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*R.S.3_LxM 15 [#f1f56368] #title(R.S.3_LxM 15) [#f1f56368] 道が乾いた。 よく晴れた日。 馬車が到着し、使いの者が城へ入った。 豪華な土産物を広げながら、使者がロアーヌ侯フランツの言葉を伝える。 それは感謝の言葉であり、国の更なる発展を祈るといった月並みなものであった。 伯爵は丁寧にそれを受けながらも、内容に耳を傾けてはいなかった。 ミカエルの荷物が次々と運び出される。 やがて彼自身も使者と共に礼を述べ、玉座の間を去った。 悲しみや虚しささえ沸いてはこない。 初めから、一年と決まっていたことなのだから。 外に出たミカエルが、使者と打ち合わせをした後で言った。 「帰る前にもう一度、伯爵のところへ行ってくる。」 吸血鬼の城へ一人で向かうことを心配した御者が、慌てて止めようとする。 「私は一年間ここにいたのだ。危険など無い。」 自信に満ち溢れた笑顔。 御者は門の前で待つ旨を伝えた。 颯爽と城へ向かうミカエル。 使者はその後ろ姿を見て、一年前との違いに気づいた。 前から賢さと、ある種の鋭さを持った少年であった。 それが今では指導者としての魅力まで感じられるのだから。 この城へ行く事で、吸血鬼にされると恐れていた者もいたというのに。 僅か一年での、この成長振りはどうだろう。 「貴方の選択は、間違いでなかったようだ・・・。」 幼い頃からの友として、そして君主として。 その判断の正しさを、嬉しく思う。 ロアーヌ侯爵フランツが、息子をこの地へ送ったことを。 #comment