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*オリジナル 高校生もの [#y4c01514] #title(オリジナル 高校生もの) 一昨日の801未満続きです。 レスくださった姐さんの言葉に触発されて書きました。 後悔はしていない。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 「澤村ー!さーわーむーらー!」 喧しい声と共に、バタバタという足音がこちらに近づいて来る。本当に犬みたいな奴だ。もう少し慎みというものを持ったってバチは当たらないだろう。 手当たり次第に叫びながら教室の戸を開けているらしく、ここかっ、という声と共にがらがらというけたたましい音が廊下に響いている。 「ここかっ!」 やっと俺のいる教室にたどり着いた青木が戸を勢い良く引いた。もちろん俺はとっくに教卓の下に隠れているから、見えるのは谷川さんだけなのだが。 「おはよう、青木くん」 いつものくすくす笑いで、谷川さんは青木に声をかける。 「あ、ごめん谷川さん。澤村見なかった?」 青木は少し恥ずかしそうにはにかんで、谷川さんにそう訊いた。 英語の辞書をめくっていた谷川さんはその手を止め、少し首を傾げながら言った。 「澤村くん?悪いけど見てないなぁ。」 青木は、そうかありがとう、と少し落胆したように言ってまた教室を出ていった。 ここかっ、と声をあげるのはやめにしたのか、廊下には戸を引くがらがらという音だけが響いていた。 「澤村くん、青木くん行っちゃったよ。」 谷川さんがくすくす笑いながら俺に声をかける。 「ごめん谷川さん」 教卓の下から這い出ながら、ありがとう、とつけ足す。 「どういたしまして。 それで、今日はどうしてケンカしてるの?」 谷川さんは相変わらずのくすくす笑いで俺に訊ねた。 「いや、ケンカっていうか、俺が勝手に逃げてるだけなんだ」 「そうなの、じゃあどうして逃げてるの?」 俺はう、と言葉に詰まる。谷川さんはにこにことこちらを見ている。俺は意を決して言葉をふり絞った。 「それがあいつ…なんか、気持ち悪くて」 谷川さんは一瞬きょとんとして、それからまたいつものくすくす笑いに戻って、どういう意味?と訊ねた。 谷川さんの予想より柔らかい反応に俺は安心して、そうすると俄然青木の所業を話したい気分になった。 「それがさ、昨日あいついきなりドアラの真似しだして」 言いながら昨日の青木を思い出してしまい、思わず噴き出しそうになるのをなんとか堪える。 昨日の青木は似てる似てないなんぞというそんなものではなかった。そのものだったのだ。 あいつが巨人ファンでさえなかったら、ドアラの中の人への就職をおすすめしたいレベルだった。 「本気で似てたんだ…不覚にも爆笑しちゃってさ、そしたら急にこう、俺の手ぇ握って『澤村、野球部入って!』」 最後は渾身の声マネだ。言いながらあまりの恥ずかしさに思わず顔を両手で覆った。 今時少女漫画でもあんなくさい告白はないに違いない。 しかもそれがドアラのモノマネのあとだ、俺の全身が総毛立ったのは言うまでもない。 恥ずかしいやら気持ち悪いやらで、その要求を聞くまでもなく、断る、と叫んで俺はその場から走り去った。おそらく膝の怪我をしてから最も速かった(と思う)。 「そんで昨日は逃げきれたんだけど、さっき学校着いたんだけどあいつ昇降口で待ち伏せしててさあ」 「あはは、また手握られた?」 ご名答!俺は片手で目を覆って、黙ったまま頷いた。恥ずかしすぎる。 とそこであることに気づいた。 「あれ、てかあいつ朝練は?」 馬鹿かあいつは。部活の勧誘で部活をサボってどうするんだ。 すると谷川さんは目を丸くした。 「え?今日からテスト週間だよ、澤村くん」 え? 今度は俺が驚く番だった。まさかもうそんな時期だとは。まだまだだと勝手に思い込んでいた。 「やばい…」 なんたってここのところ全く勉強していない。今教科書の何ページまで進んでいるのかすらわからない。 脳裏に赤点の山がありありと描き出された。まずい、まずすぎる。 しかし全く以て回避の方法が思い浮かばなかった。 「どうしよう、谷川さん…」 思わず知らず、声が震えた。青木に構ってる暇はますますもってなくなった。 脳内で青木(というかゴールデンレトリバー)が耳を垂れて下を向いた。ええい、お前なんぞに割くような時間はない。 「あはは、きっと大丈夫よ。 それにわからなかったら青木くんに聞けばいいんじゃない?」 そうか、その手がある。俺の中で何かが閃いた。 教室の戸をがらりと開け、腹の底から叫んだ。 「青木ィ!」 するとどこにいたんだか青木がものすごい勢いで駆けてきた。 「澤村、入る気になってくれたの!?」 またも俺の手を取って言う。振り払ってやりたいとこだがぐっと堪えて言う。 「条件がある。」 何、とがっつく青木を制止しつつ、話しはじめる。あまりきらきらした目で見ないで欲しかった。こいつと目が合うと、なんでか苦しくなるからだ。 「まずひとつ。 俺は野球部には入らない。お前だけにコーチすればいいって言うんならやってやらんでもない。」 青木は予想通りどうして、と詰め寄った。 俺以外の奴らにも教えてやってよ、と俺の目をまっすぐ見て言う。 俺の顔はきっと真っ赤に違いなかった。 青木に手を握られたくらいでこんなになってしまうというのなら、いずれできる(予定の)彼女と手を繋いだ暁には俺はどうなってしまうのか、少し心配になった。 「最後の大会まで三ヶ月きってるっていうのに今更入れるわけないだろバカヤロウ。 そんなことしたらお前らの信頼関係パァだボケ。キャプテンならそんくらい考えろバカ。」 一息にそれだけ言いきると、青木は目に見えて落ち込んでいた。仕方ないから頭を撫でてやろうかと思ったら、手は青木に握られていてふさがっていた。 だから俺のデコを青木のデコにくっつけて、言った。 「キャプテンが上手くなるだけでチームは上向く。 俺はスパルタだぞ。三ヶ月、覚悟しとけよ。」 握られていた手がほどかれた。と思ったら、背中に腕が回って、抱き締められていた。 「俺やっぱ澤村超好き!」 また胸の奥の方が苦しくなった。相変わらず顔も熱い。しかしなんだか幸せだった。 ふと顔の横にある青木の顔を見てやると、青木の顔も真っ赤だった。 「あー…青木?もうひとつ、条件あるんだけど」 「何ー?」 ぎゅうぎゅうと俺を抱き締めながら青木は言った。今にも尻尾を振りだしそうだった。 「その…さ、悪いなとは思うんだけど」 「勉強教えてくんない?」 俺がおそるおそるそう切り出すと、青木はなんだそんなこと、と笑った。 「俺でいいならいくらでも教えるぜ!」 澤村の家にも上陸できるしな、と青木はつけ足した。誰も家まで上げるとは言ってない。 まあべつに悪かないが。帰りに母さんのおみやげにおはぎを買って、それで俺の家で勉強しよう。 そんなことを考えていたら、谷川さんのくすくす笑いが聞こえた。 「本当に二人ともラブラブね、もしかして私お邪魔かなあ?」 はっと我に返って、青木を引き剥がすと、とんでもない、と慌てて言った。 顔から火が出そうだった。 青木の顔を盗み見た。どうやら奴の顔も火出る寸前みたいだった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 途中ナンバリングミスりましたすみませんorz お粗末でした! #comment