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#title(警官の血 後編) [#nb69fb8d]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )遅くなりますた。ジサクジエンガ オオク...
――今まで、安城を同志に加えることを、考えなかったわけで...
彼は複数の組織との繋がりがある。海外に出て行った赤軍派...
国内の活動家との繋がりは浅いが広い。彼のネットワークは、...
だが、彼を誘おう、という俺の提案を、”狼”のリーダー、佐...
『馬鹿か?大菩薩峠で捕まった元赤軍派だぞ?そんな奴を仲間...
あっという間に公安に目を付けられる』
『安城は赤軍派じゃない。吉本の頭数合わせに付き合わされた...
『公安に目をつけられるようなことをしたのには間違いないだ...
そう言って、佐木は俺を疑わしげに見た。
『大体、お前、なんでそんな危ない奴と会ってるんだ?別にそ...
確かにそうだ。別に、安城に拘る必要はない。
俺だって、最初はそう思っていたはずだ。なぜ、俺はこんなに...
佐木が、俺の肩を叩いて、言い含めるように言った。
『会うなとまでは言わない。下手に避けると、却って疑念を招...
――安城を仲間に加えるべきではない。例え、彼自身が望んだ...
俺の破滅を見たくないという彼の言葉が、真実だとしても。
俺はひとつ息を吐いて、出来るだけ感情を漏らさぬ声で言っ...
「ダメだと言ったら?」
「通報します」
さらに冷え冷えとした回答が返ってきた。
「……させると、思うか?」
沈黙が落ちた。彼は無言のまま、俺を見上げている。
俺は、憑かれたように、組み敷いたままの彼の首に手を掛け...
タートルネックのセーターに覆われた彼の細い首の、気道を...
彼は目を閉じた。
* * *
気道を捕えた西藤の指に力が込められても、俺は何の低抗も...
苦しい。息ができない――逃げなければ、本当に殺されてしま...
分かっているのに、何故だか、死の恐怖は湧いてこなかった。
――元々、賭けだった。
やはり駄目だったかと思った時にはもう、俺は、逃げる機会...
西藤の手は温かいな、などと、呑気な事さえ考えた。
と、その時だった。ふいに、圧迫が消えた。
俺は一気に戻ってきた酸素と血流に咽ながら、ぼんやりと――...
すでに朦朧としていたのだ――西藤を見上げ、驚いた。
西藤は、泣いていた。
どのぐらいの間、彼の首を絞めていたのだろう。苦痛に歪む...
穏やかになった。彼は、虚ろな目を僅かに開いて、微笑ったの...
――その瞬間、俺は理解した。どうして、俺が彼に執着してい...
手から力が抜けた。解放された安城が、突然の解放に苦しげ...
「……安城、どうして、抵抗しない?」
その問いは、するりと俺の口から滑り出た。
俺は自分が泣いていることに気づいた。涙がとまらない。
「……どうして、ここまでする?」
彼は、苦しげに喘ぎながら、首を振った。分からないという...
答えたくないという意味なのか、そもそも答える余裕がないの...
「教えてくれ、お前は、今、何の為に死のうとしたんだ?」
* * *
俺は、ただ黙って、西藤を見上げていた。
ことさら、演出したわけではない。西藤の言葉に、俺は答え...
俺は、父のような駐在警官になる代償として、潜入捜査とい...
こんな任務で命を落とすことなど、望むはずがない。
なのになぜ、俺は死の危機から逃れる努力さえ放棄したのだ...
もしかして、俺は、本当に西藤を救いたいと、そう思ってい...
もしかして、俺は彼の友人としての仮面に、俺自身の心まで...
「初めて会った時から、思ってた――」
黙ったままの俺の髪を、西藤が梳く。
「お前は、人形みたいに、何考えてるのか分からないって」
それはそうだろう、と俺は思った。悟られぬよう、努めて感...
「俺にも、分からないんです」
そう、俺自身も、分からなくなりつつある。
西藤は笑った。
「『戦士が何者か、戦士の胸の内にあるものは何か、誰ぞそれ...
あれにはお前自身も入っているのか」
「……まあ、そんなところです」
西藤が小さく息を吐く。長い逡巡のあと、彼は言った。
「お前を、俺のグループに加える。佐木にはお前に実績ができ...
「佐木さん?」
「一回飯を一緒に食っただろう?あいつが、"狼"のリーダーだ...
――だからしばらく時間をおいた方がいい。俺も奴との接触は...
「俺は、佐木さんの反対を無視しても、"牙"のメンバーになっ...
「"牙"のリーダーは俺だ。"狼"には迷惑を掛けない」
西藤は言いきってから、まだ組み伏せたままの俺を見つめる。
「なあ、安城――」
声のトーンが微妙に変わっていた。
「――今すぐにとは、言わない。でも俺は……」
俺は、黙って、続く言葉を待った。
「お前の心が、ほしいんだ」
それはほどんど衝動に近かった。
最初に感じたのは煙草の味だった。満たされない思いで、俺...
彼が苦しげに、くぐもった悲鳴を上げた。
その悲鳴に、俺は彼の唇を解放する。彼は、呆然と俺を見上...
「――頼む。お前の心が俺を拒むなら、抵抗してくれ」
強引に行為を進めるつもりはなかった。
けれども、本来男を受け入れるようにはできていない身体を...
俺は、彼の抵抗が無いのを良いことに、恐怖と緊張に強張っ...
「――ぁああッ!……ぅう……ッ」
甲高い悲鳴を上げて、彼の背が大きく反る。悲鳴は、すぐに...
自らの腕を噛み、声を殺して耐える痛々しい姿にさえ、どう...
理不尽な怒りを覚えて、俺は、彼の腕を布団に押さえつけた。
杭を捻じ込むように突き上げ、内臓を引き出す勢いで半ばま...
臓器ごと突き入れる。その度に、彼の身体が強張り、女のよう...
「はぁ…ッあぁ!……あぁ…」
突き上げる度に濡れた音が混ざるのに気づいて見れば、その...
彼の心にあるものが何にしても、俺がやっていることは彼に...
それに気づいた時にはもう、抑えが効く状態ではなかった。
「安城……安城……」
俺はうわ言のように彼の名を呼びながら、彼の身体を貪り、...
朝、未明の時間に物音を聞いた気がして目覚めると、彼の姿は...
『協力者に心当たり。日曜13時、五の喫茶店で待つ。』
と書かれた、小さなメモが残っていた。
身体が重く、芯には鋭い痛みが残っている。
始発の電車でアパートに戻った俺は、敷きっぱなしの布団に...
俺は、賭けに勝ったのだ。
西藤は、俺を組織の一員にすることを了承した。こんな形に...
とにかく俺は、賭けに勝ったのだ。
そう思っても、少しも明るい気分になれないのは、何故だろ...
胸が苦しかった。首を絞められたせいでも、肉体的な疲労の...
西藤が求めたもの。そして、彼には決して見せても渡しては...
人形に封じ込められていた心が、独りになった途端、解放を...
俺は、這うようにして台所に近づいた。
蛇口に捻って水を飲み、そのまま嘔吐する。飲んでは吐くを...
気分は最悪だったが、胸に堪った何かも、一緒に洗い出され...
俺は、何も感じない。
死の恐怖も、男同志の性交に対する嫌悪も、苦痛も、西藤に...
西藤は、俺を人形のようだと言った。その通りだ。
――俺は、人形だ。そうならなければ、こんな任務は遂行でき...
「……大丈夫です。ちょっと、気分が悪くなっただけですから」
俺は、この部屋のどこかにあるはずの盗聴器越しに、そう弁...
安城をを仲間に加えてから、佐木の懸念通り、公安らしき人...
だが、実際問題としては、特に活動に支障が出たわけではな...
安城が同志に引き込んだ白河という男は、"蠍"というグルー...
無論、死者も負傷者も出していない。安城は、犠牲者を出す...
俺達は、殺戮を目的にしているわけではない――そう言うと、...
俺は、安城を信頼し始めていたが、彼の心は、まだ俺には遠...
どうして、あんな酷いことをしたのに、俺の元から去らない...
けれど、ふとした瞬間、彼が本心から、俺を愛してくれてい...
俺は、それが錯覚ではないことを、信じ始めていた――いや、...
* * *
1975年4月18日、夜。
「……心配するな、約束通り、誰も人間は傷つけない」
そう言って、一緒に行かせてほしい、という控えめな俺の申...
俺が現場に行くのは他メンバーの反発があるらしく、西藤が...
アパートを出る前に、西藤は、粉末が入った小さな包みを俺...
「青酸カリだ。無いと思うが、警察が踏み込んできたら使え」
俺が頷くと、西藤はキスを残して、部屋を出て行った。
今日の爆破情報は、すでに俺が公安に流している。
今回は敢えて阻止せず、証拠固めに利用するというのが、公...
数分後、俺は、西藤のアパート近くで張っていた刑事と接触...
その際、西藤や他の幹部が自殺用の青酸カリを所持している事...
報告しなかった。報告すれば、無毒のものにすり替えられるの...
――でも、それは、自分と公安に対する、言い訳だったのかも...
――そして、1975年、5月19日。
「安城……」
熱を帯びた声で名を呼ばれ、俺は、応えるように彼の喉に甘...
布団の上に引き倒される。お返しとばかりに西藤が俺の喉を...
喉を食いちぎられるのではないかと思うほど強く噛まれ、思...
それはすぐに優しい愛撫に変わる。首から額に、そして唇に。
彼の愛撫を受けながら、俺は自分でベルトを外した。
西藤のソコに手を伸ばし、布地越しに形を探るように指を這...
彼はもう、準備ができていた。俺は微笑って言った。
「優しくしなくても、大丈夫ですから」
愛撫など必要ない。暴力は苦痛だが、乱暴に抱かれる方が気...
けれど、西藤は俺の手を掴んで自分の身体から引き剥がす。
「2度とあんなセックスをする気はないって言ったろ?」
言って西藤は、緩めた着衣の下から緊張で萎えたままの俺の...
手での愛撫には慣れていたが、こんなことは初めてだった。
「ッ…!!」
俺が制止するように手を伸ばしても、彼は意に介さない。本...
「西藤さん、やめ……やめて…ッ!――――出ちゃう……っ」
羞恥と快楽に、うわ言の様な言葉を吐くことしかできないま...
口の中のものをぺろりと掌に吐き出した彼が、悪戯っぽく笑...
「俺ばかり気持ち良いんじゃ、お前もつまらないだろ?」
「それは――」
言いかけて、口を噤む。
後ろで達したことこそないが、今の俺は後ろだけでも感じる...
俺は、西藤の視線を避けるように――その実、彼を受け入れる...
西藤が俺の下肢を覆う衣服を半ばまで剥ぎ取り、掌の中のも...
ゆっくりと、けれども本来性器ではない箇所を押し開いて、...
互いの荒い息遣いだけが響く闇の中、西藤は忍耐強く、俺の...
苦痛と緊張が鎮まるのを待ってくれた。
彼に密着するように腕を回すと、西藤の温もりに満たされる...
仮面越しでなく、直接、その温もりを受けることを許された...
俺は、彼に心を与えることも、あるいは彼を偽ることなく、...
――今夜が、最後の逢瀬になることを、西藤は知らない。
あと8時間。8時間後、全部が終わるのだ。
彼は逮捕され、おそらく無期懲役になり、そして。
闘争も、革命も、何もかもが全てが過去になった時代に、彼...
その時には彼も、今とは違う、穏やかな人生を選択してくれ...
彼を愛してはいけないことは、分かっている。それでも。
全身で、今、感じる。彼の吐息の熱さも、俺自身の、熱の高...
そして、確かに思っている。彼を救いたい――どんな形でも、...
それさえ、俺には、許されない感情だろうか?
いつの間にか、涙が零れていた。
「やっと、手に入れた」
彼が涙を指で拭って、そう呟いた。
俺は小さく、頷いた。
この夜、俺は初めて、西藤と同時に達した。
* * *
一斉逮捕から3日。潜入時に得た情報の全てを、俺は詳細に...
けれど、西藤の最期に際し、俺が何を感じたかは、結局思い...
なせ、西藤に与えられていた青酸カリを、自らも飲もうとし...
彼に命じられていたからか、俺は裏切っていないと、示した...
あるいは、彼を救えなかった自分に絶望したのか。
確かなことがある。俺は、あの時にはもう壊れていた、とい...
1度壊れた俺が、統合された自分自身を取り戻すまで、10...
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
連投&長文で手こずりました。>>446さんありがとう。すみませ...
書イテテ凹ムクライ、救イノナイ原作ニ、救イノナイ虹ニナリマスタorz 読ンデクレタ方、ア...
- 最近原作を読んだばかりで悶々としておりました所、こちら...
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彼は複数の組織との繋がりがある。海外に出て行った赤軍派...
国内の活動家との繋がりは浅いが広い。彼のネットワークは、...
だが、彼を誘おう、という俺の提案を、”狼”のリーダー、佐...
『馬鹿か?大菩薩峠で捕まった元赤軍派だぞ?そんな奴を仲間...
あっという間に公安に目を付けられる』
『安城は赤軍派じゃない。吉本の頭数合わせに付き合わされた...
『公安に目をつけられるようなことをしたのには間違いないだ...
そう言って、佐木は俺を疑わしげに見た。
『大体、お前、なんでそんな危ない奴と会ってるんだ?別にそ...
確かにそうだ。別に、安城に拘る必要はない。
俺だって、最初はそう思っていたはずだ。なぜ、俺はこんなに...
佐木が、俺の肩を叩いて、言い含めるように言った。
『会うなとまでは言わない。下手に避けると、却って疑念を招...
――安城を仲間に加えるべきではない。例え、彼自身が望んだ...
俺の破滅を見たくないという彼の言葉が、真実だとしても。
俺はひとつ息を吐いて、出来るだけ感情を漏らさぬ声で言っ...
「ダメだと言ったら?」
「通報します」
さらに冷え冷えとした回答が返ってきた。
「……させると、思うか?」
沈黙が落ちた。彼は無言のまま、俺を見上げている。
俺は、憑かれたように、組み敷いたままの彼の首に手を掛け...
タートルネックのセーターに覆われた彼の細い首の、気道を...
彼は目を閉じた。
* * *
気道を捕えた西藤の指に力が込められても、俺は何の低抗も...
苦しい。息ができない――逃げなければ、本当に殺されてしま...
分かっているのに、何故だか、死の恐怖は湧いてこなかった。
――元々、賭けだった。
やはり駄目だったかと思った時にはもう、俺は、逃げる機会...
西藤の手は温かいな、などと、呑気な事さえ考えた。
と、その時だった。ふいに、圧迫が消えた。
俺は一気に戻ってきた酸素と血流に咽ながら、ぼんやりと――...
すでに朦朧としていたのだ――西藤を見上げ、驚いた。
西藤は、泣いていた。
どのぐらいの間、彼の首を絞めていたのだろう。苦痛に歪む...
穏やかになった。彼は、虚ろな目を僅かに開いて、微笑ったの...
――その瞬間、俺は理解した。どうして、俺が彼に執着してい...
手から力が抜けた。解放された安城が、突然の解放に苦しげ...
「……安城、どうして、抵抗しない?」
その問いは、するりと俺の口から滑り出た。
俺は自分が泣いていることに気づいた。涙がとまらない。
「……どうして、ここまでする?」
彼は、苦しげに喘ぎながら、首を振った。分からないという...
答えたくないという意味なのか、そもそも答える余裕がないの...
「教えてくれ、お前は、今、何の為に死のうとしたんだ?」
* * *
俺は、ただ黙って、西藤を見上げていた。
ことさら、演出したわけではない。西藤の言葉に、俺は答え...
俺は、父のような駐在警官になる代償として、潜入捜査とい...
こんな任務で命を落とすことなど、望むはずがない。
なのになぜ、俺は死の危機から逃れる努力さえ放棄したのだ...
もしかして、俺は、本当に西藤を救いたいと、そう思ってい...
もしかして、俺は彼の友人としての仮面に、俺自身の心まで...
「初めて会った時から、思ってた――」
黙ったままの俺の髪を、西藤が梳く。
「お前は、人形みたいに、何考えてるのか分からないって」
それはそうだろう、と俺は思った。悟られぬよう、努めて感...
「俺にも、分からないんです」
そう、俺自身も、分からなくなりつつある。
西藤は笑った。
「『戦士が何者か、戦士の胸の内にあるものは何か、誰ぞそれ...
あれにはお前自身も入っているのか」
「……まあ、そんなところです」
西藤が小さく息を吐く。長い逡巡のあと、彼は言った。
「お前を、俺のグループに加える。佐木にはお前に実績ができ...
「佐木さん?」
「一回飯を一緒に食っただろう?あいつが、"狼"のリーダーだ...
――だからしばらく時間をおいた方がいい。俺も奴との接触は...
「俺は、佐木さんの反対を無視しても、"牙"のメンバーになっ...
「"牙"のリーダーは俺だ。"狼"には迷惑を掛けない」
西藤は言いきってから、まだ組み伏せたままの俺を見つめる。
「なあ、安城――」
声のトーンが微妙に変わっていた。
「――今すぐにとは、言わない。でも俺は……」
俺は、黙って、続く言葉を待った。
「お前の心が、ほしいんだ」
それはほどんど衝動に近かった。
最初に感じたのは煙草の味だった。満たされない思いで、俺...
彼が苦しげに、くぐもった悲鳴を上げた。
その悲鳴に、俺は彼の唇を解放する。彼は、呆然と俺を見上...
「――頼む。お前の心が俺を拒むなら、抵抗してくれ」
強引に行為を進めるつもりはなかった。
けれども、本来男を受け入れるようにはできていない身体を...
俺は、彼の抵抗が無いのを良いことに、恐怖と緊張に強張っ...
「――ぁああッ!……ぅう……ッ」
甲高い悲鳴を上げて、彼の背が大きく反る。悲鳴は、すぐに...
自らの腕を噛み、声を殺して耐える痛々しい姿にさえ、どう...
理不尽な怒りを覚えて、俺は、彼の腕を布団に押さえつけた。
杭を捻じ込むように突き上げ、内臓を引き出す勢いで半ばま...
臓器ごと突き入れる。その度に、彼の身体が強張り、女のよう...
「はぁ…ッあぁ!……あぁ…」
突き上げる度に濡れた音が混ざるのに気づいて見れば、その...
彼の心にあるものが何にしても、俺がやっていることは彼に...
それに気づいた時にはもう、抑えが効く状態ではなかった。
「安城……安城……」
俺はうわ言のように彼の名を呼びながら、彼の身体を貪り、...
朝、未明の時間に物音を聞いた気がして目覚めると、彼の姿は...
『協力者に心当たり。日曜13時、五の喫茶店で待つ。』
と書かれた、小さなメモが残っていた。
身体が重く、芯には鋭い痛みが残っている。
始発の電車でアパートに戻った俺は、敷きっぱなしの布団に...
俺は、賭けに勝ったのだ。
西藤は、俺を組織の一員にすることを了承した。こんな形に...
とにかく俺は、賭けに勝ったのだ。
そう思っても、少しも明るい気分になれないのは、何故だろ...
胸が苦しかった。首を絞められたせいでも、肉体的な疲労の...
西藤が求めたもの。そして、彼には決して見せても渡しては...
人形に封じ込められていた心が、独りになった途端、解放を...
俺は、這うようにして台所に近づいた。
蛇口に捻って水を飲み、そのまま嘔吐する。飲んでは吐くを...
気分は最悪だったが、胸に堪った何かも、一緒に洗い出され...
俺は、何も感じない。
死の恐怖も、男同志の性交に対する嫌悪も、苦痛も、西藤に...
西藤は、俺を人形のようだと言った。その通りだ。
――俺は、人形だ。そうならなければ、こんな任務は遂行でき...
「……大丈夫です。ちょっと、気分が悪くなっただけですから」
俺は、この部屋のどこかにあるはずの盗聴器越しに、そう弁...
安城をを仲間に加えてから、佐木の懸念通り、公安らしき人...
だが、実際問題としては、特に活動に支障が出たわけではな...
安城が同志に引き込んだ白河という男は、"蠍"というグルー...
無論、死者も負傷者も出していない。安城は、犠牲者を出す...
俺達は、殺戮を目的にしているわけではない――そう言うと、...
俺は、安城を信頼し始めていたが、彼の心は、まだ俺には遠...
どうして、あんな酷いことをしたのに、俺の元から去らない...
けれど、ふとした瞬間、彼が本心から、俺を愛してくれてい...
俺は、それが錯覚ではないことを、信じ始めていた――いや、...
* * *
1975年4月18日、夜。
「……心配するな、約束通り、誰も人間は傷つけない」
そう言って、一緒に行かせてほしい、という控えめな俺の申...
俺が現場に行くのは他メンバーの反発があるらしく、西藤が...
アパートを出る前に、西藤は、粉末が入った小さな包みを俺...
「青酸カリだ。無いと思うが、警察が踏み込んできたら使え」
俺が頷くと、西藤はキスを残して、部屋を出て行った。
今日の爆破情報は、すでに俺が公安に流している。
今回は敢えて阻止せず、証拠固めに利用するというのが、公...
数分後、俺は、西藤のアパート近くで張っていた刑事と接触...
その際、西藤や他の幹部が自殺用の青酸カリを所持している事...
報告しなかった。報告すれば、無毒のものにすり替えられるの...
――でも、それは、自分と公安に対する、言い訳だったのかも...
――そして、1975年、5月19日。
「安城……」
熱を帯びた声で名を呼ばれ、俺は、応えるように彼の喉に甘...
布団の上に引き倒される。お返しとばかりに西藤が俺の喉を...
喉を食いちぎられるのではないかと思うほど強く噛まれ、思...
それはすぐに優しい愛撫に変わる。首から額に、そして唇に。
彼の愛撫を受けながら、俺は自分でベルトを外した。
西藤のソコに手を伸ばし、布地越しに形を探るように指を這...
彼はもう、準備ができていた。俺は微笑って言った。
「優しくしなくても、大丈夫ですから」
愛撫など必要ない。暴力は苦痛だが、乱暴に抱かれる方が気...
けれど、西藤は俺の手を掴んで自分の身体から引き剥がす。
「2度とあんなセックスをする気はないって言ったろ?」
言って西藤は、緩めた着衣の下から緊張で萎えたままの俺の...
手での愛撫には慣れていたが、こんなことは初めてだった。
「ッ…!!」
俺が制止するように手を伸ばしても、彼は意に介さない。本...
「西藤さん、やめ……やめて…ッ!――――出ちゃう……っ」
羞恥と快楽に、うわ言の様な言葉を吐くことしかできないま...
口の中のものをぺろりと掌に吐き出した彼が、悪戯っぽく笑...
「俺ばかり気持ち良いんじゃ、お前もつまらないだろ?」
「それは――」
言いかけて、口を噤む。
後ろで達したことこそないが、今の俺は後ろだけでも感じる...
俺は、西藤の視線を避けるように――その実、彼を受け入れる...
西藤が俺の下肢を覆う衣服を半ばまで剥ぎ取り、掌の中のも...
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互いの荒い息遣いだけが響く闇の中、西藤は忍耐強く、俺の...
苦痛と緊張が鎮まるのを待ってくれた。
彼に密着するように腕を回すと、西藤の温もりに満たされる...
仮面越しでなく、直接、その温もりを受けることを許された...
俺は、彼に心を与えることも、あるいは彼を偽ることなく、...
――今夜が、最後の逢瀬になることを、西藤は知らない。
あと8時間。8時間後、全部が終わるのだ。
彼は逮捕され、おそらく無期懲役になり、そして。
闘争も、革命も、何もかもが全てが過去になった時代に、彼...
その時には彼も、今とは違う、穏やかな人生を選択してくれ...
彼を愛してはいけないことは、分かっている。それでも。
全身で、今、感じる。彼の吐息の熱さも、俺自身の、熱の高...
そして、確かに思っている。彼を救いたい――どんな形でも、...
それさえ、俺には、許されない感情だろうか?
いつの間にか、涙が零れていた。
「やっと、手に入れた」
彼が涙を指で拭って、そう呟いた。
俺は小さく、頷いた。
この夜、俺は初めて、西藤と同時に達した。
* * *
一斉逮捕から3日。潜入時に得た情報の全てを、俺は詳細に...
けれど、西藤の最期に際し、俺が何を感じたかは、結局思い...
なせ、西藤に与えられていた青酸カリを、自らも飲もうとし...
彼に命じられていたからか、俺は裏切っていないと、示した...
あるいは、彼を救えなかった自分に絶望したのか。
確かなことがある。俺は、あの時にはもう壊れていた、とい...
1度壊れた俺が、統合された自分自身を取り戻すまで、10...
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シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
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