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ゴミ捨て場に落ちていた男

雑談スレより
=====
290 名前:風と木の名無しさん メェル:sage 投稿日:2005/08/25(木) 19:34:37 ID:T9ZOK84X
敬語攻めってなんであんなに萌えるんだろう
どんなにヘボンでも敬語攻めが出てきたら見境無く萌える
あーどっかにイイ敬語攻めは落ちていないものか

291 名前:風と木の名無しさん メェル:sage 投稿日:2005/08/25(木) 19:36:03 ID:zKQ6Zoq5

290
さっき、うちのアパートのゴミ捨て場に落ちてたよ。

293 名前:風と木の名無しさん メェル:sage 投稿日:2005/08/25(木) 19:43:28 ID:2oExrrNq?

291
アパートの!アパートのゴミ捨て場に!
この荒れ狂う雨の中、ゴミ捨て場に!落ちてるのに!敬語な、しかも攻!

何か異様に萌えた。
彼にどんな事情が有って、どんな受に拾われて、どんな敬語責めを展開するのだろうか。ハァハァ
=====
この流れから三秒で妄想しました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(´∀` )勝手に展開させてごめんなさい。とう!

 台風が上陸するらしい。
 その日、東京では朝から断続的な雨が降り、時折吹く強風で、ビニール傘程度では
役に立たない有り様だった。スーツのズボンはぐっしょりと濡れ、水はけの悪い
革靴が不快な音を立てる。残業と外食で遅い時間に帰宅した原田は、アパートの
階段を三階まで一気に駆け上がると、鍵を取り出し……ふと思い付いて、振り返った。
 傘から滴り落ちる雨水を振払いながら、廊下の手すり越しに下をちらりと見やる。
 まだ、居るのか。
 安い賃貸アパートの玄関ドアが続くコンクリートの廊下と、目隠しの垣根が
途切れたそこには、狭い駐輪場の屋根も届かない、ゴミ置き場があった。色違いの
ボックスに挟まれて、空き缶が数個、転がっている。どうやら、回収日を無視して
出されたものらしく、コンビニのビニール袋とおぼしき口からは、さらにいくつもの
空き缶が顔を出していた。全ては、廊下の弱い電灯に照らされ、鈍い光を放ちながら
雨に打たれている。そして、ボックスにもたれたままの、黒く大きな固まりも。
 知らず、ため息をついて、原田は鍵をポケットに戻した。
 細かな雨つぶの吹き込む廊下をゆっくりと歩きながら、視線は黒い固まりを
凝視する。二つ並んだゴミ回収ボックスの隙間に、彼を発見したのは、一昨日の
朝だった。あまりに驚いて、変な声を出した上、持っていたゴミ袋を落としてしまった
のを覚えている。だが、膝を抱えてうずくまった男は、原田が恐る恐るゴミを捨て
小走りに逃げ出した時から、何度か遠巻きに伺っていた二日間、一度も顔を上げる
事がなかった。

 ひょっとして、死んでいるのだろうかとも思ったが、見る度、微妙に姿勢が変わって
いるので、一応は生きた人間らしい。薄手の黒いシャツとスラックスに、洒落た革靴
という服装から、浮浪者の類いではないのだろうが……それとも、宿無しの初期と
いうのは、得てしてこういうものなのだろうか。
 廊下の端から、ずぶ濡れの後頭部を見下ろす。
 アパートの住人や、ゴミ回収業者に、彼は何度も発見されているはずだ。それでも
この二日間というもの、誰一人として、彼に構った者は居ない。おそらくは、誰もが
他人の行動に期待して、見て見ぬ振りを決め込んでいるのだろう。原田自身も、何度か
警察に通報しかけたのだが、上手く説明する自信がなく、ずるずると先延ばしにしていた。
 それにしても、この大雨の中、よく平気で座っていられるものだ。
 せめて、駐輪場の中にでも移動すれば良いものを。それが出来ないのは、彼がここの
住人ではないからだろう。けれども、その奇妙な遠慮が、原田にはおかしく、また
腹立たしくもあった。
 そんな事では、宿無しでやっていけないぞ。
 男の短い黒髪は頭部にぺったりと張り付き、最初の日に見た時には光沢すらあった
服には、白っぽい泥が飛び散っている。そして、その汚れた全身をさらに雨が濡らし
水煙が覆ってゆく。雨足が強くなってきたのだ。
「……おい」
 情けないほど、小さな声が出た。
 おい、あんた。そんな所で、何をしているんだ。
「なあ、そこの」
 二度目の呼びかけも、囁きに近かった。ばたばたと響く雨と風で、こんな小声では
彼に届くはずもない。
 少し躊躇してから、原田は、持っていたビニール傘を階下に放り投げた。
 狙いは外れ、傘は駐輪場の辺りへと転がってゆく。しかし。
 ばさ、と軽い音を立てて落ちた傘に、男の顔が、本の少しだけ動いた。

 原田は、心臓が跳ねるのを感じた。
 男の、思いの外白い肌が、薄明かりの中でうつろに辺りを伺う。その視線が、ゆっくりと
上へ向けられた途端、原田の喉から、引きつった声が飛び出した。
「それ、ゴミだから。気にせず使いな」
 男の反応すら待たず、原田は廊下を駈け戻ると、鞄を取り落としそうになりながら鍵を
開け、自室に逃げ込んだ。ドアを閉めると、先ほどまで耳を打っていた雨の音は小さくなり
暗闇に追い付かない目が、狭いワンルームの空間を彷徨う。
 今、何を。
 冷たい鉄のドアに背中を預け、原田は呆然と立ちすくんだ。
 俺は、今、何をしたんだ?

 台風は翌朝には通り過ぎ、刷毛で引いたような雲と名残の小雨だけが、朝日に混じって
東京の空を覆っていた。原田が出勤の支度を済ませる頃には、さわやかに乾いた風が
吹き、途切れとぎれの青空が顔を出す。
 今朝は、やけに早く起きてしまった。ノーネクタイのシャツにスーツという格好で
畳にあぐらをかいた原田は、朝食のパン屑が残る折り畳みテーブルに肘をつき
ぼんやりと窓の外を眺めていた。
 今日は、晴れるのか。暑いだろうし、上着を着るのは止めようかな。
 時計を見ると、いつものバスが来るまで、まだ二十分もある。
 それからの行動は、原田自身にも、よく分からないものだった。
 二枚残っていた食パンに、バターとイチゴジャムを適当に塗りたくる。一つしかない
マグカップに牛乳を注ぐと、パンを乗せた皿と一緒に読み終わった漫画雑誌に乗せて
両手で持つ。鞄は脇に挟んで、玄関を出る。
 少し考えてから、お盆代わりの雑誌を下に置くと、部屋の鍵を閉める。
 まったく。夕べから俺は、何をやっているんだろうな。
 階段を下りる間も、あいつは野良猫じゃないんだぞ、と繰り返し思いながら
原田は、ぐらつく皿とマグカップをゴミ置き場へと運んだ。

 コンクリートの床は、まだ少し湿っていた。
 居た。
 相変わらず、膝を抱えたままの姿勢で、しかし、手には開いたビニール傘を持って。
 原田の足音が近付くと、男の上半身を隠している半透明の傘が、少し震えたようだった。
「よお。生きてるか?」
 返事は無い。原田は、相手の無反応にほっと息をついて、男の足下辺りに雑誌を置く。
「飯。余り物だから、気にすんな」
 すると、男が唐突に顔を上げた。
 原田が驚いてその場を飛び退ると、男もびくりと硬直して傘を握り締める。二人は
目を合わせたまま、しばらく無言で固まっていた。
 先に復活したのは、どうやら原田の方らしかった。どきどきと心臓を鳴らしつつも
こちらを見上げる男の姿に、冷静な視線を投げる。
 改めて良く見ると、男の服装は浮浪者どころか、かなり上等なものだった。生乾きの
シャツは、胸ポケットに原田でも知っている有名ブランドのタグが付いており、汚れた
靴も、角の立った上質な本革だった。社会人五年目の原田ですら、本革の靴など
冠婚葬祭用に買った一足しか持っていないというのに。
 黒尽くめの服装から、夜の仕事に関係した人にも見えるが、原田の想像するそれとは
違い、男は茶髪でも長髪でもない。無精髭に覆われた顔はやつれていたが、目に生気が
戻れば、もっと男前に見えるはずだ。実際、青ざめて憔悴しきった風情の今ですら
彼は原田もどきりとするほどの好男子だった。
「……あ、と。そういう事で」
 じゃ、とかなんとか、口の中でつぶやきつつ、原田は急いでその場を後にする。
 バス停に着くまで、原田は一度も振り返らなかった。何かに急かされるような、そら
恐ろしい気分のまま、上がった息を整える。

 一体全体、何者なんだ、あいつは。
 目が合った瞬間に、それと分かった。彼は、日本人ではない。
 白い肌に、真っ黒な髪と髭。彫りの深い目元に、尖った鼻。そして、あの瞳。
 灰色の瞳など、実際に見るのは初めてだった。そういう色の目があるとは知っていたが
テレビで青い目の俳優を見ただけでも驚いて関心してしまう原田にとって、黒や茶色以外の
瞳というものを目の当たりにした一瞬は、総毛立つほどの恐ろしい体験だった。
 東京には、いや、今の日本には、外国人など沢山居る。通勤の途中でも、街中でも
様々な人種の人々とすれ違う。それでも、原田は彼等をしげしげと観察した事などなかったし
ましてや、手を伸ばせば触れる距離で視線を合わせるなど、初めての経験だったのだ。
 アパートの住人達が、彼を放置するのも頷ける。身なりの良い成人男性、それも
明らかに外国人と分かる人物が、ゴミ箱の間で膝を抱えているのだ。
 恐ろしい。この得体の知れなさは、ただ事ではない。
 目の前でバスの扉が開く音き、原田はようやく我に返った。
 クーラーの効いた車内で、ぞくりと肩を震わせて、原田は重だるい胃をシャツの上から
撫でさする。
 困った。
 俺は、今日、家に帰って来る事が出来るのだろうか?

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・)早く拾うと良いと思うよ。

外出予定時間になってしまったので、とりあえずここまで。
続きは夜辺りに投下させて頂きます。つか、敬語攻なのにまだ一言も喋ってないし……。


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