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66-40 の変更点


#title(How did boys refuse the sun? Ⅰ)

現代版シャ一口ック@ビビシ 
シャ一口ック、森ア一〒ィ一、力一ノレが同じ学校にいたら、のもしも話。 
時代・英国学校制度考証なし、森→力一ノレ→シャな矢印の向き、完結済み。 

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 

* * * 
「おおぅ…!学生水泳チャンピオン……力一ノレ…力一ノレ・パワ一ヌ゙…!」 
その間隙に揺らめく薄いアイスブルーの瞳を、ジョソ・ワ卜ソンの知りえない制約は、もどかしさと共に羨望で待ちながら、ただ見つめるほかない。 
「僕の出発点……!」 

その日、力一ノレ・パワ一ヌ゙は少し落ち込んでいた。水泳部コーチ:ラングトンの言う『気晴らし』の意味が、その場にいた生徒たち全員にはわかったのに、自分には最後までわからなかったからだ。 
いや、それも多少の異がある。タイムを上げるためには息抜きも必要だ、ラングトンの実体験から発せられているそうだが、学生時代にガールフレンドの妊娠を受け、クラブを辞めさせられた経緯までは、彼が部員たちに話すことはないだろう。 




力一ノレには、水中でのキック回数の効率性やブレスの簡略化に、女の子とのデートがなぜ役に立つのか、どうしても理解できなかった。 
「女の子たちは単純におれらより肺が小さい。でも肺の小さいのがつきあってうつる、って意味じゃなくて…。」 
「おまえ何言ってんの?肺とか呼吸器とかじゃねえだろ、もっと下だよ!」 
「ためとくなってことだろが。」下卑た哄笑。 
水泳選手としては恵まれた体躯だと、自負せずとも太鼓腹の父が車のディーラー仲間とのポーカーの席で自慢するたび、気恥ずかしさとしかし誇らしさもないまぜに自覚してはいた。 
だが彼は、同じように自覚していた、他の者たちが知りながら、いまだ知らずにいることがあるのを。 
それが恋心だと、別の成熟したことばを持たないほどにも、力一ノレは幼かった。 

誰も自分を『ジェームズ』とは呼ばないことに、もうジム・毛リ了一〒ィ一は慣れてしまっている。卑屈?違う、面倒はいやだが、彼に疎まれることになるなら、級友たちが『モリー(おばさん)』と囃し立てるのも気にならない。 
「よぉモリー、おまえの愛しの力一ノレ・パワ一ヌ゙がランニングを始めたぜ。」 
よせよ、そんなんじゃない、否定しながら上身が捩れ、目尻をさげる道化笑いをしてしまうのを本人にも止められないせいで、ジムはあえて嘲弄の位に甘んじ、クラスでの存在を許されている。 




「力一ノレ、遅くなったけどこれ。」ジムは優しい力一ノレだけが、自分を拒絶しないこの至福を手放す気はない。 
不思議そうな表情の少年の逞しい二の腕から、剃り残した産毛が散る顎のラインが、力一ノレは特に美しい。 
「今季限定モデルだよ。マークス&スペンサーでも売り切れてたって、君話してたろう?ぼくの叔父に言って取り寄せてもらったよ。あ、叔父は仲買人なんだ。」 
これは嘘だ。カムデンマーケットを方々歩きまわった末、ある闇業者の限定仕入れに午前3時から並び、5時間後ようやく手に入れることができた。 
あからさまに厭わしい顔を向ける他の部員たち。その後ろでヘルメスのように鎮座する力一ノレ。これはあなたへの献上品です。 
「人間だれにでも取り得はあるもんだ。」「金だけってのもどうかと思うぜ。」「やめろ、しゃべりたくもねえ。」「てめえのキモさを知らねえ罪ってのがあるなら懲役だ。」 
「おれにくれるの?」箱からシューズを取り出しながら、クリスマスでもないのに?と間の抜けたことを呟く力一ノレの純真な笑顔さえ見られれば、ジムにはそれで満足だ。 
「だって、ぼくらともだちだろう?」さあ、早く、この馬鹿どもの前で言うんだ、力一ノレ! 
「ありがとう、ジム。大事にするよ。」 
ああ…天使がいる。なおも揶揄を放つ部員たちを嗜めすらしてくれる力一ノレのためなら、全世界を敵にしたって構わない。 





『なあ力一ノレ、あれおかしいだろ?』『は?ジム?』『は、じゃねえって。つまり…』『おまえのことが好き好き大好き!なんだっての。』『え?おれもおまえのこと好きだぞ、ルーク。昼にポークチョップくれるし。』『誰かこの空気頭に教えてやれよ、そうじゃねえってのを!』 
股間が熱かった、痛いほど。今夜も寝入るのは深更になるだろう。その浅い眠りの中で、ぼくが存分に力一ノレを愛する甘い夢が見られますように。 

細いうなじにかかるあの黒い巻毛を、なんどかこうして見送っているな。「どうした力一ノレ?」呼ばれて彼は戻ろうとするが、後ろ髪をひかれている。角を曲がれば確か中等部の図書室へ続く中廊下が続く。まず間違いなく、あの子はそこへゆくのだろう。 
プールから近いんだから練習帰りにも会ってなくてはおかしいな、胡乱な力一ノレは、図書室に外部へでられる通路がもうひとつあることを知らない。中等部時代にほぼ活用したことがなかったせいなのだが。 
あくる日、巻毛とまた擦れ違う。いつも何か本を読みながら、なのに決して他人とぶつかることもない。通り過ぎざま、力一ノレはそっと目尻でその表情を捉えようとする。 
当然相手が気づくこともなかったし、正面を歩いていた力一ノレを彼はすんでで避けた。 
ついていきたい衝動を堪え、力一ノレはプールの金網をくぐる。しかし校舎の角を曲がりきるまで、ロッカールームへ入るのは待った。 
七分袖の紺色のシャツはよく糊がきいている。サスペンダーに吊られたブリーチズの腰はサイズ超えか尚余裕がある。アーガイル柄のソックスに編上げ靴。 
一見古風な身なりで制服らしくも見えるがここの学校は私服だ。ある意味目立つだろうに、視線をとめるのは自分だけらしく、不思議と周囲に溶け込んでいる。 





肌をあらわにしている手足がとても細くいたいたしいほどだが、自分もああだったろうか、と13、4歳と思しい少年の頃を思い出してみる。が、長年水泳をやってきたせいで、彼との共通点などあるわけもなかった。 
そうした夢想の間に、今まで起こらなかったことが起きた。 
あの少年が角を曲がって戻ってきたのだ。 
「ルーク、悪いけど急用思い出した。今日は練習休む。」 
返事を待たず、力一ノレは再び金網をこえる。少年は幸い、今回は本を広げていない。背負った鞄の金具が外れているせいで、かちんかちん、と歩みが音を奏でる。軽快な鈴のようだ。 
「何か用?」にわかに振り向き、少年が剣呑に言い放った。当然自分に向かっている。 
「何か用?」もう一度、難詰調に変わりはなく、力一ノレはまだ返答につまる。 
「や、その、と、図書室、は今日は休みかな、って。」言ってから、店でもないのに何を馬鹿な、と我ながら呆れた。 
今日は?との小声に混じる追想で、まだ丸みを残す少年の小鼻がわずかばかり膨らんだように見えた。「考査が明日からだもの、大盛況だよ。」 
だが続く言葉に棘は消えた。むしろ吐き出さずにはいられない苛立ちが力一ノレに向かっていない証左にも思える。この見知らぬ上級生とはどうやら初対面ではないらしい。 
「なら、きみの席がもうなかったんだな。」「うるさいんだ。」「うるさい?」 




例え利用経験が乏しい力一ノレにも、そこが私語厳禁なことぐらいわかる。 
「みんな勉強してるよな?そりゃあ静かなんじゃないか?」 
わかってないな、と言いたげに少年は「理解に遠いだけでなく理解する必要のない問題との格闘で犇いているあそこが今どれだけ騒々しいか、行って見てくるといい。」 
邪魔でしょうがないんだよ、気が散る。そう続ける少年の視線が当の建物を向き、正当な異議だと言わんばかりに、聴衆を得て尚淀みない。 
ところが力一ノレの耳にはその半分は届けられず、相手がどうやら怒っているらしいうるさい静けさというものを想像しようとして、それこそ思考をパンクさせかけていた。 
「…ねえ、平気?」傍らの目下で小顔が見上げている。まともに対峙したのはこれが初めてだ。「それはそうとぼくに何か用なのか、力一ノレ・パワ一ヌ゙?」 
「えっ!なんでおれの名前知って…」 
「プールの前を通ってすぐ誰かが『力一ノレさぼりか?』と言うのが聞こえた。友達は選んだほうがいい。直後に君が背後にいる。プールから出てきたということは水泳部員、 
水泳部員で力一ノレといえば、去年学生チャンピオンになって学校表彰も受けている力一ノレ・パワ一ヌ゙以外にいなかったはず。どこか違った?」 
力一ノレは返事ができなかった。「もう四度目だけど、君、ぼくに何か用事でもあるの?」 
「あー、その、おれと…つまりその…」「君と?」「ともだちになってほしい!」 
「……は?」 

   
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 
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