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*接吻 [#od510bd8]
#title(接吻) [#od510bd8]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 

激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼をベースに、左大臣×殺し屋。 
エロ有り。復讐鬼×殺し屋もエロではないけどちょっと有りなので 
ダメそうな方はご注意下さい。 




着物が肩から滑り落ち、剥き出しになった白い背が揺れていた。 
「あっ…あぁ……っ」 
あげる声に隠さぬ艶を滲ませれば、それに煽られるように背後の男の 
律動が早くなる。 
膝の上に抱え上げられ、貫かれる下肢。 
先刻より執拗に慣らされ続けたその場所は、今は淫らな水音を立て、 
痛みよりもただじっとりとした熱を孕む。 
肌理の細かい肌の感触を楽しむように、男の手が胸や腹を這いまわってくる。 
老いも若きも貴賤も問わぬ、男という生き物の変わり映えのない欲の求め方。 
それはこの男も例外ではなかったかと、少しだけ可笑しさを覚え、 
顔に掛かる解けた黒髪の下、口の端が微かに歪んだ。 
そしてうねるように背を仰け反らせ、締め付ける力を強くしてやれば、 
それに男は呻きとも苦笑ともつかない息を肩越しに落としてきた。 
一瞬の間の後、背後から回された手で顎を取られる。 
「君は悪い男だな。」 
揶揄し、面白がるような声が耳元近く囁かれ、顔を向けるよう促される。 
乱れた髪を払わぬまま、指先で辿られる唇。 
引き寄せられる、しかしその男の口元をこの時白い指先がそっととどめた。 
言葉は発しない。 
ただ細めた目元に艶然とした笑みを浮かべ、あからさまに先の求めを訴えてやる。 
するとそれに男はやはり苦笑を洩らしたようだったが、あえてそれ以上無理を 
強いようとはしてこなかった。 
あとは、与えられるままに……快楽に身を委ねた。 
「んぁ…あ…ぁっ…」 
突き上げられ、揺さぶられ、あられもない声をあげ続ける。 
今更隠さない、隠しようもない獣の享楽。 

ただ……その唇への接吻だけを、佐治は最後まで拒んだ――― 




頬を埋める絹の寝具がサラリと冷たかった。 
気怠い身体を丸めるように沈め、ただ目だけは茫洋と開き続ける。 
そんな佐治の視界にその時、寝台の天蓋を掻き分け、踏み入ってくる男の姿が映った。 
肌蹴た着物を肩に掛けただけの姿のままでいる自分とは違い、先程までの情事の余韻など 
欠片も残さぬように襟元をしっかりと合わせ、薄手の羽織まで身に纏っている。 
左大臣、京鐘籍春。 
彼は寝台の上で自分が目を覚ましている事に気づくと、穏やかに目を細めながら 
声をかけてきた。 
「起きていたのか。何か飲むかい?」 
寝台に腰掛けながらの労わるような口調。しかしその奥には、先刻彼の上で晒した 
こちらの嬌態を示唆するいやらしさが潜んでいる。 
だからその申し出にはただ首を横に振り、佐治は寝台の上ゆっくりと上半身を起こした。 
解けた黒髪が顔の横を滑り落ちる。 
それに籍春は戯れるように手を伸ばしてきた。 
「まさか君がまた訪れてくれるとはね。武士頭の件を断られた時点で終わりだと 
思っていたよ。」 
数日前、この部屋を訪れた時の会話を引き合いに出してくる。 
その根の持ち方に佐治はクスリと笑った。 
「お願い事があったので。」 
そして悪びれずにそんな事を言えば、籍春はわざとらしい鼻白み方で返事を返してきた。 
「これはまた色気のない。だが、まあいい。取引だ。」 
声と共に、髪を弄るのとは違う方の手に持たれていた巻物が、寝台の上に落とされる。 
紐を解き、佐治の目の前に広げられる。 
それはこの国の地図だった。 
「さあ、君達の堂喝襲撃の場所はどこだい?」 
色気が無いのはどちらだと、胸の内、策謀家な男の切り替えの速さに苦笑を洩らしながら、 
それでも佐治はこの時ゆらりと手を持ち上げる。 
白く細い指先が迷いなく指す一点。 
それは都を離れ西へと向かう街道が通る山中の、更に分け入った奥を示していた。 




新しく立った大王の御前、執り行われた教義問答の場で、大連・稀堂喝とその息子宇木名、 
そしてそれに加担する学問頭・音津加羅麿が捕り押さえられた。 
罪状は新王美琴に対する反逆罪。 
断を下したのは新王の父であり、左大臣として彼らの政敵の立場にあった籍春だった。 
これに、教義問答での勝利を足掛かりに宮廷に食い込み、内部から宇木名らの崩壊を 
謀ろうとしていた番新教教主である怒門の目論見は崩れる事となった。 
それでも立て直す方法などいくらでもあった。 
当初狙っていた学問頭の地位を手に入れる事は、けして番新教の損になる事ではない。 
しかし教主である怒門はそれを拒否した。 
理由は簡単に見透かせた。 
心が揺らいだのだ。 
激しい口調で自分達にかけられた先王暗殺の疑惑を指弾し、王の矜持を見せようと 
しながら、その眼前で臣下に裏切られ、足元から崩れ落ちそうになっている 
儚く弱い、かつての自分の許嫁の姿に。 
指摘はしてやった。それこそ面と向かって。 
それを彼は否定しながら激昂した。 
図星だった。 
しかし彼は頑としてそれを認めず、こう言葉を継いだ。 
『標的は、まずは…宇木名と加羅麿だ』 
長年の復讐の対象者。裏切り者の彼らを法の裁きなどで処刑されてなるものか。 
連行時を狙い、その身柄をさらって、必ずこの手で殺してやる。 
憤怒のままに声を震わせるその姿を、自分は醒めた笑みを浮かべながら見つめる。 
どれだけ声を荒げ、言葉を飾ろうと、自分には彼の真実が見えていた。 
大王美琴から目を逸らす、それは彼の逃げだった。 



「ほう、西国落ちをエサに彼らを山中におびき寄せるつもりか。」 
指された地図の一点だけで瞬時にそれを察した籍春が、顔を上げてくる。 
「それで、この情報を私に教える見返りに、君が望む事はなんだい?」 
そして真正面から問い質されれば、それに佐治はもはや言葉を飾る事はしなかった。 
「彼らが堂喝達をおびき寄せるまで、この場所の守りは僕に任される事になっています。 
あなたにはそこに衛兵を送り込んでほしい。」 
「衛兵を?」 
「ええ、大王美琴による『番新教一党の掃討』の命のもとに」 
微笑みながら告げた、この言葉にはさすがの籍春も一瞬驚きを隠せなかったようだった。 
瞬きを忘れた目がじっと向けられる。 
しかしそれにも佐治が表情を崩さずにいると、彼はしばし考えを巡らせた後 
おもむろにその口を開いてきた。 
「君は…それでもあの教主は死なないと踏んでいるんだね。」 
「都の衛兵ごときでは彼は倒せませんよ。」 
「しかし彼に従う者達、確かハマソ国の王女と言っていたか。彼女らはきっと 
死ぬだろうね。」 
「かもしれませんね。」 
「そうしたら彼は恨むだろうなぁ……命を下した大王を。」 
ひたりと視線を当てられる。それを佐治はただ無言のまま見返した。 
探り合う視線の交錯。その末に籍春が告げる。 
「彼は、大王の命も狙うかもしれない。」 
ひどく神妙な声で告げられた、その言葉に佐治は瞬間耐えられぬように 
声を殺しながら笑った。そして、 
「それが何か問題でも?」 
挑むように言い返せば、それに籍春は一瞬の沈黙の後、それでもこちらも 
抑えきれなかった笑みで喉を震わせたようだった。 



「私は一応、彼女の父親なんだがね。」 
しみじみとした口調で言われ、あぁ、そうでしたねと軽く返す。その上で、 
「でも、そんな事は今更でしょう。」 
そう見透かすように言い切れば、それに籍春は尚も失笑するように目を細めてきた。 
国の為、民の為、己の理想の為。 
高潔な女の志を挫き、傀儡に仕立て上げ、理想と現実と言う真綿でじわじわと 
首を締めながら、精神を緩慢な自決へと追い込む。 
価値が無いと判断した人間を、自らの手を汚さずに死に至らしめる術を持っている男。 

それは相手が例え血の繋がった娘でも―――息子でも…… 

そんな冷徹な政治家の面を持った男が、しかし次の瞬間、佐治に意外な言葉を吐いてきた。 
「何かあったのかい?」 
一見身を案じてくるような、そんな眼差しと声色。 
それに佐治の目がキョトンと見開かれる。 
「何、とは?」 
「いや、なんだか君らしくないと思ってね。そのひどく急いた様子は。」 
今度はこちらの番だとばかりに見透かすような視線を向けられ、刹那早い言葉が 
佐治の口をつく。 
「急く?僕が?どうして?」 
拙い言葉の羅列。それに籍春の口元の笑みが深まる。 
「さぁ?それでも今の君はまるで、欲しいものが手に入らなくて焦れている 
子供のようだよ。」 
言い終わるのとほぼ同時に、籍春の手が不意に佐治に向け伸ばされた。 
それを咄嗟に払おうと上げた、しかしその手首を逆に掴まれる。 
思わず視線がきつくなる、しかしそんな反応さえ面白がるように、籍春はこの時、 
捕らえた手首を力任せに引き寄せると、傾いた佐治の身体を再び自らの下に 
組み敷いてきた。 



背に寝台の上、広げていた地図がグシャリと歪む感触を覚える。 
しかし籍春はそんな事などもはや気にも留めないように、掴んだ手首を離さぬまま、 
もう一方の手で佐治の肩を寝台に沈めてきた。 
そして無言で寄せられる顔。 
唇を重ねようとしてくる…しかし佐治はそれを顔を背ける事で咄嗟に避けた。 
もはややんわりと拒む余裕すら無くした、そんな佐治の様子に籍春はクツクツと笑う。そして、 
「まあいいだろう。何を考えているのかは知らないが、番新教のこれ以上の 
台頭はこちらも抑えたかったところだ。堂喝達を始末してくれた上に、それを 
一気に根絶やしに出来るのなら、まんざら悪い話でもない。しかし、」 
唇の代わり、反らされた佐治の首筋に顔を埋めながら、籍春はその耳元に 
くすぐるような誘いの囁きを落とす。 
「それでもこの情報と君との逢瀬一つで娘殺しを見過ごす大罪をかぶるには、 
いささか私の方が分が悪いのではないかい?」 
言外に示唆してくる男の望むもの。 
それは己の目となり足となる、卓越した殺しの技術と洞察力。 
わからないはずがない。 
しかし佐治はこの時、避けた唇と同様にその思惑からわざと目を逸らし続けた。代わり、 
寝台の上、投げ出されていた足がゆらりと膝立った。 
闇にも白い両の足が、着崩れ一つしていない男の胴を挟み込むように持ち上がり、 
その腰にしどけなく絡みつく。 
そして抑え込まれた身体の下、わざとらしくもせがむ様にその身を蠢かしてやれば、 
それに籍春はこの時はっきりと苦笑したようだった。 
からかうような呟きが落とされる。 
「これは、とんだ操立てだ。」 
その言葉に佐治は瞬間、脳裏に違う男の声を思い出す。 

『人の心を見てきたみたいに言うな!』 

自分に向けて投げつけられた、それは白い髪の男の怒号。 
あの時にはわからなかった……しかし彼のその胸の苛立ちが、佐治はこの時初めて 
少しだけ理解出来るような気がした。 



あの日、空には白い月が昇っていた。 
冴え冴えと冷たい蒼みがかった、そんな光の下、説教殿の回廊を行く怒門の背を 
佐治は追う。 
襲撃の準備は整った。人の配置もその手筈も。 
そうなっても怒門の背はまだ揺れていた。逃げていた。だから、 
後につくそんな背中に語りかける。 
「そんなに彼女がまだ好きかい?」 
その定まらぬ心を煽り立てるように言えば、それに彼は歩みを止めた。 
鋭く踵を返し振り返ってくる、その目が怒りでうっすらと赤みを帯びている。 
しかしそれにも動じずに、佐治は先を続ける。 
「未練だね。女がころころ心を変える事なんて世の常じゃないか。ましてや君達が 
離れていた時間は膨大なもの。それを責めてやるのはさすがに憐れだ。それなのに 
君は彼女を今でも許せないほど、」 
「……黙れ…」 
「愛しているのかい?」 
「佐治っ!」 
一喝と共に怒門がこちらに向け迫ってきた。 
技巧も何もかも忘れたような直線的な動きの手が佐治の両肩を掴み、強く 
回廊の壁に押し付けてくる。 
「黙れと言っているのがわからないのか!」 
そして至近距離で吐き出された叫び。 
動揺も露わな、そんな彼を掌握するには、あともう一押しだった。 
だからそんな思惑を胸に、佐治は言葉を紡ぐ。 
「黙らせたかったら、塞げばいい。」 
挑発するように、笑みを浮かべながら。 
しかしそんな言葉とは裏腹に、佐治の心には出来るはずがないだろうと言う 
思いがあった。 
共に過ごすようになって一年と少し。その間に自分の生い立ちや生き抜く為の 
業を知っても、これまで一度としてその趣旨をもって触れてきた事のない男だ。 
出来るはずがない。そう繰り返し思い、 

……見誤った――― 



えっと思った時にはもう遅かった。 
悠然と見上げていた怒門の顔が不意に眼前に迫り、視界が閉ざされる。 
そしてその刹那、声を発しようとした佐治の唇に噛みつくようにぶつけられたのは 
怒りの熱を孕んだ怒門の唇だった。 
一瞬の硬直の後、佐治はその事実に戸惑う。 
いっそ慌て、もがこうとさえする。 
しかし我を忘れたように肩を押さえつけてくる怒門の力は存外に強くて、 
眉をしかめながら受け入れる接吻は、ただただ熱かった。 
押し当ててくるだけの武骨な……それに自分に対する情は無い。 
あるのは変わらぬ彼の揺れ。 
それに佐治は、きつく閉じた瞼の裏、不意に湧き上がってきた苛立ちを自覚する。 
いったい、いつまで。 
あの牢獄の島を脱出してから今日まで、いったいいつになったら彼の揺れは止まる? 
国に戻れば、と思った時もあった。 
仇を目の前にすれば、と考えた時もあった。 
しかしそのどの時を過ぎても、怒門の心は人と鬼との間を揺れ動き続ける。 
彼は白から黒に染まった男。 
元は白だった男。 
だからこそ、苛立つ。 
もしかしたら……また戻ってしまうのではないかと。 
ならば、 
いっそもっとその白い心を揺らして、二度と光の射さぬ漆黒の闇に突き落としてやろうか。 

白い信頼で想う仲間が消えれば 
白い記憶で忘れえぬ女が死ねば 

彼に残るのは……黒い闇の自分だけだ――― 




「……ん…っ…」 
長かったのか短かったのか、わからない時間の果て、佐治の重ねられた唇の端から、 
苦しげな吐息が洩れる。 
それに瞬間怒門はハッと我に返ったようだった。 
押し当てられていた唇が慌てたように離される。そして、 
「…すっ、すまん…!」 
反射的に口にされる謝罪。 
肩からも手が外される。 
しかしそんな離れゆく男に、今度は佐治がその手を伸ばした。 
2、3歩と後ずさるその姿を追って、追う指先が怒門の横髪を掴み、その頬を包みこむ。 
それに驚いたように見開かれた怒門の目は、先程の怒りの赤ではない、理性に支配された 
青に染まっていた。 
だからそれに佐治は想う。 
戻るな、そして……離れるな。 
引き寄せた唇に再び自らそれを重ね合わせて、微かに開いていたその歯列に舌を差し入れる。 
戸惑う相手の舌を絡め取り、呼吸も継げぬ激しさで貪れば、それに怒門はギクリと 
肩を震わせたようだったが、それでも彼はこの時、そんな佐治を押し返そうとは 
してこなかった。 
ただその手が自分の背を抱き返してくる事もない。 
だから佐治は刹那、胸の内で呪うように繰り返す。 

消えればいい、仲間も女もこの国も。 
自分だけになればいい。 
2人だけに……なればいい――― 

すべての崩壊の始まりだった月の下のただ一度の接吻。 
怒門に縋る佐治の瞼の裏で今までの世界が揺れる。 

………いや、違う。 

揺れていたのは、自分だった――――― 




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 

真っ黒な内容の上に投下ミスりました。ナンバリングすみません。
- GJ!ゲキシネで目覚めました! --  &new{2010-10-04 (月) 21:49:53};

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