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#title(ア/ス/ガ/ル/ド 95鬼畜短髪鞭賊×91長髪ダガー賊2) [#...
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/ つ◇ ( ・∀・)ミ (` )
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└──────│後々に拷問表現もあるので今から警告しとくです
└───────────────
犬
日差しがつよく、独自の民族性のあるイカルス島にある火山...
そのため、恐いもの知らずの冒険者たちはイカルス周辺でパ...
アイル、ジーク、ロアの三人は、その火山にきていた。
聖職者の補助は無くても、三人の技量ならば長くはいられない...
敵が強ければ強いほど、手ごたえがあり、血に飢えた冒険者...
「お疲れさん!」
敵を蹴散らし、ここの最大の敵ともいえる、やたら頭が大きい...
「大丈夫か、アイル」
「大丈夫です。自分で傷は、少しは癒せますよ」
ティラノは口から吐いたガスが外気に触れると炎となる。その...
アイルがそれをもろに受け、丈夫な鎧と盾で受け止め切れなか...
彼は自分の傷を癒すことの出来る魔法、セルフヒールで所々...
暖かい光に包まれ、体の傷はゆっくりと、徐々に治癒して行...
が、手の火傷を癒すには、少々時間がかかる様子だった。
「アイル、火傷してるぞ」
避けるのが得意な盗賊だって、炎を食らえば辛いもの。
ロアは、体力を削られ、水溜り付近の草地の木の下で休んでい...
「ロア…ありがとう」
実際はたいした火傷ではなかったのだが。
それでも、自分を心配してくれる親友の心遣いが、とても嬉し...
ジークは仲の良い弟子二人を見て、くすりと笑うと、視線を...
あたりを一瞥した後、ふと、視線を後ろのほうへうつす。
背後に茂る木々の間、三人の冒険者がモンスターと戦ってい...
一人は魔術師、一人は修道士、そしてもう一人は…
「!!」
シルバーウルフキャップ、赤い鞭、そして、ぼんやりと光る...
その顔にも間違いは無かった。
スコルピオの、ディースだ。
「やばい、逃げろ!」
その瞬間、ジークは思わず二人に向かって叫んでいた。
しまった、と思った。
下手をすれば聞こえているかもしれない。
だがそれよりも、まず弟子たちを逃がすのが先だった。
「師匠?」
アイルが不思議そうに師匠を見やる。
ロアは、ジークの目線の先にスコルピオがいることを確認して...
「バカッ、スコルピオだ!」
だが、ロアとジークの声で、スコルピオの人間はこちらに気...
それまで戦っていた敵を切り捨てると、ディースがにやりと...
猛スピードでディースが『獲物』に向かって走ってくる。
それにあわせ、側にいた魔術師も標的を変え、詠唱を始めた。
アイル周辺の空気の密度が変わる。
「アイル、ロア、にげろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
アイルの手を引いていたロアにも、それがよくわかった。
反射的に、ロアは体を引いていた。
「クロスモノボルト」
魔術師の詠唱が終わる。
一瞬、激しくきらめいたかと思うと、アイルの体にすさまじい...
その衝撃がロアにも伝わった。
それは見て取れるほどのものである。
青く光る稲妻が、天に昇る竜のように絡みつく。
体中を、鋭い刃で切りつけられるかのような激痛に、アイルは...
「ぐっ、ああああああああっ…!」
とっさに体を離したとはいえ、間近にいたロアも同じような衝...
体力的にもロアのほうが上回っている。彼は崩れ落ちそうにな...
一方アイルは、ほんの一瞬の出来事だったが、彼は体力をか...
電撃が止むのと同時に、彼はその場に崩れ落ちる。
鎧と柔らかい皮膚を切り裂き、血がうっすらと出てくる。
同時に、焦げ臭い匂いも漂った。
「…アイル、ロア…!」
ジークが何とか体勢を立て直したときには、驚くほどの速さで...
剣にも劣らない、鋭い衝撃を放つ鞭を、ジークに浴びせる。
が、ジークは反射的にその一撃を盾で受け止めた。その衝撃は...
「ちっ」
ディースは軽く舌打ちすると、更にもう一度、鞭を打ちつけ...
不意を突かれたジークには、次は受け止められる自信は無かっ...
ヒュッと、風を切る鞭の音が耳をかすめた。
だが、突然の爆音と同時に、ディースが苦しみだした。
攻撃を繰り出そうとしていた腕はふいうちによって鞭を落とし...
「……っ!!」
ディースの周りには煙が巻き、それが彼の視野を遮断していた。
と同時に、刺激性のあるものも巻かれている。
ジョーカーポーク(煙爆弾)とペパーボム(トウガラシ爆弾)が、...
「ジーク…逃げるぞッ!!」
ロアだった。
ディースが隙を見せたと同時に、仲間の魔術師と修道士も一瞬...
ロアが、少しよろめきながら、その隙を突いてその二人にも...
「だが、アイルが…!」
アイルは、先ほどの一撃で完全に気を失っていた。
ティラノとのやりあいで怪我していた上に、クロスモノボル...
「アイル…」
ロアは、彼の元に駆け寄ろうとした。
が、その瞬間、何も無いはずの空間から、ディースに向かって...
まだ、いる。
奇襲攻撃を受け、アイルが倒れ、聖職者すらいないこのパーテ...
「すまん、アイル…!」
二人は呟くと、きびすを返し、全速力で逃げ出した。
「…ちっ、逃げられたか」
逃げる二人を追うことはせず、ディースは呟いた。
自分のすぐ後ろに転がるアイルを見やると、足で軽く踏んだ。
アイルの体中についた小さな傷から血が出て、青い鎧を黒く染...
「ネイヴィー、こいつ生きてるか?」
ディースは、何も無い空間に向き直り、問いかけた。
そしてその何も無い空間から、返事は帰ってくる。
最高位盗賊の中でもまれなものにしか使いこなせない、カムフ...
「生きてるわ」
その言葉と同時に、魔法がきれたのだろう。
やわらかく長い茶髪の、白い高位服を着た女性聖職者が姿を...
彼女はアイルの側まで歩み寄ると、警戒をしながら、彼の脈を...
「そうね、生きてるけど、ちょっと危ないかな?殺したほうが...
「いや、生かしとけ。体力はなさそうだが、少しは使えるだろ」
ディースは無表情に告げた。
その答えに、聖職者…ネイヴィーは表情を明るくした。
彼女は、傷をほんの少しだけ癒す魔法、ヒールをアイルに唱...
「まあ!それなら…、シナモン、シナモン!さっき渡した薬を頂...
ネイヴィーは、アイルにクロスモノボルトを放った魔術師に...
シナモンと呼ばれたその魔術師は、ピンク色の高位服をきてい...
まるで十台半ばの子供のような顔立ち。もしかしたら本当に...
彼女は、腰に下げていた薬草袋から、怪しげな白い粉の入った...
「あいっ」
「なんだ?生かすならばヒールだけで良いじゃないか」
シナモンの隣にいた最高位服の、まぶしい金色の逆毛の修道士...
ずいぶんがたいの良い体をしている。今までどれだけ修羅場...
「ヒールだとね、気がついてしまうかもしれないの。そうなっ...
彼女はその粉薬をわずかな量の水を手持ちの容器にうつし、...
そしてそれを、アイルが吐き出さないように少しずつ飲ませた。
いわゆる睡眠薬。聖職者は独自の知識と材料によって、薬を作...
「ジン、こいつ持って帰ろうぜ」
ディースは修道士に向かって告げる。
顎でアイルを示す。
つまり、ジンに、アイルを持ち上げるように指図しているのだ。
「ああ…わかったよ。…ったく。それがマスターに対する態度か」
ジンはしぶしぶと、アイルを肩にぶら下げるようにして軽々と...
ディースは、意識を手放したままのアイルをまじまじと見つめ...
「ディース?どうした」
ジンの言葉に、ジンを見ることもせず、アイルを見つめ、笑...
「…こいつ…どんな表情するだろうな…」
「?…早く行くぞ」
そのまま彼らはどこかへ消えてしまった。
「薬、そろそろ切れるころかな」
「死んでないだろうな」
「大丈夫よ…息はしてるわ。なんだったら気付け薬もあるけど?...
コツコツ、と音が響いた。
それは誰かが待ちくたびれて靴の先で硬い地面をたたいている...
男と女が話をしているのはぼんやりとした頭でもわかるが、そ...
背には冷たい、硬い石の感触。
そして手には…
途端、ばしゃん!と言う音同時に、頭から冷たい水が浴びせら...
心臓が止まるかと思ったが、その衝撃でようやく目が覚めた。
「!…けふっ、ごふっ、ごほっ」
手で水を払いのけようかと思ったが、なにかにひっかかるよう...
手首には、鉄の輪がはめられていた。
不思議に思い、顔を上げると、目の前にはあの男の顔があった。
「…お前は…」
ディースだ。
「ずいぶんゆっくり寝てたな」
ディースはいやらしくにやりと笑う。
手には、先ほどまで水が入っていたであろう桶と、そして腰に...
なぜ、自分はここにいるのだろうと思った。
なぜ、この男が目の前にいるのだろう。
そしてこの部屋は?なぜここはいてつくように寒く、血なまぐ...
なぜ…
「手枷をされているの…?」
アイルは自分のおかれた状況が飲み込めていなかった。
壁につながる自分の手枷。
頑丈な鉄で作られた鎖が、自分を壁とつないでいる。
大きく両腕を開かれた形になって、壁につるされている自分。
そして両足首にも、同じようなものがついていた。
体の自由は完全に奪われていた。
「お前は、リンドブルムの人間だな?」
ディースの真っ赤な瞳に捕らえられて、アイルはその迫力に固...
「そ…そうだ」
震える声で、答えるのが精一杯だった。
「あの時いた戦士は、ギルドマスターだな。逃がしたのは惜し...
「!」
そこでようやく、ぼんやりと霞がかった頭がはっきりとしてき...
そうだ、直前まで、この男に奇襲を食らったのだ!
「はっ…!」
そしてディースの背後には、二人の女性がいた。
一人は茶髪のおとなしそうな聖職者、そしてもう一人は、ツイ...
その聖職者のほうは、穏やかな表情で、布をかぶせた盆のよう...
魔術師も、同じように布をかぶせた盆を抱えている。そして、...
そのツインテールの魔術師こそ、自分にクロスモノボルトを浴...
「お前はっ!よくも、よくも俺を!!」
その魔術師、シナモンに向かって、彼は噛み付くように言葉...
だが両腕両足を捕らえられてるせいで、鉄と鉄、そして石壁が...
魔術師はきょとんとした表情で、アイルを見つめている。
「貴様!!俺をどうするつもりだ!!」
アイルは、ディースを激しくにらみつける。
先ほどのぼんやりとした様子からは想像つかないほど、激しい...
「ははははははは!!お前は、自分がそんな状態でよくもそんな...
ディースは高く笑った。
部屋の中は、広いわけではなかった。
だが、壁にかけられている器具、そして床に直に置かれている...
実際、アイルが背にしている壁も、血の跡が所々についてい...
ここは、拷問部屋なのだ。
「ねえ、ディース。シナモンも、参加していい?」
小柄な魔術師は、小首をかしげ、嬉しそうな表情で、くい、と...
「駄目よ、シナモン」
それをさえぎったのは、聖職者のネイヴィーだった。
シナモンの両肩に手を置いて、顔を覗き込むように優しく言い...
「だぁめ、こんな事をあなたはまだ、してはいけないわ。ディ...
シナモンは不服そうだったが、仕方なくネイヴィーの側で座...
「さ、て…」
ディースは、腰にぶら下げていた、愛用の鞭を手に持った。
鞭は乾いた音を立て、石畳を叩く。
まだ頭がぼんやりとしている彼には、その音はかなり耳につい...
これから始まることの予感に、びくりと体が震える。
それでも強気を装うが、かすかに肩は震えていた。
「答えてもらおうかな」
「な…、何をだ」
ディースは、ふっと笑った。
「リンドブルムについてのことを洗いざらい」
持っていた桶を投げ捨てると、それは甲高い音を立てて石壁に...
シナモンは少々驚いて目を丸くしたが、すぐに無邪気な笑顔を...
ネイヴィーは、その音にも動じず、ディースの行動を見守っ...
「お前たちの心臓部。お前たちの考え。お前たちの弱点、お前...
拳が、アイルの顔のすぐ横の壁に打ち付けられた。
「お前たちの…ギルドの最大戦力」
すぐ目の前には、ディースの顔があった。
まるで死神のような邪悪な笑みを浮かべる男。
アイルは、その笑みに恐怖を覚え始めていた。
「言うものか、お前なんぞに!」
「へ…え、言う気はない?」
「あ…たりまえだ!」
「なるほど。ならば仕方が無いな。シナモン、ナイフを」
「やりすぎちゃ、駄目よ」
ネイヴィーの戒めに、分かってるさ、と、ディースは呟いて...
シナモンは盆の布を取り、小さなナイフを彼に手渡した。
そのナイフは盗賊が武器として使うものではなく、護身用に...
彼は、その小型ナイフを鞘から取り出すと、鞭は棚に置き、...
「…」
アイルは、ただ黙ってみていることしか出来なかった。
これから何をされるかは、分かっている。
ただ具体的に何をされるのか、そしてこの男が今から何をし...
不安げな表情をちらりとみせたアイルに、ディースはなんとも...
彼の手がアイルの胸元につかみかかる。
「!」
その行動に驚き、身をよじって逃れようとするが、それは鉄の...
アイルの青く硬い生地の鎧をつかみ、更にその下のハイネック...
しっかりと腰で鎧を固定しているベルトを切ると、乱暴にその...
両腕に通された袖のみで支えられ、もはや体を守る役割を果...
「やめろっ…」
弱弱しく、アイルは抵抗した。
もはや、それは抵抗ではなく、懇願しているようにしか聞こえ...
ディースはその言葉を無視し、ナイフをくるりと回す。
軽く、彼の胸元にナイフを滑らせる。
その様子を、ネイヴィーは黙ってみていた。
アイルは、ナイフから体を遠ざけようとするが、それは出来な...
一瞬、ディースは彼の表情をうかがった。
困惑、そしてわずかに見せる恐怖の表情。
彼は、薄く笑みを浮かべた。
そして、ナイフをそのまま上へと滑らせた。
ピッ、と、それは綺麗に布を切った。
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|│ロ stop. │|
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ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ )
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拷問はわざと甘いのにしているので期待しないように・・・
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終了行:
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└──────│後々に拷問表現もあるので今から警告しとくです
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犬
日差しがつよく、独自の民族性のあるイカルス島にある火山...
そのため、恐いもの知らずの冒険者たちはイカルス周辺でパ...
アイル、ジーク、ロアの三人は、その火山にきていた。
聖職者の補助は無くても、三人の技量ならば長くはいられない...
敵が強ければ強いほど、手ごたえがあり、血に飢えた冒険者...
「お疲れさん!」
敵を蹴散らし、ここの最大の敵ともいえる、やたら頭が大きい...
「大丈夫か、アイル」
「大丈夫です。自分で傷は、少しは癒せますよ」
ティラノは口から吐いたガスが外気に触れると炎となる。その...
アイルがそれをもろに受け、丈夫な鎧と盾で受け止め切れなか...
彼は自分の傷を癒すことの出来る魔法、セルフヒールで所々...
暖かい光に包まれ、体の傷はゆっくりと、徐々に治癒して行...
が、手の火傷を癒すには、少々時間がかかる様子だった。
「アイル、火傷してるぞ」
避けるのが得意な盗賊だって、炎を食らえば辛いもの。
ロアは、体力を削られ、水溜り付近の草地の木の下で休んでい...
「ロア…ありがとう」
実際はたいした火傷ではなかったのだが。
それでも、自分を心配してくれる親友の心遣いが、とても嬉し...
ジークは仲の良い弟子二人を見て、くすりと笑うと、視線を...
あたりを一瞥した後、ふと、視線を後ろのほうへうつす。
背後に茂る木々の間、三人の冒険者がモンスターと戦ってい...
一人は魔術師、一人は修道士、そしてもう一人は…
「!!」
シルバーウルフキャップ、赤い鞭、そして、ぼんやりと光る...
その顔にも間違いは無かった。
スコルピオの、ディースだ。
「やばい、逃げろ!」
その瞬間、ジークは思わず二人に向かって叫んでいた。
しまった、と思った。
下手をすれば聞こえているかもしれない。
だがそれよりも、まず弟子たちを逃がすのが先だった。
「師匠?」
アイルが不思議そうに師匠を見やる。
ロアは、ジークの目線の先にスコルピオがいることを確認して...
「バカッ、スコルピオだ!」
だが、ロアとジークの声で、スコルピオの人間はこちらに気...
それまで戦っていた敵を切り捨てると、ディースがにやりと...
猛スピードでディースが『獲物』に向かって走ってくる。
それにあわせ、側にいた魔術師も標的を変え、詠唱を始めた。
アイル周辺の空気の密度が変わる。
「アイル、ロア、にげろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
アイルの手を引いていたロアにも、それがよくわかった。
反射的に、ロアは体を引いていた。
「クロスモノボルト」
魔術師の詠唱が終わる。
一瞬、激しくきらめいたかと思うと、アイルの体にすさまじい...
その衝撃がロアにも伝わった。
それは見て取れるほどのものである。
青く光る稲妻が、天に昇る竜のように絡みつく。
体中を、鋭い刃で切りつけられるかのような激痛に、アイルは...
「ぐっ、ああああああああっ…!」
とっさに体を離したとはいえ、間近にいたロアも同じような衝...
体力的にもロアのほうが上回っている。彼は崩れ落ちそうにな...
一方アイルは、ほんの一瞬の出来事だったが、彼は体力をか...
電撃が止むのと同時に、彼はその場に崩れ落ちる。
鎧と柔らかい皮膚を切り裂き、血がうっすらと出てくる。
同時に、焦げ臭い匂いも漂った。
「…アイル、ロア…!」
ジークが何とか体勢を立て直したときには、驚くほどの速さで...
剣にも劣らない、鋭い衝撃を放つ鞭を、ジークに浴びせる。
が、ジークは反射的にその一撃を盾で受け止めた。その衝撃は...
「ちっ」
ディースは軽く舌打ちすると、更にもう一度、鞭を打ちつけ...
不意を突かれたジークには、次は受け止められる自信は無かっ...
ヒュッと、風を切る鞭の音が耳をかすめた。
だが、突然の爆音と同時に、ディースが苦しみだした。
攻撃を繰り出そうとしていた腕はふいうちによって鞭を落とし...
「……っ!!」
ディースの周りには煙が巻き、それが彼の視野を遮断していた。
と同時に、刺激性のあるものも巻かれている。
ジョーカーポーク(煙爆弾)とペパーボム(トウガラシ爆弾)が、...
「ジーク…逃げるぞッ!!」
ロアだった。
ディースが隙を見せたと同時に、仲間の魔術師と修道士も一瞬...
ロアが、少しよろめきながら、その隙を突いてその二人にも...
「だが、アイルが…!」
アイルは、先ほどの一撃で完全に気を失っていた。
ティラノとのやりあいで怪我していた上に、クロスモノボル...
「アイル…」
ロアは、彼の元に駆け寄ろうとした。
が、その瞬間、何も無いはずの空間から、ディースに向かって...
まだ、いる。
奇襲攻撃を受け、アイルが倒れ、聖職者すらいないこのパーテ...
「すまん、アイル…!」
二人は呟くと、きびすを返し、全速力で逃げ出した。
「…ちっ、逃げられたか」
逃げる二人を追うことはせず、ディースは呟いた。
自分のすぐ後ろに転がるアイルを見やると、足で軽く踏んだ。
アイルの体中についた小さな傷から血が出て、青い鎧を黒く染...
「ネイヴィー、こいつ生きてるか?」
ディースは、何も無い空間に向き直り、問いかけた。
そしてその何も無い空間から、返事は帰ってくる。
最高位盗賊の中でもまれなものにしか使いこなせない、カムフ...
「生きてるわ」
その言葉と同時に、魔法がきれたのだろう。
やわらかく長い茶髪の、白い高位服を着た女性聖職者が姿を...
彼女はアイルの側まで歩み寄ると、警戒をしながら、彼の脈を...
「そうね、生きてるけど、ちょっと危ないかな?殺したほうが...
「いや、生かしとけ。体力はなさそうだが、少しは使えるだろ」
ディースは無表情に告げた。
その答えに、聖職者…ネイヴィーは表情を明るくした。
彼女は、傷をほんの少しだけ癒す魔法、ヒールをアイルに唱...
「まあ!それなら…、シナモン、シナモン!さっき渡した薬を頂...
ネイヴィーは、アイルにクロスモノボルトを放った魔術師に...
シナモンと呼ばれたその魔術師は、ピンク色の高位服をきてい...
まるで十台半ばの子供のような顔立ち。もしかしたら本当に...
彼女は、腰に下げていた薬草袋から、怪しげな白い粉の入った...
「あいっ」
「なんだ?生かすならばヒールだけで良いじゃないか」
シナモンの隣にいた最高位服の、まぶしい金色の逆毛の修道士...
ずいぶんがたいの良い体をしている。今までどれだけ修羅場...
「ヒールだとね、気がついてしまうかもしれないの。そうなっ...
彼女はその粉薬をわずかな量の水を手持ちの容器にうつし、...
そしてそれを、アイルが吐き出さないように少しずつ飲ませた。
いわゆる睡眠薬。聖職者は独自の知識と材料によって、薬を作...
「ジン、こいつ持って帰ろうぜ」
ディースは修道士に向かって告げる。
顎でアイルを示す。
つまり、ジンに、アイルを持ち上げるように指図しているのだ。
「ああ…わかったよ。…ったく。それがマスターに対する態度か」
ジンはしぶしぶと、アイルを肩にぶら下げるようにして軽々と...
ディースは、意識を手放したままのアイルをまじまじと見つめ...
「ディース?どうした」
ジンの言葉に、ジンを見ることもせず、アイルを見つめ、笑...
「…こいつ…どんな表情するだろうな…」
「?…早く行くぞ」
そのまま彼らはどこかへ消えてしまった。
「薬、そろそろ切れるころかな」
「死んでないだろうな」
「大丈夫よ…息はしてるわ。なんだったら気付け薬もあるけど?...
コツコツ、と音が響いた。
それは誰かが待ちくたびれて靴の先で硬い地面をたたいている...
男と女が話をしているのはぼんやりとした頭でもわかるが、そ...
背には冷たい、硬い石の感触。
そして手には…
途端、ばしゃん!と言う音同時に、頭から冷たい水が浴びせら...
心臓が止まるかと思ったが、その衝撃でようやく目が覚めた。
「!…けふっ、ごふっ、ごほっ」
手で水を払いのけようかと思ったが、なにかにひっかかるよう...
手首には、鉄の輪がはめられていた。
不思議に思い、顔を上げると、目の前にはあの男の顔があった。
「…お前は…」
ディースだ。
「ずいぶんゆっくり寝てたな」
ディースはいやらしくにやりと笑う。
手には、先ほどまで水が入っていたであろう桶と、そして腰に...
なぜ、自分はここにいるのだろうと思った。
なぜ、この男が目の前にいるのだろう。
そしてこの部屋は?なぜここはいてつくように寒く、血なまぐ...
なぜ…
「手枷をされているの…?」
アイルは自分のおかれた状況が飲み込めていなかった。
壁につながる自分の手枷。
頑丈な鉄で作られた鎖が、自分を壁とつないでいる。
大きく両腕を開かれた形になって、壁につるされている自分。
そして両足首にも、同じようなものがついていた。
体の自由は完全に奪われていた。
「お前は、リンドブルムの人間だな?」
ディースの真っ赤な瞳に捕らえられて、アイルはその迫力に固...
「そ…そうだ」
震える声で、答えるのが精一杯だった。
「あの時いた戦士は、ギルドマスターだな。逃がしたのは惜し...
「!」
そこでようやく、ぼんやりと霞がかった頭がはっきりとしてき...
そうだ、直前まで、この男に奇襲を食らったのだ!
「はっ…!」
そしてディースの背後には、二人の女性がいた。
一人は茶髪のおとなしそうな聖職者、そしてもう一人は、ツイ...
その聖職者のほうは、穏やかな表情で、布をかぶせた盆のよう...
魔術師も、同じように布をかぶせた盆を抱えている。そして、...
そのツインテールの魔術師こそ、自分にクロスモノボルトを浴...
「お前はっ!よくも、よくも俺を!!」
その魔術師、シナモンに向かって、彼は噛み付くように言葉...
だが両腕両足を捕らえられてるせいで、鉄と鉄、そして石壁が...
魔術師はきょとんとした表情で、アイルを見つめている。
「貴様!!俺をどうするつもりだ!!」
アイルは、ディースを激しくにらみつける。
先ほどのぼんやりとした様子からは想像つかないほど、激しい...
「ははははははは!!お前は、自分がそんな状態でよくもそんな...
ディースは高く笑った。
部屋の中は、広いわけではなかった。
だが、壁にかけられている器具、そして床に直に置かれている...
実際、アイルが背にしている壁も、血の跡が所々についてい...
ここは、拷問部屋なのだ。
「ねえ、ディース。シナモンも、参加していい?」
小柄な魔術師は、小首をかしげ、嬉しそうな表情で、くい、と...
「駄目よ、シナモン」
それをさえぎったのは、聖職者のネイヴィーだった。
シナモンの両肩に手を置いて、顔を覗き込むように優しく言い...
「だぁめ、こんな事をあなたはまだ、してはいけないわ。ディ...
シナモンは不服そうだったが、仕方なくネイヴィーの側で座...
「さ、て…」
ディースは、腰にぶら下げていた、愛用の鞭を手に持った。
鞭は乾いた音を立て、石畳を叩く。
まだ頭がぼんやりとしている彼には、その音はかなり耳につい...
これから始まることの予感に、びくりと体が震える。
それでも強気を装うが、かすかに肩は震えていた。
「答えてもらおうかな」
「な…、何をだ」
ディースは、ふっと笑った。
「リンドブルムについてのことを洗いざらい」
持っていた桶を投げ捨てると、それは甲高い音を立てて石壁に...
シナモンは少々驚いて目を丸くしたが、すぐに無邪気な笑顔を...
ネイヴィーは、その音にも動じず、ディースの行動を見守っ...
「お前たちの心臓部。お前たちの考え。お前たちの弱点、お前...
拳が、アイルの顔のすぐ横の壁に打ち付けられた。
「お前たちの…ギルドの最大戦力」
すぐ目の前には、ディースの顔があった。
まるで死神のような邪悪な笑みを浮かべる男。
アイルは、その笑みに恐怖を覚え始めていた。
「言うものか、お前なんぞに!」
「へ…え、言う気はない?」
「あ…たりまえだ!」
「なるほど。ならば仕方が無いな。シナモン、ナイフを」
「やりすぎちゃ、駄目よ」
ネイヴィーの戒めに、分かってるさ、と、ディースは呟いて...
シナモンは盆の布を取り、小さなナイフを彼に手渡した。
そのナイフは盗賊が武器として使うものではなく、護身用に...
彼は、その小型ナイフを鞘から取り出すと、鞭は棚に置き、...
「…」
アイルは、ただ黙ってみていることしか出来なかった。
これから何をされるかは、分かっている。
ただ具体的に何をされるのか、そしてこの男が今から何をし...
不安げな表情をちらりとみせたアイルに、ディースはなんとも...
彼の手がアイルの胸元につかみかかる。
「!」
その行動に驚き、身をよじって逃れようとするが、それは鉄の...
アイルの青く硬い生地の鎧をつかみ、更にその下のハイネック...
しっかりと腰で鎧を固定しているベルトを切ると、乱暴にその...
両腕に通された袖のみで支えられ、もはや体を守る役割を果...
「やめろっ…」
弱弱しく、アイルは抵抗した。
もはや、それは抵抗ではなく、懇願しているようにしか聞こえ...
ディースはその言葉を無視し、ナイフをくるりと回す。
軽く、彼の胸元にナイフを滑らせる。
その様子を、ネイヴィーは黙ってみていた。
アイルは、ナイフから体を遠ざけようとするが、それは出来な...
一瞬、ディースは彼の表情をうかがった。
困惑、そしてわずかに見せる恐怖の表情。
彼は、薄く笑みを浮かべた。
そして、ナイフをそのまま上へと滑らせた。
ピッ、と、それは綺麗に布を切った。
_________
|┌───────┐|
|│ロ stop. │|
|│ |│
|│ |│
|│ |│
|└───────┘|
[::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
ピッ ∧_∧
◇,,(∀・ )
. (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
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└────────────────┘
拷問はわざと甘いのにしているので期待しないように・・・
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