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#title(ザ・クイズショウ 本間×神山 「月下美人」) 半生。 クイズのDMCのつもりですが、左右は読んだかたの感性にお任せする感じでぬるめの仕上がり。 中の人の1ストアルバムの某曲にインスパイアされたようなされないような。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 記憶と共に彼からは時さえも抜け落ちてしまったに違いない。 その証拠に、こうして目を瞑る神山の姿は、8年前のそれとなにひとつ変わらない。白い部屋のベッドの上で安らかに眠る神山を見下ろして、立ち尽くす本間はひとり思う。 否、少しやせただろうか。だとしたら、それは間違いなく自分のせいだ。眠る彼の横に腰を下ろす。音のない部屋でベッドがきしむ音だけがやけに響いた。 「月みたいなのはお前のほうだ…神山」 月明かりに照らされて、どこまでも美しい神山の白い肌。その頬をなぞりながら誰にともなくつぶやくと、本間はたまらない優越感に酔った。 8年前、彼は太陽と同じだった。 まぶしく輝き、人々を魅了してやまない。誰もが彼を欲したのに、誰も彼を所有することはかなわなかった。本間もそんな太陽に照らされていた、大勢の中の一人に過ぎなかった。 ある日神山が何の気はなしに本間に言った。本間が月に似ていると。それは本間が色白だからとか、黒い服が多くて夜が似合うからだとか、そんな理由だったのだろうが、本間は妙に納得したのを覚えている。 月は自分で輝いているのではない。太陽に照らされているだけだ。 それでも、構わないと思っていた。自分は彼に照らされた月なのだから。 幼馴染という特別であること。その事実だけは永遠に変わらない。それが、人よりほんの少しだけ早く彼とめぐり合ったという、ただそれだけの奇跡だとしても。そんな小さな優越感が、本間をつなぎとめる唯一の鎖だった。 せめて、太陽と月でいられるように。彼の特別でいられるように。彼が自分を見つめ、そして笑ってくれる。その瞬間さえあれば。それでいいと思っていたのに。 あの事件の後、初めて神山と面会が許された時、呆然と本間を見つめる神山と目が合った瞬間の、あの一瞬、地面がなくなってしまったのかと思った、あの時の薄暗い衝動を、一体なんと表せばよいのだろうか。 唯一ほかの人より勝っていたもの、彼と過ごした年月の長さ、それすらも失ってしまったら。こうするしか方法はなかった。 鎖はちぎれていた。 あまりはっきりとは覚えていない。それくらい衝動的なものだった。 身寄りのない彼を引き取ると称してこの何もない部屋に閉じ込め、乱暴に自分のものにした。見たことも聞いたこともなかった彼の悲鳴と嗚咽と涙とが、本間の理性を吹き飛ばした。もっと早くこうすれば良かったと後悔した。 自分は太陽ではない。地球だ。 そして、彼は地球のまわりを回る衛星、つまりは月なのだ。神山は、本間の月になったのだ。 「おやすみ」 そう言うと本間は神山に薄く口付ける。彼の首筋に残る所有の印を眺めてにやりとほくそえむと、本間は自宅に向かうべく部屋を後にした。それは、ほんの小さな油断だった。 本間が白い部屋に鍵をかけ忘れたことに気づいたのは車のドアを閉めた時だ。まだ部屋を後にしていくばくも経っていない。だから、大丈夫だ。そう自分に言い聞かせて逸る心を押さえ込み、足早に白い部屋へと向かった。 ともすると、めまいと吐き気で倒れてしまいそうだった。 「神山!」 乱暴にドアを開けると、白い壁に白いベッド。だがそこに、あるはずのものが、ない。 心臓がはねた。 「神山!どこだ!」 もはや自分が何をしているのかわからなかった。ベッドを蹴り上げシーツをめちゃくちゃにした。壊せるものなどほとんどない部屋だが、それでもめちゃくちゃにしてやりたかった。 人の気配がして本間が振り返るのは、それから程なくしてのことだ。 ドアと壁の隙間で小さく震える神山がそこにいた。 「どこに行ってた」 一瞬、自分の声だとわからなかった。自分でも、自分からこんな声が発せられるとは知らなかった。地の底から這い出るようなこの声は、悪魔の声だと言われても納得しただろう。 神山は答えない。 「どこに行っていたか聞いている!」 強引にその肩をつかんでベッドに引きずり落とす。彼のおびえがダイレクトに伝わってきて余計に苛立つ。なぜ彼が被害者面をするのだ。勝手に部屋を出たというのに! 引き裂くように服を脱がすとボタンがいくつも引き千切れて床に転がる音がした。ひっ、としゃくりのような悲鳴を神山があげたのを契機に、かじりつくように口内を犯した。 「ん・・・っふっあ・・・」 こんな乱暴な口づけをするのは、それこそ初めてここに連れてきた時以来だった。あの時と同じように、神山は泣いているのだろう。彼の顔の側につけていた腕に熱いしずくがかかるのを感じて、本間は神山の唇を解放し、その表情を眺めた。だが。 彼は泣いてなどいなかった。それどころか突然開放したこちらを不思議そうな目でうかがっている。 違う。この目は知っている。 彼のこの表情を、自分は知っている。 ずっと昔に見た。これは。 彼が記憶を失ってから初めて見る顔。 8年前、まだ彼が俺を知っていたころの顔。 彼が俺を・・・憐れんでいる時の顔。 ふたたび腕にしずくがかかる。 泣いているのは、自分の方だった。 神山の腕が伸びてきて、本間の髪を優しく撫ぜた。本間はそのまま神山の胸に顔を埋めて嗚咽を洩らす。 「ここに・・・います・・・どこにも、行かない。あなたの・・・そばにいます」 かすれた声で神山がささやく。 知っている。そんな事は。わかっていた。行くところなど、ない。彼には。他に。 すべて自分が奪ったのだから。 道を閉ざし、踏みにじって。羽をもいで無理やり鳥かごに押し込めた。 なのに。 ダメだ。 サワレない。 力ずくで。 手に入れようとしても。 手に入れたつもりでも。 君の心は。 ココにはいない。 その時、少しだけ本間が顔を上げて神山の表情を見ることが出来たなら。その不安全て、払拭することができただろう。 だが本間はその顔を決して上げることはせず。神山の本心も知ることはないまま。ただ彼の手のぬくもりに心地よさを感じながら。 ―神山、お前は月に似ている。 1千年もの古より、地球は月に憧れたまま― □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 規制引っかかってたので携帯からになってしまった。 なんか失敗してたらスマソ - すばらしい -- &new{2011-08-14 (日) 23:17:37}; - おもしろい! -- &new{2013-04-04 (木) 01:08:48}; - もっと読みたい・・・! -- &new{2014-01-07 (火) 06:19:08}; #comment
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#title(ザ・クイズショウ 本間×神山 「月下美人」) 半生。 クイズのDMCのつもりですが、左右は読んだかたの感性にお任せする感じでぬるめの仕上がり。 中の人の1ストアルバムの某曲にインスパイアされたようなされないような。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 記憶と共に彼からは時さえも抜け落ちてしまったに違いない。 その証拠に、こうして目を瞑る神山の姿は、8年前のそれとなにひとつ変わらない。白い部屋のベッドの上で安らかに眠る神山を見下ろして、立ち尽くす本間はひとり思う。 否、少しやせただろうか。だとしたら、それは間違いなく自分のせいだ。眠る彼の横に腰を下ろす。音のない部屋でベッドがきしむ音だけがやけに響いた。 「月みたいなのはお前のほうだ…神山」 月明かりに照らされて、どこまでも美しい神山の白い肌。その頬をなぞりながら誰にともなくつぶやくと、本間はたまらない優越感に酔った。 8年前、彼は太陽と同じだった。 まぶしく輝き、人々を魅了してやまない。誰もが彼を欲したのに、誰も彼を所有することはかなわなかった。本間もそんな太陽に照らされていた、大勢の中の一人に過ぎなかった。 ある日神山が何の気はなしに本間に言った。本間が月に似ていると。それは本間が色白だからとか、黒い服が多くて夜が似合うからだとか、そんな理由だったのだろうが、本間は妙に納得したのを覚えている。 月は自分で輝いているのではない。太陽に照らされているだけだ。 それでも、構わないと思っていた。自分は彼に照らされた月なのだから。 幼馴染という特別であること。その事実だけは永遠に変わらない。それが、人よりほんの少しだけ早く彼とめぐり合ったという、ただそれだけの奇跡だとしても。そんな小さな優越感が、本間をつなぎとめる唯一の鎖だった。 せめて、太陽と月でいられるように。彼の特別でいられるように。彼が自分を見つめ、そして笑ってくれる。その瞬間さえあれば。それでいいと思っていたのに。 あの事件の後、初めて神山と面会が許された時、呆然と本間を見つめる神山と目が合った瞬間の、あの一瞬、地面がなくなってしまったのかと思った、あの時の薄暗い衝動を、一体なんと表せばよいのだろうか。 唯一ほかの人より勝っていたもの、彼と過ごした年月の長さ、それすらも失ってしまったら。こうするしか方法はなかった。 鎖はちぎれていた。 あまりはっきりとは覚えていない。それくらい衝動的なものだった。 身寄りのない彼を引き取ると称してこの何もない部屋に閉じ込め、乱暴に自分のものにした。見たことも聞いたこともなかった彼の悲鳴と嗚咽と涙とが、本間の理性を吹き飛ばした。もっと早くこうすれば良かったと後悔した。 自分は太陽ではない。地球だ。 そして、彼は地球のまわりを回る衛星、つまりは月なのだ。神山は、本間の月になったのだ。 「おやすみ」 そう言うと本間は神山に薄く口付ける。彼の首筋に残る所有の印を眺めてにやりとほくそえむと、本間は自宅に向かうべく部屋を後にした。それは、ほんの小さな油断だった。 本間が白い部屋に鍵をかけ忘れたことに気づいたのは車のドアを閉めた時だ。まだ部屋を後にしていくばくも経っていない。だから、大丈夫だ。そう自分に言い聞かせて逸る心を押さえ込み、足早に白い部屋へと向かった。 ともすると、めまいと吐き気で倒れてしまいそうだった。 「神山!」 乱暴にドアを開けると、白い壁に白いベッド。だがそこに、あるはずのものが、ない。 心臓がはねた。 「神山!どこだ!」 もはや自分が何をしているのかわからなかった。ベッドを蹴り上げシーツをめちゃくちゃにした。壊せるものなどほとんどない部屋だが、それでもめちゃくちゃにしてやりたかった。 人の気配がして本間が振り返るのは、それから程なくしてのことだ。 ドアと壁の隙間で小さく震える神山がそこにいた。 「どこに行ってた」 一瞬、自分の声だとわからなかった。自分でも、自分からこんな声が発せられるとは知らなかった。地の底から這い出るようなこの声は、悪魔の声だと言われても納得しただろう。 神山は答えない。 「どこに行っていたか聞いている!」 強引にその肩をつかんでベッドに引きずり落とす。彼のおびえがダイレクトに伝わってきて余計に苛立つ。なぜ彼が被害者面をするのだ。勝手に部屋を出たというのに! 引き裂くように服を脱がすとボタンがいくつも引き千切れて床に転がる音がした。ひっ、としゃくりのような悲鳴を神山があげたのを契機に、かじりつくように口内を犯した。 「ん・・・っふっあ・・・」 こんな乱暴な口づけをするのは、それこそ初めてここに連れてきた時以来だった。あの時と同じように、神山は泣いているのだろう。彼の顔の側につけていた腕に熱いしずくがかかるのを感じて、本間は神山の唇を解放し、その表情を眺めた。だが。 彼は泣いてなどいなかった。それどころか突然開放したこちらを不思議そうな目でうかがっている。 違う。この目は知っている。 彼のこの表情を、自分は知っている。 ずっと昔に見た。これは。 彼が記憶を失ってから初めて見る顔。 8年前、まだ彼が俺を知っていたころの顔。 彼が俺を・・・憐れんでいる時の顔。 ふたたび腕にしずくがかかる。 泣いているのは、自分の方だった。 神山の腕が伸びてきて、本間の髪を優しく撫ぜた。本間はそのまま神山の胸に顔を埋めて嗚咽を洩らす。 「ここに・・・います・・・どこにも、行かない。あなたの・・・そばにいます」 かすれた声で神山がささやく。 知っている。そんな事は。わかっていた。行くところなど、ない。彼には。他に。 すべて自分が奪ったのだから。 道を閉ざし、踏みにじって。羽をもいで無理やり鳥かごに押し込めた。 なのに。 ダメだ。 サワレない。 力ずくで。 手に入れようとしても。 手に入れたつもりでも。 君の心は。 ココにはいない。 その時、少しだけ本間が顔を上げて神山の表情を見ることが出来たなら。その不安全て、払拭することができただろう。 だが本間はその顔を決して上げることはせず。神山の本心も知ることはないまま。ただ彼の手のぬくもりに心地よさを感じながら。 ―神山、お前は月に似ている。 1千年もの古より、地球は月に憧れたまま― □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 規制引っかかってたので携帯からになってしまった。 なんか失敗してたらスマソ - すばらしい -- &new{2011-08-14 (日) 23:17:37}; - おもしろい! -- &new{2013-04-04 (木) 01:08:48}; - もっと読みたい・・・! -- &new{2014-01-07 (火) 06:19:08}; #comment
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