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#title(部無あき) 土9「溶解人間部無」、部無あきで軽くエロあり。 あれこれ助けられまくって刑事は部無のホントの姿を既にご存知な設定で。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「べむさん、なにこれ?」 ハンカチはないかと尋ねられて差し出すと、小首を傾げている間に視界を奪われた。 「こういうこと、慣れてなくて恥ずかしいから…見ないで下さい。」 部無の静かに囁く声が耳朶を擽る。 廃船の古びたベッドにそっと倒されて、その上に遠慮がちに圧し掛かかられた。 シャツを引き出され、裾からおずおずと入り込んで来た手に浮いた肋骨を撫でられる。 喉元に口唇を押し当てられてようやく、あぁ、自分は抱かれるんだと気付いた。 自分は男で、妻子もあって、若い部無から見ればもう十分オジサンの域に突入しているだろうから、 求められるのが不思議で仕方がなかったけれど、それでもベムが欲してくれるのなら何もかも差し出そうと思った。 何があっても抗うつもりはない。 棗はベムに負い目があった。 振ってきた部無の口唇に柔らかく下唇を噛まれる。 「べむさ…」 名前を呼ぼうとしたが、全て食い尽くされそうな程にいささか強引に口唇を塞がれて、呼吸を奪われた。 慣れていないと言った言葉通り、若くがむしゃらな部無のくちづけに棗は必死でしがみ付いた。 歯列を割り捻じ込まれた熱い舌が、口内を蹂躙する。 くちゅくちゅと発ったいやらしい音に顔が熱くなる。 棗は思わず部無の背中に手を回して、その上着をきゅっと握り締めた。 部無の身体がびくりと震えて一回り大きく、硬くなった気がした。 指先だろうか? ひんやりとした硬質な何かが棗の頬を、首筋を、胸を、わき腹を辿っていく。 触れられた箇所が火がついたように熱くて次第に息が上がった。 「あ、…あっ、べむ、さんっ」 とっくに乱された襟元に噛み付かれる。 刺すような痛みに棗は眉根を寄せて呻いた。 「や、痛っ…」 「なつ、めさん…、」 いつもより低く響くしゃがれた声が耳元で名前を呼んだ。 浅ましい。 この身が心底浅ましい。 部無はそう思った。 自分が恥ずかしくて俯くと、棗の首筋には自分の牙が開けた穴が赤い血を滴らせている。 好きな人を優しく抱く事もできない身体が、本能が、呪わしかった。 「べむさん…」 くちづけをねだる素振りを見せた棗に、柔らかなキスを落とす事ももう叶わない。 見せ掛けの代物だった人の肌は、とっくに失われているのだから。 「っく、ぅ…」 丹念に解されたそこに突き立てられた部無の雄身は、棗のものよりずっと大きく硬く逞しい。 その存在をこれでもかと主張するものを、どうにかして全て受け入れようとしたが、 そもそも棗だって慣れている訳ではなかった。 苦しげに息を吐き、身体の力を抜こうと努力する。 だけども肝心の部無はその腰をこれ以上進めて来る気配はなく、今更何かを逡巡しているようだった。 「ぁ、べむさん、あの…、べむさんが動いてくれないと、その…ぜんぶはいらないと思うんだけど…」 顔が赤く火照る思いがしたが、中途半端に挿入されているだけでは苦しいばかりだった。 部無は何も答えなかった。 その代わり、自らの雄身を棗の中に一気に突き入れてきた。 「ン、アァッ!」 骨盤を割り裂くような痛みと衝撃に、棗は声を上げて仰け反った。 ズルリと滑りが良くなったのも、受け入れた場所が切れて出血したからに他ならない。 目元を覆い隠した頼りない一枚の布にぎゅっと縋り付いてしまったのも仕方なかった。 ピンク色の布の縁から部無の好きな優しい色をした瞳がふいに覗いた。 けれどそこに映るのは、棗の知る部無の姿ではない。 ただ醜いだけの、化け物のそれだ。 長い睫毛が涙に濡れてふるふると震えている。 やっぱり怯えさせた。 こうなるのが解っていたから視界を奪ったのに。 部無が思わず腰を引こうとすると、刑事にしては細い指先が恐る恐る伸びて来て、羽のようにそっと頬に触れた。 棗は硬質な部無の頬の感触を確かめるように、幾度か撫で、そうして言う。 「…知ってたから…俺、全部、わかってたから、だから大丈夫…大丈夫だよ、べむさん。」 垂れ目がちな大きな目を優しく細めて微笑った棗が、 震える手で、泣きそうな声で、それでもぎゅっと抱き締めようとしてくれる。 きっと無理をさせている。 この異形の姿が恐ろしくないはずがない。 身体のあちこちに傷をつけられて、怖くないはずがない。 大丈夫と言ったその言葉はきっと、棗自らが自分に言い聞かせる言葉だ。 結ばれたのは心じゃないはずで、 ただ熱を孕んで包まれたいと強烈に訴える部分だけが、恋しい人と自分とを微かに繋いでいる。 だがそれも終わりだ。 真実の姿を知られてしまったのなら、終わりにするしかない。 何より自分は棗を怖がらせたくはないのだ。 部無は温かな棗の奥に忍ばせた雄身を、ゆっくりと引き抜いた。 「…っん」 湿り気を帯びた長い睫毛が苦しげに伏せられる。 半開きの口唇からは、小さな喘ぎが漏れた。 その全てに情欲をそそられたが、 部無はくちゅりと淫らな音を立てて棗の中から身を引くと人成らざる漆黒の瞳で、横たわる男の顔を見下ろした。 忙しなく上下する胸。 上気した肌理の細かい肌。 涙に揺れる、少し色の薄い瞳。 流れ出た赤い血。 「べむ…さん?」 少し高めの声で自分の名を呼ぶ、その口唇。 何もかもが愛しくて、何もかもが自分とは到底釣り合うはずもない美しい、美しい人間だった。 部無は棗の顔に触れようと伸ばした手を、ぎゅっと握り締めた。 尖った爪が掌の肉を抉る。 滴り落ちるのは、どんなに願っても決して赤い血にはならなかった人外のそれ。 棗の横たわるベッドを汚す緑色のおぞましい血液に、部無の胸が軋んだ音を発てた。 「そんな事したら、手…痛いよ、べむさん。」 「…」 「ほら、血が出てる。待って、俺ハンカチ持ってるから。」 脱ぎ捨てた上着を薄暗闇の中、手探りで探す棗に、部無は背を向ける。 (隅の方に“あきちゃん”と刺繍の入ったピンク色のハンカチなら、今あなたの首元にぶら下がってる。) こんな時に、どうしてそんな悠長な事を思ったのかは解らない。 ただ、少し天然の入った棗に、きっともう触れる事も、会う事も叶わないのだろうと諦めたら、 頭も身体も少しだけ軽くなった気がした。 部無は初めて好きになった相手に、さよならの言葉も告げず闇に紛れて姿を消した。 「あ、あった。ほら、べむさんハンカチ!…べむさん…?」 残された棗が辺りを見回した。 そこにはもう、人も、人成らざるものの気配もない。 「…べむさん…」 棗は自分の首に引っかかっていた目隠し代わりのハンカチを手に取ると、ぎゅっと握り締めた。 「…俺…、まだあなたに謝ってないよ、べむさん…。」 恐くなかったと言ったらきっと嘘になる。 「いっぱいひどいこと言って、傷つけて、てゆうか初めて助けてもらった時なんて撃っちゃったし…。」 けれどどんな姿でもベムはベムなのだと、受け入れる覚悟を決めたばかりだった。 「色々謝らなきゃいけないし、ありがとうも言ってない…。」 船底に、伝わらなかった告白が小さく響く。 「べむさんが好きだって、俺、まだ伝えてないよ…。」 □STOP 配分間違えて8/8にならず本気ですみませんでした。 しかもバイ猿食らうお粗末さ…。 途中支援して下さった皆様、どうもありがとうございました。 ハム式のよもやのテンプレ萌えに滾って、先走りな感じのネタ失礼しました。 #comment