親愛
更新日: 2011-05-01 (日) 22:07:46
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| 手強いシミュレーション新作のパラレルだってさ
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これは昔、大陸が正に戦乱の時代であり、
大小様々な国が統一を目指して争いを繰り広げていた頃の話である。
朋という小さな国があった。
場所を大陸の北に位置し、北方の騎馬民族と、大国である慧に南北を挟まれていた。
土地は特に豊かではなかったが、鉱山を所有し、
民は堅実で実直、兵は強健であり王の名の元によく統制されていた。
王の名は梁飛空という。
もとは滅亡した大国の将であったと言われているが、はっきりしない。
優秀な官吏と将を持ち、危ういながらも断続的な平和を保っていた朋であったが、
今まさに他国の侵攻を受けることとなっていた。
北方民族と慧が裏で手を組み、朋を我がものにせんと攻め入ったのである。
王は将軍・諸侯に号令し、自らも兵を率いて朋の未来の為に戦った。
やがて梁飛空は、激戦の果てに慧王の叔父である劉裁を捕らえる。
慧に武神ありと歌われた勇将・劉裁捕縛の知らせは、各将の勢いを更に果敢にさせた。
それと時を同じくして、蔡廉(サイレン)という州の城砦近くにて、
今度は朋国の一将が捕らえられた。
その者の姓は白、名は真、字は英公。
通称、白英公と呼ばれるその将は、朋王である梁飛空の義子である。
しかしながら朋軍諸将がその知らせを受けるのは、
白英公が拘留された時からやや日が経過した後の事であった。
白英公は、縄に繋がれ、護送されていた。
秀麗な相貌は少しやつれ、神経質なまでに丁寧に括られていた髪の
幾本もが顔を覆うように垂れ落ちている。
肩には裂傷を持ち、応急に手当てをした跡があった。
今までに手放したことが無い弓は無惨にも折れた状態で腰に佩かれていた。
彼は王の血筋の者ではなく、もとは朋の将軍家である白家の一員である。
ただし生母が身分の低い芸妓の女で、
家主である白少慮の「お遊び」により産まれた子であり、
嫡男どころか何人もの実子が存在する白家では邪魔者とされ、
奴隷以下の扱いを受けていた。
ある日、白家に歓待に呼ばれた朋王・梁飛空は、
庭で棒切れをあわせて作った弓で遊んでいる少年を見つけた。
薄汚く、ぼろを纏っていたが、水流ような直毛とその艶が美しく、
眉目が美しく、何よりその鋭く光る双眸がひとかどの将のものである。
更によく観察すると、少年は遊んでいるのではなく、
どうやら弓の修練をしている様子であった。
ただ、その弓は玩具のような出来栄えであったので、
梁飛空は思わず枯れ木を拾い、弓の作り方を教授してやった。
黙って、真剣に講義を聞く少年を梁飛空は見初め、
白少慮に相談して養子として引き取ることにした。
梁飛空が引き取ってすぐ、瞬く間に少年は正しい弓の扱いを覚えた。
型を習って直ぐに的の中央を射れるようになり、
さらに一年で逆向である左の構えで射れる事ができるようになり、
その二年後には、騎乗した状態で一定の間隔に置かれた的の中央に次々と当てる事ができるようになった。
また、弓だけではなく、太刀や槍の扱いも、
それを得意として扱う者たちに勝るとも劣らない腕をもつようになった。
そうこうするうちに少年は成人したので、梁飛空は「英公」という字を与えた。
自分亡き後、太子である実の息子の補佐官としようとしたのである。
ただ、それには、白英公にはひとつだけ問題があった。
梁飛空の実子でひとまわり年下の義弟、
将来仕えるべき主である筈の朋太子・梁天祥を毛嫌いしている事である。
自分は義子であり朋の太子にはなれない。
それが気に入らないのか、白英公は梁天祥と進んで関わろうともしないし、
顔を合わせれば厭味を投げつけてばかりいる。
梁天祥自身は、白英公の仕打ちを気にしてはいるが、白英公を憎んではいないようだった。
むしろ、この義兄とどうすれば近づける事ができるのかと、色々と試しているようだった。
梁飛空は、(義)子らのそういった様子を見ていたので、希望を捨てることはできなかった。
そして、二人をなるべく関わらせようと同じ戦場に送り、親愛を高めさせようとしていた。
しかしそれが、後の災いの種となるとは、その時点では夢にも思ってはいなかったのだ。
――慧国に隣接する南端に位置している蔡廉(サイレン)の燕城より援軍の要請が来たのは、
白英公が拘留される少し前、劉裁捕縛の知らせを得てすぐの事だった。
燕城を護っていたのは、楊甲状という名の武官であった。
楊甲状は迫り来る慧兵たちの猛攻を抑えきれず、王の下へ使者をやる。
梁飛空は要請を受けると、実子である朋国太子・梁天祥を司令官とし、
その補佐として女将・東紅玉と軍師・王締盟、
そして義兄である白英公を補佐につけ、五千の兵を与えて蔡廉へ援軍に遣わした。
到着した朋軍は、すぐに燕城に群がる慧兵達を掃討した。
それは、慧という国の兵力を疑うような、圧倒的な勝利であった。
楊甲状は諸手を上げて喜び、一行をもてなした。
三日後にも、慧軍はやってきた。
燕城の守りを楊甲状に任せた梁天祥たちは、城外へと出陣する。
両軍は、近接した戦いをしていた。
先日とは違う慧軍の堅実な戦いぶりに、梁天祥たちはいささかの奇妙さを感じた。
やがて燕城を攻撃する一軍が掃討されると、
燕城を護っていた楊甲状率いる燕城軍が城門から姿を現す。
味方である。
これで慧に楽に勝てると思いきや、なんと楊甲状は、梁天祥率いる朋軍に向かい突撃した。
楊甲状は、慧に傾倒し、朋を裏切っていたのだった。
かくして朋軍は両面より挟撃されることとなった。
梁天祥の軍は、なすすべも無く混乱し、応戦空しく諸人の命を散らしていく。
カッと頭に血が上った梁天祥は、
太子の名の下に父である朋王・梁飛空より贈られた金色の太刀を構え、
一騎で、裏切り者である楊甲状の元へ突撃した。
「この裏切り者めが!」
叫び、梁天祥は怒りのままに楊甲状に切りかかる。
刃を交わし、何合目かで梁天祥は周囲を囲んでいた蔡廉兵の槍を受け、その場で落馬した。
楊甲状は薄笑いをうかべながら、梁天祥に槍を振り下ろす。
――うなりを上げて飛んできた矢が、楊甲状の腕に突き刺さったのは、その時だった。
矢は同時に何度も放たれた。周囲の将は次々と落馬していく。
楊甲状は薄れ行く意識の中で、猛俊に地を這う隼を見た。――騎馬の白英公であった。
白英公は、馬上で矢を放ちながらも、梁天祥に近づき騎乗に引き上げて救出すると、
馬を駆けさせ後方の朋軍中へと戻った。
「逃げよ!」
東紅玉に梁天祥を預けた白英公は、すぐにそう叫んだ。
叫び、梁天祥の金の太刀を奪うと、それを構え、慧軍の元へ単騎で突撃する。
「わが名は朋国太子・梁天祥なり!」
名を偽った白英公の元に、慧兵が群がる。
慧兵の群れに囲まれ、白英公の姿はすぐに見えなくなった。
東紅玉は白英公の犠牲を無駄にしなかった。
すぐに兵をまとめ負傷した梁天祥を護り囲みを突破する。
追いすがる慧軍から逃げ、ただひたすらに北にある董州の廊城を目指した。
少し距離を進んですぐ、東紅玉達は王締盟が廊城の援軍を引き連れ南下するところと合流した。
嫌な予感を感じていた軍師・王締盟は、密かに廊城へ行き、援軍を請うていたのである。
かくしてこの二人の手により、梁天祥は無事に逃げ落ちることができたが、
白英公は梁天祥の金槍を壊れるまで振り続け、全身に血を浴びながら奮闘したがそれも空しく、
終には慧将である汪旬の槍で落馬し、それを合図に瞬く間に捕縛され捕らえられてしまった。
白英公を捕らえてすぐ、慧軍は自国へと引き上げる。
廊城の援軍も、すでに追いつくことができなくなった。
「――そなたが朋国王子、白英公か」
慧軍を率いた総司令官の名は、汪旬といった。
最初は、捕らえたのは王の実子である梁天祥だと告げられていたが、
後にそれは囮となった白英公であることが発覚した。
部下の不甲斐なさに、汪旬は気分を害していた。
「顔を、上げよ」
その言葉を白英公は拒む。汪旬は兵に指示し、白英公の髪を引かせ、顔を上げさせた。
目に入った白英公の容姿に、思わず汪旬は息を呑んだ。
肌は白く、それは輪郭を縁取る漆黒の頭髪と対称で、相貌はまさに眉目秀麗。
何よりも目を引いたのは、その目であった。
柳のような細い眉の下に、切れ長の目が煌いている。
怒りと軽蔑の入り混じった鋭い刃のような視線に、
汪旬はぞくりと身がうち震えるかのような感覚を得た。
この男を屈服させたい。
ただそれだけを心の中で強く叫び、汪旬は兵を退室しろとの命を出す。
「閣下、危のうございます!」
「良い。下がれ」
惚けたように汪旬はそう言った。兵は渋々といった様子で室を出る。
「何のつもりか」
憎しみの篭った双眸が、たまらない。
すぐ傍に跪き、白英公の髪の括りを解いてやると
漆黒で出来た鋼の束のように髪が流れた。
「――何をする!」
叫ぶ白英公の衣服に手をかけ、汪旬はそれを無理矢理に剥ぎ取る。
北方で造形られた雪のような肌が露出した。
「止めろ!」
「価値の無い王子よ。お前は、棄てられたのだ」
汪旬は狂ったように笑い声を上げると、白英公を体の下に組み敷き散々に弄んだ。
汪旬は自らの欲望が赴くままに何度も白英公を犯し、酷い言葉を何度も投げかけた。
しかしそれでも白英公は自分の思い通りに屈服しようとしない。
やがて汪旬は最後の手段として、兵に白英公を下げ渡した。
妓など町には大勢いる。しかしそれでも白英公は、
敢えて珍しい食物でも口にするかのように、慧兵たちに散々に嬲られることとなった。
汪旬どころではなく、無位無官のごろつきのような兵どもに、
毎晩のように女の扱いをされ、白英公は激しくその自尊心を傷つけられていた。
――なのに何故、生きようとする。
白英公は待っていた。義父が自分を援け出してくれるのを。
梁天祥であると偽った自分が殺されずに捕らえられたのは、
王叔である劉裁との人質交換が目的なのだろう。
しかし現実には自分は梁天祥ではなく、白英公であり、それは敵側にも知られている。
義子でしかない自分が、実子であり太子の梁天祥の代わりになるとは到底思わない。
諸侯は人質交換に強く反対するだろう。
それでも白英公は、義父を試そうとしていた。
慧国王叔である劉裁と自分は、義父にとって同等の価値とすることができるのか。
梁天祥と自分は、義父にとって同等の価値がある存在であるのか。
それが、知りたかったのだ。
ある日、一人の男が白英公を訪れた。
男は自らを汪旬の副官である郭伶と名乗った。
「…もう、諦めなさい」
痛々しそうな表情を浮かべた才知の男は白英公に向かい、静かにそう告げる。
「細作(スパイ)に朋陣営を探らせました。朋諸侯の意見は劉王叔の処刑に傾いています」
『白公子は確かに失うに惜しい存在であるかも知れないが、劉裁と交換するわけにはいきませぬ』
『あの男は今ここで処刑する他ございません』
『捕らえられたのが梁公子ならば致し方の無い事です。しかし、白公子であれば釣り合わない』
そう言われている、と、郭伶は告げる。
「あなたが劉王叔と人質交換される可能性は、ほぼ、ありません」
「…私を拘留したとの知らせ、いつ届けた」
白英公はそう問うた。
「十日前です」
「十日!?」
思わず白英公はそう叫んだ。
十日。諸侯の返答を待つまでも無く、
とうに白英公を見捨て劉裁処刑の裁断が降りた筈の日数である。
あるいは、そういう交渉の手段であり、私情は全く関係の無いことなのかも知れない。
それでも白英公には、それが救いに思えた。
義父は、自分の命と国益を秤にかけている。かけて、選べないでいる。
そう思うことができる。
「ありがとう」
白英公は、郭伶に、心からそう礼を言った。
「…自害するのなら手伝いましょう。毒が、ここに」
「いや…自分の始末は自分でつける」
歓喜を見せる白英公を尻目に、いたたまれなさそうな顔をして、郭伶はその場を退室した。
すべてに決着をつける時が来た。
薄暗い部屋から零れ落ちる光を見つめながら、白英公は少しだけ笑みを浮かべる。
(――欲を言うなら――義父に、あの逞しい腕に抱かれたかった)
白英公は思った。
実際に養子となったその時、白英公は十三の童子であったのに、
彼は今までにまだ一度も義父の腕に抱かれたことが無かった。
自分の隣で同じく義父から武芸を習う義弟の梁天祥が、
義父に頭を撫でられ抱き上げられる度に、
白英公は、自身の胸を激しい嫉妬のような、薄暗い感情が渦巻くのを感じていた。
(――義父に、愛されたかった。実の息子のように)
そう願うからこそ、梁飛空の実子である梁天祥が憎かった。
憎くて、彼に対して辛く当たっていた。
(…もう、叶うことは絶対に無い)
得られぬ愛であるのならば、諦めるしかない。
諦め。そうか、それが必要だったのか、と、白英公は思いなおす。
醜い固執も何もかもを捨ててしまえ。ただこの心には義父への親愛さえあればいい。
例え、義父が自分を愛さなくとも、自分は義父を愛する。
それが、白英公のすべてであった。
スッと心の中の霧が晴れていくような気がした。
安らかな気持ちになって、白英公は静かに両の瞼(まぶた)を閉じる。
これ以上、義父を迷わせる訳にはいかない。
次の瞬間、白英公は舌に自らの歯を突き立て、自噴して果てた。
かくして発見された白英公の遺体は斬首され、
劉裁の処刑後、直ぐにその首は朋王である義父・梁飛空の元へ送られた。
白英公の無惨な姿を見、梁飛空は涙を溢れさせ、その腕に白英公の首を抱いた。
実子の手前、生きてその姿を抱きしめる事のできなかった事を悔いて、
梁飛空は白英公に対する謝罪の言葉を繰り返し述べる。
白英公は、その死に顔として、生涯人に見せた事の無いような、
安らかな表情をうかべていた。
これより何十年も後、梁飛空は戦中に倒れ、
朋の二代目国王となる梁天祥が父の志を継ぎ、大陸を統一する。
統一帝国の皇帝となった梁天祥は「武帝」と名を変え、
父である太祖・梁飛空は「憲帝」と贈名される。
武帝の補佐を担う「二柱」女将・東紅玉、軍師・王締盟らとは違い、
帝の少年時代にその生命を援けた義兄の名は、
後の史上にてただ一行「武帝を護り、蔡廉にて慧と戦い、果てる」としか残されていない。
しかし、何千年を経過した今でも、朋の発祥となったこの北の大地には、
太祖憲帝と武帝の命により篤く葬られ、護られた白英公の墓が存在している。
――了
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| 長文スマソ
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____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 名前、適当につけたんだな
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| | □ STOP. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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