某飛翔漫画
更新日: 2011-05-01 (日) 20:37:53
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )元ネタハ飛翔漫画デスガ、作品名ノ特定ハ避ケタイノデキャラ名ハ全テ変更シテアリマス。
読後ニ「コレッテモシカシテ…(゚Д゚;)」
ト思ッタ方モ、ドウカ気ヅカナカッタフリヲシテ下サイ。
屋上に入ると、からんからんという音とともに、藤井の視界を空き缶が通り過ぎていった。
同時に、こんな大して人の来ない場所くらいきれいに使えないものだろうか――と、少し不愉快になったが
(いや、だからこそ、か。)
と藤井はすぐに考え直した。元々どうでもいいことだったので。
気を取り直して当初の目的であるフェンスに向かった。
そこにもたれ掛かると、意識をぼうっとどこまでも広がっていく空へと向ける。
一度ここで飛び降りをして以降、何かあるとそうして頭をからにするのが藤井の習慣になっていた。
そうしていると、空は自分の全てを吸い取って、自分の考えることは元より、しでかしたこと、感じたこと、何もかもを――消していくような気が、藤井には、する。もちろんそれはただの錯覚で、物事の根本的な解決にならないことは分かっているのだけれど。
今日でもう何度めになるか分からないため息をもう一度吐く。
――やってしまった、と思った。ついに。
小杉が田岡のことを嬉々として話すことに、苛立ちを覚えるようになったのは果たしていつからだっただろうか。
学校は違えど友人である少年が、『一目惚れしました』と同じく自分の友人である少女を好いて、時折訪れる僅かばかりの接触を一喜一憂して自分に報告する。
それははじめ、微笑ましいことでこそあれ、疎ましいことではなかったはずなのに。
気がついた時、藤井は小杉から田岡との接触を報告される際、笑うことが億劫になっていた。
『今日、田岡さんに』
『田岡さんにこれを』
『藤井さん、田岡さんがオレに――』
嬉々とした様子の小杉を見るたび、肺の奥に生まれる不快感。乾いた喉に生まれる息苦しさ。
それは次第にひどくなっていったにも関わらず、藤井はその原因を考えることを避けた。不快感の原因――自分の中に生まれた初めての感覚――その名前に薄々気づいてはいたのだけれど、確定は避けた。本来の自分から余りにかけ離れたそれが怖かった。
気を抜けばおざなりになる口調をこらえて、藤井は小杉からの報告を笑顔で受け取り続けた。
それに――小杉と田岡、二人の寄り添いに期待していないわけでもなかったので。
いわゆる“お坊っちゃん”であり、絵に描いたような優等生であるかたわら、世間智がなく、しょっちゅう突拍子もない言動にでる小杉と、常に控えめながら、常識的なことは、おそらく自分よりも知っている田岡との組み合わせは、悪くないと思った。
小杉の言動のはしばしを、呆れつつもフォローする田岡。
小杉の報告を聞くかたわら、藤井の脳裏には、そんな二人の様子が思い浮かびもした。
しかし、感情に反した行動は、ただの憂鬱からやがて確実に苛立ちへと変化し、名付けることを避けつづけた感情は、決して風化することなく、自分の存在を明らかにする機会を求めていた。
そして、昨日。
『藤井さん! オレついに田岡さんに好きだって言えました!』
満面の笑みを浮かべて、小杉がそう言った瞬間、藤井は自分が何を考えたのか覚えていない。
ただその瞬間、藤井は無意識に小杉の体を抱きしめて――口付けて、いたのだった。藤井より頭一つ分低い、小杉の体は藤井が思っていたほど華奢ではなかった。
――ほんの、一瞬。
それでも、自分が何をされたのかを理解するのに、小杉には時間が必要だったのだろう。
『っ……ふ、じい……、さん……』
目を見開いて、呆然と自分を見つめた、彼のその表情。
その時藤井の目には、小杉がそのまま、風に飛ばされていくような気がした。
そんなことは有り得ないし、万が一あるとしても、先に飛ぶのは自分だと思ったのだけれど。
小杉が藤井を見つめたまま、足下の地面を忘れたような表情をしていたので。
――飛ばされる、と思った。
これ以上何も出来ないとも。
『わりぃ……、忘れろ』
『――』
『お前と田岡なら――――……お似合いだよ』
つもりつもったものは、示せただけで伝えることは出来なかった。
「……カッコわりぃ」
フェンスにもたれたまま、腕で頭を覆って藤井は低くうめいた。
肺の奥がざらつく。
ひたすら喉が乾くのに、水を飲みたいと思えない。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ココマデデス。オ付キアイアリガトウゴザイマシタ
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