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銀河ヒッチハイクガイド

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                    |  銀河匕ッチ八イク力゛イド(の続編)から
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 彼らがこの沈黙した船に閉じ込められてからもう随分の時間が経ったような気がする。
フォ一ドは既にコンソールをいじることを止めていた。船に残された三人はひとまず一杯
ずつ紅茶を堪能したが、その後は何とかする努力を放棄していたのだ。
「それにしてもさ」
 ア一サ一はカップの中で美味しい紅茶を揺らしながらフォ一ドに声を掛けた。この状況
下において最も役立たずの彼はソファに座って銀色のティーポットにまだたっぷり残って
いたお茶を今度は最後までストレートで味わっている最中だ。
「今までもそりゃ色々あったとは思うけど、まさか急にこんな風に閉じ込められるなんて
思ってもみなかったよ。ライフラインは止まってないみたいだから助かるけどさ」
 カップに鼻を近づけて匂いを堪能してからお茶を一口飲み込む。まったく、あの騒動の
あとでこいつが出てきたときには喜んでいいやらなんやら、内心忸怩たるものがあったが
こうして実際に飲んでみると完璧だとしかいいようがない。
卜リリアソはシャワーを浴びてくるわと言い残して彼女の部屋へ戻っていったし、お茶を
飲む以外にやることもない。
「色々あったって?」
 フォ一ドはア一サ一の隣に座ると彼の顔をじっと覗き込んだ。
「いや……、きみに言わせればどうってことないことなのかもしれないけど」
 ア一サ一は口ごもりながらお茶を飲んだ。スコーンとジャムが欲しくなったがそこまで
要求しようものなら今度は本当にこの船がどうにかなってしまうかもしれない。なにしろ
紅茶の一杯で危うくヴォゴソ人に撃墜させられるところだったのだから。
それから隣に座ってこちらを見つめているベテルギウス星の友人が、お茶のお代わりまで
している自分をどう思っているのか気になり、空になったボーンチャイナのカップを手で
もてあそびながら訊いてみた。

「やっぱりゼイフォ一ドが心配なのかい?」
 返答は明確に「いいや」だった。心配したってどうしようもないし、こっちが心配して
どうにかなる男でもない。
「じゃあ…もしかして、なんでこんなやつを助けたんだろうって後悔してるの?」
 ア一サ一の問いにフォ一ドは目を丸くした。
「一体何をどうやったらそういう話になるんだ?」
「だってさ、このお茶のこともそうだけど、ぼくのせいで迷惑をかけたわけだし」
 口ごもりながら、だから自分はゼイフォ一ドにサル呼ばわりされるのかとも思ってみた
が、どっちにせよあの男はア一サ一をサル呼ばわりし続けただろう。恐らくゼイフォ一ド
にとってはそもそも、地球人など卜リリアソ以外まったく目に入っていなかったのだ。
「ア一サ一、きみは考えすぎだ。考えても意味のないことばかり考えているぞ」
 フォ一ドが笑って肩を叩いた。
「なんで、なんて考える段階じゃない。ぼくらは結構長い間仲良くしてきただろ。それで
充分じゃないか。きみを助けたのに他の理由なんかない。地球はうんざりするほど退屈で
たまらなかったけど、その中でぼくが15年間我慢してこられたのは、きみがいたからだ」
「だけど、もし地球が壊れる前にきみを拾ってくれる宇宙船が来ていたら、きみはきっと
ぼくを置いて帰ってしまっていたんだろう?」
 否定はしないよ、というのが答えだった。
「だってきみはぼくのことを、大勢いる友達の一人としか見ていなかっただろ? なのに
きみを宇宙へ連れ出すなんてできる訳がない。こういっちゃ悪いけど、地球が壊れてくれ
たおかげで、ぼくは素直になれたんだ」
「素直に……」
 間近な距離で相手の目を見つめ返しながら、ア一サ一はなんとなく前にもこんなことが
あったぞと思った。あれは地球最後の日だ。家の前の泥に横たわって頑張っていた彼を、
フォ一ドは言葉巧みにパブまで連れ出して酒を飲ませた。

「待ってくれ、なんだろう、変に頭がぐらぐらする。それに、なんていうか――」
「うん?」
「変だな。いや、ぼくにはそういう趣味はないはずなんだけど――」
 ア一サ一は知る由もなかったが、これまたフォ一ドの特殊技能の一つが発動中だった。
ちょっとしたフェロモンのコントロール術なのだが、どうやら地求人にもある程度は通用
するらしい。
「ええと、フォ一ド? なんだかぼくらの距離、ちょっと近すぎやしないか?」
 ア一サ一は目を逸らそうとしたが、フォ一ドに手をつかまれてまた彼を見つめた。
「気にするなよ」
「だけど……」
 またア一サ一は口ごもる。いったいベテノレギウス人にもゲイがいるんだろうか?
「そんな観念捨てちまえ」
 他人の考えを読んだかのようにフォ一ドがいい、ぐっとア一サ一の背中を抱いた。
フェロモンの誘惑に抵抗するのも無理なようだ。
 ア一サ一は目を閉じて、生まれて初めてする異星人とのキスを受け入れた。
 紅茶の味だ、と当たり前のことを思い、だけど気持ちいいな、とも思った。
 キスを終えたフォ一ドは真剣な表情でア一サ一に告げる。
「ずっときみが好きだった」
「そういうことはキスの前に言ってくれよ」
 ア一サ一は相手の赤毛を軽く引っ張り、今度は自分からキスしにいった。
 もしかして自分も、地球から離れたことで素直になれたのかもしれないと思いながら。

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