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27-107 の変更点


#title(朝新連載 警部×貴族) [#g3a9c741]
夜の倫敦、薄暗い通りを足早に警部が行く。 
酒場の窓から洩れる喧騒と明かり、袖を引く馴染みの娼婦の猫撫で声。 
「ねえ、今日はウチ遊んでいかないの?」 
「悪ィな、ヤボ用があってよ」口の端を上げて、女の手を解く。 
今日ばかりはその賑いの中に加わることができない。 
その代りに待ち受けている用件のことを思うと、改めて苛立ちがこみあげてくる。 
警部は再び歩き出しながら、眉間に皺を寄せた。 
「ったく、あのバカ貴族。どんな風の吹きまわしだ……」 

件の貴族に呼び出された先は安宿の一室だった。 
蝋燭の頼りない明かりの中、ストレ井戸侯爵は寝台に腰掛けて安酒をあおっている。 
口元に薄ら笑いを浮かべて視線だけを、葉巻をふかしている警部に移した。 
「遅い。勤勉さだけがお前ら犬っころの取り柄だろうに」 
花の一つもない簡素な狭い部屋だというのに、侯爵はあの豪奢な邸宅で会った時と変わらぬ態度だ。 
警部は不快感を思いきり露にして寝台へ詰め寄った。 
目の前の平然とした侯爵の笑みと、記憶の中の惨殺された女の姿が疲れた頭の中で交錯する。 
「……また一人殺られてな。仕事を増やしてくれてありがとうよ、”バネ脚ジャック”! 
今日は何だ?”遊んだ”帰りに自白でもしてくれるのか!?」 
低く始まった警部の返答は次第に語調が強くなる。 
湧き上がってきた怒りに任せて声を荒げた。 
そのまま勢い胸倉を掴もうとしたが、侯爵が軽く音をたてて警部の手を弾いた。 
侯爵から笑みが消え、冷やかに警部の瞳を見返す。 
「シャツが汚れる。……勝手に吠えずに人の話を聞いたらどうだ? 
言った筈だ!犯人だという証拠は無いし、”ジャック”は殺しなんかしない!!……ただ」 
前と同様、話の噛み合わない、気の短い二人の取っ組み合いになるかと思いきや 
急に侯爵が口調を和らげた。 



「ただ、何だよ」警部が気味の悪い物を見る目つきで手を止める。 
「”バネ脚”の捜査に協力してもいい」 
一瞬、耳を疑った。 
「本当か!?」警部は思わず身を乗り出す。 
「もちろん」 
素直な反応を返す警部を見て、侯爵の口元に再び笑みが戻った。 
酒の杯をサイドボードに置き、両腕を警部の首に回して囁く。 
「ベッドの上で遊んでくれるなら、な」 
「バカかてめえは!!」 
「嫌なら帰れ。ただし、次に会う時も俺の心が広いままだと思わないことだ」 
酒臭い息を吐いて、侯爵は笑う。 
一体どこまでが冗談なのだろうか、試すような眼差しを正面から受け止めて警部は迷った。 
溜息と共に煙が長く尾を引く。 
「男の扱い方なんぞ知らんからな、変態侯爵」 
葉巻を灰皿に置いて警部は上着を脱いだ。口調は忌々しそうだが、一度覚悟したら妙に潔い。 
侯爵はこらえきれず大声で笑おうとしたが警部の手に口を塞がれた。 
「お前のバカ笑いは最高に萎えるんだよ!」 
形の良い眉を片方上げて、仕方なく侯爵は喉で笑った。 

ボクサーを自称するだけはあって、侯爵の肢体は均整のとれたものだった。 
筋肉質なのは警部も同じだが、労働によって汚れた事のない貴族の体は 
幾分かしなやかで、肌もやわいような気がした。 
薄明かりの中、侯爵が戸惑う警部の手を取り望む場所へと導く。 
喉、鎖骨、胸、脇腹、指を絡める。 
警部の愛撫は少々荒っぽいが、的確に求めに応えた。 
組み敷かれ追い立てられているというのに侯爵の瞳は冴え冴えと、 
己がこの場の支配者だと言うように警部の働きを見下ろしている。 
こいつのペースに呑まれているな。居心地の悪さから、警部は口を開く。 
「なあ、しょっちゅうこんな事してんのか?」 
「急に何だ……。そうだな、こういうのは久しぶりだ」 
内腿をなぞる。くすぐったそうに侯爵は目を細める。 



「マー枯ットってメイドは?」 
愛撫に震えていた体がぴたりと硬直する。侯爵の頬が酒のせいではなく異様に紅く染まる。 
「あいつが好きなら、モノにする方法は幾らでもあるだろ。お前のような金と力を持ったバカなら……」 
「っ……、侮辱する気か……」 
「不思議に思っただけだ。よりによって、何故俺なのか」 
「マー枯ットに無理強いはさせない。他の女も抱かない。 
それが自分なりの誠意、だ。……手が止まっているぞ?」 
「……男に抱かれるのはいいのか?」 
内心呆れながらも行為を再開させる。侯爵がまた警部の手を取り、自分の口元に当てた。 
浅く開いた唇の中に二人の指を含み、十分に濡らす。 
何を考えているのか解らない、淡い色の侯爵の瞳を、暗い色の警部の瞳が見据える。 
交わった視線を逸らさぬまま、二人の手は唇を離れて侯爵の下腹の奥に触れた。 
まず侯爵の指が入口を慣らす、しばらくしてから「いいぞ」と言われ、警部も指先をそこに押し当てた。 
最初は抵抗が強く、奥に行くほどに潤んで熱い。女とは違う感触の中を、指を動かして探る。 
指に意識を集中させていると、侯爵が小さく笑った。 
「何だよ」 
「別に。起ってきたな、と」 
侯爵の視線の先に己の性器があった。 
ある一点を指の腹が突いた時、侯爵は微かに呻いて顔を背けた。 
「ここか?」 
答えを待たずに警部はまたそこを突く。 
「あ……あ」切ない溜息が零れ、既に充血している陰茎がぴくりと跳ねる。 
「もう、指は……いい」 
緩くかぶりを振る金髪を空いた手で撫でて、警部は指を引き抜いた。 
代わりに己の熱をあてがい、一気に貫く。 
侯爵が掠れた嬌声を上げる。警部はまとわりつくような内部の柔らかさに眉を寄せた。 
片手を腰に回して体を寄せる。腰を使う度に肌の触れる乾いた音と密着した粘膜の濡れた音が響く。 
警部の腹に反った陰茎が当たって擦れる。 
一見乱暴に感じられる動きだが、先ほど探り当てたあの一点を的確に抉る。 
最初は息を詰めるだけだった侯爵が、今では泣いているのか叫んでいるのか解らない声を上げている。 
その顔にいつもの人を見下した微笑はない。 



ひくひくと後ろを締め付け、ひときわ苦しそうに眼を伏せた。 
警部は腹にぬるりとした熱を感じた。侯爵が吐精したのだ。 
「く……っ!もう、い……やめろ」 
命令されるが、ここまで来て止めろと言われても体が聞いてくれない。 
もう一度突くと侯爵は仰け反ってきつく締めつけた。 
「ひっ……あ……!!」 
体を震わせ、またくたりとベッドに沈む。 
女などは、一度達したあと敏感になって僅かな刺激で何度もイク事があるが、 
この男もそうなのだろうか? 
頭の隅で考えていると、また侯爵が息も絶え絶えに喚きだす。 
「こ……のバカ、が……っ、や……めろ……」 
警部は黙ってその喉元に口づけた。 

結局、侯爵が五度目に達してようやく警部も精を放った。 
ベッドに伏した警部の隣で、侯爵が睨み殺さんばかりの目をして荒い呼吸を整えている。 
その眼に宿る光は、普段の高圧的な鋭さを取り戻していた。 
さっきは少しばかり可愛げもあったのにな。 
等と考え、溜息をつきながら警部は目を閉じた。 



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- ありがとうございましたっっ!!! --  &new{2013-04-05 (金) 01:39:47};

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