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#title(SWAT ホンドー×ストリート) [#ua1ace97] その男を最初に見たのは、久しぶりに通った金網の向こう。 懐かしい空気と幾つもの声に、それなりに気分よくカウンターにトランクを置いた。 そいつは書類から顔も上げずに「何か?」ときたもんだ。随分と愛想のない奴だな。 まだ若いが、新米って雰囲気ではない。一言言ってやろうかと思ったところへ、 これまた懐かしい声が飛んでくる。やれやれガス、また腹が出たな。カミさんが 煩いだろうに相変わらずファストフード漬けか? 陽気に喋るガスの横で、その男は俺のライフルを取り上げて眺めている。 用件を思い出し、調整を依頼した。俺仕様にいじった照準には触るなと言いかけると、 ライフルから目を離さず「トリガーも」と付け加えた。 任せても問題なさそうだ。改めて頼もうとして名前を知らないことに気づく。 そいつは初めて俺を見て、ぼそりと名乗った。 どこから拾ってきたのか、でかい鉄くずを前に、そいつにしては楽しそうに 奇想天外な「秘密兵器」の使い方を喋っていた。まあそんな代物があっても 面白いかもしれんな。使用許可が下りるかどうかは怪しいが。 最後まで聞いてやると、照れくさそうにでかいオモチャを仕舞いに行き、 俺の依頼品を持ってきた。渡された相棒は完璧にチューンされている。 珍しく、どこか得意気に調整箇所を伝えてくる。撃ち方なら教えるよ、とは 言ってくれるじゃないか。昨日よりは表情が柔らかい。 だが、さっきからちらちら外を見てる視線は何だ。ここには眺めて楽しいような女は 残念ながら少ないぞ。あの馬鹿でかいトレーラーの前の、紺のツナギの連中がそんなに気になるか。 わかったわかった、今度遊んでやるからそんな目をするな。 俺がハンドルを握るとろくなことがない、と今まで何人に言われたかわからないが、 それでも前に座りたい。運転席の男は無駄口を叩かず、静かで丁寧な模範的ドライバーだ。 俺の手の中の資料が気になるだろうに、サングラスの向こうの目はまっすぐ前だけを見ている。 今初めて経歴を読むようなフリで話を振るが、見透かされているのか返ってくるのは そっけない返事ばかり。意外に手ごわいな。 その知識にも技術にも、そして警戒心にも納得がいく。海軍特殊部隊からSW○T、 そして今は…武器保管庫勤務。あの警部殿が臍を曲げたのが運のつきか。 まあ確かに頑固そうな奴だ、気に入らなければ誰だろうと首を縦には振らんだろうな。 ほう、同時期に辞めた奴が一名…名前は───── 行き先を告げて間もなく、探していた一人目は姿より先に声が飛び込んできた。 どうやら緊急事態らしい無線に、元海軍特殊部隊は車をえらいスピードでバックさせ、 スピンターンで方向を変えた(俺よりタチの悪いドライバーかも知れん) さらにヒトの車を足蹴にしやがったレーカーズ男(と黒人警察官!)を追っかけて、 警棒片手に物凄い勢いで走って行った。こういうときは最小限の行動でいちばん いい場面を攫うもんだ。頭を使ってな。 まったく警察犬みたいな奴だ。 その後、菜食主義のスマートすぎる巡査(こいつは虫が好かん)、自分の倍近い体重の男をぶちのめしたおっかない婦警と、心当たりはクリアした。何も質問することなく、でも何か言いたげに、黙って運転手を務める一人を除いて。 ガレージへ帰り、車を戻しておけとだけ言ってさっさと降りた。 さすがに後ろから言葉が追いかけてくる。「明日もか」とは随分遠まわしだが、 すべてを知っている筈の相手に引きずりまわされれば、誰でもそう思うだろうな。 目の前で他の奴らがスカウトされるのをおとなしく見ていた忍耐力は認めるが、 はっきり言ってやらんといかんか。一日アピールタイムをやったんだがな。 しばらく観察させてもらったが、クソ真面目に黙々と働く姿はいっそ感動的だった。 署内の奴らは皆お前の過去を知ってる。こちらには聞こえなくても明らかに不愉快な 言葉を吐いていった連中も何人か見かけた。お前は表情も変えなかったが。 だがな、あのでかい装甲車が戻ってくるたび、必ず手が止まっていたぞ。 そのときの自分の顔、見たことあるか。 戻りたいんだろ。戻って来い。 あの金網の向こうに半年も篭りつづけてまで、ずっとこの日を待ってた筈だぞ。 お前がやかましく自己主張するタイプでないのは十分わかったし、俺もそういう奴は 嫌いじゃない。今ここには警部もいない。あいつなら俺がどうにかするさ。 だからお前がしたいようにしていい。 それなのにどうしてそんな目をする? 戻っても、もうそこにないものがあるからか? …あまり意地の悪いことを言わせるな。痛いところを突いて本音を出させるってのは よく使う手なんだが、どうもお前相手に使うと後味が悪い。 で、一番乗りなのかお前は。 道がすいてるのは当たり前だろう、夜明けにこんな場所に来る酔狂がどこにいる。 なんとなく予想はついたが、ホントに期待を裏切らない奴だな。 ああもう、暇つぶしに何か持ってくるくらいしろ。 ひとりで黙って立ってるんじゃない。まったく #comment
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#title(SWAT ホンドー×ストリート) [#ua1ace97] その男を最初に見たのは、久しぶりに通った金網の向こう。 懐かしい空気と幾つもの声に、それなりに気分よくカウンターにトランクを置いた。 そいつは書類から顔も上げずに「何か?」ときたもんだ。随分と愛想のない奴だな。 まだ若いが、新米って雰囲気ではない。一言言ってやろうかと思ったところへ、 これまた懐かしい声が飛んでくる。やれやれガス、また腹が出たな。カミさんが 煩いだろうに相変わらずファストフード漬けか? 陽気に喋るガスの横で、その男は俺のライフルを取り上げて眺めている。 用件を思い出し、調整を依頼した。俺仕様にいじった照準には触るなと言いかけると、 ライフルから目を離さず「トリガーも」と付け加えた。 任せても問題なさそうだ。改めて頼もうとして名前を知らないことに気づく。 そいつは初めて俺を見て、ぼそりと名乗った。 どこから拾ってきたのか、でかい鉄くずを前に、そいつにしては楽しそうに 奇想天外な「秘密兵器」の使い方を喋っていた。まあそんな代物があっても 面白いかもしれんな。使用許可が下りるかどうかは怪しいが。 最後まで聞いてやると、照れくさそうにでかいオモチャを仕舞いに行き、 俺の依頼品を持ってきた。渡された相棒は完璧にチューンされている。 珍しく、どこか得意気に調整箇所を伝えてくる。撃ち方なら教えるよ、とは 言ってくれるじゃないか。昨日よりは表情が柔らかい。 だが、さっきからちらちら外を見てる視線は何だ。ここには眺めて楽しいような女は 残念ながら少ないぞ。あの馬鹿でかいトレーラーの前の、紺のツナギの連中がそんなに気になるか。 わかったわかった、今度遊んでやるからそんな目をするな。 俺がハンドルを握るとろくなことがない、と今まで何人に言われたかわからないが、 それでも前に座りたい。運転席の男は無駄口を叩かず、静かで丁寧な模範的ドライバーだ。 俺の手の中の資料が気になるだろうに、サングラスの向こうの目はまっすぐ前だけを見ている。 今初めて経歴を読むようなフリで話を振るが、見透かされているのか返ってくるのは そっけない返事ばかり。意外に手ごわいな。 その知識にも技術にも、そして警戒心にも納得がいく。海軍特殊部隊からSW○T、 そして今は…武器保管庫勤務。あの警部殿が臍を曲げたのが運のつきか。 まあ確かに頑固そうな奴だ、気に入らなければ誰だろうと首を縦には振らんだろうな。 ほう、同時期に辞めた奴が一名…名前は───── 行き先を告げて間もなく、探していた一人目は姿より先に声が飛び込んできた。 どうやら緊急事態らしい無線に、元海軍特殊部隊は車をえらいスピードでバックさせ、 スピンターンで方向を変えた(俺よりタチの悪いドライバーかも知れん) さらにヒトの車を足蹴にしやがったレーカーズ男(と黒人警察官!)を追っかけて、 警棒片手に物凄い勢いで走って行った。こういうときは最小限の行動でいちばん いい場面を攫うもんだ。頭を使ってな。 まったく警察犬みたいな奴だ。 その後、菜食主義のスマートすぎる巡査(こいつは虫が好かん)、自分の倍近い体重の男をぶちのめしたおっかない婦警と、心当たりはクリアした。何も質問することなく、でも何か言いたげに、黙って運転手を務める一人を除いて。 ガレージへ帰り、車を戻しておけとだけ言ってさっさと降りた。 さすがに後ろから言葉が追いかけてくる。「明日もか」とは随分遠まわしだが、 すべてを知っている筈の相手に引きずりまわされれば、誰でもそう思うだろうな。 目の前で他の奴らがスカウトされるのをおとなしく見ていた忍耐力は認めるが、 はっきり言ってやらんといかんか。一日アピールタイムをやったんだがな。 しばらく観察させてもらったが、クソ真面目に黙々と働く姿はいっそ感動的だった。 署内の奴らは皆お前の過去を知ってる。こちらには聞こえなくても明らかに不愉快な 言葉を吐いていった連中も何人か見かけた。お前は表情も変えなかったが。 だがな、あのでかい装甲車が戻ってくるたび、必ず手が止まっていたぞ。 そのときの自分の顔、見たことあるか。 戻りたいんだろ。戻って来い。 あの金網の向こうに半年も篭りつづけてまで、ずっとこの日を待ってた筈だぞ。 お前がやかましく自己主張するタイプでないのは十分わかったし、俺もそういう奴は 嫌いじゃない。今ここには警部もいない。あいつなら俺がどうにかするさ。 だからお前がしたいようにしていい。 それなのにどうしてそんな目をする? 戻っても、もうそこにないものがあるからか? …あまり意地の悪いことを言わせるな。痛いところを突いて本音を出させるってのは よく使う手なんだが、どうもお前相手に使うと後味が悪い。 で、一番乗りなのかお前は。 道がすいてるのは当たり前だろう、夜明けにこんな場所に来る酔狂がどこにいる。 なんとなく予想はついたが、ホントに期待を裏切らない奴だな。 ああもう、暇つぶしに何か持ってくるくらいしろ。 ひとりで黙って立ってるんじゃない。まったく #comment
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