髪を絡...
それに佐治はわざとらしくも媚を含んだ笑みで答えた。
「彼と僕はそんな関係ではないですよ」
どれだけ怒りと怨嗟に塗れても、芯の部分がどこまでも真っ当...
心に巣くうのは、今も昔もただ一人の女だけだ。
大王・美琴。
かつての許嫁であり、今は憎むべき国の長となった女。
騙され囚われた10年の間、その無実と生を信じ切れず他の男に...
何故いまだに引きずり続けるのか。
その未練が佐治にはただ純粋に不思議だった。
わからないから、知りたいと思った。
だから、
黒い瞳を上げる。
目の前の男を微笑みながら見つめる。
その女の父親。
同じ血を引く者。
ならば、肌でも合わせれば何かわかるのかと思った。
暗殺を生業にする一族に生まれ、親も知らず名も与えられず、...
ただそれのみと仕込まれ続けた人殺しの業の中には房中のもの...
けれど、結果としてそれは徒労に終わった。
結局は何もわからなかった。
無知ゆえに真白い女とは陰陽をなすように、謀事に溺れ漆黒の...
血など何のあてにもならない。
あれはやはりただの生温い赤い水だ。
ならば……この辺りがそろそろ潮時か。
「そんな関係ではないと言うのなら、あの男から離れて私のと...
噂に聞けば君が先王暗殺の嫌疑を掛けられたのは、宮中で美琴...
やりあい、軽くあしらって見せたからだとか。
それほどの腕があるのならば、私は君を子飼いの臣にするだけ...
ゆくゆくはこの国の武士頭にもしてやれるよ。」
指に絡めた黒髪を引き、この時籍春はグッと顔を近づけてくる。
力と並行させる権力者の甘言。
しかしそれは自分にとってはあまりに的が外れすぎていて、佐...
抱える闇。身にまとう策謀。
もしかしたら誰より自分と似ているのかもしれないと思った男...
結局はやはり別物だった。だから、
「御冗談を。僕はそんな器ではありませんよ。」
柔らかな声の中にもはっきりとした拒絶を含ませて笑む唇に、...
と苦笑を滲ませる唇が重ねられる。
それを佐治は冷たいと思った。
冷たいから、嫌だと思った。
あぁ、やはりこの男はいらない---
唱える心と繋がるように上げられた手が、自分を抱き寄せる男...
広げた手の平に感じる脈打つ鼓動。
確かめる、彼の心の臓はそこにあった。
月の光の下を一人都の外れまで歩く。
そしてたどり着いた番新教の宿房の門前、そこにある階段に何...
見つけた時、佐治の足は自然とその歩みを止めていた。
思わず声もなく前方を見つめる。
するとその気配に気がついたのか、その人影が不意にゆっくり...
その口が開く。
「佐治。」
その声は怒門のものだった。
こんな時間に何をしているのか。
しかしそんな佐治の問い掛けは、口に出す前に逆に彼からの詰...
「いったいどこに行っていたんだっ、こんな時間まで一人で!」
一瞬呆気に取られる。
それは彼の声に多分に自分を心配する色が滲んでいたように思...
けれどそんな考えを佐治はすぐに胸の内でかき消す。
そんなはずはない。彼はただ、自分を疑っているだけだ。
掛けられた先の大王暗殺の嫌疑。かつての仲間だった者達との...
『彼は私の友人だ』
そう庇う言葉の裏側で、彼の心に徐々に疑心の芽が生まれ始め...
自分は気付いている。
早めなければならないかもしれない、計画を。
そう思い、心の箍を締め直し、佐治は口を開いた。
「どこにってただの夜の散歩だよ。」
月の下、朗らかに笑いながら再び歩みを進める。
「君こそどうしたんだい?そんな所に座り込んで。夜風も冷た...
風邪をひいてしまうよ。」
「おっ、俺は今度の計画についての相談をしようとお前の部屋...
もぬけの殻だったから、だからっ」
「こんな所で待っててくれたのかい?それは悪かったね。」
悪びれる風もなくそう言って、佐治は軽やかな足取りで階段の...
怒門の脇をすり抜けようとする。
二人の間に微かな風が起こる。
その瞬間、行き過ぎようとした自分の腕を怒門が不意に掴んで...
それに佐治はゆっくりと振り返る。そして、
「なに?」
そう静かに問いかければ、怒門は一瞬自分自身の行動に驚いた...
ハッとその手を離してきた。
「あっ、いや、すまない。ただ……一瞬おまえから知らない匂い...
「匂い?」
言われ、咄嗟に袖を返し鼻を近づけるが、自分ではよくわから...
それでもそれは先程までいたあの部屋の、男からの移り香かも...
その間にも、自分でも何を慌てているのかわからないのだろう...
「いや、匂いがしたから何だという話だな。悪い、多分俺の気...
支離滅裂な、そんな怒門の様子にこの時佐治はなんだか可笑し...
だから階段の上段に掛けていた足の踵を返し、体の向きを変え...
怒門の方へ向き直っていた。
そしてそのまま、下段にいる怒門の肩に身を折るようにしてそ...
首筋近く擦りつけるように。
それに怒門が更に驚いたように名を呼んでくる。
けれどそれに佐治は答えなかった。
彼の着物は夜気の中シンと冷えていた。
それでもその内にある肌の熱さは衣越しにも伝わってくるよう...
それが心地良かった。
だから、
「君からは、土の匂いがするね。」
代わりポツリと呟いた、そんな自分の言葉に怒門の揺れが止ま...
「佐治?」
「僕はこっちの方が好きだ。」
君の方がいい---
それは比較するのも愚かしいくらいに。
そしてそんな突然の自分の言葉に怒門は戸惑いながらも、この...
佐治からの接触を無理に振り払おうとはしなかった。
だから佐治は、心の内で尚も思い続けてしまう。
君だけがいればいい---
おそらく声に出して形にする事は一生無いだろう、
それはまるで土牢という閨で交わす睦言のようだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
実は舞台をまだ一度しか見ておらず、記憶をフル動員させても...
あやふやなので、人称、番頭に引き続き、大間違いをやらかし...
でも真っ黒左大臣好きだw早く逢坂公演見たい。次こそちゃん...
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|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼。今回左大臣×殺...
エロはありません。
「戻るのかい?」
「ええ、待っている男がいるので。」
床に脱ぎ捨ててあった着物を拾い上げて羽織り、襟元を正しな...
それに背後の男は笑ったようだった。
薄い絹の天蓋を払い、寝台の奥から現れる。
自分とは対称的に、着崩れたままの夜着に貴人特有の傲岸不遜...
左大臣、京鐘籍春。
自分よりも遥かに年上の男に、佐治は一度だけその柔らかく細...
先の大王亡き後、その后であった自分の娘をその座に着かせ、...
ほぼ同じくして、自らの政敵であった希一族を宮中から追い落...
実質的にこの国の実権を握った男。
一見柔和な表情の仮面の下に、慇懃にも人の悪い笑みを湛える...
近づいてくる気配を感じる。
そして不意に伸ばされた戯れな腕。
それを佐治は避けなかった。
「先程まで褥を共にしていた相手に告げるには、ひどくつれな...
後ろから抱きすくめるように回した両腕で肩を引き寄せ、
耳元に笑みを含んだ囁きを落としてくる。
そんな籍春に、佐治の唇からもたまらず苦笑に近い笑みが零れ...
「つれないも何も、事実ですから。」
そう言う間にも身繕いをする手が止まる事はなく、台座の上に...
刀にも手を伸ばす。
するとそれに自然と籍春の腕は解かれた。
本能的に危険を察する。
そのくせ表面的にはそんな事はおくびにも出さないようふるま...
その自尊心の高さを佐治は面白いと思った。
思ったから、誘いに乗ったのだ。
数日前、宮中で行われた教義問答を終えた後、示唆された新し...
辞退した事で言い争いになっていた怒門とペナソ。
そんな2人を少し距離を置いた場所から眺めていた自分に、あの...
『君はあの教主殿の護衛かい?』
教義問答に招かれた豪族達の面前で、大王自ら先王暗殺の嫌疑...
まるでそんな事など気にも留めていないかのように飄々と語り...
温和に悠然と。それでいてその声と瞳の奥に底暗い闇を秘めて。
そして彼は続けた。
『君達の番新教について聞きたい事があるんだ。よければまた...
一度私の屋敷を訪ねてはくれないか』
聞きたいのはもっと他の事だろうと言うことは透けて見えてい...
それでもあの時の自分には、彼とまた同様に、その男の中に探...
だから、
『いいですよ』
軽やかに笑んでそう告げる。
彼の申し出は、自分にとっても渡りに船だった。
「待っている男か。それはやはりあの教主なのだろうな。少し...
心にもない事をすべらかに舌に乗せながら、ゆっくりと自分の...
回り込んできた籍春が、再び手だけを伸ばしてくる。
力仕事などとは無縁な傷一つない指先で、肩に落ちる黒髪を絡...
それに佐治はわざとらしくも媚を含んだ笑みで答えた。
「彼と僕はそんな関係ではないですよ」
どれだけ怒りと怨嗟に塗れても、芯の部分がどこまでも真っ当...
心に巣くうのは、今も昔もただ一人の女だけだ。
大王・美琴。
かつての許嫁であり、今は憎むべき国の長となった女。
騙され囚われた10年の間、その無実と生を信じ切れず他の男に...
何故いまだに引きずり続けるのか。
その未練が佐治にはただ純粋に不思議だった。
わからないから、知りたいと思った。
だから、
黒い瞳を上げる。
目の前の男を微笑みながら見つめる。
その女の父親。
同じ血を引く者。
ならば、肌でも合わせれば何かわかるのかと思った。
暗殺を生業にする一族に生まれ、親も知らず名も与えられず、...
ただそれのみと仕込まれ続けた人殺しの業の中には房中のもの...
けれど、結果としてそれは徒労に終わった。
結局は何もわからなかった。
無知ゆえに真白い女とは陰陽をなすように、謀事に溺れ漆黒の...
血など何のあてにもならない。
あれはやはりただの生温い赤い水だ。
ならば……この辺りがそろそろ潮時か。
「そんな関係ではないと言うのなら、あの男から離れて私のと...
噂に聞けば君が先王暗殺の嫌疑を掛けられたのは、宮中で美琴...
やりあい、軽くあしらって見せたからだとか。
それほどの腕があるのならば、私は君を子飼いの臣にするだけ...
ゆくゆくはこの国の武士頭にもしてやれるよ。」
指に絡めた黒髪を引き、この時籍春はグッと顔を近づけてくる。
力と並行させる権力者の甘言。
しかしそれは自分にとってはあまりに的が外れすぎていて、佐...
抱える闇。身にまとう策謀。
もしかしたら誰より自分と似ているのかもしれないと思った男...
結局はやはり別物だった。だから、
「御冗談を。僕はそんな器ではありませんよ。」
柔らかな声の中にもはっきりとした拒絶を含ませて笑む唇に、...
と苦笑を滲ませる唇が重ねられる。
それを佐治は冷たいと思った。
冷たいから、嫌だと思った。
あぁ、やはりこの男はいらない---
唱える心と繋がるように上げられた手が、自分を抱き寄せる男...
広げた手の平に感じる脈打つ鼓動。
確かめる、彼の心の臓はそこにあった。
月の光の下を一人都の外れまで歩く。
そしてたどり着いた番新教の宿房の門前、そこにある階段に何...
見つけた時、佐治の足は自然とその歩みを止めていた。
思わず声もなく前方を見つめる。
するとその気配に気がついたのか、その人影が不意にゆっくり...
その口が開く。
「佐治。」
その声は怒門のものだった。
こんな時間に何をしているのか。
しかしそんな佐治の問い掛けは、口に出す前に逆に彼からの詰...
「いったいどこに行っていたんだっ、こんな時間まで一人で!」
一瞬呆気に取られる。
それは彼の声に多分に自分を心配する色が滲んでいたように思...
けれどそんな考えを佐治はすぐに胸の内でかき消す。
そんなはずはない。彼はただ、自分を疑っているだけだ。
掛けられた先の大王暗殺の嫌疑。かつての仲間だった者達との...
『彼は私の友人だ』
そう庇う言葉の裏側で、彼の心に徐々に疑心の芽が生まれ始め...
自分は気付いている。
早めなければならないかもしれない、計画を。
そう思い、心の箍を締め直し、佐治は口を開いた。
「どこにってただの夜の散歩だよ。」
月の下、朗らかに笑いながら再び歩みを進める。
「君こそどうしたんだい?そんな所に座り込んで。夜風も冷た...
風邪をひいてしまうよ。」
「おっ、俺は今度の計画についての相談をしようとお前の部屋...
もぬけの殻だったから、だからっ」
「こんな所で待っててくれたのかい?それは悪かったね。」
悪びれる風もなくそう言って、佐治は軽やかな足取りで階段の...
怒門の脇をすり抜けようとする。
二人の間に微かな風が起こる。
その瞬間、行き過ぎようとした自分の腕を怒門が不意に掴んで...
それに佐治はゆっくりと振り返る。そして、
「なに?」
そう静かに問いかければ、怒門は一瞬自分自身の行動に驚いた...
ハッとその手を離してきた。
「あっ、いや、すまない。ただ……一瞬おまえから知らない匂い...
「匂い?」
言われ、咄嗟に袖を返し鼻を近づけるが、自分ではよくわから...
それでもそれは先程までいたあの部屋の、男からの移り香かも...
その間にも、自分でも何を慌てているのかわからないのだろう...
「いや、匂いがしたから何だという話だな。悪い、多分俺の気...
支離滅裂な、そんな怒門の様子にこの時佐治はなんだか可笑し...
だから階段の上段に掛けていた足の踵を返し、体の向きを変え...
怒門の方へ向き直っていた。
そしてそのまま、下段にいる怒門の肩に身を折るようにしてそ...
首筋近く擦りつけるように。
それに怒門が更に驚いたように名を呼んでくる。
けれどそれに佐治は答えなかった。
彼の着物は夜気の中シンと冷えていた。
それでもその内にある肌の熱さは衣越しにも伝わってくるよう...
それが心地良かった。
だから、
「君からは、土の匂いがするね。」
代わりポツリと呟いた、そんな自分の言葉に怒門の揺れが止ま...
「佐治?」
「僕はこっちの方が好きだ。」
君の方がいい---
それは比較するのも愚かしいくらいに。
そしてそんな突然の自分の言葉に怒門は戸惑いながらも、この...
佐治からの接触を無理に振り払おうとはしなかった。
だから佐治は、心の内で尚も思い続けてしまう。
君だけがいればいい---
おそらく声に出して形にする事は一生無いだろう、
それはまるで土牢という閨で交わす睦言のようだった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
実は舞台をまだ一度しか見ておらず、記憶をフル動員させても...
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