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某バンドのVo×G 2

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                    |  朝っぱらからナマモノで申し訳ない
                    |  某バンドのVo×G
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  >>592の間の話ぽ
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部屋には男のすすり泣く音が小さく響いていた。
「…いつまで泣いてんだよ」
よくそんなに涙が出るね。肌乾燥するぞと続けてからかってもその男は泣くのを止めなかった。
男に聞こえないように小さくため息をつき、亜季良は視線をふっと男から天井に移しながら
ジーンズのポケットから煙草を取り出そうとした。
…しまった。買うの忘れた。
また小さくため息をつき、煙草という唯一の逃げ道も潰された亜季良はもう一度男の方を見た。
10秒前と変わらない映像。
「おーい、田老さーん」
返事が無いと分かっていても、亜季良は情けない声で男の名を呼んだ。
予想通りの無反応に亜季良はガックシという効果音が似合いそうにうつむいた。
大の男二人が頭を垂れている姿は、はたから見たらなかなか滑稽だろう。

田老は周りから結構精神的に弱い、なよなよした男と思われているようだが、意外にもというか精神面は強い。
そういう部分が全く無いと言ったら嘘になるが、伊達に業界というのを何年もやっていない、本当に弱かったらこのバンドはすぐにつぶれていただろう。
大体、30近い社会人が精神的に弱いとかかなりかっこ悪い訳で。
要は「人並みには十分強い心臓」を持っているという事だ。

ただ、ある日を境にこいつに変化が現れた。
2ヶ月前の夜、この男は同じバンドのメンバーである俺に告白してきたのだ。
……しかも、選択肢などないやつを。
男同士、しかも今までメンバーとしてしか見ていなかった俺はこいつの告白を受け入れることしかできなかった。
おそらくはその罪悪感なのだろう。普段はいつもどおりなのだが時折堰を切らしたように情緒不安定に陥り泣き出すようになった。
俺が知ってるだけで3回目、あまり他人にこういう姿を見せないタイプであるため実際はもっとこうやって子供のように泣きじゃくっているのだろう。

ちり、と胸が鳴った気がした。同情か、それともただこの状況が不快なのか…それ以上考えないようにして太老にまっすぐ向き合う。

「あのさ、…俺はいいから」
目を合わせ…る事はできないのでとりあえず顔のパーツで唯一見当たる耳を見ながら亜季良は続けた。
「なんつーか、あんまし彼女作る気もねーし、別にお前は普通に好きだし」
友情として、という言葉はあえて飲み込んだ。相手も分かっているだろうけど言葉にしたらかなりキツいだろう。
「だから……あーっとなんだ?うん、とりあえず泣き止んで下さい」
泣き止むことはしなかったが小さく「ごめん」と聞こえた。その言葉で亜季良は切れた。

「あーっ、もう!!」

叫んだ直後、太老の顔を覆っている右手を掴み、自分の指と絡める。
鳩が豆鉄砲食らったような顔ってこんな顔かと思いながら亜季良はもう片方の手で太老の頬に触れる。
泣き顔を見られたくないのか太老は顔を身体ごと必死に背けようとしたのでさせまいと亜季良は頬に置いた左手を腰に回し抱き留めた。
なにか気の利いた言葉でもかけようと思ったが詩を長いこと書いている太老とは違いすぐには上手い言葉が見つからず仕方なくそのまま太老の唇に噛み付く。
開きかけていた口に自分の舌を入れると、一瞬驚いて、でもすぐに太老も舌を絡めてきた。
そのままお互い目をつぶり、静かな部屋に二人分の吐息と水音を混ぜる。
気付いたら太老は亜季良の顔を両手で押さえ、必死に唇を貪っていた。
自分から唇を合わせたのに逆に押さえ込まれ息苦しくなった亜季良は太老の肩を軽く押し、
気付いた太老が今までの激しさとはうってかわって最後に音を立てるやわらかいキスをして顔を離す。
上気した顔にもう涙は無かった。

「…泣き、止んだな」
はにかむように亜季良は笑った。
「亜季…」
「よーし、煙草買いに行こう!」
「ええっ?」
欲情しきった顔の太老の言葉を無視して亜季良は背伸びをした。
「えーっと、亜季良さん?その…」
「うっさい、煙草買いに行くの。ほら顔洗って」
「ええーっ」
既に自分のジャケットのボタンを留め始めている亜季良に向かって太老は口を尖らせる。
「行くよー、田老ー」
「あ、ちょっと待ってよ」
二人分の話し声が遠ざかり、部屋はまた静寂を取り戻した。

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 | |                | |           ∧_∧ 相変わらずポエムでスマソ。
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