ページ内容へ
ナビゲーションへ
当サイトをご覧いただくにはブラウザの設定で
JavaScriptを有効に設定
する必要がございます。
ページの一覧
最終更新一覧
ヘルプ
ホーム
使い方
文字サイズ:小
文字サイズ:中
文字サイズ:大
1つ前のページに戻る
14-389
をテンプレートにして作成
開始行:
#title(ラルアル) [#xe32e2ad]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 悪魔土成ドラキュ...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ラルフ自...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
──誰かを抱く夢を、見ていた。
闇に浮かぶ肢体は光を放つまでにあくまで白く、触れる肌は...
その肌が自分の手の下で熱をおび、しっとりと濡れてとろけて...
両手に余るほどのたっぷりとした銀髪をわしづかみにして床...
許してほしいと哀願する。だがそれも、燃えあがった欲望をな...
と独占欲をあおる。
反らせた背中とうなじに口づけの雨をふらせて、そのたびに...
に、満足する。
あげさせた細い腰をつかんで一息に貫きとおすと、かすれた...
ねじ伏せながら、その声が徐々に快楽の喘ぎに変わっていくの...
かな体を口づけと愛撫とで覆っていく。
充たされた征服欲と独占欲、尽きることのない、欲望。白い...
すがり、甘い息をもらしている。香り高い銀髪に頬を埋め、幾...
てやる。
そうだ、これは俺のものだ、ほかの誰にも、何にも、けっし...
異様な気配に、ラルフ・C・ベルモンドははっと目を見開いた。
深夜、自分の寝室。暗闇に沈んだ室内に、爛々と燃える赤い...
「妖魔!」
ラルフが枕もとに置いた鞭に手を伸ばすより早く、赤いひとつ目...
闇に溶けた。
鞭に手を伸ばしかけたまま、ラルフは凍りついていた。たった今...
残っていた。
夢の中の相手は、──アルカードの顔を、していた。
◆
翌朝の目覚めは気が重かった。
身体もなんとなくだるく、二日酔いの朝のような吐き気と倦...
進まず、あの御当主がと厨房の者を不思議がらせたほどだった。
いつものようにエルンストに見張られつつ書類仕事や見回りをすま...
の読書室に足をむけた。
最初はさんざん文句を言った読み書きの時間だったが、よく...
の数時間を堂々と過ごせる口実になるのだ。エルンストが、理由は常...
遠ざけたがるような態度を取るとなれば、なおさらこの時間は...
なのに、今日はその日課すらもラルフを楽しませなかった。読書...
昨夜の夢は魔物のしわざだ、あの森で邪魔をされたやつらの...
ない。そういくら自分に言い聞かせても、闇の中で光るようだ...
感触はいまだにひどく現実的だった。これから実際その相手に...
わからない。いくら相手が、ラルフの夢まで知っているわけはなか...
東翼へ続く廊下にはいると、かすかに弦をつま弾くような音...
ら、間をおいてまた何度か同じ弦をはじいている。
「アルカード?」
「ああ。ラルフ」
読書室に入ると、アルカードはいつもの定位置である書見台の前...
運んでそこに座っていた。膝に首の長い古風なリュートをのせ...
を置いている。
「今日は本じゃないのか。そんなもの、どこで見つけてきたん...
「書庫の隅で弦が切れたまま埃をかぶっていたので、修理して...
こともなげに答えて、つぃん、とまた一音鳴らして耳をすま...
「すまないが、もう少しそこで待っていてくれ。調弦を済まし...
しまわないと、また音程が狂ったりするからな」
「あ、ああ」
窓辺のアルカードの姿から目を離せないまま、ラルフはそろそろと椅...
すでにアルカード用の服はひとそろいできあがってきていて、西...
ているのだが、アルカードはいまだにラルフの古いシャツを脱ごうとし...
埃だらけの蔵書室で新しい服を汚すのは忍びない、というの...
身につけていたものがアルカードの身を包んでいるということに、...
脱ぎたがらないことも、ひそかな喜びと満足の種だった。
だが、今朝はそれが逆に働いていた。午後の明るい光に縁取...
アルカードは、どうしても昨夜の夢の姿を思い出させた。
大きすぎる袖から出た細い手首や、襟もとの白い首筋に細い...
ず叫びだしたい気分になってくる。
白い指先が弦をはじき、繊細な音の違いを聞きとろうと目を...
あの夢のなかの横顔がかさなった。
はっと気がつくと、痛いほど固く両拳を握りしめていた。ラルフ...
をついた。
だが、しばらくすると、また同じように全身をこわばらせて...
腹の底に溶岩がたぎっているようだった。目を離そう、離さ...
されたようにアルカードから離れなかった。
アルカードは調弦の作業に没頭してほとんどこちらを見ていない...
くしむように細いネックをたどる。
つぃん、つぃん、と弦が澄んだ音をたてるたびに、かぼそい...
む腕と指先が、いやおうなしに、夢ですがりついてきたあの腕...
たまらなくなって、ラルフは立ちあがった。
「ラルフ?」驚いたようにアルカードが顔をあげる。
「どうしたんだ? あと少しで終わるから、もうしばらく待っ...
「ちょっと用事を思い出した」
絞り出すようにラルフは言った。喉を絞められているような声だ...
「すまんが、授業はまた明日、ということにしておいてくれ。...
「ラルフ、どうしたんだ」
様子がおかしいことは気がついたらしい。楽器をわきに置い...
「何かあったのか? 本当に、もうすぐ終わるから、あと少し...
別にまた、明日やりなおせばいいことだし──」
「さわるな!」
引き止めようと伸びてきた手を、ラルフは思わず振り払っていた...
一瞬後には後悔していたが、もう遅かった。振り払われた手...
顔をしていた。唇をかすかに開き、血の気の引いた顔に、蒼氷...
いたたまれなくなって、ラルフはそのまま逃げるように踵を返し...
理性は今すぐもどって、アルカードに謝るよう、きちんと理由を...
気持ちで、あの夢をかかえたままあの瞳に見つめられたら、自...
った。
「若」
しばらく外に出て頭を冷やすつもりで厩へ行き、馬に鞍を置...
重くなった。
「なんだ」
苦々しい口調でラルフは言った。
「小言なら、聞かんぞ。今日の分の書類なら、全部朝から片づ...
「荘園のことではございません。少々、お訊きしたいことがご...
いいかとも聞かずにエルンストは厩に入ってきて、ラルフのそばに立...
「訊きたいこと? いったい何だ」
「あの、西の塔においでの若君のことでございます」
一気に背筋が冷たくなった。
エルンストは鷲のような瞳でこちらを見つめている。ラルフはなんと...
「アルカードがどうかしたのか。あいつは別に迷惑はかけていない...
「迷惑ということはございません。むしろ、お美しい上にたい...
評判でございます。しかし」
エルンストはぎらりと目を光らせた。
「あのお方の、ご家名をお聞かせ願えますか、若」
「それを聞いて、どうする」
「あるいは、遠国とおっしゃいましたが、どこの国のご出身で...
ラルフの返事は無視して、エルンストはつづけた。
「たといどのような遠国といえども、ご子弟にあれだけの気品...
られてまいりましょう。スペインのハプスブルク、ヴェニスのグリマーニ、あ...
ア、その他思いあたるようなどんな大貴族の中にすら、あのよう...
ございません。
しかも、そのような大貴族のお血筋の方ならば、なぜたった...
ったのです。旅先で出会われたと若はおっしゃいましたが、そ...
か、お話しください」
「エルンスト」
しだいに怒りがこみあげてくるのを押さえて、語気荒くラルフは...
「言いたいことがあるならさっさと言え。アルカードがどこの出身...
意味でもあるのか。あいつは俺の友人で、ドラキュラを討伐した仲...
「“Alucard”という名前は、“Dracula”の逆綴りでございますな」
ラルフがもっとも怖れていた言葉を、エルンストはとうとう口にした。
「風のうわさに、ドラキュラには人間の妻がいて、その妻との間に...
様は、見たところあれほどお若いにもかかわらず、剣の腕とい...
われるばかりの美しさといい、どれをとっても人間の域をかけ...
ドラキュラの」
「エルンスト!」
押し殺した声でラルフはさえぎった。
怒鳴らなかったのは最後の瞬間に理性が働いて、この会話が...
かすめたためだった。鈎型にまがった指は、今にもエルンストの襟首...
「おまえ、その事をほかの者に喋ったか。あいつの、素性を」
「では、お認めになるのですな。あの方が魔王ドラキュラの子、闇...
「ああ、認めるとも」
吐き捨てて、ラルフは乱暴に背を向けた。
「だが、それが何だというんだ。あいつは俺といっしょに、血...
あいつが魔王と同じような闇の眷属ではない証だ。アルカードは絶...
一か月ほどでおまえも見ていれば納得できるだろう」
「わたくしがどう思うかではございません。世間と、教会がど...
エルンストは馬の轡をつかんで鋭く言った。
「今、ベルモンド家がどのような立場に置かれているかは若もご存...
狼に変身する魔の一族とさえ呼ばれたベルモンドが、ドラキュラ討伐...
ているところなのです。今、ドラキュラの血を継ぐ者を邸内に置い...
はあっという間にベルモンドを、異端者として排斥いたしますぞ」
「そんなことはわかっている。その手を放せ、エルンスト」
「あなた様のみならず、荘園で平穏に暮らしている家小作の者...
身をもぎはなして馬に乗ろうとするラルフに、執拗にエルンストはす...
「あなた様はベルモンドの御当主なのですぞ、若。ご自分の意志の...
あなた様にはベルモンド家全体と、それによって生活しているすべ...
くださいますな。ベルモンド家が異端とされれば、村の者どもは土...
するか、異端者の烙印を押されて火刑に処せられるしかないの...
「うるさい、どけ!」
衝動的にラルフは乗馬鞭をふるった。
手の甲をかすめられて、エルンストはあっと小さな声をあげて手を...
ラルフは馬に飛び乗り、厩の柵をひと飛びで乗りこえさせて門に...
らなかった。後ろでエルンストが、打たれた手を押さえながら、黙っ...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
#comment
終了行:
#title(ラルアル) [#xe32e2ad]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 悪魔土成ドラキュ...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ラルフ自...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
──誰かを抱く夢を、見ていた。
闇に浮かぶ肢体は光を放つまでにあくまで白く、触れる肌は...
その肌が自分の手の下で熱をおび、しっとりと濡れてとろけて...
両手に余るほどのたっぷりとした銀髪をわしづかみにして床...
許してほしいと哀願する。だがそれも、燃えあがった欲望をな...
と独占欲をあおる。
反らせた背中とうなじに口づけの雨をふらせて、そのたびに...
に、満足する。
あげさせた細い腰をつかんで一息に貫きとおすと、かすれた...
ねじ伏せながら、その声が徐々に快楽の喘ぎに変わっていくの...
かな体を口づけと愛撫とで覆っていく。
充たされた征服欲と独占欲、尽きることのない、欲望。白い...
すがり、甘い息をもらしている。香り高い銀髪に頬を埋め、幾...
てやる。
そうだ、これは俺のものだ、ほかの誰にも、何にも、けっし...
異様な気配に、ラルフ・C・ベルモンドははっと目を見開いた。
深夜、自分の寝室。暗闇に沈んだ室内に、爛々と燃える赤い...
「妖魔!」
ラルフが枕もとに置いた鞭に手を伸ばすより早く、赤いひとつ目...
闇に溶けた。
鞭に手を伸ばしかけたまま、ラルフは凍りついていた。たった今...
残っていた。
夢の中の相手は、──アルカードの顔を、していた。
◆
翌朝の目覚めは気が重かった。
身体もなんとなくだるく、二日酔いの朝のような吐き気と倦...
進まず、あの御当主がと厨房の者を不思議がらせたほどだった。
いつものようにエルンストに見張られつつ書類仕事や見回りをすま...
の読書室に足をむけた。
最初はさんざん文句を言った読み書きの時間だったが、よく...
の数時間を堂々と過ごせる口実になるのだ。エルンストが、理由は常...
遠ざけたがるような態度を取るとなれば、なおさらこの時間は...
なのに、今日はその日課すらもラルフを楽しませなかった。読書...
昨夜の夢は魔物のしわざだ、あの森で邪魔をされたやつらの...
ない。そういくら自分に言い聞かせても、闇の中で光るようだ...
感触はいまだにひどく現実的だった。これから実際その相手に...
わからない。いくら相手が、ラルフの夢まで知っているわけはなか...
東翼へ続く廊下にはいると、かすかに弦をつま弾くような音...
ら、間をおいてまた何度か同じ弦をはじいている。
「アルカード?」
「ああ。ラルフ」
読書室に入ると、アルカードはいつもの定位置である書見台の前...
運んでそこに座っていた。膝に首の長い古風なリュートをのせ...
を置いている。
「今日は本じゃないのか。そんなもの、どこで見つけてきたん...
「書庫の隅で弦が切れたまま埃をかぶっていたので、修理して...
こともなげに答えて、つぃん、とまた一音鳴らして耳をすま...
「すまないが、もう少しそこで待っていてくれ。調弦を済まし...
しまわないと、また音程が狂ったりするからな」
「あ、ああ」
窓辺のアルカードの姿から目を離せないまま、ラルフはそろそろと椅...
すでにアルカード用の服はひとそろいできあがってきていて、西...
ているのだが、アルカードはいまだにラルフの古いシャツを脱ごうとし...
埃だらけの蔵書室で新しい服を汚すのは忍びない、というの...
身につけていたものがアルカードの身を包んでいるということに、...
脱ぎたがらないことも、ひそかな喜びと満足の種だった。
だが、今朝はそれが逆に働いていた。午後の明るい光に縁取...
アルカードは、どうしても昨夜の夢の姿を思い出させた。
大きすぎる袖から出た細い手首や、襟もとの白い首筋に細い...
ず叫びだしたい気分になってくる。
白い指先が弦をはじき、繊細な音の違いを聞きとろうと目を...
あの夢のなかの横顔がかさなった。
はっと気がつくと、痛いほど固く両拳を握りしめていた。ラルフ...
をついた。
だが、しばらくすると、また同じように全身をこわばらせて...
腹の底に溶岩がたぎっているようだった。目を離そう、離さ...
されたようにアルカードから離れなかった。
アルカードは調弦の作業に没頭してほとんどこちらを見ていない...
くしむように細いネックをたどる。
つぃん、つぃん、と弦が澄んだ音をたてるたびに、かぼそい...
む腕と指先が、いやおうなしに、夢ですがりついてきたあの腕...
たまらなくなって、ラルフは立ちあがった。
「ラルフ?」驚いたようにアルカードが顔をあげる。
「どうしたんだ? あと少しで終わるから、もうしばらく待っ...
「ちょっと用事を思い出した」
絞り出すようにラルフは言った。喉を絞められているような声だ...
「すまんが、授業はまた明日、ということにしておいてくれ。...
「ラルフ、どうしたんだ」
様子がおかしいことは気がついたらしい。楽器をわきに置い...
「何かあったのか? 本当に、もうすぐ終わるから、あと少し...
別にまた、明日やりなおせばいいことだし──」
「さわるな!」
引き止めようと伸びてきた手を、ラルフは思わず振り払っていた...
一瞬後には後悔していたが、もう遅かった。振り払われた手...
顔をしていた。唇をかすかに開き、血の気の引いた顔に、蒼氷...
いたたまれなくなって、ラルフはそのまま逃げるように踵を返し...
理性は今すぐもどって、アルカードに謝るよう、きちんと理由を...
気持ちで、あの夢をかかえたままあの瞳に見つめられたら、自...
った。
「若」
しばらく外に出て頭を冷やすつもりで厩へ行き、馬に鞍を置...
重くなった。
「なんだ」
苦々しい口調でラルフは言った。
「小言なら、聞かんぞ。今日の分の書類なら、全部朝から片づ...
「荘園のことではございません。少々、お訊きしたいことがご...
いいかとも聞かずにエルンストは厩に入ってきて、ラルフのそばに立...
「訊きたいこと? いったい何だ」
「あの、西の塔においでの若君のことでございます」
一気に背筋が冷たくなった。
エルンストは鷲のような瞳でこちらを見つめている。ラルフはなんと...
「アルカードがどうかしたのか。あいつは別に迷惑はかけていない...
「迷惑ということはございません。むしろ、お美しい上にたい...
評判でございます。しかし」
エルンストはぎらりと目を光らせた。
「あのお方の、ご家名をお聞かせ願えますか、若」
「それを聞いて、どうする」
「あるいは、遠国とおっしゃいましたが、どこの国のご出身で...
ラルフの返事は無視して、エルンストはつづけた。
「たといどのような遠国といえども、ご子弟にあれだけの気品...
られてまいりましょう。スペインのハプスブルク、ヴェニスのグリマーニ、あ...
ア、その他思いあたるようなどんな大貴族の中にすら、あのよう...
ございません。
しかも、そのような大貴族のお血筋の方ならば、なぜたった...
ったのです。旅先で出会われたと若はおっしゃいましたが、そ...
か、お話しください」
「エルンスト」
しだいに怒りがこみあげてくるのを押さえて、語気荒くラルフは...
「言いたいことがあるならさっさと言え。アルカードがどこの出身...
意味でもあるのか。あいつは俺の友人で、ドラキュラを討伐した仲...
「“Alucard”という名前は、“Dracula”の逆綴りでございますな」
ラルフがもっとも怖れていた言葉を、エルンストはとうとう口にした。
「風のうわさに、ドラキュラには人間の妻がいて、その妻との間に...
様は、見たところあれほどお若いにもかかわらず、剣の腕とい...
われるばかりの美しさといい、どれをとっても人間の域をかけ...
ドラキュラの」
「エルンスト!」
押し殺した声でラルフはさえぎった。
怒鳴らなかったのは最後の瞬間に理性が働いて、この会話が...
かすめたためだった。鈎型にまがった指は、今にもエルンストの襟首...
「おまえ、その事をほかの者に喋ったか。あいつの、素性を」
「では、お認めになるのですな。あの方が魔王ドラキュラの子、闇...
「ああ、認めるとも」
吐き捨てて、ラルフは乱暴に背を向けた。
「だが、それが何だというんだ。あいつは俺といっしょに、血...
あいつが魔王と同じような闇の眷属ではない証だ。アルカードは絶...
一か月ほどでおまえも見ていれば納得できるだろう」
「わたくしがどう思うかではございません。世間と、教会がど...
エルンストは馬の轡をつかんで鋭く言った。
「今、ベルモンド家がどのような立場に置かれているかは若もご存...
狼に変身する魔の一族とさえ呼ばれたベルモンドが、ドラキュラ討伐...
ているところなのです。今、ドラキュラの血を継ぐ者を邸内に置い...
はあっという間にベルモンドを、異端者として排斥いたしますぞ」
「そんなことはわかっている。その手を放せ、エルンスト」
「あなた様のみならず、荘園で平穏に暮らしている家小作の者...
身をもぎはなして馬に乗ろうとするラルフに、執拗にエルンストはす...
「あなた様はベルモンドの御当主なのですぞ、若。ご自分の意志の...
あなた様にはベルモンド家全体と、それによって生活しているすべ...
くださいますな。ベルモンド家が異端とされれば、村の者どもは土...
するか、異端者の烙印を押されて火刑に処せられるしかないの...
「うるさい、どけ!」
衝動的にラルフは乗馬鞭をふるった。
手の甲をかすめられて、エルンストはあっと小さな声をあげて手を...
ラルフは馬に飛び乗り、厩の柵をひと飛びで乗りこえさせて門に...
らなかった。後ろでエルンストが、打たれた手を押さえながら、黙っ...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
#comment
ページ名:
ページ新規作成
新しいページはこちらから投稿できます。
作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
ページ新規作成: