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20-562 のバックアップ(No.1)


金髪さんと赤毛さん

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 | |                | |  某宇宙歌劇、赤生存で金髪皇帝×赤のパラレル
 | | |> PLAY.       | | 
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 連投スマソ
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前回は誤字改行ミスてんこもりで失礼しましたorz

皇帝は近頃、機嫌が芳しくないようである。
原因は周知の事で、宮内尚書始め軍務尚書や姉にまで結婚を勧められ、ついに赤毛の
腹心の友までもが控え目にではあるがそういった事を仄めかし始めたのだ。宇宙艦隊
司令長官は遠回しに、黒髪の男爵夫人は押し付けがましく、再三に渡って結婚はまだ
かとせっつく。新領土から超光速通信が来たかと思えば、真顔で聞かれるのは女性に
ついて。
為政者としてはこの上なく優秀ではあるが、皇帝は聖人君子ではない。これで不機嫌
になるなと言う方が土台無理だ。

専制政治である以上、皇帝の後継者というものが不可欠である事は重々承知している
が、他はともかく親友から結婚を勧められるというのは精神的に非常なプレッシャー
だった。
悩める彼が腹心と恃む赤毛の青年にとって、皇帝との恋愛関係は然程重要ではないの
かもしれぬ。本人の口からきちんとした告白を聞いた事も無いし、まさか不倫に付き
合ってくれる親友ではないだろうから。不倫! 自分で想像し、彼は派手に顔を顰め
た。人差し指の関節にバージンスノーの如く白い歯を立てる。

こんな事態は計算外だった。潔癖なところのある皇帝としても、その様な爛れた関係
に姉と同じくらい大事な青年を巻き込むのは憚られる。
そんな時、つい思うのだ。
親友が女だったら迷うことなく彼に求婚して皇后として冊立し、万事丸く収める事が
できるのに……。

因みに、秘書官は面白そうな観察の視線、親衛隊長は清清しい程の無関心、その脇の
新人は奇異の目を向けているが1光年以下の単位の出来事には姉と親友にしか興味の無
い皇帝は、全く気にしなかった。感知しているかどうかすら怪しい。

奇妙な悪寒を感じ、青年は周囲を見回した。
帝都に位置する皇居、豪壮ではないものの美しく磨き上げられた廊下。華美を嫌う主
の好みが反映されている。青年に言わせれば、皇帝以上に美々しく華麗なものなど無
いのだからその住居を飾り立てる事など不必要である。生まれながらの覇者というも
のがこの世には存在する。

上品な装飾が施された観音開きの扉の両脇に立つ兵に答礼しかけ、青年は慌てて会釈
で応えた。軍籍を退いておよそ半年、長年の習慣はなかなか抜けぬものだ。
暗殺者の凶弾から自らを盾に主君を守った彼は、辛くもワルキューレの手を逃れ、変
わらず金髪の姉弟を助け旧叛乱軍現共和政府との間に和平が成立した今、在任僅かの
三長官職を返上し宰相の地位にある。

腹心の為に新領土総督の職を用意していた皇帝は、嘗ての凶事による障害を理由に丁
重に断られてしまった。頚動脈を傷付けた殺人光線は神経にも少なからざる影響を与
えていたのだ。28世紀の医療技術をもってしても破損した神経を元通りに治療する事
は叶わなかった。
それを持ち出されては皇帝は何も言えず、首席元帥の座を受け取らせ不承不承公式文
書にサインしたのである。

この扉の向こうに、皇帝その人がいる。
恐れ多くも幼友達でいかに仲が良いとはいえ、机をくっつけて公務を行うわけではな
い。青年は宰相として幾つかの懸案と裁可の必要な書類を携えて来ていた。入室を許
可する声がかかり、背筋を伸ばして室内へ踏み込む。室内を横切り広い机の前で緩や
かに頭を垂れた。

「失礼します、陛下。先の事案を纏めておきましたので目を通して頂けますか」
「待っていた。見せろ」

無表情で腹心を迎えた皇帝は書類と数枚の光化学ディスクを受け取ると、軽く手を振っ
て人払いした。心得た秘書官と親衛隊が礼を施し席を外す。
青年はやや複雑そうにそれを見送った。自分と皇帝の関係は臣下と主君としては相応
しからざる状態にある。褥を共にする事さえある事実は絶対に好ましいものではない。
外部に漏れたら醜聞は免れまい。宰相を招く時、必ずと言って良い程人払いをするの
はあまり良い傾向とは思えない。
その心情のままの視線を主君の顔に注ぐが、かの人は頬杖をついて物憂げに文面を追っ
ているだけだ。

見るからに憂鬱そうで青年は心を痛めた。望みもせぬ結婚や交際を求められても迷惑
だという事は、彼も理解するところである。
ところが主君は簒奪にあたり、前王朝の皇女との結婚も視野に入れていたという。
『どうせ形だけの事だ』とシニカルに笑っていた。そんな主君の政治的分野における
冷徹さを目の当たりにすると、青年は心配になってしまう。

陳腐な言い草だが、大切な主君に愛の無い結婚などしてほしくはない。
しかし、主に愛する女性ができてその方が皇妃となった時、果たして心から祝福でき
るのだろうか。青年には自信がなかった。有得べからざる事に、まだ見ぬ女性に妬心
を抱いていた。
浅ましく醜い感情は青年にとって未知のもので、そんな自らを恥じ嫌悪した。求愛を
受け情を通じながらも、明確な返答を避けてきた理由の一部だ。

近頃主が言うように『自分が女性だったら』とは思わぬ。男であればこそ、共に並び
立ち幾多の戦場を潜り抜けかの人の後背を護って来られたのだ。
それは主君もわかっているはずだから、愚痴に紛れてかの人がそう訴えるのは単に結
婚を忌避する以外に、何か別の理由があるのだろう。それを青年に窺い知る事はでき
なかったが。

「何だ? 座っていて構わないぞ」
腹心の目線を受けた皇帝がやっと顔をあげ、二人になった為か幾分気さくな語調で椅
子を勧める。青年は首を横に振った。

「いえ、すぐすみますから」
「……そうか。なら少し聞きたいのだが」

僅かばかり皇帝の声音が低くなる。それに青年は気がついたが何も言わずに執務机の
向こうに回り込み、横から同じ書面を覗いて指摘された箇所の説明を淡々と加えた。
書類はほぼ完璧に整えられており、今更注釈など不要であったからこれは皇帝の甘え
だ。わかっていて宰相は面倒がる素振り一つ見せない。やがて皇帝の指が手遊びに赤
い髪を玩び出す。触りやすいようにと自然青年は中腰の体勢になる。

何も変わらぬ彼らの日常であったが、明確に変わった部分もある。
双方の内心と、しなやかな指が辿る皮膚の範囲だ。滑らかな首筋がお気に入りの一つ
だった皇帝は、手遊びでは決してそこに触れなくなった。彼の親友の命を奪いかねな
かった傷は、引き攣れた痕跡となって残っている。

注意深くそこを避け、ルビー色の髪から始まって瞼、頬、唇と青年の顔面を隈なく辿っ
ていた指先が青年が身動ぎした為、偶然傷に触れる。他とは違うつるりとした薄皮の
感触に、白い手がビクリと慄き引っ込んだ。

「あ」
皇帝が些か間の抜けた声を発し、困ったように眉尻を下げた宰相がリハビリの末随意
に動くようになった利き手で遠ざかってしまった主君の手をぎこちなく握る。どうも
この主は負傷した本人以上にその事を気に病んでいるらしい。
青年の方としては、死を覚悟して最後の言葉らしきものまで主君に託したのに、生き
残ってしまい現在振り返れば赤面の至りなのだが。

血液のシャワーが床を叩く音。
全身を真っ赤に染めた親友が倒れる光景。

うそ寒くなる様な記憶を忘れてしまう事は、皇帝にとっては難しかった。
汗まみれで飛び起き、夢であった事を確認して息を吐き出す。常に護衛が立つ皇居で
は叶わぬが、もっと気楽な身分の時は夜中に親友の寝室に忍んでいき無事を確かめて
いた事もある。
半身を失う恐怖は再三悪夢となって甦り、長く皇帝を苛んだ。いくらあの優しい声で
気にするな、と繰り返されてもそれは不可能だった。

情事の最中、贖罪の様に何度も何度もそこに与えられる接吻を青年は知っている。背
徳を覚えながらも幸福感に溺れ快楽に意識を攫われる自分、あの後初めて肌を重ねた
時、胸に残る銃創を震える指でなぞり揺れる声で『もう痛くないのか』と問うらしく
なく気弱げな面持ちも。
その時と同様に蒼氷色の瞳は翳り、悔恨と憂いが白皙の面に浮かんでいる。これでは
いけない、と青年は思う。眩いばかりの光輝と前進こそ彼の主君には相応しい。

青年は意を決した。ずっと保留にしていた返答をするなら今だと。
恒久的にこんな曖昧な関係を続けるわけにはいかぬのだ。返事を急かすでもなく律儀
に待っていた主君の忍耐力を思えば、驚異に値する。持ち前の短気から街のガキ大将
と事を構え、当時子供社会で一目置かれていた青年の庇護が無ければ表通りも歩けな
かった幼少時代を思えば、随分成長なさったものだと感慨もひとしおである。
以前から用意していた答えを頭の中で整理し、我が皇帝、と静かに呼んで主君の視線
を上げさせた。

「いつか、言ってくださりましたよね。
 あなたの手に入れるものは、何でも半分は私のものだと」
「……ああ、言った」

唐突な質問を受け、皇帝は一拍置いてから頷く。探る様な目つきは、何を言い出すつ
もりだと少々警戒しているようにも見え、微かに怯えているようにも解釈できる。
青年は不意に息苦しさを感じた。心なしか動悸も早いようである。慣れない事をしよ
うとしているので、緊張しているのだ。昔金髪の姉君に教わった『リラックスするお
まじない』をしようとしたが、手を繋いでいるので出来なかった。いつの間にか確り
握り返されていたのだ。
仕方なく、ウロウロと視線を彷徨わせた後最愛の主君を見据えて口を開く。

「ならば、私自身も半分はあなたのものです。……あなたも、半分は私のものです。
 それでは駄目でしょうか?」

迷う語調でゆっくりと紡がれた言葉に、皇帝は呆然としていた。その意味が意識野に
浸透するにつれ、歓喜の面持ちにとってかわる。書類を放り出し革張りの椅子から素
早く腰を浮かせた勢いに、宰相がややたじろいだ程である。
皇帝は満面の笑みを顔中に広げて親友の右手を両手で包み、丸で握手の様に勢いよく
上下に振っている。

「駄目なものか。そうだな、そうだとも」
「現在はそうとして、皇妃をお迎えの暁には――」

こんなに喜んで下さるならもっと早く言って差し上げれば良かったと顔を綻ばせて皆
まで言う前に、それまで上機嫌だった皇帝の瞳に剣呑な光が宿り、青年は失敗した事
を悟った。

「ほう、お前はそんなにおれを他の女と結婚させたいのか」
「陛下……」
「それはおれの事か? 二人の時堅苦しいのはよせと何度言ったらわかるのだ?
 お前がそのつもりなら相応の礼をもって報いるぞ。後宮に閉じ込めて金の鎖で繋ぐ
とかな」

勿論、皇帝は本気で言っているわけではない。権力を振り翳す様なやり方は彼が最も
軽蔑し嫌う所業だ。
だが青年は思った。やる。この人なら。後宮はともかく、寝室から出られなくなる可
能性はゼロではない。

かつて数十万の大艦隊の陣頭に立つ姿は、覇気と烈気に満ちそれは神々しいものだっ
た。その指揮ぶりは勇壮華麗を極めた。将兵達は軍神さながらの年若い指揮官に惚れ
惚れとし、かの人に仕える誇らしさに胸を溢れさせたものである。
戦いが沈静化した今となって、その情熱と激しさを一身に受ける方としては過ぎた寵
愛に文字通り身が細る思いだった。

もっと淡白でいらっしゃると思っていたのに。決して誰にも言わぬ、青年の本音だ。
青年は何とかして苦笑を形作った。眼差しには謝罪を込める。不穏な言動をとらせて
しまった原因は自らにある上、主君を不快がらせるのは彼の本意ではなかった。

「……お戯れを。どうすれば許してくださりますか?」

穏やかに尋ねられると、皇帝は視線を和らげる事なく絡め合ったままの指を無言で軽
く引いて催促する。
燦燦と陽光の注ぐ窓際。それを反射する玉璽。書きかけた書類。沈黙している情報端
末。執務室には二人の他、誰もいない。
彼らにとってはそれで充分だった。

廊下へ続く扉の方へ視線を流し来訪者の不在を確認した後、青年は主君の名をようや
く口にした。アイスブルーの眼に甘味の微粒子が加わり、右よりは器用に動く大きな
左掌が金髪を柔らかく撫でつける。青年の首に回る手はもう慄いてはいなかった。
皇帝の端麗な唇に、獲物に爪をかけんとする笑みが閃いた。それは青年が最も得難く
思う主君の表情の一つで、こういった状況においては罪悪と同等以上の興奮を呼び起
こすものだ。

仄かに微笑した宰相は口付けをする為に少し屈み、皇帝は踵を浮かせた。

  Ende

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 | | □ STOP.       | |             モエ吐キ出シカンリョウ!
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勢いだけで書いた。今は反省している。


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