ページ内容へ
ナビゲーションへ
当サイトをご覧いただくにはブラウザの設定で
JavaScriptを有効に設定
する必要がございます。
ページの一覧
最終更新一覧
ヘルプ
ホーム
使い方
文字サイズ:小
文字サイズ:中
文字サイズ:大
リロード
編集
ツール
名前変更
凍結
差分
バックアップ
添付
複製
印刷
Top
/
56-356
56-356
の編集
-- 雛形とするページ --
(no template pages)
#title(項垂れる曇り空) [#t7a4ab60] お借りします。 ・邦楽、一角獣の双子コンビ(notカプ) ・年下組が仲良くしてるのが好きな人推奨。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 暖かくなってきたし遊ぼうや、と連絡をしてきたのは亜辺だ。 前に会ってからたいして間も空いていないのに、二つ返事で朝から車を走らせた。 いつもなら車に必ず積むゴルフセットに一瞬手を伸ばし、すぐに引っ込めた。 玄関から一歩外に出ると、青空とはほど遠い色をしている空が視界に飛び込む。 連絡をしてきたのは自分だというのに、わざわざ呼び寄せて置いて亜辺は何も考えていなかったらしい。 すっかり馴染みになったカフェに連れ出され、二人して今にも雨が降り出しそうな曇り空を見上げて 同時にため息を吐く。 「昨日夕焼け綺麗だったから、絶対晴れると思ったんだけどなー」 「夜の天気予報で雨降るって言うとったぞ」 「そっかー……」 「何じゃ、何の考えも無しに電話してきたん?」 「うん。ちょっと迷ったけどね」 今忙しいでしょ、皆。呟いた言葉は湿っぽい空気にじわりと解けて広がる。 怒濤の2年間を終えようやく各々が自分のペースで動き始め、 飽きるほど顔を合わせることはなくなった。 かといって、打ち合わせやちょっとした秘密の集まりは不定期にやっているし、 それ以外でも誰かと誰かがこそこそやってるのも知っている。 別に会いたければ連絡でも何でもすればいい。昔のように変に勘ぐられることもないし、 むしろ会いやすい環境になったと思う。 「何かさあ、ぎゅっと凝縮され過ぎちゃった感じしない?」 平気な顔をして自分たちは一人に慣れていたつもりだったのに、 実は全然そうじゃなかった、と気付いてしまった。 5人でいるときの独特の空気感や、バカなことをしてギャーギャー笑ってしまいには笑い疲れる、 そういう時間の居心地の良さを思い出し、その中に自分の居場所があることはとてつもない安心感があった。 「馬鹿騒ぎし過ぎたっちゅー見方もあるけどな」 「いいじゃん、そういうのがうちらっぽいじゃん。でも、失敗したかなあって思うこともあるけどね」 「何をよ」 「……現場行ってあの甲高い笑い声が聞こえないとさ、『あーそっか、今日は一人なんだー』って思っちゃって。 ま、俺の仕事だから当たり前なんだけど」 結局そこにいくんかい、とツッコミを心の中だけで入れ、頬杖をつく亜辺の横顔をぼうっと見つめる。 (……あー、あいつ今ツアーで飛び回ってんだっけか) 同じくツアー中の最年長と地元で仲良くやっていたことを思い出し、 灰が落ちかけていた吸い殻を灰皿に力一杯押しつける。 あのブログを見たことも知られたくないし、ちょっとだけイラッとしたことは もっと知られたくない。プライドに賭けて。 「連絡すりゃーええじゃん」 「でもさ、『ごめんね、忙しいから~』とか言われたら心折れちゃうっしょ」 「中学生か、おまえ」 40過ぎて恋だの何だのの話題をこいつとすることになるなんて思わなかった、と冷めかけたコーヒーを啜る。 それこそ、再結成前の自分が亜辺にまで隠していたことと同じようなもので、 要はおおっぴらに言うか言わないかの違いだけだ。 ただ、隠していたつもりだったはずのその辺りのことは亜辺どころか周辺の人間にはバレバレだったらしく、 あの鈍感な海老にまで指摘されたのは未だに心外だ。 『多三男は隠せてたつもりかもしんないけど、だだ漏れだったよねえ?』 自慢げに胸を張る海老を睨みつける多三男、の図に呆れたように笑う彼もまた同じような状況の中にいて、 自由奔放に振る舞い続ける相手に振り回されるお互いを見ては苦笑いをするしかないのだ。今も。 「お土産買ってきてくれるんだって」 「海老が?」 「ん。買ってくから楽しみにしててね、とか言われちゃったらさー……待つじゃん、 俺そういうとこ素直だし」 「で、その連絡が来ないと。で、耐えられんから俺を呼び出したと。そういうこと?」 うん、と子供のように頷いた一つ年下の友人の頭を思いっきりはたきたいのを堪え、次の言葉を待つ。 「広島でその話、河弐っさんにしたら『成る程、んじゃ俺も買ってこ』って 言ってたらしいけど、連絡ないの?」 「……おっさん、絶賛合宿中だから。明後日帰ってくるけど」 「なら、そろそろ連絡来るんじゃね?」 「……だといいけどな」 相手のことだったらこんなにも親身に考えられるのに、俺たちは自分のことになると途端に素直じゃない。 お互いに一向に鳴る気配のない携帯をちらちら気にしながら次の煙草に火を点け、 違う相手のことを思い浮かべながら長く、それでいて甘ったるい雰囲気を漂わせるため息を吐いた。 本当に、恋なんてもんは厄介で仕方ない。 でも、そんな厄介な感情に振り回されてる自分たちは案外嫌いではない。 □STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 何言いたいのかよくわからなくなったけど、この2人の阿吽の呼吸以外の何物でもない会話が好きだ。 何だかんだでこの人らは事ある毎にこそこそキャッキャしてると思う。 - 振り回される2人も、振り回す2人も愛しくって仕方がない -- &new{2014-09-07 (日) 21:35:20}; #comment
タイムスタンプを変更しない
#title(項垂れる曇り空) [#t7a4ab60] お借りします。 ・邦楽、一角獣の双子コンビ(notカプ) ・年下組が仲良くしてるのが好きな人推奨。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 暖かくなってきたし遊ぼうや、と連絡をしてきたのは亜辺だ。 前に会ってからたいして間も空いていないのに、二つ返事で朝から車を走らせた。 いつもなら車に必ず積むゴルフセットに一瞬手を伸ばし、すぐに引っ込めた。 玄関から一歩外に出ると、青空とはほど遠い色をしている空が視界に飛び込む。 連絡をしてきたのは自分だというのに、わざわざ呼び寄せて置いて亜辺は何も考えていなかったらしい。 すっかり馴染みになったカフェに連れ出され、二人して今にも雨が降り出しそうな曇り空を見上げて 同時にため息を吐く。 「昨日夕焼け綺麗だったから、絶対晴れると思ったんだけどなー」 「夜の天気予報で雨降るって言うとったぞ」 「そっかー……」 「何じゃ、何の考えも無しに電話してきたん?」 「うん。ちょっと迷ったけどね」 今忙しいでしょ、皆。呟いた言葉は湿っぽい空気にじわりと解けて広がる。 怒濤の2年間を終えようやく各々が自分のペースで動き始め、 飽きるほど顔を合わせることはなくなった。 かといって、打ち合わせやちょっとした秘密の集まりは不定期にやっているし、 それ以外でも誰かと誰かがこそこそやってるのも知っている。 別に会いたければ連絡でも何でもすればいい。昔のように変に勘ぐられることもないし、 むしろ会いやすい環境になったと思う。 「何かさあ、ぎゅっと凝縮され過ぎちゃった感じしない?」 平気な顔をして自分たちは一人に慣れていたつもりだったのに、 実は全然そうじゃなかった、と気付いてしまった。 5人でいるときの独特の空気感や、バカなことをしてギャーギャー笑ってしまいには笑い疲れる、 そういう時間の居心地の良さを思い出し、その中に自分の居場所があることはとてつもない安心感があった。 「馬鹿騒ぎし過ぎたっちゅー見方もあるけどな」 「いいじゃん、そういうのがうちらっぽいじゃん。でも、失敗したかなあって思うこともあるけどね」 「何をよ」 「……現場行ってあの甲高い笑い声が聞こえないとさ、『あーそっか、今日は一人なんだー』って思っちゃって。 ま、俺の仕事だから当たり前なんだけど」 結局そこにいくんかい、とツッコミを心の中だけで入れ、頬杖をつく亜辺の横顔をぼうっと見つめる。 (……あー、あいつ今ツアーで飛び回ってんだっけか) 同じくツアー中の最年長と地元で仲良くやっていたことを思い出し、 灰が落ちかけていた吸い殻を灰皿に力一杯押しつける。 あのブログを見たことも知られたくないし、ちょっとだけイラッとしたことは もっと知られたくない。プライドに賭けて。 「連絡すりゃーええじゃん」 「でもさ、『ごめんね、忙しいから~』とか言われたら心折れちゃうっしょ」 「中学生か、おまえ」 40過ぎて恋だの何だのの話題をこいつとすることになるなんて思わなかった、と冷めかけたコーヒーを啜る。 それこそ、再結成前の自分が亜辺にまで隠していたことと同じようなもので、 要はおおっぴらに言うか言わないかの違いだけだ。 ただ、隠していたつもりだったはずのその辺りのことは亜辺どころか周辺の人間にはバレバレだったらしく、 あの鈍感な海老にまで指摘されたのは未だに心外だ。 『多三男は隠せてたつもりかもしんないけど、だだ漏れだったよねえ?』 自慢げに胸を張る海老を睨みつける多三男、の図に呆れたように笑う彼もまた同じような状況の中にいて、 自由奔放に振る舞い続ける相手に振り回されるお互いを見ては苦笑いをするしかないのだ。今も。 「お土産買ってきてくれるんだって」 「海老が?」 「ん。買ってくから楽しみにしててね、とか言われちゃったらさー……待つじゃん、 俺そういうとこ素直だし」 「で、その連絡が来ないと。で、耐えられんから俺を呼び出したと。そういうこと?」 うん、と子供のように頷いた一つ年下の友人の頭を思いっきりはたきたいのを堪え、次の言葉を待つ。 「広島でその話、河弐っさんにしたら『成る程、んじゃ俺も買ってこ』って 言ってたらしいけど、連絡ないの?」 「……おっさん、絶賛合宿中だから。明後日帰ってくるけど」 「なら、そろそろ連絡来るんじゃね?」 「……だといいけどな」 相手のことだったらこんなにも親身に考えられるのに、俺たちは自分のことになると途端に素直じゃない。 お互いに一向に鳴る気配のない携帯をちらちら気にしながら次の煙草に火を点け、 違う相手のことを思い浮かべながら長く、それでいて甘ったるい雰囲気を漂わせるため息を吐いた。 本当に、恋なんてもんは厄介で仕方ない。 でも、そんな厄介な感情に振り回されてる自分たちは案外嫌いではない。 □STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 何言いたいのかよくわからなくなったけど、この2人の阿吽の呼吸以外の何物でもない会話が好きだ。 何だかんだでこの人らは事ある毎にこそこそキャッキャしてると思う。 - 振り回される2人も、振り回す2人も愛しくって仕方がない -- &new{2014-09-07 (日) 21:35:20}; #comment
テキスト整形のルールを表示する
ページ新規作成
新しいページはこちらから投稿できます。
作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
ページ新規作成: