Top/S-81

鋼鉄都市シリーズ ダニールとイライジャ

                       l 逢いザック・足モフ御大の「鋼/鉄/都/市」シリーズの
 ____________     l  ダニ一ルとイ/ラ/イ/ジ/ャの話を見るよ。
 | __________  |     l  とっても長くなったから3つのパートに分けさせてもらったよ。
 | |             .| |      \ パート1は、「夜明けの~」の直後なんだって。
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庭へと続く扉を後ろ手に閉めて、イライ.ジャは部屋の中のひんやりした空気を
胸に吸い込み、背中をどさりとドアに預けた。
肺の中の空気を思い切り吐き出した時に、心臓がかなりの速さで脈打っているのが聞こえた。
無理をして「そと」の空気を吸い込んでいたからだと、すぐに思い当たる。
頭ではまったく平気だと思っていたのに、どうやらまだ体の方は、
地球の密閉されたドームを恋しがって、屋根の無いだだっぴろい空間に怯えている。
目眩をこらえながら、彼は一つ溜息をつく。
気づくと手が胸ポケットのパイプ煙草を探っていて、思わず苦笑が漏れる。禁煙したはずだった。
何か口にくわえていないと落ち着けないとは嘆かわしい、まるで赤ん坊だ、
などと思いながら、彼は目を閉じて思い切り体を伸ばした。
腕を下ろし目を開くと、部屋の中に穏やかな明かりが灯っているのに気づいた。
なんだろう、と思いながら壁ぎわに目をやると、
視線の先に金髪のロボットがたたずんでいるのがイライ.ジャの目に映った。
背の高い影が、窓に向かって静かに立っている。
日光が部屋の中に入ってこないように、カーテンを閉めていたのだろうか。
振り向いた彼と視線がかち合うと、ダニ一ルは無表情のまま、
控えめにうなずいてみせた。
「本当に、お疲れ様でした」
イライ.ジャは黙って、軽く頷いてみせた。
「お体の具合は大丈夫でしょうか?」
ダニ一ルが気遣わしげにイライ.ジャに近づいてくる。
「大丈夫だ、ダニ一ル。ただちょっと……どこかに座らせてもらえるとありがたいんだがな」
「こちらへどうぞ、おかけ下さい」
そう言って、ダニ一ルが椅子を運んでくる
その椅子に倒れこむように深く体を預けた途端に、もやがかかったように頭が痺れ、
疲れがどっと襲ってくる。

彼はもう一度深く息をついた。
自分の仕事はなんとか全部終わった。とにかく、今回の件は片付いた。
けれども、これは単なるひとつの終わりに過ぎなくて、
ここから人類の新世紀が始まるのかもしれないのか、と彼は思った。
人類の新しい第一歩になるんだろうな。
そんな考えを、彼は頭の端でぼんやりともてあそんでいた。
琥珀色のやさしい明かりの下、回らなくなった頭の中で、
そんな取りとめも無い考えばかりがあぶくのように浮かんでは消えた。
人類の輝かしい躍進、第一歩。
自分のひねり出した言葉に露ほどの実感も持てなくて、イライ.ジャは少し首をかしげた。
柔らかな光の中に、すべてが溶けこんでいくような感じがして、
なぜだか、何もかも、地球までもが遠かった。
視線を落とすと、左手首の腕時計が目に入った。
数少ない父親の形見として受け継いで以来、何十年も、一度足りとも壊れたことなどないのに、
今、その針は動きを止めて凍り付いていた。
それを見たイライ.ジャは、唇をかんで目を固くつぶり、左手首の腕時計を右手で強く握った。
そうしないと地球との繋がりが失われてしまうような気がした。
異郷で過ごした緊張と、背中に背負わされたあまりに重い責任と、
事件を解決した安堵感とがないまぜになって一気にのしかかってくる。
吸い込まれるような眩暈の中で不意に、こわばった彼の右手の指に温かいものが触れる。
イライ.ジャが驚いて目を開くと、ダニ一ルがいつのまにか、
じっと目の前にひざまずいていた。
その両手がイライ.ジャのこわばった右手を包み込み、
指の力を少しずつ緩めていく。指先に力が入らないまま、イライ.ジャは、
ロボットの指先までこんなに温かいものにする必要なんてどこにもないじゃないかと、
ぼんやりと考えた。

ダニ一ルの柔らかな指先が、止まった時計の文字盤をそっとなぞっていく。
その指先が止まったので、イライ.ジャはダニ一ルの顔を思わず見下ろす。
じっと顔を伏せていたダニ一ルが、何かをこらえるようにまぶたを閉じる。
ロボットのあまりに人間的な仕草に不意をつかれてしまい、
イライ.ジャは何も言えずにダニ一ルの顔を見下ろしているしかなかった。
突然、ダニ一ルが瞼を開き、透き通った青い瞳があらわになる。
彼は、ロボット特有の落ち着き払った無表情のままで呟いた。
「あの雨の中で、壊れてしまったのですね」
その声は喉の奥から絞り出すような苦しげな声で、
イライ.ジャはますます、どんな言葉をかけるべきかわからなくなった。
疲労で回らない頭を使って、必死に考えをまとめようとする。
彼は、ダニ一ルは、イライ.ジャの命令に服従せざるをえなかったとはいえ、
あの酷い嵐の中という危険な状況において、
天候の激しい変化に適応できない地球人を一人残して逃げざるをえなかった。
そのことを激しく悔やむあまりに、回路のどこかが異常を起こしてしまったんだろうか。
イライ.ジャはとっさに口を開こうとしたがふと思いとどまる。
ダニ一ルはロボットだ。人間と同じ表情で、人間と同じように悔やんでいるからといって、
こういう時、人間に接するのと同じ言葉をかけるのが果たして最良のことなのだろうか。
彼は一瞬戸惑う。ダニ一ルの陽電子頭脳の中で起こっている葛藤を解決してやることが、
人間の義務に他ならないとしたならば、それでは、人間は、
たった今ダニ一ルの側にいる自分は、一体どのような命令を与えれば、
この葛藤と挫折が彼の頭脳に与える損傷を最小限に食い止めることができるのだろうか?
イライ.ジャはしばらく考えこんだものの、ロボットの仕組みなどには全く疎い彼には、
結局、有効な解決策などは一つたりとも思い浮かばなかった。
彼はあきらめて口を開く。

「きみはぼくの命令に従って正しいことをしたんだから、そんなことは気にしなくてもいいんだ…」
イライ.ジャは自分の声の力の無さに情けなくなった。
「前にも言ったけれど、きみが捕まれば本当に絶望的なことになっていたんだ。
それに比べれば、ぼくひとりの身の安全くらいは取るに足りないことなんだ。
…きみはわかってくれないか?」
そう諭しながらも、彼は自分の能力の限界と、人間とはあまりに異なるロボットの思考能力の
限界を感じて苦々しい思いにかられる。
そして彼の予感したとおりに、そのような二つのものを天秤にかけることのできないダニ一ルは、
表情の無いはずの瞳に、心なしか暗い色を浮かべて呟いた。
「いいえ、何か他にやり方があったはずなのです。
私がもっと適切な判断をしていれば、このようなことにはなりませんでした。
あなたを精神的に痛めつけてしまうような結果には」
「違うんだ、ダニ一ル、そうじゃなくてだな…」
もどかしさと無力感で、イライ.ジャは頭を抱えてしまった。
なんという近視眼。なんという愚直なまでの忠実さ。
イライ.ジャはふと、時計の文字盤の上を、ダニ一ルの指先がゆっくりと撫ぜていくのに気づいた。
その動きのあまりのぎこちなさに、イライ.ジャの背筋が冷たくなる。
ダニ一ルの頭脳の回路が衝撃を受けているのか、と彼は思った。
人間に及ぼされそうになった危険を回避できなかったことで、
三原則が彼の機械の頭脳をきりきりと締め付けているのだろうか。
壊れるのか?ダニ一ルが、こんなに簡単に?
「私の失態です。あなたがお仕事を終わらせたらお詫びしなければならないと、ずっと考えていました」
イライ.ジャは途方に暮れてしまった。
ダニ一ルの損傷を防ぐために何をどうすればいいのかなんて、彼にはちっとも分からなかった。
「ダニ一ル!」
「何でしょうか」
苛立って怒鳴りつけてもその後どうしていいのかわからずに、
彼は思わず髪の毛をくしゃくしゃとひっかき回した。

大体が、ロボットのことなんて何も知らないのに、
そもそもダニ一ルを機械のかたまりとして適切に扱うなんて無理に決まっている。
イライ.ジャは覚悟を決め、目の前のロボットと向かいあい、今度は静かに呼びかける。
「ダニ一ル」
「はい」
「きみのやるべき事と、ぼくのやるべき事が不幸にも一致しなかったのはしょうがない。
ぼくはぼくの信念に基づいて行動したし、きみだってもちろん正しかった。そういうものだ。
人間の社会では、こういう衝突はよくあることなんだよ。
だからこんな事にいつまでも捕らわれていてはいけない。
きみはロボットだけど、ぼくはきみを唯一無二のパートナーとして心から尊敬している。
だからこんな事を言ってるんだ」
ダニ一ルは、イライ.ジャの目を見つめながら、彼の一言一句にじっと聞き入っている。
イライ.ジャは急に、疲れ切って椅子に沈み込んだ自分の姿の頼りなさに思い当たり、
あわてて精一杯背筋を伸ばす。
「ダニ一ル、どうかわかってくれないだろうか」
「できる限りの能力を使って、理解しようとしています」
「ダニ一ル…」
思うように言葉が出てこないのがもどかしかった。
「きみがそんな様子だと、ぼくは地球に帰れないよ」
突然、ダニ一ルが意を決したように顔を上げて、イライ.ジャの目をじっと見据えてくる。
「私はあなたを傷つけてしまいますか?」
それを聞いて、イライ.ジャの口から漏れたのは、
乾いた音の無い笑い声だった。
「そんなことがあるもんか」
イライ.ジャはすぐに否定して見せたが、けれども、ダニ一ルの表情は相変わらず変わらない。

ロボットのこの青い瞳の奥では、こんな泣きたいような気分で笑っている情けない表情は、
一体どういう像を結んでいるのだろうと、イライ.ジャはぼんやりと考えた。
ダニ一ルに言葉がどうしても届かない。
自分たちが共有しているのが、この底の抜けるような無力感だけなんて、
そんな馬鹿な話があってたまるものか。
イライ.ジャが気力を奮い起こして口をもう一度開きかけた時、
ダニ一ルはそっと溜息を漏らし、ささやくように言った。
「もし差し出がましい申し出であったならばお詫び致します」
「どうした?」
「せめて私に、この時計を修理させてはいただけないでしょうか?」
精一杯の妥協点を探ってきたというような感じだった。
あきらめと安堵が半々に入り混じったような気分でイライ.ジャも溜息をつき、
ダニ一ルに向かって笑顔を浮かべてみせる。
「それできみの気が済むなら」
「どうもありがとうございます」
ダニ一ルが慎ましく目を伏せ、時計のバンドをゆっくりと外しにかかる。
「ただ、わかってくれ。きみは間違ってはいなかった」
イライ.ジャがそう呟くと、ダニ一ルの指が一瞬止まった。
「そう仰っていただいて、とても嬉しく思います、パートナー・イライ.ジャ」
ああ、やはり駄目なのかとイライ.ジャは思った。
きっと、ダニ一ルは理解していないのだろう。
人間である自分を傷つけないために形式的な謝礼の言葉を言っただけで、
彼の頭脳回路は、きっと何も理解していないのだ。
失礼致します、と呟いて、ダニ一ルは腕から外した時計を手のひらの中に握り締めて立ち上がり、
隣の部屋へと立ち去っていった。
イライ.ジャもその後に続き、ほろ苦い気分をかみ殺しながら起き上がると、
ロボットの背中について歩いていった。

窓から差し込む光のために、隣の部屋は明るかった。
けれど、先ほど「そと」に出た時とは光の色が変わっているように、イライ.ジャには思えた。
部屋の中に、椅子に座ったダニ一ルの背中が見える。
イライ.ジャが肩越しに覗き込むと、彼はすでに腕時計を分解し始めているところだった。
ダニ一ルは手を止め、イライ.ジャの顔を覗き込むと、気遣わしげな声で言う。
「お疲れでしょう。あちらでお休みになっていて下さい」
「いや、いいんだ」
イライ.ジャはそう言って手を振って見せながら、ダニ一ルの隣に座り込み、
その手元に目を落とした。彼の指の動きは緻密で繊細で、
さっき時計の文字盤をなぞった時のぎこちなさはすっかり無くなっていた。
その器用な手の動きを見て、イライ.ジャはほっとため息をつく。
ふと目を上げると、目の前の窓からは「そと」の光が差し込んできていた。
先ほどの白っぽい光ではなく、飴色をした穏やかな光に変わっていて、彼にはそれが不思議だった。
イライ.ジャの目線の方向に気づいたダニ一ルが、すばやく立ち上がりながら言う。
「申し訳ございません。ただ今遮光カーテンをお閉め致しますから」
けれども、イライ.ジャはロボットの手首を抑えて笑ってみせた。
「ぼくなら大丈夫だ」
ダニ一ルはイライ.ジャの顔を、嘘を見抜こうとするようにしばらくじっと見つめていたが、
やがて危険はないと判断したのか、失礼しました、と呟いて修理に戻った。
窓から差し込んでくる、弱く暖かな太陽の光を受けながら、
イライ.ジャはダニ一ルの手元にじっと見入っていた。

「さっきとは光の色が変わっているようだが、ぼくの気のせいなのかな?」
ダニ一ルの手の中できらめく、工具の反射の光を見つめながら、彼はそう聞いてみる。
「いいえ、そうではありません」
「どうしてこんなことになるんだ?」
「午後を大分まわりましたから、もうすぐ日が沈むのです。
太陽がこの惑星から遠ざかっていくものですから、
私たちから見えるのが、長い波長の赤色の光だけになりつつあるのです」
そういえば、あまりに赤い夕日を見た眩暈のせいで気絶して危うく死にかけたこともあったなと、
イライ.ジャはほんの少しだけ苦々しい気分でそれを思い出したが、
今のこの夕方の光には、全くそのような暴力的なところはなく、
むしろ浮き立つような、快い非現実感を彼に呼び起こさせた。
思考がふらふらと、どこかに迷っていく。
遠い昔、父親だったか、叔父だったか、こういう風に黙りこくって、
この時計の中身を直していた。そんなことをイライ.ジャは唐突に思い出す。
こんなにたくさんの部品が組み合わさっていて、
それでもちゃんと動くのが不思議で仕方がなかった。
そして、記憶の中のその表情は、今目の前にいるダニ一ルと同じように、
穏やかだが真剣な顔をしていた。
その頬は、暖炉の火の照り返しを受けて、こういうふうにほの赤く染まっていた。
こういう光景は、昔からずっと繰り返されてきたのかもしれない。
それこそ、時計というものが地上で最初に発明された時から、滞りなくずっと。
窓から差す日の光が、だんだんと赤みを帯びてくる。
もうすぐ、この星から離れなければならない。
次にダニ一ルに会うのはいつになるだろう?
もしかすると、こっちが生きているうちには会えないかもしれないな、と、彼はふと思った。

「きみはぼくのことを覚えていてくれるか?」
組みあがっていく時計に目を落とし、どこか遠くをさまよっているような気分のまま、
イライ.ジャはそう聞いてみた、
「私には忘れるということができません」
落ち着いた声がすぐさま答える。
「そうだな。…くだらない質問だったかな」
「けれども…」
ダニ一ルの指が止まった。イライ.ジャは顔を上げ、
何か思案しているようなダニ一ルの言葉が形を成すのを待った。
ロボットの青い目が、太陽の光を受けてきらめいた。
「けれども、もし何らかの不都合が発生してしまって、
あなたに関する記憶を私の回路から抹消しなければならなくなったならば…
その処理が行われる時には、私の頭脳の回路には、著しい損傷がもたらされるでしょう…」
ダニ一ルはイライ.ジャの顔を見下ろした。
「一体それが何故なのか、その理由は判りかねるのですけれども」
イライ.ジャには、感情のないはずのダニ一ルの顔に、
ひどい困惑の表情が浮かんでいるように見えた。
イライ.ジャはダニ一ルを安心させようと、
彼に向かって笑ってみせ、その腕を二、三度叩くと言った。
「きっとそんなことはないと思うよ」

そろそろ時間だった。地球行きの船が出る。
彼は初めて、この惑星から離れるのを名残惜しく思った。
甘く穏やかな、この外の光から離れるのを残念に思った。
「時間ですね」
ダニ一ルがそう呟く。いつの間にか、既に時計の修理は終わっていた。
「やれやれ、次こそは刑事の身分なしできみに会いたいもんだな」
不思議そうに見下ろしてきているロボットに向かってイライ.ジャは言った。
「地球のためだとか何のためだとか、誰かの理由に振り回されるんじゃなくて、
今度こそはぼく自身の意志で、ここまできみに会いに来よう」
そういうことだよ、と、イライ.ジャは少し照れながら付け足した。
感情のないはずのダニ一ルが、まるで戸惑ったように目を二、三度瞬く。
そして、ゆっくりと控えめな微笑みを浮かべる。
「恐縮です」
ダニ一ルは、片手に持った腕時計を、布で二、三度拭いて言った。
「あなたをお待ちしております」
そう言って、ダニ一ルはイライ.ジャに腕時計を手渡した。
「ありがとう」
ダニ一ルは、イライ.ジャに向かって軽くうなずいてみせると立ち上がり、壁のスイッチを押す。
四方のカーテンが閉まって一瞬暗くなった後、代わりに真っ白な室内灯がともる。
手首に巻きつけた腕時計の、ひやりとした感覚が、イライ.ジャを唐突に現実に引き戻す。
時計の秒針が心臓の鼓動と重なり、全身に染み通っていく。時間の感覚が戻ってくる。
ダニ一ルの目は、白く明るい光に照らされて冷たい青に輝いていた。
さっきまでの夕暮れの光と、何か切なく穏やかな空気は、
その部屋にはすでにかけらも残っていなかった。
忘れがたい昔の記憶が、朝方に溶けて消えてしまうようなはかなさにわずかに戸惑いながら、
名残惜しいような気持ちで、イライ.ジャはカーテンの閉まった窓を見やった。

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 | |             .| |           ヌルクテスマソ
 | | □ STOP       .| |           ツヅキハアシタ
 | |             .| |           Λ_Λ 
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