Top/S-20

R.S.3_LxM 15

道が乾いた。

よく晴れた日。
馬車が到着し、使いの者が城へ入った。
豪華な土産物を広げながら、使者がロアーヌ侯フランツの言葉を伝える。
それは感謝の言葉であり、国の更なる発展を祈るといった月並みなものであった。
伯爵は丁寧にそれを受けながらも、内容に耳を傾けてはいなかった。

ミカエルの荷物が次々と運び出される。
やがて彼自身も使者と共に礼を述べ、玉座の間を去った。
悲しみや虚しささえ沸いてはこない。
初めから、一年と決まっていたことなのだから。

外に出たミカエルが、使者と打ち合わせをした後で言った。
「帰る前にもう一度、伯爵のところへ行ってくる。」
吸血鬼の城へ一人で向かうことを心配した御者が、慌てて止めようとする。
「私は一年間ここにいたのだ。危険など無い。」
自信に満ち溢れた笑顔。
御者は門の前で待つ旨を伝えた。

颯爽と城へ向かうミカエル。
使者はその後ろ姿を見て、一年前との違いに気づいた。
前から賢さと、ある種の鋭さを持った少年であった。
それが今では指導者としての魅力まで感じられるのだから。
この城へ行く事で、吸血鬼にされると恐れていた者もいたというのに。
僅か一年での、この成長振りはどうだろう。
「貴方の選択は、間違いでなかったようだ・・・。」
幼い頃からの友として、そして君主として。
その判断の正しさを、嬉しく思う。
ロアーヌ侯爵フランツが、息子をこの地へ送ったことを。


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