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62-226 の変更点


*花粉症の後に 前編 [#jbd40ac9]
#title(宇宙犬作戦 マルコ×モジャット 「花粉症の後に 前編」)
宇忠イヌ作戦、マノレ×モヅャです。 
前回投下の姐さんに続いて、萌え上がってしまったので投下します! 
惑星ムジ力編のネタバレを盛大にしています。未見の方はご注意を。 
ちょっと長いので前後に分けます。 

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 

「おい、モジャッ卜!入るぞ」 
返事も聞かずにドアを開けてずかずかと入ってきた男を、モジャッ卜は壁際のベッドの上で迎えた。 
「マノレコ……」 
ふらつく体を何とか両腕で支え、上体を起こす。 
「どうだ、具合は」 
「それが……はっぶしゅ!」 
「うわっ」 
不意打ちのくしゃみに、マノレコが思わず一歩飛び退く。 
モジャッ卜は手を伸ばしてティッシュを一枚取り、鼻の辺りを拭った。 
「すいません、まだ少し、くしゃみとだるさが……。でも、だいぶ良くなりました。そろそろ職務にも復帰できますので」 
「まあ、無理すんなって。ほら、オ八ナちゃんが作ってくれたチャーハンだ」 
「ありがとう……そこに、置いといてもらえますか」 
マノレコはテーブルの上に、夕食の載ったトレイを置いた。 
オ八ナの作るチャーハンはとても美味なのだが、なぜかご飯がお決まりの丸い形には盛られておらず、
いつも平らなままで出てくるのが二人には気になるところだった。 
マノレコは軽いため息をつきながら、ベッドの端に腰を下ろした。 
「ったく、厄介なもんだな。ショクブツ系人の花粉症ってのは」 



「命を落とさなかっただけでも感謝しなくては。こんなに軽い症状だけで治まるなんて、奇跡的な症例です。
本当なら今頃、私が私でいることさえ、できなかったはずですから」 
「“自我を失う”ってやつか?」 
「ええ。あなたにも、相当ひどいことをしてしまったようですね……その傷は、私がつけたんでしょ」 
マノレコの口元には、小さな傷跡があった。 
「気にすんなよ。あんまり覚えてねえんだろ?」 
「ええ。ところどころ、記憶がはっきりしなくて……申し訳ないのですが」 
「だったらいいんだよ。それにお互い様だ。俺もお前を殴っちまった」 
傷は残っていないものの、モジャッ卜の頬にも、微かに痛みが残っていた。 
「……私が自我を失わずにすんだのは、あなたのおかげかもしれません」 
「俺じゃなくて、あのジャマーノレって姉ちゃんだろ」 
「確かに、私の心を最後に繋ぎとめてくれたのは彼女かもしれません。しかしその前に、彼女を救いたい余り、
私はあなたに銃を向けてしまった。宇宙スギの花粉を飲んだ直後のことです」 
マノレコの表情が曇った。 
「……お前、やっぱり自分からあの花粉を」 
「やはり気づいていたんですね」 
「なめんなよ。お前の行動パターンぐらいお見通しだ」 
「それを知りながら、あなたは私に銃を向けられても逃げなかった。私を信じていてくれたから……ですね?」 




「まぁ、前にも一度似たようなことがあったからな」 
「その時とは状況が違います。私はほとんど正気を失っていました。本当にあなたを撃ってしまうかもしれなかったんです。 
……でも、なぜか撃てなかった。きっとあの時、あなたが私を信じて、目をそらさずにいてくれたからです。 
意識は朦朧としていたのに、なぜだかはっきりと覚えている。 
私の心が壊れるのを最初に止めてくれたのは、あの時の、あなたの目だったんじゃないかと思うんです」 
「…………」 
「本当に、何と言ったらいいのか……」 
「まずは、『すみません』だな」 
「え?」 
「え、じゃねえよ。お前、花粉症になったら最悪の場合、死ぬって言ってただろ。それを承知であの宇宙スギの花粉を
飲んだんだろ。お前、死ぬつもりだったってことじゃねえか!」 
「……すみません」 
モジャッ卜は視線を落とした。 
「あの時の私には、ああするしかなかったんです。私は臆病な人間です。理性的とか論理的とか、そんなのは
体のいい言い訳です。 
元の自分のままでは大それた行動をとることなんてできやしない。そんな自分を、あの時はどうしても捨てたかった。 
私の命ひとつであの星と一億六千万人の命を救えるのなら、安いものだと思ったんです。 
……でも今考えてみれば、自分勝手な思い上がりでした。仮に惑星ムジ力を救えたとしても、その代わりにオーブを失い、 
惑星プードノレを救うことはできなくなる。その上、あなたの命まで奪ってしまうところだった」 




うつむいていたモジャッ卜は顔を上げ、マノレコを見た。 
「あの……マノレコ、誤解しないでほしいんです!私は決して、ジャマーノレさんや惑星ムジ力のために、 
あなたを殺そうとまでするつもりはなかったんです。あの時は……頭が真っ白で、……本当に、どうかしていて……」 
消え入りそうな声で呟くと、モジャッ卜は震えながら再び視線を落とした。 
マノレコはやれやれといった風に頬杖をつく。 
「わかってるよ。花粉症のせいで、頭に血が上ってたからだろ?性格変わってたし。お前はお前なりに必死だっただけだ。 
もう気にすんな」 
「私は……どうしたらよかったんでしょうか」 
「どうにもできやしねえことだってあるんだよ、人には。……俺だってあのときできることがありゃ、何かやってたさ」 
「私がやったことは、間違いだったんでしょうか」 
「ああ、間違いだったね」 
きっぱりとそう言って腕組みをしたマノレコを、モジャッ卜は驚いたように見上げた。 
「え……?」 
「俺に黙って、よりによって勝手に死のうとするなんてな、間違った選択に決まってんだよ。そんなこと、何があろうと 
絶対許さねえからな!」 
「許さないって……。私の生き死にについて、あなたの許可を取らなきゃいけないんですか」 
「当ったり前だろ」 
当然のように言い切るマノレコに、モジャッ卜は思わず眉を寄せた。 
「なぜですか?私の命ですよ?」 
「そうだよ」 
「……私が私の命を自由にしちゃいけないんですか!?」 



モジャッ卜は苛立ち、立ち上がった。 
「この船の指揮官は私ですよ!」 
(この船の指揮官は俺だ) 
びくっと、モジャッ卜の肩が震えた。 
聞こえてきたのはまぎれもなく自分の声だ。 
だがその声は、野獣のような凶暴さを持って脳内に響き渡った。 
「……あ……」 
治まっていたはずの猛烈な寒気が、再びモジャッ卜を襲った。 
がくがくと震えだした自分の肩を、思わず両手で強く抱える。 
次の言葉を予感し、彼は怯えた。 
(今のお前に、その資格はない) 
――そうだ。私には、もう……――。 
「そうだよ、この船の指揮官はお前だよ!葉っぱ船長」 
「……え」 
虚ろな目で、モジャッ卜はマノレコを見た。 
「今、何て……?」 
「ん?だから、船長はお前だって」 
「……は……」 
へなへなと肩から力が抜け、モジャッ卜はベッドの縁に崩れ落ちるように座り込んだ。 
「おいおい、どうした?」 
マノレコが慌ててモジャッ卜の両肩に毛布を掛ける。 
「大丈夫か?花粉症ぶり返したのか」 
「だ、大丈夫です……何でもありません」 



「ったく、頼りねえな。あのなぁ、船長が勝手に死んじゃ、クルーが困んの!お前には責任があるんだよ、船長としての。 
だから勝手なことやって許されるのは俺ぐらいなもんなの」 
「…………」 
「それにな」 
真剣な目で、マノレコはモジャッ卜を見つめた。 
「お前はあの葉っぱの姉ちゃんたちのためにも、生きて幸せになんなきゃいけねえんだ。だから勝手に死ぬことは
俺が許さねえ!」 
モジャッ卜は、はっと目を見開いた。 
――あぁ……。あの時と同じ、あの目――。 
「わかったか」 
「……はい」 
「うん、よし。わかったな」 
「論理は少々、飛躍していますが」 
「うん?」 
「でも、あなたと話していると、不思議と前向きな気持ちになってきます。……ありがとう、マノレコ」 
「……何だよ、珍しく面と向かって礼なんか言いやがって」 
「たまにはいいでしょ」 
「なんかむず痒いんだよっ。……お前、まだ病気治ってねえな!?また熱出したり性格変わったり記憶とんだりしたら
承知しねえからな。 きっちり休んで光合成でもして、さっさと完治しやがれ!」 
そう言って、マノレコはぷいと視線をそらす。 
モジャッ卜は優しく微笑みながら、肩に掛けられた毛布にくるまった。 

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! 

最初のほう、改行し忘れて長い行が……ごめんなさい。あとナンバリングも(´;ω;`)ブワッ 
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