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S-80 の変更点


*体操 冨田(←中野)×鹿島 [#zd5da6b4]
#title(体操 冨田(←中野)×鹿島) [#zd5da6b4]


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
                    | >>463-470&>>484-490続きモナ。 
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 大層。登美(←那賀野)×貸間&※田 
 | |                | |            \ 
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  長すぎるぞゴルァ! 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )  
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | 

※やっぱり舞台はイ/ン/タ/ー/ハ/イです。 
 途中出てくるエピソードは、架空の創作です。_| ̄|○ 

※他ジャンルの姐さん方、ほんまスレ汚しですんません。 






  ※3※ 

「タ/ケ?」 
 登美多の声から、一瞬遅れて、貸間の顔に笑顔が戻る。 
「あぁ、……ごめん。えーと、」 
 貸間の視線の先には、床の上にあぐらを組んで座り込む那賀野がいる。 
「あぁ、こいつは、後輩の……」 
「那賀野です!」登美多の言葉を遮り、那賀野は勢いよく立ち上がった。 
「楽難高校1年の、那賀野代介です。ハジメマシテ、貸間さん」 
 言い終わるなり、那賀野は、ばっと手を差し出す。貸間の目が、ちらりと那賀野の肩を見た。 
那賀野の上腕筋は、一年とは思えないほど見事に発達している。貸間の顔に、 
一瞬、羨望の混じった複雑な表情が浮かぶ。 
「那賀野、くん……あぁ、そっか」 
 差し出された手を握り返しながら、貸間はぎこちなく微笑んだ。周りから見れば 
、いつも通りの微笑みに見えるかもしれないが、笑顔に混じる微妙な硬さを、登美多ははっきりと感じた。 
「……仲、ええんやな」 
 静かすぎる声が、登美多の身体を凍てつかせた。背中を冷たい汗が流れ落ちていく。 
 那賀野は機嫌良く、「そりゃそうですよ」と合いの手を打っている。 
那賀野には、貸間の微妙な変化が分からないようだった。 
「タ/ケ、」 
何か言わなければ。そう思って口を開いた時、遠くで貸間を呼ぶ声がした。 
貸間と同じシャツを着た選手が数人、大きく手を振っている。 
演技を終えたまま帰ってこないエースに、聖風メンバーが痺れを切らせたようだった。 







 考えてみれば、競技中に他校の選手……いくら幼なじみとは言え、 
最大のライバルと目されている選手と長く話しているのは、誰から見てもおかしい。 
 貸間はチームメイトに軽く手を挙げて応え、再び登美多へ顔を向けた。 
振り向いた貸間の目には、もう、先刻見せた感情の色は残っていない。 
 さっきのは何だったんだ? 登美多は自分の肩に触れた。 
まだ、そこだけが冷たく疼いているように感じる。貸間の手が触れた、そこだけ。  
「さっきの事、考えといてな」貸間が小さく呟いた。 
「あ、ぁあ……」 
 さっきの事――大学の件か。と、頭の中で繋がるよりも先に、貸間はきびすを返してチームの元へ走っていく。 
 去っていく背中の向こうには、今や遅しと手を広げて待っている聖風メンバーがいる。 
貸間はダイビングするように、仲間達の中へ飛び込んだ。登美多の位置からでも、 
頭を小突かれたり、肩を叩かれている貸間の表情がよく見えた。 
仲間達に囲まれ、嬉しそうに屈託無く笑う貸間が。 
(……タ/ケが、こっちを振り向きますように) 
 幼い頃に、何度も心の中で繰り返した言葉だった。ひとりで練習している時、 
大勢の友達に囲まれている貸間を眺めてそう願うと、必ず振り返ってくれた。 
「ヒ/ロ、こっちおいでぇや」貸間の笑顔と手招きを受け、一目散に駆け出す……。 
 登美多は息を吐き、視線を外した。いくら祈っても貸間は振り返らない。当たり前か、とつぶやいてみる。 
一度は叶った願いを捨て、別の道を選んだのは、自分の方だったのだから。 

「登美多! 次の種/目が始まるぞ。思う存分やってこい」 
 コーチの声に登美多はゆっくり頷き、貸間に背を向けた。 






  ※ 

 不意に、呼ばれた気がして振り返った。 
しかし、視線の先に登美多はいない。探すと、通路を歩いて鉄/棒へ向かう後ろ姿を見つけた。 
……呼ばれるわけ、ないか。 
 貸間は、全体重をベンチに預けた。目を閉じると、登美多が那賀野に向けた笑顔が、鮮明に蘇ってくる。 
ピリピリと、神経が逆なでされるような痛みが走った。 
 思い上がっていた。心のどこかで、登美多には、自分がいないと駄目だと思っていた。 
それなのに……、自分以外の者にも、あんな表情を見せるのか。 
 いきなり突きつけられた現実だった。ひどい寒さを感じ、貸間は自分の肩をきつく抱いた。 
 鉄/棒の下に立つ登美多を見つめる。両腕を上げ、鉄/棒に飛びつき、 
そのまま力強くスイングする。そして、大車輪。離/れ技は……伸/身のト/カ/チェフ。 
一瞬、天井の照明と登美多が同化したように思えた。会場内が大きくどよめく。 
 登美多の演技は、誰の目で見ても、高校生の域を脱していた。 
……置いて行かれるかもしれない。 
 ふと、頭にそんな考えが過ぎった。掴んでいた肩に、爪がきつく食い込む。 
あれが本当に、自分の背中を焦がれるような瞳で見つめていた少年なのだろうか? 
はじめに心を求めてきたのは登美多の方だった。それなのに。 
……ずるいよ。貸間は手で顔を覆った。自分の心の一角を占拠しておきながら、 
手に入れたら離れていくのか? また今度も離れていくのか? 
「ターケちゃん、なぁに、思いつめた顔してんの」 
 突然、真上から声が降って来、貸間は驚いて顔を上げた。 
「※田さん!」 
 観客席の一番下、髪を茶色く染めた※田が、手すりから身を乗り出すようにして、 
こちらを覗いている。 
他の部員達も、いきなり現れたカリスマOBに慌てふためいている。 




 ※田が、口の端に笑みを浮かべた。 
「ふぅん。ヒ/ロユキの奴、えらい力つけて来てるやん」 
「……そうですね」 
 ※田を見ず、貸間は答えた。そんなことは、誰よりも一番よく分かっていた。 
「うーん、このままいくとぉ、優勝はヒ/ロユキかなぁ」 
「そう……かも、しれませんね」 
「最有力対抗馬のタ/ケちゃんは、腕が弱いしさぁ」 
「……」 
「今、ちょっとムカついたでしょ?」 
「……さすがに」 
 頭の上から、くっくっと楽しそうな笑い声が聞こえてきた。貸間は目に力を込めて頭上を睨み、……そのまま固まる。 
 ※田は微塵も笑っていなかった。真剣な眼差しで、貸間を見据えてくる。 
「※田さ……」 
 一瞬、※田の目の中に、ひどく寂しげな光を見たような気がした。 
「君らな、やっぱり、一緒にいた方がええわ。大層は孤独な競技やから、 
常に切磋琢磨できる相手が近くにいる方がええねん。自分を律せるし……」 
※田は小さく息を吐き、続ける。「オレみたいにならんですむ」 
 貸間は、※田の茶色く染められた髪を見つめた。 
 最近耳に入ってくる※田の噂は、決して良いものではなかった。 
他人が、どれだけ望んでも手に入れられない素質を持ちながら、彼にはどんな苦悩があるというのだろう。 
「※田さん」 
「お前らとやったら、オレも本気になれるかもしれん」※田は大きく伸びをして、少し微笑んだ。 
「そしたら、獲れるかもしれないなぁ。……」 
 最後の言葉は声に出さず、※田は口だけを動かした。貸間は打たれたように、その場に立ちつくす。 
 ※田は立ち上がり、胸に差していたサングラスを取りだした。 
貸間は呼び止めようと思ったが、上手く言葉が出てこなかった。 




 ※ 

 試合が終わった。結果は優勝。隣で那賀野が、「やっぱ、先輩はスゴイっすねえ」と、ぴょんぴょん跳ねている。 
「登美多、ちょっと」 
 コーチの手招きに、登美多はスポーツバッグを肩に掛けて立ち上がった。 
「何ですか?」 
「うん、あのな」コーチは、少し周りを気にしながら続ける。 
「殉大のスカウトがな、お前に会いたいって言ってるらしいわ。 
今、殉大の※田選手が伝えてきた。……お前、※田選手とは顔見知りなんやろ?」 
 無言で頷く。決断の時が迫っていた。コーチは登美多の肩に手を置き、「望む道を行け」と微笑んだ。 

 コーチから伝えられた通り、待ち合わせ場所……裏出口へ行くと、よく知った後ろ姿があった。 
 柱に背を預け、たった独りで立っている。 
「タ/ケ」 
 口の中で呟いたはずなのに、貸間は当然のように振り返る。 
「優勝、おめでとう」 
 澄んだ水面のような微笑みだった。 
「……うん」 
「これで、高校生活最後の大舞台が終わったなぁ」 
 貸間が目を細め、空を眺めた。隣に立ち、同じように眺める。空は赤く染まり、陽は没しようとしていた。 
 その時、隣で貸間がいきなり吹き出した。目を丸める登美多に構わず、身体をふたつに折って笑っている。 
「ヒ、ヒ/ロ……僕ら、※田さんに騙されてるわ」 
「……えっ?」一瞬、間が空いた。 
そう言えば、いつまで経っても殉大の人が来る気配は無い。舌を出す※田の顔が、脳裏に浮かんだ。 
顔に血が上ってくる。 
「……ヒ/ロ」 
 名前を呼ばれ、振り向く。貸間はもう笑っていなかった。真っ直ぐな視線が、登美多の目を貫く。 
「もう一度、一緒に大層、せぇへんか?」 
 声が出せなかった。登美多の口から出たのはヒュウという、空しい呼吸音だけだった。貸間は構わず続ける。 
「僕は、ヒロとやったら、金メダル獲れると思ってる。……※田さんも同じ考えや」 




 金メダル。どくん、と熱い衝撃が胸を貫いた。 
 その言葉はまるで、生まれて初めて聞いた単語のように、身体の芯へと響いた。 
「一緒に、行こう」 
 貸間の手が差し伸べられる。そこにある掌は、いくつもマメを潰してきた、間違いなく大層選手の掌だった。 
 熱い塊がのどの奥へ込み上げてくる。登美多は、これとよく似た手を知っていた。 
爪が食い込むまで、ぐっと拳を握りしめる。そうしないと、熱が嗚咽として漏れてしまいそうだった。 
 よく似た手。それは、毎日飽きるほど眺めてきた、自分自身の掌だった。 
 自分から、手を離してしまったと思っていた。違う道を選んだと思っていた。 
 しかし違う。繋がっていた。そう、ずっと繋がっていたのだ。この三年間、ずっと。 
「……一緒に、どこへ……?」ようやく絞り出した声は、かすれていた。 
……どこへ? そんなこと、訊くまでもなかった。 
 鼓動が一気に早くなる。登美多はすがるように、顔を上げた。 
 貸間の顔は、夕陽の逆光でよく見えない。高度を下げた太陽が目を灼く。鮮烈な光を放つ夕陽。だが……、 
 思わず、目を見張った。赤い夕陽が、一瞬、昇りかける白い朝日に見えたのだ。 
 朝日、それは再生と新生の証し。自分達の、そして日本大層界の。 
 逆光の中で黒い影と化した貸間が、もう一度、手を差し伸べてくる。  
「一緒に、オ/リ/ン/ピ/ッ/クへ、行……」貸間が言葉を詰まらせた。 
 何かに耐えるよう、少し天を仰ぐ。そして、続ける。 
「一緒に、世界で、一番高い所へ登ろう」 
 登美多の耳の奥で、少し鼻にかかった貸間の声が、何度も何度もこだまする。 
 オ/リ/ン/ピ/ッ/ク。それは、世界最高の舞台。 
 差し出された手に、登美多は、ためらいながら指を触れた。細かな振動が伝わってくる。貸間の手は震えていた。 
 登美多は、小刻みに震える手を握りしめた。 
 貸間が、一瞬、びくりと肩を震わせる。記憶よりも、少し大きく感じる手。 
 きっと自分の手も、同じだけ大きくなっているのだろう。 





……熱い。  
 どこか遠くから、歓声が聞こえたような気がした。海のさざめきのように、徐々に大きくなっていく。 
 凄まじい熱気の中、歓喜に震える絶叫が、勢いよく流れ込んできた。 
『栄/光/へ/の/架/け/橋だぁっ……!』 
 世界が反転し、光が弾けた。足の裏から伝わる、確かなマットの感触。 
 訳も分からず、両の拳を突き上げていた。腹の底から沸き起こってくる歓びに、声にならない叫び声を上げる。 
 途端に、白い輝きが、ざぁっと視界を覆う。あまりの眩しさに目を閉じた。 
 真っ白な光の中で、貸間が微笑んでいる。額には、葉で作った冠が載っている。 
 声は聞こえないが、繋いだ手の熱さから、喜びが直に伝わってきた。 
 辺りを見回すと、大観衆の中、表彰台へ登っている自分がいる。 
 側には、笑顔の※田や、顔をクシャクシャにした那賀野もいる。 
 みんなの胸には、黄金に輝くメダルが下がっていた。自分の首にも、心地よい重さを感じる。 
 ずしりと重い、金色のメダル。 
 横にいる貸間が、笑顔で上を示した。 
 見上げると、大歓声とフラッシュの嵐が続く中、高々と日の丸が昇っていく。 
 ……一番高い位置に、日の丸が。 


「……ヒ/ロ?」 
 貸間の声に、はっと我に返る。白い光は散り、視界には、何の変哲もない体育館の風景が戻ってくる。 
よろけた足に、スポーツバッグが当たった。すぐ目に前には、少し不安そうな貸間がいる。 
一瞬、何かがフラッシュバックのように横切った。 
「今のは……」 




 白昼夢? 途切れていく夢の記憶をたぐり寄せようとしたが、上手くいかない。覚えているのは、とても暖かい夢だったということと、側に※田が、那賀野が、そして貸間がいたということ。 
 貸間が指を伸ばし、登美多の頬に触れた。親指の腹で、柔らかく頬を拭う。 
「どしたん」 
「……?」何のことか解らず、登美多は首を少し傾けた。 
「涙」 
 微笑みながら、貸間が指を開いて見せた。そこには透明な滴が光っている。 
 登美多は一筋だけ流れた涙を手の甲で拭い、貸間に笑い返した。そして、空を見上げる。  
 太陽は最後の煌めきを雲間に残し、ビルの影へと身を落としていく。 
 登美多は胸に手を当て、薄れていく暖かさに別れを告げた。 
身体の奥深い部分に、微かな切なさを残して、白昼夢の記憶は消え去っていく。 
……また、いつか。 
 いつの日か、必ず会える光景だと知っていた。何故、と問われても解らない。ただ、確信は胸にあった。 
 登美多は貸間に向き直った。 
 貸間の突き出した拳に、自分の拳を合わせる。 

「タ/ケ、一緒に行こう」 

 訪れるべき未来のために。 
 そう、世界で一番高い場所へ登るために。 

                     <了> 




 ____________ 
 | __________  | 
 | |                | | 
 | | □ STOP.       | | 
 | |                | |           ∧_∧ クソ長いっちゅーねん 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 
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色々すいませんでした_| ̄|○ 
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