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#title(オリジナル 「吸血鬼の飼い方」)
オリジナル。ややファンタジー。コメディを狙ったつもりが、...
お仕置きが勢い余ってそれなんてDV?な感じに。エチー無し。
現代日本、へタレ吸血鬼に懐かれてしまった、気が強い人間離...
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「またお前か、アホンダラー!!!!!」
容赦ない大声と、無造作に振り上げられたように見えて、や...
強襲した足。
「とっとと死ね!!この鬼!悪魔!!」
痛む片足を抱え、涙ぐみながら、罵られながら男は、大きな...
頭を下げる。
「ご、ごめんなさい、つい出来心で……」
その言葉が、まさに火に油を注いだのだろう、もう一度上が...
それだけでは怒りがおさまらなかったらしく、堅く握りしめら...
「ぐ……ごふ……っ」
「謝る相手はオレかボケ!!お前なんかとっとと教.会のてっぺ...
「……そっ、それだけは勘弁……」
「だったらなんで外で食事なんて来たんだ、っざけんな!!」
身を屈めているところへ高く振り上がった腕に、覚悟を決め...
予想通り、サンドバック化した男の頬に、見事な右フックが決...
--だってさ、いっつも君じゃさ、いくらなんでも大変じゃ...
思いは言葉になって、届いたかどうか。
体が傾いで、視界が暗くなっていく。
目の前で倒れる男に、加害者は溜息をつく。垂らしたままの...
一人の男を二度殴ったにしては、多すぎる量のそれは、すぐに...
舌打ちして、まだ顔立ちや体つきに少年の風情が残っている...
置いてあったプラスチックのカップから歯ブラシを放り出して...
受けながら洗面所を出、タンスから取り出したバンダナで、カ...
手をきつく巻く。
「畜生……」
漏らした視線の先には、玄関の床に転がった、意識を失った...
傷ついた利き手を庇いながら、カップの中身をこぼさないよ...
調味料入れから塩をひとつまみ振り入れて、スプーンでかき混...
鬼、悪魔、十.字.架に刺さって死ね。
彼が男に投げかける罵倒は、どれも真実だ。
道で喧嘩になってしまい、血が止まらなくてビルとビルの隙...
においを嗅ぎつけた男が野良犬のように寄って来たのだ。飢え...
ふとしたはずみに大量に出血し、それが献.血に勤しむような...
損なうことのない、人間離れした異常な体質である彼にとって...
これが貧血というものか、と初めて知るぐらい、容易いものだ...
だというのに。
この馬鹿な大男は、彼の言いつけに背いて、「外で食事」を...
誤って、獲物が死ぬまで貪る。誰もが彼のような常識はずれな...
満腹なのに、体のあちこちに痛みと、すぐ側に血のにおいを...
目の前に血を満たしたプラスチックのカップがあったので、体...
ことにする。妙に塩気が強いが、慣れ親しんだ彼の味になんと...
舌の上で味わいながら「食事」していて、体が痛む理由を思い...
さあっと顔から血の気が引く。
「えーっと……」
彼の名前を情けなく呼んでみるが、返事も、気配もない。
もうバイトに行った後なのだろう。
ほっとするような、平謝りするのが先送りされて、かえって...
いくらちびちび飲んでいたとはいえ、カップ一杯。赤く跡を...
痛みによろめきながら立ち上がり、台所でもったいないから洗...
カップを濯いだ水も飲み干してしまう。
「いてててててて……」
--血を吸われてもね、痛くないんだって。うん、ちょっと...
人間って蚊に食われても痛くないって言うでしょ?多分あれと...
以前、自ら首を伸ばして初めて差し出し、痛くするな、と緊...
自分が言った言葉。血を吸い尽くされて死んだ犠牲者も、痛み...
だけど死には変わりない。
これだけ今、体中が痛くても。死んだのは「獲物」であって...
どこにでもいる善良な一般市民。
……ああ、そうか。
そこで男はようやく気づく。自分にとって、世界は、無機物...
どうでもいいものと、その他の僅かな無害な同族にしか分類さ...
獲物にしてもなんとも思わないし、うっかり食べ過ぎて死なせ...
としか思わない。「狩る者」は滅多にいないから、あまり気に...
そこに「特別」な存在である彼が含まれたことに、まだ慣れ...
「食事」は外でするもの、できれば生活圏から離れた場所で...
採った相手は、殺さずに済んでも二度と狙わない、だから、同...
初めてなのだ。
しかも、自ら獲物になろうとした、ちょっと変わった体質だ...
--大丈夫だから、ね?
緊張にきつく目を閉じ、体を強張らせた彼の、自分よりも小...
握りしめられた手を掴んで、自分の背に回させる。
戸惑いに緩んだ首筋を舐め上げ、尖った犬歯--正確には吸...
押さえた手に、再び彼の体を緊張が支配したのがわかる。
吸歯がゆっくりと、即効性の麻痺成分を含んだ体液を流し込...
すぐに効果のあるものだが、事前に相手が何者か知っていて...
多すぎるくらいで丁度いいだろうと、男にしては珍しく気を回...
「っ……。う……」
背に回されていた手から力が抜け、自分の手にかかる体重が...
所詮吸血鬼など、食事の前には笑わずにはいられないものなの...
「……っ」
恐怖がわき起こるほどに、彼の本能は強かったのか、一瞬逃...
再びあてがわれた吸歯が流し込んだ体液のせいか、ようやく効...
押し退けようとした手が垂れる。
吸歯を、「食事」の深さにまで突き刺しても、反応はない。...
体が震える。
久しぶりに口にした血に、自分がどれだけ空腹だったのか思...
血を失っても死なないばかりか、余るほどの特異体質。遠慮...
「……いつまで引っ付いてんだ、重いだろが……っ」
不快そうな彼の声と共に弱々しく押されて、ようやく我に返...
いるが、それだけだ。話すことも動くこともできるらしい。今...
茫然としつつも体を離すと、彼が倒れそうになったのに驚く。
「……なんだ?頭がくらくらする……」
すっかり崩れた姿勢を、自分で直すまで見届けてしまった男...
なんとなく痛くもないそれに、大袈裟に振る舞うのが礼儀なよ...
珍しいことだが--身を屈めて蹴られた脛をさすってみせた。
「これでもうメシには困らないだろ?わかったらもう人を襲う...
顔色が悪く、よろけながらも彼はそう言って、男の自由を奪...
はずだった--のに、男はつい、過去の習慣から、おいしそう...
いられなくなることがある。
「家」--彼の狭いアパートに帰れば、「獲物」である彼は...
--どう言ったら機嫌直してくれるかな……。
殴られて意識を失っている間に消滅させられてはいないし、...
人外である男からすれば、これはもう許してくれているけれど...
程度にしか思えない。
物語の中の吸血鬼は日の光で溶けてしまうらしいが、そんな...
カーテンが部屋の中に西日を素通しさせて、蒸し暑くさえ感じ...
ごろごろと転がる。
彼には飾った言葉も、偽りの言葉も届かない。
なんて言えばいいのだろうか。
「床掃除なら間に合ってるぞ?」
不機嫌な顔で、床に落ちていて邪魔だから踏んでやろうとば...
片足を上げて玄関側の廊下で待機していた。
「お、お帰り」
慌てて隅へと寄ると、ぞんざいな歩き方で部屋の中央に、提...
鋭い目が、振り返り、男を見下ろす。
えーと、な、何か言わなきゃ。
思うが、気の利いた言葉など、本来言葉など必要のない存在...
「ごめん」
それだけを言って、頭を下げるのが精一杯だ。
「何がごめん?」
冷ややかな声が降ってくるのにも、頭を下げたままでいるこ...
「君以外を食べたから……。だから怒ってるんでしょう?もう君...
途中憎々しげに口を開きかけた彼は、深々と溜息をつく。
人外は本気でそう思っているから、これ以上彼が何を言った...
彼が納得できなくても男が約束を破らないのなら、それで少な...
はずだった。
叱られた犬のように、実際床に座り込んで、大きな体を小さ...
「……わかった」
不機嫌なままで、苛立ちを抱えたままで、とりあえず頷いた...
彼は大の字に寝っ転がる。少し前まで一人だった部屋。人では...
死んだように寝ていることが多いから、男が増えたと言っても...
布団カバーでも掛けておけば、家具化して気にもならない。
今は家具ではなく、人同様に動いている男は、膝で歩み寄っ...
なんだ、と彼がいらいらと言う前に、横に転がって、腕を伸...
「人間って温かいね~……」
「当たり前だろ!」
それを冷たくしたのは、誰だというのだろう。腕を払い除け...
身のこなしは人間と人外では、人外に軍配が上がるのは当然だ...
噛みついてやろうか、と牙もないのに彼は脱出方法を検討する。
ずっとご飯でいてもらうにはどうしたらいいのだろう。
真剣に男が考えていることも知らずに。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
#comment
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#title(オリジナル 「吸血鬼の飼い方」)
オリジナル。ややファンタジー。コメディを狙ったつもりが、...
お仕置きが勢い余ってそれなんてDV?な感じに。エチー無し。
現代日本、へタレ吸血鬼に懐かれてしまった、気が強い人間離...
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「またお前か、アホンダラー!!!!!」
容赦ない大声と、無造作に振り上げられたように見えて、や...
強襲した足。
「とっとと死ね!!この鬼!悪魔!!」
痛む片足を抱え、涙ぐみながら、罵られながら男は、大きな...
頭を下げる。
「ご、ごめんなさい、つい出来心で……」
その言葉が、まさに火に油を注いだのだろう、もう一度上が...
それだけでは怒りがおさまらなかったらしく、堅く握りしめら...
「ぐ……ごふ……っ」
「謝る相手はオレかボケ!!お前なんかとっとと教.会のてっぺ...
「……そっ、それだけは勘弁……」
「だったらなんで外で食事なんて来たんだ、っざけんな!!」
身を屈めているところへ高く振り上がった腕に、覚悟を決め...
予想通り、サンドバック化した男の頬に、見事な右フックが決...
--だってさ、いっつも君じゃさ、いくらなんでも大変じゃ...
思いは言葉になって、届いたかどうか。
体が傾いで、視界が暗くなっていく。
目の前で倒れる男に、加害者は溜息をつく。垂らしたままの...
一人の男を二度殴ったにしては、多すぎる量のそれは、すぐに...
舌打ちして、まだ顔立ちや体つきに少年の風情が残っている...
置いてあったプラスチックのカップから歯ブラシを放り出して...
受けながら洗面所を出、タンスから取り出したバンダナで、カ...
手をきつく巻く。
「畜生……」
漏らした視線の先には、玄関の床に転がった、意識を失った...
傷ついた利き手を庇いながら、カップの中身をこぼさないよ...
調味料入れから塩をひとつまみ振り入れて、スプーンでかき混...
鬼、悪魔、十.字.架に刺さって死ね。
彼が男に投げかける罵倒は、どれも真実だ。
道で喧嘩になってしまい、血が止まらなくてビルとビルの隙...
においを嗅ぎつけた男が野良犬のように寄って来たのだ。飢え...
ふとしたはずみに大量に出血し、それが献.血に勤しむような...
損なうことのない、人間離れした異常な体質である彼にとって...
これが貧血というものか、と初めて知るぐらい、容易いものだ...
だというのに。
この馬鹿な大男は、彼の言いつけに背いて、「外で食事」を...
誤って、獲物が死ぬまで貪る。誰もが彼のような常識はずれな...
満腹なのに、体のあちこちに痛みと、すぐ側に血のにおいを...
目の前に血を満たしたプラスチックのカップがあったので、体...
ことにする。妙に塩気が強いが、慣れ親しんだ彼の味になんと...
舌の上で味わいながら「食事」していて、体が痛む理由を思い...
さあっと顔から血の気が引く。
「えーっと……」
彼の名前を情けなく呼んでみるが、返事も、気配もない。
もうバイトに行った後なのだろう。
ほっとするような、平謝りするのが先送りされて、かえって...
いくらちびちび飲んでいたとはいえ、カップ一杯。赤く跡を...
痛みによろめきながら立ち上がり、台所でもったいないから洗...
カップを濯いだ水も飲み干してしまう。
「いてててててて……」
--血を吸われてもね、痛くないんだって。うん、ちょっと...
人間って蚊に食われても痛くないって言うでしょ?多分あれと...
以前、自ら首を伸ばして初めて差し出し、痛くするな、と緊...
自分が言った言葉。血を吸い尽くされて死んだ犠牲者も、痛み...
だけど死には変わりない。
これだけ今、体中が痛くても。死んだのは「獲物」であって...
どこにでもいる善良な一般市民。
……ああ、そうか。
そこで男はようやく気づく。自分にとって、世界は、無機物...
どうでもいいものと、その他の僅かな無害な同族にしか分類さ...
獲物にしてもなんとも思わないし、うっかり食べ過ぎて死なせ...
としか思わない。「狩る者」は滅多にいないから、あまり気に...
そこに「特別」な存在である彼が含まれたことに、まだ慣れ...
「食事」は外でするもの、できれば生活圏から離れた場所で...
採った相手は、殺さずに済んでも二度と狙わない、だから、同...
初めてなのだ。
しかも、自ら獲物になろうとした、ちょっと変わった体質だ...
--大丈夫だから、ね?
緊張にきつく目を閉じ、体を強張らせた彼の、自分よりも小...
握りしめられた手を掴んで、自分の背に回させる。
戸惑いに緩んだ首筋を舐め上げ、尖った犬歯--正確には吸...
押さえた手に、再び彼の体を緊張が支配したのがわかる。
吸歯がゆっくりと、即効性の麻痺成分を含んだ体液を流し込...
すぐに効果のあるものだが、事前に相手が何者か知っていて...
多すぎるくらいで丁度いいだろうと、男にしては珍しく気を回...
「っ……。う……」
背に回されていた手から力が抜け、自分の手にかかる体重が...
所詮吸血鬼など、食事の前には笑わずにはいられないものなの...
「……っ」
恐怖がわき起こるほどに、彼の本能は強かったのか、一瞬逃...
再びあてがわれた吸歯が流し込んだ体液のせいか、ようやく効...
押し退けようとした手が垂れる。
吸歯を、「食事」の深さにまで突き刺しても、反応はない。...
体が震える。
久しぶりに口にした血に、自分がどれだけ空腹だったのか思...
血を失っても死なないばかりか、余るほどの特異体質。遠慮...
「……いつまで引っ付いてんだ、重いだろが……っ」
不快そうな彼の声と共に弱々しく押されて、ようやく我に返...
いるが、それだけだ。話すことも動くこともできるらしい。今...
茫然としつつも体を離すと、彼が倒れそうになったのに驚く。
「……なんだ?頭がくらくらする……」
すっかり崩れた姿勢を、自分で直すまで見届けてしまった男...
なんとなく痛くもないそれに、大袈裟に振る舞うのが礼儀なよ...
珍しいことだが--身を屈めて蹴られた脛をさすってみせた。
「これでもうメシには困らないだろ?わかったらもう人を襲う...
顔色が悪く、よろけながらも彼はそう言って、男の自由を奪...
はずだった--のに、男はつい、過去の習慣から、おいしそう...
いられなくなることがある。
「家」--彼の狭いアパートに帰れば、「獲物」である彼は...
--どう言ったら機嫌直してくれるかな……。
殴られて意識を失っている間に消滅させられてはいないし、...
人外である男からすれば、これはもう許してくれているけれど...
程度にしか思えない。
物語の中の吸血鬼は日の光で溶けてしまうらしいが、そんな...
カーテンが部屋の中に西日を素通しさせて、蒸し暑くさえ感じ...
ごろごろと転がる。
彼には飾った言葉も、偽りの言葉も届かない。
なんて言えばいいのだろうか。
「床掃除なら間に合ってるぞ?」
不機嫌な顔で、床に落ちていて邪魔だから踏んでやろうとば...
片足を上げて玄関側の廊下で待機していた。
「お、お帰り」
慌てて隅へと寄ると、ぞんざいな歩き方で部屋の中央に、提...
鋭い目が、振り返り、男を見下ろす。
えーと、な、何か言わなきゃ。
思うが、気の利いた言葉など、本来言葉など必要のない存在...
「ごめん」
それだけを言って、頭を下げるのが精一杯だ。
「何がごめん?」
冷ややかな声が降ってくるのにも、頭を下げたままでいるこ...
「君以外を食べたから……。だから怒ってるんでしょう?もう君...
途中憎々しげに口を開きかけた彼は、深々と溜息をつく。
人外は本気でそう思っているから、これ以上彼が何を言った...
彼が納得できなくても男が約束を破らないのなら、それで少な...
はずだった。
叱られた犬のように、実際床に座り込んで、大きな体を小さ...
「……わかった」
不機嫌なままで、苛立ちを抱えたままで、とりあえず頷いた...
彼は大の字に寝っ転がる。少し前まで一人だった部屋。人では...
死んだように寝ていることが多いから、男が増えたと言っても...
布団カバーでも掛けておけば、家具化して気にもならない。
今は家具ではなく、人同様に動いている男は、膝で歩み寄っ...
なんだ、と彼がいらいらと言う前に、横に転がって、腕を伸...
「人間って温かいね~……」
「当たり前だろ!」
それを冷たくしたのは、誰だというのだろう。腕を払い除け...
身のこなしは人間と人外では、人外に軍配が上がるのは当然だ...
噛みついてやろうか、と牙もないのに彼は脱出方法を検討する。
ずっとご飯でいてもらうにはどうしたらいいのだろう。
真剣に男が考えていることも知らずに。
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