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5-603 のバックアップソース(No.1)

*オアシス ギャラガー兄弟 [#c4e9f455]
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                    | 英バンドのおあ視す、ぎゃラ画ー兄弟のネタだって。 
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  結構事実考証適当らしいよ 
 | |                | |            \ 
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___ 
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  | 
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いつものようにギターをかき鳴らして誘えば、リア無はすぐにすん 
 なりとそれに乗った。両手を後ろで組む独特の姿勢で、まっすぐに声 
を出す。ジョソ・レノソを思わせるあの声で弟が歌うのを、ノ江ルは 
ギターの弦をはじきながら眺めていた。さっきまで怒鳴りあっていた 
せいか、高音部で僅かに声が掠れる。リア無はそれを気にしない。そ 
れどころかそれがパフォーマンスかのように、平然と歌う。 
 気持ち良さそうに歌うんじゃない。不機嫌を隠さずに、挑発するよ 
うに、けれど伸びやかに。さっきまで音楽を聴いている方が少数派だ 
ったのに、いつの間にかライブハウスにいる奴らはそろって彼を見て 
いる。彼の声を聞いてるんじゃない、彼を見ている。くそっ何てやつ 
だ。ノ得ルは思った。リア無は――弟はロックスターだった。それ以 
外の何物でもなかった。 




 ブルースだって歌ってやるぜ。ノ江ルが書いた歌詞を歌い、その一 
瞬、リア無はちらりと視線を投げてよこした。―10分ほど前、ステー 
ジに上がる前は危うく殴りあいに及びそうになった相手に。ノ江ルは 
わざと視線を無視して、弟の相手などしていられないことを示した。 
怒鳴りあっていた相手への怒りは、まだ完全には収まっていなかった。 
 ライブ前の、神経が昂ぶったひと時にしばしば起きる諍い。俺の歌は 
お前には歌えないと野江ルが言い、ノエ流はノエ流でオア視すはおれ 
のバンドだと怒鳴った。俺が歌わなきゃだれが歌うんだ?この曲を。 
 そう自信たっぷりに言う弟が憎らしくて、煽るような言葉を口にす 
ると、リア無はあっさりとそれに乗った。舞台に上がる時間が迫って 
いたから殴り合いにこそ発展はしなかったものの、あんな状態で歌え 
るのかと、他のメンバーたちが青くなったのは無理もない。 




 だけど舞台に出てみると、リア無はこうして圧倒的な何かを放出し 
て歌う。何なんだ、こいつは。ノエ流ははっきり言って呆れていた。 
弟はどこか壊れている。歌うこと以外に取り得なんか絶対にない。こ 
いつはロックスターだ。でも、俺がスターとして認められる条件を整 
えてやらないと、ただのろくでなしとして一生を終えるだろう。俺た 
ちの親父みたいに。 
 そりゃあ俺だって、おとなしいとは言えない、15の時には強盗を 
やって保護処分を受けたこともある。野江ルは思う。だけど、弟は、 
リア無はちょっと凶暴すぎる。あまりにも衝動のまま生きている。過 
去も未来もないみたいだ。リア無にあるのは、今この瞬間だけ。そん 
なのはまともじゃないとノエ流は思う。だって俺は毎晩考えている。 
この先のことを。これまでのことが忘れられないのと同じように。自 
分も親父やお袋や、その他大勢のやつらみたいに、一生を暴力と貧困 
に支配されて生きていくのかと。 




 俺たちに何ができるんだ? 
 ぶっきらぼうにも見える姿勢で歌う弟に、ノエ流は聞きたかった。 
なあ兄貴、一緒にバンドやろうぜ。実際、ローティーンの頃からいつ 
の間にか何度となく自分をバンドに誘ってきた弟に、何を考えている 
のかと聞いた。長じるにつれて兄が誘いに頷かないと学習したリア無 
は、それでも懲りなかった。今度はマネージャーになってくれとこと 
ある毎に言うようになり、野江ルを呆れさせた。 
 そうさ、フットボールやロックをやるくらいしか、俺たちが金を手 
にできるチャンスはない。アイルランド系で、労働者階級の俺たちは、 
そこから抜け出すすべを他に知らない。でもそんなことをやって成功 
するやつなんて稀だ。俺だって音楽は好きだ、バンドだってやってる 
さ、だけどこれ金持ちになろうなんて本気で考えちゃいない。お前だ 
って同じだ。何もやれっこないさ。そう言って弟を相手にもしなかっ 
た野江ルは、リア無が歌うところを一度生で見てから考えが変わった。 
俺たちには何かができる、何ができるかはわからない。でも、とにか 
くこの泥にまみれた生活から、暴力や貧困から、確かに抜け出せると 
感じたのだ。だからバンドに加わった。マネージャーとしてではなく、 
メンバーとして。 





おあ視すを世界一のバンドにしてやる。バンドに加入したとき、野 
江ルはそう言った。だが、本当はその言葉を野江ル自身ほとんど信じ 
ていなかった。だけどリア無の歌声は妙にスケールがでかくて――こ 
の声に見合うだけの歌を、俺が作ってやらなきゃと思った。 
 そうだ、だから俺はここにいる。お前が――お前の歌声で、俺たち 
が何かできると感じたから。そう思ったから、この歌を書いたんだ。 
ふとそんな簡単なことを、野江ルは思い出した。 
 選んだもの、何にだってなれるんだ。 
 野江ルの心情に答えるように、リア無が歌った。歌いはじめよりは 
ずいぶんと気持ちよさそうに。過去も未来もないように、今を貪欲に 
味わっている。直立不動の弟の横顔には、汗がにじんでいる。その姿 
を見て、野江ルはとうとう根負けして笑みをこぼした。 


 なあ兄ちゃん、俺たちスターになれるぜ。13歳の、喧嘩で前歯が 
欠けたリア無が、同じ表情でそう言ったのを思い出したのだ。あのと 
きは冗談じゃない、ガキな弟とバンドをやるなんて格好悪いと思って 
無視した。でも今は違う。多分、こいつとだから何かができる。そう 
確信している。弟が、リア無が、自分の奏でるギターの音色に絡みつ 
くように歌うたびに、思い知らされている。俺たちは自由なんだ、俺 
たちの親父がおふくろがたどった人生を、もう一度たどるわけじゃな 
い。何にだってなれるんだと。 
 弟には過去も未来もない。野江ルにはそれがある。眠れないことも 
ある。だけど弟が歌うのを見るたびに――人生の可能性は無限だと、 
少しだけ信じられる。 
 どこへだって、好きなところに行っていい。そうしたければでかい 
口を叩くのもいいさ。 




 弟に向かって書いた歌詞を、弟が歌う。 
それを野江ルは眺めている。 
  どんなことをしても、どんなことを言っても、 
いいんだ、かまわないんだ。 
 最後のフレーズを歌い上げ、満足げな顔の弟が、 
もう一度視線を投げてよこした。どうだ、上手く歌え 
ているだろうと言いたげだ。さきほどの野江ルの言 
葉をまだ根に持っているのだろう。野江ルは肩をす 
くめた。まあまあだ、と言うように。だけど本当は知っ 
ていた。この歌は弟以外には歌えない。歌っても意 
味がない。弟に向かって書いたこの歌は、そのまま 
自分が弟に言ってほしい言葉でもある。 
 ――何にだってなれるんだ、よ。 
 のえ流がギターを弾き終えると、リア無が片目を瞑っ 
てみせた。観客からは拍手が沸き起こる。何という高揚感。 
くそっ、女とのセックスなんかじゃもう満足できない。こいつが 
歌わないと、こいつじゃないとだめなんだ。他でもない、俺がリ 
ア無の一番のファンじゃないかと、いつものように野江ルは思 
い知って苦笑した。 

終 



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 | |                | | 
 | | □ STOP.       | |                 
 | |                | |           ∧_∧ ドコガヤオイナンテイワナイデ… 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 
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受け攻め特に決まってないんですが、 
あの兄弟は利場な気もします。 
唐突に須磨ソ。 
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