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*声の鎖 [#f15493a7]
#title(声の鎖) [#f15493a7]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 
激団親幹線「バソユウキ」から完獄島看守×殺し屋。殺し屋視点。 
エロ有り、痛いのもちょっと有りなのでダメそうな方はご注意を。復讐鬼も少しだけ出る。 
演劇スレからネタをお借りし、年明け早々、ムショーにエロが書きたくなりました… 





堅く冷たい石の壁にくぐもった声が反射する。 
「ん…っく……ぁ……」 
橙色の松明の炎が揺れる岩牢の中、蠢く二つの色濃い影。 
「……あぁ…ぅっ…」 
壁際に立ったまま捕らえられた両の手元で、鉄の枷がジャラリと軋む音を立てた。 
白い指が引きつる様にその鎖を掴み、握り締める。 
そしてそれに合わせるように顎を引き上げれば、晒された首筋に途端食いついてくる 
男の唇があった。 
衣の前を肌蹴け、肌を弄ってくる手つきも荒い。 
飢えた獣のように身を貪ってくる男の欲。 
それに自分は喘ぐ口元、ひそかに嘲るような笑みを浮かべようとした。 
しかしそれは上手く形になる前に、口に噛まされた布のせいで霧散する。 
それでも、胸の可笑しさは尚も変わりなかった。 
絶海の地に作られたこの牢獄の島に、多少の立場の強弱はあれど捕らわれているのは 
看守も囚人も同じだと、今更ながらに思い知る。 
そんな、荒涼と絶えぬ荒波の音と、希望のない日々に上げられる囚人達の呻きを一日中 
聞かされる環境に身を置いていれば、今こうして指に滑らかな肌に触れていられる刻は 
確かに束の間の極楽だろう。 

例えその持ち主が、自国の王殺しの咎を負った稀代の暗殺者であったとしても―― 

警備強固な宮廷に潜り込み、王を害した後、捕り手千人の命を散らした。 
多少の誇張はあろうとは思っていただろうが、それでも当初、この島に送られてきた 
自分を見る看守達の目には、隠しきれない強い警戒の色が滲んでいた。 
が、そんな緊張は慣れと共にやがて弛緩する。 
最初に自分の誘いに乗ってきたのは、年輩の男だった。 
彼は日々の食事を運ぶ内、甘い言葉に騙され、触れた肌に溺れ、最後首を折られて死んだ。 
次に配されたのはまだ年若い男だった。 
彼はおどおどと脅えながら、それでも寄せる唇には逆らわず、交わす接吻の途中、 
絡めた舌を噛み切られて死んだ。 
退屈しのぎに仕掛ける、死と隣り合わせの甘美な誘惑。 
危険と知りつつ近づいてくるまるで自ら炎に飛び込む蛾のような彼らの、果たして 
この男は何人目だったか。 
不意に、迫り重ねられていた目の前の体が離れた。 
そして支えを失いガクリと項垂れ落ちた己の視界に映った壮年の男は、この時 
自分の足元にうずくまると、その片方の足枷を外してきた。 
そのまま乱暴な手つきで下衣も引き下ろしてくる。 
性急な……それでも多少なりとも慣らそうとしてくるだけ、まだマシか。 
男が懐から取り出した油らしきものを後孔に塗り込められ、殊更背を仰け反らせながら思う。 
「……ん…ふ…ぅっ……」 
口を塞がれ、鼻から抜ける声は男の劣情を煽るように悩ましく。 
いっそ弱々しさまで色を付けてやれば、それに男の我慢は容易く切れたようだった。 
膝を取り、引き上げられ、怒張した欲望をあてがわれる。 
そのまま一気に貫かれれば、その力任せな衝動にはさすがに息が詰まった。 
「…くっ…あぁ…っ…ぁ…」 
それでも痛みに疎いこの体がすぐに慣れ、その中に快楽を探り出す事は自分が一番 
よく知っている。 
拘束した壁に押し付けるようにして揺さぶってくる男の肩に、わずかにきく自由で 
しなだれかかる様に顔を埋め、抗うように首を振り、黒い髪を揺らす。 
その一方、乱暴に暴かれる下肢にじわじわと力を込め、押し入ってくる男の欲に 
病んだ熱を持ち始めた内襞をひたりと絡みつかせてやれば、それに男は食い締めた 
歯の隙間から情けないような呻きを洩らした。 
それが腹の底から愚かしくも可笑しくて、自分は伏せた顔の下に笑みを忍ばす。 
けれどそんな胸の内は、この時さすがに重ねた肌越し、僅かなりとも男へ 
伝わったようだった。 
不意に片方の手が自分の顎を捉え、引き上げてくる。 
そのまま至近距離に覗きこまれる瞳。 
そしてそこに隠しきれなかった艶然とした笑みを見咎めた時、男は刹那、慄然とした 
呟きを落としてきた。 
「魔物め…」 
魔物、悪魔、化け物。自分は本当に色々な呼び方をされる。 
もっとも名などに興味は無いからどうでもいいが。 
思い、恐怖を抱き潰すように律動を早めてきた男に身を委ねながら、 
自分は岩牢に染みてゆく自らの嬌声を聞く。 
それはこの時遠くどのように聞こえるのか……しかしそんな冷静な思考は、やがて 
押し寄せた爛れるような情動の前に甘く溶け消えていった。 



項垂れていた頭の後ろに手を回され、解かれる布の結び目。 
そのまま口の拘束を外されれば、途端に押し寄せた空気の密度に喉が痙攣したように 
咳き込んだ。 
それでも、 
「……口を塞がなければ、もっといい声聞かせてあげられたのに。」 
息が落ち着いた後、そんな戯言をポツリと口にすれば、それに男は微かに舌打ち 
するように言葉を返してきた。 
「それと引き替えに噛み殺されるのは御免だ。」 
「それで鎖に繋いだまま抱くのかい?憶病なわりにひどく欲張りだね。」 
「何とでも言え。」 
熱に浮かされた夢現の時間を通り越せば、後に残るのは後ろめたさと恐怖だけなのか。 
自分の挑発をにべもなく跳ね付けながら、男は黙々と濡れた布で自分の体を拭く 
後始末を始め出す。 
もっともそれも労りとは程遠い、事務的なもので。 
同僚達の目を盗み繰り返す自らの愚かな所業の痕跡を、一つ残らず消し去ろうとでも 
するかのように、丹念に清めてくるその行為を、自分は落とした視線の先、 
面白がるように見つめ続けた。 
首筋から胸元、そして腹へと落ちる。 
しかしその手はある一点に触れた時、不意にその動きを止めた。 
「……これだけが無粋だな…」 
ボソリとひとり言のように呟かれた言葉が指し示す、その横腹にあったのは引き攣りの 
残る傷跡だった。 
白く肌理細かい肌の中、その部分だけが生々しい血腥さを漂わす。 
それは自分がこの島に身を捕えさせるきっかけとなった、同族から受けた因縁の 
傷だった。 
己の油断から刺され、癒える前に開くを繰り返していたその傷も、ここにきて 
ようやく完全に塞がりつつある。 
後もう少し。それまでは……もうしばし、戯れを。 

「触るな――」 

それまでの笑みを含んだものでは無い冷然とした口調で言い放った時、それにハッと 
顔を上げた男が瞬間その場に凍りついた。 
が、囚人と看守。その立場を思えば、気圧された事は明らかな屈辱で、それにカッと 
耳朶を赤くした男は、直後ギッと唇を噛み締めると、手の動きを再開させた。 
先程よりは幾分荒けない手つきで下肢の始末を終えると、衣の体裁を整えてくる。 
そして最後、膝まづく。 
この時にも自分は、男の神経を逆撫でしてやった。 
「ほら。」 
膝まづいた男の目の高さに、軽やかに差し出した白い足。 
その爪先をふるふると震わせながら、告げてやる。 
「鎖に繋ぎ直すといい。」 
今度は先程とは違う笑みを滲ませた声で。 
そしてそんな猫の目のように変わる自分の声に翻弄されるように、この時男は 
その瞳に困惑するような光を灯した。 
が、それも、再び視線が眼前の足先に落ちた瞬間、掻き消える。 
刹那、自分の足首を掴み捉え、その甲にむしゃぶりつくように押し当てられた男の唇。 

自尊心。矜持。自戒。 
すべてをかなぐり捨てて魔物に魅入られる愚か者の末路。 

それを眼下に見下ろしながら、自分の唇にはこの時、玲瓏とした笑みが浮かんでいた。 



看守が消えてからいくばくか。 
不意に頭上から聞こえてきたか細い声に、自分はふとその視線を上げていた。 
それは聞く者によってはただの風の音とごまかせそうな、しかし自分の耳にははっきりと届くもの。 
『看守は去ったのか?』 
「あぁ、もういないよ。」 
誰もいない空間に向け、声を放つ。 
そんなこの声が聞こえたのは、自分がこの地下の岩牢に捕らえられ、しばらく経った頃の事だった。 
最初は幻聴なのかと思った。 
しかし耳を澄ませばそれは確かに人の声で。 
どうやら岩と岩の隙間が上手く繋がり、声を響き伝えさせる役割を果たしているのだと気付いた後、 
もう一度よく聞き取ろうとすれば、それはあの時、なんとこちらの身をひどく案じるように 
発せられていた。 
『看守にやられたのか?!』 
何の事だと思うその直前には、確か自分は最初の男を誑かしていて。 
だからもしかして、上げた嬌声が土の管を通る間に、囚人が受ける理不尽な暴行に対する 
悲鳴にでも聞こえたのかと。 
思えばたまらずその誤解に、大きな笑い声が口をついた。 
それ以来の声だけの交流。 
自分のいる牢より上にあるとは言え、やはりそこも地下牢らしい場所に長年捕らわれ続けていた 
と言うその男は、久しく得られなかった話し相手にその身の上を繰り返し語った。 
国の事。許嫁の事。その許嫁の兄でもある親友の事。 
そしてその親友の死と仲間の裏切り、己の無実について何度も。 
初めは軽く聞き流していた、その話の欠片が自分の中でパチリと当て嵌まったのは 
いったいいつ頃の事だったろうか。 

自分はこの男を知っている――― 

その因果に思いを巡らせれば、この世にはやはり神も仏も無いのだなと、ただ可笑しさ 
だけが込み上げた。 
だから……逢ってみたいと思った。 
次々と取り換える看守に与える甘い蜜の代償に、聞き出したこの島と牢の構造。 
最深部にあるこの牢を作るにあたって、掘り抜かれた地下道が幾つかあると。 
その情報と、頭上の声から得る土壌の質や声の反響具合から計算を働かせれば 
おのずと頭上の彼が掘るべき場所の特定はついた。 
後は、彼の体力と忍耐力がどこまで持つか。 
「土の柔らかさはどうだい?」 
『あぁ、数日前よりは確実に柔らかくなってきている』 
「なら、そのまままっすぐ掘り進めればいい。」 
彼の報告の過程からゆけば、おそらくはもう一月と経たぬ内にその穴は地下道の上に 
辿りつくはずだった。そうすれば…… 
『……なぁ、』 
無意識に働かせる思考に没頭しかけた意識が、ふいに呼びかけてきた声に引き戻される。 
それにハッとし、素早く「なんだい?」と口にすれば、それに頭上の声は少しばかりの 
沈黙を落とすと、その後こう告げてきた。 
『いや、ありがとうな。あんたのおかげで、俺は……』 
素直すぎる礼。それに自分はあいかわらずだと思った。 
あいかわらず、時機のずれたおかしな男。 
だから、 
「まだ早いよ。最後まで気を抜かずにね。」 
『ああ、そうだな。』 
諭され、返される声もこれまた率直で、それに自分の口元、ほころぶような笑みが浮かぶ。 
そしてゆっくりと閉じた瞼の裏に、その時蘇った遥か遠い記憶。それは、 
白い大理石で出来た王宮の階上から、落とした視線の先にあった組み伏せられる 
裁きの間の長い黒髪。 
あの時、その顔は見えなかった。 
だから、 

「早く君に、逢いたいよ……」 

ひっそりと唇から零れ落ちた囁き。 
それは今はまだ、頭上の――伊達怒門――と名乗った男には届かぬものだった。 




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 

パンフの捕らわれ殺し屋の女王様目つきが背中を押しました。
- こんにちは、長くなりそうなので気づいて頂けるかわかりませんがこちらで失礼します。たまに復讐鬼の中の人の話とか書いてる者です。毎回素敵なお話本当にありがとうございます!新年から殺し屋のエロさと「早く君に、逢いたいよ……」で禿げ散らかしました…!空白の穴埋めの仕方がいつも理想です。足を突き出すくだり、某絵茶で「足枷を外されるところの殺し屋が女王様にしか見えなかった」的な事を言われていたのを思い出して恐ろしく萌えました。年末のお話にGJし損ねてる間に早々とスレ変わってしまったので失礼ながらそれもこちらで。健全なのに妖しい雰囲気だしガラソも好きだしと大いに笑い萌えましたwありがとうございました。長々とすみません。姐さんの中でまた、があればその時を楽しみにしております。 -- [[h]] &new{2010-01-12 (火) 12:40:54};
- コメントありがとうございます。こちらこそ、いつも楽しく読ませていただいております。メンテ来て良かった!今回も看守と言いつつオリキャラだよなぁとちょっとヒヤヒヤだったので、受け入れてもらえたようで良かったです。空白期間をアレコレ考えてしまうのは、もうほとんど隙間貧乏性な気がwそれでもまた何か思いついたら投下したいとは思っていますので、見かけたら目を通してやって下さい。しかし女王様なサジの絵茶、見たいです!前の話の感想もありがとうございました。無自覚天然な2人に翻弄されるガラソは書いていて楽しかったですw --  &new{2010-01-12 (火) 20:43:53};

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