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告白

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 日曜バイク、笛×太鼓 その4モナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| この板の本スレはそれどこじゃないけどな
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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今日も今日とて太刀花は暇だ。
今日付けの日係新聞も読み飽きた。
ちよっと散歩にでも、と思ったが外はしっとりと五月雨が降りしきってる。
こりゃ止みそうにないな。
それにしてもいい雨だ。春の雨はいい。
雨が降るごとに木々の緑が濃くなってゆくのが感じられる。

静かだ。
ガラッ
「比゛キさん!?」
「うおわっ!?」
び、びっくりした。
何事かと振り返ると、背の高い青年が戸を開けかけたまま突っ立っている。
突然静寂を乱したそいつは、端正な顔立ちを驚きの色に染めていた。
「修行のはずじゃ!?」
なんだ俺がいたことに驚いたのか。
「いやね、山のおばあちゃんが風引いちゃってさ」
「えっ大丈夫なんですか?」
「うん。娘さんが看病に来てくれたって言ってた」

「そうですか。それならよかった」
ホっと胸をなでおろす。
「いや、待ってください。よくないです」
「え?いいんじゃないの?」
「いいんですけど、良くないです。だって比゛キさんが太刀花にいることになっちゃったでしょう」
「ああ、うん、まあね。そんなに嫌がらなくても」
まあ気持ちはわかるんだけどね。あんなことになった後だし。

先日、俺を訪ねてきたこいつ――角の後輩のイヴキはとんでもないことを持ちかけてきた。
いわく。
太刀花にくると興奮してしまうから発散させてくれ。
いつも落ち着いているイヴキらしからぬ、とんちんかんな物言いだった。
他に言い方はあったろうに。
理由は大方察しがついた。
こいつは真面目だから、女の子なんていくらでも寄ってくるだろうに、適当に手を出すなんてことができないんだ。
でもヤリたいさかりだから、しかたなく俺のとこにきたんだろう。
それで結局最後まで“手伝って”やるはめになったんだけど。
俺はものすごく後悔した。
いくら可愛い後輩のためとはいえ、あんな惨めな格好を人前にさらすことになるなんて。
おかげでその後顔を合わすたびに気まずくてしょうがない。
おそらくイヴキも似たような心情なんだろう。
そろそろお兄さんが夜の街の遊び方ってヤツを教えてあげないとな。

「だってまだ決心がついていないんですよ。困ったな。でももういいか」
後輩はよくわかんないことをブツブツとつぶやいている。
「とりあえず座ったら?」
「あ、はい・・・・・・よし。じゃあ」
何か決意したらしい。キリっとした顔になって俺の前に腰を下ろした。
何しにきたんだろう。
「あの」
「うん」
「好きって一言で言っても、色んな種類があると思うんですよね」
「なに、いきなり」
「友達と恋人じゃ、同じ“好き”じゃないじゃないですか」
「友情と恋愛の違い、みたいな」
「そうです。友情、恋愛、親子愛、あと尊敬とか・・・僕が霞さんに対して抱いていた想いって、
血縁の情に近いものだったみたいです」
「オイオイ、母ちゃんなんて言ったら霞に殴られるぞ」
「違いますよ、どちらかといえばお姉さんです」
「姉御!」
「お姉さんです」

「ふーん。霞のことは、恋愛対象とは違ってたわけだ。・・・・・・恋愛したこと無かったわけじゃないよね?」
応援してやってたのになあ。まあ霞はその気ゼロだったみたいだからこれでよかったのか。
「はい。でも、こんなに悩んだのは初めてですね」
お?それって
「なになになになに~誰よ?」
興味津々で乗り出すと、イヴキは唇の両端を吊り上げて薄く笑みを形作った。
「当ててみてください」
「悩んだってことは~えっ!まさか晃!?」
「違います」
「火中とか。都だ山さんにベッタベタだもんな。後はえーっと、美土里」
「違います」
「松山さんの奥さんは?」
「違います」
イヴキの声のトーンは一定だ。唇は相変わらず笑みを刻んでいる。
「じゃあ吉野の・・・」
「ヒントは柴又にいる人、です。でも絶対わからないと思います」
「そこまで言われるとなー答え言うなよ、当てるから。じゃあ意外な人物なわけだ。ひょっとして・・・・・・少年とか!」
「あ、ある意味近いです」
あっけらかんとイヴキは言ったが。

それって。
なんてな、と笑い飛ばそうとした俺は引きつった笑い方をする羽目になった。
のんびりとした空気が一瞬で重たくなる。
これって結構重大な話?
なんか最近こいつといると、こういうシリアスな雰囲気になるの多くないか?
「当たって欲しくないけど、お、おやっさん・・・」
「言うと思いました。良かったですね。外れです」
いやむしろ当たってたほうがまだよかった気がしないでもないんだけど。
「まあ聞け、イヴキ。お前はねー、真面目すぎるんだよ。ほら、この間さ、俺らちょっとヤっちゃったじゃない。
んでお前は真面目だから、セックスしたらその人と恋愛関係にならなければいけないとか思っちゃってんだろ。
安心していいよ。そんなことないから。お前だって処理って言ってたでしょ。責任とか感じなくていいから」
「そうですね。でも残念ながら、この感情は比゛キさんとする前から抱いていたものなんですよ。いや、むしろ
この気持ちがあったからあんな事を頼む羽目になってしまった」
「落ち着けって」
「落ち着いてますよ。言わせてください。比゛キさん、好きです」
かーっと顔が火照るのが感じられた。
直球ってこういうのを言うんだろう。ど真ん中ストレート。
そういえば霞へのアピールも積極的でストレートだったっけ。
この球をホームランボールにするにはどう打ち返せばいいんだ・・・・・・

「そうか、ありがとう。俺もイヴキのこと好きだよ。じゃ、俺ランニングしてくるね」
これでどうだ。そそくさと出口まで移動する。
「さっきの話でいうと、恋愛対象として好きです」
イヴキはわざわざ止める気は無いらしく、座ったままで顔だけこちらに向けて言った。
「好きです。お返事はいつでもいいです。気長に待ちますから」
「お前これじゃファールボールだよ」
がっくりとうなだれてしまう。
「はぁ」
「人がせっかくこう、さらっと打ち返してやったのに・・・・・・いやしかし逃げてちゃ解決にならないな。う――――ん、そうか・・・」
「いくらでも待ちます。考えてからで結構ですから」
「考えるったってなあ」
「・・・・・・比゛キさんは、僕のことお嫌いですか」
「いやいや、お前いいやつだし。むしろ尊敬してるよ。その年で立派に弟子まで育てて。俺とはえらい違いだ」
「そんな、とても比゛キさんには敵いませんよ。・・・・・そうですか。そうですよね。そんな対象には見たこと無いってことですよね」
「まあ、ね」
だってさーと口を尖らせていると、いつのまにやらイヴキが俺の目の前に来ていた。
「でもじゃあ、これからそうなればいいんですよ」
「お前自信家だな。だいたいね、順番がバラバラなんだよなー」
「順番ですか」
「普通お付き合いってのは、告白、手つなぎ、キス、セックスてなもんだろ。もうお前先にやっちゃうしさ。最初にさ」
「じゃあ、改めて。キスしていいですか」

「ぅえっっ!?」
言うが早いか、やけに綺麗なその顔が近づいてきたかと思ったら、唇同士が触れていた。
・・・・・・おいおいおいおい、いきなり舌入れるの?
「んっ・・・」
こいつ、上手いなあ・・・じゃなくて。
両肩を掴んで思い切り押し返す。軽く息が乱れてしまったのが悔しい。
「・・・・・・すいません。見てたら触れたくなっちゃって」
「あのね」
「あ、これの前に手をつなぐんでしたっけ?まあいいか。それはまた次回ってことで。じゃあ、僕行きますね」
さらにその前に告白のOK をもらうって入れ忘れた。
「結局何しにきたの」
「美土里さんにディスクのメンテ頼んでたんです。下にいらっしゃいますよね。ではまた」
貴公子然と微笑んで、一陣の風は去っていったのだった。

俺の中に嵐を残したまま。

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 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 次は残木氏にも登場していただきたいな
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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