Top/S-57

530-2

機関銃のように言葉を継ぎながら、視線は原稿に落としたまま赤ペンで下線やら
囲みやら矢印やら何かの記号をちゃっちゃと記して行く。
「それよりフロア違いだぞ聡見、ここは外科と救急、内科の分科会は4階だ。
さっき受付で見て来た。それとも僕の発表を聞きに来てくれたのかい?
それならそれで嬉しいが、わざわざ横浜くんだりまで来なくても発表原稿と
スライドのコピーくらいいつでも研究室の方に届けさせたのに。まぁせっかく
来たんだから聴いてってくれたまえよ僕の番はすぐ次だから――」
その時原稿は最後のページに到達していた。最終パラグラフの下を二重の
カギ括弧で閉じると左に大きく「Q」と書き入れてペンをカチリと戻し、
マシンガントーク男はようやく顔を上げた。
「聡見……?」
かすかに眉をひそめて振動を見た次の瞬間、あ!という形に小さな口が開く。
「これは失礼。とんだ人違いを」
「……いえ」
彼が初めて発した声に、相手は大きな目を更に丸くした。人違いに気付いた
時より驚いた表情になったのは何故なのだろうと振動は不審に思う。

 +++

とりあえずここまで。


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