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#title(悪襟音 茂呂刃×都ー間) [#a347ef48] |>PLAY ピッ◇⊂(;・∀・) コソーリ オジャマシマス 好評発売中の悪襟音画集より、デザイナー氏の 「彼は意地悪してるけど、本当は元・許嫁love」 「元・許嫁ファンクラブ会員No.1」 とのかっとんだコメントを受けてのネタです。 沈みこむ痩せた後ろ姿を、いい気味だと嘲った。 愚かにも、初めに選定された自分ではなく、あんな男ーー 翅なしの女と契った裏切り者など選ぶからだ。 『最愛の許嫁に見捨てられた気分はどうだ?麗しの聖.天翅殿』 真新しい漆黒の軍装をまとった天翅は、眉一筋すら動かさない。 彼が両手に捧げ持つ兜が、男の単眼に映り込んだ。 『未練がましく、あの者の翅など飾りつけ、それで貴様は愛とやらに 殉じるつもりか?ただの欺瞞ではないか。馬鹿馬鹿しい』 不快だ。 この青年を構成する全てが、その身に寄り添う空気さえもが 男にとって不快を伴う情報でしかなかった。 彼は何ひとつ反論せず、静かに紫の瞳を伏せただけだった。 『なんだ。恋人に逃げられた己が身を嘆き悲しみ続けたあまり、 とうとう翅の震わせ方すら思い出せなくなったか?』 わざと恋人に逃げられた、の箇所を強調して揶揄するが、青年の様子に変化はない。 男には、彼が心そのものを忘却してしまった様にも思われた。 自分の前では怜悧にとりすました氷を想起させる美貌が、 あの男の前でだけはさも幸せそうに融けるさまを 彼に選ばれなかった自分は、歯がみして遠くから見ていることしかできなかったのだ。 ーー元は私こそがお前の許嫁となる定めだったものを、 横からあの忌まわしい男が奪い取っていったのだ。 肩をつかみ、引き寄せる。 その際、青年が兜を取り落としたが自分にはどうでもよい。 気取られぬ程度の慈しみを込め、かろうじて人の形を為す手で 彼のほっそりしたおとがいを持ち上げた。 『なんなれば、私が忘れさせても良いぞ。あの男と離れてから、さぞやその身も 疼いておろう?お前を憩わせ、心地良い甘言で酔わせて、精一杯愛してやろう。 ぐずぐずした幸福にとろけさせ、望むもの全てを与えて、満足させてやるぞ』 長き日々求め、焦がれていた相手を抱き留め、その耳に届くように。 そして彼が反発を覚えやすいように、なるべく下卑た言葉を選んで囁いた。 わざと腰を相手のそれに押し付けながらも、細心の注意を払って唇を指でなぞる。 自分の虫に似た醜く武骨な姿は、意のままに獲物をほふるには適していたが 柔らかく優美な彼に触れるには、あまりに鋭すぎるのだ。 男は今以上、彼の心身にわずかな掻き傷すら付けたくはなかった。 だからこそ、心にもない暴言で彼を罵った。 自分を憎み、恨んでくれれば、少しは生への意欲も湧いてくれるだろうか。 彼を喪うぐらいならば、嫌悪され蔑まれる方がましだ。 がり、と骨ばった硬い音を立て、彼に噛みつかれた。 両手で自分の体を押しのけ、するりと抜け出される。 兜を丹念な手つきで拾い上げ、さも愛しげに抱きしめた。 今し方触れたばかりの唇が歪んで、笑みを浮かべる。 『…お戯れを。モロハ殿』 失礼、と素っ気なく言い残し立ち去る背を見送りながら、男は独白した。 「けして振り返らぬ者を追ってどうするのだ。とんだ道化だな、お前も私も」 彼に噛まれた指が痛む。 屍衣越しに口付けた指先は、どんな翅なしの生気よりも甘く男を潤すかに思われた。 □STOP ピッ◇⊂(;・∀・)イマハ コレガセイイッパイ #comment
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#title(悪襟音 茂呂刃×都ー間) [#a347ef48] |>PLAY ピッ◇⊂(;・∀・) コソーリ オジャマシマス 好評発売中の悪襟音画集より、デザイナー氏の 「彼は意地悪してるけど、本当は元・許嫁love」 「元・許嫁ファンクラブ会員No.1」 とのかっとんだコメントを受けてのネタです。 沈みこむ痩せた後ろ姿を、いい気味だと嘲った。 愚かにも、初めに選定された自分ではなく、あんな男ーー 翅なしの女と契った裏切り者など選ぶからだ。 『最愛の許嫁に見捨てられた気分はどうだ?麗しの聖.天翅殿』 真新しい漆黒の軍装をまとった天翅は、眉一筋すら動かさない。 彼が両手に捧げ持つ兜が、男の単眼に映り込んだ。 『未練がましく、あの者の翅など飾りつけ、それで貴様は愛とやらに 殉じるつもりか?ただの欺瞞ではないか。馬鹿馬鹿しい』 不快だ。 この青年を構成する全てが、その身に寄り添う空気さえもが 男にとって不快を伴う情報でしかなかった。 彼は何ひとつ反論せず、静かに紫の瞳を伏せただけだった。 『なんだ。恋人に逃げられた己が身を嘆き悲しみ続けたあまり、 とうとう翅の震わせ方すら思い出せなくなったか?』 わざと恋人に逃げられた、の箇所を強調して揶揄するが、青年の様子に変化はない。 男には、彼が心そのものを忘却してしまった様にも思われた。 自分の前では怜悧にとりすました氷を想起させる美貌が、 あの男の前でだけはさも幸せそうに融けるさまを 彼に選ばれなかった自分は、歯がみして遠くから見ていることしかできなかったのだ。 ーー元は私こそがお前の許嫁となる定めだったものを、 横からあの忌まわしい男が奪い取っていったのだ。 肩をつかみ、引き寄せる。 その際、青年が兜を取り落としたが自分にはどうでもよい。 気取られぬ程度の慈しみを込め、かろうじて人の形を為す手で 彼のほっそりしたおとがいを持ち上げた。 『なんなれば、私が忘れさせても良いぞ。あの男と離れてから、さぞやその身も 疼いておろう?お前を憩わせ、心地良い甘言で酔わせて、精一杯愛してやろう。 ぐずぐずした幸福にとろけさせ、望むもの全てを与えて、満足させてやるぞ』 長き日々求め、焦がれていた相手を抱き留め、その耳に届くように。 そして彼が反発を覚えやすいように、なるべく下卑た言葉を選んで囁いた。 わざと腰を相手のそれに押し付けながらも、細心の注意を払って唇を指でなぞる。 自分の虫に似た醜く武骨な姿は、意のままに獲物をほふるには適していたが 柔らかく優美な彼に触れるには、あまりに鋭すぎるのだ。 男は今以上、彼の心身にわずかな掻き傷すら付けたくはなかった。 だからこそ、心にもない暴言で彼を罵った。 自分を憎み、恨んでくれれば、少しは生への意欲も湧いてくれるだろうか。 彼を喪うぐらいならば、嫌悪され蔑まれる方がましだ。 がり、と骨ばった硬い音を立て、彼に噛みつかれた。 両手で自分の体を押しのけ、するりと抜け出される。 兜を丹念な手つきで拾い上げ、さも愛しげに抱きしめた。 今し方触れたばかりの唇が歪んで、笑みを浮かべる。 『…お戯れを。モロハ殿』 失礼、と素っ気なく言い残し立ち去る背を見送りながら、男は独白した。 「けして振り返らぬ者を追ってどうするのだ。とんだ道化だな、お前も私も」 彼に噛まれた指が痛む。 屍衣越しに口付けた指先は、どんな翅なしの生気よりも甘く男を潤すかに思われた。 □STOP ピッ◇⊂(;・∀・)イマハ コレガセイイッパイ #comment
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