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66-444 の変更点


#title(会話と緩和)
えすでぃーGんだむFースの青い騎士×赤い武者 59スレ315~の続きです。 

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 

「ちょっと厠」 
「目になんか入ったから洗ってくる」 
「そういえばやかん火にかけっぱなしだったかも」 
「あ、鍵かけてない」 
「明日の天気予報だけ見せて」 
「金魚に餌やるの忘れた」 
「持病の腰痛が」 

「や、や、やる気あるのか貴様っ!」 
やられる気…などと言葉遊びするような余裕は、こう指摘するだけでも振り絞って 
かすかすになるほどの度胸を発揮しなくてはならなかったゼロにはなかった。 
「だって、お主は、お主はそう言うがなぁ!」 
逃げ口実をずらずら並べ、ゼロのストレートを目指してことごとく玉砕していっているサイン 
(普段問答無用で頭や刀に咲かせる花を手渡ししようとして、できるかぼけ!とひとり叫んで床に叩きつけたり) 
(物に、それも花に当たってしまったことに自己嫌悪しているところを見かねてにじり寄ってみると、 
見上げて、更に顔を真っ赤にして爆熱丸の名前を呼ぼうとして思いきり噛んだり) 
(その赤面に釣られて同じように赤くなり、あわあわした爆熱丸によって、そこでやっと冒頭の言い訳が出てくる) 
を更に粉微塵にしておいてなんだが、何時までも逃げられるとは思っていないし、 
「嫌だから」逃げたい訳ではない。のだが、なのだが。 
いっそ、「じゃあお前がこっちやれ!」と言うだけ言ってしまえれば、実際に代わる代わらないは置いといて、 
こちら側の懸念をその身に当て嵌めて考えてみてくれる、と、思うのだ。 
と同時に、ゼロが爆熱丸の不安を察していない、思いやってもいない、 
等ということは絶対ないのも良く解っているのだが。 
さて、前回はなし崩しにああいう役割分担になったわけで、今回仕切り直すという方向に持って行こうとしないで、 
実際には代わらなくてもいいから、などと自然と頭に浮かぶのは、一重に爆熱丸が(これはもちろん無意識下で)、 
ゼロを妙に丁重に扱いたがっている節があるからだ。 



具体的に言うならこう、 
だってこいつ絶対びーびー泣くよ! 耐え性ないし、とんでもなくプライド高いんだもん! 
……という風にゼロを捉えて、自分がこの役割りを担うことを納得させようとしている。 
かといって彼を見くびっているのでは無い、けれども負担を掛けさせるには彼はやわ、 
屈強な己の方が「どちらかというと」、「まだ」、適任だと思っている……要はゼロに対してちょっと過保護気味なのだ。 
ひょっとするとこいつを受け止められるのは自分だけ、なんて自惚れめいた所も僅かにあるのかもしれない。 
「えーい、ええいっ! いいだろう腹を括ろう!」 
迷いを断ち切るつもりで兜を振って、爆熱丸はぎゅうっとゼロの手を握る。 
「ちょっ、と、わわっ、あ、あんまり強く引っ張るな!」 
と、いざそうなると困惑しきりなゼロを連れて、爆熱丸は自室の扉を蹴っ飛ばした。 

間抜けだ、すこぶる間抜けだ。 
「す、素直に倒れないか」 
ぐぐぐぐぐ。肩を掴み、力を入れて押し倒そうとしても、それ以上の力で踏ん張られてしまえば 
エネルギーは同じところに留まるだけで、それも叶わない。 
「うぐぐ…そう言われても、言われても……」 
初めこそ、手は添えるだけで、後はそーっと慎重にリクライニングシートばりに 
ゆっ…くりと押し倒してやるつもりだったのだが、もうこうなってはちょっと変わった押し相撲をしているようなものだ。 
ベッドに腰かけ(させられ)た状態で、腕を突っ張り、淵に手を掛け、 
そこをぎちぎちに握って抵抗する爆熱丸の肩を一層強い力でぐいぐい押して、ゼロはとうとう口を開いた。 
「さっさと倒れないと、このままあの……い、いろいろするぞ」 
「それは嫌だ、でも見下ろされるのもなんかいやだ…」 
「じゃあ立ってする」 
こてん。 
「………」 
「うるっさいな! 立ってたら俺もお前もしんどいだけだろう!」 
何も言っていないゼロにそう怒りながら、しかし彼の分のスペースを空けるためにずり上がる。 
「よい、しょ」 



膝から乗り上げて座り、ゼロが布団を沈めると、 
爆熱丸は転がっていたクッションを手繰り寄せて抱き締め、顔に押し付けた。 
呆れたような、不満気なゼロの声が降って来る。 
「またそれか。どうしてそう……そうやって…」 
「……見られたくないからです」 
そんなの解りきったことだろうが、と思いながらも、爆熱丸はごにょごにょ答える。 
「それは…どうしても、その……見られたくない?」 
「…………。み、みた、みたい、のか…?」 
「なっ、何を言う! べつに、そんな、そんなことは…………!」 
弾かれたようにゼロは声を張り上げ、ぽか、とごく軽い力でクッションを叩く。で、 
「……ちょっと、だけ、3ミリぶんだけ」 
………。 
「さんみり…ってどれくらい……」 
聞いてみると、外からクッションを掴まれる。しがみつく力を抜いてやれば、 
ゼロはそれを両手で取り上げ、まるで小さないじめっこがやるように高々と持ち上げた。 
「そ、それが3ミリぶん?」 
「そう、これが3ミリぶん」 
「そうか、なら仕方ないな」 
「そうだ、仕方ないのだ」 
何がだ。一体何が仕方ないと言うんだ。 
然るべき発言はどちらからも終ぞ出て来ず、爆熱丸が納得したところで、ゼロはそれを脇に寄せた。 
そして改めて向き合っ…てはいない、爆熱丸は天井のパネルを、ゼロは布団のユニット模様をねめつけ、 
しかし、どかん! とほとんど同時に顔面を染め上げた。 



場を支配するのは、硬質同士が触れ合う音と、色気もへったくれもない呻き声だ。 
「あー、……あー、もう、…うぅぅ」 
否、呻き声であるかも怪しい。痛みに耐えて漏れ出るのが呻きなら確かにこれはそうなのだが、 
爆熱丸のには言い出しにくいことを抱えていたりする際のもの、 
更にそこに触れ合った時に穏やかに聴覚を撫でる音を聞かないようにしているようにも見える。 
「うー……ゼロ、あのさ、あのー…」 
「うん」 
もぞもぞ喋り出すと、ゼロはぴたりと手を止める。この変に丁寧な扱われ方も恥ずかしい。 
若さと情熱にに任せてがつがつと…、な展開にならないのは果たして自分達らしいのか。 
普段の付き合い方を考えれば全くらしくない、のかもしれない。 
「すまん、なん、か……やっぱりきついから、あの…」 
ゼロの腕にしがみついて起き上がり、しかし目を合わせず、かといって俯くなんてもっとできないので、 
壁にかけられたカレンダーに視線を注ぐ。 
「い、いわゆる…ほら、引き戸が突っかからないようにするために……」 
しかしこれだけでは伝わらず、ゼロは首を傾げた。 
「引き戸?」 
「の、溝に塗る、油、みたいなものが欲し、い…」 
「あぶら…。……?」 
「いや、それはものの例えであって、本物使われたらぎとぎとして堪らんから、だから、ええと」 
言葉を濁しながらもなんとか伝えようとして、しかし碌に喋られないで黙りこくる。 
一先ずは続きを待っていたゼロだったが、ついに爆熱丸は彼の砦からすり抜けた。 
「……ちょっと待ってろ。すぐ戻る」 
「すぐだぞ」 
「うん。その間素数でも数えていろ」 
「…それは緊張している時にすることであって、暇な時にすることではないだろう。 
いや、それより君が素数を知っていたことに驚きだ」 



「まーた俺を馬鹿にして…」 
爆熱丸はゼロのその言葉に何時ものようにむきにならず、扉に手を掛けて部屋から出て行ってしまった。 
ああ言ってしまったが、今の自分が緊張していないとは言いがたいので、ゼロは口に出してそれを行う。 
「素数がひとつ、素数がふたつ、素数がみっつ……」 
緊張し過ぎである。 

どん、と音を立ててサイドテーブルにボトルを置き、しかし手を離さずもう一度持ち上げて、 
爆熱丸はゼロの目の前にそれを突き出した。 
「はい」 
半透明の容器の中身がたゆんと揺れて、ゼロは漸く爆熱丸が言おうとしていたことに気付く。 
「あ、ああ、そういう…」 
そこにラベルは貼られていない。市販のものとは違うのだろうか。 
「ほら、手出せ」 
ポンプが押され、ゼロの手の平にとろりと液体石鹸が注がれる。 
薄く色のついたそれを眺めながら、ふとゼロは今の時間帯を考えた。 
個人部屋にはシャワーが備え付けてあるのだが、ここに爆熱丸が訪れた当初、 
「はんぎゃぁああああ!!」と身も蓋もない叫びが聞こえてきたので 
黒いあいつでも出たかと思って覗いてやると、シャワーがぐねぐねと蛇のようにのたうち回って冷水を撒き散らし、 
部屋が水浸しになっていた……ということがあって以降、爆熱丸は洗面台より奥のそこには寄りついていない。 
つまり彼がこれを持って来られるのは、ちゃんと浴槽もある共同の大風呂からくらいなのだが、 
夜も遅いこの時間ではもう閉まっているはずだ。ということは。 
「………これ、借り物だな?」 
「うん。リリ姫の」 
「ばかぁああああああああああああ!!!」 
「あだだだだっだ痛い痛い痛い痛い沁みる沁みる!」 



ゼロの手がぺちんと爆熱丸の頬を叩く…否、撫でる。格好と気分は平手打ちなのだが、 
勢いはほとんどついていないので打撃による痛みはない、 
その手に汲まれた石鹸がべったりと頬に擦りつけられ、弾みで目に入ったのだ。 
「我がリリジマーナ姫の! その繊細で華奢な御身体を清めるためのものを! こんなことに使えるかぁああ!!!」 
「姫が一番ぱあーっと気前良く貸してくれそうだったからぁ!!」 
「姫じゃなくても誰かのものなんて使えるか馬鹿ー!!」 
手の平を彼の顔にこすりつけ、削げ落とす。もう爆熱丸(の顔)で全て拭き取ってしまいそうな勢いだ。 
かと思えば、後のことを考えずに布団になすりつけ、ゼロは勢いそのまま、テーブルに置かれていた刀油の瓶を引っ掴んだ。 
「私がこれを使おうとしたら、お前も腹が立つだろう!」 
小瓶を振って液体を揺らし、爆熱丸に示す。 
「あ、当たり前だ! 刀は武者の魂だぞ! それを手入れするためのものを、こんな不埒なことに……ふらちな……」 
徐々に声がフェードアウトしていく。ゼロが言わんとしていることを己の身に置いて理解したのと、 
これからやろうとしていることを口にしようとして、でもやっぱり出来ないことに、だ。 
「…すまん、浅はかだった。返してくる」 
「い、今は駄目だ。もう夜も遅いし、二度も君や私如きが姫の眠りを妨げてはいけない。 
明日の夜までは姫もこれには用はないだろう」 
普段のゼロなら姫に何か借りたのなら、いつ姫がそれを必要としてもいいように、 
すぐに返したがりそうなものなのだが、今回ばかりは例外だ。一度彼女と顔を合わせてしまえば後ろめたさと、 
しかしそれを上回るいつもより一回多く姫の御顔が見れた、 
就寝の挨拶ができた幸福で、もう思い残すことはちょっとしかない!  
とそのまま自室に直行して布団でぐっすりと眠ってしまう。姫煩悩とでも言えばいいのか。 
「よし」 
立ち上がり、ゼロはティッシュの箱に伸びていた爆熱丸の手を捕まえた。 
代わりに自分の空いた手でそれを数枚引き抜き、顔を拭いてやる。 



ぞんざいな手つきに「ふぐぐ」「いたい」などと潰れた声が聞こえたが、それはまあいい。 
あらかた拭き取ると丸ままに立ち上がり、訝しんでいる彼の脇に転がっているボトルを拾い上げ、 
姫にそう接するようにひどく慎重にサイドテーブルに置く。 
……かと思えば視界の隅にすらちらつかないように、今度はクローゼットにしまった。 
そして爆熱丸を振り返って一言。 
「新しいの買いに行くぞ」 
「か……でえぇええええっ!? やだ、やだやだやだやだ嫌だ!!! 一人で行ってくれ!」 
「何故だ、ちょっと出かけて日用品を買うだけだろうが!」 
「そうだけど! でもお前! 俺とお主が並んで日用品選んでたら、そんなの面白すぎるだろう!」 
「面白がらせておけ!」 
「無理! こ、こここ、こんなことに使うのを、平気な顔して連れ立って買いに行けるか!! お前が買って来い!」 
「嫌だ恥ずかしい! ベッドに正座して待っているお前のこと考えながら、どれがいいかなーなどと私に選べと!?」 
「いやそれも相当恥ずかしいけど、でも一緒の方がぜったい恥ずかしいってぇえええ!!」 
「行くぞ!」 
「どわわっ、お、おおぉい! わかった行くから抱えて飛ぶなぁあ!!!」 

「あ、ローズの香りだって。これにしよう」 
「薄ら寒い、無臭で良いわ無臭で! あ、味海苔買っていい?」 


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 
続きます 
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