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#title(スメル) [#me1088b9] / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ナマモノ盤越え・葡萄の蔓唄×三本角の恐竜唄です。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 超ドマイナーカプでごめんなさい | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || | 何があったわけでもないのに、二人で集まって飲んだことがあった。 どちらが誘ったかは憶えていない。彼の家だったと思う。 彼のことを思い出すときは、小さな斑の犬のにおいが思い出される。 あの二匹。確かに、その日の記憶からはあのにおいがした。 きっと、近況報告のようなものをした。 はじめは、お互いを懐かしむため、いや、ただの社会人間として生きるときの常識なのか、 彼の言う所の最近の俺を報告し合った。多分。 義務を果たしたおれたちは、冗談を交わした。もちろん、猥談もした。いや、正直猥談がメインだった。 彼と会うときは、ビールを飲むことが多い。 しかしながら、その日はイベントで偶然会ったわけでもなかったので、遠慮なく彼の家にあった日本酒を戴いた。 日本酒を飲んだ舌で煙草を吸うと、ひりひりと痛むような、また、喉が震えるような、強烈な衝撃を感じた。 とっても体に悪いことをしていたらしい。 「喉が射精しすぎたあとみたいだよ。」そんな色気もなにもない比喩を口に出すと、 彼は、いつもの、母上を思い出させるような笑い方をした。 アルコールも適度に回り、気持ちよくなってきた頃。 こういうときはどうしても、音楽の話になってしまう。悲しきミュージシャンの性。 どういう話をしたのか、具体的には憶えていない。 憶えていたのは、彼が笑う度に口元に寄せる、その右手の、指環の形状ぐらいだ。 「なんか、CD聴きたくなっちゃった。かけてもいい?」 ふいに彼が立ち上がり、整頓されていないスチールラックから、CDを取り出した。 おれはてっきり、彼の好きな、あの王様の曲でもかけるんだろうと思った。 だけど、彼が取り出したものは、フランス語のタイトル。 の、おれのバンドの、アルバム。 「なんで持ってんねん」 「買ったんだよ。えらいでしょ?おれのも買ってよね」 冗談か本気か分からない口調で彼は言う。 屈託のない笑み。つい、少年のようだ、と思ってしまった。 どういうセンスしてるのだろうか。同じミュージシャンとして恥ずかしいぐらいのセンスのなさだ。 回る円盤。大きなスピーカーから、おれの音が流れる。何百回も聴いた気がする。 煙草の歌が始まる。 「止めろや。恥ずいやろ」 と言いながらも、こう聴いてみるとなかなかいい曲だと思う。 さっきの考えは撤回しておこう。同じミュージシャンとして誇りだよ。 ああ、酔ってるな。今日は呑まれる日かもしれない。 「なんでー。好きだよ、これ」 どきりとした。文字通り、どきりと。 自分のアルバムが褒められたからではない、この昂揚。 きっと、酔ってる。二年ほど前の対バンのときも、飲みすぎていた。 結構、恥ずかしいことをMCで言った気がする。もっと恥ずかしいことを、MCで言われた気もする。 「そー。ありがとう」 目の前の彼は未だに笑っている。 彼はいつの間にか、歌詞カードを取り出してじっと見詰めていた。 今度は、犬のようだ、と思った。 「なにしてんねん」と突っ込むと、彼は視線を動かさずに言う。 「おれってほら、あんまり頭がいい歌詞が書けないわけ。だからね、憧れるんだよ」 一瞬、誰のことを言っているのか分からなかった。 少し、恥ずかしくなって、嬉しかった。それも、とてつもなく。 「ええやん。おれの偏屈な歌詞より、輪打っちの歌詞のがええと思うけど」 これは、謙遜しているわけでもなく、紛れも無い本心だった。 だけど、この言葉を素直に受け取ってはくれないだろうことも、分かっていた。 彼は少し顔をあげて、「なんかすいません」と笑いながら言う。うっすら憂いを帯びている。 少し、色っぽいなんて思ってしまったり。 「多分、酔ってる。ちょっと横になってもいい?」 ソファに寝転がる彼。 彼も、酔っている。 息を吐きながら目を瞑る彼は、やっぱり色っぽくて。目元を隠す右腕がむしょうに愛おしくてならない。 おれも、酔っていた。 煙草が吸いたい。それは、流れている音楽の所為ではなく、目の前の彼の所為だ。 「レコーディング、順調?」 「まあまあ。そっちは?」 「まあまあって言われたら、まあまあとしか返せへんよ」 うっすらと笑う彼。ダメだ。触れてしまいそうだ。 おれは彼の寝転がるソファに近付いた。彼は目を瞑ったままだった。 触れてしまいそう、が、触れようとしている、に変わってしまう。 左手には、まだ光が残っていた。とても大切な、きっと彼は持っていない光。 そんなことは知っていた。でも、それでも、いいのかもしれないと思った。 右手を、指先を、彼の唇へ近づける。 「なんかさあ」 突然。彼が言った。触れる前だった。 手にかいていた汗を、ジーンズで拭った。 そして、同時に、助かった、と思った。 「もしかしたらおれ、棚可くんとセックスしたいと思ってるかもしれない」 拭ったはずの汗がまたじわり。 鼓動が、早くなる。 彼の唇が、最低だ、と動いた。 もっと最低なのは、おれかもしれない。 左手には、まだ光があった。 ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | 捏造ばっかりです。 | | | | ∧_∧ お粗末様でした。 | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ - どちらの良さも引き立つ正反対な関係に萌えました。ありがとうございました! -- &new{2010-11-22 (月) 03:45:32}; #comment
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#title(スメル) [#me1088b9] / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ナマモノ盤越え・葡萄の蔓唄×三本角の恐竜唄です。 ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 超ドマイナーカプでごめんなさい | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || | 何があったわけでもないのに、二人で集まって飲んだことがあった。 どちらが誘ったかは憶えていない。彼の家だったと思う。 彼のことを思い出すときは、小さな斑の犬のにおいが思い出される。 あの二匹。確かに、その日の記憶からはあのにおいがした。 きっと、近況報告のようなものをした。 はじめは、お互いを懐かしむため、いや、ただの社会人間として生きるときの常識なのか、 彼の言う所の最近の俺を報告し合った。多分。 義務を果たしたおれたちは、冗談を交わした。もちろん、猥談もした。いや、正直猥談がメインだった。 彼と会うときは、ビールを飲むことが多い。 しかしながら、その日はイベントで偶然会ったわけでもなかったので、遠慮なく彼の家にあった日本酒を戴いた。 日本酒を飲んだ舌で煙草を吸うと、ひりひりと痛むような、また、喉が震えるような、強烈な衝撃を感じた。 とっても体に悪いことをしていたらしい。 「喉が射精しすぎたあとみたいだよ。」そんな色気もなにもない比喩を口に出すと、 彼は、いつもの、母上を思い出させるような笑い方をした。 アルコールも適度に回り、気持ちよくなってきた頃。 こういうときはどうしても、音楽の話になってしまう。悲しきミュージシャンの性。 どういう話をしたのか、具体的には憶えていない。 憶えていたのは、彼が笑う度に口元に寄せる、その右手の、指環の形状ぐらいだ。 「なんか、CD聴きたくなっちゃった。かけてもいい?」 ふいに彼が立ち上がり、整頓されていないスチールラックから、CDを取り出した。 おれはてっきり、彼の好きな、あの王様の曲でもかけるんだろうと思った。 だけど、彼が取り出したものは、フランス語のタイトル。 の、おれのバンドの、アルバム。 「なんで持ってんねん」 「買ったんだよ。えらいでしょ?おれのも買ってよね」 冗談か本気か分からない口調で彼は言う。 屈託のない笑み。つい、少年のようだ、と思ってしまった。 どういうセンスしてるのだろうか。同じミュージシャンとして恥ずかしいぐらいのセンスのなさだ。 回る円盤。大きなスピーカーから、おれの音が流れる。何百回も聴いた気がする。 煙草の歌が始まる。 「止めろや。恥ずいやろ」 と言いながらも、こう聴いてみるとなかなかいい曲だと思う。 さっきの考えは撤回しておこう。同じミュージシャンとして誇りだよ。 ああ、酔ってるな。今日は呑まれる日かもしれない。 「なんでー。好きだよ、これ」 どきりとした。文字通り、どきりと。 自分のアルバムが褒められたからではない、この昂揚。 きっと、酔ってる。二年ほど前の対バンのときも、飲みすぎていた。 結構、恥ずかしいことをMCで言った気がする。もっと恥ずかしいことを、MCで言われた気もする。 「そー。ありがとう」 目の前の彼は未だに笑っている。 彼はいつの間にか、歌詞カードを取り出してじっと見詰めていた。 今度は、犬のようだ、と思った。 「なにしてんねん」と突っ込むと、彼は視線を動かさずに言う。 「おれってほら、あんまり頭がいい歌詞が書けないわけ。だからね、憧れるんだよ」 一瞬、誰のことを言っているのか分からなかった。 少し、恥ずかしくなって、嬉しかった。それも、とてつもなく。 「ええやん。おれの偏屈な歌詞より、輪打っちの歌詞のがええと思うけど」 これは、謙遜しているわけでもなく、紛れも無い本心だった。 だけど、この言葉を素直に受け取ってはくれないだろうことも、分かっていた。 彼は少し顔をあげて、「なんかすいません」と笑いながら言う。うっすら憂いを帯びている。 少し、色っぽいなんて思ってしまったり。 「多分、酔ってる。ちょっと横になってもいい?」 ソファに寝転がる彼。 彼も、酔っている。 息を吐きながら目を瞑る彼は、やっぱり色っぽくて。目元を隠す右腕がむしょうに愛おしくてならない。 おれも、酔っていた。 煙草が吸いたい。それは、流れている音楽の所為ではなく、目の前の彼の所為だ。 「レコーディング、順調?」 「まあまあ。そっちは?」 「まあまあって言われたら、まあまあとしか返せへんよ」 うっすらと笑う彼。ダメだ。触れてしまいそうだ。 おれは彼の寝転がるソファに近付いた。彼は目を瞑ったままだった。 触れてしまいそう、が、触れようとしている、に変わってしまう。 左手には、まだ光が残っていた。とても大切な、きっと彼は持っていない光。 そんなことは知っていた。でも、それでも、いいのかもしれないと思った。 右手を、指先を、彼の唇へ近づける。 「なんかさあ」 突然。彼が言った。触れる前だった。 手にかいていた汗を、ジーンズで拭った。 そして、同時に、助かった、と思った。 「もしかしたらおれ、棚可くんとセックスしたいと思ってるかもしれない」 拭ったはずの汗がまたじわり。 鼓動が、早くなる。 彼の唇が、最低だ、と動いた。 もっと最低なのは、おれかもしれない。 左手には、まだ光があった。 ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | 捏造ばっかりです。 | | | | ∧_∧ お粗末様でした。 | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ - どちらの良さも引き立つ正反対な関係に萌えました。ありがとうございました! -- &new{2010-11-22 (月) 03:45:32}; #comment
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