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from拙者スレ

AAがどうしてもずれてしまうので略させて頂きます;

(・∀・)< 兄上、拙者妊娠するでござるっ!!!より、576-3の続きです
(・∀・)<タイトル考え付かなかったので、このまま通し番号で・・・
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その足音は、玄関から真っ直ぐに縁側へと向かっている。
どたどたっと、いかにも急いでいますといった走り方で
2人はその音の主が誰だかすぐに分かった。
「あ、兄上ぇーーー!!」
予想した通りの声が聞こえる。
「お、拙者お帰り」
手を軽く上げて応える小兄。
そんな彼の手前で、拙者は急ブレーキをかけたが

つるっ      ごんっ!!!

勢いが有り過ぎた為、滑ってひっくり返り、背中からぶつかった。
『  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  ・  』
とっさの出来事に、思わずぽかんと口を開けて呆然とする2人の兄。
「せ、拙者!大丈夫かい!?」
慌てて兄上が近寄ると、拙者はもろに打ち付けた後頭部を押さえてきっぱりと言った。
「拙者はこの程度で泣くほど女々しくはございませぬ!!」
・・・・・もちろん、目にはうっすらと涙が浮かんでいたが。
微妙にずれた弟の返事に苦笑しつつ、兄上は縁側に腰掛けた。勿論、拙者の隣である。
「とりあえず、手と足を洗っておいで。そんなに慌てている所を見ると
何か一大事でも起こったのだろうけど、落ち着かなければ上手く説明も出来ないだろう?」
「あ、は・はい!!」
そう言われて、拙者は勢い良く立ち上がり、井戸が有る方角へばたばたと走って行った。
「慌しい子だねぇ」
その様子を見て、また苦笑する兄上。
「そういえば、手に何か握っていたね。それが慌てている原因なのかな?」
「紙みたいだったから、号外か何かじゃねーかな。さっき表が騒がしかったし」
「号外・・・ね。何か物騒な事が起こったので無ければいいけど・・・」
そう言うと兄上は立ち上がり、また洗濯物を干しだした。

「そうだ、箪笥の右上に手拭が有るから、それを冷たい井戸水で濡らしてきておくれ」
「何で?」
「あの様子じゃ、きっと拙者の頭にこぶが出来ているだろうからさ」
「なるへそ」
それを聞いて小兄は立ち上がり、箪笥の右上ね、と呟きながら部屋に向かった。
洗濯物はもう残り少ない。
拙者が戻ってくる頃までには干し終わらせなければと、兄上は少し作業の手を早めたのだった。

小兄と拙者が戻ってくるのはほぼ同時だった。
最初、この程度なら平気だと拙者は遠慮したが、せっかく濡らしてきたのだからと小兄に言われ
今は素直に手拭をあてている。
手に持っていた紙―――小兄の予想通り、号外であった―――を兄上に渡し、
緊張した面持ちで正座をしているその姿は非常に可愛らしかった。
抱きしめたい衝動を懸命に押さえ、兄上は渡された号外を読む。
「ふむ・・・・なるほどね」
読み終えた兄上は膝の上に号外を置いた。
「んで、内容は?」
だらしなく胡坐をかいた小兄が尋ねる。
「上様の奥方が、御懐妊なされたそうだ」
「ほー。そりゃ目出度い」
「お前が言うとちっともそう思っているように聞こえないのは、何故だろうね?」
「そう思ってないからでは?」
「え、小兄は目出度いと思っておられないのですか!?」
「拙者よ、これは大人の洒落というものなのだ」
「さ、左様でござるか・・・・」
「小兄、拙者に嘘を教えるんじゃないよ」
「嘘にございますか!?」
「まぁそうなるかな」
「あまり拙者をからかうと可愛そうだろう。そこら辺でやめなさい」

「へーい」
やる気の無い返事をする小兄。
からかわれたと知って少しいじける拙者。
その仕草が可愛くて、また押し倒したくなる衝動を抑える兄上。
「そ、それで。ややこはどちらにございますか?」
それが気になってたのだろう。少し早口で拙者は訊ねた。
「どっちというのは、お子がおのこご・おなごどちらであるかという事かな?」
「はい」
「それはまだ解らないなぁ。何せ未だ生まれたわけではないから・・・」
兄上は微苦笑しながら、再び号外に視線と落とした。
「・・・・・・・え?」
ぽかんと口を開ける拙者。
「生まれては・・・いない・・・・???」
「懐妊、つまり妊娠したって事は、腹ん中に子供が出来たって事で
生まれるのとは違うんだよ」
小兄が解説をする。
「・・・・・・・・・・」
自分が物凄い勘違いをしたと知り、拙者は顔を真っ赤にした。
その様子に、思わず笑い出してしまう兄上。
「あのね、妊娠してからややこはお腹の中で大きくなって生まれてくるんだ。
だから・・・・そうだね。奥方が御出産されるのは、少なくとも半年は先だよ」
「そ・・・・・そうなのですか・・・・」
未だに顔が赤い拙者はそう答えると、よろり・・・と立ち上がった。
衝撃が重かったのか、何だか足元がおぼつかない。
「拙者・・・少し裏庭で素振りをしてくるでござる・・・・」
「おー、頑張れよ」
これまた励ましの気持ちが感じれない言葉を小兄がかける。
ふらふらと拙者の姿が見えなくなるまで見送り、兄上はやれやれっとため息をついた。
「母上が亡くなったのは自分を産んだ所為だと悔いているのに、子が生まれる過程を知らないとは・・・。
哀れと言うか、滑稽と言うか・・・」

「つーか、あの歳で男女のまぐわり方も知らないってある意味問題じゃねぇ?」
「ふむ・・・・」
少し考える仕草をして、兄上はぽんと膝を叩いた。
「うん?拙者を遊郭に連れて行く決心でもついたのかい?」
「馬鹿な事言ってる暇が有ったら小衛門さんのところに行っておくれ」
「何であんな爺さんの所に行にゃーならんのよ」
「先日借りた風呂敷をまだ返していないんだ。
手拭を仕舞ってある引き出しに紫色の風呂敷が有っただろう?
それだから、今から行って返してきてよ。どうせ暇なんだから、少しは手伝いたまえ」
「そーですよ、どーせ暇ですよ」
兄上は俺の事を分かっちゃくれないのねとぼやきながら、先程向かった箪笥の有る部屋に向かう。
そのぼやきを聞き流しながら、兄上は丁寧に号外を畳んだ。
役所勤めの父上のことだ。この事は既に耳に入っているのだろう。
それでも、念のため帰ってこられたらお見せしよう、そう思ったのだ。
そして、畳み終わるとふと呟く。
「そうだね・・・拙者ももう数えで10を超えてるのだし・・・・。
そろそろ手を出しても良い頃・・・かな」
小兄の言う通り、あの歳で知らないというのは流石に問題が有るというもの。
だからと言って、遊郭なんぞに連れて行く気は全く無かった。
まして、他の男に手ほどきさせる気など微塵も無い。
傷つける輩は徹底的にぶちのめし、蝶よ華よと大事に育ててきた拙者。
その相手は、自分しかいないのだ。
「良い機会だ。うん、そうしよう」
そう言う兄上の笑みは、どこか艶かしかった。

□STOP
(・∀・)<ここまで書いて力尽きてしまいました。orz
    エネルギー充電出来次第、また続きを書かせていただきまつ(つд`)


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