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20-410 の変更点


*ブラック・ダリア リーとバッキー [#e0e5c50c]
#title(ブラック・ダリア リーとバッキー) [#e0e5c50c]
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                    |  映画「黒ダリア」の炎と氷の話です。 
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  思いっきりネタバレしているので、注意 
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ※映画版にあわせています 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )   
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
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階段を登った時、俺は自分が震えていることに気がついた。 
ドアをノックしたいけれど、上手く手を動かせない。 
崩れ落ちそうな膝をふるいたたせ、俺はドアの脇にあるベンチに座り込んだ。 
何とか立ち直ろう、平常心になろうと頑張ったけれど、俺の脳は、この数時間で 
起こったことを否定するのに必死で、それどころではない。 
違う。あれは悪い夢。現実じゃない。 
明日、局に行けばリーは普通に机に座っていて、「遅いぞ。ダリアの有力な手がかりが 

見つかった。すぐに向かうぞ、パートナー」と言い出す。それを俺は「お前はまだ…」と 
呆れながら、追いかける。警察署の入り口を埋め尽くす記者は、俺たちの名を口々に 
呼び、ポンポンとフラッシュをたく。それを俺達はかきわけ、車に乗り込む。 
―――そんなわけはない。 
俺のヒザは、まるでリズムでも刻むかのように、ひどく震えていた。 
考えまいとしても、凄惨なリーの死体が、頭に常に浮かんでいる。 
誰もを魅了したあの笑みは、どこにもさがすことができなかった。 
潰れた顔は血がベッタリと貼りつき、もう半分は、俺自身が殴ったアザが、いくつも 
肌を青黒く染めていた。 
あの地獄のような軽口をつむぎだす口は、歯と顎が砕かれたせいで小さくなり、裂けた 
頬がダリアと同じ笑みを浮かべていた。 
あのイタズラを考え出した悪ガキのような、キラキラした瞳は、血で赤く染まっていた。 
あのリングの上で、俺を翻弄した脚は、変な方向に曲がっていた。 
あの弾丸のようなパンチを放っていた腕は。 
あの時俺が殴りつけた腹は。 
あの―――炎は。 
思わず両手で頭を抱えると、窓ガラスに自分が映りこんでいることに気がついた。 
亡霊のように青白く染まった顔が、ぼんやりとこちらを眺めている。 



『オーケイ、パートナー』 

ふと、彼と初めて話した時の会話が、頭をよぎった。 
俺がまだ糞だめの蛆だった時から、俺を「パートナー」と呼んだ人。 
偶然出会った、英雄、リー・ブランチャード。 
彼のおかげで、「密告者」だった俺は、永遠に続く糞だめから這い上がれた。 
未来を見通しているかのような彼の仕事っぷりが、俺まで一まわりも二まわりも 
大きい人間にしてくれた。 
憧れの特捜科に配属され、地位・名誉・金・友情なんていう人生の楽しさを教えてもらった。 
一生かかっても返しきれないぐらいの借りが、彼にはあるのに。 
どうして一つも返せないまま…俺に殴られたままで死ぬんだ。 
何も言えないまま… 

―――最後に何か言うことは? 

彼の死体を前にして、言われたセリフを思い出した。 
彼が一番欲しがっただろう言葉って何だったんだろう。 
「安らかに眠れ」か? 「ブラック・ダリアは俺が解決する」か? 
いや…彼はあんなにケイのことを愛していたんだ。ケイのことを言うべきだった。 




―――アイス&ファイア… 

しかしあの時の俺には、あの言葉しか思い浮かばなかった。 
俺達二人がパートナーだった時の名前。 
何もかもが幸せだった時に、俺達二人を他人が呼んだ名前。 
俺は、その言葉だけを持って、彼に天国にいってほしかったんだ。 

顔を伏せて、はじめて自分がバカみたいに泣いていることに気がついた。 
どうしようもない思いで、頭が一杯だった。 
彼が俺を何と思っていたのかは、今となっては分からない。 
俺の全てをくれた人。 
そして全てを奪っていって死んだ人。 

「アイス&ファイア…」 

俺は、その言葉を呟いて、声に出して泣いた。 
玄関の鍵を開ける音がする。 
これから、ケイにリーの死を伝えなければいけない。 
あぁ、俺は今のうちに、この涙を流しきってしまわなければ。 
今俺の心にある炎を、全て涙で消してしまわなければ。 
勘のいい彼女は、俺がどういう気持ちでリーのことを思っていたか、気づいてしまうだろうから。 
俺はブラック・ダリアに祈った。心の底から。お前の黒で、この炎を消してくれ。早く。 



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 | |                | |     ピッ   (・∀・ )     最高の萌え映画をありがとう。 
 | |                | |       ◇⊂    ) __   
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