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*R.S.3_LxM 19 [#yb7550f2] #title(R.S.3_LxM 19) [#yb7550f2] 「ここに残しておいたほうが良かったんじゃないのか?」 背後から声がする。 先ほど軍師に迎えたばかりのハリードだ。 数時間前、ここ宿営地へ送ってきたモニカの身を案じている。 「私が死ねば、あれも生きてはいられぬ身よ。」 殺されるか、凌辱されるか。また、敵の妃にされるか。 ろくな選択肢はないだろう。 それくらいならば、例え危険であろうともこの場を離れた方が良い。 この戦に勝つつもりではいるが、妹が捕らえられ利用される恐れもある。 護衛させるにしても側近の兵は姿が目立ちすぎるし、下士官には柄の良くない者がいる。 また、その余力がある訳でもない。 そして自分の眼に自信があった。シノンの青年達は使える。少なくとも、今は。 「それに、レオニード伯爵は信頼できる方だ。」 ハリードが怪訝な顔で問う。 「下手な人間よりも・・・と言っていたな。それほどアンタは周りに恵まれていないのか?」 質問に答えるつもりは無い。 代わりにふと考えていたことを口に出す。 「妹専属の警護要員を揃えたほうが良さそうだ。」 父存命の頃よりカタリナに任せていたが、そろそろ彼女一人には重過ぎるだろう。 領主の娘という地位と、跡継ぎの無い領主の妹とでは、狙われる頻度も違ってくるからだ。 それに今回は、ゴドウィンの件を伏せていたのが災いした。 こちらの狙い通りとはいえ、彼女達にとっては予想外であったのだろう。 だが、カタリナ相手に同じ貴族のゴドウィンが敵だとは言い辛かった。 「あの青年はどうだ?」 ハリードは、シノンで会った緑髪の青年ユリアンを薦めてみる気になっていた。 彼がモニカ姫の護衛を買ってでなければ、自分がここへ来ることはなかっただろう。 「あの眼鏡の奴のように、上手い立ち回りはできそうもないがな。」 不器用ではあるが、その分裏切りの心配も少ない。 意図を酌み、ミカエルが薄く笑った。 「考えておこう。」 #comment