Top/S-9

R.S.3_LxM 4

「“闇”の属性?」
先ほどの術書には載っていない属性である。
彼の属性は何を司るのか。
立ち上がり、窓辺で月明かりに照らされた伯爵が口を開く。
「“闇”は、魅力を司る。」
開いてはならぬ扉や、歩んではならぬ道。
見てはならぬ物や、触れてはならぬ物。
それは時に、魅力的に見えてしまう。
何故ならそれらからは、闇が滲み出しているからだ。
闇が深ければ深いほど、それらは甘美なまでに魅力的である。
「“闇”の属性・・・ですか。」
黒い衣に暗赤色の髪。
薄っすらと笑みを湛えたその口元に、牙が見えた。
「危険もまた、魅力の一つなのかもしれませんね。」
皮肉めいた色を口元に浮かべ、ミカエルが笑った。

城主が指を鳴らすと、机にワインとグラスが現れた。
「いかがです?」
「頂きましょう。」
レオニード自らワインを注ぐ。
満たされたグラスを軽く持ち上げ、目で合図して喉を潤す。
濃厚な葡萄酒は、とろりとした血のように思えた。
まるで己がヴァンパイアとなり、血を啜っている気分だ。

太陽の属性を持つ者と、闇の属性を持つ者。
占術師に言わせれば相対する二人が、楽しげにグラスを傾ける。
そこがポドールイという時空のねじれた土地ゆえに、
一人がヴァンパイアという異形の者であるゆえに。

蝋燭の消えたその部屋を、月が静かに照らし続ける。


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