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*ゆうはく 幽蔵(狐) [#w1c15a9e] #title(ゆうはく 幽蔵(狐)) [#w1c15a9e] |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 体の奥底から何かが突き上げてくる感覚に押されて目を開けると、視界は淡く光る銀色に覆われていた。 首を捻って見上げれば、やはり仄白く光って見える美貌が自分を見下ろしていた。 「うおぁ」 一拍遅れて出てきた声は、随分間の抜けたものだった。 寸分の狂いも無く整った顔が笑みを形作る。 「魘されていたように見えたが、どうやら大丈夫そうだな」 上から退かれるのを追って、自分も起き上がる。 「あー、なんか体ん中で暴れまわってる感じがしてたんだけどよ」 目覚めのインパクトが強すぎて治まっちまった、とは流石に口にはしない。 「まだ少し力を持て余しているんだろう。体力が有り余っていて眠れなくなる子供と同じだ。心配無い、じきに馴染む」 説明する声はどこか楽しげに笑みを含んでいる。 大きく一つ息を吐いてから笑い返した。 「やっぱお前はお前なんだよな」 言った途端、目の前の顔に疑問の色が浮かぶ。 「…それはオレの台詞じゃないか?」 「や、お前洞窟ですげー怖かったじゃねぇか。武術会で妖狐のお前見た時の感じと一緒で、違うお前見てるみてーでさ」 話しながら改めて目を向ければ、真っ直ぐ向けられていた視線と重なった。 「けどお前、オレが魔族んなっちまったつった時、その姿で笑ったろ。それ見て思ったんだよ、やっぱお前はお前だったってな」 湧き上がる笑みを素直に顔に出すと、妖狐の姿では初めてであろう柔らかい微笑が返ってきた。 「お前こそ本当に…変わらないな」 その表情の綺麗さに、今更ながら照れる。 思わず指先で頬を掻いた時、指に絡んだ髪の感触で自分の状況を思い出した。 「あ、そう言や髪」 「朝起きたらオレが切ってやるよ。だから今だけ、」 手を取られ、仄白い顔へと導かれる。 「魔族らしい遊びをしよう」 触れた掌に、獣の仕草で頬を摺り寄せてくる。 視線に誘われる。 一度は鎮まったものが、再びざわめき始める。 笑みを交わし合った。 それが合意の合図だった。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ヨウコハ オガタボイスデ ドウゾ。 #comment