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#title(前編) [#i31866b3] 電車待ちの続き。 時系列では欠片の人の更に後になります。 長いので一端前編のみ投下させていただきます。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! マエダさんと出会って変わった事。 髪を五円玉から10円玉程度の色に戻した。 ピアスは左右で二つずつまで減らした。 すぐバイトを辞めるのを止めた。 脱いだ靴は揃える事にした。 何かを口に出すとき、一回だけ未来を考える事にした。 携帯を持ち歩くようになった。 結果、周りからの評判は良くなった。 そうすると人生がなんとなく悪くないと思えるようになった。 変わった事っていうか、自分が変わっただけか。 あの人に逢ってから、オレは何となく調子が良い。 バーテンとホストの中間のような仕事やら、時給だけで仕事を決めるのは止して、昼間に働くウェイターで落ち着いた。 偶に雑誌に載るような、ちょっと評判が良い健全な場所でのフツーの仕事。 友達からもウケがいいギャルソン風の制服は、私服なんかよりよっぽど小綺麗に見えると、嫌味だか誉められてんだか解らない事もちょくちょく言われる。 マエダさんと出会った時に、見栄をはってバイトと言った。 とっさについた嘘は拭いき れずに、なんとなく受けた面接。 そうやってなんとなくバイトが始まったけど、なんとなく調子がいい。 なんとなく誉められているうちに、ちょっとずつ仕事を覚えて、思ってたより楽しくなった。 だからなんとなく頑張れてる。 更には、ここだったらこのまま働いてもいいかな、なんて漠然と思えて。 そんなオレとは裏腹に、マエダさんはなんとなく暗い。 何かを言いかけて止めたり、会える機会も随分減った。 もしかしたら飽きられたかな、と思う。 オレはといえば若さくらいしか取り柄も無いし、まぁ縁なんてそんなもんだろうと、なんとなくを言い訳に放置した。 最近途絶えがちだった携帯は鳴らない。 そうなるとますます電話がしにくくなって、なんとなく気分が晴れないまま、なんとなくそのまま。 年末だか年明けくらいに初めて会ったあの日から、だいたい今で10ヶ月? よく保った方じゃないかななんて自分を慰める、なう。 もやもやする。 昼休みも終わり、散々込み合っていた店内がようやく落ち着きを見せる時間。 晴れないもやもやを誤魔化す為に、店中のコップを麻布で磨く。 曇りも指紋もないグラスは増えるが、やっぱりオレの気持ちは晴れない。 オープンテラス越しに見える外の世界は、黄色や茶色で枯れ葉の賑わい。 時々突風でも吹くのか、派手にくるくると踊っては散る。 溜め息をついて、箒を片手に外へ向かう。 「コータ。」 店長に呼ばれて振り返る。 煙草じゃないよ、掃除だよと手にした箒を軽く揺らす。 実際に呼ばれた訳は、オーダーを取りにいけという事は知ってる。 けど、どうも女の子の集団は苦手。 可愛いとは思うけど、可愛いで止まる。 じゃあ好みはどうなんだと考えて、少し困ったように笑うマエダさんの顔がパッと浮かんだ。 思っているより重症かもしれない。 もともと約束も何もない関係だから、いつ会えなくなっても不思議じゃない。 恋人ではもちろんないし、友人と呼ぶには笑える程遠い。 一時は会えばセックスをしていたのに、最後に会った時は専らぼんやりと抱きしめて終わっていたし、単なるセフレともやっぱり違う。 グダグダな気持ちを溜息で切り替え、掃除を再開。 日の射す場所は暑い癖に、日陰に入ると途端に凍える風の吹く昼下がり。 銀杏並木だか桜並木なんだかわからない通りは、とにかくやたらに落ち葉が多い。 油断をすれば半日程で靴底も埋まる。 毎日掃除はしているのに、毎日きっちり時間を巻き戻したみたいに山積みになる落ち葉。 ムキになって、店の両隣やら裏までの落ち葉をかき集め、業務用のバカでかいゴミ袋に次々つめる。 ひたすら詰める。 どんどん詰めても落ち葉は減らない。 業務用のポリ袋2袋分もはちきれんばかりに詰め終わった頃、始めた当初は肌寒く感じていたのが嘘のように熱くなっていて。 諸悪の根源とも言える落ち葉をやっつけるため、足で押さえて袋の口を縛る。 店の裏手にあるゴミ捨て場へと袋を投げ捨て、スタッフ通用口からホールに戻る。 呼ぶ人でも居ないかと周りを見渡した時、視界の端を掠める見慣れた背中。 何かの間違いかと思い、過ぎていったスーツを凝視。 真っ直ぐ伸びた背筋、僅かに癖のある短い髪。 歩き方が心無しか硬い。 「チーフ、オレ昼食まだなんで、今から休憩しやっす」 エプロンとベストをロッカーへと投げて、賄いのチキンサンドとアイスコーヒーを片手に席へ向かう。 チラとキッチンから見えた横顔は、やはり間違いなくマエダさんの物で。 二月程見ぬ間に、少し痩せた気もするが、元々からして標準より幾らか細かったかなと思い直す。 身勝手ながら、やつれてくれていたら良いなと願う。 口に出しているわけじゃない。 妄想くらいは個人の自由だ。 『珍しいトコで会ったけど、仕事?』 そう声をかけようとして、足を留める。 マエダさんの正面の席には、マエダさんより年上で見るからにマエダさんと同族の匂いがする男。 程ほどにカジュアルでベーシックなスタイルのジャケット、シャツ、ボトムにブーツ。 どれもが嫌らしくない程度に金のかかった格好。 自分で脱色しまくったせいで毛先が溶けたオレとは違って、毛先まで痛みなぞ見えない自然な明るさと艶やかさをもった髪。 どうしたいかだけじゃなく、端からどう見られるのかを演出する側の人間。 つまりは自分の価値を正しく理解して、最大限に生かす努力を怠らないような人間だ。 新しい男だろうな。 そう思えば、そこへ割って入れる訳もなく。 戦う前から戦意喪失。 マエダさんとは衝立で隔たれた、背後の席へと腰を下ろす。 何か言えるような関係じゃない。 今更本当にしみじみと、一人浮かれていた自分がつくづく恥ずかしくなる。 よく見れば制服だって、明日が休みと3日近く洗っていない。 袖の内側が皺に添って薄く茶けている事に気付けば、急に恥ずかしくなって両膝まで折り上げる。 少しは釣り合う人間になったつもりが、他人の褌で上っ面を綺麗に着飾らせてもらっただけだ。 さっぱり味のわからないサンドイッチを無理矢理喉に詰め込む作業。 ああ、思ってたより失恋じゃねぇか。 諦められない。 けどしょうがない。 元々出会いが何かの手違いで、少しばかり勘違いしただけだ。 ちょっとラッキーが続いただけだ。 既にシロップが入った市販のコーヒー。 今日はやけに喉へと絡む。 俯きながら、ぼそぼそと隣から聞こえる会話へ耳を傾ける。 泣きたくなるくらいに、知らない声が愛してるだのなんだの言っている。 盗み聞きっつーちゃちな犯罪に対して、罰が大きすぎませんか神様。 泣くに泣けないオレの代わりに、アイスコーヒーを入れたグラスの側面が涙を流す。 「いい加減、一緒に暮らさないか」 心臓がキュッと掴まれた気がした。 身体中がバクバク言う。 マエダさん、ノーと言え。 ノーだ。 他に答えはないだろ? 絶対にノーだ。 「考えておきます」 目の前がブラックアウトする。 さっき食べたばかりのサンドイッチが喉元までせり上がる。 慌てて冷たいグラスを掴んで、コーヒーを喉へと流し込む事で身体の奥へと押しやる。 吐き気は治まった物の、腹の底から湧き上がる薄暗い感情。 落ち着く為に数字を10からカウントダウン。 冷めてくる頭。 痛いままの心臓。 ゆっくりと椅子から立ち上がり、隣の席に向かう。 ウェイターと思ったマエダさんが、不思議そうな目でこちらを見上げる。 誰かとはっきり認識する前に、左手でマエダさんの胸元の隠しポケットへと指を入れる。 リップクリーム。 開封済み。 筒の根本をくるりと回せば半透明のスティックが飛び出す簡単な仕組み。 蓋をテーブルへと投げ捨て、光に透かして確かめるが、側面に使用の跡は無し。 「セックスこれから?」 びっくりし過ぎて固まった二人。 テーブルへと腰を下ろし、マエダさんのネクタイを引っ張る。 カラカラに乾いた唇。 これで最後なんだからと、何度も何度も唇を重ねる。 抗って肩を押す手がドンと一度背中を叩く。 仕方無く顔を離すが、泣き出しそうなレンズ越しの目を見ればもう無理だ。 座ったテーブルから降りて、放心しているマエダさんを肩へと担ぐ。 誘拐犯だって構うものか。 チーフらの呼ぶ声も無視して、マエダさんを抱えたままで店を飛び出した。 「あ…ッ……、ケィ…ゃ…あっ、……ひッ…」 甘く呼ぶ声にゆっくりと腰を回す。 必要最低限だけ脱いだ、結合部から濡れた音が漏れる。 薄暗いビルの陰、弄りあって繋がって。 「好きだよ…」 眼鏡のレンズ越しに目を合わせて微笑む。 座り込んだまま、何度も何度もキスをして。 走ってくる途中で無くしたリップクリームの代わりに、マエダさんには喉の奥までしゃぶらせ無理矢理飲ませて入れて。 それでもマエダさんから伸ばされる指に、もしかしたら愛されているのではと錯覚する。 逃げない事で、許されていると身体を貪る。 しているのは単なるセックスであり、それ以上でも以下でもない。 でも、今まで言えなかった事をやっと言えた。 「好きだよ」 ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 明日か明後日くらいに、またお邪魔させていただきます。 #comment
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#title(前編) [#i31866b3] 電車待ちの続き。 時系列では欠片の人の更に後になります。 長いので一端前編のみ投下させていただきます。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! マエダさんと出会って変わった事。 髪を五円玉から10円玉程度の色に戻した。 ピアスは左右で二つずつまで減らした。 すぐバイトを辞めるのを止めた。 脱いだ靴は揃える事にした。 何かを口に出すとき、一回だけ未来を考える事にした。 携帯を持ち歩くようになった。 結果、周りからの評判は良くなった。 そうすると人生がなんとなく悪くないと思えるようになった。 変わった事っていうか、自分が変わっただけか。 あの人に逢ってから、オレは何となく調子が良い。 バーテンとホストの中間のような仕事やら、時給だけで仕事を決めるのは止して、昼間に働くウェイターで落ち着いた。 偶に雑誌に載るような、ちょっと評判が良い健全な場所でのフツーの仕事。 友達からもウケがいいギャルソン風の制服は、私服なんかよりよっぽど小綺麗に見えると、嫌味だか誉められてんだか解らない事もちょくちょく言われる。 マエダさんと出会った時に、見栄をはってバイトと言った。 とっさについた嘘は拭いき れずに、なんとなく受けた面接。 そうやってなんとなくバイトが始まったけど、なんとなく調子がいい。 なんとなく誉められているうちに、ちょっとずつ仕事を覚えて、思ってたより楽しくなった。 だからなんとなく頑張れてる。 更には、ここだったらこのまま働いてもいいかな、なんて漠然と思えて。 そんなオレとは裏腹に、マエダさんはなんとなく暗い。 何かを言いかけて止めたり、会える機会も随分減った。 もしかしたら飽きられたかな、と思う。 オレはといえば若さくらいしか取り柄も無いし、まぁ縁なんてそんなもんだろうと、なんとなくを言い訳に放置した。 最近途絶えがちだった携帯は鳴らない。 そうなるとますます電話がしにくくなって、なんとなく気分が晴れないまま、なんとなくそのまま。 年末だか年明けくらいに初めて会ったあの日から、だいたい今で10ヶ月? よく保った方じゃないかななんて自分を慰める、なう。 もやもやする。 昼休みも終わり、散々込み合っていた店内がようやく落ち着きを見せる時間。 晴れないもやもやを誤魔化す為に、店中のコップを麻布で磨く。 曇りも指紋もないグラスは増えるが、やっぱりオレの気持ちは晴れない。 オープンテラス越しに見える外の世界は、黄色や茶色で枯れ葉の賑わい。 時々突風でも吹くのか、派手にくるくると踊っては散る。 溜め息をついて、箒を片手に外へ向かう。 「コータ。」 店長に呼ばれて振り返る。 煙草じゃないよ、掃除だよと手にした箒を軽く揺らす。 実際に呼ばれた訳は、オーダーを取りにいけという事は知ってる。 けど、どうも女の子の集団は苦手。 可愛いとは思うけど、可愛いで止まる。 じゃあ好みはどうなんだと考えて、少し困ったように笑うマエダさんの顔がパッと浮かんだ。 思っているより重症かもしれない。 もともと約束も何もない関係だから、いつ会えなくなっても不思議じゃない。 恋人ではもちろんないし、友人と呼ぶには笑える程遠い。 一時は会えばセックスをしていたのに、最後に会った時は専らぼんやりと抱きしめて終わっていたし、単なるセフレともやっぱり違う。 グダグダな気持ちを溜息で切り替え、掃除を再開。 日の射す場所は暑い癖に、日陰に入ると途端に凍える風の吹く昼下がり。 銀杏並木だか桜並木なんだかわからない通りは、とにかくやたらに落ち葉が多い。 油断をすれば半日程で靴底も埋まる。 毎日掃除はしているのに、毎日きっちり時間を巻き戻したみたいに山積みになる落ち葉。 ムキになって、店の両隣やら裏までの落ち葉をかき集め、業務用のバカでかいゴミ袋に次々つめる。 ひたすら詰める。 どんどん詰めても落ち葉は減らない。 業務用のポリ袋2袋分もはちきれんばかりに詰め終わった頃、始めた当初は肌寒く感じていたのが嘘のように熱くなっていて。 諸悪の根源とも言える落ち葉をやっつけるため、足で押さえて袋の口を縛る。 店の裏手にあるゴミ捨て場へと袋を投げ捨て、スタッフ通用口からホールに戻る。 呼ぶ人でも居ないかと周りを見渡した時、視界の端を掠める見慣れた背中。 何かの間違いかと思い、過ぎていったスーツを凝視。 真っ直ぐ伸びた背筋、僅かに癖のある短い髪。 歩き方が心無しか硬い。 「チーフ、オレ昼食まだなんで、今から休憩しやっす」 エプロンとベストをロッカーへと投げて、賄いのチキンサンドとアイスコーヒーを片手に席へ向かう。 チラとキッチンから見えた横顔は、やはり間違いなくマエダさんの物で。 二月程見ぬ間に、少し痩せた気もするが、元々からして標準より幾らか細かったかなと思い直す。 身勝手ながら、やつれてくれていたら良いなと願う。 口に出しているわけじゃない。 妄想くらいは個人の自由だ。 『珍しいトコで会ったけど、仕事?』 そう声をかけようとして、足を留める。 マエダさんの正面の席には、マエダさんより年上で見るからにマエダさんと同族の匂いがする男。 程ほどにカジュアルでベーシックなスタイルのジャケット、シャツ、ボトムにブーツ。 どれもが嫌らしくない程度に金のかかった格好。 自分で脱色しまくったせいで毛先が溶けたオレとは違って、毛先まで痛みなぞ見えない自然な明るさと艶やかさをもった髪。 どうしたいかだけじゃなく、端からどう見られるのかを演出する側の人間。 つまりは自分の価値を正しく理解して、最大限に生かす努力を怠らないような人間だ。 新しい男だろうな。 そう思えば、そこへ割って入れる訳もなく。 戦う前から戦意喪失。 マエダさんとは衝立で隔たれた、背後の席へと腰を下ろす。 何か言えるような関係じゃない。 今更本当にしみじみと、一人浮かれていた自分がつくづく恥ずかしくなる。 よく見れば制服だって、明日が休みと3日近く洗っていない。 袖の内側が皺に添って薄く茶けている事に気付けば、急に恥ずかしくなって両膝まで折り上げる。 少しは釣り合う人間になったつもりが、他人の褌で上っ面を綺麗に着飾らせてもらっただけだ。 さっぱり味のわからないサンドイッチを無理矢理喉に詰め込む作業。 ああ、思ってたより失恋じゃねぇか。 諦められない。 けどしょうがない。 元々出会いが何かの手違いで、少しばかり勘違いしただけだ。 ちょっとラッキーが続いただけだ。 既にシロップが入った市販のコーヒー。 今日はやけに喉へと絡む。 俯きながら、ぼそぼそと隣から聞こえる会話へ耳を傾ける。 泣きたくなるくらいに、知らない声が愛してるだのなんだの言っている。 盗み聞きっつーちゃちな犯罪に対して、罰が大きすぎませんか神様。 泣くに泣けないオレの代わりに、アイスコーヒーを入れたグラスの側面が涙を流す。 「いい加減、一緒に暮らさないか」 心臓がキュッと掴まれた気がした。 身体中がバクバク言う。 マエダさん、ノーと言え。 ノーだ。 他に答えはないだろ? 絶対にノーだ。 「考えておきます」 目の前がブラックアウトする。 さっき食べたばかりのサンドイッチが喉元までせり上がる。 慌てて冷たいグラスを掴んで、コーヒーを喉へと流し込む事で身体の奥へと押しやる。 吐き気は治まった物の、腹の底から湧き上がる薄暗い感情。 落ち着く為に数字を10からカウントダウン。 冷めてくる頭。 痛いままの心臓。 ゆっくりと椅子から立ち上がり、隣の席に向かう。 ウェイターと思ったマエダさんが、不思議そうな目でこちらを見上げる。 誰かとはっきり認識する前に、左手でマエダさんの胸元の隠しポケットへと指を入れる。 リップクリーム。 開封済み。 筒の根本をくるりと回せば半透明のスティックが飛び出す簡単な仕組み。 蓋をテーブルへと投げ捨て、光に透かして確かめるが、側面に使用の跡は無し。 「セックスこれから?」 びっくりし過ぎて固まった二人。 テーブルへと腰を下ろし、マエダさんのネクタイを引っ張る。 カラカラに乾いた唇。 これで最後なんだからと、何度も何度も唇を重ねる。 抗って肩を押す手がドンと一度背中を叩く。 仕方無く顔を離すが、泣き出しそうなレンズ越しの目を見ればもう無理だ。 座ったテーブルから降りて、放心しているマエダさんを肩へと担ぐ。 誘拐犯だって構うものか。 チーフらの呼ぶ声も無視して、マエダさんを抱えたままで店を飛び出した。 「あ…ッ……、ケィ…ゃ…あっ、……ひッ…」 甘く呼ぶ声にゆっくりと腰を回す。 必要最低限だけ脱いだ、結合部から濡れた音が漏れる。 薄暗いビルの陰、弄りあって繋がって。 「好きだよ…」 眼鏡のレンズ越しに目を合わせて微笑む。 座り込んだまま、何度も何度もキスをして。 走ってくる途中で無くしたリップクリームの代わりに、マエダさんには喉の奥までしゃぶらせ無理矢理飲ませて入れて。 それでもマエダさんから伸ばされる指に、もしかしたら愛されているのではと錯覚する。 逃げない事で、許されていると身体を貪る。 しているのは単なるセックスであり、それ以上でも以下でもない。 でも、今まで言えなかった事をやっと言えた。 「好きだよ」 ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 明日か明後日くらいに、またお邪魔させていただきます。 #comment
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