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*チーム・オナホ [#f10ad0b2] #title(オリジナル 「チーム・オナホ」) オリジナル。現代もの。エロは10から。 >PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! おネエなオカマの足元はヒールが基本だ。フラットな靴ははかない。 技術屋の七瀬川は、ヴィア・ウノのハイヒールで闊歩する。 だけど女子になりたいわけじゃない。なるべくして女になれなかった!なんて、彼はまったく思っていない。 なりたいのは女ではなくオカマ。強くてまばゆいエネルギーをパーッと出せる女優のようなオカマだ。 胸におっぱいはいらない。おっぱいの代わりに男心も女心もわかるハートのエースを宿していたい。 気の強さは誰にも負けなくて、いたずら好きで、怖いもの知らず。誰にでも思ったことをずばずば言う。 そんなオカマに七瀬川はなりたい。 だからきょう、七瀬川はブレスト中ボスに言ってやった。 「オナホはねぇ、男だけのもんじゃないのよ!」 ベッドで男女のカップルがプレイにとりいれたっていい。 男の子が気持ちよくなることばっかり考えていたらだめ。女の子が手にしやすいオナホだってこの世には必要。それが七瀬川の持論だ。 この男くさいチームにオカマの感性をもたらす。七瀬川曰く「それがあたしがこのチームにいる理由」らしい。 軟質合成樹脂素材が専門の市川博士は七瀬川の主張がよくわからない。 市川は七瀬川とデータを示し合わせながら、熱く議論を戦わせるのが好きだ。 自分と素材の話ができる男がこのチームにいる。そのことの方が市川的には重要だ。 ポリオールの分子構造を変化させることによって製造できるであろう、やわらかくて妖しい感触を持つ低反発弾性フォームと、 セイロンかマレー産の天然ゴムを、高温の水蒸気で蒸して発砲させたラテックスフォームをプロファイル加工し、 通気性とソフト感を出した素材なら、どっちがより機能的で健全で心踊るオナホになりうるかについて、 自分と語ることができる七瀬川という男を市川は評価している。 オカマの感性云々は市川には難しすぎてさっぱりわからない。 だが、10時のブレイクタイムに七瀬川が淹れてくれるカミツレ茶はうまい。 七瀬川が淹れてくれるからカミツレ茶が飲める。七瀬川がいなかったらきっとコーヒーメーカーがドリップした珈琲しか飲んでない。 だとすれば、10時のカミツレ茶の旨さに、オカマの感性を、つまりは七瀬川を知る手がかりが潜んでいる可能性がある。 カミツレ茶の湯気でくもった黒セルの伊達めがねを拭きながら、市川は無意識にオカマの技術屋を目で追った。 (恋ですねぇ~) 市川の視線の先に七瀬川を見つけ、ローションマスターの仁科はくすっと笑った。 それから右手前方のデスクでPCに向かっている能工巧匠なデザイナー六六六をしばし観察し、ひとり小声でつぶやいた。 「どちらが先に交際に進展しますかねえ」 声フぇチを自称するボスのお嬢さんが、音域に例えるとローバリトンな、 深い癒しを与える六六六の声に惚れているのを仁科は知っている。 声がいいと姿かたちまで良く見えるらしい。お嬢さんはガチで六六六を狙っている。 バイエルン育ちのドイツ娘に捕獲されるその前に、六六六が志井とどうにかなればいい。それが仁科の願いだ。 ローションと愛の伝道師・仁科の目に映る六六六はどうみても志井に好意を抱いている。 好きの種類はいろいろとあるだろうが、この際「愛している」でいいんじゃないかと、そう思うのだ。 男同士でもいいだろう。仁科には幸の薄そうなかつての上司を応援したい気持ちがある。 かつての上司といまの上司。どちらが尊敬できるかといえばそれは勿論いまの上司だ。 現在のボスは部下に対し、余計な気遣いはいっさいせず、パパっと支持だけを出す。 キツくて情け容赦ない男だが、元上司・志井と比べて、はるかに仕事ができる。 無口で無愛想というキャラに逃げ、伝えるべきことを伝える能力が皆無だった上司・志井を仁科はそう高く評価していない。 研究者としても三流以下だと思う。仁科の目から見て、志井の専門性は低い。 過大評価して修士の学生レベルだ。いまは大学時代の恩師を中心とした有識者と共同で よりフィットするコンドームを目指し、四方に伸び縮みする特殊フィルムづくりに取り組んでいると志井から聞かされた時、 ひとりじゃ実験計画も立てられないボンボンにはアドバイザーが不可欠なのだろうと思った。 けれど、ひとりのオナニストとして仁科は、誰より熱くたぎる白濁の持ち主な志井をリスペクトしている。 志井のオナニーへの誠意と熱意は仁科の胸をも熱くする。だからこそ、仁科は志井を応援したいし、 六六六が志井に好意をもってくれているという稀有な事が我が事のように嬉しい。 仁科は「伝えたいけど伝えきれない」感でイッパイイッパイになりながら、オナホについて語っていた志井を覚えている。 ご自愛が好きな自分を疑わない志井に、したたかにハッピーになって欲しいと心から思うのだ。 (六六六が五代くんみたく、男もいける口なら背中を押しやすいんですけどね……) 六六六を含め、この世は異性愛者でいっぱいだ。やきもきしながら、仁科は右手のペンをくるりと回した。 仁科の指先でくるりくるりと回っているブルーブラックのペンをぼーっと眺めながら、 五代は元上司・志井の私生活に踏み込むべきか、傍観者に徹するべきかを考えたていた。 志井とは請われて一度だけ寝たことがある。志井の恋人だった三鷹とは穴兄弟だ。 五代と三鷹は遊び人同士とても気が合った。仕事抜きでちょくちょく飲みにいった事もある。 もっとも男の趣味は真逆だ。三鷹はキレイ系に分類される志井のようなタイプが好きらしいが、五代はゴリマッチョ派だ。 ガテン系のゴツイ男をあんあん言わせるのが一等好きで、志井のような草食系は、どちらかといえばタイプではない。 けれど志井の良識のない、しっかりしていない感じは好きだ。きちんとしているのは顔立ちだけというのがたまらない。 抱けと言われれば抱ける。余裕で勃つ。そんな性癖を見込まれて、五代は三鷹から志井の後孔を頼まれていた。 「本当は六六六にまかせてぇんだけど、六六六は普通人だから」 そんな前置きをし、三鷹は自分が去ったあと志井が絶望に打ちひしがれていたら、 あたたかな心の交流の伴ったセックスをして欲しいと言った。 心と体の震えにはセックスが効く。三鷹はそう信じている。 飛行機代は俺が出すから、はやいうちに一度、日本に戻って志井がどんな風に過ごしているか確かめてくれと 真顔で頼み込んだ三鷹を五代が「あんた、おこがましいよ」と笑い飛ばしてから、 もうずいぶん日がたつ。五代は志井のメンタル面はそんなに弱くないと思っている。 あれは自分のこころとケツの面倒ぐらい独りでみられる男だ。 失恋なんかで泣く必要はないときっと知っている。ケツが寂しい夜は己でバイブを突っ込むに違いない。 人肌が恋しくなったら自分に声をかけたみたいにセフレを調達するだろう。 放っておいても、絶対に大丈夫だ。自力で浮上して、凛々とオナニーをしているに違いない。 そもそも、そんなに気になるなら三鷹が自分で顔を出せばいいのだ。別れたからってそれで終わりってわけじゃないだろう。 気を持たせるような付き合いはしない。きっぱり別れる。そう決めたんなら、 いらん心配なんかしてんじゃねえよ、まったくもう……。言いたいことがありすぎて、五代は溜息ひとつ天井を仰いだ。 「どうした?」 浮かない顔で天を仰いでいる五代に目をとめ、六六六は魅惑の低音ボイスで尋ねた。 「穴兄弟が捨てた男のこと考えてた」 肩をすくめて苦笑した一拍後、ふと思いつき五代は六六六にあれこれぶちまけた。 三鷹と自分が穴兄弟なこと、オナホ-ル部門の売却が決まった晩、弱っていた志井に請われて寝た事、 志井をふった三鷹からその後の志井の様子見を頼まれていること、 五代的には志井は胸に少々傷やへこみが生じても、気分だけの絶望で日々を過ごしている気がすること等など。 五代から聞かされた話に六六六は眉を寄せた。胸が痛い。三鷹の身勝手さにむかついた。 志井があの晩、五代にすがっていたこともショックだった。いてもたってもいられない気分になった。 いますぐ日本に行きたい。行って志井の顔が見たい。そう思った。 仕事にけりをつけ有給を申請する。そう決めるなり六六六は行動に移し、週末マイン国際空港から成田へと飛んだ。 手土産にしようと思っていたニュータイプのオナホは完成しなかったが、 仁科が志井のために調合したハチミツ色のローションを持たせてくれた。 突然の自分の来訪を志井がどう思うかはわからない。だが仁科先生の手作りローションは喜んでくれるだろう。 直行便で約12時間。16時半にフランクフルト・マイン国際空港を立ち、成田に着いたのが日本時間の10時50分。 時差の関係で朝を2回むかえる。体はだるいが時を得した気がした。 連絡を取りたい。スタバで珈琲のマグを片手に電話をかけてみる。忙しいのか志井は出ない。六六六は志井商事の本社を目指した。 通いなれた懐かしい道を辿り、本社の1階ロビーで馴染みの受付嬢に志井のスケジュールを尋ねる。 オナニー専用コンドーム開発準備室に彼女が問い合わせてくれたところによると、 室長・志井典雅(シイテンガ)は、現在コール社の日本支社にて オナニー専用コンドーム及び対応オナホールの試作品・品質評価会に出席中らしい。 戻りは14時過ぎで、その後、人材統括局マネージャーと新組織・人事会議、 工場長と打ち合わせ、技術センター長らと会合、つくばの研究所にてミーティング後、 厚労省医薬食品局の審査管理課長と会食とのこと。室長さんはそれなりに多忙らしい。 六六六は志井の携帯に日本に来ている旨メールした。志井には私用の携帯をこまめにチェックする習慣がない。 深夜に帰宅後、ネクタイをゆるめながら見た携帯の液晶に六六六からのメールを見つけ、 更衣がいっぺんにどうでもよくなった。首からネクタイをぶらさげたまま志井は時計をみた。 メールをもらってから13時間近くたっている! 「もしもし」と電話をかけた。返信が遅れた事をわびた。携帯から聞こえてくる六六六の落ち着いた深い声に懐かしさがこみあげる。 「今夜、時間をつくれますか」と問われ大きく頷いた。頷いたところで、電話の向こうの六六六には見えやしない。 変な間が生じただけだ。「もしもし?」と返事を促され「会いたい」と言った。 「今どちらですか?」 「家」 「伺ってもいいですか? それとも外で待ち合わせます?」 「来れるか?」 「もちろん。酒と何かつまみになるもの買っていきます。リクエストありますか?」 「食パン」 つまみにはどうかと思ったが「わかりました」と請け負い六六六は電話を切った。 せっかくだから六六六は焼きたての食パンを買いたかったが、23時にまだ営業しているパン屋さんはそうない。 しかたなく24時間あいているスーパーで、スペックによると天然酵母と国産小麦を使用しているらしい 牧歌的なパンを2斤買う。ビールと適当に見繕ったつまみの入った袋もぶら下げ、 一度だけ行ったことのある志井のマンションへ。 マンションのインターホンをならしたら、志井がロックを解除し迎え入れてくれた。 怜悧な美貌のトップオナニスト。口数が少なく、感情が表情に出にくい人。 六六六の記憶の中の元上司はそんなだった。性癖等にいささかゆがみがあるが、見てくれだけは◎な、 凛々と美しい男だと思っていたが、数カ月ぶりにあった志井は精彩を欠いていた。 目の下のクマのせいだろうか。やつれてみえた。たぶんだが体重もだいぶ落ちている。 ほっそりと見えるのは絶対に股上の浅いノータックスラックスをはいているからじゃない。 六六六は気をもんだ。きっと五代栄養素をちゃんと摂取してないのだろう。 志井に会ったら「ご無沙汰しています」と会釈をし、まず「夜分すみません」とわびた後、 土産を渡す。そんなシミュレーションをしていたけれど、一目見るなり衝動に駆られ、 全部すっ飛ばして志井を抱きすくめた。ハッとしたときにはもう、そうしていた。 「かぶれたな」 ドイツ暮らしでハグが日常になったに違いない。突然、六六六に抱きしめられたことを志井はそう解釈した。 「違いますよ」 くすりと笑い、志井をだきしめたまま六六六は否定した。 腕の中の志井は骨ばっていて抱き心地が良くない。絶対に痩せた。もっと肉をつけさせないと。 元上司の食生活を慮りながら六六六が志井をぎゅっと抱き寄せたその時、 志井が意味深な含み笑いをし、上目で六六六を見あげた。 上目で自分を見上げている志井の目のキラキラ具合がハンパない。 大人びた子どもみたいな目をしている志井なら幾度も見たてきたが、 こんな、いたずらっこめいたおめめの志井は今まで拝んだためしがない。 六六六がドギマギしていると、志井は爪先立ちで長身の六六六の耳元に口を寄せた。 「あたってる」 「えっ!?」 「ちんちん、あたってる」 「……っ!! すみません!!!」 すげえかっこ悪ぃ。まさかの勃起だった。元上司に勃起している事実に六六六は焦った。元気な愚息を問い詰めたい。 鎮まれ自分! 何故このタイミングで勃つ!? そっちの気はないはずだ!! あせればあせるほど股間はがちがち硬度を増していく。 「オナホならあるけど?」 六六六は志井のありがたい申し出を勃起しながら聞いた。この部屋に大量のオナホがあることはよぉーく知っている。 (志井さんのオナホをひとつもらって、さっさと風呂場で抜いて来い) 六六六の頭は呆れて股間に指令を出している。だけどもだけどだ……。 下半身が頭をリードしているのに六六六は気がついた。 何で勃起してんのか脳はまだわかっちゃいないが、股間はもう直感で知っている。 勃った。それが答えだ。あとは俺が覚悟を決めるだけ。 「オナホはいりません」 選んだ道は男道。帰り道なんか知らねぇよ。 志井を抱き寄せ、股間を密着させたまま六六六は言った。 「志井さんを抱きたい」 ずっと抱きしめていたいと深く響くいい声で囁かれ、志井は顔を赤らめた。耳たぶが燃えているみたいに熱い。 三鷹には「六六六とだと素敵な純愛経由しねえとエロいことできないぜ」と言われたけれど、そうでもないみたいだ。 軽薄な志井は、もうさっきからずっと股間にあたっている六六六のペニスが気になって気になって仕方なかった。 三鷹のことがまだ好きなのに、貪欲なからだは六六六を欲している。 これは精神と肉体の葛藤じゃない。モラルも節操もないだけだ。ふふっと自嘲し志井は伸び過ぎた前髪をかきあげた。 唯一の取り柄だった容姿が衰えた自覚はある。六六六とこういう流れになるのなら、 髪ぐらい切って身奇麗にしておけばよかった。 しかもここのところ性欲は在るが食欲がなくて肉が落ちている。きっと抱き心地は最悪だ。 ちゃんと食べておけばよかった。あれこれ悔やまれるが瞬間でどうにかなることではない。 見た目と抱き心地の悪さはテクでカバーだ。 遠路はるばる自分みたいなもんに会いに来てくれた。しかも抱きたいと股間をふくらませてくれている。 物好きな元部下を、必ず満足させてやるんだと心に誓い、志井は六六六の手をとると彼をベッドへ誘った。 ベッドカバーをかけたまま誰も使っていなかった六六六のベッドに、元もとの持ち主を押し倒す。 男は初めての六六六にちゃんと気持ちよくなって欲しい。六六六への思いが込み上げてくる。 仁科先生からだと手渡された土産のローションは頼もしい助っ人に思えた。 男同士のセックスにかけては大先輩だ。二人で服を脱がせあった後、志井はやる気満々で六六六にまたがった。 いい声の持ち主に相応しいセクシーな喉仏に唇を寄せる。 それから六六六の股間に顔を寄せ、うつむくと落ちてくる前髪をかきあげながら、 亀頭を完全に口に含んで丁寧にしゃぶった。 ときどき息継ぎをし、途中で趣向を変えて裏筋あたりを優しく舐めてみる。 六六六が気持ちよさそうにしているのが凄く嬉しい。 調子に乗って先端を舌先でつついていたら、下になっていた六六六が突然からだを起こし、 志井は強引に組み敷かれた。 「すみませんけど、上がいいです」 体勢を入れ替えると六六六はチュッという音付きで志井の右頬にキスをし、男惚れしそうなほど鮮やかな表情で笑った。 (仕方ないな……) 志井はベッドが嫌いだ。背中を受け止められる感じが気持ち悪い。ベッドに仰向けなんてなりたくなかったし、 今夜は自分が六六六をリードする気でいたから余計に上でいたかった。 だけど、そんな顔をされたら駄目と言えない。仕方ない、下になってやるか。 寛大な気持ちで志井はその体勢を受け入れた。まあ、下からでもリードはできる。 「見えるか?」 六六六を見上げ、目を見ながら志井は自分で脚を開いた。 「男同士はここを使うんだ」 六六六によく見えるよう腰を浮かせ、仁科からもらったローションでそこを広げて見せながら 急に不安になり志井は尋ねた。 「萎えない…?」 六六六にとっては、これが人生初のアナルセックスだ。 男同士のリアルを目の当たりにしたら、いけそうな気が失せるかもしれない。 伸びた前髪越しに見える自分の両膝の向こうの六六六の顔色を、志井はおずおずと伺った。 「志井さん、あなたねぇ……」 超A級のアングルにフル勃起していた六六六は苦笑し、室内犬の頭を撫でるように志井の髪を撫ぜた。 「男同士がどこを使うかぐらい知ってますよ」 六六六は志井の手を取って自分のペニスを触らせた。 「ほら、わかります? 貴方が煽るから、俺こんなですよ」 手のひらのど真ん中に確かな手ごたえ感じたらしく、志井が安堵しているのを六六六は目を細めて眺め、 水とジグリセリンとスクワラン、それからペンチレングリコール、あとは何が入っているのか 彼の知識ではちょっとわからない仁科作のローションで濡れそぼっている志井の後孔を見つめた。 「俺にも触らせてください」 志井の了承を得る前に六六六はそこに指を潜り込ませた。 不意打ちで入ってきた2本の指にじっくりと探られ、志井は過剰に反応した。 「痛くないですか?」 痛くない。痛くはないがもどかしい。ゆっくり動かされる指に切なく喘ぎながら、志井は自分で脚を持って臀部を突き出した。 「もっと……」 「もっと、どうすればいいですか?」 「……指を」 「増やしますね?」 「いや……」 首を横にふり、志井は赤面した。もっと速く、もっと深く、もっと激しく動かして欲しいなんて言えない。 言いあぐねて志井は、「もっと、遠慮なく…」とねだった。 その意味がわからないほど疎くはない。 六六六は目元に笑いを浮かべたまま大きく頷くと、志井の片膝を持ち上げ自分の肩にかけた。 「気持ちいいところ、教えてくださいね」 同性のケツの穴に指を入れる事なんて一生無いと思っていた。 なのに今、年下の元上司のここを弄っている。しかもだ、それが凄く楽しい。 人差し指と中指を情熱的に動かしながら、六六六は志井の悶え顔をみつめた。 前立腺はたぶんここ。あたりをつけてそこを刺激すると、志井のしまり具合がきつくなった。 亀頭も瞳もびしょ濡れだ。 「ここがいいんですね?」 顔を赤らめ涙目で喘いでいる志井に優しく笑いかけながら激しく指を動かし、 六六六は志井がもっと気持ちよくなるようにと、そこにたっぷりとローションを足した。 ローションの潤恵をまとった指で六六六は前立腺を攻めたてる。 「あ…ぁあ…ぁ…っ」 たった2本の指で体が熟れていく。気が狂いそうに気持ちいい。 六六六に担がれていない方の膝をがくがくさせながら志井は喘いだ。 息があがる。後孔と目の奥が熱くてたまらない。それに亀頭も、亀頭も熱い! こんなのは初めてだ。バイブオナでだってこんな風にはならないのに、 指2本で涙腺とカウパー腺がバカになる。こんなに濡れるなんて、ありえない。 もしかしなくても、仁科先生かもしれない……。 あのひと、絶対このローションに何か入れてるッ! 喘ぎながら確信した刹那、 志井は六六六がさらにローションを足すのを見た。 「やめ…もう…ァ…ッ」 頭を打ち振って逃れようとした志井の後孔に、六六六は3本の指を穿ち、たっぷりと潤いを与えた。 「あぅぅ…」 これはこれで気持ちいい。だけどもう充分。欲しいのはもっと強い刺激だ。 近くて遠い絶頂に耐えられず、志井は自分のペニスに手を伸ばした。 年下の元上司がオナニー好きなのはよくよく知っていたが、 実際にご自愛あそばしているところを生で見るのは初めてだ。 六六六は元上司のオナニーを息をのんで見つめた。白い内股が眩しい。隠れ巨根なのも驚きだ。 オナニー中、志井は瞳だけを動かし、悩ましげな輝きを放つ濡れた目で、ちらりと六六六を見た。 その扇情的な流し目に誘われた。六六六は弾かれるように志井においかぶさり自慰を中断させると、 コンドームのCの主力商品を手早く装着し、志井の両脚を持ち上げた。 「挿れます」 花で例えたら淡いピンクのカスミソウな吐息を漏らしながら、志井は分け入ってくる六六六に下肢を震わせた。 「痛くないですか?」 「大丈夫……。全部、はいった、な」 「はい」 志井の中はあたたかくて、いれてるだけで…もう…爆ぜそうで、六六六はどうしようもなく煽られた。 「動いてもいいですか?」 耳元でそう囁き、本能のまま腰を打ちつける。 「…あっ、あっ、あっ…んぁ」 のっけから気持ちいい。繋がったまま六六六にふっと笑みをむけられ志井はドキッとした。 幸せでイキそうだ。 「……典雅さん」 なんの前触れも無く愛おしげに名前を呼ばれ、六六六のローバリトンに感じた。 そっと頬を撫でられ唇を奪われた瞬間、志井は強烈な射精感に襲われ、 モノクロでは説明できないキラキラの白濁を流星群みたいに迸らせていた。 体位を変えて獣の姿勢でもう一回。おまけにバスルームでもう一戦交え、 風呂上りに二人でビールを飲んだ。ビールの缶をあけた後、志井は飲みたりないと、 ワインセラーからブエナビスタの赤を取り出した。 ワインになら合うかもしれない。六六六は買ってきた食パンを袋から取り出した。 「トースター借りていいですか?」 「無い」 「え?」 「焼くとサクサクする」 耳もカリカリになるしと眉を寄せる志井を六六六はまじまじと見た。 志井は六六六が買ってきた食パンをそのままで、もそもそと食べ、 「手作りっぽい」と不満を言い大半を食べ残し、口に入れてしまった分をワインで流し込んだ。 唖然としている六六六に、ほろ酔いの志井はいつになく饒舌に、焼きたての牧歌的な手づくりパンより 工場でつくられた大量生産の食パンの効率を追求した味が好きなんだと語った。 それから六六六が持ってきた買い物袋をごぞごそし、ポテトチップスのうす塩味を見つけると、 台所にいき冷蔵庫からノンオイルの青じそドレッシングとカイワレを持ってきた。 志井は六六六の目の前で大皿にあけたポテトチップスに、ドレッシングをささっとかけカイワレを散らした。 すすめられるまま食べた元上司のエポックメイキングな手料理もどきはめちゃくちゃうまかった。 うまかったが、血や肉になるとは思えない。オードブルの一品にならGOODだが、主食にはNGだ。 このひとが他に何をどう食べているのか可及的速やかに把握しなければ! 必要に応じて改善勧告等を行う。夜もベッドか布団を常用させよう。六六六はそう心に決めた。 なのに、二人用の寝袋を通販で買ったけれど、届いたときには三鷹にふられていたなんてさらっと言いながら 真新しい大きな寝袋を広げられたら、ベッドで寝なさいとは言えなくて、結局その晩、六六六は志井と寝袋で寝た。 おでこや鼻がくっつくほど近くで見た年下の元上司の寝顔は、 多少痩せてもやっぱり半端なくキレイだった。 このひとを、オナホがペニスを包むように、際限なく甘やかしたい。時にはどSな刺激もあたえたい。 六六六は志井の寝顔を眺めながら誓った。 (ずっと傍にいます) めんどうくさくても一緒にいられる。たとえどんなにかぶいても俺は貴方のオナニーを笑わない。 貴方のオナニーは俺のオナニーです。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! オナニー終了。ありがとうございました。 #comment