ナイフ×眼鏡
更新日: 2011-05-01 (日) 17:55:33
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| またも触発された「対決(要和訳)」ナイフ×眼鏡だモナ‥‥。
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| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| またも微グロなんで嫌いならスルーよろ。
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| | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マタマタカヨ!
| | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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先達に触発されてまたやります。
コスプレ編ごちそうさまでした!
ナイフ視点で出会い~あの森まで。
はじめて見た時から気になってた。
筋金入りのガンマニアって触れ込みだったから、すっげえマッチョか一目見て判る基地外だとばっか思ってた。俺みたいにね。
ヤツは女の子みたいだった。それも地味な。
神経質そうな黒髪、金気丸出しで光る眼鏡、吹けば飛ぶような体つき。世間に何もキョーミネーって面してやがる。
いろんな銃器を扱って、俺たちが用意した的を全部キレイに射抜いてった。チビがヘマして逃がした的が向かってきても、まったく動じずに一発で仕留めた。返り血浴びてもこともなげに突っ立ってる。
見てた連中がおお、とか言って手を叩いたって気にもしやしない。尻ポケットから取り出した布で拳銃を拭って大事そうにしまいこんでる。オイ、顔は拭かないのかよ。
「なあ」
「何」
声をかけたら、心底嫌そうな顔しやがった。
「テッポー好き?」
てっぽー、と繰り返すヤツは無表情で、だけど眼鏡の奥でちょっとだけ瞬きした。
怒るかな。怒れ。
本性見せてみろ。
「ハンドガンと軽機銃とだったらどっちが好きかって話?それかメーカー?今使ってんのはベレッタだけど、特に気に入ってるのはこの93Rかな。3点バースト最高だから」
眼をそらしたまま早口にヤツは言った。
「……え?」
「3点バースト。これ」
足元に転がってるさっきの的を指差した。派手な弾痕。
「フツーに撃つとこうなんだけど、」
ぱん、と銃声。的にまた一つ穴があく。
「切り替えると」
ばん!
的の顔がミンチになった。
「…3点バーン」
「違う。3点バースト」
「バースト?」
「そう。便利だろ、一度に3発撃てるんだ」
「ああ、そりゃ便利だ」
なんか情熱的なのは判るけど、声も顔もまったくの無表情でヤツはまくしたててる。
怒ってない、のか?
無愛想なのは地顔ってやつだろうか。
「アンタは何つかうの」
「俺?俺は…あるやつを適当に」
「ふうん。こだわらない派?」
「まぁね。よく判んねんだよ要は。テッポーは撃てりゃいいかなって」
「もったいないよ、それだけじゃ」
ヤツはちょっと笑ったように見えた。
怒らせて遊んでやろうと思ってたのに、調子狂うぜ。
でも眼元がやわらいだら全然印象が違う。面白いな。
俺が見てる間に、ヤツは自慢のコレクションを並べてひとつひとつ講釈をたれはじめた。テキトーに相槌をうってると、俺好みの銃を選び出して握らせてくれる。
ぴかぴか光るオートマ、としか俺には判らない。ヤツのベレッタに形は似てる。取り回しも楽でセミオートの反動も少ない、何より壊れない、んだそうだ。
「撃ってみてよ」
言われるまま発砲する。
ぱん!
「…あっぶねえな!」
足元をえぐられたらしい長髪が向こうで吼えてる。
「ちょっと練習いるかもね」
「や。いんだよ」
俺は懐に手を入れ、愛用のナイフを取り出して投げた。
狙いは確実。騒ぎたててる長髪の顔のそば、木の幹に勢いよく突き立った。
「テッポーよかこっちが好きなもんでね」
「へー」
自慢の銃器を役立てなかったってのに、ヤツは楽しそうに笑っていた。子どもが喜んでるみたいな、飾りっけも混じりっけもなしの笑顔。
「すごいな」
「すごいだろ」
「うん。すごい」
俺も嬉しくなって笑った。
もっと笑え。その顔が見たい。
「楽しそうにやってたな。何話してたんだ」
いつも嫌味たらしい声が話しかけてくる。気楽そうななりをしてても実力者で、俺たちの行動は大体把握されてる。
まったく腹が立つヒゲ野郎だけど、今のところは表立って逆らわない。まだ俺には力がたりないから。
「仲間うちのコミュニケーションを深めてたんだよ」
「嘘つけ」
むかつくヒゲに、俺はあえて笑ってみせた。
ちょっかいを出しに行ったのは本当。でも途中から妙にフレンドリーな感じだったのも本当。
あんなヤツははじめてだった。
「いつも誰彼構わずつっかかってばかりのお前がね。珍しいこともあるもんだ」
「そんなこたありませんよーっと。俺いっつも子猫ちゃんみたいにおとなしいだろ」
「舐めた口たたく子猫ちゃんだな」
顔は見たくないのでアゴヒゲを見てた。よく動くヒゲが真っ黒い何か別の生き物に思える。気色悪い。
「まあいい。せいぜい仲良くやんな」
肩に手を置かれた。気安く触るな三白眼。ヒゲ野郎。
「どんだけ仲良くなろうと俺は構わん。決まってたことだしな」
「あ?」
「ま、そのうち判るさ」
思わせぶりに吹くだけ吹いて、ヒゲが見えなくなる。背を向けたんだ。
いつかその面切り裂いてやる。胸糞悪い。
触られた肩を払うのに夢中で、俺はそのときの言葉の意味なんか考えもしなかったんだ。
そう、最期の最後まで。
勝ったと思ったのに。勝ったと。
差し込まれた指の感触。痛みよりはるかにおぞましい、拭いきれないこの感じ。
じかに触られた心臓が嫌がってもがいてる。俺の体の中を勝手にあばくな。嫌だ。嫌だ。
侵されるのは嫌だ。
どれだけ殺そうと、誰の血にまみれようと構わなかった。
戦うのは好きだった。傷つけられるのだって当たり前。戦いってのはそういうもんだ。
ヤツがそばにいてくれるなら何だって怖くない。
キレイな髪の毛。眼鏡越しに俺を見るあの眼。
何よりも誰よりも大事な。
俺はただ、ヤツと二人でずうっとそうしてたかったんだ。
愛した相手と楽しく生きて、死ねればそれでよかったんだ。
俺自身のまま。
必死に逃れたけど意識が遠くなる。思ってた以上に傷は深いようだ。
斜面を転がりおちたらもう動けない。チビに恵んでもらった拳銃も無駄弾撃っちまった。
もうどうにもならない。
ヤツは、ヤツはどうなった。
一生を誓った俺の、大事な。
銃声が聞こえたけど、この森ではそんなもの何の慰めにもならない。
おぞましいのは、死よりも存在を侵されること。
俺が俺でなくなる、ヤツがヤツでなくなること。
ここでは死なせてすらもらえない。
ヤツは。
息を切らしながら見上げた世界は、何とも嘘っぽい青色をしてた。
その視界に、あいつらが。
「永遠を、」
うるせえ。
ヤツの額に大きな弾痕が見えた。かわいそうに、望みは叶わなかったな。
弾が残ってなくて残念だ。せめて俺もお揃いの、見事な傷をつけてやりたかったのに。
ここで俺は消え、俺の存在だけがおぞましい何かになってうろつくだけだろう。ヤツだったものと一緒に。
俺たちだった体に残る指輪が、たぶん全てを見届けてくれる。
あいしてる。
あいしてるよ。
大嫌いな男の手が伸びてくるまで、それでもヤツだったものの顔を見つづけたかった。
だから、眼は閉じなかった。
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| | □ STOP. | |
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